(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-15
(45)【発行日】2024-02-26
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 12/77 20110101AFI20240216BHJP
【FI】
H01R12/77
(21)【出願番号】P 2020191604
(22)【出願日】2020-11-18
【審査請求日】2023-07-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000231073
【氏名又は名称】日本航空電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【氏名又は名称】伊東 秀明
(72)【発明者】
【氏名】古本 哲也
【審査官】山下 寿信
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-023991(JP,A)
【文献】特開2019-087515(JP,A)
【文献】特開2003-187889(JP,A)
【文献】特開2003-132982(JP,A)
【文献】特開2018-156861(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第3739689(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/77
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一方の面にフレキシブル導体が露出している接続対象物に取り付けられるコネクタであって、
第1インシュレータと、
所定の組み込み方向に沿って前記第1インシュレータに組み込まれる第2インシュレータと、
導電性材料からなる少なくとも1つのコンタクトと
を備え、
前記コンタクトは、前記第1インシュレータに保持された第1コンタクト部材と、前記第2インシュレータに保持された第2コンタクト部材とからなり、
前記第1コンタクト部材は、相手側コネクタのコンタクトに接触するための接触部と、前記接続対象物の一方の面に接触する第1接続部と、前記第2コンタクト部材に接続される第1連絡部とを有し、
前記第2コンタクト部材は、前記接続対象物の他方の面に接触する第2接続部と、前記第1連絡部に対向し且つ前記第1コンタクト部材に接続される第2連絡部とを有し、
前記接続対象物は、前記第1接続部および前記第2接続部の間に挟み込まれ、
前記第1連絡部および前記第2連絡部のうち一方は、他方に向かって突出する弾性片を有し、
前記第1連絡部および前記第2連絡部は、前記接続対象物が前記第1接続部および前記第2接続部の間に挟み込まれる箇所とは異なる位置において前記弾性片を介して弾性接触することにより互いに導通し、
前記第1接続部および前記第2接続部の少なくとも一方が前記接続対象物の前記フレキシブル導体に接触することで、前記コンタクトが前記接続対象物の前記フレキシブル導体に電気的に接続されることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記第1インシュレータおよび前記第2インシュレータのうち、一方は、前記所定の組み込み方向に突出する凸部を有し、他方は、前記所定の組み込み方向に沿って窪む凹部を有し、
前記接続対象物が前記第1インシュレータと前記第2インシュレータとの間に挟まれ且つ前記凸部が前記凹部内に収容されることにより、前記第2インシュレータは前記第1インシュレータに組み込まれ、
前記第1連絡部および前記第2連絡部は、前記弾性片を介して前記所定の組み込み方向に対して交差する方向に弾性接触する請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記第1接続部および前記第1連絡部は、互いに前記所定の組み込み方向に並んで配置され、
前記第2接続部および前記第2連絡部は、互いに前記所定の組み込み方向に並んで配置されている請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記第1インシュレータは、前記凹部を有し、
前記第1接続部および前記第1連絡部は、前記所定の組み込み方向に沿って延びる前記凹部の内側面上に配置され、
前記第2インシュレータは、前記凸部を有し、
前記第2接続部および前記第2連絡部は、前記所定の組み込み方向に沿って延びる前記凸部の外側面上に配置されている請求項3に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記第1接続部および前記第1連絡部は、互いに前記所定の組み込み方向に対して交差する方向に間隔を隔てて配置され、
前記第2接続部および前記第2連絡部は、互いに前記所定の組み込み方向に対して交差する方向に間隔を隔てて配置されている請求項2に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記第1インシュレータは、前記凹部を有し、
前記第1接続部および前記第1連絡部は、前記凹部の互いに対向する一対の内側面上にそれぞれ配置され、
前記第2インシュレータは、前記凸部を有し、
前記第2接続部および前記第2連絡部は、前記凸部の互いに反対方向を向いた一対の外側面上にそれぞれ配置されている請求項5に記載のコネクタ。
【請求項7】
前記第1インシュレータは、前記凸部を有し、
前記第1接続部および前記第1連絡部は、前記凸部の互いに反対方向を向いた一対の外側面上にそれぞれ配置され、
前記第2インシュレータは、前記凹部を有し、
前記第2接続部および前記第2連絡部は、前記凹部の互いに対向する一対の内側面上にそれぞれ配置されている請求項5に記載のコネクタ。
【請求項8】
前記接続対象物の一部は、前記凸部が前記凹部内に収容される際に、前記凸部により前記所定の組み込み方向に折り曲げられて前記第1接続部と前記第2接続部との間に挟み込まれる請求項4、6および7のいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項9】
前記第1コンタクト部材および前記第2コンタクト部材は、前記弾性片の周辺において互いに所定の間隙を隔てて離れている請求項1~8のいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項10】
前記第1インシュレータに対して前記第2インシュレータを固定するための第3インシュレータを備える請求項1~9のいずれか一項に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コネクタに係り、特に、少なくとも一方の面にフレキシブル導体が露出している接続対象物に取り付けられるコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
フレキシブル導体を有する接続対象物に取り付けられるコネクタとして、例えば、特許文献1には、
図46に示されるようなコネクタ1が開示されている。コネクタ1は、平板形状の第1絶縁部材2と中央に開口部3Aを有する枠形状の第2絶縁部材3との間に、接続対象物4を挟んで保持した構造を有している。
【0003】
第1絶縁部材2には、第2絶縁部材3の開口部3A内に突出する凸部2Aと、凸部2Aよりも第1絶縁部材2の側縁部に近い箇所で第2絶縁部材3に向かって突出する突起2Bとが形成されており、凸部2Aおよび突起2Bの表面上においてそれぞれ露出されるようにコンタクト5が第1絶縁部材2に保持されている。第1絶縁部材2に対向する第2絶縁部材3の面には、第1絶縁部材2の突起2Bを収容するための凹状の突起収容部3Bが形成されている。
【0004】
接続対象物4は、裏面、すなわち、第1絶縁部材2に対向する面上に露出するフレキシブル導体6を有している。第1絶縁部材2と第2絶縁部材3との間に接続対象物4を配置した状態で、第1絶縁部材2と第2絶縁部材3を互いに近接するように押し込むと、
図47に示されるように、第1絶縁部材2の突起2Bにより、接続対象物4が第2絶縁部材3の突起収容部3B内に挿入される。その結果、接続対象物4は、突起収容部3Bの内面と、第1絶縁部材2の突起2Bの表面上に配置されているコンタクト5との間に挟み込まれ、コンタクト5が、接続対象物4の裏面に露出しているフレキシブル導体6に電気的に接続される。
【0005】
なお、第1絶縁部材2の凸部2Aの表面上に配置されている部分のコンタクト5は、相手側コネクタの一部が第2絶縁部材3の開口部3A内に挿入されて、相手側コネクタがコネクタ1に嵌合した際に、相手側コネクタの対応するコンタクトに接触して電気的に接続された状態となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このようにして、特許文献1のコネクタ1を用いることにより、接続対象物4の裏面上に露出しているフレキシブル導体6にコンタクト5を電気的に接続することができる。
