(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-15
(45)【発行日】2024-02-26
(54)【発明の名称】異方導電性シート
(51)【国際特許分類】
H01R 11/01 20060101AFI20240216BHJP
C09J 7/38 20180101ALI20240216BHJP
C09J 7/20 20180101ALI20240216BHJP
【FI】
H01R11/01 501G
C09J7/38
C09J7/20
(21)【出願番号】P 2020031520
(22)【出願日】2020-02-27
【審査請求日】2023-01-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000190116
【氏名又は名称】信越ポリマー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100152146
【氏名又は名称】伏見 俊介
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 勇一郎
(72)【発明者】
【氏名】清水 康弘
【審査官】高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-207653(JP,A)
【文献】特開2013-008591(JP,A)
【文献】実開平03-015467(JP,U)
【文献】特開2010-061857(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R11/00-11/32
H01R43/00-43/02
C09J 7/38
C09J 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性の基材シートと、前記基材シートの一方の主面
の少なくとも中央部に積層された粘着層と、を備え、
前記基材シートは、その厚さ方向に貫通する複数の導電線を有し、
前記導電線同士のピッチが0.1mm以上0.6mm以下であり、
前記複数の導電線の一方の先端は、前記基材シートの一方の主面から突出しておらず、
前記複数の導電線の他方の先端は、前記基材シートの他方の主面から突出している、異方導電性シート。
【請求項2】
前記粘着層の表面を平面視したとき、前記複数の導電線の隣接する先端同士の間に凹部が形成されていない、請求項1に記載の異方導電性シート。
【請求項3】
前記粘着層の表面を平面視したとき、前記複数の導電線の先端の直上にディンプルが形成されている、請求項1又は2に記載の異方導電性シート。
【請求項4】
前記複数の導電線の一方の先端は、前記基材シートの一方の主面から陥没している、請求項1~3の何れか一項に記載の異方導電性シート。
【請求項5】
前記粘着層がシリコーン系粘着剤によって形成されている、請求項1~4の何れか一項に記載の異方導電性シート。
【請求項6】
前記シリコーン系粘着剤の硬化後のJIS K6253-3:2012に準拠して測定したタイプAデュロメータ硬さが50°H以下である、請求項5に記載の異方導電性シート。
【請求項7】
前記粘着層の表面が鏡面加工されている、請求項1~6の何れか一項に記載の異方導電性シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異方導電性シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、検査装置の回路基板と、検査対象の電子デバイスの電極とを電気的に接続する異方導電性シートが用いられている。異方導電性シートは、絶縁性樹脂からなる基材シートと、これを厚さ方向に貫通する複数の導電線とを備えている。その下面が検査装置の回路基板に設置された状態で、上面に電子デバイスが載置されると、検査装置の回路基板と検査対象の電子デバイスとが、異方導電性シートの導電線を介して接続され、検査が行われる。検査時に回路基板に設置された異方導電性シートの位置ズレが起きないように、異方導電性シートの下面に粘着層を設けて、回路基板に対して密着させる技術が開示されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された異方導電性シートの下面の粘着層は、多数の導電線の先端が突出した絶縁シートの下面(表面)に、粘着剤が含まれた塗膜をPETシートから転写し、転写した塗膜を硬化することにより形成される。塗膜は硬化して粘着層となる際に少し収縮する(引けが生じる)ため、粘着層を平面視すると、互いに隣接する導電線の先端と先端の間の表面には、導電線の先端付近を頂上として、シート内部に向けて少し陥没した凹部が形成される。特許文献1において、この粘着層表面の凹部の深さは、粘着層が基板の設置部位に押し当てられ、その押し当てが開放された後でも、その基板の設置部位に対して粘着力を維持する程度とされている。
