(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-15
(45)【発行日】2024-02-26
(54)【発明の名称】電池モジュール
(51)【国際特許分類】
H01M 50/289 20210101AFI20240216BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20240216BHJP
H01M 10/6554 20140101ALI20240216BHJP
H01M 10/647 20140101ALI20240216BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20240216BHJP
H01M 50/209 20210101ALI20240216BHJP
H01M 50/262 20210101ALI20240216BHJP
H01M 50/204 20210101ALI20240216BHJP
H01M 50/55 20210101ALI20240216BHJP
【FI】
H01M50/289 101
H01M10/613
H01M10/6554
H01M10/647
H01M10/625
H01M50/209
H01M50/262 M
H01M50/262 S
H01M50/204 401H
H01M50/55 101
(21)【出願番号】P 2020572096
(86)(22)【出願日】2019-12-09
(86)【国際出願番号】 JP2019048020
(87)【国際公開番号】W WO2020166182
(87)【国際公開日】2020-08-20
【審査請求日】2022-10-07
(31)【優先権主張番号】P 2019022829
(32)【優先日】2019-02-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001889
【氏名又は名称】三洋電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123102
【氏名又は名称】宗田 悟志
(72)【発明者】
【氏名】江頭 拓也
(72)【発明者】
【氏名】高田 浩志
【審査官】梅野 太朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-169373(JP,A)
【文献】特開2019-009084(JP,A)
【文献】特開2015-082391(JP,A)
【文献】特開2017-091948(JP,A)
【文献】国際公開第2015/145927(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0333383(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M50/20、50/50
H01M10/613、10/647、10/6554
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層された複数の電池を有する電池積層体と、
前記電池積層体に沿って電池の積層方向に延びる平面部を有し、前記複数の電池を前記積層方向に挟み込む金属製の拘束部材と、
絶縁性を有し、前記拘束部材と前記電池積層体とを絶縁するサイドセパレータと、を備え、
前記サイドセパレータは、
前記電池積層体に沿って前記積層方向に延びるとともに前記電池積層体と前記平面部との間に介在する第1部分と、
前記平面部の面内方向で且つ前記積層方向と交わる第1方向における前記第1部分の一方の端部領域から前記電池積層体側に突出し、前記第1方向における前記第1部分の他方の端部領域側に前記複数の電池を付勢する付勢部と、を有
し、
前記付勢部は、前記積層方向において各電池に対応する位置に配置される複数の舌片部であって隣り合う各舌片部どうしが互いの間に介在する空間により互いに分離している複数の舌片部と、各舌片部から各電池に向けて突出して各電池に当接する接触部と、を有することを特徴とする電池モジュール。
【請求項2】
前記複数の電池はそれぞれ、一対の出力端子が配置される端子配置面と、前記端子配置面と対向する底面と、を有し、
前記付勢部は、各電池の前記端子配置面または前記底面に当接する請求項
1に記載の電池モジュール。
【請求項3】
前記電池積層体と前記第1方向に配列されるとともに前記第1方向における前記第1部分の他方の端部領域側に配置され、前記電池積層体に熱的に接続される冷却プレートを備え、
前記付勢部は、前記複数の電池を前記冷却プレートに向けて付勢する請求項1
または2に記載の電池モジュール。
【請求項4】
前記電池積層体と前記冷却プレートとの間に介在する絶縁性の熱伝導層を備える請求項
3に記載の電池モジュール。
【請求項5】
前記拘束部材は、前記第1方向における前記平面部の両側の端部領域から前記電池積層体側に突出し、前記電池積層体および前記冷却プレートを前記第1方向に挟み込む一対の腕部を有し、
前記サイドセパレータは、前記第1部分の前記一方の端部領域から前記電池積層体側に突出するとともに前記電池積層体と一方の前記腕部との間に介在する第2部分と、前記第1部分の前記他方の端部領域から前記電池積層体側に突出するとともに前記冷却プレートと他方の前記腕部との間に介在する第3部分と、を有し、
前記付勢部は、前記第2部分と前記電池積層体との間に延在する請求項
3または
4に記載の電池モジュール。
【請求項6】
前記拘束部材は、前記第1方向における前記平面部の両側の端部領域から前記電池積層体側に突出し、前記電池積層体を前記第1方向に挟み込む一対の腕部を有し、
前記付勢部は、一方の前記腕部と前記電池積層体との間に配置され、他方の前記腕部に向けて前記複数の電池を付勢する請求項1
または2に記載の電池モジュール。
【請求項7】
前記電池積層体は、前記第1方向における前記他方の端部領域側が前記電池モジュールを設置するための台座に向くようにして前記台座に載置され、
前記付勢部は、前記台座に向けて前記複数の電池を付勢する請求項1
または2に記載の電池モジュール。
