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特許7438137ユーザーの流体のサンプルを抽出および採取するためのサンプル採取デバイス、システム、および方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-15
(45)【発行日】2024-02-26
(54)【発明の名称】ユーザーの流体のサンプルを抽出および採取するためのサンプル採取デバイス、システム、および方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/151 20060101AFI20240216BHJP
   G01N 33/48 20060101ALI20240216BHJP
   A61B 5/154 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
A61B5/151 100
G01N33/48 S
A61B5/154 200
【請求項の数】 41
(21)【出願番号】P 2020564072
(86)(22)【出願日】2019-05-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-02
(86)【国際出願番号】 IB2019053986
(87)【国際公開番号】W WO2019220340
(87)【国際公開日】2019-11-21
【審査請求日】2022-04-28
(31)【優先権主張番号】00595/18
(32)【優先日】2018-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CH
(73)【特許権者】
【識別番号】520438903
【氏名又は名称】ループ メディカル エスアー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100145791
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 志麻子
(74)【代理人】
【識別番号】100147762
【弁理士】
【氏名又は名称】藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】ケヴァル,アーサー
【審査官】牧尾 尚能
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-006184(JP,A)
【文献】特表2014-501555(JP,A)
【文献】特表2009-542304(JP,A)
【文献】米国特許第05662127(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0172481(US,A1)
【文献】国際公開第2018/022535(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/06- 5/22
G01N 33/48-33/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザーの流体のサンプルを採取するためのサンプル採取デバイスであって、前記サンプル採取デバイスは、
- 前記サンプルを受け入れるように配置されているサンプルコンテナであって、前記サンプルコンテナは、開放端部を含む、サンプルコンテナと;
- トリガーメカニズムと;
- 前記開放端部を閉じるために前記サンプルコンテナと協働するように配置されているキャップであって、前記キャップは、第1のキャップ位置から第2のキャップ位置へ前記サンプルコンテナの中および/または上を移動させられるように配置されており、前記第1のキャップ位置において、および、前記第2のキャップ位置において、前記キャップは、前記サンプルコンテナと少なくとも部分的に接触しており、前記第1のキャップ位置から前記第2のキャップ位置への前記キャップの移動をガイドするようになっている、キャップと
を含み、
前記キャップは、
- 切開されることとなる前記ユーザーのエリアと接触した状態になるように配置されている採取ウィンドウと;
- 第1の切開メカニズム位置から第2の切開メカニズム位置へ前記トリガーメカニズムによって前記キャップの中を移動可能な切開メカニズムであって、前記移動の間に、前記切開メカニズムは、前記採取ウィンドウにおいて、前記ユーザーの前記エリアを切開するように配置されており、前記ユーザーから前記サンプルを退出させるようになっており、前記サンプルは、前記サンプルコンテナによって受け入れられ、前記第1の切開メカニズム位置から前記第2の切開メカニズム位置への移動の間に、前記キャップは、前記第1のキャップ位置にある、切開メカニズムと;
- 前記サンプルを安全に輸送するために、前記キャップが前記第2のキャップ位置にあるときに前記サンプルコンテナをシールするためのシーリングメカニズムと
を含む、サンプル採取デバイス。
【請求項2】
前記キャップは、第1のキャップ部分および第2のキャップ部分を含み、前記第1のキャップ部分は、前記採取ウィンドウを含み、前記採取ウィンドウは、前記ユーザーと接触した状態になるように配置されている、請求項1に記載のサンプル採取デバイス。
【請求項3】
前記キャップは、開口部を含み、前記採取ウィンドウは、前記開口部の一部を含む、請求項2に記載のサンプル採取デバイス。
【請求項4】
前記第1のキャップ部分の少なくとも一部は、前記サンプルコンテナの中に挿入されている、請求項2または3に記載のサンプル採取デバイス。
【請求項5】
前記第2のキャップ部分は、前記切開メカニズムが前記第2の切開メカニズム位置になるときに前記切開メカニズムを受け入れるためのキャビティーを含み、前記切開メカニズムがこのキャビティーの中に不可逆的におよび安全に後退させられるようになっており、前記切開メカニズムがもはや前記ユーザーを切開することができないようになっている、請求項2から4のいずれか一項に記載のサンプル採取デバイス。
【請求項6】
前記切開メカニズムは、
- カッティングエレメントを含むサポートエレメントと;
- 圧縮位置においてブロックされている弾性エレメントであって、前記弾性エレメントは、前記切開メカニズムがトリガーされると、自由に圧縮解除され、前記圧縮解除は、前記サポートエレメントおよび次いで前記カッティングエレメントを、前記第1の切開メカニズム位置から前記第2の切開メカニズム位置へ移動させる、弾性エレメントと、
を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載のサンプル採取デバイス。
【請求項7】
前記第1の切開メカニズム位置にあるときに、前記カッティングエレメントは、前記サンプルコンテナの中にあり、前記ユーザーおよび/またはオペレーターの安全を確保するようになっている、請求項6に記載のサンプル採取デバイス。
【請求項8】
前記第1の切開メカニズム位置から前記第2の切開メカニズム位置への前記切開メカニズムの前記移動は、切開されることとなる前記ユーザーの前記エリアに対して平行の方向に実施される線形移動である、請求項1から7のいずれか一項に記載のサンプル採取デバイス。
【請求項9】
前記第1の切開メカニズム位置から前記第2の切開メカニズム位置への前記切開メカニズムの前記移動は、円形移動であり、この円形移動の回転軸線は、前記サンプルコンテナの主軸線である、請求項1から7のいずれか一項に記載のサンプル採取デバイス。
【請求項10】
前記切開メカニズムは、
- カッティングエレメントを含むサポートエレメントと;
- 圧縮位置においてブロックされている弾性エレメントであって、前記弾性エレメントは、前記切開メカニズムがトリガーされると、自由に圧縮解除され、前記圧縮解除は、前記サポートエレメントおよび次いで前記カッティングエレメントを、前記第1の切開メカニズム位置から前記第2の切開メカニズム位置へ移動させる、弾性エレメントと、
を含み、
前記サポートエレメントは、突出部を含み、前記突出部は、前記キャップのフィンガーと協働し、前記第1の切開メカニズム位置から前記第2の切開メカニズム位置への前記切開メカニズムの前記移動は、前記切開メカニズムが前記ユーザーの皮膚をカットする間に、前記ユーザーの皮膚に向かう、請求項1から9のいずれか一項に記載のサンプル採取デバイス。
【請求項11】
前記第1のキャップ位置から前記第2のキャップ位置への前記キャップの前記移動は、線形移動であり、前記キャップは、前記線形移動の間に前記サンプルコンテナの上にスライドする、請求項1から10のいずれか一項に記載のサンプル採取デバイス。
【請求項12】
前記第1のキャップ位置から前記第2のキャップ位置への前記キャップの前記移動は、円形移動である、請求項1から10のいずれか一項に記載のサンプル採取デバイス。
【請求項13】
前記サンプル採取デバイスは、吸引パックを含み、前記吸引パックは、前記サンプルコンテナおよび前記キャップを受け入れるように、ならびに、滅菌されるように配置されており、前記吸引パックは、膜を含み、前記膜は、真空が前記吸引パックの中に進入することを可能にする、請求項1から12のいずれか一項に記載のサンプル採取デバイス。
【請求項14】
前記吸引パックは、除去可能な蓋部、とりわけ、非浸透性の除去可能な蓋部を含み、湿分からのバリアを保証し、前記吸引パックの内容物の滅菌を確保するようになっている、請求項13に記載のサンプル採取デバイス。
【請求項15】
前記吸引パックは、少なくとも部分的に透明になっている、請求項13または14に記載のサンプル採取デバイス。
【請求項16】
前記サンプル採取デバイスは、前記吸引パックの内側におよび/または前記吸引パックの上に潤滑剤材料を含み、前記吸引パックと前記ユーザーとの間のシーリングを強化するようになっている、請求項13から15のいずれか一項に記載のサンプル採取デバイス。
【請求項17】
前記切開メカニズムは、
- カッティングエレメントを含むサポートエレメントと;
- 圧縮位置においてブロックされている弾性エレメントであって、前記弾性エレメントは、前記切開メカニズムがトリガーされると、自由に圧縮解除され、前記圧縮解除は、前記サポートエレメントおよび次いで前記カッティングエレメントを、前記第1の切開メカニズム位置から前記第2の切開メカニズム位置へ移動させる、弾性エレメントと、
を含み、
前記トリガーメカニズムは、トリガーエレメントを含み、前記トリガーエレメントは、第1のトリガーエレメント位置から第2のトリガーエレメント位置へ移動させられるように配置されており、前記第1のトリガーエレメント位置では、前記トリガーエレメントは、前記弾性エレメントを、ブロックされた位置に保持しており、前記サポートエレメントを固定された位置に保持しており、前記第2のトリガーエレメント位置では、前記トリガーエレメントは、もはや前記弾性エレメントも前記サポートエレメントも保持していない、請求項6から16のいずれか一項に記載のサンプル採取デバイス。
【請求項18】
前記キャップは、前記トリガーエレメントを含み、前記トリガーエレメントは、前記サポートエレメントの少なくとも一部を取り囲むハーフリングであるか、または、前記キャップの中のタブである、請求項17に記載のサンプル採取デバイス。
【請求項19】
前記トリガーエレメントは、突出部を含み、前記サポートエレメントは、キャビティーを含み、前記キャビティーは、前記突出部を受け入れるように配置されており、前記トリガーエレメントを前記第1のトリガーエレメント位置に保持するようになっている、請求項17または18に記載のサンプル採取デバイス。
