(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-15
(45)【発行日】2024-02-26
(54)【発明の名称】スマートテキスタイル及びシステム
(51)【国際特許分類】
B32B 5/02 20060101AFI20240216BHJP
H05B 3/14 20060101ALI20240216BHJP
H05B 3/20 20060101ALI20240216BHJP
H05B 3/36 20060101ALI20240216BHJP
D06B 11/00 20060101ALI20240216BHJP
A41D 27/00 20060101ALN20240216BHJP
A41D 31/00 20190101ALN20240216BHJP
A41D 31/04 20190101ALN20240216BHJP
【FI】
B32B5/02 Z
H05B3/14 A
H05B3/20 310
H05B3/36
D06B11/00 Z
A41D27/00 Z
A41D31/00 502N
A41D31/00 503Z
A41D31/04 G
(21)【出願番号】P 2021140775
(22)【出願日】2021-08-31
【審査請求日】2021-08-31
(73)【特許権者】
【識別番号】505300841
【氏名又は名称】株式会社ZOZO
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中丸 啓
(72)【発明者】
【氏名】田島 康太郎
【審査官】長谷川 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-204907(JP,A)
【文献】特開2008-280523(JP,A)
【文献】特表2021-500493(JP,A)
【文献】特開平04-204486(JP,A)
【文献】特開2004-137614(JP,A)
【文献】特開平10-259581(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第112690515(CN,A)
【文献】特開2001-200408(JP,A)
【文献】特開平11-117185(JP,A)
【文献】羽田 久一,非発光変色テキスタイルによるアンビエント型ディスプレイの提案,ヒューマンインタフェース学会論文誌,第12巻、第1号,日本,2010年,23-33頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D27/00-27/28
31/00-31/32
B32B1/00-43/00
H05B3/02-3/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の温度を閾値として変色する
ロイコ色素を含む温度応答性インクを含む変色層と個別に発熱可能な複数の加熱領域を含むヒーター層とを積層したスマートテキスタイルであって、
前記温度応答性インクは、3色以上のベース色
であって前記加熱領域の加熱による温度に応じて変色するベース色と変色しないベース色とを少なくとも含む3色以上のベース色が組み合わされており、
前記変色層に含まれる温度応答性インクの色が、隣接する前記加熱領域による加熱により制御される
ことを特徴とするスマートテキスタイル。
【請求項2】
前記変色層は、前記温度応答性インクが付与された複数の横糸が配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載のスマートテキスタイル。
【請求項3】
前記変色層は、前記温度応答性インクが付与された複数の横糸および前記温度応答性インクが付与された複数の縦糸が配置されている
ことを特徴とする請求項2に記載のスマートテキスタイル。
【請求項4】
前記ヒーター層は、前記変色層の各横糸と隣接するように複数の前記加熱領域が
前記横糸に対して略平行に配置されている
ことを特徴とする請求項2または3に記載のスマートテキスタイル。
【請求項5】
前記ヒーター層は、複数の前記加熱領域がグリッド状に配置されている
ことを特徴とする請求項2または3に記載のスマートテキスタイル。
【請求項6】
前記ヒーター層の各加熱領域は、PTCインク、カーボン素材又はエナメル線である
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一つに記載のスマートテキスタイル。
