(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-15
(45)【発行日】2024-02-26
(54)【発明の名称】セキュリティシステム
(51)【国際特許分類】
G08B 25/04 20060101AFI20240216BHJP
G08B 25/00 20060101ALI20240216BHJP
G08B 13/196 20060101ALI20240216BHJP
H04N 7/18 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
G08B25/04 E
G08B25/00 510M
G08B13/196
H04N7/18 D
(21)【出願番号】P 2020046733
(22)【出願日】2020-03-17
【審査請求日】2022-12-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000100908
【氏名又は名称】アイホン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】峰田 哲朗
(72)【発明者】
【氏名】楠 浩和
【審査官】大橋 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-018161(JP,A)
【文献】特開2010-072831(JP,A)
【文献】特開2019-176844(JP,A)
【文献】国際公開第2018/116486(WO,A1)
【文献】特開2020-030544(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 13/00-31/00
H04N 7/18
B64C 39/00
B64U 10/00-80/00
G05D 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象領域内を移動可能な移動体と、
前記対象領域内に配置されて、呼出操作部と警告部とを有する複数の子機と、
前記移動体および前記複数の子機と通信可能な制御部を有する親機と、
を備えたセキュリティシステムであって、
前記移動体は、所定条件を満たした場合に、前記対象領域内の対象者を追尾し、
前記制御部は、
前記対象者の位置情報を前記移動体から取得し、
取得した前記位置情報に基づいて、前記対象者が前記対象領域内のうち進入禁止領域に進入したか否かを判断し、
前記対象者が前記進入禁止領域内に進入したと判断された場合には、前記複数の子機のうち所定の子機の前記警告部から警告情報を発報させる、
ように構成されている、セキュリティシステム。
【請求項2】
前記対象領域内を撮像可能な少なくとも一つの第一カメラをさらに備え、
前記制御部は、
前記少なくとも一つの第一カメラにより撮像された画像に基づいて、前記対象領域のうち前記移動体による追尾の必要な監視領域内に前記対象者が進入したか否かを判断し、
前記対象者が前記監視領域内に進入したと判断された場合には前記所定条件を満たしたと判断する、
ように構成されている、請求項1に記載のセキュリティシステム。
【請求項3】
前記移動体は、前記対象者を撮像可能な第二カメラを有し、
前記親機は、管理者が視認可能な表示装置を有し、
前記少なくとも一つの第一カメラで撮像された前記対象者の第一画像および前記第二カメラで撮像された前記対象者の第二画像が、前記表示装置にそれぞれ表示される、請求項2に記載のセキュリティシステム。
【請求項4】
前記少なくとも一つの第一カメラと前記少なくとも一つの子機とが単一のセキュリティポールに一体的に搭載されている、請求項2または3のいずれか一項に記載のセキュリティシステム。
【請求項5】
前記単一のセキュリティポールは、警告灯を有し、
前記警告情報の発報は、前記警告灯の点灯により実行される、請求項4に記載のセキュリティシステム。
【請求項6】
前記所定の子機は、前記進入禁止領域内に進入した前記対象者に最も近い第一子機、および前記第一子機から所定範囲内に存在する第二子機である、請求項1から5のいずれか一項に記載のセキュリティシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セキュリティシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、各住居に取り付けられて操作部とカメラとをそれぞれ有する複数のドアベルと、複数のドアベルと通信可能な制御部と、を備えたドアベルシステムが開示されている。特許文献1の制御部は、各ドアベルの位置情報と、カメラによって撮像された画像とを取得し、位置情報と画像に基づいて対象物に関する対象物情報を生成し、対象物情報を特定のユーザに関連付けられた外部機器に送信するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の構成によれば、例えば、対象物情報として不審者に関する不審者情報を生成して特定のユーザに知らせることにより、地域の防犯力の向上に寄与することができる。ところで、防犯力を向上させるためのセキュリティシステムについては改善の余地がある。
