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特許74380723つの誘電材料の電気流体力学的パターニング
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-15
(45)【発行日】2024-03-01
(54)【発明の名称】3つの誘電材料の電気流体力学的パターニング
(51)【国際特許分類】
   B29C 59/00 20060101AFI20240216BHJP
   H01L 21/027 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
B29C59/00 C
H01L21/30 502D
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020155846
(22)【出願日】2020-09-16
(65)【公開番号】P2021059111
(43)【公開日】2021-04-15
【審査請求日】2023-09-19
(31)【優先権主張番号】16/590,902
(32)【優先日】2019-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】504407000
【氏名又は名称】パロ アルト リサーチ センター,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・ベネディクト
(72)【発明者】
【氏名】デヴィッド・マシュー・ジョンソン
(72)【発明者】
【氏名】エリフ・カラタイ
(72)【発明者】
【氏名】エリック・ウェフレン
(72)【発明者】
【氏名】ラヴィ・ニーラカンタン
【審査官】▲高▼村 憲司
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-144724(JP,A)
【文献】特開2015-020435(JP,A)
【文献】特開2015-020434(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0178167(US,A1)
【文献】特開2018-161863(JP,A)
【文献】特開2017-183397(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 59/00 - 59/18
H01L 21/027
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気流体力学的に少なくとも1つの被パターニング材料をパターニングする連続製造システムであって、
第1の電圧を有する第1の電極を含む第1のベルトと、
前記第1の電圧とは異なる第2の電圧を有する第2の電極を含む第2のベルトと、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に存在する、少なくとも1つの前記被パターニング材料と、
前記少なくとも1つの被パターニング材料のうちの少なくとも1つの表面と、前記第1の電極又は前記第2の電極のうちの1つとの間の間隙と、
前記被パターニング材料の表面に、前記間隙を部分的にのみ充填するように堆積させられた少なくとも1つの除去可能なパターニング材料であって、前記少なくとも1つの除去可能なパターニング材料は空気以外の材料であり、前記少なくとも1つの被パターニング材料と異なる誘電率、前記少なくとも1つの被パターニング材料と異なる導電率の1つを有するか、または、前記間隙中の電界強度を変更して前記少なくとも1つの除去可能なパターニング材料に電界の印加に対して異なる反応を起こさせて前記少なくとも1つの前記被パターニング材料中に所望のパターンを形成させる、少なくとも1つの除去可能なパターニング材料と、
前記間隙を充填する、少なくとも1つの充填材料と、を備えるシステム。
【請求項2】
前記第1の電極及び前記第2の電極のうちの少なくとも1つは、前記第1の電極と前記第2の電極との間の間隙が空間内で不均一であるようにパターニングされる、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1の電極及び前記第2の電極のうちの少なくとも1つは、前記第1の電極と前記第2の電極との間の電界が空間内で不均一であるように空間的に不均一な電圧を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記被パターニング材料のうちの前記少なくとも1つは、前記第1のベルト及び前記第2のベルトのうちの1つと少なくとも部分的に接触して存在する、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記少なくとも1つの除去可能なパターニング材料は導電性である、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記少なくとも1つの被パターニング材料は導電性である、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記少なくとも1つの除去可能なパターニング材料は、前記少なくとも1つの被パターニング材料に形成される前記所望のパターンに基づいて物理的にパターニングされる、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記電極の少なくとも一部はパターニングされた特徴を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記少なくとも1つの充填材料は気体を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
電気流体力学的に少なくとも1つの被パターニング誘電材料をパターニングする連続製造システムであって、
第1の電圧を有する第1の電極を含む第1のベルトと、
第2の電圧を有する第2の電極を含む第2のベルトと、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に存在する、少なくとも1つの被パターニング誘電材料を含む第1の材料であって、前記第1の材料は、前記第1の電極と前記第2の電極との間に形成された電界に応答し、前記少なくとも1つの被パターニング誘電材料は前記第1のベルトに直接、かつ接触して存在する、第1の材料と、
前記第1の材料の表面と第2のベルトとの間の間隙と、
前記少なくとも1つの被パターニング誘電材料の表面の上に選択的に位置する、少なくとも1つの除去可能なパターニング材料を含む第2の材料であって、その結果、前記少なくとも1つの被パターニング誘電材料の所望のパターンに従って前記少なくとも1つの除去可能なパターニング材料が前記間隙の一部のみを充填し、前記少なくとも1つの被パターニング材料と異なる誘電率を有し、前記少なくとも1つの除去可能なパターニング材料に電界の印加に対して異なる反応を起こさせて前記所望のパターンを形成させる、第2の材料と、
前記所望のパターン中の前記少なくとも1つの被パターニング誘電材料を硬化させる効果装置と、
気体でない材料を含む、前記間隙内の充填材料を含む第3の材料と、を備えるシステム。
【請求項11】
前記第1の電極及び前記第2の電極のうちの少なくとも1つは、前記第1の電極及び前記第2の電極のうちの前記少なくとも1つの電圧プロファイル又はこれらの電極間の間隙が空間内で不均一であるようにパターニングされる、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記少なくとも1つの誘電材料は、前記少なくとも1つの誘電被パターニング材料に形成される前記所望のパターンに基づいてパターニングされることになる、請求項11に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電気流体力学的パターニングに関し、より具体的には、材料の電気流体力学的パターニングに関する。
【背景技術】
【0002】
ポリマー材料、典型的には膜のパターニングは、多くの形態を取り得る。モールド又は押し型を使用してポリマー膜に圧縮成形し、次いでこの膜を硬化させて形状(本明細書では特徴と称する)を維持することができる。特徴は、膜に圧縮成形されたパターン若しくは他の形状、又は膜の表面の上方に延在する拡張部を含んでよい。しかしながら、モールドが摩耗し、モールドによって形成される特徴の精密度が低下することがある。極めて微細な特徴を伴う作業を行う場合、モールド又は押し型を取り外すことにより、特徴に損傷を生じさせる可能性がある。
【0003】
膜の電気流体力学的パターニングは、微細な特徴を有する膜を製造するための1つの解決策を提供する。電気流体力学的膜パターニング(EHD-FP)では、電界を制御して印加することにより、膜を「移動」させて、膜内にパターンなど所望の特徴を形成する。パターンが形成されると、システムは、膜を冷却してパターンを硬化する、熱又は紫外線などを使用して膜を硬化することなどによって、パターンを定位置に固定する。EHD-FPの利点は、モールド又は押し型の使用時に生じるような接触が存在しないことである。これにより、他の場合では押し型又はモールドの取り外しの影響を受け得る特徴を形成することができる。
【0004】
EHD-FPパターニングの限界は、膜の表面への特徴のエンボス加工、多層の特徴の形成、及びくっきりした特徴の実現が困難なことである。
【発明の概要】
【0005】
