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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-15
(45)【発行日】2024-02-26
(54)【発明の名称】可撓性ハードコート
(51)【国際特許分類】
   G02B 1/14 20150101AFI20240216BHJP
   C09D 4/02 20060101ALI20240216BHJP
   C09D 7/62 20180101ALI20240216BHJP
   C08F 20/10 20060101ALI20240216BHJP
   C08F 283/12 20060101ALI20240216BHJP
   C08F 2/44 20060101ALI20240216BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
G02B1/14
C09D4/02
C09D7/62
C08F20/10
C08F283/12
C08F2/44 A
G09F9/00 313
G09F9/00 342
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020531100
(86)(22)【出願日】2018-12-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-18
(86)【国際出願番号】 IB2018059725
(87)【国際公開番号】W WO2019111207
(87)【国際公開日】2019-06-13
【審査請求日】2021-12-03
(31)【優先権主張番号】62/596,525
(32)【優先日】2017-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100110803
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 太朗
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【弁理士】
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】コンド,ピーター ディー.
(72)【発明者】
【氏名】トンプソン,デイヴィッド エス.
(72)【発明者】
【氏名】ストラディンガー,ジョン ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】レザーデール,キャサリン エー.
(72)【発明者】
【氏名】ポコルニー,リチャード ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ソロモンソン,スティーブン ディー.
【審査官】小西 隆
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-527027(JP,A)
【文献】特表2017-508828(JP,A)
【文献】特表2007-512412(JP,A)
【文献】特表2010-538147(JP,A)
【文献】特表2008-527413(JP,A)
【文献】国際公開第2017/105850(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0326383(US,A1)
【文献】特表2015-511254(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 1/10 - 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1種以上の多官能性(メタ)アクリレートモノマーと、
前記1種以上の多官能性(メタ)アクリレートモノマー内に分散されたナノ粒子混合物と、
を含むハードコート組成物であって、前記ナノ粒子混合物が、
1%~15%の、5nm~60nmの範囲の平均粒径を有する、反応性ナノ粒子の第1の集団、及び
99%~85%の、5nm~60nmの範囲の平均粒径を有する、非反応性ナノ粒子の第2の集団
を含む、ハードコート組成物。
【請求項2】
1種以上の多官能性(メタ)アクリレートモノマーと、
前記1種以上の多官能性(メタ)アクリレートモノマー内に分散されたナノ粒子混合物と、
を含むハードコート組成物であって、前記ナノ粒子混合物が、
1%~50%の、5nm~60nmの範囲の平均粒径を有する、反応性ナノ粒子の第1の集団、及び
99%~50%の、5nm~60nmの範囲の平均粒径を有する、非反応性ナノ粒子の第2の集団
を含み、前記非反応性ナノ粒子が、一般式R-SiR’(OR”)3-m(式中、Rはメチル又はエチルであり、R’は(C~C)アルキルであり、R”は(C~C)アルキルであり、mは0~2の整数である)を有する化合物による非反応性表面処理を有する、ハードコート組成物。
【請求項3】
前記非反応性表面処理化合物が、式R-SiR’(OR”)3-m(式中、Rはメチルであり、R’は(C~C)アルキルであり、R”は(C~C)アルキルであり、mは0~2の整数である)を有する、請求項2に記載のハードコート組成物。
【請求項4】
前記非反応性表面処理化合物が、式R-SiR’(OR”)3-m(式中、Rはメチルであり、mは0であり、R”はメチルである)を有する、請求項2に記載のハードコート組成物。
【請求項5】
前記反応性ナノ粒子が、一般式X’-L’-SiR’(OR”)3-m(式中、X’はフリーラジカル重合性基であり、L’は(C~C12)アルキレンであり、R’は(C~C)アルキルであり、R”は(C~C)アルキルであり、mは0~2の整数である)を有する化合物による反応性表面処理を有する、請求項2~4のいずれか一項に記載のハードコート組成物。
【請求項6】
前記反応性表面処理化合物が、一般式X’-L’-SiR’(OR”)3-m(式中、X’は(メタ)アクリル基又はビニル基であり、L’は(C)アルキレンであり、mは0であり、R”は(C)アルキルである)を有する、請求項5に記載のハードコート組成物。
【請求項7】
前記ナノ粒子混合物が、
1%~25%の反応性ナノ粒子の第1の集団と、
99%~75%の非反応性ナノ粒子の第2の集団と、
を含む、請求項2~6のいずれか一項に記載のハードコート組成物。
【請求項8】
前記ナノ粒子混合物が、
1%~10%の反応性ナノ粒子の第1の集団と、
99%~90%の非反応性ナノ粒子の第2の集団と、
を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のハードコート組成物。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載のハードコート組成物の反応生成物を含む、ハードコート。
【請求項10】
1~10マイクロメートルの範囲内の均一な厚さを有する、請求項9に記載のハードコート。
【請求項11】
透明基材と、
前記透明基材上に配置された請求項9又は10に記載のハードコートと、
を備える、ハードコートフィルム。
【請求項12】
前記基材が75マイクロメートル厚のPETであり、平行な枢動軸を有する2つの同一平面プレートを有し、両方のプレートが90°回転して8mmの間隙で互いに対向するように構成され、モータ駆動装置が30回の折り畳み/分の折り畳み速度で両方のプレートを同時にゼロから90°に回転する、二重枢動動的折り畳み試験機を用いて、3セットの7インチ(17.8cm)×1.0インチ(2.5cm)のサンプルをハードコート層を下にして、1.0インチ(2.5cm)幅の両面テープによりプレートに取り付けて試験した場合に、前記ハードコートフィルムが、引張における少なくとも200,000回の動的折り畳みサイクル後に、ひびが入らない、ひび割れしない又は層間剥離しない、請求項11に記載のハードコートフィルム。
【請求項13】
平坦な基部を有する直径3.2cmの円筒のスタイラスに接着された#0000のスチールウールである研磨剤をハードコートにわたって振動させる機械的装置を使用して、3.0kgの重量で、コーティング方向に対して垂直に、210mm/秒の速度で60mm幅のスイープ幅にわたって振動させ、試験した場合に、少なくとも500回の引っかきサイクル後に、目視可能な引っかきを呈さない、請求項12に記載のハードコートフィルム。
【請求項14】
引張若しくは圧縮において、又は引張と圧縮との両方において、3mm以下の曲げ半径でひびが入らない、ひび割れしない又は層間剥離しない、請求項11~13のいずれか一項に記載のハードコートフィルム。
【請求項15】
光学ディスプレイと、
請求項11~14のいずれか一項に記載のハードコートフィルムと、
前記ハードコートフィルムと前記光学ディスプレイとの間の光学接着層と、
を備える、物品。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
ディスプレイ及び電子デバイスは、湾曲される、曲げられる、巻かれる、又は折り畳まれ、新たなユーザーエクスペリエンスをもたらすように、進化している。これらのデバイスアーキテクチャは、例えば、フレキシブル有機発光ダイオード(organic light emitting diodes、OLED)、プラスチック液晶ディスプレイ(liquid crystal displays、LCD)などを含み得る。
【0002】
このようなフレキシブルディスプレイを実現するため、かつディスプレイの要素を保護するため、フレキシブルカバーシート又はフレキシブルウィンドウフィルムが、従来のガラスカバーシートに取って代わる。このフレキシブルカバーシートは、高い可視光透過率、低いヘイズ、ディスプレイデバイスに含まれる要素を保護するための優れた引っかき耐性及び耐穿孔性などのいくつかの設計パラメータを有する。いくつかの場合には、フレキシブルカバーシートは、目視可能な損傷を生じることなく、小さい曲げ半径(約5mm以下)での数千回もの折り畳み動作に耐えなくてはならないこともある。他の場合には、フレキシブルカバーシートは、高温高湿で曲げられた後に、折り目を残すことなく広がることができなくてはならない。
【0003】
