(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-15
(45)【発行日】2024-02-26
(54)【発明の名称】基準流体を収容している袋
(51)【国際特許分類】
B65D 65/40 20060101AFI20240216BHJP
B01L 3/00 20060101ALI20240216BHJP
B32B 1/00 20240101ALI20240216BHJP
【FI】
B65D65/40 D
B01L3/00
B32B1/02
(21)【出願番号】P 2020503084
(86)(22)【出願日】2018-03-27
(86)【国際出願番号】 EP2018057707
(87)【国際公開番号】W WO2018184902
(87)【国際公開日】2018-10-11
【審査請求日】2019-10-02
【審判番号】
【審判請求日】2022-01-24
(32)【優先日】2017-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(73)【特許権者】
【識別番号】500554782
【氏名又は名称】ラジオメーター・メディカル・アー・ペー・エス
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100104374
【氏名又は名称】野矢 宏彰
(72)【発明者】
【氏名】リュデール,トーベン
(72)【発明者】
【氏名】ヤコプスン,ハンス・ピーダ・ブロビェア
【合議体】
【審判長】久保 克彦
【審判官】西本 浩司
【審判官】稲葉 大紀
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-228864(JP,A)
【文献】実開昭61-80250(JP,U)
【文献】特表2010-525339(JP,A)
【文献】特表平10-512677(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41J 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
体液パラメータを測定するためのセンサ素子の較正又は品質制御のための基準流体を収容している密封袋であって、多層状の周壁を含む、密封袋において、
前記袋は、前記多層状の周壁内の開口部によって形成されたアクセスポートを更に含み、
前記開口部は、単層または多層状のカバーによって封止されており、
前記単層または多層状のカバー内の層のいずれかは、前記基準流体による酸化に対して、前記多層状の周壁内の前記基準流体に曝されたときに酸化の影響を最も受けやすい1つまたは複数の層よりも耐性があり、
前記密封袋はその内側面に取り付けられた支持要素を更に備えており、
前記支持要素は、アクセスプローブを受け入れる少なくとも1つの通路を含み、そして
前記開口部は、前記支持要素を通る前記通路と位置合わせされている
ことを特徴とする、密封袋。
【請求項2】
前記多層状の周壁は前記基準流体と接触した内側ポリマー層、外側ポリマー層、及び前記内側ポリマー層と前記外側ポリマー層との間の気体遮断層を含む、請求項1に記載の密封袋。
【請求項3】
前記多層状の周壁の前記気体遮断層は、アルミニウムで作製されている、請求項2に記載の密封袋。
【請求項4】
前記多層状の周壁の前記内側ポリマー層は、熱融着性材料で作製されている、請求項2または3に記載の密封袋。
【請求項5】
前記多層状の周壁の内側ポリマー層は、ポリオレフィンで作製されている、請求項2~4のいずれか一項に記載の密封袋。
【請求項6】
前記多層状の周壁の外側ポリマー層は、ポリエチレンテレフタレート又はポリアミドで作製されている、請求項2~5のいずれか一項に記載の密封袋。
【請求項7】
前記単層または多層状のカバーは、少なくとも第1のポリマー層、第2のポリマー層、及び前記第1のポリマー層と前記第2のポリマー層との間の第1の気体遮断層を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の密封袋。
【請求項8】
前記単層または多層状のカバーの前記第1の気体遮断層は、酸化アルミニウム又は酸化ケイ素で作製されている、請求項7に記載の密封袋。
【請求項9】
前記単層または多層状のカバーの前記第1のポリマー層は、熱融着性材料で作製されている、請求項7又は8に記載の密封袋。
【請求項10】
前記単層または多層状のカバーの前記第1のポリマー層は、ポリオレフィンで作製されている、請求項7~9のいずれか一項に記載の密封袋。
【請求項11】
前記単層または多層状のカバーの前記第2のポリマー層は、ポリエチレンテレフタレート又はポリアミドで作製されている、請求項7~10のいずれか一項に記載の密封袋。
【請求項12】
前記単層または多層状のカバーは、前記第1のポリマー層と前記第2のポリマー層との間に少なくとも1つの第1の追加的ポリマー層を含む、請求項7~11のいずれか一項に記載の密封袋。
【請求項13】
前記単層または多層状のカバーは、第2の気体遮断層を更に含む、請求項7~12のいずれか一項に記載の密封袋。
【請求項14】
前記単層または多層状のカバーの前記第2の気体遮断層は酸化アルミニウム又は酸化ケイ素で作製されている、請求項13に記載の密封袋。
【請求項15】
前記単層または多層状のカバーは、前記第1のポリマー層と前記第2のポリマー層との間に第2の追加的ポリマー層を更に含む、請求項12~14のいずれか一項に記載の密封袋。
【請求項16】
前記単層または多層状のカバーの前記第1及び/又は第2の追加的ポリマー層は、ポリエチレンテレフタレートで作製されている、請求項12~15のいずれか一項に記載の密封袋。
【請求項17】
前記多層状の周壁を構成する前記層のうち少なくとも1つは、二軸配向ポリマーである、請求項1~16のいずれか一項に記載の密封袋。
【請求項18】
前記単層または多層状のカバーを構成する前記層のうち少なくとも1つは、二軸配向ポリマーである、請求項1~17のいずれか一項に記載の密封袋。
【請求項19】
前記カバーは、前記袋の前記内側から前記周壁に取り付けられている、請求項1~18のいずれか一項に記載の密封袋。
【請求項20】
前記カバーは前記周壁の取り付け部分に取り付けられており、前記取
り付け部分は前記開口部の周りの周辺部に配置されている、請求項1~19のいずれか一項に記載の密封袋。
【請求項21】
前記単層または多層状のカバーは、少なくとも第1のポリマー層、第2のポリマー層、及び前記第1のポリマー層と前記第2のポリマー層との間の第1の気体遮断層を含み、そして
前記多層状の周壁の前記内側ポリマー層を前記単層または多層状のカバーの前記第1のポリマー層と封止係合することにより、前記多層状の周壁及び前記単層または多層状のカバーは互いに結合されている、請求項
2~6のいずれか一項に記載の密封袋。
【請求項22】
前記基準流体は、CO
2、O
2、K
+、Na
+、Ca
2+、Cl
-、グルコース、乳酸塩、ヘモグロビン、クレアチニン、クレアチン及び尿素からなる群から選択される少なくとも1つの分析物を含む、請求項1~21のいずれか一項に記載の密封袋。
【請求項23】
前記基準流体は、クレアチニン及び/又はクレアチンを含む、請求項1~22のいずれか一項に記載の密封袋。
【請求項24】
前記基準流体は、酸素を含む、請求項1~23のいずれか一項に記載の密封袋。
【請求項25】
アクセスプローブによって穿孔されるように適合された封止要素を更に備え、前記封止要素は、前記アクセスプローブが袋を貫通したときに、前記袋と前記アクセスプローブとの間の漏洩を防止する、請求項1~24のいずれか一項に記載の密封袋。
【請求項26】
前記支持要素及び前記袋の前記内側面は、同一材料で作製されている、請求項1~25のいずれかに記載の密封袋。
【請求項27】
前記カバーは、前記支持要素と前記開口部の周りの前記周壁との間に配置されている、請求項1~26のいずれか一項に記載の密封袋。
【請求項28】
請求項1~27のいずれか一項に記載の密封袋と、前記単層または多層状のカバーを穿孔することによってアクセスポートを通り前記密封袋内へ挿入するように適合されたアクセスプローブであって、前記基準流体を前記アクセスポートを通って取り出すように更に適合されている前記アクセスプローブと、を含む基準流体袋アセンブリ。
【請求項29】
体液のパラメータを測定するための分析機器に、センサの較正又はセンサの品質制御のための複数の基準流体を提供するために適合された容器であって、少なくとも1つの請求項28に記載の袋アセンブリを含む、容器。
【請求項30】
前記多層状の周壁の内側ポリマー層は、ポリプロピレン又はポリエチレンで作製されている、請求項5に記載の密封袋。
【請求項31】
前記多層状の周壁の内側ポリマー層は、ポリエチレンで作製されている、請求項30に記載の密封袋。
【請求項32】
前記単層または多層状のカバーの前記第1の気体遮断層は、酸化アルミニウムで作製されている、請求項8に記載の密封袋。
【請求項33】
前記単層または多層状のカバーの前記第1のポリマー層は、プロピレン又はポリエチレンで作製されている、請求項10に記載の密封袋。