【0005】
そこで、本発明は、対象領域内の対象者を適切に検知して防犯力を向上可能なセキュリティシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のセキュリティシステムは、
対象領域内を移動可能な移動体と、
前記対象領域内に配置されて、呼出操作部と警告部とを有する複数の子機と、
前記移動体および前記複数の子機と通信可能な制御部を備えた親機と、
を備えたセキュリティシステムであって、
前記移動体は、所定条件を満たした場合に、前記対象領域内の対象者を追尾し、
前記制御部は、
前記対象者の位置情報を前記移動体から取得し、
取得した前記位置情報に基づいて、前記対象者が前記対象領域内のうち進入禁止領域に進入したか否かを判断し、
前記対象者が前記進入禁止領域内に進入したと判断された場合には、前記複数の子機のうち所定の子機の前記警告部から警告情報を発報させる、ように構成されている。
【0007】
上記構成によれば、移動体により対象者を追尾して、警告情報を発報することで、対象者を適切に検知することができ、地域の防犯力を向上させることができる。
【0008】
本発明のセキュリティシステムは、
前記対象領域内を撮像可能な少なくとも一つの第一カメラをさらに備え、
前記制御部は、
前記少なくとも一つの第一カメラにより撮像された画像に基づいて、前記対象領域のうち前記移動体による追尾の必要な監視領域内に前記対象者が進入したか否かを判断し、
前記対象者が前記監視領域内に進入したと判断された場合には前記所定条件を満たしたと判断する、ように構成されていてもよい。
【0009】
上記構成によれば、対象者が監視領域内に進入したことを適切に検知することにより、移動体による対象者の追尾を正確に実行することができる。
【0010】
本発明のセキュリティシステムにおいて、
前記移動体は、前記対象者を撮像可能な第二カメラを有し、
前記親機は、管理者が視認可能な表示装置を有し、
前記少なくとも一つの第一カメラで撮像された前記対象者の第一画像および前記第二カメラで撮像された前記対象者の第二画像が、前記表示装置にそれぞれ表示されていてもよい。
【0011】
上記構成によれば、第一カメラと第二カメラの撮像画像を管理者が視認することで、対象領域内への注意喚起などを適切に実行することができる。
【0012】
本発明のセキュリティシステムにおいて、
前記少なくとも一つの第一カメラと前記少なくとも一つの子機とが単一のセキュリティポールに一体的に搭載されていてもよい。
【0013】
上記構成によれば、カメラと子機との搭載位置が同一箇所となるため、対象者が検知されたセキュリティポールから警告情報を適時に発報することができる。
【0014】
本発明のセキュリティシステムにおいて、
前記単一のセキュリティポールは、警告灯を有し、
前記警告情報の発報は、前記警告灯の点灯により実行されてもよい。
【0015】
上記構成によれば、容易且つ適切に警告情報を発報することができる。
【0016】
本発明のセキュリティシステムにおいて、
前記所定の子機は、前記進入禁止領域内に進入した前記対象者に最も近い第一子機、および前記第一子機から所定範囲内に存在する第二子機であってもよい。
【0017】
上記構成によれば、進入禁止領域内に進入した対象者の近傍の複数の子機から警告発報することで、周囲の人々へ適切に注意喚起することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、対象領域内の対象者を適切に検知して防犯力を向上可能なセキュリティシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施形態に係るセキュリティシステムの構成図である。
【
図2】セキュリティシステムのセキュリティポールを示す構成図である。
【
図3】セキュリティシステムにおける親機の機能ブロック図である。
【
図4】親機の表示装置に表示される画像の一例を示す図である。
【
図5】セキュリティシステムの動作例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態に係るセキュリティシステムの一例について、図面を参照して説明する。
図1は、実施形態に係るセキュリティシステム1の構成を示す図である。
図1に示すように、セキュリティシステム1は、セキュリティポール10と、親機20と、ドローン30(移動体の一例)と、を備えている。セキュリティポール10、ドローン30は、ネットワークNを介して親機20に通信可能に接続されている。ネットワークNとしては、例えば、インターネット、無線LAN(Local Area Network)、WiFi等のネットワーク通信手段を用いることが可能である。
