(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-15
(45)【発行日】2024-02-26
(54)【発明の名称】運転制御装置、運転制御方法および運転制御プログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20240216BHJP
G08G 1/00 20060101ALI20240216BHJP
G16Y 10/40 20200101ALI20240216BHJP
G16Y 40/30 20200101ALI20240216BHJP
【FI】
G08G1/16 A
G08G1/00 D
G16Y10/40
G16Y40/30
(21)【出願番号】P 2021101917
(22)【出願日】2021-06-18
【審査請求日】2022-11-17
(73)【特許権者】
【識別番号】500257300
【氏名又は名称】LINEヤフー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坪内 孝太
(72)【発明者】
【氏名】寺岡 照彦
(72)【発明者】
【氏名】五味 秀仁
【審査官】武内 俊之
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-077649(JP,A)
【文献】特開2021-015378(JP,A)
【文献】特開2021-033523(JP,A)
【文献】特開2017-019487(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/16
G08G 1/00
G16Y 10/40
G16Y 40/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠隔制御が可能な移動体を運転する利用者の運転交代の要求条件に関する要求条件情報と、前記利用者の運転交代の提供条件に関する提供条件情報とを取得する取得部と、
前記要求条件情報および前記提供条件情報に基づいて、運転を交代する複数の前記利用者を選択する選択部と、
前記選択部によって選択された複数の前記利用者が運転する前記移動体を入れ替える入替部と、
を備え
、
前記選択部は、
第2の前記利用者に求める第1の前記利用者との関わり合いを示す指標に関する前記要求条件情報に基づいて複数の前記利用者を選択する
ことを特徴とする運転制御装置。
【請求項2】
前記入替部は、
入替対象の前記利用者の視野を示す視野画像の表示先と、前記利用者の運転操作の反映先を入れ替えることを特徴とする請求項1に記載の運転制御装置。
【請求項3】
前記選択部は、
第1の前記利用者における運転交代の前記要求条件の項目と、第2の前記利用者における運転交代の前記提供条件の項目との適合度が所定の閾値以上である場合に、第1の前記利用者および第2の前記利用者を選択することを特徴とする請求項1または2に記載の運転制御装置。
【請求項4】
前記選択部は、
第1の前記利用者の運転交代の前記要求条件に含まれる経路の運転を交代する第2の前記利用者を複数選択し、
前記入替部は、
選択された複数の第2の前記利用者が運転する複数の移動体を第1の前記利用者が運転する移動体と順次入れ替えることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の運転制御装置。
【請求項5】
前記入替部によって第1の前記利用者および第2の前記利用者それぞれの運転が入れ替わった場合には、第2の前記利用者に対して特典を提供する提供部をさらに備えることを特徴とする請求項3または4に記載の運転制御装置。
【請求項6】
前記特典は、
第1の前記利用者から提供される報酬を含むことを特徴とする請求項5に記載の運転制御装置。
【請求項7】
第1の前記利用者の前記要求条件は、運転交代の緊急度を含み、
前記提供部は、
前記緊急度の高さに応じて前記特典を増やすことを特徴とする請求項5または6に記載の運転制御装置。
【請求項8】
第1の前記利用者の前記要求条件は、運転する経路の難易度を含み、
前記提供部は、
前記経路の難易度に基づいて前記特典を提供することを特徴とする請求項5~7のいずれか一項に記載の運転制御装置。
【請求項9】
第1の前記利用者の前記要求条件は、前記移動体の運転に関する危険度を含み、
前記提供部は、
前記移動体の運転に関する危険度に基づいて前記特典を提供することを特徴とする請求項5~8のいずれか一項に記載の運転制御装置。
【請求項10】
前記選択部は、
第1の前記利用者が運転する前記移動体と同種の移動体を過去に運転した第2の前記利用者を優先的に選択することを特徴とする請求項3~9のいずれか一項に記載の運転制御装置。
【請求項11】
前記入替部は、
入れ替えが行われる前において、入替対象の複数の前記利用者それぞれの視野を示す視野画像を入替先にプレビュー表示することを特徴とする請求項1~10のいずれか一項に記載の運転制御装置。
【請求項12】
前記入替部は、
入れ替えが行われるタイミング以前において、入替対象の複数の前記利用者それぞれに対してカウントダウン表示を行うことを特徴とする請求項1~11のいずれか一項に記載の運転制御装置。
【請求項13】
コンピュータが実行する運転制御方法であって、
遠隔制御が可能な移動体を運転する利用者の運転交代の要求条件に関する要求条件情報と、前記利用者の運転交代の提供条件に関する提供条件情報とを取得する取得工程と、
前記要求条件情報および前記提供条件情報に基づいて、運転を交代する複数の前記利用者を選択する選択工程と、
前記選択工程によって選択された複数の前記利用者が運転する前記移動体を入れ替える入替工程と、
を含
み、
前記選択工程は、
第2の前記利用者に求める第1の前記利用者との関わり合いを示す指標に関する前記要求条件情報に基づいて複数の前記利用者を選択する
ことを特徴とする運転制御方法。
【請求項14】
遠隔制御が可能な移動体を運転する利用者の運転交代の要求条件に関する要求条件情報と、前記利用者の運転交代の提供条件に関する提供条件情報とを取得する取得
手順と、