【請求項8】
前記複数の電池はそれぞれ、開口を有する外装缶と、前記開口を塞ぐ封口板と、前記開口および前記封口板を固定する接合部と、を有し、
前記付勢部は、前記封口板における前記接合部の内側の領域に当接する請求項1乃至
7のいずれか1項に記載の電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば車両用等の、高い出力電圧が要求される電源として、複数個の電池が電気的に接続された電池モジュールが知られている。このような電池モジュールに関して、特許文献1には、積層された複数の電池を有する電池積層体と、電池の積層方向における電池積層体の両端に配置される一対のエンドプレートと、一対のエンドプレート間に掛け渡されて、複数の電池を積層方向に拘束するバインドバーと、電池積層体の底面に接続される冷却プレートと、を備えた電池モジュールが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電池モジュールでは、各電池どうしの電気的接続を確保するために、各電池が精度よく位置決めされた状態を維持することが望ましい。各電池の位置ずれを抑制する方法としては、バインドバーの拘束力を強めることが考えられる。しかしながら一般に電池は、使用にともなって膨張する傾向がある。電池積層体がバインドバーで拘束された状態で電池が膨張すると、各電池に負荷がかかる。この負荷が過剰になれば、電池が破損するおそれがある。これに対し、膨張により過剰な負荷が電池にかからないようにバインドバーの拘束力を抑えると、各電池の位置ずれが生じやすくなる。特に電池の膨張量が小さいときに、積層方向と直交する方向に電池がずれやすくなる。
【0005】
また、電池モジュールが車両に搭載される場合、車両の振動によって電池の位置ずれがより起こりやすい。さらに、近年は電池モジュールのさらなる高容量化が求められており、この要求を満たすために電池の高容量化が進んでいる。電池が高容量化すると、電池の膨張量も大きくなる傾向にある。膨張量の増大を考慮してバインドバーの寸法を設計すると、電池の低膨張時に位置ずれがますます起こりやすくなる。
【0006】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、電池にかかる負荷の増大を抑制しながら電池の位置ずれを抑制する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様は、電池モジュールである。この電池モジュールは、積層された複数の電池を有する電池積層体と、電池積層体に沿って電池の積層方向に延びる平面部を有し、複数の電池を積層方向に挟み込む金属製の拘束部材と、絶縁性を有し、拘束部材と電池積層体とを絶縁するサイドセパレータと、を備える。サイドセパレータは、電池積層体に沿って積層方向に延びるとともに電池積層体と平面部との間に介在する第1部分と、平面部の面内方向で且つ積層方向と交わる第1方向における第1部分の一方の端部領域から電池積層体側に突出し、第1方向における第1部分の他方の端部領域側に複数の電池を付勢する付勢部と、を有する。
【0008】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、電池にかかる負荷の増大を抑制しながら電池の位置ずれを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態に係る電池モジュールの斜視図である。
【
図3】サイドセパレータを水平方向から見た図である。
【
図4】サイドセパレータを積層方向から見た図である。
【
図5】
図5(A)および
図5(B)は、サイドセパレータの付勢部を含む領域を拡大して示す斜視図である。
【
図6】電池モジュールのサイドセパレータを含む領域を拡大して示す断面図である。
【
図7】電池モジュールの付勢部を含む領域を拡大して示す断面図である。
【
図8】電池と付勢部とが当接する様子を示す模式図である。
【
図9】変形例1に係る電池モジュールの冷却プレートを含む領域を拡大して示す断面図である。
【
図10】変形例2に係る電池モジュールの台座側の領域を拡大して示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図に示す各部の縮尺や形状は、説明を容易にするために便宜的に設定されており、特に言及がない限り限定的に解釈されるものではない。また、本明細書または請求項中に「第1」、「第2」等の用語が用いられる場合には、特に言及がない限りこの用語はいかなる順序や重要度を表すものでもなく、ある構成と他の構成とを区別するためのものである。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0012】
図1は、実施の形態に係る電池モジュールの斜視図である。
図2は、電池モジュールの分解斜視図である。なお、
図1では、サイドセパレータ10の構造を簡略化して図示している。電池モジュール1は、電池積層体2と、一対のエンドプレート4と、冷却プレート6と、熱伝導層8と、サイドセパレータ10と、拘束部材12と、を備える。
【0013】
電池積層体2は、複数の電池14と、セル間セパレータ16と、を有する。各電池14は、例えば、リチウムイオン電池、ニッケル-水素電池、ニッケル-カドミウム電池等の充電可能な二次電池である。各電池14は、いわゆる角形電池であり、扁平な直方体形状の外装缶18を有する。外装缶18の一面には図示しない略長方形状の開口が設けられ、この開口を介して外装缶18に電極体や電解液等が収容される。外装缶18の開口には、開口を塞ぐ封口板20が設けられる。
【0014】
封口板20には、長手方向の一端寄りに正極の出力端子22が配置され、他端寄りに負極の出力端子22が配置される。したがって、封口板20は、一対の出力端子22が配置される端子配置面20aを構成する。一対の出力端子22はそれぞれ、電極体を構成する正極板、負極板と電気的に接続される。以下では適宜、正極の出力端子22を正極端子22aと称し、負極の出力端子22を負極端子22bと称する。また、出力端子22の極性を区別する必要がない場合、正極端子22aと負極端子22bとをまとめて出力端子22と称する。
