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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-15
(45)【発行日】2024-02-26
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 23/04 20060101AFI20240216BHJP
【FI】
F25D23/04 K
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020146827
(22)【出願日】2020-09-01
(65)【公開番号】P2022041556
(43)【公開日】2022-03-11
【審査請求日】2023-05-01
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100205785
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼橋 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100203297
【弁理士】
【氏名又は名称】橋口 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100135301
【弁理士】
【氏名又は名称】梶井 良訓
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 和人
【審査官】西山 真二
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-243357(JP,A)
【文献】特開2010-185628(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0175414(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0191739(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0018435(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 23/02 - 23/04
F25D 25/00 - 25/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯蔵室を含む冷蔵庫本体と、前記貯蔵室を開閉可能に閉じる扉と、前記扉の内側において上下方向に配置される複数の扉収容ケースと、を備える冷蔵庫において、
前記複数の扉収容ケースのうち少なくとも1つは昇降台を有し、
前記昇降台は、
前記扉に対して係止する係止部材と、
前記係止部材の前記扉に対する係止を解除する係止解除機構と、
前記扉に設けられるレール部に沿って上下方向に移動可能な昇降台本体と、
前記上下方向に配置された他の前記扉収容ケースに向かって突出し、前記他の扉収容ケースに当接可能な間隔規制ストッパと、を有し、
前記間隔規制ストッパは、前記昇降台本体と一体に形成されている、
冷蔵庫。
【請求項2】
前記間隔規制ストッパは、
奥行方向において、前記昇降台本体における前記貯蔵室側とは反対側に位置する第1壁部と、前記昇降台本体における横幅方向の端部に位置する第2壁部とのうち少なくともいずれか一方に位置する、
請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記複数の扉収容ケースのうち少なくとも最上位の前記扉収容ケースは、
底部側に、前記係止部材、前記係止解除機構、および前記間隔規制ストッパを有し、
前記間隔規制ストッパは、下段側の前記他の扉収容ケースに向かって突出している、
請求項1または2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記冷蔵庫本体の横幅方向の両側に、幅寸法が互いに異なる一対の前記扉が回動可能に取り付けられ、
幅の短い第1の前記扉側に設置される前記複数の扉収容ケースのうち、少なくとも1つが上下移動可能に構成されている、
請求項1から3のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記間隔規制ストッパの前記上下方向の長さは、大人の指の太さ以上である、
請求項1から4のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫における貯蔵室の扉に扉収容ケースを設けることが知られている。扉収容ケースは種々の収容物を収容できるように、扉収容ケースの上下方向の配置位置を容易に変更できることが好ましい。
【0003】
特許文献1には、下部収容棚(扉収容ケース)と、扉内板のレール部に沿って上下方向に移動可能な上部収容棚と、を備え、上部収容棚の下端側には、下部収容棚へ向かって突出するストッパ機構が設けられた冷蔵庫が開示されており、上部収容棚が下方へ移動した際に、ストッパ機構が下部収容棚の上端側に接触することによって、それ以上の上部収容棚の移動が規制される構成となっている。
【0004】
特許文献2には、最下段扉容器(扉収容ケース)と、レール部に沿って上下方向に移動可能な複数の扉容器と、を備えた冷蔵庫が開示されている。
【0005】
特許文献1,2のように、扉収容ケースを上下移動させる構成の場合、上下に配置された扉収容ケースどうしの間隔が狭まるため、移動操作中にユーザーの指や手を挟む可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2002-243357号公報
【文献】特開2010-185628号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、上下方向に配置された扉収容ケース同士の間隔を規制して、移動操作中にユーザーの指や手を挟むことのない冷蔵庫を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態の冷蔵庫は、貯蔵室を含む冷蔵庫本体と、貯蔵室を開閉可能に閉じる扉と、扉の内側において上下方向に配置される複数の扉収容ケースと、を持つ。複数の扉収容ケースのうち少なくとも1つは昇降台本体を持つ。昇降台は、扉に対して係止する係止部材と、係止部材の扉に対する係止を解除する係止解除機構と、上下方向に配置された他の扉収容ケースに向かって突出し、他の扉収容ケースに当接可能な間隔規制ストッパと、を持つ。間隔規制ストッパは、昇降台本体と一体に形成されている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態の冷蔵庫を示す図であってフレンチ式扉を開けた状態を示す正面図。
図2】一実施形態における左側の冷蔵室扉を示す斜視図。
図3】一実施形態における左側の冷蔵室扉の内面部材の構成を示す斜視図。
図4】一実施形態における扉収容ケースの構成を示す分解斜視図。
図5】一実施形態における扉収容ケースの構成を示す断面図。
図6】一実施形態における係止解除機構の構成を示す斜視図。
図7】一実施形態における係止解除機構の構成を示す斜視図。
図8】一実施形態における扉収容ケースの昇降台本体の底面側の構成を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態の冷蔵庫を、図面を参照して説明する。以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。例えば、互いに面対称な形状を有する部材同士には同一符号を付している場合がある。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。
【0011】
本明細書では、特に断らない限り、冷蔵庫の正面に立つユーザーから冷蔵庫を見た方向を基準に、上下左右を定義している。また、冷蔵庫から見て冷蔵庫の正面に立つユーザーに近い側を「前」、遠い側を「後ろ」と定義している。本明細書において「横幅方向」とは、上記定義における左右方向を意味する。本明細書において「奥行方向」とは、上記定義における前後方向を意味する。「上下方向」とは、冷蔵庫の高さ方向を意味している。
【0012】
図中に矢線で示した、+X方向は右方向、-X方向は左方向、+Y方向は後方向、-Y方向は前方向、+Z方向は上方向、-Z方向は下方向である。
【0013】
実施形態の冷蔵庫の扉に含まれる部品に関する説明では、特に断らない限り、扉が閉じられている状態の配置に基づいて説明する。例えば、回転式扉について説明する場合、特に断らない限りは、開いた状態であっても上述の±X方向および±Y方向が扉に固定されている方向であるとして説明する。
【0014】
図1は、第1の実施形態の冷蔵庫を示す図であって扉を開けた状態を示す正面図である。以下、図1に示す第1の実施形態の冷蔵庫1の全体構成について説明する。ただし、冷蔵庫1は、以下に説明する構成の全てを有する必要はなく、いくつかの構成が適宜省略されてもよい。
【0015】
冷蔵庫1は、例えば、筐体10、一対の冷蔵室扉(扉)12,13、および複数の扉11を備える。
筐体10は、例えば、内箱と、外箱と、断熱材と、を含む。
内箱は、例えば、合成樹脂製であり、複数箇所において前側から後側に向かって凹んだ形状を有している。内箱の各凹所は、複数の冷蔵室(貯蔵室)27を形成している。図1に示す例では、複数の冷蔵室27は、冷蔵室27A、野菜室27B、上冷凍室27C、下冷凍室27Dおよび製氷室27Eを含む。冷蔵室27A、野菜室27B、上冷凍室27Cおよび下冷凍室27Dは、上側から下側に向かってこの順に配置されている。製氷室27Eは、上冷凍室27Cの左横に位置する。
【0016】
筐体10は、各冷蔵室27の前方側に、各冷蔵室27に対して食材の出し入れを可能にする開口を有する。
外箱は、筐体10の前方側を除く他の三方の外面部を形成する直方体状である。外箱は、例えば、金属または金属と樹脂との複合材料で形成される。
断熱材は、例えば発泡ウレタンのような発泡断熱材であり、内箱と外箱との間に充填されている。これにより、筐体10は断熱性を有する。
【0017】
筐体10において、内箱と、外箱と、の間には、筐体10とともに冷蔵庫本体5を形成する種々の部材が配置されている。冷蔵庫本体5を形成する部材としては、例えば、冷気を形成する冷却ユニット、冷気を各冷蔵室27と冷却ユニットのとの間に循環させる流路を形成する流路形成部材、流路を通して冷気を各冷蔵室27に送る冷却ファン、および冷却ユニットおよび冷却ファンの動作を制御する制御基板などが挙げられる。
【0018】
冷蔵室27Aの室内の温度は、野菜室27Bよりも低温かつ上冷凍室27Cおよび下冷凍室27Dよりも高温に維持される。冷蔵室27Aの内部には、例えば、室内を仕切る棚、チルド室容器などが配置されている。冷蔵室27Aの全面は、左右に開く冷蔵室扉12,13によって開閉可能に覆われている。
【0019】