【請求項20】
前記キャップは、血液分析装置によって自動的に開けられるように配置されている標準的なキャップである、請求項1から19のいずれか一項に記載のサンプル採取デバイス。
【請求項21】
前記キャップは、第1のキャップ部分および第2のキャップ部分を含み、前記標準的なキャップの前記第2のキャップ部分の直径は、15mmである、請求項20に記載のサンプル採取デバイス。
【請求項22】
前記サンプルコンテナは、血液分析装置の中に進入させられるように配置されているチューブ、とりわけ、標準的なチューブである、請求項1から21のいずれか一項に記載のサンプル採取デバイス。
【請求項23】
前記標準的なチューブの直径は、12mmから16mmの範囲の中に含まれている、請求項22に記載のサンプル採取デバイス。
【請求項24】
前記サンプルコンテナは、少なくとも0.5mlの流体サンプルを受け入れるように配置されている、請求項1から23のいずれか一項に記載のサンプル採取デバイス。
【請求項25】
前記サンプルコンテナは、少なくとも部分的に透明になっている、請求項1から24のいずれか一項に記載のサンプル採取デバイス。
【請求項26】
前記サンプル採取デバイスは、消耗品である、請求項1から25のいずれか一項に記載のサンプル採取デバイス。
【請求項27】
前記サンプルコンテナは、少なくとも0.5mlの流体サンプルを受け入れるように配置されており、
前記サンプルコンテナは、前記流体サンプルと反応する1つまたはいくつかのバイオマーカーパッドを含み、前記流体サンプルの直接的な分析を可能にする、請求項1から26のいずれか一項に記載のサンプル採取デバイス。
【請求項28】
前記キャップは、前記トリガーメカニズムを含み、とりわけ、前記トリガーメカニズムは、少なくとも1つの変形可能なエレメントを含む、請求項1から27のいずれか一項に記載のサンプル採取デバイス。
【請求項29】
前記サンプル採取デバイスは、吸引パックを含み、前記吸引パックは、前記サンプルコンテナおよび前記キャップを受け入れるように、ならびに、滅菌されるように配置されており、前記吸引パックは、膜を含み、前記膜は、真空が前記吸引パックの中に進入することを可能にし、
前記吸引パックは、第1の吸引パックであり、前記サンプル採取デバイスは、第2の吸引パックを含み、前記第1の吸引パックは、キャビティーを含み、前記キャビティーは、前記サンプルコンテナおよび前記キャップを受け入れるように配置されており、第1の厚さを有しており、前記第2の吸引パックは、キャビティーを含み、前記キャビティーは、第2の厚さを有しており、前記第2の厚さは、前記第1の厚さよりも大きくなっており、前記第1の吸引パックは、前記第2の吸引パックによって受け入れられるように配置されており、2つの前記厚さの間の差がチャンバーを生成させるようになっており、前記チャンバーは、製造組立ラインまたは医療施設の中で真空下に設置されるように配置されている、請求項1から28のいずれか一項に記載のサンプル採取デバイス。
【請求項30】
前記第2の吸引パックは、双安定エレメントを含み、前記第1の吸引パックは、穿孔突出部を含み、ユーザーが前記双安定エレメントを活性化させると、前記穿孔突出部は、前記第1の吸引パックの上の膜を穿孔し、それによって、採取チャンバーの中の前記真空を移送する、請求項29に記載のサンプル採取デバイス。
【請求項31】
前記第2の吸引パックは、また、1つまたは複数の孔部を含み、前記1つまたは複数の孔部は、除去可能なキャップによって完全にカバーされている、請求項29に記載のサンプル採取デバイス。
【請求項32】
前記サンプル採取デバイスは、吸引パックを含み、前記吸引パックは、前記サンプルコンテナおよび前記キャップを受け入れるように、ならびに、滅菌されるように配置されており、前記吸引パックは、膜を含み、前記膜は、真空が前記吸引パックの中に進入することを可能にし、
ユーザーに接触して設置されるように配置されている前記吸引パックの一部は、前記ユーザーの形状および/または湾曲にフィットする湾曲を有しており、前記ユーザーと前記吸引パックとの間により良好なシールを確保するようになっている、請求項1から31のいずれか一項に記載のサンプル採取デバイス。
【請求項33】
ユーザーの流体のサンプルを抽出および採取するためのシステムであって、前記システムは、
- 請求項1から32のいずれか一項に記載のサンプル採取デバイスと;
- サンプル抽出デバイスと
を含み、
前記サンプル抽出デバイスは、
- 前記サンプル採取デバイスの少なくとも一部を受け入れるように配置されているポートと;
- 真空チャンバーと;
- 前記真空チャンバーの中に真空を生成させるように配置されている真空生成メカニズムと;
- 前記真空チャンバーを閉じるおよび/もしくは開くように、ならびに/または、前記サンプル採取デバイスを大気圧力に解放するように配置されているバルブと;
- 前記真空チャンバーから前記サンプル採取デバイスへ前記真空を解放するように、および/または、前記サンプル採取デバイスを大気圧力に解放するように、前記バルブに命令するように配置されているバルブ制御メカニズムと
を含む、システム。
【請求項34】
前記サンプル抽出デバイスは、第1の接続手段を含み、前記サンプル採取デバイスは、第2の接続手段を含み、前記サンプル抽出デバイスと前記サンプル採取デバイスとの間の機械的な接続を実施するようになっている、請求項33に記載のシステム。
【請求項35】
前記サンプル抽出デバイスは、通信モジュールおよび電力供給部を含む電子モジュールを含む、請求項33または34に記載のシステム。
【請求項36】
前記サンプル抽出デバイスは、前記サンプルコンテナの中の所定のサンプル体積を検出するための少なくともセンサーを含む、請求項33から35のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項37】
前記サンプル抽出デバイスは、警報メカニズムを含み、前記警報メカニズムは、音響的信号および/または視覚的信号によって、サンプル抽出の終了を前記ユーザーに示す、請求項33から36のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項38】
前記サンプル採取デバイスは、吸引パックを含み、前記吸引パックは、前記サンプルコンテナおよび前記キャップを受け入れるように、ならびに、滅菌されるように配置されており、前記吸引パックは、膜を含み、前記膜は、真空が前記吸引パックの中に進入することを可能にし、
抽出デバイスは、ガスケットを含み、前記ガスケットは、前記膜を含む前記サンプル採取デバイスのエリアと協働する、請求項33から37のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項39】
前記サンプル採取デバイスは、吸引パックを含み、前記吸引パックは、前記サンプルコンテナおよび前記キャップを受け入れるように、ならびに、滅菌されるように配置されており、前記吸引パックは、膜を含み、前記膜は、真空が前記吸引パックの中に進入することを可能にし、
前記サンプル採取デバイスおよび前記サンプル抽出デバイスは、接続されているときに、前記サンプル抽出デバイスの前記バルブが前記サンプル採取デバイスの前記膜に対応して設置されるように配置されており、および/または、前記サンプル抽出デバイスのセンサーが前記サンプル抽出デバイスの前記サンプルコンテナに対応して設置されるように配置されている、請求項33から38のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項40】
前記サンプル抽出デバイスは、消耗品である、請求項33から39のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項41】
前記サンプル採取デバイスおよび前記サンプル抽出デバイスは、単一の消耗品システムを形成する、請求項40に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザーの流体、たとえば、血液、とりわけ、毛細血管血液のサンプルを採取するためのサンプル採取デバイスに関する。また、本発明は、このサンプルを抽出および採取するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
静脈穿刺は、静脈が中空の針によって穿刺され、血液がチューブの中へ採取される、血液採取方法である。この方法は、チューブの中への大量の高品質の血液サンプルの採取を可能にする。いくつかのチューブが、1つの血液サンプリングの間に充填され得る。そのうえ、これらのチューブは、高度に自動化された血液分析器と互換性があり、それは、1日当たり数千のサンプルを分析することが可能である。これらの高いスループット能力は、最小のコストで、高速で臨床グレードの診断に対する高まるニーズに応える。
【0003】
しかし、この方法は、特定の資格および専用のインフラストラクチャーを備えた医療従事者(たとえば、看護師)を必要とする。そのうえ、リスクは、静脈を穿刺することに関連付けられる。静脈が壊れやすい場合、または、行為が適正に実施されない場合には、それは、血腫を結果として生じさせる可能性がある。また、針刺し傷害のリスクも存在しており、それは、血液によって感染する病気に医療従事者をさらす可能性がある。
【0004】
他方では、フィンガープリック方法は、ランセットを使用して指先における皮膚を切開することから構成される。1滴または数滴の毛細血管血液が、キャピラリーチューブまたは専用の分析デバイス(たとえば、マイクロ流体のデバイス、ラボオンチップ、紙ベースの診断ツールなど)の中へ採取され得る。この技法は、高度な訓練を受けた専門家を必要とせず、患者自身によって実施され得るが、100μlを超える血液を採取すること、および、サンプルごとに多くの分析を実施することが非常に困難である。そのうえ、ガラスキャピラリーの中へまたは他のデバイスを通して採取された血液は、中央研究所によって使用される自動分析器によって分析されることができず、自動分析器は、100μlから200μlの最小血液体積が単一のチューブの中へ含有されていることを必要とする。
【0005】
いくつかの場合では、より多くの血液(最大で0.5ml)が、フィンガープリック方法によって採取され得る。しかし、これは、より多くの血液を採取するために、指を押して絞ることを必要とする。強く絞り過ぎることは、溶血(赤血球の損傷)、および、組織細胞間のスペースの中に含有される間質液による血液サンプルの希釈を結果として生じさせる可能性がある。これらの理由のために、および、良好な血液品質を維持するために、フィンガープリックの使用は、一般的に、少量の血液の採取に限定されている。
【0006】
文献の米国特許第6283926号明細書は、診断目的のために血液のサンプルを取得するための方法およびデバイスを説明している。このデバイスは、電源を必要とする真空ポンプと、圧力センサーからの信号に基づいてポンプおよびランセットを駆動するように配置されているマイクロコントローラーとを含む。このデバイスのランセットは、ユーザーの皮膚に対して垂直の方向に移動する。このデバイスは、いくつかの電子部品を含むので複雑である。そのうえ、それは、相対的に小さい血液体積(1μl)を引き出すように配置されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、その分析のための高品質な標準を維持しながら、ユーザーの流体(たとえば、血液)の採取を簡単化するサンプル採取デバイスを提案することである。