【0021】
セキュリティポール10は、地域の安全性の向上を目的に設けられたポールであり、所定の地域(例えば、市、町、村等)の各所に設置される。例えば、セキュリティポール10は、各地域における道路、駅前、バス停、公園内、学校内、集合住宅、商店街、病院、ショッピングモール、スポーツ施設等の比較的に人の往来が多い複数の箇所に設置される。セキュリティポール10は、そのセキュリティポール10を特定する固有情報(例えば、ポールID等の識別情報)を有している。セキュリティポール10は、カメラ110(第一カメラの一例)と子機120とを有している。
【0022】
カメラ110は、セキュリティポール10の周辺の映像(画像、音声を含む)を撮像するための撮像機器である。カメラ110で撮像された映像は、ネットワークNを介して親機20に送信される。カメラ110は、そのカメラ110を特定する固有情報(例えば、カメラID、IPアドレス等の識別情報)を有している。
【0023】
子機120は、ユーザ(例えば、通行人、学生、居住者、来訪者等)が親機20側の対応者(管理者)と通話するための機器である。子機120で取得される子機120側の各種情報は、ネットワークNを介して親機20に送信される。子機120は、その子機120を特定する固有情報(例えば、子機ID等の識別情報)を有している。
【0024】
親機20は、セキュリティポール10から離隔した場所、例えば警備会社、警察署等のセキュリティ管理室Rに設置されている。親機20は、例えばパーソナルコンピュータ等で構成される機器である。親機20は、表示装置201と、通話部202と、操作部203と、を有している。表示装置201は、管理者が視認可能な表示装置であり、例えば液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等で構成されている。通話部202は、スピーカ及びマイクで構成されている。操作部203は、例えば、親機20の筐体上に設けられた押下式のボタン、あるいはタッチスクリーン式の表示装置201上に表示されるタッチボタンで構成されている。親機20は、その親機20を特定する固有情報(例えば、親機ID等の識別情報)を有している。
【0025】
ドローン30は、セキュリティシステム1によりセキュリティが管理される所定の対象領域内を移動可能な移動体である。ドローン30は、セキュリティポール10から離隔した場所、例えば警備会社、警察署等に配備された基地局Sに設置されている。基地局Sには、ドローン30を操縦するためのドローン操縦部301が設置されている。ドローン30は、例えばWiFi接続が可能であり、ドローン操縦部301から送信される制御信号に基づいて対象領域内を移動する。
【0026】
ドローン30は、GPS(Global Positioning System)機能とジオフェンス機能とを有する。ドローン30は、GPS衛星から受信されるGPS信号に基づいてドローン30の位置情報を取得する。ドローン30は、ジオフェンス機能により対象領域外への移動が制限されることが好ましい。ドローン30は、取得された位置情報と、ジオフェンス機能に基づいて取得される対象領域内のエリア情報とを組み合せることにより、対象領域内における特定の対象者の位置を特定可能である。
【0027】
ドローン30には、ドローンカメラ302(第二カメラの一例)が搭載されている。ドローンカメラ302で撮像された映像は、ドローン操縦部301を介して親機20に送信される。ドローン30は、そのドローン30を特定する固有情報(例えば、ドローンID等の識別情報)を有している。ドローン操縦部301は、そのドローン操縦部301を特定する固有情報(例えば、操縦部ID等の識別情報)を有している。
【0028】
図2は、セキュリティポール10の構成を示す図である。
図2に示すように、セキュリティポール10は、カメラ110及び子機120の他に、本体部100と、非常ボタン130と、拡声スピーカ140と、警告灯150と、を備えている。
【0029】
本体部100は、例えば柱状のポールで形成されている。本体部100には、カメラ110、子機120、非常ボタン130、拡声スピーカ140、および警告灯150が取り付けられている。
【0030】
カメラ110は、例えば本体部100の頂部に取り付けられている。カメラ110は、例えば、ルータやハブを介してネットワークNに接続されるウェブカメラとして構成してもよいし、IPカメラで構成してもよい。また、カメラ110は、人感センサから出力される検出信号に基づいて起動するように構成してもよい。
【0031】