左右の冷蔵室扉12,13は、図1に示すように、冷蔵室27Aを開閉するために設けられた扉である。左右の冷蔵室扉12,13は、互いの幅寸法が異なっており、冷蔵庫1の正面から見て左側の冷蔵室扉(第1の冷蔵室扉)12の方が、右側の冷蔵室扉13よりも狭い幅を有する。
【0020】
冷蔵室扉12は、例えば、左側の上下端にそれぞれ設けられた一対のヒンジ32によって、筐体10の-X方向の左側端部に連結されている。冷蔵室扉13は、例えば、+X方向の右側の上下端にそれぞれ設けられた一対のヒンジ33によって、筐体10の+X方向の右側端部に連結されている。これら一対の冷蔵室扉12,13は、上下方向(Z方向)に延びるヒンジ32,33の回転軸線を中心として水平面内で回動可能であり、左右両側に向かってそれぞれ回転して開く回転式の両開き扉である。ユーザーは、各冷蔵室扉12,13の下端側に設けられた各溝部8に手を掛けて手前に引くことにより、冷蔵室扉12,13を回転させながら左右に開くことができる。
【0021】
複数の扉11は、野菜室27B、上冷凍室27C、下冷凍室27Dおよび製氷室27Eを開閉するために設けられた扉である。野菜室扉11B、上冷凍室扉11C、下冷凍室扉11Dおよび製氷室扉11Eは、野菜室27B、上冷凍室27C、下冷凍室27Dおよび製氷室27Eのそれぞれの前面を覆っている。
【0022】
野菜室27Bの室内の温度は、冷蔵室27Aよりも高温に維持される。野菜室27Bの内部には、例えば、野菜などの貯蔵物を収容する野菜室容器と、野菜室容器を奥行方向(Y方向)に移動するためのガイドレールと、が設けられている。
野菜室27Bの前面は、引き出し式の野菜室扉11Bによって開閉可能に覆われている。
野菜室扉11Bの内部には断熱材が配置されている。野菜室扉11Bの内面側の外縁部には、野菜室27Bの前面の開口を形成する内箱の前面に当接するガスケットが設けられている。
野菜室扉11Bが閉じられると、野菜室27Bの開口は断熱的に閉止される。
野菜室扉11Bの内面側に野菜室容器が連結されている。野菜室扉11Bは、野菜室容器が載置されるガイドレールに沿って、野菜室容器とともに、奥行方向に移動可能である。
【0023】
上冷凍室27C、下冷凍室27Dおよび製氷室27Eの室内の温度は、貯蔵物を冷凍可能な温度にそれぞれ維持される。上冷凍室27C、下冷凍室27Dおよび製氷室27Eの内部には、例えば、小冷凍室、冷凍貯蔵する貯蔵物を収容する冷凍室容器、および冷凍室容器を奥行方向に移動するためのガイドレール、などが設けられている。
上冷凍室27C、下冷凍室27Dおよび製氷室27Eの前面は、引き出し式の上冷凍室扉11C、下冷凍室扉11Dおよび製氷室扉11Eによって開閉可能に覆われている。
上冷凍室扉11C、下冷凍室扉11Dおよび製氷室扉11Eの内部には、断熱材が配置されている。上冷凍室扉11C、下冷凍室扉11Dおよび製氷室扉11Eの内面側の外縁部には、上冷凍室27C、下冷凍室27Dおよび製氷室27Eの前面の開口を形成する内箱の前面に当接するガスケットがそれぞれ設けられている。
上冷凍室扉11C、下冷凍室扉11Dおよび製氷室扉11Eが閉じられると、上冷凍室27C、下冷凍室27Dおよび製氷室27Eの各開口は断熱的に閉止される。
上冷凍室扉11C、下冷凍室扉11Dおよび製氷室扉11Eの内面側に冷凍室容器が連結されている。上冷凍室扉11Cおよび下冷凍室扉11Dは、冷凍室容器が載置されるガイドレールに沿って、冷凍室容器とともに奥行方向に移動可能である。
【0024】
上述した各冷蔵室27および各扉11の構成は、一例であり、上述の例には限定されない。
【0025】
図1に示す左右の冷蔵室扉12,13は、閉じられた状態で冷蔵庫1の正面から見たときにユーザーに対向する表面と、冷蔵室27A側の内面と、を有する。冷蔵室扉12,13の各内側には、複数の扉収容ケース56,54が設けられている。本実施形態では、冷蔵室扉12の上下方向に扉収容ケース56が3つずつ配置され、冷蔵室扉13の上下方向に扉収容ケース54が3つずつ配置されており、各冷蔵室扉12,13ともに3段構造とされている。
【0026】
本実施形態の冷蔵室扉12に設けられる各扉収容ケース56は、各ヒンジ32を中心にして冷蔵室扉12を回転させて開閉させる際に、冷蔵室扉12の回転軌跡による周囲との干渉を避けるために一部が切り欠かれており、横幅方向(X方向)において非対称な形状とされている。各扉収容ケース56は、横幅方向の一方側であって扉回転時にユーザーと向き合う側に、切り欠き部3を有する。切り欠き部3は、例えば、扉収容ケース56を上方(+Z方向)から見たとき、矩形状の一つの角部を切り欠いて形成される。冷蔵室扉12を閉じた状態のとき、冷蔵室扉12における各扉収容ケース56の切り欠き部3は、冷蔵室扉13における各扉収容ケース54と横幅方向で対向する。
本実施形態では、左側の冷蔵室扉12側だけに切り欠き部3を有する扉収容ケース56が設置されているが、右側の冷蔵室扉13側にも切り欠き部3を有する扉収容ケース54を設置してもよい。
【0027】
右側の冷蔵室扉13の内側には、上から順に、上段扉収容ケース54A、中段扉収容ケース54Bおよび下段扉収容ケース54Cが設けられている。これら3つの扉収容ケース54A,54B,54Cは、上下方向に互いに所定の間隔をあけて配置され、冷蔵室扉13の内面に対して取り外し可能に取り付けられていてもよいし、固定されていてもよい。
【0028】
左側の冷蔵室扉12の内側には、冷蔵室扉12の最も下側に位置する下段扉収容ケース56Cと、下段扉収容ケース56Cの上方に位置する中段扉収容ケース56Bと、中段扉収容ケース56Bの上方であるとともに冷蔵室扉12の最も上側に位置する上段扉収容ケース56Aと、が設けられている。これら3つの扉収容ケース56A,56B,56Cは、上下方向に互いに所定の間隔をあけて配置されている。
【0029】
これらのうち、上段扉収容ケース56Aおよび中段扉収容ケース56Bは、冷蔵室扉12の内面に対して上下方向に移動可能に取り付けられている。下段扉収容ケース56Cは、冷蔵室扉12の上記内面に対して取り外し可能に取り付けられていてもよいし、固定されていてもよい。
【0030】
このように、本実施形態の冷蔵室扉12では、上段扉収容ケース56Aおよび中段扉収容ケース56Bの上下方向の配置位置をそれぞれの移動範囲において多段階に変更できる。上段扉収容ケース56Aおよび中段扉収容ケース56Bの移動ピッチおよび移動範囲とは、それぞれ移動された際の相対的な配置位置が、収容物の高さに応じて適正化できるように設定する。
【0031】
フレンチ式扉の冷蔵庫の場合、冷蔵室扉12,13の横幅寸法が異なるため、それぞれに設置される扉収容ケース56、54の横幅寸法も異なる。幅の狭い冷蔵室扉12側に設置される扉収容ケース56の方が、幅の広い冷蔵室扉13側に設置される扉収容ケース54よりもサイズが小さいため、収容できる収容物の数や重さも扉収容ケース54に比べて少なく重くなりにくい。このため、本実施形態では、幅の狭い冷蔵室扉12側に設置される扉収容ケース56を上下移動可能な構造としている。
【0032】
(冷蔵室扉)
次に、冷蔵室扉の詳細構成について説明する。
図1に示した左右の冷蔵室扉12,13の基本的な構造は同じであるため、以下の説明では左側の冷蔵室扉12を中心に述べる。
【0033】
図2は、第1の実施形態における左側の冷蔵室扉12を示す斜視図である。
図2に示すように、冷蔵室扉12は、例えば、外郭部材50Aと、ガスケット55A(図3)と、を備えている。外郭部材50Aは、箱状に形成されている。本明細書でいう「箱状」とは、扁平な箱状も含む。外郭部材50Aは、例えば、枠体51A、表面板52Aおよび内面部材53を有する。
【0034】
枠体51Aは、図2に示すように、所定の幅寸法で矩形の枠状にそれぞれ形成されている。
枠体51Aは、上辺部材51a、下辺部材51b、側辺部材51c,51dを含む。冷蔵室扉12が閉じられた状態において、上辺部材51aは、横幅方向および奥行方向に沿う板状であり、冷蔵室扉12の上面を形成している。また、下辺部材51bは、横幅方向および奥行方向に沿う板状であり、冷蔵室扉12の下面を形成している。さらに、側辺部材51c,51dは、上下方向および奥行方向に沿う板状であり、冷蔵室扉12の左右両側の側面をそれぞれ形成している。これら上辺部材51a、下辺部材51b、側辺部材51c,51dが互いに組み合わされることで、矩形の枠体51Aが形成されている。枠体51Aは、例えば合成樹脂製である。
【0035】
図2に示すように、冷蔵室扉12の下辺部材51bには、上方(+Z方向)へ向かって凹む凹状の溝部8が形成されている。溝部8は、冷蔵室扉12を閉じた状態で冷蔵室扉13に近い側に形成されている。溝部8は、冷蔵室扉12を開くときにユーザーが手を掛ける箇所である。
なお、冷蔵室扉13にもその下辺部材51bに上方へ向かって凹む凹状の溝部8が形成されている。溝部8は、冷蔵室扉13を閉じた状態で冷蔵室扉12に近い側に形成されている。
【0036】
表面板52Aは、枠体51Aの前方側の開口を閉塞するように取り付けられ、冷蔵室扉12の前端部にそれぞれ位置する。表面板52Aは、枠体51Aに沿う矩形状の板部材であり、冷蔵室扉12の前面をそれぞれ形成している。表面板52Aは、例えば、ガラス板である。ただし、表面板52Aは、ガラス板に限定されず、合成樹脂や他の素材で形成されてもよい。
表面板52Aは平板でもよいし、湾曲板でもよい。以下では、表面板52Aが平板の例で説明する。
【0037】
内面部材53は、表面板52Aとは反対側から枠体51Aに取り付けられ、冷蔵室扉12の内面側にそれぞれ位置する。内面部材53の外形は、枠体51Aに沿う矩形状の板部材である。内面部材53は、例えば合成樹脂製である。
内面部材53は、冷蔵室扉12が筐体10に対して閉じられた状態で、上記冷蔵室27A側を向く平面状の内面53aと、内面53aの外周縁から冷蔵室27A側へ向かって突出したリブ61と、を有する。
【0038】
リブ61は、主として、冷蔵室27A内の冷気が冷蔵室扉12と筐体10との間の隙間から逃げることを抑制するために設けられている。
なお、本明細書において「リブ」とは、説明の便宜上の名称であり、内面部材53から後方に突出した部分を広く意味し、特定の形状や作用のものに限定されない。
【0039】
特に図示しないが、内面部材53と表面板52Aとの間と、リブ61における凸形状の内側と、には、発泡断熱材が充填されている。
【0040】
ガスケット55Aは、冷蔵室扉12が閉じられたとき、冷蔵室27A内の冷気が冷蔵室扉12と上記筐体10との間から外部に漏れないように、冷蔵室27Aを封止するために設けられている。
ガスケット55Aは、枠体51Aの外周を取り囲む環状をなして内面部材53に取り付けられている。ガスケット55Aの取り付け方は特に限定されない。例えば、ガスケット55Aは、ガスケット55Aに設けられた取付用の凸部と、内面部材53に設けられた取付用の凹部との凹凸嵌合によって取り付けられてもよい。
【0041】
(内面部材の構成)
ここで、内面部材53の詳細構成について説明する。
図3は、内面部材53の詳細構成を示す斜視図である。
