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特許7438112投与セットのための輸液ポンプシステム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-15
(45)【発行日】2024-02-26
(54)【発明の名称】投与セットのための輸液ポンプシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/142 20060101AFI20240216BHJP
   A61M 5/168 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
A61M5/142
A61M5/168 500
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020533693
(86)(22)【出願日】2018-12-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-22
(86)【国際出願番号】 US2018065685
(87)【国際公開番号】W WO2019125941
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2021-12-06
(31)【優先権主張番号】62/607,436
(32)【優先日】2017-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509280394
【氏名又は名称】スミスズ メディカル エーエスディー,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】グラント エー.アダムズ
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ ビー.ドロスト
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー エー. レーシー
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン サンボーン
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル エル.アダムソン
(72)【発明者】
【氏名】サミーア パイ
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン プラジャー
(72)【発明者】
【氏名】ケビン クラウトバウアー
(72)【発明者】
【氏名】エリク ジャガー
(72)【発明者】
【氏名】ベン ホリスバーガー
(72)【発明者】
【氏名】ラリー アール.ザイルスキー
【審査官】星名 真幸
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0076461(US,A1)
【文献】米国特許第06371732(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0257986(US,A1)
【文献】登録実用新案第3133453(JP,U)
【文献】特表2012-516208(JP,A)
【文献】特表2016-503714(JP,A)
【文献】特開平11-137682(JP,A)
【文献】特開2013-006021(JP,A)
【文献】特開昭61-085593(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/142
A61M 5/168
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用注入剤を供給するために、蠕動ポンピングを提供する大容量ポンプ(LVP)であって、前記大容量ポンプは、
アセンブリ容器を含む、ポンプ筐体と、
機械的な蠕動運動を提供するように構成された動力伝達装置組立品であって、前記動力伝達装置組立品は、
前記ポンプ筐体の内側に配置されたステッピングモータと、
前記ステッピングモータによって駆動されるカムシャフト組立品であって、前記カムシャフト組立品は、
一体型カムシャフトと、
前記一体型カムシャフトの回転に従って、協調して動く複数のチューブ係合部材であって、各前記チューブ係合部材の一部は、少なくとも部分的に前記アセンブリ容器の内部へ延在するチューブ係合部材と、
を含む、カムシャフト組立品と、
を含む、動力伝達装置組立品と、
前記ポンプ筐体の内側に配置されており、複数のチューブ係合部材を蠕動させて動かすために前記ステッピングモータ及び前記カムシャフト組立品の作動を制御するコントローラと、
前記ポンプ筐体に連結され、プッシャーに連結されたドアレバーを含む容器ドアであって、前記アセンブリ容器へのアクセスを可能にする開放位置と、前記アセンブリ容器へのアクセスをブロックする閉鎖位置との間で移動可能な容器ドアと、
を備え、
投与セットチューブ組立品が前記アセンブリ容器内で取り外し可能に連結され、かつ、前記容器ドアが前記閉鎖位置にあるとき、前記投与セットチューブ組立品は、フレームと前記フレームにヒンジ連結された自由流れ防止アームとを含み、前記プッシャーが前記投与セットチューブ組立品の前記自由流れ防止アームの親指押圧面に作動的に係合して、前記自由流れ防止アームを流れ許容位置に移動するように、前記ドアレバーは、ラッチされた位置へ移動可能に構成され、
前記アセンブリ容器の表面は、前記アセンブリ容器内に連結された前記投与セットチューブ組立品の前記自由流れ防止アームのラッチ構造のリリースキャッチと協働するように構成されたラッチランプを含み、前記投与セットチューブ組立品が前記アセンブリ容器に配置又は固定されたときに、前記リリースキャッチの少なくとも一部が前記ラッチランプに沿ってスライドし、前記投与セットチューブ組立品の前記自由流れ防止アームが前記流れ許容位置へ向けて移動されると、前記リリースキャッチの少なくとも一部が前記ラッチランプに沿ってスライドし、前記自由流れ防止アームの前記ラッチ構造が前記流れ許容位置においてラッチされることを防止し、
前記ドアレバーがラッチ解除位置へ戻されると、前記プッシャーは応答して後退し、前記自由流れ防止アームが流れ防止位置へ戻ることを可能にする、大容量ポンプ。
【請求項2】
前記アセンブリ容器が、受け入れるように構成されている、前記投与セットチューブ組立品は、
前記動力伝達装置組立品による圧縮に適した蠕動チューブと、
第1のチューブ連結器及び第2のチューブ連結器であって、前記蠕動チューブの対向する端部に、それぞれ取り付けられると共に、前記蠕動チューブと流体連結する空洞部を、それぞれが有する、第1のチューブ連結器及び第2のチューブ連結器と、
離れた位置において、前記第1のチューブ連結器及び前記第2のチューブ連結器と連結されたフレームであって、前記フレームは、前記複数のチューブ係合部材と係合するための前記蠕動チューブが配置された、前記LVPへ解放可能に取り付けるために構成されており、前記フレームは、指圧面を有しており、該フレームから突出するラッチ受けをさらに含む、フレームと、を含み、
前記自由流れ防止アームは、前記フレームにヒンジによって連結されると共に、前記ラッチ受けと協調するサイズのラッチ構造を含む、請求項1に記載の大容量ポンプ。
【請求項3】
前記ポンプ筐体は、操作者と前記LVPとの相互作用を許容するタッチスクリーンを含む、請求項1に記載の大容量ポンプ。
【請求項4】
チューブ圧縮のための吊り下げられた剛性圧力板は、前記アセンブリ容器に隣接するポンプ筐体にヒンジ結合された前記容器ドアに配置されている、請求項1に記載の大容量ポンプ。
【請求項5】
前記アセンブリ容器は、垂直方向のチューブのふらつきを防止するために、前記チューブ係合部材の上方側及び下方側に配置された、一組の水平配置のガイドレールを含む、請求項4に記載の大容量ポンプ。
【請求項6】
前記一組の水平配置のガイドレールは、前記吊り下げられた剛性圧力板との平面接触を画定する3つの突出機構を含む、請求項5に記載の大容量ポンプ。
【請求項7】
前記複数のチューブ係合部材の大部分を囲む前記ポンプ筐体の内側に、もう一つの内部筐体が含まれており、前記複数のチューブ係合部材の端部だけが、前記もう一つの内部筐体から開口部を通じて前記アセンブリ容器の内部へ延在する、請求項1に記載の大容量ポンプ。
【請求項8】
前記もう一つの内部筐体は、起こり得る流体の漏れが、さらに前記ポンプ筐体の内部に到達することを制限するために、前記チューブ係合部材の後方側の位置においてシールされている、請求項7に記載の大容量ポンプ。
【請求項9】
前記もう一つの内部筐体の内部位置と接続されている水抜き穴開口部は、前記LVPの前部において、前記アセンブリ容器の中に配置されている、請求項8に記載の大容量ポンプ。
【請求項10】
前記動力伝達装置組立品の一貫性の無い流れのプロファイルを補うために、前記カムシャフト組立品の回転速度を連続的に変化することによって、医療用注入剤の相対的に一定の流れを提供するように、前記カムシャフト組立品を操作するために、前記コントローラは、前記ステッピングモータを制御する、請求項1に記載の大容量ポンプ。
【請求項11】
前記コントローラは、前記一体型カムシャフトの各回転において、前記カムシャフト組立品の前記回転速度を繰り返す、請求項10に記載の大容量ポンプ。
【請求項12】
前記一体型カムシャフトは、前記一体型カムシャフトの外周部に均一に分布したローブを有する、請求項1に記載の大容量ポンプ。
【請求項13】
前記複数のチューブ係合部材は、同一形状である、請求項1に記載の大容量ポンプ。
【請求項14】
各前記複数のチューブ係合部材は、隣接するチューブ係合部材の間の間隔を空けるのに役立つと共に、摩耗を防ぐために、前方側シャフト部分の両側部から突出するシャフト摩耗板を含む、請求項13に記載の大容量ポンプ。
【請求項15】
各前記複数のチューブ係合部材は、隣接するチューブ係合部材の間の間隔を空けるのに役立つと共に、摩耗を防ぐために、上部位置及び下部位置において両側部から突出する上部摩耗面及び下部摩耗面を設けるブロックを含む、請求項14に記載の大容量ポンプ。
【請求項16】
前記複数のチューブ係合部材は、12個のチューブ係合部材を含む、請求項15に記載の大容量ポンプ。
【請求項17】
前記LVPの前記ポンプ筐体は、前記アセンブリ容器の両側を越えて連結された投与セットのチューブを保持するために、前記ポンプ筐体の外縁に、C字形状のチューブ捕捉構造のチューブガイドを含む、請求項1に記載の大容量ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2017年12月19日付けで出願された米国仮特許出願第62/607,436号明細書の優先権を主張する。参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、輸液ポンプシステム、より具体的には、大容量ポンプ(LVPs)並びに輸液ポンプ投与セットのためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
