(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-15
(45)【発行日】2024-02-26
(54)【発明の名称】異性体富化された3-カランラクタム並びに高い光学純度及び高性能用途のために調整可能な結晶性を有する上記ラクタムをベースとするポリアミド
(51)【国際特許分類】
C08G 69/14 20060101AFI20240216BHJP
C07C 251/44 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
C08G69/14 ZBP
C08G69/14 ZAB
C07C251/44
(21)【出願番号】P 2020546944
(86)(22)【出願日】2019-03-01
(86)【国際出願番号】 EP2019055124
(87)【国際公開番号】W WO2019170538
(87)【国際公開日】2019-09-12
【審査請求日】2022-03-01
(31)【優先権主張番号】102018203631.4
(32)【優先日】2018-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】500242786
【氏名又は名称】フラウンホファー ゲセルシャフト ツール フェールデルンク ダー アンゲヴァンテン フォルシュンク エー.ファオ.
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ストックマン,ポール
(72)【発明者】
【氏名】ストリットマッター,ハラルド
(72)【発明者】
【氏名】シーバー,フォルカー
(72)【発明者】
【氏名】ファルック,クラウディア
【審査官】佐藤 貴浩
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102014221061(DE,A1)
【文献】特開2013-053097(JP,A)
【文献】特開2014-169289(JP,A)
【文献】特開2004-256490(JP,A)
【文献】国際公開第00/069817(WO,A1)
【文献】特表2009-517491(JP,A)
【文献】特開2001-310999(JP,A)
【文献】ARATA, K. et al.,Isomerization of 2- and 3-Carene Oxides over Solid Acids and Bases,The Journal of Organic Chemistry,1978年,vol. 43, No. 9,Pages 1660-1664
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 69/00-69/50
C07C251/44
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(n個の繰返単位を有する)
【化1】
に従った3S-ポリカランアミド又は式(n個の繰返単位を有する)
【化2】
の3R-ポリカランアミドである、ポリカランアミド。
【請求項2】
式(a個、b個及びn個の繰返単位を有する):
【化3】
に従った、3S/3R-コ-ポリカランアミド。
【請求項3】
3S-カランラクタム、3R-カランラクタム又は3S-カランラクタム及び3R-カランラクタムからの混合物並びに少なくとも1種の更なるラクタムから製造されているコ-ポリアミド。
【請求項4】
少なくとも1種の更なるラクタムが、カプロラクタム及びラウロラクタムから選択される少なくとも1種のラクタムである、請求項3に記載のコ-ポリアミド。
【請求項5】
コ-ポリアミドが、以下の式(a個、b個、c個及びn個の繰返単位を有する):
【化4】
(式中、Aはコ-ポリアミド中に組み込まれた更なるラクタムの繰返単位を意味する)
に従った繰返単位の少なくとも1つを含む、請求項3又は4に記載のコ-ポリアミド。
【請求項6】
(カランオキシム、つまり3R-及び3S-カランオキシムの総物質量に対して)少なくとも80%の3S-又は3R-カランオキシムの異性体比を有する3-カランオキシムが富化された混合物を製造するための方法であって、以下の方法工程:
a)3-カランエポキシド及び少なくとも1種の酸性触媒を含む反応混合物を準備する方法工程、
b)反応混合物中の3-カランエポキシドを-40℃~140℃の温度で転位下に転化させる方法工程、
c)(カラノンの総物質量に対して)少なくとも80%の3S-カラノン又は3R-カラノンの異性体比を有する異性体富化された混合物を得る方法工程、並びに
e)方法工程c
)で得られる3S-及び3R-カラノンからの異性体富化された混合物
を、少なくとも1種の第3の有機溶剤、塩基及びヒドロキシルアミン(HONH
2・HCl)の存在下で転化させて、(カランオキシム、つまり3R-及び3S-カランオキシムの総物質量に対して)少なくとも80%の3S-又は3R-カランオキシムの異性体比を有する3-カランオキシムが富化された混合物を得る
方法工程
を含む、方法。
【請求項7】
(カランオキシム、つまり3R-及び3S-カランオキシムの総物質量に対して)少なくとも80%の3S-又は3R-カランオキシムの異性体比を有する3-カランオキシムが富化された混合物を製造するための方法であって、以下の方法工程:
a)3-カランエポキシド、少なくとも1種の酸性触媒、及び第1の有機溶剤を含む反応混合物を準備する方法工程、
b)反応混合物中の3-カランエポキシドを-40℃~140℃の温度で転位下に転化させる方法工程、
c)(カラノンの総物質量に対して)少なくとも80%の3S-カラノン又は3R-カラノンの異性体比を有する異性体富化された混合物を得る方法工程、
d)方法工程c)で得られる3S-カラノンが富化された混合物を、少なくとも1種の第2の有機溶剤中で塩基又は0.7までのpKaを有するブレンステッド酸の存在下で異性化して、(カラノンの総物質量に対して)少なくとも50%の3R-カラノンの異性体割合を有する3R-カラノンが富化された混合物を得る方法工程、ここで、第2の有機溶剤は、少なくとも0.200の相対極性を有する非プロトン性極性溶剤又は少なくとも0.200の相対極性を有するプロトン性極性溶剤である、並びに
e)方法工程d)で得られる3S-及び3R-カラノンからの異性体富化された混合物を、少なくとも1種の第3の有機溶剤、塩基及びヒドロキシルアミン(HONH
2
・HCl)の存在下で転化させて、(カランオキシム、つまり3R-及び3S-カランオキシムの総物質量に対して)少なくとも80%の3S-又は3R-カランオキシムの異性体比を有する3-カランオキシムが富化された混合物を得る方法工程
を含む、方法。
【請求項8】
(カランラクタム、つまり3R-及び3S-カランラクタムの総物質量に対して)少なくとも80%の3S-又は3R-カランラクタムの異性体比を有する3-カランラクタムが富化された混合物を製造するための方法であって、以下の方法工程:
請求項6において定義される方法工程
a)、b)、c)及びe
)、並びに
f)方法工程e)で得られる3-カランオキシムが富化された混合物
を転位下に転化させて、(カランラクタム、つまり3R-及び3S-カランラクタムの総物質量に対して)少なくとも80%の3S-又は3R-カランラクタムの異性体比を有する3-カランラクタムが富化された混合物を得る
方法工程、
を含む、方法。
【請求項9】
(カランラクタム、つまり3R-及び3S-カランラクタムの総物質量に対して)少なくとも80%の3S-又は3R-カランラクタムの異性体比を有する3-カランラクタムが富化された混合物を製造するための方法であって、以下の方法工程:
請求項7において定義される方法工程a)、b)、c)、d)及びe)、並びに
f)方法工程e)で得られる3-カランオキシムが富化された混合物を転位下に転化させて、(カランラクタム、つまり3R-及び3S-カランラクタムの総物質量に対して)少なくとも80%の3S-又は3R-カランラクタムの異性体比を有する3-カランラクタムが富化された混合物を得る方法工程、
を含む、方法。
【請求項10】
3S-カランラクタムを製造するための方法であって、以下の方法工程:
請求項8において定義される方法工程a)、b)、c)、e)、及びf)
、並びに
g)方法工程f)で得られる3S-カランラクタムが富化された混合物か
ら結晶化によって3S-カランラクタムを得る
方法工程、
を含む、方法。
【請求項11】
3R-カランラクタムを製造するための方法であって、以下の方法工程:
請求項8において定義される方法工程a)、b)、c)、e)、及びf)、並びに
h)方法工程f)で得られる3-カランラクタムが富化された混合物か
ら3S-カランラクタムの分離後に3R-カランラクタムを得る方法工程、
を含む、方法。
【請求項12】
3R-カランラクタムを製造するための方法であって、以下の方法工程:
請求項9において定義される方法工程a)、b)、c)、d)、e)、及びf)、並びに
h)方法工程f)で得られる3-カランラクタムが富化された混合物から3S-カランラクタムの分離後に3R-カランラクタムを得る方法工程、
を含む、方法。
【請求項13】
3S-ポリカランアミド、3R-ポリカランアミド又は3S/3R-コポリカランアミドを製造するための方法であって、以下の方法工程:
請求項8において定義される方法工程a)、b)、c)、e)、及びf)、並びに
請求項10において定義される方法工程g)、並びに/又は
請求項11において定義される方法工程h)、並びに
i)方法工程g)で得られる3S-カランラクタム、
方法工程h)で得られる3R-カランラクタム
、又は
方法工程g)及びh)で得られる3R-及び3S-カランラクタムからの混合物を重合させて、3S-ポリカランアミド、3R-ポリカランアミド又は3S/3R-コポリカランアミドを得る
方法工程、
を含む、方法。
【請求項14】
3S-カランラクタムを3-カレンから製造するための方法であって、請求項
10に従って、方法工程a)~c)、e)、f)及びg)を含む、方法において、方法工程a)において
、3-カレンのエポキシ化によって得られる3S-カランエポキシドを使用し、方法工程c)において、(カラノンの総物質量に対して)少なくとも80%の3S-カラノンの異性体比を有する3S-カラノンが富化された混合物を得、方法工程e)において転化させて、(カランオキシムの総物質量に対して)少なくとも80%の3S-カランオキシムの異性体比を有する3S-カランオキシムが富化された混合物を得、方法工程f)において転化させて、(カランラクタムの総物質量に対して)少なくとも80%の3S-カランラクタムの異性体比を有する3S-カランラクタム-混合物を得、方法工程g)において結晶化によって3S-カランラクタムを得る、方法。
【請求項15】
3R-カランラクタムを3-カレンから製造するための方法であって、請求項
12に従って、方法工程a)~
f)及びh
)を含む、方法において、方法工程a)において
、3-カレンのエポキシ化によって得られる3S-カランエポキシドを使用し、方法工程c)において、(カラノンの総物質量に対して)少なくとも80%の3S-カラノンの異性体比を有する3S-カラノンが富化された混合物を得、これを方法工程d)において異性化させて、(カラノンの総物質量に対して)少なくとも50%の3R-カラノンの異性体割合を有する3R-カラノンが富化された混合物を得、方法工程e)において転化させて、(カランオキシムの総物質量に対して)少なくとも50%の3R-カランオキシムの異性体比を有する3R-カランオキシムが富化された混合物を得、方法工程f)において転化させて、(カランラクタムの総物質量に対して)少なくとも50%の3R-カランラクタムの異性体比を有する3R-カランラクタムが富化された混合物を得、方法工程h)において3S-カランラクタムの分離後に3R-カランラクタムを得る、方法。
【請求項16】
完全に又は共重合体として又は種々のポリマー若しくはモノマーの混合物の一部として、3-カランラクタム又はそれらの開環されたアミノ酸、アミノ酸エステル若しくはアミノ酸誘導体を含む
、請求項1、2、又は3からの式に従ったポリマー。
【請求項17】
式:
【化5】
に従った3
S-カランラクタム又はそれらの開環されたアミノ酸、アミノ酸エステル若しくはアミノ酸誘導体を含む
、請求項1、2、又は3からの式に従ったポリアミド。
【請求項18】
請求項1、2、3及び
17のいずれか一項に記載のポリアミドの少なくとも1つを含むプラスチック製品。
【請求項19】
ポリアミドが、3S-ポリカランアミド、3R-ポリカランアミド及びコ-ポリカランアミドである、請求項
18に記載のプラスチック製品。
【請求項20】
プラスチック製品が、少なくとも
5重量%のポリアミドを含む、請求項
18又は
19に記載のプラスチック製品。
【請求項21】
プラスチック製品が、これらのポリアミドの少なくとも1つからなる、請求項
18から
20のいずれか一項に記載のプラスチック製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3S-及び3R-カラノン(IUPAC:(1R,4S,6S)-4,7,7-トリメチルビシクロ[4.1.0]ヘプタン-3-オン及び(1R,4R,6S)-4,7,7-トリメチルビシクロ[4.1.0]ヘプタン-3-オン)からの異性体富化された混合物を3S-カランエポキシド(IUPAC:(1S,3S,5R,7R)-3,8,8-トリメチル-4-オキサトリシクロ[5.1.0.03,5]オクタン)から製造するための方法、この方法から得られる3S-カラノン、3S-カランラクタム(IUPAC:(1R,5S,7S)-5,8,8-トリメチル-4-アザビシクロ[5.1.0]オクタン-3-オン)を(+)-3-カレン((1S,6R)-3,7,7-トリメチルビシクロ[4.1.0]ヘプタ-3-エン)から製造するための方法、3R-カランラクタム(IUPAC:(1R,5R,7S)-5,8,8-トリメチル-4-アザビシクロ[5.1.0]オクタン-3-オン)を(+)-3-カレンから製造するための方法、3S-カランオキシム(IUPAC:(1R,4S,6S)-4,7,7-トリメチルビシクロ[4.1.0]ヘプタン-3-オンオキシム)、3S-カランラクタム、3S-ポリカランアミド、3R-ポリカランアミド、並びに3S/3R-コ-ポリカランアミド、とりわけ3S-カランラクタム-3R-カランラクタム-コ-ポリカランアミド、3S-カランラクタム-ラウロラクタム-コ-ポリカランアミド、3S-カランラクタム-カプロラクタム-コ-ポリカランアミド、3R-カランラクタム-ラウロラクタム-コ-ポリカランアミド、3R-カランラクタム-カプロラクタム-コ-ポリカランアミドに関する。
【背景技術】
【0002】
化石資源を節約し、温室効果ガスの排出を削減するために、従来のプラスチック、例えば化石ベースのポリアミドを、再生可能原料から製造することができるポリアミドに置き換えることに大きな関心が持たれている。ポリアミドは、アミノ基及び好ましくは活性化されたカルボキシル基を有する二官能性モノマーの結合によって生ずる。この場合に、ジアミンをジカルボン酸と反応させることも、アミノ酸をアミノ酸と反応させることもできる。後者では、アミノ基及びカルボキシル基を含め、結合に必要な両方の官能基が同じ分子中に存在する。とりわけ、ε-カプロラクタムのようなラクタムが、例えばポリアミドの製造のための開環重合によって使用され得る。
【0003】
重合のために使用される化石原料をベースとする2つの工業的に重要なラクタムは、ポリアミド-6(PA6)の製造のためのε-カプロラクタム及びポリアミド-12の製造のためのラウロラクタムである。ε-カプロラクタムはシクロヘキサノンから、ラウロラクタムはシクロドデカノンから工業的に製造される。この場合に、最初にケトンがオキシムに転化され、引き続きこのオキシムは更にBeckmann転位により、ラクタム、つまりポリアミド製造のためのモノマーに転化される。
【0004】
工業的な量で入手可能なバイオベースポリアミドは、これまで主としてヒマシ油をベースに生産されている。脂肪酸から製造されたモノマーは、化石ベースのポリアミドに匹敵する特性を有する線状の部分晶質のポリマー鎖(PA11、PA410、PA610、PA1010、PA10.12)をもたらす。
【0005】
市販の脂肪酸ベースのポリアミドのガラス転移点(Tg)は通常60℃未満である。Winnacker(M. Winnacker, J. Sag, A. Tischner, B. Rieger, Macromol. Rapid Commun. 2017, 38,1600787)によって記載されたβ-ピネンをベースとするポリアミドは、160℃のTg及び264℃の融点(Tm)を有するが、約24kDaのモル質量のみ達成される。メントンラクタムは、これまでにオリゴマーにのみ転化させることができている。これまでに公知のテルペン及び脂肪酸ベースのポリアミドは部分晶質である。テルペン及び脂肪酸ベースのポリアミドは、これまでに主として低モル質量又は低ガラス転移点のいずれかを更に伴っており、ひいては適用分野が限定されていた。それぞれのモノマーの合成は、大抵は、工業規模で実施することができない(テルペンベース)。
【0006】
モノマーの製造のために利用される再生可能原料が、一方で生産において食品生産と競合せず、他方でそれ自体をこの用途のために特別に栽培する必要がない場合が有利である。再生可能原料から他の製品を製造する際に再生可能原料が残留物/廃棄物として生じる場合が、特に有利であろう。例えば、セルロースの製造に際して、大量のテルペン類、とりわけ木材からセルロースを生産する場合の残留物が生成する。この関連では、DE102014221061A1が参照される。
【0007】
再生可能原料からポリアミドを製造するためのこれまでに公知の方法が更に不利なのは、ポリアミドの製造のために使用されるモノマー又はこれらのモノマーのための合成経路の中間生成物が、しばしば化学的に純粋に及び/又はまた異性体純粋に得ることができないことである。これに加えて不利なのは、ポリアミドの使用温度がしばしば多くの用途に不適であり、達成可能なモル質量も低いことである。更に不利なのは、場合により、ポリアミドの光学純度、すなわち(das heisst)(以下で、すなわち(d.h.)と略される)、タクティシティーも結晶性も狙い通りに調整可能でないことである。
【0008】
原則的に、化学では、モノマーの製造のための異性体、とりわけ異性体中間生成物又は異性体モノマー自体を互いに分離するために、精製方法、例えばクロマトグラフィー分離を利用可能であるが、これらの方法はしばしば非常に手間がかかり高価である。したがって、対応するポリアミドは、化石原料由来のポリアミドに比べて非常に高価である場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【非特許文献】
【0010】
【文献】M. Winnacker, J. Sag, A. Tischner, B. Rieger, Macromol. Rapid Commun. 2017, 38,1600787
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明の課題は、従来技術から公知の不利点が排除される、再生可能原料又は残留物からポリアミドを製造するための方法並びにポリアミドの製造のために必要とされるモノマー及びこれらのモノマーのための合成経路の中間生成物の製造方法を提供することである。再生可能でない又は石油ベースの原料からの公知のポリアミドに対して改善された製品特性、好ましくは改善された透明性及び/又は強度及び/又は靭性及び/又は、とりわけ立体若しくはエナンチオ選択的用途のための立体規則性を有するポリアミドが、とりわけ提供された方法によって特に製造され得るべきである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の課題は、とりわけ請求項1及び更なる独立形式請求項の教示によって解決される。
【0013】
本発明では、本技術的問題は、とりわけ、式(n個の繰返単位を有する):
【0014】
【化1】
による3S-ポリカランアミド、又は式(n個の繰返単位を有する):
【0015】
【化2】
による3R-ポリカランアミドであるポリカランアミドを提供することによっても解決される。
【0016】
本発明はまた、式(a個、b個及びn個の繰返単位を有する):
【0017】
【化3】
による3S-3R-コポリカランアミドに関する。
【0018】
上述のポリカランアミドは、好ましい実施形態では、本発明に従った方法によって、とりわけ本発明による方法を利用して製造可能であり、これらの方法により、本発明によるポリカランアミドは、3-カレン、好ましくは3-カランエポキシド及びとりわけそれらから得られる3S-カラノン及び3R-カラノンからの異性体富化された混合物から得られる。本発明の本質的な寄与は、3-カレン又は3-カランエポキシドから本発明による方法を介して、コポリカランアミド合成のための前駆体を提供すること、とりわけ3S-ポリカランアミドを提供するための3S-カラノンを提供することである。本発明の有利な形態では、3S-カラノンが富化された混合物、とりわけ、有利にも、3S-ポリカランアミドのための又は3S-コポリカランアミドの前駆体としての3S-カランオキシム及び3S-カランラクタムを得ることができる3S-カラノンが富化された混合物を提供することが意図される。
【0019】
本発明はまた、3S-カラノン及び3R-カラノンからの異性体富化された混合物を3-カランエポキシドから製造するための方法であって、以下の方法工程:a)3-カランエポキシド及び少なくとも1種の酸性触媒を含む反応混合物を準備する方法工程、b)反応混合物中の3-カランエポキシドを-40℃~140℃の温度で転位下に転化させる方法工程、並びにc)(カラノンの総物質量に対して)少なくとも80%の3S-カラノン又は3R-カラノンの異性体比を有する異性体富化された混合物を得る方法工程を含む、方法に関する。
【0020】
好ましくは、本発明によれば、方法工程a)で準備された反応混合物は、第1の有機溶剤を追加的に含むことが意図されている。
【0021】
本発明は、とりわけ、3S-カラノン及び3R-カラノンからの異性体富化された混合物を3-カランエポキシドから製造するための方法であって、以下の方法工程:a)3-カランエポキシド、少なくとも1種の酸性触媒及び少なくとも1種の第1の有機溶剤を含有する反応混合物を準備する方法工程、b)反応混合物中の3-カランエポキシドを-40℃~140℃の温度で転位下に転化させる方法工程、並びにc)(3S-及び3R-カラノンの総物質量に対して)少なくとも80%の3S-カラノン又は3R-カラノンの異性体比を有する異性体富化された混合物を得る方法工程を含む、方法に関する。本発明により意図されている3-カランエポキシド、少なくとも1種の酸性触媒及び、好ましい実施形態では少なくとも1種の第1の有機溶剤を含有する反応混合物の準備は、好ましくは、3-カランエポキシド、少なくとも1種の酸性触媒及び任意に少なくとも1種の第1の有機溶剤の混合に対応する。こうして得られる反応混合物において、方法工程b)に従って、本発明により意図されている3-カランエポキシドの転化が行われ、3-カランエポキシドが3S-カラノン及び3R-カラノンに転位されて、(それぞれ3S-及び3R-カラノン(以下では短縮して「カラノン」とも)の総物質量に対して)少なくとも80%の3S-カラノン又は少なくとも80%の3R-カラノンの異性体比を有する方法工程c)で得られる異性体富化された混合物が得られる。異性体を含む混合物は、好ましい方法で精製又は単離され得る。
【0022】
好ましくは、少なくとも1種の酸性触媒は、ルイス酸、特に好ましくは非常に強い酸の金属塩、とりわけ0.23のpKaを有するトリフルオロ酢酸よりも強い酸と、好ましくは第3~第5周期、とりわけ第4~第13族、とりわけ第7~第12族の、とりわけ2~3の酸化数を有する金属との金属塩である。
【0023】
好ましくは、少なくとも1種の第1の有機溶剤は、脂肪族又は芳香族の溶剤、とりわけヘテロ原子を有しない炭化水素のみからなる溶剤、とりわけ4~10個の炭素、とりわけ5~7個の炭素及び30℃から126℃の間の、好ましくは60℃~81℃の沸点を有し、とりわけ0.164(ジオキサン)より低い相対極性を有する溶剤である。
【0024】