図3に示すように、冷蔵室扉12の内面部材53に設けられたリブ61は、例えば、枠体51Aの外形よりも一回り小さな環状のリブ群を含んでいる。本明細書でいう「環状」とは、全周が完全に連続している場合に限定されず、切り欠きなどが設けられて一部が途切れている場合も含む。
【0042】
リブ61における環状のリブ群としては、上辺部材51aに沿って横幅方向に延びた上方リブ61F、下辺部材51bに沿って横幅方向に延びた下方リブ61G、幅方向一方側の側辺部材51cに沿って上下方向に延びた側方リブ61C、および幅方向他方側の側辺部材51dに沿って上下方向に延びた側方リブ61Dが挙げられる。上方リブ61Fおよび下方リブ61Gの横幅方向の長さは互いに等しい。側方リブ61C、61Dの上下方向の長さは互いに等しい。
【0043】
側方リブ61C,61Dおよび下方リブ61Gは、上方リブ61Fよりも冷蔵室27A側へ向かって大きく突出している。例えば、側方リブ61C,61Dおよび下方リブ61Gの突出量は、上方リブ61Fの突出量の半分以上である。
【0044】
一対の側方リブ61C,61Dは、図3に示すように、内面53aのX方向における幅方向両側の端部から冷蔵室27A側(後方)へ向かって+Y方向にそれぞれ突出している。一対の側方リブ61C,61Dは、上方リブ61Fから下方リブ61Gの位置まで上下方向に延びている。
側方リブ61Dは、上下方向において突出量が部分的に異なっており、+Y方向における突出高さが異なる第1先端部61aと第2先端部61bと、これらの間に形成される段部61cと、によってリブ先端側が形成されている。
【0045】
図3に示すように、側方リブ61C,61Dのうち、横幅方向において互いに対向する各側面S1,S2は、内面部材53の内面53aに対して略垂直をなす平面である。側方リブ61Cの側面S1は、-X方向を向く面であり、他方の側方リブ61Dに対向する。側方リブ61Dの側面S2は、+X方向を向く面であり、一方の側方リブ61Cに対向する。
側面S1,S2は、各々の下端側に傾斜面Saをそれぞれ有している。側面S1,S2に設けられた各傾斜面Saは、下方へ行くにしたがって傾斜面Sa同士が互いに近づく方向へ傾斜しており、側方リブ61C,61Dの下端側の厚みが増している。
【0046】
側方リブ61C,61Dの側面S1,S2には、段部53cと、レール部64と、係止突起65と、がそれぞれ設けられている。段部53cおよびレール部64は上下方向に延在し、係止突起65は上記段部53cおよびレール部64とは間をあけてこれらよりも下方に位置する。
【0047】
一方の側方リブ61Cに設けられた段部53cは、側面S1から他方の側方リブ61Dへ向かって-X方向へ突出している。
他方の側方リブ61Dに設けられた段部53c(図2)は、側面S2から一方の側方リブ61Cへ向かって+X方向へ突出している。
側方リブ61C,61Dに設けられた各段部53cの-X方向における端面53cyは側面S1,S2と略平行である。各段部53cの側面S1,S2からのX方向の突出高さは特に限定されない。例えば、各段部53cの側面S1,S2からのX方向の突出高さは、後述するレール部64のX方向の突出高さを少し超えてもよい。この場合、段部53cにおけるX方向の端面は、後述する上段扉収容ケース56Aおよび中段扉収容ケース56BのX方向の側面に近づき、上段扉収容ケース56Aおよび中段扉収容ケース56Bの横幅方向のガイド面として機能することができる。
【0048】
図3に示すように、レール部64は、段部53cの端面53cyとの間にY方向に隙間を空けて、端面53cyと平行に上下に延びている。レール部64の上端と上方リブ61Fの下面61gとの間には、隙間G1が形成されている。
段部53cは、段部53cの上端は、上方リブ61Fの下面61g(図2)に接続している。段部53cの下端は、後述するレール部64の下端位置と等しい。
【0049】
各側方リブ61C,61Dにそれぞれ設けられるレール部64は、互いに等しい構成をなす。
側方リブ61Cに設けられるレール部64は、図3に示すように、側方リブ61Cの側面S1から-X方向に垂直に突出し、全体として上下方向に細長く線状に延びる突起である。側方リブ61Dに設けられるレール部64は、図3に示すように、側方リブ61Dの側面S2から+X方向に垂直に突出し、全体として上下方向に細長く線状に延びる突起である。
左右両側の一対のレール部64は、後述する上段扉収容ケース56Aおよび中段扉収容ケース56Bを上下方向へ移動させる際に、奥行方向(Y方向)の位置を規制した状態で上段扉収容ケース56Aおよび中段扉収容ケース56Bを上下方向に案内する。
図3に示すように、レール部64は、奥行方向で段部53cの端面53cyとの間に隙間を空けて、端面53cyと平行に延びている。各レール部64の上端は、側方リブ61C,61Dの上端にどちらも達しておらず、側方リブ61C,61Dの上端から下方へ離れた所に位置する。
レール部64の下端は、段部53cと略同じ位置まで延びている。
レール部64は、第1レール部64aと、第2レール部64bと、を有する。
【0050】
第1レール部64aは、後述する上段扉収容ケース56Aおよび中段扉収容ケース56Bの上下方向の移動をガイドするとともに、上段扉収容ケース56Aおよび中段扉収容ケース56Bの上下方向の移動位置を多段階に規制する。
第1レール部64aは、第1ガイド64c、第2ガイド64d、複数の係止板64e、上端板64g、下端板64kおよび複数の傾斜リブ64faを有する。
【0051】
第1ガイド64cは、レール部64における-Y方向の側面を形成する。第1ガイド64cは、各側面Sから-X方向に突出し、上下方向に延びる平板状である。第1ガイド64cは、第2レール部64bまで延びている。
第2ガイド64dは、レール部64における+Y方向の側面を形成する。第2ガイド64dは、側面Sから-X方向に突出し、上下方向に延びる平板状である。第2ガイド64dは、第1ガイド64cに平行である。第2ガイド64dは、第1ガイド64cと同様、第2レール部64bまで延びている。
第1ガイド64cおよび第2ガイド64dの先端は、奥行方向に直交する同一平面上に位置している。
【0052】
レール部64における複数の係止板64eは、第1ガイド64cと第2ガイド64dとの間で、奥行方向(Y方向)に延び、側面Sから垂直に突出する板状である。複数の係止板64eは、第1ガイド64cおよび第2ガイド64dの下端から第1レール部64aの上端まで、上下方向に互いに離間して設けられている。各係止板64eの上下方向におけるピッチは、一定でなくてもよいが、図3に示す例では一定である。
図3に示す例では、各係止板64eは、17個配置されている。
各係止板64eの突出方向の先端は、各係止板64eの幅方向両側に位置する第1ガイド64cおよび第2ガイド64dの先端と同一平面上に位置している。
【0053】
上端板64gは、第1ガイド64cと第2ガイド64dとの間で、奥行方向に延び、側面Sから垂直に突出する板状である。上端板64gは、複数の係止板64eよりも上方に位置し、各係止板64e同士のピッチと略等しいピッチで、最上位の係止板64eから上方へ離れている。
【0054】
下端板64kは、第1ガイド64cと第2ガイド64dとの間で、奥行方向(Y方向)に延び、側面Sから垂直に突出する板状である。下端板64kは、最下位の係止板64eよりも下方に位置し、各係止板64e同士のピッチよりも広い間隔で最下位の係止板64eから下方へ離れている。
【0055】
複数の傾斜リブ64faは、下端板64kを除く各係止板64eの下面側と、上端板64gの下面側に設けられている。傾斜リブ64faは、各係止板64eの下面および上端板64gの下面にそれぞれ一対ずつ設けられており、互いに奥行方向に間隔をあけて配置されている。さらに、各傾斜リブ64faは、第1ガイド64cおよび第2ガイド64dに対しても、奥行方向に間隔をあけて配置されている。
【0056】
傾斜リブ64faは、第1ガイド64cおよび第2ガイド64dに平行に延びる板状である。各傾斜リブ64faをY方向からみた形状は、各係止板64eおよび上端板64gのX方向における各突出側の先端から下方に進むにつれて側面Sに向かって漸次傾斜する三角形状である。
各傾斜リブ64faの下端は、上記ピッチの中間に位置する。
本実施形態では、同一の下面に設けられた傾斜リブ64faの個数は、2個であるが、同一の下面に設けられる傾斜リブ64faの奥行方向における個数は、1以上であれば特に限定されない。
【0057】
このような構成により、第1レール部64aの内側には、下側から上側に向かって、複数の凸部がほぼ等しい間隔で上下方向に並んでいる。複数の凸部は、傾斜リブ64faによる傾斜面64jと、係止板64eの先端面と、係止板64eの上面で形成され水平方向に延びる係止面64iと、によって形成されている。側面SからX方向に突出する各凸部の間には、相対的な凹部が形成されている。このため、第1レール部64aの内側には、傾斜面64jが下側を向いた鋸歯状の凹凸構造が形成されている。
【0058】
このようなレール部64の凹凸構造に、後述する第1係止部70が係止する。すなわち、第1係止部70は、複数の係止板64eにおける各係止面64i側に係止する。
複数の傾斜リブ64faの傾斜面64jは、上方へ行くほど扉中央側へ突出する傾きとなっている。扉収容ケース56が上昇する際に、後述の第1係止部70が傾斜リブ64faの傾斜面64jに沿って移動するとともに水平方向に押圧されて引っ込む。
係止板64eの係止面64iは、後述する係止部材73が係止可能であれば、平面でもよいし、湾曲面でもよい。係止面64iにおいて係止部材73が係止する部位の接触形態は、係止部材73を係止できれば、面接触、線接触、および点接触のいずれでもよい。
傾斜リブ64faの傾斜面は、後述する係止部材73が摺動可能であれば、平面でもよいし、湾曲面でもよい。複数の傾斜面において係止部材73が摺動する部位の接触形態は、係止部材73が摺動できれば、面接触、線接触、および点接触のいずれでもよい。
【0059】
第2レール部64bは、第1レール部64aにおける第1ガイド64cおよび第2ガイド64dの各上端部と、これら上端部の間に位置する中間リブ64hと、を有する。
中間リブ64hは、第1ガイド64cおよび第2ガイド64dと平行な平板状である。
中間リブ64hの上下方向の長さは、上端板64gから第1ガイド64cおよび第2ガイド64dの上端までの長さに等しい。中間リブ64hの下端は、上端板64gの上面に接続されている。中間リブ64hの突出高さは、第1ガイド64cおよび第2ガイド64dの突出高さに等しい。
中間リブ64hの本数は1以上であれば特に限定されない。図3に示す例では、中間リブ64hは1本である。
各側方リブ61C,61Dの側面Sから、横幅方向で対向する他方の側方リブへ向かってX方向に突出し、上下方向に延びる線状の突起を形成している。第2レール部64bにおける突出側の先端面は、横幅方向に直交する平面と同一平面上にある。
【0060】
レール部64と、段部53cの端面53cyとの間には、上下方向に延びる凹溝g1が形成されている。