【請求項34】
前記単層または多層状のカバーの前記第1のポリマー層はポリエチレンで作製されている、請求項33に記載の密封袋。
【請求項35】
前記単層または多層状のカバーの前記第2のポリマー層は、ポリアミドで作製されている、請求項11に記載の密封袋。
【請求項36】
前記単層または多層状のカバーの前記第2の気体遮断層は酸化アルミニウムで作製されている、請求項14に記載の密封袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一態様では、体液パラメータを測定するためのセンサ素子の較正又は品質制御のための基準流体を収容している密封袋に関し、この袋は、第1の層状材料の周壁を備えており、特に、基準流体を取り出すためのアクセスプローブによって穿孔されるように適合された密封袋に関する。
【0002】
更なる態様によれば、密封袋は、アンペロメトリックセンサ、特に高感度アンペロメトリックセンサの較正又は品質制御のための基準流体を収容する。
【0003】
特定の態様によると、密封袋は、クレアチンセンサ及び/又はクレアチニンセンサの較正又は品質制御のための基準流体を収容する。
【0004】
更に特定の態様によれば、密封袋は、グルコースセンサ、特に高感度アンペロメトリックグルコースセンサの較正又は品質制御のための基準流体を収容する。
【0005】
更に特定の態様によれば、密封袋は、乳酸センサ、特に高感度アンペロメトリック乳酸センサの較正又は品質制御のための基準流体を収容する。
【0006】
別の態様では、本発明は、基準流体を収容しているこのような密封袋を備える袋アセンブリに関する。更なる態様では、本発明は、センサの較正及び/又はセンサの品質制御のための複数の基準流体を用いて体液のパラメータを測定するための分析機器を提供するように適合された容器に関する。
【背景技術】
【0007】
基準流体用袋は、分析機器と共に広範に使用されている。袋は、多くの場合、例えばカセットなどの容器内に提供されており、いくつかの袋が1つのカセット内に提供されている。単一のカセットは、そのカセットが基準流体を送出するように適合されている分析機器に応じて、いくつかの異なる基準流体を含むことができる。分析機器は、血液又は尿などの体液を測定するための機器であってもよい。体液で測定される典型的なパラメータは、例えば、pCO2、p02、pH、Na+、K+、Ca2+、Cl-、グルコース、乳酸、尿素、クレアチニン、ビリルビン、及び、例えばFO2Hb、FCOHb、FMetHb、FHHb及びFHbFなどのヘモグロビン値である。パラメータは通常、センサ手段によって測定され、各パラメータは通常、特定のセンサを必要とする。しかし、信頼性の高い結果を提供するために、センサによって提供される測定値の品質は頻繁に制御されなければならず、センサは更に頻繁に較正する必要がある。較正及び品質制御の手順は、気体又は液体であり得る基準流体を使用して実行され、この較正及び品質制御のプロセスは、当業者には周知である。
【0008】
体液パラメータを測定するための機器の特に有利な実施形態は、サンプルチャンバの側壁に組み込まれた複数の専用センサを備える非常に小さなサンプル容積を有するサンプルチャンバを採用している。複数のセンサを有するセンサカートリッジは、例えば、米国特許第5,916,425号及び米国特許第8,728,288号から公知である。このような複数のセンサデバイスは、同一サンプル上の上述の複数パラメータの同時測定を可能にし、それによって、患者の状態のより包括的描写を提供すると同時にサンプル流体の必要量を著しく減少させる。しかし、他の課題の中でも、このことはまた、較正及び品質制御手順に対する要件及び制約を著しく厳しくする。例えば、複数のセンサデバイス内に特に感度の高いアンペロメトリックセンサを含めることは、所与の基準流体組成物に更なる分析物を添加することが必要なことがあり、同時に、基準流体内の異なる分析物に対してより厳しい許容範囲を課すことがある。したがって、基準流体中の基準分析物の特定の含有量に対する許容範囲が厳しくなる。
【0009】
したがって、上記を鑑みて、基準流体を収容する袋がしっかりと封止されており、適切な流体密の材料で作製されることが非常に重要である。このことは、二酸化炭素、窒素、及び、特に酸素などの気体に対してはより重要性が高い。
【0010】
較正された酸素含有量を有する基準流体に対して最適化された密封袋は、とりわけ、例えば、参考としてその全体が本明細書に組み込まれている米国特許第9,101,936号に開示されている。この袋は、基準流体と接触する内側ポリマーを有する層状材料、外側ポリマー層、及び内側層と外側層との間に配置されたアルミニウムで作製された気体拡散遮断層により作製されている。基準流体用袋内の遮断層としてアルミニウムを使用するという不利な点は、水溶液に曝露されたときに無垢のアルミニウムが腐食反応を受け、それによって、基準流体中に放出される水素を発生させることである。しかし、基準流体中に放出された水素は、アンペロメトリック測定などの電気化学センサの測定に干渉する場合がある。このことは、較正及び品質制御手順に影響を及ぼすアーチファクトを生じる場合がある。
【0011】
アルミニウム気体拡散遮断層の腐食による寄生水素生成の問題は、クレアチン及び/又はクレアチニンセンサの較正又は品質制御のための基準流体を収容している密封袋を開示している同時係属中の特許出願であるデンマーク国特許第2015/00805号、欧州特許出願公開第16203151号、及び米国特許第15/378247号において対処されている。この袋は、基準流体と接触する内側ポリマー、外側ポリマー層、及びそれらの間の1つ以上の追加的コア層を有する層状材料により作製される。特に、コア層は、通常、ポリマー担持層上に支持されている、数ナノメートルの薄い酸化アルミニウム層を含むことができる。これにより、驚くほど低い気体拡散を維持しつつ、寄生水素発生の問題が解決されている。しかし、この酸化アルミニウム系層状材料を通じた、ほとんどの用途において十分である、驚くほど低い気体拡散にもかかわらず、気体拡散遮断としてアルミニウム層を含む上記層状材料の気密性を完全にするものではない。したがって、このような袋は、寄生水素発生の問題を最小限に抑えるか、又は完全に回避するために最適化することができる。しかし、特に上述したような複数のセンサデバイスとの関連で、複数の分析物を有する基準流体組成物が望ましい場合があり、これは、信頼性の高い気体拡散遮断、及び同時に寄生水素発生に対して鋭敏であることの両方を必要とする。
【0012】
したがって、寄生水素発生の問題を克服するか、又は少なくとも著しく低減し、改善された気密性を呈する、体液パラメータを測定するためのセンサの較正又は品質制御のための基準流体を収容している密封袋が依然として必要とされている。
【0013】
したがって、本発明の目的は、従来技術の上述の問題の少なくとも一部を克服して、袋内に収容された基準流体を取り出すためのアクセスプローブによって穿孔されるように適合された密封袋を提供することである。
【発明の概要】
【0014】
本発明の目的は、従属請求項によって定義されるような有利な実施形態、及び以下の説明から導き出される任意の更なる実施形態を伴う独立請求項1に記載の密封袋によって達成される。
【0015】
用語「密封」は、袋の内部と外部との間に流体連通が実質的にないことを意味するものとして理解されるべきである。換言すれば、液体が袋から流出するか、又は袋に流入することは不可能である。
【0016】
センサの較正とは、センサ応答と基準材料の所定のパラメータ値との間の対応関係を実験的に決定することとして理解されるべきである。較正において決定された対応関係は、例えば生理液のパラメータが決定されるときに使用される。第1に、生理学的パラメータに対するセンサ応答が得られる。次いで、センサ応答は、決定された対応関係を使用することによって、測定されたパラメータ値に変換される。本発明のいくつかの実施形態によると、決定されるパラメータは、例えば生理液中のクレアチン及び/又はクレアチニン濃度である。更に、本発明のいくつかの実施形態によれば、決定されるパラメータは、例えば生理液中のグルコース濃度である。更に、本発明のいくつかの実施形態によれば、決定されるパラメータは、例えば生理液中の乳酸濃度である。
【0017】
センサの品質制御は、センサ測定が正確及び/又は精密であることを実験的に検証することとして理解されるべきである。通常、このような検証は、基準材料の測定されたパラメータ値が許容範囲内にあるかどうかを判定することによって実行される。基準材料の測定されたパラメータ値は、上述の較正対応関係を使用して、センサ応答を測定されたパラメータ値に変換することによって得られる。次いで、測定されたパラメータ値が基準材料の許容範囲内にあるかどうかが判定される。
【0018】
許容範囲は、一般に、所定の値に中心値が置かれる。範囲の限界は、例えば、センサ偏差に依存し、品質制御と較正の両方のための基準材料の所定のパラメータ値を判定する際の変動、及び/又は正確度及び精密度の要求に依存する。