【0015】
外装缶18、封口板20および出力端子22は導電体であり、例えば金属製である。封口板20と外装缶18の開口とは、例えばレーザー溶接により接合される。このため、電池14は、外装缶18の開口および封口板20の周縁部を固定する接合部21を有する。各出力端子22は、封口板20に形成された貫通孔(図示せず)に挿通される。各出力端子22と各貫通孔との間には、絶縁性のシール部材(図示せず)が介在する。また、各電池14は、端子配置面20aと対向する底面23を有する。
【0016】
本実施の形態では、説明の便宜上、端子配置面20aを電池14の上面、底面23を電池14の下面とする。したがって、端子配置面20aは底面23よりも鉛直方向上方に位置し、底面23は端子配置面20aよりも鉛直方向下方に位置する。また、電池14は、上面および下面をつなぐ2つの主表面を有する。この主表面は、電池14が有する6つの面のうち面積の最も大きい面である。また、主表面は、上面および下面の長辺に接続される長側面である。上面、下面および2つの主表面を除いた残り2つの面は、電池14の側面とする。この側面は、上面および下面の短辺に接続される短側面である。
【0017】
また、説明の便宜上、電池積層体2において電池14の上面側の面を電池積層体2の上面とし、電池14の下面側の面を電池積層体2の下面とし、電池14の短側面側の面を電池積層体2の側面とする。これらの方向および位置は、便宜上規定したものである。したがって、例えば、本発明において上面と規定された部分は、下面と規定された部分よりも必ず上方に位置することを意味するものではない。
【0018】
封口板20には、一対の出力端子22の間に弁部24が設けられる。弁部24は、安全弁とも呼ばれ、電池14の内部のガスを放出するための機構である。弁部24は、外装缶18の内圧が所定値以上に上昇した際に開弁して、内部のガスを放出できるように構成される。弁部24は、例えば、封口板20の一部に設けられる、他部よりも厚さが薄い薄肉部と、この薄肉部の表面に形成される線状の溝とで構成される。この構成では、外装缶18の内圧が上昇すると、溝を起点に薄肉部が裂けることで開弁される。各電池14の弁部24は、後述する排気ダクト38に接続され、電池内部のガスは弁部24から排気ダクト38に排出される。
【0019】
また、各電池14は、絶縁フィルム26を有する。絶縁フィルム26は、例えば筒状のシュリンクチューブであり、外装缶18を内部に通した後に加熱される。これにより、絶縁フィルム26は収縮し、外装缶18の2つの主表面、2つの側面および底面23を被覆する。絶縁フィルム26により、隣り合う電池14間、あるいは電池14とエンドプレート4との間の短絡を抑制することができる。
【0020】
複数の電池14は、隣り合う電池14の主表面同士が対向するようにして所定の間隔で積層される。なお、「積層」は、任意の1方向に複数の部材を並べることを意味する。したがって、電池14の積層には、複数の電池14を水平に並べることも含まれる。本実施の形態では、電池14は水平に積層されている。したがって、電池14の積層方向Xは、水平に延びる方向である。以下では適宜、水平で且つ積層方向Xに垂直な方向を水平方向Yとし、積層方向Xおよび水平方向Yに対し垂直な方向を鉛直方向Zとする。
【0021】
また、各電池14は、出力端子22が同じ方向を向くように配置される。本実施の形態の各電池14は、出力端子22が鉛直方向上方を向くように配置される。隣接する2つの電池14は、一方の電池14の正極端子22aと他方の電池14の負極端子22bとが隣り合うように積層される。この状態で、各電池14における一対の出力端子22は水平方向Yに並び、各電池14の端子配置面20aおよび底面23は鉛直方向Zに並ぶ。
【0022】
セル間セパレータ16は、絶縁スペーサとも呼ばれ、例えば絶縁性を有する樹脂シートからなる。セル間セパレータ16を構成する樹脂としては、ポリプロピレン(PP)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリカーボネート(PC)、ノリル(登録商標)樹脂(変性PPE)等の熱可塑性樹脂が例示される。セル間セパレータ16は、隣接する2つの電池14の間に配置されて、当該2つの電池14間を電気的に絶縁する。
【0023】
電池積層体2は、一対のエンドプレート4で挟まれる。一対のエンドプレート4は、電池14の積層方向Xにおける電池積層体2の両端に配置される。一対のエンドプレート4は、積層方向Xにおける両端に位置する電池14と、外端セパレータ5を介して隣り合う。外端セパレータ5は、セル間セパレータ16と同じ樹脂材料で構成することができる。各エンドプレート4は、鉄、ステンレス鋼、アルミニウム等の金属で構成される金属板である。エンドプレート4と電池14との間に外端セパレータ5が介在することで、両者が絶縁される。
【0024】
各エンドプレート4は、水平方向Yを向く2つの面に締結孔4aを有する。本実施の形態では、3つの締結孔4aが鉛直方向Zに所定の間隔をあけて配置されている。締結孔4aが設けられる面は、拘束部材12の後述する平面部54と対向する。
【0025】
電池積層体2の上面には、バスバープレート28が載置される。バスバープレート28は、複数の電池14における端子配置面20aを覆う板状の部材である。バスバープレート28は、各電池14の弁部24に対応する位置に、弁部24を露出させる複数の開口部32を有する。また、バスバープレート28は、開口部32の上方を覆うダクト天板34と、開口部32の側方を囲う側壁36と、を有する。ダクト天板34が側壁36の上端に固定されることで、バスバープレート28に排気ダクト38が形成される。各弁部24は、開口部32を介して排気ダクト38に連通される。
【0026】
また、バスバープレート28は、各電池14の出力端子22に対応する位置に、出力端子22を露出させる開口部40を有する。各開口部40には、バスバー42が載置される。複数のバスバー42は、バスバープレート28によって支持される。各開口部40に載置されたバスバー42によって、隣り合う電池14の正極端子22aと負極端子22bとが電気的に接続される。