好ましくは、本発明によれば、方法工程b)におけるS-及びR-カラノンからの異性体富化された混合物への3-カランエポキシドの転化は、0℃~100℃、好ましくは20℃~80℃、好ましくは40℃~65℃、とりわけ45℃~60℃、とりわけ48℃~53℃、とりわけ50℃~60℃、とりわけ50℃又は60℃の温度で行うことが意図されている。
【0025】
好ましくは、本発明によれば、方法工程b)における3-カランエポキシドの転化は、Meinwald転位下に行うことが更に意図されている。とりわけ、Meinwald転位は、中間物質を伴わない協奏機構を介して又は中間物質を伴う機構を介して、特別には中間物質(1R,6S)-7,7-ジメチル-4-メチレンビシクロ[4.1.0]ヘプタン-3-オール及び(1R,6S)-4,7,7-トリメチルビシクロ[4.1.0]ヘプタ-3-エン-3-オールを介して行うことが意図されている。カラノンの総量に対して少なくとも80%の3S-カラノンを有して異性体富化された方法工程c)における混合物を得るための、方法工程b)における3S-カランエポキシドの立体選択的なMeinwald転位についての1つの理論は、この理論に縛られるべきではないが、この反応が好ましくは協奏機構を介して進行することである。
【0026】
好ましくは、本発明によれば、方法工程c)において得られる異性体富化された混合物は、(カラノンの総物質量に対して)少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%の3S-カラノン又は3R-カラノンの異性体比を有することが意図されている。
【0027】
3S-カラノン及び3R-カラノンからの異性体富化された混合物の本発明による製造方法によって、有利には、中間生成物、とりわけ3-カラノンの異性体の製造が可能となり、それらの中間生成物から、ポリアミド製造のために必要とされる本発明によるモノマーを得ることができる。本発明によれば、好ましい実施形態では、相応して所望される中間生成物、つまり3S-カラノン又は3R-カラノンのいずれかが、得られた異性体富化された混合物中に高い割合で含まれるように、反応を制御することができる。本発明によれば、本発明によるポリアミドの製造のために必要とされるモノマーを、3S-カラノン及び3R-カラノンからのこの異性体富化された混合物から、更なる中間生成物である3-カランオキシム及び3-カランラクタムを介して、廉価、迅速及び効率的に製造することができる。これらのモノマーから製造可能な本発明によるテルペンベースの熱可塑性ポリアミドは、高い熱的要件を満たし、高いモル質量を有する。これに加えて、本発明によるポリマーのための製造方法の効率は、場合によっては、化石ベースのポリアミドのために工業的に使用されている製造方法に匹敵する。本発明による製造方法(本明細書では、合成経路とも呼ばれる)は、好ましくは、部分晶質又は完全非晶質のポリアミドのいずれかが生成されるように制御可能である。本発明による製造方法によって、本発明によれば、3-カレンベースのラクタム、すなわち、本発明によるポリアミドのモノマーを、2つのジアステレオマーに分けて製造することが可能であり、それらにより、ポリアミドにおいて完全非晶質性又は部分晶質性のいずれかがもたらされるため種々の適用要件が満たされる。3S-カランラクタム由来のポリアミドは部分結晶であり、3R-カランラクタム由来のポリアミドは非晶質である。両方のポリアミドは、50kDa又は(beziehungsweise)(以下で、「又は(bzw.)」と略される)100kDaを上回る、好ましくは10kDa又は33kDaを上回るモル質量を達成することができる。本発明により提供されるポリアミドは、好ましくは高い光学純度を有し、好ましい実施形態では透明であり、好ましくは立体規則性を有し、それらは、とりわけ立体及びエナンチオ選択的用途、例えばHPLCにおけるキラル固定相又はキラル膜のために有利に利用可能である。本発明により提供されるポリアミドは、好ましい実施形態では、それらのホモポリマーの形態でアイソタクチックである。
【0028】
本発明と関連して、3-カレンという用語は、(1S,6R)-(+)-3-カレンだけでなく、異性体の(1R,6S)-(-)-3-カレンとも解釈される。好ましくは、3-カレンとして(1S,6R)-(+)-3-カレンが使用される。したがって、本発明により3-カレンから製造される物質及び生成物は、立体異性の(1S,6R)-(+)-配置又は(1R,6S)-(-)-配置のいずれか、好ましくは(1S,6R)-(+)-配置を有する。
【0029】
本発明と関連して、「非晶質のポリマー」という用語は、示差走査熱量測定(DSC)による熱分析において、分解温度までの下記の方法(3)に従ってガラス転移点のみを観察することができるが、融点を観察することはできないか、又は320℃の温度まで(方法3.1)の若しくは分解温度まで(方法3.2)の下記の方法(3.1)及び(3.2)に従ってガラス転移点のみを観察することができるが、融点を観察することはできないポリマーと解釈される。
【0030】
本発明と関連して、「部分晶質のポリマー」という用語は、示差走査熱量測定(DSC)による熱分析において、分解温度までの下記の方法(3)又は方法(3.1)若しくは(3.2)に従ってガラス転移点も融点も観察することができるポリマーと解釈される。
【0031】
数平均(Mn)及び重量平均(Mw)は、好ましくは、本発明によれば、以下の方法(4.1)又は(4.2)に従って、とりわけ方法(4.2)に従って求められる。
【0032】
本発明と関連して、多分散性は、重量平均(本明細書では、質量平均とも呼ばれる)(Mw)を数平均(Mn)によって割った商(Mw/Mn)と解釈され、(Mn)及び(Mw)は、方法(4.1)又は(4.2)に従って、とりわけ方法(4.2)に従って求められる。
【0033】
本発明と関連して、「吸水性」という用語は、PA6(ポリアミド6)との定性的比較において、乾燥状態と比べて低下した水によるコンディショニング後のポリアミド試料の質量増加と解釈され、その質量増加は、PA6との定性的比較において下記の方法(5)に従って求めることができる。
【0034】
本発明と関連して、下記の方法(6)に従って、PA6及びPA12との定性的比較において無色透明ないし不透明なフィルムが作製され得る場合に、ポリアミドは「透明」である。
【0035】
本発明と関連して、「中間生成物」という用語は、出発化合物、本発明ではとりわけ3-カレン又は3-カランエポキシドから第1の方法工程の実施後に得られ、少なくとも1回の第2の方法工程、例えばまた複数回の方法工程において最終生成物、本発明ではとりわけ3-カランラクタム又はそのポリアミドへと変換される化合物と解釈される。本発明と関連して、中間生成物は、とりわけ3-カラノン及び3-カランオキシムであり、つまり3-カランエポキシドからモノマーの3-カランラクタムへの製造のための前駆物質である。
【0036】
本発明と関連して、「異性体富化された混合物」という表現は、ジアステレオマー化合物の1つが混合物中に別の化合物よりも豊富に存在する2つのジアステレオマー化合物からの混合物と更に解釈される。異性体は、本発明と関連して、好ましくはジアステレオマー化合物である。
【0037】
とりわけ、本発明の好ましい実施形態では、本発明の「異性体富化された混合物」は、(それぞれ全ての異性体の物質量に対して)少なくとも80、少なくとも85、少なくとも90、少なくとも95、少なくとも98、少なくとも99%の異性体、とりわけジアステレオマー化合物の1つを有する。
【0038】
「3S-カラノン及び3R-カラノンからの異性体富化された混合物」(特定の富化に関しては、3S-若しくは3R-カラノンが富化された混合物又は異性体混合物とも呼ばれる)という表現は、上述の異性体富化された混合物が、上述のジアステレオマー化合物を含み、とりわけ主として含み、とりわけ(混合物の乾燥物質量に対するジアステレオマー化合物の乾燥物質量に対して)50超、とりわけ60超、とりわけ70超、とりわけ80超、とりわけ90超、とりわけ95超、とりわけ99%超で含み、とりわけジアステレオマー化合物からなると解釈される。本発明において提供される他の異性体富化された混合物、とりわけ3S-及び3R-カランオキシム並びに3S-及び3R-カランラクタムに関しても同様に、「~からの富化された混合物」という用語は、それぞれ示された異性体が混合物中に主として存在し、好ましくは(それぞれ混合物の乾燥物に対するジアステレオマー化合物の乾燥物質量に対して)50超、とりわけ60超、とりわけ70超、とりわけ80超、とりわけ90超、とりわけ95超、とりわけ99重量%超で存在し、とりわけ上述のジアステレオマー化合物からなることを意味することが当てはまる。
【0039】
3S-カラノン及び3R-カラノンからの異性体富化された混合物の製造のための本発明による方法によって、とりわけ、副生成物の顕著な割合、とりわけ所望の異性体へと変換又は異性化することができない副生成物を有さずに、所望の異性体を、(それぞれ両方の異性体の物質量に対して)少なくとも80%、とりわけ少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、とりわけ少なくとも95%、とりわけ少なくとも91%の異性体の高い収率及び高い純度で得ることができる。
【0040】
本発明による方法では、3S-カラノンが富化された異性体混合物を、唯一の反応工程のみにおいてエポキシドから出発して、中間工程を必要とせずに得ることができることが更に有利である。
【0041】
3-カレンから合成された本発明によるポリアミドは、高められた非晶質割合の他に、再生可能原料由来の大抵の市販のポリアミドの場合のような約60℃ではなく、100~130℃、とりわけ105~125℃、とりわけ105~115℃、110~120℃、とりわけ約115℃の明らかにより高いガラス転移点Tgを追加的に有する。本発明によるポリアミド及びコ-ポリアミドについて観察された値は、理論に縛られるべきでないが、もしかすると橋架けテルペンの3-カレンの、ラクタム、すなわち本発明によるモノマーから製造されたポリアミドにより、ポリマー鎖中に残っている環に基づき鎖が絡み合い、それに加えてより高い温度で初めて軟化(ガラス転移点)が生ずることになるということによって説明することができるかもしれない。これにより、ポリマーを使用することができる温度範囲の拡大が可能となる。
【0042】
3-カレンの分子構造に基づき、ラクタムへの転化に際して2つの異なるジアステレオマーが生ずる可能性がある。本発明によれば、個別の実施形態では、両方の異性体を、経済的に興味深い方法において立体中心の高い選択性で合成することが可能である。
【0043】
好ましくは選択的にR-カランラクタムから製造可能な本発明による3R-ポリカランアミド(3R-ポリアミドとも呼ばれる)は非晶質であり、好ましくは完全非晶質であり、約100~130℃、とりわけ105~125℃、とりわけ110~120℃のガラス転移点Tgを有する。それにより、この材料は、商業的に興味深いバイオベースポリアミドについてこれまで公知ではなかった挙動を示す。
【0044】
好ましくは同様に選択的に3S-カランラクタムから製造可能な本発明による3S-ポリカランアミド(裏返しの新たな立体中心を有する)は部分晶質であり、230~290℃、とりわけ240~285℃、とりわけ260℃~290℃の範囲内の融点Tmを有し、ガラス転移点は、同様に100~130℃、とりわけ105~125℃、とりわけ110~120℃の範囲内である。非晶質領域の他に分子中に存在する晶質構造は、更に高められた温度での使用を可能にする。
【0045】
本発明による3S-カランラクタムは、好ましい実施形態では、3S-カランラクタムを他のラクタム、好ましくはカプロラクタム(CL)又はラウロラクタム(LL)と共重合させることができることを更に特徴とする。この場合に、3S-カランラクタムは、好ましくは重合の開始時のモノマーの量比によって定められる最大値の少なくとも1%で、とりわけ少なくとも10%で、とりわけ少なくとも50%、とりわけ少なくとも70%、とりわけ少なくとも80%及び100%まででコ-ポリカランアミド中に組み込まれる。したがって、本発明はまた、3S-カランラクタム及び少なくとも1種の別のラクタム、好ましくは3R-カランラクタム、カプロラクタム及び/又はラウロラクタムから製造された又は製造可能な3S-コ-ポリカランアミドに関する。
【0046】
本発明による3S-カランラクタム-ラウロラクタム-コ-ポリカランアミドは、好ましい実施形態では、3S-カランラクタムの組み込みが増加するにつれて非晶質相が顕著になることを特徴とする。これにより、結晶性の調整が可能となる。3S-カランラクタム-ラウロラクタム-コ-ポリカランアミドは、好ましい実施形態では、3S-カランラクタムの組み込みが増加するにつれて、より高いTgを達成することができることを更に特徴とする。これにより、PA12(ポリアミド12)と比較してより高い温度の使用が可能となる。
【0047】
本発明による3S-カランラクタム-カプロラクタム-コ-ポリカランアミドは、好ましくは、3S-カランラクタムの組み込みが増加するにつれて非晶質相が顕著になることを特徴とする。これにより、結晶性の調整が可能となる。3S-カランラクタム-ラウロラクタム-コ-ポリカランアミドは、好ましい実施形態では、3S-カランラクタムの組み込みが増加するにつれて、より高いTgを達成することができることを更に特徴とする。これにより、PA6と比較してより高い温度の使用が可能となる。
【0048】
本発明による3R-カランラクタムは、好ましい実施形態では、3R-カランラクタムを他のラクタム、好ましくはカプロラクタム又はラウロラクタムと共重合させることができることを更に特徴とする。この場合に、3R-カランラクタムは、好ましくは重合の開始時のモノマーの量比によって定められる最大値の少なくとも1.0%で、とりわけ少なくとも10%で、とりわけ少なくとも50%、とりわけ少なくとも70%、とりわけ少なくとも80%及び100%まででコ-ポリカランアミド中に組み込まれる。したがって、本発明はまた、3R-カランラクタム及び少なくとも1種の別のラクタム、好ましくは3S-カランラクタム、カプロラクタム及び/又はラウロラクタムから製造された又は製造可能な3R-コ-ポリカランアミドに関する。
【0049】
本発明による3R-カランラクタム-ラウロラクタム-コ-ポリカランアミドは、好ましい実施形態では、3R-カランラクタムの組み込みが増加するにつれて非晶質相が顕著になることを特徴とする。これにより、結晶性の調整が可能となる。3S-カランラクタム-ラウロラクタム-コ-ポリカランアミドは、好ましい実施形態では、3R-カランラクタムの組み込みが増加するにつれて、より高いTgを達成することができることを更に特徴とする。これにより、PA12と比較してより高い温度の使用が可能となる。
【0050】
本発明による3R-カランラクタム-カプロラクタム-コ-ポリカランアミドは、好ましい実施形態では、3R-カランラクタムの組み込みが増加するにつれて非晶質相が顕著になることを特徴とする。これにより、結晶性の調整が可能となる。3R-カランラクタム-ラウロラクタム-コ-ポリカランアミドは、好ましい実施形態では、3R-カランラクタムの組み込みが増加するにつれて、より高いTgを達成することができることを更に特徴とする。これにより、PA6と比較してより高い温度の使用が可能となる。
【0051】
以下の表1a)及び1b)は、本発明による3R-及び3S-ポリカランアミド並びにそれらのコポリマー及びラウロラクタム及びカプロラクタムとのコポリマーの好ましい特性を開示している。
【0052】
【0053】
本発明によるポリアミドの更なる特性決定は、3S-ポリカランアミド(
図78)、3R-ポリカランアミド(
図79)及び3R/3S-コ-ポリカランアミド(
図80)についてのそれぞれのGPC曲線から確認することができる。
【0054】
【0055】
本発明によるポリアミドの更なる特性決定は、3S-ポリカランアミド(
図51~
図60)、3R-ポリカランアミド(
図62~
図71)及び3S/3R-コ-ポリカランアミド(
図72)、3S-カランラクタム-ラウロラクタム-コ-ポリカランアミド(
図73~
図75)並びに3S-カランラクタム-カランラクタム-コ-ポリカランアミド(
図76~
図77)についてのそれぞれのGPC曲線から確認することができる。
【0056】
本発明による3S-ポリカランアミド(3S-ポリアミドとも呼ばれる)は、好ましい実施形態では、3S-ポリカランアミドが100℃~130℃、とりわけ105℃~125℃、とりわけ110℃~120℃のガラス転移点又はガラス転移範囲(Tg)、230~300℃、とりわけ230~290℃、とりわけ250℃~300℃、とりわけ255℃~295℃、とりわけ260℃~290℃の溶融温度又は溶融範囲(Tm)を有し、好ましい実施形態では、5.5×104g/mol~7.5×104g/mol、とりわけ6.5×104g/molの数平均モル質量(Mn)及び好ましい実施形態では、0.4×104g/mol~2.4×104g/mol、とりわけ1.4×104g/molの質量平均モル質量(Mw)を有する(Mn及びMwは、方法(4.1)に従って測定される)ことを特徴とする。
【0057】
本発明による3S-ポリカランアミド(3S-ポリアミドとも呼ばれる)は、好ましくは、3S-ポリカランアミドが100℃~130℃、とりわけ105℃~125℃、とりわけ110℃~120℃のガラス転移点又はガラス転移範囲(Tg)、230~300℃、とりわけ230~290℃、とりわけ250℃~300℃、とりわけ255℃~295℃、とりわけ260℃~290℃の溶融温度又は溶融範囲(Tm)を有し、好ましい実施形態では、1.0kDa~100kDa、とりわけ5~50kDa、とりわけ5~25kDa、とりわけ10kDa~70kDaの数平均モル質量(Mn)及び好ましい実施形態では、1.0kDa~200kDa、とりわけ5~50kDa、とりわけ5~25kDa、とりわけ15kDa~110kDaの質量平均モル質量(Mw)を有する(Mn及びMwは、方法(4.2)に従って測定される)ことを特徴とする。
【0058】
好ましくは、本発明による3S-ポリカランアミドは、本発明の方法の1つに従って製造可能である。好ましい実施形態では、本発明による3S-ポリカランアミドは、好ましい実施形態では、重合後にアニオン開環重合によって、とりわけ実施例7.1.1~7.1.11に従って、1.0~10、とりわけ1.0~5、とりわけ1.0~2.5、とりわけ1.0~1.3の多分散性(PD)を更に有する。
【0059】
本発明による3R-ポリカランアミドは、好ましくは、3R-ポリカランアミドが100℃~130℃、とりわけ105℃~125℃、とりわけ110℃~120℃のガラス転移点(Tg)を有し、好ましい実施形態では、2.0×105g/mol~4.0×105g/mol、とりわけ3.0×105g/molの数平均モル質量(Mn)及び好ましい実施形態では、0.1×105g/mol~2.1×105g/mol、とりわけ1.1×105g/molの質量平均モル質量(Mw)を有する(Mn及びMwは、方法(4.1)に従って測定される)ことを特徴とする。
【0060】
本発明による3R-ポリカランアミドは、好ましくは、3R-ポリカランアミドが100℃~130℃、とりわけ105℃~125℃、とりわけ110℃~120℃のガラス転移点(Tg)を有し、好ましい実施形態では、1.0kDa~100kDa、とりわけ10kDa~70kDaの数平均モル質量(Mn)及び好ましい実施形態では、1.0kDa~200kDa、とりわけ15kDa~110kDaの質量平均モル質量(Mw)を有する(Mn及びMwは、方法(4.2)に従って測定される)ことを特徴とする。
【0061】
好ましくは、本発明による3R-ポリカランアミドは、本発明の方法の1つに従って製造可能である。好ましい実施形態では、本発明による3R-ポリカランアミドは、好ましい実施形態では、重合後にアニオン開環重合によって、とりわけ実施例7.2.1~7.2.10に従って、1.0~10、とりわけ1.0~5、とりわけ1.0~2.5、とりわけ1.0~1.3の多分散性(PD)を更に有する。
【0062】
本発明による3S/3R-コ-ポリアミド(3S-カランラクタム-3R-カランラクタム-コ-ポリカランアミドとも呼ばれる)は、好ましくは、3S/3R-ポリアミドが100℃~130℃、とりわけ105℃~125℃、とりわけ110℃~120℃のガラス転移点(Tg)、250℃~300℃、とりわけ255℃~295℃、とりわけ260℃~290℃の溶融範囲を有し、好ましい実施形態では、2.2×104g/mol~4.2×104g/mol、とりわけ3.2×104g/molの数平均モル質量(Mn)及び好ましい実施形態では、0.1×105g/mol~2.1×105g/mol、とりわけ1.1×105g/molの質量平均モル質量を有する(Mn及びMwは、方法(4.1)に従って測定される)ことを特徴とする。
【0063】
本発明による3S/3R-コ-ポリアミド(3S-カランラクタム-3R-カランラクタム-コ-ポリカランアミドとも呼ばれる)は、好ましくは、3S/3R-ポリアミドが100℃~130℃、とりわけ105℃~125℃、とりわけ110℃~120℃のガラス転移点(Tg)、250℃~300℃、とりわけ255℃~295℃、とりわけ260℃~290℃の溶融範囲を有し、好ましい実施形態では、1.0kDa~100kDa、とりわけ10kDa~70kDaの数平均モル質量(Mn)及び好ましい実施形態では、1.0kDa~200kDa、とりわけ15kDa~110kDaの質量平均モル質量(Mw)を有する(Mn及びMwは、方法(4.2)に従って測定される)ことを特徴とする。
【0064】
好ましくは、本発明による3S-カランラクタム-3R-カランラクタム-コ-ポリカランアミドは、本発明の方法の1つに従って製造可能である。好ましい実施形態では、本発明による3S-カランラクタム-3R-カランラクタム-コ-ポリカランアミドは、好ましい実施形態では、重合後にアニオン開環重合によって、とりわけ実施例7.3.2に従って、1.0~10、とりわけ1.0~5、とりわけ1.0~2.5、とりわけ1.0~1.3の多分散性(PD)を更に有する。
【0065】
本発明による3S-カランラクタム-ラウロラクタム-コ-ポリカランアミドは、好ましくは、3S-カランラクタム-ラウロラクタム-コ-ポリカランアミドにおける3S-カランラクタム:ラウロラクタムの比=1:1.4の場合にガラス転移点(Tg)が45℃~65℃、とりわけ50℃~60℃であり、DSC法(3.2)に従って融点を有さず、好ましい実施形態では、1.0kDa~100kDa、とりわけ10kDa~70kDaの数平均モル質量(Mn)及び好ましい実施形態では、1.0kDa~200kDa、とりわけ15kDa~110kDaの質量平均モル質量を有し(Mn及びMwは、方法(4.2)に従って測定される)、好ましくは本発明の方法の1つに従って製造可能であることを特徴とする。
【0066】
本発明による3S-カランラクタム-ラウロラクタム-コ-ポリカランアミドは、好ましくは、3S-カランラクタム-ラウロラクタム-コ-ポリカランアミドにおける3S-カランラクタム:ラウロラクタムの比=1:2の場合にガラス転移点(Tg)が35℃~55℃、とりわけ40℃~50℃であり、DSC法(3.2)に従って融点を有さず、好ましい実施形態では、1.0kDa~100kDa、とりわけ10kDa~70kDaの数平均モル質量(Mn)及び好ましい実施形態では、1.0kDa~200kDa、とりわけ15kDa~110kDaの質量平均モル質量を有し(Mn及びMwは、方法(4.2)に従って測定される)、好ましくは本発明の方法の1つに従って製造可能であることを特徴とする。
【0067】
好ましい実施形態では、本発明による3S-カランラクタム-ラウロラクタム-コ-ポリカランアミドは、好ましい実施形態では、重合後にアニオン開環重合によって、とりわけ実施例8.1.1~8.1.3に従って、1.0~10、とりわけ1.0~5、とりわけ1.0~2.5、とりわけ1.0~1.3の多分散性(PD)を更に有する。
【0068】