しかしながら、第2絶縁部材3の突起収容部3B内において、接続対象物4の裏面がコンタクト5に接触するため、フレキシブル導体6が接続対象物4の裏面上に露出せずに、接続対象物4の表面上にのみ露出している場合には、フレキシブル導体6にコンタクト5を電気的に接続することができないという問題がある。
【0008】
この発明は、このような従来の問題点を解消するためになされたもので、フレキシブル導体が接続対象物の表面および裏面のいずれに露出していても、コンタクトを接続対象物のフレキシブル導体に電気的に接続することができるコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明に係るコネクタは、少なくとも一方の面にフレキシブル導体が露出している接続対象物に取り付けられるコネクタであって、第1インシュレータと、所定の組み込み方向に沿って第1インシュレータに組み込まれる第2インシュレータと、導電性材料からなる少なくとも1つのコンタクトとを備え、コンタクトは、第1インシュレータに保持された第1コンタクト部材と、第2インシュレータに保持された第2コンタクト部材とからなり、第1コンタクト部材は、相手側コネクタのコンタクトに接触するための接触部と、接続対象物の一方の面に接触する第1接続部と、第2コンタクト部材に接続される第1連絡部とを有し、第2コンタクト部材は、接続対象物の他方の面に接触する第2接続部と、第1連絡部に対向し且つ第1コンタクト部材に接続される第2連絡部とを有し、接続対象物は、第1接続部および第2接続部の間に挟み込まれ、第1連絡部および第2連絡部のうち一方は、他方に向かって突出する弾性片を有し、第1連絡部および第2連絡部は、接続対象物が第1接続部および第2接続部の間に挟み込まれる箇所とは異なる位置において弾性片を介して弾性接触することにより互いに導通し、第1接続部および第2接続部の少なくとも一方が接続対象物のフレキシブル導体に接触することで、コンタクトが接続対象物のフレキシブル導体に電気的に接続されるものである。
【0010】
第1インシュレータおよび第2インシュレータのうち、一方は、所定の組み込み方向に突出する凸部を有し、他方は、所定の組み込み方向に沿って窪む凹部を有し、接続対象物が第1インシュレータと第2インシュレータとの間に挟まれ且つ凸部が凹部内に収容されることにより、第2インシュレータは第1インシュレータに組み込まれ、第1連絡部および第2連絡部は、弾性片を介して所定の組み込み方向に対して交差する方向に弾性接触することが好ましい。
【0011】
第1接続部および第1連絡部は、互いに所定の組み込み方向に並んで配置され、第2接続部および第2連絡部は、互いに所定の組み込み方向に並んで配置されるように構成することができる。
【0012】
この場合、第1インシュレータは、凹部を有し、第1接続部および第1連絡部は、所定の組み込み方向に沿って延びる凹部の内側面上に配置され、第2インシュレータは、凸部を有し、第2接続部および第2連絡部は、所定の組み込み方向に沿って延びる凸部の外側面上に配置されていることが好ましい。
【0013】
第1接続部および第1連絡部は、互いに所定の組み込み方向に対して交差する方向に間隔を隔てて配置され、第2接続部および第2連絡部は、互いに所定の組み込み方向に対して交差する方向に間隔を隔てて配置されるように構成することもできる。
【0014】
この場合、第1インシュレータは、凹部を有し、第1接続部および第1連絡部は、凹部の互いに対向する一対の内側面上にそれぞれ配置され、第2インシュレータは、凸部を有し、第2接続部および第2連絡部は、凸部の互いに反対方向を向いた一対の外側面上にそれぞれ配置されていることが好ましい。
【0015】
あるいは、第1インシュレータは、凸部を有し、第1接続部および第1連絡部は、凸部の互いに反対方向を向いた一対の外側面上にそれぞれ配置され、第2インシュレータは、凹部を有し、第2接続部および第2連絡部は、凹部の互いに対向する一対の内側面上にそれぞれ配置されていてもよい。
【0016】
接続対象物の一部は、凸部が凹部内に収容される際に、凸部により所定の組み込み方向に折り曲げられて第1接続部と第2接続部との間に挟み込まれることが好ましい。
また、第1コンタクト部材および第2コンタクト部材は、弾性片の周辺において互いに所定の間隙を隔てて離れていることが好ましい。
第1インシュレータに対して第2インシュレータを固定するための第3インシュレータを備えることができる。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、コンタクトは、第1インシュレータに保持された第1コンタクト部材と第2インシュレータに保持された第2コンタクト部材とからなり、接続対象物は、第1コンタクト部材の第1接続部と第2コンタクト部材の第2接続部とのの間に挟み込まれ、第1コンタクト部材の第1連絡部と第2コンタクト部材の第2連絡部が弾性片を介して弾性接触し、第1接続部および第2接続部の少なくとも一方が接続対象物のフレキシブル導体に接触することで、コンタクトが接続対象物のフレキシブル導体に電気的に接続されるので、フレキシブル導体が接続対象物の表面および裏面のいずれに露出していても、コンタクトを接続対象物のフレキシブル導体に電気的に接続することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】接続対象物に取り付けられた実施の形態1に係るコネクタを斜め上方から見た斜視図である。
【
図2】接続対象物に取り付けられた実施の形態1に係るコネクタを斜め下方から見た斜視図である。
【
図3】接続対象物に取り付けられた実施の形態1に係るコネクタを示す正面図である。
【
図4】実施の形態1に係るコネクタの分解斜視図である。
【
図5】実施の形態1に係るコネクタに用いられる第1インシュレータを斜め上方から見た斜視図である。
【
図6】実施の形態1に係るコネクタに用いられる第1インシュレータを斜め下方から見た斜視図である。
【
図7】実施の形態1に係るコネクタに用いられる第2インシュレータを斜め上方から見た斜視図である。
【
図8】実施の形態1に係るコネクタに用いられる第2インシュレータを斜め下方から見た斜視図である。
【
図9】実施の形態1に係るコネクタに用いられる第3インシュレータを斜め上方から見た斜視図である。
【
図10】実施の形態1に係るコネクタに用いられる第3インシュレータを斜め下方から見た斜視図である。
【
図11】実施の形態1に係るコネクタに用いられるタブシートを示す斜視図である。
【
図12】実施の形態1に係るコネクタに用いられる第1コンタクト部材を斜め上方から見た斜視図である。
【
図13】実施の形態1に係るコネクタに用いられる第1コンタクト部材を斜め下方から見た斜視図である。
【
図14】実施の形態1に係るコネクタに用いられる第2コンタクト部材を斜め上方から見た斜視図である。
【
図15】実施の形態1に係るコネクタに用いられる第2コンタクト部材を斜め下方から見た斜視図である。
【
図16】実施の形態1に係るコネクタが取り付けられる接続対象物を斜め上方から見た斜視図である。
【
図17】実施の形態1に係るコネクタが取り付けられる接続対象物を斜め下方から見た斜視図である。
【
図20】接続対象物に取り付けられた実施の形態2に係るコネクタを斜め上方から見た斜視図である。
【
図21】接続対象物に取り付けられた実施の形態2に係るコネクタを示す正面図である。
【
図22】実施の形態2に係るコネクタの分解斜視図である。
【
図23】実施の形態2に係るコネクタに用いられる第1インシュレータを斜め上方から見た斜視図である。
【
図24】実施の形態2に係るコネクタに用いられる第1インシュレータを斜め下方から見た斜視図である。
【
図25】実施の形態2に係るコネクタに用いられる第2インシュレータを斜め上方から見た斜視図である。
【
図26】実施の形態2に係るコネクタに用いられる第3インシュレータを斜め上方から見た斜視図である。
【
図27】実施の形態2に係るコネクタに用いられる第1コンタクト部材を斜め上方から見た斜視図である。
【
図28】実施の形態2に係るコネクタに用いられる第1コンタクト部材を斜め下方から見た斜視図である。
【
図29】実施の形態2に係るコネクタに用いられる第2コンタクト部材を斜め上方から見た斜視図である。
【
図30】実施の形態2に係るコネクタに用いられる第2コンタクト部材を斜め下方から見た斜視図である。
【
図33】接続対象物に取り付けられた実施の形態3に係るコネクタを斜め上方から見た斜視図である。
