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特許7438160流体噴射装置および流体噴射装置の取り付け方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-15
(45)【発行日】2024-02-26
(54)【発明の名称】流体噴射装置および流体噴射装置の取り付け方法
(51)【国際特許分類】
   B60S 1/62 20060101AFI20240216BHJP
【FI】
B60S1/62 120B
B60S1/62 110A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021039873
(22)【出願日】2021-03-12
(65)【公開番号】P2022139467
(43)【公開日】2022-09-26
【審査請求日】2023-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】肥田 昌志
【審査官】飯島 尚郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-016336(JP,A)
【文献】実開平02-006662(JP,U)
【文献】特開2016-215839(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106167001(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60S 1/00-1/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
設置面に対し固定される支持具と、圧縮された流体を送出可能に設けられた本体部とを備え、
前記支持具は、
前記設置面へ向けた第1孔部が形成された底面部、および、前記底面部から立設され第2孔部が形成された立設部を有し、
前記本体部は、
前記立設部に対する側面から突出する第1凸部、および、前記底面部へ向けて突出する第2凸部を有し、前記第1凸部が第1弾性体を介して前記第2孔部へ差し込まれ、前記第2凸部が第2弾性体を介して前記第1孔部へ差し込まれる
ことを特徴とする流体噴射装置。
【請求項2】
前記第2凸部は、前記支持具に対し、固定部材を用いて固定される
ことを特徴とする請求項1に記載の流体噴射装置。
【請求項3】
前記固定部材は、ネジ頭と座金が一体に形成された、または、前記ネジ頭と座金が別体のネジである
ことを特徴とする請求項2に記載の流体噴射装置。
【請求項4】
前記ネジの頭部の外径寸法は、前記第2弾性体の端部の幅寸法よりも大きい
ことを特徴とする請求項3に記載の流体噴射装置。
【請求項5】
前記第2凸部の高さ寸法は、前記第2弾性体の高さ寸法よりも小さい
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一つに記載の流体噴射装置。
【請求項6】
前記第2孔部および前記第1凸部はそれぞれ、平行方向に複数設けられる
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一つに記載の流体噴射装置。
【請求項7】
前記第1孔部は、両端の前記第2孔部を結ぶ直線を底辺とする2等辺三角形の頂点位置に設けられる
ことを特徴とする請求項6に記載の流体噴射装置。
【請求項8】
前記第1孔部および前記第2凸部はそれぞれ、平行方向に複数設けられる
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一つに記載の流体噴射装置。
【請求項9】
前記第1孔部の軸線は、前記支持具に対し前記本体部が固定された時に、前記側面と前記立設部との間の隙間寸法が、自由状態における前記第1弾性体の厚み寸法よりも小さくなるように設定される
ことを特徴とする請求項1~8のいずれか一つに記載の流体噴射装置。
【請求項10】
設置面に対し固定される支持具と、圧縮された流体を送出可能に設けられた本体部とを備え、前記支持具は、前記設置面へ向けた第1孔部が形成された底面部、および、前記底面部から立設され第2孔部が形成された立設部を有し、前記本体部は、前記立設部に対する側面から突出する第1凸部、および、前記底面部へ向けて突出する第2凸部を有する流体噴射装置の取り付け方法であって、
前記第1凸部が第1弾性体を介して前記第2孔部へ差し込まれる工程と、
前記第2凸部が第2弾性体を介して前記第1孔部へ差し込まれる工程と