【0005】
ところが、導電線同士の間隔(ピッチ)が広いと、粘着層の表面に形成される上記凹部は深くなり、凹部が設置面に対して接触できなくなる場合がある。具体的には、本発明者らが鋭意検討したところ、導電線同士のピッチが0.1mm未満であれば、凹部の深さは粘着力に寄与できる程度の浅さであるが、そのピッチが0.1mm以上になると、凹部の深さが深くなり、粘着力に寄与できない領域が増加し、粘着力が低下することが分かった。
異方導電性シートを、基板に対して電子部品を実装する用途に適用することを考慮すると、異方導電性シートの粘着層の表面に生じる凹部は少ないことが好ましく、粘着力はある程度強くなることが望ましい。
【0006】
本発明は、粘着力に優れた粘着層を有する異方導電性シートを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1] 絶縁性の基材シートと、前記基材シートの一方の主面に積層された粘着層と、を備え、前記基材シートは、その厚さ方向に貫通する複数の導電線を有し、前記導電線同士のピッチが0.1mm以上0.6mm以下であり、前記複数の導電線の一方の先端は、前記基材シートの一方の主面から突出しておらず、前記複数の導電線の他方の先端は、前記基材シートの他方の主面から突出している、異方導電性シート。
[2] 前記粘着層の表面を平面視したとき、前記複数の導電線の隣接する先端同士の間に凹部が形成されていない、[1]に記載の異方導電性シート。
[3] 前記粘着層の表面を平面視したとき、前記複数の導電線の先端の直上にディンプルが形成されている、[1]又は[2]に記載の異方導電性シート。
[4] 前記複数の導電線の一方の先端は、前記基材シートの一方の主面から陥没している、[1]~[3]の何れか一項に記載の異方導電性シート。
[5] 前記粘着層がシリコーン系粘着剤によって形成されている、[1]~[4]の何れか一項に記載の異方導電性シート。
[6] 前記シリコーン系粘着剤の硬化後のJIS K6253-3:2012に準拠して測定したタイプAデュロメータ硬さが50°H以下である、[5]に記載の異方導電性シート。
[7] 前記粘着層の表面が鏡面加工されている、[1]~[6]の何れか一項に記載の異方導電性シート。
【発明の効果】
【0008】
本発明の異方導電性シートにあっては、基材シートを平面視したときの複数の導電線同士のピッチが比較的広いにも関わらず、基材シートの一方の主面から導電線同士の先端が突出していないので、一方の主面に設置された粘着層の表面を平面視したとき、隣接する導電線の先端同士の間に凹部が形成され難くなっている。この結果、粘着層の表面がなす粘着面が比較的平坦になるので、その粘着力を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態の一例である異方導電性シート10の他方の主面を平面視した模式図である。
【
図2】
図1の異方導電性シート10のII-II断面図である。
【
図3】導電線2の先端が一方の主面1aから突出していると仮定して、その主面1aに粘着層4を設けた場合の部分断面図である。
【
図4】異方導電性シートの製造に用いる導電線固定化ブロックと、基材シートの製造方法の一例を示す模式図である。
【
図5】実施例の異方導電性シートの粘着層の表面のSEM像(×130倍)である。
【
図6】
図5の倍率を上げたSEM像(×500倍)である。
【
図7】実施例の異方導電性シートが有する基材シートの一方の主面のSEM像(×130倍)である。
【
図8】
図7の倍率を上げたSEM像(×500倍)である。
【
図9】実施例の異方導電性シートが有する基材シートの一方の主面のSEM像を詳細に解析した画像である。
【
図10】実施例の異方導電性シートが有する基材シートの他方の主面のSEM像を詳細に解析した画像である。
【
図11】参考例1の異方導電性シートの粘着層の表面のSEM像(×130倍)である。
【
図12】
図11の倍率を上げたSEM像(×500倍)である。
【
図13】参考例2の異方導電性シートの粘着層の表面のSEM像(×130倍)である。
【
図14】
図13の倍率を上げたSEM像(×500倍)である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
≪異方導電性シート≫
本発明の第一態様は、絶縁性の基材シートと、前記基材シートの一方の主面に積層された粘着層と、を備えた異方導電性シートである。
前記基材シートは、その厚さ方向に貫通する複数の導電線を有する。
前記導電線同士のピッチが0.1mm以上0.6mm以下である。
前記複数の導電線の一方の先端は、前記基材シートの一方の主面から突出していない。
前記複数の導電線の他方の先端は、前記基材シートの他方の主面から突出している。
