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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-15
(45)【発行日】2024-02-26
(54)【発明の名称】比例電磁弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/06 20060101AFI20240216BHJP
【FI】
F16K31/06 305A
F16K31/06 305F
F16K31/06 305G
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020026868
(22)【出願日】2020-02-20
(65)【公開番号】P2021131127
(43)【公開日】2021-09-09
【審査請求日】2022-11-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000108627
【氏名又は名称】タカノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088579
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 茂
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 大喜
【審査官】笹岡 友陽
(56)【参考文献】
【文献】実開昭58-102809(JP,U)
【文献】特開2018-096493(JP,A)
【文献】特開平05-180318(JP,A)
【文献】実開昭55-097269(JP,U)
【文献】特開2005-61589(JP,A)
【文献】特開2014-214842(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 31/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソレノイドの外部に設けたヨークの内部に、このヨークにより、後端側が支持された固定プランジャ,及びこの固定プランジャに対して進退変位自在に配した可動プランジャを有するとともに、前記ソレノイドに印加する励磁電圧の大きさに対応して前記可動プランジャを変位させる電磁駆動部と、前記可動プランジャの前端に設けた弁体,及びこの弁体に対向し、かつ内側に流路を有する弁座を有するとともに、前記可動プランジャを一端側で弾性支持する弾性部材を有する弁機構部とを備える比例電磁弁において、前記固定プランジャと前記可動プランジャ間に介在させることにより当該可動プランジャの直角方向への動きを規制する立体板バネと、前記弾性部材の他端側の位置を、前記ヨークの外側に配した第一操作部の操作により弁変位方向に変位させて位置調整可能な第一調整機構部と、前記固定プランジャの位置を、前記ヨークの外側に配した第二操作部の操作により前記可動プランジャに対して進退変位させて位置調整可能な第二調整機構部とを備えてなることを特徴とする比例電磁弁。
【請求項2】
前記弾性部材は、コイルバネを用いることを特徴とする請求項1記載の比例電磁弁。
【請求項3】
前記第一調整機構部は、前記ヨークと前記固定プランジャ間に配し、かつ外周面に設けたネジ部を前記ヨークに設けた開口部のネジ孔部に螺合させるとともに、内端により前記弾性部材の他端側を支持し、かつ後端に前記第一操作部を有する調節筒を備えることを特徴とする請求項1又は2記載の比例電磁弁。
【請求項4】
前記第一調整機構部は、前記調節筒の前記ネジ部に螺合し、かつ前記ヨークに当接可能な第一固定ナットを備えることを特徴とする請求項3記載の比例電磁弁。
【請求項5】
前記第二調整機構部は、前記固定プランジャの外周面に設けたネジ部を前記調節筒に設けた開口部のネジ孔部に螺合させるとともに、前記固定プランジャの後端側に前記第二操作部を備えることを特徴とする請求項3記載の比例電磁弁。
【請求項6】
前記第二調整機構部は、前記固定プランジャの前記ネジ部に螺合し、かつ前記調節筒に当接可能な第二固定ナットを備えることを特徴とする請求項3記載の比例電磁弁。
【請求項7】
前記弾性部材は、板バネを用いることを特徴とする請求項1記載の比例電磁弁。
【請求項8】
前記第一調整機構部は、前記ヨークの外周面に設けたネジ部を、前記弁座を有するブロック部に設けた開口部のネジ孔部に螺合させるとともに、前記ヨークの外周面に前記第一操作部を設けてなることを特徴とする請求項1又は7記載の比例電磁弁。
【請求項9】
前記第一調整機構部は、前記ヨークの前記ネジ部に螺合し、かつ前記ブロック部に当接可能な第一固定ナットを備えることを特徴とする請求項8記載の比例電磁弁。
【請求項10】
前記第二調整機構部は、前記固定プランジャの外周面に設けたネジ部を前記ヨークに設けた開口部のネジ孔部に螺合させるとともに、前記固定プランジャの後端側に前記第二操作部を備えることを特徴とする請求項8記載の比例電磁弁。
【請求項11】