レール部64の下端部と、段部53cとの間には、下降位置規制部53dが設けられている。下降位置規制部53dは、中段扉収容ケース56Bの下降位置を規制するために設けられている。
【0061】
下降位置規制部53dの形状は、側面Sから凹溝g1内に垂直に突出することによって、中段扉収容ケース56Bの下降位置を規制できれば特に限定されない。図3に示す例では、下降位置規制部53dは、レール部64の第1ガイド64cと段部53cの端面53cyとを繋いでおり、凹溝g1を下方から閉止する。
下降位置規制部53dの上下方向の配置位置は、中段扉収容ケース56Bの最下降位置に応じた適宜位置である。
下降位置規制部53dの下面側には、一対の傾斜リブ64fbが設けられている。これら一対の傾斜リブ64fbは、上述した傾斜リブ64faよりも一回り大きく、下降位置規制部53dの補強も兼ねている。
【0062】
係止突起65は、図2に示した下段扉収容ケース56Cを固定あるいは着脱可能に係止するために設けられている。係止突起65の形状は、下段扉収容ケース56Cを着脱可能に係止できれば特に限定されない。
【0063】
図3に示す例では、係止突起65は、X方向から見た形状が上下方向に長い略矩形状である。係止突起65は、奥行方向においてレール部64と同程度の幅を有し、レール部64の真下において、レール部64とは所定の間隔をあけた位置に配置されている。レール部64の下端と係止突起65の上端との間には、隙間G2が形成されている。
【0064】
図3に示すように、側方リブ61Cにおける係止突起65は、側面S1の下端側の傾斜面Saに形成されており、-X方向に突出している。側方リブ61Dにおける係止突起65は、側面S2の下端側の傾斜面Saに形成されており、+X方向に突出している。
各係止突起65の突出側の先端面は、上下方向に平行である。
【0065】
下方リブ61Gは、側方リブ61C,61Dの下端側同士を接続する。下方リブ61Gは、冷蔵室27A側へ向かうにつれて下方に向かって傾斜する上面61fを有する。
【0066】
(扉収容ケース)
次に、扉収容ケースの構成について説明する。
図1および図2に示すように、冷蔵室扉12に設置される3つの扉収容ケース56のうち、上段扉収容ケース56A、および中段扉収容ケース56Bは、側方リブ61C、61Dの間で、互いに対向するレール部64に沿って上下方向にそれぞれ移動可能である。
【0067】
上段扉収容ケース56A、および中段扉収容ケース56Bの幅、奥行き、および深さは、互いに異なっていてもよいが、本実施形態では、上段扉収容ケース56A、56Bは互いに同形であるとし、上段扉収容ケース56Aの例で説明する。上段扉収容ケース56Aの説明は、配置場所の違いを除いて中段扉収容ケース56Bにも該当する。
【0068】
下段扉収容ケース56Cは、中段扉収容ケース56Bの下方であって、側方リブ61C、61Dに挟まれた空間に装着可能である。
下段扉収容ケース56Cは、図3に示す後述の係止突起65に係止することで、下方リブ61G上に着脱可能に配置できる。ただし、装着時の下段扉収容ケース56Cの配置位置は、上下方向において固定されている。
【0069】
(上段扉収容ケースおよび中段扉収容ケース)
図4は、上段扉収容ケース56Aおよび中段扉収容ケース56Bの構成を示す分解図である。図5は、扉収容ケース56A,56Bの構成を示す断面図である。
図4に示すように、上段扉収容ケース56Aおよび中段扉収容ケース56Bは、全体として上方に開口する箱型の容器である。上段扉収容ケース56Aおよび中段扉収容ケース56Bは、ケース本体57と、昇降台67と、を有する。上段扉収容ケース56Aおよび中段扉収容ケース56Bは、横幅方向において左右非対称な形状である。
【0070】
ケース本体57は、冷蔵室27A内に貯蔵される貯蔵物を収容する。ケース本体57は、図4に示すように、上方に開口する箱型の容器であり、昇降台67上に着脱可能に載置されている。
昇降台67は、ケース本体57を着脱可能に支持し、ケース本体57を支持した状態で側方リブ61C、61Dの間で各レール部64に沿って上下方向に移動可能である。昇降台67は、各レール部64における複数の係止板64eのいずれかに係止することによって、上下方向の位置が固定される。
【0071】
図4に示すように、ケース本体57は、底面部57a、壁部57b、第1壁部57c、一対の第1側壁部57f、切り欠き壁部57x、一対の第2側壁部57d、および一対の段部57eを有する。
底面部57aは、水平に配置された平板状である。横幅方向における底面部57aの幅は、奥行方向における略中央よりも-Y方向側では、+Y方向側よりも狭い。
壁部57bは、底面部57aにおける+Y方向の外縁部から+Z方向および-Z方向に延びている。ただし、-Z方向に延びる壁部57bは、後述する昇降台67の底板部を-Y方向から覆う程度の長さである。
第1壁部57cは、ケース本体57の奥行方向で壁部57bとは反対側に位置する。第1壁部57cは、底面部57aにおける-Y方向の外縁端から+Z方向に延びている。第1壁部57cは、奥行方向に直交する平板状である。
【0072】
第1側壁部57fは、底面部57aにおける+X方向および-X方向の周縁であって、底面部57aにおける+Y方向側の広幅の部位から+Z方向および-Z方向に延びている。ただし、-Z方向に延びる第1側壁部57fは、後述する昇降台67の底板部を+X方向から覆う程度の長さである。底面部57aの-X方向側に位置する第1側壁部57fは、+Y方向の端部が壁部57bと接続されている。第1側壁部57fは、奥行方向に平行する平面状である。
底面部57aの+X方向側に位置する第1側壁部57fは、奥行方向(Y方向)における幅が-X方向側に位置する第1側壁部57fよりも狭く、+Y方向の端部が切り欠き壁部57xと接続されている。
【0073】
切り欠き壁部57xは、底面部57aにおける+X方向側の周縁であって、+Y方向の幅広の部位から+Z方向および-Z方向に延びている。ただし、-Z方向に延びる切り欠き壁部57xは、後述する昇降台67の底板部を+X方向から覆う程度の長さである。
切り欠き壁部57xは、上面視において、第1側壁部57fから+Y方向へ向かうにしたがって+X方向へ向かって壁部57b側へ傾斜しており、+X方向側に位置する第1側壁部57fと壁部57bとを斜めに接続している。切り欠き壁部57xは、奥行方向および横幅方向のそれぞれに対して傾斜する。
【0074】
第2側壁部57dは、底面部57aにおける+X方向および-X方向の周縁であって、底面部57aにおける-Y方向側の狭幅の部位からそれぞれ+Z方向に延びている。各第2側壁部57dは、横幅方向に直交する平板状である。
各第2側壁部57dの-Y方向の端部は、第1壁部57cの横幅方向の両端部と接続されている。第2側壁部57dは、奥行方向に平行する平板状である。
【0075】
段部57eは、底面部57aの縮幅によって横幅方向に形成された各端縁からそれぞれ+Z方向に延びている。各段部57eは、奥行方向に直交する平板状である。段部57eにおける横幅方向の端部は、壁部57bよりも上側の第1側壁部57fの-Y方向の端部と、第2側壁部57dの+Y方向の端部とにそれぞれ接続されている。
【0076】
各第2側壁部57dおよび各段部57eの上端には、横幅方向においてケース本体57の外側に延びるフランジ部57gがそれぞれ形成されている。
各フランジ部57gの下面側には、各第2側壁部57dから外側に突出するとともに、フランジ部57gから-Z方向に延びる係止突起57hが形成されている。係止突起57hは、昇降台67への装着時にケース本体57を奥行方向において位置決めするために用いられる。
本実施形態では、係止突起57hは、上段扉収容ケース56Aの装着時において、図3に示したレール部64と横幅方向に対向する位置に形成されている。ただし、係止突起57hの第2側壁部57dからの係止突起57hの突出高さは、各係止突起57hの横幅方向の距離が側方リブ61C、61Dの各レール部64間の横幅方向の間隔より狭くなる高さである。このため、上段扉収容ケース56Aの装着時および上下方向の移動時において、レール部64と係止突起57hとが接触するおそれはない。
【0077】
第1壁部57cの上端には、-Y方向に延びるフランジ部57jが形成されている。フランジ部57jの高さおよび厚さは、フランジ部57gと同様である。
フランジ部57j上には、横幅方向に延びる突条57iが+Z方向に突出している。
【0078】
ケース本体57は、例えば、合成樹脂製である。ケース本体57は透明材料で形成されてもよいし、半透明材料または不透明材料で形成されてもよい。ケース本体57が透明材料または半透明材料で形成される場合、ケース本体57の内部が外側から見えるのでより好ましい。ケース本体57は一部が透明材料、その他が半透明材料または不透明材料で形成されてもよい。半透明材料または不透明材料で形成される部位は、後述する昇降台67を上方または外側から覆う部位であってもよい。この場合、昇降台67が上方または外側から見えにくくなるので、上段扉収容ケース56Aの美観が向上する。
ケース本体57は、透明材料の成形品の表面に不透明または半透明の着色層、絵柄などが形成されてもよい。この場合、不透明または半透明の着色層、絵柄が形成された部位が外部から見えにくくなり、上段扉収容ケース56Aの美観が向上する。
【0079】
(昇降台)
図4に示すように、昇降台67は、ケース本体57を除く上段扉収容ケース56Aのすべての構成部材を有する。
例えば、昇降台67は、昇降台本体58、操作部材59、下カバー60、および第1係止部70を備える。+Z方向から見た上面視における昇降台67の形状は、横幅方向において左右非対称である。
【0080】
昇降台本体58は、底面部58aと、底面部58aの外周縁から+Z方向へ延びる第1壁部58cおよび一対の第2側壁部(第2壁部)58dと、前端板部58b、底面部58aの外周縁から-Z方向へ延びる一対の側板部58f、および切り欠き板部58xと、を有する。
底面部58aは、昇降台67の底板部の一部を構成し、上面にケース本体57の底面部57aを重ね合わせることができる大きさおよび形状を有する平板である。
底面部58aにおける+Y方向の端縁は、底面部57aにおける同様の端縁と同形状を有する。底面部58aにおける+X方向および-X方向の周縁であって、+Y方向側の広幅の部位の端縁(以下、広幅部端縁)は、底面部57aにおける同様の端縁と同形状を有する。
底面部58aにおける+X方向および-X方向の周縁であって、-Y方向側の狭幅の部位の端縁(以下、狭幅部端縁)は、底面部57aにおける同様の端縁よりもわずかに外側に拡張した形状を有する。底面部58aにおける-Y方向の端縁は、底面部57aにおける同様の端縁よりもわずかに外側に拡張した形状を有する。
図4に示す例では、+Z方向から見た上面視における底面部58aの外形は、横幅方向において非対称な形状である。
【0081】
第1壁部58cは、底面部58aの-Y方向の外縁部に設けられ、昇降台67の側板部を構成する。
一対の第2側壁部(第2壁部)58dは、底面部58aの横幅方向の両側の外縁部に設けられる。