前記要求条件情報および前記提供条件情報に基づいて、運転を交代する複数の前記利用者を選択する選択
手順と、
前記選択
手順によって選択された複数の前記利用者が運転する前記移動体を入れ替える入替
手順と、をコンピュータに実行させ
、
前記選択手順は、
第2の前記利用者に求める第1の前記利用者との関わり合いを示す指標に関する前記要求条件情報に基づいて複数の前記利用者を選択する
ことを特徴とする運転制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転制御装置、運転制御方法および運転制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、利用者が乗車した車両を他の利用者が遠隔で運転する遠隔運転サービスが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述においては、利用者がより使いやすい遠隔運転サービスを提供する点で改善の余地があった。
【0005】
本願は、上記に鑑みてなされたものであって、利用者が使いやすい遠隔運転サービスを提供することができる運転制御装置、運転制御方法および運転制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願に係る運転制御装置は、取得部と、選択部と、入替部とを備える。取得部は、遠隔制御が可能な移動体を運転する利用者の運転交代の要求条件に関する要求条件情報と、利用者の運転交代の提供条件に関する提供条件情報とを取得する。選択部は、要求条件情報および提供条件情報に基づいて、運転を交代する複数の利用者を選択する。入替部は、選択部によって選択された複数の利用者が運転する移動体を入れ替える。
【発明の効果】
【0007】
実施形態の一態様によれば、利用者が使いやすい遠隔運転サービスを提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る運転制御処理の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る運転制御システムの一例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る要求条件情報データベースの一例を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る提供条件情報データベースの一例を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る制御部によって実行される処理の一例を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、ハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本願に係る運転制御装置、運転制御方法および運転制御プログラムを実施するための形態(以下、「実施形態」と記載する)について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により本願に係る運転制御装置、運転制御方法および運転制御プログラムが限定されるものではない。また、以下の各実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
【0010】
(実施形態)
〔運転制御処理の概要〕
まず、
図1を参照して、本開示の例示的な実施形態について詳細に説明する。
図1は、実施形態に係る運転制御処理の一例を示す図である。運転制御処理は、実施形態に係る運転制御装置100が運転制御方法を実行することで行われる処理である。
【0011】
実施形態に係る運転制御処理は、遠隔制御が可能な複数の車両(移動体)C1、C2を運転する利用者A、Bの運転の交代要求(入替要求ともいう)および交代提供に基づいて、それぞれの利用者A、Bが運転する車両C1、C2を一部の道路だけ入れ替えるものである。これにより、運転交代を要求する利用者Aは、例えば、天候が悪化したり、運転の難易度が高かったりする一部の道路だけを、運転交代を提供する利用者Bに遠隔で運転してもらうことができる。本明細書では、利用者が運転する車両(移動体)を入れ替えるとは、遠隔制御により実質的に運転対象の車両を入れ替えることをいう。また、入れ替えるとは、物理的な複数の車両を入れ替えるものに限定されるものではなく、少なくとも一方が物理的な車両であれば、他方は遠隔運転装置(移動体)等の仮想的なものを含む概念とする。
【0012】
図1を用いて、運転制御処理について具体例を挙げて説明する。
図1に示す例では、利用者Aが運転する車両C1は、例えば、道路幅が狭く曲がりくねった道路、すなわち、運転の難易度が高い道路を走行しようとしている。このため、利用者Aは、この道路を自分で運転するのではなく、一時的に誰かと運転の交代を要求している。一方、利用者Bが運転する車両C2は、例えば、片側2車線の道路幅が広い真っすぐな道路、すなわち、難易度が低い道路を走行しようとしている。この場合、利用者Bは、難易度が低い道路の運転には飽き足らず、例えば、難易度が高い道路の運転の交代提供を申し出ている。この
図1では、運転交代の理由として運転の難易度の高さを例示しているが、その理由はどのようなものでもよく、例えば、大雨や雪などの気候条件(周囲環境条件)を理由として、運転の交代を要求してもよい。
【0013】
実施形態に係る運転制御処理では、このような状況において、利用者A、Bそれぞれが運転する車両C1、C2を実質的に入れ替えることで、利用者Aが車両C2を遠隔で運転し、利用者Bが車両C1を遠隔で運転する。そして、実施形態に係る運転制御処理では、例えば、利用者Bが難易度の高い道路の運転を終了した場合、入替を元に戻すことで、利用者Aが車両C1を運転し、利用者Bが車両C2を運転する。なお、以下では、車両C1、C2や、利用者A、Bを特に区別しない場合、総称して「車両C」や「利用者」と記載する場合がある。
【0014】
具体的には、
