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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-15
(45)【発行日】2024-02-26
(54)【発明の名称】供給タンク、供給装置、供給システム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/306 20060101AFI20240216BHJP
【FI】
H01L21/306 R
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021148834
(22)【出願日】2021-09-13
(65)【公開番号】P2023041453
(43)【公開日】2023-03-24
【審査請求日】2023-04-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000002428
【氏名又は名称】芝浦メカトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081961
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 光春
(74)【代理人】
【識別番号】100112564
【弁理士】
【氏名又は名称】大熊 考一
(74)【代理人】
【識別番号】100163500
【弁理士】
【氏名又は名称】片桐 貞典
(74)【代理人】
【識別番号】230115598
【弁護士】
【氏名又は名称】木内 加奈子
(72)【発明者】
【氏名】古矢 正明
(72)【発明者】
【氏名】小林 浩秋
(72)【発明者】
【氏名】森 秀樹
【審査官】加藤 芳健
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-79884(JP,A)
【文献】特開2018-56469(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0168088(US,A1)
【文献】特開2014-130954(JP,A)
【文献】特開平9-78263(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/306
H01L 21/304
C23F 1/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板処理装置に処理液を供給する供給タンクであって、
前記処理液を貯留する容器と、
前記容器を、前記処理液が導入される第1の領域と、前記基板処理装置に前記処理液を供給する第2の領域とに仕切る第1の仕切り板と、
前記第2の領域に、前記第1の領域に導入された前記処理液を送り出す第1の配管と、
前記第1の配管の経路上に設けられ、前記処理液を加熱する第1のヒータと、
を備え
前記第1の仕切り板は、前記第1の領域と前記第2の領域とを連通させ、前記処理液が流れる開口を備える供給タンク。
【請求項2】
前記第2の領域を、前記第1の配管により送り出された前記処理液が導入される第3の領域と、前記基板処理装置に前記処理液を供給する第4の領域とに仕切る第2の仕切り板を更に備え、
前記第2の仕切り板は、前記第3の領域と前記第4の領域とを連通させ、前記処理液が流れる開口を備える、
請求項1に記載の供給タンク。
【請求項3】
前記第1の仕切り板の開口は、前記第1の仕切り板の端部が接続される前記容器の一側面側に設けられ、
前記第2の仕切り板の開口は、前記容器の前記一側面に対向する他側面側に設けられる、
請求項に記載の供給タンク。
【請求項4】
前記第1の配管の流入口は、前記第1の領域において、前記第1の仕切り板の開口の近傍に設けられる、
請求項1乃至3のいずれかに記載の供給タンク。
【請求項5】
前記第1の配管の流出口は、前記第2の領域において、前記第1の仕切り板の開口の近傍に設けられる、
請求項乃至4のいずれかに記載の供給タンク。
【請求項6】
前記第4の領域を、前記第2の仕切り板の開口を介して前記第3の領域と連通している第5の領域と、前記基板処理装置に前記処理液を供給する第6の領域とに仕切る第3の仕切り板と、
前記第6の領域に、前記第5の領域の前記処理液を送り出す第2の配管と、
を更に備え、
前記第3の仕切り板には、前記第6の領域から前記第5の領域に前記処理液が流れる開口が設けられておらず、
前記第3の仕切り板の上端は、前記第5の領域の前記処理液の液面よりも高い位置であって、前記容器の側面の上端よりも低い位置に設けられる、
請求項2または3に記載の供給タンク。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の供給タンクと、