【請求項7】
前記ヒーター層の各加熱領域は、ペルチェ素子である
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一つに記載のスマートテキスタイル。
【請求項8】
前記温度応答性インクは、温度に応答して多段階で変色する
ことを特徴とする請求項1~7のいずれか一つに記載のスマートテキスタイル。
【請求項9】
前記温度応答性インクは、加熱により色が消えるベース色と、加熱しても色が消えないベース色との組み合わせに基づいて変色する
ことを特徴とする請求項8に記載のスマートテキスタイル。
【請求項10】
フィードバック制御により、前記温度の変化を制御する
ことを特徴とする請求項8又は9に記載のスマートテキスタイル。
【請求項11】
ライトシェード、壁紙又は家具に応用される
ことを特徴とする請求項1~10のいずれか一つに記載のスマートテキスタイル。
【請求項12】
所定の温度を閾値として変色する
ロイコ色素を含む温度応答性インクを含む変色層と個別に発熱可能な複数の加熱領域を含むヒーター層とを積層したスマートテキスタイルと、
前記加熱領域の加熱を制御する制御装置と、を含み、
前記温度応答性インクは、3色以上のベース色
であって前記加熱領域の加熱による温度に応じて変色するベース色と変色しないベース色とを少なくとも含む3色以上のベース色が組み合わされており、
前記変色層に含まれる温度応答性インクの色が、隣接する前記加熱領域による加熱により制御される
ことを特徴とするシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スマートテキスタイル及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
インテリア(例えば、壁紙)、ファッション(例えば、衣類)、車などの多くの業界において、電子回路を織物に、また、織物からつくられ得る物品に組み込む要望がある。このような要望に応えるために、スマートテキスタイルを用いる方法が知られている。
【0003】
従来、例えば、線面ヒーターを張り合わせてスマートテキスタイルを織り込む技術が知られている(下記特許文献1-2)。また、例えば、電界に応答して意匠が変化するスマートテキスタイルを織り込む技術が知られている(下記特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-208275号公報
【文献】特開2020-140962号公報
【文献】特許第6826352号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の技術では、しなやかさとテクスチャの繊細さとを確保しつつ、温度に応答して意匠が適切に変化する安全性の高いスマートテキスタイルを提供することができなかった。
【0006】
本願は、上記に鑑みてなされたものであって、しなやかさとテクスチャの繊細さとを確保しつつ、温度に応答して意匠が適切に変化する安全性の高いスマートテキスタイルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願に係るスマートテキスタイルは、所定の温度を閾値として変色する温度応答性インクと発熱電極とを層構造に積層した箔を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
実施形態の一態様によれば、しなやかさとテクスチャの繊細さとを確保しつつ、温度に応答して意匠が適切に変化する安全性の高いスマートテキスタイルを提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態に係る情報処理の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る箔の断面を示す模式図である。
【
図3A】
図3Aは、実施形態に係る箔の層構造の一例を示す図である。
【
図3B】
図3Bは、実施形態に係る箔の層構造の一例を示す図である。
【
図3C】
図3Cは、実施形態に係る箔の層構造の一例を示す図である。
【
図3D】
図3Dは、実施形態に係る箔の層構造の一例を示す図である。
【
図3E】
図3Eは、実施形態に係る箔の層構造の一例を示す図である。
【
図3F】
図3Fは、実施形態に係る箔の層構造の一例を示す図である。
【
図4A】