本発明による3S-カランラクタム-カプロラクタム-コ-ポリカランアミドは、好ましくは、3S-カランラクタム-ラウロラクタム-コ-ポリカランアミドにおける3S-カランラクタム:カプロラクタムの比=1:4.6の場合にガラス転移点(Tg)が50℃~100℃、とりわけ50℃~75℃、とりわけ50℃~70℃、とりわけ58℃~68℃であり、DSC法(3.2)に従って140℃~220℃、とりわけ155℃~200℃の溶融範囲を有し、好ましい実施形態では、1.0kDa~100kDa、とりわけ10kDa~70kDaの数平均モル質量(Mn)及び好ましい実施形態では、1.0kDa~200kDa、とりわけ15kDa~110kDaの質量平均モル質量を有し(Mn及びMwは、方法(4.2)に従って測定される)、好ましくは本発明の方法の1つに従って製造可能であることを特徴とする。
【0069】
本発明による3S-カランラクタム-カプロラクタム-コ-ポリカランアミドは、好ましくは、3S-カランラクタム-ラウロラクタム-コ-ポリカランアミドにおける3S-カランラクタム:カプロラクタムの比=1:1.2の場合にガラス転移点(Tg)が70℃~100℃、とりわけ80℃~93℃であり、DSC法(3.2)に従って融点を有さず、好ましい実施形態では、1.0kDa~100kDa、とりわけ10kDa~70kDaの数平均モル質量(Mn)及び好ましい実施形態では、1.0kDa~200kDa、とりわけ15kDa~110kDaの質量平均モル質量を有し(Mn及びMwは、方法(4.2)に従って測定される)、好ましくは本発明の方法の1つに従って製造可能であることを特徴とする。
【0070】
好ましい実施形態では、本発明による3S-カランラクタム-カプロ-コ-ポリカランアミドは、好ましい実施形態では、重合後にアニオン開環重合によって、とりわけ実施例8.1.1~8.1.3に従って、1.0~10、とりわけ1.0~5、とりわけ1.0~2.5、とりわけ1.0~1.3の多分散性(PD)を更に有する。
【0071】
反応条件の適切な選択によって、同一の出発化合物、とりわけ好ましくは天然物の3-カレンから出発して、高選択率で、その立体化学に基づき十分に非晶質のポリアミドに転化され得る本発明によるラクタムの第1の異性体及びそのポリアミドが部分晶質となる本発明によるラクタムの第2の異性体を合成することが可能であり、両方のポリアミドは、100℃~130℃の範囲の、とりわけ110℃のガラス転移点を有し、3S-カランラクタムは部分晶質のポリアミドへと、3R-カランラクタムは非晶質のポリアミドへと転化され得る。本発明による方法様式により、ポリアミドの結晶性を狙い通りに調整し、異性体富化された3-カランラクタム及びそれをベースとする高い光学純度を有するポリアミドを提供することが可能となる。
【0072】
本発明によるポリアミドによって、それらの化学的安定性に基づき有益なポリマークラスのポリアミドの適用範囲を更に拡げることができる。PA66と同様に、機械的及び熱的応力にさらされる構成部材、例えばボビン、ボーリング機械のハウジング、自動車用オイルパン等が実現可能であるだけでなく、より高い温度安定性に基づき100℃を超える適用も長期にわたり可能である。完全非晶質のポリアミドは、透明なプラスチックの分野においても使用することが可能である。述べられた使用分野の組合せも同様に可能であり、それにより、これまでに公知のバイオベースポリアミドの使用分野は、この点に関して、本発明によるポリアミドによって明らかに拡張され得る。
【0073】
したがって、本発明は、とりわけ3S-ポリカランアミド、3R-ポリカランアミド、3S/3R-コ-ポリカランアミド又は少なくとも1種の本発明によるカランラクタム及び少なくとも1種の更なる別のラクタムから構成されるコ-ポリカランアミドとして実施されているポリアミドを提供する。
【0074】
したがって、本発明と関連して、本発明によるモノマーを含む本発明によるポリアミドは、コ-ポリカランアミド(略称:コ-ポリアミド)としても存在し得る。
【0075】
したがって、本発明はまた、本発明によるポリアミドから製造可能な又は製造されたプラスチック部品、とりわけ本発明によるポリアミドからなるか又はこれらを含有する、とりわけ本質的な割合のポリアミドを含有する、例えば(プラスチック部品の総重量に対して)それぞれ5%、10%、15%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又は95%を上回るポリアミドを含有するプラスチック部品に関する。
【0076】
好ましくは、本発明によれば、方法工程a)で使用される3-カランエポキシドは、3S-カランエポキシドであり、方法工程c)で得られる異性体富化された混合物は、(カラノン、つまり3R-及び3S-カラノンの総物質量に対して)少なくとも80%、とりわけ少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%の3S-カラノンの異性体比を有する3S-カラノンが富化された混合物であることが意図されている。
【0077】
方法工程a)で使用される3-カランエポキシドは、3R-カランエポキシドであり、方法工程c)で得られる異性体富化された混合物は、(カラノンの総物質量に対して)少なくとも80%、とりわけ少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%の3R-カラノンの異性体比を有する3R-カラノンが富化された混合物であることが更に好ましい。
【0078】
好ましい一実施形態では、酸性触媒は、ルイス酸若しくはブレンステッド酸又はルイス酸及びブレンステッド酸の混合物であることが意図されている。
【0079】
更なる好ましい一実施形態では、酸性触媒は、強ブレンステッド酸又は0.7までのpKaを有するブレンステッド酸であることが意図されている。
【0080】
好ましくは、酸性触媒は、0.7までのpKaを有するブレンステッド酸、例えばスルホン酸、とりわけパラトルエンスルホン酸(PTSA)、メタンスルホン酸又はトリフルオロメタンスルホン酸であることが更に意図されている。
【0081】
好ましくは、酸性触媒はスルホン酸である。
【0082】
好ましくは、酸性触媒は、強酸、とりわけスルホン酸のアニオン又は塩素酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン(-OTf)若しくは過塩素酸イオン(ClO4
-)のようなアニオンを有するルイス酸であることが更に意図されている。
【0083】
好ましくは、酸性触媒は、鉄ルイス酸、ニッケルルイス酸、銅ルイス酸、コバルトルイス酸又は亜鉛ルイス酸、好ましくは鉄ルイス酸であることが更に意図されている。
【0084】
好ましくは、酸性触媒は、酸、とりわけ強酸のアニオンを有するルイス酸又はブレンステッド酸、とりわけ強ブレンステッド酸若しくは0.7までのpKaを有するブレンステッド酸、とりわけ強ブレンステッド酸であることが更に意図されている。
【0085】
好ましくは、ルイス酸のアニオンとして、酸、とりわけ強酸、例えばスルホン酸のアニオンが使用されるか又は塩素酸イオン若しくは過塩素酸イオンのようなアニオンを使用することが更に意図されている。
【0086】
好ましくは、ルイス酸のための、とりわけ鉄、ニッケル、コバルト、銅又は亜鉛ルイス酸のためのアニオンとして、塩素酸イオン及び/又は過塩素酸イオン及び/又はスルホン酸イオンを使用することが更に意図されている。
【0087】
好ましくは、ルイス酸として、Fe(ClO4)2・H2O、Ni(ClO4)2、Co(ClO4)2、Cu(ClO4)2又はそれらの対応する水和物を使用することができる。
【0088】
好ましい一実施形態では、酸性触媒は、酸、とりわけ強酸のアニオン、好ましくはトリフルオロメタンスルホン酸イオン若しくは過塩素酸イオンを有するルイス酸、とりわけ鉄、銅、コバルト、ニッケル若しくは亜鉛ルイス酸、好ましくは鉄ルイス酸又は0.7までのpKaを有する強ブレンステッド酸、例えばスルホン酸、とりわけパラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、或いは上述のルイス酸及びブレンステッド酸の混合物である。
【0089】
好ましくは、酸性触媒は、上述のルイス酸及びブレンステッド酸の混合物であることが更に意図されている。
【0090】
好ましくは、酸性触媒としてゼオライト、とりわけZSM-5を使用することが更に意図されている。それに加えてこれは、ゼオライトが既に分離可能な固体として反応混合物に加えられ得るため、濾過によって分離することができるという利点を有する。
【0091】
好ましくは、気相転位における酸性触媒として酸性不均一系触媒を使用することが更に意図されている。
【0092】
更なる好ましい一実施形態では、好ましい一実施形態で意図されている第1の有機溶剤は、非極性溶剤又は0.310まで、とりわけ0.200まで、好ましくは0.100までの相対極性を有する溶剤であることが意図されている。
【0093】
更なる好ましい一実施形態では、第1の有機溶剤は、溶剤、とりわけ非極性溶剤、例えば脂肪族又は芳香族炭化水素、好ましくはキシレン、トルエン、シクロヘキサン、ペンタン、ヘキサン又はヘプタンであることが意図されている。
【0094】
更なる好ましい一実施形態では、第1の有機溶剤は、2-メチル-テトラヒドロフラン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、クロロホルム又はジクロロメタンであることが意図されている。
【0095】
更なる好ましい一実施形態では、第1の有機溶剤は、0.310まで、とりわけ0.200まで、好ましくは0.100までの相対極性を有する溶剤であることが意図されている。
【0096】
本発明と関連して、「相対極性」という用語は、文献"Solvents and Solvent Effects in Organic Chemistry", Christian Reichards, Wiley-VCH Publishers, 3rd ed., 2003に記載されているような極性と解釈される。シクロヘキサン、ヘキサン、ヘプタン及びトルエンについての相対極性は、実施例1.1からの表から確認することができる。更なる溶剤の更なる相対極性については、上述のReichardsの文献が参照される。
【0097】
好ましくは、3-カランエポキシドを、方法工程a)及びb)に従った反応混合物において、少なくとも0.1M、好ましくは0.25M~5M、とりわけ0.3M~3M、特に好ましくは0.5M~2M、とりわけ0.75M~1.5M、とりわけ1Mの濃度において使用することが更に意図されている。これは、低い濃度で総選択率にも異性体選択率にも良い影響を及ぼすことができるという利点を有する。
【0098】
好ましい実施形態では、この方法は、少なくとも80%の3S-カランエポキシドの転化率の場合に、3R-カラノン及び3S-カラノンの混合物の総量に対して少なくとも50%、とりわけ少なくとも70%の選択率を有し、3R-カラノン及び3S-カラノンからのこの混合物は、少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%の3S-カラノンを有することが意図されている。
【0099】
好ましくは、酸性触媒を、方法工程a)及びb)に従った反応混合物において、使用される3-カランエポキシドに対して0.01mol%~2.0mol%の濃度において使用することが更に意図されている。
【0100】
好ましくは、酸性触媒を、方法工程a)及びb)に従った反応混合物において、使用される3-カランエポキシドに対して0.01mol%~2.0mol%、とりわけ0.05mol%~1.0mol%、とりわけ0.1mol%~0.5mol%、とりわけ0.15mol%~0.25mol%、特に好ましくは0.2mol%の濃度において使用することが更に意図されている。
【0101】
方法工程b)のための反応時間は、好ましくは、2分~25時間、とりわけ5時間~24時間、とりわけ5時間~20時間、とりわけ30分~1時間、とりわけ10分~40分である。
【0102】
本発明は、好ましい実施形態では、3S-カラノン及び3R-カラノンからの異性体富化された混合物を3S-カランエポキシドから製造するための方法であって、以下の方法工程:
a)3S-カランエポキシド、少なくとも1種の酸性触媒及び第1の有機溶剤を含有する反応混合物を準備する方法工程であって、酸性触媒がスルホン酸であるか、又はFe(ClO4)2・H2O、Ni(ClO4)2、Co(ClO4)2、Ni(ClO4)2若しくはCu(ClO4)2からなる群から選択されるルイス酸であるか、或いは上述の酸の混合物であり、及び第1の有機溶剤がトルエン、シクロヘキサン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、2-メチル-テトラヒドロフラン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル及びジクロロメタンからなる群から選択される、方法工程、
b)反応混合物における3S-カランエポキシドを、-40℃~140℃の温度で転位下に転化させる方法工程、並びに
c)(カラノンの総物質量に対して)少なくとも80%の3S-カラノンの異性体比を有する異性体富化された混合物を得る方法工程、
を含む、方法に関する。
【0103】
本発明はまた、3S-カラノン及び3R-カラノンからの異性体富化された混合物を3S-カランエポキシドから製造するための上述の方法であって、酸性触媒がパラトルエンスルホン酸(PTSA)、メタンスルホン酸及びトリフルオロメタンスルホン酸からなる群から選択されるスルホン酸である、方法に関する。
【0104】
特に好ましい一実施形態では、方法工程a)で使用される3-カランエポキシドは、方法工程a1)において3-カレンのエポキシ化によって得られる。
【0105】
更なる好ましい一実施形態では、方法工程a)で使用される出発化合物は、3S-カランエポキシドであり、方法工程a1a)において3-カレンのエポキシ化によって、a)過酸化物酸、例えば希釈過酢酸又はb)過酸化物、例えばH2O2及び酵素の存在下で得られることが意図されている。
【0106】
好ましい実施形態では、酵素は、例えば、とりわけカンジダ属の種、とりわけカンジダ・アンタルクティカ(Candida antarctica)由来のリパーゼ、例えばリパーゼBであり得る。
【0107】
更なる好ましい一実施形態では、方法工程a)で使用される出発化合物は、3R-カランエポキシドであり、方法工程a1b)において3-カレンのエポキシ化によってN-ブロモスクシンイミド(NBS)の存在下で、任意に追加的に塩基の存在下で得られることが意図されている。
【0108】
特に好ましい一実施形態では、方法工程c)で得られる異性体富化された混合物は、精製され、とりわけ単離形態で得られ、とりわけ酸性触媒及び/若しくは第1の溶剤は、除去され、並びに/又は混合物は、場合によっては更なる処理、例えば乾燥に供されることが意図されている。
【0109】
本発明により3S-カランエポキシドから少なくとも80%の3S-カラノンが富化された混合物が得られた場合は、この混合物を、所望であれば、3R-カラノンが富化された混合物へと転化させることができ、こうして、本発明による更なる方法工程において3R-カランラクタム、好ましくは3R-ポリカランアミドを製造することができる。好ましい一実施形態では、好ましくは方法工程c)において3S-カランエポキシドから得られた3S-カラノンが富化された混合物を少なくとも1種の第2の溶剤中で塩基又はブレンステッド酸の存在下で方法工程d)において異性化して、(カラノンの総物質量に対して)少なくとも50%、とりわけ少なくとも60%、とりわけ少なくとも70%、とりわけ少なくとも80%、とりわけ少なくとも85%、とりわけ少なくとも90%又はとりわけ少なくとも95%の3R-カラノンの異性体割合を有する3R-カラノンが富化された混合物を得ることが意図されている。
【0110】
好ましくは、塩基は、水酸化カリウム若しくは水酸化ナトリウムであるか、又は別の強塩基であることが意図されている。
【0111】
好ましくは、塩基は、アルコラートであり、とりわけメタノラートであることが更に意図されている。
【0112】
好ましくは、ブレンステッド酸は、0.7までのpKaを有するブレンステッド酸であることが意図されている。
【0113】
好ましくは、ブレンステッド酸は、強ブレンステッド酸であることが更に意図されている。好ましくは、ブレンステッド酸は、水性塩化水素酸(水性HCl又は塩酸とも呼ばれる)又は硫酸である。
【0114】
好ましくは、ブレンステッド酸はスルホン酸である。
【0115】
好ましくは、第2の溶剤は、少なくとも0.200の相対極性を有する非プロトン性極性溶剤又は少なくとも0.200の相対極性を有するプロトン性極性溶剤であることが更に意図されている。
【0116】
好ましくは、少なくとも0.200の相対極性を有する非プロトン性極性溶剤は、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、クロロホルム、ジクロロメタン、アセトン又はアセトニトリルのような溶剤であり、とりわけアセトン又はアセトニトリルであることが更に意図されている。
【0117】
好ましくは、少なくとも0.200の相対極性を有するプロトン性極性溶剤は、水、アルコール、アミン、カルボン酸又はアミドのような溶剤であることが更に意図されている。
【0118】
好ましくは、少なくとも0.200の相対極性を有するプロトン性極性溶剤は、メタノール、エタノール、プロパノール又はブタノールのようなアルコールであることが更に意図されている。
【0119】
方法工程d)のための反応時間は、好ましくは、2~80時間、とりわけ5~68時間、好ましくは4~12時間、とりわけ4~10時間である。
【0120】
好ましい一実施形態では、好ましくは方法工程c)において3S-カランエポキシドから得られた3S-カラノンが富化された混合物を、少なくとも1種の第2の溶剤中で塩基、とりわけ強塩基又は0.7までのpKaを有するブレンステッド酸、とりわけ強ブレンステッド酸の存在下で方法工程d)において異性化して、(カラノンの総物質量に対して)少なくとも50%、とりわけ少なくとも60%、とりわけ少なくとも70%、とりわけ少なくとも80%、とりわけ少なくとも85%、とりわけ少なくとも90%又はとりわけ少なくとも95%の3R-カラノンの異性体割合を有する3R-カラノンが富化された混合物を得、第2の溶剤は、少なくとも0.200の相対極性を有する非プロトン性極性溶剤又は少なくとも0.200の相対極性を有するプロトン性極性溶剤であることが意図されている。
【0121】
特に好ましい一実施形態では、好ましくは方法工程c)において3S-カランエポキシドから得られた3S-カラノンが富化された混合物を、少なくとも1種の第2の溶剤中で塩基、とりわけ強塩基又は0.7までのpKaを有するブレンステッド酸、とりわけ強ブレンステッド酸、好ましくはスルホン酸溶液若しくは塩酸溶液、好ましくは6%塩酸溶液の存在下で方法工程d)において異性化して、(カラノンの総物質量に対して)少なくとも50%、とりわけ少なくとも60%、とりわけ少なくとも70%、とりわけ少なくとも80%、とりわけ少なくとも85%、とりわけ少なくとも90%又はとりわけ少なくとも95%の3R-カラノンの異性体割合を有する3R-カラノンが富化された混合物を得、第2の溶剤は、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、クロロホルム、ジクロロメタン、アセトン及びアセトニトリルからなる群から選択される少なくとも0.200の相対極性を有する非プロトン性極性溶剤又は水、アルコール、とりわけメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、アミン、カルボン酸及びアミドからなる群から選択される少なくとも0.200の相対極性を有するプロトン性極性溶剤であることが意図されている。
【0122】
これらの実施形態は、顕著な割合の副生成物を含まず、すなわち高い総選択率で3R-カラノンを得ることができるという利点を有する。方法工程a)での酸性触媒としてスルホン酸が使用される場合に、方法工程d)における3R-カラノンへの転位のために、溶剤の分離後にこのスルホン酸が触媒として使用され得ることが更に有利である。
【0123】
本発明によれば、3R-カラノン及び3S-カラノンからの異性体富化された混合物の製造方法において、方法工程a)において酸、とりわけスルホン酸又はルイス酸を酸性触媒として使用することが特に好ましい。この実施形態は、溶剤の蒸留による分離後に3R-カラノンへの転位の触媒反応のために更なる酸を添加する必要がないという利点を有する。
【0124】
更なる好ましい一実施形態では、方法工程d)において得られる異性化過程に供された異性体富化された混合物は、精製され、とりわけ単離形態で得られ、とりわけ第2の溶剤及び/又は酸若しくは塩基は、除去され、並びに/或いは混合物は、場合によっては更なる方法工程、例えば乾燥に供されることが意図されている。
【0125】
更なる一実施形態では、方法工程c)又はd)において得られる3S-及び3R-カラノンからの異性体富化された混合物を、更なる方法工程e)において少なくとも1種の第3の有機溶剤、塩基及びヒドロキシルアミン、好ましくはヒドロキシルアミン塩酸塩(HONH2・HCl)の存在下で転化させて、(カランオキシム、つまり3R-及び3S-カランオキシムの総物質量に対して)少なくとも80%、とりわけ少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%の3S-又は3R-カランオキシムの異性体比を有する3-カランオキシムが富化された混合物を得ることが意図されている。
【0126】
方法工程c)又はd)から出発して3R-カラノンが富化された混合物が方法工程e)において使用される場合は、3R-カランオキシムが富化された混合物が得られる。方法工程c)に従って得られる3S-カラノンが富化された混合物が方法工程e)において使用される場合は、3S-カランオキシムが富化された混合物が得られる。
【0127】
好ましくは、第3の有機溶剤は、エーテル、ニトリル、アルコールのような有機溶剤又は水及び上述の第3の有機溶剤の1つを含む水性-有機溶剤であることが意図されている。
【0128】
好ましくは、エーテルは、テトラヒドロフラン又は2-メチル-テトラヒドロフランであることが更に意図されている。
【0129】
好ましくは、ニトリルは、アセトニトリルであることが更に意図されている。
【0130】
好ましくは、アルコールは、メタノール、エタノール又はイソプロパノールであることが更に意図されている。
【0131】
好ましい実施形態では、塩基は酢酸ナトリウム(NaOAc)である。
【0132】
好ましい一実施形態では、方法工程c)又はd)において得られる3S-及び3R-カラノンからの異性体富化された混合物を、更なる方法工程e)において、エーテル、とりわけテトラヒドロフラン、2-メチル-テトラヒドロフラン、ニトリル、とりわけアセトニトリル、アルコール、とりわけメタノール、エタノール及びイソプロパノールからなる群から選択される少なくとも1種の第3の有機溶剤又は水及び上述の第3の有機溶剤の1つを含む水性-有機溶剤、塩基及びヒドロキシルアミン、好ましくはヒドロキシルアミン塩酸塩(HONH2・HCl)の存在下で転化させて、(カランオキシムの総物質量に対して)少なくとも80%、とりわけ少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%の3S-又は3R-カランオキシムの異性体比を有する3-カランオキシムが富化された混合物を得ることが意図されている。
【0133】
この方法から得られる3-カランオキシムが富化された混合物は、所望の異性体が高い割合で混合物中に存在するので、出発物質から出発して、出発物質の大部分の割合が所望の生成物へと、すなわち所望のモノマーのための所望の中間生成物へと高い収率で変換され得るという利点をもたらす。
【0134】
特に好ましい一実施形態では、方法工程e)において得られる3-カランオキシムが富化された混合物は、精製され、とりわけ単離形態で得られ、とりわけ第3の溶剤及び/若しくは塩基及び/若しくはヒドロキシルアミンは、除去され、並びに/又は混合物は、場合によっては更なる方法工程、例えば乾燥に供されることが意図されている。
【0135】