【
図34】接続対象物に取り付けられた実施の形態3に係るコネクタを示す正面図である。
【
図35】実施の形態3に係るコネクタの分解斜視図である。
【
図36】実施の形態3に係るコネクタに用いられる第1インシュレータを斜め上方から見た斜視図である。
【
図37】実施の形態3に係るコネクタに用いられる第1インシュレータを斜め下方から見た斜視図である。
【
図38】実施の形態3に係るコネクタに用いられる第2インシュレータを斜め上方から見た斜視図である。
【
図39】実施の形態3に係るコネクタに用いられる第3インシュレータを斜め上方から見た斜視図である。
【
図40】実施の形態3に係るコネクタに用いられる第1コンタクト部材を斜め上方から見た斜視図である。
【
図41】実施の形態3に係るコネクタに用いられる第1コンタクト部材を斜め下方から見た斜視図である。
【
図42】実施の形態3に係るコネクタに用いられる第2コンタクト部材を斜め上方から見た斜視図である。
【
図43】実施の形態3に係るコネクタに用いられる第2コンタクト部材を斜め下方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
実施の形態1
図1~
図3に、実施の形態1に係るコネクタ11を示す。コネクタ11は、例えば、衣服等の接続対象物Cに取り付けられ、ウエアラブルデバイスを嵌合するためのコネクタとして使用されるもので、絶縁性材料からなるコネクタ本体12を有している。コネクタ本体12には、複数のコンタクト13が、互いに平行な2列に配列された状態で、それぞれ接続対象物Cに対して垂直に突出するように保持されている。
【0020】
また、コネクタ11は、接続対象物Cを補強するためのタブシート14と共に接続対象物Cに取り付けられている。
ここで、便宜上、接続対象物CがXY面に沿って延び、複数のコンタクト13の配列方向をY方向、複数のコンタクト13がそれぞれ突出する方向を+Z方向と呼ぶことにする。
【0021】
図4は、コネクタ11の分解斜視図である。コネクタ11は、第1インシュレータ15と第2インシュレータ16と第3インシュレータ17を有しており、これら第1インシュレータ15、第2インシュレータ16および第3インシュレータ17によりコネクタ本体12が構成されている。
また、複数のコンタクト13は、それぞれ、第1コンタクト部材18と第2コンタクト部材19とから構成されており、複数のコンタクト13の第1コンタクト部材18は、第1インシュレータ15に保持され、複数のコンタクト13の第2コンタクト部材19は、第2インシュレータ16に保持される。
【0022】
複数のコンタクト13の第2コンタクト部材19が保持された第2インシュレータ16は、接続対象物Cとタブシート14を間に挟みながら、所定の組み込み方向D1である+Z方向に沿って、複数のコンタクト13の第1コンタクト部材18が保持された第1インシュレータ15に組み込まれる。第3インシュレータ17は、第1インシュレータ15に対して第2インシュレータ16を固定するためのものである。
【0023】
図5および
図6に示されるように、第1インシュレータ15は、XY面に沿って延びる平板形状の基部15Aと、基部15Aの中央に配置され且つ基部15Aから+Z方向に向かって突出する枠形状の突部15Bとを有している。これらの基部15Aおよび突部15Bは、それぞれ、Z方向から見たときに、Y方向に沿った長辺とX方向に沿った短辺とを有するほぼ長方形の外形を有している。
【0024】
基部15Aの-Z方向側の面には、-Z方向に向かって開口する凹部15Cが形成され、凹部15Cの周縁に沿って-Z方向に突出する突部15Dが形成されている。枠形状の突部15Bは、互いにX方向に対向し且つそれぞれY方向に沿って延びる一対の長辺部分15Eを有し、それぞれの長辺部分15Eの外面と内面には、第1コンタクト部材18を保持するための、Z方向に沿って延びる複数の保持溝15Fが形成されている。
また、基部15Aには、複数の保持溝15Fに対応して、それぞれ基部15Aの+Z方向側の面から凹部15Cにまで貫通する複数の貫通孔15Gが形成されている。さらに、
図5には示されていないが、枠形状の突部15Bの内側に位置する基部15Aには、複数の保持溝15Fに接続される複数の挿入孔が-Z方向に向かって形成されている。
【0025】
図7および
図8に示されるように、第2インシュレータ16は、XY面に沿って延びる円板形状の基部16Aと、基部16Aの中央に配置され且つ基部16Aから+Z方向に向かって突出する直方体形状の凸部16Bとを有している。
凸部16Bは、第2インシュレータ16が第1インシュレータ15に組み込まれる際に、第1インシュレータ15の凹部15Cに挿入されるもので、XY面上において、凹部15Cよりもわずかに小さいサイズを有している。
【0026】
基部16Aには、凸部16BのX方向の両側に配置され且つ基部16AをZ方向に貫通する複数の貫通孔16Cが形成されている。また、凸部16Bは、Z方向から見たときに、Y方向に沿った長辺とX方向に沿った短辺とを有する長方形の外形を有しており、凸部16Bの長辺部分の側面に、第2コンタクト部材19を保持するための、Z方向に沿って延びる複数の保持溝16Dが形成されている。
さらに、+Z方向を向いた凸部16Bの上面には、複数の保持溝16Dに対応して複数の挿入孔16Eが-Z方向に向かって形成されている。
【0027】
図9および
図10に示されるように、第3インシュレータ17は、XY面に沿って延びる円板形状の基部17Aを有している。第3インシュレータ17の基部17Aと第2インシュレータ16の基部16Aは、XY面において互いにほぼ同じサイズを有している。
基部17Aの中央には、Y方向に沿った長辺とX方向に沿った短辺とを有するほぼ長方形の開口部17Bが形成されている。この開口部17Bは、複数の第1コンタクト部材18を保持する第1インシュレータ15の突部15Bが挿入されるもので、突部15BのXY面におけるサイズよりもわずかに大きいサイズを有している。
【0028】
また、開口部17BのX方向の両側における基部17Aの-Z方向側の面には、-Z方向に向かって突出する複数の固定ポスト17Cが形成されている。これらの固定ポスト17Cは、第2インシュレータ16の複数の貫通孔16Cに対応しており、それぞれ、第1インシュレータ15に組み込まれた第2インシュレータ16の対応する貫通孔16Cに通されるものである。
【0029】
図11に示されるように、タブシート14は、コネクタ11が取り付けられる接続対象物Cを補強するためのもので、樹脂または布地等の絶縁性材料から形成され、第1インシュレータ15の基部15Aおよび第3インシュレータ17の基部17AのXY面におけるサイズよりも大きいサイズを有している。
【0030】
タブシート14の中央には、Y方向に沿った長辺とX方向に沿った短辺とを有するほぼ長方形の開口部14Aが形成されている。開口部14Aの周辺に位置するタブシート14の部分は、コネクタ11が接続対象物Cに取り付けられる際に、接続対象物Cと共に第2インシュレータ16の基部16Aと第3インシュレータ17の基部17Aとの間に挟まれるが、このとき、開口部14Aに、第1インシュレータ15の基部15Aの-Z方向側の面における凹部15Cの周縁に沿った突部15Dが挿入される。
また、タブシート14の開口部14AのX方向の両側には、複数の貫通孔14Bが形成されている。これらの貫通孔14Bは、第3インシュレータ17の複数の固定ポスト17Cに対応しており、複数の貫通孔14Bに複数の固定ポスト17Cが貫通する。
【0031】
図5に示される第1インシュレータ15の突部15Bの一対の長辺部分15Eのうち、+X方向側に位置する長辺部分15Eの保持溝15Fに保持される第1コンタクト部材18の構成を
図12および
図13に示す。
第1コンタクト部材18は、金属等の導電性材料により形成された帯状部材からなり、U字状に曲げられたU形状部18Aを有している。U形状部18Aは、それぞれYZ面に沿って延び且つ互いにX方向に対向する一対の伸長部18Bおよび18Cと、一対の伸長部18Bおよび18Cの+Z方向端部を互いに連結する連結部18Dとから形成されている。伸長部18Bの-Z方向端部に、段差部18Eを介して、YZ面に沿って延びる平板部18Fが接続され、平板部18Fの中央に-X方向に突出する弾性片18Gが形成されている。
【0032】
U形状部18Aの外面により、相手側コネクタのコンタクトに接触するための接触部18Hが形成され、平板部18Fの-Z方向端部の-X方向側の面により、接続対象物Cの表面に接触する第1接続部18Jが形成され、弾性片18Gにより、第2コンタクト部材19に接続される第1連絡部18Kが形成されている。すなわち、第1接続部18Jと第1連絡部18Kは、互いにZ方向に並んで配置されている。