以下、図面を参照して本発明の実施形態の例を説明する。
【0011】
図1は、本発明の一例である異方導電性シート10の他方の主面1bを平面視した様子を示す。異方導電性シート10の平面視の外形は、四角形のシート状であり、その横方向をX方向、その縦方向をY方向、主面に対する垂線方向(すなわちシートの厚さ方向)をZ方向とする。異方導電性シート10は複数の略円柱状の導電線2からなる導電部とそれ以外の絶縁部とを備え、導電部が島部分で、絶縁部が海部分である海島構造を形成している。各導電線2は互いに独立し、絶縁部によって互いの絶縁性が保たれている。
【0012】
図2の断面図に示すように、各導電線2は、基材シート1の一方の主面1aから他方の主面1bへ貫通する配線を形成している。各導電線2の長さ方向は、一方の主面1a及び他方の主面1bに対して、垂直でもよいし、傾いていてもよい。
【0013】
基材シート1の厚さとしては、例えば、0.05mm~2.0mmとすることができる。
基材シート1の厚さは、測定顕微鏡などの拡大観察手段によって、基材シート1の厚さ方向の断面から任意に選択した10箇所の厚さを測定した値の平均値として求められる。
【0014】
基材シート1を構成する樹脂は、公知の樹脂によって形成されている。例えば、エラストマー、光重合性樹脂、熱重合性樹脂、活性エネルギー線重合性樹脂、触媒重合性樹脂等の公知の硬化性樹脂が挙げられる。これらの中でも、未硬化状態では適度な粘性を呈するエラストマーが好ましい。
前記エラストマーとしては、例えば、ウレタンゴム、イソプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、天然ゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、シリコーンゴム等の硬化したゴムが挙げられる。これらの中でも、硬化後の寸法変化や反りが生じ難く、圧縮永久歪が小さく、耐熱性が高い、シリコーンゴムが好ましい。シリコーンゴムの硬化の様式は、縮合型、付加型のいずれでもよい。
シリコーンゴム等の樹脂を硬化させる方法としては、例えば、UVや電子線等の活性エネルギー線の照射や、加熱等の公知方法が挙げられる。
基材シートを構成する樹脂には、公知の添加剤、例えば樹脂の重合を促す触媒、樹脂同士の架橋を促す架橋剤、シランカップリング剤、接着助剤、抗酸化剤、染料、顔料、充填剤、レベリング剤等が含まれていてもよい。
【0015】
導電線2の材料は、導電性物質であればよく、公知の導電線が適用される。具体的な導電性物質としては、例えば、真鍮、銅、銀、金、プラチナ、パラジウム、タングステン、ベリリウム銅、りん青銅、ニッケルチタン合金等の金属、カーボンナノチューブ、カーボンナノチューブ紡績糸等の炭素材料が挙げられる。
導電線2は、前記導電性物質からなる芯線の外周を被覆する導電性の被覆層を有していてもよい。被覆層の材料としては、例えば、金、銀、ニッケル、銅等が挙げられる。芯線の材料と被覆層の材料は互いに異なることが好ましい。被覆層は1層でもよいし、2層以上でもよい。例えば、内側の1層目の被覆層がニッケルからなる層であり、外側の2層目の被覆層が金からなる層である、多層構造が挙げられる。
導電線2の直径は、例えば、5μm~50μmとすることができる。導電線2の直径には前記導電性の被覆層を含む。ここで、導電線2の直径は、導電線2の長さ方向に直交する断面を含む最小円の直径である。
導電線2の長さ方向に対して直交する方向の断面の形状は、特に制限されず、略円形、略楕円形、略四角形、その他の多角形等が挙げられる。安定した接続を得る観点から、略円形又は略楕円形であることが好ましい。
導電線2は中実でもよいし、部分的又は全体的に中空であってもよい。一例として、導電線2の長さ方向に見て中央部分が忠実で、少なくとも一方の端部が中空である構造が挙げられる。この例の場合、中空である端部を長さ方向に見ると、導電線2の中心が凹状である。
導電線2の形状は、例えば、略円柱状、略楕円柱状、帯状、板状等が挙げられる。
異方導電性シート10が有する複数の導電線2の直径、断面形状及び構成材料は、互いに同じでもよいし、異なっていてもよい。
【0016】
異方導電性シート10及び基材シート1の平面視の形状は矩形に限定されず、円形、楕円形、矩形、多角形、その他の任意の形状が採用できる。
異方導電性シート10及び基材シート1の縦×横のサイズは特に限定されず、例えば、0.5cm×0.5cm~5cm×5cmとすることができる。
異方導電性シート10の厚さは、例えば、50μm以上3000μm以下とすることができる。ここで、異方導電性シート10の厚さは、他方の主面1bから突出した導電線2の高さ及び粘着層4の厚さを含む。異方導電性シート10の形態、サイズ、厚さ等は、適宜設定される。
【0017】