子機120は、子機カメラ121と、呼出ボタン122と、通話部123(警告部の一例)と、を有している。子機カメラ121は、子機120を使用するユーザの画像を撮像可能である。呼出ボタン122は、セキュリティ管理室Rを呼び出す際に操作されるボタンである。通話部123は、マイクとスピーカで構成され、ユーザがセキュリティ管理室Rの管理者と通話するために用いられる。子機カメラ121で撮像された画像及び通話部123で取得された音声は、ネットワークNを介してセキュリティ管理室Rの親機20に送信される。
【0032】
非常ボタン130は、例えば通行人等が危険を感じた際に操作するボタンである。非常ボタン130は、例えば子機120の子機制御部(図示省略)に接続されている。非常ボタン130の操作に伴って出力される非常信号は、子機120を介してセキュリティ管理室Rの親機20に送信される。
【0033】
拡声スピーカ140は、非常ボタン130が操作された際に、警報を音声として発報する。拡声スピーカ140は、子機120の子機制御部に接続されており、子機制御部からの制御信号にしたがって動作する。拡声スピーカ140は、親機20の親機制御部210(
図3参照)と接続されて、親機制御部210からの制御信号にしたがって動作してもよい。
【0034】
警告灯150は、例えば回転灯で構成されており、非常ボタン130が操作された際、あるいは危険状況が発生した際に、警報を光として発報する。警告灯150は、子機120の子機制御部に接続されている。警告灯150は、子機制御部からの制御信号にしたがって動作する。警告灯150は、親機20の親機制御部210と接続されて、親機制御部210からの制御信号にしたがって動作してもよい。
【0035】
図3は、親機20の機能ブロック図である。
図3に示すように、親機20は、表示装置201と、通話部202と、操作部203と、記憶部204と、親機制御部210(制御部の一例)と、を備えている。親機制御部210は、検知部211と、行動認識部212と、骨格推定部213と、情報生成部214と、を有している。
【0036】
表示装置201は、ネットワークNを介して、セキュリティポール10やドローン30から送信される情報を表示可能である。通話部202は、子機120側と通話するために用いられる。操作部203は、セキュリティ管理室Rにいる管理者が各種事象に対応する際などに操作する。
【0037】
記憶部204には、例えば、セキュリティポール10のポールIDとそのセキュリティポール10が設置されている位置に関する位置情報とが対応付けて記憶されている。記憶部204には、例えば、各セキュリティポール10に設けられているカメラ110及び子機120の固有情報(カメラID,IPアドレス及び子機ID)とカメラ110及び子機120の位置情報とが対応付けて記憶されている。記憶部204には、例えば、ドローン30のドローンIDとドローン操縦部301の操縦部IDとが対応付けて記憶されている。
【0038】
さらに、記憶部204には、例えば、セキュリティポール10のカメラ110で撮像された映像情報がカメラIDと対応付けて記憶されている。記憶部204には、子機120の子機カメラ121で撮像された画像情報及び子機120の通話部123で取得された音声情報が子機IDと対応付けて記憶されている。記憶部204には、ドローン30のドローンカメラ302で撮像された映像情報がドローンID及びドローン30の位置情報等と対応付けて記憶されている。
【0039】
親機制御部210は、親機20の各部の動作を制御するための制御部であり、例えば1以上のプロセッサと1以上のメモリを含む少なくとも一つのマイクロコントローラと、トランジスタ等のアクティブ素子及びパッシブ素子を含むその他電子回路を含んでもよい。プロセッサは、例えば、CPU、MPU、GPU及び/又はTPUである。CPUは、複数のCPUコアによって構成されてもよい。GPUは、複数のGPUコアによって構成されてもよい。メモリは、ROMと、RAMを含む。ROMには、居室親機制御プログラムが記憶されてもよい。RAMには、親機制御プログラムが一時的に記憶されてもよい。プロセッサは、記憶装置又はROMに記憶された親機制御プログラムから指定されたプログラムをRAM上に展開し、RAMとの協働で各種処理を実行するように構成されてもよい。また、親機制御部210は、ASICやFPGA等の集積回路(ハードウェア資源)によって構成されてもよい。さらに、親機制御部210は、少なくとも一つのマイクロコントローラと集積回路との組み合わせによって構成されてもよい。
【0040】
親機制御部210の検知部211は、カメラ110によって撮像された画像に基づいて特定の対象者を検知する。特定の対象者には、暴動などの異常行動をする人物、所定の範囲を何度も行き来する人物、所定の場所に居据わる人物、集団行動する人物、拳銃等の凶器を所持する人物などが含まれる。例えば、検知部211は、カメラ110によって撮像された人物の行動に関する情報や、人体骨格に関する情報などに基づいて特定の対象者を検知する。
