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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-15
(45)【発行日】2024-02-26
(54)【発明の名称】ネックPOPラベル
(51)【国際特許分類】
   G09F 1/08 20060101AFI20240216BHJP
   B65D 23/00 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
G09F1/08 L
G09F1/08 B
B65D23/00 H
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020079758
(22)【出願日】2020-04-28
(65)【公開番号】P2021173946
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2023-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】591186888
【氏名又は名称】株式会社トッパンインフォメディア
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】小池 庸介
(72)【発明者】
【氏名】関 圭輔
【審査官】稲荷 宗良
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-067280(JP,A)
【文献】特開2018-146793(JP,A)
【文献】特開2020-027126(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0196141(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 1/08
B65D 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
首部を有する装着対象物の首部に装着するための、ネックPOPラベルであって、
第1平面と第2平面を有する略長方形状のシート状基材を有し、
前記シート状基材は、前記装着対象物の前記首部に装着するための、前記シート状基材の略中央部に長辺に沿って延びる1つの第1切込み線と、前記第1切込み線の端部に接し短辺に沿って延びる2つの第2切込み線と、前記第2切込み線の端部から長辺に向かって延びる4つの筋押し線とを有し、
前記第2切込み線の端部が前記シート状基材の長辺に向かって中心側に0°~-20°の角度で延びる屈曲部を有し、
前記筋押し線は、前記第2切込み線の端部から前記シート状基材の長辺に向かって中心側に0°~-20°の角度で延び、かつ、前記シート状基材の前記第1平面から前記第2平面に向かって凹む窪みを有し、
前記装着対象物に装着された際に、前記第2切込み線より短辺に向かう方向外側に位置する周縁部分が、前記第1平面側に折れて起立する、
ネックPOPラベル。
【請求項2】
前記筋押し線及び前記屈曲部が、前記第2切込み線の端部から前記シート状基材の長辺に向かって中心側に同じ角度で延びる、請求項に記載のネックPOPラベル。
【請求項3】
前記第1切込み線と前記第2切込み線とが切断されていない未切断部分を有し、前記装着対象物に装着する際の力を受けて該未切断部分が破断して開放されるように構成される、請求項1又は2に記載のネックPOPラベル。
【請求項4】
前記第1切込み線の中心に楕円形状の嵌入口を有する、請求項1~のいずれかに記載のネックPOPラベル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はネックPOPラベルに関する。特に、本発明はネックPOPラベルを首部に装着したビンやボトル等の容器を箱詰めする自動梱包装置の使用に適したネックPOPラベルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、コンビニエンスストアやスーパー等の陳列棚に並べる清涼飲料水や酒類、調味料等の各種商品の販売促進用として、販促情報を表示したキャンペーンシールやポップラベルなどがその容器に使用されている。特に、ポップラベルについては、ビンやボトル等の容器の首部に使用されることが多く、ラベルのシート片に挿入孔を形成し容器の首部を嵌入させて係止するようにしたものや、首部を嵌入させる切れ目を形成したネックPOPラベルが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1(特開2002-140002号公報)には、シート状ラベル本体のシート領域内の略中央部に切込線を設けビンやボトル等の容器の首部に装着するネックハンガーラベルが開示されている。