異方導電性シート10の各主面における導電線2の配置は、X列×Y行の2次元アレイ状の配置である。導電線2の配置はこの例に限定されず、任意の配置パターンが採用される。X列×Y行において、例えば、X,Yはそれぞれ独立に10~1000の任意の整数とすることができる。配置パターンは、2次元アレイ状でもよく、ジグザグ状でもよく、その他の任意のパターンでもよい。
【0018】
異方導電性シート10の各主面における導電線2の配線密度は、例えば、10本/mm2~100本/mm2が好ましく、20本/mm2~100本/mm2がより好ましく、40本/mm2~100本/mm2がさらに好ましい。
上記範囲であると、他のデバイスの端子に対する導電線2の位置合わせが容易になり、両者の接続が容易になる。
前記配線密度は、測定顕微鏡などの拡大観察手段によって、基材シート1の主面を観察し、任意の領域にある配線の本数を数えて、単位面積(mm2)当たりの配線の本数に換算することにより求められる。前記「任意の領域」の面積は、5mm角~50mm角の範囲とする。
【0019】
[異方導電性シートの上面]
図2に示すように、異方導電性シート10の上面の少なくとも一部には、基材シート1の一方の主面1aの少なくとも一部を覆う粘着層4が備えられている。一方の主面1a側には、基材シート1の厚さ方向に貫通する複数の導電線2の一方の端部が存在する。各導電線2の一方の端部の先端はいずれも基材シート1の一方の主面1aと面一の位置にあるか又は主面1aよりも基材シート1の内側にある。つまり、各導電線2の一方の先端は、基材シート1の一方の主面1aから突出していない。一方の主面1aにおいて、各導電線2の一方の先端が突出していないことにより、粘着層4の表面が、他のデバイスの表面に対して吸着し易い形態となる。その形態は、突出した箇所がなく基本的に平坦な形態となる。
【0020】
図3に示すように、仮に導電線2の一方の先端が突出している場合、その突出に起因して粘着層4の表面に凸部Eが形成され易くなる。このような凸部Eは前記先端自身又はその直上を頂点として形成される。また、隣接する導電線2同士の一方の先端が突出している場合、第一の導電線2(2A)の一方の先端と、これに隣接する第二の導電線2(2B)の一方の先端との間に、凹部Cが形成される。この凹部Cの形成は、複数の互いに隣接する凸部が形成されることの裏返しとして必然的に生じる。隣接する導電線2同士の離間距離(ピッチ)L1が0.1mm以上であると、離間距離L1が0.1mm未満の場合と比べて凹部Cがより深く、より広くなる。隣接する導電線2同士の離間距離L1が0.6mm以下であると、異方導電性シート10の使用時に粘着層4に粘着させる他のデバイスが、凸部Eに阻まれて凹部Cの粘着面に接触することが難しく、凹部Cが形成されたことによる粘着力の低下が顕著になる。つまり、凸部Eの頂上付近を構成する粘着層のみが他のデバイスに接触可能であり、凹部Cを構成する粘着層は他のデバイスに対する粘着に寄与し難い。
【0021】
導電線2の先端が突出した主面に粘着層4を設けると、上記のような凸部Eや凹部Cが粘着面に形成されるので、異方導電性シート10の使用時の他のデバイスに対する粘着層4の粘着力を低減させる原因となる。本態様の異方導電性シート10にあっては、一方の主面1aに設けられた粘着層4の粘着力を向上させる目的で、粘着層4の表面4aに凸部E及び凹部Cが形成されることを防止するために、複数の導電線2の一方の先端を主面1aから突出させない。
【0022】
導電線の先端が突出した主面に粘着層を形成した場合、粘着力を低減させる凹部Cの形成は、隣接する導電線2同士の離間距離(ピッチ)L1に依存する。離間距離L1が短ければ凹部Cが占める面積が小さくなるので、粘着力の低減は小さくなる。また、離間距離L1が長ければ、凹部Cが他のデバイス等に接触可能な粘着面として機能できるようになる。したがって、離間距離(ピッチ)L1が、0.1mm以上0.6mm以下であるときに、凸部E及び凹部Cの形成を防止する技術的意義が最も高まる。
【0023】
本態様の異方導電性シート10の一方の主面1aを平面視して、複数の導電線2同士のピッチは0.1mm以上0.6mm以下であり、0.2mm以上0.5mm以下であってもよく、0.3mm以上0.4mm以下であってもよい。本態様の異方導電性シート10にあっては、この範囲のピッチを採用しているので、一方の主面1aから導電線2の一方の先端を突出させないことの技術的意義は大きい。
【0024】
本明細書および特許請求の範囲において、異方導電性シートが有する複数の導電線同士のピッチとは、基材シートの一方の主面を平面視して、互いに最も近接する導電線同士を結ぶ仮想のX軸をとり、そのX軸上に略一定の間隔で配置された複数の導電線において、隣接する任意の10組の導電線について、各導電線の一方の先端同士の離間距離(
図2のL1)の算術平均(10組の離間距離の平均値)を意味する。ここで、仮想のX軸上には11本以上の導電線が略一定の間隔で配置されているものとする。前記離間距離は、測定顕微鏡などの拡大観察手段によって測定することができる。