なお、検知部211は、カメラ110によって撮像された人物の中から特定の対象者を顔認証により検知してもよい。この場合の特定の対象者には、要注意人物(例えば、不審人物や危険人物等)として予め登録されている対象者が含まれる。
【0041】
加えて、検知部211は、ドローンカメラ302によって撮像された人物の中から特定の対象者を顔認証により検知する。この場合の特定の対象者とは、セキュリティポール10のカメラ110によって撮像された人物の中から特定の対象者であると検知された人物と照合する人物である。すなわち、検知部211は、ドローンカメラ302によって撮像された人物が、カメラ110によって撮像された特定の対象者と同一の人物であるか否かを顔認証により判定する。
【0042】
行動認識部212は、カメラ110によって撮像された画像から、その画像に映る特定の人物の行動に関する情報を検出する。
【0043】
骨格推定部213は、カメラ110によって撮像された画像から、その画像に映る特定の人物の人体骨格に関する情報を検出する。具体的には、骨格推定部213は、撮像映像に基づいて、特定の人物の骨格及び関節を推定する。骨格推定部213は、例えば、既存の骨格トラッキング技術を利用して、対象者の骨格及び関節を推定する。親機制御部210は、骨格推定部213で推定した骨格情報を、行動認識部212で検出された行動情報と対応付けて記憶部204に記憶させる。なお、骨格推定部213は、対象人物の骨格及び関節のうちの一方を骨格情報として推定するようにしてもよい。
【0044】
情報生成部214は、検知部211の検知結果に基づいて、検知された対象者に関する対象者情報を生成する。対象者情報は、例えば、「検知された対象者は登録されている要注意人物である。」、「検知された対象者は異常な行動をする危険人物である。」、「検知された対象者は拳銃を所持する危険人物である。」等の文字情報として生成される。
【0045】
さらに、情報生成部214は、生成された対象者情報に基づいて、所定の地域内に居る人達に向けて警戒を促す警告情報を生成する。警告情報は、例えば、「この周辺に不審(危険)な人物がいます。ご注意ください。」、「ここは危険です。避難してください。」等の警告メッセージとして生成される。あるいは、情報生成部214は、生成された対象者情報に基づいて、対象者に対する警告情報を生成する。この場合の警告情報は、例えば、「あなたの行動は監視されています。」、「その行動を続けると警察(あるいは警備会社)に通報します。」、「警察(あるいは警備会社)に通報しました。」等の警告メッセージとして生成される。
【0046】
親機制御部210は、セキュリティポール10、ドローン30等を制御するための制御信号を各機器に送信可能である。親機制御部210は、所定の条件下で、ドローン30による追尾を開始させるための追尾信号をドローン操縦部301に送信する。さらに、親機制御部210は、例えば、特定の対象者に対する警告が必要であると判断した場合には、警告情報を発報させるための発報信号を子機120に送信して、通話部123のスピーカから警告情報を音声により発報させる。親機制御部210は、例えば、発報信号を子機120に送信して、警告灯150から警告情報を警告灯150の点灯により発報させてもよい。
【0047】
図4は、親機20の表示装置201に表示される画像の一例を示す図である。
図4に示すように、表示装置201には、例えば、対象領域Tと、対象領域T内に設定される監視領域Uと、監視領域U内に設定される進入禁止領域Vと、対象領域T内の各所に設置されるセキュリティポール10a~10qと、を示す画像が表示される。
図4に示す対象領域Tは、ある学校の敷地を表している。なお、セキュリティ管理室Rと基地局Sは、学校の敷地内に設置されている。表示装置201の右端には、表示部201Aと表示部201Bとが上下に並列して配置されている。上方の表示部201Aには、例えば、カメラ110によって撮像された画像が表示される。下方の表示部201Bには、例えば、ドローンカメラ302によって撮像された画像が表示される。
【0048】
次に、セキュリティシステム1の動作例について、
図4及び
図5を参照して説明する。
図5は、セキュリティシステム1の動作例を説明するためのフローチャートである。
図5に示すように、まず、各セキュリティポール10のカメラ110は、撮像されたセキュリティポール10周辺の映像(画像、音声を含む)を、ネットワークNを介して、セキュリティ管理室Rの親機20へ送信する(ステップS10)。
【0049】
各カメラ110から映像を受信すると、親機20の親機制御部210は、受信された各映像をカメラ110とそれぞれ対応付けて記憶部204に記憶する。このとき、親機制御部210は、受信された各カメラ110の画像を表示装置201に例えばマルチ画面として一覧的に表示してもよい。一覧的に表示された各画面には、セキュリティポール10の設置場所や撮像日時等の情報を表示してもよい。