更なる一実施形態では、方法工程e)において得られる3-カランオキシムが富化された混合物を、好ましくは前接続された精製をせずに、更なる方法工程f)において転位下に転化させて、(カランラクタム、つまり3R-及び3S-カランラクタムの総物質量に対して)少なくとも80%の3S-又は3R-カランラクタムの異性体比を有する3-カランラクタムが富化された混合物を得ることが意図されている。
【0136】
方法工程e)から出発して3S-カランオキシムが富化された混合物が方法工程f)において使用される場合は、3S-カランラクタムが富化された混合物、とりわけ3S-カランラクタムが得られる。方法工程e)に従って得られる3R-カランオキシムが富化された混合物が方法工程f)において使用される場合は、3R-カランラクタムが富化された混合物、とりわけ3R-カランラクタムが得られる。
【0137】
好ましい一実施形態では、方法工程e)において得られる3-カランオキシムが富化された混合物を、更なる方法工程f1)において予め決められた温度に温度調節し、塩基及びパラトルエンスルホン酸塩化物を添加して転位下に転化させて、(カランラクタムの総物質量に対して)少なくとも80%、とりわけ少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%の3S-又は3R-カランラクタムの異性体比を有する3-カランラクタムが富化された混合物を得ることが意図されている。
【0138】
好ましくは、方法工程f1)において予め決められた温度は、0℃~50℃、好ましくは10~40℃、好ましくは5℃~20℃、とりわけ10℃~18℃であることが更に意図されている。
【0139】
好ましくは、塩基は、水性塩基であることが更に意図されている。
【0140】
塩基は、水酸化カリウム又は水酸化ナトリウムの溶液であることが更に好ましい。
【0141】
好ましくは、転位は、Beckmann転位であることが更に意図されている。
【0142】
好ましい一実施形態では、方法工程e)において得られる3-カランオキシムが富化された混合物を、更なる方法工程f1)において-10℃~50℃、とりわけ5℃~20℃、とりわけ10℃~18℃の温度に温度調節し、塩基、とりわけ水性塩基、好ましくは水酸化カリウム又は水酸化ナトリウムの溶液及びパラトルエンスルホン酸塩化物を添加してBeckmann転位下に転化させて、(カランラクタムの総物質量に対して)少なくとも80%、とりわけ少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%の3S-又は3R-カランラクタムの異性体比を有する3-カランラクタムが富化された混合物を得ることが意図されている。
【0143】
これは、3-カラノンの3-カランオキシムを介した3-カランラクタムへの転化を、中間接続された精製工程なしに又は溶剤としてのアルコールの場合を除いて溶剤交換せずに方法工程e)及びf)のワンポット法において、例えば溶剤としてのアセトニトリル、ヒドロキシルアミン塩酸塩、NaOH及び塩化トシルを利用して行うことができるので、この方法は、特に迅速で、効率的で経済的であるという利点を有する。この場合に、方法工程が連続して溶剤交換して行われる方法の場合に匹敵する収率が得られる。
【0144】
好ましくは、方法工程e)において得られる3-カランオキシムが富化された混合物を、更なる方法工程f2)において予め決められた温度に温度調節し、ルイス酸、とりわけ強ルイス酸を添加して転位下に転化させて、(カランラクタムの総物質量に対して)少なくとも80%、とりわけ少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%の3S-又は3R-カランラクタムの異性体比を有する3-カランラクタムが富化された混合物を得ることが更に意図されている。
【0145】
好ましくは、方法工程f2)において予め決められた温度は、15℃~100℃、好ましくは77℃~87℃、特に好ましくは82℃であることが更に意図されている。
【0146】
好ましくは、溶剤の沸点まで温度調節され、溶剤は、方法工程e)において得られる3-カランオキシムが富化された混合物が溶解されているか又は存在する溶剤であることが更に意図されている。
【0147】
好ましくは、方法工程e)において得られる3-カランオキシムが富化された混合物が溶解されているか又は存在する溶剤は、アセトニトリルであることが意図されている。
【0148】
好ましくは、ルイス酸は、強ルイス酸であることが更に意図されている。
【0149】
好ましくは、ルイス酸は、In(ClO4)3・n H2O(過塩素酸インジウムn水和物)及び/又はZn(ClO4)2・n H2O(過塩素酸亜鉛n水和物)であることが更に意図されている。
【0150】
好ましくは、ルイス酸は、In(CF3SO3)3(トリフルオロメタンスルホン酸インジウム)及び/又はZn(CF3SO3)2(トリフルオロメタンスルホン酸亜鉛)であることが更に意図されている。
【0151】
好ましくは、転位は、Beckmann転位であることが更に意図されている。
【0152】
好ましくは、方法工程e)において得られる3-カランオキシムが富化された混合物を、更なる方法工程f2)において77℃~87℃、とりわけ82℃の温度に温度調節し、ルイス酸、とりわけ強ルイス酸、例えばIn(ClO4)3・n H2O及び/又はZn(ClO4)2・n H2Oを添加して転位下に転化させて、(カランラクタムの総物質量に対して)少なくとも80%、とりわけ少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%の3S-又は3R-カランラクタムの異性体比を有する3-カランラクタムが富化された混合物を得、好ましくは、方法工程e)から得られる3-カランオキシムが富化された混合物は、アセトニトリル中に溶解されているか又は存在することが意図されている。
【0153】
特に好ましい一実施形態では、方法工程f)において得られる3-カランラクタムが富化された混合物は、更に精製され、とりわけ単離形態で得られ、とりわけ塩基及び/若しくはパラトルエンスルホン酸塩化物は、除去され、並びに/又は混合物は、場合によっては更なる方法工程、例えば乾燥に供されることが意図されている。
【0154】
好ましい一実施形態では、方法工程f)において得られる3S-カランラクタムが富化された混合物から、好ましくは前接続された精製をせずに、方法工程g)において結晶化によって、例えば蒸留、とりわけ分別蒸留によって3S-カランラクタムを得ることが意図されている。
【0155】
好ましくは、方法工程f)において得られる3-カランラクタムが富化された混合物から、とりわけ方法工程g)に従った3S-カランラクタムの分離後に、方法工程h)において、好ましくは結晶化によって、例えば蒸留、とりわけ分別蒸留によって3R-カランラクタムを得ることが更に意図されている。
【0156】
本発明の好ましい一実施形態では、方法工程i)において、得られた3S-カランラクタム、3R-カランラクタム又は3R-及び3S-カランラクタムからの混合物を、好ましくはアニオン開環重合、カチオン開環重合、加水分解重合又は重縮合によって重合させて、3S-ポリカランアミド、3R-ポリカランアミド又は3S/3R-コポリカランアミドを得ることが意図されている。
【0157】
本発明によれば、本発明はまた、3-カランオキシムが富化された混合物の製造方法であって、本発明による方法工程a)、b)、c)を、好ましい実施形態では方法工程a1)、d)又はa1)及びd)を含めて含む、方法において、方法工程c)又はd)において得られる3S-及び3R-カラノンからの異性体富化された混合物を、更なる方法工程e)において少なくとも1種の第3の有機溶剤、塩基及びヒドロキシルアミン、好ましくはヒドロキシルアミン塩酸塩(HONH2・HCl)の存在下で転化させて、(カランオキシムの総物質量に対して)少なくとも80%、とりわけ少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%の3S-又は3R-カランオキシムの異性体比を有する3-カランオキシムが富化された混合物を得る、方法に関する。
【0158】
好ましくは、第3の有機溶剤は、エーテル、ニトリル、アルコールのような有機溶剤又は水及び上述の第3の有機溶剤の1つを含む水性-有機溶剤であることが更に意図されている。
【0159】
好ましくは、エーテルは、テトラヒドロフラン又は2-メチル-テトラヒドロフランであることが更に意図されている。
【0160】
好ましくは、ニトリルは、アセトニトリルであることが更に意図されている。
【0161】
好ましくは、アルコールは、メタノール、エタノール又はイソプロパノールであることが更に意図されている。
【0162】
好ましい実施形態では、塩基は酢酸ナトリウム(NaOAc)である。
【0163】
本発明によれば、本発明はまた、3-カランオキシムが富化された混合物の製造方法であって、本発明による方法工程a)、b)、c)を、好ましい実施形態では方法工程a1)、d)又はa1)及びd)を含めて含む、方法において、方法工程c)又はd)において得られる3S-及び3R-カラノンからの異性体富化された混合物を、更なる方法工程e)において、エーテル、とりわけテトラヒドロフラン、2-メチル-テトラヒドロフラン、ニトリル、とりわけアセトニトリル、アルコール、とりわけメタノール、エタノール及びイソプロパノールからなる群から選択される少なくとも1種の第3の有機溶剤又は水及び上述の第3の有機溶剤の1つを含む水性-有機溶剤、塩基並びにヒドロキシルアミン、好ましくはヒドロキシルアミン塩酸塩(HONH2・HCl)の存在下で転化させて、(カランオキシムの総物質量に対して)少なくとも80%、とりわけ少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%の3S-又は3R-カランオキシムの異性体比を有する3-カランオキシムが富化された混合物を得る、方法に関する。
【0164】
本発明によれば、本発明はまた、3-カランラクタムが富化された混合物の製造方法であって、本発明による方法工程a)、b)、c)、e)を、好ましい実施形態では方法工程a1)、d)又はa1)及びd)を含めて含む、方法において、方法工程e)において得られる3-カランオキシムが富化された混合物を、更なる方法工程f)において転位下に転化させて、(カランラクタムの総物質量に対して)少なくとも80%の3S-又は3R-カランラクタムの異性体比を有する3-カランラクタムが富化された混合物を得る、方法に関する。
【0165】
好ましくは、3-カランラクタムが富化された混合物の製造方法において、方法工程e)において得られる3-カランオキシムが富化された混合物を、更なる方法工程f1)において予め決められた温度に温度調節し、塩基及びパラトルエンスルホン酸塩化物を添加して転位下に転化させて、(カランラクタムの総物質量に対して)少なくとも80%、とりわけ少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%の3S-又は3R-カランラクタムの異性体比を有する3-カランラクタムが富化された混合物を得ることが更に意図されている。
【0166】
好ましくは、方法工程f1)において予め決められた温度は、5℃~20℃、とりわけ10℃~18℃であることが更に意図されている。
【0167】
好ましくは、塩基は、水性塩基であることが更に意図されている。
【0168】
好ましくは、水性塩基は、水酸化カリウム又は水酸化ナトリウムの溶液であることが更に意図されている。
【0169】
好ましくは、転位は、Beckmann転位であることが更に意図されている。
【0170】
好ましくは、3-カランラクタムが富化された混合物の製造方法において、方法工程e)において得られる3-カランオキシムが富化された混合物を、更なる方法工程f1)において5~20℃、とりわけ10~18℃の温度に温度調節し、塩基、とりわけ水性塩基、とりわけ水酸化カリウム又は水酸化ナトリウムの溶液及びパラトルエンスルホン酸塩化物を添加して転位、とりわけBeckmann転位下に転化させて、(カランラクタムの総物質量に対して)少なくとも80%、とりわけ少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%の3S-又は3R-カランラクタムの異性体比を有する3-カランラクタムが富化された混合物を得ることが更に意図されている。
【0171】
好ましくは、3-カランラクタムが富化された混合物の製造方法において、方法工程e)において得られる3-カランオキシムが富化された混合物を、更なる方法工程f2)において予め決められた温度に温度調節し、ルイス酸、とりわけ強ルイス酸を添加して転位下に転化させて、(カランラクタムの総物質量に対して)少なくとも80%、とりわけ少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%の3S-又は3R-カランラクタムの異性体比を有する3-カランラクタムが富化された混合物を得ることが更に意図されている。
【0172】
好ましくは、方法工程f2)において予め決められた温度は、15℃~100℃、好ましくは77℃~87℃、特に好ましくは82℃であることが更に意図されている。
【0173】
好ましくは、溶剤の沸点まで温度調節され、溶剤は、方法工程e)において得られる3-カランオキシムが富化された混合物が溶解されているか又は存在する溶剤であることが更に意図されている。
【0174】
好ましくは、方法工程e)において得られる3-カランオキシムが富化された混合物が溶解されているか又は存在する溶剤は、アセトニトリルであることが意図されている。
【0175】
好ましくは、ルイス酸は、強ルイス酸であることが更に意図されている。
【0176】
好ましくは、ルイス酸は、In(ClO4)3・n H2O及び/又はZn(ClO4)2・n H2Oであることが更に意図されている。
【0177】
好ましくは、ルイス酸は、In(CF3SO3)3及び/又はZn(CF3SO3)2であることが更に意図されている。
【0178】
好ましくは、転位は、Beckmann転位であることが更に意図されている。
【0179】
好ましくは、3-カランラクタムが富化された混合物の製造方法において、方法工程e)において得られる3-カランオキシムが富化された混合物を、更なる方法工程f2)において77℃~87℃、とりわけ82℃の温度に温度調節し、ルイス酸、とりわけ強ルイス酸、例えばIn(ClO4)3・n H2O及び/又はZn(ClO4)2・n H2Oを添加して転位下に転化させて、(カランラクタムの総物質量に対して)少なくとも80%、とりわけ少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%の3S-又は3R-カランラクタムの異性体比を有する3-カランラクタムが富化された混合物を得、好ましくは、方法工程e)から得られる3-カランオキシムが富化された混合物は、アセトニトリル中に溶解されているか又は存在することが更に意図されている。
【0180】
本発明によれば、本発明はまた、3S-カランラクタムを3S-カラノンから製造するための方法であって、方法工程e)及びf)を含む、方法において、方法工程e)において、好ましくは方法工程c)によって得られる、(カラノンの総物質量に対して)少なくとも80%、とりわけ少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%の3S-カラノンの異性体比を有する3S-及び3R-カラノンからの異性体富化された混合物を使用し、転化させて、(カランオキシムの総物質量に対して)少なくとも80%、とりわけ少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%の3S-カランオキシムの異性体比を有する3S-カランオキシムが富化された混合物を得、方法工程f)において方法工程e)からの溶剤を除去せずに、及びカランオキシムを単離せずに転化させて、(カランラクタムの総物質量に対して)少なくとも80%、とりわけ少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%の3S-カランラクタムの異性体比を有する3S-カランラクタムが富化された混合物を得、任意に方法工程g)において結晶化によって3S-カランラクタムが得られ、方法工程e)における第3の有機溶剤としてアルコールを使用しない、方法に関する。
【0181】
本発明によれば、本発明はまた、3R-カランラクタムを3R-カラノンから製造するための方法であって、方法工程e)及びf)を含む、方法において、方法工程e)において、好ましくは方法工程d)によって得られる、(カラノンの総物質量に対して)少なくとも50%、とりわけ少なくとも60%、とりわけ少なくとも70%、とりわけ少なくとも80%、とりわけ少なくとも85%、とりわけ少なくとも90%又はとりわけ少なくとも95%の3R-カラノンの異性体比を有する3S-及び3R-カラノンからの異性体富化された混合物を使用し、転化させて、(カランオキシムの総物質量に対して)少なくとも50%、とりわけ少なくとも60%、とりわけ少なくとも70%、とりわけ少なくとも80%、とりわけ少なくとも85%、とりわけ少なくとも90%又はとりわけ少なくとも95%の3R-カランオキシムの異性体比を有する3R-カランオキシムが富化された混合物を得、方法工程f)において方法工程e)からの溶剤を除去せずに、及びカランオキシムを単離せずに転化させて、(カランラクタムの総物質量に対して)少なくとも50%、とりわけ少なくとも60%、とりわけ少なくとも70%、とりわけ少なくとも80%、とりわけ少なくとも85%、とりわけ少なくとも90%又はとりわけ少なくとも95%の3R-カランラクタムの異性体比を有する3R-カランラクタムが富化された混合物を得、任意に方法工程h)において結晶化による3S-カランラクタムの分離後に方法工程f)に従って3R-カランラクタムが得られ、方法工程e)における第3の有機溶剤としてアルコールを使用しない、方法に関する。
【0182】
本発明によれば、本発明はまた、3S-ポリカランアミド、3R-ポリカランアミド又は3S/3R-コ-ポリカランアミドの製造方法及びこの方法により製造されるポリアミドであって、とりわけ本発明により得られる3S-カランラクタム、3R-カランラクタム又は3S-及び3R-カランラクタムからの混合物を、方法工程i)において、好ましくはアニオン開環重合、カチオン開環重合、加水分解重合又は重縮合によって重合させて、3S-ポリカランアミド、3R-ポリカランアミド又は3S/3R-コポリカランアミドを得る、方法及びポリアミドに関する。
【0183】
本発明によれば、本発明はまた、3S-ポリカランアミドの製造方法及びこの方法により製造されるポリアミドであって、とりわけ本発明により得られる3S-カランラクタムを、方法工程i)において、好ましくはアニオン開環重合、カチオン開環重合、加水分解重合又は重縮合によって重合させて、3S-ポリカランアミドを得る、方法及びポリアミドに関する。
【0184】
したがって、本発明はまた、3S-ポリカランアミドに関する。
【0185】
本発明によれば、本発明はまた、3R-ポリカランアミドの製造方法及びこの方法により製造されるポリアミドであって、とりわけ本発明により得られる3R-カランラクタムを、方法工程i)において、好ましくはアニオン開環重合、カチオン開環重合、加水分解重合又は重縮合によって重合させて、3R-ポリカランアミドを得る、方法及びポリアミドに関する。
【0186】
したがって、本発明はまた、3R-ポリカランアミドに関する。
【0187】
本発明によれば、本発明はまた、3S/3R-コ-ポリカランアミドの製造方法及びこの方法により製造されるポリアミドであって、3S-及び3R-カランラクタムからの混合物、とりわけ本発明により得られる3S-及び3R-カランラクタムからの混合物を、方法工程i)において、好ましくはアニオン開環重合、カチオン開環重合、加水分解重合又は重縮合によって重合させて、3S/3R-コ-ポリカランアミドを得る、方法及びポリアミドに関する。
【0188】
したがって、本発明はまた、3S/3R-コ-ポリカランアミドに関する。
【0189】
本発明によれば、本発明はまた、コ-ポリアミドの製造方法及びこの方法により製造されるコ-ポリアミドであって、本発明により得られる3S-カランラクタム、3R-カランラクタム又は3S-及び3R-カランラクタムからの混合物を、ラウロラクタム又はカプロラクタムのようなモノマーと一緒に方法工程i2)において、好ましくはアニオン開環重合、カチオン開環重合、加水分解重合又は重縮合によって重合させて、コ-ポリアミド、とりわけ3S-カランラクタム-ラウロラクタム-コ-ポリカランアミド(3S-カランラクタム-ラウロラクタム-コ-ポリアミド)、3R-カランラクタム-ラウロラクタム-コ-ポリカランアミド(3R-カランラクタム-ラウロラクタム-コ-ポリアミド)、3S-カランラクタム-3R-カランラクタム-ラウロラクタム-コ-ポリカランアミド(3S-カランラクタム-3R-カランラクタム-ラウロラクタム-コ-ポリアミド)、3S-カランラクタム-カプロラクタム-コ-ポリカランアミド(3S-カランラクタム-カプロラクタム-コ-ポリアミド)、3R-カランラクタム-カプロラクタム-コ-ポリカランアミド(3R-カランラクタム-カプロラクタム-コ-ポリアミド)又は3S-カランラクタム-3R-カランラクタム-カプロラクタム-コ-ポリカランアミド(3S-カランラクタム-3R-カランラクタム-カプロラクタム-コ-ポリアミド)を得る、方法及びコ-ポリアミドに関する。
【0190】
本発明によれば、本発明はまた、完全に又は共重合体として又は種々のポリマー若しくはモノマーの混合物の一部として本発明による3-カランラクタム、とりわけ3S-ポリカランアミド及び/又は3R-ポリカランアミド、とりわけ3S-ポリカランアミド或いはそれらの開環されたアミノ酸、アミノ酸エステル又はアミノ酸誘導体を含むポリマー、とりわけポリアミドの製造方法に関する。
【0191】
本発明によれば、本発明はまた、3S-カランラクタムを3-カレンから製造するための方法であって、方法工程a)~c)、e)、f)及びg)、とりわけa1)~c)、e)、f)及びg)を含む、方法において、方法工程a)において、好ましくは3-カレンのエポキシ化によって得られる3S-カランエポキシドを使用し、方法工程c)において、(カラノンの総物質量に対して)少なくとも80%、とりわけ少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%の3S-カラノンの異性体比を有する3S-カラノンが富化された混合物を得、方法工程e)において転化させて、(カランオキシムの総物質量に対して)少なくとも80%、とりわけ少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%の3S-カランオキシムの異性体比を有する3S-カランオキシムが富化された混合物を得、方法工程f)において転化させて、(カランラクタムの総物質量に対して)少なくとも80%、とりわけ少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%の3S-カランラクタムの異性体比を有する3S-カランラクタムが富化された混合物を得、方法工程g)において結晶化によって3S-カランラクタムを得る、方法に関する。
【0192】
好ましい実施形態では、方法工程ia)において、引き続き3S-カランラクタムから、重合によって、好ましくはアニオン開環重合、カチオン開環重合、加水分解重合又は重縮合によって3S-ポリカランアミドを得ることができる。
【0193】
本発明によれば、本発明はまた、3R-カランラクタムを3-カレンから製造するための方法であって、方法工程a)~c)、e)、f)及びg)、とりわけa1)~c)、e)、f)及びg)を含む、方法において、方法工程a)において、好ましくは3-カレンのエポキシ化によって得られる3R-カランエポキシドを使用し、方法工程c)において、(カラノンの総物質量に対して)少なくとも80%、とりわけ少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%の3R-カラノンの異性体比を有する3R-カラノンが富化された混合物を得、方法工程e)において転化させて、(カランオキシムの総物質量に対して)少なくとも80%、とりわけ少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%の3R-カランオキシムの異性体比を有する3R-カランオキシムが富化された混合物を得、方法工程f)において転化させて、(カランラクタムの総物質量に対して)少なくとも80%、とりわけ少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%の3R-カランラクタムの異性体比を有する3R-カランラクタム混合物を得、方法工程h)において3S-カランラクタムの分離後に3R-カランラクタムを得る、方法に関する。