を含むことを特徴とする流体噴射装置の取り付け方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、流体噴射装置および流体噴射装置の取り付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車載カメラのレンズへ向けて噴射口を配置したノズルから洗浄液や圧縮空気といった流体を噴射することで、レンズへ付着した付着物を除去する流体噴射装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-000599号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来技術には、異音の発生防止のために安価に取り付け可能とするうえで、更なる改善の余地がある。
【0005】
具体的には、流体噴射装置は一般的に、モータを駆動源として流体を圧縮させる流体ポンプを駆動するが、その駆動の際には振動が発生するため、振動が車体に伝達されて大きな異音が発生してしまう可能性がある。
【0006】
このため、流体噴射装置は従来から、車体との係合部分にゴム等の弾性体を介在させることで、車体へ伝達される振動を減衰させる取り付け構造を採用することが多い。また、かかる構造を採用する場合、弾性体が衝撃や経時変化により劣化し、車体との係合に緩みを生じさせる可能性があるため、これに対処するため、弾性体の内部にスリーブを入れ、ネジなどで固定する場合も多い。
【0007】
しかしながら、このような取り付け構造は、部品点数が増加し、コスト高になりがちである。
【0008】
実施形態の一態様は、上記に鑑みてなされたものであって、異音の発生防止のために安価に取り付け可能とすることができる流体噴射装置および流体噴射装置の取り付け方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態の一態様に係る流体噴射装置は、設置面に対し固定される支持具と、圧縮された流体を送出可能に設けられた本体部とを備える。前記支持具は、前記設置面へ向けた第1孔部が形成された底面部、および、前記底面部から立設され第2孔部が形成された立設部を有する。前記本体部は、前記立設部に対する側面から突出する第1凸部、および、前記底面部へ向けて突出する第2凸部を有し、前記第1凸部が第1弾性体を介して前記第2孔部へ差し込まれ、前記第2凸部が第2弾性体を介して前記第1孔部へ差し込まれる。
【発明の効果】
【0010】
実施形態の一態様によれば、異音の発生防止のために安価に取り付け可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、第1の比較例に係る流体噴射装置の説明図である。
図2図2は、第2の比較例に係る流体噴射装置の説明図である。
図3図3は、図2に示すA-A線略断面図である。
図4図4は、実施形態に係る流体噴射装置の取り付け方法の概要説明図(その1)である。
図5図5は、実施形態に係る流体噴射装置の取り付け方法の概要説明図(その2)である。
図6図6は、実施形態に係る本体部の構成例を示す斜視図である。
図7図7は、実施形態に係るブラケットの構成例を示す斜視図である。
図8図8は、実施形態に係る流体噴射装置の取り付け方法の具体的な説明図(その1)である。
図9図9は、実施形態に係る流体噴射装置の取り付け方法の具体的な説明図(その2)である。
図10図10は、第1凸部と第2凸部との配置関係を示す図である。
図11図11は、図10に示すB-B線略断面図である。
図12図12は、汎用的なネジを用いる場合の変形例を示す図である。
図13図13は、第2凸部の高さ寸法を示す図である。
図14図14は、自由状態における防振ゴムの各部の寸法を示す図である。
図15図15は、本体部とブラケットの配置関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する流体噴射装置および流体噴射装置の取り付け方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0013】
また、以下に示す各図面には、説明を分かりやすくするために、流体噴射装置の設置面をXY平面とし、かかるXY平面に直交する垂直方向をZ軸方向とする3次元の直交座標系を適宜図示している。
【0014】
また、以下で「垂直」や「平行」と言った場合、幾何学的に厳密に垂直や平行であることを指すものではなく、公差を有する略垂直や略平行な場合を含むものとする。
【0015】
まず、本実施形態の比較例から説明する。図1は、第1の比較例に係る流体噴射装置10Aの説明図である。また、図2は、第2の比較例に係る流体噴射装置10Bの説明図である。また、図3は、図2に示すA-A線略断面図である。