【0050】
次に、親機制御部210の検知部211は、各カメラ110で撮像された画像を解析し、画像に映る人物の中に警戒すべき特定の対象者が存在するか否かを判定する(ステップS11)。特定の対象者の検知は、例えば、行動認識部212によって検出される人物の行動情報と、骨格推定部213によって検出される骨格情報に基づいて、対象人物の動作及び行動を判定することにより実行される。これにより、異常な行動をとっている人物、例えば、拳銃等を所持している人物等を検知することができる。特定の対象者の検知はこの例に限られず、例えば、各カメラ110で撮像された画像に映る人物の顔認証を行い、要注意人物としてあらかじめ記憶部204に登録されている対象者と一致する人物を認証することで検知してもよい。
【0051】
ステップS11において、撮像画像中に特定の対象者が存在しないと判定された場合(ステップS11のNo)、親機制御部210は、ステップS11に戻って次の画像の判定を継続する。
【0052】
一方、ステップS11において、撮像画像中に特定の対象者が存在すると判定された場合(ステップS11のYes)、親機制御部210は、その特定の対象者が監視領域U内に進入したか否かを判定する(ステップS12)。特定の対象者が監視領域U内に進入したか否かの判定は、例えば、監視領域U内を撮像可能なカメラ110の撮像画像中に特定の対象者が撮像されたか否かにより実行される。
【0053】
ステップS12において、監視領域U内に特定の対象者が進入していないと判定された場合(ステップS12のNo)、親機制御部210は、ステップS11に戻って次の画像の判定を継続する。
【0054】
一方、ステップS12において、監視領域U内に特定の対象者が進入したと判定された場合(ステップS12のYes)、親機制御部210は、ドローン30による当該対象者の追尾を開始させるための追尾信号と、当該対象者を撮像したカメラ110及びそのカメラ110が搭載されているセキュリティポール10の位置情報とを、ネットワークNを介して、ドローン操縦部301に送信する(ステップS13)。なお、親機制御部210は、この特定の対象者が監視領域U内に進入したと判定された時点で、例えば、撮像された特定の対象者の画像と対象者情報(例えば「検知された対象者は登録されている要注意人物である。」)とを表示装置201に表示して管理者に認識させるようにしてもよい。
【0055】
親機20から追尾信号及び位置情報を受信すると、ドローン操縦部301は、ドローン30を起動させ、ドローン30による特定の対象者の追尾を開始する(ステップS14)。
【0056】
ドローン30は、先ず、親機20から受信されたカメラ110等の位置情報に基づいて、特定の対象者を撮像したカメラ110が搭載されているセキュリティポール10周辺の映像をドローンカメラ302で撮像し、撮像された映像をドローン操縦部301からネットワークNを介して親機20に送信する(ステップS15)。
【0057】
ドローン30からの映像を受信すると、親機制御部210は、受信された映像をドローンカメラ302と対応付けて記憶部204に記憶する。
【0058】
次に、親機制御部210は、例えば
図4に示すように、カメラ110によって撮像された特定の対象者の画像と、ドローンカメラ302によって撮像された画像とを、表示装置201に表示する(ステップS16)。本例では、カメラ110によって撮像された特定の対象者Wの画像が表示部201Aに表示されるとともにドローン30によって撮像された画像が表示部201Bに表示されている。表示部201Bに表示された画像中にはドローン30によって追尾された人物Xが映っている。なお、
図4には示されていないが、表示装置201には、管理者への注意喚起のため、例えば、情報生成部214によって生成された対象者情報(「検知された対象者は登録されている要注意人物である。」、「検知された対象者は拳銃を所持する危険人物である。」等)が文字情報として表示されてもよい。
【0059】
次に、親機制御部210の検知部211は、監視領域U内に進入したと検知された特定の対象者がドローンカメラ302で撮像された画像に映る人物の中に存在するか否かを判定する(ステップS17)。特定の対象者の検知は、ドローンカメラ302で撮像された画像に映る人物の顔認証を行い、ステップS13で監視領域U内に進入したと判定された特定の対象者と照合する人物を検知することにより行う。具体的には、検知部211は、カメラ110によって撮像された特定の対象者Wと、ドローンカメラ302によって撮像された追尾人物Xとが同一人物であるか否かを判定する。
【0060】
