(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-15
(45)【発行日】2024-02-26
(54)【発明の名称】接続状態及び制御のための誘導センサを有する落下防止具
(51)【国際特許分類】
A62B 35/00 20060101AFI20240216BHJP
E04G 21/32 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
A62B35/00 J
E04G21/32 D
(21)【出願番号】P 2020542849
(86)(22)【出願日】2019-02-06
(86)【国際出願番号】 US2019016768
(87)【国際公開番号】W WO2019157007
(87)【国際公開日】2019-08-15
【審査請求日】2022-02-04
(32)【優先日】2018-02-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100110803
【氏名又は名称】赤澤 太朗
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】ノーウィッキ,アンソニー ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ジェスメ,ロナルド ディー.
(72)【発明者】
【氏名】パーナー,ジャッド,ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ブリガム,スコット イー.
(72)【発明者】
【氏名】ケアシェール,ジェフェリー ティー.
(72)【発明者】
【氏名】サレヒ,モフセン
(72)【発明者】
【氏名】レップ,ジョナサン ジェイ.
【審査官】田邉 学
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0107007(US,A1)
【文献】特開平10-337336(JP,A)
【文献】特開2014-004005(JP,A)
【文献】特開2016-198235(JP,A)
【文献】特表2009-544009(JP,A)
【文献】特開2010-046325(JP,A)
【文献】特開2011-104339(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62B 35/00
E04G 21/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
落下防止デバイスであって、
前記落下防止デバイスを金属支持構造体に取り付けるための取り付け領域を少なくとも部分的に画定する本体と、
前記本体に接続され、かつ、開位置と閉位置との間を移動するように構成された可動ゲートであって、前記開位置は、前記落下防止デバイスの前記取り付け領域へのアクセスを提供し、前記閉位置は、前記取り付け領域へのアクセスを制限する、可動ゲートと、
前記金属支持構造体が前記取り付け領域内にあるかどうかを感知するための、前記本体内の誘導センサであって、前記誘導センサは、前記本体のうち前記取り付け領域の周囲に湾曲する部分の周りに屈曲されたフレキシブルプリント回路基板上に形成され、前記金属支持構造体が前記取り付け領域内にないときと比較して前記金属支持構造体が前記取り付け領域内にあるときに前記誘導センサの電子回路の共振周波数が変化するように構成された、誘導センサと、
前記金属支持構造体が前記取り付け領域内にあることに応答した、前記誘導センサの前記電子回路における共振周波数変化を求め、かつ、前記共振周波数変化に基づいて、前記金属支持構造体が前記取り付け領域内にあると判定するように構成された1つ以上のプロセッサと、
を備える落下防止デバイス。
【請求項2】
前記誘導センサの前記電子回路が、前記電子回路を通って流れる電流に応答して前記取り付け領域内に電磁場を発生させ、前記誘導センサの前記電子回路の前記共振周波数が、前記金属支持構造体が前記取り付け領域内にあるときに変化しかつ前記電磁場と相互作用するように、前記誘導センサの前記電子回路が前記本体内に位置決めされ及び配向される、請求項1に記載の落下防止デバイス。
【請求項3】
前記誘導センサの前記電子回路は、1つ以上のコイルの第1のセットとして形成される第1の導体と、1つ以上のコイルの第2のセットとして形成される第2の導体と、を有するインダクタを備え、前記第1の導体及び前記第2の導体は、前記インダクタを形成するように直列に接続されており、1つ以上のコイルの前記第1のセットは、1つ以上のコイルの前記第2のセットに対して反対方向に巻かれている、請求項1又は2に記載の落下防止デバイス。
【請求項4】
1つ以上のコイルの前記第1のセットは、外部磁場によって1つ以上のコイルの前記第1のセットにおいて生成される第1の信号が、前記外部磁場から1つ以上のコイルの前記第2のセットにおいて生成される第2の信号によってキャンセルされるように、1つ以上のコイルの前記第2のセットに対して反対方向に巻かれている、請求項3に記載の落下防止デバイス。
【請求項5】
前記誘導センサと前記本体の内側の金属との間に位置決めされたフェライトシールド材料を更に備える、請求項1~4のいずれか一項に記載の落下防止デバイス。
【請求項6】
前記可動ゲートの位置、又は前記可動ゲートの前記位置を制御する可動ロックの位置を判定するように構成されたセンサ、
を更に備える、請求項1~5のいずれか一項に記載の落下防止デバイス。
【請求項7】
落下防止検出のためのシステムであって、前記システムは、
請求項1に記載の落下防止デバイスと、前記誘導センサに結合された1つ以上のプロセッサと、を備え、前記1つ以上のプロセッサは、
前記誘導センサの前記電子回路の共振周波数の変化を求め、
前記誘導センサの前記電子回路の前記共振周波数の前記変化に基づいて、金属支持構造体が前記落下防止デバイスの取り付け領域内にあるかどうかを判定し、
前記金属支持構造体が前記落下防止デバイスの前記取り付け領域内にあるかどうかの前記判定に少なくとも部分的に基づいて、前記落下防止デバイスが前記金属支持構造体にアンカーされているかどうかを示す情報を生成する、
ように構成されている、落下防止検出のためのシステム。
【請求項8】
前記落下防止デバイスは、可動ゲートと、前記落下防止デバイスを前記金属支持構造体に取り付けるための取り付け領域を画定する本体とを含み、前記1つ以上のプロセッサは、前記金属支持構造体が前記取り付け領域内にあり、かつ、前記落下防止デバイスの前記可動ゲートが閉じているという判定に基づいて、前記落下防止デバイスの安全な作動を示す情報を生成するように構成されている、請求項
7に記載のシステム。
【請求項9】
落下防止検出のための方法であって、前記方法は、
請求項1に記載の落下防止デバイスの誘導センサの電子回路の共振周波数の変化を求めることと、
前記誘導センサの前記電子回路の前記共振周波数の前記変化に基づいて、金属支持構造体が前記落下防止デバイスの取り付け領域内にあるかどうかを判定することと、
前記金属支持構造体が前記落下防止デバイスの前記取り付け領域内にあるかどうかの前記判定に少なくとも部分的に基づいて、前記落下防止デバイスが前記金属支持構造体にアンカーされているかどうかを示す情報を生成することと、
を含む、落下防止検出のための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、安全具、特に落下防止具に関する。
【背景技術】
【0002】
落下防止具は、潜在的に有害であるか又は命に関わりさえする高所で作業する作業者にとって、重要な安全具である。例えば、落下時の安全確保を支援するために、作業者は、ランヤード、減勢器、自己格納式ランヤード(self-retracting lanyard、SRL)、直立コンベヤなどの落下防止具を有して支持構造体に接続された安全ハーネスを着用することが多い。作業者が支持構造体に接続されている場合、作業者は「拘束されている(tied off)」又は「アンカーされている(anchored)」と呼ばれることがある。高所で作業するときに安全な作業条件を維持するために、作業者は常に支持構造体に対して少なくとも1つの接続を維持することができる。
【0003】
落下防止具は、作業者を支持構造体(固定部とも呼ばれる)に接続するための様々な構成要素を含んでもよい。例えば、スナップフック及びカラビナは、作業者が支持構造体に接続し、また支持構造体から取り外すことができる、可動ゲートを有することができる。別の例として、梯子型安全スリーブは、作業者が上昇梯子型落下防止システムのキャリア、例えばフレキシブルケーブル又は剛性レール支持構造体に接続したり、そこから取り外したりできるようにする可動ゲートを有してもよい。
【発明の概要】
【0004】
概して、本開示は、落下防止具の使用を監視及び制御するための誘導センサを有する落下防止具について説明する。例えば、本開示は、落下防止デバイスが支持構造体に結合されていることを確認し、作業者が構造体に適切に拘束されている(例えば、アンカーされている)ことを保証する感知技術の例について説明する。本開示は、落下防止デバイス内の1つ以上の誘導センサの電子回路の共振周波数に対する変化を検出して、支持構造体が落下防止デバイスの取り付け領域内にあるかどうかを判定するような誘導感知技術の使用について説明する。
【0005】
一実施例では、本開示は、落下防止デバイスを支持構造体に取り付けるための取り付け領域を少なくとも部分的に画定する本体と、本体に接続され、かつ、開位置と閉位置との間を移動するように構成された可動ゲートと、を備える落下防止デバイスについて説明する。開位置は、落下防止デバイスの取り付け領域へのアクセスを提供し、閉位置は、取り付け領域へのアクセスを制限する。落下防止デバイスはまた、支持構造体が取り付け領域内にあるかどうかを感知するための、本体内の誘導センサを含む。誘導センサは、支持構造体が取り付け領域内にないときと比較して支持構造体が取り付け領域内にあるときに誘導センサの電気回路の共振周波数が変化するように、本体内に配置された電気回路を含む。
【0006】
一実施例では、本開示は、落下防止検出のためのシステムについて説明しており、このシステムは、電子回路を有する誘導センサを備える落下防止デバイスと、誘導センサに結合された1つ以上のプロセッサと、を備えている。1つ以上のプロセッサは、誘導センサの電子回路の共振周波数の変化を求め、誘導センサの電子回路の共振周波数の変化に基づいて、支持構造体が落下防止デバイスの取り付け領域内にあるかどうかを判定し、支持構造体が落下防止デバイスの取り付け領域内にあるかどうかの判定に少なくとも部分的に基づいて、落下防止デバイスが支持構造体にアンカーされているかどうかを示す情報を生成する、ように構成されている。
【0007】
一実施例では、本開示は、落下防止検出のための方法について説明しており、この方法は、落下防止デバイスの誘導センサの電子回路の共振周波数の変化を求めることと、誘導性センサの電子回路の共振周波数の変化に基づいて、支持構造体が落下防止デバイスの取り付け領域内にあるかどうかを判定することと、支持構造体が落下防止デバイスの取り付け領域内にあるかどうかの判定に少なくとも部分的に基づいて、落下防止デバイスが支持構造体にアンカーされているかどうかを示す情報を生成することと、を含む。
【0008】
本開示の1つ以上の実施例の詳細は、添付の図面及び以下の説明で述べる。本開示の他の特徴、目的、及び利点は、説明及び図面並びに特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の様々な技術にかかる、埋込式センサ及び通信機能を有する個人用保護具(PPE)が多数の作業環境内で利用され、かつ、個人用保護具管理システムによって管理される、例示的システムを示すブロック図である。
【0010】
【
図2】
図1に示される個人用保護具管理システムの動作の観点を示すブロック図である。
【0011】
【
図3】本開示の態様に係る、落下防止具を監視及び/又は制御するために使用することができるコンピューティングデバイスの一例を示すブロック図である。
【0012】
【
図4A】落下防止デバイスが支持構造体にアンカーされているかどうかを判定するための例示的なプロセスを示すフロー図である。
【
図4B】落下防止デバイスが支持構造体にアンカーされているかどうかを判定するための例示的なプロセスを示すフロー図である。
【0013】
【
図5】落下防止デバイスの誘導センサのベースライン共振周波数を求めるための例示的なプロセスを示すフロー図である。
【0014】
【
図6】
図5のベースライン共振周波数を求めるために使用される平均共振周波数を求めるための例示的なプロセスを示すフロー図である。
【0015】
【
図7】落下防止デバイスの例示的な誘導センサを示す概念図である。
【0016】
【
図8】落下防止デバイスの複数の誘導センサの一例を示す概念図である。
【0017】
【
図9】落下防止デバイスの複数の誘導センサの別の例を示す概念図である。
【0018】
【
図10】本開示の態様に従って構成されたカラビナの一例を示す。
【0019】
【
図11】本開示の態様に従って構成されたキャリアスリーブの一例を示す。
【0020】
【0021】
【
図13】本開示の様々な態様に係る、装着型データハブと通信する落下防止具の一例を示す概念図である。
【0022】
【
図14】落下防止デバイスの安全性に関する状態を示す状態機械を示す。
【0023】
【
図15】落下防止デバイスが支持構造体にアンカーされているかどうかを判定するための別の例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本開示の態様によれば、落下防止デバイスの物品は、落下防止デバイスの動作を感知するための1つ以上の誘導センサを組み込むように構成してもよい。落下防止デバイスは、一般に、落下の場合にユーザを支持構造体に固定する(例えば、作業者を支持構造体に拘束又はアンカーする)目的で、ユーザ(例えば、作業者)を支持構造体に接続するために使用されるデバイスを指すことができる。落下防止具の例としては、様々なカラビナ(「ばねフック」又は「スナップフック」とも呼ばれる)、シャックル、キャリアスリーブ、又はユーザを支持構造体に着脱することができる他の器具が挙げられる。本開示の特定の技術を組み込むように適合することができるスナップフックの特定の例は、3M Fall Protection Businessによって製造されるSaflok(商標)Snap Hookである。本開示の特定の技術を組み込むように適合することができるキャリアスリーブの特定の例は、3M Fall Protection Businessによって製造されるLad-Saf(商標) X3 Detachable Carrier Sleeveである。支持構造体としては、アンカー、ライフライン、又は落下時にユーザの体重を支えることができる別の構造体を挙げることができる。
【0025】
いくつかの例では、誘導センサは、落下防止具の取り付け領域内に支持構造体が配置されているかどうか、又は落下防止具の他の動作若しくは特性を感知する。例えば、誘導センサの電気特性は、作業者が支持構造体にアンカーされているかどうかを示し得る。本明細書に記載するように、落下防止具の取り付け領域は、一般に、支持構造体を包含する落下防止具の1つ以上の構成要素によって画定される領域を指してもよい。即ち、支持構造体に固定されている場合、取り付け領域は、支持構造体が配置されている落下防止具の領域である。一例としてのカラビナに関して、取り付け領域は、カラビナの本体及びゲートによって画定されるカラビナの内部領域であってもよい。
【0026】
適切に拘束されるためには、落下防止デバイスは、作業者が使用するときに支持構造体に、典型的には金属に、接続されていなければならない。本開示は、落下防止具内に支持構造体が配置されているかどうかを判定するために使用される誘導センサを用いて構成された落下防止デバイスの例、及び例示的な誘導センサを使用して、金属支持構造体が存在するかどうかを判定するための例示的なアルゴリズムについて説明している。
【0027】
本開示の態様によれば、落下防止デバイス及び/又は落下防止デバイスと通信するコンピューティングデバイスは、情報を使用して、落下防止具内に配置された誘導センサにおける共振周波数の変化などのような電気特性の変化を判定し、落下防止具が金属支持構造体にアンカーされているかどうかを判定することができる。より詳細に記載するように、金属が落下防止具の取り付け領域内に配置されていることに応答して、誘導センサのうちの1つ以上の共振周波数がシフトし得る。
【0028】
例えば、誘導センサの電気回路は、金属が取り付け領域内に配置されていないときには、特定のベースライン共振周波数で共振する。具体的には、誘導センサは、電気回路を通って電流が流れると、電気回路が落下防止デバイスの取り付け領域内に電磁場を形成するように、複数の電気コイルを用いて構成される。したがって、誘導センサは、それぞれの電気回路を通して電流が駆動されたときに取り付け領域内に電磁場を生成するように、落下防止デバイス内に位置決めされ及び配向され得る。
【0029】
したがって、金属が取り付け領域内に配置されると、電磁場は、金属内で渦電流を引き起こすことがあり、あるいはそうでなければ、落下防止デバイスの誘導センサによって検出可能な様式で金属と相互作用することがある。例えば、渦電流は、誘導センサと反応して、結合されたインダクタのセットを形成する。インダクタの結合は、次いで、落下防止デバイス内の電子回路の測定共振周波数を変化させることがある。しかしながら、金属又は他の導電性構造体以外のものが取り付け領域内に配置される場合、電磁場と相互作用せず、したがって誘導結合は存在せず、誘導センサの電子回路の測定共振周波数に変化はない、あるいは少なくとも、閾値量の周波数変化よりも大きな変化はないことがある。(例えば、5キロヘルツ(kHz)など、閾値量の周波数変化よりも大きな)共振周波数の変化を検出することによって、落下防止デバイス及び/又は落下防止デバイスと通信するコンピューティングデバイスは、支持構造体がアンカーされているか、アンカーされていないかを判定することができる。
【0030】
落下防止デバイスがアンカーされているかどうかを判定するために誘導センサを使用すると、様々な理由により技術的利点が提供され得る。例えば、従来の磁気センサは、鉄系金属のみを検出することができるが、本明細書に記載される誘導センサを使用することによって、全ての又はほとんど全ての金属及び他の導電性構造体を検出することが可能であるという技術的利点を提供することができる。誘導センサは、構造体が拘束に適しているかどうかを判定するには、比較的低電力、低コスト、かつ高耐久性であり得る。例えば、誘導センサは、たとえ落下防止具が(例えば、コンクリート又は氷で)覆われていても、構造体が拘束に適しているかどうかを判定する能力に影響を受けない。しかしながら、誘導センサではなく機械式センサが覆われていて、落下防止デバイスで使用される場合、落下防止デバイスがアンカーされているかどうかについての適切な感知に影響があることがある。いくつかの実施例では、記載される技術は、落下防止デバイスがアンカーされているかどうかを判定するために、機械式センサと誘導センサとの組み合わせを使用する。
【0031】
更に、より詳細に記載するように、1つ以上の例では、誘導センサを使用して、支持構造体の金属の種類を検出することができる。金属の種類を検出することは、様々なシナリオにおいて有用であり得る。例えば、安全性に関する要件は、落下防止デバイスが、アルミニウムにアンカーされるのではなく、鋼にアンカーされることであり得る。支持構造体の金属の種類を判定することによって、例示的な技術は、落下防止デバイスが正しい種類の金属にアンカーされているかどうかを確認することができる。
【0032】
いくつかの環境では、外部の、離れた磁場(例えば、電子回路を流れる電流から生じるものではないもの)は、誘導センサのインダクタンスに影響を及ぼすことなどによって、誘導センサの共振周波数に影響を与えることがある。これらの外部磁場は、1つ以上の誘導センサの共振周波数が変化したかどうかを判定する際にエラーを引き起こし得る。1つ以上の例では、誘導センサは、互いに対して反対方向に巻かれているコイルの2つ以上のセット(例えば、1つ以上のコイルの第1のセット及び1つ以上のコイルの第2のセット)によって形成されたインダクタを含む。コイルの反対方向の巻線は、外部磁場の存在に起因して一方のコイルに任意の電流を発生させて、同じ外部磁場に起因してもう一方のコイルに発生した任意の電流を実質的にキャンセルする。外部磁場(単数又は複数)により生じた任意の電流は全体的にキャンセルされるので、1つ以上の誘導センサは、外部磁場の影響に耐性があるか、あるいはそうでなければ外部磁場の影響を低減することができ、それによって、支持構造体の検出及びデバイスの適切なアンカーの確認が改善される。
【0033】
図1は、個人用保護具を管理するための個人用保護具管理システム(PPEMS)6を含む例示的なコンピューティングシステム2を示すブロック図である。本明細書に記載するように、PPEMSによって、正規ユーザは、予防的な職業上の健康及び安全に関わる動作を実施して、安全保護具の点検及び保守を管理することができる。安全専門家は、PPEMS6との対話によって、例えば、エリア点検、作業者点検、作業者の健康及び安全の遵守訓練を管理することができる。
【0034】
概して、PPEMS6は、データ収集、監視、活動のロギング、報告、予測分析、及びアラート発生を行う。例えば、PPEMS6は、本明細書に記載される様々な例に係る、基礎をなす解析及び安全イベント予測エンジンとアラートシステムとが含まれる。以下で更に記載するように、PPEMS6は、個人用安全保護具管理ツールの統合パッケージソフトを提供し、本開示の様々な技術を実施する。すなわち、PPEMS6は、工事現場、採掘現場、製造現場、又は任意の物理的環境であり得る1つ以上の物理的環境10内で作業者8が使用する個人用保護具、例えば安全具を管理するための、統合されたエンドツーエンドシステムを提供する。本開示の技術は、コンピューティング環境2の様々な部分で実現することができる。
【0035】
図1の例に示すように、システム2は、複数の物理的環境8A、8B(集合的に環境8)内のコンピューティングデバイスが1つ以上のコンピュータネットワーク4を介してPPEMS6と電子的に通信するコンピューティング環境を示す。各物理的環境8は、作業者10などの1人以上の個人が各々の環境内においてタスク又は活動に従事する際に個人用保護具を使用する作業環境などの物理的環境を示す。
【0036】
この例では、環境8Aは、全般的に作業者10を有するものとして示されるが、環境8Bは、より詳細な例を提供するために拡張された形態で示されている。
図1の例では、複数の作業者10A~10Nが各々の落下防止デバイス11A~11N(集合的に、落下防止デバイス11)を利用しているように示されており、これらは、この例では、安全支持構造体12に取り付けられた、様々なカラビナ、キャリアスリーブ、及び自己格納式ランヤード(SRL)として示されている。
【0037】
本明細書に更に記載するように、各落下防止デバイス11は、ユーザ(例えば作業者)が落下防止具を着用して活動に従事している際にデータをリアルタイムで捕捉するように構成された埋込式誘導センサ又はモニタリングデバイス、及び処理電子機器を含む。例えば、
図10に示される例に関してより詳細に説明するように、落下防止デバイス11には、接続に関連する特性を感知するように構成された1つ以上のセンサ(接続センサと呼ぶ)と、落下防止デバイス11の動作を測定するための1つ以上の使用及び環境センサと、などの様々な電子センサが含まれてもよい。加えて、各落下防止デバイス11は、落下防止デバイス11の動作を示すデータを出力するための、及び/又は各作業者10に対して通信を生成し出力するための、1つ以上の出力デバイスを含んでもよい。例えば、落下防止デバイス11は、可聴フィードバック(例えば、1つ以上のスピーカ)、視覚フィードバック(例えば、1つ以上のディスプレイ、発光ダイオード(LED)など)、又は触覚フィードバック(例えば、振動する、又は他の触覚フィードバックを提供する、デバイス)を生成するための1つ以上のデバイスを含んでもよい。しかしながら、かかるフィードバックは、全ての例において必須というわけでない。
【0038】
概して、各環境8は、コンピューティング設備(例えば、ローカルエリアネットワーク)を含み、これによって落下防止デバイス11は、PPEMS6と通信することができる。例えば、環境8は、802.11無線ネットワーク、802.15 ZigBeeネットワークなどの無線技術で構成されてもよい。
図1の実施例では、環境8Bは、ネットワーク4を介してPPEMS6と通信するためのパケットベースのトランスポート媒体を提供するローカルネットワーク7を含む。加えて、環境8Bには、作業環境全体にわたって無線通信のサポートを提供するために、環境全体にわたって地理的に分散されてもよい複数の無線アクセスポイント19A、19Bが含まれる。
【0039】
各落下防止デバイス11は、感知された動作、イベント、及び状態などのデータを、802.11 WiFiプロトコル、Bluetoothプロトコルなどの無線通信によって通信するように構成されている。落下防止デバイス11は、例えば、無線アクセスポイント19と直接通信してもよい。別の実施例として、各作業者10は、落下防止デバイス11とPPEMS6との間の通信を可能にし、かつ、容易にする、装着型通信ハブ14A~14Mを1つずつ装備することができる。例えば、各作業者10の落下防止デバイス11並びに他のPPEは、Bluetooth又は他の短距離プロトコルを介して各通信ハブ14と通信してもよく、通信ハブは、無線アクセスポイント19によって処理された無線通信を介してPPEMS6と通信してもよい。着型デバイスとして示されているが、ハブ14は、環境8B内に配置されたスタンドアローンデバイスとして実現してもよい。
【0040】
いくつかの事例では、各ハブ14は、落下防止デバイス11への/からの通信を中継する、落下防止デバイス11の無線デバイスとして動作し、PPEMS6との通信が失われた場合に、使用データをバッファリングすることができる。更に、各ハブ14は、クラウドへの接続を必要とすることなくローカルアラート規則がインストールされ、実行され得るように、PPEMS6によりプログラム可能である。したがって、各ハブ14は、各環境内の落下防止デバイス11及び/又は他のPPEからの使用データストリームの中継をもたらすとともに、PPEMS6との通信が失われた場合、イベントのストリームを基に、ローカライズされたアラートに関するローカルコンピューティング環境を提供する。
【0041】
図1の実施例に示すように、環境8Bなどの環境は、また、作業環境内における正確な場所情報を提供するビーコン17A~17Cなどの1つ以上の無線対応ビーコンを含んでもよい。例えば、ビーコン17A~17Cは、各ビーコン内のコントローラが各ビーコンの位置を正確に判定することができるようにGPS対応としてもよい。作業者10により着用された所定の落下防止デバイス11の物品又は通信ハブ14は、ビーコン17のうちの1つ以上との無線通信に基づいて、作業環境8B内の作業者の場所を求めるように構成されている。このようにして、PPEMSによって実施される分析、報告、及び解析を補助するために、PPEMS6に報告されるイベントデータに位置情報をスタンプしてもよい。
【0042】
加えて、環境8Bなどの環境には、また、センシングステーション21A、21Bなどの1つ以上の無線対応センシングステーションが含まれてもよい。各センシングステーション21には、1つ以上のセンサと、感知された環境条件を示すデータを出力するように構成されるコントローラとが含まれる。更に、センシングステーション21は、環境8Bのそれぞれの地理的領域内に配置することができ、あるいは、そうでなければ、ビーコン17と対話して各位置を求めてもよく、環境データをPPEMS6に報告する際にかかる位置情報を含んでいる。
【0043】
したがって、PPEMS6は、感知された環境条件を特定の領域と相関させるように構成されてもよく、したがって、落下防止デバイス11から受信したイベントデータを処理するときに、捕捉された環境データを使用することができる。例えば、PPEMS6は、アラート、又は落下防止デバイス11のための他の命令の生成を補助するために、及び特定の環境条件(例えば、風速、熱、湿度、視界)と作業者の異常な行動又は安全に関わるイベントの増加との間のあらゆる相関を求めるなどの予測解析を実施するために、環境データを利用してもよい。したがって、PPEMS6は、差し迫った安全に関わるイベントの予測及び回避を補助するために現在の環境条件を利用することができる。センシングデバイス21によって感知することができる例示的な環境条件としては、温度、湿度、ガスの存在、圧力、視界、風速などが挙げられるが、これらには限定されない。
【0044】