前記第二調整機構部は、前記固定プランジャの前記ネジ部に螺合し、かつ前記ヨークに当接可能な第二固定ナットを備えることを特徴とする請求項10記載の比例電磁弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス等の流体の流量を連続的に制御する流量制御弁等に用いて好適な比例電磁弁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電磁駆動部と弁機構部を組合わせることにより流体の流量を連続制御できるようにした比例電磁弁は、既に本出願人が提案した特許文献1で開示される流量制御弁が知られている。
【0003】
同文献1で開示される流量制御弁は、プランジャの全ストロークにおいてリニアリティの高い高精度の流量制御を行うとともに、安定性及び信頼性の高い制御を行うことを目的としたものであり、具体的には、ソレノイドの外部に設けたアウタヨーク及び内部に設けたインナヨークを有するとともに、インナヨークの前端面に対して、後端面が対向し、かつソレノイドに印加する励磁電圧の大きさに対応して変位するプランジャを有する電磁駆動部と、プランジャの前端に設けることにより流路を開閉する弁体及びこの弁体を弾性支持するダイヤフラムを有する弁機構部とを備え、特に、プランジャの後端面をリング状の平坦部とこの平坦部の内側に設けたテーパ面を有する凸部との組合わせにより形成するとともに、インナヨークの前端面をリング状の平坦部とこの平坦部の内側に設けたテーパ面を有する凹部との組合わせにより形成し、後端面又は前端面の直径に対する凸部又は凹部の直径の比率及びテーパ面の角度を所定の大きさに設定したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-25303号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述した特許文献1で開示される従来の比例電磁弁(流量制御弁)は、次のような解決すべき課題が存在した。
【0006】
同文献1の流量制御弁は、円盤形に形成した二枚のダイヤフラム(板バネ部材)の中心部に弁体を取付けるとともに、このダイヤフラムの外周部を、流路を形成するブロックの内面に取付けている。これにより、弁体は、この板バネ部材の中心部により弾性支持される。ところで、この種の流量制御弁は、流量を連続的に制御するため、プランジャ(弁体)の全ストロークにおいてリニアリティの高い高精度の流量制御が求められる。
【0007】
したがって、製造段階において、部品や機構等に基づくバラツキ(公差)を小さくするための調整を行っており、上述した従来の流量制御弁では、複数の異なる厚さのダイヤフラムを用意し、公差が大きいときは、厚さの異なるダイヤフラムへの変更や二以上のダイヤフラムを組合わせることにより、弁体による弁開度やダイヤフラム(板バネ部材)によるバネ力が所定の基準値内に収まるように調整を行っていた。
【0008】
しかし、このような従来の調整手法は、調整時に、組み付け後のアセンブリを一旦分解したり再組立する工程が必要になるため、製造工数の増加に伴う生産性の低下を招くとともに、部品類を傷付けてしまうなどの難点があった。加えて、調整可能な範囲において段階的に変更、例えば、0.01mm単位で変更して調整するため、精度の高い調整を行うには限界があった。
【0009】
本発明は、このような背景技術に存在する課題を解決した比例電磁弁の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る比例電磁弁1は、上述した課題を解決するため、ソレノイド3の外部に設けたヨーク4の内部に、このヨーク4により、後端5r側が支持された固定プランジャ5,及びこの固定プランジャ5に対して進退変位自在に配した可動プランジャ6を有するとともに、ソレノイド3に印加する励磁電圧Edの大きさに対応して可動プランジャ6を変位させる電磁駆動部2と、可動プランジャ6の前端6fに設けた弁体9,及びこの弁体9に対向し、かつ内側に流路Rを有する弁座10を有するとともに、可動プランジャ6を一端11s側で弾性支持する弾性部材11を有する弁機構部7とを備える比例電磁弁を構成するに際して、固定プランジャ5と可動プランジャ6間に介在させることにより当該可動プランジャ6の直角方向Fcへの動きを規制する立体板バネ37と、弾性部材11の他端11t側の位置を、ヨーク4の外側に配した第一操作部12の操作により弁変位方向Fdに変位させて位置調整可能な第一調整機構部M1と、固定プランジャ5の位置を、ヨーク4の外側に配した第二操作部13の操作により可動プランジャ6に対して進退変位させて位置調整可能な第二調整機構部M2とを備えてなることを特徴とする。
【0011】