前端板部58bは、底面部58aにおける+Y方向の端縁から-Z方向に延びる。前端板部58bの長さは、ケース本体57の装着時にケース本体57の-Z方向に突出する壁部57bの内側に隠れる長さである。
側板部58fは、底面部58aにおける各広幅部端縁から-Z方向に延びる。側板部58fの長さは、ケース本体57の装着時に、ケース本体57の第2側壁部57dの内側に隠れる長さである。
切り欠き板部58xは、底面部58aの周縁のうち、前端板部58bと側板部58fとの間の端縁から-Z方向に延びる。切り欠き板部58xは、+Y方向へ行くにしたがって+X方向側へ傾斜しており、側板部58fと前端板部58bとを斜めに接続する。切り欠き板部58xの長さは、ケース本体57の装着時に、ケース本体57の第2側壁部57dの内側に隠れる長さである。
【0082】
このように、本実施形態では、底面部58aの外周縁のうち、上述したケース本体57の壁部57b、切り欠き壁部57xおよび第1側壁部57fに沿う外縁部分には、+Z方向に延びる側板部は形成されていない。すなわち、昇降台本体58に、ケース本体57を装着させた際に、水平方向から見て、壁部57b、切り欠き壁部57xおよび一対の第1側壁部57fと重なる側板部は形成されていない。
【0083】
第2側壁部58dは、底面部58aにおける+X方向および-X方向の周縁であって、各広幅端縁よりも-Y方向側の端縁から+Z方向および-Z方向に延びる。
各第2側壁部58dの底面部58aからの+Z方向の高さは、ケース本体57の底面部57aの下面からフランジ部57gの下面までの高さに等しい。
各第2側壁部58dの-Z方向の高さは、各側板部58fの高さに等しい。
各第2側壁部58dの上端部には、上側に開口する凹溝58jが形成されている。凹溝58jには、ケース本体57における各係止突起57hが上方から進入可能であり係止突起57hを前後方向において嵌合する。
【0084】
図4に示すように、両側の第2側壁部58dには、係止突起58Aと、ガイド部58Bとが、それぞれ設けられている。以下、-X方向の第2側壁部58dに設けられた係止突起58Aおよびガイド部58Bの例で説明する。
【0085】
係止突起58Aは、第2側壁部58dからX方向における外側に突出している。係止突起58Aは、上述した内面部材53の内面53aと各レール部64との間の隙間に挿入可能な奥行方向の幅を有している。係止突起58Aは、上下方向に延びる板状部58Aaと、板状部58Aaの+Y方向の表面から+Y方向に突出し、横幅方向に延びる複数の突条58Abと、を有する。
複数の突条58Abは、レール部64との接触面積を低減する目的で設けられている。複数の突条58Abのそれぞれにおいて、横幅方向に直交する断面は、例えば、+Y方向に凸の半円状である。
【0086】
ガイド部58Bは、第2側壁部58dからX方向における外側に突出している。ガイド部58Bと係止突起58Aとの間には、上下方向においてレール部64を挿通させることができる隙間が形成されている。
ガイド部58Bは、上下方向に延びる板状部58Baと、板状部58Baを+Y方向側から補強する複数の補強リブ58Bbと、を有する。
【0087】
第1壁部58cは、底面部58aにおける-Y方向の端縁から+Z方向に延びる。第2側壁部58dの+Z方向の高さは、各第2側壁部58dと同様であり、ケース本体57の底面部57aの下面からフランジ部57jの下面までの高さに等しい。
【0088】
このような構成によれば、ケース本体57の装着時に、各第2側壁部58dは、各段部57eおよび各第2側壁部57dと外側から対向する。
【0089】
ケース本体57が昇降台67に載置される際、各第2側壁部58dの間には、ケース本体57の各第2側壁部57dが挿入される。ケース本体57の各段部57eは、昇降台本体58の各第2側壁部58dの+Y方向に位置する各端面58eと対向する。
上段扉収容ケース56Aにおける各段部57eよりも-Y方向側は、図3に示す側方リブ61C,61Dの間に挿入される。このため、上段扉収容ケース56Aにおいて、各段部57eよりも+Y方向側は、側方リブ61C,61Dよりも+Y方向に突出している。
【0090】
昇降台本体58のうち、底面部58aの広幅部端縁の上方にはケース本体57と重なる側板部が形成されていない。このため、ケース本体57のうち、少なくとも壁部57b、切り欠き壁部57xおよび各第1側壁部57fが透明材料または半透明材料で形成されている場合には、これら壁部57b、切り欠き壁部57xおよび各第1側壁部57fを通して水平方向からケース本体57の内側に収容された収容物を見ることができる。
【0091】
図4および図5に示すように、本実施形態の昇降台本体58は、上下方向で隣り合う他の扉収容ケース56との間隔を規制する一対の間隔規制ストッパ58cAを有している。一対の間隔規制ストッパ58cAは、自身よりも下方に位置する他の扉収容ケース56に向かって突出し、下段側の他の扉収容ケース56の上端に上方側から当接可能である。
本実施形態において、各間隔規制ストッパ58cAは、昇降台本体58の第1壁部58cに設けられ、上下方向にそれぞれ延在する。これら一対の間隔規制ストッパ58cAは、第1壁部58cの横幅方向に間隔をあけて配置されている。
間隔規制ストッパ58cAは、第1壁部58cの下端よりも下方へ突出している。間隔規制ストッパ58cAは、上下方向の長さのうち、中央付近より上側の部位が第1壁部58cの外面に沿って+Z方向へ延びており、中央付近より下側の部位が第1壁部58cの下端よりも-Z方向へ突出している。
間隔規制ストッパ58cAのZ方向の長さのうち、第1壁部58cの下端、すなわち下カバー60の底板部60aよりも-Z方向へ突出する長さL(図5)は、大人の指の太さ以上の長さであることが好ましい。本実施形態における間隔規制ストッパ58cAの長さLは、例えば、25mm~30mmの範囲内とされている。
【0092】
間隔規制ストッパ58cAは、例えば、図5に示すように、中空の角柱形状をなし、長さ方向に交差する断面形状において1辺側が開放されている。具体的に間隔規制ストッパ58cAは、第1壁部58cの外面に接続される第1面58c1と、第1面の幅方向両側に位置し当該第1面58c1に対して垂直をなす一対の第2面58c2と、を有し、上記第1面58c1および一対の第2面58c2とによって3方が囲まれた内側に凹溝58c3を有する。凹溝58c3の上下方向に交差する断面形状は、上下方向に亘って等しい凹形状である。
一対の間隔規制ストッパ58cAは、例えば昇降台67を射出成形する際に、昇降台本体58と一体に形成される。これにより、間隔規制ストッパ58cAの強度を確保しつつ、部品点数の削減および組み立て工程数の削減が可能である。
【0093】
間隔規制ストッパ58cAは、第1壁部58cの外面から-Y方向側、内面部材53側へ突出させた状態で第1壁部58cと一体に形成されている。間隔規制ストッパ58cAの一対の第2面58c2における-Y側の各端縁は、扉12の内面部材53の内面53aに対向し、当該内面53aに接することが可能である。間隔規制ストッパ58cAは、内面部材53の内面53aに常時接していてもよいし、わずかに離れていてもよい。
このような間隔規制ストッパ58cAが、扉12の内面部材53の内面53aに当接することで、ケース本体57内に収容された収容物の重さによって、上段扉収容ケース56Aおよび中段扉収容ケース56Bの冷蔵室27側(+Y方向側)が下方(-Z方向)へ傾くのを規制することができる。
【0094】
間隔規制ストッパ58cAの形状は、上述した形状に限られず、例えば、板状の第1面だけで構成されていてもよいし、凹溝がなくてもよい。また、外形も角柱形状に限られず、円柱形状であってもよいし、その他様々な形状を採用できる。
間隔規制ストッパ58cAの数は、2つに限らず、1つだけでもよいし、3つ以上設けてもよい。間隔規制ストッパ58cAの形状や大きさに応じて数を設定してもよい。
間隔規制ストッパ58cAの位置も、上述した位置に限らない。第1壁部58cの横幅方向中央に設けてもよいし、第1壁部58cの両側に位置する各第2側壁部58dの外面に設けてもよい。
本実施形態では、間隔規制ストッパ58cAを含む昇降台67を、射出成形により形成する。このため、間隔規制ストッパ58cAを別部品として昇降台本体58に取り付ける必要はなく、昇降台本体58に対して間隔規制ストッパ58cAを一体に成形することができるので、部品点数の削減、および工数の削減が可能となる。
【0095】
ケース本体57における各係止突起57hは、昇降台本体58側の各凹溝58jに嵌合する。
ケース本体57は、昇降台本体58の底面部58a、各第2側壁部58d、および第1壁部58c上に載置されている。ケース本体57は、各第2側壁部58dの間に挟持されることで、横幅方向に位置決めされる。ケース本体57の各係止突起57hが、各凹溝58jに嵌合することで、ケース本体57は、昇降台本体58に対してY方向に位置決めされる。
【0096】
(昇降台の底板部の内部構造)
次に、昇降台67の底板部の内部構造について、昇降台本体58の下面側の構成とともに説明する。
図6は、係止解除機構80の構成を示す斜視図である。図7は、係止解除機構80の構成を示す斜視図であって、+Z方向側から見た図である。図8は、昇降台本体58の底面側の構成を示す斜視図である。
図6および図7に示すように、昇降台67の底板部には、係止解除機構80が設けられている。
係止解除機構80は、第1係止部70を、上述のレール部64の係止板64eに係止できない係止不能位置に移動させ、上段扉収容ケース56Aおよび中段扉収容ケース56Bを上下方向に移動可能にする。
係止解除機構80は、昇降台本体58(図4)と下カバー60(図7)との間に位置し、操作部材59と、付勢部材77とを備える。
【0097】
まず、昇降台本体58の底面部58aの下面側の構造について説明する。
底面部58aの下面には、第1ガイド部58n、係止部58p、第2ガイド部58t、吸振材ホルダ58m、および固定用ボス58q、58sが、-Z方向に突出している。第1ガイド部58n、係止部58p、第2ガイド部58t、吸振材ホルダ58m、および固定用ボス58q、58sの各突出量は、底面部58aの外周縁側における-Z方向の突出量よりも小さい。
【0098】
第1ガイド部58nは、後述する操作部材59の奥行方向における移動を案内する壁状体である。第1ガイド部58nの形状は、操作部材59を奥行方向に案内できれば特に限定されない。
第1ガイド部58nは、奥行方向に延びる4つのガイド溝58kを有する。各ガイド溝58kは-Z方向に開口している。ガイド溝58kの個数は、1個以上であればよく、4個には限定されない。第1ガイド部58nは、横幅方向に間隔をあけて位置する。
【0099】
係止部58pは、図7に示す付勢部材77の+Y方向の端部(第2端部77b)が係止する突起である。係止部58pは、付勢部材77の第2端部77bを+Y方向から挿入可能な凹所を有する。係止部58pの形状は、付勢部材77の第2端部77bを係止できれば特に限定されない。