様々なタイプの輸液ポンプは、患者への薬、流体、流体の様な物質、又は、薬剤(以下、総称して、「注入剤」)の処方量又は用量の送り出し及び調剤を管理するために有用である。輸液ポンプは、長期間にわたって注入剤を正確に送り出すことによって、手動による投与よりも著しい利点を提供する。輸液ポンプは、特に、癌、糖尿病、血管障害、神経障害、代謝異常を含む、定期的な薬理学的介入を必要とする疾患及び障害の治療に役立つ。輸液ポンプは、また、医療サービス提供者が、麻酔を与える能力や、痛みを管理する能力を高める。輸液ポンプは、病院、介護施設及びその他の短期及び長期の医療施設や、在宅看護環境を含む様々な状況で使用されている。様々なタイプの輸液ポンプがあり、携帯型、大容量、自己調節鎮痛法(PCA)、エラストマー型、シリンジ型、経腸型及びインスリンポンプを含む。輸液ポンプは、静脈内、腹腔内、動脈内、皮内、皮下、神経にすごく近接した位置、手術中の部位、硬膜上腔又はくも膜下腔を含む、様々な送り出し方法を通じて薬剤を投与するために使用することができる。
【0004】
一般的に、「蠕動」ポンプシステムと呼ばれる特定のタイプの輸液ポンプシステムにおいて、患者への注入剤の送り出しは、典型的には、一般的には使用後に使い捨てであり、かつ、注入剤の流量速度を制御するポンプと協調して、リザーバ(静脈内バッグ又は「IV」バッグ)から患者への注入剤のための流体経路(例えば、チューブ)を提供することができる、輸液投与セットの使用によって達成される。蠕動輸液ポンプは、一般的には、波状の挙動で、投与セットのチューブの連続する部分を繰り返しかつ一時的に閉塞することによって機能することができる蠕動ポンプ機構を包含する。
【0005】
「大容量ポンプ」又は「LVP」システムは、前述のように関連する構成要素を有する一般的な蠕動ポンプである。いくつかの刊行物では、用語「容量ポンプ」は、また、蠕動ポンプ又は大容量ポンプを参照するために様々に使用されてもよい。様々なLVPが、医療環境において長年使用されているが、これらの装置及び関連する蠕動駆動構成要素は、効率的、効果的及び安全な使用に制限があるかもしれない。
【0006】
従って、介護人及び患者にとって有利であると共に、安全性を高める投与セットを活用する、改良された輸液ポンプ及びシステムが要望されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、改良された投与セットのための輸液ポンプシステム及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書で説明、又は、そうでなければ意図される実施形態は、輸液ポンプ並びに輸液ポンプ投与セットのためのシステム及び方法に、他の利点の中で、適応性、使いやすさ、操作だけでなく患者の安全性も向上する利点を実質的に提供する。
【0009】
1つの実施形態は、医療用注入剤を供給する取り外し可能に連結可能な投与セットチューブ組立品に、蠕動ポンピングを提供するLVPに関する。LVPは、筐体と、動力伝達装置組立品と、コントローラと、を含む。筐体は、投与セットチューブ組立品を受け入れるように構成されたアセンブリ容器を含む。動力伝達装置組立品は、アセンブリ容器の内側において機械的な蠕動運動を提供する。動力伝達装置組立品は、筐体の内側に配置されたステッピングモータと、ステッピングモータによって駆動されると共に、少なくとも部分的にアセンブリ容器の内部へ延在する、カムシャフト組立品と、を含む。カムシャフト組立品は、一体型カムシャフトと、一体型カムシャフトの回転に従って、協調して動く複数のチューブ係合部材と、を含む。さらに、コントローラは、筐体の内側に配置されており、ステッピングモータ及びカムシャフト組立品の作動を制御する。
【0010】
1つの実施形態では、カムシャフトは、外周部に均一に分布したローブを有する。
【0011】
1つの実施形態では、複数のチューブ係合部材は、同一形状である。
【0012】
1つの実施形態では、複数のチューブ係合部材は、それぞれ、チューブ接触のために成形されており、中央の丸い突起だけでなく中央の丸い突起の両側部の補助的な丸い外形を含む係合端部を有する。1つの実施形態では、中央の丸い突起は、補助的な丸い外形よりも突出する寸法とされているが、補助的な丸い外形によってチューブが接触することなく、チューブ組立品を完全に塞ぐのに必要な量未満とされている。
【0013】
1つの実施形態では、複数のチューブ係合部材は、12個のチューブ係合部材を含む。
【0014】
LVPの1つの実施形態では、アセンブリ容器の内部に延在する部分以外では、複数のチューブ係合部材は、筐体の内側のもう一つの内部筐体によって囲まれている。
【0015】
1つの実施形態では、チューブ圧縮のための吊り下げられた剛性圧力板は、アセンブリ容器に隣接してヒンジ結合された容器ドアに配置されている。
【0016】
1つの実施形態では、アセンブリ容器は、垂直方向のチューブのふらつきを防止するために、チューブ係合部材の上方側及び下方側に配置された、一組の水平配置のガイドレールを含むと共に、吊り下げられた剛性圧力板との平面接触を画定する3つの突出機構を含む。
【0017】
1つの実施形態では、コントローラは、注入剤を送り出すための流体の一定性を提供するために、ステッピングモータを制御する。
【0018】
1つの実施形態では、LVPの筐体は、アセンブリ容器の両側を越えて、連結された投与セットのチューブを保持するために、筐体の外縁に、C字形状のチューブ捕捉構造のチューブガイドを含む。
【0019】
1つの実施形態では、投与セットは、15ニュートン以下の挿入圧力下で、アセンブリ容器に取り外し可能に連結可能とされている。
【0020】
1つの実施形態は、筐体の内側に配置されたステッピングモータと、ステッピングモータによって駆動されると共に、少なくとも部分的にアセンブリ容器の内部へ延在する、カムシャフト組立品と、を含む、蠕動輸液ポンプ動力伝達装置組立品に関する。カムシャフト組立品は、一体型カムシャフトと、一体型カムシャフトの回転に従って、協調して動く複数のチューブ係合部材と、を含む。
【0021】
1つの実施形態では、投与セットチューブ組立品は、蠕動チューブと、第1のチューブ連結器及び第2のチューブ連結器と、フレームと、自由流れ防止アームと、を含む。蠕動チューブは、動力伝達装置組立品による圧縮に適している。第1のチューブ連結器及び第2のチューブ連結器は、蠕動チューブの対向する端部に各々が取り付けられると共に、蠕動チューブと流体連結する空洞部を各々が有する。フレームは、離れた位置において、第1のチューブ連結器及び第2のチューブ連結器と連結されている。フレームは、複数のチューブ係合部材と係合するための蠕動チューブが配置された、LVPへ解放可能に取り付けるように構成されている。フレームは、指圧面を有しており、フレームから突出するラッチ受けをさらに含む。自由流れ防止アームは、フレームにヒンジにより連結されると共に、ラッチ受けと協調するサイズのラッチ構造を有する。
【0022】
1つの実施形態は、ステッピングモータと、カムシャフトと、を含む蠕動輸液ポンプ動力伝達装置組立品に関する。ステッピングモータは、輸液ポンプ筐体の内側で作動する大きさである。カムシャフト組立品は、ステッピングモータによって駆動されると共に、一体型カムシャフトと、一体型カムシャフトの回転に従って、協調して動く、同一形状の複数のチューブ係合部材と、を含む。カムシャフト組立品は、複数のチューブ係合部材の後方側でシールされると共に、複数のチューブ係合部材の前方側へ向けられた開口部に制限されている、動力ボックス筐体によって大部分が囲まれている。複数のチューブ係合部材は、隣接するチューブ係合部材との間の間隔を空けるのに役立つと共に、摩耗を防ぐために、複数のチューブ係合部材の両側部から突出するシャフト摩耗板及び複数のブロックを、各々が上部位置及び下部位置に含む。
【0023】
1つの実施形態は、医療用注入剤を供給するための蠕動ポンピングを提供する大容量ポンプ(LVP)システムに関する。LVPシステムは、アセンブリ容器と、動力伝達装置組立品と、コントローラと、投与セットチューブ組立品と、を含む。動力伝達装置組立品は、アセンブリ容器の内側に機械的な蠕動運動を提供しており、筐体の内側に配置されたステッピングモータと、ステッピングモータによって駆動されると共に、少なくとも部分的にアセンブリ容器の内部へ延在する、カムシャフト組立品と、を含む。カムシャフト組立品は、一体型カムシャフトと、一体型カムシャフトの回転に従って、協調して動く複数のチューブ係合部材と、を含む。コントローラは、筐体の内側に配置されており、ステッピングモータ及びカムシャフト組立品の作動を制御する。投与セットチューブ組立品は、アセンブリ容器に取り外し可能に連結可能であると共に、動力伝達装置組立品による圧縮に適した蠕動チューブと、蠕動チューブの対向する端部に各々が取り付けられると共に、蠕動チューブと流体連結する空洞部と、をそれぞれが有する、第1のチューブ連結器及び第2のチューブ連結器と、離れた位置において、第1のチューブ連結器及び第2のチューブ連結器と連結されたフレームと、を含んでおり、フレームは、複数のチューブ係合部材と係合するための蠕動チューブが配置された、アセンブリ容器へ解放可能に取り付けるために構成されている。
【0024】
上記の概要は、本明細書の主題の例示された各実施形態又は全ての実施を説明することを意図していない。以下の図及び詳細な説明は、様々な実施形態をより具体的に例示する。
【0025】
本明細書の主題は、添付の図面に関連する様々な実施形態の以下の詳細な説明を考慮することによって、より完全に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、1つの実施形態による、LVP及び投与セットを含む輸液ポンプシステムの例示的な実施形態の概略図である。
図2A図2Aは、1つの実施形態による、部分的なLVPの前部組立品の正面斜視図である。
図2B図2Bは、1つの実施形態による、部分的なLVPの前部組立品の正面図である。
図2C図2Cは、1つの実施形態による、部分的なLVPの前部組立品の側面図である。
図2D図2Dは、1つの実施形態による、部分的なLVPの前部組立品の背面図である
図2E図2Eは、1つの実施形態による、部分的なLVPの前部組立品の後方分解斜視図である
図3図3は、1つの実施形態による、LVPの分離された部分的な動力伝達装置組立品の斜視図である。
図4図4は、1つの実施形態による、LVPの分離された部分的な動力伝達装置組立品の斜視図である。
図5図5は、1つの実施形態による、LVPの分離された部分的な動力伝達装置組立品の斜視図である。
図6図6は、1つの実施形態による、LVPの分離された部分的な動力伝達装置組立品の斜視図である。
図7A図7Aは、1つの実施形態による、LVPのチューブ係合部材の斜視図である。
図7B図7Bは、1つの実施形態による、LVPのチューブ係合部材の側面図である。
図7C図7Cは、1つの実施形態による、LVPのチューブ係合部材の平面図である。
図8図8は、1つの実施形態による、チューブを塞いでいる、LVPのチューブ係合部材の端部の平面図である。
図9図9は、1つの実施形態による、動力伝達装置組立品のカムシャフト上に配置されたLVPのフルセットのチューブ係合部材の平面図であり、圧力板に対するチューブの閉塞を示している。
図10図10は、1つの実施形態による、投与セットの一部分の組立品の正面斜視図である。
図11図11は、1つの実施形態による、例示的なLVPの部分の概略斜視図であり、特に、アセンブリ容器及び容器ドアの詳細が示されている。
図12図12は、1つの実施形態による、アセンブリ容器によって受け入れられた投与セットの一部分を有する、例示的なLVPの部分の概略斜視図である。