この場合、発明の好適な第一の態様により、弾性部材11には、コイルバネ11cを用いることができる。また、第一調整機構部M1は、ヨーク4と固定プランジャ5間に配し、かつ外周面21wに設けたネジ部21sをヨーク4に設けた開口部のネジ孔部4nに螺合させるとともに、前端21fにより弾性部材11の他端11t側を支持し、かつ後端21rに第一操作部12を有する調節筒21を設けることができる。なお、第一調整機構部M1には、調節筒21のネジ部21sに螺合し、かつヨーク4に当接可能な第一固定ナット22を設けることができる。一方、第二調整機構部M2は、固定プランジャ5の外周面に設けたネジ部5sを調節筒21に設けた開口部のネジ孔部21nに螺合させるとともに、固定プランジャ5の後端5r側に第二操作部13を設けることができる。なお、第二調整機構部M2には、固定プランジャ5のネジ部5sに螺合し、かつ調節筒21に当接可能な第二固定ナット23を設けることが望ましい。
【0012】
他方、発明の好適な第二の態様により、弾性部材11には、板バネ11pを用いることができる。また、第一調整機構部M1には、ヨーク4の外周面4wに設けたネジ部4sを、弁座10を有するブロック部24に設けた開口部のネジ孔部24nに螺合させるとともに、ヨーク4の外周面に第一操作部12を設けることができる。なお、第一調整機構部M1には、ヨーク4のネジ部4sに螺合し、かつブロック部24に当接可能な第一固定ナット12を設けることが望ましい。一方、第二調整機構部M2は、固定プランジャ5の外周面に設けたネジ部5sをヨーク4に設けた開口部のネジ孔部4nに螺合させるとともに、固定プランジャ5の後端5r側に第二操作部13を設けることができる。なお、第二調整機構部M2には、固定プランジャ5のネジ部5sに螺合し、かつヨーク4に当接可能な第二固定ナット23を設けることが望ましい。
【発明の効果】
【0013】
このような構成を有する本発明に係る比例電磁弁1によれば、次のような顕著な効果を奏する。
【0014】
(1) 弾性部材11の他端11t側の位置を、ヨーク4の外側に配した第一操作部12の操作により弁変位方向Fdに変位させて位置調整可能な第一調整機構部M1と、固定プランジャ5の位置を、ヨーク4の外側に配した第二操作部13の操作により可動プランジャ6に対して進退変位させて位置調整可能な第二調整機構部M2とを備えるため、製造段階において、調整に伴う組み付け後におけるアセンブリの分解及び再組立を不要にできる。したがって、部品類を傷付けてしまうなどの不具合を回避できるとともに、外部からの操作部に対する操作のみで、弁開度やバネ圧の調整を容易に行うことが可能となり、生産性を大幅に高めることができる。しかも、螺合機構による連続的な位置調整が可能になるため、精度の高い調整を行うことができる。加えて、固定プランジャ5と可動プランジャ6間に、立体板バネ37を介在させたため、当該可動プランジャ6の直角方向Fcへの動きを規制することができる。
【0015】
(2) 好適な態様により、弾性部材11に、コイルバネ11cを用いれば、いわゆるヘタリを生じることなく、安定した弾力性能を確保及び維持できるとともに、広く安定した調整範囲を確保できる。
【0016】
(3) 好適な態様により、第一調整機構部M1を構成するに際し、ヨーク4と固定プランジャ5間に配し、かつ外周面21wに設けたネジ部21sをヨーク4に設けた開口部のネジ孔部4nに螺合させるとともに、前端21fにより弾性部材11の他端11t側を支持し、かつ後端21rに第一操作部12を有する調節筒21を設けて構成すれば、調節筒21の追加により、比例電磁弁1の基本構造を変更することなく独立した第一調整機構部M1を構成でき、特に、第一操作部12をヨーク4の上端位置に配することが可能になるため、調整機構全体をヨーク4により外的に保護し、調整操作の容易化及び信頼性の向上に寄与できる。
【0017】
(4) 好適な態様により、第一調整機構部M1に、調節筒21のネジ部21sに螺合し、かつヨーク4に当接可能な第一固定ナット22を設ければ、調整後における調節筒21を確実に固定できるため、調整後における位置ズレを防止し、正確な調整位置を長期にわたって維持できるとともに、再調整も容易に行うことができる。
【0018】
(5) 好適な態様により、第二調整機構部M2を構成するに際し、固定プランジャ5の外周面に設けたネジ部5sを調節筒21に設けた開口部のネジ孔部21nに螺合させるとともに、固定プランジャ5の後端5r側に第二操作部13を設けて構成すれば、第二調整機構部M2及び第二操作部13を、第一調整機構部M1及び第一操作部12の内側に配することができるため、第一調整機構部M1の調整操作及び第一調整機構部M1及び第一操作部12を同方向から操作可能になり、調整操作の容易化に寄与できるとともに、第一調整機構部M1と組み合わせた調整機構全体の小型コンパクト化に寄与できる。
【0019】
(6) 好適な態様により、第二調整機構部M2に、固定プランジャ5のネジ部5sに螺合し、かつ調節筒21に当接可能な第二固定ナット23を設ければ、調整後における固定プランジャ5を確実に固定できるため、調整後における位置ズレを防止し、正確な調整位置を長期にわたって維持できるとともに、再調整も容易に行うことができる。
【0020】
(7) 好適な態様により、弾性部材11に、板バネ11pを用いれば、プレート材又はその組合わせにより構成できるため、電磁弁全体の小型化、更には低コスト化に寄与できる。