様々なハードコートプラスチック基材が検討されてきた。ハードコート無色透明ポリイミドフィルムのようなより新奇な(exotic)材料もまた、高い硬度及び良好な引っかき耐性を有することが示されている。しかしながら、多くのハードコートフィルムは、目に見える損傷を生じることなく小さい曲げ半径での折り畳み動作に耐えることができない。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、ディスプレイウィンドウを保護し、屈曲又は折り畳み試験に耐える可撓性ハードコート又は可撓性ハードコート物品に関する。可撓性ハードコート又は可撓性ハードコート物品は、ディスプレイに引っかき耐性をもたらす一方で、ディスプレイフィルムの光学特性を維持する。
【0005】
一態様では、ハードコート組成物は、1種以上の多官能性(メタ)アクリレートモノマーと、1種以上の多官能性(メタ)アクリレートモノマー内に分散されたナノ粒子混合物と、を含む。ナノ粒子混合物は、1%~15%の反応性ナノ粒子の第1の集団を含む。反応性ナノ粒子の第1の集団は、5nm~60nmの範囲の平均粒径を有し、かつ99%~85%の非反応性ナノ粒子の第2の集団を有する。非反応性ナノ粒子の第2の集団は、5nm~60nmの範囲の平均粒径を有する。
【0006】
別の態様では、ハードコート組成物は、1種以上の多官能性(メタ)アクリレートモノマーと、1種以上の多官能性(メタ)アクリレートモノマー内に分散されたナノ粒子混合物と、を含む。ナノ粒子混合物は、1%~50%の反応性ナノ粒子の第1の集団を含む。反応性ナノ粒子の第1の集団は、5nm~60nmの範囲の平均粒径を有し、かつ99%~50%の非反応性ナノ粒子の第2の集団を有する。非反応性ナノ粒子の第2の集団は、5nm~60nmの範囲の平均粒径を有する。非反応性ナノ粒子は、一般式R-SiR’(OR”)3-m(式中、Rはメチル又はエチルであり、R’は(C~C)アルキルであり、R”は(C~C)アルキルであり、mは0~2の整数である)を有する化合物による非反応性表面処理を有する。
【0007】
別の態様では、ハードコートは、本明細書に記載のハードコート組成物の反応生成物を含む。このハードコートは、1~10マイクロメートル、1~7マイクロメートル、2~6マイクロメートル、又は2.5~5マイクロメートルの範囲の均一な厚さを有し得る。
【0008】
更なる態様では、ハードコートフィルムは、透明基材と、透明基材上に配置された本明細書に記載のハードコートと、を含む。このハードコートフィルムは、優れた可撓性及び耐摩耗性を呈し得る。
【0009】
別の態様では、物品は、光学ディスプレイと、本明細書に記載のディスプレイフィルムと、ディスプレイフィルムを光学ディスプレイに固定している光学接着層と、を含む。
【0010】
これら及び様々な他の特徴及び利点は、以下の「発明を実施するための形態」を読むことにより明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本開示は、本開示の様々な実施形態についての以下の「発明を実施するための形態」を、添付の図面と併せて考察することにより、より完全に理解し得る。
図1】例示的可撓性ハードコート又は可撓性ハードコート物品の概略側面立面図である。
図2】物品を形成している光学ディスプレイ上の例示的可撓性ハードコート又は可撓性ハードコート物品の概略側面立面図である。
図3】例示的可撓性ハードコート又は可撓性ハードコート物品を含む例示的な折り畳み物品の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の「発明を実施するための形態」において、本明細書の一部を構成する添付の図面を参照し、これらの図面には、いくつかの具体的な実施形態が例として示されている。本開示の範囲又は趣旨から逸脱することなく、他の実施形態が想定され、実施され得ることを理解されたい。したがって、以下の「発明を実施するための形態」は、限定的な意味では解釈されないものとする。
【0013】
本明細書で使用される全ての科学用語及び技術用語は、別途明記しない限り、当該技術分野で通常使用される意味を有する。本明細書で与えられる定義は、本明細書で頻繁に用いる特定の用語の理解を助けるためのものであり、本開示の範囲の限定を意味するものではない。
【0014】
別途断りがない限り、本明細書及び特許請求の範囲で用いる加工寸法(feature size)、量、及び物理的特性を表す全ての数は、全ての場合において、用語「約」によって修飾されていると理解するものとする。したがって、そうではないと明記しない限り、上記の明細書及び添付の特許請求の範囲において示される数値パラメータは、本明細書に開示された教示を利用して当業者が得ようとする特性に応じて変わり得る近似値である。
【0015】
端点による数値範囲の記載には、その範囲内に包含される全ての数(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、及び5を含む)並びにその範囲内の任意の範囲が含まれる。
【0016】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用する場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、内容が別途明示しない限り、複数の指示対象を有する実施形態を包含する。
【0017】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用する場合、用語「又は」は、内容が別途明示しない限り、「及び/又は」を含む意味で通常用いられる。
【0018】
本明細書で使用する場合、「有する(have)」、「有する(having)」、「含む(include)」、「含む(including)」、「含む(comprise)」、「含む(comprising)」などは、オープンエンドの意味で用いられ、通常、「含むが、これらに限定されない」を意味する。「から本質的になる(consisting essentially of)」、「からなる(consisting of)」などは、「含む(comprising)」などに包含されることが理解されるであろう。
【0019】
用語「ディスプレイフィルム」、「保護フィルム」、「カバーシートフィルム」、及び「保護ディスプレイフィルム」は、本明細書において互換的に用いられる。
【0020】
「透明な基材」又は「透明な層」は、可視光スペクトル(約380~約750ナノメートルの波長)を含む約350~約1600ナノメートルの波長を有する光スペクトルの少なくとも一部分にわたり、基材の表面の少なくとも一部分にわたって高い光透過率(典型的には85%超又は90%超)を有する、基材又は層を指す。
【0021】
「反応性ナノ粒子」は、シランの有機基が、ハードコートのマトリックス樹脂と化学反応することができる化学的部分を提示する、有機表面基(例えば、シリカの場合では、オルガノトリアルコキシシランとシリカ粒子の表面との反応生成物)で表面改質されている、無機酸化物ナノ粒子、例えばシリカである。
【0022】
「非反応性ナノ粒子」は、シランの有機基が、ハードコートのマトリックス樹脂と化学反応することができない化学的部分を提示する、有機表面基(例えば、シリカの場合では、オルガノトリアルコキシシランとシリカ粒子の表面との反応生成物)で表面改質されている、無機酸化物ナノ粒子、例えばシリカである。
【0023】
「部分的に反応性のナノ粒子」は、オルガノシランの有機部分のうちの少なくとも1つがハードコートのマトリックス樹脂と化学反応することができる化学的部分を提示し、かつオルガノシランの有機部分のうちの少なくとも1つがハードコートのマトリックス樹脂と化学反応することができない化学的部分を提示する、1つ以上の有機表面基(例えば、シリカの場合では、複数のオルガノトリアルコキシシランとシリカ粒子の表面との反応生成物)で表面改質されている、無機酸化物ナノ粒子、例えばシリカである。
【0024】
本開示は、ディスプレイを保護し、摩耗及び折り畳み試験に耐え得る可撓性ハードコート又は可撓性ハードコート物品に関する。可撓性ハードコートは、ディスプレイに優れた可撓性及び引っかき耐性を提供しながら、ディスプレイフィルムの光学特性を維持する。ハードコート組成物は、1種以上の多官能性(メタ)アクリレートモノマーと、1種以上の多官能性(メタ)アクリレートモノマー内に分散されたナノ粒子混合物と、を含む。ナノ粒子混合物は、反応性ナノ粒子の第1の集団を含む。反応性ナノ粒子の第1の集団は、5nm~60nmの範囲の平均粒径を有し、かつ非反応性ナノ粒子の第2の集団を有する。非反応性ナノ粒子の第2の集団は、5nm~60nmの範囲の平均粒径を有する。ナノ粒子混合物は、反応性ナノ粒子と比べて、より多数の非反応性ナノ粒子を含む。ナノ粒子混合物は、1%~50%の反応性ナノ粒子の第1の集団、及び50%~99%の非反応性ナノ粒子の第2の集団を含み得る。ナノ粒子混合物は、1%~25%の反応性ナノ粒子の第1の集団、及び75%~99%の非反応性ナノ粒子の第2の集団を含み得る。ナノ粒子混合物は、1%~15%の反応性ナノ粒子の第1の集団、及び85%~99%の非反応性ナノ粒子の第2の集団を含み得る。ナノ粒子混合物は、1%~10%の反応性ナノ粒子の第1の集団、及び90%~99%の非反応性ナノ粒子の第2の集団を含み得る。ナノ粒子混合物は、2%~5%の反応性ナノ粒子の第1の集団、及び95%~98%の非反応性ナノ粒子の第2の集団を含み得る。非反応性ナノ粒子及び反応性ナノ粒子は、10nm~40nm、又は10nm~30nmの範囲の平均粒径を有し得る。ハードコートフィルムは、層間剥離、ひび、ひび割れ若しくはヘイズなどの破損又は目視可能な欠陥なしに、5mm以下、又は4mm以下、又は3mm以下、又は2mm以下、又は更に1mm以下(引張時若しくは圧縮時に、又は引張時と圧縮時との両方に)の曲げ半径に耐えることができる。本開示がそのように限定されるわけではないが、下記に示した実施例の説明により、本開示の様々な態様の理解が得られるであろう。
【0025】
ハードコート組成物は、1種以上の多官能性(メタ)アクリレートモノマーと、1種以上の多官能性(メタ)アクリレートモノマー内に分散されたナノ粒子混合物と、を含む。ナノ粒子混合物は、反応性ナノ粒子の第1の集団(すなわち、多官能性(メタ)アクリレートモノマーと反応性である)及び非反応性ナノ粒子の第2の集団(すなわち、多官能性(メタ)アクリレートモノマーと反応性でない)を含む。反応性ナノ粒子及び非反応性ナノ粒子は、無機酸化物ナノ粒子であってもよい。
【0026】