図13図13は、1つの実施形態による、LVPの一般的な系統図である。
図14図14は、1つの実施形態による、カムシャフトの個別の回転位置毎に送り出される体積のLVPのための流れのプロファイルを示すチャートである。
【0027】
様々な実施形態は、様々な修正形態及び代替形態に従うことができるが、それらの詳細は、例として図面に示されており、詳細に説明される。しかしながら、その意図は、請求される主題を、記載された特定の実施形態に限定するものではないことを理解されたい。それどころか、その意図は、特許請求の範囲によって定義される主題の精神及び範囲に落とし込まれる全ての修正、等価物及び代替物を網羅することである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は、蠕動ポンプ102(より具体的には、LVP102)と、ポンプ102に作動可能かつ取り外し可能に連結するように構築されかつ構成された、使い捨て可能な投与セット104と、を含む、蠕動輸液ポンプシステム100の1つの実施例の概略斜視図である。投与セット104は、最終的に、注入剤を患者110へ送り出す、IVバッグ106から輸液セット108への流体経路を提供することが示されている。図1では、蠕動ポンプ102の容器ドア112が閉じた構成で示されており、投与セット104は、ポンプ102に連結されていないものとして示されている。
【0029】
ポンプ102の様々な構成要素を、より完全に示すために、図2Aから図2Eは、ポンプ102の部分的な描写を示す。具体的には、前部組立品部分120だけが示されている。図2Aから図2Cは、ポンプ102の前部組立品部分120を、斜視図、正面図及び側面図でそれぞれ描写し、容器ドア112は、開放位置で示されている。ポンプの背面部分は、図の明確さのために省略されている。
【0030】
図1及び図2Aから図2Cを参照すると、ポンプ102は、筐体122と、ポンプ102の制御システム又はコントローラへの命令の指示及び/又は伝達のため、及び/又は、コントローラから/への、ユーザへの/からの通信のための、ユーザインタフェイス124(例えば、ディスプレイスクリーン126、キーパッド128、オーディオスピーカ130及び任意の他のユーザインタフェイスの構成要素を含むことができる)と、を含む。ユーザインタフェイス124は、一般的に、ユーザが、名前、薬剤情報、制限、送り出し形状、病院施設に関する情報及び様々なユーザ固有のパラメタ(例えば、患者の年齢及び/又は体重)を含むが、これらに限定されない、様々なパラメタを、いわゆる、「5つの権利」の検証又は入力と共に、入力することを許容することができる。ポンプ102は、ポンプ102と接続するように設計されたソフトウェアを有するネットワーク又はコンピュータ(図示省略)にポンプ102を接続するために、任意の適切な有線又は無線の入出力(I/O)インタフェースポート132及び/又はプロトコル(USB、イーサネット(登録商標)、WiFi、NFC、ブルートゥース(登録商標)、ZigBee、IrDA等を含むが、これらに限定されない)を含むことができる。
【0031】
ポンプ102へのユーザ入力は、患者、薬剤師、科学者、薬物プログラム設計者、医療技術者、看護師、医師又は他の権限を与えられた医療従事者若しくは医療提供者といった、権限を与えられたユーザからのプログラミングによって提供され得る。示されるように、ユーザ入力は、直接インタフェース(例えば、キーボード、タッチスクリーン、若しくは、その他のタッチベースの入力)を活用することができ、かつ/又は、ユーザ入力は、間接又は「タッチレス」インタフェース(すなわち、ジェスチャー、音声コマンド、顔の動き若しくは表現、指、手、頭、体及び腕の動き、又は、カメラ、電界センサ、静電容量、又は音といった、物理的な接触を必要としないその他の入力)を活用することができる。ユーザ入力は、一般的に、ユーザインタフェイス124の操作者入力機構によって接続され、通信され、感知され、及び/又は受信され得る。
【0032】
図2A及び図2Bに示されるように、ポンプ102は、投与セット104の組立品136(また、本明細書では、「投与セットチューブ組立品136」と代わりに称することもある)を受け入れるためのアセンブリ容器134(レセプタクル、receptacle)と、アセンブリ容器134とのアクセスを許容又は遮断するために開閉することができる容器ドア112と、を含めることができる。線形蠕動ポンプ駆動装置のチューブ係合部材138は、アセンブリ容器134の内部に配置することができる。投与セット104の組立品136は、チューブ係合部材138を含む線形蠕動ポンプ駆動装置との作動関係において、組立品136のチューブ139の中央に配置されたセグメントを含む投与セット104の要素を配置するように構成及び構築することができる。
【0033】
投与セット104は、IVバッグ106又は注入剤容器から最終的に注入剤を患者へ送り出す輸液セット108への流体経路を提供することができる。本開示では、IVバッグ106又は注入剤容器及び輸液セット108を参照するけれども、本明細書の主題は、複数の同一、同等、又は、異なる、注入剤容器、注入剤及び投与セットを含むことができ、又は、適用することができることが、評価され、かつ、理解されるべきである。投与セット104は、組立品136に加えて、IVバッグ106又は他の容器から組立品136へ延在できる上流側チューブ140を含むことができる。上流側チューブ140は、バッグスパイク142又は他のコネクタにおいて終結することができる。投与セット104は、組立品136から輸液セット108へ延在できる下流側チューブ144も含むことができる。下流側チューブ130は、輸液セット108、又は、ルアータイプのコネクタ、若しくは、ISO80369シリーズの小口径コネクタ規格の1つによって検討、特定、画定、若しくは記述されているもののような他の適切なコネクタといったコネクタ146を有する、他のカテーテルと流体的に連結することができる。
【0034】
図2D及び図2Eは、ポンプ102の前部組立部分120の背面図及び背面分解斜視図を、それぞれ示す。これらの図から、蠕動ポンプ駆動装置又は動力伝達装置組立品150及びポンプ102の関連する内部部分の構成要素及び特徴が理解される。ポンプ102の動力伝達装置組立品150は、一般的に、モータ152、カムシャフト組立品154並びに関連するギア及び筐体の構成要素を指すことができる。これらのギア及び筐体の構成要素の例には、螺旋モータギア156、螺旋カムギア158、後部動力ボックス筐体160及び前部動力ボックス筐体162を含むことができる。
【0035】
カムシャフト組立品154は、一体の、同様の、分割されたカム部分166(図5参照)の変化するプロファイルを含む、単一型カムシャフト164を含む。カムシャフト164の周囲は、カムシャフト164の回転に従って協調して動く、複数のチューブ係合部材138とされている。具体的には、各チューブ係合部材138は、カムシャフト164が通過する、内部に画定された開口部168を含む。カムシャフト164と内部に画定された開口部168の内周面170との相互作用は、チューブ係合部材138の動きを支配する。カムシャフト組立品154及びその挙動の詳細は、図3から図9を参照されたい。
【0036】
図2D及び図2Eに示されるように、カムシャフト組立品154は、主に、蠕動ポンプ102のより大きな筐体122の内側の内部筐体の内側にある。内部筐体は、動力ボックス172と称され、後部動力ボックス筐体160及び前部動力ボックス筐体162によって作られている。前部動力ボックス筐体162は、ポンプ筐体122の内部に内向きに突出すると共に、ポンプ筐体122と一体的に形成される。具体的には、前部動力ボックス筐体162の内側へ突出する壁は、組み立てられたときに、チューブ係合部材138の端部が延在する中央の開口部174(図2B参照)を含む、前部筐体122の前方側中央部分を内部で囲む。内側へ突出する壁は、上壁176、底壁178、及び一対の側壁180、182を含む。上壁176及び底壁178は、それぞれ、壁の周囲に間隔を空けた、ねじ又は他の締結具188を受け入れるための開口部186を有する、複数の間隔を空けた構造184を含む。壁176、178の最も内側へ突出する端部は、後部動力ボックス筐体160及び/又は前部動力ボックス筐体162と後部動力ボックス筐体160との間の中間密封構造と接続するための平面190を提供する。側壁180、182は、それぞれ、半円形シール194を保持するための湾曲スロット192を画定する。これらの半円形シール194は、カムシャフト164の回転カムシャフト支持ベアリング195と前部動力ボックス筐体162との間の水密嵌合を提供する。
【0037】
後部動力ボックス筐体160は、内部空洞をさらに画定すると共に、一般的に、カムシャフト組立品154を主に取り囲む構造を完成させるための、動力ボックス筐体172の後ろ半分を提供する。後部動力ボックス筐体160は、後壁196、上壁198、底壁200及び側壁202、204を含む。後部動力ボックス筐体160の上壁198及び底壁200は、前部動力ボックス筐体162の平面190及び/又は中間シールと接続するために、後壁196から平面206まで前方へむけて延在する。上壁198及び下壁200は、それぞれ、壁の周囲に間隔を空けて、ねじ又は他の締結具188を受け入れるための開口部210を有する複数の間隔を空けた構造208を含む。側壁202、204は、それぞれ、半円形シール194(図2Eには具体的に示されていない)を保持するための湾曲スロット212を画定する。これらの半円形シールは、カムシャフト164の回転カムシャフト支持ベアリング195と後部動力ボックス筐体160との間に水密嵌合を提供する。より具体的には、後部動力ボックス筐体160の側壁202、204は、カムシャフト164の各端部の近くにあるカムシャフト支持ベアリング195のためのベアリング位置決め表面を含む。
【0038】
従って、組み立てられると、動力ボックス筐体172は、ポンプ102のより大きい全体的な筐体122の内側において別個の内部筐体を提供する。開口部174を介してアセンブリ容器134の内部へ延在するチューブ係合部材138の部分以外では、チューブ係合部材138は、筐体122の内側における内部動力ボックス筐体172の後ろ半分によって囲まれ、その内側に密封される。さらに、動力ボックス筐体172の密封位置は、一般的に、チューブ係合部材138の「背後」とされている。この配置は、動力ボックス筐体172への流体の起こり得る侵入を防ぐのに役立つ。しかしながら、流体の侵入のまれな例において、水抜き穴214は、清掃目的で動力ボックス筐体172の内部に接続された位置において、前部筐体122に配置される。図2Bを参照されたい。この配置は、チューブ組立品136が、チューブ係合部材138及び動力ボックス筐体172に隣接する位置に、はめ込まれることを可能にし、全筐体122の内部は、起こり得るあらゆる漏れ又は流体損傷から絶縁される。チューブが故障した場合、いくらかの流体の漏れは動力ボックス筐体172に含まれるであろう。チューブ係合部材138の背後にある動力ボックス筐体のシールを有することは、シールがポンプ筐体の前部の外側にある従来の設計よりも有利であり得る。
【0039】
一般的に、筐体及びシールの配置は、比較的単純となるように構成されており、他の用量ポンプと比べて比較的少ない部品が必要とされる。例えば、アセンブリ容器134の中央マウント215を介するシールは、動力ボックス172を保持するために、前部筐体122の周りの少なくとも部分的に、「サンドイッチ」又は物理的構成が作り出される。この配置は、簡単にアクセスできる位置を提供すると共に、メンテナンスと保守性に便利となり得る。