図1に示すように、運転制御装置100は、まず、遠隔制御が可能な車両C1を運転する利用者Aの運転交代の要求条件に関する要求条件情報を、例えば、利用者Aが所持する利用者端末500aから取得する(ステップS1)。この要求条件情報には、例えば、利用者が運転を交代して欲しい運転ルート(場所、経路)や時間などを含む条件が規定された情報であるが、かかる点の詳細については後述する。
【0015】
つづいて、運転制御装置100は、遠隔制御が可能な車両C2を運転する利用者Bの運転交代の提供条件に関する提供条件情報を、例えば、利用者Bが所持する利用者端末500bから取得する(ステップS2)。この提供条件情報には、例えば、利用者が運転交代可能な時間や運転スキルなどを含む条件が規定された情報であるが、かかる点の詳細については後述する。
【0016】
つづいて、運転制御装置100は、要求条件情報および提供条件情報に基づいて、運転を交替する複数の利用者を選択する(ステップS3)。例えば、運転制御装置100は、運転交代を要求している利用者Aと、運転交代を提供している利用者Bとを入替対象として選択する。より具体的には、上記した要求条件情報および提供条件情報には、それぞれ要求条件および提供条件を示す項目がそれぞれ規定されている。運転制御装置100は、各利用者の要求条件の項目と提供条件の項目との適合度を判別し、この適合度が所定の閾値以上である場合に、該当する要求条件と提供条件とを示した利用者Aと利用者Bとを入替対象として選択する。この場合、適合度は、マッチング度ともいい、要求条件と提供条件とがどれだけ似通っている(適合している)かを示す指標であり、例えば、各条件に規定されたすべての項目の数に対して、一致または重複した項目の数から算出することができる。この場合、要求条件の項目に優先度(重みづけ)を設定し、優先度の高い項目(例えば、運転スキルや普段乗っている車両名など)が一致または重複している場合には、適合度を高く補正してもよい。また、要求条件と提供条件の各項目を適合するに際し、特定の項目(例えば、交代を要求する日時及び時間帯)については一致または重複していることを前提とする。すなわち、これら特定の項目が一致または重複していなければ、他の項目の適合率が高くても、この利用者が選択されることはない。適合度の算出は、これに限るものではなく、既存の手法によって算出してもよい。また、運転制御装置100は、利用者Bについては、入替先となる道路(経路)を過去に走行したことがある利用者を優先的に選択するようにしてもよい。なお、
図1では、2人の利用者を入替対象として選択する場合を示したが、入替対象となる利用者の数は3人以上であってもよい。また、要求された経路の運転交代を提供する利用者Bを複数選択しておき、この経路を走行する間に複数の利用者Bを利用者Aと順次入れ替えてもよい。
【0017】
つづいて、運転制御装置100は、選択した複数の利用者A、Bが運転する車両C1、C2を入れ替える(ステップS4)。すなわち、
図1に示す例では、利用者Aが車両C2を運転し、利用者Bが車両C1を運転するように入れ替える。なお、運転制御装置100は、入替を決定した場合に、入替対象の利用者A、Bそれぞれに対してプレビュー表示したり、入れ替えが行われるタイミング以前においてカウントダウン表示を行うことが好ましい。これにより、利用者A、Bが運転する車両C1、C2をシームレスに入れ替えることができ、各車両C1、C2の安全な運転を確保できる。
【0018】
つづいて、運転制御装置100は、利用者A、Bの運転を入れ替えた場合、利用者A、Bそれぞれの視野を示す視野画像および運転操作を受け付ける(ステップS5)。視野画像は、例えば、ドライブレコーダ等の車両Cの周囲を撮像可能なカメラの画像を用いることができる。
【0019】
つづいて、運転制御装置100は、入替対象の利用者A、Bの視野画像の表示先と、利用者A、Bの運転操作の反映を入れ替える。具体的には、運転制御装置100は、利用者Aの視野画像および利用者Aの運転操作を車両C2に反映し、利用者Bの視野画像および利用者Bの運転操作を車両C1に反映する(ステップS6)。つまり、運転制御装置100の運転制御処理により、利用者Aは、利用者Bが乗車している車両C2を遠隔で運転し、利用者Bは、利用者Aが乗車している車両C1を遠隔で運転する。これにより、利用者Aは、運転交代を要求した難易度の高い一部の道路だけを利用者Bに遠隔で運転してもらうことができるため、利用者Aは、安心して、かつ、より安全に難易度の高い道路を通過することができる。また、このように、一部の道路だけを遠隔により運転してもらうことで、遠隔運転システムの導入を促進することができる。すなわち、実施形態に係る運転制御装置100によれば、利用者が使いやすい遠隔運転サービスを提供することができる。
【0020】
つづいて、運転制御装置100は、入替対象となった利用者に対して特典を提供する(ステップS7)。例えば、運転制御装置100は、運転交代を要求した利用者A(第1の利用者)に代わって、運転交代を提供した利用者B(第2の利用者)に対して特典を提供する。この特典は、上記の第1の利用者から提供される報酬を含んでもよい。特典または報酬は、例えば、電子マネーや金券、ポイント等である。本構成では原則として、特典は、運転交代を要求した利用者から運転交代を提供した利用者に対して提供される。この場合、運転制御装置100は、例えば、代わりに走行する道路の難易度や、交代の緊急度などに応じて、提供される特典(報酬)を増減してもよい。また、例えば、交代して相互に走行する道路の難易度が同等である場合には、特典の提供をしない構成としてもよい。
【0021】
なお、運転制御装置100は、例えば、利用者Bが難易度の高い道路を通過した場合や、利用者Aまたは利用者Bから入替終了の要求があった場合に、車両C1、C2の運転の入れ替えを元に戻す。すなわち、運転制御装置100は、利用者Aが車両C1を運転し、利用者Bが車両C2を運転するよう入替を戻す。
【0022】
以下、このような運転制御処理を行う運転制御装置100について詳細に説明する。
【0023】
〔運転制御システムの構成〕
次に、
図2を参照して、運転制御装置100を含むシステムの構成例について説明する。
図2は、実施形態に係る運転制御システム1の一例を示す図である。