例示的な実施形態では、環境8Bなどの環境には、また、環境全体にわたって分布して、PPEM6にアクセスするための観察ステーションを提供する1つ以上の安全ステーション15が含まれてもよい。安全ステーション15によれば、作業者10の1人が、落下防止デバイス11のうちの1つ及び/若しくは他の安全具を点検すること、安全具が特定の1つの環境8に適切であることを確認すること、及び/又はデータを交換することができる。例えば、安全ステーション15は、アラート規則、ソフトウェアアップデート、又はファームウェアアップデートを落下防止デバイス11又は他の器具に送信してもよい。安全ステーション15は、また、落下防止デバイス11、ハブ14及び/又は他の安全具にキャッシュされたデータを受信することができる。即ち、落下防止デバイス11(及び/又はデータハブ14)は、典型的には落下防止デバイス11のセンサからネットワーク4に使用データを送信することができるが、いくつかの事例では、落下防止デバイス11(及び/又はデータハブ14)はネットワーク4への接続性を有しない場合がある。かかる事例では、落下防止デバイス11(及び/又はデータハブ14)は使用データをローカルに格納してもよく、安全ステーション15に近接しているときに使用データを安全ステーション15に送信してもよい。安全ステーション15は、次に、落下防止デバイス11からのデータをアップロードし、ネットワーク4に接続してもよい。
【0045】
更に、各環境8には、エンドユーザコンピューティングデバイス16がネットワーク4を介してPPEMS6と対話するための動作環境を提供するコンピューティング設備を備えている。例えば、各環境8には、環境内における安全遵守の監督の役割を果たす1人以上の安全管理者が典型的に含まれる。概して、各ユーザ20はコンピューティングデバイス16と対話してPPEMS6にアクセスする。リモートユーザはネットワーク4を介してPPEMSと対話するためにコンピューティングデバイス18を使用してもよい。例示の目的で、エンドユーザコンピューティングデバイス16は、ラップトップ、デスクトップコンピュータ、タブレット又はいわゆるスマートフォンなどのモバイルデバイスなどとすることができる。
【0046】
ユーザ20、24は、PPEMS6と対話し、作業者10が使用している安全機器の多くの態様を制御し、能動的に管理する(使用記録、解析にアクセスし見ること、及び報告すること、など)。例えば、ユーザ20、24は、PPEMS6によって取得され、格納された使用情報を精査してもよく、使用情報は、ある継続時間(例えば、日、週、など)における開始時間と終了時間を特定するデータ、検出された落下などの特定のイベントの間に収集されたデータ、ユーザから取得された感知データ、環境データなどを含むことができる。更に、ユーザ20、24はPPEMS6と対話して、アセットトラッキングを実施し、個々の安全具、例えば落下防止具11の保守イベントの予定を立て、任意の手順又は規定を確実に遵守するようにしてもよい。PPEMS6によって、ユーザ20、24は、保守手順に関するデジタルチェックリストを作成し、完成させること、及びコンピューティングデバイス16、18からの手順のあらゆる結果をPPEMS6に同期させることができる。
【0047】
更に、いくつかの実施例では、PPEMS6は、落下防止デバイス11などのデジタル対応PPEからの千又は更に数百万のイベントの同時ストリームを処理するように構成されたイベント処理プラットフォームを内蔵している。PPEMS6の基礎解析エンジンは、インバウンドストリームに過去データ及びモデルを適用し、作業者10の状態又は行動パターンに基づいて特定される異常又は予測される安全に関わるイベントの発生などのアサーションを算出する。PPEMS6は、任意の予測されるイベント、異常、動向などを作業者10及び/又はユーザ20、24に通知するためにリアルタイムアラートと報告を行ってもよい。
【0048】
PPEMS6の解析エンジンは、いくつかの実施例では、解析を適用して、感知された作業者データ、環境条件、地理的領域、及び他の因子、の間の関係又は相関を特定し、安全に関わるイベントに対する影響を分析することができる。PPEMS6は、作業者10の集団にわたって取得したデータに基づいて、おそらくは特定の地理的領域内のどの特定の活動が著しく高い安全に関わるイベントの発生につながるか、又はつながることが予測されるかを判定してもよい。
【0049】
このようにして、PPEMS6は、個人用保護具を管理するための総合的なツールを、基礎解析エンジン及び通信システムと統合し、データ収集、モニタリング、アクティビティのロギング、報告、行動解析、及びアラート生成を行う。更に、PPEMS6は、システム2の様々な要素により、及びシステム2の様々な要素間で動作及び使用するための通信システムを提供する。ユーザ20、24は、作業者10から取得したデータに対しPPEMS6が実施した任意の解析の結果を見るために、PPEMSにアクセスすることができる。いくつかの実施例では、PPEMS6はウェブベースのインターフェースを、ウェブサーバ(例えば、HTTPサーバ)を介して提示してもよいし、あるいは、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、スマートフォン及びタブレットなどのモバイルデバイスなどの、ユーザ20、24が使用するコンピューティングデバイス16、18のデバイスのためにクライアント側のアプリケーションを配備してもよい。
【0050】
いくつかの実施例では、PPEMS6は、取得した安全情報、コンプライアンス情報及び解析エンジンの任意の結果を、例えば、ダッシュボード、アラート通知、レポートなどによって見るために、PPEMS6に直接問い合わせるためのデータベースクエリエンジンを提供することができる。即ち、ユーザ24、26、又はコンピューティングデバイス16、18で実行するソフトウェアは、クエリをPPEMS6に提出し、1つ以上のレポート又はダッシュボードの形態での提示に対するクエリに対応するデータを受信することができる。かかるダッシュボードは、作業者集団全体の基準(「正常」)動作、作業者を危険に曝す恐れのある異常な活動に従事するあらゆる異常な作業者の特定、著しく異常な(例えば、高い)安全に関わるイベントが発生した又は発生することが予想される環境2内の任意の地理的領域の特定、他の環境と比較して安全に関わるイベントの異常発生を示す任意の環境2の特定などの、システム2に関する様々な見通しを提供してもよい。
【0051】
PPEMS6は、モニタリングが行われている個人のワークフローを簡素化し、団体又は環境に関する安全遵守を確実にしてもよい。即ち、本開示の技術によれば、能動的な安全管理が可能となり、組織は、環境8内の特定領域、特定の落下防止デバイス11の物品又は個々の作業者10に関する予防処置又は修正処置を取り、その団体は、基礎解析エンジンによるデータ駆動型のワークフロー手順を規定し、この手順を更に実施することができる。
【0052】
一例として、PPEMS6の基礎解析エンジンは、所定の環境8内の又は組織全体の複数の環境にわたる作業者集団に関する顧客定義の指標を算出し、提示するように構成してもよい。例えば、PPEMS6は、データを取得し、作業者集団全体に(例えば、環境8A、8Bのいずれか又は双方の作業者10全体に)わたる集約した実行指標と予測した行動解析とを提供するように構成してもよい。更に、ユーザ20、24は、あらゆる安全に関わるインシデントの発生に関するベンチマークを設定してもよく、PPEMS6は、個人又は所定の作業者集団のベンチマークに対する実際の性能指標を追跡することができる。
【0053】
別の実施例として、PPEMS6は、更に、特定の条件の組み合わせが存在する場合、例えば、落下防止デバイス11のうちの1つなどの安全具の検査又は整備を早めるために、アラートを発してもよい。このように、PPEMS6は、指標がベンチマークを満たさない落下防止デバイス11の個々の物品又は作業者10を特定し、ユーザに、介入すること及び/又はベンチマークに対して指標を向上させるための手順を実施することを促し、それにより作業者10のコンプライアンスを確実とし、安全を能動的に管理することができる。
【0054】
PPEMS6、ハブ14、安全ステーション15、及び/又はコンピューティングデバイス16が追跡する1つの状態は、作業者10がそれぞれの落下防止デバイス11で適切に拘束されているかどうかである(例えば、落下防止デバイス11がアンカーされているかどうかを追跡する)。例えば、落下防止デバイス11Aは、支持構造体12が金属支持構造体であるとき、落下防止デバイス11Aの取り付け領域内にあり、かつ落下防止デバイス11Aのゲートが閉じているときにアンカーされ、それによって、落下防止デバイス11Aを金属支持構造体に固定する。本明細書に記載するように、本開示は、落下防止デバイス11が、それぞれの落下防止デバイス内のセンサによる測定値に基づいて、適切にアンカーされているかどうかを判定するための例示的な技術について説明する。
【0055】
本明細書に記載するように、落下防止デバイス11のうちの1つ以上は、1つ以上の誘導センサを含み、誘導センサは、誘導センサのインダクタンス及び静電容量に基づく共振周波数を有するそれぞれの電子回路を含んでいる。共振周波数とは、一般に、誘導センサの電気回路の応答振幅が相対的に最大である周波数である。換言すると、信号が入力振幅を有し、共振周波数が誘導センサに印加されると、出力振幅と入力振幅との比が最大になる。記載されるように、落下防止デバイス11又は他のコンピューティングデバイスは、支持構造体12などの金属構造体が誘導センサに近接している場合、誘導センサの電気回路の共振周波数の変化を検出する検出アルゴリズムを利用してもよい。
【0056】
誘導センサの電気回路を通して電流が駆動されると、誘導センサは、取り付け領域内に電磁場を発生させる(例えば、誘導センサは、取り付け領域内に電磁場を発生させるような方法で位置決めされ及び配向される)。電磁場は、渦電流を金属構造体内に発生させ、次いで、支持構造体12を誘導センサと誘導結合させ得る。誘導結合により、全インダクタンスの実効的な変化(例えば、誘導センサからのインダクタンス及び金属との結合)が生じ、次いで、共振周波数(例えば、測定共振周波数)をシフトさせる。
【0057】
本開示では、用語「ベースライン共振周波数」は、誘導センサに近接する金属構造体が存在しないときの誘導センサの電子回路の共振周波数を指す。1つ以上の実施例では、PPEMS6、ハブ14、安全ステーション15、及び/又はコンピューティングデバイス16は、落下防止デバイス11の1つ以上の誘導センサのベースライン共振周波数の変化に基づいて、落下防止デバイス11が適切な支持構造体12にアンカーされているかどうかを判定する。
【0058】
いくつかの実施例では、温度又は通常の継続使用は、潜在的に、誘導センサに近接している金属構造体がない場合であっても、誘導センサのベースライン共振周波数を変化させる。そうでない場合には、ベースライン共振周波数のこの変化は、アンカーの誤検出又は不正確な検出を引き起こすことがある。本開示は、アンカーの適切な判定を保証にするために、ベースライン共振周波数の変化について再較正するための例示的な技術について説明する。更に、いくつかの作業環境では、外部磁場又は漂遊磁場は、誘導センサに結合し、ベースライン共振周波数の変化を引き起こすことがある。本開示は、ベースライン共振周波数に対する外部磁場の影響をキャンセルする、あるいはそうでなければスケルチすることによって、検出を改善する誘導センサの例について説明する。
【0059】
図2は、落下防止デバイス11、呼吸マスク13、安全ヘルメット、又は他の安全具などの様々な通信対応個人用保護具(PPE)を有する全体的な作業者10の集団を持つ、複数の別個の作業環境8をサポート可能なクラウドベースのプラットフォームとしてホストされる場合の、PPEMS6の動作の観点を提示するブロック図である。
図2の実施例では、PPEMS6の構成要素は、本開示の技術を実施する複数の論理層に従い配置されている。各層は、ハードウェア、ソフトウェア、又はハードウェアとソフトウェアとの組み合わせを含む1つ以上のモジュールによって実現することができる。
【0060】
図2では、落下防止デバイス11、呼吸マスク13及び/又は他の器具などの個人用保護具(PPE)62が、直接又はハブ14並びにコンピューティングデバイス60によって、インターフェース層64を介してPPEMS6と通信するクライアント63として動作する。コンピューティングデバイス60は、典型的には、デスクトップアプリケーション、モバイルアプリケーション、及びウェブアプリケーションなどのクライアントソフトウェアアプリケーションを実行する。コンピューティングデバイス60は、
図1のコンピューティングデバイス16、18のいずれであってもよい。コンピューティングデバイス60の例としては、ほんの一部の例を挙げると、ポータブル又はモバイルコンピューティングデバイス(例えば、スマートフォン、装着型コンピューティングデバイス、タブレット)、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、スマートテレビジョンプラットフォーム、及びサーバを挙げることができるが、これらに限定はされない。
【0061】
本開示に更に記載されるように、PPE62はPPEMS6と(直接又はハブ14を介して)通信して、埋込式センサ及び他のモニタリング回路から取得したデータのストリームを提供し、PPEMS6からアラート、構成、及び他の通信を受信する。コンピューティングデバイス60上で実行されるクライアントアプリケーションは、PPEMS6と通信し、取り出された、格納された、生成された及び/又はそうでなければサービス68によって処理された情報を送受信することができる。例えば、クライアントアプリケーションは、PPEMS6に格納された及び/又はPPEMS6によって管理された分析データを含む安全に関わるイベント情報を要求し、編集してもよい。いくつかの実施例では、クライアントアプリケーション61は、PPE62から取得した及び又はPPEMS6によって生成された多くの個々の安全に関わるイベントの事例と対応するデータとを要約するあるいは集約する、総合的な安全イベント情報を要求し、表示することができる。クライアントアプリケーションは、ほんの一部の例を挙げると、過去の及び予測された安全に関わるイベントに関する解析情報、作業者10の行動動向について問い合わせるために、PPEMS6と対話してもよい。いくつかの実施例では、クライアントアプリケーションは、PPEMS6から受信した情報を出力して表示し、かかる情報をクライアント63のユーザのために可視化することができる。以下に更に示して記載するように、PPEMS6は、クライアントアプリケーションに情報を提供してもよく、この情報をクライアントアプリケーションはユーザインターフェースに出力して表示する。
【0062】
コンピューティングデバイス60上で実行されるクライアントアプリケーションは、異なるプラットフォームに対して実現してもよいが、類似の又は同一の機能を含むことができる。例えば、クライアントアプリケーションは、ほんの一部の例を挙げると、Microsoft Windows、Apple OS X、又はLinuxなどのデスクトップオペレーティングシステム上で実行するようにコンパイルされたデスクトップアプリケーションであってもよい。別の例として、クライアントアプリケーションは、ほんの一部の例を挙げると、Google Android、Apple iOS、Microsoft Windows Mobile、又はBlackBerry OSなどのモバイルオペレーティングシステム上で実行するようにコンパイルされたモバイルアプリケーションであってもよい。別の実施例として、クライアントアプリケーションは、PPEMS6から受信したウェブページを表示するウェブブラウザなどのウェブアプリケーションであってもよい。
【0063】
ウェブアプリケーションの実施例では、PPEMS6は、ウェブアプリケーション(例えば、ウェブブラウザ)から要求を受信し、その要求を処理し、1つ以上の応答をウェブアプリケーションに返送することができる。このようにして、ウェブページの集合体、ウェブアプリケーションのクライアント側の処理、及びPPEMS6によって実施されるサーバ側の処理は、本開示の技術を実施するための機能を集合的に提供する。このようにして、クライアントアプリケーションは、本開示の技術によるPPEMS6の様々なサービスを使用し、このアプリケーションは、様々な異なるコンピューティング環境(例えば、ほんの一部の例を挙げると、PPEの埋め込み回路又はプロセッサ、デスクトップオペレーティングシステム、モバイルオペレーティングシステム、又はウェブブラウザ)内で動作することができる。
【0064】
図2に示すように、PPEMS6は、PPEMS6によって提示され、サポートされるアプリケーションプログラミングインターフェース(application programming interface、API)又はプロトコルインターフェースのセットを示すインターフェース層64を備えている。インターフェース層64は、PPEMS6において更に処理されるメッセージを、初めに、いずれかのクライアント63から受信する。インターフェース層64は、したがって、クライアント63上で実行されるクライアントアプリケーションで利用可能な1つ以上のインターフェースを提供してもよい。いくつかの実施例では、このインターフェースは、ネットワーク上でアクセス可能なアプリケーションプログラミングインターフェース(API)とすることができる。インターフェース層64は1つ以上のウェブサーバにより実装してもよい。1つ以上のウェブサーバは、到着する要求を受信し、要求からの情報を処理する及び/又はサービス68に転送し、サービス68から受信した情報に基づいて、初めに要求を送信したクライアントアプリケーションに1つ以上の応答を提供することができる。いくつかの実施例では、インターフェース層64を実装する1つ以上のウェブサーバは、1つ以上のインターフェースを提供するプログラム論理を展開するための実行環境を備えてもよい。以下で更に記載するように、各サービスは、インターフェース層64を介してアクセス可能な1つ以上のインターフェースの群を提供してもよい。
【0065】
いくつかの実施例では、インターフェース層64は、HTTPメソッドを使用してサービスと対話し、かつ、PPEMS6のリソースを操作する、レプレゼンテーショナルステートトランスファ(Representational State Transfer、RESTful)インターフェースを提供することができる。かかる実施例では、サービス68は、初期要求を提出したクライアントアプリケーション61にインターフェース層64が返送するJavaScriptオブジェクトノーテーション(JavaScript Object Notation、JSON)メッセージを生成してもよい。いくつかの実施例では、インターフェース層64は、クライアントアプリケーション61からの要求を処理するために、シンプルオブジェクトアクセスプロトコル(Simple Object Access Protocol、SOAP)を使用するウェブサービスを提供する。更に別の実施例では、インターフェース層64は、クライアント63からの要求を処理するためにリモートプロシージャコール(Remote Procedure Calls、RPC)を使用してもよい。クライアントアプリケーションから1つ以上のサービス68を使用する要求を受信すると、インターフェース層64はサービス68を含むアプリケーション層66に情報を送信する。
【0066】
図2に示すように、PPEMS6はまた、PPEMS6の基本動作の多くを実施するためのサービスの集合体を示すアプリケーション層66を備えている。アプリケーション層66は、クライアントアプリケーション61から受信した要求に含まれる情報を受信し、更に、この情報を、その要求によって呼び出されたサービス68の1つ以上に従い処理する。アプリケーション層66は、1つ以上のアプリケーションサーバ、例えば、物理マシン又は仮想マシン上で実行される1つ以上のディスクリートソフトウェアサービスとして実装してもよい。即ち、アプリケーションサーバは、サービス68の実行のための実行環境を提供する。いくつかの実施例では、上述の機能インターフェース層64の機能とアプリケーション層66の機能は、同一サーバに実装することができる。
【0067】
アプリケーション層66は、例えば、一例として、論理サービスバス70を介して通信する1つ以上の別個のソフトウェアサービス68、例えば、プロセスを含んでもよい。サービスバス70は、一般に、異なるサービスがパブリッシュ/サブスクライブ通信モデルなどによって他のサービスにメッセージを送信することを可能にする論理相互接続又はインターフェースのセットを示す。例えば、各サービス68は、各サービスの基準セットに基づいて、特定タイプのメッセージにサブスクライブしてもよい。
【0068】
サービスが特定タイプのメッセージをサービスバス70にパブリッシュすると、そのタイプのメッセージにサブスクライブする他のサービスがメッセージを受信する。このようにして、各サービス68は、互いに情報を通信してもよい。別の実施例として、サービス68は、ソケット又は他の通信メカニズムを使用してポイントツーポイント形式で通信してもよい。更に他の実施例では、データメッセージがソフトウェアシステムサービスにより処理される際、データメッセージのワークフロー及び論理処理を実施するために、パイプラインシステム構成を使用することができる。各サービス68の機能を説明する前に、層についてここで簡潔に説明する。
【0069】
PPEMS6のデータ層72は、1つ以上のデータリポジトリ74を使用してPPEMS6内の情報の持続性を提供するデータリポジトリを示す。データリポジトリは、概して、データを格納及び/若しくは管理する任意のデータ構造又はソフトウェアであってもよい。データリポジトリの例としては、ほんの一部の例を挙げると、リレーショナルデータベース、多次元データベース、マップ、及びハッシュテーブルが挙げられるが、これらには限定されない。データ層72は、データリポジトリ74内の情報を管理するために、リレーショナルデータベース管理システム(Relational Database Management System、RDBMS)ソフトウェアを使用して実装してもよい。RDBMSソフトウェアは、構造化クエリ言語(Structured Query Language、SQL)を使用してアクセスすることができる1つ以上のデータリポジトリ74を管理することができる。1つ以上のデータベース内の情報は、RDBMSソフトウェアを用いて格納、取り出し、及び修正してもよい。いくつかの実施例では、データ層72は、オブジェクトデータベース管理システム(Object Database Management System、ODBMS)、オンライン分析処理(Online Analytical Processing、OLAP)データベース、又は他の好適なデータ管理システムを使用して実装することができる。
【0070】
図2に示すように、各サービス68A~68H(「サービス68」)は、PPEMS6内にモジュール形式で実装されている。各サービスを別個のモジュールとして示しているが、いくつかの実施例では、2つ以上のサービスの機能を単一のモジュール又は構成要素へ組み合わせてもよい。各サービス68はソフトウェア、ハードウェア、又はハードウェアとソフトウェアの組み合わせで実装することができる。更に、サービス68は、スタンドアローンデバイス、別個の仮想マシン又はコンテナ、プロセス、一般に1つ以上の物理プロセッサ上で実行するためのスレッド又はソフトウェア命令として実装してもよい。
【0071】
いくつかの実施例では、1つ以上のサービス68は各々、インターフェース層64を介して露出される1つ以上のインターフェースを提供することができる。したがって、本開示の技術を実施するために、コンピューティングデバイス60のクライアントアプリケーションは、1つ以上のサービス68の1つ以上のインターフェースを呼び出してもよい。
【0072】
いくつかの実施例では、サービス68は、イベントエンドポイントフロントエンド68Aと、イベントセレクタ68Bと、イベントプロセッサ68Cと、ハイプライオリティ(high priority、HP)イベントプロセッサ68Dと、を含むイベント処理プラットフォームを備えることができる。イベントエンドポイントフロントエンド68Aは、PPE62及びハブ14と通信を送受信するためのフロントエンドインターフェースとして動作する。換言すると、イベントエンドポイントフロントエンド68Aは、環境8内に展開されて作業者10によって使用される、安全具へのフロントラインインターフェースとして動作する。
【0073】
いくつかの事例では、イベントエンドポイントフロントエンド68Aは、安全具によって感知及び捕捉されたデータを保持するPPE62からのイベントストリーム69の個々のインバウンド通信を受信するのに起動される複数のタスク又はジョブとして実装してもよい。イベントエンドポイントフロントエンド68Aは、例えば、イベントストリーム69を受信すると、イベントと呼ばれるインバウンド通信を素早くエンキューするためのタスクを起動し、通信セッションを閉じてもよく、それによって高速処理と拡張性を提供する。各受信される通信は、例えば、一般にイベントと呼ばれる、感知された状態、動き、温度、動作、又は他のデータを表す最近捕捉されたデータを搬送してもよい。イベントエンドポイントフロントエンド68AとPPEとの間で交換される通信は、通信遅延及び連続性に応じて、リアルタイム又は擬似リアルタイムとすることができる。
【0074】
イベントセレクタ68Bは、フロントエンド68Aを介してPPE62及び/又はハブ14から受信したイベント69のストリーム上で動作し、規則又は分類に基づいて、受信イベントと関連付けられた優先順位を決定する。イベントセレクタ68Bは、優先順位に基づき、イベントプロセッサ68C又はハイプライオリティ(HP)イベントプロセッサ68Dによって後続処理するためのイベントをエンキューする。付加的な計算資源及びオブジェクトは、PPEの誤使用、地理的場所及び条件に基づく誤ったフィルタ及び/又は呼吸マスクの使用、落下防止具11の適切な固定の間違い等などの重大なイベントに対する応答性を確保するために、HPイベントプロセッサ68Dに専用としてもよい。ハイプライオリティイベントの処理に応答して、HPイベントプロセッサ68Dは通知サービス68Eを即座に呼び出し、落下防止デバイス11、ハブ14及び/又はリモートユーザ20、24に対して出力すべきアラート、命令、警告又は他の類似のメッセージを生成することができる。ハイプライオリティとして分類されないイベントは、イベントプロセッサ68Cによって取り込まれて処理される。
【0075】
概して、イベントプロセッサ68C又はハイプライオリティ(HP)イベントプロセッサ68Dは、受信するイベントのストリーム上で動作し、データリポジトリ74内のイベントデータ74Aを更新する。概して、イベントデータ74Aは、PPE62から得られる使用データの全て又はサブセットを含んでもよい。例えば、いくつかの事例では、イベントデータ74Aは、PPE62の電子センサから得られるデータのサンプルの全ストリームを含むことができる。他の事例では、イベントデータ74Aは、例えば、PPE62の特定の期間又は活動に関連付けられた、かかるデータのサブセットを含んでもよい。
【0076】
イベントプロセッサ68C、68Dは、イベントデータ74Aに格納されたイベント情報を作成、読み出し、更新、及び削除することができる。イベント情報は、行/列形式で指定されたデータテーブルなどの情報の名前/値の対を含む構造としてそれぞれのデータベースレコードに格納してもよい。例えば、名前(例えば、列)は「作業者のID」であってもよく、値は従業員識別番号であってもよい。イベントレコードは、作業者のID、PPEのID、取得したタイムスタンプ(acquisition timestamp(s))、及び1つ以上の感知されたパラメータを示すデータなどの情報を含むことができるが、これらには限定されない。
【0077】
更に、イベントセレクタ68Bは、ストリーム解析サービス68Fにイベントの受信ストリームを導く。このストリーム解析サービス68Fは、解析エンジンの例を表し、リアルタイム解析を実施するためにイベントの受信ストリームの詳細処理を実施するように構成されている。ストリーム解析サービス68Fは、イベントデータ74Aが受信される際に、例えば、イベントデータ74Aの複数ストリームを処理し、これを過去データ及びモデル74Bとリアルタイムで比較するように構成してもよい。このようにして、ストリーム解析サービス68Dは、状態又は作業者の行動に基づいて安全上の問題を検出すると、異常を検出し、受信イベントデータ値を変換し、アラートをトリガーするように構成することができる。
【0078】
過去データ及びモデル74Bは、例えば、特定の安全規則、ビジネス規則などを含んでもよい。こうして、過去データ及びモデル74Bは、落下防止デバイス11のユーザの行動を、例えば、安全規則、ビジネス規則等に適合するものとして特徴付けることができる。更に、ストリーム解析サービス68Dは、通知サービス68FによりPPPE62に、又は記録管理及び報告サービス68Gによってコンピューティングデバイス60に通信するための出力を形成してもよい。
【0079】
解析サービス68Fは、環境8内の作業者10が使用している対応安全PPE62からのイベントのインバウンドストリーム、潜在的には数百又は数千のイベントのストリームを処理して、過去データ及びモデル74Bを適用し、作業者の状態又は行動パターンに基づいて、特定された異常又は差し迫った安全に関わるイベント発生の予測、などのアサーションを算出することができる。解析サービス68Dは、いずれかのクライアント63に出力するために、サービスバス70によって通知サービス68F及び/又は記録管理にアサーションを発行してもよい。