【0025】
本態様の異方導電性シートにおいて、基材シートの一方の主面を平面視したとき、X軸方向に沿って配列する導電線の列が複数ある場合、X軸方向に直交するY軸方向に見て、互いに隣接する列同士の間隔は、特に制限されず、例えば、0.1mm以上0.6mm以下とすることができ、0.2mm以上0.5mm以下であってもよく、0.3mm以上0.4mm以下であってもよい。上記の間隔は、隣接する列同士の各々の組み合わせで異なっていてもよいし、同じであってもよい。上記の間隔を隣接する列同士の各々の組み合わせで比較したとき、±0.01mmの差は、同じであるとする。
【0026】
一方の主面1aにおいて、複数の導電線2のうち1つ以上の導電線2の一方の先端が主面1aから陥没していてもよい。その陥没した箇所には、粘着層4が陥入していることが好ましい。このような形態であることにより、粘着層4の裏面4bと基材シート1の一方の主面1aとの接触面積が増えるので、一方の主面1aに対する粘着層4の粘着力、換言すると一方の主面1aが有する粘着層4の保持力が向上する。この結果、異方導電性シート10の使用時に、他のデバイスに対して粘着層4を介して粘着させた後、異方導電性シート10をそのデバイスから剥離したときに、粘着層4が基材シート1の一方の主面1aから剥離して他のデバイスに残留すること(泣き別れ)を防止することができる。
【0027】
導電線2の一方の先端が主面1aから陥没している場合、主面1aを基準として、基材シート1の厚さ方向に見て、前記先端の位置は、0.001mm~0.04mmの深さが好ましく、0.001mm~0.025mmの深さがより好ましく、0.001mm~0.01mmの深さがさらに好ましい。
上記範囲の下限値以上であると、粘着層4の裏面4bと一方の主面1aとの粘着力をより向上させることができる。
上記範囲の上限値以下であると、導電線2の各先端が他のデバイスに対してコンタクトするまでに要する押圧力が過度に高まることを防止することができる。
【0028】
導電線2の一方の先端及び他方の先端は、その先端が平滑な平坦面であってもよいし(
図2~3)、製造時の切断によって形成されたバリのある非平坦面であってもよい(不図示)。非平坦面として、例えば一方から他方へ傾斜した斜面が挙げられる。非平坦面であると、厚さ方向に圧縮する応力が加わった際に、導電線2の先端が粘着層4を押し破って外部デバイスの端子に接続し易くなるので好ましい。
各導電線の先端は、異方導電性シートの厚さ方向の断面において、最も外側(シート表面から離れる側)にある端のことをいう。
【0029】
基材シート1の一方の主面1aに備えられた粘着層4の表面4aは、基本的には平坦であって、部分的にディンプル(小さな窪み)があってもよい。ディンプルは、導電線2の一方の先端が陥没している場合に、その直上に形成され易い。前記先端の陥没の程度が前述した好適な範囲内であれば、ディンプルの深さは粘着層4の粘着力に影響を与えるほど深くはならない。粘着層4の表面4aにディンプルが形成されていることは、粘着層4の裏面4bの一部が導電線2の先端が陥没した箇所に陥入している(アンカーしている)ことを示す。これにより、異方導電性シート10の使用者が粘着層4の表面4aにディンプルがあることを確認して、前記泣き別れが生じ難いことを確信して使用することができる。
【0030】
粘着層4は、基材シート1の一方の主面1aの全体に形成されていてもよいし、任意の一部にのみ形成されていてもよい。
粘着層4の厚さは、粘着層4を構成する粘着剤の硬度にもよるが、基材シート1の主面1aを基準として、例えば、5μm以上50μm以下が好ましく、10μm以上40μm以下がより好ましく、15μm以上30μm以下がさらに好ましい。
上記範囲の下限値以上であると、粘着層4の機械的強度が高まり、繰り返しの使用に耐え得る。
上記範囲の上限値以下であると、粘着させる他のデバイスからの押圧力によって粘着層4が容易に圧縮され、他のデバイスの端子と導電線2の一方の先端との接続が容易になる。
異方導電性シート10の粘着層4の厚さは、測定顕微鏡などの拡大観察手段によって、異方導電性シート10の厚さ方向の断面から任意に選択した10箇所の厚さを測定した値の平均値として求められる。
【0031】
粘着層4の表面4a(粘着面)の少なくとも一部は鏡面加工されていることが好ましい。粘着層4が鏡面加工された鏡面粘着層であると、表面4aに粘着させた他のデバイスに対して、粘着層4を構成する粘着剤が移行すること(糊残り)を防止することができる。
【0032】
異方導電性シート10の粘着層4を形成する粘着剤としては、粘着面に粘着させた他のデバイスを再剥離可能に接着できる程度の粘着力を有するもの、すなわち離型性を有するものが挙げられる。