【0040】
カムシャフト組立品154は、主に、動力ボックス筐体172の内側にあるが、カムシャフト164の端部は、それぞれ、各側壁202、204を超えて延在する(例えば、図3も参照)。カムシャフト164の側壁202を越えて延在する部分は、カムシャフト位置の検知を可能にする電気光学センサのディスク216を含む。カムシャフト位置を検出するための他のタイプのセンサも考えられる。いくつかの実施形態では、カムサイクル内のカムシャフト位置をさらに高い精度で、さらに測定及び精緻化するために、エンコーダ(図示省略)をモータ152に関連付けることができる。このことは、いくつかの実施形態では、ポンプ102の閉ループ制御を提供することができる。いくつかの実施形態では、エンコーダは、例えば、光学センサ及びディスク216によって決定されるように、カムシャフト位置の安全性の検証として単に使用することができる。
【0041】
カムシャフト164の側壁204を越えて延在する部分は、螺旋カムギア158を含む。螺旋カムギア158は、螺旋モータギア156によって駆動される。螺旋モータギア156は、ステッピングモータ152によって回転する。ステッピングモータ152の作動については、後に、より詳細に説明する。ギア156、158は、動力ボックス筐体172の内側に含まれていないが、これらのギアは、ギアボックスとして機能し、後部動力ボックス筐体160とモータ152との間で延在する、中間支持構造217(例えば、図3も参照)によって保護される。この中間支持構造217は、いくつかの実施形態では、後部動力ボックス筐体160と一体的に形成されてもよい。中間支持構造217は、ギア156、158を完全には包含しないが、一般的に、これらの構成要素を干渉又は破壊から保護する。
【0042】
図2Eにおける、動力伝達装置組立品150の周りに示される他の内部の特徴は、一対のスピーカ130、電気組立品218、I/Oユーザインタフェイス132及び複数の締結具188(一般的に、ネジ又はボルト)を含む。他の様々な特徴は、前部組立品部分120には存在するが、図2Eには具体的には示されていない。これらは、蠕動ポンプ102の制御、操作、電力及び情報の表示に必要な他の適切な構成要素を含む。
【0043】
動力伝達装置組立品150及びその作動に関連する詳細は、図3から図9に関連して、以下において説明される。これらの各図は、動力伝達装置組立品150の特定の構成要素の部分図を示すと共に、様々な遮る様な機能を取り除いているため、動力伝達装置組立品150の個別の構成要素及び特徴を、よりよく理解できる。
【0044】
図3は、ポンプ102の分離された部分的な動力伝達装置組立品150の斜視図である。一般的に、動力伝達装置組立品150は、主に、モータ152及びカムシャフト組立品154から構成される。モータ152は、一般的に、ギアシャフトを有するステッピングモータである。モータ152は、螺旋モータギア156を駆動し、螺旋モータギア156は、次に、螺旋カムギア158を駆動し、螺旋カムギア158は、次に、カムシャフト164を回転すると共に、カムシャフト組立品154を作動する。
【0045】
ステッピングモータ152は、関連するカムシャフト組立品154の操作から、高レベルの流れの一定性が達成されるように制御される。一般的に、このタイプの流れの一定性は、一定かつ正確な注入剤の送り出しを提供する。このような流れの一定性は、主に、チューブ係合部材138の挙動に基づいて注入剤が殆ど又は全く送り出されない、カムサイクルの間の短い期間中にモータを急速にスピードアップすることを含む、カムシャフトの注意深く制御された動きによって達成される。モータ152の制御は、後で、より詳細に説明される。ステッピングモータの動力源及び制御は、本明細書では具体的に示されていないが、図2Aから図2Eに示される前部組立品部分120に具体的に描写されていないポンプ102の内部に存在し、又は、内部を介して提供されることは容易に理解されるべきである。
【0046】
図3によると、カムシャフト組立品154は、後部動力ボックス筐体160に配置されて示されているが、前部動力ボックス筐体162及び関連する構成要素を有する。従って、ギア156、158、カムシャフト164、チューブ係合部材138、カムシャフト支持ベアリング195、シール194及びディスク164の一般的な配置が示されている。チューブ係合部材138は、大部分が、後部動力ボックス筐体160の内側に配置されているが、ギア156、158は、中間支持構造217の内部に配置されている。同様に、図4は、後部動力ボックス筐体160が取り外された、部分的に分離された動力伝達装置組立品150の斜視図を提供する。図5は、チューブ係合部材138も示されていない、部分的に分離された動力伝達装置組立品150の斜視図を提供する。図6は、カムシャフト164の中心軸部分だけが、チューブ係合部材138に対して示されている、部分的に分離された動力伝達装置組立品150の斜視図を提供する。
【0047】
図3から図6の様々な図から、動力伝達装置組立品150及びその部品の配置は、よりよく理解され得る。同じく示されるように、カムシャフト組立品154は、一体型の同様の分割されたカム部分166(図5参照)の変化する外形を含む、単一のカムシャフト164を含む。様々な実施形態では、分割されたカム部分166は、12個の同一のローブを有するカムシャフト164を提供する。ローブは、それぞれ、両側の隣接するローブから時計方向に30度離して配置されているため、均一に分布されている。カムシャフト164の両端部と外側の分割されたカム部分166との近くには、回転カムシャフト支持ベアリング195が設けられている(例えば、図4参照)。これらのカムシャフト支持ベアリング195は、カムシャフト164の軸方向の回転運動を許容する。カムシャフト支持ベアリング195は、動力ボックス筐体162、160の湾曲スロット192、212(図2E参照)の内側に取り付けられている。カムシャフト支持ベアリング195は、半円形シール194によって動力ボックス筐体162、160にシールされている。
【0048】
カムシャフト164の分割されたカム部分166を取り囲んでいる部分は、カムシャフト164の回転に従って、協調して動く12個のチューブ係合部材138とされている。より具体的には、チューブ係合部材138は、それぞれ、カムシャフト164が通過する内部に画定された開口部168を含む。カムシャフト164の分割されたカム部分166と内部に画定された開口部168の各内周面170との相互作用は、チューブ係合部材138の動きを支配する。
【0049】
図7Aから図7C及び図8は、チューブ係合部材138(時々「指」と称する)の構造及び作動に関する特定の詳細を示す。図7Aは、ポンプ102のチューブ係合部材138の斜視図である。図7Bは、チューブ係合部材138の側面図であり、図7Cは、チューブ係合部材138の平面図である。この出願に記載されているポンプ102の実施形態では、カムシャフト組立品154は、12個のチューブ係合部材138を含む。別の実施形態では、より少ない又は追加のチューブ係合部材が、適切に対応するカムシャフト形状と共に存在してもよい。一般的に、チューブ係合部材138の数は、回転毎の流体送り出し量、又は、「パケットサイズ」毎の流体の送り出し量、を決定するのに役立つ。 パケットは、例えば、いくつかの実施形態では、~約13マイクロリットル(約13マイクロリットルまでの量)とされてもよい。いくつかの実施形態では、各チューブ係合部材138は、図7Aに示されるように、形状が均一かつ同一とされてもよい。
【0050】
一般的に、チューブ係合部材138は、後部ヘッド部分220と、係合端部224を頂点とする長方形状の前部シャフト部分222と、を含む、板状で鍵形状の外形を有する。ヘッド部分220は、中央内部の楕円形状のカム開口部168を含む、より大きく湾曲した形状を構成する。内周面170は、カム開口部168の内側端部を画定すると共に、カムシャフト164の分割されたカム部分166が移動するための表面を提供する。隣接するチューブ係合部材138間の間隔を空けるのに役立つと共に、摩耗を防止するために、上部摩耗面226及び下部摩耗面228を構成するブロックは、上部位置及び下部位置においてチューブ係合部材138の側部から突出する。
【0051】
チューブ係合部材138の長方形状の前部シャフト部分222は、間隔空けるのにさらに役立てると共に、隣接するチューブ係合部材138の間の摩耗を防止するために、前部シャフト部分222の両側部から突出するシャフト摩耗板230を含む。長方形状の前部シャフト部分222は、また、チューブの閉塞に役立つシャフト摩耗板230の端部に、中央の丸い突起232と、2つの丸い角部234、236と、を有する係合端部224を含む。例えば、図8に示されるように、中央の丸い突起232及び丸い角部234、236は、ポンプ102内部で閉塞されているチューブ139の摩耗を低減するのに協力する。具体的には、丸い角部234、236は、中央の丸い突起232又は他の単一の接触点においてチューブ係合部材138によって作用する全ての圧力が集中するのを防ぐ。従って、複数のチューブ係合部材138は、それぞれ、中央の丸い突起232と、中央の丸い突起232の両側にある補助的な丸い部分234、236と、を含むチューブ接触のために形作られた係合端部224を有する。
【0052】
一般的に、チューブ係合部材138の形状は、カムシャフト組立品154の騒音を低減するのに役立つ。潤滑材料は、一般的に、可動部品の騒音及び摩擦を回避するために、チューブ係合部材138を構成するのに使用される。さらに、図2Bに示されるように、リブ238は、ポンプ102のアセンブリ容器134の内部の開口部174の上部及び底部を画定すると共に取り囲む。一般的に、リブ238は、ガイドとして機能すると共に、チューブ係合部材138の移動及びガタつきを低減する溝を提供する。具体的には、チューブ係合部材138の外向きに突出する係合端部224は、リブ238によって形成されたリブ付き溝に置かれる。リブ238は、チューブ係合部材138の移動のためのガイドとして機能する。図2B(及び図11)にも示されるのは、開口部174の上方側及び下方側に存在し、水平に突出する「レールガイド」240、242である。レールガイド240、242は、チューブのふらつき(すなわち、チューブの上下運動)を防止すると共に、剛性を有するが、ばねによって付勢された圧力板244が係合するための一貫した接触面を提供するように機能する。具体的には、レールガイド240、242は、レールガイドから外向きに突出する3つの接触機構243a、243b、243c(すなわち、上部レールガイド240の中央近くの1つの接触機構243a及び下方側レールガイド242の各端部における1つの接触点243b、243c)を含む。これらの3つの接触点は、ポンプ102の容器ドア112が閉じているときに、チューブ係合部材138及びアセンブリ容器134の他の構成要素に対する圧力板244の信頼できる、明確に画定された、位置を提供する平面を形成する。従って、様々な実施形態では、チューブを圧縮するための吊り下げられた剛性圧力板244は、アセンブリ容器134に隣接して、ヒンジ結合された容器ドア112上に配置されている。様々な実施形態において、アセンブリ容器134は、垂直方向のチューブのふらつきを防止するためにチューブ係合部材138の上方側及び下方側に配置されると共に、吊り下げられた圧力板と接触する平面を画定するための3つの突起又は接触機構243a、243b、243cを含む、一組の水平に配置されたガイドレール240、242を含む。