図2に示すように、運転制御システム1は、運転制御装置100、利用者端末500および車両C(車両制御装置)等の構成要素を含む。
図2中では図示していないが、運転制御システム1は、複数台の運転制御装置100や、複数台の利用者端末500や、複数台の車両Cを含んでもよい。また、運転制御システム1は、運転制御装置100に関係するエンティティ(例えば、業者、エンドユーザ)の装置等の、他の構成要素を含んでもよい。
【0024】
運転制御システム1において、運転制御装置100、利用者端末500および車両Cは、それぞれネットワークNと有線又は無線により接続される。ネットワークNは、例えば、インターネット、WAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)等のネットワークである。運転制御システム1の構成要素は、ネットワークNを介して互いに通信を行うことができる。
【0025】
運転制御装置100は、実施形態に係る運転制御方法を実行する情報処理装置である。運転制御装置100は、利用者の運転交代に関する要求条件および提供条件に基づいて、複数の利用者が運転する車両Cを相互に入れ替える処理を行う。なお、運転制御装置100は、サーバを含む、任意のタイプの情報処理装置であってもよい。複数台の運転制御装置100が、ウェブサーバ、アプリケーションサーバ、データベースサーバ等の各種サーバの機能をそれぞれ提供してもよい。運転制御装置100の構成例の詳細については、後述する。
【0026】
利用者端末500は、利用者によって利用される情報処理装置である。利用者端末500は、インターネット上の各種サービス(例えば、ポータルサイト、ポータルアプリ)を介して、各種情報を送信することができる。また、利用者端末500は、この各種サービスを介して、各種情報を受信することができる。利用者端末500は、スマートフォン、デスクトップ型PC、ノート型PC、タブレット型PC等の任意のタイプの情報処理装置を用いることができる。
【0027】
車両Cは、運転制御装置100によって遠隔制御が可能な車両である。具体的には、車両Cは、前後進、旋回、加減速等の走行制御を行う車両制御装置(ECU:Electronic Control Unit)が運転制御装置100によって遠隔制御される。
【0028】
〔運転制御装置の構成〕
図2に示されるように、運転制御装置100は、通信部200と、記憶部300と、制御部400とを有する。なお、運転制御装置100は、運転制御装置100を利用する管理者等から各種操作を受け付ける入力部(例えば、キーボードやマウス等)や、各種情報を表示するための表示部(液晶ディスプレイ等)を有してもよい。
【0029】
(通信部200)
通信部200は、例えば、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。通信部200は、有線または無線によりネットワーク網と接続される。通信部200は、利用者端末500および車両Cに、ネットワークNを介して、通信可能に接続されてもよい。通信部200は、利用者端末500および車両Cとの間で、ネットワーク網を介して、情報の送受信を行うことができる。
【0030】
(記憶部300)
記憶部300は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。
図2に示されるように、記憶部300は、要求条件情報データベース310と、提供条件情報データベース320とを有する。
【0031】
(要求条件情報データベース310)
図3は、実施形態に係る要求条件情報データベース310の一例を示す図である。要求条件情報データベース310は、利用者の運転交代の要求条件に関する各種情報である要求条件情報を記憶する。これら要求条件情報は、事前に利用者が利用者端末500を操作することによって登録されている。
【0032】
図3の例では、要求条件情報データベース310は、「利用者ID」、「運転ルート」、「交代日時」等の項目を有する。要求条件情報データベース310は、運転交代を要求している利用者本人の属性情報が含まれてもよいし、運転交代の要求相手となる利用者に求める属性情報がさらに含まれてもよい。
【0033】
「利用者ID」は、運転交代を要求する利用者(「ユーザ」とも呼ばれる)を識別するための識別子を示す。「運転ルート」は、利用者が運転の交代を要求する運転ルートの情報を示す。「交代日時」は、利用者が運転の交代を要求する日程、及び時間帯の情報を示す。
【0034】
例えば、
図3は、利用者ID「U01」で識別される利用者が、運転ルート「運転ルート#1」であり、交代日時「交代日時#1」であることを示している。利用者ID「U01」は、例えば、所定の文字列である。「運転ルート#1」は、例えば、道路の名称、その道路における地点(位置)の名称で表される文字列や、位置情報で示される数値である。この「運転ルート#1」には、周囲の環境も含めた運転の難易度に関する情報が含まれてもよい。この場合、難易度は、例えば、数値で表されるスコアや、「高」または「低」や、「難」または「易」のような文字列で示すことができる。また、「交代日時#1」は、例えば、年月日や、交代開始時刻と終了時刻を含む時間帯で表される数字などの文字列である。
【0035】
(提供条件情報データベース320)
図4は、実施形態に係る提供条件情報データベース320の一例を示す図である。提供条件情報データベース320は、利用者の運転交代の提供条件に関する各種情報である提供条件情報を記憶する。これら提供条件情報は、事前に利用者が利用者端末500を操作することによって登録されている。
図4の例では、提供条件情報データベース320は、「利用者ID」、「交代可能日時」、「運転スキル」等の項目を有する。提供条件情報データベース320は、運転交代を提供する利用者本人の属性情報が含まれてもよいし、運転交代の提供相手となる利用者に求める属性情報がさらに含まれてもよい。
【0036】
「利用者ID」は、運転交代が可能な利用者(「ユーザ」とも呼ばれる)を識別するための識別子を示す。「交代可能日時」は、利用者が運転の交代可能な日程、及び時間帯の情報を示す。「運転スキル」は、利用者の運転スキルの情報を示す。