具体的には、例えば、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤等が挙げられる。これらの中でも、粘着層4から剥離した他のデバイスに移行すること(糊残り)が少なく、離型性及び耐久性にも優れ、鏡面加工を施すことも容易なシリコーンゴムやシリコーンゲルが好ましい。
【0033】
粘着性を充分に発揮させる観点から、粘着層4を構成する粘着剤の硬度は、基材シート1を構成する樹脂材料の硬度よりも小さいことが好ましい。粘着層4を構成する粘着剤の硬化後のJIS K6253-3:2012に準拠して測定したタイプAデュロメータ硬さは、50°H以下が好ましい。
シリコーンゴムは、硬化前の状態で、ミラブルタイプと液状タイプとに分類される。これらの硬化後のタイプAデュロメータ硬さは、粘着性を高める観点から、10°~50°Hが好ましく、10°~40°Hがより好ましく、10°~30°Hがさらに好ましい。
【0034】
他のデバイスの端子を粘着層4に粘着させて導電線2の一方の先端と接続することを、特に小さい押圧力で行う場合、シリコーンゲルによって粘着層4が形成されていることが好ましい。シリコーンゲルは弾性率が105N/m2以下であり、その硬さは一般のゴム硬度計で測定することができない程に柔らかい。このため、シリコーンゲルからなる粘着層4が充分な粘着力を発揮するためには、他のデバイスが粘着層4の内部まで充分に沈みこむ必要がある。ところが、仮に導電線2の一方の先端が突出していると、他のデバイスの端子が粘着層4の内部に充分に沈む前に、他のデバイスの端子が導電線2の突出した先端に接触してしまい、粘着層4が充分な粘着力を発揮することができない。換言すれば、本態様の異方導電性シート10にあっては、粘着層4が設けられた一方の主面1aから導電線2の一方の先端は突出していないので、シリコーンゲルからなる粘着層4が他のデバイスに対して充分な粘着力を発揮することができ、小さな押圧力で接続を取ることができる。
【0035】
シリコーンゲルの硬さは、稠度試験法(JIS K 2220、1/4コーン、総荷重:9.38g)に準拠した針入度で測定され、その針入度は、例えば、10mm以上80mm以下が好ましく、15mm以上60mm以下がより好ましく、20mm以上40mm以下がさらに好ましい。
上記範囲の下限値以上であると、粘着層4に粘着した他のデバイスの保持力(固定力)をより高めることができる。
上記範囲の上限値以下であると、シリコーンゲルからなる粘着層4に対して他のデバイスをより小さな押圧力で粘着させることができる。
【0036】
[異方導電性シートの下面]
本態様の異方導電性シート10の下面をなす他方の主面1bには、粘着層は設けられておらず、複数の導電線2の他方の先端が突出している。突出した他方の先端からなる突出部Pに対して、他方の主面1b側から他のデバイスを接続することが容易である。
突出部Pの高さは、基材シート1の他方の主面1bを基準として、例えば、1μm~100μmが好ましく、5μm~60μmがより好ましく、10μm~40μmがさらに好ましい。
上記範囲の下限値以上であると、接続する他のデバイスの端子に突出部Pが接触しやすくなり、接続性が向上する。また、突出部Pの柔軟性が高まるので、接続時に突出部Pが他のデバイスの端子を傷付ける恐れが低減する。
上記範囲の上限値以下であると、接続時に突出部Pが折れ曲がることを防止することができる。
突出部Pの高さは、測定顕微鏡などの拡大観察手段によって、任意に選択した10本の突出部Pの高さを測定した値の平均値として求められる。
複数の突出部Pの各々の高さは、互いに同じでもよいし、異なっていてもよい。
【0037】
本態様の異方導電性シート10の他方の主面1bには、粘着層を設けてもよいし、設けなくてもよい。粘着層を設けた場合には、
図3に示すように粘着層の表面に凹部C及び凸部Eが導電線2の配置に沿って生じ、粘着力の小さい粘着面となる。
なお、粘着層を厚くすることにより凹部C及び凸部Eを平坦に均すことは可能であるが、粘着層が厚くなると、導電線2の他方の先端から粘着層の表面までの距離が長くなるので、導電線2の他方の先端に粘着させる他のデバイスに接続することが難しくなるか、過度の押圧力が必要になる場合がある。
【0038】
<他の実施形態>
異方導電性シート10の基材シート1の一方の主面1a及び他方の主面1bにおいて、主面の一部の領域が他部の領域よりも高くされていてもよい。つまり、異方導電性シート10の厚さは、シートの全領域にわたって同一であってもよいし、一部の領域が厚くなっていてもよいし、一部の領域が薄くなっていてもよい。
【0039】
以上の異方導電性シート10の説明においては、便宜上、一方の主面1aを上面、他方の主面を下面として説明した。この上面、下面の用語は、異方導電性シート10の使用時の上下方向を規定するものではない。一方の主面1aは、上方に向けて使用してもよいし、横方向に向けて使用してもよいし、下方に向けて使用してもよい。
【0040】