ハードコート組成物は、ハードコート又はハードコートフィルムを形成するために硬化又は反応させてもよい。硬化は、多官能性(メタ)アクリレートモノマーとの結合を形成することによって反応性ナノ粒子との反応を開始することができ、同時に、硬化は、非反応性ナノ粒子と多官能性(メタ)アクリレートモノマーとの反応を開始しない場合がある。
【0027】
非反応性ナノ粒子に対する反応性ナノ粒子の相対数を低減することは、驚くべきことに、ハードコート又はハードコートフィルムの耐摩耗性を維持しながら、可撓性を改善する。加えて、短いアルキル鎖(例えば、メチル又はエチル)末端基を有する非反応性ナノ粒子の表面処理化合物を利用することは、驚くべきことに、摩耗耐性を維持し、ハードコート又はハードコートフィルムのカールを低減しながら、可撓性を改善するように見える。
【0028】
反応性ナノ粒子の第1の集団及び非反応性ナノ粒子の第2の集団は、独立に、5nm~60nm、又は10nm~40nm、又は10nm~30nmの範囲の平均粒径を有し得る。反応性ナノ粒子の第1の集団及び非反応性ナノ粒子の第2の集団は、同じ平均粒径を有し得る。
【0029】
ナノ粒子混合物は、反応性ナノ粒子と比較して、より多くの数の非反応性ナノ粒子を含む。ナノ粒子混合物は、1%~50%の反応性ナノ粒子の第1の集団、及び50%~99%の非反応性ナノ粒子の第2の集団を含み得る。ナノ粒子混合物は、1%~25%の反応性ナノ粒子の第1の集団、及び75%~99%の非反応性ナノ粒子の第2の集団を含み得る。ナノ粒子混合物は、1%~15%の反応性ナノ粒子の第1の集団、及び85%~99%の非反応性ナノ粒子の第2の集団を含み得る。ナノ粒子混合物は、1%~10%の反応性ナノ粒子の第1の集団、及び90%~99%の非反応性ナノ粒子の第2の集団を含み得る。ナノ粒子混合物は、2%~5%の反応性ナノ粒子の第1の集団、及び95%~98%の非反応性ナノ粒子の第2の集団を含み得る。
【0030】
反応性ナノ粒子の第1の集団及び非反応性ナノ粒子の第2の集団は、ハードコートに機械的強度及び耐久性を付加する表面改質無機酸化物粒子である。これらのナノ粒子は、実質的に球状の形状であり、サイズが比較的均一である。これらのナノ粒子は、実質的に単分散のサイズ分布を有し得る。これらの無機酸化物粒子は、典型的には非凝集(実質的に分離)である。
【0031】
ナノ粒子混合物(無機酸化物ナノ粒子)の総濃度は、少なくとも30、40、又は50重量%固形分であり、一般には、75重量%、70重量%、又は60重量%以下である。ナノ粒子混合物(無機酸化物ナノ粒子)の総濃度は、ハードコート組成物中に、30重量%全固形分~68重量%全固形分、又は50重量%全固形分~60重量%全固形分の範囲のローディングで存在し得る。
【0032】
無機酸化物粒子の平均粒径は、透過型電子顕微鏡を用い、所与の直径の無機酸化物粒子を計数して測定することができる。無機酸化物粒子は、シリカなどの単一の酸化物から実質的になる、若しくは、これからなる場合がある、又は、酸化物の組み合わせ、若しくは1種類の酸化物のコア(若しくは金属酸化物以外の材料のコア)の上に別の種類の酸化物が堆積されたものを含む場合がある。シリカは、ハードコート組成物中で利用される通常の無機酸化物粒子である。無機酸化物粒子は、液体媒質中に、無機酸化物粒子のコロイド状分散液を含有するゾルの形態で提供されることが多い。ゾルは、様々な手法を用い、ヒドロゾル(この場合は、水が液体媒質の役割を果たす)、オルガノゾル(この場合は、有機液体がその役割を果たす)、及び混合ゾル(この場合は、液体媒質が水と有機液体との両方を含む)を含む様々な形態で調製することができる。
【0033】
水性コロイド状シリカ分散液は、Nalco Chemical Co.(Naperville,IL)から商品名「Nalco Collodial Silicas」、例えば製品2326、1130、1030、1140、1034A、1050、1060、2327及びDVSZN004で;Nissan Chemical America Corporation(Houston,TX)から商品名Snowtex(商標)、例えば製品ST-XS、ST-S、ST-30、ST-50、ST-20L、ST-XL、ST-NXS、ST-NS、ST-N、ST-N-40、ST-OXS、ST-OS、ST-O、ST-O-40及びST-OLで;並びにNyacol Nano Technologies,Inc.(Ashland,MA)から、例えばNexSil(商標)5、6、12、20、85-40、20A、20K-30及び20NH4で市販されている。コロイド状シリカの有機分散液は、Nalco Chemical Co.から、例えば製品1057で;Nissan Chemicalから、例えば製品NPC-ST-30、MA-ST、MA-ST-M、IPA-ST、IPA-ST-L、EG-ST、MEK-ST-40、MEK-ST-L及びTOL-STで;並びにNyacol Nano Technologiesから、例えばDP5820及びDP5840で市販されている。
【0034】
光学特性、材料特性を最適化し、又は全組成物のコストを削減するため、無機酸化物粒子種の混合物を利用するのが望ましい場合もある。
【0035】
シリカの代わりに、又はシリカと組み合わせて、ハードコートは、様々な高屈折率の無機酸化物ナノ粒子を含み得る。このようなナノ粒子は、少なくとも1.60、1.65、1.70、1.75、1.80、1.85、1.90、1.95、2.00、又は更に高い屈折率を有する。高屈折率の無機酸化物ナノ粒子は、例えば、ジルコニア(「ZrO2」)、チタニア(「TiO2」)、酸化アンチモン、アルミナ、酸化スズを、単独又は組み合わせで含む。混合金属酸化物が利用されてもよい。
【0036】
高屈折率層中に用いるためのジルコニアは、Nalco Chemical CO.から商標名「Nalco OOSSOO8」で、Buhler AG Uzwil(Switzerland)から商標名「Buhler zirconia Z-WO sol」で、及びNissan Chemical America Corporationから商品名NanoUse ZR(商標)で入手可能である。ジルコニアナノ粒子は、米国特許出願公開第2006/0148950号及び米国特許第6,376,590号に記載のように調製することもできる。酸化アンチモン(RI約1.9)で被覆された酸化スズとジルコニアとの混合物を含むナノ粒子分散液は、Nissan Chemical America Corporationから商標名「HX-05M5」で市販されている。酸化スズナノ粒子分散液(RI約2.0)は、日産化学株式会社から商品名「CX-S401M」で市販されている。ジルコニアナノ粒子はまた、米国特許第7,241,437号及び米国特許第6,376,590号に記載されているように調製することもできる。
【0037】
一般に、表面処理化合物は、粒子表面に結合(共有結合、イオン結合、又は強力な物理吸着による結合)することになる第1の末端部と、粒子に樹脂との相溶性をもたらし、硬化時に樹脂と反応するか(反応性粒子)又は硬化時に樹脂と反応しない(非反応性粒子)かのいずれかである第2の末端部と、を有する。表面処理化合物の例としては、アルコール、アミン、カルボン酸、スルホン酸、リン酸、シラン、及びチタネートが挙げられる。好ましい種類の処理剤は、無機酸化物ナノ粒子表面の化学的性質、及び粒子が反応性であるか非反応性であるかによってある程度決定される。
【0038】
シリカ及び他のシリカ系充填剤には、シランが好ましい。ジルコニアなどの金属酸化物には、シラン及びカルボン酸が好ましい。表面改質は、モノマーとの混合に続いて、又は混合後のいずれかで行うことができる。シランの場合には、樹脂に組み込む前にシランをナノ粒子の表面と反応させることが好ましい。表面改質剤の必要とされる量は、粒径、粒子のタイプ、改質剤の分子量、及び改質剤のタイプなどのいくつかの要因に左右される。一般に、ほぼ単層の改質剤を粒子の表面に付着させることが好ましい。付着手順又は必要とされる反応条件も、使用される表面改質剤に依存する。シランについては、酸性又は塩基性条件下で、1~24時間程度、高温にて表面処理することが好ましい。カルボン酸などの表面処理剤は、高温又は長時間を必要としないこともある。
【0039】
シラン表面処理剤は、無機酸化物(例えばシリカ)分散体に加えられた場合、1つ以上のアルコキシシラン基を含む。アルコキシシラン基は水(ナノ粒子分散体中に存在する)によって加水分解し、Si-OH(水酸基)を形成する。次いで、これらのSiOH基は、ナノシリカ表面上のSiOH基と反応し、シラン表面処理されたナノシリカを形成する。
【0040】
無機酸化物(例えばシリカ)ナノ粒子は、別々に又は独立に、反応性表面処理化合物(実施例中のA174を参照)又は非反応性表面処理化合物(実施例中のMETHYLを参照)で表面改質される。
【0041】
反応性ナノ粒子の第1の集団は、ナノ粒子(例えばシリカ)を反応性表面処理化合物と組み合わせることによって形成され得る。反応性表面処理化合物は、メタ(アクリル)又はビニルなどのフリーラジカル重合性基を含む。フリーラジカル重合性基は、ハードコート組成物のフリーラジカル重合性基(例えば(メタ)アクリレート)モノマーと共重合する。
【0042】
有用な反応性表面処理化合物としては、(メタ)アクリルオルガノシラン、例えば(メタ)アクリロイアルコキシシラン、例えば3-(メタクリロイルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、3-アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-(メタクリロイルオキシ)プロピルメチルジメトキシシラン、3-(アクリロイルオキシプロピル)メチルジメトキシシラン、3-(メタクリロイルオキシ)プロピルジメチルメトキシシラン、及び3-(アクリロイルオキシプロピル)ジメチルメトキシシランが挙げられる。いくつかの実施形態では、(メタ)アクリルオルガノシランは、アクリルシランよりも有利であり得る。好適なビニルシランとしては、ビニルジメチルエトキシシラン、ビニルメチルジアセトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリフェノキシシラン、ビニルトリ-t-ブトキシシラン、ビニルトリス-イソブトキシシラン、ビニルトリイソプロペノキシシラン、及びビニルトリス(2-メトキシエトキシ)シランが挙げられる。好適なアミノオルガノシランは、例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2006/0147177号に記載されている。