本明細書に示す態様によると、電気流体力学的に材料をパターニングするシステムが提供され、このシステムは、第1の電圧を有する第1の電極と、第1の電圧とは異なる第2の電圧を有する第2の電極と、第1の電極と第2の電極との間に存在する、1つ以上の被パターニング材料と、被パターニング材料のうちの少なくとも1つの少なくとも1つの表面と第1の電極又は第2の電極のうちの1つとの間の間隙と、間隙内の少なくとも1つのパターニング材料であって、空気以外の材料であるパターニング材料と、間隙の残部全てを充填する、少なくとも1つの充填材料と、を含む。
【0006】
本明細書に示す態様によると、電気流体力学的に膜をパターニングするシステムが提供され、このシステムは、第1の電圧を有する第1の電極と、第2の電極と、第1の電極と第2の電極との間に存在する、少なくとも1つの被パターニング誘電材料であって、第1の誘電材料は、第1の電極と第2の電極との間に形成された電界に応答する、少なくとも1つの被パターニング誘電材料と、第1の誘電材料の表面と第1の電極及び第2の電極のうちの少なくとも1つとの間の間隙と、少なくとも1つの被パターニング誘電材料の上に選択的に位置する、少なくとも1つのパターニング材料であって、その結果、少なくとも1つのパターニング材料は間隙の一部のみを充填する、少なくとも1つのパターニング材料と、間隙内の充填材料と、を含む。
【0007】
本明細書に示す態様によると、電気流体力学的に膜をパターニングする方法が提供され、この方法は、第1の電圧を有する第1の電極と、第1の電圧とは異なる第2の電圧を有する第2の電極との間の間隙に挿入されるように位置付けられた表面に、少なくとも1つの被パターニング材料を配置することと、少なくとも1つのパターニング材料は間隙を充填せず、少なくとも1つのパターニング材料は空気以外の材料であるように、少なくとも1つの被パターニング材料の上に少なくとも1つのパターニング材料を堆積させることと、第1の電極と第2の電極との間の間隙に電界を印加して、少なくとも1つの被パターニング材料に所定のパターンを形成させることと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】少なくとも1つのパターニング材料を使用して、電気流体力学的に材料をパターニングするシステムの実施形態を示す。
図2】少なくとも1つのパターニング材料を使用して、電気流体力学的に材料をパターニングするシステムの実施形態を示す。
図3】少なくとも1つのパターニング材料を使用して、電気流体力学的に材料をパターニングするシステムの実施形態を示す。
図4】少なくとも1つのパターニング材料を使用して、電気流体力学的に材料をパターニングするシステムの実施形態を示す。
【0009】
図5】少なくとも2つのパターニング材料を使用して、電気流体力学的に材料をパターニングするシステムの実施形態を示す。
【0010】
図6】少なくとも2つのパターニング材料を使用して、電気流体力学的に材料をパターニングするシステムの実施形態を示す。
【0011】
図7】少なくとも1つのパターニング材料を使用して、電気流体力学的に材料をパターニングするシステムの別の実施形態を示す。
図8】少なくとも1つのパターニング材料を使用して、電気流体力学的に材料をパターニングするシステムの別の実施形態を示す。
図9】少なくとも1つのパターニング材料を使用して、電気流体力学的に材料をパターニングするシステムの別の実施形態を示す。
【0012】
図10】ロールツーロール法を使用して、電気流体力学的に材料をパターニングするシステムの実施形態を示す。
【0013】
図11】少なくとも1つのパターニング材料を使用して、電気流体力学的に材料をパターニングする方法の一実施形態のフロー図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
電気流体力学的膜パターニング(EHD-FP)は、膜の表面を成形するために、電界をポリマー又は他の膜に印加することを含む。成形は、典型的には、膜を形成する材料に応答させる電界を印加することによって達成される。膜に形成されるパターンは、いくつか要因を挙げると、材料の粘度及び電界に対する応答性、膜の表面張力、及び印加電圧の関数である電界の強度、及び電極間の距離によって異なる。
【0015】
EHD-FPの利点は、被パターニング膜とパターニング装置との間に接触が存在しないことである。打ち抜き又は型打ちなど接触パターニング用途では、押し型又はモールドの取り外しは、結果として生じる構造を損傷又は変化させ得る。EHD-FPでは、特徴を損傷させ得る接触が存在しないので、より微細な特徴が形成され得る。
【0016】