【0021】
(8) 好適な態様により、第一調整機構部M1を構成するに際し、ヨーク4の外周面4wに設けたネジ部4sを、弁座10を有するブロック部24に設けた開口部のネジ孔部24nに螺合させるとともに、ヨーク4の外周面に第一操作部12を設けて構成すれば、ヨーク4自身を第一調整機構部M1及び第一操作部12に兼用可能になるため、調節筒などの別途の部品を追加することなく実施することができ、調整機構全体のシンプル化及び低コスト化に寄与できる。
【0022】
(9) 好適な態様により、第一調整機構部M1に、ヨーク4のネジ部4sに螺合し、かつブロック部24に当接可能な第一固定ナット12を設ければ、調整後におけるヨーク4を確実に固定できるため、調整後における位置ズレを防止し、正確な調整位置を長期にわたって維持できるとともに、再調整も容易に行うことができる。
【0023】
(10) 好適な態様により、第二調整機構部M2を構成するに際し、固定プランジャ5の外周面に設けたネジ部5sをヨーク4に設けた開口部のネジ孔部4nに螺合させるとともに、固定プランジャ5の後端5r側に第二操作部13を設けて構成すれば、第二調整機構部M2及び第二操作部13を、ヨーク4の内側に配することができるため、第一調整機構部M1と組み合わせた調整機構全体の小型コンパクト化に寄与できる。
【0024】
(11) 好適な態様により、第二調整機構部M2に、固定プランジャ5のネジ部5sに螺合し、かつヨーク4に当接可能な第二固定ナット23を設ければ、調整後における固定プランジャ5を確実に固定できるため、調整後における位置ズレを防止し、正確な調整位置を長期にわたって維持できるとともに、再調整も容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の基本実施形態に係る比例電磁弁の縦断側面図、
図2】同比例電磁弁の平面図、
図3】同比例電磁弁の励磁電圧に対する流量の変化特性説明図、
図4】同比例電磁弁の作用説明図、
図5】同比例電磁弁の調整手順及び作用を説明するためのフローチャート、
図6】同比例電磁弁の第一調整機構部を抽出して示す調整工程の説明図、
図7】同比例電磁弁の第二調整機構部を抽出して示す調整工程の説明図、
図8】本発明の変更実施形態に係る比例電磁弁の縦断側面図、
図9】同比例電磁弁の平面図、
【発明を実施するための形態】
【0026】
次に、本発明に係る好適実施形態を挙げ、図面に基づき詳細に説明する。
【0027】
まず、本実施形態(基本実施形態)に係る比例電磁弁1の構成について、図1及び図2を参照して説明する。
【0028】
例示の比例電磁弁1は、ノーマルクローズタイプであり、図1に示すように、基本的な構成として、上側(弁変位方向Fdの開側)に位置する電磁駆動部2及び下側(弁変位方向Fdの閉側)に位置する弁機構部7を備える。電磁駆動部2は、コイルボビン31にワイヤを巻回して構成した筒形のソレノイド3を備える。また、ソレノイド3の外部にはヨーク4を配してソレノイド3を覆う。ヨーク4は全体を磁性材により形成し、筒形のヨーク側面部4mと、このヨーク側面部4mの上端に一体形成したリング状の上端面部4u及びヨーク側面部4mの下端開口を覆うリング状の下端面部4dにより構成する。ソレノイド3の内部、即ち、コイルボビン31における筒体部31cの内部空間の上側(後側)には、磁性材により形成した円柱状の固定プランジャ5を配するとともに、その下側(前側)には、磁性材により形成した円柱状の可動プランジャ6を配する。そして、固定プランジャ5は、後述する第一調整機構部M1及び第二調整機構部M2を介してヨーク4の上端面部4uにより支持されるとともに、可動プランジャ6は、弁変位方向Fdへ進退自在に配される。
【0029】
また、固定プランジャ5及び可動プランジャ6の外径は、コイルボビン31における筒体部31cの内径よりもやや小径に形成し、これにより生じる各プランジャ5,6と筒体部31c間の隙間に、第一調整機構部M1を構成する筒形の調整筒21を収容する。この調整筒21は、外周面21wの上端部に、回動操作治具を係止可能な係合部12c,12c(図2参照)を形成し、ヨーク4の外側に配する第一操作部12として機能させるとともに、この係合部12c,12cの下方に位置する外周面21wにはネジ部21sを形成する。
【0030】
一方、ヨーク4の上端面部4uの中心に設けた開口部にはネジ孔部4nを形成し、このネジ孔部4nに、調整筒21側のネジ部21sを螺合させる。これにより、調節筒21における第一操作部12を回動操作すれば、 調整筒21を上下方向(弁変位方向Fd)に変位させることができ、調整筒21の前端21fにより、後述するコイルバネ11c(弾性部材11)の他端11t側の位置を変位させて位置調整を行うことができる第一調整機構部M1が構成される。
【0031】