【0194】
好ましい実施形態では、方法工程ib)において、引き続き3R-カランラクタムから、重合によって、好ましくはアニオン開環重合、カチオン開環重合、加水分解重合又は重縮合によって3R-ポリカランアミドを得ることができる。
【0195】
本発明によれば、本発明はまた、3R-カランラクタムを3-カレンから製造するための方法であって、方法工程a)~h)、好ましくはa1)~h)を含む、方法において、方法工程a)において、好ましくは3-カレンのエポキシ化によって得られる3S-カランエポキシドを使用し、方法工程c)において、(カラノンの総物質量に対して)少なくとも80%、とりわけ少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%の3S-カラノンの異性体比を有する3S-カラノンが富化された混合物を得、これを方法工程d)において異性化させて、(カラノンの総物質量に対して)少なくとも50%、とりわけ少なくとも60%、とりわけ少なくとも70%、とりわけ少なくとも80%、とりわけ少なくとも85%、とりわけ少なくとも90%又はとりわけ少なくとも95%の3R-カラノンの異性体割合を有する3R-カラノンが富化された混合物を得、方法工程e)において転化させて、(カランオキシムの総物質量に対して)少なくとも50%、とりわけ少なくとも60%、とりわけ少なくとも70%、とりわけ少なくとも80%、とりわけ少なくとも85%、とりわけ少なくとも90%又はとりわけ少なくとも95%の3R-カランオキシムの異性体比を有する3R-カランオキシムが富化された混合物を得、方法工程f)において転化させて、(カランラクタムの総物質量に対して)少なくとも50%、とりわけ少なくとも60%、とりわけ少なくとも70%、とりわけ少なくとも80%、とりわけ少なくとも85%、とりわけ少なくとも90%又はとりわけ少なくとも95%の3R-カランラクタムの異性体比を有する3R-カランラクタムが富化された混合物を得、方法工程h)において3S-カランラクタムの分離後に3R-カランラクタムを得る、方法に関する。
【0196】
好ましい実施では、方法工程ib)において、引き続き3R-カランラクタムから、重合によって、好ましくはアニオン開環重合、カチオン開環重合、加水分解重合又は重縮合によって3R-ポリカランアミドを得ることができる。
【0197】
本発明によれば、本発明はまた、式:
【0198】
【化4】
に従った、とりわけ本発明による本発明の方法の1つにより製造された又は製造可能な3S-カラノンに関する。
【0199】
本発明によれば、本発明はまた、式:
【0200】
【化5】
に従った、とりわけ本発明による本発明の方法の1つにより製造された又は製造可能な3S-カランオキシムに関する。
【0201】
本発明によれば、本発明はまた、式:
【0202】
【化6】
に従った、とりわけ本発明による本発明の方法の1つにより製造された又は製造可能な3S-カランラクタムに関する。
【0203】
本発明と関連して、数nは、自然数、とりわけ2以上の自然数、好ましくは2~1000000の自然数、とりわけ10~10000の自然数、特に好ましくは75~2000、とりわけ100~1000の自然数と解釈される。
【0204】
本発明と関連して、数a、b及びc、とりわけa及びbは、それぞれ自然数、とりわけ1以上の自然数、好ましくは1~1000の自然数、とりわけ10~50の自然数と解釈される。
【0205】
本発明と関連して、数aは、自然数、とりわけ1以上の自然数、好ましくは1~1000の自然数、特に好ましくは10~50の自然数と解釈される。
【0206】
本発明と関連して、数bは、自然数、とりわけ1以上の自然数、好ましくは1~1000の自然数、特に好ましくは10~50の自然数と解釈される。
【0207】
本発明と関連して、数cは、自然数、とりわけ1以上の自然数、好ましくは1~1000の自然数、特に好ましくは10~50の自然数と解釈される。
【0208】
本発明と関連して、自然数a及びbは、好ましくは1:100~100:1、好ましくは1:10~10:1、特に好ましくは1:6~6:1の比率を有する。
【0209】
本発明と関連して、自然数a及びcは、好ましくは1:100~100:1、好ましくは1:10~10:1、特に好ましくは1:6~6:1の比率を有する。
【0210】
本発明と関連して、自然数b及びcは、好ましくは1:100~100:1、好ましくは1:10~10:1、特に好ましくは1:6~6:1の比率を有する。
【0211】
好ましい実施形態では、自然数n、a、b及びc、とりわけa、b及びc、とりわけa及びbは、同じか又は互いに異なっていてよい。本発明の好ましい実施形態では、自然数n、a、b及びcは、互いに独立している。
【0212】
本発明によれば、本発明はまた、式(n個の繰返単位を有する):
【0213】
【化7】
に従った、とりわけ本発明による本発明の方法の1つにより製造された又は製造可能な3S-ポリカランアミドに関する。
【0214】
好ましい一実施形態では、本発明による3S-ポリカランアミドは、以下の繰返単位:
【0215】
【化8】
に従った3S-ポリカランアミド繰返単位のみからなることが意図されている。
【0216】
好ましくは、本発明による3S-ポリカランアミドは、(繰返単位の総数nに対して)少なくとも80%、とりわけ少なくとも85%、とりわけ少なくとも90%、とりわけ少なくとも95%、とりわけ少なくとも98%、とりわけ少なくとも99%、とりわけ少なくとも99.5%、とりわけ少なくとも99.9%、とりわけ100%の以下の繰返単位:
【0217】
【化9】
に従った3S-ポリカランアミド繰返単位を含むことが更に意図されている。
【0218】
本発明によれば、本発明はまた、式(n個の繰返単位を有する):
【0219】
【化10】
に従った、とりわけ本発明による本発明の方法の1つにより製造された又は製造可能な3R-ポリカランアミドに関する。
【0220】
好ましい一実施形態では、本発明による3R-ポリカランアミドは、以下の繰返単位:
【0221】
【化11】
に従った3R-ポリカランアミド繰返単位のみからなることが意図されている。
【0222】
好ましくは、本発明による3R-ポリカランアミドは、(繰返単位の総数nに対して)少なくとも80%、とりわけ少なくとも85%、とりわけ少なくとも90%、とりわけ少なくとも95%、とりわけ少なくとも98%、とりわけ少なくとも99%、とりわけ少なくとも99.5%、とりわけ少なくとも99.9%、とりわけ100%の以下の繰返単位:
【0223】
【化12】
に従った3R-ポリカランアミド繰返単位を含むことが更に意図されている。
【0224】
本発明によれば、本発明はまた、とりわけ3S-カランラクタム、3R-カランラクタム又は3S-カランラクタム及び3R-カランラクタムからの混合物から本発明による方法に従って製造された又は製造可能な、以下の式
【0225】
【化13】
の少なくとも1つの繰返単位及び以下の式
【0226】
【化14】
の少なくとも1つの繰返単位を含むコ-ポリカランアミドに関する。
【0227】
本発明によれば、本発明はまた、式(a個、b個及びn個の繰返単位を有する):
【0228】
【化15】
に従った、とりわけ本発明による本発明の方法の1つにより製造された又は製造可能な3S/3R-コ-ポリカランアミドに関する。
【0229】
本発明はまた、とりわけ3S-カランラクタム、3R-カランラクタム又は3S-カランラクタム及び3R-カランラクタムからの混合物、とりわけ3S-ポリカランアミドと一緒に少なくとも1種の更なるラクタムから本発明による方法に従って製造された又は製造可能な、少なくとも1種の組み込まれたラクタム、好ましくはラウロラクタム及び/又はカプロラクタム並びに式
【0230】
【0231】
【化17】
の少なくとも1つの繰返単位又は両方の上述の繰返単位を有するコ-ポリカランアミドに関する。
【0232】
本発明によれば、本発明はまた、とりわけ3S-カランラクタム、3R-カランラクタム又は3S-カランラクタム及び3R-カランラクタムからの混合物と一緒に、少なくとも1種の更なるラクタムから本発明による方法に従って製造された又は製造可能な、とりわけ以下の式(a個、b個及びc個の繰返単位を有する):
【0233】
【化18】
(式中、Aはコ-ポリアミド中に組み込まれた更なるラクタムの繰返単位を意味する)
の1つに従った繰返単位の少なくとも1つを含むコ-ポリカランアミドに関する。
【0234】
好ましくは、ラクタムは、ラウロラクタム、カプロラクタム及び上述のラクタムの混合物からなる群から選択されることが意図されている。
【0235】
本発明によれば、本発明はまた、とりわけ3S-カランラクタム又は3S-カランラクタム及び3R-カランラクタムからの混合物と一緒に、少なくとも1種の更なるラクタムから本発明による方法に従って製造された又は製造可能な、とりわけ以下の式(a個、b個及びc個の繰返単位を有する):
【0236】
【化19】
(式中、Aはコ-ポリアミド中に組み込まれた更なるラクタムの繰返単位を意味する)
の1つに従った繰返単位の少なくとも1つを含むコ-ポリカランアミドに関する。
【0237】
好ましくは、ラクタムは、ラウロラクタム、カプロラクタム及び上述のラクタムの混合物からなる群から選択されることが意図されている。
【0238】
本発明によれば、本発明はまた、とりわけ3R-カランラクタム又は3S-カランラクタム及び3R-カランラクタムからの混合物と一緒に、少なくとも1種の更なるラクタムから本発明による方法に従って製造された又は製造可能な、とりわけ以下の式(a個、b個及びc個の繰返単位を有する):
【0239】
【化20】
(式中、Aはコ-ポリアミド中に組み込まれた更なるラクタムの繰返単位を意味する)
の1つに従った繰返単位の少なくとも1つを含むコ-ポリカランアミドに関する。
【0240】
好ましくは、ラクタムは、ラウロラクタム、カプロラクタム及び上述のラクタムの混合物からなる群から選択されることが意図されている。
【0241】
本発明によれば、本発明はまた、とりわけ3S-カランラクタム及びラウロラクタムから、とりわけ本発明による本発明の方法の1つにより製造された又は製造可能な、とりわけ式(a個、b個及びn個の繰返単位を有する):
【0242】
【化21】
に従った3S-カランラクタム-ラウロラクタム-コ-ポリカランアミド(3S-カランラクタム-ラウロラクタム-コ-ポリアミド)に関する。
【0243】
本発明によれば、本発明はまた、とりわけ3S-カランラクタム及びカプロラクタムから、とりわけ本発明による本発明の方法の1つにより製造された又は製造可能な、とりわけ式(a個、b個及びn個の繰返単位を有する):
【0244】
【化22】
に従った3S-カランラクタム-カプロラクタム-コ-ポリカランアミド(3S-カランラクタム-カプロラクタム-コ-ポリアミド)に関する。
【0245】
本発明によれば、本発明はまた、とりわけ3R-カランラクタム及びラウロラクタムから、とりわけ本発明による本発明の方法の1つにより製造された又は製造可能な、とりわけ式(a個、b個及びn個の繰返単位を有する):
【0246】
【化23】
による3R-カランラクタム-ラウロラクタム-コ-ポリカランアミド(3R-カランラクタム-ラウロラクタム-コ-ポリアミド)に関する。
【0247】
本発明によれば、本発明はまた、とりわけ3R-カランラクタム及びカプロラクタムから、とりわけ本発明による本発明の方法の1つにより製造された又は製造可能な、とりわけ式(a個、b個及びn個の繰返単位を有する):
【0248】
【化24】
に従った3R-カランラクタム-カプロラクタム-コ-ポリカランアミド(3R-カランラクタム-カプロラクタム-コ-ポリアミド)に関する。
【0249】
本発明によれば、本発明はまた、とりわけ3S-カランラクタム、3R-カランラクタム及びラウロラクタムから、とりわけ本発明による本発明の方法の1つにより製造された又は製造可能な、とりわけ式(a個、b個、c個及びn個の繰返単位を有する):
【0250】
【化25】
に従った3S-カランラクタム-3R-カランラクタム-ラウロラクタム-コ-ポリカランアミド(3S-カランラクタム-3R-カランラクタム-ラウロラクタム-コ-ポリアミド)に関する。
【0251】
本発明によれば、本発明はまた、とりわけ3S-カランラクタム、3R-カランラクタム及びカプロラクタムから、とりわけ本発明による本発明の方法の1つにより製造された又は製造可能な、とりわけ式(a個、b個、c個及びn個の繰返単位を有する):
【0252】
【化26】
に従った3S-カランラクタム-3R-カランラクタム-カプロラクタム-コ-ポリカランアミド(3S-カランラクタム-3R-カランラクタム-カプロラクタム-コ-ポリアミド)に関する。
【0253】
本発明はまた、本発明により製造されたポリアミドの少なくとも1つ、とりわけ3S-ポリカランアミド、3R-ポリカランアミド又は本発明により提供されるコ-ポリカランアミドの少なくとも1つを含む、とりわけ少なくとも5重量%、少なくとも10重量%、少なくとも15重量%、少なくとも20重量%、少なくとも30重量%、少なくとも40重量%、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%又は少なくとも99重量%のポリアミドを含む、とりわけこれらのポリアミドの少なくとも1つからなる製品、とりわけプラスチック製品に関する。
【0254】
好ましい一実施形態では、そのようなプラスチック製品は、工業製品、医療製品又は構成部材である。
【0255】
本発明による製造方法及び3S-カラノン及び3R-カラノンからの異性体富化された混合物の更なる転化と関連して開示された方法工程a1)~i2)のための好ましい実施形態は、本発明によれば、例えばここでは、3-カランオキシムが富化された混合物、3-カランラクタムが富化された混合物、3S-ポリカランアミド、3R-ポリカランアミド、3S/3R-コ-ポリカランアミド、3S-カランラクタム-ラウロラクタム-コ-ポリカランアミド(3S-カランラクタム-ラウロラクタム-コ-ポリアミド)、3R-カランラクタム-ラウロラクタム-コ-ポリカランアミド(3R-カランラクタム-ラウロラクタム-コ-ポリアミド)、3S-カランラクタム-3R-カランラクタム-ラウロラクタム-コ-ポリカランアミド(3S-カランラクタム-3R-カランラクタム-ラウロラクタム-コ-ポリアミド)、3S-カランラクタム-カプロラクタム-コ-ポリカランアミド(3S-カランラクタム-カプロラクタム-コ-ポリアミド)、3R-カランラクタム-カプロラクタム-コ-ポリカランアミド(3R-カランラクタム-カプロラクタム-コ-ポリアミド)、3S-カランラクタム-3R-カランラクタム-カプロラクタム-コ-ポリカランアミド(3S-カランラクタム-3R-カランラクタム-カプロラクタム-コ-ポリアミド)の製造方法のための、並びに3S-カランオキシム、3S-カランラクタム、3S-ポリカランアミド、3R-ポリカランアミド、3S/3R-コ-ポリカランアミド、3S-カランラクタム-ラウロラクタム-コ-ポリカランアミド(3S-カランラクタム-ラウロラクタム-コ-ポリアミド)、3R-カランラクタム-ラウロラクタム-コ-ポリカランアミド(3R-カランラクタム-ラウロラクタム-コ-ポリアミド)、3S-カランラクタム-3R-カランラクタム-ラウロラクタム-コ-ポリカランアミド(3S-カランラクタム-3R-カランラクタム-ラウロラクタム-コ-ポリアミド)、3S-カランラクタム-カプロラクタム-コ-ポリカランアミド(3S-カランラクタム-カプロラクタム-コ-ポリアミド)、3R-カランラクタム-カプロラクタム-コ-ポリカランアミド(3R-カランラクタム-カプロラクタム-コ-ポリアミド)及び3S-カランラクタム-3R-カランラクタム-カプロラクタム-コ-ポリカランアミド(3S-カランラクタム-3R-カランラクタム-カプロラクタム-コ-ポリアミド)及び完全に又は共重合体として又は種々のポリマー若しくはモノマーの混合物の一部として3-カランラクタム又はそれらの開環されたアミノ酸、アミノ酸エステル若しくはアミノ酸誘導体を含むポリマー、とりわけポリアミドのための、方法工程a1)~i2)においても好ましい。
【0256】
本発明はまた、好ましくは本明細書で3S-カランラクタム、3S-ポリカランアミド、3R-ポリカランアミド及び3S/3R-コ-ポリカランアミドについて示された式に従った、完全に又は共重合体として又は種々のポリマー若しくはモノマーの混合物の一部として本発明による3-カランラクタム、とりわけ3S-カランラクタム若しくは3R-カランラクタム、とりわけ3S-カランラクタム又はそれらの開環されたアミノ酸、アミノ酸エステル若しくはアミノ酸誘導体を含むポリマー、とりわけポリアミドに関する。
【0257】
更なる好ましい実施形態は、とりわけ従属形式請求項から明らかである。
【0258】
以下の実施例及び添付の図面は本発明を説明するものである。
【図面の簡単な説明】
【0259】
【
図1】個々の方法工程a1)~f)についての概要である。
【
図2】個々の方法工程i)及びi2)についての概要である。
【
図3】3S-カラノン異性体が富化された混合物のGCクロマトグラムである。
【
図4】3R-カラノン異性体が富化された混合物のGCクロマトグラムである。
【
図7】3S-カランオキシムの1H-NMRである。
【
図8】3S-カランオキシムの13C-NMRである。
【
図9】3S-カランラクタムの1H-NMRである。
【
図10】3S-カランラクタムの13C-NMRである。
【
図11】3S-ポリカランアミドの1H-NMRスペクトルである。
【
図12】3S-ポリカランアミドの13C-NMRスペクトルである。
【
図13】3S-ポリカランアミドのCOSYスペクトルである。
【
図14】3S-ポリカランアミドのHSQCスペクトルである。
【
図15】3S-ポリカランアミドのDEPTスペクトルである。
【
図16】3R-ポリカランアミドの1H-NMRスペクトルである。
【
図17】3R-ポリカランアミドの13C-NMRスペクトルである。
【
図18】3R-ポリカランアミドのCOSYスペクトルである。
【
図19】3R-ポリカランアミドのHSQCスペクトルである。
【
図20】3R-ポリカランアミドのDEPTスペクトルである。
【
図21】3S-カランラクタム-3R-カランラクタム-コポリカランアミドの1H-NMRスペクトルである。
【
図22】3S-カランラクタム-3R-カランラクタム-コ-ポリカランアミドの13C-NMRスペクトルである。
【
図23】3S-カランラクタム-ラウロラクタム-コ-ポリカランアミドの1H-NMRスペクトルである。
【
図24】3S-カランラクタム-カプロラクタム-コ-ポリカランアミドの1H-NMRスペクトルである。
【
図25】3S-ポリカランアミドのDSC曲線である。
【
図26】3S-ポリカランアミドのDSC曲線である。
【
図27】3S-ポリカランアミドのDSC曲線である。
【
図28】3S-ポリカランアミドのDSC曲線である。
【
図29】3S-ポリカランアミドのDSC曲線である。
【
図30】3S-ポリカランアミドのDSC曲線である。
【
図31】3S-ポリカランアミドのDSC曲線である。
【
図32】3S-ポリカランアミドのDSC曲線である。
【
図33】3S-ポリカランアミドのDSC曲線である。
【
図34】3S-ポリカランアミドのDSC曲線である。
【
図35】3R-ポリカランアミドのDSC曲線である。
【
図36】3R-ポリカランアミドのDSC曲線である。
【
図37】3R-ポリカランアミドのDSC曲線である。
【
図38】3R-ポリカランアミドのDSC曲線である。
【
図39】3R-ポリカランアミドのDSC曲線である。
【
図40】3R-ポリカランアミドのDSC曲線である。
【
図41】3R-ポリカランアミドのDSC曲線である。
【
図42】3R-ポリカランアミドのDSC曲線である。
【
図43】3S-カランラクタム-3R-カランラクタム-コポリカランアミドのDSC曲線である。
【
図44】3S-カランラクタム-3R-カランラクタム-コポリカランアミドのDSC曲線である。
【
図45】3S-カランラクタム-ラウロラクタム-コポリカランアミドのDSC曲線である。
【
図46】3S-カランラクタム-ラウロラクタム-コポリカランアミドのDSC曲線である。
【
図47】3S-カランラクタム-ラウロラクタム-コポリカランアミドのDSC曲線である。
【
図48】3S-カランラクタム-カプロラクタム-コポリカランアミドのDSC曲線である。
【
図49】3S-カランラクタム-カプロラクタム-コポリカランアミドのDSC曲線である。
【
図50】3S-カランラクタム-カプロラクタム-コポリカランアミドのDSC曲線である。
【
図51】3S-ポリカランアミドのGPC曲線である。
【
図52】3S-ポリカランアミドのGPC曲線である。
【
図53】3S-ポリカランアミドのGPC曲線である。
【
図54】3S-ポリカランアミドのGPC曲線である。
【
図55】3S-ポリカランアミドのGPC曲線である。
【
図56】3S-ポリカランアミドのGPC曲線である。
【
図57】3S-ポリカランアミドのGPC曲線である。
【
図58】3S-ポリカランアミドのGPC曲線である。
【
図59】3S-ポリカランアミドのGPC曲線である。
【
図60】3S-ポリカランアミドのGPC曲線である。
【
図61】3S-ポリカランアミドのGPC曲線である。
【
図62】3R-ポリカランアミドのGPC曲線である。
【
図63】3R-ポリカランアミドのGPC曲線である。
【
図64】3R-ポリカランアミドのGPC曲線である。
【
図65】3R-ポリカランアミドのGPC曲線である。
【
図66】3R-ポリカランアミドのGPC曲線である。
【
図67】3R-ポリカランアミドのGPC曲線である。
【
図68】3R-ポリカランアミドのGPC曲線である。
【
図69】3R-ポリカランアミドのGPC曲線である。
【
図70】3R-ポリカランアミドのGPC曲線である。
【
図71】3R-ポリカランアミドのGPC曲線である。
【
図72】3S-カランラクタム-3R-カランラクタム-コポリカランアミドのGPC曲線である。
【
図73】3S-カランラクタム-ラウロラクタム-コポリカランアミドのGPC曲線である。
【
図74】3S-カランラクタム-ラウロラクタム-コポリカランアミドのGPC曲線である。
【
図75】3S-カランラクタム-ラウロラクタム-コポリカランアミドのGPC曲線である。
【
図76】3S-カランラクタム-カプロラクタム-コポリカランアミドのGPC曲線である。
【
図77】3S-カランラクタム-カプロラクタム-コポリカランアミドのGPC曲線である。
【
図78】3S-ポリカランアミドのGPC曲線である。
【
図79】3R-ポリカランアミドのGPC曲線である。
【
図80】3S-カランラクタム-カプロラクタム-コポリカランアミドのGPC曲線である。
【
図81】3S-ポリカランアミドのDSC曲線である。
【
図82】3R-ポリカランアミドのDSC曲線である。
【
図83】3S-カランラクタム-3R-カランラクタム-コポリカランアミドのDSC曲線である。
【発明を実施するための形態】
【0260】
分析法
GCMS分析法、方法(1)(GCMS-ガスクロマトグラフィー-質量分析)
ガスクロマトグラフィー分離に続く質量分析による反応混合物の評価
ガスクロマトグラフィー分析は、GC-2010 Plus(島津製作所)において実施した。GC-キャピラリーカラム(BPX 5:5%フェニル、95%メチルポリシルフェニレン/シロキサン、SGE)を通して分離を達成した。質量分析のために、電子イオン化(70eV)を伴うMS-QP2010 Plus(島津製作所)を使用した。測定データのソフトウェア分析は、GC-MS Postrun Analysis(島津製作所)を用いて実施した。得られたデータを米国国立標準技術研究所のデータベースバージョン08と比較した。