【0008】
本発明の別の目的は、それをハンドリングすることによる傷害のリスクを最小化するので、ユーザーまたはオペレーター(たとえば、看護師)にとってより安全なサンプル採取デバイスを提案することである。
【0009】
本発明の別の目的は、採取されたサンプルの汚染のリスクを低減させるサンプル採取デバイスを提案することである。
【0010】
本発明の別の目的は、中央研究所の標準的な血液分析器と互換性があるサンプル採取デバイスを提案することである。
【0011】
本発明の別の目的は、高度な技能訓練を必要とすることなく使用され得る、たとえば、ユーザー(すなわち、患者)自身によって使用され得る、ユーザー流体サンプルを抽出および採取するためのシステムを提案することである。
【0012】
本発明の別の目的は、ユーザーからの最小限のアクションを必要とする、ユーザー流体サンプルを抽出および採取するためのシステムを提案することである。
【0013】
本発明の別の目的は、約0.5mlから2mlの流体、たとえば、1mlの流体を採取することができる、ユーザー流体サンプルを抽出および採取するためのシステムを提案することである。
【0014】
本発明の別の目的は、可能な限り痛みのない、ユーザー流体サンプルを抽出および採取するためのシステムを提案することである。
【0015】
本発明の別の目的は、流体サンプルのクロスコンタミネーションを回避および/または防止する、ユーザー流体サンプルを抽出および採取するためのシステムを提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明によれば、これらの目的は、添付の独立請求項による、ユーザーの流体のサンプルを抽出および採取するためのサンプル採取デバイス、システム、および方法によって実現される。
【0017】
本発明は、例として与えられて図によって図示されている実施形態の説明の助けによって、より良好に理解されることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の1つの実施形態によるサンプル採取デバイスの一部の斜視図である。
図2】本発明の1つの実施形態による、ユーザーの流体のサンプルを抽出および採取するためのシステムの斜視図である。
図3図2のシステムの斜視図であり、およびとりわけ、その蓋部の除去を示す図である。
図4】蓋部のない、図2および図3のシステムの斜視図である。
図5図4のシステムの斜視図であり、その真空生成メカニズムが第1の位置にあることを示す図である。
図6図4のシステムの斜視図であり、その真空生成メカニズムが第2の位置にあることを示す図である。
図7】ユーザーの腕の上に設置されている、本発明によるシステムの1つの実施形態の斜視図である。
図8】本発明によるシステムの実施形態の一部の斜視図であり、切開メカニズムが第1の切開メカニズム位置にあることを示す図である。
図9図8のシステムの実施形態の一部の斜視図であり、切開メカニズムが第2の切開メカニズム位置にあることを示す図である。
図10図10Aは、本発明の1つの実施形態によるサンプル採取デバイスの一部の1つの実施形態の斜視図であり、キャップが第1のキャップ位置にあることを示す図である。図10Bは、図10Aのサンプル採取デバイスの一部の1つの実施形態の斜視図であり、キャップが第2のキャップ位置にあることを示す図である。
図11図11Aは、本発明による、ユーザーの流体のサンプルを抽出および採取するためのシステムのサンプル抽出デバイスの1つの実施形態の断面図である。図11Bは、本発明によるサンプル採取デバイスの1つの実施形態の断面図である。図11Cは、図11Bのサンプル採取デバイスの実施形態の正面図である。
図12】本発明による、ユーザーの流体のサンプルを抽出および採取するためのシステムの1つの実施形態の断面図であり、サンプル採取デバイスがサンプル抽出デバイスの内側に挿入されることを示す図である。
図13図12のシステムの実施形態の断面図であり、サンプル採取デバイスの蓋部が除去されていることを示す図である。
図14】ユーザー(たとえば、ユーザーの腕)に接近している、図13のシステムの実施形態の断面図である。
図15図14のシステムの実施形態の断面図であり、システムがユーザーの上に設置されていることを示す図である。
図16図15のシステムの実施形態の断面図であり、バルブ制御メカニズムが活性化させられていることを示す図である。
図17図16のシステムの実施形態の断面図であり、真空によって生成される吸引がユーザーの皮膚を引き伸ばして変形させることを示す図である。
図18図17のシステムの実施形態の断面図であり、切開メカニズムが第2の切開メカニズム位置にあり、ユーザーの皮膚が切開メカニズムによって切開されたことを示す図である。
図19図18のシステムの実施形態の断面図であり、切開メカニズムによって生成された切開部から血液が流れていることを示す図である。
図20図19のシステムの実施形態の断面図であり、1つの実施形態によれば、サンプルコンテナの中のサンプルの体積が所定の値に到達すると、システムの少なくとも1つのセンサーがユーザーに知らせることを示す図である。
図21図20のシステムの実施形態の断面図であり、1つの実施形態によれば、バルブ制御メカニズムが押され、システムを大気圧力に再平衡させることを示す図である。
図22図21のシステムの実施形態の断面図であり、システムがユーザーから除去されることを示す図である。
図23図22のシステムの実施形態の断面図であり、キャップが第2のキャップ位置に移動させられることを示す図である。
図24図23のシステムの実施形態の断面図であり、キャップが第2のキャップ位置にあり、サンプルコンテナをシールしていることを示す図である。
図25図24のシステムの実施形態の断面図であり、シールされたサンプルコンテナが吸引パックから除去されることを示す図である。
図26図25のシステムの実施形態の断面図であり、吸引パックがサンプル抽出デバイスから除去されていることを示す図である。
図27図27Aは、本発明の1つの実施形態によるサンプル採取デバイスの一部の正面図である。図27Bは、図27Aのサンプル採取デバイスの一部の断面図の1つの実施形態を示す図である。図27Cは、図27Aのサンプル採取デバイスの一部の断面図の別の実施形態を示す図である。
図28】サンプル抽出デバイスの断面図の別の実施形態を示す図である。
図29】サンプル採取デバイスの正面図の別の実施形態を示す図である。
図30】本発明によるサンプル採取デバイスの別の実施形態の斜視図を示す図である。
図31図30のサンプル採取デバイスの実施形態の断面図である。
図32】本発明によるサンプル採取デバイスの別の実施形態の斜視図である。
図33図32のサンプル採取デバイスの実施形態の断面図である。
図34図32のサンプル採取デバイスの実施形態の別の断面図である。
図35図35Aは、本発明によるサンプル採取デバイスの別の実施形態の一部の断面図である。図35Bは、図35Aのサンプル採取デバイスの実施形態の別の断面図である。
図36】本発明による、ユーザーの流体のサンプルを抽出および採取するためのシステムの別の実施形態の斜視図である。
図37図36のシステムの実施形態の分解図である。
図38図36のシステムの実施形態の断面図の一部を示す図である。
図39図36のシステムの実施形態の別の断面図の別の一部を示す図である。
図40図36のシステムのトリガーおよび切開メカニズムの1つの実施形態の斜視図である。
図41図41Aは、図36のシステムのサンプル採取デバイスの1つの実施形態の斜視図(前側)である。図41Bは、図41Aのサンプル採取デバイスの実施形態の斜視図(後側)である。
図42】腕としてのユーザーの一部分の近くに設置されたときの、本発明によるシステムの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
例として提供されている以下の説明において、簡単化の理由のために、血液採取デバイスおよび血液抽出デバイスを含む、ユーザーの血液を採取および抽出するためのシステムが参照されることとなる。しかし、本発明は、そのような流体に限定されるのではなく、採取デバイスおよび抽出デバイスも含み、その両方が、他の種類の流体(とりわけ、体液)をそれぞれ採取および抽出するように配置されているということが理解されなければならない。
【0020】
例として提供されている以下の説明において、簡単化の理由のために、「サンプル採取デバイス」および「サンプル抽出デバイス」が参照されることとなる。しかし、それらの表現の中に示されている「サンプル」は、流体、とりわけ、体液、たとえば、血液、とりわけ、毛細血管血液のサンプルであるということが理解されなければならない。
【0021】
本発明によるユーザーの流体のサンプルを抽出および採取するためのシステム300は、2つのパーツ、すなわち、
- サンプル採取デバイス200と;
- サンプル抽出デバイス100と
を含む。
【0022】
1つの有利な実施形態では、サンプル採取デバイス200は、消耗品であり、サンプル抽出デバイス100は、対照的に、再使用可能である。別の実施形態では、サンプル抽出デバイス100も消耗品である。このケースでは、サンプル採取デバイス200およびサンプル抽出デバイス100は、消耗品である1つの単一のシステム300を形成することが可能である。そのような消耗品システム300の例が、図36を参照して議論されることとなる。
【0023】
最初に、サンプル採取デバイス200の特徴を説明し、第2に、サンプル抽出デバイス100の特徴を説明して、最後に、そのようなサンプルを採取および抽出する方法およびシステムを説明することとなる。
【0024】
図1は、本発明の1つの実施形態によるサンプル採取デバイス200の一部の斜視図を示している。
【0025】
本発明によるサンプル採取デバイス200は、
- サンプルを受け入れるように配置されており、開放端部2121を含むサンプルコンテナ212と;
- 開放端部2121を閉じるためにサンプルコンテナ212と協働するように配置されているキャップ202と
を含む。
【0026】
図1の実施形態において、サンプルコンテナ212は、チューブであり、実質的に円筒状の形状を有しており、開放端部2121と、実質的に球形の形状を有する閉鎖端部2122とを含む。
【0027】
特定の実施形態では、チューブは、「標準的な」チューブであり、すなわち、中央研究所の標準的な血液分析器と互換性があるチューブである。たとえば、標準的なチューブの直径は、12mm~16mmの範囲に属しており、たとえば、それは、13mmに等しい。
【0028】
1つの実施形態では、チューブの長さは、中央研究所の標準的な血液分析器と互換性がある。別の実施形態では、チューブの長さは、標準的な長さ、すなわち、中央研究所の標準的な血液分析器と互換性がある長さよりも小さくなっている。そのような場合では、チューブは、それをエクステンションチューブと接続するために接続手段を含むことが可能であり、チューブおよびエクステンションチューブを含むセットの合計長さが、標準的な長さ、たとえば、50mmから120mmの範囲にある長さ、たとえば、75mmに等しい長さになるようになっている。別の実施形態では、このエクステンションチューブは、また、チューブの最終的な直径を補正することも可能である。チューブの直径は、標準的な直径よりも小さくなっている可能性があるが、それは、より大きいエクステンションチューブによって調節され得、中央研究所の標準的な血液分析器と互換性があるようになっている。1つの実施形態では、チューブをエクステンションチューブと接続するためのそれらの接続手段は、それらがチューブとエクステンションチューブとの容易な接続を可能にするが、それらがチューブからのエクステンションチューブの切り離しを防止するかまたは困難にするように配置されている。この特徴は、とりわけ、流体サンプルを識別するラベルがエクステンションチューブの外側表面の上に設置されている場合に有用であり、ユーザーがチューブからエクステンションチューブを取り外すことを防止するようになっている。流体サンプルのトレーサビリティーがそのように保証される。1つの実施形態では、それらの接続手段は、クリップ手段および/またはスクリュー手段を含む。