図8に示す例では、係止部58pは、横幅方向で隣り合うガイド溝58k1とガイド溝58k2との間にそれぞれ配置されている。各係止部58pの奥行方向における位置は、各ガイド溝58kの+Y方向の端と略同じである。
【0100】
第2ガイド部58tは、第1係止部70の横幅方向への移動をガイドする枠状の突起である。図8に示す例では、第2ガイド部58tは、奥行方向において第1係止部70を挟む2つの壁体58t1を有する。各壁体58t1は、昇降台本体58の第2側壁部58dの内面に接続している。
第2側壁部58dのうち、第2ガイド部58tの各壁体58t1どうしの間となる部分には、第1係止部70の係止部材73が配置されるガイド孔部58uが設けられている。第1係止部70の係止部材73は、ガイド孔部58u(図6図8)から外側に突出しており、横幅方向に進退可能である。
このような第2ガイド部58tおよびガイド孔部58uは、底面部58aの横幅方向両側にそれぞれ位置している。
【0101】
吸振材ホルダ58mは、図7に示す吸振材78を保持する。吸振材ホルダ58mの形状は、吸振材78が保持できれば特に限定されない。図8に示す例では、吸振材ホルダ58mは、横幅方向に平行する平板状の突起を有する。吸振材ホルダ58mの突出方向(-Z方向)の端部には、+Z方向へ凹む保持溝58vが形成されている。保持溝58vは、吸振材78を挿着するための溝である。
吸振材ホルダ58mの配置位置および個数は特に限定されない。図7に示す例では、吸振材ホルダ58mは、底面部58aの横幅方向における中心に位置する。吸振材ホルダ58mの奥行方向における位置は、各ガイド溝58kの+Y方向の端と略同じである。
【0102】
吸振材78は、操作部材59の移動時に、操作部材59から昇降台本体58に作用する衝撃による打撃音を低減するために設けられる。例えば、吸振材78は、衝撃吸収性を有するエラストマーで形成される。
図7に示す例では、吸振材78は、操作部材59からの衝撃力によって変形可能なヘッド部78aと、吸振材ホルダ58mの保持溝58vに挿着される取付部78bと、を有する。取付部78bは、ヘッド部78aとの間に吸振材ホルダ58mを挟持する。
【0103】
固定用ボス58q、58sは、下カバー60を昇降台本体58にネジで固定するために設けられている。固定用ボス58q、58sは、下カバー60の下面を、昇降台本体58の前端板部58bの下端の位置に合わせて固定できる高さを有する筒状突起である(図8)。固定用ボス58q、58sの中心部には、ビス76(図7)が螺合可能な固定穴が形成されている。
固定用ボス58qは、吸振材ホルダ58mの-Y方向側において吸振材ホルダ58mと対向する位置に設けられている。
固定用ボス58sは、各第2ガイド部58tの-Y方向側において各第2ガイド部58tと対向する位置にそれぞれ設けられている。
【0104】
(操作部材)
操作部材59は、昇降台本体58と、後述する下カバー60との間において、奥行方向(Y方向)に移動可能に挟持される。
操作部材59は、操作部59a、付勢部材ホルダ59b、ガイドリブ59c、および押圧部材59dと、を有する。
操作部59aは、横幅方向に延びるフレーム状であり、昇降台本体58の前端板部58bと対向するように配置されている。操作部59aの下面側には、下方からユーザーの手先が入る溝部59h(図6)が開口している。
【0105】
付勢部材ホルダ59bは、操作部材59を-Y方向に付勢する付勢部材77を保持する枠体である。付勢部材ホルダ59bは、操作部59aの移動方向(Y方向)に長さを有した矩形枠状を呈し、付勢部材77を係止する係止部59iと、係止部59iから操作部59a側へ向かって延在するガイド軸59jを有する。
【0106】
付勢部材ホルダ59bに保持される付勢部材77は、例えば、圧縮コイルバネである。付勢部材77は上記ガイド軸59jに外挿され、その一端側が係止部59iに係止するとともに、他端側が昇降台本体58側の係止部58pに係止する。これにより、図6に示すように、付勢部材77は、操作部材59と昇降台本体58との間に配置され、昇降台本体58に対して操作部材59を-Y方向へ付勢する。
【0107】
一対のガイドリブ59cは、それぞれが操作部59aの移動方向(Y方向)に沿って延びる突起である。各ガイドリブ59cは、横幅方向(X方向)に互いに間隔をあけて配置され、各付勢部材ホルダ59bのX方向の外側にそれぞれ位置する。
一対のガイドリブ59kは、ガイドリブ59cに平行し、それぞれが操作部59aの移動方向(Y方向)に沿って延びる突起である。各ガイドリブ59kは、ガイドリブ59cよりも狭い間隔をあけて配置され、各付勢部材ホルダ59bのX方向内側にそれぞれ位置する。
これらガイドリブ59c,59kは、昇降台本体58の裏面側に形成されたガイド溝58k内に挿入され、各ガイド溝58kに沿って奥行方向に移動可能である。
このようなガイドリブ59c,59kは、横幅方向に複数設けられるとともにこれらの間に位置する複数の板部59mを介して互いに接続されている。
【0108】
以下では、図6に示すように、付勢部材77の付勢力によって、操作部材59が最も-Y方向に移動した時の位置を係止位置と称する。図示はしないが、ユーザーの操作によって、操作部59aが最も+Y方向に移動した時の位置を係止解除位置と称する。
【0109】
係止位置から係止解除位置までの奥行方向の移動距離(以下、移動距離)は、係止位置において、各ガイド溝58kに挿入されているガイドリブ59kの長さ(以下、挿入長さ)よりも短い。これにより、操作部材59が係止解除位置に移動しても、各ガイドリブ59kの全体が各ガイド溝58kから引き抜かれることはない。
【0110】
図7に示すように、-X方向側のガイドリブ59cにおいては最も-X方向側に、押圧部材59dが設けられている。また、+X方向側のガイドリブ59cにおいては最も+X方向側に、押圧部材59dが設けられている。各押圧部材59dは、ガイドリブ59c,59kのそれぞれと接続されている。
押圧部材59dは、操作部材59の奥行方向の移動量に応じて、後述する第1係止部70を操作部材59の移動方向に交差する方向へ移動させる。
押圧部材59dは、ガイドリブ59kに平行な平板部59gと、平板部59gから外側に突出した突起部59e、とを有する。
【0111】
突起部59eは、+Z方向から見ると、突出方向に頂部59fを有する山形である。頂部59fは、平板部59gに平行な平面でもよいし、+Z方向から見て凸円弧状の湾曲面でもよい。図7に示す例では、+Z方向から見た突起部59eの外形は二等辺三角形状であり、頂部59fは凸円弧状の湾曲面である。
突起部59eの奥行方向の幅は、操作部材59の移動距離の約2倍である。
突起部59eは、図8に示す昇降台本体58の第2ガイド部58t内に位置する。
【0112】
本実施形態の操作部材59は、操作部59a、付勢部材ホルダ59b、ガイドリブ59c、および押圧部材59dが互いに一体に形成されている。このため、水平面内における操作部材59の蛇行、回転が抑制されるので、操作部材59は、奥行方向に沿って直動することができる。
【0113】
(下カバー)
図6及び図7に示すように、下カバー60は、昇降台本体58に、操作部材59、各付勢部材77、吸振材78、および各第1係止部70が装着された状態で、昇降台本体58の下面を覆う箱型である。下カバー60は、昇降台本体58とともに、昇降台67の底板部の外形を形成する。下カバー60は、横幅方向において非対称な形状である。
底板部60aのY方向から見た外形は、+Y方向の端部に操作部59aが挿入可能な切り欠き60hを有する以外は、昇降台本体58の底面部58aと略同様である。
【0114】
下カバー60は、図7に示すように、底板部60aと、底板部60aの外縁から+Z方向に延びる第1側板部60e、60fと、切り欠き壁部60xと、一対の第2側板部60b,60cと、段部60gと、を有する。
【0115】
底板部60aにおいて、昇降台本体58に固定するためのビス76を挿通する貫通孔を有したネジ止め用ボス60d、60fが設けられている。図6に示すように、ネジ止め用ボス60d、60fの裏面側は、ビス76のネジ頭が突出しないように、+Z方向に陥没している。
底板部60aは、切り欠き60hを除いて、昇降台67の底面を形成している。
【0116】
第1側板部60e、60fおよび切り欠き壁部60xは、底板部60aのうち、+Y方向側の幅広部側の周縁に沿って設けられる。第2側板部60b,60cは、底板部60aのうち、-Y方向側の幅狭部側の周縁に沿って設けられる。
【0117】
第1側板部60eは、幅広部の横幅方向の+X側の端縁から+Y側の端縁の一部にかけて設けられている。
第1側板部60fおよび切り欠き壁部60xは、上記幅広部の横幅方向の-X側の端縁に設けられている。切り欠き壁部60xは、上面視において、第1側板部60fから+Y方向へ向かうにしたがって+X方向側へ傾斜しており、第1側板部60fから切り欠き60hにかけて斜めに設けられる。
【0118】
第2側板部60b,60cは、底板部60aの-Y方向側における幅狭部の横幅方向の両端縁にそれぞれ設けられている。
段部60gは、奥行方向に直交する平板状である。段部60gは、底板部60aの横幅方向の両側にそれぞれ配置される。-X方向側に位置する段部60gは、第2側板部60bと第1側板部60eとを接続し、+X方向側に位置する段部60gは、第2側板部60bと、第1側板部60fとを接続する。
【0119】
昇降台本体58に対して下カバー60が装着された際、下カバー60の周壁を構成する第1側板部60e、60f、切り欠き壁部60x、第2側板部60b,60c、および段部60g(以下、側周壁)は、昇降台本体58の下端側周壁の内側に挿入される。
【0120】
下カバー60は、下方から、昇降台本体58の下部にはめ込まれた状態で、ネジ止めされる。具体的には、ネジ止め用ボス60d、60e、60fに挿入された複数のビス76が、固定用ボス58q、58sに螺合されることによって、下カバー60が昇降台本体58に固定される。
下カバー60の底板部60aは、一定の隙間を空けて底面部58aと平行に配置される。このため、底板部60aと底面部58aとに挟まれる各部材の位置を、上下方向において規制する。これにより、底板部60aと底面部58aとに挟まれる部材の上下方向の変位を抑制できる。例えば、底板部60aは、付勢部材ホルダ59b、付勢部材ホルダ59b内の付勢部材77、およびガイドリブ59cの上下方向への振れを抑制できる。この結果、操作部材59の奥行方向の移動が円滑になる。
【0121】
(第1係止部)
次に、第1係止部70について説明する。
上述したように、第1係止部70は、横幅方向における昇降台67の両端部にそれぞれ設けられている。以下では、+X方向側に配置された第1係止部70の例で説明する。
【0122】
図7に示すように、第1係止部70は、第1ホルダ71、係止部材73、付勢部材(不図示)、および第2ホルダ75を備える。
【0123】
第1ホルダ71は、+X方向に開口する直方体状の箱である。
係止部材73は、第1ホルダ71内に挿入される。
付勢部材は、第1係止部70において第1ホルダ71に挿入された係止部材73と、後述する第2ホルダ75との間に配置されており、係止部材73を+X方向に付勢する。付勢部材としては圧縮コイルバネを用いることができる。