また、平板部18Fの+Z方向端部および伸長部18Cの-Z方向端部には、それぞれ、帯状部材の幅方向、すなわち、Y方向に突出する圧入部18Lおよび18Mが形成されている。
【0033】
なお、
図5に示される第1インシュレータ15の突部15Bの一対の長辺部分15Eのうち、-X方向側に位置する長辺部分15Eの保持溝15Fに保持される第1コンタクト部材18は、
図12および
図13に示される第1コンタクト部材18と同一の構成を有しているが、X方向に関して反対向きに配置されている。
【0034】
図7に示される第2インシュレータ16の凸部16Bの一対の長辺部分のうち、+X方向側に位置する長辺部分の保持溝16Dに保持される第2コンタクト部材19の構成を
図14および
図15に示す。
第2コンタクト部材19は、金属等の導電性材料により形成された帯状部材からなり、YZ面に沿って延びる平板部19Aを有し、平板部19Aの+Z方向端部に-X方向に向かって延びる連結部19Bが接続され、連結部19Bの-X方向端部に-Z方向に向かって屈曲された固定部19Cが接続されている。
【0035】
平板部19Aの+X方向側の面のうち、-Z方向側の部分により、接続対象物Cの裏面に接触する第2接続部19Dが形成され、+Z方向側の部分により、第1コンタクト部材18に接続される第2連絡部19Eが形成されている。すなわち、第2接続部19Dと第2連絡部19Eは、互いにZ方向に並んで配置されている。
また、平板部19Aの+Z方向端部および固定部19Cには、それぞれ、帯状部材の幅方向、すなわち、Y方向に突出する圧入部19Fおよび19Gが形成されている。
なお、
図7に示される第2インシュレータ16の凸部16Bの一対の長辺部分のうち、-X方向側に位置する長辺部分の保持溝16Dに保持される第2コンタクト部材19は、
図14および
図15に示される第2コンタクト部材19と同一の構成を有しているが、X方向に関して反対向きに配置されている。
【0036】
コネクタ11が取り付けられる接続対象物Cとしては、例えば、導電性繊維の織り込み、導電性インクの印刷等により少なくとも一方の面に配線が形成された、いわゆるスマートテキスタイルを備える衣服を用いることができる。
図16に示される接続対象物Cは、絶縁性材料からなる布地C1の+Z方向を向いた表面に複数のフレキシブル導体C2による配線が露出しているものである。
図17に示されるように、布地C1の-Z方向を向いた裏面には、フレキシブル導体C2は露出していない。
【0037】
接続対象物Cの布地C1には、長方形の開口部C3が形成されており、複数のフレキシブル導体C2の一端が開口部C3の+X方向側の縁部および-X方向側の縁部に位置している。開口部C3は、コネクタ11が接続対象物Cに取り付けられる際に、第2インシュレータ16の凸部16Bが挿入されるものであるが、第2インシュレータ16の凸部16BよりもX方向の幅が小さく形成されている。このため、第2インシュレータ16の凸部16Bが-Z方向から開口部C3に挿入されたときに、開口部C3の+X方向側の縁部および-X方向側の縁部に位置する接続対象物Cが、凸部16Bにより押されて+Z方向に屈曲するように構成されている。
【0038】
また、布地C1の開口部C3のX方向の両側には、複数の貫通孔C4が形成されている。これらの貫通孔C4は、第3インシュレータ17の複数の固定ポスト17Cに対応しており、複数の貫通孔C4に複数の固定ポスト17Cが貫通する。
【0039】
なお、第1インシュレータ15の保持溝15Fに保持された第1コンタクト部材18の平板部18Fは、第1インシュレータ15の凹部15Cの内側面に沿って配置され、第2コンタクト部材19の平板部19Aは、第2インシュレータ16の凸部16Bの保持溝16Dに挿入されるが、コネクタ11の組み付けに際して第2インシュレータ16の凸部16Bが第1インシュレータ15の凹部15Cに挿入されたときに、第1コンタクト部材18の第1接続部18Jおよび第1連絡部18Kが、第2コンタクト部材19の第2接続部19Dおよび第2連絡部19Eにそれぞれ対向する位置に配置されるように構成されている。
【0040】
さらに、第2インシュレータ16の凸部16Bが第1インシュレータ15の凹部15Cに挿入されたときに、第1コンタクト部材18の第1接続部18Jと第2コンタクト部材19の第2接続部19Dとの間隔は、接続対象物Cの厚さ寸法よりも狭く、また、第1コンタクト部材18の第1連絡部18Kが有する弾性片18Gは、第2コンタクト部材19の第2連絡部19Eにより押されて弾性変形し、第1連絡部18Kと第2連絡部19Eとが弾性片18Gを介して互いにX方向に弾性接触するように構成されている。
【0041】
コネクタ11を接続対象物Cに取り付ける際には、まず、第1インシュレータ15の枠形状の突部15Bに対して、複数の第1コンタクト部材18をそれぞれ+Z方向から-Z方向に向けて押し込むことにより、第1インシュレータ15の複数の保持溝15Fに複数の第1コンタクト部材18を保持させる。このとき、第1コンタクト部材18の平板部18Fが第1インシュレータ15の貫通孔15Gに挿入されて、圧入部18Lが貫通孔15Gの内面に圧入され、第1コンタクト部材18の伸長部18Cの-Z方向端部が第1インシュレータ15の図示しない挿入孔に挿入されて、圧入部18Mが挿入孔の内面に圧入される。
【0042】
同様に、第2インシュレータ16の凸部16Bに対して、複数の第2コンタクト部材19をそれぞれ+Z方向から-Z方向に向けて押し込むことにより、第2インシュレータ16の複数の保持溝16Dに複数の第2コンタクト部材19を保持させる。このとき、第2コンタクト部材19の平板部19Aが第2インシュレータ16の保持溝16Dに挿入されて、圧入部19Fが保持溝16Dの側面に圧入され、第2コンタクト部材19の固定部19Cが第2インシュレータ16の挿入孔16Eに挿入されて、圧入部19Gが挿入孔16Eの内面に圧入される。
【0043】
このようにして複数の第2コンタクト部材19が保持された第2インシュレータ16の凸部16Bは、-Z方向から接続対象物Cの開口部C3およびタブシート14の開口部14Aに順次通され、さらに、複数の第1コンタクト部材18が保持された第1インシュレータ15の凹部15Cに挿入される。このとき、接続対象物Cの開口部C3の+X方向側の縁部および-X方向側の縁部が、第2インシュレータ16の凸部16Bにより押されて+Z方向に折り曲げられながら、第2インシュレータ16の凸部16Bと第1インシュレータ15の凹部15Cの間に入り込む。
【0044】
その後、第3インシュレータ17が+Z方向から-Z方向に向けて移動され、第3インシュレータ17の開口部17Bに第1インシュレータ15の突部15Bが挿入されると共に、第3インシュレータ17の複数の固定ポスト17Cが、タブシート14の複数の貫通孔14B、接続対象物Cの複数の貫通孔C4、および、第2インシュレータ16の複数の貫通孔16Cを順次貫通する。
さらに、第2インシュレータ16の-Z方向側に突出する第3インシュレータ17の複数の固定ポスト17Cの-Z方向端部が加熱変形されることにより、第2インシュレータ16が第1インシュレータ15に対して固定される。
【0045】
これにより、
図18に示されるように、接続対象物Cへのコネクタ11の取り付けが完了する。
接続対象物Cは、タブシート14と共に、第2インシュレータ16と第3インシュレータ17によりZ方向に挟まれ、第1インシュレータ15の突部15Bは、第3インシュレータ17の開口部17Bから+Z方向に突出して、第1インシュレータ15に保持されている複数の第1コンタクト部材18の接触部18Hが、コネクタ11の+Z方向側に露出された状態となる。
【0046】
図19に示されるように、第1コンタクト部材18の第1接続部18Jおよび第1連絡部18Kは、第1インシュレータ15の凹部15CのZ方向に延びる内側面上に配置され、第2コンタクト部材19の第2接続部19Dおよび第2連絡部19Eは、第2インシュレータ16の凸部16BのZ方向に延びる外側面上に配置されている。
第2インシュレータ16の凸部16Bが第1インシュレータ15の凹部15Cに挿入されることにより、第1コンタクト部材18の第1連絡部18Kが有する弾性片18Gは、第2コンタクト部材19の第2連絡部19Eにより押されて弾性変形し、第1連絡部18Kと第2連絡部19Eとが弾性片18Gを介して互いに弾性接触することで、互いに導通する。
【0047】
また、第2インシュレータ16の凸部16Bが第1インシュレータ15の凹部15Cに挿入されることにより、接続対象物Cの開口部C3の+X方向側の縁部および-X方向側の縁部が、第1インシュレータ15に保持されている第1コンタクト部材18の第1接続部18Jと第2インシュレータ16に保持されている第2コンタクト部材19の第2接続部19Dとの間に挟み込まれる。