【0080】
このようにして、解析サービス68Fは、差し迫った安全上の問題を予測し、リアルタイムのアラート生成及び報告を提供する能動的な安全管理システムとして構成することができる。更に、解析サービス68Fは、イベントデータのインバウンドストリームを処理して、企業、安全管理者、及び他のリモートユーザのために、集約された若しくは個々の作業者及び/又はPPEベースの統計、結論、及び/又は推奨の形態のアサーションを生成するための技術を提供する意思決定支援システムであってもよい。例えば、解析サービス68Fは、過去データ及びモデル74Bを適用し、特定の作業者に関して、検出された行動パターン又は活動パターン、環境条件、及び地理的場所に基づいて、この作業者に安全に関わるイベントが差し迫っている可能性を判定することができる。
【0081】
いくつかの実施例では、解析サービス68Fは、PPEMS6によって格納された処理情報に基づいてユーザインターフェースを生成し、実施可能な情報をいずれかのクライアント63に提供してもよい。例えば、解析サービス68Fは、いずれかのクライアント63で出力するために、ダッシュボード、アラート通知、レポートなどを生成してもよい。かかる情報は、作業者集団全体の基準(「正常」)動作、作業者を危険に曝す恐れのある異常な活動に従事するあらゆる異常な作業者の特定、著しく異常な(例えば、高い)安全に関わるイベントが発生した又は発生することが予測される環境内の任意の地理的領域の特定、他の環境と比較して安全に関わるイベントの異常発生を示す任意の環境の特定など、に関する様々な識見を提供することができる。
【0082】
他の技術を使用することはできるが、一例示的実施形態では、解析サービス68Fは、安全に関わるイベントのストリーム上で動作しているとき、機械学習を利用してリアルタイム解析を実施する。即ち、解析サービス68Fには、イベントストリームの訓練データ及び既知の安全に関わるイベントに機械学習を適用してパターンを検出することにより生成された実行可能コードが含まれる。実行可能コードは、ソフトウェア命令又は規則セットの形式を取ってもよく、一般に、モデルと呼ばれ、類似パターンを検出して近く発生するイベントを予測するために、後にイベントストリーム69に適用することができる。
【0083】
解析サービス68Fは、いくつかの実施例では、特定の作業者、特定の作業者集団、特定の環境、又はこれらの組み合わせに対して別個のモデルを生成してもよい。解析サービス68Fは、PPE62から受信した使用データに基づいてモデルを更新することができる。例えば、解析サービス68Fは、PPE62から受信したデータに基づいて、特定の作業者、特定の作業者集団、特定の環境、又はこれらの組み合わせに関するモデルを更新してもよい。
【0084】
代替的に又は付加的に、解析サービス68Fは、生成したコード及び/又は機械学習モデルの全て若しくは一部をハブ14(又はPPE62)に通信してハブ14(又はPPE62)で実行し、PPEに実質的にリアルタイムでローカルアラートを提供してもよい。モデル74Bを生成するために用いることができる例示的な機械学習技術としては、教師あり学習、教師なし学習、及び半教師あり学習などの様々な学習スタイルを挙げることができる。例示的なアルゴリズムのタイプとしては、ベイジアンアルゴリズム、クラスタリングアルゴリズム、決定木アルゴリズム、正則化アルゴリズム、回帰アルゴリズム、インスタンスベースアルゴリズム、人工ニューラルネットワークアルゴリズム、深層学習アルゴリズム、次元削減アルゴリズムなどが挙げられる。特定のアルゴリズムの様々な例としては、ベイジアン線形回帰、ブースト決定木回帰、ニューラルネットワーク回帰、誤差逆伝播ニューラルネットワーク、アプリオリアルゴリズム、K平均クラスタリング、k近傍(k-Nearest Neighbour、kNN)、学習ベクトル量子化(Learning Vector Quantization、LVQ)、自己組織化マップ(Self-Organizing Map、SOM)、局所重み付け学習(Locally Weighted Learning、LWL)、リッジ回帰、最小絶対収縮と選択演算子(Least Absolute Shrinkage and Selection Operator、LASSO)、エラスティックネット、及び最小角回帰(Least-Angle Regression、LARS)、主成分分析(Principal Component Analysis、PCA)、及び主成分回帰(Principal Component Regression、PCR)が挙げられる。
【0085】
記録管理及び報告サービス68Gは、コンピューティングデバイス60からインターフェース層64を介して受信されたメッセージ及びクエリを処理し、応答する。例えば、記録管理及び報告サービス68Gは、クライアントコンピューティングデバイスから、個々の作業者、作業者の集団又はサンプルセット、環境8又は環境8全体の地理的領域、個々のPPE62又はPPE62の群/タイプ、に関連するイベントデータに対する要求を受信してもよい。これに応答して、記録管理及び報告サービス68Gは、要求に基づいてイベント情報にアクセスする。イベントデータを取り出すと、記録管理及び報告サービス68Gは、初めに情報を要求したクライアントアプリケーションに対する出力応答を作製する。
【0086】
付加的な例として、記録管理及び報告サービス68Gは、PPEイベント情報を探し、分析し、相関させる要求を受信することができる。例えば、記録管理及び報告サービス68Gは、ユーザがPPEイベント情報をある期間にわたって見ることができる及び/又はコンピューティングデバイスがPPEイベント情報をある期間にわたって分析することができるなど、過去の時間枠にわたるイベントデータ74Aに対するクエリ要求をクライアントアプリケーションから受信してもよい。
【0087】
例示的な実装形態では、サービス68には、また、PPEMS6によってユーザ及び要求を認証及び認可するセキュリティサービス68Hが含まれてもよい。具体的には、セキュリティサービス68Hは、クライアントアプリケーション及び/又は他のサービス68から、データ層72内のデータにアクセスする及び/又はアプリケーション層66内で処理を実施することの認証要求を受信することができる。認証要求は、ユーザ名及びパスワードなどの証明書を含んでもよい。セキュリティサービス68Hは、ユーザ名とパスワードの組み合わせが有効であるかどうかを判定するために、セキュリティデータ74Aについて問い合わせてもよい。構成データ74Dは、認証証明書、ポリシー、及びPPEMS6へのアクセスを制御するための任意の他の情報、の形態のセキュリティデータを含むことができる。上述のように、セキュリティデータ74Aは、PPEMS6の正規ユーザの有効なユーザ名とパスワードの組み合わせなどの認証証明書を含んでもよい。他の証明書には、PPEMS6へのアクセスを許可されたデバイス識別子又はデバイスプロファイルを含むことができる。
【0088】
セキュリティサービス68Hは、PPEMS6で実施される動作に対して監査及びロギング機能を提供してもよい。例えば、セキュリティサービス68Hは、サービス68によって実行された動作、及び/又はサービス68によってアクセスされた、データ層72内のデータ、のログを取ってもよい。セキュリティサービス68Hは、ログ操作、アクセスデータ、及び規則処理結果などの監査情報を監査データ74Cに格納することができる。いくつかの実施例では、セキュリティサービス68Hは、1つ以上の規則が満たされたことに応答してイベントを生成してもよい。セキュリティサービス68Hは、イベントを示すデータを監査データ74Cに格納することができる。
【0089】
PPEMS6は、セルフチェックコンポーネント68I、セルフチェック基準74E、作業関係データ74Fを含んでもよい。セルフチェック基準74Eは、1つ以上のセルフチェック基準を含むことができる。作業関係データ74Fは、PPE、作業者、及び作業環境に対応するデータ間のマッピングを含んでもよい。作業関係データ74Fは、データを格納、取り出し、更新、及び削除するための任意の好適なデータストアとすることができる。作業関係データストア74Fは、作業者10Aの固有識別子とデータハブ14Aの固有デバイス識別子との間のマッピングを格納してもよい。作業関係データストア74Fは、また、作業者を環境に対してマッピングすることができる。
図2の実施例では、セルフチェックコンポーネント68Iは、作業関係データ74Fから、データハブ14A、作業者10A、及び/又は作業者10Aに関連付けられた若しくは割り当てられたPPEに関するデータを受信、あるいはそうでなければ判定してもよい。このデータに基づき、セルフチェックコンポーネント68Iは、セルフチェック基準74Eから1つ以上のセルフチェック基準を選択することができる。セルフチェックコンポーネント68Iは、このセルフチェック基準をデータハブ14Aに送信してもよい。
【0090】
いくつかの実施例では、イベントプロセッサ68C及び記録管理及び報告サービス68Gは、落下防止デバイス11が適切にアンカーされているかどうかを示す情報を生成してもよい。例えば、落下防止デバイス11は、落下防止デバイス11の誘導センサの共振周波数が変化したかどうかに基づいて、落下防止デバイス11がアンカーされているかどうかを示す情報を送信するように構成することができ、この情報は、最終的に、PPEMS6によって受信される。イベントプロセッサ68Cは、落下防止デバイス11がアンカーされているかどうかを示すデータを処理してもよく、報告サービス68Gは、落下防止デバイス11がアンカーされているかどうかを示すレポートを生成してもよい。例えば、報告サービス68Gは、落下防止デバイス11の各々がアンカーされる長さ、頻度、時点などを示すレポートを生成することができ、かかる情報は、誘導センサの電子回路の共振周波数が変化したかどうかについての情報を含み、落下防止デバイス11の誘導センサによる感知に基づいて生成される。いくつかの実施例では、イベントプロセッサ68Bと通知サービス68Eとは一緒に、作業者10が落下防止デバイス11の適切なアンカーに適合していない場合にアラートを生成してもよい。
【0091】
図3は、落下防止デバイス11の物品内に組み込むことができるコンピューティングデバイスの一例を示す。容易にするために、この例は、落下防止デバイス11Aに関して示されている。落下防止デバイス11B~11Nは、落下防止デバイス11Aと実質的に同様であってもよい(同一である場合を含む)。
【0092】
図示された実施例では、コンピューティングデバイス98は、プロセッサ100、誘導感知プロセッサ101、メモリ102、通信ユニット104、1つ以上の接続センサ106、落下防止ユニット108、1つ以上の使用及び環境センサ110、並びに出力ユニット112を含む。
図3に示されるコンピューティングデバイス98の構成及び配置は、単に例示の目的で示されているものと理解されたい。他の例では、落下防止デバイス11Aの物品に組み込まれたコンピューティングデバイス98は様々な他の方法で、
図3に示される構成要素に追加の、より少ない、又は代替の構成要素を有するように構成してもよい。例えば、以下でより詳細に説明するように、コンピューティングデバイス98は、通信ユニット104及び接続センサ106などの、構成要素のサブセットのみを含むように構成してもよく、特定の処理機能をハブ14の一つなどの別のデバイスにオフロードすることもできる。
【0093】
一実施例として、コンピューティングデバイス98は、センサ106の誘導センサの共振周波数を求める誘導感知プロセッサ101を含む。いくつかの実施例では、プロセッサ100は更に、共振周波数を示す情報を処理する。いくつかの実施例では、通信ユニット104は、2つの非限定的な例として、ハブ14又はPPEMS6などの他のプロセッサによって処理するための、共振周波数を示す情報を出力する。容易にするために、プロセッサ100に関してこれらの実施例を説明するが、プロセッサ100の動作は、ハブ14又はPPEMS6などの他のプロセッサによって、あるいはプロセッサ100と他のプロセッサとの組み合わせによって実行され得ることを理解されたい。
【0094】
一般に、コンピューティングデバイス98は、落下防止デバイス11Aの動作、及び/又は落下防止デバイス11Aが使用される環境、に関するリアルタイムデータを捕捉する複数のセンサを含む。かかるデータは、本明細書では使用データと呼ぶ。一実施例では、プロセッサ100は、コンピューティングデバイス98内で、機能を実現するように、及び/又は実行のための命令を処理するように構成されている。例えば、プロセッサ100は、メモリ102によって格納された命令を処理することができる。プロセッサ100としては、例えば、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、又は同等のディスクリート若しくは集積論理回路を挙げることができる。更に、いくつかの例では、プロセッサ100は、加算器、コンパレータ、ローパスフィルタなどのアナログ構成要素であってもよい。本開示では、プロセッサ100の動作は、DSP、ASIC、FPGAによって、あるいはフィルタ、コンパレータ及び加算器などの固定機能アナログ回路によって実行することができる。
【0095】
メモリ102としては、コンピュータ可読記憶媒体又はコンピュータ可読ストレージデバイスを挙げることができる。いくつかの実施例では、メモリ102は、短期メモリ又は長期メモリの1つ以上を含んでもよい。メモリ102としては、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、磁気ハードディスク、光学ディスク、フラッシュメモリ、又は電気的プログラマブルメモリ(EPROM)若しくは電気的消去可能プログラマブルメモリ(EEPROM)の形態を挙げることができる。
【0096】
いくつかの実施例では、メモリ102は、コンピューティングデバイス98の構成要素の動作を制御するオペレーティングシステム(図示せず)又は他のアプリケーションを格納してもよい。例えば、オペレーティングシステムは、電子センサ(例えば、接続センサ106)から通信ユニット104へのデータの通信を容易にすることができる。いくつかの実施例では、メモリ102は、プロセッサ100によって実行されるプログラム命令を格納するために使用される。メモリ102は、また、動作中にコンピューティングデバイス98内の情報を格納するように構成してもよい。
【0097】
コンピューティングデバイス98は、1つ以上の有線接続又は無線接続を介して外部デバイスと通信するために通信ユニット104を使用することができる。通信ユニット104は、様々なミキサ、フィルタ、増幅器、及び信号変調用に設計された他の構成要素、並びに1つ以上のアンテナ及び/又はデータの送受信用に設計された他の構成要素を含んでもよい。通信ユニット104は、1つ以上の任意の好適なデータ通信技術を用いて他のコンピューティングデバイスとデータを送受信してもよい。かかる通信技術の例としては、ほんの一部の例を挙げると、TCP/IP、Ethernet、Wi-Fi、Bluetooth、4G、LTEが挙げられる。いくつかの例では、通信ユニット104は、Bluetooth Low Energy(BLU)プロトコルに従い動作する。
【0098】
接続センサ106は、落下防止デバイス11Aに組み込まれ、かつ、落下防止デバイス11Aの動作又は落下防止デバイス11の特性を示す出力データを生成するように構成された、多種多様なセンサを含む。例えば、接続センサ106は、落下防止デバイス11Aの構成要素の相対位置を示すデータを捕捉しても、あるいは支持構造体が落下防止デバイス11Aの取り付け領域内に配置されているかどうかを示す電気特性(たとえば、共振周波数)を感知してもよい。例示的な接続センサ106としては、1つ以上のスイッチ、ホール効果センサ、磁気センサ、光学センサ、超音波センサ、光電センサ、ロータリエンコーダ、加速度計などが挙げられる。以下の
図7~
図9の例に関して、接続センサ106の特定の例を説明する。
【0099】
より詳細に説明されるように、接続センサ106は、落下防止デバイス11Aが支持構造体12に適切にアンカーされているかどうかを判定するために使用される1つ以上の誘導センサを含む。適切にアンカーされるためには、いくつかのビジネスに関する要件又は安全に関する要件は、落下防止デバイス11Aを金属構造体にアンカーすべきであることを指示し得る(例えば、支持構造体12は金属構造体であるべきである)。1つ以上の例では、1つ以上の誘導センサの電気特性は、金属支持構造体12が落下防止デバイス11A内にあるかどうかを示すことができる。
【0100】
誘導センサは、ベースライン共振周波数と呼ばれる特定の共振周波数に同調される。ベースライン共振周波数は、誘導センサが落下防止デバイス11Aの外部の金属構造体と誘導結合されていないときの誘導センサの共振周波数である。落下防止デバイス11Aの取り付け領域内に金属が配置されているときなどのように、誘導センサが金属に近接しているときには、誘導センサの共振周波数が変化することがある。いくつかの例では、プロセッサ100は、接続センサ106の1つ以上の誘導センサの共振周波数がベースライン共振周波数から変化しているかどうかを判定するように構成される。共振周波数が変化しているかどうかに基づいて、プロセッサ100又は何らかの他のプロセッサは、落下防止デバイス11Aが支持構造体12にアンカーされているかどうかを判定する。
【0101】
図示されるように、コンピューティングデバイス98は、誘導感知プロセッサ101を含む。誘導感知プロセッサ101は、プロセッサ100の一部であってもよいが、理解を容易にするために別個に示されている。誘導感知プロセッサ101は、接続センサ106の誘導センサのそれぞれの共振周波数を判定する。誘導感知プロセッサ101の一例は、Texas Instruments(登録商標)による誘導性センシングチップ用のLDC1612/14マルチチャネル、28ビットインダクタンス/デジタルコンバータ(LDC)である。誘導感知プロセッサ101の出力は、誘導感知プロセッサ101に結合された誘導センサ(単数又は複数)の共振周波数を示すデジタル信号であってもよい。プロセッサ100は、共振周波数を示すデジタル信号を受信し、共振周波数が変化しているかどうかに基づいて、支持構造体が落下防止デバイス11Aの取り付け領域内にあるかどうかを判定する。
【0102】
いくつかの実施例では、メモリ102は、接続センサ106の誘導センサのベースライン共振周波数値を格納する。より詳細に記載されるように、ベースライン共振周波数値は、誘導センサの温度及び経時変化に起因して変化することがあり、したがって、プロセッサ100は、ベースライン共振周波数値を更新し、メモリ102に新たなベースライン共振周波数値を格納してもよい。それぞれの誘導センサに関して、プロセッサ100は、各差分値が誘導感知プロセッサ101によって測定された測定共振周波数と現在のベースライン共振周波数値と差を示す、差分値を求める。
【0103】
プロセッサ100は、誘導センサのそれぞれの差分値を利用して、金属が落下防止デバイス11Aの取り付け領域内にある旨を判定するのに十分な共振周波数の変化があるかどうかを判定する。一例として、差分値のうちのいずれかが周波数変化閾値よりも大きい場合、プロセッサ100は、金属が落下防止デバイス11Aの取り付け領域内に配置されていると判定することができる。しかしながら、誘導センサの場所及び取り付け領域内の金属の場所に起因して、取り付け領域内に金属があるが、差分値のいずれも周波数変化閾値よりも大きくない可能性がある。かかる可能性に対処するために、いくつかの例では、プロセッサ100は、差分値のうちの1つ以上を合計し、差分値の合計を周波数変化閾値と比較する。プロセッサ100は、差分値の合計が周波数変化閾値よりも大きい場合、金属が落下防止デバイス11A内に配置されていると判定することができる。
【0104】
いくつかの実施例では、金属が落下防止デバイス11A内に配置されていることを更に保証にするために、プロセッサ100は、以前の共振周波数(例えば、以前に測定された誘導センサの測定共振周波数)と現在のベースライン共振周波数値との差分値を求めることができる。プロセッサ100は、差分値の両方のセット(例えば、測定共振周波数と現在のベースライン共振周波数値との差分値、及び以前の共振周波数と現在のベースライン共振周波数値との差分値)を使用して、落下防止デバイス11Aの取り付け領域内に金属が配置されているかどうかを判定することができる。
【0105】
上記の実施例では、プロセッサ100は、現在のベースライン共振周波数を使用する。同様に、ベースライン共振周波数は、取り付け領域内に金属が配置されていないときの誘導センサの共振周波数である。温度の変化、摩耗などに起因して、誘導センサのベースライン共振周波数は変化し得る。本開示は、現在のベースライン共振周波数を判定するための実施例について以下に更に説明する。
【0106】
プロセッサ100は、支持構造体が取り付け領域内にあるかどうかの判定に少なくとも部分的に基づいて、落下防止デバイス11Aが支持構造体にアンカーされているかどうかを示す情報を生成することができる。例えば、金属支持構造体が取り付け領域内にある旨を判定された場合、プロセッサ100は、それを示す信号を生成することができる。次いで、通信ユニット104及び/又は出力ユニット112は、ハブ14又は作業者10Aが支持構造体に安全に固定されているかどうかを判断するいくつかの他のデバイスにその情報を出力することができる。いくつかの実施例では、プロセッサ100は、金属支持構造体が取り付け領域内にあることを示す生成された信号を出力する必要なしに、作業者10Aが支持構造体に安全に固定されているかどうかを判定するように構成されてもよい。
【0107】
いくつかの実施例では、通信ユニット104及び/又は出力ユニット112は、落下防止デバイス11Aが落下防止デバイス11のうちの別のデバイスにアンカーされているかどうかを示す情報を出力してもよい。一例として、2つ以上の落下防止デバイス11のシステムでは、一方(例えば、落下防止デバイス11A)は、他方の落下防止デバイス11と全ての外部のコンピューティングデバイス(例えば、ハブ14、PPEMS6)との間のブリッジとして機能する。これは無線で行われる。いくつかの実施例では、落下防止デバイス11は既に、同期状態テーブルを維持するために互いに通信していることがあり、したがって、落下防止デバイス11のそれぞれは、他の落下防止デバイス11の状態を完全に認識している。したがって、外部のコンピューティングデバイスは、全ての落下防止デバイス11の完全な状態を判定するために、落下防止デバイス11のうちの1つのみと通信してもよい。
【0108】
落下防止ユニット108は、落下防止デバイス11Aに組み込まれた(例えば、以下の
図10~
図12に関してより詳細に説明するような)ロック109の動作を制御するためのハードウェア及び(例えば、プロセッサ100によって実行可能な)ソフトウェアの任意の組み合わせを含むことができる。本明細書に記載するように、ロックは、支持構造体から落下防止デバイス11Aが外れることを妨げるか又は阻止することができる任意のデバイスを含んでもよい。ほんの一例として、また
図12に示す例に関してより詳細に説明するように、ロック109はソレノイドを含み、このソレノイドは延びて落下防止デバイス11Aの1つ以上の構成要素の移動を阻止し、支持構造体から落下防止デバイスが外れることを妨げるか又は阻止することができる。別のロック109が落下防止デバイス11Aの可動ゲートを閉じた状態に保つからである。落下防止ユニット108は、例えば接続センサ106からのデータに基づいて、ロック109及び/又はフィードバック構成要素113の動作を制御するように構成してもよい。
【0109】
使用及び環境センサ110は、落下防止デバイス11Aが使用されている状態又は落下防止デバイス11Aが配置された環境を示すデータを捕捉する多種多様なセンサを含むことができる。例えば、使用及び環境センサ110としては、加速度計、場所センサ、高度計などを挙げることができる。この実施例では、加速度計は、重力に対する落下防止デバイス11Aの加速度を示すデータを生成するように構成することができる。加速度計は、加速度の大きさ及び方向を、例えばベクトル量として求めるための単軸又は多軸加速度計として構成してもよく、方向、座標加速度、振動、衝撃及び/又は落下を判定するために使用してもよい。場所センサは、環境8のうちの1つにおける落下防止デバイス11Aの場所を示すデータを生成するように構成することができる。場所センサとしては、グローバルポジショニングシステム(Global Positioning System、GPS)受信機、(例えば、ビーコン及び/又は他の固定通信ポイントを使用する)三角測量を実施するための構成要素、又は落下防止デバイス11Aの相対場所を求めるための他のセンサを挙げることができる。高度計は、一定の高さを超える落下防止デバイス11Aの高度を示すデータを生成するように構成することができる。いくつかの実施例では、高度計は、気圧の測定値に基づいて、落下防止デバイス11Aの高度を求める(例えば、高度が高いほど気圧は低い)ように構成してもよい。更に、状態及び環境センサ110は、風速、温度、湿度、微粒子含有量、騒音レベル、空気の品質、又は落下防止デバイス11Aを使用することができる環境の任意の他の様々な特性を測定するように構成された1つ以上のセンサを含むことができる。
【0110】
出力ユニット112は、例えば、コンピューティングデバイス98の1つ以上のセンサによって測定されるような、落下防止デバイス11Aの動作を示すデータを出力するように構成してもよい。いくつかの実施例では、出力ユニット112は、コンピューティングデバイス98のセンサからデータを直接出力することができる。例えば、出力ユニット112は、通信ユニット104を介して別のデバイスに送信するために、コンピューティングデバイス98の1つ以上のセンサからのリアルタイム又は実質的にリアルタイムデータを含む1つ以上のメッセージを生成してもよい。しかし、いくつかの事例では、通信ユニット104は、例えば、落下防止デバイス11Aが位置する環境及び/又はネットワーク障害、のせいでかかるデバイスと通信できない場合がある。かかる場合、出力ユニット112は、使用データをメモリ102にキャッシュすることができる。即ち、出力ユニット112(又はセンサ自体)は使用データをメモリ102に格納してもよく、それによって、ネットワーク接続が利用可能になると使用データを別のデバイスにアップロードすることができる。
【0111】
出力ユニット112は、また、落下防止デバイス11Aのユーザが認知可能な可聴出力、視覚出力、触覚出力、又は他の出力を生成するように構成してもよい。例えば、出力ユニット112は、例として、様々なライト、ディスプレイ、触覚フィードバック発生器、スピーカなどを含むもう1つのユーザインターフェースデバイスを備えてもよい。一実施例では、出力ユニット112には、落下防止デバイス11A上に位置する及び/又は落下防止デバイス11Aのユーザの視野内にあるリモートデバイス(例えば、インジケータグラス、バイザーなど)に含まれる1つ以上の発光ダイオード(LED)を含んでもよい。別の実施例では、出力ユニット112は、落下防止デバイス11A上に位置する及び/又はリモートデバイス(例えば、イヤピース、ヘッドセットなど)に含まれる1つ以上のスピーカを含むことができる。更に別の実施例では、出力ユニット112は、振動又は他の触覚フィードバックを生成して落下防止デバイス11A又はリモートデバイス(例えば、ブレスレット、ヘルメット、イヤピースなど)に搭載された、触覚フィードバック生成器を含んでもよい。更に別の実施例では、出力ユニット112は、エンドユーザコンピューティングデバイス16、コンピューティングデバイス18、安全ステーション15、ハブ14(
図1)又は他の任意のコンピューティングデバイスなどの別のコンピューティングデバイスに送信するための電子メッセージを生成することができる。
【0112】
上述のように、プロセッサ100は、落下防止デバイス11Aがアンカーされているかどうかを示す情報を生成する。いくつかの例では、プロセッサ100は、出力ユニット112に、落下防止デバイス11Aがアンカーされているかどうかを示す情報に基づいて、作業者10Aが適切にアンカーされているかどうかを示す情報を作業者10Aへと出力させることができる。
【0113】
動作中、落下防止ユニット108(又はコンピューティングデバイス98と通信することができる別のコンピューティングデバイス)は、落下防止デバイス11Aが支持構造体に接続されているかどうかを判定するために接続センサ106からのデータを使用してもよい。例えば、落下防止ユニット108は、落下防止デバイス11Aの構成要素の状態又は動作を示すデータを接続センサ106から受信することができる。落下防止ユニット108は、受信したデータに基づいて、複数の落下防止デバイス11Aの物品の接続状態を判定してもよい。例えば、落下防止ユニット108は、落下防止デバイス11Aの構成要素が支持構造体へ接続できるように移動したこと、及び、支持構造体が落下防止デバイス11Aの取り付け領域内に配置されていること、を示すデータに基づいて、落下防止デバイス11Aの特定の物品が支持構造体に接続されていると判定することができる。
【0114】