図4Aは、実施形態に係る発熱糸の構造の一例を示す図である。
【
図4B】
図4Bは、実施形態に係る発熱糸の構造の一例を示す図である。
【
図4C】
図4Cは、実施形態に係る発熱糸の構造の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る情報処理システムの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本願に係るスマートテキスタイル及びシステムを実施するための形態(以下、「実施形態」と呼ぶ)について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により本願に係るスマートテキスタイル及びシステムが限定されるものではない。また、以下の各実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
【0011】
(実施形態)
〔1.情報処理の一例〕
以下実施形態では、テキスタイル100がスマートテキスタイルであるものとして説明する。具体的には、テキスタイル100が、所定の温度を閾値として変色する温度応答性インクと、発熱可能な発熱電極とを積層した箔、または糸を織り込んだスマートテキスタイルであるものとする。また、温度応答性インクは、発熱電極の発熱による温度に応答して変色するものとする。例えば、温度応答性インクは、温度に応答して多段階で変色するものであってもよい。例えば、温度応答性インクは、加熱により色が消えるベース色と、加熱しても色が消えないベース色との組み合わせに基づいて変色するものであってもよい。また、実施形態に係る温度応答性の箔は、過熱抑制のPTC(Positive Temperature Coefficient)インクと温度応答性材料のロイコ色素を含んだインクの積層体で構成されてもよい。
【0012】
なお、以下実施形態では、テキスタイル100が、温度応答性インクと発熱電極とを層構造に積層した箔を含むものとして説明するが、温度応答性インクと発熱電極とを同心円状に積層した糸を含むものであってもよいものとする。また、以下実施形態では、テキスタイル100が制御装置10によって制御される場合を示すが、テキスタイル100の制御方法は特に限定されないものとする。
【0013】
図1は、実施形態に係る情報処理システム1の情報処理の一例を示す図である。
図1では、テキスタイル100が制御装置10によって制御されるものとする。例えば、発熱電極の発熱が制御装置10によって制御されるものとする。制御装置10は、例えば、ユーザの操作に従ってテキスタイル100へ制御情報を送信する(ステップS101)。テキスタイル100は、制御装置10から送信された制御情報に従って発熱電極を発熱させるための処理を行う(ステップS102)。例えば、印加により発熱電極を発熱させるための処理を行う。また、テキスタイル100は、制御信号により変調を加えることにより、発熱電極の発熱を段階的に制御してもよい。なお、図示されていないが、テキスタイル100は、制御装置10から送信された制御情報に基づく制御結果を、制御装置10へ送信してもよい。
【0014】
図1では、テキスタイル100は、糸Y1、Y2、・・・が並行上に配置された構造を有する。糸Y1、Y2、・・・は、導電性の糸であり、それぞれが、グランドと所定の印加元に接続されている。なお、
図1では、テキスタイル100が、糸Y1、Y2、・・・が並行上に配置された構造を有する場合を示すが、テキスタイル100は、糸Y1、Y2、・・・を緯糸として、糸Y1、Y2、・・・と直交するように並行上に配置された縦糸を有してもよい。
【0015】
続いて、実施形態に係る箔の断面について説明する。
図2は、実施形態に係る箔の断面を示す模式図である。
図2は、例えば、
図1に示す(A)-(A)線の断面図と対応する。
【0016】
層L1は、温度応答性インクが塗られた糸Y1、Y2、・・・の層であり、温度応答性インクに基づいて変色する変色層(感温層)でもある。また、層L2は、発熱電極に基づいて発熱するヒーターの層である。また、層L3は、PET(Poly Ethylene Telephthalate)フィルムなどのフィルムの層である。すなわち、テキスタイル100は、温度応答性インクに基づく変色層と、発熱電極に基づくヒーター層と、フィルム層とが層構造に積層された箔を含む。
【0017】