【0019】
本発明の第1の態様によれば、密封袋が提供されており、密封袋は、体液パラメータを測定するためのセンサ素子の較正又は品質制御用の基準流体を収容し、袋は、第1の層状材料の周壁を含み、袋は、第1の層状材料の開口部によって形成されたアクセスポートを更に備えており、開口部は、第2の層状材料のカバーによって封止され、第2の層状材料は、基準流体による酸化に対して第1の層状材料よりも耐性となっている。
【0020】
有利なことに、いくつかの実施形態によれば、基準流体は、体液パラメータを測定するための少なくとも1つの電気化学センサの較正又は品質制御のためのものであり、特にイオン選択性膜を有する少なくとも1つの電気化学センサの較正又は品質制御のためのものである。更に有利なことに、基準流体は、クレアチンセンサ及び/又はクレアチニンセンサの較正又は品質制御のためのものである。更に有利なことに、基準流体は、グルコースセンサの較正又は品質制御のためのものである。更に有利なことに、基準流体は、乳酸センサの較正又は品質制御のためのものである。このような基準流体は、分析物の水溶液である。複数の分析物が、同じ基準流体内に供給されてもよい。同じ分析物は、異なる基準流体中に供給されてもよく、異なる濃度で供給されてもよい。基準流体には、較正された組成物が供給され、すなわち、分析物の含有量が綿密に較正された濃度で供給されている。
【0021】
基準流体は、CO2、O2、K+、Na+、Ca2+、Cl-、グルコース、乳酸塩、ヘモグロビン、クレアチニン、クレアチン及び尿素からなる群から選択される少なくとも1つの成分を含む。好ましくは、基準流体は、少なくともクレアチン及び/又はクレアチニンを含む。更に好ましくは、基準流体は、少なくともグルコースを含む。好ましくは、基準流体は、少なくとも乳酸塩を含む。
【0022】
基準流体は、生物学的緩衝剤、塩、酵素、界面活性剤、キレート剤、抗生物質及び防腐剤を更に含んでもよい。
【0023】
密封袋は、カバーによって封止された開口部を有する周壁を有する。密封袋は可撓性である。密封袋は、基準流体を収容する。
【0024】
袋の内側チャンバは、第1の層状材料で作製された周壁によって画定されている。内側チャンバは、基準液体を収容している。アクセスポートは、第1の層状材料内に開口部を設けることによって、周壁内に形成されている。開口部は、アクセスプローブのアクセス位置を画定する。アクセスプローブは、開口部を封止するカバーを穿孔するように適合されており、それによって袋の内側から袋の外側への通路を提供し袋から基準流体を取り出すように適合されている。密封袋が分析機器に接続されると、基準流体は、次いで較正又は品質制御手順を実行するための機器に提供され得る。後述するように、袋アセンブリは、密封袋、及び基準流体を取り出すためのアクセス位置で密封袋を穿孔するように適合されたアクセスプローブを備え得る。以下に更に言及するように、密封袋は、通常、カセットベースの基準流体システムを使用して分析機器内で使用される。
【0025】
開口部は、第1の層状材料を破壊、引っ掻き、又は他の方法で損傷することなく開口部を通過するアクセスプローブのアクセスをもたらすように配置され、形状付与され、かつ寸法決めされている。開口部は、協働するアクセスプローブ配備の予め定められた場所に対して位置合わせされた、予め定められたアクセス位置に配置してもよい。次いで、開口部の直径は、袋の製造及び組み立て中の位置合わせ許容誤差を考慮して、同様に袋上のアクセス位置と袋が使用のために設置されるときのアクセスプローブの展開位置との間の位置合わせ許容誤差を考慮して寸法決めするべきである。例えば、アクセスプローブは、1~4mmといった、2~3mmのような数ミリメートルの横寸法を有してもよい。袋内の対応する開口部は次いで、5~15mmに、例えば7~13mmのような、約10mmのように寸法決めしてもよい。それによって、基準流体と第1の層状材料の内部層とのあらゆる直接接触は、基準流体を引き出すためのアクセスプローブによって袋が穿孔されたときに防止され得ることが達成される。
【0026】
開口部は、第1の層状材料とは異なる第2の層状材料で作製されたカバーで封止されている。したがって、袋は、輸送から使用時点での設置を含む貯蔵期間の間、すなわち、基準流体を取り出すためにアクセスプローブがカバーを穿孔するまで封止されている。袋を形成する第1の層状材料は、いくつかの特定の基準のために設計されてもよく、及び/又は、そこを通る分析物が拡散するための特定の遮断値、純度要件、若しくは機械的安定性などの特定の制約条件又は要件を満たすように適合してもよい。しかし、このような設計基準の実現は、基準流体と接触させたときに腐食しやすい材料を含めることを必要とする場合がある。酸化反応を引き起こすこのような材料間の接触は、基準流体中に放出された寄生水素の発生をもたらし、それによって、完全に破損していない場合には、上記のような較正及び品質制御手順に影響を及ぼす。貯蔵期間中、そのような材料と基準流体との間の接触は、適切な材料で内側チャンバを裏張りすることによって防止することができる。しかし、少なくとも、袋の周壁を貫通することによって内側チャンバにアクセスするとき、層状材料は引き裂かれ、そのような重要な材料が、基準流体に曝されることがある。周壁のカバーとは異なる層状材料のカバーを提供することによって、カバーの穿孔時の少ない水素発生に適合された密封袋上にアクセス位置を画定することが可能であるのに対して、周壁は、改善された機械的安定性、又は特に材料を通じた少ない気体拡散などといった最大の流体密性などの他の主要な設計基準を達成するように適合してもよい。上記のような、予め画定された小さな開口部にアクセス位置を制限することによって、例えば、袋全体が第2の層状材料で作製された場合よりも、そこを通る気体拡散の上限、又はカバー材料の機械的安定性の上限に関して、第2の層状材料上に制限的な制約を有することが可能である。
【0027】
基準流体を有する密封袋が使用のために作動されるときに第1の層状材料を貫通する代わりに、アクセスプローブは、第2の層状材料で作製されたカバーを穿孔する。袋から基準流体を引き出すとき、任意のコア層を含む第2の層状材料の1つ以上の層が、このように基準流体に曝されることがある。第2の層状材料が、基準流体の環境に曝されたときに、基準流体による酸化に対して第1の層状材料よりも耐性であることを必要とすることによって、袋を封止する穿孔された膜材料による基準流体の酸化反応からの寄生水素の発生が達成され、完全に防止されていない場合でも、首尾よく低減されることが達成される。有利には、第2の層状材料は、第2の層状材料中の層のいずれかが、基準流体に曝されたときに酸化の影響を最も受けやすい第1の層状材料中の1つ以上の層よりも水性基準流体による酸化に対してより耐性であるという点で、第1の層状材料とは異なっている。最も好ましくは、第2の層状材料は、体液パラメータセンサの較正又は品質制御のために一般的に使用される水性基準溶液によって腐食され得る材料のいずれの層も含まないという点で第1の層状材料とは異なり、すなわち、第2の層状材料は、基準流体と接触させたときに酸化反応を起こしやすいいずれの材料も含有しない。特に、第2の層状材料は、好ましくは、金などの基準溶液によって腐食されない貴金属を除いて金属層を含まない。特に、第2の層状材料は、好ましくは、アルミニウム製の金属層を含まない。
【0028】
更に密封袋のいくつかの実施形態によれば、第1の層状材料は、基準流体と接触する内側ポリマー層、外側ポリマー層、及び内側ポリマー層と外側ポリマー層との間の気体遮断層を含む。内側ポリマー層は、基準流体と接触するためのものである。気体遮断層は、周壁を通るいずれかの方向での気体拡散を抑制するためのものである。外側ポリマー層は、袋の周壁に機械的安定性を付与し、特に外的影響による機械的損傷から気体遮断層を保護する。内側ポリマー層は、70~90μm、好ましくは75~85μmの厚さを有し得る。外側ポリマー層は、任意の好適なポリマーであってよい。好適なポリマーの例としては、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、及びポリアミドが挙げられる。好ましくは、外側ポリマー層は二軸配向される。好ましくは、外側ポリマー層は二軸配向ポリアミドである。外側ポリマー層の厚さは、10~20μm、好ましくは12~18μmであり得る。この層を含めることにより、袋の適切な機械的安定性が確保される。
【0029】
有利なことに、いくつかの実施形態によれば、第1の層状材料の気体遮断層の厚さは、5~15μmであり、又は8~12μmであり、又は約9μmである。これによって、密封袋の周壁を通る気体拡散の良好な抑制が達成される。
【0030】
更に、密封袋のいくつかの実施形態によれば、第1の層状材料の気体遮断層は、金属であり、好ましくはアルミニウムで作製されている。それによって、そこを通る酸素などの分析物気体の非常に低い拡散を伴う非常に良好な気体遮断がもたらされる。
【0031】