いくつかの事例では、落下防止ユニット108は、判定された接続状態に基づいて、ロック109及び/又はフィードバック構成要素113の動作を制御することができる。例えば、落下防止デバイス11の落下防止デバイス11Aが支持構造体に接続されている唯一の落下防止デバイス11であるとの判定に基づいて(例えば、判定された接続状態に従って)、落下防止ユニット108は、支持構造体から落下防止デバイス11Aが外れることを妨げる又は阻止するために、ロック109を作動させてもよい。
【0115】
いくつかの実施例では、ロック109は、落下防止デバイス11Aの二次又は三次ロックとすることができる。例えば、特定の安全基準又はコードは、落下防止デバイス11Aの構成要素を動かすために(例えば、ゲートを動かすために)少なくとも2つの別々の意図的な動作を必要とし、それによって落下防止デバイス11Aを支持構造体に接続又は外すことができる。
図10及び
図11に関して以下で更に詳細に説明するように、各々の別々の意図的な動作は、ロック機構と関連付けてもよい。本開示の態様によれば、ロック109によって、かかるロック機構のうちの1つ以上が操作されること、例えば、支持構造体からの取り外しを可能にするために開かれること、を阻止することができる。
【0116】
落下防止ユニット108はまた、ロック109を解除することもできる。例えば、ロック109を作動させた後、落下防止ユニット108は、落下防止デバイス11が支持構造体に接続されているかどうかを監視し続けてもよい。落下防止デバイス11Aの1つ以上の他の物品が支持構造体に接続されている場合、もはやロック109によって、落下防止デバイス11Aが支持構造体から外れることを妨げることがないように、落下防止ユニット108はロック109を解除する。
【0117】
落下防止ユニット108がロック109を作動させる場合には、出力ユニット112は、ロック109が作動されたことを示す信号を生成することができる。例えば、上述のように、出力ユニット112は、ロック109が作動されたことを示す可聴、視覚、及び/又は触覚出力を生成してもよい。いくつかの実施例では、出力ユニット112は、エンドユーザコンピューティングデバイス16、コンピューティングデバイス18、安全ステーション15、ハブ14(
図1)又は、他の任意のコンピューティングデバイスなどの別のコンピューティングデバイスへの送信のために、ロック109が作動されたこと、を示す電子メッセージを追加的に又は、代替的に生成することができる。
【0118】
いくつかの事例では、ロック109は手動のオーバーライドを組み込んでもよい。例えば、ユーザは、ロック109をロック位置からアンロック位置に解除するために1つ以上の動作を手動で実行することができる。上述のアラートに加えて、又はその代わりに、出力ユニット112は、落下防止デバイス11Aのユーザによってロック109が手動でオーバーライドされたことを示す信号を生成してもよい。例えば、出力ユニット112は、手動のオーバーライドが実行されたことを示す電子メッセージ、可聴出力、視覚出力、及び/又は触覚出力を生成することができる。
【0119】
いくつかの実施例では、ロック109を作動させるのではなく(又は、ロック109の作動に加えて)、落下防止ユニット108は、判定された接続状態に基づいて、フィードバック構成要素113を作動させてもよい。例えば、落下防止デバイス11Aの特定の物品が支持構造体に接続されている唯一の落下防止デバイスであることの判定に基づいて(例えば、判定された接続状態に従って)、落下防止ユニット108はアラートデータを生成して、フィードバック構成要素113に送信することができる。アラートデータを受信すると、落下防止デバイス11Aは、落下防止デバイス11Aが少なくとも1つの支持構造体に接続されている唯一の落下防止デバイスの物品であることを示すアラートを生成することができる。即ち、いくつかの例では、フィードバック構成要素113は、(例えば、1つ以上のスピーカを介した)可聴アラート、(例えば、1つ以上のディスプレイ、発光ダイオード(LED)などを介した)視覚的アラート、又は(例えば、振動するか、又は他の触覚フィードバックを提供する、落下防止デバイス11Aの構成要素を介した)触覚アラートを生成することができる。他の実施例では、上述のように、出力ユニット112は、例えばコンピューティングデバイス18(
図1)などの別のデバイスへの送信のために、接続状態を示す電子メッセージを生成してもよい。いくつかの実施例では、本開示の態様によれば、落下防止ユニット108は、落下が発生したかどうかを判定することができる。例えば、落下防止ユニット108は、落下防止デバイス11Aに負荷がかかっていることを示すデータを接続センサ106から受信してもよい。負荷が所定の閾値を超えたことに応答して、落下防止ユニット108は、出力ユニット112が出力するための可聴、視覚又は触覚のアラートを生成することができる。いくつかの実施例では、落下防止ユニット108はまた、例えば、ユーザが落下した(それによって荷重を生成した)だけでなく、落下後に宙づりになっていることを判定するために、負荷がかかっている時間を測定してもよい。
【0120】
図4A及び
図4Bは、落下防止デバイスが金属構造体にアンカーされているかどうかを判定するための例示的なプロセスを示すフロー図である。上述のように、コンピューティングデバイス98は、接続センサ106の誘導センサの共振周波数を求めるように構成された誘導感知プロセッサ101を含む。誘導センサの共振周波数が変化した場合、その変化は、落下防止デバイス11Aの取り付け領域内に金属構造体があることを示し得る。取り付け領域内に金属構造体がある場合、いくつかの例では、プロセッサ100は、落下防止デバイス11Aが適切に拘束されている(例えば、適切にアンカーされている)ことを示す情報を生成するように構成してもよい。いくつかの例では、プロセッサ100は、共振周波数が変化したこと、及び落下防止デバイス11Aの可動ゲートが閉じていることを示す情報を使用して、落下防止デバイス11Aが適切にアンカーされていると判定する。
【0121】
容易にするために、プロセッサ100に関して、
図4A及び
図4Bの例を説明する。しかしながら、いくつかの例では、プロセッサ100は、共振周波数を示す情報を収集し、かかる情報をハブ14、安全ステーション15、コンピューティングデバイス16、及び/又はPPEMS6に出力し、ハブ14、安全ステーション15、コンピューティングデバイス16、及び/又はPPEMS6のうちの1つ以上は、落下防止デバイス11Aが適切にアンカーされているかどうかを判定する。したがって、プロセッサ100に関して説明される例示的な技術は、プロセッサ100、ハブ14、安全ステーション15、コンピューティングデバイス16、及び/又はPPEMS6のうちの1つ以上、あるいはこれらの組み合わせによって実施することができる。
【0122】
センサ106内に2つの誘導センサがあることに関して、
図4A及び
図4Bの例を説明する。しかしながら、センサ106に1つの誘導センサのみが存在しても、あるいは3つ以上の誘導センサが存在してもよい。例示的な技術は、1つの誘導センサのみが存在する場合を除き、実質的に同様の様式で動作してもよく、以下に記載される合計する動作のうちのあるものは必須ではない。
【0123】
図4A及び
図4Bの例では、第1及び第2の誘導センサの動作は、互いに並行して行われるものとして示されている。しかしながら、
図4A及び
図4Bの実施例は、そのように限定されるものと見なされるべきではない。第1の誘導センサ及び第2の誘導センサの例示的な動作は、実質的に同時に、時間的に重畳して、又は順次行われてもよい。また、メモリ102などに以前に格納された値を利用する上述の例示的な動作は、その値を取り出し、その値に対して、並行して、時間的に重畳して、又は順次演算を実行してもよい。
【0124】
図示されるように、誘導感知プロセッサ101は、第1の誘導センサの現在の共振周波数を求め(120A)、第2の誘導センサの現在の共振周波数を求める(120B)。1つ以上の実施例では、誘導感知プロセッサ101は、誘導センサのそれぞれの共振周波数を周期的に(例えば、100~200ミリ秒(ms)ごとに)求めるように構成されている。いくつかの実施例では、誘導感知プロセッサ101は、可動ゲートが開けられた場合と比較して、可動ゲートが閉じている場合に誘導センサのそれぞれの共振周波数をより頻繁に求め、それにより、共振周波数を、ゲートが開いているときにはそれほど頻繁には求めないことによって電力を節約する。
【0125】
共振周波数を求める1つの例示的な方法は、誘導感知プロセッサ101が、異なる周波数で、ある入力振幅を有するパルスを出力し、周波数それぞれに対する出力振幅を測定することである。誘導感知プロセッサ101は、パルスの周波数それぞれに対する出力振幅と入力振幅との比を求めることができる。出力振幅と入力振幅との比が最大である周波数は共振周波数を示すことができ、誘導感知プロセッサ101は、更なる処理のために、共振周波数を示す情報をプロセッサ100に出力する。
【0126】
図4Aでは、プロセッサ100は、第1の誘導センサのベースライン共振周波数の現在の推定値を求め(122A)、第2の誘導センサのベースライン共振周波数の現在の推定値を求める(122B)。
図5及び
図6に関して、ベースライン共振周波数の現在の推定値を求めるための技術の実施例をより詳細に説明する。
【0127】
誘導センサのベースライン共振周波数は、誘導センサに近接する金属構造体が存在しないときの誘導センサの共振周波数である。誘導センサのそれぞれは、特定の共振周波数(例えば、4.5MHz)に同調され、ベースライン共振周波数の初期推定値は、誘導センサが同調された共振周波数であり得る。しかしながら、経時変化及び他の要因に起因して、ベースライン共振周波数が変化することがある。したがって、いくつかの実施例では、プロセッサ100は、誘導センサのベースライン共振周波数を周期的に求める。
【0128】
プロセッサ100は、ベースライン共振周波数を使用して、現在の共振周波数がベースライン共振周波数と異なるかどうかを判定する。例えば、プロセッサ100は、第1の誘導センサの現在の共振周波数とベースライン共振周波数の推定値との差を求める(124A)。このようにして、プロセッサ100は、第1の誘導センサの共振周波数の変化を示す第1の差分値を求める。プロセッサ100は、第2の誘導センサの現在の共振周波数とベースライン共振周波数の推定値との差を求める(124B)。このようにして、プロセッサ100は、第2の誘導センサの共振周波数の変化を示す第2の差分値を求める。
【0129】
差を求める際に、プロセッサ100は、誘導感知プロセッサによって測定された現在の共振周波数(「f」で表される)からベースライン共振周波数の推定値(「u」で表される)を減算する。換言すれば、プロセッサ100は、第1の誘導センサの(f-u)を求め、かつ、第2の誘導センサの(f-u)を求める。動作の順序(例えば、fからuを減算する)は、特定の状況において有用であり得る。例えば、取り付け領域内に金属が配置されている場合、誘導センサが設計された共振周波数(例えば、約4.5MHz)では、共振周波数は増加することになる。したがって、取り付け領域内に金属が配置されている場合、(f-u)は正数でなければならない。
【0130】
別の実施例として、ベースライン共振周波数が100kHz以下であると仮定する。かかる実施例では、鋼又は鉄が取り付け領域内にある場合、共振周波数は増加することになる。アルミニウムが取り付け領域内にある場合、共振周波数は減少することになる。したがって、(f-u)が正数である場合、プロセッサ100は、鋼又は鉄が取り付け領域内にある旨を判定することができるが、(f-u)が負数である場合、プロセッサ100は、アルミニウムが取り付け領域内にある旨を判定することができる。共振周波数が上向きにシフトするか、あるいは下向きにシフトするかは、透磁率、金属の種類、及び共振周波数の因子であり得る。高共振周波数(例えば、1MHz以上)の場合、透磁率は共振周波数に影響を与えないことがある。しかし、低共振周波数(例えば、100kHz以下)の場合、透磁率は共振周波数に影響を与えることがある。いくつかの実施例では、ベースライン共振周波数が低くなると、鉄又は鋼は共振周波数を上向きにシフトさせるが、アルミニウムは共振周波数を下向きにシフトさせ、シフトの方向を使用して、取り付け領域内の金属の種類を判定する。
【0131】
上述のように、誘導センサは、4.5MHzなど、約1MHz以上の共振周波数用に構成される。かかる高共振周波数を選択する1つの理由は、金属(例えば、落下防止デバイス11の支持構造体として一般的に好適な金属)からの誘導結合は、共振周波数を増加させるだけであり得るからである。より低い周波数の共振周波数が選択された場合、金属からの誘導結合は、金属の透磁率に起因して、共振周波数を増加又は減少させることがある。例えば、誘導センサが構成されている共振周波数が低すぎる場合、渦電流により共振周波数が増加するが、金属の透磁率に起因する結合により共振周波数が減少して、共振周波数の全体的な変化が全く又はほとんどを生じない可能性があり得る。この場合、取り付け領域内に金属が配置されているが、共振周波数に変化がないことがあり、プロセッサ100は、金属が取り付け領域内にないと誤って判定することがある。誘導センサに対して十分に高い共振周波数を選択することによって、透磁率の影響を打ち消すことができ、取り付け領域内に金属が配置されると、共振周波数は一貫して増加する。
【0132】
いくつかの実施例では、取り付け領域内の金属の種類を判定する有利な点として、金属の透磁率を使用することができる。例えば、ベースライン共振周波数が比較的低く(例えば、100kHz)設定されている場合、プロセッサ100は、シフトの方向(例えば、ベースライン共振周波数に対して上向きか、又は下向きか)を判定して、金属の種類を判定することができる。
【0133】
図4Aに示す例では、プロセッサ100は、差を合計して(例えば、第1の差分値と第2の差分値とを合計して)、第1の共振周波数値の変化の合計を生成する(126)。1つの誘導センサのみが存在する例では、プロセッサ100は、かかる合計を実行しなくてもよく、そのような例では、第1の共振周波数値の変化の合計は、第1の差分値に等しい。3つ以上の誘導センサが存在する実施例では、プロセッサ100は、全ての誘導センサの差分値を合計して、第1の共振周波数値の変化の合計を生成することができる。
【0134】
いくつかの実施例では、プロセッサ100は、適切なアンカーを保証するために、第1の共振周波数値の変化の合計に依拠して、金属構造体が落下防止デバイス11Aの取り付け領域内に配置されているかどうかを判定する。例えば、プロセッサ100は、第1の共振周波数の変化の合計が、周波数変化閾値(例えば、5kHz)よりも大きいかどうかを判定する。第1の共振周波数の変化の合計が周波数変化閾値よりも大きい場合、プロセッサ100は、取り付け領域内に金属が配置されていると判定し、ゲートが閉じている場合には、落下防止デバイス11Aがアンカーされていることを示す情報を生成する。第1の共振周波数の変化の合計が周波数変化閾値以下である場合、プロセッサ100は、取り付け領域内に金属が配置されていないと判定し、落下防止デバイス11Aがアンカーされていない又は拘束されていないことを示す情報を生成する。
【0135】
周波数変化閾値は、ベースライン共振周波数に基づき得る。例えば、4.5MHzのベースライン共振周波数を有する電子回路は、特定の金属支持構造体を検出し、かつ環境ノイズを除去するために、5kHzの周波数変化閾値を必要とし得る。しかしながら、8MHzのベースライン共振周波数を有する電子回路は、環境ノイズの検出及び除去のために、10kHzの周波数変化閾値を必要とし得る。
【0136】
しかしながら、落下防止デバイス11Aがアンカーされているかどうかの判定における精度を更に保証するために、プロセッサ100は、第1及び第2の誘導センサの以前の共振周波数測定値に依拠してもよい。誘導感知プロセッサ101は、測定共振周波数値をメモリ102に格納する。いくつかの実施例では、プロセッサ100は、第1の誘導センサの以前の共振周波数を求め(128A)、及び第2の誘導センサの以前の共振周波数を求める(128B)。一例として、第1及び第2の誘導センサの以前の共振周波数は、直前の測定共振周波数(例えば、現在の測定共振周波数の直前に測定された共振周波数値)であり得る。
【0137】
プロセッサ100は、第1の誘導センサの以前の共振周波数と第1の誘導センサのベースライン共振周波数の現在の推定値との差を求める(130A)。この実施例では、以前の共振周波数は、第1の誘導センサの共振周波数として誘導感知プロセッサ101によって以前に求められた値であり、プロセッサ100によりメモリ102から取り出されるが、ベースライン共振周波数は、ベースライン共振周波数の現在の推定値であり、以前の推定値ではない。プロセッサ100は、第2の誘導センサの以前の共振周波数と第2の誘導センサのベースライン共振周波数の現在の推定値との差を求める(130B)。この実施例では、以前の共振周波数は、第2の誘導センサの共振周波数として誘導感知プロセッサ101によって以前に求められた値であり、プロセッサ100によりメモリ102から取り出されるが、ベースライン共振周波数は、ベースライン共振周波数の現在の推定値であり、以前の推定値ではない。
【0138】
図4Aに示す実施例では、プロセッサ100は、差を合計して、第2の共振周波数値の変化の合計を生成する(132)。
図4Bを参照すると、プロセッサ100は、第1及び第2の共振周波数値の変化の合計を周波数変化閾値と比較し(134)、その比較に基づいて、金属支持構造体が落下防止デバイス11Aの取り付け領域内にあるかどうかを判定する。
【0139】
例えば、プロセッサ100は、第1及び第2の共振周波数変化値の合計の両方が周波数変化閾値未満であるかどうかを判定する(136)。第1及び第2の共振周波数値の変化の合計の両方が周波数変化閾値未満である場合(136の「はい」)、プロセッサ100は、落下防止デバイス11Aがアンカーされていないと判定し、落下防止デバイス11Aがアンカーされていないことを示す情報を生成することができる。いくつかの実施例では、プロセッサ100は、第1及び第2の共振周波数値の変化の合計の両方が周波数変化閾値未満である場合であっても、落下防止デバイス11Aがアンカーされていると判定することができる。例えば、後述するように、プロセッサ100が、落下防止デバイス11Aがアンカーされていると以前に判定しており、それ以降プロセッサ100が、ゲートが開いたと判定していない場合、プロセッサ100は、第1及び第2の共振周波数値の変化の合計の両方が周波数変化閾値未満である場合であっても、落下防止デバイス11Aがアンカーされていると判定することができる。
【0140】
プロセッサ100が、第1及び第2の共振周波数値の変化の合計の両方ともが周波数変化閾値未満である訳ではないと判定した場合(136の「いいえ」)、第1及び第2の共振周波数値の変化の合計の一方又はもしかすると両方が周波数変化閾値よりも大きい。プロセッサ100は、第1及び第2の共振周波数値の変化の合計の両方が周波数変化閾値以上であるかどうかを判定することができる(140)。
【0141】
第1及び第2の共振周波数値の変化の合計の両方が周波数変化閾値以上である場合(140の「はい」)、プロセッサ100は、落下防止デバイス11Aがアンカーされていると判定することができる(142)。プロセッサ100は、落下防止デバイス11Aがアンカーされていることを示す情報を生成することができる。いくつかの実施例では、プロセッサ100は、第1及び第2の共振周波数変化値の合計の両方が周波数変化閾値以上であるときのみ、取り付け領域が支持構造体を取り囲んでいると判定することができる。かかる実施例では、プロセッサ100は、以下の2つの条件が満たされない限り、落下防止デバイス11Aがアンカーされていると判定することができない:(1)第1及び第2の共振周波数値の変化の合計の両方が、周波数変化閾値以上であること、かつ(2)可動ゲートが閉じている(例えば、落下防止デバイス11Aのゲートが閉位置にある)。
【0142】
第1及び第2の共振周波数値の変化の合計の両方がともに周波数変化閾値以上であるという訳ではない場合(140の「いいえ」)、プロセッサ100は、落下防止デバイス11Aの状態が変化していないと判定することができる(144)。落下防止デバイス11Aがアンカーされているとプロセッサ100が以前に判定した場合には、プロセッサ100は、落下防止デバイス11Aの状態をアンカーされたままに保つことができ、落下防止デバイス11Aがアンカー固定されていないとプロセッサ100が以前に判定した場合には、プロセッサ100は、落下防止デバイス11Aの状態をアンカーされていないままに保つことができる。
【0143】
いくつかの実施例では、現在の共振周波数とベースライン共振周波数の推定値との差の差分値を合計することは任意であってよい。例えば、プロセッサ100は、誘導センサのうちのいずれかの差分値が周波数変化閾値よりも大きいかどうかを判定することができ、誘導センサのうちのいずれかの差分値が周波数変化閾値よりも大きい場合にのみ、プロセッサ100は、落下防止デバイス11Aがアンカーされている(又は少なくとも、落下防止デバイス11Aの取り付け領域が支持構造体を取り囲んでいる)と判定する。同様に、差分値は、現在の共振周波数からの誘導センサのベースライン共振周波数の現在の推定値の減算を指す。
【0144】
しかしながら、
図4Aに関して上述したように、差分値を加算することは有益であり得る。いくつかの実施例では、取り付け領域内の支持構造体の場所に起因して、支持構造体は、部分的に誘導センサのうちの1つと結合し、かつ、部分的に他の誘導センサと結合することができる。例えば、取り付け領域内の支持構造体の場所に起因して、支持構造体は、その共振周波数を2kHz増加させるように第1の誘導センサと結合し、共振周波数を4kHz増加させるように第2の誘導センサと結合することができる。この場合、周波数変化閾値が5kHzであったとすると、プロセッサ100が各差分値を閾値と比較した場合に、2kHzも4kHzも共に5kHz未満であるので、プロセッサ100は、支持構造体が取り付け領域内にある旨を判定しなくてもよい。合計を使用すると、プロセッサ100は、6kHz(2kHz+4kHz)が5kHzよりも大きいので、支持構造体が取り付け領域内にあると正確に判定することができる。
【0145】
また、第1の共振周波数値の変化の合計及び第2の共振周波数値の変化の合計の両方に依拠して、落下防止デバイス11Aがアンカーされているか、アンカーされていないかを判定することは、有益であり得る。いくつかの実施例では、誘導感知プロセッサは、100ms~500msごとに共振周波数を求めてもよい。共振周波数の2つの連続した測定値が、落下防止デバイス11Aがアンカーされていること又はアンカーされていないことを示す場合、落下防止デバイス11Aが真にアンカーされている又はアンカーされていない可能性が高い。しかしながら、共振周波数の2つの連続した測定値が、落下防止デバイス11Aがアンカーされていること又はアンカーされていないことを示していない場合、2つの測定値のうちの1つが不正確であり得、安全性のために、プロセッサ100は、落下防止デバイス11Aの状態を変更しなくてもよい。
【0146】
いくつかの実施例では、ベースライン共振周波数測定値は必要でなくてもよく、誘導センサの電子回路の共振周波数の変化率に基づいて、例示的な技術を実施することができる。例えば、プロセッサ100又は誘導感知プロセッサ101は、測定共振周波数値をメモリ102に格納する。プロセッサ100は、経時的に測定された周波数値の周波数の変化(例えば、周波数勾配)を求めることができる。電子回路が支持構造体の存在下にあるときには共振周波数が増加することになるので、高勾配の正の周波数勾配は、落下防止デバイス11Aが支持構造体に接近したことを意味し得る。同様に、高勾配の負の周波数勾配は、落下防止デバイス11Aが支持構造体から離れたことを意味し得る。
【0147】
この場合、閾値は、特定の絶対周波数ではなく周波数勾配(例えば、5kHzではなく、XHz/秒の変化)に関するものであり得る。勾配閾値は、自然周波数ドリフト又は環境ノイズにより生じる可能性が低い十分な高さ(おそらく100kHz/秒程度)になるように選択することができる。更に、勾配閾値は、状態遷移を識別するために異なっていてもよい。一例として、第1の閾値+80kHz/秒は、アンカーへの到達(例えば、支持構造体が落下防止デバイス11A内に到達していること)を識別するためのものであってもよく、-50kHz/秒は、アンカーからの離脱(例えば、支持構造体が落下防止デバイス11Aから離れていること)を識別するためのものであってもよい。
【0148】
図4A及び
図4Bに示す実施例では、プロセッサ100及び/又は誘導感知プロセッサ101は、誘導センサの電子回路の共振周波数の変化を求め、共振周波数の変化に基づいて、支持構造体が取り付け領域内にあるかどうかを判定する。
図4A及び
図4Bに示す実施例では、共振周波数の変化は、ヘルツの差で測定された変化であり、差が十分であるかどうかに基づいて、プロセッサ100は、落下防止デバイス11Aが支持構造体にアンカーされているかどうかを示す情報を生成することができる。
【0149】
図15に示される例では、プロセッサ100及び/又は誘導感知プロセッサ101は、誘導センサの電子回路の共振周波数の変化を求めることができる。しかしながら、プロセッサ100及び/又は誘導感知プロセッサ101は、誘導センサの電子回路の共振周波数の変化率を求めることができる(400)。例えば、プロセッサ100は、共振周波数がどのくらい速く変化したか、及び共振周波数が増加するか(例えば、正の傾きか)、減少したか(例えば、負の傾きか)を判定することができる。この実施例では、共振周波数の変化は、共振周波数の変化率を指す。
【0150】
図15では、共振周波数の変化に基づいて、支持構造体が取り付け領域内にあるかどうかを判定するために、プロセッサ100は、共振周波数の変化率に基づいて、支持構造体が落下防止デバイス11Aの取り付け領域内にあるかどうかを判定することができる(410)。例えば、変化率が正であり、第1の閾値よりも大きい場合、プロセッサ100は、支持構造体が取り付け領域内にある旨を判定することができる。変化率が負であり、絶対値が第2の閾値よりも大きい場合、プロセッサ100は、支持構造体が取り付け領域内にない旨を判定することができる。第1の閾値と第2の閾値は差であってもよい。
【0151】
上記と同様に、プロセッサ100は、落下防止デバイス11Aがアンカーされているかどうかを示す情報を生成することができる(420)。例えば、落下防止デバイス11Aは、可聴フィードバック、視覚フィードバック若しくは触覚フィードバック、落下防止デバイス11Aがアンカーされているかどうかを示すように記載された他の種類の情報、又は他の種類のフィードバックを生成することができる。
【0152】
図5は、落下防止デバイスの誘導センサのベースライン共振周波数を求めるための例示的なプロセスを示すフロー図である。
図4A及び
図4Bの例では、プロセッサ100は、ベースライン共振周波数の推定値を求めた。
図5は、ベースライン共振周波数の現在の推定値を求めるための技術の例を示している。1つの誘導センサに関して
図5の例を説明するが、例示的な技術は、他の誘導センサにも適用可能である。
【0153】
上述のように、誘導感知プロセッサ101は、誘導センサの共振周波数を周期的に求める。
図5に示される動作は、誘導感知プロセッサ101が共振周波数を判定したことに応答して開始することができる。
【0154】
例えば、プロセッサ100は、(例えば、
図4A及び
図4Bの動作の結果に基づいて)落下防止デバイス11Aがアンカーされていると以前に判定されたかどうかを判定する(146)。初めに、例えば、落下防止デバイス11Aがアンカーされているとの判定をプロセッサ100が行うまで、プロセッサ100は、落下防止デバイス11Aがアンカーされていないと判定するように構成してもよい。しかしながら、落下防止デバイス11Aがアンカーされていないと想定されるが、より詳細に説明するように、落下防止デバイス11Aが実際にはアンカーされている場合であっても、例示的な技術は、この不正確な初期状態を補正することができる。
【0155】
落下防止デバイス11Aがアンカーされているとプロセッサ100が以前に判定した場合(146の「はい」)、プロセッサ100は、推定値をベースライン共振周波数に更新しない(148)。例えば、落下防止デバイス11Aがアンカーされていると以前に判定された場合、金属支持構造体は取り付け領域内にある。上述のように、ベースライン共振周波数は、取り付け領域内に金属支持構造体がないときの誘導センサの周波数である。したがって、金属支持構造体が取り付け領域内にある場合、共振周波数の測定値は、ベースライン共振周波数の測定値とはならない。
【0156】
落下防止デバイス11Aがアンカーされていないとプロセッサ100が以前に判定した場合(146の「いいえ」)、誘導感知プロセッサは、誘導センサの現在のベースライン共振周波数を求める(150)。落下防止デバイス11Aがアンカーされていないと以前に判定された場合、金属構造体は取り付け領域内にないことがあり、測定値はベースライン共振周波数の実際の測定値であり得る。
【0157】