【0016】
図1に示すように、第1の比較例に係る流体噴射装置10Aは、本体部11と、ブラケット12とを備える。本体部11は、底面部11aと、流体ポンプ11bと、送出部11cとを有する。
【0017】
底面部11aは、防振ゴムARを介し、ブラケット12に対し取り付けられる。流体ポンプ11bは、図示略のモータによって駆動され、流体を圧縮する。送出部11cは、流体ポンプ11bで圧縮された流体を、図示略のホース等を介し、噴射口であるノズルへ向けて送出する。ブラケット12は、板金等で形成された車体側の設置面30へ取り付けられる。
【0018】
このような防振ゴムARを介在させる取り付け構造は、流体ポンプ11bの駆動時に発生し、車体へ伝達される振動を減衰させて、大きな異音が発生してしまうのを防止するものとして採用されることが多い。
【0019】
ただし、防振ゴムARは、衝撃や経時変化により劣化し、車体との係合に緩みを生じさせる可能性がある。このため、たとえば第2の比較例に係る流体噴射装置10Bは、図2および図3に示すように、環状の防振ゴムARの内部にスリーブSLを嵌め込み、かかるスリーブSLへ挿入したネジSWによって底面部11a(すなわち、本体部11)とブラケット12とを固定する取り付け構造を有している。
【0020】
しかしながら、かかる取り付け構造は、部品点数が増加し、コスト高になりがちである。たとえば、図2および図3に示す流体噴射装置10Bの場合、ネジSWによる固定箇所が3箇所である3点支持構造のため、取り付け部品として少なくとも防振ゴムAR×3個、スリーブSL×3個、ネジSW×3個が必要となる。また、スリーブSLはたとえば高価な真鍮製などであることも多い。すなわち、部品点数が増加し、コスト高である。
【0021】
そこで、実施形態に係る流体噴射装置10の取り付け方法は、設置面30に対し固定されるブラケット12と、圧縮された流体を送出可能に設けられた本体部11とを備え、ブラケット12は、設置面30へ向けた第1孔部が形成された底面部、および、底面部から立設され第2孔部が形成された立設部を有し、本体部11は、立設部に対する側面から突出する第1凸部、および、底面部へ向けて突出する第2凸部を有する流体噴射装置10の取り付け方法であって、第1凸部が防振ゴムARを介して第2孔部へ差し込まれる工程と、第2凸部が防振ゴムARを介して第1孔部へ差し込まれる工程と、を含むこととした。
【0022】
具体的に説明する。図4は、実施形態に係る流体噴射装置10の取り付け方法の概要説明図(その1)である。また、図5は、実施形態に係る流体噴射装置10の取り付け方法の概要説明図(その2)である。
【0023】
図4および図5に示すように、実施形態に係る流体噴射装置10は、比較例と同様に、本体部11と、ブラケット12とを備える。本体部11は、YZ平面に平行な側面に、X軸の負方向に向けて突出する第1凸部11dを有する。本実施形態では、第1凸部11dは、Y軸に沿って平行方向に2箇所に設けられるものとする。
【0024】
また、本体部11は、XY平面に平行な底面側に、Z軸の負方向に向けて突出する図示略の第2凸部11e(図6以降参照)を有する。第2凸部11eは、1箇所に設けられる。
【0025】
ブラケット12は、底面部12aと、立設部12bとを有する。底面部12aは、XY平面に平行となるように設けられる。立設部12bは、かかる底面部12aに連接して、底面部12aに対しYZ平面に沿って垂直となるように立設される。
【0026】
立設部12bには、前加工により、第1凸部11dに係合する部位に図示略の孔部12ba(図7参照)が設けられ、かかる孔部12baの内周に密着させて環状の防振ゴムAR1が嵌め込まれる。
【0027】
また、ブラケット12には、同じく前加工により、底面部12aに連接される底面部12aの一部位であり、第2凸部11eに係合する部位に図示略の孔部12aa(図7参照)が設けられ、かかる孔部12aaの内周に密着させて環状の防振ゴムAR2が嵌め込まれる。なお、防振ゴムAR1,AR2に対しては、スリーブSLは挿入されない。
【0028】
そして、実施形態に係る流体噴射装置10の取り付け方法は、まず第1凸部11dを孔部12baに防振ゴムAR1を介して差し込み、嵌め込むことによって、本体部11をブラケット12の立設部12bに対し取り付ける。
【0029】
そして、実施形態に係る流体噴射装置10の取り付け方法は、つづいて第2凸部11eを孔部12aaに防振ゴムAR2を介して差し込み、嵌め込むことによって、本体部11をブラケット12の底面部12a側に対し取り付ける。そのうえで、ネジSWにより、ブラケット12に対し第2凸部11eを固定することによって、ブラケット12に対し本体部11を固定する。なお、防振ゴムAR1,AR2は同一部品であることを基本とするが、振動吸収の性能面からあえて別の部品にしてもよい。