【0029】
特定の実施形態では、チューブは、議論されることとなるように、少なくとも0.5ml、好ましくは1mlの流体サンプルを受け入れるように配置されている。
【0030】
図1の実施形態において、サンプルコンテナ212は、(少なくとも部分的に)透明になっており、その内容物を直接的に見るようになっている。
【0031】
図1の実施形態では、キャップ202は、また、「標準的な」キャップであり、すなわち、中央研究所の標準的な血液分析器と互換性があるキャップである。たとえば、標準的なキャップの外側部の直径は、15mmである。
【0032】
図1の実施形態では、サンプルコンテナ212およびそのキャップ202は、吸引パック201の中に設置されている。したがって、吸引パック201のサイズおよび形状は、サンプルコンテナ212およびキャップ202を受け入れるように配置されている。1つの実施形態では、吸引パック201は、少なくとも部分的に、可撓性の材料から作製されている。
【0033】
吸引パック201は、2つの主要な機能を有している。
1)それは、サンプルコンテナ212およびそのキャップ202のためのパッケージングとして使用される。
2)それは、吸着カップとしての役割を果たし、議論されることとなるように、ユーザーの皮膚吸引および流体採取のために、真空が吸着カップの中に印加される。
【0034】
図1の実施形態では、吸引パック201は、蓋部207を含み、その内容物の滅菌および/または湿分からのバリアを保証するようになっている。この蓋部207は、除去可能になっている。1つの実施形態では、それは、吸引パック201の内側を滅菌された状態に維持することを可能にする半浸透性の膜、たとえば、Tyvek(登録商標)である。別の実施形態では、蓋部207は、非浸透性になっている。これは、保管および/または輸送の間に気密環境を維持することを可能にし、湿気が吸引パック201および/またはサンプルコンテナ212に進入することを防止するようになっている。実際に、湿気は、サンプルコンテナ212の中に存在する添加剤の安定性に影響を与える可能性がある。
【0035】
図1の実施形態では、吸引パック201は、また、(少なくとも部分的に)透明になっており、その内容物の完全性の良好な視覚的表示を与えるようになっている。使用の前に、ユーザー(または、オペレーター、たとえば、看護師)は、その内容物が依然として滅菌されており安全に使用できることを示すものとして、吸引パック201の蓋部207がまだ開いていないということを実際にチェックすることが可能である。
【0036】
1つの例では、吸引パック201は、たとえば、ポリカーボネート、PET-Gなどから作製されており、ユーザーまたはオペレーターが、サンプルコンテナ212の中の流体サンプルのレベルを光学的にモニタリングすることによって、流体採取の進行を追跡することができるようになっている。
【0037】
議論されることとなるように、1つの実施形態では、吸引パック201は、真空が吸引パックの中に進入することを可能にする半浸透性の膜を含む。
【0038】
1つの実施形態では、吸引パック201は、吸引パック201とユーザーの皮膚との間のシーリングを強化する材料を含み、または、吸引パック201は、その材料から(少なくとも部分的に)作製されており、皮膚と吸引パック201との間の良好なシーリングを保証するようになっている。
【0039】
1つの実施形態では、吸引パック201は、ブリスターパックである。ブリスターパックの中の消耗品は、医療において一般的なやり方である。ブリスターパッケージングの利点は、それがコスト効率が良いということ、それが除去可能な蓋部207によって閉じられ得るということ、ならびに、それがその内容物の滅菌を維持しながら輸送およびハンドリングされ得るということである。
【0040】
本発明によれば、キャップ202は、
- 採取ウィンドウ205であって、採取ウィンドウ205は、たとえば、図8図11B、および図11Cに見ることができ、切開されることとなるユーザーのエリアまたは一部と接触して進入するように配置されている、採取ウィンドウ205と;
- トリガーメカニズムと;
- 第1の切開メカニズム位置(たとえば、図8に図示されている)から第2の切開メカニズム位置(たとえば、図9に図示されている)へ、このトリガーメカニズムによってキャップ202の中を移動可能な切開メカニズムと
を含む。
【0041】
有利には、この移動の間に、切開メカニズムは、採取ウィンドウ205においてユーザーを切開するように配置されており、ユーザーからサンプルを退出させるようになっている。第1の切開メカニズム位置から第2の切開メカニズムへ移動する間に、キャップ202は、常に、第1のキャップ位置(たとえば、図1図8図9、および図10Aに図示されている)にある。
【0042】
実際に、本発明によれば、キャップ202自体は、サンプルコンテナ212の上を第1のキャップ位置(たとえば、図1図8図9、または図10Aに図示されている)から第2のキャップ位置(たとえば、図10Bに図示されている)へ移動するように配置されており、第1のキャップ位置および第2のキャップ位置の両方において、サンプルコンテナ212の開放端部2121は、サンプルコンテナ212と少なくとも部分的に接触しており、第1のキャップ位置から第2のキャップ位置へのキャップ202の移動をガイドするようになっている。図示されている実施形態では(それは、限定的ではない)、第1のキャップ位置および第2のキャップ位置の両方において、サンプルコンテナ212の開放端部2121は、キャップ202によって閉じられている。
【0043】
本発明によれば、キャップ202は、また、シーリングメカニズム(図示されていない)を含み、キャップが第2のキャップ位置(たとえば、図10Bに図示されている)にあるときに、サンプルコンテナをシールするようになっており、サンプルを安全に輸送するようになっている。
【0044】
流体が十分な量(約1ml)を採取され、キャップ202を備えたサンプルコンテナ212の中へ調整され(両方が、標準的な血液分析器に関して使用される標準(コンテナサイズ、キャップフォーマット、および/または、異なるタイプの分析に必要とされる添加剤)にマッチしている)、安全に輸送されるので、いくつかの分析が、本発明によるデバイスによって採取された流体の1つのサンプルから実施され得る。
【0045】
したがって、本発明による採取デバイスは、以下の利点を有している。
- キャップ202は、切開メカニズムを一体化している;
- 同じキャップが、流体サンプルが採取された後にサンプルコンテナ212をシールすることを可能にし、この流体サンプルを安全に輸送するようになっている;
- 流体(たとえば、血液)は、その輸送および分析のために使用されるサンプルコンテナ212の中へ直接的に採取される。その理由は、流体がサンプルコンテナ212の中へ直接的に落下するからである。
【0046】
切開メカニズムの移動は、ユーザーからの能動的なアクションを必要としないということが留意されなければならない。実際に、それは、説明されることとなるように、自動的な方式でトリガーメカニズムによってトリガーされる。
【0047】
特定の実施形態では、キャップ202の移動は、ユーザーによってまたはオペレーターによって、手動で実施される。しかし、別の実施形態では、それは、同様に自動的に実施される。
【0048】
好適な実施形態では(たとえば、図8および図9に見ることができる)、キャップ202は、第1のキャップ部分2021および第2のキャップ部分2022を含む。2つの部分2021、2022は、接続手段(図示されていない)によって一緒に接続されている2つの別個のパーツであることが可能である。別の実施形態では、キャップ202は、モノブロックであり、すなわち、それは、それらの2つの部分2021、2022を含む単一のピースによって作製されている。
【0049】
1つの実施形態では、第1のキャップ部分2021は、採取ウィンドウ205を含む。
【0050】
図8および図9に見ることができるように、第1のキャップ部分2021は、第1のキャップ部分2021の主方向に沿って、開口部215を含む。換言すれば、この開口部215が存在しているので、第1のキャップ部分2021は、実質的にC字形状を備えた断面を有している。
【0051】
図示されている実施形態では、この第1のキャップ部分2021の少なくとも一部2021’が、システム300の作業のすべての時間の間にサンプルコンテナ212の中に挿入されており、切開メカニズムの移動の間に、サンプルコンテナ212の開放端部2121を閉じるようになっている。
【0052】
この第1のキャップ部分2021の別の一部2021”は、図8に図示されているように、キャップ202がその第1の位置にあるときに、サンプルコンテナ212の外側にある。
【0053】
1つの実施形態では、第2のキャップ部分2022は、第1のキャップ部分2021のサイズよりも大きいサイズを有している。それは、サンプルコンテナ212の中へ進入するように適合されているのではなく、それをシールするように適合されている。
【0054】
1つの実施形態では、第2のキャップ部分2022は、上述のシーリングメカニズムを含む。
【0055】
1つの実施形態では、第2のキャップ部分2022は、切開メカニズムを受け入れるためのキャビティー216(図8および図9に見ることができる)、および、とりわけ、カッティングエレメント206を含み、切開メカニズムが第2の切開メカニズム位置(図9に図示されている)になると、切開メカニズムがこのキャビティー216の中に不可逆的におよび安全に後退させられるようになっており、それがもはやユーザーを切開することができないようになっている。
【0056】
1つの実施形態では、キャップ202の少なくとも一部は、ユーザーによってまたはオペレーターによってアクセス可能であり、サンプルコンテナ212からキャップ202を取り外すことなく、サンプルコンテナ212から流体サンプルを手動で抽出するようになっている。
【0057】
1つの実施形態では、切開メカニズムは、
- サポートエレメント203と;
- 弾性エレメント204と
を含む。
【0058】
好適な実施形態では、サポートエレメント203は、ピストンであり、ピストンは、たとえば、図8および図11Bに見ることができる。このサポートエレメントは、カッティングエレメント206に接続されており(好ましくは、直接的に接続されている)、サポートエレメント203が移動させられると、カッティングエレメント206も同様に移動させられるようになっている。
【0059】
カッティングエレメント206は、ブレード、ランセット、または、ユーザーの皮膚の中に開口部を形成することができる任意の他のエレメントであることが可能である。
【0060】