【0053】
図8は、チューブ139を閉塞する過程にある、ポンプ102のチューブ係合部材138の係合端部224のクローズアップされた平面図の例である。一般的な平面図が描写されているにもかかわらず、チューブ139は、明確性のために断面図で示されている。図示されているように、チューブ139は、シャフト摩耗板230の中央の丸い突出部232及び丸い角部234、236によって閉塞されている。丸い中央突起232及び丸い角部234、236は、丸い角部234、236が、チューブ係合部材138によって作用する圧力のいくらかを吸収するときに、チューブ139の摩耗を低減するために協調する。この構成では、作用した圧力は、中央の丸い突起232における単一の点荷重として伝達されるだけではない。示されるように、中央の丸い突起232は、補助的な丸い角部234、236よりも突出する寸法とされているが、補助的な丸い外形によって作られるチューブ139の接触なしにチューブ組立品を完全に閉塞するために必要な量よりも少ない。
【0054】
チューブ係合部材138の遠位形状は、エネルギー集中の領域から、チューブ139がその中に変位するための領域を作り出す。したがって、摩耗及び他の有害な力が最小化され、投与セット104の寿命が増加する。図8に示されるように、チューブ係合部材138の遠位端部は、それが押し付けられているチューブ139の表面と、完全ではないとしても、少なくとも実質的に隣接して並んでいる。
【0055】
図9は、チューブ139及び圧力板244に隣接して配置された動力伝達装置組立品150のカムシャフト164の上に配置された、一組のチューブ係合部材138の平面図であり、ポンプ102の一般的な蠕動ポンピングの配置を示す。一般的な平面図で描写されているにもかかわらず、チューブ139と、圧力板244と、ばね246と、を含む様々な構成要素は、明確性のために断面図で示されている。一般的に、カムシャフト164が回転するように駆動されると、分割されたカム部分166は、各チューブ係合部材138のカム開口部168の内部で回転する。チューブ係合部材138は、1つのチューブ係合部材138から次のチューブ係合部材へと波状に、連続的にチューブ139に沿って流体を前進させる。
【0056】
いくつかの実施形態では、チューブ係合部材138の係合端部224は、完全なチューブの閉塞を超えてオーバートラベルするように設計されてもよい。図9を参照されたい。いくつかの実施形態では、オーバートラベル距離は、1つの追加の壁厚とされてもよい。より長い又はより短いオーバートラベルの他の量も考えられる。このオーバートラベルは、適切なタイミングで完全に閉塞すると共に、自由流動の防止を確実にすることが重要であるため、安全のために行うことができる。チューブ係合部材138の過度の伸長又は移動がある限り、この伸長は、吊り下げられた圧力板244によって吸収される。具体的には、圧力板244は、容器ドア112の内側に連結されると共に、容器ドア112の内側に配置された複数のばね246によって前方へ向けて付勢される。
【0057】
図10は、一般的に、投与セット104の組立品136の正面斜視図を示す。組立品136は、ポンプ102の線形蠕動ポンプ駆動装置による圧縮(及び圧縮からの回復)に適した弾力材によって形成された蠕動チューブ139を含むことができる。いくつかの実施形態では、蠕動チューブ139は、シリコンから形成される。別の実施形態では、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ラテックスゴム、又は、任意の他の適切な圧縮可能な弾力材が使用されてもよい。蠕動チューブ139の対向する端部において、組立品136は、第1のチューブ連結器304a及び第2のチューブ連結器304bを含むことができる。チューブ連結器304a、304bは、図1に示されるように、蠕動チューブ139を上流側チューブ140及び下流側チューブ144と流体的に連結するように機能することができる。
【0058】
図10に示されるように、組立品136は、チューブ連結器304a、304bを受け入れると共に、それによって、フレーム310に対して実質的に画定された位置において、チューブ連結器に結合されたときに、蠕動チューブ139を実質的に保持するように構成された、フレーム310を含むことができる。フレーム310は、第1のビーム312を含むことができると共に、第1のビーム312と実質的に平行な第2のビーム314を含むことができる。
【0059】
第1の端部において、フレーム310は、第1のビーム312と第2のビーム314とをつなげる、第1のビーム312及び第2のビーム314の第1の平面内に実質的に平らに置かれている第1の端部プレート316を含むことができる。第2の端部において、フレーム310は、第1のビーム312と第2のビーム314とをつなげる、第1のビーム312及び第2のビーム314の第1の平面内に実質的に平らに置かれている第2の端部プレート318を含むことができる。第1の端部プレート316及び第2の端部プレート318は、それぞれ、対応するチューブ連結器304a、304bを受け入れるように構成された溝を画定することができる。
【0060】
組立品136の構成要素は、組立品136が組み立てられ、製造され、又は他の方法で生産されるときに、蠕動チューブ139は、フレーム310に対する位置が維持されるような構造及び寸法にすることができるため、チューブ連結器304a、304bの間で実質的に真っ直ぐに保持することができる。このことは、組立品136が、チューブ139に接続されている、又は、チューブ139に取り付けられているときに、チューブ139が、ポンプ102及びチューブ139と相互作用するポンプ102の構成要素に対して、適切に位置決めされると共に、整列されていることを確実にするのに役立てることができる。蠕動チューブ139の長さは、本質的に直線的な位置決めを達成するために、公差を有して特定することができる。最大誤差におけるチューブ139の長さは、組立品136の内部に組み付けられたときに、チューブに実質的なたるみ又は座屈が存在しないようなものとすることができる。最小誤差のような最大誤差よりも短い長さでは、蠕動チューブ139は、チューブ連結器304a、304bの間(第1のチューブ支持体と第2のチューブ支持体の間)にわずかに張られた少量の張力を有して、組立品136に組み立てられてもよい。
【0061】
図10を参照すると、組立品136は、蠕動チューブ139を通る輸液の自由流れを選択的に防止するための特徴を含むことができる。組立品136は、フレーム310に結合することができると共に、ラッチ構造350を含むことができる、自由流れ防止(FFP)アーム346を含むことができる。アーム346は、フレーム310にヒンジ結合されてよい。
【0062】
FFPアーム346は、自由流れ防止位置と自由流れ許容位置との間においてフレーム310に対して相対的に、選択的に移動可能であり得る。組立品136は、FFPアーム346を自由流れ防止位置に付勢するように構成された付勢機構を含むことができる。組立品136は、例えば、アーム346を自由流防止位置へ付勢するために、フレーム310及びFFPアーム346に力を加えることができるばね358を含むことができる。ばね358は、フレーム310とFFPアーム346との間に捕捉されてよい。
【0063】
ラッチング機構の潜在的な人間工学的操作性に関して、FFPアーム346のラッチング構造350は、親指押圧面366を含むことができ、ラッチング受信機は、指押圧面368を含むことができる。ラッチング受信機の指押圧面368とラッチング構造350の親指押圧面366とは、対向配置された態様で方向づけられている。ばね358によって分離されたラッチング構造350とラッチング受信機との対向する相互作用は、指押圧面368と親指押圧面366とが互いに近接して作動可能なように連結されている配置を提供する。親指押圧面366及び指押圧面368を操作し、表面366へ向けて表面368を手動でしぼる、又は、刺激することによって、ラッチ機構を、比較的容易、かつ、人間工学的にラッチ状態へ促すことができる。
【0064】
ラッチング機構は、また、ラッチされた状態から機構を解放するために、又は、FFPアーム346を(例えば、ばね358の付勢力によって)自由流れ防止位置へ移動することができるように、FFPアーム346をアンラッチするために、比較的容易、かつ、人間工学的に操作することができる。このような解放操作を補助するために、FFPアーム346のラッチ構造350は、ラッチ構造350をラッチ表面362から解放するために、指先がラッチ構造350に対して力を作用させることができる解放キャッチ370を含むことができる。解放キャッチ370は、人の指が、FFPアーム346を十分に曲げて、ラッチング機構をアンラッチするために、てこ(purchase)、又は、適切な表面を、提供するように構成することができる。解放キャッチ370は、図示された実施形態では「T」の文字の十字棒に幾分似ている、FFPアーム346の片側又は両側に延在する1つ又は複数の側部延長部を含むことができる。
【0065】
図11は、蠕動輸液ポンプシステム100の蠕動輸液ポンプ102の一部の概略斜視図であり、特に、ポンプ102のアセンブリ容器134及び容器ドア112の詳細を示す。アセンブリ容器134は、投与セット104の組立品136を受け入れるように構成され得るため、セット104が、それによって、ポンプ102に作動可能に連結される。図12は、アセンブリ容器134によって受け入れられる、又は、内部に取り付けられている組立品136を有する、図11の蠕動輸液ポンプ102の一部の概略斜視図である。図11及び図12において、ポンプ102の容器ドア112は開位置にある。
【0066】
組立品134のフレーム310は、アセンブリ容器134のスナップフィット開口部420に、確実かつ解放可能に取り付けるように構成されたスナップフィットタブ376(図10参照)を含むことができるため、組立品136は、それによって、アセンブリ容器134に解放可能に固定され、その結果、投与セット104は、ポンプ102に作動可能に連結される。スナップフィットタブ376は、フレーム310の第1のビーム312と一体的に形成される、又は、そうでなければ、第1のビーム312に設けられており、第1のビーム312及び第2のビーム314の第1の平面から離れて、第1の平面に対して実質的に、又は、ほぼ垂直である第1の方向へ突出する。スナップリリースハンドル378(図10参照)は、第1のビーム312と一体的に形成される、又は、そうでなければ、第1のビーム312に設けられており、タブ376と作動可能に連結されたリリースハンドル378を有する。リリースハンドル378は、一般的に、第1の方向とは反対側の第2の方向へ第1の平面から離れて突出することができるが、他の構成も可能である。第1のビーム312は、示されているように、ビームを縮小する、かつ/又は、ビームを複数のサブビームとして構成するといった、ビーム312の他の部分に対する、タブ376及びハンドル378の順応性を提供するための特徴を組み込むことができる。
【0067】