前記基板処理装置に、前記第2の領域の前記処理液を供給する供給配管と、
前記供給配管の経路上に設けられ、前記処理液を加熱する第2のヒータと、
を備える供給装置。
【請求項8】
前記供給配管から分岐して設けられ、前記容器に前記処理液を導入するリターン配管を更に備える、
を備える請求項7に記載の供給装置。
【請求項9】
請求項7または8に記載の供給装置と、
前記処理液により基板を処理する基板処理装置と、
前記基板処理装置から前記基板を処理した後の処理液を回収し、前記容器の前記第1の領域に導入する回収配管と、
を備える供給システム。
【請求項10】
前記回収配管は、前記容器において、前記第1の仕切り板の開口が設けられるの一側面に対向する他側面側に設けられる、
請求項9に記載の供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、供給タンク、供給装置、供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェーハやガラスなどの基板に積層された膜を、処理液によりエッチングするウェットエッチングの装置として、複数枚の基板を一括して処理液に浸漬させるバッチ式の基板処理装置と、一枚一枚の基板に対して処理液を供給する枚葉式の基板処理装置とが知られている。
【0003】
バッチ式の基板処理装置では、複数枚の基板を一括して処理するため、生産性の点で優位である。一方で、枚葉式の基板処理装置においては、基板を一枚ずつ処理するため、生産性ではバッチ式の基板処理装置に劣る代わりに、繊細かつ均一なエッチングが可能である。特に、近年では基板のパターンの微細化が進んでいるため、枚葉式の基板処理装置が使用される頻度も高くなってきている。
【0004】
枚葉式の基板処理装置においては、繊細かつ均一なエッチングを可能とするために、基板に供給する処理液の温度を厳密に制御する必要がある。処理液の温度は、例えば160℃に保たれるが、ここから1℃変わるだけでもエッチングレートが大きく変わり、エッチングの深さにばらつきが生じてしまう。そのため、処理液の温度の変動は、例えば0.2℃以内に抑えることが望ましい。
【0005】
ところで、このような処理液は、比較的高価であるので、エッチング後に回収され、温度を調整した上で、再利用される。例えば、特許文献1に開示されているように、エッチングに使用された処理液は、一度タンクに回収され、液温を調整した後、再び基板に供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2007-258462号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このようなタンクには、効率性の観点から、複数の基板処理装置が接続される場合が多い。すなわち、1つのタンクが、複数の基板処理装置において使用した処理液を回収し、また複数の基板処理装置にタンク内の処理液を供給する。そのため、タンクは、各基板処理装置における基板処理のタイミングが重なることにより、一度に多くの処理液を回収し、また一度に多くの処理液を供給することがある。また、1つの基板処理装置にのみ接続される場合であっても、基板処理装置を一時停止する場合など、処理液の回収タイミングにバラつきが出るおそれがある。
【0008】
いずれにせよ、このような問題により、タンク内の処理液の温度の変動が大きくなり、温度制御が困難になる。例えば、複数の基板処理装置が接続され、基板処理のタイミングが重なることにより回収される処理液の量が多くなった場合、タンク内の処理液の温度が大きく低下するため、処理液を供給するまでに十分な加熱時間を取れないおそれがある。処理液が十分に加熱されるまで供給を止めることも考えられる。だがしかし、この場合であっても、不定期かつ不定量で回収される処理液の量の変動によりタンク内の処理液の温度は刻々と変動するため、温度制御の誤差が大きくなることは避けられない。さらに、タンク内の処理液の温度が大きく低下した場合、ヒータの出力を上げて対応することになるが、一度上げたヒータの出力を下げる制御には時間がかかる。そのため、今度はタンク内の処理液を加熱し過ぎることになり、やはり温度制御が困難になる。このように、処理液の回収とヒータの制御という2つの要因により、処理液の温度制御を十分に行うことが出来ず、基板のエッチングの深さにばらつきが生じる原因となっていた。
【0009】