【0037】
例えば、
図4は、利用者ID「U100」で識別される利用者が、交代可能日時「交代可能日時#100」であり、運転スキル「運転スキル#100」であることを示している。利用者ID「U01」は、例えば、所定の文字列である。「交代可能日時#100」は、例えば、利用者が運転を交代可能な年月日や、交代可能な時間帯で表される数字などの文字列である。また、運転スキル「運転スキル#100」は、例えば、運転免許証の「ゴールド」、「ブルー」などの色や、数値で表されるスコア、「高」または「低」のような文字列である。
【0038】
要求条件情報データベース310には、上記した以外にも、運転交代を要求する利用者本人の属性情報と、要求相手となる利用者に求める属性情報とがそれぞれ登録されている。具体的には、利用者本人の属性情報として、利用者の職業、運転経験年数、これまでの事故履歴、運転日の睡眠時間、加入している自動車保険、普段運転している車種名が登録されている。また、相手の利用者に求める属性情報として、例えば、運転スキル、運転経験年数、これまでの事故履歴、運転日の睡眠時間が登録されている。登録された相手の利用者に求める属性情報は、それぞれ要求条件の項目となっている。このため、運転スキルが所定レベル以上であり、運転経験が所定年数以上あり、事故履歴が所定数以下であり、運転日には所定時間以上睡眠をとった利用者を適正に選択することが可能となる。また、要求条件情報データベース310には、例えば、外部サーバから運転交代を望む時間帯の周辺の天気予報情報を取得して登録してもよい。
【0039】
同様に、提供条件情報データベース320には、上記した以外に、運転交代を提供する利用者本人の属性情報と、提供相手となる利用者に求める属性情報とがそれぞれ登録されている。これらの属性情報は、要求条件情報データベース310で説明したもとの同様であり、運転交代を提供する利用者本人の属性情報は、それぞれ提供条件の項目となっている。ここで、提供相手となる利用者に求める属性情報は、要求条件と提供条件との適合度の判別には利用されないが、運転交代の提供相手は、自分に代わって自分の車両を運転するため、ある程度の運転経験年数などを要求することが好ましい。
【0040】
また、利用者本人の属性情報を比較して、例えば、利用者間で普段運転している車両名が一致すれば、利用者が運転する車を入れ替えた場合であっても、利用者が入替後に違和感を覚えることを抑制することができ、安全な運転を容易に実現できる。また、利用者本人の属性情報として、利用者が所持する運転免許証の種類を登録してもよい。例えば、利用者が国際免許証を所持していれば、日本国内だけでなく、外国の利用者との間で車両の運転の入れ替えを行うことができる。
【0041】
(制御部400)
制御部400は、コントローラ(controller)であり、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)等のプロセッサによって、運転制御装置100内部の記憶装置に記憶されている各種プログラム(判定プログラムの一例に相当)がRAM等を作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部400は、コントローラ(controller)であり、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、GPGPU(General Purpose Graphic Processing Unit)等の集積回路により実現されてもよい。
【0042】
制御部400は、
図2に示されるように、取得部410と、選択部420と、入替部430と、提供部440と、保険処理部450とを有し、以下に説明する運転制御処理の機能や作用を実現又は実行する。また、制御部400は、
図1を参照して上述した運転制御処理を実現することができる。運転制御装置100の1つまたは複数のプロセッサは、運転制御装置100の1つまたは複数のメモリに記憶された命令を実行することによって、制御部400内の各制御部の機能を実現することができる。なお、制御部400の内部構成は、
図2に示した構成に限られず、後述する運転制御処理を行う構成であれば他の構成であってもよい。例えば、取得部410は、取得部410以外の部に関して後述する情報処理の全部または一部を行ってもよい。
【0043】
取得部410は、各種情報を取得する。例えば、取得部410は、利用者の運転交代に関する要求条件情報を取得し、要求条件情報データベース310に登録する。要求条件は、例えば、運転ルート、交代日時、利用者本人の属性情報、交代相手の利用者に求める属性情報を含み、事前に利用者が利用者端末500を介して入力した情報を取得する。運転ルートは、運転交代を要求する利用者が道路の名称、交代区間に関する情報を具体的に入力してもよいが、例えば、ナビゲーション装置に出発地点αと目的地点βを入力し、検索された運転ルートに関する情報を取得してもよい。また、運転ルートには運転の難易度を含み、この難易度は、例えば、道路の形状や、大きさ(道路幅)、路面状態(凹凸や濡れ、凍結等)、混雑状況等に基づいて算出された情報を取得することができる。
【0044】
また、取得部410は、利用者の運転交代に関する提供条件情報を取得し、提供条件情報データベース320に登録する。提供条件は、例えば、交代可能日時、運転スキル、利用者本人の属性情報、交代相手の利用者に求める属性情報を含み、事前に利用者が利用者端末500を介して入力した情報を取得する。運転スキルは、運転交代を提供する利用者が自己の運転免許証の色(ゴールドなど)を入力してもよいが、例えば、利用者の急加減速の回数や、急ハンドルの回数、交通違反回数、車線の逸脱回数を説明変数とし、運転スキルを示すスコアを目的変数として学習したモデルを用いて算出された情報を取得してもよい。
【0045】
また、取得部410は、後段の入替部430によって車両Cの運転の入れ替えが決定された場合、入替対象の利用者の視野を示す視野画像と、利用者の運転操作とを取得する。
【0046】