更に、密封袋のいくつかの実施形態によれば、第1の層状材料の内側層は、ポリプロピレン又はポリエチレンなどの熱融着性材料で作製されている。好ましくは、第1の層状材料の内側層は、ポリエチレンで作製されている。それによって、密封袋は熱融着技術を使用して形成されることができ、隣接するウェブ部分を接合するための流体密かつ機械的に安定的な継ぎ目を確実に実現する。好ましくは、内側層の熱融着性材料は、第1の層状材料の残りの層よりも低い溶融温度を有する。有利にも、第1の層状材料の外側ポリマー層は、ポリエチレンテレフタレート又はポリアミドで作製されている。
【0032】
有利にも、密封袋のいくつかの実施形態によれば、第2の層状材料は、その第1の側に少なくとも第1のポリマー層、そしてその第2の側に第2のポリマー層を含む。層状材料の第1の面を形成する少なくとも第1のポリマー層、及び第1の面と反対側の第2の層状材料の第2の面を形成する第2のポリマー層を提供することによって、カバーの外側特性は、袋の内側に面する側面の基準流体との親和性に対する必要性に適合するように調整してもよく、更に、カバーを開口部の周囲の周壁に取り付けるための必要性、かつ第1の層状材料との適切な封止を形成するための必要性に適合するように調整してもよい。更に有利なことに、第2の層状材料は、少なくとも1つの気体遮断層を含む。これにより、カバーを通る気体拡散が更に低減される。好ましくは、第2の層状材料の少なくとも1つの気体遮断層は、基準流体の環境において非酸化性材料で作製されている。非酸化性材料に対する制限は、基準流体を取り出すためのアクセスプローブによって破られるときに、カバーの内部層に接触する基準流体による寄生水素の発生を回避する。
【0033】
更に、密封袋のいくつかの実施形態によれば、第2の層状材料は、少なくとも、第1のポリマー層、第2のポリマー層、及び第1のポリマー層と第2のポリマー層との間の第1の気体遮断層を含む。これにより、カバーを通る気体拡散が更に低減される。更に、2つのポリマー層の間に気体遮断層を配置することにより、気体遮断層は外的影響から保護されている。
【0034】
更に、密封袋のいくつかの実施形態によれば、第2の層状材料の第1の気体遮断層は、酸化アルミニウム又は酸化ケイ素で、好ましくは酸化アルミニウムで作製されている。これらの材料は、基準流体と共に使用するための驚くほど良好な気体拡散遮断をもたらし、体液パラメータセンサの較正又は品質制御に一般的に使用される水性基準溶液による腐食/酸化に対する耐性を有する。これにより、アクセスプローブによるカバーの穿孔時の寄生水素発生の問題を伴わずに、改善された気体拡散遮断が達成される。
【0035】
有利にも、酸化アルミニウムの気体拡散遮断層などの気体拡散遮断層の厚さは、40nm~60nmであってよく、好ましくは45nm~55nmであってよい。
【0036】
更に、密封袋のいくつかの実施形態によると、第2の層状材料の第1のポリマー層は、熱融着性材料で作製されている。これにより、カバーが熱融着技術によって周壁の取り付け部分に取り付けられ得ることが達成される。好ましくは、取り付け部分は、開口部の周囲に配置されている。上述のように、熱融着技術は、機械的に安定的かつ流体密な封止の確実な形成を可能にする。好ましくは、熱融着性材料は、ポリオレフィンで、好ましくはポリプロピレン又はポリエチレンで、より好ましくはポリエチレンである。このことは特に信頼性の高い封止形成を可能としている。このようにカバーを開口部の上に熱融着することを容易にするために、接合部に面する第1のポリマー層は、好ましくは熱融着性材料で作製されており、一方、接合部から離れる方向に面する第2のポリマー層は、熱融着性ではないか、又は第1のポリマー層の熱融着に適用されるプロセス温度よりも高い融解温度を少なくとも有する。接合部を形成することに関与する熱融着性材料は、このように第1の層状材料及び/又は第2の層状材料の残りの層よりも低い融解温度を有する。
【0037】
好ましくは、密封袋のいくつかの実施形態によると、第2の層状材料の第2のポリマー層は、ポリエチレンテレフタレート又はポリアミドで、好ましくはポリアミドで作製されている。
【0038】
最も好ましくは、第2の層状材料の熱融着性第1のポリマー層は、第1の層状材料の内側層に熱融着され、それ自体がポリエチレン又はポリプロピレンなどの熱融着性材料で作製される。このようにカバーが取り付けられて、袋の周壁の開口部を封止するとき、カバーの第1のポリマー層は、袋の内側チャンバから離れる外向きに向いて配向され、カバーの第2のポリマー層は、袋の内側チャンバに向いた内向き方向に面し、貯蔵期間にわたって基準流体に曝される。したがって、好ましくは、第2のポリマー層の材料は、基準流体と適合するように選択され、すなわち、第2の層状材料の第2のポリマー層の材料は、基準流体に対して化学的に安定的であり、基準流体の汚染を引き起こさない。
【0039】
上述したように、第1のポリマー層は、ポリプロピレン又はポリエチレンなどのポリオレフィンで作製してもよい。第1の層はポリエチレンで作製されることが好ましい。第1のポリマー層が二軸配向されることもまた好ましい。好ましい実施形態では、第1のポリマー層は二軸配向ポリエチレンである。有利にも、第2の層状材料の第1のポリマー層は、70μm~90μmの厚さを有し、好ましくは75μm~85μmの厚さを有する。
【0040】
第2のポリマー層は、任意の好適なポリマーで作製してもよい。好適なポリマー材料の例としては、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、及びポリアミドが挙げられる。好ましくは、第2のポリマー層は二軸配向されている。好ましくは、第2のポリマー層は、二軸配向されたポリアミドである。第2の層状材料の第2のポリマー層の厚さは、10μm~20μmであり、好ましくは12μm~18μmであってよい。この層を含めることにより、第2の層状材料の良好な機械的安定性が確保される。
【0041】
更に、密封袋のいくつかの実施形態によれば、第2の層状材料は、第1のポリマー層と第2のポリマー層との間に少なくとも第1の追加的ポリマー層を含む。これにより、第2の層状材料の機械的安定性が向上している。更に、密封袋のいくつかの実施形態によると、第2の層状材料の第1の気体遮断層は、第1の追加的ポリマー層に付着されている。したがって、第1の追加層は、気体拡散遮断層への機械的支持を提供するキャリア層として機能することができ、それにより、第2の層状材料の確実な製造を容易にする。第2の層状材料の気体拡散遮断層の品質は、このことで改善されることができ、開口部の位置でのカバーを通じた気体拡散を低減するようになっている。
【0042】
更に、密封袋のいくつかの実施形態によると、第2の層状材料は、第2の気体遮断層を更に含む。これにより、第2の層の気体拡散遮断は更に強化され、このことでカバーを通る気体拡散を更に低減する。
【0043】
更に、密封袋のいくつかの実施形態によれば、第2の層状材料の第2の気体遮断層は、酸化アルミニウム又は酸化ケイ素で、好ましくは酸化アルミニウムで作製されている。上述のように、この材料選択は、驚くほど良好な気体拡散遮断を提供する。改善された気体拡散遮断は、このようにアクセスプローブによるカバーの穿孔時の寄生水素発生の問題を伴わずに達成される。
【0044】
有利にも、第2の気体拡散遮断層の厚さは、第1の気体拡散遮断層の厚さと同じであり、すなわち、40nm~60nmであり、好ましくは45nm~55nmである。
【0045】
更に、密封袋のいくつかの実施形態によれば、第2の層状材料は、第1のポリマー層と第2のポリマー層との間に第2の追加的ポリマー層を更に含む。これにより、第2の層状材料の機械的安定性が更に向上する。更に、密封袋のいくつかの実施形態によると、第2の層状材料の第2の気体遮断層は、第2の追加ポリマー層に取り付けられる。第2の追加層は、このように第2の気体拡散遮断層への機械的支持を提供するキャリア層として機能することができ、それにより、第2の層状材料の確実な製造を容易にする。第2の層状材料の気体拡散遮断層の品質は、このように更に改善されることができ、開口部の位置におけるカバーを通じた気体拡散を低減するようになっている。
【0046】
更に、密封袋のいくつかの実施形態によると、第2の層状材料の第1及び/又は第2の追加ポリマー層は、ポリエチレンテレフタレートで作製されている。更に、密封袋のいくつかの実施形態によると、第1の層状材料を構成する層のうちの少なくとも1つは、二軸配向ポリマーであり、更に好ましくは、ポリマーは上記のタイプのうちの少なくとも1つである。更に、密封袋のいくつかの実施形態によると、第2の層状材料を構成する層のうちの少なくとも1つは、二軸配向ポリマーであり、更に好ましくは、ポリマーは上記のタイプのうちの少なくとも1つである。
【0047】