本明細書の実施形態は、3つ以上の電気応答性材料を用いる。これらの材料は、異なる誘電率又は異なる導電率を有し得る。比誘電率とも称される誘電率は、材料の電気感受率と関連性があり、印加された電界に対する材料の応答性を含み得る。典型的なEHD-FPシステムでは、2つの誘電材料が使用される。典型的には、1つの材料は空気又は別の気体であり、第2の材料は、誘電流体の「被パターニング材料」である。電界が2つの誘電材料に印加されると、自然発生、又は電界成形に起因のいずれかによる電界強度の差異により、2つの誘電材料に正味運動を生じさせる。次いで、被パターニング材料は、得られたパターンを恒久的に保持するために固化され得る。
【0017】
本実施形態では、第3の材料を「パターニング」材料として使用することにより、他の2つの材料の電界に対する応答を変更することができる。パターニング材料は、異なる誘電率、若しくは導電性材料の場合には異なる伝導率を有し得る、又は電極と被パターニング材料との間の間隙を変更することによって電界強度を単純に変更し得る。複数の被パターニング材料、及び複数のパターニング材料を使用して、より複雑なパターンを作り出すことができる。本明細書の実施形態は、連続処理を可能にし、その結果、単一材料及び電界を使用して形成される特徴よりも微細な特徴を有する、より複雑なパターンを有し得る、商業的に有用な量のEHD膜をもたらす。
【0018】
以下の実施形態のうちのいくつかは、1つの被パターニング材料のみを使用するが、考察及び理解を容易にすることのみが目的であることに留意すべきである。上述のように、2つ以上の材料がパターニングされてよい。したがって、この考察では単一の被パターニング材料に着目しているが、これらの実施形態は、少なくとも1つの被パターニング材料に適用される。同様に、以下の実施形態のいくつかは、1つのパターニング材料を使用し、一部は2つのパターニング材料を使用する。これについてもまた、これに限定されるものではなく、何も示唆されるべきではない。加えて、本明細書の考察は、パターニング材料として空気又は他の気体を考慮しないが、電極及び/又は材料の間の間隙を充填するときには、「充填」材料と称されてよい。
【0019】
図1は、被パターニング材料、パターニング材料、及び間隙内の空気又は他の気体の少なくとも3つの材料を使用するEHDシステムの一実施形態を示す。2つ以上の被パターニング材料及び2つ以上のパターニング材料が存在してよい。システム10は、距離Dの間隙によって分離された2つの電極12及び14を有する。電極が活性化されると、それぞれ電圧を有し、これら2つの電圧は異なる。2つの電極間の間隙には、被パターニング材料16が存在する。被パターニング材料は、電極12の表面に存在するものとして示しているが、更なる図で論じるように、いずれかの電極の表面、又はそれらの間の中間面に存在してよい。第1の被パターニング材料は、xの厚さ又は高さを有し、パターニング材料は、zの厚さを有する。
【0020】
パターニング材料18は、第1の材料の上に存在する。パターニング材料18はまた、第1の材料の選択された領域でパターニングされ得る、又は単に堆積させられ得る。パターニング材料18はまた、いずれかの電極の上に堆積させられ得る。パターニング材料18自体がパターニングされる場合、典型的には、被パターニング材料16内に形成される所望のパターンに基づいてパターニングされる。パターニング材料16は、zの厚さを有する。いくつかの実施形態では、間隙Dの全高の選択的なパターニングが3誘電材料システムで生じてよく、異なる効果を生じさせることができる。
【0021】
一実施形態では、電極間の間隙内の残存空間20は、別の誘電材料で充填されてよい。この材料は、典型的には気体であるが、流体又は半固体材料であってよく、それぞれ独自の誘電率を有する。空気がパターニング材料と考えられ得る他のシステムとの混同を回避するために、本明細書の実施形態は、空気以外のものであるパターニング材料を有する。電界は、パターニング材料、被パターニング材料、及び空気又は他の気体の誘電率又は導電率の差異によって変更される。材料のうちの少なくとも1つは、他の2つとは異なる電気特性を有する必要がある。
【0022】
加えて、電極の活性化により、2つの電極間の誘電材料の全てに電界が印加される。典型的には、電極は、膜の積層体が、2つの電極間の領域として定義される活性領域内に入るまで電界を印加しない。パターニング材料は、活性領域内で被パターニング材料に適用され得るが、電極は、パターニング材料が適用されるまで活性化しないと考えられる。以下に記載するように、材料の積層体は、電極が常に「オン」状態である活性領域に搬入される可能性が高い。
【0023】
被パターニング材料がパターニング材料と共に電界の前に出ると、材料の誘電率の微分伝導率が、被パターニング材料の受ける電界差を引き起こす。この意味では、パターニング材料は、より伝統的なEHD-FP設定でパターニングされた電極とほぼ同様に機能し、膜の表面に圧力差を生じさせる。膜表面でのこの圧力差は、次に被パターニング材料を変形させ、パターニング材料の形状を反映させる。パターニング材料の選択並びに第3の材料及び被パターニング材料に対するパターニング材料の電気特性は、圧力差の大きさ及び方向を決定し、膜が電界差に基づいた異なる高さの特徴を有するようにさせる。