スナップリリースハンドル378及びスナップフィットタブ376は、ハンドル378の定義された操作が、アセンブリ容器134のスナップフィット開口部420に対してタブ376を移動できることによって、タブ376が、開口部420から解放可能であり、従って、組立品136が、アセンブリ容器134から解放可能であるように、構成され得る。定義された操作は、例えば、スナップリリースハンドル378を、アセンブリ容器134のスナップフィット開口部420に対して下向きに、押す、又は、そうでなければ、移動することであってよく、これによって、ハンドル378及びタブ376が、一緒に第1のビーム312に対して柔軟に回転するように、スナップフィットタブ376を、容器134の開口部420に対して上方に移動できる。アセンブリ容器134のスナップフィット開口部420に対するスナップフィットタブ376の上方への移動は、タブ376が、開口部420から解放されるようなものであってよい。これに加えて、スナップフィットタブ376は、スナップフィット開口部420からの解放が、必ずしもスナップリリースハンドル378が操作されることを必要としないように構成することができる。例えば、いくつかの実施例では、アセンブリ容器134からの組立品136の解放は、チューブ(上流側チューブ140及び/又は下流側チューブ144等)をポンプ102から引き離すことによって達成され得る。スナップフィットタブ376の構造的構成は、そのような状況において存在する力の下で、スナップフィット開口部420からの解放が許容されてよい。
【0068】
組立品136が、組立品136のスナップフィットタブ376及びポンプ102における容器134のスナップフィット開口部420を介して、アセンブリ容器134に固定されるときに、組立品136の蠕動チューブ139は、ポンプ102の線形蠕動ポンプ駆動装置のチューブ係合部材138と係合するように配置され得る。チューブ係合部材138(図11及び図12に示された例では、12個の部材)は、圧迫するように蠕動チューブ139を通じて、かつ、図1に示された輸液システム100の上流側チューブ140及び下流側チューブ144のような、流体的に接続された他のチューブ又はラインを応答的に通じて、輸液を促し、押し出し、又は、輸送するために、ポンプ102の線形蠕動ポンプ駆動装置の要素によって状況に合わせて駆動される。
【0069】
例えば、図10に図示されているように、組立品136のフレーム310は、第1のビーム312から第2のビーム314まで架け渡すことができる上流側クロスサポート380及び下流側クロスサポート382のような、蠕動チューブ139の所望する位置を維持することを補助するための構造をさらに含むことができる。各クロスサポート380、382は、蠕動チューブ139を載せる、又は、そうでなければ、支持するように保持するための湾曲した部分を含むことができる。組立品136が、ポンプ102内部のアセンブリ容器134に固定されているとき、クロスサポート380、382は、また、ポンプ102のチューブ係合部材138に対する蠕動チューブ139の適切な位置を維持することを補助することができるため、部材138を、チューブ139を効果的に係合させることができる。
【0070】
第1のビーム312、第2のビーム314、上流側クロスサポート380及び下流側クロスサポート382は、フレーム310のポンプチューブ開口部、又は、「窓部」384を画定し、取り囲み、又は、拘束することができる。ポンプチューブ窓部384は、その中の蠕動チューブ139の一部分以外の組立品136のいかなる構造を含まないようにできると共に、一般的に、組立品136がポンプ102のアセンブリ容器134に固定されているときに、ポンプ102のチューブ係合部材138がチューブ139と係合することができる領域に対応することができる。図11に示されているように、ポンプ102の容器ドア112は、ドア112が閉じられると共に固定されているときに、一般的にチューブ係合部材138に対向するチューブ139に沿って配置することができる圧力板244を含むことができるため、チューブ139を、圧力板244とチューブ係合部材138との間に配置することができる。このような構成の場合、ポンプ102及び組立品136は、例示的な実施形態では、チューブ係合部材138及び圧力板244が実質的にフレーム310に接触しないように構成することができる。
【0071】
例えば、図10に示されているように、フレーム310の一部は、ポンプ102の構成要素が蠕動チューブ139と係合することができる他の領域に対応できる更なる窓部又は開口部を画定し、取り囲み、又は、境界を示すことができる。例えば、第1のビーム312、第2のビーム314、上流側クロスサポート380及び第1の端部板316は、フレーム310の上流側センサ開口部、又は、「窓部」386を画定し、取り囲み、又は、境界を示すことができる。第1のビーム312、第2のビーム314、下流側クロスサポート382及び第2の端部板318は、フレーム310の下流側センサ開口部、又は、「窓部」388を画定し、取り囲み、又は、境界を示すことができる。ポンプ102は、容器134内部に、上流側閉塞センサ428、下流側閉塞センサ432及びエアインライン検出器436のいずれか、又は、全てを含むことができるが、これは、限定的なものではなく、センサの他の位置、組み合わせ、又は、配置をポンプ102に含めることができる。上流側センサ窓部386は、蠕動チューブ139の一部分以外の組立品の136のいかなる構造も実質的に含まないようにできると共に、一般的に、組立品136が、ポンプ102のアセンブリ容器134に固定されているときに、上流側閉塞センサ428が、チューブ139と係合することができる領域に対応することができる。下流側センサ窓388は、蠕動チューブ139の一部分以外の組立品136のいかなる構造も実質的に含まないようにできると共に、一般的に、組立品136が、ポンプ102のアセンブリ容器134に固定されているときに、下流側閉塞センサ432及び/又はエアインライン検出器436が、チューブ139と係合することができる領域に対応することができる。
【0072】
ポンプ102の容器ドア112は、ドア112が、閉じられると共に組立品136に固定されているときに、それぞれ、一般的に反対側のチューブ139、上流側閉塞センサ428及び下流側閉塞センサ432並びにエアインライン検出器436に沿って配置されたチューブ支持体440、444を含むことができるため、チューブ支持体440、444と閉塞センサ428、432及びエアインライン検出器436との間に、チューブ139を配置することができる。このような構成の場合、ポンプ102及び組立品136は、例示的な実施形態では、センサ428、432、検出器436及びチューブ支持体440、444は、実質的にフレーム310に接触しないように構成することができる。他の実施形態では、組立品136に類似した組立品は、蠕動チューブとポンプセンサ/検出器との間に予め荷重を提供することができるチューブ支持体を含むことができる。そのようなチューブ支持体は、組立品136のフレーム310に類似したフレームを有して含まれることができる。
【0073】
例えば、図11に示されているように、ポンプ102のアセンブリ容器134は、組立品136のFFPアーム346を収容すると共に相互作用を起こすための特徴を含むことができる。特に、アセンブリ容器134の表面は、組立品136がポンプ102の内部に取り付けられているときに、自由流れ防止位置と自由流れ許容位置との間のFFPアーム346の通常妨げられない動きを許容するように寸法決めされた凹部448を画定し、取り囲み、又は、境界を示すことができる。アセンブリ容器134の表面は、凹部448の上方側部分へ、少なくとも1つのラッチランプ452を含むことができる。ポンプ102の容器134内部のラッチランプ(複数可)452及び組立品136のリリースキャッチ370は、協調するように構成することができるため、組立品136が、アセンブリ容器134に配置され、かつ/又は、固定されたときに、組立品136のFFPアーム346が、自由流れ許容位置へ向けて移動されると、リリースキャッチ370の一部分又は部分(その側部の延長部分といった)が、ラッチランプ(複数可)452に沿って実質的にスライドすることができる。自由流れ許容位置においてラッチ機構がラッチングすることを防ぐために、このようなスライド相互作用の間に、ラッチランプ452によってFFPアーム346のリリースキャッチ370に作用する接触力は、アーム346を十分に曲げることができる。本明細書で他の箇所で説明されたように、容器ドア112が閉じられると共に、ドアラッチレバー456が、ラッチされていない位置からラッチされた位置へ移動されるとき、FFPアーム346は、自由流れ許容位置へ向けて移動することができる。ラッチランプ452は、そのような作動の間、自由流れ許容位置においてラッチ機構がラッチすることを実質的に阻害する、又は、防止することができる。さらに、組立品136がアセンブリ容器134に固定される前に、ラッチ機構が自由流れ許容位置でラッチされている場合、組立品136が容器134に固定されているとき(前述のように、スナップフィットタブ376をスナップフィット開口部420へ押し込むことによって)、ラッチランプ452は、FFPアーム346を曲げるのに十分な力をリリースキャッチ370に及ぼすことができるため、ラッチ機構を十分に解放することができ、それによって、FFPアーム346が(例えば、ばね358によって)自由流れ防止位置へ向けて付勢されることを許容する。このことは、重要な安全性機能とすることができ、投与セット104が、ポンプに固定されているときに、投与セット104が、当初は、非自由流れ状態にあることを確実にするのに役立つ。
【0074】
例えば、図11に示されているように、ポンプ102のアセンブリ容器134は、ポンプ102のアセンブリ容器134によって受け入れられた組立品136の特定若しくは異なるタイプ又はユニットの存在を検出し、かつ/又は、識別するように構成すると共に、使用することができる、光学デバイス460を含むことができる。光学的参照/較正部分464は、ドア112が閉じられると共に、組立品136がアセンブリ容器134によって受け入れられていないときに、一般的に光学デバイス460から見える範囲内で、ドア112の内部、又は、ドア112の上に含めることができる。
【0075】
ドア112は、現場交換可能なユニット(「FRU」)であるように設計されており、損傷したドア112が直ちに交換されることを意味する。さらに、ドア112は、取り外し可能かつ交換可能に設計されているため、ドアが傷ついた場合に、筐体122全体を交換する必要はない。ドア112は、同様に筐体122の残りの部分に影響を与えずに破損又は故障するように設計されているという点で、壊れやすいものである。
【0076】
組立品136が、アセンブリ容器に134に受け入れられた後に、ドア112は、ヒンジ468(例えば、図11に示すように)について閉じた状態で回転することができ、ドアラッチレバー456は、ラッチされていない位置からラッチされた位置へ移動させることができる。図11及び図12において、ドア112は、容器134の1つ又は複数のドアラッチピン476に対応する1つ又は複数のドアラッチフック472を含むことができる。ドアラッチフック472は、ラッチされた位置とラッチされていない位置との間で、レバー456が移動されると、応答可能に移動するように、ドアラッチレバー456に機械的に連結することができる。ドア112が閉じられると共に、ドアラッチレバー456がラッチされた位置にあるとき、ドア112を閉じた位置で係合的に拘束する、又は、ラッチするために、ドアラッチフック472は、ドアラッチピン476に対して応答可能に位置決めされている。ドアラッチレバー456が、ラッチされていない位置にある場合には、ドア112が閉鎖位置に出入りするときに、ドアラッチピン476と係合が解除された状態で干渉しないために、ドアラッチフック472は、応答可能に位置決めすることができる。