有利にも、第1及び第2の気体遮断層は、追加ポリマー層のうちの少なくとも1つによって互いに分離されており、すなわち、第1の追加ポリマー層によって、第2の追加ポリマー層によって(存在する場合)、又は第1及び第2の追加ポリマー層の両方によって(該当する場合)、互いに分離されている。第1及び第2の追加ポリマー層は、同一のポリマー材料から作製されることが好ましい。好ましくは、ポリマー材料はポリエチレンテレフタレートである。第1及び第2の追加ポリマー層は、二軸配向され、例えば二軸配向ポリエチレンテレフタレートであることが好ましい。第1及び第2の追加ポリマー層の厚さは、10μm~15μmであってよく、好ましくは11μm~13μmであってよい。
【0048】
更に、密封袋のいくつかの実施形態によると、カバーは、袋の内側から開口部の周囲の周壁に取り付けられている。この実施形態は、封止が形成される第1及び/又は第2の層状材料の面に熱融着可能な材料を有する実施形態と組み合わせて特に有利である。熱融着技術を使用することにより、カバーを周壁に取り付けるために接着剤の使用が回避されることができ、基準流体を汚染する可能性のある汚染源が回避される。超音波溶接などの封止された接合を形成するための他の「接着未使用」技術が、当業者が同様の方法で同じ効果を達成するために想到され得る。
【0049】
更に、密封袋のいくつかの実施形態によれば、カバーは、開口部の周りの周辺部にある周壁の取り付け部分に取り付けられている。
【0050】
更に、密封袋のいくつかの実施形態によれば、第1及び第2の層状材料は、第2の層状材料の第1のポリマー層と封止係合するように、第1の層状材料の内側層と互いに接合されている。これにより、カバーと第1の層状材料との間に封止された、すなわち流体密の接合部が形成される。好ましくは、接合は、開口部の周辺部の縁部領域に配置される。
【0051】
更に、密封袋のいくつかの実施形態によると、基準流体は、CO2、O2、K+、Na+、Ca2+、Cl-、グルコース、乳酸、ヘモグロビン、クレアチニン、クレアチン及び尿素からなる群から選択される少なくとも1つの分析物を含む。基準流体は、典型的には、較正された濃度の複数のこれらの分析物を含む水溶液である。実行される較正又は品質制御手順に応じて、基準流体は、好ましくは、2つ、3つ、4つ又はそれ以上の異なる複数の成分の組み合わせを含むことができるか、又は較正された量で予め定められた濃度の上記リストから選択された異なる分析物を含む。予め定められた濃度は、このような低濃度も較正手順に従って指定される限り、明示的又は暗黙的に指定された許容範囲内で、ゼロに近いか又はゼロに等しくてもよい。
【0052】
有利にも、密封袋のいくつかの実施形態によれば、基準流体はクレアチニン及び/又はクレアチンを含む。いくつかの実施形態によると、基準流体中のクレアチニン濃度は、少なくとも200μM、又は少なくとも300μM、又は少なくとも400μMである。更にいくつかの実施形態によると、基準流体中のクレアチン濃度は、少なくとも300μM、又は少なくとも400μM、又は少なくとも500μMである。更に有利なことに、密封袋のいくつかの実施形態によれば、基準流体は酸素を含む。いくつかの実施形態によれば、基準流体は、100mmHg未満の、50mmHg未満、又は30mmHg未満の所定の分圧(pO2)の酸素を含む。あるいは、いくつかの実施形態によれば、基準流体は、少なくとも250mmHg、又は少なくとも300mmHg、又は少なくとも350mmHgの所定の分圧(pO2)で酸素を含む。約180mmHgの酸素の「正常な」分圧からの実質的な偏差は、例えば、密封袋の周壁を通る気体拡散に起因して、(分圧力勾配に応じて入るか又は出る)酸素漏洩に対して較正/QCシステムを特に鋭敏にする。したがって、このような基準流体のための密封袋の周壁におけるアルミニウム製などの金属製気体拡散遮断層の使用が望ましいことがある。しかし、基準流体を使用して較正又は品質制御される分析システムが、同時に上述のクレアチン/クレアチニンセンサのような高感度アンペロメトリックセンサのような寄生水素の生成に特に敏感なセンサを有する場合、本発明の実施形態によるアクセスポートを有する密封袋は、基準流体のクレアチン/クレアチニン含有量が、上記範囲によるように比較的高い場合、特に有利である。したがって、本発明による密封袋は、通常の保管、輸送及び/又は動作条件下での空気と比較して基準流体が比較的低いか又は比較的高い酸素濃度を有するとき、そして同時に、比較的高い濃度のクレアチン及び/又はクレアチニンを有するとき、較正及び/又は品質制御手順の信頼性を高めるのに特に有用である。類似体もまた、グルコース及びラクテートセンサ、特にグルコース又は乳酸を測定するための高感度アンペロメトリックセンサに適用される。感度が0.1pA/μMを超えるアンペロメトリックセンサは、通常、高い感度を有すると考えられる。より具体的には、少なくとも2pA/μMなどの、少なくとも1pA/μMのような、少なくとも0.1pA/μMの感度を有するアンペロメトリックグルコースセンサ及びアンペロメトリック乳酸センサは高い感度を有すると考えられる。更に具体的には、少なくとも200pA/μMのような、少なくとも100pA/μMなどの、少なくとも30pA/μMの感度を有するアンペロメトリッククレアチン/クレアチニンセンサは、高い感度を有すると考えられる。
【0053】
有利にも、いくつかの実施形態によれば、第1の層状材料を通る酸素の拡散は、任意のバージョンのASTMD3985など、特にASTM D3985ー95、又は代替的にASTM D3985-05(2010)eなどの「Standard Test Method for Oxygen Gas Transmission Rate Through Plastic Film and Sheeting Using a Coulometric Sensor」に従って23℃の室温で判定されるように、0.1cm3/m2/24hrs/atm未満、好ましくは0.01cm3/m2/24hrs/atm未満、好ましくは0.001cm3/m2/24hrs/atm未満である。
【0054】
有利にも、いくつかの実施形態によれば、第2の層状材料を通じた酸素の拡散は、任意のバージョンのASTM D3985、特にASTM D3985-95、又は代替的にASTM D3985-05(2010)eなどの「Standard Test Method for Oxygen Gas Transmission Rate Through Plastic Film and Sheeting Using a Coulometric Sensor」に従って23℃の室温で判定されるように、5cm3/m2/24hrs/atm未満、好ましくは3cm3/m2/24hrs/atm未満、好ましくは1cm3/m2/24hrs/atm未満、又は0.5cm3/m2/24hrs/atm未満、又は0.3cm3/m2/24hrs/atm未満、又は更には0.1cm3/m2/24hrs/atm未満である。
【0055】
更にいくつかの実施形態によれば、密封袋は、針などのアクセスプローブによって穿孔されるように適合された封止要素を更に備え得る。封止要素は、好ましくは、袋の外側、すなわち外側ポリマー層上に設けられる。封止要素は、アクセスプローブが袋を貫通したときに、袋とアクセスプローブとの間の漏洩を防止する。封止要素が袋の外側に設けられ、アクセスプローブが封止要素を通過するとき、袋を穿孔する間のアクセスプローブの移動は、封止要素を袋の外壁(すなわち、外側ポリマー層)に向けて押し込み、更により緊密な密封をもたらす。
【0056】
有利にも、いくつかの実施形態によれば、封止要素は、アクセスプローブと袋の壁との間の緊密な封止を得ることを可能にする形状を有することができ、封止要素は、好ましくは、アクセスプローブを包囲する実質的に円筒形状を有する。封止要素はまた、アクセス位置において袋の壁に当接するフランジを有する。所望の可撓性を得るために、封止要素は、好ましくは、ゴム材料(例えばブチルゴム)から作製される。より多くのアクセスプローブで、より多くの袋が容器内に配置される場合、より多くの封止要素が必要とされる。封止要素は、容器内への装着を容易にするために相互に接続してもよい。
【0057】
封止要素は、アクセスプローブが袋を穿刺する場所で袋に取り付けられ、続いて、アクセスプローブ及び袋の壁(すなわち、外側ポリマー層)との相互作用によって、穿刺によって形成される開口部を封止する。封止要素は、接着剤によって、又は封止要素及び袋の材料の溶融によって、袋の外側ポリマー層に取り付けることができる。接着剤又は溶融材料は、追加の封止材として機能し、より緊密な封止をもたらすことができる。封止は、封止要素と第1の層状材料との間に、好ましくは周壁内の開口部の周辺において、また、封止要素と第2の層状材料との間で、穿孔の場所又はその周囲に、そして、アクセスポートの位置において、第1及び第2の層状材料の両方に当接する封止要素を有することによって得ることができる。
【0058】
袋の代替的な好ましい実施形態では、本発明によると、封止要素はアクセスプローブに取り付けられている。この実施形態では、封止要素はアクセスプローブに従い、封止要素は、袋のアクセスプローブと外側ポリマー層との相互作用によって生成された開口部を封止する。封止要素が、穿刺中にアクセスプローブによって袋の外側面上に配置されているため、袋の外側面上への封止要素の不正確な配置に起因する穿刺後の漏洩が回避される。封止要素は、単純に摩擦によってアクセスプローブに接続することができる。