【0027】
バスバー42は、銅やアルミニウム等の金属で構成される略帯状の部材である。バスバー42は、一方の端部が一方の電池14の正極端子22aに接続され、他方の端部が他方の電池14の負極端子22bに接続される。なお、バスバー42は、隣接する複数個の電池14における同極性の出力端子22どうしを並列接続して電池ブロックを形成し、さらに電池ブロックどうしを直列接続してもよい。
【0028】
積層方向Xにおいて両端に位置する電池14の出力端子22に接続されるバスバー42は、外部接続端子44を有する。外部接続端子44は、後述するトップカバー60の端子部62に電気的に接続される。外部接続端子44は、端子部62を介して外部負荷(図示せず)に接続される。また、バスバープレート28には、電圧検出線46が載置される。電圧検出線46は、複数の電池14に電気的に接続されて各電池14の電圧を検出する。電圧検出線46は、複数の導線(図示せず)を有する。各導線は、一端が各バスバー42に接続され、他端がコネクタ48に接続される。コネクタ48は、外部の電池ECU(図示せず)等に接続される。電池ECUは、各電池14の電圧等の検知、各電池14の充放電等を制御する。
【0029】
冷却プレート6は、アルミニウム等の熱伝導性の高い材料で構成される。冷却プレート6は、電池積層体2に熱的に接続されて、つまり電池積層体2に熱交換可能に接続されて、各電池14を冷却する。本実施の形態では、冷却プレート6の主表面に電池積層体2が載置される。電池積層体2は、下面が冷却プレート6側を向くようにして、冷却プレート6に載置される。したがって、電池積層体2と冷却プレート6とは鉛直方向Zに並ぶ。冷却プレート6は、電池モジュール1の外部、例えば電池モジュール1が搭載される車両の車体等に熱交換可能に接続されてもよい。また、冷却プレート6は、水やエチレングリコール等の冷媒が流れる流路を内部に有してもよい。これらにより、電池積層体2と冷却プレート6との熱交換効率をより高めることができ、ひいては電池14の冷却効率をより高めることができる。
【0030】
本実施の形態では、電池積層体2と冷却プレート6との間に絶縁性の熱伝導層8が介在する。つまり、冷却プレート6は、熱伝導層8を介して電池積層体2に熱的に接続される。熱伝導層8は、電池積層体2の底面全体を覆っている。熱伝導層8の熱伝導率は空気の熱伝導率よりも高い。熱伝導層8は、例えばアクリルゴムシートやシリコーンゴムシート等の、良好な熱伝導性を有する公知の樹脂シート等で構成することができる。
【0031】
熱伝導層8を電池積層体2と冷却プレート6との間に介在させることで、各電池14の冷却効率を高めることができるとともに、各電池14をより均一に冷却することができる。また、熱伝導層8が絶縁性を有することで、電池積層体2と冷却プレート6とが電気的に接続されてしまうことを回避することができる。さらに、熱伝導層8によって、電池積層体2および冷却プレート6の配列方向と垂直な方向における電池積層体2と冷却プレート6とのずれを抑制することができる。本実施の形態では、電池積層体2と冷却プレート6とは鉛直方向Zに配列されるため、熱伝導層8によってXY平面の延在方向における電池積層体2と冷却プレート6とのずれを抑制することができる。
【0032】
サイドセパレータ10は、絶縁性を有し、拘束部材12と電池積層体2とを絶縁するための部材である。本実施の形態では、水平方向Yに一対のサイドセパレータ10が配列される。各サイドセパレータ10は、電池14の積層方向Xに長い長尺状である。一対のサイドセパレータ10の間には、電池積層体2、一対のエンドプレート4、冷却プレート6および熱伝導層8が配置される。各サイドセパレータ10は、例えば絶縁性を有する樹脂からなる。サイドセパレータ10を構成する樹脂としては、セル間セパレータ16と同様に、ポリプロピレン(PP)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリカーボネート(PC)、ノリル(登録商標)樹脂(変性PPE)等の熱可塑性樹脂が例示される。
【0033】
本実施の形態のサイドセパレータ10は、第1部分50と、第2部分51と、第3部分52と、付勢部53(
図3等参照)と、を有する。第1部分50は、矩形の平板状であり、電池積層体2の側面に沿って電池14の積層方向Xに延びる。第2部分51は、積層方向Xに延びる帯状であり、第1方向における第1部分50の一方の端部領域から電池積層体2側(水平方向Yにおける電池モジュール1の内側)に突出する。第3部分52は、積層方向Xに延びる帯状であり、第1方向における第1部分50の他方の端部領域から電池積層体2側に突出する。
【0034】
前記「第1方向」は、後述する平面部54の面内方向で且つ積層方向Xと交わる方向である。本実施の形態では、平面部54が積層方向Xおよび鉛直方向Zに延在するため、平面部54の面内方向はXZ平面の延在方向である。したがって、XZ平面の延在方向で且つ積層方向Xと交わる第1方向は、鉛直方向Zである。また、本実施の形態では、一方の端部領域は鉛直方向上側の端部領域であり、他方の端部領域は鉛直方向下側の端部領域である。さらに、本実施の形態では、第2部分51は第1部分50の上端から電池積層体2側に突出し、第3部分52は第1部分50の下端から電池積層体2側に突出する。付勢部53の構造については後に詳細に説明する。
【0035】
拘束部材12は、バインドバーとも呼ばれ、電池14の積層方向Xに長い長尺状の部材である。本実施の形態では、水平方向Yに一対の拘束部材12が配列される。各拘束部材12は金属製である。拘束部材12を構成する金属としては、鉄やステンレス鋼等が例示される。一対の拘束部材12の間には、電池積層体2、一対のエンドプレート4、冷却プレート6、熱伝導層8および一対のサイドセパレータ10が配置される。
【0036】