【0043】
反応性(シラン)表面処理化合物は、一般式:
X’-L’-SiR’(OR”)3-m
(式中、X’は、フリーラジカル重合性基であり、
L’は、(C~C12)アルキレンであり、
R’は、(C~C)アルキルであり、
R”は、(C~C)アルキルであり、
mは、0~2の整数である)
を有し得る。
【0044】
反応性表面処理化合物は、式X’-L’-SiR’(OR”)3-m(式中、X’は(メタ)アクリル基又はビニル基であり、L’は(C)アルキレンであり、mは0であり、R”は(C)アルキル(実施例中、A174と例示)である)を有し得る。
【0045】
有用な非反応性表面処理化合物としては、(メタ)アクリル基又はビニル基などのフリーラジカル重合性基を含まないシラン化合物が挙げられる。非反応性ナノ粒子は、一般式:
R-SiR’(OR”)3-m
(式中、Rは、メチル又はエチルであり、
R’は、(C~C)アルキルであり、
R”は、(C~C)アルキルであり、
mは、0~2の整数である)
を有する化合物による非反応性表面処理を有し得る。
【0046】
非反応性表面処理化合物は、式R-SiR’(OR”)3-m(式中、Rはメチルであり、R’は(C~C)アルキルであり、R”は(C~C)アルキルであり、mは0~2の整数である)を有し得る。非反応性表面処理化合物は、式R-SiR’(OR”)3-m(式中、Rはメチルであり、mは0であり、R”はメチル(実施例中、METHYLと例示)である)を有し得る。
【0047】
例示的なハードコート組成物は、1種以上の多官能性(メタ)アクリレートモノマーと、1種以上の多官能性(メタ)アクリレートモノマー内に分散されたナノ粒子混合物と、を含む。ナノ粒子混合物は、1%~15%の反応性ナノ粒子の第1の集団を含む。反応性ナノ粒子の第1の集団は、5nm~60nmの範囲の平均粒径を有し、かつ99%~85%の非反応性ナノ粒子の第2の集団を有する。非反応性ナノ粒子の第2の集団は、5nm~60nmの範囲の平均粒径を有する。
【0048】
別の例示的なハードコート組成物は、1種以上の多官能性(メタ)アクリレートモノマーと、1種以上の多官能性(メタ)アクリレートモノマー内に分散されたナノ粒子混合物と、を含む。ナノ粒子混合物は、1%~50%の反応性ナノ粒子の第1の集団を含む。反応性ナノ粒子の第1の集団は、5nm~60nmの範囲の平均粒径を有し、かつ99%~50%の非反応性ナノ粒子の第2の集団を有する。非反応性ナノ粒子の第2の集団は、5nm~60nmの範囲の平均粒径を有する。非反応性ナノ粒子は、一般式R-SiR’(OR”)3-m(式中、Rはメチル又はエチルであり、R’は(C~C)アルキルであり、R”は(C~C)アルキルであり、mは0~2の整数である)を有する化合物による非反応性表面処理を有する。
【0049】
ハードコートを形成している樹脂マトリックスは、1つ以上の(メタ)アクリレートモノマーから形成され得る。用語「モノマー」は、オリゴマー又はモノマーを指す。
【0050】
重合性樹脂組成物は、少なくとも3つの(メタ)アクリレート基及びアルコキシ(すなわちアルキレンオキシド)繰り返し単位を含む、少なくとも1つの第1の(メタ)アクリレートモノマーを含む。アルコキシ(すなわちアルキレンオキシド)繰り返し単位は、典型的には、式-[O-L]-(式中、Lは直鎖状又は分枝状アルキレンである)を有する。いくつかの実施形態では、アルキレンは、直鎖状又は分枝状C~Cアルキレンである。
【0051】
いくつかの実施形態では、第1の(メタ)アクリレートモノマーは、エチレンオキシド繰り返し単位などの直鎖状アルコキシ繰り返し単位を含む。こうしたモノマーは、一般式:
R((OC2nOC(O)C(R)=CH
(式中、Rは、pの価数を有する有機残基であり、nは、アルコキシ繰り返し単位の炭素原子の数であり、mは、アルコキシ繰り返し単位の数であり、Rは水素又はメチルであり、pは少なくとも3である)によって表すことができる。各mについて、nは、独立に、1~4の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、アルコキシ繰り返し単位の数mは、6超であり、典型的には20未満である。この実施形態では、pは、少なくとも4又は5又は6である。いくつかの実施形態では、Rは、炭化水素残基であり、任意に、1つ以上の酸素、硫黄、又は窒素原子を更に含む。いくつかの実施形態では、Rは、少なくとも3個、4個、5個又は6個の炭素原子を含み、典型的には12個以下の炭素原子を含む。
【0052】
他の実施形態では、第1の(メタ)アクリレートモノマーは、イソプロピレンオキシド及び/又はイソブチレンオキシド繰り返し単位などの分枝状アルコキシ繰り返し単位を含む。いくつかの具体化されたモノマーは、一般式:
R((OC(CH2n-qOC(O)-C(R)=CH
(式中、R及びpは、先に記載したものと同じである)で表すことができる。分枝状イソプロピレンオキシド繰り返し単位の場合、nは2であり、qは1である。分枝状イソブチレンオキシド繰り返し単位の場合、nは2であり、qは2である。
【0053】
第1の(メタ)アクリレートモノマーは、少なくとも3つの(メタ)アクリレート基を含み、C~Cアルコキシ繰り返し単位は、直鎖状及び/又は分枝状C~Cアルコキシ繰り返し単位の任意の組み合わせを含んでもよい。したがって、第1の(メタ)アクリレートモノマーは、エチレンオキシド繰り返し単位のみ、プロピレンオキシド繰り返し単位のみ、ブチレンオキシド繰り返し単位のみ、並びにこれらの組み合わせを含んでもよい。一実施形態では、第1の(メタ)アクリレートモノマーは、エチレンオキシド繰り返し単位とプロピレンオキシド繰り返し単位との両方の組み合わせを含む。
【0054】
いくつかの実施形態では、(メタ)アクリレート基の数で割った第1の(メタ)アクリレートモノマーの分子量は、約220~375g/モルの範囲である。又は換言すれば、(メタ)アクリレート基当たりの分子量は、(メタ)アクリレート当たり約220~375g/モルの範囲である。次の実施例で実証されるように、このような第1の(メタ)アクリレートモノマーを含むことは、可撓性と耐摩耗性との両方であるハードコートを提供すべく受ける余地がある。いくつかの実施形態では、硬化ハードコート(少なくとも2.5マイクロメートルの厚さ)は、#4Hの鉛筆及び1kgの荷重で試験したときにひびが入らない。別法では、又はそれに加えて、硬化ハードコートは、(実施例中に記載の試験方法に従った)摩耗試験後に、引っかきなし(No Scratch、NS)又はわずかな引っかき(Slight Scratch、SS)を呈しているように、十分に耐久性がある。摩耗試験後の引っかきなし(NS)又はわずかな引っかきあり(SS)は、5%未満、好ましくは4%未満、より好ましくは3%未満、又は2%未満、又は1%未満の、測定されたヘイズ(又は測定されたヘイズ増加)を有するフィルムを付与する。
【0055】
このような基準を満たす市販のエトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレートモノマーとしては、例えば、Sartomer Arkema Group(Exton,PA)から入手可能なSR9035及びSR502が挙げられる。このような基準を満たす他のモノマーは、ポリアルキレンオキシドポリオールとアクリル酸との反応などによって合成することができる。
【0056】
硬化ハードコート組成物中の第1の(メタ)アクリレートモノマーの濃度は、典型的には、少なくとも5重量%固形分であり、いくつかの実施形態では、少なくとも10重量%固形分であり、かつ一般に40重量%固形分以下、又は35重量%固形分以下、又は30重量%固形分以下、又は25重量%固形分以下である。いくつかの実施形態では、第1のモノマーの濃度は、少なくとも11、12、13、14又は15重量%固形分である。いくつかの実施形態では、第1のモノマーの濃度は、5~10重量%固形分の範囲である。本明細書で使用する場合、重量%固形分は、存在し得る任意の溶媒の揮発後の乾燥及び/又は硬化ハードコート組成物の総量を指す。
【0057】
ハードコート組成物の重合性樹脂は、少なくとも1種の第2の多官能性(メタ)アクリレートモノマーを含む。第2の(メタ)アクリレートモノマーは、第1のモノマーとは異なるモノマーである。
【0058】
有用な多官能性(メタ)アクリレートモノマー及びオリゴマーとしては、以下が挙げられる。
(a)ジ(メタ)アクリル含有モノマー、例えば、1,3-ブチレングリコールジアクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールモノアクリレートモノメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、アルコキシル化脂肪族ジアクリレート、アルコキシル化シクロヘキサンジメタノールジアクリレート、アルコキシル化ヘキサンジオールジアクリレート、アルコキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレート、カプロラクトン変性ネオペンチルグリコールヒドロキシピバレートジアクリレート、カプロラクトン変性ネオペンチルグリコールヒドロキシピバレートジアクリレート、シクロヘキサンジメタノールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、エトキシル化ビスフェノールAジアクリレート、ヒドロキシピバルアルデヒド変性トリメチロールプロパンジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート(例えば、Sartomer Arkema Group(Exton,PA)からのSR344)、プロポキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、