特許文献2(特開2005-62702号公報)には、広告情報を印刷表示する起立面を4つ設けることで、情報量を増加させることができ、印刷された情報が見やすい首架けラベルを開示している。また、特許文献3(特開2008-209571号公報)には、ペットボトルなどのボトルの首の部分に通すための孔部を有し、ボトルの肩部に取り付けて情報を表示するための、首掛け用ラベルが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-140002号公報
【文献】特開2005-62702号公報
【文献】特開2008-209571号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ネックPOPラベルをビンやボトルといった容器の首部に使用する場合は、容器の首部に対するラベル装着操作を手作業(マニュアル)で行うか、自動装着装置などを用いてラベルを一枚ずつ容器の首部に装着する。その後、ラベルが装着された容器は、ダンボール箱等に梱包されて出荷される。
【0006】
特許文献1や特許文献3に記載のラベルの弱点としては、ラベルが装着された容器をダンボール箱等に複数入れる際に隣り合うラベル同士が干渉しないようにラベルの表示部を装着対象物の首部から肩部までの距離に制限する必要がある。
【0007】
また、特許文献2に記載のラベルに関し、ラベルの表示部を起立させることにより表示領域よりも大きくすることが可能となっているが、ラベルを装着対象物に装着した後において、ラベルの剛性により、ラベルが装着対象物の幅よりも広くなってしまうという問題がある。特に、ラベル基材として、紙を使用している場合、紙目方向と折り目が平行ならば、装着対象物にラベルを貼り付け後において、ラベルの広がりを若干抑えることもできるが、紙目と折り曲げ方向が垂直な場合には、ボトル等の装着対象物に貼り付け後、ラベルの広がりが大きくなってしまう。この状態で、ダンボール箱等に梱包した場合、ラベルが装着対象物の幅よりも広くなることにより、隣り合うラベル同士が干渉してしまい、ラベルの破れや装着対象物より離脱してしまう。さらに、ケーサー等の装置を用いて梱包すると上記の現象により、操作中にジャムリが発生し、生産能率に大きく影響を及ぼし損害に繋がる。
【0008】
このため、従来技術よりもはるかに不良率の低いネックPOPラベルの開発が希求されている。そこで、本発明は、ラベルの表示部分の大きさを確保しつつ、さらにラベルの広がりを抑制することを可能とするネックPOPラベルを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、ネックPOPラベルを手作業や自動装着装置などによりビンやボトルといった容器などの装着対象物の首部に装着する際に、ラベルの周縁部が起立する構造を採用することで、ラベルの広がりを抑制することができ、例えば自動梱包装置を使用して梱包する際、ラベル同士の干渉が少なくなり、ラベルの離脱や破れが少なくなり、結果として、梱包操作中のジャムリ(紙の干渉、紙詰まりなど)を抑制することが可能となる。
【0010】
すなわち、本発明の一実施形態は、首部を有する装着対象物の首部に装着するための、ネックPOPラベルであって、
第1平面と第2平面を有する略長方形状のシート状基材を有し、
前記シート状基材は、前記装着対象物の前記首部に装着するための、前記シート状基材の略中央部に長辺に沿って延びる1つの第1切込み線と、前記第1切込み線の端部に接し短辺に沿って延びる2つの第2切込み線と、前記第2切込み線の端部から長辺に向かって延びる4つの筋押し線とを有し、
前記筋押し線は前記シート状基材の前記第1平面から前記第2平面に向かって凹む窪みを有し、
前記装着対象物に装着された際に、前記第2切込み線より短辺方向外側に位置する周縁部分が、前記第1平面側に折れて起立する、
ネックPOPラベル。
【0011】
また、本発明の一つの好ましい実施態様においては、前記装着対象物に装着された際に、前記第2切込み線より短辺方向外側に位置する周縁部分が、前記第1平面側に折れて起立する角度が20°以上である。
【0012】
また、本発明の別の好ましい実施態様においては、前記筋押し線が、前記第2切込み線の端部から前記シート状基材の長辺に向かって中心側に0°~-20°の角度で延びるようにしても良い。
【0013】
また、本発明の別の好ましい実施態様においては、前記第2切込み線の端部が前記シート状基材の長辺に向かって中心側に0°~-20°の角度で延びる屈曲部を有しても良い。