いくつかの実施例では、プロセッサ100は、測定ベースライン共振周波数を推定ベースライン共振周波数として設定する。しかしながら、ベースライン共振周波数が測定値ごとにどのくらい変化するかにはばらつきがあり、あるいは、測定にはエラーがあり得る。したがって、プロセッサ100は、ベースライン共振周波数の値が劇的にシフトしないように平滑化アルゴリズムを適用することができ、エラーのある測定値による影響を低減する。
【0158】
例えば、プロセッサ100は、誘導センサの現在の平均共振周波数を読み取る(152)。現在の平均共振周波数は、プロセッサ100が測定ベースライン共振周波数を調整する量を制御するためにプロセッサ100が利用するベースライン共振周波数値の移動平均を示す。メモリ102は、測定ベースライン共振周波数の値を格納するように構成してもよい。例えば、誘導感知プロセッサが共振周波数を求めると、誘導感知プロセッサは、メモリ102に共振周波数を示す値を格納することができる。共振周波数値のそれぞれについて、プロセッサ100は、その値がベースライン共振周波数に対応するかどうかを示すことができる。例えば、落下防止デバイス11Aがアンカーされていないと判定されると(例えば、146の「いいえ」)、誘導感知プロセッサによって共振周波数測定値が取得された場合、プロセッサ100は、これらの共振周波数測定値をベースライン共振周波数値と識別することができる。落下防止デバイス11Aがアンカーされていると判定されると(例えば、146の「はい」)、誘導感知プロセッサによって共振周波数測定値が取得された場合、プロセッサ100は、これらの共振周波数測定値をベースライン共振周波数値ではないと識別することができる。
【0159】
いくつかの実施例では、プロセッサ100は、実際の測定ベースライン共振周波数に基づいて、現在の平均共振周波数を求め、実施された可能性がある任意の平滑化に基づくものではない。
図6に関して、現在の平均共振周波数を求めるための技術の例をより詳細に説明する。
【0160】
プロセッサ100は、誘導センサの現在の共振周波数と、誘導センサの現在の平均共振周波数との差を求める(154)。プロセッサ100は、その差に基づいて、ベースライン共振周波数の現在の推定値を求める。例えば、プロセッサ100は、その差に基づいて、誘導センサの前記現在の平均共振周波数に向かって現在の共振周波数を示す値を調整して、調整された値を求めることができる。プロセッサ100は、ベースライン共振周波数の現在の推定値を、調整された値に等しく設定する(158)。ベースライン共振周波数のこの推定値は、
図4A及び
図4Bの例示的な動作を実行するときにプロセッサ100が使用するものである。
【0161】
一例として、プロセッサ100は、現在の平均共振周波数に向かって測定ベースライン共振周波数を限定された割合で調整する(例えば、5%など、差の一部分のみを加算又は減算する)。例えば、現在の平均共振周波数と測定ベースライン共振周波数との差が「X」であり、現在の平均共振周波数が測定ベースライン共振周波数よりも大きい場合、プロセッサ100は、測定ベースライン共振周波数値に0.05*Xを加算する。プロセッサ100は、ベースライン共振周波数の現在の推定値を、(測定ベースライン共振周波数+0/05*X)に等しく設定する。ベースライン共振周波数の推定値をゆっくりと増加させることにより、システム全体の安定性を改善することができる。例えば、遅い順応(例えば、ベースライン共振周波数の推定値をゆっくりと増大させること)は、ローパスフィルタと類似していることがあり、一時的な環境ノイズの影響を低減させる。
【0162】
図6は、
図5のベースライン共振周波数を求めるために使用される平均共振周波数を求めるための例示的なプロセスを示すフロー図である。プロセッサ100は、十分なデータポイントがあるか(例えば、誘導感知プロセッサから、十分な数のベースライン共振周波数測定値がメモリ102に格納されているか)どうかを判定することができる(160)。データポイントのセットは、共振周波数測定のウィンドウと呼ばれる。一実施例として、データポイントの数(例えば、ウィンドウのサイズ)は5である。十分な数のベースライン共振周波数の測定値がない場合(160の「いいえ」)、プロセッサ100は、現在の平均共振周波数の値を更新しなくてもよい(162)。
【0163】
十分な数のベースライン共振周波数の測定値がある場合(160の「はい」)、プロセッサ100は、メモリ102からベースライン共振周波数を取り出す(164)。プロセッサ100は、取り出したベースライン共振周波数測定値の平均を求める(174)。本開示で使用される平均(average)の例は、平均値(mean)、中央値(median)、又は最頻値(mode)を指し、任意の重み付けが値に適用される例を含む。「平均する(averaging)」とは、1つの数値を出力するために数値セットに対して演算を実行するための任意の技術を指し、かかる演算の例は、平均値(mean)、中央値(median)、又は最頻値(mode)である。
【0164】
いくつかの実施例では、取り出したベースライン共振周波数測定値に対して平均を実行するのではなく、プロセッサ100は、ベースライン共振周波数測定値に何らかのエラーが存在するかどうか、及びそのエラーがエラー数の閾値未満であるかどうかを判定することができる(170)。ベースライン共振周波数測定値のエラーは、ベースライン共振周波数値が最大値よりも大きい場合、あるいは最小値よりも小さいである場合である。ベースライン共振周波数測定値のエラーは、ベースライン共振周波数値が、他のベースライン共振周波数値から、偏差閾値を超えて逸脱する場合であり得る。ベースライン共振周波数測定値にエラー値が存在するかどうかを判定するための他の例示的な方法が可能である。
【0165】
エラー数の閾値以上である場合(170の「いいえ」)、プロセッサ100は、現在の平均共振周波数の値を更新しなくてもよい(162)。エラー数の閾値以下である場合(170の「はい」)、プロセッサ100は、取り出したベースライン共振周波数測定値からエラー値を取り除き(172)、残りのベースライン共振周波数測定値を使用することによって平均を求める(174)。いくつかの例では、プロセッサ100は、エラーのあるベースライン共振周波数測定値の値を置換する。例えば、プロセッサ100は、メモリ102から追加のベースライン共振周波数測定値及び残りのベースライン共振周波数測定値を使用することによって、平均を求める。いくつかの実施例では、プロセッサ100は、残りのベースライン共振周波数測定値から追加の値を補間し、補間値及び残りのベースライン共振周波数測定値を使用することによって平均を求める。エラーのある値の値を置換するために他の方法が可能である。
【0166】
いくつかの実施例では、プロセッサ100は、求めた平均の値(average value)を現在の平均共振周波数として設定する。しかしながら、いくつかの実施例では、プロセッサ100は、求めた平均共振周波数と共振周波数測定値のウィンドウの共振周波数の以前の平均との間に十分な差があるかどうかに基づいて、求めた平均の値を現在の平均共振値として設定するかどうかを判定する。
【0167】
例えば、プロセッサ100は、求めた平均共振周波数と共振周波数の以前の平均との差を示す差分値を求め、その差が平均周波数の変化の閾値以下であるかどうかを判定する(176)。差分値が平均周波数変化閾値以下である場合(176の「はい」)、プロセッサ100は、現在の平均共振周波数の値を、現在の平均の値に等しく設定する(178)。差分値が平均周波数変化閾値以上である場合(176の「いいえ」)、プロセッサ100は、現在の平均共振周波数の値を現在の平均の値と以前の平均の値の加重平均に等しい値に設定する(180)。例えば、プロセッサ100は、判定した平均共振周波数値と共振周波数の以前の平均との差のフラクション(例えば、差の50%)を求めてもよい。プロセッサ100は、共振周波数の以前の平均が、求めた平均共振周波数よりも大きい場合、求めた平均共振周波数値にフラクションを加算し、得られた値を現在の平均共振周波数の値として設定する。プロセッサ100は、共振周波数の以前の平均が、判定した平均共振周波数未満である場合、求めた平均共振周波数値から少数値を減算し、得られた値を現在の平均共振周波数の値として設定する。
【0168】
図7は、落下防止デバイスの例示的な誘導センサを示す概念図である。
図7は、一実施例として、コンデンサC1及びC2を有する電子回路と、コイル184A及び184Bで形成されたインダクタとを含む、誘導センサ182を示している。
図7では、インダクタは、ジャンパを介して又はプリント回路基板(PCB)188を通して一緒に結合されたコイル184A及び184Bによって形成され、コイル184A及び184Bは、PCB188上に形成されている。PCB188の一例は、薄いシート(例えば、厚さ0.35mm+/-10%)のFR4材料であり、いくつかの実施例では、FR4材料用のシートは、落下防止デバイス11Aのボウルの周りで曲げられるように可撓性である。落下防止デバイス11Aのボウルは、落下防止デバイス11Aの取り付け領域を部分的に取り囲んでいる(例えば、完全に包囲していなくてもよい)。落下防止デバイス11Aの取り付け領域及び落下防止デバイス11Aのボウルを
図10により詳細に示し、説明する。
【0169】
図7の例では、コイル184A及び184Bは、一般的なレムニスケート形状(例えば、図形「8」)を形成する。コイル184A及び184Bは1ターン以上であり、
図7の例では、コイル184A及び184Bはそれぞれ、4ターンである。1ターンとは、コイル184A又は184Bを通るループ1つである。
【0170】
コイル184AはノードN1で終端し、コイル184BはノードN2で終端する。ノードN1とN2とはジャンパ接続を介して結合され、単一のインダクタを形成することができる。いくつかの実施例では、コイル184AはPCB188の第1の側に形成され、コイル184Bは、反対側のPCB188の第2の側に形成される。かかる実施例では、N1及びN2は、PCB188を貫通して形成されためっきビアによって結合して、単一のインダクタを形成することができる。一実施例では、コイル184A及び184Bによって形成されたインダクタのインダクタンスは、約1マイクロヘンリー(μH)であり、約50mm(例えば+/-10%)の長さの、約9mm(例えば+/-10%)幅の銅で形成される。インダクタのサイズ及びインダクタンスは、一例として提供されるものであり、限定的であると見なされるべきではない。一般に、インダクタのサイズは、落下防止デバイス11Aのサイズ及び形状、並びに落下防止デバイス11A内の利用可能な空間、並びにPCB188の可撓性の関数であり得る。したがって、インダクタのサイズ、したがってそのインダクタンスは、設計の選択の問題であり、本開示に記載される実施例と異なっていてもよい。
【0171】
誘導センサ182の電子回路はまた、インダクタと並列に接続された1つ以上のコンデンサを含み、いわゆる「LC共振回路」を形成する。図示されるように、誘導センサ182の電子回路は、インダクタと並列に接続されたコンデンサC1及びC2を含む。誘導センサ182のLC共振回路の共振周波数は、インダクタのインダクタンス、並びにC1及びC2の静電容量に基づく。LC共振回路の共振周波数の数式は、1/(2*pi*sqrt(L*C))であり、式中、piは約3.1415であり、sqrt()は平方根演算であり、Lはインダクタンスであり、Cは総静電容量である。
【0172】
一実施例では、誘導センサ182のLC共振回路のベースライン共振周波数は、約4.5MHzである。同様に、ベースライン共振周波数は、金属支持構造体が電子回路に近接していないときの電子回路の共振周波数を指す。インダクタンスが1μHである場合、C1及びC2からの総静電容量は、4.5MHzを達成するために1240ピコファラッド(pF)である。例えば、C1は約1000pFであり、C2は約240pFである。別の例として、インダクタンスが3.25μHであり、総静電容量が390pFである場合、ベースライン共振周波数は約4.5MHzである。
【0173】
2つのコンデンサが図示されているが、いくつかの実施例では、1つのコンデンサのみが存在してもよく、いくつかの実施例では、並列に結合された3つ以上のコンデンサが存在してもよい。コンデンサの数は、コンデンサのサイズ及び形状、並びにPCB188の可撓性の関数であり得る。所望の共振周波数が4.5MHzと異なる場合、所望の共振周波数を達成するために、インダクタンス及び静電容量を適宜調整してもよい。
【0174】
支持構造体が落下防止デバイス11Aの取り付け領域内にあるとき、誘導センサ182の電子回路(例えば、LC共振回路)の共振周波数がシフトする。一例として、金属アンカーが落下防止デバイス11Aの取り付け領域内にあるとき、電子回路の共振周波数は、支持構造体内に発生した渦電流に起因してシフトする。例えば、支持構造体内の渦電流により、インダクタの実効インダクタンスが低減し、実効インダクタンスの低減により、電子回路の共振周波数がシフトアップする。一例では、支持構造体が電子回路に近接している場合、共振周波数は、約5kHz以上までシフトアップする。上述のように、共振周波数のシフトは、支持構造体が落下防止デバイス11Aの取り付け領域内にあるかどうかを示すことができる。また、共振周波数がシフトする量は、ベースライン共振周波数の関数であり得る。
【0175】
いくつかの実施例では、支持構造体はまた、誘導センサ182の電子回路の総静電容量に影響を与えることがある。例えば、コイル184A及び184Bの各ターンは、コイル184A及び184B内に静電容量を生成する。誘導センサ182に近接する金属支持構造体は、コイル184A及び184Bのターン間の静電容量を増加させることがあり、これは、誘導センサ182の電子回路の共振周波数をシフトさせるのにも寄与する。
【0176】
誘導センサ182の電子回路の共振周波数が、ベースライン共振周波数(例えば、金属が電子回路に近接していないときの電子回路の共振周波数)に対して上向きにシフトするか(すなわ、ベースライン共振周波数に加算するか)、下向きにシフトするか(すなわち、ベースライン共振周波数から減算するか)は、ベースライン共振周波数及び金属の種類に基づく。例えば、金属の導電性及び透磁率は、共振周波数がシフトアップするか、シフトダウンするかに影響を与えることがある。渦電流の振幅は、金属の導電性に基づき得、渦電流の振幅が高くなるほど、電子回路の実効インダクタンスが減少し、共振周波数の増加につながる。しかしながら、金属の透磁率は、実効インダクタンスを増加させ、それによって共振周波数の減少を引き起こすことがある。
【0177】
4.5MHz以上のような高共振周波数では、金属の透磁率の影響は最小限に抑えられる。したがって、電子回路のベースライン共振周波数が約4.5MHzである実施例では、支持構造体の透磁率による影響を受けないことがあり、共振周波数は、支持構造体が誘導センサ182に近接していることに応答して上向きにのみシフトすることができる。
【0178】
いくつかの実施例では、より低いベースライン共振周波数を有するように電子回路を形成することは、金属の種類を判定するのに有用であり得る。一例として、電子回路のベースライン共振周波数は100kHz未満であり、これは、鋼の透磁率における典型的な低下よりも低い。かかる実施例では、支持構造体が鋼支持構造体であり、誘導センサ182に近接している場合、電子回路の共振周波数は、100kHzのベースライン共振周波数から下向きにシフトすることがある。しかしながら、支持構造体がアルミニウム支持構造体であり、誘導センサ182に近接している場合、電子回路の共振周波数は、100kHzのベースライン共振周波数から上向きにシフトすることがある。したがって、共振周波数が上向きにシフトしたか、下向きにシフトしたかに基づいて、プロセッサ100は、金属の種類(例えば、支持構造体が鋼であるか、アルミニウムであるか)を判定することができる。
【0179】
コイル184A及び184Bのレムニスケート形態は、誘導センサ182の動作を撹乱し得る外部磁場に対する耐性を提供することができる。例えば、
図7では、コイル184A及び184Bは、互いに対して反対方向に巻かれている。したがって、遠方磁場(例えば、誘導センサ182によって発生されない磁場)は、コイル184A及び184Bのそれぞれにほぼ等しく結合することができる。コイル184A及び184Bは互いに反対方向に巻かれているので、コイル184A内で外部磁場によって発生する信号は、コイル184B内で発生する信号をキャンセルする傾向がある。
【0180】
例えば、
図7は、コイル184A及び184Bを通る電流経路186を示しており、電流経路186は、どのように電流が誘導センサ182を流れるかについての一例を示している。電流の流れは、誘導センサ182の電子回路の共振周波数を判定することの一部であり得る。図示されるように、電流経路186は、インダクタの左側から始まってコイル184Aの頂部を通り、次いで電流経路186を通る電流は、コイル184Bを反時計回りに流れ、その後、ノードN2に到達する。電流経路186は、ノードN2からノードN1に進み、電流経路186を通る電流は、コイル18Aを時計回りに流れ、次いでインダクタの左側の底部で出る。この実施例では、電流はコイル184Aを時計回りに流れ、コイル184を反時計回りに流れるので、コイル184Aと184Bとは、互いに対して反対方向に巻かれていると見なすことができる。
【0181】
電流経路186を流れる電流により、落下防止デバイス11Aの取り付け領域内に電磁場が形成される。次いで、金属構造体が取り付け領域内にあることに応答して、渦電流が金属支持構造体内に形成される。渦電流は、次いで、インダクタと結合し、実効的な総インダクタンスを低下させる。したがって、誘導センサ182は、取り付け領域内に電磁場を発生させるような様式で位置決めされ及び配向され得る。
【0182】
実施例は、レムニスケートの一般的な形状を形成するコイル184A及び184Bを用いて説明されているが、本開示に記載される技術は、そのように限定されるものではない。いくつかの実施例では、コイル184A及び184Bを使用するのではなく、誘導センサ182の電子回路のインダクタを1つのコイルで形成してもよい。いくつかの実施例では、誘導センサ182の電子回路のインダクタを、3セット以上の(例えば、コイル184A及び184Aよりも多くの)コイルで形成してもよい。また、この形態は、必ずしもレムニスケートでなくてもよい。例えば、コイル184A及び184Bは、図形「8」を形成するように配置されていない楕円として形成されてもよい。
【0183】
図7では、コイル184A及び184Bのターンのそれぞれが、PCB188の表面上に形成されているものとして示されている。いくつかの実施例では、コイル184A及び184Bは、コイル184A及び184BがPCB188から垂直方向に外向きに延びるように、3次元空間に配置されてもよい。更に、上述したように、コイル184Aと184Bとは、PCB188の同じ側にあるものとして図示されているが、例示的な技術はそのように限定されるものではない。例えば、コイル184AはPCB188の第1の側に形成されてもよく、コイル184Bは、PCB188の第2の側に形成されてもよい。コイル184Aと184Bとを異なる側に有することによって、コイル184A及び184Bのそれぞれは、コイル184A及び184Bが同じ側にある例と比較して、より多くのターンを、したがってより高いインダクタンスを含むことができる。インダクタンスが高くなるほど、(他の条件が等しければ)電子回路の品質(Q)値が高くなり、実効並列抵抗が高くなる。誘導感知に使用されるいくつかの集積回路は、最小並列抵抗要件を有し、かつ、より高いQは、より鋭い共振ピークを与え、その結果、共振周波数のより正確な検出につながるので、より高いQ値及びより高い実効並列抵抗を有することは有益であり得る。
【0184】
並列抵抗(Rp)は、共振での回路のインピーダンスであり、純粋な実数(複素成分=0)である。理想的なケースでは、無限値であるが、実際のインダクタ及びコンデンサのエネルギー損失に起因して、有限値である。例えば、実並列LC回路(例えば、
図7に示された電子回路)は、理想的な(すなわち、ロスレスな)LC回路と並列な抵抗としてモデル化することができる何らかの損失(コンデンサの誘電体における損失及びインダクタの直列抵抗における損失、可能性として、インダクタの磁場が他の損失を生じやすい材料に結合する際に生じる損失など)を有することになる。共振では、L及びCのリアクタンスは互いにキャンセルし、並列抵抗Rpのみが残る。損失メカニズムは、電流が依然として、損失が発生するリアクタンス性の構成要素を流れているので、依然として共振でも動作している(依然として、Rpとしてモデル化されている)。
【0185】
DC回路における抵抗損失と同様に、高Rpは、回路を通る所与の電流について、回路全体にわたってより高い電圧を発生するので、高いRpが望ましい。Rpはまた、回路のQに関連する。高いQは、高いRpを示唆し、また共振がより「ピーキー(peaky)」であり、したがって識別がより容易なので、高いQが望ましい。例えば、高いQでは、共振周波数を示すピークの頂部は、比較的平坦なピークよりも高いので、誘導感知プロセッサ101は、共振周波数をより正確に判定することができる。
【0186】
上述のように、誘導センサ182は、落下防止デバイス11A内に(例えば、落下防止デバイス11Aのボウル内に)配置される。いくつかのケースでは、落下防止デバイス11Aの金属材料(例えば、炭素鋼又はアルミニウム)は、(例えば、渦電流を生成することによって)支持構造体がインダクタンスにどのように影響を与えるかと同様に、誘導センサ182のインダクタンスに影響を与え得る。したがって、落下防止デバイス11Aの金属材料は、共振周波数のシフトを引き起こし、支持構造体が取り付け領域内にあるとプロセッサ100に判定させることが可能である。例えば、シールド材料がないと、共振周波数(4.5MHzのベースライン共振周波数を仮定する)は、落下防止デバイス11A内の金属に起因して、110kHzシフトし得る。
【0187】
いくつかの実施例では、落下防止デバイス11Aは、フェライト材料などのシールド材料を含むが、誘導センサ182を取り囲み(例えば、隣接し)、かつ、落下防止デバイス11A内の金属から誘導センサ182を電気的に切り離すように置かれている他の材料を使用してもよい。例えば、シールド材料は、誘導センサ182を通って流れる電流によって生成された磁場が、落下防止デバイス11Aの金属内に渦電流を誘導することを阻止する。
【0188】
シールド材料の厚さは、磁気シールドの磁気抵抗を決定し、また、磁気シールドの磁気抵抗及びシールド材料の透磁率は、誘導センサ182のインダクタンスに影響を与えるので、シールド材料の厚さは、共振周波数がシフトする(例えば、変化する)量に影響を与え得る。シールド材料が薄いほど、誘導センサ182のインダクタンスに影響を与えることになる透磁性材料の体積が少なくなる。したがって、シールド材料は、設計上の必要性にとって実用的であるように薄くなければならない。
【0189】
フェライト厚が0.2mmの場合、ベースライン周波数からの共振周波数の変化は約40kHzであり得、フェライト厚さが0.05mmの場合、ベースライン共振周波数からの共振周波数の変化は、約6kHzであり得る。シールド材料の例としては、3M Flux Field Directional Material(FDM)番号EM15TF-007又はLarid MULL6060-300が挙げられ、これらは共に0.05mmの厚さを有し、良好な結果を呈する。更に、落下防止デバイスが屈曲されたとき又は横方向に圧縮されたときに、誘導センサ182の電子回路の共振周波数がシフトしないことがある、あるいはシフトが大幅に低減され得るので、シールド材料を有することは有益であり得る。例示的なシールド材料を含むことは、一実施例として提供されており、全ての実施例の要件と見なされるべきではないことを理解されたい。
【0190】
いくつかの実施例では、落下防止デバイス11Aは、誘導センサ182と類似の複数の誘導センサを含む。例えば、支持構造体は落下防止デバイス11Aの取り付け領域内にあり得るが、支持構造体が誘導センサ182に十分に近接していないので、誘導センサ182の共振周波数は変化しない可能性がある。落下防止デバイス11A内に誘導センサ182と類似の複数の誘導センサを含むことによって、支持構造体が取り付け領域内にあることを感知する全体的な感度が増大する。複数の誘導センサが存在する実施例では、誘導感知プロセッサは、誘導センサのそれぞれの共振周波数を順次判定して、誘導センサ間の磁場相互作用などの相互作用を防止することができる。
【0191】
図8は、落下防止デバイスの複数の誘導センサの一例を示す概念図である。
図8に示すように、落下防止デバイス11Aは、誘導センサ182と実質的に同様である誘導センサ182A及び182Bを含む(同一である場合を含む)。例えば、誘導センサ182Aは、コイル184A及び184Bと実質的に同様であるコイル190A及び190Bを含む(同一である場合を含む)。同様に、誘導センサ182Bは、コイル184A及び184Bと実質的に同様であるコイル192A及び192Bを含む(同一である場合を含む)。落下防止デバイス11Aは、3つ以上の誘導センサを含んでもよい。
【0192】
複数の誘導センサを有することによって、1つ以上の誘導センサの共振周波数は、取り付け領域内の支持構造体の場所に基づいてシフトすることができる。例えば、支持構造体が誘導センサ182Aに近接している場合、誘導センサ182Aの電子回路の共振周波数は、誘導センサ182Bの電子回路の共振周波数よりも大きくシフトし、逆もまた同様である。
図4A及び
図4Bに関して上述したように、プロセッサ100は、誘導センサ182A及び182Bの両方の共振周波数がシフトした量を求め、それらの量を合計し、合計値に基づいて、支持構造体が取り付け領域内にあるかどうかを判定することができる。
図15に関して上述したように、プロセッサは、誘導センサ182A及び182Bの共振周波数の変化率を求め、共振周波数の変化率に基づいて、支持構造体が取り付け領域内にあるかどうかを判定することができる。
【0193】
図8に示すように、誘導センサ182A及び誘導センサ182Bは、距離「d」だけ離隔している。一例として、距離dは、約10mm未満であり、例えば3mmである。しかしながら、誘導センサ182Aと182Bとが離隔しているので、支持構造体が取り付け領域内にあるかどうかを判定する全体的な感度が低減されることがある。例えば、支持構造体が主に誘導センサ182Aと182Bとの間に位置する場合、誘導センサ182A及び182Bの電子回路の共振周波数は、十分に変化しないことがあり、これにより、プロセッサ100は、支持構造体が取り付け領域内にない旨を判定することがある。間隙を排除するために、隣接している誘導センサは、
図9に示すように互いに重なり合っていてもよい。
【0194】
図9は、落下防止デバイスの複数の誘導センサの別の実施例を示す概念図である。
図9に示すように、誘導センサ182Aは、破線で示される誘導センサ182Bと部分的に重なり合っている。例えば、誘導センサ182Aは、PCB188の第1の上位層に形成されてもよく、誘導センサ182Bは、PCB188の第2の下位層(例えば、誘導センサ182Aが位置する場所に対してPCB188の他の側)に形成されてもよく、部分的に誘導センサ182Aの下方に形成されてもよい。いくつかの実施例では、PCB188は4つの層を含んでもよく、コイル190Aと190Bとは異なる層上にあり、192Aと192Bとは異なる層上にあり、誘導センサ182Aと182Bとは異なる層上にある。
【0195】
しかしながら、
図9の例では、誘導センサ182Aと182Bとが互いに磁気結合する可能性があり得る。かかる結合を阻止するためには、オーバーラップ量を選択して、結合を最小限に抑えることができる。例えば、誘導センサ182Aから誘導センサ182Bへの磁気結合は、幾何学的構成に基づいて+1~-1の係数を有し得る。係数は、センサ182Aと182Bとの間の結合量を示す。いくつかの実施例では、磁気結合を最小限に抑えるために、磁気結合係数が約ゼロになるように幾何学的構成を選択する。磁気結合係数がゼロになるように幾何学的構成を選択する1つの方法は、トライアルアンドエラー(trial-and-error、試行錯誤)による(例えば、2つの例示的なPCB188を試験すること、すなわち、一方を励起し、他方に対する磁気結合を測定することによる)ものである。例えば、複数のPCB188は、異なるオーバーラップ量を有する誘導センサ182A及び182Bで形成され得る。磁気結合係数が最も小さくなるPCBは、支持構造体が取り付け領域内にあるかどうかを判定するために落下防止デバイス11A内に置かれるPCB188として選択され得る。
【0196】
図7~
図9は、誘導センサ182の例を示している。いくつかの実施例では、落下防止デバイス11は、誘導センサ182に加えて、追加コイルを含んでもよい。例えば、落下防止デバイス11は、フレキシブルPCB上に複数の誘導センサ182を含む。加えて、落下防止デバイス11は、1つ以上のコイルの追加のセットを含んでもよい。かかる追加のコイルの一例は、曲線状のフェライトコアに巻かれたマグネットワイヤであり、曲線は誘導センサ182の曲線を辿る。コイルの軸線は、誘導センサ182の軸線に対してほぼ垂直である。かかる追加のコイルの使用は、Dリングなど、ループ状の支持構造体の検出に有用であり得る。