≪異方導電性シートの製造方法≫
本発明の異方導電性シートは、例えば、下記の方法によって製造することができる。
まず、基材ブロックと、前記基材ブロック中に長手方向が一方向に揃って配置された複数の導電線と、を備える導電線固定化ブロックを準備する。導電線固定化ブロックは、従来の異方導電性シートを形成する公知方法によって作製することができる。例えば、次の方法が挙げられる。
【0041】
図4に例示するように、離型シートVの表面に未硬化の第一樹脂層101を形成する。第一樹脂層101の表面101aに複数の導電線102を、導電線102の長さ方向を揃えて平行に一定のピッチで配置する(
図4(a))。次いで各導電線102を覆うように第一樹脂層101の表面に未硬化の第二樹脂層107を形成した後、加熱硬化することにより、コアシート104を得る(
図4(b))。続いて、複数枚のコアシート104を準備し、不要な離型シートVを取り除いて、不図示の接着層を介して、複数枚のコアシート104(図示例では4枚)を積層したシート積層体108を得る(
図4(c))。ここでコアシート104を積層する際、各コアシート104が有する導電線102の長さ方向を揃える。
【0042】
導電線固定化ブロックであるシート積層体108の表面108aから刃を入れて、導電線102の長さ方向を横切るように所望の厚さで積層方向(α方向)に切断することにより、基材シート110を得る(
図4(d))。
基材シート110は、複数のコアシート104から形成されており、厚さ方向に貫通する複数の導電線102を所定のピッチで備えている。
【0043】
前記刃がシート積層体108を切り進めるとき、シート積層体108に内在する導電線102を横切る。この際、導電線102が刃の進行方向に少し押された後で切断されるように、刃の進行速度や刃の厚みを調整することが好ましい。具体的には、回転刃ではなくナイフ様の押し切り刃を使用したり、厚い刃を使用したりすることにより、導電線102の切断を少し遅らせる(刃の切れ味を少し鈍らせる)ことができる。このように導電線102を横切る方向に押しながら切断すると、基材シート110の切断面における導電線102の先端が、基材シート110から少し引き出されて(又はシート本体の樹脂が導電線の長さ方向に少し圧縮されて)外に突出した状態となる。切り出された基材シート110の厚さ方向に貫通する各導電線102は、後に切断されて形成された他方の主面側に引き出されて突出しているので、反対側の先に切断された一方の主面においては、各導電線102の先端は突出せず、一方の主面と面一又は少し陥没した状態となる。
【0044】
上記の切断方法によって、シート積層体108から切り出した基材シート110において、他方の主面110bから導電線102の先端が少し突出した状態とすることができる。その突出量をさらに増やすために、他方の主面110bに対して、導電線102を融解し難く、主面を構成する樹脂を融解し易い種類のレーザー光を照射することによって、導電線102の端部が基材シートの主面から所望の長さで突出した突出部Pを形成することができる。
【0045】
次に、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂シートの表面が鏡面加工された市販品を支持シートとして使用する。支持シートの鏡面に粘着剤層を形成する粘着剤を所望の厚さで塗布する。塗布方法としては、コーター法、印刷法等の常法が挙げられる。鏡面に粘着剤が塗布されたことにより、鏡面との密着面が鏡面となった粘着剤層が支持シートの表面に形成される。このようにして得た粘着剤支持シートを後段で用いる。
【0046】
基材シート110の一方の主面110aに、先に準備した粘着剤支持シートの粘着剤層を貼付し、一方の主面110aに前記粘着剤からなる粘着層を形成する。必要に応じて、粘着層の硬化や架橋処理を常法により行ってもよい。粘着層を一方の主面110aに転写した後の粘着剤支持シートは、剥離して除去する。一方の主面110aに形成する粘着層の厚さは、粘着剤支持シートに形成する粘着剤層の厚さによって調整することができる。
【0047】
必要に応じて、基材シート110の他方の主面110bに別の粘着層を形成してもよい。
以上の方法により、本発明の異方導電性シートを製造することができる。
【0048】
[異方導電性シートの使用方法]
本発明の異方導電性シートは、例えば、電子部品の検査を行う検査用途に用いられる。例えば、異方導電性シートの他方の主面に突出する導電線を検査装置の回路基板に接続し、異方導電性シートの一方の主面の粘着面に検査部品を載置して、検査部品を粘着面に圧接する。これにより、異方導電性シートを介して検査装置と検査部品とを電気的に接続することができる。