【0077】
図11及び図12にも示されているように、ドア112は、レバー456が、ラッチされた位置とラッチされていない位置との間で移動するときに、移動するためのドアラッチレバー456に機械的に連結することができる、FFPアームプッシャー480を含むことができる。いくつかの実施形態では、FFPアームプッシャー480は、ドアラッチフック472の構造上に一体的に設けることができる。FFPアームプッシャー480は、ドアラッチレバー456に作動的に連結されてもよく、組立品136が、アセンブリ容器134によって受け入れられ、かつ、ドア112が閉じられたときに、FFPアームプッシャー480は、ドアラッチレバー456が、ラッチされた位置へ移動されると、FFPアーム346を(例えば、親指押圧面366及び/又はアーム346の他の部分において、アーム346に力を作用することによって)自由流れ防止位置から自由流れ許容位置へ押し出すように構成されてもよい。ドアラッチレバー456が、ラッチされていない位置に戻されたときには、FFPアームプッシャー480は、応答可能に後退することができ、それによって、例えば、ばね358によって提供される付勢力が、FFPアーム346を自由流れ防止位置へ戻すことを許容する。
【0078】
ドア112が閉じられる前、又は、ドア112が閉じられた後でもよい、任意の適切なタイミングで、上流側及び下流側のチューブ140、144(図12には示されていない)を、チューブガイド484に手動で押し込むことができる。チューブガイド484は、フレーム310及びチューブ連結器304a、304bの両側を越えて延在するチューブを捉える。チューブガイド484は、ポンプ102のスクリーン、又は、患者を取り囲む他のポンプ102若しくは装置のスクリーンからチューブを遠ざけるように管理する重要なチューブ管理機能を果たす。この便利な配置は、垂直に積み重ねられたポンプ102のグループ内のチューブの管理に特に有用である。チューブガイド484の側面視は、「C」字形状のチューブ捕捉構造を示す。チューブガイド484は、アセンブリ容器134の両側を越えて、連結された投与セット104のチューブ140又は144を保持するために、筐体122の外縁部に配置されている。チューブをチューブガイド484内部に挿入するために、わずかな量の力だけが必要とされる。組立品136に容易に取り付けられる態様は、ポンプ102に対する組立品136の容易な積み込み及び取り出し設計に類似する片手操作に役立つ。いくつかの実施形態では、アセンブリ容器134内部の組立品136のいずれかを装着するために、又は、各チューブガイド484内のチューブ140又は144のいずれかを装着するために、係合は、15ニュートン以下の力しか必要としないように設計することができる。
【0079】
図13は、筐体122によって部分的に若しくは完全に覆い隠されている、又は、前部組立品部分120の図2Aから図2Eの部分図には描写されていない、いくつかの構成要素を含む、LVP102の一般的なシステム図である。システム図は、LVP102を示しており、ユーザインタフェイス124、スピーカ130、I/Oインタフェイスポート132、モータ152、電源容器510、電気回路512、アセンブリ容器センサ514、駆動部品516、バッテリ518、イーサネット(登録商標)コネクタ520及びコントローラ522を含む。
【0080】
上述したように、ユーザインタフェイス124は、例えば、医療臨床医又はポンププログラマからのLVP102のためのデータ入力源として機能する。具体的に図示されていないが、ユーザインタフェイス124は、様々なタッチスクリーンディスプレイ、キーパッド、又は、これら若しくは他のユーザインタフェイス技術の組み合わせを含むことができる。
【0081】
図13のLVP102は、電源容器510に接続されたコードを介して、又は、電源容器510に連結された輸液ポンプのラックへの連結部材を介して、ライン電力のいずれかを含むことができる。バッテリ518は、LVP102への電力のもう1つの例である。バッテリ518は、例えば、後部バッテリドアカバーの下方側の筐体122の内部に完全に含むことができる。
【0082】
図13において、様々な電気部品及び電気回路512は、コントローラ522又はシステム内へ命令を伝達又は実行するために、筐体122の内側に配置されている。イーサネット(登録商標)コネクタ520又はI/Oインタフェイスポート132のような入力を通じて、様々な外部デバイスは、LVP102に連結されてもよい。スピーカ130は、命令、警報及び情報通信を含む音声出力の全範囲を提供するために設けられている。アセンブリ容器センサ514及び他のセンサは、同様にシステムの一部とすることができる。アセンブリ容器センサ514は、例えば、特定のチューブ組立品136に関する情報検出のようなタスクのための様々な計測をすることができる。これには、特定のチューブフレーム組立品が使用される輸液の経路の検出を含むことができる。センサ514は、光学センサ、RFIDリーダ等とすることができる。コントローラ522は、ポンプ102のセットアップ及び操作における通信及び意思決定を支援するために、これらのセンサ514及び他の構成要素から得られる情報を活用することができる。
【0083】
本開示において先に説明したように、モータ152は、コントローラ522及びLVP102の構成要素に、通常連結されている。モータ152は、いくつかの実施形態では、ステッピングモータとすることができる。モータ152は、動力伝達装置組立品150を含む駆動部品516、及び、その結果として、アセンブリ容器134内部のチューブ係合部材138をチューブ139に対して方向づけるための第一の手段とすることができる。
【0084】
コントローラ522は、ユーザインタフェイス124に接続されており、LVP102が所望の方法で制御されることを確実にすることに関与する。コントローラ522は、任意の適切なコントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサとされてよい。そのようなコントローラは、任意の適切なソフトウェア、ファームウェア、作動パラメタ等を含む任意の適切な容量の、任意の適切なメモリといった、その機能に必要な任意の他のハードウェア又はソフトウェアリソースを含み、かつ/又は、操作可能に連結することができる。コントローラ522は、ポンプ102を制御するための任意の適切なアクション、タスク、ステップ、及び/又は、方法を遂行、命令、及び/又は、実行するように構成し、かつ、プログラムすることができる。ポンプ102は、アプリケーション固有のプロセッサといった物理的及び/又は論理的に異なる複数のコントローラを含むことができる。本開示では、ポンプのそのような複数のコントローラは、ポンプ102のコントローラ522として単一で集合的に参照され得る。本開示の方法は、ポンプ102のコントローラ522によって、及び/又は、いくつかの実施形態では、別のポンプのコントローラ、ポンプのシステム、サーバ上に実装されたコントローラ、又は、任意の他の適切なコントローラといった、別のコントローラによって、実施することができる。このように、単一のコントローラ522への本開示における任意の参照は、(単一のコントローラに、明示的に限定されない限り)単一の物理的又は論理的なコントローラに厳密に限定されると解釈されるべきではなく、むしろ、コントローラ522の機能が1つ又は複数のコントローラによって提供されるシステム及び/又は方法を含むことができる。
【0085】
様々な実施形態では、コントローラ522は、流体輸液の比較的一貫した流れ、又は、「流れの一定性」を達成するために、モータ152及び動力伝達装置組立品150を制御することができる。典型的には、患者に注入剤を送り出すときには、注入剤が比較的一定の不変の速度で送り出されることが望ましい。しかしながら、線形蠕動機構のカムシャフトを一定の速度で回転させても、確実に一定の速度での注入剤の送り出しをもたらさないかもしれない。従って、線形蠕動機構の流れのプロファイルを補うために、カムシャフト164の回転速度を連続的に変化させることが望ましい。一般的に、所望の一定の輸液送り出し速度を維持するために、流れのプロファイルが低い位置又はゼロである位置において回転速度を増加する。流れのプロファイルが高い位置では、回転速度を減少する。
【0086】
カムシャフト164の各回転は、個別の位置の数(すなわち、ステッピングモータ152のステップ)に分解され得る。これらの個別の位置に対するカムシャフト164の回転運動は、送り出される容積の別個かつ異なる量を生じさせる。いくつかの位置では、カムシャフト164の回転運動は、流体の送り出しを全く引き起こさない。
【0087】
流れのプロファイルの知識を使用して、カムシャフト164の各個別の位置における最適な速度は、所望の送り出し速度(例えば、0.1mL/hr.から1200mL/hr.の間の送り出し速度の範囲)に対して決定することができる。特定の送り出し速度が決定されると、これらの変化するカムシャフトの回転速度は、カムシャフト164の各回転内で連続的に繰り返すことができ、それによって、一定の速度、又は、ほぼ一定の速度で輸液を送り出すことができる。
【0088】
図14は、様々なポンプ102に利用され得る流れのプロファイル600の例を具体的に示す。送り出された体積602は、個別の回転位置604(すなわち、「ステップNO.」)に対してチャート化される。流れのプロファイル600を得るために、複数のポンプ102を特徴付けることができる。これらのポンプ102は、3秒ごと(非常に遅い速度)に1つのフルステップ(個別の位置)をとり、これらの出力(流体の送り出し)は、各位置でモニタされる。例えば、一つの実施形態では、各ポンプ102は、カムシャフト164の少なくとも20回のフル回転(各360度)を完了する(これは、何時間ものテストとされてよい)。個別の位置における流体送り出しの結果は、平均によって決定される(例えば、少なくとも20個のデータポイントが、カムシャフトのフル回転の最小値から各平均に入る)。特徴付けられた複数のポンプ102について平均することにより、個別の位置において送り出される結果としての体積についての「平均の平均」が得られる。
【0089】
様々な実施形態においても同様に、考慮されるいくつかの修正手段がある。例えば、計測システムの出力データからのいくつかのノイズの心配に対処するために、数学的フィルタ(移動平均フィルタ)を上述のプロセスの間に適用することができる。さらに、送り出された体積が実際に負となる逆流の領域を修正するために、各位置における出力体積についての「差のパーセンテージ」修正を適用することができる。
【0090】