【0059】
更なる代替的な好ましい実施形態では、封止要素は、アクセスプローブと袋の外側ポリマー層との間の任意選択的に袋の外側ポリマー層に当接するフレーム状構造体内に取り付けられる。封止要素は、次いで、アクセスプローブが封止要素に容易に進入して袋を貫通し、同時に封止要素を袋の外側ポリマー層に向けて押圧するような方法で取り付けられる。シール要素を保持するためのフレーム状構造体は、好ましくは、本発明による1つ以上の袋を保持する箱状構造体内に取り付けられる。
【0060】
有利にも、いくつかの実施形態によれば、周壁内の開口部は、アクセスのために指定された位置において、第1の層状材料を通して孔を単に打抜きすることによって形成される。このような単純なプロセスは、例えば、容易かつ安価な製造という点で利点を有する。しかし、単に孔を打抜きすることによって、打抜かれた孔の縁部に露出した、気体拡散遮断を形成するアルミニウム層などの第1の層状材料の1つ以上の内側層を残すことになる。この場合、密封袋の内側から、すなわち基準流体と接触する側から周壁にカバーを取り付けることが特に有利となる。これにより、基準流体と1つ以上の露出した内側層との間の接触は回避されており、そうでない場合には、1つ以上の内側層の酸化によって寄生水素が生成されることになる。更に、いくつかの実施形態によれば、ゴムのような弾性材料から作製された封止要素などの外部封止要素が、上述のように提供される。封止要素は、概して、アクセスプローブの密封袋内への侵入点において、外部気体(又は流体)の基準流体内への漏洩による基準流体の汚染を防止するためのものである。更に、封止要素は、この時点でのアクセスにおいて基準流体ハンドリングシステムからの基準流体の漏洩を防止するためのものである。封止されたアクセスポートが、周壁に孔をパンチングすること、及び内部から取り付けられたカバーによって孔を封止することによって形成される本発明の場合、封止要素は、更に、基準流体が上記のパンチングによる孔の露出した縁部に到達することを防止するように形成され得るという点で相乗効果による優位性を有する。この目的のために、封止要素は、少なくともアクセスプローブがカバーを貫通する点の周囲での封止要素の材料と第2の層状材料との間に封止をもたらすように形成及び寸法決めされる。
【0061】
密封袋は、袋の内側面に取り付けられた支持要素を更に備えてもよい。好ましくは、支持要素及び袋の内側面(すなわち、内側ポリマー層)は、同一材料で作製される。したがって、支持要素は、ポリオレフィンから作製され、それは好ましくはポリエチレンである。支持要素及び内側面が同一材料から作製される場合、それらは、例えば、溶融又は接着によって容易に接合することができる。
【0062】
支持要素は、例えば、容器内に装着されている間に、袋の壁を支持するように適合される(以下により詳細に説明される)。支持要素はまた、アクセスプローブが袋を貫通するときに封止要素の支持体として機能してもよく、それによって封止要素と袋との間の非常に緊密な封止が得られる。
【0063】
支持要素は、袋の壁を貫通することなく袋に完全に封入されることが好ましい。より好ましくは、支持要素は、袋の内側面部分に取り付けられる。支持要素は、袋の壁を貫通することなく袋内に適合する寸法を有する長手方向の棒状要素であってよい。更に、支持要素は、袋の壁の損傷を回避するために丸みを帯びた端部を有することが好ましい。
【0064】
支持要素は、好適には、貫通アクセスプローブと相互作用するように適合された少なくとも1つの通路を備えることができる。好ましくは、支持要素の内壁は、実質的に変形不可能な通路を形成する。通路は、好ましくは、アクセスプローブの直径を超える直径を有し、これにより、アクセスプローブが容易に通過することを可能にする。通路は、通常、アクセスプローブの直径よりも2%~10%大きい直径を有する。したがって、支持要素は封止効果を有さない。しかし、通路を有する支持要素は、封止要素が袋の外壁と密着して配置される(すなわち、外側ポリマー層と接触する)一方で、内壁(すなわち内側ポリマー層)は、支持要素によって支持され、穿刺アクセスプローブが封止要素を袋の外壁に向かって押し進めるようになっている。
【0065】
支持要素は、支持要素の両端に配置された少なくとも2つの貫通穴又は孔を備えることができる。これにより、支持要素は実質的に対称であり、袋への装着を容易にしている。
【0066】
あるいは、支持要素は、支持要素のそれぞれの対向する端部に複数の貫通穴又は孔を備えることができる。この実施形態はまた、装着を容易にし、穿刺のための点を配置するための更なる自由度を提供する。
【0067】
好ましい実施形態では、支持要素の一端又は両端に舌部が設けられている。1つ又は2つの舌部は、袋の1つ又は2つの溶接された接合部に嵌め込まれるように適合されている。この実施形態は、支持要素の袋へのより安定的な取り付けをもたらし、例えば袋を移送する間の、支持要素が移動することによる袋の壁が破損するリスクを低減している。
【0068】
支持要素の寸法は、特定の用途に自然に依存するが、好ましい長さは、約10cm~約22cmで、より好ましくは約13cm~約18cmである。好ましくは、支持要素は、約0.5cm2~約3cm2の、より好ましくは約0.7cm2~約1.5cm2の範囲の断面積を有する。支持要素の断面は、実質的に円形、楕円形、正方形、長方形、又は他の所望の形状とすることができる。
【0069】
好ましくは、開口部は、支持要素を通る通路と位置合わせされる。開口部を通路と位置合わせすることは、支持要素を通る通路とアクセス位置を位置合わせすることを意味している。更に好ましくは、カバーは、支持要素と開口部の周り周壁との間に配置される。袋を穿孔する間、支持要素は、袋を穿刺位置の周りで支持する機能を有しており、それによって袋を密封する膜材料のより制御された浸透を容易にする。通常、開口部の横断寸法は、通路の直径よりも大きくなっている。したがって、通路はカバーによってのみ覆われ、それによって、アクセスプローブが、第1の層状材料ではなく第2の層状材料を穿孔することを確実にする。更に、アクセス位置を通路と位置合わせすることによって、支持要素は、アクセスプローブ及び封止要素と相互作用して、非常に緊密な封止を得ることができる。
【0070】
有利にも、密封袋のいくつかの実施形態によると、袋は、封筒の形状であり、袋の長手方向を画定する第1の縁部を備えている。好ましくは、開口部は、袋の第1の縁部に配置されている。空の場合、封筒は、通常、平坦な形状を有し、長手方向縁部が封筒の長手方向を画定し、横方向縁部が長手方向に垂直な横方向を画定しており、長手方向及び横方向は、封筒の主平面に広がっている。充填された場合、封筒の壁は、例えばクッションのように、又は加圧された可撓性チューブのように膨らむことができ、封筒の厚さは、封筒の主平面に垂直な方向に画定される。
【0071】
本発明の更なる態様によれば、基準袋アセンブリは、本発明の実施形態のいずれかによる密封袋、及び第2の層状材料を穿孔することによってアクセスポートを介して密封袋に挿入されるように適合されたアクセスプローブを備え、アクセスプローブは、そこを通して基準液を引き出すように更に適合されている。好ましくは、基準流体袋アセンブリは、基準流体を引き出すためのアクセスプローブによって穿孔されるように適合された密封袋と、アクセスシステムと、を含み、アクセスシステムは、袋の外側の封止要素であって、アクセスプローブが袋を貫通したときに、袋とアクセスプローブとの間の漏洩を防止する封止要素と、袋の内側に設けられ、袋の縁部に本質的に平行に延在し、袋がアクセスプローブによって貫通されるときに袋を支持するように適合されている長手方向支持要素と、を備えている。
【0072】
本発明のなお更なる態様によれば、容器は、センサの較正及び/又はセンサの品質制御用の複数の基準流体を有する体液のパラメータを測定するための分析機器を提供するように適合されており、容器は、本発明の実施形態のいずれかによる密封袋を備える少なくとも1つの袋アセンブリを含んでいる。密封袋は、カセットベースの基準流体システムを使用する分析機器と適合したカセット又は容器の中で使用するためのものである。このようなカセットは、複数の異なる基準流体をキットとして提供される密封袋内に典型的に含み、このキットは、アクセスプローブ、及び協働する封止手段を更に含み、封止手段は、引き出し中にも基準流体が環境影響から遮断されることを確実にしており、較正及び/又は品質制御の手順を損なわないようにしている。カセットベースのシステムで使用するためのこのようなカセットの有利な例は、例えば、米国特許第9,101,936号に開示されているものである。
【0073】