選択部420は、要求条件情報および提供条件情報に基づいて、運転を交替する複数の利用者を選択する。例えば、選択部420は、第1の利用者における運転交代の要求条件の項目と、第2の利用者における運転交代の提供条件の項目との適合度が所定の閾値以上である場合、入替対象として第1の利用者および第2の利用者を選択する。選択部420は、要求条件の項目に優先度を設定し、優先度の高い項目(例えば、運転スキルや普段乗っている車両名など)が一致または重複している場合には、適合度を高く補正したり、この利用者を優先して選択したりしてもよい。また、選択部420は、第2の利用者については、入替先となる道路を過去に走行したことがある利用者を優先的に選択するようにしてもよい。
【0047】
なお、選択部420は、例えば第1の利用者から運転入替要求を受け付けた場合に、第2の利用者を選択するようにしてもよい。あるいは、選択部420は、第2の利用者から運転入替要求を受け付けた場合に、第1の利用者を選択するようにしてもよい。
【0048】
入替部430は、選択部420によって選択された複数の利用者(すなわち、第1の利用者および第2の利用者)が運転する車両Cを入れ替える。具体的には、入替部430は、入替対象の利用者の視野画像の表示先と、利用者の運転操作の反映先とを入れ替える。
【0049】
そして、入替部430は、例えば、要求された運転ルートを遠隔で運転している利用者が通過した場合や、要求された時間が経過した場合、かかる利用者から入替終了要求があった場合に、複数の利用者の入替を元に戻す。
【0050】
なお、入替部430は、要求された運転ルートを遠隔で運転している利用者がかかるルートの途中で入替終了要求を行った場合には、かかる利用者と同じ運転スキルの他の利用者と入れ替えるようにしてもよい。
【0051】
また、入替部430は、入れ替えが行われる前において、入替対象の複数の利用者それぞれの視野を示す視野画像をプレビュー表示するようにしてもよい。これにより、入替対象の利用者は、入替先の視野画像を事前に把握できるため、入替先での運転操作の引き継ぎをスムーズに行うことができる。プレビュー表示は、例えば、ナビゲーション装置等の車載装置における表示部に表示可能である。また、プレビュー表示は、入れ替えが元に戻る際にも行われてもよい。
【0052】
また、入替部430は、入れ替えが行われるタイミング以前において、入替対象の複数の利用者それぞれに対してカウントダウン表示を行ってもよい。これにより、運転が入れ替わるタイミングを利用者が正確に把握できるため、入替先での運転操作の引き継ぎをスムーズに行うことができる。カウントダウン表示は、例えば、ナビゲーション装置等の車載装置における表示部に表示可能である。また、カウントダウン表示は、入れ替えが元に戻る際にも行われてもよい。
【0053】
提供部440は、入替対象となった利用者に対して特典を提供する。例えば、提供部440は、運転交代を要求した利用者A(第1の利用者)に代わって、運転交代を提供した利用者B(第2の利用者)に対して特典を提供する。特典は、電子マネーや金券、ポイント等である。また、特典は、上記の第1の利用者から提供される報酬を含んでもよい。報酬は、例えば、電子マネーや金券、ポイント等である。
【0054】
提供部440は、代わりに走行する運転ルートの難易度や、交代の緊急度などの運転状況に応じて、提供される特典(報酬)を増減してもよい。すなわち、突然(交代要求の開始時刻の所定時間(例えば10分)前)の運転の交代要求がなされた場合、提供部440は、この交代要求に対応した利用者Bに対する特典(報酬)を増やす。また、運転ルートの難易度が所定の閾値よりも高い場合、提供部440は、交代要求に対応した利用者Bに対する特典(報酬)を増やし、運転ルートの難易度が所定の閾値よりも低い場合、提供部440は、交代要求に対応した利用者Bに対する特典(報酬)を減らしてもよい。このように、提供部440は、上記した運転ルートの難易度や運転状況に応じて提供される特典(報酬)を増減しているが、特典(報酬)は一律(指定)でもよい。
【0055】
保険処理部450は、利用者が運転する車両Cを入れ替えた際に適用される自動車保険に関する契約処理を行う。一般に、利用者が所有する車両については、所有する利用者およびその家族が運転した場合に保険が適用されるため、車両Cを入れ替えて他人(第三者)が運転する場合は想定されていない。保険処理部450は、選択部420が複数の利用者A、Bを選択した場合に、利用者Aが利用者Bの車両Cを運転し、利用者Bが利用者Aの車両Cを運転することに対する保険契約処理を実行する。これにより、利用者A、Bは、安心して運転することができる。
【0056】
なお、制御部400は、例えば、所定のアプリを介して、入替内容を利用者が見て入替先を決定できる構成であってもよい。例えば、制御部400は、入替を希望する第1の利用者の入替に関する情報(走行する道路の難易度や、提供される報酬を含む特典)をアプリを介して第2の利用者へ提供する。第2の利用者は、これらの情報を見て希望する入替先を選択して通知してもよい。
【0057】
〔処理フロー〕
次に、
図5を参照して、実施形態に係る運転制御装置100の制御部400による処理の手順について説明する。
図5は、実施形態に係る制御部400によって実行される処理の一例を示すフローチャートである。
【0058】
図5に示すように、制御部400は、まず、利用者から運転入替要求を受け付ける(ステップS101)。
【0059】
つづいて、制御部400は、運転交代の要求条件情報を取得する(ステップS102)。
【0060】
つづいて、制御部400は、運転交代の提供条件情報を取得する(ステップS103)。
【0061】
つづいて、制御部400は、要求条件情報および提供条件情報に基づいて、運転を交替する複数の利用者を選択する(ステップS104)。
【0062】
つづいて、制御部400は、選択した複数の利用者それぞれが運転する車両Cを入れ替える(ステップS105)。
【0063】
つづいて、制御部400は、入替元の視野画像および運転操作を入替先に反映する(ステップS106)。
【0064】