ステップS17において、ドローンカメラ302で撮像された画像中に特定の対象者が存在すると判定された場合(ステップS17のYes)、親機制御部210は、ドローン30による特定の対象者の追尾を続行させるための追尾続行信号を、ネットワークNを介して、ドローン操縦部301に送信する(ステップS18)。
【0061】
親機20から追尾続行信号を受信すると、ドローン操縦部301は、ドローン30による特定の対象者の追尾を続行する(ステップS19)。具体的には、ドローン操縦部301は、表示部201Bに表示された追尾人物Xの追尾を続行する。
【0062】
次に、ドローン30のドローン操縦部301は、GPS信号で取得される位置情報とジオフェンス機能で取得されるエリア情報とに基づいて特定の対象者の位置を検知し、検知された特定の対象者の位置情報と、ドローンカメラ302で撮像された映像とを、ネットワークNを介して、親機20に送信する(ステップS20)。
【0063】
ドローン30からの映像を受信すると、親機制御部210は、受信された映像及び特定対象者の位置情報と映像を撮像したドローン30とを対応付けて記憶部204に記憶する。
【0064】
次に、親機制御部210の検知部211は、ドローン30から受信された特定の対象者の位置情報に基づいて、特定の対象者が進入禁止領域V内に進入したか否かを判定する(ステップS21)。このとき、親機制御部210は、ドローン30から受信される特定の対象者の位置情報に基づいて、例えば、
図4に示すように、表示装置201に表示される対象領域Tにおいて特定の対象者の現在位置に星マーク(☆)50を表示するようにしてもよい。なお、検知部211は、進入禁止領域V内を撮像可能なカメラ110の撮像画像中に特定の対象者が撮像された場合に、特定の対象者が進入禁止領域V内に進入したと判定してもよい。
【0065】
ステップS21において、進入禁止領域V内に特定の対象者が進入していないと判定された場合(ステップS21のNo)、親機制御部210は、ステップS21に戻って次の画像の判定を継続する。
【0066】
一方、ステップS21において、進入禁止領域V内に特定の対象者が進入したと判定された場合(ステップS21のYes)、親機制御部210は、進入禁止領域Vに進入した特定の対象者の現在位置から最も近い位置に設置されているセキュリティポール10を特定し、特定されたセキュリティポール10に、ネットワークNを介して、警告情報を発報させるための発報信号を送信する(ステップS22)。
図4の例では、親機制御部210は、星マーク50で示される特定の対象者の現在位置から最も近い位置に設置されているセキュリティポール10jに発報信号を送信する。
【0067】
親機20から発報信号を受信すると、セキュリティポール10は、例えば子機120の通話部123におけるスピーカから警告情報を音声として発報する(ステップS23)。例えば、子機120は、「この周辺に不審(危険)な人物がいます。ご注意ください。」あるいは「ここは危険です。避難してください。」等の警告メッセージをその周辺に居る人達に向けて発報する。このとき、子機120は、通話部123からの音声発報に加えて、警告灯150の点灯により警告情報を発報してもよい。あるいは、子機120は、拡声スピーカ140を用いて警告情報を発報してもよい。さらに、子機120は、例えば、「あなたの行動は監視されています。」、「その行動を続けると警察(あるいは警備会社)に通報します。」等の警告メッセージを進入禁止領域V内に進入した特定の対象者に対して発報してもよい。
【0068】
なお、親機制御部210は、発報信号を送信する場合に、例えば、特定の対象者に最も近いセキュリティポール10から所定範囲内(例えば、半径数百m以内)に設置されているセキュリティポール10に対して発報信号を送信するようにしてもよい。すなわち、親機制御部210は、特定の対象者に最も近いセキュリティポール10の子機120からだけではなく、そのセキュリティポール10から所定範囲内に設置されている複数のセキュリティポール10の子機120から警告情報を発報するようにしてもよい。例えば、
図4において、進入禁止領域に進入した特定の対象者から最も近いセキュリティポールがセキュリティポール10jである場合、親機制御部210は、セキュリティポール10jから200メートル以内に設置されているセキュリティポール10e,10f,10g,10k,10m,10n,10oに対しても発報信号を送信するようにしてもよい。
【0069】