【0014】
また、本発明の別の好ましい実施態様においては、前記筋押し線及び前記屈曲部が、前記第2切込み線の端部から前記シート状基材の長辺に向かって中心側に同じ角度で延びるようにしても良い。
【0015】
また、本発明の別の好ましい実施態様においては、前記第1切込み線と前記第2切込み線とが切断されていない未切断部分を有し、前記装着対象物に装着する際の力を受けて該未切断部分が破断して開放されるように構成されても良い。
【0016】
また、本発明の別の好ましい実施態様においては、前記第1切込み線の中心に楕円形状の嵌入口を有しても良い。
【0017】
なお、上記各好ましい実施態様は互いに排斥するものではなく、個別に、又は任意に組み合わせて採用することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、首部を有する装着対象物に対して装着するための、シート状基材からなるネックPOPラベルであって、表示部を起立させる折り曲げ部に、筋押しを行うことにより、ラベルの広がりを抑制することができ、自動梱包装置を使用して梱包する際、ラベル同士の干渉が少なくなり、ラベルの離脱や破れが少なくなる。結果として、梱包操作中のジャムリを抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1(a)は本発明の1つの実施形態に係るネックPOPラベルの平面図である。図1(b)は本発明の1つの実施形態に係るネックPOPラベルの断面図である。
図2図2(a)は装着対象物となる容器を例示的に示した模式図である。図2(b)は装着対象物となる容器に本発明の第1の実施形態に係るネックPOPラベルを装着した状態を示した模式図である。
図3】従来のネックPOPラベルを装着した状態を示した模式図である。
図4】本発明のネックPOPラベルのθ1とθ2の説明図である。
図5】本発明における筋押し線の形成方法の説明図である。
図6】本発明における筋押し線の別の形成方法の説明図である。
図7】本発明の別の実施形態に係るネックPOPラベルの平面図である。
図8】本発明の別の実施形態に係るネックPOPラベルの平面図である。
図9】本発明の別の実施形態に係るネックPOPラベルの平面図である。
図10】本発明の一つの実施形態に係るネックPOPラベルを使用できる自動装着装置を描いた模式図である。
図11】比較例1の従来のネックPOPラベルの平面図である。
図12】比較例2のネックPOPラベルの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に本発明のネックPOPラベルの実施形態について図面を参照しながら以下に詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、適宜設計の変更、改良等が加えられることが理解されるべきである。
【0021】
本明細書において数値範囲を示す「~」(チルダ)記号は、別段の断わりがない限りは下限値と上限値を含むことを意味する。
【0022】
[シート状基材の構成]
本発明の実施形態に係るネックPOPラベルのシート状基材は、典型的には単層のシート状基材からなっており、そのシート状基材の性質としては特に限定されることはなく当該技術分野のラベルに用いられるものであれば使用できる。シート状基材の材質の例としては、洋紙や和紙等の紙、あるいはPP(ポリプロピレン)やPE(ポリエステル)などのポリオレフィン系、PET(ポリエチレンテレフタレート)などのポリエステル系、PS(ポリスチレン)やPA(ポリアミド)などの剛性樹脂性シート等を好ましく使用することができる。シート状基材の厚みは限定されないが、例えば50μm~300μmの範囲が好ましく、より好ましくは100μm~200μmである。
【0023】
シート状基材の片面又は両面には、必要に応じて(商品の消費者などを対象に)情報を伝達するための絵柄や文字等の印刷を施してもよい。その印刷方式としては、当該技術分野で使用される方式であれば特に限定されないが、例えば平版式印刷法(オフセット印刷等)、凹版式印刷法(彫刻凹版印刷やグラビア印刷等)、孔版式印刷法(シルクスクリーン印刷等)を使用できる。また、印刷に用いられるインキとしては、アクリルやセルロースといった樹脂等に着色剤を分散したインキが挙げられる。そうした着色剤としては、無機顔料(酸化チタン、カーボンブラック、銅など)、パール顔料、アルミ粉などが使用可能である。絵柄や文字の印刷層の厚さは本発明の効果を発揮できる限り制限はされないが、例えば0.5μm~10μmの範囲が好ましく、1μm~3μmの範囲がより好ましい。
【0024】