このように、ヨーク4と固定プランジャ5間に配し、かつ外周面21wに設けたネジ部21sをヨーク4に設けた開口部のネジ孔部4nに螺合させるとともに、前端21fにより弾性部材11の他端11t側を支持し、かつ後端21rに第一操作部12を有する調節筒21を設けて第一調整機構部M1を構成すれば、調節筒21の追加により、比例電磁弁1の基本構造を変更することなく独立した第一調整機構部M1を構成でき、特に、第一操作部12をヨーク4の上端位置に配することが可能になるため、調整機構全体をヨーク4により外的に保護し、調整操作の容易化及び信頼性の向上に寄与できる。
【0032】
さらに、ヨーク4の上端面部4uの上面に、凹部4uiを形成し、この凹部4uiに第一固定ナット22を収容するとともに、調節筒21のネジ部21sに螺合させる。この第一固定ナット22は回動操作によりヨーク4に当接可能となる。このように、第一調整機構部M1に、調節筒21のネジ部21sに螺合し、かつヨーク4に当接可能な第一固定ナット22を設ければ、調整後における調節筒21を確実に固定できるため、調整後における位置ズレを防止し、正確な調整位置を長期にわたって維持できるとともに、再調整も容易に行うことができる。
【0033】
一方、固定プランジャ5は、プランジャ本体部5mと、このプランジャ本体部5mの上端面(後端面)から弁変位方向Fdの上方へ一体に突出形成し、かつ外周面にネジ部5sを有するボルト部5bを備える。したがって、このネジ部5sは、固定プランジャ5の外周面に設けたネジ部5sとして機能する。また、ボルト部5bの上端面には、回動操作治具が係止可能な凹溝5bcを形成する。これにより、このボルト部5bは、固定プランジャ5の後端5r側、即ち、ヨーク4の外側に配した第二操作部13として機能する。さらに、調整筒21の上端には、支持端面部21eを一体形成し、この支持端面部21eの中心に設けた開口部にネジ孔部21nを形成するとともに、このネジ孔部21nに、固定プランジャ5におけるボルト部5bのネジ部5sを螺合させる。
【0034】
これにより、固定プランジャ5の外周面に設けたネジ部5sを調節筒21に設けた開口部のネジ孔部21nに螺合させるとともに、固定プランジャ5の後端5r側に第二操作部13を設けてなる第二調整機構部M2、即ち、第二操作部13の操作により、固定プランジャ5を上下方向に変位させて固定プランジャ5の位置調整を行うことができる第二調整機構部M2が構成される。
【0035】
このように、固定プランジャ5の外周面に設けたネジ部5sを調節筒21に設けた開口部のネジ孔部21nに螺合させるとともに、固定プランジャ5の後端5r側に第二操作部13を設けた第二調整機構部M2を設ければ、第二調整機構部M2及び第二操作部13を、第一調整機構部M1及び第一操作部12の内側に配することができるため、第一調整機構部M1の調整操作及び第一調整機構部M1及び第一操作部12を同方向から操作可能になり、調整操作の容易化に寄与できるとともに、第一調整機構部M1と組み合わせた調整機構全体の小型コンパクト化に寄与できる。
【0036】
さらに、支持端面部21eから上方に突出したボルト部5bには、第二固定ナット23を螺合させる。したがって、この第二固定ナット23は、固定プランジャ5に螺合し、かつ調節筒21に対して当接可能となる。このように、第二調整機構部M2に、固定プランジャ5のネジ部5sに螺合し、かつ調節筒21に当接可能な第二固定ナット23を設ければ、調整後における固定プランジャ5を確実に固定できるため、調整後における位置ズレを防止し、正確な調整位置を長期にわたって維持できるとともに、再調整も容易に行うことができる。
【0037】
他方、弁機構部7は、非磁性材のステンレス材等により形成したブロック部24を備える。このブロック部24の上端面24cは、電磁駆動部2側におけるヨーク4の下端面部4dを取付ける取付面になるとともに、ブロック部24の下端面は、流路配管側への取付面24jとなる。ブロック部24の内部には、内部中空に形成した弁室32を設け、この弁室32を形成する底面部32dの中央に、上方に突出した筒状の弁座10を形成する。この弁座10の内側は流路Rとなり、例示の場合、この流路Rの下端は、流入口33iとして取付面24jに開放されるとともに、弁座10の周囲に位置する底面部32dには、一又は二以上の流出口33e…を形成する。これにより、上端が弁室32に連通する流出口33e…の下端は取付面24jに開放される。さらに、弁室32とブロック部24の上端面24c間には連通空間25を貫通形成する。
【0038】
一方、可動プランジャ6は、プランジャ本体部6mと、このプランジャ本体部6mの下端面(先端面)から弁変位方向Fdの下方へ一体に突出形成したシャフト状のバネ支持部6s及びこのバネ支持部6sの下端に一体形成した弁体取付盤部6cを備え、このバネ支持部6s及び弁体取付盤部6cは、連通空間25に収容する。そして、弁体取付盤部6cの下面に、ゴム等で形成した弁部材9gを固定する。この弁部材9gと弁体取付盤部6cにより、可動プランジャ6の前端6fに設けた弁体9が構成され、この弁体9の下面は、弁座10の上端開口に対向し、流路Rを開閉する弁体9として機能する。
【0039】