本発明は、基板処理装置に供給する処理液の液温を安定させる供給タンク、供給装置、供給システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の供給タンクは、基板処理装置に処理液を供給する供給タンクであって、前記処理液を貯留する容器と、前記容器を、前記処理液が導入される第1の領域と、前記基板処理装置に前記処理液を供給する第2の領域とに仕切る第1の仕切り板と、前記第2の領域に、前記第1の領域に導入された前記処理液を送り出す第1の配管と、前記第1の配管の経路上に設けられ、前記処理液を加熱する第1のヒータと、を備える。
【0011】
また、上述の供給タンクを備える供給装置及び供給システムも本発明の一態様とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の供給タンク、供給装置、供給システムは、基板処理装置に供給する処理液の液温を安定させることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態の基板処理装置と供給装置とを示す図。
図2】実施形態の供給タンクを示す透視斜視図。
図3】実施形態の変形例の基板処理装置と供給装置とを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。本実施形態の供給装置1は、図1に示すように、基板処理装置100から処理液を回収し、また基板処理装置100に処理液を供給する。また、図1では図示を省略しているが、基板処理装置100は、1つの供給装置1に対して複数設けられているものとする。なお、このような供給装置1と基板処理装置100とにより処理液を循環させるシステムを供給システムSSとする。
【0015】
(基板処理装置)
基板処理装置100は、例えば半導体ウェーハやガラスなどの基板Wに対して処理液を供給し、エッチングを行う枚葉式の基板処理装置である。基板処理装置100は、基板Wを保持及び回転させる回転駆動部101と、基板Wに処理液を供給する処理液供給部102と、基板Wに供給された処理液を回収する処理液回収部103と、を備える。
【0016】
回転駆動部101は、例えばチャックピンなどにより基板Wの縁を保持し、基板Wに直交する軸を中心に、保持した基板Wを回転させるスピンチャックである。処理液供給部102は、例えば回転駆動部101の上方に設けられ、回転駆動部101により回転する基板Wの面に向けて、処理液を吐出するノズルである。ノズルの他端は、後述の配管Sを介して供給装置1に接続されている。なお、処理液供給部102は、基板Wの面に対して1つだけ設けられても良いし、複数設けられても良い。処理液は、例えばフッ酸やリン酸、硫酸などの酸系の液体である。処理液回収部103は、例えば回転駆動部101を包囲するように設けられ、基板Wの面から溢れた処理液を、その底部から回収する筐体である。すなわち、処理液回収部103の底部は開口を備え、この開口が、後述の配管Cを介して供給装置1に接続されている。
【0017】
(供給装置)
供給装置1は、基板処理装置100から回収したエッチング後の処理液を加熱し、再び基板処理装置100に供給する供給装置である。供給装置1は、基板処理装置100の処理液回収部103からエッチング後の処理液を回収する回収配管である配管Cと、配管Cに接続され、配管Cが回収した処理液を貯留する供給タンク10と、供給タンク10に接続され、供給タンク10から基板処理装置100の処理液供給部102に処理液を供給する供給配管である配管Sと、を備える。
【0018】
供給タンク10は、処理液を貯留するための矩形の容器10aからなる。容器10aは、処理液に対して耐食性を有する素材からなる。容器10aは、図2に示すように、仕切り板11により複数の領域に分けられている。図2においては、2枚の仕切り板11により、3つの領域に仕切られている。まず、容器10aは、配管C及び後述の配管N、Rから処理液が導入される第1の領域R1と、配管Sに接続される第2の領域R2とに仕切られている。さらに、第2の領域R2は、第1の領域R1に隣接し、第1の領域R1から処理液が導入される領域R3と、領域R3に隣接し、配管Sに接続され、基板処理装置100に処理液を供給する領域R4とに仕切られている。なお、2枚の仕切り板11を区別する場合は、第1の領域R1と第2の領域R2とを仕切る仕切り板11を第1の仕切り板111、第2の領域R2の領域R3と領域R4とを仕切る仕切り板11を第2の仕切り板112とする。また、各領域R1、R3、R4には、処理液を保温するタンク内ヒータTHが設けられる。
【0019】