【0261】
【0262】
3S-カラノン異性体が富化された混合物(
図3)及び3R-カラノン異性体が富化された混合物(
図4)の例示的クロマトグラムは、対応して指定された図から確認することができる。
【0263】
以下の表3には、全ての生成物に関連する化合物の保持時間が含まれている:
【0264】
【0265】
異性体富化された混合物の3S-カラノンと3R-カラノンとの間のパーセンテージ異性体比は、「全ての生成物に関連する化合物の保持時間」の表による保持時間で3S-カラノン及び3R-カラノンの両方の生成物のピーク面積、とりわけTIC-ピーク面積(全イオン電流値(total ion current)、TIC)を比較する(生成物のピーク面積を両方の生成物の総ピーク面積で割る)ことによって求めることができる。3S-カラノン及び3R-カラノンの両方の生成物が同じ数のフラグメントに分解されるため、対応するイオン電流(ion current)が発生するという理論を仮定すると、この理論に縛られるべきではないが、両方のピーク面積(上述の説明に従って計算される)の数値比は、3S-カラノン及び3R-カラノンの両方の生成物の数値の物質量比にも対応する。本明細書で3S-カラノン及び3R-カラノンからの異性体富化された混合物に関してなされた説明は、3-カランオキシムが富化された混合物及び3-カランラクタムが富化された混合物にも相応して当てはまる。
【0266】
NMR分析法、方法(2)(NMR、核磁気共鳴(nuclear magnetic resonance)):
NMR分光法による反応混合物の評価
全てのNMR測定は、JEOLのJNM-ECA(400 MHz)分光器でソフトウェアJEOL Delta v5.0.4を使用して25℃で実施し、JEOL Delta v5.0.4に含まれるStandard-Pulsプログラムを利用した。DEPT135°技術を使用してCH2-シグナルを帰属した。2D NMR法(COSY、HSQC、HMBC)を、必要に応じて適用した。ポリマーはDCOOD中で測定し、全ての他の物質はDMSO-d6中で測定した。測定値の評価は、ソフトウェアJEOL Delta v5.0.4を用いて行った。
【0267】
3S-カラノン(1H:
図5、13C:
図6)、3S-カランオキシム(1H:
図7、13C:
図8)及び3S-カランラクタム(1H:
図9、13C:
図10)の化合物並びに3S-ポリカランアミド(1H:
図11、13C:
図12、COSY:
図13、HSQC:
図14、DEPT:
図15)、3R-ポリカランアミド(1H:
図16、13C:
図17、COSY:
図18、HSQC:
図19、DEPT:
図20)及び3S/3R-コ-ポリカランアミド(1H:
図21、13C:
図22)、3S-カランラクタム-ラウロラクタム-コ-ポリカランアミド(1H:
図23)及び3S-カランラクタム-カプロラクタム-コ-ポリカランアミド(1H:
図24)のポリマーのNMRスペクトル(1H、13C)は、対応して指定された図から確認することができる。
【0268】
DSC分析法、方法(3)(DSC、示差走査熱量測定(Differential Scanning Calorimetry))
DSC分析は、Mettler ToledoのDSC-Oneで行った。測定値の評価は、Mettler Toledoの評価ソフトウェアSTARe(バージョン:13.00a(ビルド6917))を用いて行った:
【0269】
【0270】
3S-ポリカランアミド(
図81)、3R-ポリカランアミド(
図82)及び3S/3R-コ-ポリカランアミド(
図83)のポリマーのDSCスペクトルは、対応して指定された図から確認することができ、2回目昇温過程を示している。
【0271】
DSC分析、方法(3.1)(DSC、示差走査熱量測定(Differential Scanning Calorimetry))
方法(3.1)に従ったDSC分析は、Mettler ToledoのDSC 1でソフトウェアSTARe V. 16.00を用いて実施した。試料(5~10mg)をアルミニウムるつぼ内で窒素雰囲気下で測定した。方法(3.1)は、3S-ポリカランアミドの分析のために使用した。対応する
図35~
図50はセグメント10を示している。
【0272】
【0273】
3S-ポリカランアミド(
図25から
図34までを含めて)のDSCスペクトルは、対応して指定された図から確認することができる。
【0274】
DSC分析、方法(3.2)(DSC、示差走査熱量測定(Differential Scanning Calorimetry))
方法(3.2)に従ったDSC分析は、Mettler ToledoのDSC 1でソフトウェアSTARe V. 16.00を用いて実施した。試料(5~10mg)をアルミニウムるつぼ内で窒素雰囲気下で測定した。方法(3.2)は、3R-ポリカランアミド、3S-カランラクタム-3R-カランラクタム-コ-ポリカランアミド、3S-カランラクタム-ラウロラクタム-コ-ポリアミド及び3S-カランラクタム-カプロラクタム-コ-ポリアミドのために使用した。対応する
図35~
図50はセグメント6及び7を示している。
【0275】
【0276】
3R-ポリカランアミド(
図35から
図42までを含めて)並びに3S/3R-コ-ポリカランアミド(
図43及び
図44)、3S-カランラクタム-ラウロラクタム-コ-ポリカランアミド(
図45、
図46、
図47)及び3S-カランラクタム-カプロラクタム-コ-ポリカランアミド(
図48、
図49、
図50)のDSCスペクトルは、対応して指定された図から確認することができる。
【0277】
GPC分析、方法(4.1)(GPC、ゲル浸透クロマトグラフィー(Gel-Permeations-Chromatographie))
GPC測定は、AgilentのAgilent 1200シリーズでPMMA較正を用いて行った。測定値の評価は、ChemStation GPC分析ソフトウェア(WINGPC Unity、ビルド5403)を用いて行った。
【0278】
【0279】
3S-ポリカランアミド(
図78)、3R-ポリカランアミド(
図79)及び3S-カランラクタム-カプロラクタム-コ-ポリカランアミド(
図80)のポリマーのGPCスペクトルは、対応して指定された図から確認することができる。
【0280】
GPC分析、方法(4.2)(GPC、ゲル浸透クロマトグラフィー(Gel-Permeations-Chromatographie))
GPC分析は、オートサンプラー(1260 Infinity、Agilent Technologies)及びTCC6000カラムオーブン(Polymer Standard Services、PSS)を備えるSECurity GPCを用いて行った。データはPSS WinGPC UniChrom(PSS)を用いて評価した。狭いモル質量較正のために、PMMA標準を使用した。広いモル質量較正のために、PA6標準(PSS ready-call-kit、Mw/Mn=31400/17400Da、22000/13000Da、17200/11300Da)を使用した。評価のための分子量の下限値は1.0kDaに設定した。
【0281】
【0282】
3S-ポリカランアミド(
図51から
図61までを含めて)、3R-ポリカランアミド(
図62から
図71までを含めて)、3S/3R-コ-ポリカランアミド(
図72)、3S-カランラクタム-ラウロラクタム-コ-ポリカランアミド(
図73、
図74及び
図75)及び3S-カランラクタム-カプロラクタム-コ-ポリカランアミド(
図76及び
図77)のポリマーのGPCスペクトルは、対応して指定された図から確認することができる。
【0283】
PA6に対する定性的比較における吸水性の決定、方法(5)
PA6をアニオン開環重合によって製造した(2.8mmolのカプロラクタム、0.1mmolのパラフィンワックス中NaH(60%)、0.05mmolのAc2O、180℃)。残留モノマーを水/エタノール中での還流によって除去した。30~42mgのPA6(3つの試料)及び本発明によるポリアミドの少なくとも2つの試料をDSC(DSC分析法(3)に記載したのと同じ装置)において230℃で3分間温度調節し、こうして同じ形状のポリアミドブロックを作製した。質量は、OHAUS Discovery DV215CD天びんにおいて0.01mgの最大誤差で測定した。次いで試料を、それぞれ水中で25℃で3日間撹拌した。その後に試料を風乾させ、30分後及び4時間半後に秤量した。引き続き、試料を80℃で3時間乾燥させ、秤量した。PA6と比較した定性的な吸水性は、水浴後の質量及び乾燥工程後の質量損失の比較から導き出される。
【0284】
PA6及びPA12に対する定性的比較における透明性の決定、方法(6)
PA6及びPA12をHFIP中に溶解させ(25mg/mL)、結晶皿に移す(直径4~12cm)か、又はPTFEシート上に塗布した。溶剤を蒸発させた後に、85℃で少なくとも3時間乾燥させた。白色の不透明なフィルムが得られ、本発明によるポリマーの定性的な透明性は目視比較によって決定した。
【0285】
[実施例]
実施例1(方法工程a)、b)及びc)):
3S-カラノン(85%超の異性体純度)の合成
1.8gの3S-カランエポキシド(11.8mmol)を6.7mLのヘキサン中に溶解させ(c=1.5M)、60℃に加熱した。7.0mgのFe(ClO4)2・H2O(0.03mmol、0.2mol%)を添加し、20分間撹拌した。反応混合物を25℃に冷却し、2mLの半飽和酢酸ナトリウム溶液を添加した。相を分離させ、溶剤を蒸留により除去した。
【0286】
GCMS分析(非補正):総選択率80%のカラノン、比率:3S-カラノン85%:3R-カラノン15%。
【0287】
質量スペクトル:
MS (EI, 70 eV): m/z (%) = 153.10 (2.77), 152.10 (27.38), 138.10 (1.16), 137.10 (12.12), 135.15 (0.47), 134.10 (2.59), 125.15 (0.48), 124.10 (4.38), 123.10 (4.10), 121.10 (0.54).
MS (EI, 70 eV): % (m/z) = 100.00 (67.10), 83.36 (81.10), 69.63 (41.10), 45.24 (39.10), 44.25 (82.10), 33.71 (95.10), 32.68 (109.10), 30.74 (110.10), 27.40 (55.10), 27.38 (152.10).
【0288】
図4は、3S-カラノン異性体富化された混合物のGCクロマトグラムを示す。
図5は3S-カラノン(純粋形態)の1H-NMRを示し、
図6は3S-カラノン(純粋形態)の13C-NMRを示す。
【0289】
NMR帰属
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ/ppm = 2.56 - 2.47 (m, 1H, -CO-CH
2
-CH-, 溶媒シグナルに重なっている), 2.10 (qdd, J = 7.3, 5.0, 2.7 Hz, 1H, -CHCH3-), 2.03 - 1.90 (m, 2H, -CHCH3-CH
2
-CH-, -CO-CH
2
-CH-), 1.70 - 1.62 (m, 1H, -CHCH3-CH
2
-CH-), 1.13 (d, J = 7.2 Hz, 3H, -CHCH
3
-), 1.04 (s, 3H, -CCHCH
3
CH3-), 1.03 - 0.97 (m, 1H, -CO-CH2-CH-), 0.90 (s, 3H, -CCHCH3CH
3
-), 0.80 (td, J = 8.9, 6.4 Hz, 1H, -CHCH3-CH2-CH-).
13C NMR (100 MHz, DMSO-d6): δ/ppm = 216.1 (-CO-), 40.7 (-CHCH3-), 33.9 (-CO-CH2-CH-), 27.8 (-CCHCHCH3CH3-, 26.3 (-CHCH3-CH2-CH-), 21.1 (-CO-CH2-CH-), 19.0 (-CCHCHCH3CH3-), 16.7 (-CHCH3-), 16.4 (-CO-CH2-CH-), 14.6 (-CCHCHCH3
CH3-).
【0290】
実施例1.1:
適切な溶剤
【0291】
【0292】
実施例1.2.1:
亜鉛及び鉄のルイス酸の比較
【0293】
【0294】
実施例1.2.2:
種々のスルホン酸の比較
【0295】
【0296】
実施例1.3:
ルイス酸の適切な濃度
【0297】
【0298】
実施例1.4:
3S-カランエポキシドの適切な濃度
【0299】
【0300】
実施例1.5:
温度の影響
【0301】
【0302】
実施例1.6:
非鉄ベースのルイス酸
15.2mgの3S-カランエポキシド(0.1mmol)を1mLのトルエン中に溶解させる。次いで、酢酸エチル中の2mol%のNi(ClO4)2溶液を添加し、反応混合物を60℃で20.5h加熱する。GCMS分析(非補正):カラノンの総純度88.9% 3S-カラノン92.0%及び3R-カラノン8.0%。
【0303】
15.2mgの3S-カランエポキシド(0.1mmol)を1mLのトルエン中に溶解させる。次いで、酢酸エチル中の2mol%のCo(ClO4)2溶液を添加し、反応混合物を60℃で20.5h加熱する。GCMS分析(非補正):カラノンの総純度89.0% 3S-カラノン93.3%及び3R-カラノン6.7%。
【0304】
152mgの3S-カランエポキシド(0.1mmol)を1mLのトルエン中に溶解させる。次いで、酢酸エチル中の2mol%のCu(ClO4)2溶液を添加し、反応混合物を室温で20h撹拌する。GCMS分析(非補正):カラノンの総純度63.0% 3S-カラノン85.0%及び3R-カラノン15.0%。
【0305】
実施例2.1(方法工程d)):
3S-カラノンからの3R-カラノンへの異性化
実施例1からの3S-カラノン(87%)及び3R-カラノン(13%)が富化された混合物の152μLの約80%の溶液を845μLのMeCN中に溶解させ、5μLの硫酸を添加した。反応混合物を60℃で5h撹拌した。溶剤を蒸留により除去した。
【0306】
GCMS分析(非補正):総選択率80%カラノン、比率:3S-カラノン15%:3R-カラノン85%。
図4は、3R-カラノン異性体が富化された混合物のGCクロマトグラムを示す。
図5は3S-カラノン(純粋形態)の1H-NMRを示し、
図6は3S-カラノン(純粋形態)の13C-NMRを示す。
【0307】
実施例2.2(方法工程d)):
3S-カラノンからの3R-カラノン(III)への異性化に対する溶剤の影響
【0308】
【0309】
実施例3.1(方法工程a1a):
酵素リパーゼCal-Bを使用した3-カレンからの3S-カランエポキシド(99%超)へのエポキシ化
10.87gの3-カレン(80mmol)を160mLの酢酸エチル中に溶解させ、KPG撹拌機及び2.5gのカンジダ・アンタルクティカ由来のリパーゼCal-B(固定化)を充填したナイロン製酵素袋(Enzymtasche)を備えた反応器へと移した。それを60℃に加熱し、9.35gのH2O2(35%)を連続的に添加した(2mL/h)。4h後に、反応混合物を室温に冷却し、酵素袋を取り外し、50mLのNaOH(2M)で2回、50mLの飽和Na2SO3溶液で1回、そして50mLの水で1回洗浄した。溶剤を減圧下で除去した。
【0310】
GCMS分析(非補正):3S-カランエポキシド(2)(>99%)
【0311】
実施例3.2(方法工程a1a)):
希釈過酢酸を用いた3-カレンからの3S-カランエポキシド(99%超)へのエポキシ化
1当量のNaOAcを12%の過酢酸中にc=1Mで溶解させ(1.3当量の過酢酸に相当する)、室温で1当量の3-カレンを1時間以内で添加した。温度を40℃未満で一定に保持する。
【0312】
GCMS分析(非補正):3S-カランエポキシド(2)(>99%)
【0313】
実施例3.3(方法工程a1b)):
3-カレンからの3R-カランエポキシド(85%超の純度)へのエポキシ化
50gの3-カレン(367mmol、1.0当量)を200mLのアセトン及び200mLの水中に溶解させ、0℃に温度調節した。72gのN-ブロモスクシンイミド(404mmol、1.1当量)を少しずつ添加し、内部温度を10℃未満に保持した。それを10℃未満の温度で0.5h撹拌した後に、室温で更に2h撹拌した。引き続き、250mLの5MのNaOHを滴加し(5.5mL/分)、3R-カランエポキシドに完全に転化するまで撹拌した(0.5h)。反応混合物に200mLのヘキサンを加え、相を分離させた。水相を200mLのヘキサンで抽出した。合わせた有機相を250mLの飽和亜硫酸ナトリウム溶液及び250mLの水で洗浄した。次いで、溶剤を50℃で減圧下で除去した。50gの3R-カランエポキシド(85%超の純度)が得られた(312mmol、85%)。
【0314】
実施例4.1(方法工程e)):
3S-カラノンのオキシム化
3S-カラノン及び3R-カラノンが富化された混合物(80%の純度、85%の3S-カラノン、15%の3R-カラノン)をアセトニトリル中でc=2Mまで溶解させた。次いで、水中の1.3当量のNaOAcを同じ容量で添加し、5分間撹拌した。1.1当量のHONH2・HClを添加し、25℃で1時間撹拌する。
【0315】
GCMS分析(非補正):総オキシム80%、そのうち3S-カランオキシム85%、3R-カランオキシム15%。
【0316】
質量スペクトル:
MS (EI, 70 eV): m/z (%) = 168.05 (1.30), 167.00 (11.80), 166.05 (1.66), 153.10 (1.47), 152.05 (15.72), 151.05 (1.69), 150.05 (10.83), 149.05 (1.90), 148.10 (5.97), 139.10 (2.56).
MS (EI, 70 eV): % (m/z) = 100.00 (41.05), 51.40 (39.10), 47.59 (67.05), 43.19 (112.10), 42.42 (79.05), 41.89 (107.10), 40.65 (55.10), 39.11 (106.05), 38.33 (43.05), 29.88 (81.05).
【0317】
NMR帰属
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ/ppm = 10.07 (s, 1H, -NOH), 2.56 (dd, J = 18.6, 1.6 Hz, 1H, -CNOH-CH
2
-CH-), 2.32 - 2.17 (m, 2H,-CHCH3-, -CNOH-CH
2
-CH-), 1.90 - 1.78 (m, J = 16.8, 8.1, 3.1 Hz, 1H, -CHCH3-CH
2
-CH-), 1.37 (dt, J = 14.4, 4.9 Hz, 1H, -CHCH3-CH
2
-CH-), 1.05 (d, J = 7.1 Hz, 3H, CH2-CHCH
3
-CNOH-), 0.96 (s, 3H, -CCHCHCH
3
CH3-), 0.79 (td, J = 8.9, 1.8 Hz, 1H, -CNOH-CH2-CH-) 0.71 (s, 3H, -CCHCHCH3CH
3
-), 0.69 - 0.62 (m, 1H, CHCH3-CH2-CH-).
13C NMR (100 MHz, DMSO-d6): δ/ppm = 161.5 (-CNOH-), 32.8 (-CHCH3-), 28.5 (-CCHCHCH3CH3-), 26.8 (-CHCH3-CH2-CH-), 19.3 (CH2-CHCH3-CNOH-), 19.1 (-CNOH-CH2-CH-), 18.3 (CCHCHCH3CH3), 17.1 (-CNOH-CH2-CH-), 16.7 (-CHCH3-CH2-CH-), 14.9 (-CCHCHCH3
CH3-).
【0318】
図7は3S-カランオキシム(純粋形態)の1H-NMRを示し、
図8は3S-カランオキシム(純粋形態)の13C-NMRを示す。
【0319】
実施例4.2(方法工程e)):
3R-カラノンのオキシム化
9.00gの3R-カラノン(58mmol)を60mLのアセトニトリル中に溶解させる。次いで、50mLの水と一緒に10.6gの酢酸ナトリウム三水和物(75mmol)及び4.6gのヒドロキシルアミン塩酸塩(64mmol)を添加し、60℃で20h撹拌する。反応混合物を炭酸水素ナトリウム溶液及び水で洗浄し、硫酸マグネシウムを用いて乾燥させ、真空下で濃縮した。5gの粗生成物をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc)を介して精製した。収量は純度92%で3.6g(72%)であった。オキシムの比率は3R-カランオキシム85%、3S-カランオキシム15%である。
【0320】
実施例5.1.1(方法工程f1)):
3S-カランオキシムのBeckmann転位
実施例4.1(方法工程e))からの反応混合物を15℃に冷却し、4当量のNaOHを10MのNaOHとしてゆっくり添加する。15℃で2時間の撹拌後に、1当量の塩化パラトルエンスルホニルを少しずつ添加し、室温で更に2時間撹拌する。水相を分離し、酢酸エチルで抽出する(等容量で2回)。有機相を半飽和炭酸水素ナトリウム溶液(2回)で洗浄した後に、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄する。
【0321】
GCMS分析(非補正):カランラクタムの総純度62% 3S-カランラクタム94.9%及び3R-カランラクタム5.1%。
【0322】
質量スペクトル
MS (EI, 70 eV): m/z (%) = 168.10 (1.05), 167.15 (8.33), 166.25 (0.70), 154.20 (0.30), 153.20 (4.44), 152.20 (44.99), 151.25 (0.22), 150.20 (0.23), 139.20 (1.42), 138.15 (1.09).
MS (EI, 70 eV): % (m/z) = 100.00 (44.10), 60.39 (67.10), 44.99 (152.20), 44.18 (81.10), 42.43 (82.10), 37.54 (110.15), 35.25 (41.05), 28.11 (57.10), 19.97 (39.05), 19.46 (55.10).
【0323】
図9は3S-カランラクタム(純粋形態)の1H-NMRを示し、
図10は3S-カランラクタム(純粋形態)の13C-NMRを示す。
【0324】
NMR帰属
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ/ppm = 6.92 (s, 1H, -CO-NH-) 3.5 - 3.14 (m, 1H, -NH-CHCH3-CH2-), 2.31 - 2.15 (m, 2H, -CO-CH
2
-CH-), 1.71 - 1.49 (m, 2H, -CH-CH
2
-CCHCH3-), 1.05 (d, J = 6.4 Hz, 3H, -NH-CHCH
3-), 1.01 (s, 3H, -CCHCHCH3CH
3
-), 0.97 (s, 3H, -CCHCHCH
3
CH3-), 0.85 - 0.76 (m, 1H, -CCHCHCH3CH3-), 0.57 (td, J = 9.0, 2.1 Hz, 1H, -CCHCHCH3CH3-).
13C NMR (100 MHz, DMSO-d6): δ/ppm = 173.8 (-CO-), 46.3 (-NH-CHCH3-), 30.6 (-CO-CH
2
-CH-), 30.4 (CH-CH
2
-CHCH3-), 28.6 (-CCHCHCH3CH3-), 21.11 (-NH-CHCH3-), 20.1 (CO-CH2-CH-), 20.1 (-CHCH3-CH2-CH-), 17.4 (-CCHCHCH3CH3-), 14.9 (-CCHCHCH3
CH3-).