また、バネ支持部6sには、リング状に形成したバネ座34の中心開口を装着するとともに、このバネ座34とバネ支持部6sの下端における大径部間には、圧縮した弾性部材11、即ち、圧縮したコイルバネ11cを装着する。弾性部材11として、このようなコイルバネ11cを用いれば、いわゆるヘタリを生じることなく、安定した弾力性能を確保及び維持できるとともに、広く安定した調整範囲を確保できる。
【0040】
したがって、バネ支持部6sは、バネ座34の中心開口及びコイルバネ11cの内部を貫通し、コイルバネ11cのバネ圧により、バネ座34の上面は、前述した調節筒21の前端(下端)21fに圧接する。この状態では、バネ座34の上面とプランジャ本体部6mの下端面間には所定間隔の隙間が設定される。また、バネ座34の下面はコイルバネ11cの他端(上端)11tに圧接するとともに、コイルバネ11cの一端(下端)11sはバネ支持部6sの下端における大径部に係止し、これにより、電磁駆動部2のソレノイド3が非励磁のときは、弁体9の下面が弁座10の上端開口に圧接し、ノーマルクローズ状態となる。さらに、バネ支持部6sの下端の外周面と連通空間25の内周面間には、リング状に形成した板バネ35を取付ける。この板バネ35により、可動プランジャ6の弁変位方向Fdに対する直角方向Fcへの動きが規制される。
【0041】
その他、図1及び図2において、36a及び36bは、固定プランジャ5の外周面及び連通空間25の内周面に設けたゴム製のシール用Oリング,37は固定プランジャ5と可動プランジャ6間に介在させることにより当該可動プランジャ6の直角方向Fcへの動きを規制する立体板バネ,38はソレノイド3から導出した給電コードをそれぞれ示す。
【0042】
次に、このように構成する本実施形態(基本実施形態)に係る比例電磁弁1の使用例を含む基本的な動作について、図3図1)及び図4を参照して説明する。
【0043】
図4は、比例電磁弁1の使用態様の一例、即ち、比例電磁弁1をガス配管用のバルブコネクタ41に取付けた例を示す。この場合、バルブコネクタ41の流入側接続口41iには、ガスの供給部42を接続するとともに、バルブコネクタ41の流出側接続口41eは、ガスの被供給部43に接続する。また、比例電磁弁1から導出する給電コード38は、給電部45に接続するとともに、この給電部45は制御部46に接続する。これにより、制御部46から給電部45に制御信号が付与されるとともに、給電部45から比例電磁弁1のソレノイド3に対して制御信号に対応した大きさの励磁電圧Edが付与される。
【0044】
今、給電部45からソレノイド3に付与される励磁電圧Edがゼロ(OFF状態)であれば、比例電磁弁1の弁開度も0になるため、比例電磁弁1は、図1に示すノーマルオフの状態となる。即ち、電磁駆動部2のソレノイド3は非励磁のため、コイルバネ11cのバネ圧により弁体9が弁座10の上端開口に圧接する。これにより、流路Rは遮断され、全閉状態になる。
【0045】
一方、給電部45の出力をON状態にするとともに、励磁電圧Edの大きさを変化させれば、図3に示す特性曲線Psのように、弁開度(ガスの流量Q)の大きさは、励磁電圧Edの大きさに対応して変化する。即ち、励磁電圧Edの大きさをゼロから徐々に高くすれば、ソレノイド3の励磁により発生する磁気力も徐々に大きになり、可動プランジャ6は固定プランジャ5側に吸引されて上方へ変位する。この際、Eds〔V〕から弁開度が徐々に大きくなるとともに、可動プランジャ6が固定プランジャ5に当接した位置で停止する。この位置では弁開度が最大、即ち、全開状態となり、流量Qは最大流量Qm〔L/min〕となる。図4中、Lmは、弁体9が全閉状態から全開状態まで変位するストローク範囲を示すとともに、矢印Fg…は、ガスの流通方向を示す。
【0046】
したがって、この種の比例電磁弁1は、各製品における特性曲線Psがバラつくことなく一定の基準値内に収まることが均質化を確保する上で重要となる。本実施形態に係る比例電磁弁1は、コイルバネ11cのバネ圧を調整することにより、弁体9が開き始める開始点Pssを一定にすることができるとともに、固定プランジャ5の上下位置を調整することにより、最大弁開度、即ち、最大流量Qmsを一定にすることができる。また、基本的に、組立完成状態において、第一調整機構部M1により、コイルバネ11cのバネ圧を容易に調整できるとともに、第二調整機構部M2により、固定プランジャ5の上下位置(最大弁開度)を容易に調整できる。なお、図3中、Zeは第一調整機構部M1による調整範囲、Zqは第二調整機構部M2による調整範囲を示し、仮想線で示すPsmは、非調整前における特性曲線の一例を示している。
【0047】
次に、比例電磁弁1に備える第一調整機構部M1及び第二調整機構部M2の調整方法(手順)について、図5図1)-図7を参照して具体的に説明する。
【0048】
図6は第一調整機構部M1を抽出して示す調整工程の説明図、図7は第二調整機構部M2を抽出して示す調整工程の説明図をそれぞれ示す。なお、調整に際しては、図1における第一固定ナット22と第二固定ナット23は、それぞれ緩めた状態にしておく。また、調整の順番としては、最初に、第一調整機構部M1による調整を行い、この後、第二調整機構部M2による調整を行う。
【0049】