【0197】
図10は、本開示の態様に従って構成されているスナップフック220の一例を示している。
図10に示す例はスナップフックを含むが、本明細書に記載の技術は、カラビナなどの、ユーザをアンカーに固定するための様々な他のデバイスに適用することができることを理解されたい。例えば、カラビナはスナップフック220と同様に構成することができるが、
図10に示す平面ロック機構の代わりに回転又は自己ロックゲート機構に依拠することができる。
【0198】
図10の例示的なスナップフック220は、スナップフック220が支持構造体に接続されたときに支持構造体が配置される取り付け領域226を概ね画定する可動ゲート222及び本体224を備える。スナップフック220は、ボウル228を含んでおり、ボウル228は、取り付け領域226の周囲に湾曲しており、かつ内部に支持構造体を受けるために開くことができる、スナップフック220の一部分を含んでいる。スナップフック220はまた、ボウル228内に位置するものとして示されているセンサ230A及び230B(集合的にセンサ230)、コンピューティングデバイス234、及びロック238を含んでいる。スナップフック220は、取り付け点240を介して、例えばエネルギー吸収ランヤード、自己格納式ランヤード、又は別のデバイスに取り付けることができる。
【0199】
可動ゲート222は開位置と閉位置との間を移動する。
図10の例は、可動ゲート222が本体224と接触して取り付け領域226を画定する連続ループを形成するような閉位置にある可動ゲート222を示す。開位置では、可動ゲート222は取り付け領域226に向かって内向きに枢動し、支持構造体は取り付け領域226の領域内に移動することができる。
【0200】
図7~
図9の誘導センサ182の例であり得る1つ以上のセンサ230は、材料(支持構造体など)が取り付け領域226内に配置されているかどうかを感知するように構成してもよい。図示された実施例では、センサ230の共振周波数は、取り付け領域226内のセンサ182によって生成された電磁場内に金属構造体があるときに変化する。本明細書に記載するように、誘導センサ230は、取り付け領域226内に電磁場を発生させるために、例えば
図10の例に示されるように位置決めされ及び配向され得る。
図7~
図9には、1つ以上のセンサ230の実施例が示されている。
【0201】
図示されるように、センサ230Aは、コイル231Aのセット及びコイル231Bのセットを含む。センサ230Bは、コイル231Cのセット及びコイル231Bのセットを含む。コイル231A及び231Cは、コイル184Aと類似であってもよく、コイル231B及び231Dのセットは、コイル184Bと類似であってもよい。センサ230A及び230Bの電子回路を通って電流が流れると、電子回路は、破線225A及び225Bで示されるように、取り付け領域226内に電磁場を生成させ得る。破線の矢印は、方向を示すために図示されており、限定的であると見なされるべきではない。電磁場(「磁束」とも呼ばれる)は、コイル231Bからコイル231Aまで延びており、同様に、コイル231Cから231Dまで延びている。
図10は、完全な電磁場の一部分を示しており、この電磁場の大きさは、取り付け領域226を包含するのに十分である。
【0202】
いくつかの実施例では、電磁場は、センサ230Aと230Bとの間で交互に発生してもよい。例えば、センサ230Aが電磁場を生成させることができ、次いでセンサ230Bが電磁場を生成させることができる。したがって、いくつかの実施例では、両方の線225A及び225Bは、必ずしも同時に存在する必要はなく、交互に生じてもよい。
【0203】
いくつかの実施例では、誘導センサ230に加えて、スナップフック220は、曲線状のフェライトコアに巻かれたマグネットワイヤなどの追加のコイルを含んでもよい。巻かれたコイルの曲線は、ボウル228を通して同じであってもよい(例えば、曲線は、センサ230の曲線を辿っている)。コイルの軸線は、誘導センサ182の軸線に対してほぼ垂直である。かかる追加のコイルの使用は、Dリングなど、ループ状の支持構造体の検出に有用であり得る。
【0204】
図示されていないが、スナップフック220は、ゲート222の移動を示すデータを生成するように構成され得る1つ以上のゲート移動センサを含んでいる。例えば、ゲート移動センサは、ゲート222が閉位置から開位置に、又はその逆に移動したことを示す信号を生成するように構成してもよい。いくつかの実施例では、ゲート移動センサは離散的な信号(例えば、ゲート222が開位置にあるのか、閉位置にあるのかを示す信号)を出力することができる。他の実施例では、ゲート移動センサは、ゲート222の相対位置を示すデータを出力してもよい。ゲート移動センサは、1つ以上のスイッチ、ロータリエンコーダ、加速度計など、ゲート222の位置又は移動に基づいて出力を生成することができる任意のセンサを含むことができる。
【0205】
コンピューティングデバイス234は、1つ以上のセンサ230及びゲート移動センサによって生成されたデータの処理及び/又は送信の役割を果たすコンピューティング構成要素を備えてもよい。コンピューティングデバイス234は、電池などの電源も含むことができる。いくつかの実施例では、コンピューティングデバイス234は、
図3に示されるコンピューティングデバイス98の構成要素を含むように構成してもよい。他の実施例では、コンピューティングデバイス234は、コンピューティングデバイス98のサブセットを含むことができる。例えば、コンピューティングデバイス234は、1つ以上のセンサ230及びゲート移動センサから別のコンピューティングデバイスにデータを送信するための1つ以上のプロセッサ及び通信ユニットを単に含んでいればよい。
【0206】
図示されていないが、スナップフック220は、ゲート222が開位置に移動するのを阻止するように構成された一次ロック機構を含んでもよい。例えば、一次ロック機構は、ゲート222が取り付け領域226に向かって枢動することを阻止するためにゲート222と係合する構成要素を含む。ユーザが一次ロック機構を操作すると、一次ロック機構の構成要素はゲート222から外れ、ゲートは取り付け領域226に向かって移動することができる。
【0207】
いくつかの実施例では、ロック238は、スナップフック220の接続状態に基づいてゲート222が閉位置から開位置に移動することを妨げる又は阻止するように構成することができ、それによってスナップフック220が支持構造体から外れることを妨げる又は阻止することができる。例えば、コンピューティングデバイス234(及び/又はスナップフック220と通信する別のコンピューティングデバイス)は、1つ以上のセンサ230の電気特性に基づいて、スナップフック220が支持構造体に接続されているかどうかを判定することができる。即ち、コンピューティングデバイス234は、1つ以上のセンサ230の共振周波数を示すデータを(例えば、誘導感知プロセッサから)受信することができ、コンピューティングデバイス234は、そのデータから、支持構造体が取り付け領域226内に存在するかどうかを判定することができる。例えば、コンピューティングデバイス234は、支持構造体が取り付け領域226内にあるかどうかを判定するために、
図4A及び
図4B及び/又は
図15に関連して上述した例示的な動作を実行することができる。コンピューティングデバイス234は、かかるデータに基づいて接続状態を判定することができる。例えば、コンピューティングデバイス234は、支持構造体が存在し、ゲート222が閉じているときに、スナップフック220が接続されていると判定することができる。
【0208】
コンピューティングデバイス234は更に、又は代わりに、接続状態を判定するためにゲート移動センサからのデータを使用してもよい。例えば、コンピューティングデバイス234は、スナップフック220がいくつかの順序付けられた操作に基づいて、支持構造体に接続されたと判定することができる。この実施例では、コンピューティングデバイス234は、ゲート222が開位置に移動したことを示すデータをゲート移動センサから受信してもよい。コンピューティングデバイス234は、支持構造体が取り付け領域226内に配置されていることを示すデータを1つ以上のセンサ230から受信することができる。次に、コンピューティングデバイス234は、ゲート222が閉位置に移動したことを示すデータをゲート移動センサから受信し、スナップフック220が支持構造体に接続されたと判定することができる。
【0209】
一例では、コンピューティングデバイス234は、金属構造体が取り付け領域226内に配置されているかどうかを判定するために、1つ以上のセンサ230を周期的に作動させる。一例では、コンピューティングデバイス234は、ゲート移動センサからのデータに基づいて、1つ以上のセンサ230を操作することができる。例えば、ゲート222が開位置に移動したというデータをゲート移動センサから受信すると、コンピューティングデバイス234は、取り付け領域226内に金属支持構造体があるかどうかを判定するために、1つ以上のセンサ230の共振周波数を求めることができる。
【0210】
スナップフック220が支持構造体に接続されたと判定した後、コンピューティングデバイス234(又はスナップフック220と通信する別のコンピューティングデバイス)は、同じユーザによって使用されている1つ以上の他の落下防止具の物品(ここでは落下防止具のセットと呼ばれる)の状態を監視することができる。例えば、コンピューティングデバイス234は、例えば作業者が作業現場中を移動するときに、他の落下防止具の物品が1つ以上の支持構造体にいつ接続され、いつ切断されたかを識別することができる。コンピューティングデバイス234は、スナップフック220が支持構造体に接続されているセット内の唯一の落下防止具の物品である時点を判定することができる。この判定に基づいて、コンピューティングデバイス234は、スナップフック220の接続状態に基づいて、ゲート222が閉位置から開位置に移動することを妨げる又は阻止するためにロック238を作動させ、それによってスナップフック220が支持構造体から外れることを妨げる又は阻止することができる。
【0211】
いくつかの実施例では、ロック238は、ゲート222が開かれることを阻止するためにゲート222と直接連動するロック構成要素を含んでもよい。例えば、ロック238は、ゲート222が移動することを阻止する機械的バリアを含むことができる。他の実施例では、ロック238は、一次ロック機構などのスナップフック220の1つ以上の他のロック機構と連動するように構成してもよい。例えば、ロック238は、一次ロック機構が移動することを阻止(例えば、制限)し、それによってゲート222が動くことを阻止する機械的バリアを備えることができる。
【0212】
図10に関して説明した実施例は一次ロック機構及びロック238を含むが、他の実施例は追加のロック機構を含んでもよい。例えば、特定の安全基準又はコードは、ゲート222が開くために少なくとも2つの別々のそして意図的な動作を必要とし、それによってスナップフック220は、支持構造体に接続する又は外れることができる。別々の意図的な各動作は、ロック機構と関連付けられてもよい。スナップフック220のための例示的なロック機構としては、ラッチ、バネ仕掛けのカラー、レバー、又は操作するためにユーザの側で意図的な行動を必要とする他の構成要素の任意の組み合わせ、を挙げることができる。本開示の態様によれば、ロック238は、2つの別々の意図的な動作に関連付けられたロック機構に加えて含まれる三次ロック機構としてもよい。
【0213】
コンピューティングデバイス234はまた、ロック238を解除することができる。例えば、コンピューティングデバイス234は、セット内の落下防止デバイスが支持構造体に接続されているかどうかを監視し続けることができる。1つ以上の他の落下防止デバイスの物品が支持構造体に接続されている場合、もはやスナップフック220が支持構造体から外れることをロック238が妨げないように、コンピューティングデバイス234はロック238を解除してもよい。追加的又は代替的に、ロック238は、ユーザが手動でロック238を解除することができる手動オーバーライドを含むことができる。
【0214】
コンピューティングデバイス234がロック238を作動させた場合、コンピューティングデバイス234は、ロック238が作動したこと及び/又はロック238が手動でオーバーライドされたことを示す信号を生成することができる。いくつかの例では、コンピューティングデバイス234は、ロック238が作動されたこと、及び/又は手動オーバーライドが行われたことを示す電子メッセージ、可聴出力、視覚出力、及び/又は触覚出力を生成することができる。
【0215】
図10に示されるスナップフック220の構成及び配置は、単に例示の目的で示されていることを理解されたい。他の例では、スナップフック220は、
図10に示したものよりも追加の、より少ない、又は代替の構成要素を有する様々な他の方法で構成することができる。例えば、上述のように、スナップフック220は、1つ以上のセンサ230、ゲート移動センサ、及び、特定の処理機能を実行するために別のコンピューティングデバイスにデータを送信するための通信ユニット(ハブ14のうちの1つなど)の構成要素のサブセットのみを含むように構成してもよい。
【0216】
別の例では、スナップフック220は、スナップフック220の接続状態を示すためのフィードバック構成要素を含むことができる。例えば、フィードバック構成要素は、スナップフック220が支持構造体に接続された唯一の落下防止具の物品であるときに、スナップフック220のゲートが開いていると判定したことに応答して、可聴アラート、視覚アラート、又は触覚アラートを生成するための任意の様々なスピーカ、ディスプレイ、ライト、触覚フィードバック構成要素などを含んでもよい。作業者が、落下防止のために2つのスナップフック(例えば、スナップフック220のうちの2つ)を使用している場合には、コンピューティングデバイスは、第1のスナップフックは支持構造体に接続され、かつそのゲートが閉じているが、第2のスナップフックは支持構造体に接続されていないと判定することができる。コンピューティングデバイスが、第1のスナップフックのゲートが開けられるが、第2のスナップフックは支持構造体に接続されていないと判定した場合、コンピューティングデバイスは、フィードバック構成要素に、接続状態を示すこと、アラートを提供すること、又は作業者が認識可能であり得る任意の他の出力を出力することを行わせることができる。
図14及び本明細書全体に、更なる実施例が記載されている。
【0217】
いくつかの実施例では、スナップフック220は、安全な作動中であり得る。しかしながら、スナップフック220のゲートが開けられていないかもしれないが、スナップフック220は、取り付けられている支持構造体を検出できないことがある。物理的特性、又はスナップフック220による支持構造体の検出を阻害する支持構造体及び/又はスナップフック220の他の物理的材料に起因して、あるいは、支持構造体がセンサの検出領域から離れて移動したかもしれないようなフックの後続の移動に起因して、スナップフック220が検出を行わないことがある。例えば、特性又は物理的材料は、錆、絶縁体、又はスナップフック220による支持構造体の検出を阻害する他の材料であってもよい。スナップフック220による支持構造体の検出が阻害される場合、又は全く検出されないが、スナップフック220が安全な状態にあり、スナップフック220のゲートが開けられていない場合、スナップフック220に関連付けられた1つ以上のプロセッサは、スナップフック220が依然として安全な作動中である旨を判定することができる。このようにして、たとえスナップフック220用の支持構造体が検出されなくても、安全な作動になって以降、スナップフック220のゲートは開かれなかったので、スナップフック220が安全な作動中である場合であっても、スマートフック220に関連付けられた1つ以上のプロセッサは、スナップフック220が安全でない作動である旨を判定しない。
【0218】
いくつかの実施例では、スナップフック220の状態を判定するスナップフック220に関連付けられた1つ以上のプロセッサは、1つの状態から別の状態へと遷移する前に、既定の時間にわたって状態遷移条件が発生したと判定することができる。例えば、1つ以上のプロセッサにより、状態遷移条件(例えば、「アンカー及びゲート開)が、スナップフック220が状態遷移条件について次の状態遷移に遷移したと1つ以上のプロセッサが判定する前に、既定の時間にわたって、真である、存在する、あるいはそうでなければ検出されることが必要であることがある。
【0219】
他の実施例では、スナップフック220に関連付けられた1つ以上のプロセッサは、状態遷移条件を検出すると、状態遷移条件が検出された後の既定の時間内に生じる他の検出された状態遷移条件を無視してもよい。この技術は、そうでなければ、システムを現在の状態のままにする、既定の時間中に検出された任意の状態変化遷移を無視することによって、現在の状態のままにするのではなく、状態遷移条件の検出後にシステムが次の状態に遷移することを保証することができる。
【0220】
いくつかの実施例では、複数のスナップフックをシステム内で一緒に使用してもよい。例えば、スナップフック220を第1のスナップフックとして、第2のスナップフックと一緒にシステム内で使用してもよい。いくつかの実施例では、第1及び第2のスナップフックのそれぞれは、個人用保護具の物品の一部として含まれてもよい。個人用保護具は、一人の作業者が着用してもよい。いくつかの実施例では、作業者は、作業者の片方の手で第1のスナップフックを操作することができ、作業者は、作業者のもう片方の手で第2のスナップフックを操作することができる。第1及び第2のスナップフックのそれぞれは、第1及び第2のスマートフックから第1及び第2のデータをそれぞれ受信する1つ以上のプロセッサに通信可能に結合されてもよい。1つ以上のプロセッサは、個人用保護具の物品の一部、作業者に関連付けられたモバイルコンピューティングデバイス、あるいは作業者、個人用保護具及び/又はスマートフックから離れたリモートコンピューティングデバイスとして含まれてもよい。本明細書で説明するように、1つ以上のプロセッサは、第1のデータ及び第2のデータに少なくとも部分的に基づいて、限定的ではないが、アラートを生成すること、データを処理すること、又はデータを他のコンピューティングデバイスに送信することなど、1つ以上の動作を実行することができる。
【0221】
いくつかの実施例では、第1のスナップフックは、電子回路を有する誘導センサを備える第1の落下防止デバイスであってもよく、第2のスナップフックは、電子回路を有する誘導センサを備える第2の落下防止デバイスであってもよい。第1の落下防止デバイス及び第2の落下防止デバイスと通信する1つ以上のプロセッサは、第1の落下防止デバイスが安全でない作動中であり、第2の落下防止デバイスが安全な作動中である旨を判定することができる。1つ以上のプロセッサは、第2の落下防止デバイスのゲートが開けられたと判定することができる。1つ以上のプロセッサは、第2の落下防止デバイスのゲートが開けられたという判定に少なくとも部分的に基づいて、第2の落下防止デバイスが準最適な作動中である旨を判定することができる。1つ以上のプロセッサは、第2の落下防止デバイスが準最適な作動中であるという判定に応答して、第2の落下防止デバイスの準最適な作動を示す情報を生成することができ、その情報は、可聴情報、視覚情報、又は触覚情報のうちの少なくとも1つを備える。
【0222】
いくつかの実施例では、1つ以上のプロセッサは、第1の落下防止デバイスが安全でない作動中であり、第2の落下防止デバイスが安全な作動中である旨を判定することができる。1つ以上のプロセッサは、支持構造体が第2の落下防止デバイスの取り付け領域内にない旨を判定することができる。1つ以上のプロセッサは、支持構造体が第2の落下防止デバイスの取り付け領域内にないという判定に少なくとも部分的に基づいて、第2の落下防止デバイスが安全でない作動中である判定することができる。いくつかの実施例では、1つ以上のプロセッサは、第2の落下防止デバイスが安全でない作動中であるという判定に応答して、第2の落下防止デバイスの安全でない作動を示す情報を生成することができ、その情報は、可聴情報、視覚情報、又は触覚情報のうちの少なくとも1つを備える。
【0223】
更に別の実施例では、スナップフック220は、図示されていない落下センサなど、落下が発生したかどうかを判定するための1つ以上の構成要素を含むことができる。例えば、落下センサは、落下状態を判定するためのスイッチ、センサなどを含んでもよい。一例では、落下センサは、負荷に応答して、ライン構成要素が取り付けられている取り付け点240のたわみ、移動、又は動きを判定することができる。負荷が所定の閾値を超える場合、(ホール効果センサ、機械的スイッチなどを含むことができる)落下センサは、取り付け点240の相対移動又は形状の変化を判定してもよい。
【0224】
取り付け点240(又はスナップフック220の下部付近に配置された別の構成要素)が所定の負荷に応答して所定量移動した場合に信号を生成することに加えて、特定の負荷がコネクタに加えられただけでなく、ある時間にわたって加えられたことを示すために、センサを介してこの位置を一定時間監視することもできる。かかるデータに基づいて、スナップフック220(又はコンピューティングデバイス98)は、ユーザが落下した(それによって負荷が生成される)が、落下後も宙づりになっていると判定する場合がある。
【0225】
落下センサからのデータに基づいて、スナップフック220(又はコンピューティングデバイス98などの別のデバイス)は、1つ以上のアラートを生成することができる。例えば、落下が発生したと判定すると、落下センサは、落下が発生したことを示す可聴、視覚、又は無線通信(例えば、電子メッセージ)を生成することができる。
【0226】
図11は、本開示の態様に従って構成されているキャリアスリーブ260の一例を示している。
図11の例示的なキャリアスリーブ260は、可動ゲート262と、キャリアスリーブ260が支持構造体、例えば、取り付け領域266を通って延びる垂直に配置されたケーブルに接続されたときに支持構造体が配置される取り付け領域266を概ね画定するゲート264と、を含んでいる。キャリアスリーブ260はまた、1つ以上の誘導センサ270を有する誘導センサハウジング268、センサ272、コンピューティングデバイス274、一次ロック機構276、二次ロック機構278、及びロック280を含む。
【0227】
可動ゲート262は開位置と閉位置との間を移動する。
図11の実施例は、閉位置にある可動ゲート262を示しており、この閉位置では、可動ゲート262がゲート264に近接して位置決めされているので、取り付け領域266は、キャリアがこの取り付け領域266の内外に移動することを阻止する閉じた空間となっている。開位置では、可動ゲート262はゲート264の方へ枢動し、支持構造体は取り付け領域266の中へ移動することができる。
【0228】
1つ以上のセンサ270の共振周波数は、金属が取り付け領域266内に配置されたときに変化し得る。例えば、1つ以上のセンサ270と接触しない場合であっても、金属が取り付け領域266内に配置されていることによって、1つ以上のセンサ270の共振周波数が変化し、好適な支持構造体が取り付け領域266の領域内にあることを示す。1つ以上のセンサ270は、
図7~
図9に示されたセンサ182と類似であってもよい。
【0229】
センサ272は、ゲート262の動きを示すデータを生成するように構成してもよい。例えば、センサ272は、ゲート262が閉位置から開位置に、又はその逆に移動したことを示す信号を生成するように構成してもよい。いくつかの実施例では、センサ272は離散的な信号(例えば、ゲート262が開位置にあるのか、閉位置にあるのかを示す信号)を出力することができる。他の実施例では、センサ272はゲート262の相対位置を示すデータを出力してもよい。センサ272は、1つ以上のスイッチ、ロータリエンコーダ、加速度計など、ゲート262の位置又は移動に基づいて出力を生成することができる任意のセンサを含むことができる。
【0230】
コンピューティングデバイス274は、1つ以上のセンサ270及びセンサ272によって生成されたデータの処理及び/又は送信の役割を果たすコンピューティング構成要素を備えてもよい。コンピューティングデバイス274は、電池などの電源も含むことができる。いくつかの実施例では、コンピューティングデバイス274は、
図3に示されるコンピューティングデバイス98の構成要素を含むように構成してもよい。他の実施例では、コンピューティングデバイス274は、コンピューティングデバイス98のサブセットを含むことができる。例えば、コンピューティングデバイス274は、1つ以上のセンサ270及びセンサ272から別のコンピューティングデバイスにデータを送信するための1つ以上のプロセッサ及び通信ユニットを単に含んでいればよい。
【0231】
一次ロック機構276は、ゲート262が開位置に移動することを阻止するように構成される。例えば、一次ロック機構276は、ゲート262が開位置に移動することを阻止するためにゲート262と係合する構成要素を含む。ユーザが一次ロック機構276を操作すると(例えば、ユーザが一次ロック機構276を回転させる、あるいはそうでなければ移動させると)、一次ロック機構276の構成要素はゲート262から外れる。
【0232】
二次ロック機構278はまた、ゲート262が開位置に移動することを阻止するように構成されている。例えば、二次ロック機構278は、キャリアスリーブ260のユーザによる意図的な動作なしにゲート262が開位置に移動することを阻止するばね構成要素を含む。ユーザが二次ロック機構278を操作すると(例えば、ユーザが二次ロック機構278を押してバネを付勢すると)、ゲート262が移動して取り付け領域266へのアクセス提供することができる。
【0233】
いくつかの実施例では、ロック280は、キャリアスリーブ260の接続状態に基づいて、ゲート262が閉位置から開位置に移動することを妨げる又は阻止し、それによってキャリアスリーブ260が支持構造体から外れることを妨げる又は阻止するように構成してもよい。例えば、コンピューティングデバイス274(及び/又はキャリアスリーブ260と通信する別のコンピューティングデバイス)は、1つ以上のセンサ270の共振周波数に基づいて、キャリアスリーブ260が支持構造体に接続されているかどうかを判定することができる。即ち、コンピューティングデバイス274は、支持構造体が取り付け領域266内に存在するかどうかを判定するために、1つ以上のセンサ270を用いて、
図4A及び
図4B及び/又は
図15に関連して上述した例示的な動作を実行することができる。コンピューティングデバイス274は、かかるデータに基づいて接続状態を判定することができる。例えば、コンピューティングデバイス274は、支持構造体が存在するときにキャリアスリーブ260は接続され、支持構造体が存在しないときに接続されていないと判定することができる。
【0234】
いくつかの例では、コンピューティングデバイス274は更に、又は代わりに、接続状態を判定するためにセンサ272からのデータを使用してもよい。例えば、コンピューティングデバイス172は、多数の順序付けられた操作に基づいて、キャリアスリーブ260が支持構造体に接続されたと判定することができる。この実施例では、コンピューティングデバイス274は、ゲート262が開位置に移動したことを示すデータをセンサ272から受信してもよい。次に、コンピューティングデバイス274は、支持構造体が取り付け領域266内に配置されていることを示すデータを第1センサ168から受信することができる。次に、コンピューティングデバイス274は、ゲート262が閉位置に移動したことを示すデータをセンサ272から受信し、キャリアスリーブ260が支持構造体に接続されたと判定することができる。
【0235】
キャリアスリーブ260が支持構造体に接続されたと判定した後、コンピューティングデバイス274(又はキャリアスリーブ260と通信する別のコンピューティングデバイス)は、同じユーザによって使用されている1つ以上の他の落下防止デバイス11Aの物品(本明細書では落下防止具のセットと呼ばれる)の状態を監視してもよい。例えば、コンピューティングデバイス274は、例えば、作業者が作業現場中を移動するときに、他の落下防止デバイス11Aの物品(1つ以上のスナップフック220(
図10)など)が1つ以上の支持構造体にいつ接続されて、いつ外されるかを識別することができる。コンピューティングデバイス274は、キャリアスリーブ260がセットの中でその支持構造体に接続されている唯一の落下防止具の物品であると判定する場合がある。この判定に基づいて、コンピューティングデバイス274は、キャリアスリーブ260の接続状態に基づいて、ゲート262が閉位置から開位置に移動することを妨げる又は阻止するためにロック280を作動させ、それによってキャリアスリーブ260が支持構造体から外れることを妨げる又は阻止することができる。
【0236】
いくつかの実施例では、以下の