シート状基材には、滑り性を確保できる程度にニス層を設けることもできる。ニス層は、ネックPOPラベル又はそれが含む絵柄や文字の印刷面に対して適用され、滑り性や耐磨耗性を与える機能を有する。ニス層は一様にシート状基材を覆うこともできるが、部分的に設ける(すなわち、自動装着装置のローラー手段や搬送手段と主に接触する部位にニス層が十分に設けられている)ようにしてもよい。また例えばドット形状としてシート状基材の全面に散らすように覆わせることもできる。この場合、ニス層がシート状基材を覆う面積率はニス層の材質にも依るが例えば、10%以上とすることができ、より好ましくは30%以上とすることができる。ニス層の材質は、製造方式や滑り性、光沢度や光透過性、意匠性などを考慮し適宜選択することができる。ニス層の材質としては例えば、OPニスや油性ニス、水性ニス、UV硬化型ニス、その他特殊ニスといったものが挙げられる。上記特性に鑑みると特にはUV硬化型ニスを好ましく使用できる。またニス層は、光硬化性樹脂や感光性モノマーやロジンや有機溶剤等の助剤を添加したものであってもよい。好ましくは、ニス層は、絵柄/文字層による情報伝達を妨げないように、透光性を有することが好ましい(すなわち透明であるか半透明であって、その下の絵柄/文字層からの情報判読が可能であってよい)。ニス層には、滑り性の調整などのために不活性無機微粒子を含めてもよい。不活性無機微粒子としては、シリカ、炭酸カルシウム、シリコーンから選ばれるとよく、その含有量は、ニス層の固形分比率で、例えば1~10質量%であるとよい。
【0025】
また、ニス層は単層であっても良いが、複数層からなるもの(積層)であっても良い。ニス層の厚さは本発明の効果を発揮できる限り制限はされないが、例えば0.5μm~10μmの範囲、より好ましくは1μm~3μmの範囲とすることができる。
【0026】
シート状基材の色は特に限定されないが、例えば材質に応じて白色、灰白色、灰色などを好ましく使用できる。またシート状基材が材質に応じて透光性を有する(透明であるか又は半透明である)ものであってもよい。シート状基材とニス層が共に透明か半透明であって、ネックPOPラベル自体が透明か半透明であるような態様も可能である。
【0027】
[第1の実施形態]
図1(a)は本発明の第1の実施形態に係るネックPOPラベルの平面図である。(b)は本発明の第1の実施形態に係るネックPOPラベルの断面図である。なお、構造をわかりやすくするため、図1(b)では厚さを極端に誇張して描いていることに留意されたい。図1によると、ネックPOPラベル1は第1平面12と第2平面13を有する略長方形状のシート状基材11を有し、シート状基材11は装着対象物の首部に装着する(図示では嵌入する)ための、シート状基材11の略中央部に長辺に沿って延びる1つの第1切込み線20と、第1切込み線20の端部に接し短辺に沿って延びる2つの第2切込み線31、32と、第2切込み線31、32の端部から長辺に向かって延びる4つの筋押し線41~44(図面では点線で示される)とを有し、筋押し線41~44はシート状基材11の第1平面12から第2平面13に向かって凹む窪み51、52を有する。
【0028】
なお、本明細書において、「略長方形」との用語は、長方形を含む任意の長尺形状をいい、長尺形状としては、本発明の効果を発揮できる限り、角取りされた長方形や、端部が円弧形状である長尺状などであっても良く、外見上長辺と短辺が認識し得るものであれば良い。また、「シート状基材11の略中央部」との用語は、シート状基材11の中央部及びその近辺をいい、近辺としては、特に距離の限定はなく、本発明の効果を発揮できる箇所であれば、近辺として理解される。また、「長辺」及び「短辺」との用語は、それぞれ「長尺形状の長手方向」及び「当該長手方向に垂直する方向」をいい、「長辺に沿って」及び「短辺に沿って」との用語は、必ずしも厳密これらの方向と一致することに限定することを意図するものではなく、本発明の効果を発揮できる限り、多少方向がずれていても良い。
【0029】
図2(a)は装着対象物となる容器を例示的に示した模式図である。図2(b)は装着対象物となる容器に本発明の第1の実施形態に係るネックPOPラベルを装着した状態を示した模式図である。図2によると、装着対象物00の首部01に装着されるネックPOPラベル1は、装着対象物00に装着された際に、第2切込み線31、32より短辺方向外側に位置する周縁部分61、62が、第1平面12側(図面では容器の上方側)に折れて起立し、第2平面13側が外部より視認されるようになる。なお、図2(b)では説明の便宜上周縁部分61、62は起立しながらも平坦形状を保っているように見えるが、ある程度たわむこともあり得ることに留意されたい。