以上説明したように、本実施形態に係るセキュリティシステム1は、対象領域T内を移動可能なドローン30と、対象領域T内に配置されて、操作部122(呼出操作部の一例)と通話部123とを有する複数の子機120と、ドローン30および複数の子機120と通信可能な親機制御部210を有する親機20とを備えている。そして、ドローン30は、所定条件を満たした場合に、対象領域T内の対象者を追尾し、親機制御部210は、対象者の位置情報をドローン30から取得し、取得した位置情報に基づいて、対象者が対象領域T内のうち進入禁止領域Vに進入したか否かを判断し、対象者が進入禁止領域V内に進入したと判断された場合には、複数の子機120のうち所定の子機120の通話部123から警告情報を発報させるように構成されている。この構成によれば、警戒すべき特定の対象者をドローン30により追尾することで、その特定の対象者の位置を適切に検知することができる。また、ドローン30の追尾により取得される適切な位置情報に基づいて、その特定の対象者が予め定められている進入禁止領域V内に進入した際に警告情報を子機120から発報することで、周囲にいる人達に対して注意喚起することができる。また、その対象者に最も近い子機120から警告情報を発報させることで、対象者に近い場所にいる人達にさらに的確に注意喚起できる。これにより、対象領域T内の特定の対象者を適切に検知して、地域の防犯力を向上させることができる。
【0070】
セキュリティシステム1は、対象領域T内を撮像可能なカメラ110をさらに備えており、親機制御部210は、カメラ110により撮像された画像に基づいて、対象領域Tのうちドローン30による追尾の必要な監視領域U内に対象者が進入したか否かを判断し、対象者が監視領域U内に進入したと判断された場合には所定条件を満たしたと判断して、ドローン30による対象者の追尾を開始するように構成されている。この構成によれば、カメラ110により撮像された画像に基づいて、対象者が監視領域U内に進入したことを適切に検知することができ、ドローン30による対象者の追尾を正確に実行することができる。
【0071】
セキュリティシステム1において、ドローン30は、対象者を撮像可能なドローンカメラ302を有し、親機20は、セキュリティを管理する管理者が視認可能な表示装置201を有している。そして、例えば
図4に示すように、カメラ110で撮像された対象者Wの画像(第一画像の一例)およびドローンカメラ302で撮像された対象者Xの画像(第二画像の一例)が、表示装置201にそれぞれ表示される。この構成によれば、カメラ110とドローンカメラ302の撮像画像を表示装置201に並べて表示することで、管理者が特定の対象者のことを正確に認識しやすい。これにより、対象領域T内への注意喚起など、対象者に対する適切な対処を、遅滞なく実行することができる。
【0072】
セキュリティシステム1において、カメラ110と子機120とが単一のセキュリティポール10に一体的に搭載されている。この構成によれば、カメラ110と子機120との搭載位置が同一箇所となるため、検知された対象者に最も近いセキュリティポール10から警告情報を適時に発報することができる。
【0073】
セキュリティシステム1において、セキュリティポール10は、警告灯150を有し、警告情報の発報は、警告灯150の点灯により実行される。この構成によれば、対象者の周辺にいる人達に警告情報を視覚的に知らせることができるとともに、対象者に対して視覚的な警告を与えることができる。また、容易且つ適切に警告情報を発報することができる。
【0074】
セキュリティシステム1において、警告情報を発報する子機120は、進入禁止領域V内に進入した対象者に最も近い子機120(第一子機の一例)、およびその子機120から所定範囲内に存在するその他の子機120(第二子機の一例)である。この構成によれば、進入禁止領域V内に進入した対象者の近傍の複数の子機120から警告情報を発報することで、対象者の近くにいる人達だけでなく、もう少し広範囲にいる人達へも適切に注意喚起することができる。
【0075】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されず、適宜、変形、改良等が自在である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置場所等は、本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0076】
上記の実施形態では、特定の対象者を追尾する移動体としてドローン30を用いているが、ドローン30の代わりに、例えば、航空機、自動運転車、ロボット等を用いることも可能である。
【符号の説明】
【0077】
1:セキュリティシステム、10(10a~10q):セキュリティポール、20:親機、30:ドローン(移動体の一例)、100:本体部、110:カメラ(第一カメラの一例)、120:子機、121:子機カメラ、122:呼出ボタン、123:通話部(警告部の一例)、130:非常ボタン、140:拡声スピーカ、150:警告灯、201:表示装置、202:通話部、203:操作部、204:記憶部、210:親機制御部、301:ドローン操縦部、302:ドローンカメラ(第二カメラの一例)、N:ネットワーク、R:セキュリティ管理室、S:基地局、T:対象領域、U:監視領域、V:進入禁止領域、W:特定の対象者、X:追尾人物