【0048】
これにより、接続対象物Cは、第1コンタクト部材18の第1接続部18Jと第2コンタクト部材19の第2接続部19Dとの間において、厚さ方向、すなわち、X方向に圧縮され、第1コンタクト部材18の第1接続部18Jが接続対象物Cの表面に接触すると共に第2コンタクト部材19の第2接続部19Dが接続対象物Cの裏面に接触する。接続対象物Cの表面には、フレキシブル導体C2が露出しているので、第1コンタクト部材18の第1接続部18Jは、接続対象物Cのフレキシブル導体C2に電気的に接続されることとなる。すなわち、第1コンタクト部材18および第2コンタクト部材19からなるコンタクト13が、接続対象物Cのフレキシブル導体C2に電気的に接続される。
【0049】
なお、
図19に示されるように、弾性片18Gを介して互いに弾性接触する第1コンタクト部材18の第1連絡部18Kと第2コンタクト部材19の第2連絡部19Eの位置は、接続対象物Cが第1コンタクト部材18の第1接続部18Jと第2コンタクト部材19の第2接続部19Dとの間に挟み込まれる箇所とは異なり、その箇所よりも+Z方向側にずれている。
また、弾性片18Gの周辺において、第1コンタクト部材18と第2コンタクト部材19は、互いに所定の間隙を隔てて離れた状態にある。
【0050】
なお、第2コンタクト部材19の第2接続部19Dが接続対象物Cの裏面に接触するため、フレキシブル導体C2が接続対象物Cの表面ではなく裏面に露出する場合には、第2コンタクト部材19の第2接続部19Dがフレキシブル導体C2に電気的に接続される。第2コンタクト部材19の第2連絡部19Eは、弾性片18Gを介して第1コンタクト部材18の第1連絡部18Kに導通しているので、この場合にも、コンタクト13が、接続対象物Cのフレキシブル導体C2に電気的に接続されることとなる。
このように、フレキシブル導体C2が接続対象物Cの表面および裏面のいずれに露出していても、コンタクト13を接続対象物Cのフレキシブル導体C2に電気的に接続することが可能となる。
【0051】
さらに、布地C1に導電性繊維が織り込まれる等により、接続対象物Cの両面にフレキシブル導体C2が露出する場合には、第1コンタクト部材18の第1接続部18Jおよび第2コンタクト部材19の第2接続部19Dの双方がフレキシブル導体C2に接続されることで、コンタクト13が接続対象物Cのフレキシブル導体C2に電気的に接続される。第1接続部18Jおよび第2接続部19Dの双方がフレキシブル導体C2に接触することで、フレキシブル導体C2とコンタクト13との接触面積が増加するため、コンタクト13とフレキシブル導体C2との間に流れる電流値が大きい場合に有効である。
また、第1接続部18Jおよび第2接続部19Dのいずれか一方においてフレキシブル導体C2に対する接触不良が発生した場合であっても、第1接続部18Jおよび第2接続部19Dの他方を通してコンタクト13をフレキシブル導体C2に電気的に接続することが可能となる。
【0052】
なお、所定の組み込み方向D1であるZ方向に沿って第2インシュレータ16が第1インシュレータ15に組み込まれる際に、第1コンタクト部材18の弾性片18Gは弾性変形し、これにより第1コンタクト部材18の第1連絡部18Kと第2コンタクト部材19の第2連絡部19EとがX方向に弾性接触している。このように、第1連絡部18Kと第2連絡部19Eとが弾性接触する方向は、所定の組み込み方向D1に対して直交しているため、弾性片18Gの弾性力により、第1インシュレータ15に組み込まれた第2インシュレータ16が第1インシュレータ15から引き離されるおそれはなく、コネクタ11を安定した状態に維持することができる。また、第1連絡部18Kと第2連絡部19Eとが弾性接触する方向は、所定の組み込み方向D1に対して必ずしも直交する必要はないが、所定の組み込み方向D1に交差する方向であることが好ましい。
【0053】
なお、上記の実施の形態1では、第1コンタクト部材18の第1連絡部18Kが弾性片18Gを有し、第1コンタクト部材18の第1連絡部18Kと第2コンタクト部材19の第2連絡部19Eとが弾性片18Gを介して互いに弾性接触したが、これに限るものではない。弾性片18Gが第1コンタクト部材18の第1連絡部18Kの代わりに第2コンタクト部材19の第2連絡部19Eに形成されていても、同様にして、第1連絡部18Kと第2連絡部19Eとが弾性片18Gを介して互いに弾性接触することで、第1コンタクト部材18と第2コンタクト部材19を互いに導通させることができる。
【0054】
実施の形態2
図20および
図21に、実施の形態2に係るコネクタ21を示す。コネクタ21は、実施の形態1のコネクタ11と同様に、接続対象物Cに取り付けられるもので、絶縁性材料からなるコネクタ本体22を有している。コネクタ本体22には、複数のコンタクト23が、互いに平行な2列に配列された状態で、それぞれ接続対象物Cに対して垂直に突出するように保持されている。
コネクタ21は、実施の形態1で使用されたタブシート14と共に接続対象物Cに取り付けられている。
ここで、便宜上、接続対象物CがXY面に沿って延び、複数のコンタクト23の配列方向をY方向、複数のコンタクト23がそれぞれ突出する方向を+Z方向と呼ぶことにする。
【0055】
図22に示されるように、コネクタ21は、第1インシュレータ25と第2インシュレータ26と第3インシュレータ27を有しており、これら第1インシュレータ25、第2インシュレータ26および第3インシュレータ27によりコネクタ本体22が構成されている。
また、複数のコンタクト23は、それぞれ、第1インシュレータ25に保持される第1コンタクト部材28と、第2インシュレータ26に保持される第2コンタクト部材29とから構成されている。
【0056】
図23および
図24に示されるように、第1インシュレータ25は、XY面に沿って延びる平板形状の基部25Aと、基部25Aの+Z方向側の面の中央に配置され且つ基部25Aから+Z方向に向かって突出する枠形状の突部25Bとを有している。これらの基部25Aおよび突部25Bは、それぞれ、Z方向から見たときに、Y方向に沿った長辺とX方向に沿った短辺とを有するほぼ長方形の外形を有している。
【0057】
基部25Aの-Z方向側の面には、それぞれY方向に沿って延び且つX方向に間隔を隔てて互いに平行に配置され、-Z方向に向かって開口する一対の凹部25Cが形成され、これらの凹部25Cを囲むように-Z方向に突出する突部25Dが形成されている。
枠形状の突部25Bは、互いにX方向に対向し且つそれぞれY方向に沿って延びる一対の長辺部分25Eを有し、それぞれの長辺部分25Eの外面、内面および+Z方向を向いた上面に、複数の第1コンタクト部材28を保持するための複数の保持溝25Fが形成されている。
【0058】
また、基部25Aには、複数の保持溝25Fに対応して、それぞれ基部25Aの+Z方向側の面から対応する凹部25Cにまで貫通する複数の貫通孔25Gが形成されている。さらに、
図23には示されていないが、枠形状の突部25Bの内側に位置する基部25Aには、複数の保持溝25Fに接続される複数の貫通孔が形成されている。
【0059】
図25に示されるように、第2インシュレータ26は、XY面に沿って延びる円板形状の基部26Aと、それぞれ基部26Aの+Z方向側の面から+Z方向に向かって突出する一対の凸部26Bとを有している。一対の凸部26Bは、それぞれY方向に沿って延び、X方向に間隔を隔てて互いに平行に配置されている。
それぞれの凸部26Bは、第2インシュレータ26が第1インシュレータ25に組み込まれる際に、第1インシュレータ25の対応する凹部25Cに挿入されるもので、XY面上において、凹部25Cよりもわずかに小さいサイズを有している。
【0060】
基部26Aには、一対の凸部26BのX方向の両側に配置された複数の貫通孔26Cが形成されている。また、それぞれの凸部26Bは、Z方向から見たときに、Y方向に沿った長辺とX方向に沿った短辺とを有する長方形の外形を有しており、凸部26Bの長辺部分の両側面および上面に、第2コンタクト部材29を保持するための複数の保持溝26Dが形成されている。
【0061】
図26に示されるように、第3インシュレータ27は、実施の形態1における第3インシュレータ17と同様の構成を有している。すなわち、第3インシュレータ27は、XY面に沿って延びる円板形状の基部27Aを有し、基部27Aの中央に、ほぼ長方形の開口部27Bが形成され、開口部27BのX方向の両側における基部27Aの-Z方向側の面には、-Z方向に向かって突出する複数の固定ポスト27Cが形成されている。
【0062】
図23に示される第1インシュレータ25の突部25Bの一対の長辺部分25Eのうち、+X方向側に位置する長辺部分25Eの保持溝25Fに保持される第1コンタクト部材28の構成を