好適な実施形態では、弾性エレメント204は、スプリングであり、スプリングは、たとえば、図8および図11Bに見ることができる;この弾性エレメント204は、本発明によるシステムの使用の前に、たとえば、圧縮位置にブロックされている。切開メカニズムがトリガーされると、弾性エレメント204が自由に圧縮解除され、この圧縮解除は、サポートエレメント203および次いでカッティングエレメント206を、第1の切開メカニズム位置(たとえば、図8に見ることができる)から、第2の切開メカニズム位置(たとえば、図9に見ることができる)へ移動させる。
【0061】
本発明は、圧縮弾性エレメントのみに限定されず、すなわち、圧縮および圧縮解除され得る弾性エレメント(たとえば、スプリング)のみに限定されるのではなく、それは、また、他の弾性エレメント、たとえば、捩じりおよび/または引っ張り弾性エレメント、すなわち、捩じりおよび/または引っ張りの移動を実施することができる弾性エレメント(たとえば、スプリング)にも関係するということが理解されなければならない。
【0062】
図8に見ることができるように、切開メカニズムが第1の切開メカニズム位置にあるときには、カッティングエレメント206は、サンプルコンテナ212の中にあり、ユーザーおよび/またはオペレーターの安全を確保するようになっている。
【0063】
図8および図9の実施形態において、第1の切開メカニズム位置から第2の切開メカニズム位置への切開メカニズムの移動は、図27Bに図示されているように、切開されることとなるユーザーの表面に対して平行の方向に実施される線形移動(すなわち、並進)である。
【0064】
しかし、別の代替的な実施形態では、第1の切開メカニズム位置から第2の切開メカニズム位置への切開メカニズムの移動は、図27Cに図示されているように、円形移動(すなわち、回転)であり、この円形移動の回転軸線は、好ましくは、サンプルコンテナ212の主軸線である。たとえば、弾性エレメント204が捩じり弾性エレメント204である場合には、この円形移動が可能である。そのような円形移動の別の例が、図36の実施形態を参照して議論されることとなる。
【0065】
サンプル採取デバイスのトリガーメカニズムは、トリガーエレメントを含み、トリガーエレメントは、たとえば、図11Bおよび図11Cに見ることができる。このトリガーメカニズムは、トリガーエレメント209を含み、トリガーエレメント209は、図示されている実施形態では、サポートエレメント203の少なくとも一部を取り囲むハーフリングである。
【0066】
とりわけ、トリガーエレメント209は、突出部210(たとえば、フィンガー)を含み、突出部210は、サポートエレメント203の中の対応するキャビティー211によって受け入れられるように配置されており、たとえば図11Bに見ることができる第1のトリガーエレメント位置にトリガーエレメント209を保持するようになっている。
【0067】
図示されている実施形態では、キャップ202は、トリガーメカニズム、とりわけ、トリガーエレメント209を含む。別の代替的な実施形態では(図示されていない)、サポートエレメント203は、トリガーメカニズム、とりわけ、トリガーエレメント209を含む。
【0068】
議論されることとなるように、本発明によるシステム300がユーザーの皮膚の上にあると、それは、ユーザーの皮膚の一部を変形および/または引き伸ばすように配置されており、この変形されたおよび/または引き伸ばされた一部が、トリガーエレメント209を第1のトリガーエレメント位置(たとえば、図17に見ることができる)から第2のトリガーエレメント位置(たとえば、図18に見ることができる)へ移動させることとなるようになっており、第1のトリガーエレメント位置では、それは、弾性エレメント204を圧縮位置に保持し、サポートエレメント203をサンプルコンテナ212の中の固定された位置に保持しており、第2のトリガーエレメント位置では、トリガーエレメント209は、もはや弾性エレメント204もサポートエレメント203も保持していない。
【0069】
ここで、サンプル抽出デバイスを説明する。たとえば、図11Aに見ることができるように、それは、
- 採取デバイス200の少なくとも一部を受け入れるように配置されているポート107(たとえば、キャビティーまたは凹部)と;
- 真空チャンバー101と;
- 真空チャンバー101の中に真空を生成させるように配置されている真空生成メカニズム108と;そのような真空生成メカニズムの非限定的な例は、図5および図6に図示されている;真空生成メカニズムは、好ましくは、完全に機械的なものであり、電子部品を欠いている;
- 真空チャンバー101を閉じるおよび/もしくは開けるように、ならびに/または、サンプル採取デバイス(200)を大気圧力に解放するように配置されているバルブ(または、バルブのアッセンブリ)104と;
- 真空チャンバー101から採取デバイス200へ真空を移送するように、また、とりわけ採取の後に、採取デバイス200を大気圧力に解放するように、バルブ104(または、バルブのアッセンブリ)に命令するように配置されているバルブ制御メカニズム102と
を含む。
【0070】
本文脈において、「真空」という用語は、大気圧力よりもはるかに低いガス圧力、たとえば、大気圧力と比較して-70kPaから-20kPaの間のガス圧力、たとえば、約-40kPaのガス圧力を有するエリアを示している。
【0071】
好適な実施形態では、バルブ制御メカニズム102は、ボタン、たとえば、プッシュボタン、または、ボタンのアッセンブリである。好適な実施形態では、それは、バルブ104の3つのモード(すなわち、開、閉、解放)を制御するように配置されている。
【0072】
好適な実施形態では、サンプル抽出デバイスは、電子モジュール105(たとえば、図11Aに見ることができる)を含み、電子モジュール105は、通信モジュール(図示されていない)および電力供給部(図示されていない)を含む。
【0073】
別の好適な実施形態では(たとえば、図11Aに見ることができる)、サンプル抽出デバイスは、サンプルコンテナの中の所定のサンプル体積を検出するための少なくともセンサー106、たとえば、光学センサーを含む。
【0074】
別の好適な実施形態では、サンプル抽出デバイスは、警報メカニズム(図示されていない)を含み、警報メカニズムは、たとえば、音響的信号および/または視覚的信号によって、サンプル抽出の終了をユーザーに示す。
【0075】
別の好適な実施形態では、サンプル抽出デバイスは、ガスケット103(たとえば、図11Aに見ることができる)を含み、ガスケット103は、膜208を含むサンプル採取デバイス200のエリアと協働する。1つの変形例では、膜208は、半浸透性になっている。別の変形例では、膜208は、非浸透性になっている。これは、保管および/または輸送の間に気密環境を維持することを可能にし、湿気が吸引パック201および/またはサンプルコンテナ212に進入することを防止するようになっている。実際に、湿気は、サンプルコンテナ212の中に存在する添加剤の安定性に影響を与える可能性がある。
【0076】
ここで、本発明によるシステムによって、ユーザーの流体のサンプルを採取および抽出するための方法を説明する。
【0077】
1つの実施形態では、キャップ202は、図1に図示されているように、サンプルコンテナ212の中および/または上に設置されており、その開放端部2121を閉じるようになっている。次いで、サンプルコンテナ212およびキャップ202は、吸引パック201の中にパッケージングされ、吸引パック201は、蓋部207によって閉じられ、閉じられた吸引パック201(サンプルコンテナ212およびキャップ202を含む)が滅菌される。
【0078】
ある実施形態では、サンプル採取デバイス200は消耗品であり、サンプル抽出デバイス100は消耗品ではない。次いで、新しいサンプル採取デバイス200が、サンプル抽出デバイス100の上または中に、とりわけ、サンプル抽出デバイス100のポート107の中に設置される(図11Aに見ることができる)。
【0079】
次いで、サンプル採取デバイス200は、たとえば、図11Aおよび図11Bに図示されている、それぞれ第1の接続手段120および第2の接続手段220を使用することによって、サンプル抽出デバイス100に機械的に接続される。それらの手段は、クリッピング(clipsage)による接続を保証するが、当然のことながら、サンプル採取デバイス200とサンプル抽出デバイス100との間の機械的な接続を保証する任意の他の種類の手段が使用され得、それは、たとえば、非限定的な方式で、一方のデバイスの上の磁石および他方のデバイスの上の強磁性のエリア、一方のデバイスの中のスクリューまたはリベットおよび他方のデバイスの中の孔部、ドッキング手段などである。
【0080】
図12は、サンプル採取デバイス200がサンプル抽出デバイス100のポート107の中に挿入される前の、本発明による、ユーザーの流体のサンプルを抽出および採取するためのシステム300の1つの実施形態の断面図を示している。矢印F1は、サンプル抽出デバイス100へのサンプル採取デバイス200の移動を示している。
【0081】
サンプル採取デバイス200およびサンプル抽出デバイス100は、本発明によるシステム300を形成する。
【0082】
図12は、サンプル採取デバイス200が矢印F1の方向に抽出デバイス100へ移動させられる実施形態を図示しているが、この実施形態は、限定的ではなく、他の可能性が、当業者によって想像され得る。たとえば、および、非限定的な方式で、サンプル採取デバイス200は、矢印F1の方向に対して垂直の方向に抽出デバイス100のいくつかの(図示されていない)レールの中をスライドさせられ得る。そのような場合では、図示されている第1の接続手段120および第2の接続手段220は、それに応じてそれぞれ修正されることとなる。
【0083】
図2は、本発明の1つの実施形態によるこのシステム300の斜視図を示している。このケースでは、矢印F1は、サンプル抽出デバイス100へのサンプル採取デバイス200の移動を示している。
【0084】
サンプル採取デバイス200およびサンプル抽出デバイス100は、接続されているときに、サンプル抽出デバイス100のバルブ104および可能なガスケット103がサンプル採取デバイス200の膜208に対応して設置されるように配置されており、そのうえ、存在する場合、サンプル抽出デバイス100のセンサー106がサンプル抽出デバイス100のサンプルコンテナ212に対応して設置されるように配置されているということが留意されなければならない。
【0085】
本発明によるシステム300は、携帯可能である。そのサイズは、それがユーザーの手によって容易にハンドリングされることを可能にする。図2の実施形態では、それは、実質的に平行六面体である。しかし、たとえば、円筒状の形状など、他の形状も可能である。別の実施形態では、その長さは、5cmから20cmの範囲の中にあり、たとえば、10cmである。
【0086】
次いで、ユーザー(または、オペレーター)は、図3(矢印F2)または図13(矢印F6)に図示されているように、吸引パック201の蓋部207を除去する。蓋部207は、その内容物の滅菌を保証する。議論されることとなるように、採取デバイス200の膜208は、同様に、流体サンプルのクロスコンタミネーションを防止することに寄与する。
【0087】
蓋部207のないシステム300の実施形態が、図4に図示されている。この実施形態では、吸引パック201は、(少なくとも部分的に透明になっており)その内容物を見ることができるようになっている。
【0088】