本発明による密封袋は、このように容器内に設けてもよい。容器は、好ましくは、蓋を有する箱状容器で1つ以上の袋を備えているもので、袋のうちの少なくとも1つは、クレアチン/クレアチニンセンサ及び/又はグルコースセンサ及び/又は乳酸センサの較正又は品質制御用の基準流体を収容する。容器は、好都合にも、例えば、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリエチレン(PE)、又はポリカーボネート(PC)などのプラスチック材料から作製される。容器は、例えば、6~12個の密封袋を含む。多くの場合、袋のうちの1つ以上は、廃棄物又は他の較正用又はすすぎ用の流体を収容してもよい。上述したように、袋は、好ましくは、より多くの袋を容器に適合させることを容易にする封筒の形態である。更に、封筒の形状はまた、容器内部の空間の最適な利用を提供する。
【0074】
更なる態様によれば、本発明はまた、較正及び/又は品質制御に適合された複数のセンサアセンブリに関し、センサアセンブリは、少なくとも、クレアチン/クレアチニンセンサ、及び/又はグルコースセンサ、及び/又は乳酸センサを含む。このアセンブリは、上述のような密封袋、アクセスプローブを有するアクセスシステム、並びにクレアチン及び/又はクレアチニンセンサ、及び/又はグルコースセンサ、及び/又は乳酸センサを含む複数のセンサアセンブリを備える。前述したように、アクセスシステムは、封止要素及び長手方向支持要素を備える。例えば、アクセスシステムの封止要素は、密封袋の外部に設けられており、アクセスプローブが袋を貫通したときに袋とアクセスプローブとの間の漏洩を防止する。袋の内部に設けられた長手方向支持要素は、本質的に袋の縁部と平行に延び、袋がアクセスプローブによって貫通されるときに袋を支持するように適合されている。
【図面の簡単な説明】
【0075】
本発明の好ましい実施形態が概略的に示されている添付の図面と共に、より詳細に説明する。
【
図1】アクセスシステムを有する密封袋の一実施形態である。
【
図2】
図1の実施形態による複数の密封袋を有する容器である。
【
図3】本発明のいくつかの実施形態による密封袋と共に使用するための支持要素である。
【
図4】支持要素及び封止要素を有する、本発明のいくつかの実施形態による密封袋の断面図である。
【
図5】一実施形態によるアクセスポートを有する密封袋の側面図である。
【
図7】線VII-VIIに沿った
図6の密封袋の断面詳細図である。
【
図8】一実施形態による第1の層状材料の断面詳細図である。
【
図9】一実施形態による第2の層状材料の断面詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0076】
図1は、アクセスシステムを有する、本発明による密封袋4の簡略化された描写を示している。アクセスシステムを有する密封袋4は、袋アセンブリ1である。袋アセンブリ1は、封筒として形成されており、
且つ基準流体を収容
している密封袋4
、及び支持要素(見えない)を含んでいる。密封袋4は、端部及び袋4の側部7に沿って熱融着接合部5、6を有している。袋は、袋の周壁の開口部として形成されたアクセスポート100を有している。開口部はカバーによって封止されている。アクセスポート100は、アクセスプローブ9が袋を貫通することができる基準流体を取り出すためのアクセス位置を画定する。カバーは、例えばアクセスプローブ9によって破られたときであっても、基準流体による酸化に対して耐性のある材料で作製されている。これにより、寄生水素発生の問題が克服される。袋アセンブリ1には図の上部に示されるように、アクセスプローブ9によって穿孔された袋内の開口部を封止することができる封止要素8が更に設けられている。封止要素8が、アクセスポート100によって画定されるアクセス位置に配置されている。
【0077】
アクセスプローブ9は、容器の蓋又は他の要素(図示せず)に接続されることができる。封止要素8はブチルゴムから作製されており、この特定の実施形態では、アクセスプローブはABSから作製されている。
【0078】
図2は、箱状部材の形状の容器2及び蓋3を示す。箱状部材及び蓋3は、ABSから作製されている。箱状部材は、少なくとも1つが本発明による密封袋4であるいくつかの密封袋4を収容する。蓋3は、密封袋4を穿孔するためのアクセスプローブ(図示せず)、及び例えばクレアチン及び/又はクレアチニンセンサ、グルコースセンサ、及び/又は乳酸センサを備える分析機器のサンプルチャンバと密封袋4を接続するための更なるデバイス(図示せず)を備えてもよい。
【0079】
図3は、袋アセンブリ1で使用するための支持要素10を示す。支持要素10は、丸みを帯びた端部11、12を有する長手方向要素として形成されている。更に、支持要素10には、各端部に対して対称的に配置された孔13、14の形態である通路が設けられている。孔13、14は、密封袋から基準流体を取り出すためのアクセスプローブを受容することが意図されている。実際に、1つの孔で十分であるが、支持要素10の各端部に対して対称的に配置された2つの孔13、14は、支持要素10の製造及び取り付けを容易にする。
【0080】
図4では、支持要素10が密封袋4の内部に取り付けられている。支持要素10は、内側ポリマー層と接触するように密封袋4の内壁15上に取り付けられている。袋は周壁の開口部として形成されたアクセスポート100を有し、これは上記のようにカバーによって封止されている。密封袋4の外壁16には、支持要素10の孔13の位置に封止要素8が取り付けられている。
【0081】
ここで、
図5~7の概略図を参照して、アクセスポート100の詳細を説明する。封筒形状の密封袋4は、第1の層状材料で作製された周壁を有する。周壁は開口部を有し、ここでは円形開口部101として示されており、この開口部は、内部から周壁に取り付けられたカバー20によって封止されている。カバーは、第2の層状材料で作製されている。第2の層状材料の任意の内部層を含む第2の層状材料は、第1の層状材料よりも基準流体による酸化に対してより耐性である材料で作製されている。溶接継ぎ目102は、カバー20と袋4の周壁との間の取り付け部分に形成されており、それによりカバー20を周壁に封止している。支持要素10は、前述のように、袋4の周壁の内側面に取り付けられ得る。支持要素の第1の端部11は、アクセスプローブが袋4を穿孔したときにそこからアクセスプローブを受容して案内するように適合された通路13を有する。通路13は、アクセスポート100の開口部101と位置合わせされている。
【0082】
図8は、密封袋4の周壁を形成するための第1の層状材料110の一実施形態を示す。第1の層状材料110は、基準流体と接触するように適合された内側ポリマー層111、袋4の外側面を形成するように適合された外側ポリマー層112、及び内側ポリマー層111と外側ポリマー層112との間に配置された気体遮断層113を有する。第1の層状材料110の内側ポリマー層111は、ポリエチレン(PE)などの熱融着性材料で作製されている。第1の層状材料110の外側ポリマー層112は、ポリエチレンテレフタレート(PETP)又はポリアミド(PA)で作製されている。第1の層状材料の気体拡散遮断層113は、通常、アルミニウム(Al)で作製されている。層113は、確実な気体拡散遮断をもたらすが、基準流体に曝されたとき、例えば、基準流体を取り出すためにアクセスプローブによって穿孔されると、酸化することがある。結果として、較正及び品質制御手順との干渉を引き起こし得る水素が生成される。このような干渉を回避するために、アクセスポート100は、第1の層状材料よりも基準流体による酸化に対してより耐性である第2の層状材料で作製されたカバー20を特徴としている。
【0083】
図9は、アクセスポート100のカバー20を形成するための第2の層状材料120の一実施形態を示す。第2の層状材料120は、第1のポリマー層121、第2のポリマー層122、及び第1のポリマー層121と第2のポリマー層122との間の第1の気体遮断層123を有する。第2の層状材料120の第1のポリマー層121は、ポリエチレン(PE)などの熱融着性材料で作製されている。第2の層状材料120の第2のポリマー層122は、ポリアミド(PA)で作製されている。第2の層状材料120の第1の気体遮断層123は、酸化アルミニウム(AlOx)で作製されている。第2の層状材料120は、第1のポリマー層121と第2のポリマー層122との間に第1の追加ポリマー層124を更に含む。第1の追加ポリマー層124は、第1の気体遮断層123の支持層として作用する。第2の層状材料120は、第1のポリマー層121と第2のポリマー層122との間に第2の気体遮断層125を更に含み、この層は、第1の追加ポリマー層124によって第1の気体遮断123層から分離されている。第2の層状材料120の第2の気体遮断層125は、酸化アルミニウム(AlOx)で作製されている。第2の層状材料120は、第1のポリマー層121と第2のポリマー層122との間に第2の追加ポリマー層126を更に含んでいる。第2の追加ポリマー層126は、第2の気体遮断層125の支持層として作用する。第1の追加ポリマー層124及び第2の追加ポリマー層126は、ポリエチレンテレフタレート(PETP)で作製されている。第2の層状材料120は、このように第1ポリマー層121から第2ポリマー層122まで以下の層順序を有しており、その順序は、第1ポリマー層121に次いで、第1の気体遮断層123、次いで第1の追加ポリマー層124、第2の気体遮断層125、第2の追加ポリマー層126、そして第2のポリマー層122となっている。第2の層状材料120の気体遮断層123、125は、酸化アルミニウム(AlOx)で作製されており、それはアルミニウム(Al)よりも水性基準溶液による酸化に対してより耐性であり、第1の層状材料110内の気体遮断113に使用されている。