図27および
図28に示す。
第1コンタクト部材28は、金属等の導電性材料により形成された帯状部材からなり、U字状に曲げられたU形状部28Aを有している。U形状部28Aは、それぞれYZ面に沿って延び且つ互いにX方向に対向する一対の伸長部28Bおよび28Cと、一対の伸長部28Bおよび28Cの+Z方向端部を互いに連結する連結部28Dとから形成されている。伸長部28Bの-Z方向端部に、段差部28Eを介して、YZ面に沿って延びる平板部28Fが接続されている。
また、伸長部28Cの-Z方向端部に、YZ面に沿ってさらに-Z方向に延びる平板部28Gが接続されている。
【0063】
U形状部28Aの外面により、相手側コネクタのコンタクトに接触するための接触部28Hが形成され、平板部28Fの-X方向側の面により、接続対象物Cの表面に接触する第1接続部28Jが形成され、平板部28Gの+X方向側の面により、第2コンタクト部材29に接続される第1連絡部28Kが形成されている。すなわち、第1接続部28Jと第1連絡部28Kは、第1コンタクト部材28の両端に配置され、X方向に間隔を隔てて互いに対向している。
また、平板部28Fの+Z方向端部および平板部38Gの+Z方向端部には、それぞれ、帯状部材の幅方向、すなわち、Y方向に突出する圧入部28Lおよび28Mが形成されている。
【0064】
なお、
図23に示される第1インシュレータ25の突部25Bの一対の長辺部分25Eのうち、-X方向側に位置する長辺部分25Eの保持溝25Fに保持される第1コンタクト部材28は、
図27および
図28に示される第1コンタクト部材28と同一の構成を有しているが、X方向に関して反対向きに配置されている。
【0065】
図25に示される第2インシュレータ26の一対の凸部26Bのうち、+X方向側に位置する凸部26Bの保持溝26Dに保持される第2コンタクト部材29の構成を
図29および
図30に示す。
第2コンタクト部材29は、金属等の導電性材料により形成された帯状部材からなり、YZ面に沿って延びる平板部29Aを有し、平板部29Aの+Z方向端部に-X方向に向かって延びる連結部29Bが接続され、連結部29Bの-X方向端部にYZ面に沿って-Z方向に延びる平板部29Cが接続されている。
また、平板部29Cの中央に-X方向に突出する弾性片29Dが形成されている。
【0066】
平板部29Aの+X方向側の面により、接続対象物Cの裏面に接触する第2接続部29Eが形成され、弾性片29Dにより、第1コンタクト部材28に接続される第2連絡部29Fが形成されている。すなわち、第2接続部29Eと第2連絡部29Fは、互いにX方向に間隔を隔てて、且つ、互いに反対方向を向くように配置されている。
また、平板部29Aの+Z方向端部には、帯状部材の幅方向、すなわち、Y方向に突出する圧入部29Gが形成されている。
【0067】
なお、
図25に示される第2インシュレータ26の一対の凸部26Bのうち、-X方向側に位置する凸部26Bの保持溝26Dに保持される第2コンタクト部材29は、
図29および
図30に示される第2コンタクト部材29と同一の構成を有しているが、X方向に関して反対向きに配置されている。
【0068】
また、第2インシュレータ26の凸部26Bが第1インシュレータ25の凹部25Cに挿入されたときに、第2コンタクト部材29の第2連絡部29Fが有する弾性片29Dは、第1コンタクト部材28の第1連絡部28Kにより押されて弾性変形し、第1連絡部28Kと第2連絡部29Fとが弾性片29Dを介して互いにX方向に弾性接触するように構成されている。
【0069】
接続対象物Cへのコネクタ21の取り付けは、実施の形態1のコネクタ11と同様にして行われる。すなわち、第1インシュレータ25の複数の保持溝25Fに複数の第1コンタクト部材28が保持され、第2インシュレータ26の複数の保持溝26Dに複数の第2コンタクト部材29が保持された後、第2インシュレータ26の一対の凸部26Bが、-Z方向から、
図16に示される接続対象物Cの開口部C3および
図11に示されるタブシート14の開口部14Aに順次通され、第1インシュレータ25の一対の凹部25Cに挿入される。このとき、接続対象物Cの開口部C3の+X方向側の縁部および-X方向側の縁部は、それぞれ、第2インシュレータ26の凸部26Bにより押されて+Z方向に折り曲げられながら、第2インシュレータ26の凸部26Bと第1インシュレータ25の凹部25Cの間に入り込む。
【0070】
さらに、第3インシュレータ27の開口部27Bに第1インシュレータ25の突部25Bが挿入されると共に、第3インシュレータ27の複数の固定ポスト27Cが、タブシート14の複数の貫通孔14B、接続対象物Cの複数の貫通孔C4、および、第2インシュレータ26の複数の貫通孔26Cに順次挿入され、第2インシュレータ26の-Z方向側に突出する第3インシュレータ27の複数の固定ポスト27Cの-Z方向端部が加熱変形されることで、
図31に示されるように、接続対象物Cにコネクタ21が取り付けられる。
【0071】
接続対象物Cは、タブシート14と共に、第2インシュレータ26と第3インシュレータ27によりZ方向に挟まれ、第1インシュレータ25の突部25Bは、第3インシュレータ27の開口部27Bから+Z方向に突出して、第1インシュレータ25に保持されている複数の第1コンタクト部材28の接触部28Hが、コネクタ21の+Z方向側に露出された状態となる。
【0072】
図32に示されるように、第1コンタクト部材28の第1接続部28Jおよび第1連絡部28Kは、第1インシュレータ25の凹部25Cの互いにX方向に対向する一対の内側面上に配置され、第2コンタクト部材29の第2接続部29Eおよび第2連絡部29Fは、第2インシュレータ26の凸部26Bの互いに反対方向を向いた一対の外側面上に配置されている。
第2インシュレータ26の凸部26Bが第1インシュレータ25の凹部25Cに挿入されることにより、第2コンタクト部材29の第2連絡部29Fが有する弾性片29Dは、第1コンタクト部材28の第1連絡部28Kにより押されて弾性変形し、第1連絡部28Kと第2連絡部29Fとが弾性片29Dを介して互いに弾性接触することで、互いに導通する。
【0073】
また、第2インシュレータ26の凸部26Bが第1インシュレータ25の凹部25Cに挿入されることにより、接続対象物Cの開口部C3の+X方向側の縁部および-X方向側の縁部が、第1インシュレータ25に保持されている第1コンタクト部材28の第1接続部28Jと第2インシュレータ26に保持されている第2コンタクト部材29の第2接続部29Eとの間に挟み込まれる。
【0074】
接続対象物Cは、第1コンタクト部材28の第1接続部28Jと第2コンタクト部材29の第2接続部29Eとの間において、厚さ方向、すなわち、X方向に圧縮され、第1コンタクト部材28の第1接続部28Jが接続対象物Cの表面に接触すると共に第2コンタクト部材29の第2接続部29Eが接続対象物Cの裏面に接触する。接続対象物Cの表面には、フレキシブル導体C2が露出しているので、第1コンタクト部材28の第1接続部28Jは、接続対象物Cのフレキシブル導体C2に電気的に接続されることとなる。すなわち、第1コンタクト部材28および第2コンタクト部材29からなるコンタクト23が、接続対象物Cのフレキシブル導体C2に電気的に接続される。
【0075】
このように、
図27および
図28に示される第1コンタクト部材28と
図29および
図30に示される第2コンタクト部材29とを有する実施の形態2のコネクタ21においても、接続対象物Cの表面に第1コンタクト部材28の第1接続部28Jが接触すると同時に接続対象物Cの裏面に第2コンタクト部材29の第2接続部29Eが接触する。このため、実施の形態1のコネクタ11と同様に、フレキシブル導体C2が接続対象物Cの表面および裏面のいずれに露出していても、また、フレキシブル導体C2が接続対象物Cの両面に露出していても、コンタクト23を接続対象物Cのフレキシブル導体C2に電気的に接続することが可能となる。
【0076】
なお、所定の組み込み方向D1であるZ方向に沿って第2インシュレータ26が第1インシュレータ25に組み込まれる際に、第2コンタクト部材29の弾性片29Dは、弾性変形し、これにより第1コンタクト部材28の第1連絡部28Kと第2コンタクト部材29の第2連絡部29FとがX方向に弾性接触している。このように、第1連絡部28Kと第2連絡部29Fとが弾性接触する方向は、所定の組み込み方向D1に対して直交しているため、弾性片29Dの弾性力により、第1インシュレータ25に組み込まれた第2インシュレータ26が第1インシュレータ25から引き離されるおそれはなく、コネクタ21を安定した状態に維持することができる。また、第1連絡部28Kと第2連絡部29Fとが弾性接触する方向は、所定の組み込み方向D1に対して必ずしも直交する必要はないが、所定の組み込み方向D1に交差する方向であることが好ましい。