図5および図6に図示されているように、次いで、ユーザー(または、オペレーター)は、サンプル抽出デバイス100の中の真空生成メカニズム108(このケースでは、ピストンであり、ピストンは、ロッド109を含み、ロッド109は、方向F3に移動させられ、次いで、反対側方向F4に移動させられる)を活性化させ、真空チャンバー101の中へ真空をロードするようになっている。
【0089】
真空チャンバー101の中の真空の生成は、蓋部207を除去する前にも実施され得るということが留意されなければならない。別の実施形態では、真空は、たとえば、真空生成メカニズム108を活性化させることによって、ユーザーによって生成される必要はなく、それは、本発明によるシステム300の中にすでに事前にパッケージングされる。換言すれば、システム300は、チャンバーを含み、チャンバーは、製造組立ラインの中でまたは医療施設の中で真空下に設置されている。この実施形態の例は、図36を参照して議論されることとなる。
【0090】
次いで、システム300は、(図14に図示されているように)ユーザー400に接近し、それは、図7および図15に図示されているように、ユーザー400の上に設置される。
【0091】
好適な実施形態では、本発明によるシステム300は、ユーザーの腕の上に設置されており、とりわけ、垂直方向に維持された腕の上に設置されており、とりわけ、キャップ202が上部になり、サンプルコンテナ212の底部が底部になるような配向で設置されているということが留意されなければならない。しかし、それは、ユーザーの他のパーツ(たとえば、脚、身体など)の上にも設置され得る(このパーツが実質的に垂直方向(すなわち重力gの方向zに対して実質的に平行)に維持されているか、または、この方向zに対して所定の角度θを形成している限りにおいて)。とりわけ、好適な実施形態では、本発明によるシステム300の主軸線の方向aおよび重力gの方向zによって形成される角度θは、0°~45°の範囲の中に含まれる。実際に、システム300は、有利には、流体サンプルの所望の体積を抽出するために(真空と組み合わせて)重力も活用する。
【0092】
ユーザー(または、オペレーター)は、次いで、バルブ制御メカニズム102を作動させ、バルブ制御メカニズム102は、図16の例では、矢印F8の方向に押されるプッシュボタンである。当然のことながら、たとえば、ロータリーボタンなど、他の種類のバルブ制御メカニズム102が、プッシュボタンの代わりに使用され得る。
【0093】
バルブ制御メカニズム102は、バルブ104が開くことを可能にし、サンプル抽出デバイス100の真空チャンバー101から吸引パック201へ真空を移送するようになっている。
【0094】
特定の実施形態では、この移送は、吸引パック201の中の開口部218を通して実施され、それは、吸引パック201の中に位置付けされている膜208によってカバーされている。好適な実施形態では、膜208は、蓋部207の同じ材料(たとえば、Tyvek(登録商標))から作製されている。
【0095】
また、この膜208は、バクテリアの増殖および患者間のクロスコンタミネーションを結果として生じさせる可能性のある血液汚染からシステム300を保護することも可能にする。1つの実施形態では、膜208は、空気を通過させながら、血液のような体液の透過を防止する。
【0096】
また、吸引パック201の中へ生成される真空は、システム300全体をユーザーの皮膚に対して維持することを可能にする。
【0097】
また、それは、ユーザーのパーツ401および402(図17に見ることができる)を引き伸ばしおよび/または変形させ、カットされることとなるユーザーのパーツ401が存在している。カットされることとなるユーザーのパーツ401は、サンプル採取デバイスの採取ウィンドウ205と接触するユーザーのパーツである。カットされることとなるユーザーのパーツ401は、吸引パック201の中に移送される真空によって引き伸ばされおよび/または変形されるときに、トリガーメカニズムを作動させ、そして、トリガーメカニズムは、切開メカニズムをトリガーする。
【0098】
実際に、図17に見ることができるように、採取ウィンドウ205の中の皮膚(すなわち、カットされることとなるユーザーのパーツ401)の引き伸ばしおよび/または変形は、トリガーエレメント209を変位させ、サポートエレメント203を解放するようになっており、トリガーエレメント209は、図17の実施形態では、サポートエレメント203(図17ではピストン)の少なくとも一部を取り囲むハーフリングである。
【0099】
実際に、図17の矢印F9の方向へのトリガーエレメント209の移動は、トリガーエレメント209の中のノッチのキャビティー211からフィンガー210を解除する。
【0100】
したがって、図18に図示されているように、ロードされている弾性エレメント204は、キャップ202の内側の切開メカニズムのサポートエレメント203を変位させることとなる。換言すれば、切開メカニズムは、キャップ202の中の第1の切開メカニズム位置(たとえば、図8または図17に図示されている)から、キャップ202の中の第2の切開メカニズム位置(たとえば、それぞれ図9または図18に図示されている)へ移動させられることとなる。切開メカニズムのサポートエレメント203は、カッティングエレメント206に接続されているので、この変位の間に、このカッティングエレメント206は、採取ウィンドウ205の中の引き伸ばされたおよび/または変形された皮膚の局所パーツ401を切ることとなる。
【0101】
換言すれば、切開は、吸引パック201の中に真空を印加するときの皮膚の引き伸ばしおよび/または変形によってトリガーされる。切開をトリガーするために、ユーザーのアクションは必要とされない。システム300は、切開メカニズムをトリガーする前に、皮膚が十分に引き伸ばされおよび/または変形されることを確保する。皮膚は、引き伸ばされおよび/または変形されているときに、トリガーエレメント209を押圧し、トリガーエレメント209は、押されるか、変位させられるか、または変形されるときに、サポートエレメント203を解放し、カッティングエレメント206が、サポートエレメント203の上に接続されている。
【0102】
解放されるとき、カッティングエレメント206は、それが取り付けられている弾性エレメント204の(線形または円形)軌道に沿って移動し、その軌道の上の皮膚を切開する。
【0103】
図8および図9の実施形態では、有利には、第1の切開メカニズム位置から第2の切開メカニズム位置への切開メカニズムの移動は、切開されることとなるユーザーの表面に対して平行の方向に実施される線形移動(すなわち、並進)である。
【0104】
皮膚の中への切開は、比較的に浅くなっている(長さが皮膚の中へ5mm未満、とりわけ、3mm未満であり、深さは、1mmから2mmの間で変化する)。カッティングエレメント206は、皮膚の中へ鋭い切り込みを作製する。そのうえ、切開は、有利には、真空を印加している間に、および/または、真空が印加された後に作製される。皮膚は、切開を実施する前に、変形されおよび/または引き伸ばされ、および/または、サンプル採取デバイス200の中へ挟まれ、それは、切開の痛みの感覚を低減させる。
【0105】
好適な実施形態では(図17から図19に図示されている)、サンプルコンテナ212の縁部219の少なくとも一部は、システム300の切開メカニズムによって作製されたユーザー400の上の切開においてまたはその下で、接触ポイントまたは領域Pにおいてユーザー400と接触した状態になっている。この接触ポイントまたは領域Pは、ユーザー400とサンプルコンテナ212との間にスペースが存在しないということを保証し、流体サンプルがサンプルコンテナ212の中へ落下できるようになっている。換言すれば、縁部219の少なくとも一部は、採取ウィンドウの縁部である。
【0106】
有利には、皮膚切開の後に、カッティングエレメント206は、サンプル採取デバイス200をハンドリングする人への傷害または汚染のリスクなしに、キャップ202の中へ、とりわけ、図8および図9に見ることができるキャビティー216の中へ後退させられる。
【0107】
好適な実施形態では、カッティングエレメント206は、角度α(たとえば、図34に図示されている)で設置されており、切開深さを増加させることなく、表面切り込みを最大化する。たとえば、カッティングエレメント206は、皮膚に対して90°角度で位置決めされ得、または、それは、皮膚の垂直軸線に対して45°角度で設置され得、切開の深さを増加させることなく切開の表面を最大化する。一般的に、カッティングエレメント206を含有する平面は、ユーザーの皮膚の平面に対して45°から90°の間のどこかに位置決めされ得る。
【0108】
1つの実施形態では、カッティングエレメント206の軌道の長さは、より多くの毛細血管をカットすることを可能にし、血液フローを最大化するようになっている。
【0109】
したがって、本発明によるシステム300の中の真空は、3つの主要な機能を有している。
1)それは、流体サンプル採取の間にユーザーの上にシステム300を維持する。
2)それは、ユーザーの皮膚を引き伸ばしおよび/または変形させ、ユーザーの毛細血管の局所的な血管拡張を生成させる。
3)それは、切開が行われた後に体液(たとえば、毛細血管からの血液)を抽出する。
【0110】
ユーザーの皮膚と吸引パック201との間の良好なシーリングを保証するために、および、吸引パック201の中に真空を維持するために、2つのエレメントが作用する。第1に、皮膚が吸引パック201の中へより良好に伸びおよび/または変形すればするほど、皮膚と吸引パック201の縁部との間の表面は高くなり、シールがより良好になる。
【0111】
ブリスターの中への皮膚の良好な引き伸ばしおよび/または変形を促進するために、皮膚と吸引パック201との間の摩擦力が最小化されなければならない。これは、たとえば、吸引パック201および吸引パック201の内側の材料の正しい表面特性の使用によって、ならびに/または、吸引パック201および吸引パック201の内側の材料のコーティングの使用によって、ならびに/または、シリコーンゲル、シリコーンスプレー、もしくは任意の他の潤滑剤による皮膚のコーティングの使用によって行われ得る。
【0112】
第2に、皮膚と吸引パック201との間のシールは、空気が皮膚と吸引パック201との間に透過することができない場合に強化され、より良好に保証され得る。好適な実施形態では、吸引パック201と皮膚との間に設置されているシリコーンゲル、シリコーンスプレー、または任意の他の潤滑剤が、シーリング剤の役割を果たすことが可能である。
【0113】
換言すれば、選ばれた材料、および、吸引パック201の上でのまたは皮膚の上での潤滑剤の使用は、真空を強化するために使用されることとなる。
【0114】
図19に図示されているように、流体(たとえば、血液)は、変形ウィンドウ205の中に生成された切開部から流れる。シーリング縁部(たとえば、図31および図33に、参照数字219’で図示されている)は、流体がサンプルコンテナ212から外へ流れないことを確保し、サンプルコンテナ212の縁部は、切開部401の近くに位置決めされている。切開ポイントに形成された流体500の液滴は、重力gを活用することによってサンプルコンテナ212の中へ落下する。
【0115】
重力gおよび真空が、両方とも流体サンプル500を採取するために使用されるので、本発明によるシステム300は、約1mlの流体サンプル500を採取するように設計されている。そのうえ、サンプルコンテナ212は、静脈穿刺のために使用されるチューブと同様のサイズ(たとえば、直径13mm)を有しており、それを公知の血液分析器と互換性があるものにする。