図12の実施例に関して説明するように、ロック280は、ゲート262が開かれることを阻止するためにゲート262と直接連動するロック構成要素を含んでもよい。例えば、ロック280は、ゲート262が移動することを阻止する機械的バリアを含むことができる。他の実施例では、ロック280は、一次ロック機構276又は二次ロック機構278など、キャリアスリーブ260の1つ以上の他のロック機構と連動するように構成してもよい。例えば、ロック280は、一次ロック機構276が移動又は回転することを阻止することによってゲート262が移動することを阻止する、機械的バリアを含むことができる。
【0237】
いくつかの実施例では、コンピューティングデバイス274はまた、ロック280を解除してもよい。例えば、コンピューティングデバイス274は、セット内の落下防止具が支持構造体に接続されているかどうかを監視し続けることができる。1つ以上の他の落下防止具の物品が支持構造体に接続されている場合、ロック280によって、もはやキャリアスリーブ260が支持構造体から外れることを妨げないように、コンピューティングデバイス274はロック280を解除してもよい。追加的又は代替的に、ロック280は、ユーザが手動でロック280を解除することができる手動オーバーライドを含むことができる。
【0238】
コンピューティングデバイス274がロック280を作動させた場合、コンピューティングデバイス274は、ロック280が作動したこと及び/又はロック280が手動でオーバーライドされたことを示す信号を生成してもよい。いくつかの実施例では、コンピューティングデバイス274は、ロック280が作動されたこと、及び/又は手動オーバーライドが行われたことを示す電子メッセージ、可聴出力、視覚出力、及び/又は触覚出力を生成することができる。
【0239】
図11に示されるキャリアスリーブ260の構成及び配置は例示目的のみのために示されていることを理解されたい。他の実施例では、キャリアスリーブ260は、
図11に示すものよりも追加の、より少ない、又は代替の構成要素を有する様々な他の方法で構成することができる。例えば、上述のように、キャリアスリーブ260は、1つ以上のセンサ270、センサ272などの、構成要素のサブセットと、ハブ14のうちの1つなどの、特定の処理機能を実行するための別のコンピューティングデバイスにデータを送信するための通信ユニットと、のみを含むように構成してもよい。
【0240】
別の実施例では、キャリアスリーブ260は、キャリアスリーブ260の接続状態を示すためのフィードバック構成要素を含むことができる。例えば、フィードバック構成要素は、キャリアスリーブ260が支持構造体に接続された唯一の落下防止物品であると判定したことに応答して、可聴アラート、視覚アラート、又は触覚アラートを生成する、ための任意の様々なスピーカ、ディスプレイ、ライト、触覚フィードバック構成要素などを含んでもよい。
【0241】
更に別の実施例では、キャリアスリーブ260は、落下センサ282などの、落下が発生したかどうかを判定するための1つ以上の構成要素を含むことができる。例えば、本開示の態様によれば、落下センサ282は、落下状態を判定するためのスイッチ、センサなどを含んでもよい。一例では、落下センサ282は、負荷に応答した、キャリアスリーブ260をユーザに取り付ける構成要素のたわみ、移動、又は動きを測定することができる。負荷が所定の閾値を超える場合、落下センサ282(ホール効果センサ、機械的スイッチなどを挙げることができる)は、取り付け構成要素の相対運動又は形状の変化を測定してもよい。他の実施例では、落下センサ282は、キャリアスリーブ260上の任意の場所に位置決めされてもよく、これにより、落下センサ282は、キャリアスリーブ260をユーザに取り付ける構成要素に対する負荷の変化を判定することができる。
【0242】
取り付け構成要素が所定の負荷に応答して所定量移動した場合に信号を生成することに加えて、特定の負荷がコネクタに加えられただけでなく、ある時間にわたって加えられたことを示すために、センサを介してこの位置を一定時間監視することもできる。かかるデータに基づいて、キャリアスリーブ260(又はコンピューティングデバイス98)は、ユーザが落下した(それによって負荷が発生する)が、落下後も宙づりになっていると判定する場合がある。
【0243】
落下センサ282からのデータに基づいて、キャリアスリーブ260(又はコンピューティングデバイス98などの別のデバイス)は、1つ以上のアラートを生成することができる。例えば、落下が発生したと判定すると、落下センサ282は、落下が発生したことを示す可聴通信、視覚通信、又は無線通信(例えば、電子メッセージ)を生成することができる。
【0244】
図12は、例示的なキャリアスリーブ260をより詳細に示す。例えば、上述のように、ロック280は、キャリアスリーブ260の接続状態に基づいて、ゲート262が閉位置から開位置に移動することを妨げる又は阻止し、それによってキャリアスリーブ260が支持構造体から外れることを妨げる又は阻止するように構成してもよい。
図12の例では、ロック280は、ピン284を伸長位置286から後退位置288へ、及びその逆に移動させるソレノイド282を含む。
【0245】
例えば、
図11に関して上述したように、コンピューティングデバイス274は、キャリアスリーブ260が、セット内で支持構造体に接続されている唯一の落下防止具の物品であるのはいつかを判定することができる。この判定に基づいて、コンピューティングデバイス274はロック280を作動させることができる。ロック280を作動させると、ピン284は後退位置288から伸長位置286まで移動することができる。伸長位置286にあるとき、ピン284は、ゲート262が閉位置から開位置に移動することを阻止することができる。いくつかの実施例では、ピン284は、ゲート262と直接連動して、ゲート262が開かれることを阻止してもよい。他の実施例では、ピン284は、キャリアスリーブ260の別の構成要素(一次ロック機構276又は二次ロック機構278など)と連動して、ゲート262が開かれることを阻止することができる。
【0246】
いくつかの実施例では、コンピューティングデバイス274はまた、ロック280を解除してもよい。例えば、コンピューティングデバイス274は、セット内の落下防止具が支持構造体に接続されているかどうかを監視し続けることができる。1つ以上の他の落下防止具の物品が支持構造体に接続されている場合、コンピューティングデバイス274は、ソレノイド282に信号を送ってピン284を伸長位置286から後退位置288に移動させることによってロック280を解除してもよい。追加的又は代替的に、ロック280は、ユーザが手動でピン284を伸長位置286から後退位置288に移動させることを可能にする手動オーバーライドを含むことができる。
【0247】
図13は、ハブ14のうちの1つの実施例をより詳細に示している。例えば、ハブ14は、1つ以上のプロセッサ300と、使用データ304、接続データ306、及びアラートデータ308を格納することができるメモリ302と、通信ユニット310と、センサ312と、ユーザインターフェース314と、及びリモートインターフェース316とを含んでいる。
図13に示されるハブ14の構成及び配置は、例示の目的でのみ示されていることを理解されたい。他の実施例では、ハブ14は、
図13に示されるものに対して、より多くの、より少ない、又は別の、構成要素を有する様々な他の方法で構成することができる。例えば、ハブ14はまた、
図13に示されていない1つ以上の電池、充電構成要素などを含んでもよい。更に、
図13の実施例には装着型デバイスとして示されているが、他の実施例では、ハブ14は、特定の環境に配置されるスタンドアローンデバイスとして実装してもよい。
【0248】
一般に、ハブ14は、落下防止デバイス11とPPEMS6との間の通信を可能にし、容易にすることができる。落下防止デバイス11Aの例としては、スナップフック220又はキャリアスリーブ260が挙げられる。容易にするために、
図13は、落下防止デバイス11Aを示している。他の例示的な落下防止デバイス11は、実質的に同様の様式で動作してもよい。
【0249】
落下防止デバイス11A、並びにそれぞれの作業員のSRL11及び他のPPEは、Bluetooth又は他の短距離プロトコルによってハブ14と通信してもよく、ハブ14は、802.11 WiFiプロトコルなどの無線通信によってPPEMS6と通信してもよい。いくつかの実施例では、ハブ14はまた、接続データ306に基づいて、落下防止デバイス11Aの1つ以上の構成要素(例えば、ロックなど)を制御し、アラートを生成及び/又は出力し、あるいは様々な他の機能を実行することができる。
【0250】
一実施例では、プロセッサ300は、ハブ14内の機能を実装する、及び/又は、実行のための命令を処理するように構成されている。例えば、プロセッサ300は、メモリ302によって格納された命令を処理することができる。プロセッサ300としては、例えば、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、又は同等のディスクリート若しくは集積論理回路を挙げることができる。
【0251】
メモリ302としては、コンピュータ可読記憶媒体又はコンピュータ可読ストレージデバイスを挙げることができる。いくつかの実施例では、メモリ302は、短期メモリ又は長期メモリの1つ以上を含んでもよい。メモリ302として、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、磁気ハードディスク、光学ディスク、フラッシュメモリ、又は電気的プログラマブルメモリ(EPROM)若しくは電気的消去可能プログラマブルメモリ(EEPROM)の形態が挙げられる。
【0252】
いくつかの実施例では、メモリ302は、ハブ14の構成要素の動作を制御するオペレーティングシステム(図示せず)又は他のアプリケーションを格納することができる。例えば、オペレーティングシステムは、メモリ302から通信ユニット310へのデータの通信を容易にすることができる。いくつかの実施例では、メモリ302は、プロセッサ300によって実行されるプログラム命令を格納するために使用される。メモリ302は、また、動作中にハブ14内の情報を格納するように構成してもよい。
図13に示される実施例では、メモリ302は、以下でより詳細に記載するように、使用データ304、接続データ306、及び/又はアラートデータ308を格納することができる。
【0253】
ハブ14は、1つ以上の有線接続又は無線接続を介して外部デバイスと通信するために、通信ユニット310を使用してもよい。通信ユニット310は、様々なミキサ、フィルタ、増幅器、及び信号変調用に設計された他の構成要素、並びに1つ以上のアンテナ及び/又はデータの送受信用に設計された他の構成要素を含むことができる。通信ユニット310は、1つ以上の任意の好適なデータ通信技術を用いて他のコンピューティングデバイスとデータを送受信してもよい。かかる通信技術の例としては、ほんの一部の例を挙げると、TCP/IP、Ethernet、Wi-Fi、Bluetooth、4G、LTEが挙げられる。例えば、通信ユニット310は、Bluetooth又は他の短距離プロトコルによって落下防止デバイス11A又は他のPPEと通信してもよく、通信ユニット310は、802.11 WiFiプロトコルなどの無線通信によってPPEMS6と通信してもよい。
【0254】
センサ312は、ハブ14に関連付けられた作業者10の活動を示すデータ及び/又はハブ14が位置する環境を示すデータを生成する1つ以上のセンサを含んでもよい。センサ312は、例として、1つ以上の加速度計、特定の環境に存在する状態を検出するための1つ以上のセンサ(例えば、温度、湿度、微粒子含有量、騒音レベル、空気の品質、又は落下防止デバイス11Aを使用することができる環境の他の任意の様々な特性を測定するためのセンサ)、又は他の様々なセンサ、を挙げることができる。
【0255】
ユーザインターフェース314は、例として、様々なライト、ディスプレイ、触覚フィードバック生成器、スピーカなどを含むもう1つのユーザインターフェースデバイスを含んでもよい。一般に、ユーザインターフェース314は、落下防止デバイス11A及び/又はハブ14の状態、並びにアラートを、作業者10に対して出力することができる。一実施例では、ユーザインターフェース314は、作業者10に情報を提供するために照光する複数の多色LEDを含んでもよい。別の実施例では、ユーザインターフェース314は、作業者10に触覚フィードバックを提供するためにハブ14を振動させるように構成されたモータを含むことができる。
【0256】
リモートインターフェース316は、クライアント62(
図2)において出力するためのデータを生成するように構成されている。例えば、リモートインターフェース316は、落下防止デバイス11A及び/又はハブ14の状態を示すデータを生成することができる。例えば、リモートインターフェース316は、落下防止デバイス11Aがハブ14に接続されているかを示すデータ、及び/又は落下防止デバイス11Aの構成要素に関する情報を生成してもよい。即ち、リモートインターフェース316は、例えば、落下防止デバイス11Aの残存耐用年数、落下防止デバイス11Aのバッテリの状態、落下防止デバイス11Aの接続状態、落下防止デバイス11Aが支持構造体に接続された唯一の落下防止デバイスであるかどうか、ユーザが落下防止デバイス11Aのロックを手動でオーバーライドにしたかどうか、落下防止デバイス11Aの保守又は交換が必要かどうか、などを示すデータを生成することができる。リモートインターフェース316は、追加的又は代替的に、ハブ14によって発行された任意のアラートを示すデータを生成してもよい。
【0257】
本開示の態様によれば、ハブ14は落下防止デバイス11Aのセンサからの使用データ304を格納することができる。使用データ304は一般に、落下防止デバイス11Aをユーザが使用する仕方を示すデータを指し、例えば、落下防止デバイス11Aの構成要素の相対位置を示すデータ、落下防止デバイス11Aの取り付け領域内に支持構造体が配置されているかどうかを示すデータ、又は落下防止デバイス11Aの他の動作又は特性を含む。
【0258】
本明細書に記載するように、落下防止デバイス11Aのセンサの共振周波数などの電気特性は、落下防止具11の動作を示してもよく、誘導感知プロセッサは、共振周波数を求め、共振周波数を示すデータをリアルタイムで、又は、ほぼリアルタイムでハブ14に送信する。いくつかの実施例では、ハブ14は、通信ユニット310を介して、使用データ304をPPEMS6などの別のコンピューティングデバイスに直ちに中継することができる。他の実施例では、メモリ302は、データを別のデバイスにアップロードする前に、しばらくの間使用データ304を格納することができる。例えば、場合によっては、通信ユニット310は落下防止デバイス11Aと通信することができるが、例えば落下防止デバイス11Aが配置されている環境及び/又はネットワーク障害のせいで、ネットワーク接続性を有しない場合がある。かかる場合、ハブ14は使用データ304をメモリ302に格納してもよく、それによって、ネットワーク接続が利用可能になると使用データを別のデバイスにアップロードすることができる。
【0259】
本開示の態様によれば、ハブ14はまた、作業者10によって使用される落下防止デバイス11Aの物品の接続状態を示す接続データ306を格納する。即ち、接続データ306は、作業者10によって使用されている落下防止デバイスのセット中の各落下防止デバイス11Aの物品が支持構造体に接続されているかどうかを示すことができる。いくつかの事例では、ハブ14は、例えば落下防止デバイス11Aによって判定されたとおりに、落下防止デバイス11Aから接続データ306を受信することができる。他の実施例では、ハブ14は落下防止デバイス11Aのセンサからデータを受信することができ、プロセッサ300は、受信したセンサデータに基づいて接続データ306を判定してもよい。
【0260】
本開示の態様によれば、ハブ14は、接続データ306に基づいて、落下防止デバイス11Aの動作を制御することができる。例えば、ハブ14は、接続データ306に基づいて、落下防止デバイス11Aが支持構造体に接続されたと判定することができる。ハブ14はまた、落下防止デバイス11Aの1つ以上の物品がいつ支持構造体から外されたかを判定することもできる。ハブ14は、特定の落下防止デバイス11Aの物品がセットの中で支持構造体に接続されている唯一の落下防止デバイス11の物品であるのはいつであるかを判定することができる。この判定に基づいて、いくつかの実施例では、ハブ14は、(例えば、ユーザインターフェース314を介して)可聴アラート、視覚アラート、又は触覚アラートを発行することができるか、又は、落下防止デバイス11Aが支持構造体に接続された唯一の落下防止具の物品であることを示す電子メッセージを(例えば、リモートインターフェース316を介して)送信することができる。他の実施例では、ハブ14は、落下防止具が支持構造体から外れることを妨げる又は阻止するために、落下防止具のロックを作動させてもよい。
【0261】
ハブ14は、ユーザインターフェース314及び/又はリモートインターフェース316が出力するアラートを生成するためのアラートデータ308を格納することができる。例えば、ハブ14は、PPEMS6、落下防止デバイス11、エンドユーザコンピューティングデバイス16、コンピューティングデバイス18を使用するリモートユーザ、安全ステーション15、又は他のコンピューティングデバイス、からアラートデータを受信してもよい。いくつかの実施例では、アラートデータは落下防止デバイス11Aの動作に基づくことができる。例えば、ハブ14は、落下防止デバイス11Aが支持構造体に接続された唯一の落下防止具の物品であることを示すアラートデータ308を受信してもよい。別の実施例として、ハブ14は、ロックの動作及び/又はロックが手動でオーバーライドにされたこと、を示すアラートデータ308を受信することができる。更に別の実施例として、ハブ14は、落下が発生したことを示すアラートデータ308を受信してもよい。
【0262】
ハブ14は、受信したアラートデータ308を解釈し、ユーザインターフェース314又はリモートインターフェース316において出力(例えば、可聴、視覚、又は触覚の出力)を生成して、作業者10又はリモートパーティにアラート状態(例えば、ロックの操作又はオーバーライド化、環境が危険であること、落下防止デバイス11Aが誤動作していること、落下防止具11の1つ以上の構成要素を修理又は交換する必要があることなど)を通知してもよい。いくつかの事例では、ハブ14は、また、アラートデータ308を解釈し、落下防止デバイス11Aに対して1つ以上のコマンドを発行し、落下防止デバイス11Aを所望の/よりリスクを伴わない行動に適合させるために、落下防止デバイス11Aの動作を修正するか又は規則を実施することができる。
【0263】
概して、特定の技術又は機能が特定の構成要素、例えば、PPEMS6、落下防止デバイス11、又はハブ14によって実施されるものとして本明細書に記載されているが、本開示の技術はこのように限定されるものではないことを理解されたい。即ち、本明細書に記載される特定の技術は、記載されているシステムの構成要素の1つ以上によって実施することができる。例えば、いくつかの事例では、落下防止デバイス11は、比較的限定されたセンサセット及び/又は処理能力を有するものであってもよい。かかる事例では、ハブ14及び/又はPPEMS6のうちの1つが、使用データの処理、接続状態の判定などのほとんど又は全ての役割を果たすことができる。他の実施例では、落下防止デバイス11は、付加的なセンサ、付加的な処理能力及び/又は付加的なメモリを有してもよく、それによって、落下防止デバイス11は付加的な技術を実施することができる。どの構成要素が技術の実施を担うかに関する決定は、例えば、処理費用、財務費用、消費電力等を基にしてもよい。例示的な技術は、落下防止デバイス11、ハブ14、PPEMS6、コンピューティングデバイス16及び/又は18、並びに/あるいは安全ステーション15内のプロセッサであり得る1つ以上のプロセッサによって実行することができる。
【0264】
図14は、落下防止デバイスの安全性に関する状態を示す状態機械を示している。容易にするために、
図14の例は、
図10に示されるスナップフック220の例を用いて説明されているが、この例は、落下防止デバイス11の他の例に適用可能である。また、安全な条件310で開始する例示的な状態機械について説明する。安全な条件310では、ゲート移動センサは、ゲート222が閉位置にあることを示すデータを生成するように構成してもよい。また、安全な条件310では、コンピューティングデバイス234は、支持構造体が取り付け領域226内にある旨を判定していてもよい。例えば、コンピューティングデバイス234は、誘導センサ230の共振周波数の変化の合計が、閾値量を上回って、又は(例えば、
図4A及び
図4B並びに/又は
図15の動作を使用して上述したように)共振周波数の変化の合計が閾値率よりも大きい比率で増加したと判定していてもよい。コンピューティングデバイス234が、支持構造体が取り付け領域226内に配置されており、ゲート222が閉じていると判定したので、スナップフック220は、支持構造体にアンカーされている、したがって、安全な条件310にある(例えば、作業者10Aが支持構造体に安全に拘束されている)ことになる。それに応じて、コンピューティングデバイス234は、安全な作動を示す情報を生成し、かかる情報をハブ14、安全ステーション15、のコンピューティングデバイス16、及び/又はPPEMS6に出力することができる。
【0265】
情報の例としては、電子メッセージ、可聴出力、視覚出力、及び/又は触覚出力が挙げられる。いくつかの実施例では、ハブ14は、スナップフック220の動作を示す情報を生成し、出力するように構成してもよい。
図14では、様々な動作について、コンピューティングデバイス234は、スナップフック220の動作を示す情報を生成するものとして説明されている。しかしながら、ハブ14、安全ステーション15、コンピューティングデバイス16又は18、並びに/あるいはPPEMS6は、かかる情報を生成し、出力することができる。
【0266】
安全な作動を示す情報を生成した後、コンピューティングデバイス234は、取り付け領域226内に支持構造体が配置されていないが、ゲート222が開いていない旨を判定することができる。例えば、コンピューティングデバイス234は、
図4A及び
図4B並びに/又は
図15に記載された動作を実行し、支持構造体がもはや取り付け領域226内に配置されていないと判定する。しかしながら、コンピューティングデバイス234はまた、ゲート222が全く開かなかったと判定していることもある。この場合、ゲート222が開くことなく支持構造体が取り付け領域226内にもはや存在しない可能性は非常に低いので、コンピューティングデバイス234は、安全な作動を示す情報の生成を繰り返すことができる。
図14に示すように、一旦安全な条件310になると、コンピューティングデバイス234が、支持構造体が依然として存在すると判定するか、支持構造体が存在していないと判定するかにかかわらず、コンピューティングデバイス234は、ゲート222が閉じたままである限り(310の「ゲート閉」)、スナップフック220が安全な条件にある旨を判定する。
【0267】
安全な作動を示す情報を生成した後、コンピューティングデバイス234は、ゲート222が開けられ、取り付け領域226内に支持構造体が配置されている(310の「ゲート開及びアンカー」と判定することができる。例えば、コンピューティングデバイス234は、
図4A及び
図4B並びに/又は
図15の動作を実行し、支持構造体が依然として取り付け領域226内にある旨を判定するが、ゲート222が開いているとも判定する。この例では、コンピューティングデバイス234は、スナップフック220が準最適条件320にある旨を判定し、スナップフック220の準最適な作動を示す情報を生成することができる。
【0268】
準最適条件320では、ゲート222は開いているが、支持構造体は依然として取り付け領域226内にある。コンピューティングデバイス234は、ゲート222が開いている限り、かつ、取り付け領域226内に支持構造体がある限り(320の「ゲート開及びアンカー」)、スナップフック220が準最適条件320にある旨を判定することができる。したがって、コンピューティングデバイス234は、ゲート222が開いており、かつ取り付け領域226内に支持構造体がある限り(320の「アンカー及びゲート開」)、準最適な作動(例えば、スナップフック220が準最適条件320にある)を示す情報の生成を繰り返すことができる。コンピューティングデバイス234が、ゲート222が閉じていると判定し、かつ、支持構造体が取り付け領域226内にある旨を判定した場合(320の「ゲート閉及びアンカー」)、コンピューティングデバイス234は、スナップフック220が安全な条件320にある旨を判定し、スナップフック220の安全な作動を示す情報を生成することができる。
【0269】
しかしながら、コンピューティングデバイス234が、ゲート222が開いており、かつ、支持構造体がもはや取り付け領域226内にない(320の「アンカーなし」)と判定した場合、コンピューティングデバイス234は、スナップフック220が安全でない条件330にある旨を判定することができる。コンピューティングデバイス234は、スナップフック220の安全でない作動を示す情報を生成することができる。安全でない条件330では、ゲート222は開いており、かつ、支持構造体は取り付け領域226内にない。
【0270】
一旦安全でない条件330になると、コンピューティングデバイス234は、取り付け領域226内に支持構造体がない(「330の「アンカーなし」)、又はゲート222が閉じている(330の「ゲート閉」)とコンピューティングデバイス234が判定する限り、スナップフック220が安全でない条件330にある旨を判定することができる。したがって、コンピューティングデバイス234は、コンピューティングデバイス234が準最適な作動又は安全な作動を判定するまで、安全でない作動を示す情報を繰り返し生成することができる。
【0271】
例えば、コンピューティングデバイス234が、支持構造体が取り付け領域226内にある旨を判定し、かつゲート222が開いている旨を判定した場合((330)の「アンカー及びゲート開」)、コンピューティングデバイス234は、スナップフック220が準最適条件320にある旨を判定することができる。次いで、コンピューティングデバイス234は、スナップフック220の準最適な作動を示す情報を生成することができる。また、
図14に示されるように、コンピューティングデバイス234が、スナップフック220が安全な条件310にある旨を判定したが、その後、ゲート222が開いており、支持構造体が取り付け領域226内にない旨を判定した場合(310の「ゲート開及びアンカーなし」)、コンピューティングデバイス234は、スナップフック220が安全でない条件330で作動している旨を判定することができる。次いで、コンピューティングデバイス234は、スナップフック220の安全でない作動を示す情報を生成することができる。
【0272】
上記の例示的な技術は、コンピューティングデバイス234に関して説明されているが、例示的な技術は、ハブ14、安全ステーション15、コンピューティングデバイス16、及び/又はPPEMS6のような様々な他のプロセッサとの組み合わせで実施することができる。したがって、
図14に関して上述した例示的な技術は、1つ以上のプロセッサによって実施することができ、その例としては、落下防止デバイス11、ハブ14、安全ステーション15、コンピューティングデバイス16、及び/又はPPEMS6内のプロセッサが挙げられる。
【0273】
実施例によっては、本明細書で説明した技術のいずれかの特定の行為又はイベントは、異なる順序で実行することができ、共に加える、結合する、又は省略することができる(例えば、説明した行為又はイベントの全てが技術の実践のために必要なわけではない)ことを認識されたい。更に、特定の実施例では、行為又はイベントは、順次ではなく、例えば、マルチスレッド処理、割込処理、又は複数のプロセッサにより、同時に実行することができる。
【0274】
1つ以上の実施例では、説明した機能は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はこれらの組み合わせにより実現してもよい。ソフトウェアで実現される場合、機能は、1つ以上の命令又はコードとしてコンピュータ可読媒体に格納することができ、又はそれを介して送信し、ハードウェアベースの処理ユニットによって実行することができる。コンピュータ可読媒体としては、データ記憶媒体などの有形媒体に対応するコンピュータ可読記憶媒体、又は、例えば、通信プロトコルに従って1つの場所から別の場所へのコンピュータプログラムの伝送を促進する任意の媒体を含む通信媒体、を挙げることができる。このようにして、コンピュータ可読媒体は、一般的に(1)非一時的な有形のコンピュータ可読記憶媒体、又は(2)信号若しくは搬送波等の通信媒体、に対応してもよい。データ記憶媒体は、本開示で説明する技術の実現のための命令、コード、及び/又はデータ構造を取り出すために、1つ以上のコンピュータ又は1つ以上のプロセッサによってアクセスすることができる、任意の利用可能な媒体とすることができる。コンピュータプログラム製品は、コンピュータ可読媒体を含んでもよい。