【0077】
なお、上記の実施の形態2では、第2コンタクト部材29の第2連絡部29Fが弾性片29Dを有しているが、第2コンタクト部材29の第2連絡部29Fの代わりに第1コンタクト部材28の第1連絡部28Kが弾性片29Dを有していても、同様にして、第1連絡部28Kと第2連絡部29Fとが弾性片29Dを介して互いに弾性接触することで、第1コンタクト部材28と第2コンタクト部材29を互いに導通させることができる。
【0078】
実施の形態3
図33および
図34に、実施の形態3に係るコネクタ31を示す。コネクタ31は、実施の形態1のコネクタ11と同様に、接続対象物Cに取り付けられるもので、絶縁性材料からなるコネクタ本体32を有している。コネクタ本体32には、複数のコンタクト33が、互いに平行な2列に配列された状態で、それぞれ接続対象物Cに対して垂直に突出するように保持されている。
コネクタ31は、実施の形態1で使用されたタブシート14と共に接続対象物Cに取り付けられている。
ここで、便宜上、接続対象物CがXY面に沿って延び、複数のコンタクト33の配列方向をY方向、複数のコンタクト33がそれぞれ突出する方向を+Z方向と呼ぶことにする。
【0079】
図35に示されるように、コネクタ31は、第1インシュレータ35と第2インシュレータ36と第3インシュレータ37を有しており、これら第1インシュレータ35、第2インシュレータ36および第3インシュレータ37によりコネクタ本体32が構成されている。
また、複数のコンタクト33は、それぞれ、第1インシュレータ35に保持される第1コンタクト部材38と、第2インシュレータ36に保持される第2コンタクト部材39とから構成されている。
【0080】
図36および
図37に示されるように、第1インシュレータ35は、XY面に沿って延びる平板形状の基部35Aと、基部35Aの+Z方向側の面の中央に配置され且つ基部35Aから+Z方向に向かって突出する枠形状の突部35Bとを有している。これらの基部35Aおよび突部35Bは、それぞれ、Z方向から見たときに、Y方向に沿った長辺とX方向に沿った短辺とを有するほぼ長方形の外形を有している。
基部35Aの-Z方向側の面には、それぞれY方向に沿って延び且つX方向に間隔を隔てて互いに平行に配置され、-Z方向に向かって突出する一対の凸部35Cが形成され、これらの凸部35Cを囲むように-Z方向に突出する突部35Dが形成されている。
【0081】
基部35Aから+Z方向に向かって突出する枠形状の突部35Bは、互いにX方向に対向し且つそれぞれY方向に沿って延びる一対の長辺部分35Eを有し、それぞれの長辺部分35Eの外面、内面および+Z方向を向いた上面に、複数の第1コンタクト部材38を保持するための複数の保持溝35Fが形成されている。
【0082】
一対の長辺部分35Eの内面に形成された複数の保持溝35Fは、それぞれ、基部35AをZ方向に貫通し、基部35Aの-Z方向側に突出する一対の凸部35Cの互いに対向する側面に沿ってZ方向に延びている。
また、基部35Aには、一対の長辺部分35Eの外面の近傍に、複数の保持溝35Fに対応して、それぞれ基部35Aの+Z方向側の面から基部35Aの-Z方向側にまで貫通する複数の貫通孔35Gが形成されている。基部35Aの-Z方向側に突出する一対の凸部35Cの互いに反対方向を向いた外側の側面には、複数の貫通孔35Gに接続されてZ方向に延びる複数の保持溝35Fが形成されている。
【0083】
図38に示されるように、第2インシュレータ36は、XY面に沿って延びる円板形状の基部36Aを有し、基部36Aの-Z方向側の面に、+Z方向に向かって開口する一対の凹部36Bが形成されている。一対の凹部36Bは、それぞれY方向に沿って延び、X方向に間隔を隔てて互いに平行に配置されている。
それぞれの凹部36Bは、第2インシュレータ36が第1インシュレータ35に組み込まれる際に、第1インシュレータ35の対応する凸部35Cが挿入されるもので、XY面上において、凸部35Cよりもわずかに大きいサイズを有している。
【0084】
基部36Aには、一対の凹部36BのX方向の両側に配置された複数の貫通孔36Cが形成されている。また、それぞれの凹部36Bは、Z方向から見たときに、Y方向に沿った長辺とX方向に沿った短辺とを有する長方形の外形を有しており、凹部36Bの長辺部分の両側面および底面に、第2コンタクト部材39を保持するための複数の保持溝36Dが形成されている。
【0085】
図39に示されるように、第3インシュレータ37は、実施の形態1における第3インシュレータ17と同様の構成を有している。すなわち、第3インシュレータ37は、XY面に沿って延びる円板形状の基部37Aを有し、基部37Aの中央に、ほぼ長方形の開口部37Bが形成され、開口部37BのX方向の両側における基部37Aの-Z方向側の面には、-Z方向に向かって突出する複数の固定ポスト37Cが形成されている。
【0086】
図36に示される第1インシュレータ35の突部35Bの一対の長辺部分35Eのうち、+X方向側に位置する長辺部分35Eの保持溝35Fに保持される第1コンタクト部材38の構成を
図40および
図41に示す。
第1コンタクト部材38は、金属等の導電性材料により形成された帯状部材からなり、U字状に曲げられたU形状部38Aを有している。U形状部38Aは、それぞれYZ面に沿って延び且つ互いにX方向に対向する一対の伸長部38Bおよび38Cと、一対の伸長部38Bおよび38Cの+Z方向端部を互いに連結する連結部38Dとから形成されている。伸長部38Bの-Z方向端部に、段差部38Eを介して、YZ面に沿って延びる平板部38Fが接続されている。
また、伸長部38Cの-Z方向端部に、YZ面に沿ってさらに-Z方向に延びる平板部38Gが接続されている。
【0087】
U形状部38Aの外面により、相手側コネクタのコンタクトに接触するための接触部38Hが形成され、平板部38Fの+X方向側の面により、接続対象物Cの表面に接触する第1接続部38Jが形成され、平板部38Gの-X方向側の面により、第2コンタクト部材39に接続される第1連絡部38Kが形成されている。すなわち、第1接続部38Jと第1連絡部38Kは、第1コンタクト部材38の両端に配置され、X方向に間隔を隔てて互いに反対方向を向いている。
また、平板部38Fの+Z方向端部および平板部38Gの+Z方向端部には、それぞれ、帯状部材の幅方向、すなわち、Y方向に突出する圧入部38Lおよび38Mが形成されている。
【0088】
なお、
図36に示される第1インシュレータ35の突部35Bの一対の長辺部分35Eのうち、-X方向側に位置する長辺部分35Eの保持溝35Fに保持される第1コンタクト部材38は、
図40および
図41に示される第1コンタクト部材38と同一の構成を有しているが、X方向に関して反対向きに配置されている。
【0089】
図38に示される第2インシュレータ36の一対の凹部36Bのうち、+X方向側に位置する凹部36Bの保持溝36Dに保持される第2コンタクト部材39の構成を
図42および
図43に示す。
第2コンタクト部材39は、金属等の導電性材料により形成された帯状部材からなり、YZ面に沿って延びる平板部39Aを有し、平板部39Aの-Z方向端部に-X方向に向かって延びる連結部39Bが接続され、連結部39Bの-X方向端部にYZ面に沿って+Z方向に延びる平板部39Cが接続されている。
また、平板部39Cの中央に-X方向に突出する弾性片39Dが形成されている。
【0090】
平板部39Aの-X方向側の面により、接続対象物Cの裏面に接触する第2接続部39Eが形成され、弾性片39Dにより、第1コンタクト部材38に接続される第2連絡部39Fが形成されている。すなわち、第2接続部39Eと第2連絡部39Fは、互いにX方向に間隔を隔てて、且つ、互いに対向するように配置されている。
また、平板部39Aには、帯状部材の幅方向、すなわち、Y方向に突出する圧入部39Gが形成されている。
【0091】
なお、
図38に示される第2インシュレータ36の一対の凹部36Bのうち、-X方向側に位置する凹部36Bの保持溝36Dに保持される第2コンタクト部材39は、
図42および
図43に示される第2コンタクト部材39と同一の構成を有しているが、X方向に関して反対向きに配置されている。
【0092】
また、第1インシュレータ35の凸部35Cが第2インシュレータ36の凹部36Bに挿入されたときに、第2コンタクト部材39の第2連絡部39Fが有する弾性片39Dは、第1コンタクト部材38の第1連絡部38Kにより押されて弾性変形し、第1連絡部38Kと第2連絡部39Fとが弾性片39Dを介して互いにX方向に弾性接触するように構成されている。
【0093】