つづいて、制御部400は、運転入替後、運転交代を提供して難易度を高い道路を運転した利用者へ特典を提供する(ステップS107)。
【0065】
〔その他〕
上述した実施形態では、利用者A、Bともに運転中である場合に運転を入れ替える例を示したが、利用者A、Bのいずれかが運転中でなくてもよい。例えば、オフィス等にいる利用者Bが運転中の利用者Aの車両を運転するように入れ替わってもよい。この構成では、運転交代を要求するのが利用者Aであり、運転交代を提供するのが利用者Bとなる。
【0066】
この場合、利用者Aは、運転交代の後、利用者Bの車両Cを運転する必要がない。このため、例えば、突然の睡魔に襲われて運転交代を要求したり、運転中にリモート会議が予定されており、そのリモート会議に参加する時間だけ運転交代を要求したりすることができる。このような構成では、利用者Bが遠隔で運転代行をすることになるため、例えば、遠隔で運転代行を専門に行う会社に所属する複数の利用者B(運転者)が交代で運転代行をしてもよい。
【0067】
また、運転交代を要求している利用者Aと、運転交代を提供している利用者Bとを入れ替えて遠隔な運転交代を実行する構成では、例えば、運転交代を要求した利用者Aの自宅の周辺など利用者Aの個人情報を面識の無い利用者Bに知られてしまうこともある。また、利用者Bが意図的に事故を起こして相手(利用者A)を怪我させてしまうことも想定される。これらを防止するために、運転制御装置100は、上記した要求条件として「人間関係」を設定してもよい。この人間関係は、交代相手の利用者(利用者B)に求める利用者本人(利用者A)との関わり合いを示す指標である。「人間関係」を有りと設定すると、選択部420は、利用者Aが信頼するグループに所属する中から利用者Bを選択する。このグループは、例えば、利用者Aに関する要求条件情報として事前に利用者Aによって入力されることが好ましい。また、「人間関係」を無しと設定すると、選択部420は、所定のサーバなどを用いて、利用者Aに関するログを検索し、これらのログから推察された利用者Aをまったく関係(居住地や職業など)の無い人を利用者Bとして設定する。この構成によれば、要求条件として「人間関係」の有無を設定することにより、運転交代に伴う人間関係のリスクを低減することができる。
【0068】
また、例えば、運転交代を提供している利用者Bの申し出に応じて、運転交代を要求した利用者Aとの間で運転交代を実行してもよい。具体的には、「○○の海沿いを代わりにドライブしてみませんか?」という利用者Bの申し出に応じて、ドライブしたいと思う利用者Aが利用者Bに代わって運転することとなる。この構成では、利用者Aは運転交代を要求した利用者であり、利用者Bが運転交代を提供した利用者となるため、運転制御装置100は、上記と同様に、利用者Bに特典(報酬)を提供する。これにより、利用者Aは、日本国内または外国の景観地(観光地)を遠隔で運転したり、訪問予定地を事前に遠隔で運転することができる。この場合、運転制御装置100は、人気のある観光地を運転する場合には、特典(報酬)を増大してもよい。
【0069】
また、上述した実施形態では、運転交代を提供する利用者Bは、運転交代を要求する利用者Aが求める運転ルートの運転を実行するが、例えば、出発地と目的地は同じで、その間の経路を利用者Bが提案してもよい。例えば、「このルートの方が景色がいいよ」や、「このルートの方が車酔いしにくいよ」などという理由とともに、運転ルートを利用者Aに提案してもよい。利用者Aがこの提案を承諾すれば、新たなルートで目的地まで遠隔で運転することができる。
【0070】
また、運転交代を要求した利用者Aの車両が、例えば、1人ドライブの軽自動車の場合と、小さな子供も含めて8人家族が搭乗したワゴン車とでは、これら車両(移動体)の運転に関する危険度が大きく異なる。このため、上述した要求条件には、車両の運転に関する危険度の項目を含んでもよい。この危険度は、運転する車両の種類や、搭乗者の人数、運転する距離等に基づいて算出することができ、安全度や難易度と表現してもよい。この場合、提供部440は、車両の運転に関する危険度が所定の閾値よりも高い場合、交代要求に対応した利用者Bに対する特典(報酬)を増やし、車両の運転に関する危険度が所定の閾値よりも低い場合、交代要求に対応した利用者Bに対する特典(報酬)を減らしてもよい。また、車両の運転に関する危険度には、例えば、危険物運搬トラックやタンクローリーの運転を交代する場合や、建設機械などの作業車両で危険物を取り扱う場合を含んでもよい。
【0071】
また、上述した実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の一部を手動的に行うこともできる。あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、各図に示した各種情報は、図示した情報に限られない。
【0072】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【0073】
例えば、
図4に示した記憶部300の一部又は全部は、運転制御装置100によって保持されるのではなく、ストレージサーバ等に保持されてもよい。この場合、運転制御装置100は、ストレージサーバにアクセスすることで、利用者行動等の各種情報を取得する。
【0074】
また、上述した実施形態では、運転交代をする移動体が車両Cである場合を例に挙げたが、遠隔運転制御が可能な移動体であれば、例えば、ドローンのような飛行するものであってもよい。また、上述した実施形態では、車両Cが自動車である場合を例に挙げたが、車両Cは、例えば、建設機械や工作機械等のような作業車両であってもよい。
【0075】
〔ハードウェア構成〕
また、上述してきた実施形態に係る運転制御装置100は、例えば
図6に示すような構成のコンピュータ1000によって実現される。
図6は、ハードウェア構成の一例を示す図である。コンピュータ1000は、出力装置1010、入力装置1020と接続され、演算装置1030、一次記憶装置1040、二次記憶装置1050、出力IF(Interface)1060、入力IF1070、ネットワークIF1080がバス1090により接続された形態を有する。