【0275】
例として、かかるコンピュータ可読記憶媒体は、RAM、ROM、EEPROM、CD-ROM、若しくはその他の光ディスクストレージ、磁気ディスクストレージ、若しくはその他の磁気ストレージデバイス、フラッシュメモリ、又は、命令若しくはデータ構造の形態で所望のプログラムコードを格納するのに用いることができると共に、コンピュータによってアクセスできる他のいずれかの媒体、を含むことができるが、これらに限定はされない。また、いずれかの接続は、コンピュータ可読媒体と適切に呼ばれる。例えば、命令が同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、デジタル加入者回線(digital subscriber line、DSL)、又は、赤外、無線通信、及びマイクロ波などの無線技術を使用してウェブサイト、サーバ、又は他のリモートソースから送信される場合、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、DSL、又は、赤外、無線通信、及びマイクロ波などの無線技術は、媒体の定義に含まれる。
【0276】
しかし、コンピュータ可読記憶媒体及びデータ記憶媒体は、接続、搬送波、信号、又は他の一時的媒体を含まず、代わりに、非一時的な有形記憶媒体を対象としていることを理解されたい。磁気ディスク及び光ディスクは、本明細書で使用する場合、コンパクトディスク(compact disc、CD)、レーザディスク、光ディスク、デジタル多用途ディスク(digital versatile disc、DVD)、フロッピーディスク、及びブルーレイディスクを含み、磁気ディスクは一般に、データを磁気的に再生し、光ディスクは、データをレーザによって光学的に再生する。上記の組み合わせもまた、コンピュータ可読媒体の範囲内に含まれなければならない。
【0277】
命令は、1つ以上のデジタル信号プロセッサ(digital signal processor、DSP)、汎用マイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(application specific integrated circuit、ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(field programmable gate array、FPGA)、又は他の同等な集積若しくはディスクリート論理回路、並びにこれらの構成要素の任意の組み合わせなどの、1つ以上のプロセッサによって実行することができる。したがって、本明細書で使用する場合、「プロセッサ」という用語は、前述の構造のうちのいずれか、又は本明細書で説明した技術の実施に好適な任意の他の構造を指してもよい。更に、いくつかの態様において、本明細書に記載される機能は、専用のハードウェア及び/又はソフトウェアモジュール内に設けることができる。また、これらの技術は、1つ以上の回路又は論理素子に完全に実装することができる。
【0278】
本開示の技術は、無線通信デバイス又は無線ハンドセット、マイクロプロセッサ、集積回路(integrated circuit、IC)、又はICのセット(例えば、チップセット)を含む、多種多様なデバイス又は装置に実装することができる。開示された技術を実行するように構成されたデバイスの機能的な態様を強調するために、様々なコンポーネント、モジュール、又はユニットを本開示で説明したが、様々なハードウェアユニットによる具現化が必ずしも必要ではない。むしろ、上述したように、様々なユニットは、好適なソフトウェア及び/又はファームウェアと併せて、上述したような1つ以上のプロセッサを含むハードウェアユニットに組み合わされるか、又は相互動作するハードウェアユニットの集合によって提供してもよい。
【0279】
様々な実施例について説明してきた。これら及びその他の実施例は、以下の特許請求の範囲の範囲内である。
下記に、例示的実施形態を示す。
[1]
落下防止デバイスであって、
前記落下防止デバイスを支持構造体に取り付けるための取り付け領域を少なくとも部分的に画定する本体と、
前記本体に接続され、かつ、開位置と閉位置との間を移動するように構成された可動ゲートであって、前記開位置は、前記落下防止デバイスの前記取り付け領域へのアクセスを提供し、前記閉位置は、前記取り付け領域へのアクセスを制限する、可動ゲートと、
前記支持構造体が前記取り付け領域内にあるかどうかを感知するための、前記本体内の誘導センサであって、前記誘導センサは、前記支持構造体が前記取り付け領域内にないときと比較して前記支持構造体が前記取り付け領域内にあるときに前記誘導センサの前記電気回路の共振周波数が変化するように、前記本体内に配置された電気回路を備える、誘導センサと、を備える落下防止デバイス。
[2]
前記誘導センサの前記電気回路が、前記電気回路を通って流れる電流に応答して前記取り付け領域内に電磁場を発生させ、前記誘導センサの前記電気回路の前記共振周波数が、前記支持構造体が前記取り付け領域内にあるときに変化しかつ前記電磁場と相互作用するように、前記誘導センサの前記電気回路が前記本体内に位置決めされ及び配向される、[1]に記載の落下防止デバイス。
[3]
前記誘導センサの前記電気回路は、1つ以上のコイルの第1のセットとして形成される第1の導体と、1つ以上のコイルの第2のセットとして形成される第2の導体と、を有するインダクタを備え、前記第1の導体及び前記第2の導体は、前記インダクタを形成するように直列に接続されており、1つ以上のコイルの前記第1のセットは、1つ以上のコイルの前記第2のセットに対して反対方向に巻かれている、[1]又は[2]に記載の落下防止デバイス。
[4]
前記誘導センサの前記インダクタは、レムニスケート形態に実質的に類似の形態を有する、[3]に記載の落下防止デバイス。
[5]
1つ以上のコイルの前記第1のセットは、外部磁場によって1つ以上のコイルの前記第1のセットにおいて生成される第1の信号が、前記外部磁場から1つ以上のコイルの前記第2のセットにおいて生成される第2の信号によってキャンセルされるように、1つ以上のコイルの前記第2のセットに対して反対方向に巻かれている、[3]及び4のいずれかに記載の落下防止デバイス。
[6]
1つ以上のコイルの前記第1のセット及び1つ以上のコイルの前記第2のセットは、プリント回路基板の同じ側に形成されている、[3]~[5]のいずれか一項に記載の落下防止デバイス。
[7]
1つ以上のコイルの前記第1のセット及び1つ以上のコイルの前記第2のセットは、プリント回路基板の反対側に形成されている、[3]~[5]のいずれか一項に記載の落下防止デバイス。
[8]
前記支持構造体が前記取り付け領域内にあることに応答した、前記誘導センサの電子回路における共振周波数変化を求め、かつ、前記共振周波数変化に基づいて、前記支持構造体が前記取り付け領域内にあると判定するように構成された1つ以上のプロセッサ、
を更に備える、
[1]~[7]のいずれか一項に記載の落下防止デバイス。
[9]
前記誘導センサは、前記本体のボウルの周りに屈曲されたフレキシブルプリント回路基板上に形成される、[1]~[8]のいずれか一項に記載の落下防止デバイス。
[10]
前記誘導センサは第1の誘導センサを備え、前記デバイスは、
少なくとも第2の誘導センサを更に備え、前記第2の誘導センサの電子回路の共振周波数は、前記支持構造体が前記取り付け領域内にないときと比較して前記支持構造体が前記取り付け領域内にあるときに変化する、
[1]~[9]のいずれか一項に記載の落下防止デバイス。
[11]
前記インダクタは第1のインダクタを備え、前記第2の誘導センサは、1つ以上のコイルの第3のセットとして形成される第3の導体と、1つ以上のコイルの第4のセットとして形成される第4の導体と、を有する第2のインダクタを備え、前記第3の導体及び前記第4の導体は、前記第2のインダクタを形成するように直列に接続されており、1つ以上のコイルの前記第3のセットは、1つ以上のコイルの前記第4のセットに対して反対方向に巻かれている、[10]に記載の落下防止デバイス。
[12]
前記第1の誘導センサと前記第2の誘導センサとは部分的に重なり合っている、[10]及び[11]のいずれかに記載の落下防止デバイス。
[13]
前記誘導センサと前記本体の内側の金属との間に位置決めされたフェライトシールド材料を更に備える、[1]~[12]のいずれか一項に記載の落下防止デバイス。
[14]
前記支持構造体が前記取り付け領域内にあるときの前記誘導センサの前記電子回路の前記共振周波数は、前記支持構造体が前記取り付け領域内にないときの前記誘導センサの前記電子回路の前記共振周波数よりも約5キロヘルツ(kHz)大きい、[1]~[13]のいずれか一項に記載の落下防止デバイス。
[15]
前記支持構造体が前記取り付け領域内にないときの前記誘導センサの前記電子回路の前記共振周波数は、4.5メガヘルツ(MHz)以上である、[1]~[14]のいずれか一項に記載の落下防止デバイス。
[16]
前記誘導センサの前記電子回路は、約3.25マイクロヘンリー(μH)のインダクタンスを有するインダクタを備える、[1]~[15]のいずれか一項に記載の落下防止デバイス。
[17]
前記誘導センサの前記電子回路は、前記第1の導体と前記第2の導体との間に結合され、かつ前記インダクタと並列に結合された1つ以上のコンデンサを更に備え、前記インダクタ及び前記1つ以上のコンデンサは、LC並列共振回路を形成し、前記支持構造体が前記取り付け領域内にあるときに、前記支持構造体は、前記インダクタのインダクタンスの変化を引き起こし、前記LC並列共振回路の前記共振周波数を変化させる、[1]~[16]のいずれか一項に記載の落下防止デバイス。
[18]
前記1つ以上のコンデンサの総静電容量が、約390ピコファラッド(pF)である、[17]に記載の落下防止デバイス。
[19]
前記誘導センサの前記電子回路は、約9ミリメートル(mm)の幅及び約50mmの長さを有するインダクタを含む、[1]~[18]のいずれか一項に記載の落下防止デバイス。
[20]
1つ以上のプロセッサを更に備え、前記プロセッサは、
前記誘導センサの前記電子回路の前記共振周波数が、前記誘導センサのベースライン共振周波数に対して上向きに変化したか、下向きに変化したかを判定し、
前記判定に基づいて、前記支持構造体の金属の種類を判定する、
ように構成されている、[1]~[19]のいずれか一項に記載の落下防止デバイス。
[21]
前記可動ゲートの位置、又は前記可動ゲートの前記位置を制御する可動ロックの位置を判定するように構成されたセンサ、
を更に備える、[1]~[20]のいずれか一項に記載の落下防止デバイス。
[22]
落下防止検出のためのシステムであって、前記システムは、
電子回路を有する誘導センサを備える落下防止デバイスと、前記誘導センサに結合された1つ以上のプロセッサと、を備え、前記1つ以上のプロセッサは、
前記誘導センサの前記電子回路の共振周波数の変化を求め、
前記誘導センサの前記電子回路の前記共振周波数の前記変化に基づいて、支持構造体が前記落下防止デバイスの取り付け領域内にあるかどうかを判定し、
前記支持構造体が前記落下防止デバイスの前記取り付け領域内にあるかどうかの前記判定に少なくとも部分的に基づいて、前記落下防止デバイスが前記支持構造体にアンカーされているかどうかを示す情報を生成する、
ように構成されている、落下防止検出のためのシステム。
[23]
前記誘導センサは第1の誘導センサを備え、前記落下防止デバイスは第2の誘導センサを備え、
前記1つ以上のプロセッサは、前記第1の誘導センサの前記電子回路の前記共振周波数の前記変化を示す第1の値を求め、前記第2の誘導センサの電子回路の共振周波数の変化を示す第2の値を求め、かつ前記第1の値と前記第2の値を合計して、共振周波数値の変化の合計を求め、
前記支持構造体が前記落下防止デバイスの前記取り付け領域内にあるかどうかを判定するために、前記1つ以上のプロセッサは、前記共振周波数値の変化の合計に基づいて、前記支持構造体が前記落下防止デバイスの前記取り付け領域内にあるかどうかを判定するように構成されている、
[22]に記載のシステム。
[24]
前記共振周波数値の変化の合計に基づいて、前記支持構造体が前記落下防止デバイスの前記取り付け領域内にあるかどうかを判定するために、前記1つ以上のプロセッサは、
前記共振周波数値の変化の合計を周波数変化閾値と比較し、
前記比較に基づいて、前記支持構造体が前記落下防止デバイスの取り付け領域内にあるかどうかを判定する、
ように構成されている、[23]に記載のシステム。
[25]
前記共振周波数値の変化の合計は、第1の共振周波数値の変化の合計を含み、前記1つ以上のプロセッサは、
前記第1の誘導センサの前記電子回路の以前の共振周波数と、前記第1の誘導センサの前記電子回路のベースライン共振周波数の現在の推定値との差を示す第1の差分値を求め、
前記第2の誘導センサの前記電子回路の以前の共振周波数と、前記第2の誘導センサの前記電子回路のベースライン共振周波数の現在の推定値との差を示す第2の差分値を求め、
前記第1の差分値と前記第2の差分値とを合計して、第2の共振周波数値の変化の合計を生成する、
ように構成されており、
前記共振周波数の変化の合計に基づいて、前記支持構造体が前記落下防止デバイスの前記取り付け領域内にあるかどうかを判定するために、前記1つ以上のプロセッサは、
前記第1の共振周波数値の変化の合計を周波数変化閾値と比較し、
前記第2の共振周波数値の変化の合計を前記周波数変化閾値と比較し、
前記比較に基づいて、前記支持構造体が前記落下防止デバイスの取り付け領域内にあるかどうかを判定する、
ように構成されている、[23]に記載のシステム。
[26]
前記誘導センサの前記電子回路の前記共振周波数の前記変化を求めるために、前記1つ以上のプロセッサは、
前記誘導センサの前記電子回路の現在の共振周波数を求め、
前記誘導センサの前記電子回路のベースライン共振周波数の現在の推定値を求め、
前記誘導センサの前記電子回路の前記現在の共振周波数と、前記誘導センサの前記電子回路のベースライン共振周波数の前記現在の推定値との差を求める、
ように構成されている、[22~[25]のいずれか一項に記載のシステム。
[27]
前記誘導センサの前記電子回路の前記ベースライン共振周波数の前記現在の推定値を求めるために、前記1つ以上のプロセッサは、
前記誘導センサの前記電子回路の現在の平均共振周波数を求め、
前記誘導センサの前記電子回路の前記現在の共振周波数と、前記誘導センサの前記電子回路の前記現在の平均共振周波数との差を求め、
前記差に基づいて前記ベースライン共振周波数の前記現在の推定値を求める、
ように構成されている、[26]に記載のシステム。
[28]
前記差に基づいて前記ベースライン共振周波数の前記現在の推定値を求めるために、前記1つ以上のプロセッサは、
前記差に基づいて前記誘導センサの前記電子回路の前記現在の平均共振周波数に向かって前記現在の共振周波数を示す値を調整して、調整された値を求め、
前記ベースライン共振周波数の前記現在の推定値を、前記調整された値と等しく設定する、
ように構成されている、[27]に記載のシステム。
[29]
前記現在の平均共振周波数を求めるために、前記1つ以上のプロセッサは、
前記誘導センサの前記電子回路の共振周波数測定の第1のウィンドウの平均を示す現在の平均の値を求め、
前記誘導センサの前記電子回路の共振周波数測定の第2のウィンドウの平均を示す以前の平均の値を取り出し、
前記現在の平均の値と前記以前の平均の値との間の差分値を求め、
前記差分値を平均周波数変化閾値と比較し、
前記比較に基づいて前記現在の平均共振周波数を求める、
ように構成されている、[27]に記載のシステム。
[30]
前記比較に基づいて前記現在の平均共振周波数を求めるために、前記1つ以上のプロセッサは、
前記差分値が前記平均周波数変化閾値以下であることに基づいて、前記現在の平均共振周波数の値を前記現在の平均の値に等しく設定する、又は
前記差分値が前記平均周波数変化閾値よりも大きいことに基づいて、前記現在の平均共振周波数の前記値を、前記現在の平均の値と前記以前の平均の値との加重平均に等しく設定する、
ように構成されている、[29]に記載のシステム。
[31]
前記誘導センサの電子回路は、1つ以上のコイルの第1のセットとして形成される第1の導体と、1つ以上のコイルの第2のセットとして形成される第2の導体と、を有するインダクタを備え、前記第1の導体及び前記第2の導体は、前記インダクタを形成するように直列に接続されており、1つ以上のコイルの前記第1のセットは、1つ以上のコイルの前記第2のセットに対して反対方向に巻かれている、[22~[30]のいずれか一項に記載のシステム。
[32]
前記落下防止デバイスは、ゲートと、前記落下防止デバイスを前記支持構造体に取り付けるための取り付け領域を画定する本体とを含み、前記1つ以上のプロセッサは、前記支持構造体が前記取り付け領域内にあり、かつ、前記落下防止デバイスの前記ゲートが閉じているという判定に基づいて、前記落下防止デバイスの安全な作動を示す情報を生成するように構成されている、[22~[31]のいずれか一項に記載のシステム。
[33]
前記1つ以上のプロセッサは、
安全な作動を示す情報を生成した後、前記落下防止デバイスの前記ゲートが開いておらず前記支持構造体が前記取り付け領域内にない旨を判定し、
安全な作動を示す情報の生成を繰り返す、
ように構成されている、[32]に記載のシステム。
[34]
前記1つ以上のプロセッサは、
安全な作動を示す情報を生成した後、前記落下防止デバイスの前記ゲートが開けられ、かつ、前記支持構造体が前記落下防止デバイスの前記取り付け領域内にある旨を判定し、
前記落下防止デバイスの準最適な作動を示す情報を生成する、
ように構成されている、[32]に記載のシステム。
[35]
前記落下防止デバイスの準最適な作動を示す前記情報は、可聴情報、視覚情報、又は触覚情報のうちの少なくとも1つを含む、[32]に記載のシステム。
[36]
前記1つ以上のプロセッサは、
準最適な作動を示す情報を生成した後、前記ゲートが開いていると判定される限り、前記準最適な作動を示す情報の生成を繰り返す
ように構成されている、[34]に記載のシステム。
[37]
前記1つ以上のプロセッサは、前記支持構造体が前記落下防止デバイスの前記取り付け領域内にあると判定される限り、前記準最適な作動を示す情報の生成を繰り返すように構成されている、[34]に記載のシステム。
[38]
前記1つ以上のプロセッサは、
準最適な作動を示す情報を生成した後、前記ゲートが閉じている旨を判定し、前記安全な作動を示す情報の生成を繰り返す、ように構成されている、[34]に記載のシステム。
[39]
前記1つ以上のプロセッサは、
前記準最適な作動を示す情報を生成した後に、前記取り付け領域内に金属構造体がないと判定し、
前記落下防止デバイスの安全でない作動を示す情報を生成する、
ように構成されている、[34]に記載のシステム。
[40]
前記落下防止デバイスの安全でない作動を示す前記情報は、可聴情報、視覚情報、又は触覚情報のうちの少なくとも1つを含む、[39]に記載のシステム。
[41]
前記1つ以上のプロセッサは、
安全な作動を示す情報を生成した後、前記ゲートが開けられ、かつ、前記支持構造体が前記落下防止デバイスの前記取り付け領域内にない旨を判定し、
前記落下防止デバイスの安全でない作動を示す情報を生成する、
ように構成されている、[32]に記載のシステム。
[42]
前記落下防止デバイスの安全でない作動を示す前記情報は、可聴情報、視覚情報、又は触覚情報のうちの少なくとも1つを含む、[41]に記載のシステム。
[43]
前記1つ以上のプロセッサは、前記落下防止デバイスの前記ゲートが閉じており、かつ、前記金属構造体が前記取り付け領域内にあると判定するまで、安全でない作動を示す情報の生成を繰り返すように構成されている、[41]に記載のシステム。
[44]
前記1つ以上のプロセッサは、
準最適な作動を示す情報を生成した後、前記ゲートが閉じており、かつ、前記金属構造体が前記取り付け領域内にある旨を判定し、
安全な作動を示す情報を生成する、
ように構成されている、[41]に記載のシステム。
[45]
前記1つ以上のプロセッサは、
前記準最適な作動を示す情報を生成した後、前記取り付け領域内に金属構造体があり、かつ、前記ゲートが開けられる旨を判定し、
前記落下防止デバイスの安全でない作動を示す情報を生成する、
ように構成されている、[41]に記載のシステム。
[46]
前記落下防止デバイスの安全でない作動を示す前記情報は、可聴フィードバック、視覚フィードバック、又は触覚フィードバックのうちの少なくとも1つを含む、[45]に記載のシステム。
[47]
前記落下防止デバイスは第1の落下防止デバイスであり、前記システムは第2の落下防止デバイスを備え、前記1つ以上のプロセッサは、
前記第1の落下防止デバイスから第1のデータを受信し、前記第2の落下防止デバイスから第2のデータを受信し、
前記第1のデータ及び前記第2のデータに少なくとも部分的に基づいて、少なくとも1つの動作を実行する、
ように構成されている、[22]に記載のシステム。
[48]
前記第1及び第2の落下防止デバイスと前記1つ以上のプロセッサとを備えるシステムは、1人で着用されるように構成されている、[47]に記載のシステム。
[49]
前記第1及び第2の落下防止デバイスと、前記1つ以上のプロセッサとを備えるシステムは、個人用保護具の物品内に構成されている、[48]に記載のシステム。
[50]
前記落下防止デバイスは第1の落下防止デバイスであり、前記システムは第2の落下防止デバイスを備え、前記1つ以上のプロセッサは、
前記第1の落下防止デバイスが安全でない作動中であり、かつ前記第2の落下防止デバイスが安全な作動中である旨を判定し、
前記第2の落下防止デバイスのゲートが開けられる旨を判定し、
前記第2の落下防止デバイスの前記ゲートが開けられるという前記判定に少なくとも部分的に基づいて、前記第2の落下防止デバイスが準最適な作動中である旨を判定する、
ように構成されている、[22]に記載のシステム。
[51]
前記1つ以上のプロセッサは、
前記第2の落下防止デバイスが前記準最適な作動中である旨の前記判定に応答して、前記第2の落下防止デバイスの準最適な作動を示す情報を生成するように構成されており、前記情報は、可聴情報、視覚情報、又は触覚情報のうちの少なくとも1つを備える、
[50]に記載のシステム。
[52]
前記1つ以上のプロセッサは、
前記第1の落下防止デバイスが安全でない作動中であり、かつ前記第2の落下防止デバイスが安全な作動中である旨を判定し、
前記支持構造体が前記第2の落下防止デバイスの取り付け領域内にない旨を判定し、
前記支持構造体が前記第2の落下防止デバイスの取り付け領域内にない旨の前記判定に少なくとも部分的に基づいて、前記第2の落下防止デバイスが安全でない作動中である判定する、
ように構成されている、[22]に記載のシステム。
[53]
前記1つ以上のプロセッサは、
前記第2の落下防止デバイスが前記安全でない作動中である旨の前記判定に応答して、前記第2の落下防止デバイスの安全でない作動を示す情報を生成するように構成されており、前記情報は、可聴情報、視覚情報、又は触覚情報のうちの少なくとも1つを備える、
[52]に記載のシステム。
[54]
前記共振周波数の前記変化を求めるために、前記1つ以上のプロセッサは、前記共振周波数の変化率を求めるように構成され、
前記支持構造体が前記取り付け領域内にあるかどうかを判定するために、前記1つ以上のプロセッサは、前記共振周波数の前記変化率が閾値よりも大きいかどうかを判定するように構成されている、
[22]に記載のシステム。
[55]
落下防止検出のための方法であって、前記方法は、
落下防止デバイスの誘導センサの電子回路の共振周波数の変化を求めることと、
前記誘導性センサの前記電子回路の前記共振周波数の前記変化に基づいて、支持構造体が前記落下防止デバイスの取り付け領域内にあるかどうかを判定することと、
前記支持構造体が前記落下防止デバイスの前記取り付け領域内にあるかどうかの前記判定に少なくとも部分的に基づいて、前記落下防止デバイスが前記支持構造体にアンカーされているかどうかを示す情報を生成することと、
を含む、落下防止検出のための方法。
[56]
前記誘導センサは第1の誘導センサを備え、前記方法は、前記落下防止デバイスが第2の誘導センサを備えており、
前記第1の誘導センサの前記電子回路の前記共振周波数の前記変化を示す第1の値を求めることと、
前記落下防止デバイスの第2の誘導センサの電子回路の共振周波数の変化を示す第2の値を求めることと、
前記第1の値と前記第2の値とを合計して、共振周波数値の変化の合計を求めることと、
を更に含み、
前記支持構造体が前記落下防止デバイスの前記取り付け領域内にあるかどうかを判定することは、前記共振周波数値の変化の合計に基づいて、前記支持構造体が前記落下防止デバイスの前記取り付け領域内にあるかどうかを判定することを含む、
[55]に記載の方法。
[57]
前記共振周波数値の変化の合計に基づいて、前記支持構造体が前記落下防止デバイスの前記取り付け領域内にあるかどうかを判定することは、
前記共振周波数値変化の合計を周波数変化閾値と比較することと、
前記比較に基づいて、前記支持構造体が前記落下防止デバイスの取り付け領域内にあるかどうかを判定することと、
を含む、[56]に記載の方法。
[58]
前記共振周波数値の変化の合計は、第1の共振周波数値の変化の合計を含み、前記方法は、
前記第1の誘導センサの前記電子回路の以前の共振周波数と、前記第1の誘導センサの前記電子回路のベースライン共振周波数の現在の推定値との差を示す第1の差分値を求めることと、
前記第2の誘導センサの前記電子回路の以前の共振周波数と、前記第2の誘導センサの前記電子回路のベースライン共振周波数の現在の推定値との差を示す第2の差分値を求めることと、
前記第1の差分値と前記第2の差分値とを合計して、第2の共振周波数値の変化の合計を生成することと、
を更に含み、
前記共振周波数の変化の合計に基づいて、前記支持構造体が前記落下防止デバイスの前記取り付け領域内にあるかどうかを判定することは、
前記第1の共振周波数値の変化の合計を周波数変化閾値と比較することと、
前記第2の共振周波数値の変化の合計を前記周波数変化閾値と比較することと、
前記比較に基づいて、前記支持構造体が前記落下防止デバイスの取り付け領域内にあるかどうかを判定することと、
を含む、[46]に記載の方法。
[59]
前記誘導センサの前記共振周波数の前記変化を求めることは、
前記誘導センサの前記電子回路の現在の共振周波数を求めることと、
前記誘導センサの前記電子回路のベースライン共振周波数の現在の推定値を求めることと、
前記誘導センサの前記電子回路の前記現在の共振周波数と、前記誘導センサの前記電子回路のベースライン共振周波数の前記現在の推定値との差を求めることと、
を含む、[55~[58]のいずれか一項に記載の方法。
[60]
前記誘導センサの前記ベースライン共振周波数の前記現在の推定値を求めることは、
前記誘導センサの前記電子回路の現在の平均共振周波数を求めることと、
前記誘導センサの前記電子回路の前記現在の共振周波数と、前記誘導センサの前記電子回路の現在の平均共振周波数との差を求めることと、
前記差に基づいて前記ベースライン共振周波数の前記現在の推定値を求めることと、
を含む、[59]に記載の方法。
[61]
前記差に基づいて前記ベースライン共振周波数の前記現在の推定値を求めることは、
前記差に基づいて前記誘導センサの前記現在の平均共振周波数に向かって前記現在の共振周波数を示す値を調整して、調整された値を求めることと、
前記ベースライン共振周波数の前記現在の推定値を前記調整された値に等しく設定することと、
を含む、[60]に記載の方法。
[62]
前記現在の平均共振周波数を求めることは、
前記誘導センサの前記電子回路の共振周波数測定の第1のウィンドウの平均を示す現在の平均の値を求めることと、
前記誘導センサの前記電子回路の共振周波数測定の第2のウィンドウの平均を示す前の平均の値を取り出すことと、
前記現在の平均の値と前記以前の平均の値との差分値を求めることと、
前記差分値を平均周波数変化閾値と比較することと、
前記比較に基づいて、前記現在の平均共振周波数を求めることと、
を含む、[61]に記載の方法。
[63]
前記比較に基づいて、前記現在の平均共振周波数を求めることは、
前記差分値が前記平均周波数変化閾値以下であることに基づいて、前記現在の平均共振周波数の値を前記現在の平均の値に等しく設定すること、又は
前記差分値が前記平均周波数変化閾値よりも大きいことに基づいて、前記現在の平均共振周波数の前記値を、前記現在の平均の値と前記以前の平均の値との加重平均に等しく設定すること、
を含む、[62]に記載の方法。
[64]
前記誘導センサの前記電子回路は、1つ以上のコイルの第1のセットとして形成される第1の導体と、1つ以上のコイルの第2のセットとして形成される第2の導体と、を有するインダクタを備え、前記第1の導体及び前記第2の導体は、前記インダクタを形成するように直列に接続されており、コイルの前記第1のセットは、コイルの前記第2のセットに対して反対方向に巻かれている、[55~[63]のいずれか一項に記載の方法。
[65]
前記共振周波数の前記変化を求めることは、前記共振周波数の変化率を求めることを含み、
前記支持構造体が前記取り付け領域内にあるかどうかを判定することは、前記共振周波数の前記変化率が閾値よりも大きいかどうかを判定することを含む、
[55]に記載の方法。