【0030】
これにより、比較例と同様の3点支持構造で必要となる取り付け部品は、本実施形態では、防振ゴムAR1×2個,防振ゴムAR2×1個、スリーブSL×0個、ネジSW×1個となる。したがって、実施形態に係る流体噴射装置10の取り付け方法によれば、異音の発生防止のために安価に取り付け可能とすることができる。以下、実施形態に係る流体噴射装置10の構成例について、より具体的に説明する。
【0031】
図6は、実施形態に係る本体部11の構成例を示す斜視図である。また、図7は、実施形態に係るブラケット12の構成例を示す斜視図である。また、図8は、実施形態に係る流体噴射装置10の取り付け方法の具体的な説明図(その1)である。また、図9は、実施形態に係る流体噴射装置10の取り付け方法の具体的な説明図(その2)である。
【0032】
既に述べたが、より具体的に図6に示すように、実施形態に係る本体部11は、YZ平面に平行な側面11fに、X軸に平行な軸線ax1に沿ってX軸の負方向に向けて突出する2つの第1凸部11dを有する。第1凸部11dは、円柱状に形成される。なお、第1凸部11dは、必ずしも円柱状に限定されるものではない。
【0033】
また、本体部11は、XY平面に平行な底面側に、Z軸に平行な軸線ax2に沿ってZ軸の負方向に向けて突出する1つの第2凸部11eを有する。第2凸部11eは、貫通孔11eaを有する円筒状に形成される。なお、第2凸部11eは、必ずしも円筒状に限定されるものではない。
【0034】
また、既に述べたが、より具体的に図7に示すように、ブラケット12は、底面部12aと、立設部12bとを有する。底面部12aは、XY平面に平行となるように設けられる。立設部12bは、かかる底面部12aに連接して、底面部12aに対しYZ平面に沿って垂直となるように立設される。
【0035】
立設部12bには、前加工により、本体部11が取り付けられた時に前述の軸線ax1を同軸とする部位に孔部12baが設けられ、かかる孔部12baの内周に密着させて防振ゴムAR1が嵌め込まれる。
【0036】
また、ブラケット12には、同じく前加工により、底面部12aに連接される底面部12aの一部位であり、本体部11が取り付けられた時に前述の軸線ax2を同軸とする部位に孔部12aaが設けられ、かかる孔部12aaの内周に密着させて防振ゴムAR2が嵌め込まれる。
【0037】
そして、図8に示すように、本体部11は、ブラケット12に対し取り付けられるに際して、まず第1凸部11dが、前述の孔部12baに防振ゴムAR1を介して差し込まれ、嵌め込まれる(図中の矢印aw1参照)。なお、この時、第1凸部11dが防振ゴムAR1に対し密嵌合、すなわち密着して嵌合するように、第1凸部11dはその外径寸法が、防振ゴムAR1の内径寸法よりも大きくなるように形成されている。
【0038】
そして、第1凸部11dが孔部12baに対し防振ゴムAR1を介して差し込まれた後、第1凸部11dと防振ゴムAR1との嵌合位置を支点として、第2凸部11eが前述の孔部12aaに防振ゴムAR2を介して差し込まれ、嵌め込まれる(図中の矢印aw2参照)。やはり、この時、第2凸部11eが防振ゴムAR2に対し密嵌合するように、第2凸部11eはその外径寸法が、防振ゴムAR2の内径寸法よりも大きくなるように形成されている。
【0039】
そして、図9に示すように、ネジSWが、前述の貫通孔11eaにねじ込まれることにより、本体部11がブラケット12に対し固定される(図中の矢印aw3参照)。
【0040】
ここで、かかる取り付け構造に係る各部材の関係について具体的に説明する。図10は、第1凸部11dと第2凸部11eとの配置関係を示す図である。また、図11は、図10に示すB-B線略断面図である。
【0041】
また、図12は、汎用ネジSW2を用いる場合の変形例を示す図である。また、図13は、第2凸部11eの高さ寸法を示す図である。また、図14は、自由状態における防振ゴムAR1,AR2の各部の寸法を示す図である。なお、自由状態とは、弾性体である防振ゴムAR1,AR2が外力を受けて変形していない状態を指す。また、図15は、本体部11とブラケット12の配置関係を示す図である。
【0042】
図10に示すように、3点支持構造である本実施形態の場合、第2凸部11eの貫通孔11eaおよびこれと同軸の孔部12aaは、立設部12bの2つの孔部12baを結ぶ直線を底辺とする2等辺三角形の頂点位置に設けられる。かかる頂点位置は、流体噴射装置10の重心位置が2等辺三角形の重心と同じ位置になるように配置されることが推奨される。これは、2等辺三角形を構成しても、流体噴射装置10の重心がその三角形内部になければ振動効果が低下するためである。なお、配置的に困難であれば、限りなく流体噴射装置10の重心位置に三角形の重心位置が近づくように、貫通孔11eaおよび孔部12aaを配置する。