【0076】
演算装置1030は、一次記憶装置1040や二次記憶装置1050に格納されたプログラムや入力装置1020から読み出したプログラム等に基づいて動作し、各種の処理を実行する。一次記憶装置1040は、RAM等、演算装置1030が各種の演算に用いるデータを一時的に記憶するメモリ装置である。また、二次記憶装置1050は、演算装置1030が各種の演算に用いるデータや、各種のデータベースが登録される記憶装置であり、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ等により実現される。
【0077】
出力IF1060は、モニタやプリンタといった各種の情報を出力する出力装置1010に対し、出力対象となる情報を送信するためのインタフェースであり、例えば、USB(Universal Serial Bus)やDVI(Digital Visual Interface)、HDMI(登録商標)(High Definition Multimedia Interface)といった規格のコネクタにより実現される。また、入力IF1070は、マウス、キーボード、およびスキャナ等といった各種の入力装置1020から情報を受信するためのインタフェースであり、例えば、USB等により実現される。
【0078】
なお、入力装置1020は、例えば、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、PD(Phase change rewritable Disk)等の光学記録媒体、MO(Magneto-Optical disk)等の光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、または半導体メモリ等から情報を読み出す装置であってもよい。また、入力装置1020は、USBメモリ等の外付け記憶媒体であってもよい。
【0079】
ネットワークIF1080は、ネットワークNを介して他の機器からデータを受信して演算装置1030へ送り、また、ネットワークNを介して演算装置1030が生成したデータを他の機器へ送信する。
【0080】
演算装置1030は、出力IF1060や入力IF1070を介して、出力装置1010や入力装置1020の制御を行う。例えば、演算装置1030は、入力装置1020や二次記憶装置1050からプログラムを一次記憶装置1040上にロードし、ロードしたプログラムを実行する。
【0081】
例えば、コンピュータ1000が運転制御装置100として機能する場合、コンピュータ1000の演算装置1030は、一次記憶装置1040上にロードされたプログラムを実行することにより、制御部400の機能を実現する。
【0082】
〔効果〕
上述してきたように、実施形態に係る運転制御装置100は、取得部410と、選択部420と、入替部430とを備える。取得部410は、遠隔制御が可能な車両Cを運転する利用者の運転交代の要求条件に関する要求条件情報と、利用者の運転交代の提供条件に関する提供条件情報とを取得する。選択部420は、要求条件情報および提供条件情報に基づいて、運転を交替する複数の利用者を選択する。入替部430は、選択部420によって選択された複数の利用者が運転する車両Cを入れ替える。また、入替部430は、入替対象の利用者の視野を示す視野画像の表示先と、利用者の運転操作の反映先を入れ替える。また、選択部420は、第1の利用者における運転交代の要求条件の項目と、第2の利用者における運転交代の提供条件の項目との適合度が所定の閾値以上である場合に、第1の利用者および第2の利用者を選択する。また、選択部420は、第1の利用者の運転交代の要求条件に含まれる運転ルートの運転を交代する第2の利用者を複数選択し、入替部430は、選択された複数の第2の利用者が運転する複数の車両Cを第1の利用者が運転する車両Cと順次入れ替える。また、運転制御装置100は、入替部430によって第1の利用者および第2の利用者それぞれの運転が入れ替わった場合には、第2の利用者に対して特典を提供する提供部440をさらに備える。また、特典は、第1の利用者から提供される報酬を含む。また、第1の利用者の要求条件は、運転交代の緊急度を含み、提供部440は、緊急度の高さに応じて特典を増やす。また、選択部420は、第1の利用者が運転する車両Cと同種の車両Cを過去に運転した第2の利用者を優先的に選択する。また、入替部430は、入れ替えが行われる前において、入替対象の複数の利用者それぞれの視野を示す視野画像を入替先にプレビュー表示する。また、入替部430は、入れ替えが行われるタイミング以前において、入替対象の複数の利用者それぞれに対してカウントダウン表示を行う。このような構成により、利用者が使いやすい遠隔運転サービスを提供することができる。
【0083】
以上、本願の実施形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【0084】
〔その他〕
また、上記実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、各図に示した各種情報は、図示した情報に限られない。
【0085】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【0086】
また、上述してきた実施形態に記載した各処理は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【0087】
また、上記してきた「部(section、module、unit)」は、「手段」や「回路」などに読み替えることができる。例えば、取得部410は、取得手段や取得回路に読み替えることができる。
【符号の説明】
【0088】
1 運転制御システム
100 運転制御装置
200 通信部
300 記憶部
310 要求条件情報データベース
320 提供条件情報データベース
400 制御部
410 取得部
420 選択部
430 入替部
440 提供部
500 利用者端末
C 車両(移動体)
N ネットワーク