まず、第一操作部12となる調節筒21の係合部21c,21cに回動操作治具を係止し、調節筒21を回動操作する(ステップS1)。調節筒21は、外周面21wに設けたネジ部21sが、固定側となるヨーク4に設けたネジ孔部4nに螺合するため、調節筒21の回動により調節筒21自身が上下方向(弁変位方向Fd)へ変位し、これにより、調節筒21の前端21fに圧接するバネ座34も追従して上下変位する(ステップS2)。この結果、コイルバネ11cの上端も追従して上下変位するとともに、この際、コイルバネ11cの下端位置は規制されるため、コイルバネ11cが伸縮してバネ圧の大きさも変化する(ステップS3)。図6に仮想線で示す調節筒21は、実線で示す調節筒21に対して、弁変位方向Fdの上方Fduへ移動量L1uだけ変位させた状態を示すとともに、仮想線で示すコイルバネ11cは、実線で示すコイルバネ11cに対して上方へ伸長した状態を示している。
【0050】
そして、調節筒21を回動操作し、設定した目標値になったなら回動操作を停止し、この後、第一固定ナット22を締め付けることにより調節筒21の位置を固定する(ステップS4,S5)。この場合、目標値は、前述した図3に示すPss点となるため、一例として、図4に示す流入側接続口41iから圧縮エアを付与し、励磁電圧EdとしてEds〔V〕を印加した状態において、圧縮エアの圧力が低下する直前における調節筒21の位置を目標値として設定できる。
【0051】
次いで、第二操作部13となる固定プランジャ5のボルト部5bの凹溝5bcに回動操作治具を係止して固定プランジャ5を回動操作する(ステップS6)。固定プランジャ5のボルト部5bは、位置が固定された調節筒21における支持端面部21eのネジ孔部21nに螺合するため、固定プランジャ5の回動により、固定プランジャ5自身が上下方向(弁変位方向Fd)へ変位する(ステップS7)。これにより、固定プランジャ5の下端面と可動プランジャ6の上端面間の隙間の大きさ、即ち、最大弁開度となる弁体9の位置(弁体9の最大変位ストローク)が変化する(ステップS8)。図7に仮想線で示す固定プランジャ5は、実線で示す固定プランジャ5に対して、弁変位方向Fdの上方Fduへ移動量L2uだけ変位させた状態を示している。
【0052】
そして、固定プランジャ5を回動操作し、設定した目標値になったなら回動操作を停止し、第二固定ナット23を締め付けることにより固定プランジャ5の位置を固定する(ステップS9,S10)。この場合、目標値は、前述した図3に示すQms点となるため、一例として、図4に示す流入側接続口41iから圧縮エアを供給し、圧縮エアの流量Qを測定することにより、設定した流量目標値になったときの固定プランジャ5の位置を目標値として設定できる。
【0053】
このように、本実施形態(基本実施形態)に係る比例電磁弁1は、基本構成として、コイルバネ11c(弾性部材11)の他端11t側の位置を、ヨーク4の外側に配した第一操作部12の操作により弁変位方向Fdに変位させて位置調整可能な第一調整機構部M1と、固定プランジャ5の位置を、ヨーク4の外側に配した第二操作部13の操作により可動プランジャ6に対して進退変位させて位置調整可能な第二調整機構部M2とを備えるため、製造段階において、調整に伴う組み付け後におけるアセンブリの分解及び再組立を不要にできる。したがって、部品類を傷付けてしまうなどの不具合を回避できるとともに、外部からの操作部に対する操作のみで、弁開度やバネ圧の調整を容易に行うことが可能となり、生産性を大幅に高めることができる。しかも、螺合機構による連続的な位置調整が可能になるため、精度の高い調整を行うことができる。
【0054】
次に、本発明の変更実施形態に係る比例電磁弁1について、図8及び図9を参照して説明する。
【0055】
変更実施形態と前述した図1に示した基本実施形態の第一の異なる点は、第一調整機構部M1を構成するに際し、図8に示すように、ヨーク4の外周面4wの下端部付近に設けたネジ部4sを、弁座10を有するブロック部24に設けた開口部のネジ孔部24nに螺合させるとともに、ヨーク4の外周面4wに第一操作部12を設けて構成した点にある。この場合、基本実施形態における連通空間25及び弁室32は、ヨーク4の下端面部4d内に形成される。したがって、変更実施形態における第一調整機構部M1は、ヨーク4自身を第一調整機構部M1及び第一操作部12に兼用可能になるため、調節筒などの別途の部品を追加することなく実施することができ、調整機構全体のシンプル化及び低コスト化に寄与できる。
【0056】
また、変更実施形態と基本実施形態の第二の異なる点は、弾性部材11として、板バネ11pを用いた点にある。例示の板バネ11pは、重ね合わせた二枚の板バネ部材11pu,11pdを用いた。そして、板バネ11pの中心位置を可動プランジャ6の前端部6fに取り付けるとともに、板バネ11pの外周側は、連通空間25の内周面に取り付けて構成した。なお、板バネ11pは、基本実施形態で用いた仕切プレート35の代わりにもなるため、板バネ11pはこの仕切プレート35を兼用する。このように、弾性部材11に、板バネ11pを用いれば、プレート材又はその組合わせにより構成できるため、電磁弁全体の小型化、更には低コスト化に寄与できる。