結果として生じる体積が、各個別位置(ステップ体積テーブルと称されることもある)において、一旦知られると、この情報は、ポンプ102のためのソフトウェアに送られ得る(恒久的に格納される)。ポンプソフトウェアは、モータ152を回転し、その結果、カムシャフト164を回転する速度を決定するために、ユーザの入力送り出し速度、機構サイクル内におけるポンプ102の現在の位置及びステップ体積テーブルの知識を使用することができる。ポンプソフトウェアは、また、最大速度、最大加速度及び最大減速度のような、モータ152及び駆動システムの物理的な制限を考慮する。このようにして、ソフトウェアは、制約条件のもと、流れのプロファイルを可能な限り近づけて、一致させようとする。曲線下の総面積(微分)と個別位置における値との両方を、(再び、制約条件のもと)可能な限り近くに一致させようと試みる。従って、この配置によって、動力伝達装置組立品150は、ポンプ102から一定かつ信頼性の高い速度、又は、ほぼそのような状態で、輸液を送り出すことができる。
【0091】
輸液システム投与セット及び輸液ポンプのための様々な組立品及び方法は、アダムス他「輸液システム投与セット及び輸液ポンプのための組立品及び方法」と題し、国際公開第2017/218927号として国際公開された、PCT国際出願番号PCT/US2017/037929号において開示されており、これは、参照によって本明細書に組み込まれる。輸液ポンプのための筐体の配置に関連する様々な組立品及び方法は、ラシ他「輸液ポンプのための筐体配置」と題する米国仮特許出願第62/534,407号明細書及びPCT国際出願番号PCT/US2018/042907号において開示されており、これは、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0092】
システム、装置及び方法の様々な実施形態が本明細書に記載されている。これらの実施形態は、例示のためだけに与えられたものであり、請求された主題の範囲を限定することを意図したものではない。さらに、記載された実施形態の様々な特徴は、多数の追加の実施形態を作り出すために様々な方法で組み合わせてよいことが理解されるべきである。さらに、様々な材料、寸法、形状、構成及び位置等が、開示された実施形態と共に使用するために記載されているが、これらの開示されたもの以外の他のものも、請求された主題の範囲を超えることなく活用されてもよい。
【0093】
関連する技術分野における当業者は、本発明の主題は、上述した個別の実施形態において示されているものよりも少ない特徴で構成されてもよいことを認識するであろう。本明細書に記載された実施形態は、本発明の主題の様々な特徴が組み合わされ得る方法を網羅的に示すことを意図したものではない。従って、実施形態は、特徴の相互に排他的な組み合わせではなく、むしろ、様々な実施形態は、当該技術分野の当業者によって理解されるように、異なる個別の実施形態から選択された異なる個別の特徴の組み合わせを構成することができる。さらに、1つの実施形態に関して記載された要素は、別段の記載がない限り、他の実施形態に記載されていない場合であっても、他の実施形態において実施することができる。
【0094】
従属請求項は、特許請求の範囲において、1つ又は複数の他の請求項との特定の組み合わせを指すことができるが、他の実施形態は、従属請求項と各他の従属請求項の主題との組み合わせ、又は、1つ若しくは複数の特徴と他の従属請求項若しくは独立請求項との組み合わせを、含むこともできる。そのような組み合わせは、特定の組み合わせが意図されていないことを記載していない限り、本明細書で提案されている。
【0095】
上記の文書の参照による組み込みは、制限されているため、本明細書における明示的な開示に反する主題は、組み込まれない。上記の文書の参照による組み込みは、さらに制限されているため、文書に含まれる請求項は、参照によって本明細書に組み込まれない。上記の文書の参照による組み込みは、さらに制限されているため、本明細書に明示的に含まれていない限り、文書で提供されたいかなる定義は、参照によって、本明細書に組み込まれない。
【0096】
特許請求の範囲の解釈のために、請求項に「手段」又は「ステップ」という特定の用語が引用されていない限り、合衆国法典第35巻第112条(f)の規定は行使されないことが明示的に意図されている。
態様(1)において、医療用注入剤を供給する取り外し可能に連結可能な投与セットチューブ組立品に、蠕動ポンピングを提供する大容量ポンプ(LVP)であって、前記大容量ポンプは、投与セットチューブ組立品を受け入れるように構成されたアセンブリ容器を含む、筐体と、前記アセンブリ容器の内側において機械的な蠕動運動を提供する動力伝達装置組立品であって、前記動力伝達装置組立品は、前記筐体の内側に配置されたステッピングモータと、前記ステッピングモータによって駆動されると共に、少なくとも部分的に、前記アセンブリ容器の内部へ延在する、カムシャフト組立品であって、前記カムシャフト組立品は、一体型カムシャフトと、前記一体型カムシャフトの回転に従って、協調して動く複数のチューブ係合部材と、を含む、カムシャフト組立品と、を含む、動力伝達装置組立品と、前記筐体の内側に配置されており、前記ステッピングモータ及び前記カムシャフト組立品の作動を制御するコントローラと、を備える、大容量ポンプである。
態様(1)において、前記アセンブリ容器が、受け入れるように構成されている、前記投与セットチューブ組立品は、前記動力伝達装置組立品による圧縮に適した蠕動チューブと、第1のチューブ連結器及び第2のチューブ連結器であって、前記蠕動チューブの対向する端部に、それぞれ取り付けられると共に、前記蠕動チューブと流体連結する空洞部を、それぞれが有する、第1のチューブ連結器及び第2のチューブ連結器と、離れた位置において、前記第1のチューブ連結器及び前記第2のチューブ連結器と連結されたフレームであって、前記フレームは、前記複数のチューブ係合部材と係合するための前記蠕動チューブが配置された、前記LVPへ解放可能に取り付けるために構成されており、前記フレームは、指圧面を有しており、該フレームから突出するラッチ受けをさらに含む、フレームと、前記フレームにヒンジによって連結されると共に、前記ラッチ受けと協調するサイズのラッチ構造を有する、自由流れ防止アームと、を含む。
態様(1)において、前記筐体は、操作者と前記LVPとの相互作用を許容するタッチスクリーンを含む。
態様(1)において、チューブ圧縮のための吊り下げられた剛性圧力板は、前記アセンブリ容器に隣接する筐体にヒンジ結合された容器ドアに配置されている。
態様(4)において、前記アセンブリ容器は、垂直方向のチューブのふらつきを防止するために、前記チューブ係合部材の上方側及び下方側に配置された、一組の水平配置のガイドレールを含む。
態様(5)において、前記一組の水平配置のガイドレールは、前記吊り下げられた剛性圧力板との平面接触を画定する3つの突出機構を含む。
態様(1)において、前記複数のチューブ係合部材の大部分を囲む前記筐体の内側に、もう一つの内部筐体が含まれており、前記複数のチューブ係合部材の端部だけが、前記もう一つの内部筐体から開口部を通じて前記アセンブリ容器の内部へ延在する。
態様(7)において、前記もう一つの内部筐体は、起こり得る流体の漏れが、さらに前記筐体の内部に到達することを制限するために、前記チューブ係合部材の後方側の位置においてシールされている。
態様(8)において、前記内部筐体の内部位置と接続されている水抜き穴開口部は、前記LVPの前部において、前記アセンブリ容器の中に配置されている。
態様(1)において、前記動力伝達装置組立品の一貫性の無い流れのプロファイルを補うために、前記カムシャフト組立品の回転速度を連続的に変化することによって、流体注入剤の相対的に一定の流れを提供するように、前記カムシャフト組立品を操作するために、前記コントローラは、前記ステッピングモータを制御する。
態様(10)において、前記コントローラは、前記一体型カムシャフトの各回転において、前記カムシャフト組立品の前記回転速度を繰り返す。
態様(1)において、前記カムシャフトは、外周部に均一に分布したローブを有する。
態様(1)において、前記複数のチューブ係合部材は、同一形状である。
態様(13)において、各前記複数のチューブ係合部材は、隣接するチューブ係合部材の間の間隔を空けるのに役立つと共に、摩耗を防ぐために、前方側シャフト部分の両側部から突出するシャフト摩耗板を含む。
態様(14)において、各前記複数のチューブ係合部材は、隣接するチューブ係合部材の間の間隔を空けるのに役立つと共に、摩耗を防ぐために、上部位置及び下部位置において両側部から突出する上部摩耗面及び下部摩耗面を設けるブロックを含む。
態様(15)において、前記複数のチューブ係合部材は、12個のチューブ係合部材を含む。
態様(1)において、前記LVPの前記筐体は、前記アセンブリ容器の両側を越えて連結された投与セットのチューブを保持するために、前記筐体の外縁に、C字形状のチューブ捕捉構造のチューブガイドを含む。
態様(18)において、蠕動輸液ポンプ動力伝達装置組立品であって、前記蠕動輸液ポンプ動力伝達装置組立品は、輸液ポンプ筐体の内側で作動する大きさのステッピングモータと、前記ステッピングモータによって駆動されるカムシャフト組立品であり、前記カムシャフト組立品は、一体型カムシャフトと、前記一体型カムシャフトの回転に従って、協調して動く、同一形状の複数のチューブ係合部材と、を含む、カムシャフト組立品と、を備えており、前記カムシャフト組立品は、前記複数のチューブ係合部材の後方側でシールされると共に、前記複数のチューブ係合部材の前方側へ向けられた開口部に制限されている、動力ボックス筐体によって大部分が囲まれており、各前記複数のチューブ係合部材は、隣接するチューブ係合部材との間の間隔を空けるのに役立つと共に、摩耗を防ぐために、前記複数のチューブ係合部材の両側部から突出するシャフト摩耗板と、上部位置及び下部位置における複数のブロックと、を含む蠕動輸液ポンプ動力伝達装置組立品である。
態様(19)において、医療用注入剤を供給するための蠕動ポンピングを提供する大容量ポンプ(LVP)システムであって、アセンブリ容器を含む、筐体と、前記アセンブリ容器の内側に機械的な蠕動運動を提供する動力伝達装置組立品であって、前記動力伝達装置組立品は、前記筐体の内側に配置されたステッピングモータと、前記ステッピングモータによって駆動されると共に、少なくとも部分的に前記アセンブリ容器の内部へ延在する、カムシャフト組立品であり、前記カムシャフト組立品は、一体型カムシャフトと、前記一体型カムシャフトの回転に従って、協調して動く複数のチューブ係合部材と、を含む、カムシャフト組立品と、を含む、動力伝達装置組立品と、前記筐体の内側に配置されており、前記ステッピングモータ及び前記カムシャフト組立品の作動を制御するコントローラと、前記アセンブリ容器に取り外し可能に連結可能な、投与セットチューブ組立品であって、前記投与セットチューブ組立品は、前記動力伝達装置組立品による圧縮に適した蠕動チューブと、第1のチューブ連結器及び第2のチューブ連結器であって、前記蠕動チューブの対向する端部に、それぞれが取り付けられると共に、前記蠕動チューブと流体連結する空洞部をそれぞれが有する、第1のチューブ連結器及び第2のチューブ連結器と、離れた位置において、前記第1のチューブ連結器及び前記第2のチューブ連結器と連結されたフレームであって、前記フレームは、前記複数のチューブ係合部材と係合するための前記蠕動チューブが配置された、前記アセンブリ容器へ解放可能に取り付けるように構成された、フレームと、を含む、投与セットチューブ組立品と、を備える、大容量ポンプシステムである。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14