(b)トリ(メタ)アクリル含有モノマー、例えば、グリセロールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシル化トリアクリレート(例えば、エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート(例えば、Sartomer Arkema Group(Exton,PA)からのSR9035))、プロポキシル化トリアクリレート(例えば、プロポキシル化グリセリルトリアクリレート、プロポキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート)、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート、
(c)より多官能性の(メタ)アクリル含有モノマー、例えば、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、エトキシル化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、及びカプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート。
【0059】
オリゴマー(メタ)アクリルモノマー、例えば、ポリエステルアクリレート及びエポキシアクリレートも利用され得る。
【0060】
このような(メタ)アクリレートモノマーは、例えば、Sartomer Arkema Group(Exton,PA)、Allnex(Alpharetta,GA)、及びAldrich Chemical Company(Milwaukee,WI)などの供給業者から広く入手可能である。
【0061】
いくつかの実施形態では、ハードコート組成物は、少なくとも3つの(メタ)アクリレート官能基を含む第2の(メタ)アクリレートモノマーを含む。いくつかの実施形態では、第2のモノマーは、少なくとも4つ、5つ又は6つの(メタ)アクリレート官能基を含む。アクリレート官能基は、(メタ)アクリレート官能基よりも好まれる傾向にある。
【0062】
好ましい市販の第2の(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート(例えば、Sartomer Arkema Group(Exton,PA)からのSR351)、エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート(例えば、Sartomer Arkema Group(Exton,PA)からのSR454)、ペンタエリスリトールテトラアクリレートとペンタエリスリトールトリアクリレートとの混合物(例えば、Sartomer Arkema GroupからのSR444c)、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(例えば、Sartomer Arkema GroupからのSR399)、エトキシル化ペンタエリスリトールテトラアクリレートとエトキシル化ペンタエリスリトールトリアクリレートとの混合物(例えば、Sartomer Arkema GroupからのSR494)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、及びトリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート(例えば、Sartomer Arkema GroupからのSR368)が挙げられる。
【0063】
いくつかの実施形態では、第2のモノマーは、C2~C4アルコキシ繰り返し単位を含まない。
【0064】
硬化ハードコート組成物中の第2のモノマーの総量の濃度は、典型的には、少なくとも5重量%固形分又は10重量%固形分であり、一般に40、35又は30重量%固形分以下である。いくつかの実施形態では、第2のモノマーの総量は、10~25重量%固形分の範囲である。他の実施形態では、第2のモノマーの総量は、5~15重量%固形分の範囲である。
【0065】
他の実施形態では、ハードコート組成物は、少なくとも3つの(メタ)アクリレート官能基を含む2つ以上のモノマーと、少なくとも1つのジ(メタ)アクリレートモノマー又はオリゴマーとのブレンドを含んでもよい。ジ(メタ)アクリレートモノマー又はオリゴマーの濃度は、典型的には、総ハードコート組成物の15重量%固形分以下、又は10重量%固形分以下、又は5重量%固形分以下である。
【0066】
ウレタンは、典型的には、硬化ハードコートの可撓性を高めるためにハードコート組成物に添加される。しかしながら、ウレタン、例えば、多官能性アクリレートウレタンオリゴマーを添加すると、硬化ハードコートの耐摩耗性が低下する。本明細書に記載のハードコート組成物及び硬化ハードコートは、ウレタンを実質的に含まない。ハードコート組成物は、5重量%未満、又は3重量%未満、又は2重量%未満、又は1重量%未満のウレタンを含有してもよい。1種以上の多官能性(メタ)アクリレートモノマーは、ハードコート組成物中の、少なくとも95%、又は少なくとも97%、又は少なくとも98%のモノマーをなす。ハードコート組成物中のうちの少なくとも95%、又は少なくとも97%、又は少なくとも98%は、(メタ)アクリレートモノマーからなる。用語「モノマー」は、本明細書において用語「オリゴマー」を含むと想定される。
【0067】
ハードコート又はハードコートフィルムは、本明細書に記載のハードコート組成物を硬化する(重合する)ことによって形成され得る。ハードコートの硬化を促進するため、本明細書に記載の重合性組成物は、少なくとも1種のフリーラジカル熱開始剤及び/又は光開始剤を更に含んでもよい。このような開始剤及び/又は光開始剤が存在する場合、開始剤及び/又は光開始剤は、重合性組成物の総重量を基準として、重合性組成物の約5%未満、より典型的には約2%未満(全固形分の重量による)を構成する。フリーラジカル硬化技術は、当該技術分野において周知であり、例えば、熱硬化方法、並びに電子ビーム又は紫外線などの放射線硬化方法が挙げられる。有用なフリーラジカル光開始剤としては、例えば、国際公開第2006/102383号パンフレットに記載されているような、アクリレートポリマーのUV硬化に有用であると知られているものが挙げられる。
【0068】
ハードコート組成物は、任意に各種添加剤を含んでもよい。例えば、シリコーン又はフッ素化添加剤を添加してハードコートの表面エネルギーを低減させることができる。一実施形態では、ハードコートコーティング組成物は、米国特許第7,178,264号に記載のような、1種以上のペルフルオロポリエーテルウレタン添加剤を更に含む。ペルフルオロポリエーテルウレタン添加剤単独又は他のフッ素化添加剤との組み合わせの総量は、典型的には0.05重量%固形分~1重量%固形分の範囲である。
【0069】
参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2009/029438号パンフレットに記載のように、特定のシリコーン添加剤は、低いリント吸引力と共に撥インク性をもたらすことも見出されている。そのようなシリコーン(メタ)アクリレート添加剤は、一般に、ポリジメチルシロキサン(polydimethylsiloxane、PDMS)主鎖及び(メタ)アクリレート基を末端とする少なくとも1つのアルコキシ側鎖を含む。アルコキシ側鎖は、任意に、少なくとも1つのヒドロキシル置換基を含んでもよい。このようなシリコーン(メタ)アクリレート添加剤は、Tego Chemieの商標名「TEGO Rad 2300」、「TEGO Rad 2250」、「TEGO Rad 2300」、「TEGO Rad 2500」、及び「TEGO Rad 2700」のように、様々な供給元から市販されている。これらのうち、「TEGO Rad 2100」が、最も低いリント吸引力をもたらした。
【0070】
ハードコート組成物は、従来のフィルム適用技術を用いて、単層又は多層として基材へ適用することができる。薄膜は、ディップコーティング、フォワード及びリバースロールコーティング、巻線ロッドコーティング、並びにダイコーティングを含む様々な技術を用いて適用することができる。ダイコーターとしては、特に、ナイフコーター、スロットコーター、スライドコーター、流体ベアリングコーター、スライドカーテンコーター、ドロップダイカーテンコーター、及び押出しコーターが挙げられる。多くの種類のダイコーターが文献に記載されている。通常、基材は連続ウェブロールの形態であることが好都合であるが、個々のシートにコーティングが適用されてもよい。
【0071】
ハードコート組成物をオーブン中で乾燥させて溶媒を除去し、次いで、例えば所望の波長で、好ましくは不活性雰囲気(50ppm未満の酸素)中で、H電球又は他のランプを使用して、紫外線照射に曝露することによって硬化させ得る。反応機構は、フリーラジカル重合性材料を架橋させる。
【0072】
ハードコート(硬化)は、1~10マイクロメートル、又は1~7マイクロメートル、2~6マイクロメートル、又は2.5~5マイクロメートルの範囲内の均一な厚さを有し得る。
【0073】
ハードコートフィルムは、透明基材と、透明基材上に配置された本明細書に記載のハードコートと、を含む。
【0074】
透明基材層は、70MPa超、又は90MPa超、又は120MPa超、又は160MPa超の降伏応力値を有し得る。語句「降伏応力」又は「オフセット降伏応力」は、本明細書において、ASTM D638-14で定義されている通りの「0.2%オフセット降伏強度」を指す。ASTM D638-14セクションA2.6は、「オフセット降伏強度」の試験方法を定義しており、ひずみが、応力-ひずみ曲線の最初の比例部分における延長を規定量(オフセット)だけ上回る応力と定義される。これは、単位面積当たりの力、通常は、メガパスカル(ポンド力毎平方インチ)で表される。
【0075】
透明基材層は、ディスプレイフィルムに所望の機械的特性(寸法安定性など)及び光学特性(光透過率及び透明度など)をもたらす、任意の有用なポリマー材料で形成され得る。基材層中での使用に好適な材料の例としては、ポリアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、例えばポリ(エチレンテレフタレート)(poly(ethylene terephthalate)、PET)、又はポリ(エチレンナフタレート)(poly(ethylene naphthalate)、PEN)、多環式オレフィンポリマー(polycyclic olefin polymers、COP)、熱可塑性ポリウレタン、又はトリ-アセチルセルロース(tri-acetyl cellulose、TAC)が挙げられる。透明基材層は、光を反射又は透過するために協働するポリマー材料(PET又はPENなど)の複数の層を交互に有する多層光学フィルムであってもよい。