【0030】
図3は、従来のネックPOPラベルを装着した状態を示した模式図である。図3に示すように、筋押し線を設けていない従来のラベルは装着対象物に装着した際に周縁部が十分に起立せず広がってしまう。本実施形態では、折り曲げ部に筋押し線を設けることで周縁部(表示部)を十分に起立させることができ、自動梱包装置を使用して梱包する際、ラベル同士の干渉が少なくなり、ラベルの離脱や破れが少なくなる。結果として、梱包操作中のジャムリを抑制することが可能となる。
【0031】
[切込み線]
第1切込み線20の長さは、装着対象物の首部を嵌入することができれば特に制限はないが、例えば、シート状基材11の寸法が長辺で60mm~100mm、短辺で55mm~80mmであれば、28mm~56mmが好ましく、38mm~46mmがより好ましい。一方、第2切込み線31、32の長さは28mm~56mmが好ましく、38mm~56mmがより好ましい。
【0032】
[筋押し線]
第2切込み線31、32の端部からシート状基材11の長辺に向かって延びる4つの筋押し線41~44は、シート状基材11の第1平面12から第2平面13に向かって凹む窪み50によって形成される。筋押し線41~44の長さとしては、周縁部分61、62の起立を容易にできれば良く、特に限定されないが、シート状基材11の外周まで延びることが好ましい。筋押し線41~44の太さとしては、0.1~1.0mmが好ましく、0.1~0.5mmがより好ましい。また、筋押しの深さとしては、特に限定されないが、シート状基材の厚みに対し、10%以上の深さが好ましい。また、筋押し線41~44の形状は直線状でも良いが、シート状基材11の長辺に向かって曲がる曲線形状であっても良い。
【0033】
第2切込み線31、32の端部における延長方向と筋押し線41~44のなす角度(θ1)は、シート状基材の長辺の中心側をマイナス角度として考察した際に、0°~-20°の範囲に設定することが好ましく、0°~-15°範囲に設定することがより好ましく、-5°~-10°範囲に設定することがさらにより好ましい。なお、筋押し線41~44の形状が曲線形状である場合、θ1は第2切込み線31、32の延長方向と筋押し線41~44のなす角度の最大値とする。
【0034】
本実施形態において、装着対象物にネックPOPラベルを装着した際のラベルの広がりを抑制する観点から、周縁部分61、62の起立角度θ2は20°以上であることが好ましく、30°以上であることがより好ましく、40°以上であることがさらにより好ましく、50°以上であることがさらにより好ましく、60°以上であることがさらにより好ましく、70°以上であることがさらにより好ましく、80°以上であることがさらにより好ましい。起立角度θ2とは、装着対象物にネックPOPラベルを装着した後周縁部分61、62と水平方向との角度をいう。なお、装着対象物にネックPOPラベルを装着した後周縁部分61、62がたわむことなどにより、起立の角度が一定ではない場合、起立角度θ2は、最も起立角度が低い箇所における起立角度をいう。
【0035】
表1は、図4に示すように、装着対象物にネックPOPラベルを装着した際の周縁部分の起立角度をθ2とした場合のθ1とθ2の関係を示した。なお、当該場合において、筋押し線41~44は直線状である。
【0036】
【表1】
【0037】
シート状基材11に筋押し線41~44を形成する方法としては、例えば、図5に示すように、凸形状を有する上型021と凹形状を有する下型022の間にシート状基材11を挿入し上型021を押しつけることにより窪み50を形成することができる。又は、図6に示すようなペン型ヘッド03をシート状基材11の上面(第1平面)から押しつけて窪み50を形成することができる。
【0038】
[別の実施形態]
本発明では上述の実施形態の他、いくつかの別の実施形態とすることができる。図7は、第1切込み線20と第2切込み線31、32に未切断部分70を設けている。
【0039】
自動装着装置を用いて、装着対象物にラベルを装着する際に、第1切込み線20及び第2切込み線31、32に未切断部分70を付与することで、切込み部の浮き上がりを抑えることができ、ラベル同士が引っかかることを防止することができる。この未切断部分70はラベルを装着対象物に装着する際の力により破断して開放される。この未切断部分は、1つの切込み線に複数個所設けることができる。装着対象物にラベルを装着する際、シート状基材の中心部から離れるほど切断し難いため、未切断部分70の大きさとしては、シート状基材の中心部に近い部分から離れるにつれ小さくすることが好ましい。例えばシート状基材の中心部に近い未切断部分70の太さとしては、0.2mm~1.0mmが好ましく、0.3mm~0.5mmがより好ましい。一方で、シート状基材も中心部から離れた切込み線の未切断部分70の太さとしては、0.1mm~0.5mmが好ましく、0.2mm~0.35mmがより好ましい。