【0116】
図21の実施形態では、血液抽出デバイス100は、サンプルコンテナ212の閉鎖端部2122に対応して、少なくともセンサー106(たとえば、光学的なセンサー)を含み、流体サンプル体積を検出するようになっている。
【0117】
別の実施形態では(図示されていない)、センサー106は、代替的にサンプル採取デバイス200の中に設置されているか、または、サンプル採取デバイス200の上にも設置されている。
【0118】
1つの実施形態では、流体サンプル体積が事前決定された値に到達すると、本発明によるシステム300は、たとえば、光、音、または、任意の他の適当な信号によって、流体サンプリングの終了をユーザー(または、オペレーター)に示す。
【0119】
十分な量のサンプル流体が採取された後に、図21の実施形態では、ユーザー(または、オペレーター)は、バルブ制御メカニズム102(または、別のバルブ制御メカニズム)を押し、システム300を大気圧力に戻し、とりわけ、吸引パック201を大気圧力に戻す。
【0120】
図22の中の矢印F11によって示されているように、ユーザー(または、オペレーター)は、ユーザー400の皮膚からシステム300を除去する。
【0121】
したがって、本発明によるシステム300は、高度な技能訓練を必要とすることなく体液を採取するように配置されているということが明らかである。それは、医師、看護師、訓練を受けていない職員、またはユーザー(すなわち、患者)自身によって使用され得る。システム300は、ユーザーの最小限のアクションを必要とするように設計されている。システム300は、ユーザーの上に、好ましくは、垂直方向に維持されているユーザーの腕の上に位置決めされ、皮膚に押し付けられる。
【0122】
ユーザーは、真空をトリガーするためにバルブ制御メカニズム102を作動させるだけである。真空は、吸引パック201の中へ皮膚を引き伸ばしおよび/または変形させ、吸引パック201をユーザーに対して適切な場所に維持する。ユーザーは、システム300を保持することを必要とせず、ユーザーは、血液が採取されることを待つ。
【0123】
必要とされる体積が採取されると、ユーザーは、システム300によって通知され、次いで、バルブ制御メカニズム102を再び作動させ、システム300を大気圧力に戻す。
【0124】
好適な実施形態では、約1mLの体液を採取するための時間は、1分から8分の範囲にあり、とりわけ5分である。
【0125】
好適な実施形態では、システム300のカッティングエレメント206によってカットされると、流体(とりわけ、血液)がユーザーから退出する速度は、4mg/sから11mg/sの範囲にある。
【0126】
次いで、図23に図示されているように、ユーザー(または、オペレーター)は、キャップ202をサンプルコンテナ212の上に移動させ、それをシールする。図示されている実施形態では、キャップ202は、それが依然として吸引パック201の中にあるときには移動させられ、いかなる漏出も回避する。別の実施形態では(図示されていない)、キャップ202およびサンプルコンテナ212は、吸引パック201から取り出され、次いで、サンプルコンテナ212は、キャップ202によってシールされる。
【0127】
図23図24(または、図10A図10B)の実施形態では、第1のキャップ位置から第2のキャップ位置へのキャップ202の移動は線形移動であり、キャップ202は、図23の中の矢印F12によって図示されているように、この線形移動の間にサンプルコンテナ212(の外側表面)の上にスライドする。
【0128】
しかし、別の実施形態では(図示されていない)、第1のキャップ位置から第2のキャップ位置へのキャップの移動は、補完的にまたは代替的に、円形移動である。たとえば、キャップ202は、サンプルコンテナ212(の外側表面)の上にネジ式に回され得る。
【0129】
図25に図示されているように、シールされたサンプルコンテナ212は、吸引パック201から除去され得、それは、輸送およびサンプル分析の準備ができている。
【0130】
図26に図示されているように、次いで、吸引パック201は、サンプル抽出デバイス100から除去され得る。
【0131】
別の実施形態では(図示されていない)、吸引パック201は、最初にサンプル抽出デバイス100から除去され、次いで、キャップ202を備えたサンプルコンテナ212が、吸引パック201から除去される。
【0132】
図28の実施形態では、サンプル採取デバイス100は、サンプル採取および試験を組み合わせるために使用され得る。このケースでは、サンプル採取デバイス100の中に位置付けされているサンプルコンテナ212は、流体サンプルと反応する1つまたはいくつかのバイオマーカーパッド214を含有することが可能であり、システム300による流体サンプルの直接的な分析を可能にする。化学反応は、流体サンプルの中の測定のターゲットの濃度に比例する信号、たとえば、視覚的信号(光、色など)を作り出すこととなる(非網羅的なリスト:蛍光、反射率測光など)。色の変化は、サンプル抽出デバイスのセンサー106によってキャプチャーされ、濃度へと変換される。
【0133】
図29の実施形態では、サンプル抽出デバイス200、とりわけ、サンプルコンテナ212は、IDエレメント217、たとえば、QRコード、バーコード、番号、RFタグなどを含む。
【0134】
別の実施形態では、サンプル抽出デバイス200および/またはサンプル抽出デバイス100は、データ、たとえば、血液採取データ(たとえば、血液採取の時間、採取された血液のレベルなど)、患者情報、サンプルコンテナバーコード、医師の処方データなど・・・を記憶するように配置されている。
【0135】
別の実施形態では、サンプル抽出デバイス200および/またはサンプル抽出デバイス100は、外部デバイス、とりわけ、携帯可能なデバイス(たとえば、スマートフォン、タブレットなど)によって通信するように、または、データが移送され得るクラウドサービスに通信するようにも配置されている。
【0136】
図1から図29の実施形態に図示されている異なる特徴(たとえば、トリガーエレメント209がサポートエレメント203の少なくとも一部を取り囲むハーフリングであるということ、サンプルコンテナ212がキャップ202の中へ進入するということ、切開メカニズムの線形移動など)は、必ずしも一緒に存在しているとは限らないということが留意されなければならない。換言すれば、異なる実施形態が、当業者によって想像され得、その中では、すべての図示されている特徴が一緒に存在しているとは限らない。
【0137】
図30および図31は、本発明によるサンプル採取デバイス200の別の実施形態の斜視図および断面図をそれぞれ示している。図示されている実施形態では、トリガーエレメント209は、キャップ202の上のデミリング(demi-ring)である。この実施形態では、ブレード206は、また、皮膚の垂直軸線(それは、システム300がユーザーの皮膚の上に設置されているときのピストン203の垂直軸線に対応する)に対して角度βで傾斜しており、この角度は、90°とは異なっている。これは、カッティングエレメントがユーザーの皮膚の中へより接線方向に進入することを可能にする。この実施形態では、そのうえ、キャップ202は、サンプルコンテナ212の一部の上にある。換言すれば、キャップ202は、サンプルコンテナ212の中へ進入するのではなく、むしろ、サンプルコンテナ212(とりわけ、少なくともその端部2121)がキャップ202の中へ進入する。最後に、この実施形態では、サンプルコンテナ212は、異なる直径dおよびdをそれぞれ有する少なくとも2つの部分2123、2124を含む。1つの特定の実施形態では、直径dは、上記に与えられる定義による標準的な直径である。
【0138】
図30図31の実施形態に図示されている異なる特徴(たとえば、トリガーエレメント209がキャップ202の上のデミリングであること、サンプルコンテナ212がキャップ202の中へ進入すること、サンプルコンテナ212が2つの部分2123、2124を含むこと、傾斜しているブレード206など)は、必ずしも一緒に存在しているとは限らないということが留意されなければならない。換言すれば、異なる実施形態が、当業者によって想像され得、その中では、すべての図示されている特徴が一緒に存在しているとは限らない。たとえば、トリガーエレメント209がキャップ202の上のデミリングであり、サンプルコンテナ212がキャップ202の中へ進入し、ブレード206が傾斜しているが、しかし、サンプルコンテナ212は単一の部分を含む、サンプル採取デバイス200を想像することが可能である。そのうえ、図30図31の実施形態は、他の以前にまたは後に説明される実施形態のいずれかと組み合わせられ得る。
【0139】
図32図33、および図34は、本発明によるサンプル採取デバイス100の別の実施形態の斜視図および断面図をそれぞれ示している。図示されている実施形態では、トリガーエレメント209は、図30および図31にあるような、キャップ202の上のデミリングではない。この実施形態では、トリガーエレメント209は、キャップ202の中のタブ209’であり、タブ209’は、フィンガー210’によって適切な場所に保持されている。ユーザーの皮膚は、真空によって変形されると、フィンガー210’からタブ209’を解放することによって、タブ209’を矢印F14の方向に移動させ、弾性エレメント204、ひいては、カッティングエレメント206を備えたピストン203を解放するようになっている。
【0140】
図32図33、および図34の実施形態では、ブレード206は、皮膚の垂直軸線に対して角度βで傾斜しており、この角度は、図30および図31にあるように、90°とは異なっている。この実施形態では、キャップ202は、図30および図31にあるように、サンプルコンテナ212の一部の上にある。最後に、この実施形態では、サンプルコンテナ212は、図30および図31にあるように、異なる直径dおよびdをそれぞれ有する2つの部分2123、2124を含む。繰り返しになるが、図32図33、および図34の実施形態に図示されている特徴は、必ずしも一緒に存在しているとは限らない。そのうえ、図32図33の実施形態は、他の以前にまたは後に説明される実施形態のいずれかと組み合わせられ得る。
【0141】
図35Aおよび図35Bは、本発明によるサンプル採取デバイス200の別の実施形態の断面図を示している。この実施形態では、サポートエレメント203は、突出部230を含み、突出部230は、サポートエレメントがトリガーメカニズムによって矢印F15の方向に移動させられると、キャップ202のフィンガー232と接触した状態になることとなる。これは、ユーザーの皮膚に向けて、すべてのサポートエレメント203の機械的な移動、次いで、カッティングエレメント206の機械的な移動を引き起こすこととなり、カッティングエレメントがユーザーの皮膚をカットしながらユーザーの皮膚に向けて移動することとなるようになっている。そのような方式で、より深い切り込みが、ユーザーの皮膚の中に実現され得る。突出部230および/またはフィンガー232の形状およびサイズは、カッティングエレメント206がユーザーの皮膚をカットしながら、ユーザーの皮膚に向けてのカッティングエレメント206の移動が実施されるように選択される。カッティングエレメント206が皮膚をカットしながら、ユーザーの皮膚に向けてカッティングエレメント206を移動させるために、他の手段が想像され得る。この実施形態は、他の以前にまたは後に説明される実施形態のいずれかと組み合わせられ得る。