【0124】
第2ホルダ75は、第1ホルダ71の+X方向の端部に固定され、第1係止部70における+X方向の端部を構成する。
第2ホルダ75は、突起部75aと、連結部75fと、を有する。突起部75aの外形は、+Z方向から見ると、突出方向に頂部75bを有する山形である。頂部75bは、平面でもよいし、+Z方向から見て凸円弧状の湾曲面でもよい。
図7に示す例では、突起部75aの山形形状は、二等辺三角形状であり、頂部75bは凸円弧状の湾曲面である。
突起部75aの傾斜は、突起部59eの傾斜以上であれば特に限定されない。図7に示す例では、突起部75aの傾斜は、上述の突起部59eの傾斜と略等しい。
連結部75fは、奥行方向における突起部75aの両端部から、それぞれ+X方向に突出する片状である。
【0125】
図6および図7に示すように、組立状態の第1係止部70は、第1ホルダ71と第2ホルダ75とが連結されて形成される内部空間に、付勢部材と、係止部材73と、が収容され、第1ホルダ71内から+X方向に係止部材73の一部が突出している。係止部材73の+X方向への突出量が最大となる位置を、第1係止部70の係止位置と称する。
【0126】
係止位置にある第1係止部70の係止部材73は、昇降台本体58のガイド孔部58u(図6)を通じて第2側壁部58dの外側に延出している。
【0127】
本実施形態では、付勢部材77および係止部材73が略同軸上に直列に配置されており、第1ホルダ71から突出する係止部材73は、付勢部材77の内部に挿通されている。このため、付勢部材77、係止部材73、第1ホルダ71、および付勢部材77は、互いに略同軸上に配置されている。
【0128】
ここで、第1係止部70および操作部材59の動作について説明する。
上述したように、第1係止部70の係止位置では、横幅方向における第1ホルダ71および第2ホルダ75の位置が固定されている。これに対して、係止部材73は、第1ホルダ71および第2ホルダ75の内部において付勢部材に付勢されているが、+X方向には移動可能である。このため、係止部材73の+X方向の先端を付勢部材の付勢力よりも大きな力で-X方向に押圧すると、係止部材73が-X方向に移動し、その先端がガイド孔部58uの内部に引っ込む状態とすることができる。
【0129】
操作部材59がユーザーによって、+Y方向へ引かれて係止解除位置に移動されると、図7に示す各押圧部材59dが、付勢部材77による付勢力に抗して+Y方向に移動する。
各押圧部材59dが+Y方向に移動すると、付勢部材77によって押圧部材59dに向かって付勢された第1係止部70は、それぞれ押圧部材59dに向かって移動する。
押圧部材59dが、図8に示す第2ガイド部58tの開口から退避すると、各第1係止部70は、それぞれ平板部59gに向かって同時に移動し、頂部75bが平板部59gに当接する。これにより、本実施形態では、第1ホルダ71から突出した係止部材73も-X方向に平行移動することによって、ガイド孔部58uの内側に引っ込む。すなわち、係止部材73は、付勢部材によって横幅方向外側に向かって付勢されている状態で、ガイド孔部58uの内側に待避する。
このようにして、操作部材59が係止解除位置に移動すると、第1係止部70が移動して各係止部材73の先端部が、ガイド孔部58uから飛び出さない状態が得られる。この状態では、各第1係止部70の係止部材73は、レール部64の係止板64eに係止できない(係止不能位置)。
【0130】
ユーザーが操作部59aから手を離すと、操作部材59は、付勢部材77の付勢力によって-Y方向に移動するため、操作部材59および各第1係止部70は、それぞれの係止位置に戻る。このとき、付勢部材77からの付勢力を受けて移動する操作部材59は、例えば、昇降台本体58の部材と衝突することなく、吸振材78に当たる。操作部材59の運動エネルギーは吸振材78に吸収されて、操作部材59が係止位置に停止する。このため、操作部材59の衝撃による打撃音が低減される。
【0131】
吸振材78を通して昇降台本体58にはある程度の衝撃力は、昇降台本体58に伝わる。本実施形態では、昇降台本体58は、付勢部材77の伸縮および操作部材59の打撃によって外力が作用する。固定用ボス58s、58qは、外力が作用する各係止部58pおよび保持溝58vと、外力の方向において対向する位置に、設けられている。このため、固定用ボス58s、58qにて下カバー60がネジ止めされることで、外力に効率的に抗する補強構造が得られる。この結果、衝撃力等の外力がある程度、昇降台本体58に伝わっても、振動が抑制されるので、安定した操作感が得られる。
【0132】
本実施形態では、係止部材73は、その係止位置においては、ガイド孔部58uの外側に突出しており、係止部材73に作用する外力によっては、ガイド孔部58uの内側に退避する。同様に、操作部材59が係止解除位置に移動すると、第1係止部70全体が平行移動して係止不能位置に移動する。
【0133】
次に、上段扉収容ケース56A、および中段扉収容ケース56Bの冷蔵室扉12への装着時の係止構造について説明する。
図2に示すように、上段扉収容ケース56Aおよび中段扉収容ケース56Bは、図3に示す一対のレール部64の上下方向にそれぞれ設けられた複数の係止板64eのうち、所定位置の係止板64eに対して上側から係止してそれぞれ装着されている。
図6に示すように、上段扉収容ケース56Aおよび中段扉収容ケース56Bの底面側に配置された操作部材59が係止位置にあるとき、第2側壁部58dのガイド孔部58uを通じてY方向外側に、係止部材73の本体部73aが突出している。本体部73aは、所定位置の係止板64eに上側から係止している。
【0134】
上段扉収容ケース56Aおよび中段扉収容ケース56Bにおける各係止突起58Aおよびガイド部58Bは、レール部64を挟んでいる。各扉収容ケース56A,56Bの重力によって、係止部材73の先端側の下面は、係止板64eの係止面64iに押し付けられている。
【0135】
上段扉収容ケース56Aおよび中段扉収容ケース56Bにおける各間隔規制ストッパ58cAは、各扉収容ケース56A,56Bの重力によって、冷蔵室扉12における内面部材53の内面53aに押し付けられる。
【0136】
上段扉収容ケース56Aの重心はレール部64よりも冷蔵室27側(+Y方向)にあるので、係止突起58Aの上端部は、第2レール部64bを冷蔵室27側に押圧している。
装着時の上段扉収容ケース56Aおよび中段扉収容ケース56Bは、冷蔵室27側に引き抜き不能であり、-Z方向の下降が抑制されている。
【0137】
本実施形態では、ユーザーが、以下に説明する各操作を行うことによって、上段扉収容ケース56A、および中段扉収容ケース56Bをそれぞれ上下方向へ移動できる。
【0138】
(上方移動:押し上げ操作)
上段扉収容ケース56A、および中段扉収容ケース56Bを上方へ移動させるためには、押し上げ操作を行う。
押し上げ操作は、ユーザーが、上段扉収容ケース56Aあるいは中段扉収容ケース56Bに上方に力を加えて、+Z方向に移動させる操作である。ユーザーは、上段扉収容ケース56Aあるいは中段扉収容ケース56Bのどこに力を加えてもよいが、昇降台67の下面に手を当てて上段扉収容ケース56Aあるいは中段扉収容ケース56Bを押し上げると、第1係止部70の係止位置の近くで上向きの力を加えることができるため、より円滑な操作が可能である。
【0139】
昇降台67の下面を押し上げる場合、例えば、上段扉収容ケース56Aあるいは中段扉収容ケース56Bの上端部を把持して持ち上げる場合に比べて、力を入れやすくなり、背の低いユーザーでも上段扉収容ケース56Aあるいは中段扉収容ケース56Bを容易に上方へ移動させることができる。
【0140】
本実施形態における係止構造には、上段扉収容ケース56Aあるいは中段扉収容ケース56Bを上方から係止する部材は存在しないので、ユーザーが上段扉収容ケース56Aあるいは中段扉収容ケース56Bに上向きの力を加えると、上段扉収容ケース56Aあるいは中段扉収容ケース56Bがレール部64に沿って上昇可能である。
【0141】
係止部材73が、レール部64上の最も近い係止板64eの位置まで上昇すると、係止部材73と係止板64eとが当接し、係止板64eからの反作用の水平成分によって係止部材73が内側に押し込まれて、当接した係止板64eを乗り越えることができる。
【0142】
係止部材73が、当接した係止板64eの上側の凹部に達すると、レール部64からの係止部材73を押し込む反作用がなくなるので、係止部材73が、昇降台本体58のガイド孔部58uから外側に突出する。このときユーザーが、手を離して押し上げ操作を停止すれば、係止部材73は、乗り越えた係止板64eに上方から係止する。
【0143】
このような押し上げ操作により、ユーザーは、上段扉収容ケース56Aあるいは中段扉収容ケース56Bを上方に移動して、より上側の係止板64eに対して、上段扉収容ケース56A、中段扉収容ケース56Bを係止させることができる。これにより、水平方向において互いに対向する一対のレール部64における上下位置の等しい任意の係止板64eに対して、上段扉収容ケース56Aおよび中段扉収容ケース56Bをそれぞれ係止させることができる。
【0144】
押し上げ操作では、上段扉収容ケース56Aをより上側に係止することはできるが、上段扉収容ケース56Aを下降させることはできない。このため、例えば、上側の係止板64eの上方に達する前に手を外してしまった場合でも、係止部材73が、最も近い下側の係止板64e上に確実に係止される。したがって、押し上げ操作においては、上段扉収容ケース56Aが落下することが防止される。
【0145】
(下方移動:係止解除操作)
係止解除操作は、レール部64に対する係止部材73による上下方向の係止を強制的に解除する操作である。
本操作では、ユーザーは、操作部材59を操作して操作部材59を係止解除位置に移動させる。例えば、ユーザーは、手で、操作部59aと、昇降台本体58の前端板部58bの下端と、を奥行方向に挟持することによって、操作部材59を+Y方向に移動させる。本実施形態では、操作部59aが前端板部58bに最も近づいたとき、操作部材59は係止解除位置に移動する。
係止解除位置では、各係止部材73が、昇降台本体58の第2側壁部58dの内側に引っ込むので、レール部64に対する係止部材73の係止が解除される。
ユーザーが、移動先において、操作部59aと、昇降台本体58の前端板部58bの下端との把持を解除すると、付勢部材77の付勢力によって、係止部材73が第2側壁部58dの外部に突出するので、最も近い下側の係止板64eの上側の凹部に係止部材73が突出する。この状態で手を離すことにより、移動先において最も近い下側の係止板64e上に係止部材73が係止する。
【0146】
このような係止解除操作により、ユーザーは、上段扉収容ケース56Aおよび中段扉収容ケース56Bを下方へ移動して、より下側の係止板64eに対して、上段扉収容ケース56A、中段扉収容ケース56Bを係止させることができる。これにより、水平方向において互いに対向する一対のレール部64における上下位置の等しい任意の係止板64eに対して、上段扉収容ケース56Aおよび中段扉収容ケース56Bをそれぞれ係止させることができる。