本実施の形態の拘束部材12は、平面部54と、一対の腕部56と、を有する。平面部54は矩形状であり、電池積層体2の側面に沿って積層方向Xに延びる。一対の腕部56は、鉛直方向Zにおける平面部54の両側の端部領域から電池積層体2側に突出する。つまり、一方の腕部56は、平面部54の上辺から電池積層体2側に突出し、他方の腕部56は、平面部54の下辺から電池積層体2側に突出する。したがって、一対の腕部56は、電池積層体2および冷却プレート6の配列方向で互いに対向する。一対の腕部56の間には、電池積層体2、冷却プレート6、熱伝導層8およびサイドセパレータ10が配置される。
【0037】
平面部54における各エンドプレート4と対向する領域には、コンタクトプレート68が溶接等により固定される。コンタクトプレート68は、鉛直方向Zに長い部材である。コンタクトプレート68には、エンドプレート4の締結孔4aに対応する位置に、コンタクトプレート68を水平方向Yに貫通する貫通孔70が設けられる。また、平面部54は、コンタクトプレート68の貫通孔70に対応する位置に、平面部54を水平方向Yに貫通する貫通孔58を有する。
【0038】
各拘束部材12の平面部54に一対のエンドプレート4が係合することで、複数の電池14が積層方向Xに挟み込まれる。具体的には、複数の電池14と複数のセル間セパレータ16とが交互に配列されて電池積層体2が形成され、電池積層体2が外端セパレータ5を介して一対のエンドプレート4で積層方向Xに挟まれる。また、電池積層体2の下面に熱伝導層8が配置され、さらに熱伝導層8を挟んで電池積層体2と対向するように冷却プレート6が配置される。この状態で、電池積層体2、一対のエンドプレート4、冷却プレート6および熱伝導層8が、一対のサイドセパレータ10で水平方向Yに挟まれる。さらに、一対のサイドセパレータ10の外側から、一対の拘束部材12が全体を水平方向Yに挟み込む。
【0039】
一対のエンドプレート4と一対の拘束部材12とは、締結孔4a、貫通孔70および貫通孔58が重なり合うように、互いに位置合わせされる。そして、ねじ等の締結部材59が貫通孔58および貫通孔70に挿通され、締結孔4aに螺合される。これにより、一対のエンドプレート4と一対の拘束部材12とが固定される。一対のエンドプレート4と一対の拘束部材12とが係合されることで、複数の電池14は、積層方向Xにおいて締め付けられて拘束される。これにより、各電池14は、積層方向Xにおいて位置決めされる。
【0040】
また、拘束部材12は、複数の電池14を積層方向Xに挟み込むとともに、電池積層体2、熱伝導層8および冷却プレート6をこれらの配列方向に挟み込む。具体的には、拘束部材12は、電池14の積層方向Xにおける平面部54の両端部が一対のエンドプレート4と係合することで、複数の電池14を積層方向Xに挟み込む。また、拘束部材12は、一対の腕部56で電池積層体2、熱伝導層8および冷却プレート6を鉛直方向Zに挟み込む(
図6参照)。つまり、拘束部材12は、複数の電池14を締結する機能と、電池積層体2と冷却プレート6とを締結する機能とを兼ね備えている。したがって、電池積層体2と冷却プレート6とは、従来の構造とは異なり、ねじで非締結である。
【0041】
一対の腕部56によって電池積層体2、熱伝導層8および冷却プレート6が鉛直方向Zに挟み込まれた状態で、熱伝導層8は、電池積層体2および冷却プレート6に押圧されて、弾性変形または塑性変形する。これにより、電池積層体2と冷却プレート6との熱的な接続をより確実に得ることができる。また、電池積層体2全体の冷却の均一化を図ることができる。さらに、電池積層体2と冷却プレート6とのXY平面方向のずれをより一層抑制することができる。
【0042】
一例として、これらの組み付けが完了した後に、電池積層体2にバスバープレート28が載置される。そして、各電池14の出力端子22にバスバー42が取り付けられて、複数の電池14の出力端子22どうしが電気的に接続される。例えばバスバー42は、溶接により出力端子22に固定される。
【0043】
バスバープレート28の上面には、トップカバー60が積層される。トップカバー60により、電池14の出力端子22や弁部24、バスバー42等への結露水や塵埃等の接触が抑制される。トップカバー60は、例えば絶縁性を有する樹脂からなる。トップカバー60は、鉛直方向Zで外部接続端子44と重なる位置に、端子部62を有する。トップカバー60は、例えばスナップフィットによりバスバープレート28に固定される。トップカバー60がバスバープレート28に載置された状態で、外部接続端子44と端子部62とが接続される。
【0044】
図3は、サイドセパレータ10を水平方向Yから見た図である。
図4は、サイドセパレータ10を積層方向Xから見た図である。
図5(A)および
図5(B)は、サイドセパレータ10の付勢部53を含む領域を拡大して示す斜視図である。
図6は、電池モジュール1のサイドセパレータ10を含む領域を拡大して示す断面図である。
図7は、電池モジュール1の付勢部53を含む領域を拡大して示す断面図である。
図6および
図7では、電池14の内部構造の図示を省略している。
【0045】
サイドセパレータ10は、上述の通り第1部分50と、第2部分51と、第3部分52と、付勢部53と、を有する。第1部分50は、電池積層体2の側面に沿って電池14の積層方向Xに延びる。拘束部材12の平面部54は、第1部分50の外側で、電池積層体2の側面に沿って積層方向Xに延びる。したがって、第1部分50は、電池積層体2の側面と拘束部材12の平面部54との間に介在する。これにより、各電池14の側面と平面部54とが電気的に絶縁される。
【0046】
第1部分50の電池積層体2側を向く面には、電池14の側面に向かって突出する凸部72が設けられる。本実施の形態では、鉛直方向Zに長い帯状の凸部72が、積層方向Xおよび鉛直方向Zに所定の間隔をあけてマトリクス状に配列されている。各凸部72は、サイドセパレータ10が電池積層体2に組み付けられた状態で、各電池14の側面に当接する。これにより、各電池14と第1部分50との間には隙間が形成される。
【0047】