【0043】
これにより、本体部11がブラケット12に対し固定された時に、本体部11から2つの防振ゴムAR1に対し加わる力を均等にし、ブラケット12に対する本体部11の安定的な取り付け強度を確保することが可能となる。
【0044】
なお、孔部12baおよびこれに対応する第1凸部11dは、平行方向に3つ以上設けられてもよい。その場合、貫通孔11eaおよび孔部12aaは、両端の孔部12baを結ぶ直線を底辺とする2等辺三角形の頂点位置に設けられることとなる。
【0045】
また、孔部12baおよびこれに対応する第1凸部11dは、1つであってもよい。かかる場合、孔部12baは、たとえば図10に示す2つの孔部12baがY軸に沿って1つに連接された形状を有し、第1凸部11dは、図6に示した2つの第1凸部11dがY軸に沿って1つに連接された形状を有する。また、防振ゴムAR1は、孔部12baの内周に密着する1つの防振ゴムAR1が設けられることとなる。
【0046】
また、孔部12aa、これと同軸の貫通孔11ea(すなわち、第2凸部11e)も、平行方向に複数設けられてもよい。
【0047】
また、図11に示すように、ブラケット12に対し第2凸部11eを固定するネジには、ネジ頭と座金が一体に形成された頭部を有する特殊ネジSW1を用いる。
【0048】
なお、かかる場合、特殊ネジSW1の頭部の外径寸法bは、少なくとも防振ゴムAR2の内径寸法aより大きく、特殊ネジSW1によりブラケット12に対し第2凸部11eが固定された時に、特殊ネジSW1の頭部が完全に防振ゴムAR2の端部を抑え込むことが必要である。
【0049】
また無論、図12に示すように、ブラケット12に対し第2凸部11eを固定するネジには、特殊ネジSW1でなく、ネジ頭と座金Wが別体である汎用的な汎用ネジSW2を用いてもよい。
【0050】
かかる場合、座金Wは、前述の外径寸法bに相当する外径寸法を有し、汎用ネジSW2によりブラケット12に対し第2凸部11eが固定された時に、座金Wが完全に防振ゴムAR2の端部を抑え込むことができる寸法の座金を設定すればよい。
【0051】
すなわち、図11および図12に示すように、座金W(特殊ネジSW1の座金に相当する部位を含む)の外径寸法は、防振ゴムAR2の端部の幅寸法よりも大きいことが好ましい。
【0052】
また、図13に示すように、第2凸部11eはその高さ寸法cが、図14に示す防振ゴムAR2の高さ寸法dよりも小さくなるように形成されている。これにより、ブラケット12に対し第2凸部11eが固定された時に、特殊ネジSW1または汎用ネジSW2と本体部11との間に防振ゴムAR2を圧着することができ、防振ゴムAR2による防振効果を高めるのに資することができる。
【0053】
なお、防振ゴムAR1についても同様である。図14に示すように、防振ゴムAR1,AR2は、厚み寸法eを有する2つの環状部rm1の間に、環状部rm1より外径寸法の小さい環状部rm2が介在する構造を有している。環状部rm2には、ブラケット12が係合する。
【0054】
そして、図15に示すように、ネジSWがねじ込まれる軸線ax2は、ブラケット12に対し本体部11が固定された時に、側面11fと立設部12bとの間の隙間寸法fが、前述の環状部rm1の厚み寸法eよりも小さくなるように設定されている。同様に、ブラケット12に対し本体部11が固定された時に、本体部11の底面部11aとブラケット12の底面部12aとの間の隙間寸法が、環状部rm1の厚み寸法eよりも小さくなるように設定されている。
【0055】
これにより、ネジSWがねじ込まれ、ブラケット12に対し本体部11が固定された時に、側面11fと立設部12bとの間、本体部11の底面部11a側とブラケット12との間に防振ゴムAR1,AR2を圧着することができ、防振ゴムAR1,AR2による防振効果を高めるのに資することができる。
【0056】
上述してきたように、実施形態に係る流体噴射装置10は、設置面30に対し固定されるブラケット12(「支持具」の一例に相当)と、圧縮された流体を送出可能に設けられた本体部11とを備える。ブラケット12は、設置面30へ向けた孔部12aa(「第1孔部」の一例に相当)が形成された底面部12a、および、底面部12aから立設され孔部12ba(「第2孔部」の一例に相当)が形成された立設部12bを有する。本体部11は、立設部12bに対する側面11fから突出する第1凸部11d、および、底面部12aへ向けて突出する第2凸部11eを有し、第1凸部11dが防振ゴムAR1(「第1弾性体」の一例に相当)を介して孔部12baへ差し込まれ、第2凸部11eが防振ゴムAR2(「第2弾性体」の一例に相当)を介して孔部12aaへ差し込まれる。