【0024】
電極12及び14のうちの少なくとも1つはまた、成形された電界又は非連続電界を発生させるパターンを有してよい。これは、空間内で不均一である、電極のうちの少なくとも1つの電圧プロファイルによって、又は図2に示すように、電極の形状を変更して不均一な間隙Dを作り出すことによって実現することができる。
【0025】
図2では、電極14は、電界の成形を可能にする、図1の形状とは異なる形状を有する。.この実施形態では、パターニング材料18は、独自のパターンを有する。図2の下の図は、結果として生じる被パターニング材料16の形状を示す。材料16は、パターニング膜18が電界の印加中に残存する領域から生じる、15など2つのより高い柱を有する。18の誘電率又は導電率は、材料に電極間の間隙を閉じるように試行させ、これにより、16の領域が電極14に向かって引き上げられる。ピラー17は、材料16の同一挙動から生じるが、材料16は、強い応答を有しない。
【0026】
この種の効果はまた、パターニング材料18でパターンを使用することなく達成可能である。図3に示すように、パターニング材料18は、被パターニング膜16の上に直接堆積させられる。この実施形態の電極14は、独自のパターンを有する。電界が印加されると、材料18は強く反応し、19などの柱に自身を引き込み、材料16に押し込む。材料16も反応し、21に示すように隆起し、また、18など柱に取って代わる。
【0027】
上述したように、パターニング材料は、図1に示す間隙D全体を充填することができる。図4は、パターニング材料18が、被パターニング材料の上面から上側電極まで延在する柱のパターンを有する実施形態を示す。図4の下の図は、この実施形態では成形されていない、電界の印加後に結果として生じたパターンを示す。材料は、材料18の柱が下側電極12に到達するように試行するか、又はそれに到達するように、電極間の間隙を埋めるように試行する。電界及び材料18の移動によって生じる変位に応答して、被パターニング材料16は上側電極に向かって隆起する。
【0028】
パターニングされた電極の追加、及び第2の材料をパターニングする、又は別の方法で第2の材料を選択的に堆積させる能力、並びに複数のパターニング材料及び複数の被パターニング材料の追加によって、パターン形成の更なる制御が可能となり、複数レベルのデザイン選択を提供して所望のパターンを実現する。
【0029】
図5は、他のパターニング材料とは異なり、空気又は気体を含まない追加パターニング材料22を有するEHD-FPシステムの実施形態を示す。追加パターニング材料は、部分的に又はその全体が他のパターニング材料の上に存在してよく、パターンを有しても、電界にわたって連続的であってもよい。追加のパターニング材料は、18など他のパターニング材料及び被パターニング材料16のいずれかとは異なる、又は他の材料のうちの1つと同一の誘電率又は導電率のレベルを有してよい。簡潔にするために、空気又は気体20は本明細書では示さないが、含まれてよい。
【0030】
図6は、被パターニング材料16にパターンが形成されるが、このパターンは、被パターニング材料上の2つのパターニング材料18及び22からなる、更に別のレベルの制御を示す。2つの材料は、第1の材料の表面にわたる同一パターンの一部であってよく、又は第1の材料の表面又は電極表面のいずれかに2つの分離パターンを形成してよい。被パターニング材料は、異なる材料18及び22とは異なる反応を示してよく、最終パターンのより複雑な制御を提供してよい。
【0031】
図7は、パターニング材料18が電極のうちの少なくとも1つ(この実施例では、電極14)と接触している実施形態を示す。パターニング材料によって形成されたパターンは、パターニング材料の影響を受けた形状で形成される負電界を形成する。パターニング材料18内のピラーは被パターニング膜16内に特徴のパターンを形成し、隆起領域、ピラー(30及び32など)、及びこれらの間の下部領域34を含む。
【0032】
図8は、パターニング材料18に形成されたパターンの別の実施形態を示しており、パターニング材料内の異なる凹部(36、38、及び40など)は異なる深さを有する。電圧が印加されると、凹部のこれらの異なる深さは、被パターニング材料16内に異なる高さ(42、44、及び46など)を形成する。
【0033】
パターニング材料18は、図9に示すように、切り欠き部を有する膜の形態を取り、次いで、空間内の空気など気体20中に浮いていてよい。48など切り欠き部は、示すように全て同一サイズであってよく、又は異なるサイズを有してよい。切り欠き部を有する膜の存在は、被パターニング材料16内に隆起部(50など)を形成させる。