結露等に起因して電池14の上面に生じる水は、重力により電池14と第1部分50との隙間を伝って電池14の下面側に流れ落ちる。電池14の下面側に流れた水は、拘束部材12の下側の腕部56や冷却プレート6等に付着する可能性がある。各電池14の側面と第1部分50との隙間が毛細管現象による水の移動を生じさせる大きさであった場合、電池14の下面側に流れ落ちた水が毛細管現象によって隙間内で上方に延び拡がるおそれがある。この場合、出力端子22と拘束部材12の下部や冷却プレート6との間に水を介した導電経路が形成され、これらが短絡してしまうおそれがある。このような短絡を抑制するために、各電池14と第1部分50との間の隙間は、毛細管現象による水の移動を抑制する大きさに設定される。
【0048】
第2部分51は、第1部分50の上端から電池積層体2側に突出し、電池積層体2の上面、言い換えれば電池14の端子配置面20aと鉛直方向Zに所定の間隔をあけて延在する。拘束部材12における平面部54の上端から突出する腕部56は、第2部分51の外側で、電池積層体2の上面に沿って延在する。したがって、第2部分51は、電池積層体2の上面と拘束部材12の一方の腕部56、つまり上側の腕部56との間に介在する。これにより、各電池14と一方の腕部56とが電気的に絶縁される。
【0049】
第2部分51には、折り返し部64が設けられる。折り返し部64は、第2部分51の電池積層体2側の先端から、水平方向Yにおける電池モジュール1の外側に向かって延びる。第2部分51と折り返し部64との間には鉛直方向Zに所定の間隔が設けられ、拘束部材12の上側の腕部56は、第2部分51と折り返し部64との間の空間に差し込まれる。したがって、上側の腕部56の先端は、サイドセパレータ10で包み込まれる。
【0050】
また、第2部分51には、ストッパ66が設けられる。ストッパ66は、第2部分51の電池積層体2側の先端に設けられる凸部で構成される。ストッパ66は、第2部分51の電池14側を向く面から電池14側に突き出る。バスバープレート28は、第2部分51と対向する面に、水平方向Yにおける電池モジュール1の外側に向かって突出する凸部28aを有する。凸部28aはストッパ66よりも下側に位置し、凸部28aとストッパ66とは鉛直方向Zから見て少なくとも一部が重なる。バスバープレート28の変位や変形によってバスバープレート28の水平方向Yにおける端部が上方に変位すると、凸部28aとストッパ66とが係合する。これにより、バスバープレート28の変形や変位が規制される。
【0051】
第3部分52は、第1部分50の下端から電池積層体2側に突出し、冷却プレート6の下側、つまり電池積層体2とは反対側の主表面に当接する。拘束部材12における平面部54の下端から突出する腕部56は、第3部分52の外側で、冷却プレート6の下側の主表面に沿って延在する。したがって、第3部分52は、冷却プレート6と拘束部材12の他方の腕部56、つまり下側の腕部56との間に介在する。これにより、冷却プレート6と他方の腕部56とが電気的に絶縁される。
【0052】
第3部分52には、冷却プレート6の位置決め部74が設けられる。位置決め部74は、冷却プレート6の水平方向Yにおける端部の形状に対応する窪みを有する。電池積層体2、熱伝導層8および冷却プレート6の積層体に一対のサイドセパレータ10が組み付けられた状態で、冷却プレート6の水平方向Yにおける端部が位置決め部74に嵌め合わされる。冷却プレート6は、位置決め部74に嵌め合わされることで、積層方向Xおよび水平方向Yにおいて位置決めされる。
【0053】
付勢部53は、鉛直方向Zにおける第1部分50の一方の端部領域から電池積層体2側に突出する。本実施の形態の付勢部53は、第1部分50の上側の端部領域から電池積層体2側に突出している。付勢部53は、電池積層体2の上面よりも上方において、電池積層体2側に突出する。サイドセパレータ10が電池積層体2に組み付けられた状態で、付勢部53は、鉛直方向Zにおける第1部分50の他方の端部領域側、すなわち下方に複数の電池14を付勢する。
【0054】
本実施の形態の電池モジュール1では、電池積層体2と冷却プレート6とが鉛直方向Zに配列されている。また、冷却プレート6は、鉛直方向Zにおける第1部分50の他方の端部領域側、つまり第1部分50の下側に配置されている。よって、付勢部53は、複数の電池14を冷却プレート6に向けて付勢する。これにより、複数の電池14は、鉛直方向Zにおいて互いの位置が揃えられる。
【0055】
また、本実施の形態の付勢部53は、複数の舌片部53aと、各舌片部53aに設けられる接触部53bと、を有する。複数の舌片部53aは、積層方向Xに所定の間隔をあけて配列されて、第1部分50から電池積層体2側に突出する。接触部53bは、各舌片部53aの電池積層体2と対向する表面から電池積層体2側に突出する。付勢部53は、電池積層体2に含まれる電池14の数と同数の舌片部53aを有する。そして、各舌片部53aは、積層方向Xにおいて各電池14に対応する位置に配置される。つまり、複数の舌片部53aは、各舌片部53aと各電池14とが鉛直方向Zで重なるように配列されている。そして、各接触部53bが各舌片部53aから各電池14に向けて突出し、各電池14に当接する。
【0056】
本実施の形態の付勢部53は、各電池14の端子配置面20aに当接する。具体的には、各接触部53bが各電池14の端子配置面20aに当接する。付勢部53が電池14の端子配置面20aを鉛直方向Zに付勢することで、各電池14の端子配置面20aの鉛直方向Zにおける位置ずれを規制することができる。
【0057】
また、付勢部53は、鉛直方向Zにおける第2部分51と電池積層体2との間に延在する。付勢部53の各舌片部53aと第2部分51との間には、隙間G1が設けられる。また、各舌片部53aと各電池14の端子配置面20aとの間には、隙間G2が設けられる。つまり、付勢部53は、鉛直方向Zにおいて第2部分51から離間し、また接触部53bのみが端子配置面20aに当接している。したがって、付勢部53は、舌片部53aの基端部(第1部分50側の端部)を支点として鉛直方向Zに弾性変形することができる。
【0058】