【0040】
また、別の実施形態としては、図8に示すように第2切込み線31、32の端部が筋押し線41~44の一部まで延長させた屈曲部80を設けることができる。この屈曲部80により装着時のラベルの破れを抑制でき、筋押し線に沿って周縁部(表示部)の起立をより確実に行うことができる。屈曲部80の長さは、5mm~20mmが好ましく、8mm~12mmがより好ましい。屈曲部80の角度は、シート状基材の長辺の中心側をマイナス角度として考察した際に、0°~-20°の範囲に設定することが好ましく、0°~-15°範囲に設定することがより好ましく、-5°~-10°範囲に設定することがさらにより好ましい。なお、屈曲部80の形状が曲線形状である場合、θ1は第2切込み線31、32の延長方向と屈曲部80のなす角度の最大値とする。好ましくは、屈曲部80の角度と筋押し線41~44の角度が同じである。
【0041】
また別の実施形態として、図9に示すように第1切込み線20の中心に装着対象物の首部を挿入する楕円形状の嵌入口90を設けることもできる。嵌入口90の形状は一例として楕円形であるが、任意の形状(円形、四角形、菱形、六角形など)を取ることができる。
【0042】
嵌入口90の内径(孔径)の少なくとも一部は、装着対象物(キャップ付きボトル容器など)の首部、例えば、キャップ付きボトル容器のキャップの径よりも小さいことが好ましい。嵌入口90の孔径(楕円の場合は短径)としては、装着対象物の首部、例えば、ボトルキャップの径の75%以下が好ましく、ボトルキャップの径の25%~75%の範囲であることがより好ましい。
【0043】
[自動装着装置]
図10は、本発明の一つの実施形態に係るネックPOPラベルを好適に使用できる自動装着装置700の構成例を模式的に示す。自動装着装置700には、ネックPOPラベルを積載するためのスタッカー(不図示)と、スタッカー中でネックPOPラベルを傾けて滑り出させるためのテーパー治具704と、スタッカーから滑り出したネックPOPラベルを繰り出すための繰り出しローラー710及び補助ローラー712、714と、繰り出されたネックPOPラベルを運ぶための搬送ベルト722及び搬送ローラー724とが含まれている。
【0044】
テーパー治具704により傾けられた積載ネックPOPラベルは、一枚ずつ滑り出して繰り出しローラー710にその表面(図10では重力に対して上を向いている側の面)をグリップされて繰り出されるので、ネックPOPラベルの表面は静摩擦係数が比較的高いことが好ましい。また、繰り出しローラー710は、樹脂やゴムなどのグリップ性の良い材質であることが好ましい。補助ローラー712、714は繰り出しを補助するものであり、例えば鉄などの材質としてもよいし、場合によって樹脂やゴムを用いたものでもかまわない。
【0045】
繰り出されたネックPOPラベルは一枚ずつ搬送ベルト722に乗り、搬送ローラー724の運動と併せて運ばれる。そして別のベルトコンベア上を運ばれている容器730に対して搬送されるネックPOPラベル720がタイミングを合わせて装着されることになる。
【0046】
ネックPOPラベルに筋押し線を設けていることで、周縁部(表示部)を十分に起立させることができ、自動梱包装置を使用して梱包する際、ラベル同士の干渉が少なくなり、ラベルの離脱や破れが少なくなり、結果として、梱包操作中のジャムリ(紙の干渉、紙詰まりなど)を抑制することが可能となる。
【実施例
【0047】
以下、本発明及びその利点をより良く理解するための実施例を例示するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0048】
(実施例1)
上質紙の四六4切(サイズ:545mm×349mm、厚み:170μm、重量:約100g/m2)を用意し、上質紙の一方面(表面)に絵柄や文字等の表面印刷をオフセット印刷装置を用いて行った。その印刷インキとして、(株)T&K TOKA製オフセット用UVインキ(プロセスインキ)を用いて、表面印刷層を厚さ約1.5μmで形成した。その後、表面ニスとして東洋インキ(株)製FDカルトンを用い、表面印刷層上に厚さ約2μmで被覆した。
【0049】
同様に、上質紙の他方面(裏面)に絵柄や文字等の裏面印刷層を厚さ約1.5μmとなるように設け、裏面ニスとして東洋インキ(株)製FLASHDRYを用い、裏面印刷層上に表面と同様の厚さ約2μmで被覆した。
【0050】