【0076】
透明なポリマー基材層を形成するのに有用なポリマー材料の1つは、ポリイミドである。多くの実施形態では、ポリイミド基材層は無色である。無色のポリイミドは、化学反応によって、又はナノ粒子の組み込みによって形成することができる。化学反応によって形成されるいくつかの例示的な無色のポリイミドは、国際公開第2014/092422号パンフレットに記載されている。
【0077】
透明基材は、約20~100マイクロメートルの範囲の均一な厚さを有する透明な熱可塑性基材であってもよい。ハードコートフィルムは、約25~110マイクロメートルの範囲の全体の全体的な均一な厚さを有し得る。
【0078】
透明基材層をプライマー処理し、又は処理し、その表面のうちの1つ以上に、何らかの所望の特性を付与してもよい。特に、透明基材層をプライマー処理して、ハードコートの、透明基材層との接着を向上させることができる。このような処理の例としては、コロナ処理、火炎処理、プラズマ処理、及びアクリレート又はシラン処理などの化学処理が挙げられる。
【0079】
研磨は、摩擦によって材料を摩耗させる、又はこすり落とす方法である。材料の耐摩耗性は、材料が機械的作用に耐えるのを助け、材料がその表面から除去されないよう保護しやすくする。これにより、材料はその完全性を保持し、その形態を保つことができる。耐摩耗性は、ハードコートフィルムをスチールウール又は研磨パッドなどの粗い材料で規定のサイクル数にわたってこするか又は拭き取った後、微細な引っかき又はヘイズなどの目視可能な変化について層を検査することにより、測定することができる。
【0080】
一実施形態では、ハードコートフィルムは、透明ポリマー又は熱可塑性基材層(20~100マイクロメートルの範囲の厚さを有する)上に配置されたハードコート層(1~10マイクロメートルの範囲の厚さを有する)を含む。
【0081】
ハードコートフィルムは、4%以下、又は2%以下、又は1%以下、又は0.5%以下のヘイズ値を有し得る。いくつかの実施形態では、ハードコートフィルムは、5%以下のヘイズ値を有し得る。ハードコートフィルムは、98%以上、又は99%以上の透明度を有し得る。ハードコートフィルムは、85%以上、又は87%以上、又は90%以上、又は93%以上の可視光透過率を有し得る。
【0082】
ハードコートフィルムは、5以下、又は4以下、又は3以下、又は2以下、又は1以下の黄色度指数又はb値を有し得る。多くの実施形態では、ディスプレイフィルムは、1以下の黄色度指数又はb値を有し得る。
【0083】
ハードコートフィルムは、約3mmの半径での少なくとも10,000、25,000、50,000若しくは100,000回の曲げサイクル又は折り畳みサイクルの後に、2%以下、又は1.5%以下、又は1%以下のヘイズ値を維持することができる。ハードコートフィルムは、約5mmの半径、又は約4mmの半径、又は約3mmの半径、又は約2mmの半径、又は約1mmの半径での少なくとも10,000、25,000、50,000若しくは100,000回の曲げサイクル又は折り畳みサイクルの後に、安定なヘイズ値を維持することができる、又はひびが入らず、ひび割れせず、又は層間剥離せずに、完全な状態のままであり得る。ハードコートフィルムは、引張時又は圧縮時に、約4mm以下の半径での少なくとも10,000、25,000、50,000、100,000若しくは200,000回の曲げサイクル又は折り畳みサイクルの後に、完全な状態のままであり得る。
【0084】
図1は、例示的なハードコートフィルム10の概略側面立面図である。
【0085】
図2は、物品70を形成している光学ディスプレイ26上の例示的な可撓性ハードコート又は可撓性ハードコートフィルム10の概略側面立面図である。
【0086】
図3は、例示的な可撓性ハードコート又は可撓性ハードコートフィルム10を備える例示的な折り畳み物品80の概略斜視図である。
【0087】
ハードコートフィルム10は、透明基材14と、透明基材14上に配置された本明細書に記載のハードコート12と、を備える。このハードコートフィルム10は、優れた可撓性及び耐摩耗性を呈することができる。
【0088】
光学ディスプレイ70は、本明細書に記載のディスプレイフィルム10と、ディスプレイフィルム10を光学ディスプレイ26に固定する光学接着層24と、を備える。
【0089】
ディスプレイフィルム10は、ディスプレイデバイス80を形成するために、光学ディスプレイ34などの光学素子上に配置されてもよい。ディスプレイデバイス80は、図3に例示しているように、ハードコートフィルム10の部分が互いに接触するように、それ自体の上に折り畳むことができる。ディスプレイデバイス80は、折り畳み物品ではない場合もあり、特定の範囲内でのみ屈曲する場合もあり、又は静止した湾曲のディスプレイデバイスである場合もある。
【0090】
光学ディスプレイ34は、ディスプレイデバイスの少なくとも一部分を形成することができる。ディスプレイデバイス80は、ディスプレイウィンドウ32を備えることができる。ディスプレイデバイス80は、電話又はスマートフォン、電子タブレット、電子手帳、コンピュータなどの任意の有用な物品とすることができる。光学ディスプレイとしては、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイパネルが挙げられる。光学ディスプレイとしては、液晶ディスプレイ(LCD)パネル又は反射型ディスプレイが挙げられる。反射型ディスプレイの例としては、電気泳動ディスプレイ、電気流体ディスプレイ(エレクトロウェッティングディスプレイなど)、干渉ディスプレイ又は電子ペーパーディスプレイパネルが挙げられ、これらは米国特許出願公開第2015/0330597号に記載されている。
【0091】
ディスプレイフィルム10及び光学ディスプレイ34は、ディスプレイフィルム10及び光学ディスプレイ34の一部分が、ディスプレイフィルム10及び光学ディスプレイ34の別の部分に対して接合でき、ディスプレイフィルム10において、曲げ線又は折れ線で3mm以下の曲げ半径を形成するように、可撓性又は曲げることが可能又は折り畳み可能とすることができる。ディスプレイフィルム10及び光学ディスプレイ34は、ディスプレイフィルム10及び光学ディスプレイ34の一部分が、ディスプレイフィルム10及び光学ディスプレイ34の別の部分に対して接合でき、ディスプレイフィルム10がそれ自体に重なり、互いに10mm以下、若しくは6mm以下、若しくは3mm以下の距離で離れる、又は互いに接触するような曲げ半径を形成するように、可撓性又は曲げることが可能又は折り畳み可能であり得る。
【0092】
本開示の目的及び利点を以下の実施例によって更に例示するが、これらの実施例に記載の特定の材料及びそれらの量並びに他の条件及び詳細は、本開示を不当に限定するものと解釈してはならない。
【実施例
【0093】
実施例は、可撓性と耐摩耗性との両方であるハードコートを製造するための新規の効果的な戦略を例示する。実施例のハードコート組成物は、反応性(例えば、A174(アクリレート))及び非反応性(例えば、メチル)ナノ粒子の混合物に基づく。実施例は、ハードコートが、マンドレル曲げ及び動的折り畳み及び耐摩耗性によって特徴付けられる両方の可撓性を呈する好ましい組成範囲を示す。比較例は、ハードコートに可撓性を組み込む試みを例示するために含まれる。比較例は、ハードコート組成物中のウレタンアクリレートの一般的な使用を含む戦略の組み合わせを使用する。比較例は可撓性を示すが、耐摩耗性を犠牲にしている。新興の可撓性OLEDディスプレイ市場用ハードコートは、以下の実施例に例示しているように、可撓性と耐摩耗性との両方を保有しなければならない。
【0094】
【表1】
【0095】
表面改質SiOナノ分散体
SiOナノ分散液:A174 20nm:
NALCO 2327 400gを32オンスガラスジャーに入れた。撹拌を開始し、PM450gをゆっくりと添加した。A174 22.01gをゆっくりと添加した。ナノ分散液を更に20分間撹拌した。ナノ分散液をオーブン中80℃にて24時間置き、シランからの反応性アクリレート官能基でナノ粒子表面を改質した。次いで、ナノ分散液を室温まで冷却した。PM330gをナノ分散液に添加した。溶媒交換を行って、回転蒸発(Buchi,New Castle,DE)を用いて真空下64℃にて水を除去した。ナノ分散液の最終的なナノ粒子含有量を45重量%に調整した。
【0096】
SiOナノ分散液:METHYL20nm:
NALCO 2327 400gを32オンスガラスジャーに入れた。撹拌を開始し、PM450gをゆっくりと添加した。METHYL-TMOS12.07gをゆっくりと添加した。ナノ分散液を更に20分間撹拌した。ナノ分散液をオーブン中80℃にて24時間置き、シランからの非反応性メチル官能基でナノ粒子表面を改質した。次いで、ナノ分散液を室温まで冷却した。PM330gをナノ分散液に添加した。溶媒交換を行って、回転蒸発(Buchi,New Castle,DE)を用いて真空下64℃にて水を除去した。ナノ分散液の最終的なナノ粒子含有量を45重量%に調整した。
【0097】
SiOナノ分散液:A174/CYANO 20nm:
NALCO 2327 400gを32オンスガラスジャーに入れた。撹拌を開始し、PM450gをゆっくりと添加した。A174 11.00gをゆっくりと添加した。CYANO-TMOS8.39gをゆっくりと添加した。ナノ分散液を更に20分間撹拌した。ナノ分散液をオーブン中80℃にて24時間置き、シランからの反応性アクリレート及び非反応性シアノ官能基でナノ粒子表面を改質した。次いで、ナノ分散液を室温まで冷却した。PM330gをナノ分散液に添加した。溶媒交換を行って、回転蒸発(Buchi,New Castle,DE)を用いて真空下64℃にて水を除去した。ナノ分散液の最終的なナノ粒子含有量を45重量%に調整した。
【0098】
SiOナノ分散液:A174 75nm:
NALCO 2329K400gを32オンスガラスジャーに入れた。撹拌を開始し、PM450gをゆっくりと添加した。A174 6.92gをゆっくりと添加した。ナノ分散液を更に20分間撹拌した。ナノ分散液をオーブン中80℃にて24時間置き、シランからの反応性アクリレート官能基でナノ粒子表面を改質した。次いで、ナノ分散液を室温まで冷却した。PM330gをナノ分散液に添加した。溶媒交換を行って、回転蒸発(Buchi,New Castle,DE)を用いて真空下64℃にて水を除去した。ナノ分散液の最終的なナノ粒子含有量を45重量%に調整した。
【0099】
ハードコート配合物
ハードコート配合物:HF1~10
実施例のハードコート配合物を表2に示す。多官能性アクリレート(SR344、SR399、SR444c、及びSR9035)を褐色ガラスジャーに入れた。MEKを添加し、撹拌を開始した。反応性A174 20nm及び/又は非反応性METHYL20nmナノ粒子分散液を添加し、ハードコート配合物が均質なナノ分散液を形成するまで撹拌を続けた。ESACURE 1をハードコート配合物に溶解した。PM-1501をハードコート配合物に添加し、撹拌を更に20分間継続した。
【0100】
【表2】
【0101】
比較のハードコート配合:CHF1
比較例のための比較のハードコート配合(Comparative Hardcoat Formulations、CHF)を表3に示す。ウレタンアクリレート(E8701)を褐色ガラスジャーに入れた。MEKを添加し、撹拌を開始した。部分反応性A174/CYANO20nmナノ粒子分散液を添加し、ハードコート配合物が均質なナノ分散液を形成するまで撹拌を続けた。ESACURE 1をハードコート配合物に溶解した。PM-1501をハードコート配合物に添加し、撹拌を更に20分間継続した。
【0102】
比較のハードコート配合物:CHF2
比較例のための比較のハードコート配合物(CHF)を表3に示す。ウレタンアクリレート(E8701)を褐色ガラスジャーに入れた。MEKを添加し、撹拌を開始した。部分反応性A174/CYANO20nm及び反応性A174 75nmナノ粒子分散液を添加し、ハードコート配合物が均質なナノ分散液を形成するまで撹拌を続けた。ESACURE 1をハードコート配合物に溶解した。PM-1501をハードコート配合物に添加し、撹拌を更に20分間継続した。
【0103】
比較のハードコート配合物:CHF3
比較例のための比較のハードコート配合(CHF)を表3に示す。多官能性アクリレート(SR444c)を褐色ガラスジャーに入れた。ウレタンアクリレート(CN891B88)を添加した。MEKを添加し、撹拌を開始した。反応性A174 20nmナノ粒子分散液を添加し、ハードコート配合物が均質なナノ分散液を形成するまで撹拌を続けた。ESACURE 1をハードコート配合物に溶解した。PM-1501をハードコート配合物に添加し、撹拌を更に20分間継続した。
【0104】
比較のハードコート配合物:CHF4
比較例のための比較のハードコート配合物(CHF)を表3に示す。多官能性アクリレート(SR444c)を褐色ガラスジャーに入れた。ウレタンアクリレート(CN891B88)を添加した。MEKを添加し、撹拌を開始した。反応性A174 20nmナノ粒子分散液を添加し、ハードコート配合物が均質なナノ分散液を形成するまで撹拌を続けた。ESACURE 1をハードコート配合物に溶解した。PM-1501をハードコート配合物に添加し、撹拌を更に20分間継続した。
【0105】
【表3】
【0106】
ハードコートフィルム
ハードコートフィルム:EX1~10及びCE1~4
ハードコート配合物HC1~10及び比較のハードコート配合物CHC1~4を、3milのプライム処理したPETフィルム上に、連続ロールツーロール法でコーティングした。ハードコート配合物を、計量ポンプ及びマスフローメータによって制御されたコーティング厚さを有するスロットダイを通して計量した。コーティングの揮発性成分を、3ゾーン空気浮遊炉(ゾーン1を65.6℃に設定し、ゾーン2を93.3℃に設定し、ゾーン3を121.1℃に設定した)で除去し、各ゾーンは約9.1mの長さを有していた。乾燥したコーティングを、48.9℃の温度に設定した温度制御されたバックアップロールを用いて、不活性雰囲気下、Hバルブ源を使用して、ダイクロイック反射装置を備えたインライン600W/in Fusion UV硬化ステーションで硬化させた。硬化ハードコートの厚さを表4に示す。
【0107】
ハードコートフィルム:光学特性評価
表4は、実施例EX1~10及び比較例CE1~4のハードコートフィルムの光学的特性評価、並びにハードコート組成物の詳細:各種類のナノ粒子の相対濃度、総ナノ粒子ローディング(NPローディング)、樹脂、及びハードコート厚さを示す。全てのハードコートフィルムは、高い透過率(T)及び透明度(C)、低いヘイズ(H)、並びに低い黄色度指数(b)を有する光学グレード品質を呈している。光学グレード品質は、前面ディスプレイ用途に不可欠である。
【0108】
【表4】
【0109】
ハードコートフィルム:機械的特性評価
表5は、EX1~10及びCE1~4のハードコートフィルムの機械的特性評価を示す。実施例EX1~10は、反応性ナノ粒子と非反応性ナノ粒子との混合物が、ハードコート可撓性と耐摩耗性との両方を調整するための有効な戦略であることを示している。EX1は、全ての反応性ナノ粒子を有するナノ複合ハードコートが、引張(マンドレル曲げ、動的折り畳み)時に、良好な耐摩耗性を呈するが不良な可撓性を呈することを示している。EX1は、ディスプレイの前面が剛性ガラスであるため、摩耗耐性がハードコートの主要要件であった場合の、当該技術分野における一般的な戦略も例示している。EX10は、全ての非反応性ナノ粒子を有するナノ複合ハードコートが、良好な可撓性を呈するが不良な耐摩耗性を呈することを示している。EX4~9、特にEX8及びEX9は、次世代のディスプレイに不可欠な良好な可撓性と耐摩耗性との両方を呈する新規なナノ複合ハードコートを例示している。EX4~9は、EX1~3に対して改善されたカール挙動も呈している。
【0110】
比較例CE1~4は、ナノ複合ハードコートに可撓性を導入するために、ウレタンアクリレートの一般的な使用を含む戦略の組み合わせを使用する。CE1~4は、良好な可撓性(マンドレル曲げ)を呈しているが不良な耐摩耗性を呈している。更に、鉛筆硬度の結果は、比較例が変性しやすいことを示している。
【0111】
【表5】
【0112】
ハードコートフィルム:EX11~16
ハードコート配合物HF8の流量を多様にしてハードコート厚さを変化させたことを除いて、実施例11~16のハードコートフィルムをEX8として調製した。硬化ハードコートの厚さを表6に示す。
【0113】
ハードコートフィルム:光学特性評価
表6は、EX8及びEX11~16のハードコートフィルムの光学特性評価、並びにハードコート組成物の詳細:各種類のナノ粒子の相対濃度、総ナノ粒子のローディング(NPローディング)、樹脂、及びハードコート厚さを示す。全てのハードコートフィルムは、高い透過率(T)及び透明度(C)、低いヘイズ(H)、並びに低い黄色度指数(b)を有する光学グレード品質を呈している。
【0114】
【表6】
【0115】
ハードコートフィルム:機械的特性評価
表7は、同じハードコート配合物を有するがハードコート厚さが異なるEX8とEX11~16とのハードコートフィルムの機械的特性評価を示す。結果は、可撓性及び耐摩耗性が、非常に薄いハードコート厚さであってさえ維持されることを示している。
【0116】
【表7】
【0117】
試験方法
ハードコート厚さ:分析のためにFTM-ProVis Liteソフトウェアを使用して白色光干渉法を用いてハードコート厚さを測定した。
【0118】
透過率、ヘイズ、及び透明度:ASTM D1003-00に従って、Gardner Haze-Guard Plus model 4725(BYK-Gardner(Columbia,MD)を用いて光学特性を測定した。
【0119】
黄色度指数又はb:D65光源を用いてbを測定することによって黄色度指数を評価した。測定は、Konica Minolta Spectrophotometer model CM3700dにおいて透過率で取った。
【0120】
鉛筆硬度:Mitsubishiから供給される6B~8Hの硬度及び重量1kgの鉛筆を使用して、JIS K5600-5-4:1999試験手順を用いて鉛筆硬度を測定した。ハードコートフィルムを目視で検査して、ハードコート下の基材の任意の変形の最初の視覚的欠陥又は外観を決定し、次いで顕微鏡を用いて、ハードコートのひびの発生が観察された鉛筆を決定した。報告値は、サンプルが通過した最も高い値である。
【0121】
摩耗:ハードコートにわたってスタイラスに接着された研磨材を振動させることができる機械的装置を使用して摩耗を試験した。この振動は、コーティング方向に対して垂直に行った。スタイラスは、210mm/秒(2回の拭き取り/秒)の速度で60mm幅のスイープ幅にわたって振動し、拭き取りは、60mmの単一の移動として定義される。スタイラスは、平坦な基部及び直径3.2cmの円筒であった。この試験に使用した研磨材は、Rhodes-American(Homax Products(Bellingham,WA)の1部門)から商品名「#0000-Super-Fine」で入手し、受容したものとして使用した。直径3.2cmのディスクをパッドから切断し、3M Scotch Permanent Adhesive Transferテープを用いてスタイラスの底面に接着させた。試験は、3.0kgの重量、並びに50,500回及び1,000回の拭き取りで実施した。摩耗後、ハードコートを、引っかきについてグレード付けした。NSは引っかきなしを指し、SSはわずかな引っかきを指す。NSとSSとの両方は、摩耗試験の前と後とのヘイズの変化が本質的になかったことを示す。Sは引っかきを指し、HSは重度の引っかきを指し、その両方は、ヘイズにおける有意な変化(>1%)を示す。
【0122】
マンドレル曲げ:ASTM Method D522/522M-13「Mandrel Bend Test of Attached Organic Coatings」の修正版、「Test Method B,Cylindrical Mandrel Test」を用いて、マンドレル曲げを試験した。ASTM法に規定されているように90°まで曲げる代わりに、全てのサンプルをマンドレルの周囲に180°巻きつけた後、損傷について評価した。全てのサンプルを、外側半径(すなわち、引張時のハードコート)上のハードコート、及び内部半径(すなわち、圧縮時のハードコート)上のマンドレルに面するハードコートで試験した。ひびが入らないことが観察された最小の円筒サイズを、最小曲げ半径として報告した(合否判定方式)。