サイドセパレータ10が電池積層体2に組み付けられた状態で、各電池14の端子配置面20aによって接触部53bが押し上げられることで、各舌片部53aは第2部分51に近づく方向に弾性変形する。これにより、付勢部53は、各電池14を冷却プレート6に向けて付勢する付勢力Pを生じさせる。つまり、付勢部53は、板ばねとして機能する。この付勢力Pが各電池14に入力されることで、各電池14の鉛直方向Zの変位が抑制される。また、車両の振動等によって電池14が鉛直方向Zに変位しようとした場合、付勢部53は鉛直方向Zに弾性変形して電池14からの入力を吸収しながら端子配置面20aを押圧する。これにより、付勢部53によって電池14に過剰な負荷がかかることを回避することができる。
【0059】
また、
図8に示すように、付勢部53は、封口板20における接合部21の内側の領域に当接する。
図8は、電池14と付勢部53とが当接する様子を示す模式図である。つまり、付勢部53の各接触部53bは、各電池14の接合部21に非接触である。これにより、付勢部53により発生する付勢力Pが接合部21に直に入力されることを回避することができる。
【0060】
以上説明したように、本実施の形態に係る電池モジュール1は、積層された複数の電池14を有する電池積層体2と、電池積層体2に沿って電池14の積層方向Xに延びる平面部54を有し、複数の電池14を積層方向Xに挟み込む金属製の拘束部材12と、絶縁性を有し、拘束部材12と電池積層体2とを絶縁するサイドセパレータ10と、を備える。サイドセパレータ10は、電池積層体2に沿って積層方向Xに延びるとともに電池積層体2と平面部54との間に介在する第1部分50と、平面部54あるいは第1部分50の面内方向で且つ積層方向Xと交わる第1方向における第1部分50の一方の端部領域から電池積層体2側に突出し、第1方向における第1部分50の他方の端部領域側に複数の電池14を付勢する付勢部53と、を有する。
【0061】
このように、サイドセパレータ10の付勢部53によって各電池14を付勢することで、拘束部材12の拘束力を増大させずに各電池14の位置ずれを抑制することができる。よって、各電池14にかかる負荷の増大を抑制しながら各電池14の位置ずれを抑制することができる。また、各電池14の位置ずれを抑制できるため、各電池14の電気的接続をより確実に維持することができ、電池モジュール1の信頼性を高めることができる。また、電池モジュール1が車両に搭載される場合に、車両の振動によって各電池14の位置ずれが起こることを抑制することができる。よって、車載用として好適な電池モジュール1を提供することができる。また、各電池14の膨張による負荷の増大と位置ずれとを抑制しながら、電池14および電池モジュール1の高容量化を図ることができる。
【0062】
また、従来の電池モジュールでは、拘束部材の上端部が電池積層体側に折り曲げられ、この折り曲げられた部分が各電池を押さえ付けることで、各電池の端子形成面の位置を規定していた。しかしながら、拘束部材で電池を押さえ付ける構造では、拘束部材と電池との間に絶縁シートを介在させたとしても、電池に対する拘束部材の絶縁距離を十分に確保することが困難であった。これに対し、本実施の形態に係る電池モジュール1では、金属製の拘束部材12ではなく絶縁性のサイドセパレータ10によって各電池14を付勢している。これにより、電池14に対する拘束部材12の絶縁距離を確保しながら、電池14の位置ずれを抑制することができる。
【0063】
また、サイドセパレータ10は、付勢部53の弾性変形によって電池14に付勢力Pを入力している。これにより、電池14に過剰な負荷がかかることを回避することができる。また、各電池14の寸法のばらつきも吸収することができる。
【0064】
また、本実施の形態の付勢部53は、積層方向Xにおいて各電池14に対応する位置に配置される複数の舌片部53aと、各舌片部53aから各電池14に向けて突出して各電池14に当接する接触部53bと、を有する。これにより、各電池14の位置をより高精度に一致させることができる。また、各電池14の寸法のばらつきをより確実に吸収することができる。また、本実施の形態の付勢部53は、各電池14の端子配置面20aに当接する。これにより、各電池14の端子配置面20aの位置を揃えることができる。よって、各電池14の電気的接続をより確実に維持することができる。
【0065】
また、本実施の形態の電池モジュール1は、電池積層体2と第1方向に配列されるとともに第1方向における第1部分50の他方の端部領域側に配置され、電池積層体2に熱的に接続される冷却プレート6を備える。そして、付勢部53は、各電池14を冷却プレート6に向けて付勢する。これにより、各電池14が冷却プレート6に熱的に接続された状態を安定的に維持することができる。
【0066】
また、本実施の形態の電池モジュール1は、電池積層体2と冷却プレート6との間に介在する絶縁性の熱伝導層8を備える。これにより、各電池14の冷却効率を高めることができ、また各電池14の冷却の均一化を図ることができる。また、電池積層体2および冷却プレート6のずれを抑制することができる。
【0067】
また、拘束部材12は、第1方向における平面部54の両側の端部領域から電池積層体2側に突出し、電池積層体2および冷却プレート6を第1方向に挟み込む一対の腕部56を有する。また、サイドセパレータ10は、第1部分50の一方(上側)の端部領域から電池積層体2側に突出するとともに電池積層体2と一方の腕部56との間に介在する第2部分51と、第1部分50の他方(下側)の端部領域から電池積層体2側に突出するとともに冷却プレート6と他方の腕部56との間に介在する第3部分52と、を有する。そして、付勢部53は、第1方向において第2部分51と電池積層体2との間に延在する。
【0068】