上記上質紙をフレキシブルピナクルダイで切り抜き、実施形態に従う図1に示す形状のラベルを作製した。ラベルサイズは115mm(長辺)×60mm(短辺)とした。ラベル中央に長辺に沿って延びる第1切込み線の長さを37mmとし、該第1切込み線の両端部の各終端部から短辺に沿って延びる第2切込み線の長さを45mmとした。また、筋押し線は、第2切込み線の終端部から長辺の縁まで作成した。その際に、筋押し線をラベルの長辺に向かって中心側に10°の角度となるようにした。
【0051】
(実施例2)
実施例1と同様にラベルを作製した。その際、未切断部分として、第1切込み線の中央位置、そして第1切込み線と第2切込み線が交わる位置に設けた。未切断部分の長さは、それぞれ0.3mmとした。
【0052】
(実施例3)
実施例2と同様にラベルを作成した。その際、第2切込み線の終端部に筋押し線に沿って10mmの切込みを有した屈曲部を形成した。
【0053】
(実施例4)
実施例3と同様にラベルを作成した。その際、第1切込み線の中央に楕円形状の嵌入口を形成した。嵌入口の寸法は、楕円の長径を40mm、短怪を20mmとした。
【0054】
(比較例1)
上質紙の四六4切(サイズ:545mm×394mm、厚み:170μm、重量:約100g/m2)を用意し、上質紙の一方面(表面)に絵柄や文字等の表面印刷をオフセット印刷装置で行った。その印刷インキとして、(株)T&K TOKA製オフセット用UVインキ(プロセスインキ)を用いて、表面印刷層を厚さ約1.5μmで形成した。その後、表面ニスとして東洋インキ(株)製FDカルトンを用い、表面印刷層上に厚さ約2μmで被覆した。
【0055】
同様に、上質紙の他方面(裏面)に絵柄や文字等の裏面印刷層を厚さ約1.5μmとなるように設け、裏面ニスとして東洋インキ(株)製FLASHDRYを用い、裏面印刷層上に表面同様厚さ約2μmで被覆した。
【0056】
上記上質紙をフレキシブルピナクルダイに仕掛けて切り抜き、図11に示す形状のラベルを作製した。ラベルサイズは115mm×60mmとした。ラベル中央に長辺方向に延びる切込み線の長さを37mmとし、該長辺方向の切込み線の両端部の各終端部から短辺方向に延びる切込み線の長さを45mmとした。
【0057】
(比較例2)
比較例1と同様のラベルを作製した。その際、実施例4と同様の嵌入口を形成した。
【0058】
[評価方法]
搬送性能:自動装着装置((株)トッパンインフォメディア製ネックPOPラベラー、商品名「TLN-800」)のスタッカー部分にラベルを500枚積層し、60m/minの速度でラベルを繰り出し、異常が無いか確認した。
装着性:自動装着装置のスタッカーから繰り出したラベルを容量500mlのPETボトルに装着し、ラベルが正常にPETボトルの首部に掛かり、破れ等が無いか確認した。
充填性:PETボトルにかけたラベルがPETボトルの幅よりも内側であるかを確認した。
【0059】
[評価結果]
表2に評価結果を示す。評価結果を示す記号の意味は以下のとおりである。
◎:良品率99.5%以上
○:良品率99.5%未満99%以上
×:良品率99%未満
【0060】
【表2】
【0061】
[考察]
搬送性能:実施例2~実施例4の結果に示すとおり、切込み線に未切断部分があると搬送性能が良いことが確認できる。
【0062】
装着性:実施例3~4に示すとおり、第2切込み線の終端部に屈曲部をもたせることにより、ラベルの破れが抑制された。
【0063】
充填性:実施例1~4に関しては、筋押し線の効果により、ラベルを装着対象物に充填した後も周縁部(表示部)の折れ曲がりを維持し、PETボトルの幅よりも広がることがなかった。一方、比較例1及び2では、ラベルを装着対象物に充填した後も周縁部(表示部)の起立が不十分であり、PETボトルにかけたラベルがPETボトルの幅よりも広かった。
【符号の説明】
【0064】
00 装着対象物
01 首部
021 凸形状を有する上型
022 凹形状を有する下型
03 ペン型ヘッド
1 ネックPOPラベル
11 シート状基材
12 第1平面
13 第2平面
20 第1切込み線
31、32 第2切込み線
41、42、43、44 筋押し線
50 窪み
51、52 窪み
61、62 周縁部分
70 未切断部分
700 自動装着装置
702 スタッカー内に積載されたネックPOPラベル
704 テーパー治具
710 繰り出しローラー
712 補助ローラー
714 補助ローラー
720 搬送されるネックPOPラベル
722 搬送ベルト
724 搬送ローラー
730 容器
80 屈曲部
90 嵌入口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図9
図10
図11
図12