【0057】
変更実施形態における第一調整機構部M1では、第一操作部12によりヨーク4を回動操作すれば、ブロック部24に対してヨーク4を弁変位方向Fdへ上下変位させることができるため、弁体9に対する板バネ11pのバネ圧を変更(調整)することができる。このため、変更実施形態では、基本実施形態における調節筒21は存在しない。
【0058】
さらに、第一調整機構部M1に設ける第一固定ナット22は、ヨーク4のネジ部4sに螺合する。これにより、第一固定ナット22は、ブロック部24に対して当接可能となる。このような第一固定ナット22を設ければ、調整後におけるヨーク4を確実に固定できるため、調整後における位置ズレを防止し、正確な調整位置を長期にわたって維持できるとともに、再調整も容易に行うことができる。
【0059】
他方、変更実施形態における第二調整機構部M2の基本的構成は、細部は異なるものの基本実施形態における第二調整機構部M2と同じである。即ち、変更実施形態では、固定プランジャ5の外周面5w(ボルト部5b)に設けたネジ部5sをヨーク4に設けた開口部のネジ孔部4nに螺合させるとともに、固定プランジャ5の後端5r側に第二操作部13を設けて構成した。このような第二調整機構部M2を設ければ、第二調整機構部M2及び第二操作部13を、ヨーク4の内側に配することができるため、第一調整機構部M1と組み合わせた調整機構全体の小型コンパクト化に寄与できる。したがって、第二操作部13により、固定プランジャ5を回動操作すれば、可動プランジャ6に対して固定プランジャ5を弁変位方向Fdへ上下変位させることができるため、弁体9の最大弁開度を変更(調整)することができる。
【0060】
また、第二調整機構部M2に設ける第二固定ナット23も基本実施形態と基本的な構成は同じになる。即ち、第二固定ナット23は、固定プランジャ5のネジ部5sに螺合する。これにより、第二固定ナット23はヨーク4に対して当接可能となる。このような第二固定ナット23を設ければ、調整後における固定プランジャ5を確実に固定できるため、調整後における位置ズレを防止し、正確な調整位置を長期にわたって維持できるとともに、再調整も容易に行うことができる。
【0061】
変更実施形態に係る比例電磁弁1において、その他の細部の構成及び形状は、基本実施形態と異なるも、基本的な構成及び機能は基本実施形態と同じになるとともに、基本実施形態と同様の基本的効果を享受できる。このため、変更実施形態を示す図8及び図9において、基本実施形態を示す図1及び図2と同一構成部分及び同一機能部分には、同一符号を付して、その構成を明確にするとともに、詳細な説明は省略する。
【0062】
以上、好適実施形態(基本実施形態及び変更実施形態)について詳細に説明したが、本発明は、このような実施形態に限定されるものではなく、細部の構成,形状,材料,数量,数値等において、本発明の要旨を逸脱しない範囲で任意に変更,追加,削除することができる。例えば、弾性部材11として、コイルバネ11c又は板バネ11pを用いた例を示したが、他の弾性部材或いは各弾性部材の組合わせを排除するものではない。また、第一固定ナット22及び第二固定ナット23は、必須の構成要素となるものではなく、例えば、調整後に接着剤を塗布するなどの固定手段を排除するものではない。一方、前述した引用文献1のように、可動プランジャ6の後端面に凸部(又は凹部)を設け、固定プランジャ5の前端面に凹部(凸部)を設けて構成してもよい。また、ノーマルクローズタイプの比例電磁弁1を例示したが、ノーマルオープンタイプ(非通電時に全開)にも同様に適用可能である。なお、流体としてガスを例示したが、空気や液体等の各種流体を適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明に係る比例電磁弁は、ガス等の流体の流量を連続的に制御する流量制御弁等の各種電磁弁として利用できる。
【符号の説明】
【0064】
1:比例電磁弁,2:電磁駆動部,3:ソレノイド,4:ヨーク,4w:ヨークの外周面,4s:ヨークのネジ部,4n:ヨークの開口部のネジ孔部,5:固定プランジャ,5s:固定プランジャの外周面のネジ部,5r:固定プランジャの後端,6:可動プランジャ,6f:可動プランジャの前端,7:弁機構部,9:弁体,10:弁座,11:弾性部材,11s:弾性部材の一端,11t:弾性部材の他端,11c:コイルバネ,11p:板バネ,12:第一操作部,13:第二操作部,21:調節筒,21w:調節筒の外周面,21s:調節筒のネジ部,21f:調節筒の前端,21r:調節筒の後端,21n:調節筒の開口部のネジ孔部,22:第一固定ナット,23:第二固定ナット,24:ブロック部,24n:ブロック部のネジ孔部,37:立体板バネ,Ed:励磁電圧,R:流路,Fd:弁変位方向,Fc:可動プランジャの直角方向,M1:第一調整機構部,M2:第二調整機構部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9