【0325】
実施例5.1.2(方法工程f2)):
3S-カランオキシムの触媒によるBeckmann転位
167mgの3S-カランオキシム(1.0mmol)を2mLのMeCN中に溶解させ、加熱還流した。次いで、7.5mol%のZn(ClO4)2・6H2Oを添加し、48h撹拌した。溶剤を減圧下で除去し、残留物を酢酸エチル中に取り、半飽和炭酸水素ナトリウム溶液及び水で複数回洗浄した。酢酸エチルからの結晶化の後に、120mgの3S-カランラクタムが得られた(72%)。
【0326】
実施例5.2(方法工程e)及びf)):
1工程(ワンポット)でのオキシム化及びBeckmann転位
3S-カラノン(15%)及び3R-カラノン(85%)からの35gの混合物を280mLのアセトニトリル(MeCN)中に溶解させ、280mLの水及び50gの酢酸ナトリウムを加えた。次いで、19.5gのヒドロキシルアミン塩酸塩を添加し、室温で48h撹拌した。相を分離させ、有機相を氷浴中で冷却しながら270mLの3MのNaOHを少しずつ添加した。反応混合物を氷浴中で2h撹拌した後に、53.2gの塩化トシルを少しずつ添加した。反応混合物を4h撹拌した後に、2Mの塩酸、炭酸水素ナトリウム溶液及び半飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄した。溶剤を減圧下で除去し、得られた粗生成物を酢酸エチルから複数回再結晶化させた。7.90g(20%)の純粋な3R-カランラクタムが得られた。
【0327】
実施例6.1(方法工程g)及びh)):
晶質の3S-カランラクタムの取得
実施例5(方法工程f))からの反応混合物を3S-カランラクタムがほぼ完全に結晶化するまで分別蒸留する。残分の3R-カランラクタムは反応条件下では結晶化し得ないため、それを更なる蒸留工程(方法工程h))によって除去して、3S-カランラクタムを得る。上述の蒸留から、留出物として3R-カランラクタムを得ることができる。
【0328】
実施例6.2(方法工程g)及びh)):
3R-カランラクタムの取得
3R-カランラクタムは、3S-カランラクタムの合成の母液(実施例6.1からの残りの溶液)から蒸留(沸点:350℃)及び複数回の再結晶化(酢酸エチル)の後に純粋生成物として得ることができた。
【0329】
実施例6.3(方法工程g)及びh)):
3R-カランラクタムの取得
3.50gの3R-カランオキシム(21mmol)を25mLのアセトニトリル中に溶解させ、氷浴中で冷却した。次いで、33mLのNaOH(2M)を少しずつ添加し、2h撹拌した。その後に、4.50gの塩化トシル(23mmol)を少しずつ添加し、氷浴中で2.5h撹拌した。反応混合物を炭酸水素ナトリウム溶液及び水で洗浄し、硫酸マグネシウムを用いて乾燥させ、真空下で濃縮した。粗生成物を-20℃で酢酸エチルから再結晶化させ、2.61g(75%)の純粋な3R-カランラクタムを得た。
【0330】
実施例7.1(方法工程i)):
3S-カランラクタムからの3S-ポリカランアミドへの重合
300mgの3S-カランラクタム(1.8mmol)、10mgのN-ベンゾイル-3S-カランラクタム(Bz-5、0.036mmol)及び0.5mgのパラフィン中NaH(0.02mmol)を真空ガラス容器中で混合し、2mbarで10分間減圧脱気した。反応容器を180℃の油浴へと移して撹拌した。約20秒後に重合が完了し、ポリマーをゆっくりと室温に冷やして、部分晶質の3S-ポリカランアミドを得た。NMR分析によれば、ホモポリマーはアイソタクチックである。
【0331】
実施例7.1.1(方法工程i)):
3S-カランラクタムからの3S-ポリカランアミドへの重合
300mgの3S-カランラクタム(1.80mmol)、10mgのN-ベンゾイル-3S-カランラクタム(Bz-5、0.036mmol)及び0.5mgのパラフィン中NaH(0.01mmol)を真空ガラス容器中で混合し、2mbarで10分間減圧脱気した。反応容器を180℃の油浴へと移して撹拌した。反応混合物をその温度で5分間保持した後に、ゆっくりと室温に冷やした。得られたポリマーを細砕した。残留モノマー及び可溶性オリゴマーを、水及びエタノールからの混合物(1:1)中で還流することによって除去した。部分晶質の3S-ポリカランアミドが得られた。NMR分析によれば、ホモポリマーはアイソタクチックである。
【0332】
DSC方法(3.1)
Tg(中点):115℃
Tm(範囲):260~290℃
Mn:10.5kDa(GPC方法4.2)
Mw:16.8kDa(GPC方法4.2)
PD:1.6
1H:
図11
13C:
図12
COSY:
図13
HSQC:
図14
DEPT:
図15
DSC:
図25
GPC:
図51
結晶性:部分晶質
【0333】
実施例7.1.2(方法工程i)):
3S-カランラクタムからの3S-ポリカランアミドへの重合
300mgの3S-カランラクタム(1.8mmol)、5.4mgのN-ベンゾイル-3S-カランラクタム(Bz-5、0.02mmol)及び3.5mgのパラフィン中NaH(0.09mmol)を真空ガラス容器中で混合し、2mbarで10分間減圧脱気した。反応容器を180℃の油浴へと移して撹拌した。反応混合物をその温度で1.5時間保持した後に、空気中で室温に冷やした。得られたポリマーを細砕した。残留モノマー及び可溶性オリゴマーを、水及びエタノールからの混合物(1:1)中で還流することによって除去した。部分晶質の3S-ポリカランアミドが得られた。NMR分析によれば、ホモポリマーはアイソタクチックである。
【0334】
DSC方法(3.1)
Tg(中点):115℃
Tm(範囲):250~285℃
Mn:10.2(GPC方法4.2)
Mw:16.2(GPC方法4.2)
PD:1.6
DSC:
図26
GPC:
図52
結晶性:部分晶質
【0335】
実施例7.1.3(方法工程i)):
3S-カランラクタムからの3S-ポリカランアミドへの重合
302mgの3S-カランラクタム(1.81mmol)、9.8mgのN-ベンゾイル-3S-カランラクタム(Bz-5、0.036mmol)及び0.9mgのパラフィン中NaH(0.02mmol)を真空ガラス容器中で混合し、2mbarで10分間減圧脱気した。反応容器を180℃の油浴へと移して撹拌した。反応混合物をその温度で1時間保持した後に、ゆっくりと室温に冷やした。得られたポリマーを細砕した。残留モノマー及び可溶性オリゴマーを、水及びエタノールからの混合物(1:1)中で還流することによって除去した。部分晶質の3S-ポリカランアミドが得られた。NMR分析によれば、ホモポリマーはアイソタクチックである。
【0336】
DSC方法3.1
Tg(中点):115℃
Tm(範囲):260~290℃
Mn:9.3kDa(GPC方法4.2)
Mw:14.5kDa(GPC方法4.2)
PD:1.6
DSC:
図27
GPC:
図53
結晶性:部分晶質
【0337】
実施例7.1.4(方法工程i)):
3S-カランラクタムからの3S-ポリカランアミドへの重合
305mgの3S-カランラクタム(1.84mmol)、10.7mgのN-ベンゾイル-3S-カランラクタム(Bz-5、0.039mmol)及び1.6mgのパラフィン中NaH(0.04mmol)を真空ガラス容器中で混合し、2mbarで10分間減圧脱気した。反応容器を180℃の油浴へと移して撹拌した。反応混合物をその温度で1時間保持した後に、ゆっくりと室温に冷やした。得られたポリマーを細砕した。残留モノマー及び可溶性オリゴマーを、水及びエタノールからの混合物(1:1)中で還流することによって除去した。部分晶質の3S-ポリカランアミドが得られた。NMR分析によれば、ホモポリマーはアイソタクチックである。
【0338】
DSC方法3.1
Tg(中点):113℃
Tm(範囲):255~285℃
Mn:9.1kDa(GPC方法4.2)
Mw:14.1kDa(GPC方法4.2)
PD:1.3
DSC:
図28
GPC:
図54
結晶性:部分晶質
【0339】
実施例7.1.5(方法工程i)):
3S-カランラクタムからの3S-ポリカランアミドへの重合
308mgの3S-カランラクタム(1.84mmol)、20.7mgのN-ベンゾイル-3S-カランラクタム(Bz-5、0.076mmol)及び4.0mgのパラフィン中NaH(0.1mmol)を真空ガラス容器中で混合し、2mbarで10分間減圧脱気した。反応容器を180℃の油浴へと移して撹拌した。反応混合物をその温度で1時間保持した後に、ゆっくりと室温に冷やした。得られたポリマーを細砕した。残留モノマー及び可溶性オリゴマーを、水及びエタノールからの混合物(1:1)中で還流することによって除去した。部分晶質の3S-ポリカランアミドが得られた。NMR分析によれば、ホモポリマーはアイソタクチックである。
【0340】
DSC方法3.1
Tg(中点):111℃
Tm(範囲):245~285℃
Mn:6.7kDa(GPC方法4.2)
Mw:9.5kDa(GPC方法4.2)
PD:1.4
DSC:
図29
GPC:
図55
結晶性:部分晶質
【0341】
実施例7.1.6(方法工程i)):
3S-カランラクタムからの3S-ポリカランアミドへの重合
300mgの3S-カランラクタム(1.80mmol)、30.0mgのN-ベンゾイル-3S-カランラクタム(Bz-5、0.11mmol)及び3.9mgのパラフィン中NaH(0.10mmol)を真空ガラス容器中で混合し、2mbarで10分間減圧脱気した。反応容器を180℃の油浴へと移して撹拌した。反応混合物をその温度で1時間保持した後に、ゆっくりと室温に冷やした。得られたポリマーを細砕した。残留モノマー及び可溶性オリゴマーを、水及びエタノールからの混合物(1:1)中で還流することによって除去した。部分晶質の3S-ポリカランアミドが得られた。NMR分析によれば、ホモポリマーはアイソタクチックである。
【0342】
DSC方法3.1
Tg(中点):105
Tm(範囲):240~280℃
Mn:5.9kDa(GPC方法4.2)
Mw:8.3kDa(GPC方法4.2)
PD:1.4
DSC:
図30
GPC:
図56
結晶性:部分晶質
【0343】
実施例7.1.7(方法工程i)):
3S-カランラクタムからの3S-ポリカランアミドへの重合
300mgの3S-カランラクタム(1.8mmol)、4.9mgのN-ベンゾイル-3S-カランラクタム(Bz-5、0.02mmol)及び4.0mgのパラフィン中NaH(0.1mmol)を真空ガラス容器中で混合し、2mbarで10分間減圧脱気した。反応容器を220℃の油浴へと移して撹拌した。反応混合物をその温度で1時間保持した後に、ゆっくりと室温に冷やした。得られたポリマーを細砕した。残留モノマー及び可溶性オリゴマーを、水及びエタノールからの混合物(1:1)中で還流することによって除去した。部分晶質の3S-ポリカランアミドが得られた。NMR分析によれば、ホモポリマーはアイソタクチックである。
【0344】
DSC方法3.1
Tg(中点):112℃
Tm(範囲):240~275℃
Mn:7.5kDa(GPC方法4.2)
Mw:9.6kDa(GPC方法4.2)
PD:1.3
DSC:
図31
GPC:
図57
結晶性:部分晶質
【0345】
実施例7.1.8(方法工程i)):
3S-カランラクタムからの3S-ポリカランアミドへの重合
300mgの3S-カランラクタム(1.8mmol)、10.6mgのN-ベンゾイル-3S-カランラクタム(Bz-5、0.04mmol)及び3.8mgのパラフィン中NaH(0.1mmol)を真空ガラス容器中で混合し、2mbarで10分間減圧脱気した。反応容器を220℃の油浴へと移して撹拌した。反応混合物をその温度で1時間保持した後に、ゆっくりと室温に冷やした。得られたポリマーを細砕した。残留モノマー及び可溶性オリゴマーを、水及びエタノールからの混合物(1:1)中で還流することによって除去した。部分晶質の3S-ポリカランアミドが得られた。NMR分析によれば、ホモポリマーはアイソタクチックである。
【0346】
DSC方法3.1
Tg(中点):112℃
Tm(範囲):230~270℃
Mn:7.1kDa(GPC方法4.2)
Mw:9.0kDa(GPC方法4.2)
PD:1.3
DSC:
図32
GPC:
図58
結晶性:部分晶質
【0347】
実施例7.1.9(方法工程i)):
3S-カランラクタムからの3S-ポリカランアミドへの重合
309mgの3S-カランラクタム(1.85mmol)、19.6mgのN-ベンゾイル-3S-カランラクタム(Bz-5、0.07mmol)及び4.0mgのパラフィン中NaH(0.1mmol)を真空ガラス容器中で混合し、2mbarで10分間減圧脱気した。反応容器を220℃の油浴へと移して撹拌した。反応混合物をその温度で1時間保持した後に、ゆっくりと室温に冷やした。得られたポリマーを細砕した。残留モノマー及び可溶性オリゴマーを、水及びエタノールからの混合物(1:1)中で還流することによって除去した。部分晶質の3S-ポリカランアミドが得られた。NMR分析によれば、ホモポリマーはアイソタクチックである。
【0348】
DSC方法3.1
Tg(中点):110℃
Tm(範囲):240~280
Mn:6.0kDa(GPC方法4.2)
Mw:7.5kDa(GPC方法4.2)
PD:1.3
DSC:
図33
GPC:
図59
結晶性:部分晶質
【0349】
実施例7.1.10(方法工程i)):
3S-カランラクタムからの3S-ポリカランアミドへの重合
300mgの3S-カランラクタム(1.83mmol)、30.0mgのN-ベンゾイル-3S-カランラクタム(Bz-5、0.11mmol)及び3.8mgのパラフィン中NaH(0.1mmol)を真空ガラス容器中で混合し、2mbarで10分間減圧脱気した。反応容器を220℃の油浴へと移して撹拌した。反応混合物をその温度で1時間保持した後に、ゆっくりと室温に冷やした。得られたポリマーを細砕した。残留モノマー及び可溶性オリゴマーを、水及びエタノールからの混合物(1:1)中で還流することによって除去した。部分晶質の3S-ポリカランアミドが得られた。NMR分析によれば、ホモポリマーはアイソタクチックである。
【0350】
DSC方法3.1
Tg(中点):109℃
Tm(範囲):230~270
Mn:5.6kDa(GPC方法4.2)
Mw:7.3kDa(GPC方法4.2)
PD:1.3
DSC:
図34
GPC:
図60
結晶性:部分晶質
【0351】
実施例7.1.11(方法工程i)):
3S-カランラクタムからの3S-ポリカランアミドへの重合
523mgの3S-カランラクタム(3.1mmol)、10.4mgのN-ベンゾイル-3S-カランラクタム(Bz-5、0.038mmol)及び3.7mgのパラフィン中NaH(0.09mmol)をガラス反応容器中で窒素下に加熱ブロック内で190℃で1時間重合させた。重合体をヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)中に直接溶解させ、GPC及びNMR分析のために試料を採取した。
【0352】
Mn:8.6kDa(GPC方法4.2)
Mw:16.9kDa(GPC方法4.2)
PD:2.0
GPC:
図61
【0353】
実施例7.1.12(方法工程i)):
3S-カランラクタムからの3S-ポリカランアミドへの重合
500mgの3R-カランラクタム(3.0mmol)を不活性雰囲気下で190℃でフラスコ中で撹拌しながら溶融させた。次いで、5.0mgのパラフィン中NaH(0.13mmol)及び4.5μLの無水酢酸(0.048mmol)を添加した。反応混合物が凝固した後に、ゆっくりと室温に冷やした。得られたポリマーを細砕した。残留モノマー及び可溶性オリゴマーを、水及びエタノールからの混合物(1:1)中で還流することによって除去した。非晶質のポリ-3R-カランアミドが得られた。NMR分析によれば、ホモポリマーはアイソタクチックである。
【0354】
Mn:1.4×10
4g/mol(GPC方法4.1)
Mw:65.2×10
5g/mol(GPC方法4.1)
Tg:110~120℃(DSC方法3)
Tm:260~290℃(DSC方法3)
GPC:
図78
DSC:
図81
結晶性:部分晶質
【0355】
実施例7.2(方法工程i)):
3R-カランラクタムからの3R-ポリカランアミドへの重合
300mgの3R-カランラクタム(1.8mmol)、10mgのN-ベンゾイル-3R-カランラクタム(0.036mmol)及び0.5mgのパラフィン中NaH(0.02mmol)を真空容器中で混合し、2mbarで10分間減圧脱気した。反応容器を170℃の高温の油浴へと移して撹拌した。約20秒後に重合が完了し、ポリマーをゆっくりと室温に冷やして、非晶質の3R-ポリカランアミドを得た。NMR分析によれば、ホモポリマーはアイソタクチックである。
【0356】
実施例7.2.1(方法工程i)):
3R-カランラクタムからの3R-ポリカランアミドへの重合
500mgの3R-カランラクタム(3.0mmol)を不活性雰囲気下で170℃でフラスコ中で撹拌しながら溶融させた。次いで、3.0mgのパラフィン中NaH(0.08mmol)及び1.5μLの無水酢酸(0.016mmol)を添加した。反応混合物をその温度で20秒間保持した後に、ゆっくりと室温に冷やした。得られたポリマーを細砕した。残留モノマー及び可溶性オリゴマーを、水及びエタノールからの混合物(1:1)中で還流することによって除去した。非晶質のポリ-3R-カランアミドが得られた。NMR分析によれば、ホモポリマーはアイソタクチックである。
【0357】
Tg(中点):122℃(DSC方法3.2)
Tm(範囲):存在しない(DSC方法3.2)
Tg:110~120℃(DSC方法3)
Tm(範囲):存在しない(DSC方法3)
Mn:1.1×10
5g/mol(GPC方法4.1)
Mw:3.0×10
5g/mol(GPC方法4.1)
Mn:33.3kDa(GPC方法4.2)
Mw:64.7kDa(GPC方法4.2)
PD:1.9
1H:
図16
13C:
図17
COSY:
図18
HSQC:
図19
DEPT:
図20
DSC:
図82(DSC方法3)
DSC:
図35(DSC方法3.2)
GPC:
図62
GPC:
図79
結晶性:非晶質
【0358】
実施例7.2.2(方法工程i)):
3R-カランラクタムからの3R-ポリカランアミドへの重合
500mgの3R-カランラクタム(3.0mmol)を不活性雰囲気下で170℃でフラスコ中で撹拌しながら溶融させた。次いで、5.0mgのパラフィン中NaH(0.13mmol)及び4.5μLの無水酢酸(0.05mmol)を添加した。反応混合物をその温度で30分間保持した後に、ゆっくりと室温に冷やした。得られたポリマーを細砕した。残留モノマー及び可溶性オリゴマーを、水及びエタノールからの混合物(1:1)中で還流することによって除去した。非晶質のポリ-3R-カランアミドが得られた。NMR分析によれば、ホモポリマーはアイソタクチックである。
【0359】
Mn:29.5kDa(GPC方法4.2)
Mw:55.2kDa(GPC方法4.2)
PD:1.9
GPC:
図63
【0360】
実施例7.2.3(方法工程i)):
3R-カランラクタムからの3R-ポリカランアミドへの重合
1.0gの3R-カランラクタム(6.0mmol)、14.6mgのカリウム(0.37mmol)及び20μLの塩化ベンゾイル(0.17mmol)を不活性雰囲気下で150℃でフラスコ中で撹拌しながら重合させた。反応混合物をその温度で6時間保持した後に、ゆっくりと室温に冷やした。得られたポリマーを細砕した。残留モノマー及び可溶性オリゴマーを、水及びエタノールからの混合物(1:1)中で還流することによって除去した。非晶質のポリ-3R-カランアミドが得られた。NMR分析によれば、ホモポリマーはアイソタクチックである。
【0361】
Mn:22.4kDa(GPC方法4.2)
Mw:38.1kDa(GPC方法4.2)
PD:1.7
GPC:
図64
【0362】
実施例7.2.4(方法工程i)):
3R-カランラクタムからの3R-ポリカランアミドへの重合
511mgの3R-カランラクタム(3.1mmol)、0.6mgのN-ベンゾイル-3S-カランラクタム(Bz-5、0.002mmol)及び3.5mgのパラフィン中NaH(0.09mmol)をガラス反応容器中で窒素下に加熱ブロック内で190℃で1時間重合させた。重合体をヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)中に直接溶解させ、GPC及びNMR分析のために試料を採取した。非晶質のポリ-3R-カランアミドが得られた。NMR分析によれば、ホモポリマーはアイソタクチックである。
【0363】
DSC方法3.2
Tg(中点):119℃
Tm(範囲):存在しない
Mn:19.9kDa(GPC方法4.2)
Mw:32.9kDa(GPC方法4.2)
PD:1.7
DSC:
図36
GPC:
図65
結晶性:非晶質
【0364】
実施例7.2.5(方法工程i)):
3R-カランラクタムからの3R-ポリカランアミドへの重合
506mgの3R-カランラクタム(3.0mmol)、1.03mgのN-ベンゾイル-3S-カランラクタム(Bz-5、0.004mmol)及び3.3mgのパラフィン中NaH(0.08mmol)をガラス反応容器中で窒素下に加熱ブロック内で190℃で1時間重合させた。重合体をヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)中に直接溶解させ、GPC及びNMR分析のために試料を採取した。非晶質のポリ-3R-カランアミドが得られた。NMR分析によれば、ホモポリマーはアイソタクチックである。
【0365】
DSC方法3.2
Tg(中点):120℃
Tm(範囲):存在しない
Mn:20.2kDa(GPC方法4.2)
Mw:43.8kDa(GPC方法4.2)
PD:2.2
DSC:
図37
GPC:
図66
結晶性:非晶質
【0366】
実施例7.2.6(方法工程i)):
3R-カランラクタムからの3R-ポリカランアミドへの重合
505mgの3R-カランラクタム(3.0mmol)、2.45mgのN-ベンゾイル-3S-カランラクタム(Bz-5、0.009mmol)及び3.3mgのパラフィン中NaH(0.08mmol)をガラス反応容器中で窒素下に加熱ブロック内で190℃で1時間重合させた。重合体をヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)中に直接溶解させ、GPC及びNMR分析のために試料を採取した。非晶質のポリ-3R-カランアミドが得られた。NMR分析によれば、ホモポリマーはアイソタクチックである。
【0367】
DSC方法3.2
Tg(中点):117℃
Tm(範囲):存在しない
Mn:19.6kDa(GPC方法4.2)
Mw:45.6kDa(GPC方法4.2)
PD:2.3
DSC:
図38
GPC:
図67
結晶性:非晶質
【0368】
実施例7.2.7(方法工程i)):
3R-カランラクタムからの3R-ポリカランアミドへの重合
508mgの3R-カランラクタム(3.0mmol)、5.13mgのN-ベンゾイル-3S-カランラクタム(Bz-5、0.02mmol)及び3.2mgのパラフィン中NaH(0.08mmol)をガラス反応容器中で窒素下に加熱ブロック内で190℃で1時間重合させた。重合体をヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)中に直接溶解させ、GPC及びNMR分析のために試料を採取した。非晶質のポリ-3R-カランアミドが得られた。NMR分析によれば、ホモポリマーはアイソタクチックである。
【0369】
DSC方法3.2
Tg(中点):116℃
Tm(範囲):存在しない
Mn:15.2kDa(GPC方法4.2)
Mw:36.3kDa(GPC方法4.2)
PD:2.4
DSC:
図39
GPC:
図68
結晶性:非晶質
【0370】
実施例7.2.8(方法工程i)):
3R-カランラクタムからの3R-ポリカランアミドへの重合