図2では、説明の便宜上、層L1乃至L3が別々の層として互いに張り合わされて箔を形成しているように示されているが、実施形態に係る箔は、層L1乃至L3が一体化されたものであってもよいものとする。テキスタイル100は、変色層と、ヒーター層と、フィルム層とが一体化された箔を含んでもよい。すなわち、実施形態に係る箔は、層L1乃至L3が層構造に積層された箔であれば、張り合わされたものであっても、一体化されたものであってもよいものとする。テキスタイル100は、このような箔が並行上に配置されたものであってもよい。
【0018】
ここで、変色層と、ヒーター層と、フィルム層との層構造の種々のバリエーションを説明する。なお、説明の便宜上、フィルム層は、ヒーター層と一体化されているものとして説明する。
【0019】
図3Aは、変色層(層L1)の温度応答性インクが塗られた糸が緯糸(糸Y1、Y2、・・・)のみであり、ヒーター層(層L2)の発熱電極が面状である場合を示す。この場合、温度に応答して緯糸が変色する。
【0020】
図3Bは、変色層(層L1)の温度応答性インクが塗られた糸が緯糸(糸Y1、Y2、・・・)及び縦糸(糸Y11、Y12、・・・)であり、ヒーター層(層L2)の発熱電極が面状である場合を示す。この場合、温度に応答して緯糸及び縦糸が変色する。
【0021】
図3Cは、変色層(層L1)の温度応答性インクが塗られた糸が緯糸(糸Y1、Y2、・・・)のみであり、ヒーター層(層L2)の発熱電極がライン状(ラインLA1、LA2、・・・)である場合を示す。なお、ラインLA1、LA2、・・・は、糸Y1、Y2、・・・に対応した位置に配置されているものとする。この場合、温度に応答してラインLA1、LA2、・・・に沿って緯糸が変色する。
【0022】
図3Dは、変色層(層L1)の温度応答性インクが塗られた糸が緯糸(糸Y1、Y2、・・・)及び縦糸(糸Y11、Y12、・・・)であり、ヒーター層(層L2)の発熱電極がライン状(ラインLA1、LA2、・・・)である場合を示す。なお、ラインLA1、LA2、・・・は、糸Y1、Y2、・・・に対応した位置に配置されているものとする。この場合、温度に応答してラインLA1、LA2、・・・に沿って緯糸が変色する。
【0023】
図3Eは、変色層(層L1)の温度応答性インクが塗られた糸が緯糸(糸Y1、Y2、・・・)のみであり、ヒーター層(層L2)の発熱電極がグリッド状(グリッドGA1、GA2、・・・)である場合を示す。この場合、温度に応答してグリッドGA1、GA2、・・・に沿って緯糸が変色する。
【0024】
図3Fは、変色層(層L1)の温度応答性インクが塗られた糸が緯糸(糸Y1、Y2、・・・)及び縦糸(糸Y11、Y12、・・・)であり、ヒーター層(層L2)の発熱電極がグリッド状(グリッドGA1、GA2、・・・)である場合を示す。この場合、温度に応答してグリッドGA1、GA2、・・・に沿って緯糸及び縦糸が変色する。
【0025】
なお、テキスタイル100では、温度応答性インクが塗られた糸をヒーター層に対して並行上に配置する。このため、テキスタイル100は、温度応答性インクでヒーター層を薄く実装することができるため、しなやかさを確保することができる。
【0026】
また、テキスタイル100は、ヒーター層と多層に積層することで繊維と一体化することができるため、テクスチャの繊細さを確保することができる。例えば、ヒーター層のサイズが糸のサイズに対して大きい場合、ヒーター層と糸とにずれが生じるため、変色させた際に、糸単位ではなく、面単位で変色する場合がある。糸そのものにヒーター層が統合されることで繊細な表現が可能となるため、テキスタイル100は、テクスチャの繊細さを確保することができる。
【0027】
また、テキスタイル100は、温度応答性インクが塗られた糸を並行上に配置することで、並列電極構造にすることができるため、安全性を確保することができる。例えば、直接電極構造の場合、一部が破壊されると電流が流れなくなる場合がある。並列電極構造にすることで、一部が破壊されても熱集中が起こり難くすることができるため、テキスタイル100は、安全性を確保することができる。
【0028】
なお、上記実施形態において、テキスタイル100は、実施形態に係る端部2箇所(実施形態に係る箔の両端部)に、端部2箇所を結ぶ方向に対して直交するように配置された導電素材で短絡されたものであってもよい。
【0029】
なお、上記実施形態において、テキスタイル100は、変色層と、ヒーター層と、フィルム層とが制御回路と一体化され、変色層の変色を、実施形態に係る箔の長手方向に対して選択的に制御可能なものであってもよい。