また、本態様の異方導電性シートは、粘着層の粘着力が向上しているので、電子部品を回路基板に実装する実装用途にも好適である。PCB基板に異方導電性シートの他方の主面に突出する導電線を接続し、異方導電性シートの一方の主面の粘着面に半導体部品を粘着して固定しながら圧接することができる。半導体部品が不良であり、交換が必要になった場合には、異方導電性シートの一方の主面から不良品を剥離して、新たな半導体部品を取り付ける交換作業を容易に行うことができる。
なお、本発明の異方導電性シートの用途は上記用途に限られず、公知の圧接型コネクタと同じように、他の用途に用いられてもよい。
【実施例】
【0049】
[実施例]
上述の方法により製造した本発明に係る異方導電性シートが有する基材シートの一方の主面に形成した粘着層の表面(粘着面)のSEM画像を
図5(倍率:×130)と、
図6(倍率:×500)に示す。粘着面は基本的に平坦で鏡面加工されており、各導電線の先端の直上に薄っすらとディンプル(小さな窪み)が形成されている。
本発明に係る異方導電性シートを製造する際に、上述の方法により導電線固定化ブロックから切り出した基材シートの一方の主面(粘着層を形成する予定の主面)のSEM画像を
図7(倍率:×130)と、
図8(倍率:×500)に示す。各導電線の先端は、一方の主面から少し陥没した状態にある。
上記の基材シートの一方の主面のSEM像を詳細に解析した画像を
図9に示す。
図9において、各導電線の先端は一方の主面から陥没した状態にあることが分かる。また、上記の基材シートの他方の主面のSEM像を詳細に解析した画像を
図10に示す。
図10において、各導電線の先端は他方の主面から少し突出した状態にあることが分かる。
【0050】
本実施例で製造してSEM像を撮影した異方導電性シートが有する基材シートの一方の主面を平面視したとき、X軸方向に配列する導電線のピッチは0.20mmであり、X軸方向に沿って配列する導電線の列同士のY軸方向の間隔は0.25mmであった。また、各導電線は直径40μmの金めっき真鍮線を用いて形成した。基材シートは、信越化学工業社製のミラブルタイプシリコーンゴム(型番:KE-153-U、タイプAデュロメータ硬さ50°H)で形成し、その厚さは0.3mmとした。粘着層は、信越化学工業株式会社製のシリコーンゴム系粘着剤(型番:KE-1935-A/B、タイプAデュロメータ硬さ30°H)で形成し、その厚さは20μmとした。
【0051】
[参考例1]
実施例と同様の方法により製造した基材シートの他方の主面に形成した粘着層の表面のSEM画像を
図11(倍率:×130)と、
図12(倍率:×500)に示す。基材シートの他方の主面を平面視したとき、X軸方向に配列する導電線のピッチは0.20mmであり、X軸方向に沿って配列する導電線の列同士のY軸方向の間隔は0.25mmであった。この他方の主面における各導電線の端部の突出量は、40μmであった。
この他方の主面に形成された粘着層は、図示のように各導電線の突出した先端の影響により、粘着剤の硬化時に引けが生じ、隣接する先端同士の間に凹部が形成されており、各導電線の突出した先端の近傍に凸部が形成されている。この粘着層の表面は明らかに平坦ではなく、凸部を構成する粘着層のみが他のデバイスに対する粘着に寄与し得る状態であり、凹部を構成する粘着層は、凸部に阻まれて他のデバイスに粘着し難い状態であった。
以上の参考例1で使用した各材料は、実施例と同じである。
【0052】
[参考例2]
参考例1と同様の方法により、参考例2の異方導電性シートを製造した。ただし、基材シートの他方の主面を平面視したとき、X軸方向に配列する導電線のピッチを0.05mmに設定し、X軸方向に沿って配列する導電線の列同士のY軸方向の間隔を0.05mmに設定した。この他方の主面における各導電線の端部の突出量は、40μmであった。
この他方の主面に形成した粘着層の表面のSEM画像を
図13(倍率:×130)と、
図14(倍率:×500)に示す。参考例2の粘着面には参考例1と似た凹凸が形成されているが、導電線同士のピッチが狭いため、粘着剤の硬化時の引けが少なく、参考例1と比べて凹部の深さが浅く、凸部の密度が高くなっている。このため、他のデバイスの粘着に寄与する凸部の密度が高いので、充分な粘着力が得られる状態であった。
【0053】
参考例2で製造してSEM像を撮影した異方導電性シートが有する各導電線は、直径23μmの金めっきベリリウム線で形成した。基材シートは、信越化学工業株式会社製のミラブルタイプシリコーンゴム(型番:KE-530B-2U、タイプAデュロメータ硬さ50°H)で形成し、その厚さは0.5mmとした。粘着層は、信越化学工業株式会社製のシリコーンゴム系粘着剤(型番:KE-1935-A/B、タイプAデュロメータ硬さ30°H)で形成し、その厚さは40μmとした。
【符号の説明】
【0054】
1…基材シート、1a…一方の主面、1b…他方の主面、2…導電線、4…粘着層、4a…表面(粘着面)、4b…裏面、10…異方導電性シート、P…突出部、C…凹部、E…凸部、L1…導電線同士の離間距離(ピッチ)