【0057】
したがって、実施形態に係る流体噴射装置10によれば、異音の発生防止のために安価に取り付け可能とすることができる。
【0058】
また、第2凸部11eは、ブラケット12に対し、固定部材を用いて固定される。
【0059】
したがって、実施形態に係る流体噴射装置10によれば、第2凸部11eにのみ固定部材を用いればよいので、部品点数を減らし、異音の発生防止のために安価に取り付け可能とすることができる。
【0060】
また、固定部材は、ネジ頭と座金が一体に形成された、または、ネジ頭と座金が別体のネジSWである。
【0061】
したがって、実施形態に係る流体噴射装置10によれば、容易に、異音の発生防止のために取り付け可能とすることができる。
【0062】
また、ネジSWの頭部の外径寸法は、防振ゴムAR2の端部の幅寸法よりも大きい。
【0063】
したがって、実施形態に係る流体噴射装置10によれば、ブラケット12に対し本体部11が固定された時に、ネジSWの頭部が完全に防振ゴムAR2の端部を抑え込むことができるようにすることができる。
【0064】
また、第2凸部11eの高さ寸法cは、防振ゴムAR2の高さ寸法dよりも小さい。
【0065】
したがって、実施形態に係る流体噴射装置10によれば、ブラケット12に対し本体部11が固定された時に、ネジSWと本体部11との間に防振ゴムAR2を圧着することができ、防振ゴムAR2による防振効果を高めるのに資することができる。
【0066】
また、孔部12baおよび第1凸部11dはそれぞれ、平行方向に複数設けられる。
【0067】
したがって、実施形態に係る流体噴射装置10によれば、孔部12baおよび第1凸部11dを増やすことで固定力を増しつつ、固定部材の増加は不要とすることで安価に取り付け可能とすることができる。
【0068】
また、孔部12aaは、両端の孔部12baを結ぶ直線を底辺とする2等辺三角形の頂点位置に設けられる。
【0069】
したがって、実施形態に係る流体噴射装置10によれば、本体部11がブラケット12に対し固定された時に、本体部11から防振ゴムAR1に対し加わる力を均等にし、ブラケット12に対する本体部11の安定的な取り付け強度を確保することが可能となる。
【0070】
また、孔部12aaおよび第2凸部11eはそれぞれ、平行方向に複数設けられる。
【0071】
したがって、実施形態に係る流体噴射装置10によれば、孔部12aaおよび第2凸部11eを増やすことによって固定力を増すことができる。
【0072】
また、孔部12aaの軸線ax2は、ブラケット12に対し本体部11が固定された時に、側面11fと立設部12bとの間の隙間寸法fが、自由状態における防振ゴムAR1の環状部rm1の厚み寸法eよりも小さくなるように設定される。
【0073】
したがって、実施形態に係る流体噴射装置10によれば、ブラケット12に対し本体部11が固定された時に、側面11fと立設部12bとの間に防振ゴムAR1を圧着することができ、防振ゴムAR1による防振効果を高めるのに資することができる。
【0074】
なお、上述した実施形態では、ネジSWが、ブラケット12に対し本体部11を固定させる固定部材である例を挙げたが、固定部材の種別を限定するものではない。したがって、固定部材は、たとえば釘状やリベット状の部材であってもよい。また、固定部材は、たとえば縛ったり、挟んだり、接着したりする部材であってもよい。
【0075】
また、流体噴射装置10は、たとえば車両だけでなく、船舶や航空機等に設けられてもよい。また、このような移動する機械だけでなく、一定の場所に設置されて運用される機械の流体噴射装置として設けられてもよい。
【0076】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0077】
10 流体噴射装置
11 本体部
11a 底面部
11b 流体ポンプ
11c 送出部
11d 第1凸部
11e 第2凸部
11ea 貫通孔
11f 側面
12 ブラケット
12a 底面部
12aa 孔部
12b 立設部
12ba 孔部
30 設置面
AR,AR1,AR2 防振ゴム
SW ネジ
SW1 特殊ネジ
SW2 汎用ネジ
W 座金
ax1,ax2 軸線
rm1,rm2 環状部
図1
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