第1の仕切り板111及び第2の仕切り板112には、同じ大きさの長丸孔の開口11aが設けられ、各領域R1、R3、R4を連通させる。この開口11aを介して処理液は各領域R1、R3、R4間を移動するので、処理液の液面高さは各領域R1、R3、R4間で等しくなる。容器10a内の処理液の量が少ない場合であっても、処理液が各領域R1、R3、R4間を移動できるようにするため、本実施形態の開口11aは、液面高さ方向に長尺である。また、開口11aの大きさは、後述の配管Pから第2の領域R2の領域R3に導入された処理液が、この開口11aを介して再度第1の領域R1へと戻ろうとすることにより、処理液が領域R1及びR3内で循環してしまい、領域R4に流れにくくなることを避けるような大きさとすることが好ましい。一方で、仕切り板11は、耐食性に加えて断熱性を有する素材からなり、各領域R1、R3、R4間で処理液の温度差が縮まることを抑制している。また、本実施形態の開口11aが設けられる位置は、各領域R1、R3、R4間で処理液の温度が等しくなることを妨げる観点から、仕切り板11間で離間している。例えば、図2に示すように、第1の仕切り板111の開口11aが、第1の仕切り板111の端部が接続される容器10aの一側面側に設けられる場合、第2の仕切り板112の開口11aは、この一側面に対向する容器10aの他側面側に設けられることが好ましい。
【0020】
第1の領域R1には、配管C、N、Rが接続され、これらの配管から処理液が導入される。配管C、N、Rは、図2に示すように、容器10aにおいて、第1の仕切り板111の開口11aが設けられる容器10aの一側面に対向する他側面側に設けられる。これにより、配管C、N、Rから導入される処理液が、直ぐに第1の仕切り板111の開口11aを介して領域R3に流入することを回避出来る。配管Cは、基板処理装置100から回収したエッチング後の処理液を導入する。配管Nは、例えば送液装置、バルブ等からなる図示しない処理液供給装置に接続され、基板処理装置100におけるエッチングなどで減少した量に相当する処理液を新しく導入する。処理液の減少は、図示しないレベルセンサなどにより検出されても良い。なお、配管Nには図示しないバルブなどが設けられ、レベルセンサと協働して開閉することが出来る。配管Rは、配管Sから分岐して設けられ、供給する処理液の一部を供給タンク10に戻す役割を果たすリターン配管である。なお、配管S、Rには、図示しないバルブなどが設けられ、これらのバルブを開閉することにより、処理液の流れを制御することが出来る。
【0021】
さらに、第1の領域R1には、底部に配管Pが接続される。具体的には、図2に示すように、配管Pの流入口が、第1の仕切り板111の開口11aの近傍に設けられる。配管Pは、第1の領域R1の底部から第2の領域R2の領域R3に処理液を送り出す。すなわち、配管Pの経路上には、ポンプP1が設けられる。また、前記配管Pの経路上、例えばポンプP1の下流側にはヒータH1が設けられ、ポンプP1から送り出された処理液を、所定の温度を目標に加熱する。所定の温度は、例えば160℃である。ヒータH1の下流側には図示しない温度センサが設けられ、この温度センサからのフィードバックを受け、ヒータH1の出力が調整される。この温度センサは、例えばサーミスタである。このように、第1の領域R1においては、ポンプP1が、配管C、N、Rから導入された処理液を配管Pから吸い出し、加熱して第2の領域R2の領域R3に送り出す。配管C、N、Rから導入された処理液は、容器10a内の処理液全体よりも液温が低いために、容器10aの底部に移動する。これにより、配管C、N、Rから導入された処理液は、容器10a内の処理液全体に比して優先的に吸い出される。なお、配管C、N、Rから導入された処理液は、配管Pから吸い出されるだけでなく、開口11aを介して第2の領域R2にも流れる。
【0022】
第2の領域R2の領域R3には、配管Pが接続される。具体的には、図2に示すように、配管Pの流出口が、第1の仕切り板111の開口11aの近傍に設けられる。この配管Pを介して、第1の領域R1から処理液が導入される。この処理液は、第1の仕切り板111の開口11aを介して第1の領域R1に流れる。また、領域R3に導入された処理液は、第2の仕切り板112の開口11aを介して領域R4にも流れる。
【0023】
第2の領域R2の領域R4には、底部に配管Sが接続され、この配管Sを介して、基板処理装置100の処理液供給部102に処理液が供給される。配管Sは、領域R4の底部から処理液を吸い出す。すなわち、配管Sの経路上には、ポンプP2が設けられる。また、配管Sの経路上、例えばポンプP2の下流側にはヒータH2が設けられ、ポンプP2から送り出された処理液を、所定の温度を目標に加熱する。所定の温度は、例えば160℃である。ヒータH2の下流側には温度センサが設けられ、この温度センサからのフィードバックを受け、ヒータH2の出力が調整される。この温度センサTSは、例えばサーミスタである。これにより、所定の温度まで加熱された処理液が、基板処理装置100の処理液供給部102に供給される。なお、配管Sの経路上には、処理液から不純物を除去するフィルタが設けられても良い。