【0030】
なお、上記実施形態において、テキスタイル100は、ヒーター層に対して薄く実装された温度応答性インクの上面に透明な保護層(例えば、PETフィルム)を有した箔を含んでもよい。この場合、箔のそれぞれの層の薄さとして、例えば、フィルム層が12~24μm、ヒーター層が50~100μm、変色層が50μm、保護層が12~24μmとなることが想定されるため、箔の薄さは、0.5mm以下となることが想定される。
【0031】
以上、テキスタイル100が、温度応答性インクと発熱電極とを層構造に積層した箔を含むものである場合を説明した。以下、テキスタイル100が、温度応答性インクと発熱電極とを同心円状に積層した糸を含むものである場合を説明する。なお、以下、糸そのものにヒーター層が統合されているものとし、ヒーター層が統合された糸を、適宜、「発熱糸」とする。換言すると、発熱糸は、発熱電極を有する糸である。テキスタイル100は、このような発熱糸が並行上に配置されたものであってもよい。
【0032】
図4Aは、発熱糸(糸Y21)に変色層(層L11)を被覆させた場合を示す。例えば、Dip Coatingにより、発熱糸(糸Y21)に変色層(層L11)を被覆させた場合である。テキスタイル100は、発熱糸(糸Y21)に変色層(層L11)を被覆させることで、温度応答性インクと発熱電極とが同心円状に積層された発熱糸を含む。
【0033】
図4Bは、発熱糸(糸Y21)に、温度応答性インクが塗られた糸Y22(以下、適宜、「変色糸」とする。)を巻き付けた場合を示す。なお、発熱糸(糸Y21)と変色糸(糸Y22)とを撚る場合を含むものとする。例えば、外の表面に温度応答性インクが現れるように、発熱糸(糸Y21)に変色糸(糸Y22)を螺旋状に巻き付けた場合を示す。テキスタイル100は、発熱糸(糸Y21)に変色糸(糸Y22)を巻き付けることで、温度応答性インクと発熱電極とが同心円状に積層された発熱糸を含む。
【0034】
図4Cは、発熱糸(糸Y21)に温度応答性インク(色素P11、P12、・・・)を混ぜ込んで紡糸させた場合を示す。テキスタイル100は、発熱糸(糸Y21)に温度応答性インク(色素P11、P12、・・・)を混ぜ込んで紡糸させることで、温度応答性インクと発熱電極とが同心円状に積層された発熱糸を含む。
【0035】
なお、上記実施形態において、テキスタイル100は、変色層と、ヒーター層と、フィルム層とが制御回路と一体化され、変色層の変色を、実施形態に係る発熱糸の方向に対して選択的に制御可能なものであってもよい。
【0036】
なお、上記実施形態において、ヒーター層の加熱素材は、例えば、PTCインク、カーボン素材、エナメル線などであってもよい。
【0037】
なお、上記実施形態において、ヒーター層の素材は、例えば、ペルチェ素子などであってもよい。
【0038】
なお、上記実施形態において、ヒーター層の温度変化は、例えば、フィードバック制御などにより制御されてもよい。
【0039】
なお、上記実施形態において、テキスタイル100は、どのようなものに応用されてもよい。例えば、テキスタイル100は、ライトシェードや壁紙や家具などのインテリア製品、バッグや衣類などのファッション製品などに応用されてもよい。また、テキスタイル100は、調光カーテンや、意匠が変化可能な小物などに応用されてもよい。
【0040】
なお、上記実施形態において、実施形態に係る温度応答性インクが、加熱により色が消えるベース色と、加熱しても色が消えないベース色との組み合わせに基づいて変色するものであってもよいものとして説明した。ここで、実施形態に係る温度応答性インクは、色味に応じて3色以上のベース色を組み合わせたものであってもよい。また、実施形態に係る温度応答性インクは、異なる温度で変色する複数のベース色を組み合わせたものであってもよいし、同一の温度で変色する複数のベース色を組み合わせたものであってもよい。
【0041】
なお、上記実施形態において、実施形態に係る温度応答性インクが、発熱により変色するものであるものとして説明した。ここで、実施形態に係る温度応答性インクは、冷却により変色するものであってもよい。例えば、実施形態に係る温度応答性インクは、発熱電極に隣接してパイプを配置し、冷水を流して冷却することにより変色するものであってもよい。
【0042】