513mgの3R-カランラクタム(3.1mmol)、7.50mgのN-ベンゾイル-3S-カランラクタム(Bz-5、0.03mmol)及び3.5mgのパラフィン中NaH(0.09mmol)をガラス反応容器中で窒素下に加熱ブロック内で190℃で1時間重合させた。重合体をヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)中に直接溶解させ、GPC及びNMR分析のために試料を採取した。非晶質のポリ-3R-カランアミドが得られた。NMR分析によれば、ホモポリマーはアイソタクチックである。
【0371】
DSC方法3.2
Tg(中点):115℃
Tm(範囲):存在しない
Mn:13.5kDa(GPC方法4.2)
Mw:31.8kDa(GPC方法4.2)
PD:2.3
DSC:
図40
GPC:
図69
結晶性:非晶質
【0372】
実施例7.2.9(方法工程i)):
3R-カランラクタムからの3R-ポリカランアミドへの重合
512mgの3R-カランラクタム(3.1mmol)、10.2mgのN-ベンゾイル-3S-カランラクタム(Bz-5、0.04mmol)及び3.4mgのパラフィン中NaH(0.09mmol)をガラス反応容器中で窒素下に加熱ブロック内で190℃で1時間重合させた。重合体をヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)中に直接溶解させ、GPC及びNMR分析のために試料を採取した。非晶質のポリ-3R-カランアミドが得られた。NMR分析によれば、ホモポリマーはアイソタクチックである。
【0373】
DSC方法3.2
Tg(中点):117℃
Tm(範囲):存在しない
Mn:13.1kDa(GPC方法4.2)
Mw:29.7kDa(GPC方法4.2)
PD:2.3
DSC:
図41
GPC:
図70
結晶性:非晶質
【0374】
実施例7.2.10(方法工程i)):
3R-カランラクタムからの3R-ポリカランアミドへの重合
900mgの3R-カランラクタム(5.39mmol)、5.5mgのN-ベンゾイル-3S-カランラクタム(Bz-5、0.02mmol)及び7.5mgのパラフィン中NaH(0.19mmol)を真空ガラス容器中で混合し、2mbarで10分間減圧脱気した。反応容器を170℃の油浴へと移して撹拌した。反応混合物をその温度で30分間保持した後に、ゆっくりと室温に冷やした。得られたポリマーを細砕した。残留モノマー及び可溶性オリゴマーを、水及びエタノールからの混合物(1:1)中で還流することによって除去した。非晶質のポリ-3R-カランアミドが得られた。NMR分析によれば、ホモポリマーはアイソタクチックである。
【0375】
DSC方法3.2
Tg(中点):112℃
Tm(範囲):存在しない
Mn:24.6kDa(GPC方法4.2)
Mw:55.5kDa(GPC方法4.2)
PD:2.3
DSC:
図42
GPC:
図71
結晶性:非晶質
【0376】
実施例7.3(方法工程i)):
3S-カランラクタムと一緒に3R-カランラクタムからの3S/3R-コ-ポリカランアミドへの重合
150mgの3R-カランラクタム(0.9mmol)、150mgの3S-カランラクタム(0.9mmol)、10mgのN-ベンゾイル-3S-カランラクタム(0.036mmol)及び0.5mgのパラフィン中NaH(0.02mmol)を真空容器中で混合し、2mbarで10分間減圧脱気した。反応容器を180℃の高温の油浴へと移して撹拌した。約20秒後に重合が完了し、ポリマーをゆっくりと室温に冷やして、非晶質の3S/3R-ポリカランアミドを得た。
【0377】
実施例7.3.1(方法工程i)):
3S-カランラクタム及び3R-カランラクタムからの3S-カランラクタム-3R-カランラクタム-コ-ポリカランアミドへの重合
250mgの3R-カランラクタム(1.5mmol)及び250mgの3S-カランラクタム(1.5mmol)を不活性雰囲気下で190℃でフラスコ中で撹拌しながら溶融させた。次いで、5.0mgのパラフィン中NaH(0.13mmol)及び4.5μLの無水酢酸(0.048mmol)を添加した。反応混合物をその温度で30分間保持した後に、ゆっくりと室温に冷やした。得られたポリマーを細砕した。残留モノマー及び可溶性オリゴマーを、水及びエタノールからの混合物(1:1)中で還流することによって除去した。非晶質の3S-カランラクタム-3R-カランラクタム-ポリカランアミドが得られた。
【0378】
Tg(中点):112℃(DSC方法3.2)
Tm(範囲):存在しない(DSC方法3.2)
Tg:110~120℃(DSC方法3)
Tm(範囲):存在しない(DSC方法3)
Mn:3.2×10
4(GPC方法4.1)
Mw:1.1×10
5(GPC方法4.1)
1H:
図21
13C:
図22
DSC:
図43
DSC:
図83
GPC:
図80
結晶性:非晶質
【0379】
実施例7.3.2(方法工程i)):
3S-カランラクタム及び3R-カランラクタムからの3S-カランラクタム-3R-カランラクタム-コ-ポリカランアミドへの重合
750mgの3S-カランラクタム(5.5mmol)、362mgのカプロラクタム(0.9mmol)、20.2mgのN-ベンゾイル-3S-カランラクタム(Bz-5、0.07mmol)及び8.0mgのパラフィン中NaH(0.20mmol)をガラス反応容器中で窒素下に加熱ブロック内で190℃で1時間重合させた。得られたポリマーを細砕した。残留モノマー及び可溶性オリゴマーを、水及びエタノールからの混合物(1:1)中で還流することによって除去した。部分晶質のポリ-3S-カランラクタム-3R-カランラクタム-コポリアミドが得られた。
【0380】
DSC方法3.2
Mn:10.4kDa(GPC方法4.2)
Mw:15.0kDa(GPC方法4.2)
PD:1.4
Tg(中点):109℃
Tm(範囲):210~250℃
DSC:
図44
GPC:
図72
結晶性:部分晶質
【0381】
実施例8(方法工程i2)):
3S-カランラクタムとラウロラクタムとの共重合
5.00gのラウロラクタム(26mmol)を190℃で溶融させ、そこに2.50gの3S-カランラクタム(15mmol)を溶解させた。次いで、75mgのN-ベンゾイル-3S-カランラクタム(IUPAC:(1R,5S,7S)-4-ベンゾイル-5,8,8-トリメチル-4-アザビシクロ[5.1.0]オクタン-3-オン)及び50mgのパラフィンワックス中NaH(60%)を添加した。重合を行った後に、190℃の温度を30分保持して、その後に、積極的な冷却をせずに室温に冷やした。得られたポリマーを細砕し、エタノール-水混合物(1:1)中で還流温度で24h撹拌した。濾過後に、得られたポリマーを120℃で16h乾燥させた。
【0382】
ガラス転移点(Tg)範囲:40~50℃
融点(Tm)範囲:確認できない
結晶性:非晶質
【0383】
実施例8.1.1(方法工程i2)):
3S-カランラクタム及びラウロラクタムからの3S-カランラクタム-ラウロラクタム-コ-ポリカランアミドへの重合
1.0gのラウロラクタム(5.0mmol)、500mgの3S-カランラクタム(3.0mmol)、50mgのN-ベンゾイル-3S-カランラクタム(Bz-5、0.18mmol)及び18mgのパラフィン中NaH(0.45mmol)をガラス反応容器中で窒素下に油浴内で190℃で1時間重合させた。残留モノマー及びオリゴマーを、HFIPとエタノールからのポリマーの沈殿によって分離した。非晶質の3S-カランラクタム-ラウロラクタム-コ-ポリカランアミドが得られた。
【0384】
DSC方法3.2
Tg(中点):46℃
Tm(範囲):存在しない
1H:
図23
Mn:12.5kDa(GPC方法4.2)
Mw:24.5kDa(GPC方法4.2)
PD:2.0
DSC:
図45
GPC:
図73
結晶性:非晶質
【0385】
実施例8.1.2(方法工程i2)):
3S-カランラクタム及びラウロラクタムからの3S-カランラクタム-ラウロラクタム-コ-ポリカランアミドへの重合
10gのラウロラクタム(50mmol)、5gの3S-カランラクタム(30mmol)、54mgのN-ベンゾイル-3S-カランラクタム(Bz-5、0.2mmol)及び20mgのパラフィン中NaH(0.50mmol)をガラス反応容器中で窒素下に油浴内で190℃で1時間重合させた。残留モノマー及びオリゴマーを、HFIPとエタノールからのポリマーの沈殿によって分離した。非晶質の3S-カランラクタム-ラウロラクタム-コポリカランアミドが得られた。
【0386】
DSC方法3.2
Mn:30.2kDa(GPC方法4.2)
Mw:60.1kDa(GPC方法4.2)
PD:2.0
Tg(中点):49℃
Tm(範囲):存在しない
DSC:
図46
GPC:
図74
結晶性:非晶質
【0387】
実施例8.1.3(方法工程i2)):
3S-カランラクタム及びラウロラクタムからの3S-カランラクタム-ラウロラクタム-コ-ポリカランアミドへの重合
411mgの3S-カランラクタム(2.5mmol)、486mgのラウロラクタム(2.5mmol)、20.0mgのN-ベンゾイル-3S-カランラクタム(Bz-5、0.07mmol)及び8.0mgのパラフィン中NaH(0.20mmol)をガラス反応容器中で窒素下に加熱ブロック内で190℃で1時間重合させた。得られたポリマーを細砕した。残留モノマー及び可溶性オリゴマーを、水及びエタノールからの混合物(1:1)中で還流することによって除去した。非晶質の3S-カランラクタム-ラウロラクタム-コポリアミドが得られた。
【0388】
DSC方法3.2
Mn:10.0kDa(GPC方法4.2)
Mw:15.6kDa(GPC方法4.2)
PD:1.6
Tg(中点):55℃
Tm(範囲):存在しない
DSC:
図47
GPC:
図75
結晶性:非晶質
【0389】
実施例8.2.1(方法工程i2)):
3S-カランラクタム及びカプロラクタムからの3S-カランラクタム-カプロラクタム-コ-ポリカランアミドへの重合
5.0gのカプロラクタム(44mmol)、2.5gの3S-カランラクタム(15mmol)、75mgのN-ベンゾイル-3S-カランラクタム(Bz-5、0.28mmol)及び50mgのパラフィン中NaH(1.3mmol)をガラス反応容器中で窒素下に油浴内で190℃で1時間重合させた。残留モノマー及びオリゴマーを、HFIPとエタノールからのポリマーの沈殿によって分離した。部分晶質の3S-カランラクタム-カプロラクタム-コポリカランアミドが得られた。
【0390】
DSC方法3.2
Mn:15.2kDa(GPC方法4.2)
Mw:31.1kDa(GPC方法4.2)
PD:2.0
Tg(中点):62℃
Tm(範囲):160~190℃
1H:
図24
DSC:
図48
GPC:
図76
結晶性:部分晶質
【0391】
実施例8.2.2(方法工程i2)):
3S-カランラクタム及びカプロラクタムからの3S-カランラクタム-カプロラクタム-コ-ポリカランアミドへの重合
537mgの3S-カランラクタム(3.2mmol)、362mgのカプロラクタム(3.2mmol)、20.1mgのN-ベンゾイル-3S-カランラクタム(Bz-5、0.07mmol)及び7.9mgのパラフィン中NaH(0.20mmol)をガラス反応容器中で窒素下に加熱ブロック内で190℃で1時間重合させた。得られたポリマーを細砕した。残留モノマー及び可溶性オリゴマーを、水及びエタノールからの混合物(1:1)中で還流することによって除去した。非晶質の3S-カランラクタム-カプロラクタム-コポリカランアミドが得られた。
【0392】
DSC方法3.2
Mn:12.1kDa(GPC方法4.2)
Mw:17.3kDa(GPC方法4.2)
PD:1.4
Tg(中点):88℃
Tm(範囲):存在しない
DSC:
図49
GPC:
図77
結晶性:非晶質
【0393】
実施例8.2.3(方法工程i2)):
3S-カランラクタム及びカプロラクタムからの3S-カランラクタム-カプロラクタム-コ-ポリカランアミドへの重合
250mgの3S-カランラクタム(1.5mmol)、57mgのカプロラクタム(0.5mmol)、10mgのN-ベンゾイル-3S-カランラクタム(Bz-5、0.04mmol)及び1.5mgのパラフィン中NaH(0.04mmol)をガラス反応容器中で窒素下に加熱ブロック内で175℃で1時間重合させた。得られたポリマーを細砕した。残留モノマー及びオリゴマーを、HFIPとエタノールからのポリマーの沈殿によって分離した。非晶質のポリ-3S-カランラクタム-カプロラクタム-コポリカランアミドが得られた。
【0394】
DSC方法3.2
Tg(中点):99℃
Tm(範囲):存在しない
DSC:
図50
結晶性:非晶質
【0395】
実施例9(方法工程i2)):
3S-カランラクタムとカプロラクタムとの共重合
5.00gのカプロラクタム(44mmol)を190℃で溶融させ、そこに2.50gの3S-カランラクタム(15mmol)を溶解させた。次いで、75mgのN-ベンゾイル-3S-カランラクタム(IUPAC:(1R,5S,7S)-4-ベンゾイル-5,8,8-トリメチル-4-アザビシクロ[5.1.0]オクタン-3-オン)及び50mgのパラフィンワックス中NaH(60%)を添加した。重合を行った後に、190℃の温度を30分保持して、その後に、積極的な冷却をせずに室温に冷やした。得られたポリマーを細砕し、エタノール-水混合物(1:1)中で還流温度で24h撹拌した。濾過後に、得られたポリマーを120℃で16h乾燥させた。
【0396】
ガラス転移点(Tg)範囲:50~60℃
融点(Tm)範囲:160~200℃
結晶性:部分晶質
【0397】
実施例10:3R-ポリアミドの吸水性
PA6をアニオン開環重合によって製造した(2.8mmolのカプロラクタム、0.1mmolのパラフィンワックス中NaH(60%)、0.05mmolのAc2O、180℃)。残留モノマーを水/エタノール中での還流によって除去した。30~42mgのPA6(3つの試料)及びポリ-3R-カランアミドの2つの試料をDSC(DSC分析法(3)に記載したのと同じ装置)において230℃で3分間温度調節し、こうして同じ形状のポリアミドブロックを作製した。質量を、OHAUS Discovery DV215CD天びんにおいて0.01mgの最大誤差で測定した。次いで試料を、それぞれ水中で25℃で3日間撹拌した。その後に試料を風乾させ、30分後及び4時間半後に秤量した。引き続き、試料を80℃で3時間乾燥させ、秤量した。この時間はポリ-3R-カランアミド試料が完全に乾燥するのに十分であった。PA6の吸水性が全体的により高いこと及びPA6の乾燥時間がより長いことは、脂肪族置換されたポリ-3R-カランアミドの吸水性がPA6と比較して一般的により低いことを示唆している。
【0398】
【0399】
実施例11.1:PA6及びPA12との比較における3R-ポリアミドの透明性の定性的測定
3R-ポリアミドをHFIP中に溶解させ(25mg/mL)、PTFEシート上に慎重に滴下することによって塗布した。溶剤を蒸発させ、85℃で3時間乾燥させた後に、不均一な蒸発及び空気の混入による欠陥を伴う、PA6及びPA12と比較して透き通った(透明な)フィルムが得られた。
【0400】
実施例11.2:PA6及びPA12との比較における非晶質の3S-カランラクタム-ラウロラクタム-コ-ポリカランアミドの透明性の定性的測定
非晶質の3S-カランラクタム-ラウロラクタム-コ-ポリカランアミドをHFIP中に溶解させ(25mg/mL)、結晶皿に移した(直径9cm)。溶剤を蒸発させ、85℃で3時間乾燥させた後に、不均一な蒸発及び空気の混入による欠陥を伴う、PA6及びPA12と比較して透き通った(透明な)フィルムが得られた。
【0401】
実施例11.3:PA6及びPA12との比較における非晶質の3S-カランラクタム-カプロラクタム-コ-ポリカランアミドの透明性の定性的測定
非晶質の3S-カランラクタム-カプロラクタム-コ-ポリカランアミドをHFIP中に溶解させ(25mg/mL)、PTFEシート上に慎重に滴下することによって塗布した。溶剤を蒸発させ、85℃で3時間乾燥させた後に、不均一な蒸発及び空気の混入による欠陥を伴う、PA6及びPA12と比較して透き通った(透明な)フィルムが得られた。
いくつかの実施形態を以下に示す。
項1
式(n個の繰返単位を有する)
【化27】
に従った3S-ポリカランアミド又は式(n個の繰返単位を有する)
【化28】
の3R-ポリカランアミドである、ポリカランアミド。
項2
式(a個、b個及びn個の繰返単位を有する):
【化29】
に従った、3S/3R-コ-ポリカランアミド。
項3
3S-カランラクタム、3R-カランラクタム又は3S-カランラクタム及び3R-カランラクタムからの混合物並びに少なくとも1種の更なるラクタム、とりわけカプロラクタム及び/又はラウロラクタムから製造されているコ-ポリアミドであって、とりわけ以下の式(a個、b個、c個及びn個の繰返単位を有する):
【化30】
(式中、Aはコ-ポリアミド中に組み込まれた更なるラクタムの繰返単位を意味する)
に従った繰返単位の少なくとも1つを含む、コ-ポリアミド。
項4
3S-カラノン及び3R-カラノンからの異性体富化された混合物を3-カランエポキシドから製造するための方法であって、以下の方法工程:
a)3-カランエポキシド及び少なくとも1種の酸性触媒を含む反応混合物を準備する方法工程、
b)反応混合物中の3-カランエポキシドを-40℃~140℃の温度で転位下に転化させる方法工程、並びに
c)(カラノンの総物質量に対して)少なくとも80%の3S-カラノン又は3R-カラノンの異性体比を有する異性体富化された混合物を得る方法工程
を含む、方法。
項5
方法工程a)で準備された反応混合物が、第1の有機溶剤を追加的に含む、項4に記載の方法。
項6
方法工程a)で使用される3-カランエポキシドが、3S-カランエポキシドであり、方法工程c)で得られる異性体富化された混合物が、(カラノン、つまり3R-及び3S-カラノンの総物質量に対して)少なくとも80%の3S-カラノンの異性体比を有する3S-カラノンが富化された混合物である、項4又は5に記載の方法。
項7
方法工程a)で使用される3-カランエポキシドが、3R-カランエポキシドであり、方法工程c)で得られる異性体富化された混合物が、(カラノンの総物質量に対して)少なくとも80%の3R-カラノンの異性体比を有する3R-カラノンが富化された混合物である、項4又は5に記載の方法。
項8
酸性触媒が、方法工程a)及びb)に従った反応混合物において、使用される3-カランエポキシドに対して0.01~2.0mol%の濃度において使用される、項4から7のいずれか一項に記載の方法。
項9
方法工程a)で使用される3-カランエポキシドが、方法工程a1)において3-カレンのエポキシ化によって得られる、項4から8のいずれか一項に記載の方法。
項10
方法工程c)で得られる3S-カラノンが富化された混合物を、少なくとも1種の第2の溶剤中で塩基又は0.7までのpKaを有するブレンステッド酸の存在下で方法工程d)において異性化して、(カラノンの総物質量に対して)少なくとも50%の3R-カラノンの異性体割合を有する3R-カラノンが富化された混合物を得、第2の有機溶剤は、少なくとも0.200の相対極性を有する非プロトン性極性溶剤又は少なくとも0.200の相対極性を有するプロトン性極性溶剤である、項5、6、8及び9のいずれか一項に記載の方法。
項11
方法工程c)又はd)で得られる3S-及び3R-カラノンからの異性体富化された混合物を、更なる方法工程e)において
少なくとも1種の第3の有機溶剤、塩基及びヒドロキシルアミン(HONH
2
・HCl)の存在下で転化させて、
(カランオキシム、つまり3R-及び3S-カランオキシムの総物質量に対して)少なくとも80%の3S-又は3R-カランオキシムの異性体比を有する3-カランオキシムが富化された混合物を得る、項4から10のいずれか一項に記載の方法。
項12
方法工程e)で得られる3-カランオキシムが富化された混合物を、更なる方法工程f)において転位下に転化させて、(カランラクタム、つまり3R-及び3S-カランラクタムの総物質量に対して)少なくとも80%の3S-又は3R-カランラクタムの異性体比を有する3-カランラクタムが富化された混合物を得る、項11に記載の方法。
項13
方法工程f)で得られる3S-カランラクタムが富化された混合物から、方法工程g)において結晶化によって3S-カランラクタムを得る、項12に記載の方法。
項14
方法工程f)で得られる3-カランラクタムが富化された混合物から、方法工程h)において3S-カランラクタムの分離後に3R-カランラクタムを得る、項12又は13に記載の方法。
項15
方法工程i)において、得られる3S-カランラクタム、3R-カランラクタム又は3R-及び3S-カランラクタムからの混合物を重合させて、3S-ポリカランアミド、3R-ポリカランアミド又は3S/3R-コポリカランアミドを得る、項12から14のいずれか一項に記載の方法。
項16
3S-カランラクタムを3-カレンから製造するための方法であって、項13に従って、方法工程a)~c)、e)、f)及びg)、とりわけa1)~c)、e)、f)及びg)を含む、方法において、方法工程a)において、好ましくは3-カレンのエポキシ化によって得られる3S-カランエポキシドを使用し、方法工程c)において、(カラノンの総物質量に対して)少なくとも80%の3S-カラノンの異性体比を有する3S-カラノンが富化された混合物を得、方法工程e)において転化させて、(カランオキシムの総物質量に対して)少なくとも80%の3S-カランオキシムの異性体比を有する3S-カランオキシムが富化された混合物を得、方法工程f)において転化させて、(カランラクタムの総物質量に対して)少なくとも80%の3S-カランラクタムの異性体比を有する3S-カランラクタム-混合物を得、方法工程g)において結晶化によって3S-カランラクタムを得る、方法。
項17
3R-カランラクタムを3-カレンから製造するための方法であって、項14に従って、方法工程a)~h)、好ましくはa1)~h)を含む、方法において、方法工程a)において、好ましくは3-カレンのエポキシ化によって得られる3S-カランエポキシドを使用し、方法工程c)において、(カラノンの総物質量に対して)少なくとも80%の3S-カラノンの異性体比を有する3S-カラノンが富化された混合物を得、これを方法工程d)において異性化させて、(カラノンの総物質量に対して)少なくとも50%の3R-カラノンの異性体割合を有する3R-カラノンが富化された混合物を得、方法工程e)において転化させて、(カランオキシムの総物質量に対して)少なくとも50%の3R-カランオキシムの異性体比を有する3R-カランオキシムが富化された混合物を得、方法工程f)において転化させて、(カランラクタムの総物質量に対して)少なくとも50%の3R-カランラクタムの異性体比を有する3R-カランラクタムが富化された混合物を得、方法工程h)において3S-カランラクタムの分離後に3R-カランラクタムを得る、方法。
項18
とりわけ項11に記載の方法に従って製造された又は製造可能な、式:
【化31】
に従った3S-カランオキシム。
項19
とりわけ項12又は13に記載の方法に従って製造された又は製造可能な、式:
【化32】
に従った3S-カランラクタム。
項20
完全に又は共重合体として又は種々のポリマー若しくはモノマーの混合物の一部として、とりわけ項19に記載の3-カランラクタム又はそれらの開環されたアミノ酸、アミノ酸エステル若しくはアミノ酸誘導体を含む、好ましくは項1、2、3又は19からの式に従ったポリマー、とりわけポリアミド。
項21
項1、2、3及び20のいずれか一項に記載のポリアミドの少なくとも1つ、とりわけ3S-ポリカランアミド、3R-ポリカランアミド又はコ-ポリカランアミドを含む、とりわけそれぞれ少なくとも5、10、15、20、30、40、50、60、70、80、90、95又は99重量%のポリアミドを含む、とりわけこれらのポリアミドの少なくとも1つからなる、プラスチック製品。