【0147】
このように、ユーザーは、上段扉収容ケース56Aおよび中段扉収容ケース56Bの移動可能範囲内であれば、上段扉収容ケース56Aおよび中段扉収容ケース56Bを、上下方向へ、それぞれ個別に自由に移動させることができる。
【0148】
本実施形態の上段扉収容ケース56Aおよび中段扉収容ケース56Bによれば、押し上げ操作、係止解除操作のいずれでも、ユーザーは上段扉収容ケース56Aおよび中段扉収容ケース56Bの正面において、片手による簡単な操作で上段扉収容ケース56Aおよび中段扉収容ケース56Bを移動させることができる。
【0149】
ここで、上段扉収容ケース56A、および中段扉収容ケース56Bの移動可能範囲について説明する。
本実施形態における上段扉収容ケース56Aの最上位置は、レール部64の上端板64gの位置によって規制される。上段扉収容ケース56Aは、レール部64の上端板64gの真下に位置する最上位の係止板64eに対して係止した位置が、上方へ移動できる上限となる。
一方、上段扉収容ケース56Aの最下位置は、当該上段扉収容ケース56A側の一対の間隔規制ストッパ58cAによって規制される。すなわち、上段扉収容ケース56Aを下降させた際に、各間隔規制ストッパ58cAが、真下に位置する中段扉収容ケース56Bの上端に当接することによって、それより下方への移動が規制される。このため、上段扉収容ケース56Aの下限位置は、中段扉収容ケース56Bの位置によって変化する。
このように、上段扉収容ケース56Aは、一対の間隔規制ストッパ58cAによって下方への移動が規制され、真下に位置する中段扉収容ケース56Bに近づき過ぎるのを防いでいる。間隔規制ストッパ58cAによって、上段扉収容ケース56Aと中段扉収容ケース56Bとの間に所定の隙間が形成される構成とすることで、上段扉収容ケース56Aを下降させた際に、収容物の重さによって上段扉収容ケース56Aが中段扉収容ケース56Bに接近しすぎるのを防ぐことができる。これにより、上段扉収容ケース56Aと中段扉収容ケース56Bとの間にユーザーが手や指を挟む心配がなくなる。上段扉収容ケース56Aと中段扉収容ケース56Bとの間に形成される隙間の大きさは、上段扉収容ケース56Aにおける間隔規制ストッパ58cAの上下方向の長さにより変更することができる。
【0150】
本実施形態における中段扉収容ケース56Bの移動範囲は、例えば、上段扉収容ケース56Aの位置と、下降位置規制部53dとによって設定される。
中段扉収容ケース56Bの最上位置は、上段扉収容ケース56Aの位置によって変化する。すなわち、中段扉収容ケース56Bを上昇させた際に、その上端側が、上段扉収容ケース56A側の間隔規制ストッパ58cAに当接することによって、それより上方への移動が規制される。
一方、中段扉収容ケース56Bの最下位置は、係止突起58Aの下端が下降位置規制部53dに上方から係止する位置である。本実施形態の中段扉収容ケース56Bは、上段扉収容ケース56Aと同様の形状であり、冷蔵室扉12に対して互いに付け替えることが可能である。そのため、中段扉収容ケース56Bにも一対の間隔規制ストッパ58cAが存在するが、最下位置に移動した際にも下段扉収容ケース56Cと当接することはない。すなわち、中段扉収容ケース56Bにおける係止突起58Aが下降位置規制部53dに係止した最下位置にあるとき、中段扉収容ケース56Bと下段扉収容ケース56Cとの上下方向の間隔は、上段扉収容ケース56Aの間隔規制ストッパ58cAが中段扉収容ケース56Bに当接した状態であって、上段扉収容ケース56Aと中段扉収容ケース56Bとが最も接近した位置にあるときの間隔と、同じか、それ以上の大きさとなる。
このように、中段扉収容ケース56Bでは、一対の間隔規制ストッパ58cAではなく、下降位置規制部53dによって下方への移動が規制され、真下に位置する下段扉収容ケース56Cに接近し過ぎるのを防いでいる。これにより、中段扉収容ケース56Bと下段扉収容ケース56Cとの間にユーザーが手や指を挟む心配がなくなる。中段扉収容ケース56Bと下段扉収容ケース56Cとの間に形成される隙間の大きさは、上下方向における下降位置規制部53dの位置により変更することができる。
なお、中段扉収容ケース56Bにおいても間隔規制ストッパ58cAがあることによって、収容物の重さによって中段扉収容ケース56Bの冷蔵室27側が下方へ傾くのを防ぐことができる。
【0151】
以上説明したように、本実施形態の冷蔵庫1によれば、上段扉収容ケース56A、および中段扉収容ケース56Bを上下方向における任意の位置へ移動させる際に、上下方向に配置された扉収容ケース56同士の間隔を規制することで、上下方向で隣り合う扉収容ケース56同士の間にユーザーの指や手を挟むことのない冷蔵庫1を提供することができる。
【0152】
本発明の一実施形態を説明したが、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0153】
なお、本実施形態では、上段扉収容ケース56Aおよび中段扉収容ケース56Bを冷蔵室扉12に対して付け替えられる構造のため、これら上段扉収容ケース56Aおよび中段扉収容ケース56Bは互いに等しい形状をなすが、各扉収容ケース56A,56Bがレール部64に対して着脱不可な構造である場合、互いに異なる形状にしてもよい。例えば、中段扉収容ケース56Bと下段扉収容ケース56Cとの間隔は、下降位置規制部53dによって規制されることから、中段扉収容ケース56Bに間隔規制ストッパ58cAを設けなくてもよい。
また、上下に並ぶ各扉収容ケース56どうしの間隔を所定の間隔に規制することができれば、間隔規制ストッパ58cAの位置、数、形状等を適宜変更することが可能である。
また、例えば、中段扉収容ケース56B、下段扉収容ケース56Cにおける各昇降台本体58の第1壁部58cの上端よりも上方へ向かって突出するように間隔規制ストッパ58cAを設けて、それぞれの真上に位置する他の扉収容ケース56との間隔を規制する構成としてもよい。
【0154】
あるいは、上段扉収容ケース56Aには間隔規制ストッパ58cAを設けず、中段扉収容ケース56Bだけに間隔規制ストッパ58cAを設けてもよい。この場合、中段扉収容ケース56Bにおける各第2側壁部58dの上端から上段扉収容ケース56Aへ向かって突出するように間隔規制ストッパ58cAを設けることが好ましい。
【0155】
また、本実施形態では、上段扉収容ケース56A、中段扉収容ケース56Bにおける昇降台本体58の第1壁部58c側に間隔規制ストッパ58cAを設けた構成としたが、これに限られず、各ケースにおける横幅方向の両側の各第2側壁部58dに間隔規制ストッパ58cAをそれぞれ設けてもよい。
例えば、上段扉収容ケース56A、中段扉収容ケース56Bにおける各第2側壁部58d側に間隔規制ストッパ58cAを設けてもよい。この場合、例えば、図4中の破線で示すように、第2側壁部58dの外面に設けられた係止突起58Aに連続して、その延長上に間隔規制ストッパ58cAが存在するように設けてもよい。
【0156】
あるいは、扉収容ケース56の第1壁部58cだけ、あるいは第2側壁部58dだけに間隔規制ストッパ58cAを設けるのではなく、第1壁部58cおよび第2側壁部58dの両方に間隔規制ストッパ58cAをそれぞれ設ける構成としてもよい。この場合、第1壁部58c、第2側壁部58dに設けた間隔規制ストッパ58cAの突出方向がそれぞれ同じでもよいし、異なっていてもよい。
【0157】
なお、第2側壁部58d側に間隔規制ストッパ58cAを設ける場合にも、間隔規制ストッパ58cAの-Y側の端面が、内面部材53の内面53aあるいは段部53cの端面53cyに接していることが好ましい。これにより、扉収容ケース56内に収容された収容物の重さによって、内面部材53の内面53aあるいは段部53cの端面53cyに押し付けられて、扉収容ケース56の冷蔵室27A側が下方へ傾くのを規制することができる。
このように、第1壁部58cおよび第2側壁部58dのうち、少なくともいずれか一方に間隔規制ストッパ58cAを設けることによって、他の扉収容ケース56との間隔を規制することができる。
【0158】
なお、第2側壁部58d側に設けられた間隔規制ストッパ58cAは、一対のリブ61C,61Dの内側を向く各側面S1,S2に沿って延在し、側壁リブに61C,61Dの内側に間隔規制ストッパ58cAが隠れるため、目立たなくすることができる。
【0159】
例えば、間隔規制ストッパ58cAは、その上下方向における先端(上端あるいは下端)側に、他の扉収容ケースに当接した際の衝撃を緩和するための緩衝材を有していてもよい。この場合、間隔規制ストッパ58cAは、上下方向における先端側に平面を有することが好ましい。これにより、緩衝材の取付作業が容易であるとともに緩衝材をしっかり固定することができるため、間隔規制ストッパ58cAからの脱落を防ぐことができる。
【0160】
また、例えば、間隔規制ストッパ58cAを、下カバー60に設けてもよい。
この場合、下カバー60の底板部60aから真下に位置する他の扉収容ケース56に向けて間隔規制ストッパ58cAを設けることが好ましい。間隔規制ストッパ58cAを下カバー60に設けることによって、損傷した場合など、下カバー60を付け替えるだけでよいことから交換作業が容易である。
【0161】
また、例えば、間隔規制ストッパ58cAのさらなる強度を確保するため、中実形状としてもよい。
【0162】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、貯蔵室を含む冷蔵庫本体と、貯蔵室を開閉可能に閉じる扉と、扉の内側において上下方向に配置される複数の扉収容ケースと、を備える冷蔵庫において、複数の扉収容ケースのうち少なくとも1つは昇降台を有する。昇降台は、扉に対して係止する係止部材と、係止部材の前記扉に対する係止を解除する係止解除機構と、扉に設けられるレール部に沿って上下方向に移動可能な昇降台本体と、上下方向に配置された他の前記扉収容ケースに向かって突出し他の扉収容ケースに当接可能な間隔規制ストッパと、を有する。間隔規制ストッパは、前記昇降台本体と一体に形成されているので、上下方向に配置された扉収容ケース同士の間隔を規制して、移動操作中にユーザーの指や手を挟むことのない冷蔵庫を提供することができる。
【0163】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0164】
1…冷蔵庫、5…冷蔵庫本体、11…扉、12…冷蔵室扉(第1の冷蔵室扉、扉)、13…冷蔵室扉(扉)、27…冷蔵室(貯蔵室)、53a…内面、56…扉収容ケース、57…ケース本体、58c…第1壁部、58cA…間隔規制ストッパ、58d…第2側壁部(第2壁部)、64…レール部、67…昇降台、73…係止部材、80…係止解除機構、L…長さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8