【0034】
上述のように、少なくとも2つの材料の膜積層体は、おそらくは、活性領域内に搬送される前に形成されるであろう。これは、ロールツーロール又は他の連続製造方法を使用して達成され得る。図10は、この種のシステムの一例を示しており、プロセス又はシステムをこの考察の要素のいずれかに限定することを決して意図するものではない。
【0035】
図10のシステム60は、2つのベルト62及び64を有する。これらのベルトは、それ自体が電極として作用し得る、又は活性領域を形成する電極(74及び76など)に隣接して位置し得る。少なくとも1つの被パターニング材料66及び少なくとも1つのパターニング材料68の材料積層体は、2つの電極又はベルトの間の活性領域内にある。空気など気体が間隙70に存在してよい。パターニング後、材料積層体は、硬化装置78に搬送されてよく、この硬化装置は、熱又はUV光の適用などによって、積層体内の材料のいずれかを硬化してパターンを定位置に固定する。あるいは、パターンを有する材料を、固化するまで単に乾燥させる、又は冷却することができる。パターニング材料は、硬化前、硬化後、又は硬化中に除去されてよい。材料は、物理的プロセス、溶解、蒸発、又は好適な任意の他のプロセスによって除去されてよい。
【0036】
図1図9のシステムは異なる変形例及び代替例を示しているが、これらのうちのいずれか1つは、説明した実施形態及び特徴のうちの任意の他のものと共に使用されてよい。実施形態の任意の特定の組み合わせに限定することを意図するものではなく、そのように示唆されるべきではない。
【0037】
図11は、EHD-FPを使用してパターニングされた膜を形成するプロセスの一実施形態のフロー図を示す。少なくとも1つの被パターニング材料を、図4に示すようなベルト、別の処理面、又は電極であり得る80の表面に配置する。被パターニング材料は、熱可塑性ポリマー、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエチレン、ポリビニル、アクリレート、アクリロニトリルブタジエンスチレン、熱硬化性ポリマー、熱硬化エポキシ、2成分エポキシ、UV硬化エポキシ、ポリエステル、フェノールホルムアルデヒド、シリコーン、及びビニルエステルからなる群から選択される材料など多くの異なる材料から選択されてよい。
【0038】
次いで、82において、空気以外の少なくとも1つのパターニング材料を第1の材料の上に堆積させる。パターニング材料は、例として、インクジェット印刷、又はステンシル及びドクターブレードを使用してあるパターンで堆積させてよい。あるいは、パターニング材料は、ドクターブレード又はブラシを用いて被パターニング材料に「擦り付け」てよく、又は被パターニング材料の異なる領域の上に選択的に振りかけてよい。これらは全て例に過ぎない。パターニング材料は、合成油、天然油、フッ素油、チタン酸バリウム粒子、及びPVDFからなる群から選択される材料など多くの材料のうちの少なくとも1つを含んでよい。
【0039】
(任意であることを示す)破線の枠として示す84において追加材料を使用する場合、84において、これらの材料も被パターニング材料の上に、又は少なくとも部分的に他のパターニング材料の上に堆積させる。
【0040】
86において、電極間の間隙に電界を印加する。材料の積層体を活性領域内に搬送して、電界を印加してよく、又は積層体が活性領域内で静止している間に電界を印加してよい。商業的に有用な量のパターニングされた膜を作製することが目的の1つである場合、膜を堆積させ、次いで活性領域内に移動し、次いで活性領域から外に移動する連続プロセスを使用する可能性が高い。この種の連続プロセスは、プロセスが、プロセスの一端で膜を製造し、プロセスのもう一端で新しい膜を同時に形成することを可能にする。
【0041】
被パターニング材料がパターニング後に硬化可能である場合、パターンを有する材料を硬化させてパターンを定位置に固定する。このプロセスの一部はまた、パターニング材料の除去も含み得る。追加のパターニング材料又は被パターニング材料を使用した場合、これらの材料もまた硬化及び/又は除去される。
【0042】
様々な上記に開示したもの並びに他の特徴及び機能の変形、又はそれらの代替物が、多くの他の異なるシステム又はアプリケーションに組み合わされてもよいことが理解されるであろう。様々な現在予期されていない、又は先行例のない代替物、修正、変形、又は改善が、その後に当業者によってなされてもよく、それらも以下の特許請求の範囲によって包含されることを意図している。
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