つまり、本実施の形態では、構造が簡単な拘束部材12によって複数の電池14の締結と、電池積層体2および冷却プレート6の締結とが実現される。これにより、電池積層体2と冷却プレート6とをねじ止めする場合に比べて、電池モジュール1の構造を簡素化することができる。また、電池モジュール1の部品点数を削減することができ、電池モジュール1の組み立ての簡略化を図ることができる。また、サイドセパレータ10が第1部分50、第2部分51および第3部分52を有することで、一対の腕部56を有する拘束部材12と電池積層体2および冷却プレート6とをより確実に絶縁することができる。また、第2部分51および第3部分52で挟まれる空間内で接触部53bが電池14を付勢している。これにより、拘束部材12と電池14との絶縁距離を稼ぐことができる。
【0069】
また、各電池14は、開口を有する外装缶18と、外装缶18の開口を塞ぐとともに一対の出力端子22が配置される封口板20と、外装缶18の開口および封口板20を固定する接合部21と、を有する。そして、本実施の形態の付勢部53は、封口板20における接合部21の内側の領域に当接する。これにより、付勢力Pが接合部21に直に入力されることを回避することができる。よって、電池14の破損を抑制することができる。
【0070】
また、本実施の形態では、サイドセパレータ10と拘束部材12とは別体であり、且つサイドセパレータ10は拘束部材12に締結されていない。つまり、サイドセパレータ10と拘束部材12とは互いに固定されていない。また、サイドセパレータ10は、電池積層体2にも締結されていない。これにより、電池14の膨張等によって拘束部材12が変形しても、サイドセパレータ10が追従して変形することを抑制することができる。この結果、サイドセパレータ10の破損を抑制することができる。
【0071】
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明した。前述した実施の形態は、本発明を実施するにあたっての具体例を示したものにすぎない。実施の形態の内容は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、請求の範囲に規定された発明の思想を逸脱しない範囲において、構成要素の変更、追加、削除等の多くの設計変更が可能である。設計変更が加えられた新たな実施の形態は、組み合わされる実施の形態および変形それぞれの効果をあわせもつ。前述の実施の形態では、このような設計変更が可能な内容に関して、「本実施の形態の」、「本実施の形態では」等の表記を付して強調しているが、そのような表記のない内容でも設計変更が許容される。各実施の形態に含まれる構成要素の任意の組み合わせも、本発明の態様として有効である。図面の断面に付したハッチングは、ハッチングを付した対象の材質を限定するものではない。
【0072】
(変形例1)
図9は、変形例1に係る電池モジュール1の冷却プレート6を含む領域を拡大して示す断面図である。
図9では、電池14の内部構造の図示を省略している。本変形例は、電池積層体2、熱伝導層8および冷却プレート6が拘束部材12で拘束されていない点が実施の形態と異なる。具体的には、拘束部材12は、第1方向における平面部54の両側の端部領域から電池積層体2側に突出し、電池積層体2を第1方向に挟み込む一対の腕部56を有する(
図6も参照)。そして、付勢部53は、一方の腕部56と電池積層体2との間に配置され(
図7も参照)、他方の腕部56に向けて複数の電池14を付勢する。
【0073】
つまり、本変形例では、第3部分52が第1部分50の下端から電池積層体2側に突出し、電池積層体2の下面に当接する。拘束部材12における平面部54の下端から突出する腕部56は、第3部分52の外側で電池積層体2の下面に沿って延在する。したがって、付勢部53によって下方に付勢される各電池14は、下側の腕部56によって支持される。このような構造によっても、複数の電池14が鉛直方向Zにおいて位置ずれすることを抑制することができる。
【0074】
(変形例2)
図10は、変形例2に係る電池モジュール1の台座76側の領域を拡大して示す断面図である。
図10では、電池14の内部構造の図示を省略している。本変形例は、電池積層体2が冷却プレート6ではなく台座76に載置されている点が実施の形態と異なる。具体的には、電池積層体2は、第1方向における他方の端部領域側が電池モジュール1を設置するための台座76に向くようにして台座76に載置される。そして、付勢部53は、台座76に向けて複数の電池14を付勢する。
【0075】
拘束部材12は、第1部分50の他方の端部領域側に位置する腕部56を有しない。また、サイドセパレータ10は、第3部分52を有しない。したがって、付勢部53によって他方の端部領域側に付勢される各電池14は、台座76によって支持される。台座76は、例えば電池モジュール1が搭載される車両の車体である。このような構造によっても、複数の電池14が鉛直方向Zにおいて位置がずれることを抑制することができる。また、この構造では、台座76が冷却プレートとして機能し得る。なお、拘束部材12は、台座76側の端部が台座76に固定されてもよい。また、台座76と電池積層体2との間に絶縁シートを介在させてもよい。
【0076】
(その他)
付勢部53は、各電池14の底面23に当接して、端子配置面20aと対向する腕部56に向けて電池14を付勢してもよい。このような構造によっても、各電池14の端子配置面20aの位置を揃えることができる。この場合、付勢部53は、第3部分52と電池積層体2との間に延在する。
【0077】
また、電池モジュール1が備える電池14の数は特に限定されない。エンドプレート4と拘束部材12との締結構造は、特に限定されない。電池14は、円筒状等であってもよい。電池積層体2と冷却プレート6との間の熱伝導と摩擦力とが十分に確保できる場合には、熱伝導層8を省略し、PETやPCからなる絶縁シートを電池積層体2と冷却プレート6との間に介在させてもよい。
【符号の説明】
【0078】
1 電池モジュール、 2 電池積層体、 6 冷却プレート、 8 熱伝導層、 10 サイドセパレータ、 12 拘束部材、 14 電池、 18 外装缶、 20 封口板、 20a 端子配置面、 21 接合部、 22 出力端子、 23 底面、 50 第1部分、 51 第2部分、 52 第3部分、 53 付勢部、 53a 舌片部、 53b 接触部、 54 平面部、 56 腕部、 76 台座。