接続対象物Cへのコネクタ31の取り付けは、実施の形態1のコネクタ11と同様にして行われる。すなわち、第1インシュレータ35の複数の保持溝35Fに複数の第1コンタクト部材38が保持され、第2インシュレータ36の複数の保持溝36Dに複数の第2コンタクト部材39が保持された後、第1インシュレータ35の一対の凸部35Cが、+Z方向から、
図11に示されるタブシート14の開口部14Aおよび
図16に示される接続対象物Cの開口部C3に順次通され、第2インシュレータ36の一対の凹部36Bに挿入される。このとき、接続対象物Cの開口部C3の+X方向側の縁部および-X方向側の縁部は、それぞれ、第1インシュレータ35の凸部35Cにより押されて-Z方向に折り曲げられながら、第1インシュレータ35の凸部35Cと第2インシュレータ36の凹部36Bの間に入り込む。
【0094】
さらに、第3インシュレータ37の開口部37Bに第1インシュレータ25の突部35Bが挿入されると共に、第3インシュレータ37の複数の固定ポスト37Cが、タブシート14の複数の貫通孔14B、接続対象物Cの複数の貫通孔C4、および、第2インシュレータ36の複数の貫通孔36Cに順次挿入され、第2インシュレータ36の-Z方向側に突出する第3インシュレータ37の複数の固定ポスト37Cの-Z方向端部が加熱変形されることで、
図44に示されるように、接続対象物Cにコネクタ31が取り付けられる。
【0095】
接続対象物Cは、タブシート14と共に、第2インシュレータ36と第3インシュレータ37によりZ方向に挟まれ、第1インシュレータ35の突部35Bは、第3インシュレータ37の開口部37Bから+Z方向に突出して、第1インシュレータ35に保持されている複数の第1コンタクト部材38の接触部38Hが、コネクタ31の+Z方向側に露出された状態となる。
【0096】
図45に示されるように、第1コンタクト部材38の第1接続部38Jおよび第1連絡部38Kは、第1インシュレータ35の凸部35Cの互いに反対方向を向いた一対の外側面上に配置され、第2コンタクト部材39の第2接続部39Eおよび第2連絡部39Fは、第2インシュレータ36の凹部36Bの互いにX方向に対向する一対の内側面上に配置されている。
第1インシュレータ35の凸部35Cが第2インシュレータ36の凹部36Bに挿入されることにより、第2コンタクト部材39の第2連絡部39Fが有する弾性片39Dは、第1コンタクト部材38の第1連絡部38Kにより押されて弾性変形し、第1連絡部38Kと第2連絡部39Fとが弾性片39Dを介して互いに弾性接触することで、互いに導通する。
【0097】
また、第1インシュレータ35の凸部35Cが第2インシュレータ36の凹部36Bに挿入されることにより、接続対象物Cの開口部C3の+X方向側の縁部および-X方向側の縁部が、第1インシュレータ35に保持されている第1コンタクト部材38の第1接続部38Jと第2インシュレータ36に保持されている第2コンタクト部材39の第2接続部39Eとの間に挟み込まれる。
【0098】
接続対象物Cは、第1コンタクト部材38の第1接続部38Jと第2コンタクト部材39の第2接続部39Eとの間において、厚さ方向、すなわち、X方向に圧縮され、第1コンタクト部材38の第1接続部38Jが接続対象物Cの表面に接触すると共に第2コンタクト部材39の第2接続部39Eが接続対象物Cの裏面に接触する。接続対象物Cの表面には、フレキシブル導体C2が露出しているので、第1コンタクト部材38の第1接続部38Jは、接続対象物Cのフレキシブル導体C2に電気的に接続されることとなる。すなわち、第1コンタクト部材38および第2コンタクト部材39からなるコンタクト33が、接続対象物Cのフレキシブル導体C2に電気的に接続される。
【0099】
このように、
図40および
図41に示される第1コンタクト部材38と
図42および
図43に示される第2コンタクト部材39とを有する実施の形態3のコネクタ31においても、接続対象物Cの表面に第1コンタクト部材38の第1接続部38Jが接触すると同時に接続対象物Cの裏面に第2コンタクト部材39の第2接続部39Eが接触する。このため、実施の形態1のコネクタ11と同様に、フレキシブル導体C2が接続対象物Cの表面および裏面のいずれに露出していても、また、フレキシブル導体C2が接続対象物Cの両面に露出していても、コンタクト33を接続対象物Cのフレキシブル導体C2に電気的に接続することが可能となる。
【0100】
なお、所定の組み込み方向D1であるZ方向に沿って第2インシュレータ36が第1インシュレータ35に組み込まれる際に、第2コンタクト部材39の弾性片39Dは弾性変形し、これにより第1コンタクト部材38の第1連絡部38Kと第2コンタクト部材39の第2連絡部39FとがX方向に弾性接触している。このように、第1連絡部38Kと第2連絡部39Fとが弾性接触する方向は、所定の組み込み方向D1に対して直交しているため、弾性片39Dの弾性力により、第1インシュレータ35に組み込まれた第2インシュレータ36が第1インシュレータ35から引き離されるおそれはなく、コネクタ31を安定した状態に維持することができる。また、第1連絡部38Kと第2連絡部39Fとが弾性接触する方向は、所定の組み込み方向D1に対して必ずしも直交する必要はないが、所定の組み込み方向D1に交差する方向であることが好ましい。
【0101】
なお、上記の実施の形態3では、第2コンタクト部材39の第2連絡部39Fが弾性片39Dを有しているが、第2コンタクト部材39の第2連絡部39Fの代わりに第1コンタクト部材38の第1連絡部38Kが弾性片39Dを有していても、同様にして、第1連絡部38Kと第2連絡部39Fとが弾性片39Dを介して互いに弾性接触することで、第1コンタクト部材38と第2コンタクト部材39を互いに導通させることができる。
【0102】
なお、上述した実施の形態1~3では、複数のコンタクト13、23、33が、互いに平行な2列に配列されているが、これに限るものではなく、1列に配列されていてもよい。また、この発明は、必ずしも複数のコンタクト13、23、33を必要とするものではなく、少なくとも1つのコンタクト13、23、33を有していればよい。
【0103】
実施の形態1~3において、第3インシュレータ17、27、37を用いることなく、第1インシュレータ15、25、35と第2インシュレータ16、26、36を互いに固定する構造を有している場合には、第3インシュレータ17、27、37を省略することができる。
【0104】
また、コネクタ11、21、31が取り付けられる接続対象物Cとして、スマートテキスタイルを備える衣服が例示されたが、この他、絶縁基板の表面上にフレキシブル導体が配置された、いわゆるフレキシブル基板を接続対象物Cとして使用することもできる。
実施の形態1~3では、コネクタ11、21、31は、接続対象物Cを補強するためのタブシート14と共に接続対象物Cに取り付けられているが、特に接続対象物Cを補強する必要がない場合には、タブシート14を省略してもよい。
【符号の説明】
【0105】
1 コネクタ、2 第1絶縁部材、2A 凸部、2B 突起、3 第2絶縁部材、3A 開口部、3B 突起収容部、4 接続対象物、5 コンタクト、6 フレキシブル導体、11,21,31 コネクタ、12,22,32 コネクタ本体、13,23,33 コンタクト、14 タブシート、15,25,35 第1インシュレータ、16,26,36 第2インシュレータ、17,27,37 第3インシュレータ、18,28,38 第1コンタクト部材、19,29,39 第2コンタクト部材、14A,17B,27B,37B,C3 開口部、14B,15G,16C,25G,26C,35G,36C,C4 貫通孔、15A,16A,17A,25A,26A,27A,35A,36A,37A 基部、15B,15D,25B,25D,35B,35D 突部、15C,25C,36B 凹部、15E,25E,35E 長辺部分、15F,16D,25F,26D,35F,36D 保持溝、16B,26B,35C 凸部、16E 挿入孔、17C,27C,37C 固定ポスト、18A,28A,38A U形状部、18B,18C,28B,28C,38B,38C 伸長部、18D,19B,28D,29B,38D,39B 連結部、18E,28E,38E 段差部、18F,19A,28F,28G,29A,29C,38F,38G,39A,39C 平板部、18G,29D,39D 弾性片、18H,28H,38H 接触部、18J,28J,38J 第1接続部、18K,28K,38K 第1連絡部、18L,18M,19F,19G,28L,28M,29G,38L,38M,39G 圧入部、19C 固定部、19D,29E,39E 第2接続部、19E,29F,39F 第2連絡部、C 接続対象物、C1 布地、C2 フレキシブル導体、D1 所定の組み込み方向。