【0142】
図36は、本発明による、ユーザーの流体のサンプルを抽出および採取するためのシステム300の別の実施形態の斜視図を示している。この実施形態では、
- システム300は、完全に消耗品である;
- 真空は、システム300の中にすでに事前にパッケージングされている;
- トリガーメカニズムは、円形移動を実施するように構成されている;
- 切開メカニズムは、円形移動を実施するように構成されている;
- 吸引パックは、採取ウィンドウの近くにおいてまたは採取ウィンドウにおいて幅の狭い開口部を含む;
- 蓋部は、浸透性でない;
- 皮膚と接触している部分は、ユーザーが接触している部分の形状とフィットするように適合されている;
- その他など。
【0143】
しかし、図36の実施形態に図示されている特徴は、必ずしも一緒に存在しているとは限らないということが留意されなければならない。換言すれば、異なる実施形態が、当業者によって想像され得、その中では、すべての図示されている特徴が一緒に存在しているとは限らない。そのうえ、図36の実施形態は、他の以前に説明されている実施形態のいずれかと組み合わせられ得る。
【0144】
図37は、図36のシステム300の実施形態の分解図を示している。この図では、以前に説明されている実施形態の中に存在する吸引パック201は、第1の吸引パック201(または、内側吸引パック201)であり、システム300は、第2の吸引パック110(または、外側吸引パック110)を含む。
【0145】
第1の吸引パック201は、キャビティー2010を含み、キャビティー2010は、サンプルコンテナ212およびキャップ202を受け入れるように配置されており、第1の厚さを有している。第2の吸引パック110は、キャビティー1100を含み、キャビティー1100は、第2の厚さを有しており、第2の厚さは、第1の厚さよりも大きくなっている。第1の吸引パック201は、第2の吸引パック110によって受け入れられるように配置されており、2つの厚さの間の差がチャンバーを生成させるようになっており、チャンバーは、製造組立ラインまたは医療施設の中で真空下に設置されている。換言すれば、このチャンバーを生成させるために第1の吸引パック201の上に第2の吸引パック110を追加することによって、事前にパッケージングされる真空が作られる。
【0146】
第1および第2の吸引パックは、第2の吸引パック110が第1の吸引パック201を受け入れると、それらが恒久的に一緒にシールされ得るように配置されている。
【0147】
図37の実施形態のシステム300は、また、ユーザーがシステム300を活性化させることを望むと、製造組立ラインまたは医療施設の中で真空下に設置されているチャンバー(以下では、第2の真空チャンバー)から第1の真空チャンバー101へ真空を移送するための手段を含む。
【0148】
1つの実施形態では、第2の吸引パック110は、その外側表面のうちの1つの上に(ボタンとして)双安定エレメントを含む。そのような双安定エレメントの例は、図38に見ることができ、図38は、図36図37のシステムの実施形態の断面図の一部を示している。
【0149】
この実施形態では、第1の吸引パック201は、また、穿孔突出部(図34の中の参照番号2014)を含む。ユーザーが双安定エレメント2012を活性化させると、たとえば、第2の吸引パック110を押すと、穿孔突出部2014は、第1の吸引パック201の上に設置されている膜208を穿孔することとなり、それによって、第1の真空チャンバーまたは採取チャンバーの中の真空を移送する。これは、液体サンプルの採取を開始させることとなる。好適な実施形態では、この膜は、非浸透性になっており、システム300の使用の前の真空移送を回避するようになっている。
【0150】
1つの実施形態では、第2の吸引パック110は、また、1つまたは複数の孔部2010を含み、1つまたは複数の孔部2010は、除去可能なキャップ140(たとえば、ゴム製の除去可能なキャップ140)によって完全にカバーされている。液体サンプルの採取を停止させるために、ユーザーは、たとえば、除去可能なキャップ140を引っ張ることによって、除去可能なキャップ140を除去することが可能であり、採取チャンバーの中の圧力を大気圧力まで低下させ、それによって、液体サンプルの採取の開始を停止させるようになっている。
【0151】
図36の例では、(除去可能な)ラベル130が、第2の吸引パック110の背面をカバーすることが可能である。
【0152】
図39は、図36のシステムの実施形態の別の断面図の別の一部を示している。図示されている実施形態では、カッティングエレメント206は、チューブ(および、キャップ202)の主中心軸線の周りの回転移動へと移動することによって、ユーザーの皮膚の中に切開部を作製する。この回転移動は、よりコンパクトなトリガーおよび切開メカニズムを有することを可能にする。実際に、カッティングエレメント206の回転移動を選ぶことによって、トリガーメカニズムの全体的な長さが低減され、キャップ202のより小さい寸法およびより小さい全体的なシステム300を可能にする。
【0153】
1つの実施形態では、キャップ202は、その上部に、1つまたは複数の変形可能なエレメント2020(図39に見ることができる)を含み、1つまたは複数の変形可能なエレメント2020は、矢印F16の方向に変形されるように配置されている。変形可能なエレメント2020は、トリガーメカニズムの一部である。真空を印加すると、皮膚は、チャンバーの中へ吸い込まれ、キャップ202の上の変形可能なエレメント2020を押し付ける。変形可能なエレメント2020を押すことによって、変形可能なエレメント2020は、(捩じり)スプリング204を以前にロードされている回転ピストン203を自由にする。
【0154】
図41Aは、図36のシステムのサンプル採取デバイスの1つの実施形態の斜視図(前側)を示している。図41Bは、図41Aのサンプル採取デバイスの実施形態の斜視図(後側)を示している。図示されている実施形態では、トリガーエレメントは、キャップ202の一部である。別の実施形態では、変形可能なエレメント2020は、補助ピースに属しており、補助ピースは、(移動可能なまたは移動不可能な方式で)キャップ202に固定されている。変形可能なエレメント2020は、皮膚とトリガーメカニズムとの間のより幅広い接触のエリアに関して、以前の変形例におけるものよりも大きくなっており、トリガーメカニズムにおいてより高い信頼性を有することを可能にする。
【0155】
この実施形態では、キャップ202は、解放ノッチ2021を含む。真空が解放されるときに、皮膚は、ノッチ2021を押すことによっておよびピストン203を自由に設定することによって、キャップ202のトリガー表面2022を押すこととなる。
【0156】
採取ウィンドウ205の長さを増加させることは、皮膚の引き伸ばしを改善することを可能にする。カッティングエレメント206の回転移動を有することは、カッティングエレメント206の並進移動の場合のように、切開部の長さが採取ウィンドウ205の長さ(ウィンドウの幅に比例する)に依存することがないということを可能にする。
【0157】
再開することによって、カッティングエレメント206の回転移動を有することは、以下の利点を可能にする。
- よりコンパクトなシステム300;
- より信頼性の高いトリガーメカニズム;
- より制御されて画定された皮膚の引き伸ばし。
【0158】
1つの実施形態では、たとえば、図36に見ることができるように、吸引パック201のキャビティー2010(採取コンテナ212を受け入れるように配置されている)は、腰のくびれた形状を有しており、それは、採取ウィンドウ205においてまたはその近くにおいて、とりわけ、切開エリアにおいてまたはその近くにおいて、より狭くなっており、皮膚のより良好な引き伸ばしを可能にするようになっている。本出願人は、皮膚が吸引パック201のキャビティー2010の縁部2011に沿って良好に変形するということに気付いた。切開エリアにおいてまたはその近くにおいて皮膚変形を最大化するために、吸引パック201のキャビティー2010の縁部は、それをより狭くすることによって、切開エリアのより近くに配置されている。
【0159】
図42は、腕としてのユーザーの一部分の近くに設置されたときの、本発明によるシステム300の上面図を示している。この実施形態では、皮膚と接触した状態の吸引パック201は、腕400の形状および/または湾曲にフィットする形状および/または湾曲2013を有しており、皮膚と吸引パック201との間のより良好なシールを確保するようになっている。別の実施形態では(図示されていない)、この形状および/またはこの湾曲は、ユーザーによって適合または変化させられ得、ユーザー(とりわけ、若いユーザー)とより良好にフィットするようになっている。
【符号の説明】
【0160】
100 サンプル抽出デバイス
101 真空チャンバー
102 バルブ制御メカニズム
103 ガスケット
104 バルブ
105 電子ボード
106 センサー
107 サンプル採取デバイスポート
108 真空生成メカニズム
109 真空生成メカニズムのシャフト
110 第2の吸引パック
120 第1の接続手段
130 第2の吸引パックのラベル
140 第2の吸引パックの中のキャップ
200 サンプル採取デバイス
201 吸引パックまたは第1の吸引パック
202 キャップ
203 サポートエレメント
204 弾性エレメント
205 採取ウィンドウ
206 カッティングエレメント
207 蓋部
208 膜
209 トリガーエレメント
210 突出部(フィンガー)
211 キャビティー(フィンガーとインターフェース接続される)
212 血液採取コンテナ
213 シーリング縁部
214 バイオマーカーパッド
215 キャップの開口部
216 カッティングエレメントを受け入れる第2のキャップ部分の中のキャビティー
217 IDエレメント
218 吸引パックの中の開口部
219 縁部
219’ シーリング縁部
220 第2の接続手段
230 突出部
232 フィンガー
300 システム
400 ユーザーのパーツ
401 カットされることとなるユーザーの変形されたパーツ
402 ユーザーの変形されたパーツ
410 切開部
500 サンプル
1100 第2の吸引パックのキャビティー
2010 第2の吸引パックの孔部
2011 第1の吸引パックの縁部
2012 双安定エレメント
2013 第1の吸引パックの湾曲
2014 穿孔突出部
2010 第1の吸引パックのキャビティー
2020 変形可能なエレメント
2021 キャップのノッチ
2022 キャップのトリガー表面
2121 サンプルコンテナの開放端部
2122 サンプルコンテナの閉鎖端部
2123 第1のサンプルコンテナ部分
2124 第2のサンプルコンテナ部分
2021 第1のキャップ部分
2022 第2のキャップ部分
2120 サンプルコンテナの開放端部
g 重力
Fi 矢印(i=1、2、・・・)
a システム300の主方向
θ 垂直方向の方向(重力方向)とシステム300の主方向との間の角度
α カッティングエレメントの第1の角度
β カッティングエレメントの第2の角度
P 接触ポイントまたは領域
d1 第1のサンプルコンテナ部分の直径
d2 第2のサンプルコンテナ部分の直径
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