【0024】
(作用)
上記のような構成の供給装置1の動作を説明する。前提として、基板処理装置100において、処理液供給部102が基板Wに対して処理液を吐出し、このエッチング後の処理液が、処理液回収部103の開口から配管Cに回収される。配管Cに回収された処理液は、供給装置1の供給タンク10に導入される。より詳細には、供給タンク10の第1の領域R1に導入される。第1の領域R1に導入された処理液は、その一部が第1の仕切り板111の開口11aを介して隣接する第2の領域R2に流れる。一方で、第1の領域R1に導入された処理液の大部分は、ポンプP1により、第1の領域R1の底部に接続された配管Pから吸い出される。吸い出された処理液は、ポンプP1の下流側に設けられたヒータH1により、所定の温度を目標に加熱される。
【0025】
ヒータH1により加熱された処理液は、ポンプP1により、配管Pを介して第2の領域R2の領域R3に送り出される。領域R3に送り出された処理液は、仕切り板11の開口11aを介して第1の領域R1及び第2の領域R2の領域R4に流れる。
【0026】
領域R3から領域R4に流れた処理液は、ポンプP2により領域R4の底部に接続された配管Sから吸い出される。吸い出された処理液は、ポンプP2の下流側に設けられたヒータH2により、所定の温度を目標に加熱される。ヒータH2により加熱された処理液は、基板処理装置100の処理液供給部102に供給される。これにより、処理液供給部102は、所定の温度に加熱された処理液を吐出することが出来るので、所望のエッチングレートで基板Wをエッチングすることが出来る。
【0027】
(効果)
(1)本実施形態の供給タンク10は、基板処理装置100に処理液を供給する供給タンク10であって、処理液を貯留する容器10aと、容器10aを、処理液が導入される第1の領域R1と、基板処理装置100に処理液を供給する第2の領域R2とに仕切る第1の仕切り板111と、第2の領域R2に、第1の領域R1に導入された処理液を送り出す配管Pと、配管Pの経路上に設けられ、処理液を加熱するヒータH1と、を備える。このように、本実施形態の供給タンク10においては、処理液が導入される第1の領域R1とは異なる第2の領域R2に、ヒータH1により加熱した処理液を貯留し、この第2の領域R2から基板処理装置100に処理液を供給する。すなわち、第1の仕切り板111により第1の領域R1の処理液からの熱が遮断されているので、基板処理装置100に供給する第2の領域R2の処理液の液温を安定させることが出来る。従って、基板処理装置100に供給する直前で処理液を加熱するヒータH2の出力を大きく変動させる必要が無く、出力がほぼ一定となるような制御を行えば良いため、制御が容易である。さらに、第2の領域R2の処理液は、一度ヒータH1により加熱されているので、第1の領域R1の処理液に比して液温が高くなっている。これにより、ヒータH2は、比較的少ない出力で処理液を所定の温度まで加熱することが出来る。
【0028】
従来においては、供給タンクに仕切りが設けられていなかったため、不定期かつ不定量で回収される処理液により、供給タンク内の液温が常に変動していた。このような変動する液温に対して、所望の温度となるように処理液を加熱するヒータの出力を制御することは困難であった。例えば、回収される処理液の量は、基板処理装置における処理が重なることにより、一時的に増加する。このような場合には、供給タンク内の液温が大きく下がることになるが、これに合わせてヒータの出力を上げたとしても、その後回収される処理液の量が減少すると、即座にヒータの出力を抑えなければならない。一方で、本実施形態の供給タンク10においては、第1の仕切り板111により仕切られた第2の領域R2の処理液は、不定期かつ不定量で導入される処理液の温度の影響を受けにくいため、第2の領域R2の処理液を加熱するヒータH2の出力変動を抑え、安定的に制御することが出来る。
【0029】
(2)本実施形態の第1の仕切り板111は、第1の領域R1と第2の領域R2とを連通させ、処理液が流れる開口11aを備える。これにより、開口11aを介して第2の領域R2の処理液の一部が第1の領域R1に流れるので、例えば第1の領域R1に回収した処理液が流れ込まない場合であっても、ポンプP1が送り出す処理液の流量を維持することが出来る。仮に、第1の仕切り板111に開口11aが設けられていないとすると、第1の領域R1に導入される処理液の量が変動することにより、ポンプP1からヒータH1に送り込まれる処理液の流量も変動するので、ヒータH1の出力を制御することが困難になる。一方で、本実施形態の第1の仕切り板111に設けられた開口11aは、ポンプP1からヒータH1に送り込まれる処理液の流量を一定に保つことが、あるいは流量の変動を抑えることが出来るので、ヒータH1の出力制御を安定させることが出来る。