【0084】
第1の層状材料110のポリマー層111、112及び第2の層状材料120のポリマー層121、122、124、126は、二軸ポリマー材料で作製されている。
【実施例1】
【0085】
この実施例に従って、第1の層状材料が提供されている。第1の層状材料は、
図8に関して上述したような層順序を有し、また以下の表1に記載されている層の厚さ及び材料を有しており、そこでは通常はポリウレタン系接着剤層である層を結合するための接着剤の層は省略されている。
【表1】
【実施例2】
【0086】
この実施例に従って、第2の層状材料が提供されている。第2の層状材料は、
図9に関して上述したような層順序を有し、また以下の表2に記載されている層の厚さ及び材料を有しており、そこでは通常はポリウレタン系接着剤層である、層を結合するための接着剤層は省略されている。
【表2】
【実施例3】
【0087】
この実施例に従って、複数の基準流体袋アセンブリを有する容器が開示されている。本容器は、
図2に概略的に示される容器であり得る。本容器は、異なるパラメータに関して、血液又は尿などの体液分析用機器のために一定間隔で実施される較正及び/又は品質制御手順のために複数の異なる基準流体を提供するためのものである。この機器は、典型的には、同一のサンプルチャンバ内に一体化されたアンペロメトリックセンサなどの電気化学センサを含むセンサのアレイを使用して、同一サンプル上で異なるパラメータを同時に測定するように適合されたものである。異なる基準流体が、封筒形状の密封袋に収容されている。安全な保管及び輸送のために袋は封止を維持している。設置時には、袋を形成する封止された膜は、袋からそれぞれの基準流体の取り出すことを可能にするために、協働するアクセスプローブによって穿孔される。異なる基準流体が同一カセット容器内に提供されることができ、各基準流体は、カセット容器内の特定の位置に配置されたそれ自体の密封袋内に収容される。基準流体のうちの少なくとも1つは、周壁を画定する第1の層状材料内の開口部によって形成されたアクセスポートを有する本発明の実施形態による密封袋内に提供され、ここで開口部は、第2の層状材料のカバーによって封止され、ここで第2の層状材料は、第1の層状材料よりも基準流体による酸化に対してより耐性である。例えば、基準流体は、300μMを超える比較的高いクレアチニン含有量、300μMを超える比較的高いクレアチンの含有量、そして0mmHgから20mmHgの間の部分圧力を有する比較的低い酸素の含有量を有することができる。
【0088】
本開示は、上記した実施形態中に提示した任意の特徴の組み合わせを置換したものを含むことを理解すべきである。特に、添付の従属請求項で提示した特徴は、提供され得る任意のその他の関連する独立請求項と組み合わせて開示されており、本開示は、これらの従属請求項とこれらが元々従属する独立請求項の特徴の組み合わせのみに限定されないことを理解すべきである。
[発明の態様]
[1]
体液パラメータを測定するためのセンサ素子の較正又は品質制御のための基準流体を収容する密封袋であって、第1の層状材料の周壁を含む、密封袋において、
前記袋は、前記第1の層状材料内の開口部によって形成されたアクセスポートを更に含み、
前記開口部は、第2の層状材料のカバーによって封止されており、
前記第2の層状材料は、前記基準流体による酸化に対して前記第1の層状材料よりも耐性があることを特徴とする、密封袋。
[2]
前記第1の層状材料は前記基準流体と接触した内側ポリマー層、外側ポリマー層、及び前記内側ポリマー層と前記外側ポリマー層との間の気体遮断層を含む、1に記載の密封袋。
[3]
前記第1の層状材料の前記気体遮断層は、アルミニウムで作製されている、2に記載の密封袋。
[4]
前記第1の層状材料の前記内側ポリマー層は、熱融着性材料で作製されている、1~3のいずれか一項に記載の密封袋。
[5]
前記第1の層状材料の内側ポリマー層は、ポリオレフィンで、好ましくはポリプロピレン又はポリエチレンで、より好ましくはポリエチレンで作製されている、1~4のいずれか一項に記載の密封袋。
[6]
前記第1の層状材料の外側ポリマー層は、ポリエチレンテレフタレート又はポリアミドで作製されている、1~5のいずれか一項に記載の密封袋。
[7]
前記第2の層状材料は、少なくとも第1のポリマー層、第2のポリマー層、及び前記第1のポリマー層と前記第2のポリマー層との間の第1の気体遮断層を含む、1~6のいずれか一項に記載の密封袋。
[8]
前記第2の層状材料の前記第1の気体遮断層は、酸化アルミニウム又は酸化ケイ素で作製されており、好ましくは酸化アルミニウムで作製されている、7に記載の密封袋。
[9]
前記第2の層状材料の前記第1のポリマー層は、熱融着性材料で作製されている、7又は8に記載の密封袋。
[10]
前記第2の層状材料の前記第1のポリマー層は、ポリオレフィンで、好ましくはポリプロピレン又はポリエチレンで、より好ましくはポリエチレンで作製されている、7~9のいずれか一項に記載の密封袋。
[11]
前記第2の層状材料の前記第2のポリマー層は、ポリエチレンテレフタレート又はポリアミドで、好ましくはポリアミドで作製されている、7~10のいずれか一項に記載の密封袋。
[12]
前記第2の層状材料は、前記第1のポリマー層と前記第2のポリマー層との間に少なくとも1つの第1の追加的ポリマー層を含む、7~11のいずれか一項に記載の密封袋。
[13]
前記第2の層状材料は、第2の気体遮断層を更に含む、7~12のいずれか一項に記載の密封袋。
[14]
前記第2の層状材料の前記第2の気体遮断層は酸化アルミニウム又は酸化ケイ素で、好ましくは酸化アルミニウムで作製されている、13に記載の密封袋。
[15]
前記第2の層状材料は、前記第1のポリマー層と前記第2のポリマー層との間に第2の追加的ポリマー層を更に含む、12~14のいずれか一項に記載の密封袋。
[16]
前記第2の層状材料の前記第1及び/又は第2の追加的ポリマー層は、ポリエチレンテレフタレートで作製されている、12~15のいずれか一項に記載の密封袋。
[17]
前記第1の層状材料を構成する前記層のうち少なくとも1つは、二軸配向ポリマーである、1~16のいずれか一項に記載の密封袋。
[18]
前記第2の層状材料を構成する前記層のうち少なくとも1つは、二軸配向ポリマーである、1~17のいずれか一項に記載の密封袋。
[19]
前記カバーは、前記袋の前記内側から前記周壁に取り付けられている、1~18のいずれか一項に記載の密封袋。
[20]
前記カバーは、前記開口部の周りの前記周辺部において前記周壁の取り付け部分に取り付けられている、1~19のいずれか一項に記載の密封袋。
[21]
前記第1の層状材料の前記内側ポリマー層を前記第2の層状材料の前記第1のポリマー層と封止係合することにより、前記第1の層状材料及び第2の層状材料は互いに結合されている、1~20のいずれか一項に記載の密封袋。
[22]
前記基準流体は、CO2、O2、K+、Na+、Ca2+、Cl-、グルコース、乳酸塩、ヘモグロビン、クレアチニン、クレアチン及び尿素からなる群から選択される少なくとも1つの分析物を含む、1~21のいずれか一項に記載の密封袋。
[23]
前記基準流体は、クレアチニン及び/又はクレアチンを含む、1~22のいずれか一項に記載の密封袋。
[24]
前記基準流体は、酸素を含む、1~23のいずれか一項に記載の密封袋。
[25]
アクセスプローブによって穿孔されるように適合された封止要素を更に備える、1~24のいずれか一項に記載の密封袋。
[26]
前記袋の内側面に取り付けられた支持要素を更に備える、1~25のいずれか一項に記載の密封袋。
[27]
前記支持要素及び前記袋の前記内側面は、同一材料で作製されている、26に記載の密封袋。
[28]
前記支持要素は、アクセスプローブを受け入れる少なくとも1つの通路を含む、26又は27に記載の密封袋。
[29]
前記開口部は、前記支持要素を通る前記通路と位置合わせされている、28に記載の密封袋。
[30]
前記カバーは、前記支持要素と前記開口部の周りの前記周壁との間に配置されている、26から29のいずれか一項に記載の密封袋。
[31]
1~30のいずれか一項に記載の密封袋と、前記第2の層状材料を穿孔することによってアクセスポートを通り前記密封袋内へ挿入するように適合されたアクセスプローブであって、前記基準流体を前記アクセスポートを通って取り出すように更に適合されている前記アクセスプローブと、を含む基準流体袋アセンブリ。
[32]
センサの較正又はセンサの品質制御のための複数の基準流体を用いて体液のパラメータを測定するための分析機器を提供するために適合された容器であって、少なくとも1つの31に記載の袋アセンブリを含む、容器。