なお、上記実施形態において、実施形態に係る温度応答性インクの変色は、一の加熱ラインにより制御されてもよいし、隣接する複数の加熱ラインにより制御されてもよい。後者の場合、例えば、隣接する複数の加熱ラインのライン間で制御されてもよい。
【0043】
なお、上記実施形態において、実施形態に係る温度応答性インクは、例えば、6~7度の温度範囲で変色する。このため、40度で変色する温度応答性インクと、60~70度の発熱電極とを積層したものが、テキスタイル100の利用の一例として想定される。
【0044】
なお、上記実施形態では、実施形態に係る温度変化が、発熱電極の発熱により制御される場合を説明したが、この例に限られない。例えば、実施形態に係る温度変化は、外的要因(例えば、室外の温度、エアコンの設定温度)による温度変化により制御されてもよい。例えば、テキスタイル100が織り込まれたものを、室内から室外へ移動させたり、室外から室内へ移動させたりする場合である。このような場合、実施形態に係る温度応答性インクは、外的要因による温度変化により変色する。このため、テキスタイル100は、印加の電源を有してもよいし、有さなくてもよい。
【0045】
〔2.情報処理システムの構成〕
図5に示す情報処理システム1について説明する。
図5に示すように、情報処理システム1は、制御装置10と、テキスタイル100とが含まれる。制御装置10と、テキスタイル100とは所定の通信網(ネットワークN)を介して、有線または無線により通信可能に接続される。
図5は、実施形態に係る情報処理システム1の構成例を示す図である。なお、
図5に示した情報処理システム1には、複数台の制御装置10や、複数台のテキスタイル100が含まれてもよい。
【0046】
制御装置10は、ユーザによって利用される情報処理装置である。制御装置10は、実施形態における処理を実現可能であれば、どのような装置であってもよい。また、制御装置10は、スマートフォンや、タブレット型端末や、ノート型PCや、デスクトップPCや、携帯電話機や、PDA、マイコン(マイクロコントローラ)などの装置であってもよい。
【0047】
テキスタイル100は、スマートテキスタイルである。テキスタイル100は、制御装置10などからネットワークNを介して送信されてきた情報に基づいて処理を行う。
【0048】
なお、
図5では、制御装置10とテキスタイル100とは、別装置である場合を示したが、制御装置10とテキスタイル100とが一体であってもよい。
【0049】
ここで、テキスタイル100の箔(又は発熱糸)又は導電糸部分と制御装置10との接続方法について説明する。例えば、導電糸部分と制御装置10とは、導電の基板に導電糸を巻き付ける方式、機械的な部材でかしめる方式、又は半田や導電グリスなどを用いて接着させる方式などによって接続される。また、例えば、実施形態に係る箔(又は発熱糸)と制御装置10とは、機械的にかしめる方式、半田や導電グリスなどを用いて接着させる方式、マグネットなどを用いて挟む方式、異方性導電膜(ACF)を用いた圧着による方式などによって接続される。なお、これらの接続方法は一例であり特に限定されないものとする。
【0050】
〔3.利用態様〕
以下、実際の利用態様について説明する。実施形態に箔(又は発熱糸)をテキスタイル素材に用いたテキスタイル100を織り込むことにより、温度に応答して意匠が変化可能なものを提供することができる。具体的な例を挙げると、テキスタイル100がライトシェードや壁紙などに織り込まれた場合、実施形態に係る箔の発熱電極に掛かる印加の制御によって、意匠の変化を適宜調整することができる。これにより、印加をオンすることによって、壁紙の裏面から意匠が浮かび上がるように表示されるように制御することができる。具体的には、印加がオフの状態では無地であっても、印加をオンすることによって、無地の布に花柄の意匠が浮かび上がるように表示されるように制御することができる。
【0051】
また、印加の制御に応じて、テキスタイル100の一部のみ意匠が変化するような制御が可能であってもよい。例えば、画素ごとに印加電圧とグランドとの接続を調整することによって画素ごとの印加の制御が可能になるため、部分的に変化して意匠が表示されるような制御が可能であってもよい。
【0052】
〔4.効果〕
上述してきたように、実施形態に係るテキスタイル100は、所定の温度を閾値として変色する温度応答性インクと発熱電極とを層構造に積層した箔を含むことを特徴とする。
【0053】
これにより、温度に応答して意匠が適切に変化するスマートテキスタイルを提供することができる。