【0030】
さらに、供給タンク10に複数の基板処理装置100が接続されている場合、各基板処理装置100における基板処理のタイミングによっては、第1の領域R1に導入される処理液の量が大きく減少することになる。この場合、第1の仕切り板111の開口11aを介して、第2の領域R2から第1の領域R1に処理液が流れ込むが、第2の領域R2の処理液は、一度ヒータH1により加熱されて液温が高くなっている。従って、第1の領域R1から配管Pに吸い出される処理液の液温も高いため、ヒータH1は、比較的少ない出力で処理液を所定の温度まで加熱することが出来る。なお、第1の領域R1に導入される処理液の量が大きく減少するタイミングに合わせて配管Nから新液を供給することにより、新液に一度加熱された第2の領域R2からの処理液が混ざるため、ヒータH1は、比較的少ない出力で新液を所定の温度まで加熱することが出来る。
【0031】
(3)本実施形態の供給タンク10は、第2の領域R2を、配管Pから処理液が送り出される領域R3と、基板処理装置100に処理液を供給する領域R4とに仕切る第2の仕切り板112を更に備え、第2の仕切り板112は、領域R3と領域R4とを連通させ、処理液が流れる開口11aを備える。これにより、回収された処理液が導入される第1の領域R1と処理液を供給する第2の領域R2の領域R4との間に2枚の仕切り板11が設けられるので、基板処理装置100に供給する処理液に対する液温変化をより効果的に抑制することが出来る。
【0032】
(4)本実施形態の第1の仕切り板111の開口11aは、第1の仕切り板111の端部が接続される容器10aの一側面側に設けられ、第2の仕切り板112の開口11aは、容器10aの一側面に対向する他側面側に設けられる。このように、2枚の仕切り板11の開口11aを、互い違いに配置することにより、処理液が回収される第1の領域R1から処理液を供給する第2の領域R2の領域R4に処理液が流入しにくくなっているので、液温変化を更に効果的に抑制することが出来る。
【0033】
(5)本実施形態の配管Pは、第2の領域R2において、第1の仕切り板111の開口11aの近傍に設けられる。これにより、第1の領域R1の液温の低い処理液が、第2の領域R2に流れ込むことが抑制される。さらに、処理液は液温の高い方から低い方へと移動する性質を持つので、第2の領域R2から第1の領域R1に処理液が流れ込むことにより、エッチング後の処理液により第1の領域R1の処理液の液温が低下する速度を抑えることが出来る。これにより、ヒータH1の出力変動を抑えることが出来るので、ヒータH1の制御が容易になる。また、第2の領域R2から第1の領域R1に流れ込んだ処理液も、ヒータH1により再加熱されるため、第2の領域R2の液温をより一層安定させることが出来る。
【0034】
(6)本実施形態の供給装置1は、上述の供給タンク10と、基板処理装置100に、第2の領域R2の処理液を供給する配管Sと、配管Sの経路上に設けられ、処理液を加熱するヒータH2と、を備える。さらに、配管Sから分岐して設けられ、容器10aに処理液を導入する配管Rを備える。従来においては、例えば基板処理装置100における処理が滞っている場合に、配管S内で処理液の液温が低下するおそれがあった。本実施形態の供給装置1は、このような場合であっても配管Rにより処理液を循環させることにより、常にヒータH2により加熱されて間もない処理液を供給することが出来るので、液温が低下した処理液を基板処理装置100に供給するおそれを低減することが出来る。また、配管RからヒータH2により加熱された処理液が第1の領域R1に導入されるので、エッチング後の液温が低下した処理液により第1の領域R1の処理液の液温が大きく下がることを抑制することが出来る。これにより、ヒータH1の出力変動を抑え、安定的に制御することが出来る。
【0035】
なお、基板処理装置100における基板処理が終了すると、配管Cから処理液が導入されなくなり、供給タンク10内の処理液は、配管S及び配管Rにより循環する。この場合、ヒータH1及びH2は、配管S及び配管Rにおける放熱分の熱量のみを補充すればよいので、比較的少ない出力で処理液を所定の温度まで加熱することが出来る。
【0036】
(7)本実施形態の供給システムSSは、上述の供給装置1と、処理液により基板Wを処理する基板処理装置100と、基板処理装置100から基板Wを処理した後の処理液を回収し、容器10aの第1の領域R1に導入する配管Cと、を備え、配管Cは、容器10aにおいて、第1の仕切り板111の開口11aが設けられる側の一側面に対向する他側面側に設けられる。これにより、配管Cから導入されるエッチング後の液温が低下した処理液が、直ぐに第1の仕切り板111の開口11aを介して領域R3に流入し、領域R3の処理液の液温を低下させることを回避出来る。