【0123】
動的折り畳み:二重枢動動的折り畳み試験機を用いて動的折り畳みを評価した。動的折り畳み試験機は、平行な枢動軸を有する2つの同一平面プレートを有し、両方のプレートは、90°回転して、間の指定された間隙で互いに対向することができる。閉鎖時のプレート間の間隙を約8mmに設定した。両方のプレートが同時にゼロから90°に回転するように、モータ駆動装置を調整した。7.0”×1.0”の各サンプル片を、機械的カッターを用いて切断し、ライナーを取り外した。両面テープの1.0”幅のストリップを使用して、各サンプル構造の3つの複製物を折り畳みプレートコーティング側に取り付けた(引張時のハードコート層)。フィルムが拘束されていないところで約24mm幅(空き領域の3倍)の中央フリーゾーンが存在するように、テープをプレートに貼付した。折り畳み速度を約30回の折り畳み/分に設定し、試験は、200,000サイクル、又は全サンプルが破損するまで行った。サンプルは、最初の10,000サイクルでは約1,000サイクル毎に目視検査し、100,000回の折り畳みまでは約5,000~10,000サイクル毎に目視検査し、次いで、コーティングのひび、ひび割れ、層間剥離、又はヘイズなどの破損のエビデンスについて、200,000回の折り畳みまで10,000~25,000サイクルで目視検査した。
【0124】
カール:フィルムの角部のうちの2つがクロスウェブ方向と整列するように、かつフィルムの2つの角部がフィルムのダウンウェブ方向と整列するように正方形に切断して、ハードコートフィルムの3”×3”サンプルを切断にかけることによってカールを測定した。3”×3”のサンプルをテーブルトップ上に据え、フィルムの角部の端部吊上を測定し、平均を報告した。
【0125】
このように、可撓性ハードコートの実施形態を開示する。
【0126】
本明細書で言及した全ての参考文献及び刊行物は、これらが本開示に直接矛盾し得る場合を除き、これらの全体が参照により本開示に明示的に組み込まれる。具体的な実施形態を本明細書において例示し記述したが、様々な代替及び/又は同等の実施により、図示及び記載した具体的な実施形態が、本開示の範囲を逸脱することなく置き換え可能であることが当業者には理解されるであろう。本出願は、本明細書において説明した具体的な実施形態のあらゆる適合例又は変形例を包含することを意図する。したがって、本開示は、特許請求の範囲及びその同等物によってのみ限定されることを意図する。開示され実施形態は、例示目的で提示されており、限定を目的とするものではない。以下、例示的実施形態を示す。
[1]
1種以上の多官能性(メタ)アクリレートモノマーと、
前記1種以上の多官能性(メタ)アクリレートモノマー内に分散されたナノ粒子混合物と、
を含むハードコート組成物であって、前記ナノ粒子混合物が、
1%~15%の、5nm~60nmの範囲の平均粒径を有する、反応性ナノ粒子の第1の集団、及び
99%~85%の、5nm~60nmの範囲の平均粒径を有する、非反応性ナノ粒子の第2の集団
を含む、ハードコート組成物。
[2]
1種以上の多官能性(メタ)アクリレートモノマーと、
前記1種以上の多官能性(メタ)アクリレートモノマー内に分散されたナノ粒子混合物と、
を含むハードコート組成物であって、前記ナノ粒子混合物が、
1%~50%の、5nm~60nmの範囲の平均粒径を有する、反応性ナノ粒子の第1の集団、及び
99%~50%の、5nm~60nmの範囲の平均粒径を有する、非反応性ナノ粒子の第2の集団
を含み、前記非反応性ナノ粒子が、一般式R-SiR’ (OR”) 3-m (式中、Rはメチル又はエチルであり、R’は(C ~C )アルキルであり、R”は(C ~C )アルキルであり、mは0~2の整数である)を有する化合物による非反応性表面処理を有する、ハードコート組成物。
[3]
前記非反応性表面処理化合物が、式R-SiR’ (OR”) 3-m (式中、Rはメチルであり、R’は(C ~C )アルキルであり、R”は(C ~C )アルキルであり、mは0~2の整数である)を有する、[2]に記載のハードコート組成物。
[4]
前記非反応性表面処理化合物が、式R-SiR’ (OR”) 3-m (式中、Rはメチルであり、mは0であり、R”はメチルである)を有する、[2]に記載のハードコート組成物。
[5]
前記反応性ナノ粒子が、一般式X’-L’-SiR’ (OR”) 3-m (式中、X’はフリーラジカル重合性基であり、L’は(C ~C 12 )アルキレンであり、R’は(C ~C )アルキルであり、R”は(C ~C )アルキルであり、mは0~2の整数である)を有する化合物による反応性表面処理を有する、[2]~[4]のいずれか一項に記載のハードコート組成物。
[6]
前記反応性表面処理化合物が、一般式X’-L’-SiR’ (OR”) 3-m (式中、X’は(メタ)アクリル基又はビニル基であり、L’は(C )アルキレンであり、mは0であり、R”は(C )アルキルである)を有する、[5]に記載のハードコート組成物。
[7]
前記ナノ粒子混合物が、
1%~25%の反応性ナノ粒子の第1の集団と、
99%~75%の非反応性ナノ粒子の第2の集団と、
を含む、[2]~[6]のいずれか一項に記載のハードコート組成物。
[8]
前記ナノ粒子混合物が、
1%~10%の反応性ナノ粒子の第1の集団と、
99%~90%の非反応性ナノ粒子の第2の集団と、
を含む、[1]~[7]のいずれか一項に記載のハードコート組成物。
[9]
前記ナノ粒子混合物が、
2%~5%の反応性ナノ粒子の第1の集団と、
98%~95%の非反応性ナノ粒子の第2の集団と、
を含む、[1]~[8]のいずれか一項に記載のハードコート組成物。
[10]
前記1種以上の多官能性(メタ)アクリレートモノマーが、前記ハードコート組成物中の、少なくとも95%、又は少なくとも97%、又は少なくとも98%のモノマーをなす、[1]~[9]のいずれか一項に記載のハードコート組成物。
[11]
5重量%未満、又は3重量%未満、又は2重量%未満、又は1重量%未満のウレタンを含有する、[1]~[10]のいずれか一項に記載のハードコート組成物。
[12]
前記反応性ナノ粒子の第1の集団が、前記非反応性ナノ粒子の第2の集団の平均粒径と実質的に等しい平均粒径を有する、[1]~[11]のいずれか一項に記載のハードコート組成物。
[13]
前記ナノ粒子混合物が、30重量%全固形分~68重量%全固形分、又は50重量%全固形分~60重量%全固形分の範囲のローディングで前記ハードコート組成物中に存在し、前記ナノ粒子混合物が、無機酸化物粒子を含む、[1]~[12]のいずれか一項に記載のハードコート組成物。
[14]
前記反応性ナノ粒子の第1の集団が、10nm~40nmの範囲の平均粒径を有し、前記非反応性ナノ粒子の第2の集団が、10nm~40nmの範囲の平均粒径を有する、[1]~[13]のいずれか一項に記載のハードコート組成物。
[15]
前記反応性ナノ粒子の第1の集団が、10nm~30nmの範囲の平均粒径を有し、前記非反応性ナノ粒子の第2の集団が、10nm~30nmの範囲の平均粒径を有する、[1]~[14]のいずれか一項に記載のハードコート組成物。
[16]
前記反応性ナノ粒子の第1の集団及び前記非反応性ナノ粒子の第2の集団が、シリカを含む、[1]~[15]のいずれか一項に記載のハードコート組成物。
[17]
[1]~[16]のいずれか一項に記載のハードコート組成物の反応生成物を含む、ハードコート。
[18]
1~10マイクロメートル、1~7マイクロメートル、2~6マイクロメートル、又は2.5~5マイクロメートルの範囲内の均一な厚さを有する、[17]に記載のハードコート。
[19]
透明基材と、
前記透明基材上に配置された[17]又は[18]に記載のハードコートと、
を備える、ハードコートフィルム。
[20]
前記透明基材が、約20~150マイクロメートル、又は約20~100マイクロメートルの範囲の均一な厚さを有する透明熱可塑性基材である、[19]に記載のハードコートフィルム。
[21]
約20~160マイクロメートル、又は21~110マイクロメートルの範囲の均一な厚さを有する、[19]又は[20]に記載のハードコートフィルム。
[22]
前記透明基材が、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアクリレート、TAC又はCOPを含む、[19]又は[21]に記載のハードコートフィルム。
[23]
前記透明基材が、PET、PEN、又は多層光学フィルムを含む、[19]又は[21]に記載のハードコートフィルム。
[24]
前記透明基材が、無色ポリイミドを含む、[19]又は[21]に記載のハードコートフィルム。
[25]
87%を超える光透過率、2%未満のヘイズ、及び98%を超える透明度を有する、[19]~[24]のいずれか一項に記載のハードコートフィルム。
[26]
前記基材が75マイクロメートル厚のPETであり、前記ハードコートフィルムが、引張における、少なくとも100,000回の動的折り畳みサイクル、又は少なくとも200,000回の動的折り畳みサイクル(上記実施例中の動的折り畳み試験方法で定義される通り)後に、ひびが入らない、ひび割れしない又は層間剥離しない、[19]~[25]のいずれか一項に記載のハードコートフィルム。
[27]
少なくとも500回の引っかきサイクル、又は少なくとも1,000回の引っかきサイクル(上記実施例中の摩耗試験方法で定義される通り)後に、目視可能な引っかきを呈さない、[26]に記載のハードコートフィルム。
[28]
引張若しくは圧縮において、又は引張と圧縮との両方において、3mm以下の曲げ半径でひびが入らない、ひび割れしない又は層間剥離しない、[19]~[27]のいずれか一項に記載のハードコートフィルム。
[29]
光学ディスプレイと、
[19]~[28]のいずれか一項に記載のハードコートフィルムと、
前記ハードコートフィルムと前記光学ディスプレイとの間の光学接着層と、
を備える、物品。
[30]
前記光学ディスプレイが、前記ハードコートフィルムの部分が互いに接触するように共に折り畳まれる、[29]に記載の物品。
[31]
前記光学ディスプレイが、OLEDを備える、[29]又は[30]に記載の物品。
図1
図2
図3