【0054】
また、実施形態に係るテキスタイル100は、温度応答性インクに基づいて変色する変色層と、発熱電極に基づいて発熱するヒーター層とが一体化された箔が並行上に配置されたことを特徴とする。
【0055】
これにより、繊維と一体化することができるため、しなやかさとテクスチャの繊細さとを確保したスマートテキスタイルを提供することができる。
【0056】
また、実施形態に係るテキスタイル100は、箔の端部2箇所に、端部2箇所を結ぶ方向に対して直交するように配置された導電素材で短絡されたことを特徴とする。
【0057】
これにより、熱集中が起こり難くすることができるため、安全性の高いスマートテキスタイルを提供することができる。
【0058】
また、実施形態に係るテキスタイル100は、変色層とヒーター層とが、制御回路と一体化され、変色層の変色を箔の長手方向に対して選択的に制御することを特徴とする。
【0059】
これにより、選択的な意匠の変化が可能なスマートテキスタイルを提供することができる。
【0060】
また、実施形態に係るテキスタイル100は、所定の温度を閾値として変色する温度応答性インクと発熱電極とを同心円状に積層した糸を含むことを特徴とする。
【0061】
これにより、温度に応答して意匠が適切に変化するスマートテキスタイルを提供することができる。
【0062】
また、実施形態に係るテキスタイル100は、温度応答性インクに基づいて変色する変色層と、発熱電極に基づいて発熱するヒーター層とが一体化された糸が並行上に配置されたことを特徴とする。
【0063】
これにより、繊維と一体化することができるため、しなやかさとテクスチャの繊細さとを確保したスマートテキスタイルを提供することができる。
【0064】
また、実施形態に係るテキスタイル100は、変色層とヒーター層とが、制御回路と一体化され、変色層の変色を糸の方向に対して選択的に制御することを特徴とする。
【0065】
これにより、選択的な意匠の変化が可能なスマートテキスタイルを提供することができる。
【0066】
また、実施形態に係るヒーター層の加熱素材は、PTCインク、カーボン素材又はエナメル線であることを特徴とする。
【0067】
これにより、温度に応答して意匠が適切に変化するスマートテキスタイルを提供することができる。
【0068】
また、実施形態に係るヒーター層の素材は、ペルチェ素子であることを特徴とする。
【0069】
これにより、しなやかさとテクスチャの繊細さとを確保したスマートテキスタイルを提供することができる。
【0070】
また、実施形態に係る温度応答性インクは、温度に応答して多段階で変色することを特徴とする。
【0071】
これにより、温度に応答して多段階で意匠が適切に変化するスマートテキスタイルを提供することができる。
【0072】
また、実施形態に係る温度応答性インクは、加熱により色が消えるベース色と、加熱しても色が消えないベース色との組み合わせに基づいて変色することを特徴とする。
【0073】
これにより、温度に応答して意匠が適切に変化するスマートテキスタイルを提供することができる。
【0074】
また、実施形態に係るテキスタイル100は、フィードバック制御により、温度の変化を制御することを特徴とする。
【0075】
これにより、適切な温度変化の制御が可能なスマートテキスタイルを提供することができる。
【0076】
また、実施形態に係るテキスタイル100は、ライトシェード、壁紙又は家具に応用されることを特徴とする。
【0077】
これにより、ライトシェード、壁紙又は家具の一部として機能可能なスマートテキスタイルを提供することができる。
【0078】
〔5.その他〕
また、上記実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、各図に示した各種情報は、図示した情報に限られない。
【0079】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【0080】
また、上述してきた実施形態は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【0081】
以上、本願の実施形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【符号の説明】
【0082】
1 情報処理システム
10 制御装置
100 テキスタイル
N ネットワーク