【0037】
(変形例)
本実施形態は、上記の態様に限定されるものではなく、以下のような変形例も構成可能である。例えば、配管P、SにそれぞれポンプP1、P2を設けたが、配管C、N、Rにもそれぞれポンプを設けても良い。さらに、配管Nは、第1の領域R1に接続されるものとしたが、予め加熱した状態で供給タンク10に導入出来るのであれば、第2の領域R2に接続しても良い。この場合、配管Nにもヒータを設けても良い。
【0038】
また、上記の態様においては、仕切り板11の枚数を2枚としたが、これに限られない。1枚であっても、3枚以上であっても良い。少なくとも、回収される処理液が導入される領域と、加熱した処理液を供給する領域とが仕切られていればよい。また、開口11aが設けられる位置についても、特に限定されず、例えば仕切り板11の中央部分に設けられてもよい。なお、開口11aは長丸孔に限らず、スリットであっても良いし、複数の丸孔を並べたものであっても良い。また、第1の領域R1と第2の領域R2の液面高さを一定にするための連通管を設け、開口11aの役割を代替させても良い。
【0039】
また、上記の態様においては、第2の領域R2の領域R3と領域R4との間を開口11aにより連通させたが、第1の領域R1と第2の領域R2との間と同様に、配管により連通させ、配管の経路上に設けられたポンプにより、領域R3から領域R4に処理液を送り出しても良い。あるいは、第2の仕切り板112に開口11aを設けず、領域R4の液面高さが第2の仕切り板112の上端に達することにより、領域R4の処理液が領域R3に流れ込むようにしても良い。
【0040】
また、開口11aが設けられた仕切り板11と、開口11aが設けられない仕切り板11を混在させても良い。このような態様について、図3を参照しつつ説明する。なお、図3に示す構成については、図1と異なる部分だけを説明するに止め、共通する部分については説明を省略する。
【0041】
図3に示す供給タンク10は、第1の仕切り板111、第2の仕切り板112に加え、第3の仕切り板113を備える。第3の仕切り板113は、第2の領域R2の領域R4を、第2の仕切り板112の開口11aを介して領域R3と連通している領域R5と、配管Sに接続され、基板処理装置100に処理液を供給する領域R6とに仕切るように設けられる。上述のように、第3の仕切り板113には開口11aが設けられていない。一方で、図3に示すように、第3の仕切り板113の上端は、領域R6の処理液の液面よりも高い位置であって、容器10aの側面の上端よりも低い位置に設けられる。これにより、領域R6において第3の仕切り板113よりも処理液の液面が高くなると、領域R6の処理液は第3の仕切り板113の上端から領域R5に流れる。

【0042】
また、領域R5には、底部に配管Qが接続される。配管Qは、領域R5の底部から領域R6に処理液を送り出す。すなわち、配管Qの経路上には、ポンプP3が設けられ、このポンプP3により、領域R5の処理液は、配管Qに吸い出され、順次領域R6に導入される。これにより、基板処理装置100に供給される処理液は、開口11aを介して液温が低い第1の領域R1の処理液と混じり合うことが無いため、より確実に液温を維持することが出来る。加えて、開口11aが設けられていない第3の仕切り板113により、領域R6の処理液は、領域R5の処理液からの熱が遮断されているので、より一層温度変化が抑制されている。これにより、ヒータH2の出力変動が非常に小さくなるため、その制御が容易となる。さらに、ポンプP3の出力をポンプP2の出力よりも大きく設定することにより、領域R6の液面を常に一定、すなわち第3の仕切り板113の高さに維持することが出来る。これにより、ポンプP2に送られる処理液の流量を更に一定に保つことが出来るので、ヒータH2の加熱制御をより安定させることが出来る。
【0043】
[他の実施形態]
以上、本発明の実施形態及び各部の変形例を説明したが、この実施形態や各部の変形例は、一例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。上述したこれら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明に含まれる。
【符号の説明】
【0044】
100 基板処理装置
101 回転駆動部
102 処理液供給部
103 処理液回収部
10 供給タンク
10a 容器
11、111、112、113 仕切り板
11a 開口
C、N、P、Q、R、S 配管
H1、H2 ヒータ
P1、P2、P3 ポンプ
R1、R2、R3、R4、R5、R6 領域
TH タンク内ヒータ
W 基板
図1
図2
図3