(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-15
(45)【発行日】2024-02-26
(54)【発明の名称】エネルギー貯蔵システム及び方法
(51)【国際特許分類】
H02J 15/00 20060101AFI20240216BHJP
【FI】
H02J15/00 C
(21)【出願番号】P 2021503024
(86)(22)【出願日】2019-07-10
(86)【国際出願番号】 US2019041249
(87)【国際公開番号】W WO2020018329
(87)【国際公開日】2020-01-23
【審査請求日】2022-06-16
(32)【優先日】2018-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521020778
【氏名又は名称】エナジー ヴォールト インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ペドレッティ アンドレア
(72)【発明者】
【氏名】グロス ウィリアム
【審査官】北村 智彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-242088(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0197135(US,A1)
【文献】特開平05-239923(JP,A)
【文献】特開2001-163574(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電及び発電するための方法であって、
1つ以上のブロックを低高度から高高度へ移動させることにより複数のブロックを積み重ねてブロックにエネルギーを蓄え、ブロックの各々がブロックの位置エネルギーの量に対応する量の
エネルギーを蓄えるようにクレーンを操作することと、
1つ以上のブロックを重力下で高高度から低高度へ移動させることによりブロックの1つ以上を積み下ろし、それによって高高度から低高度へ移動するときの前記1つ以上のブロックの運動エネルギーの量に対応する量の電力を発生させるようにクレーンを操作することと、
を含み、
前記クレーンが、タワーと、前記タワーに連結された
1組又は複数組のジブとを備え、前記ジブの各組が互いに前記タワーの反対側に延び
る2つのジブを有し、
1組又は複数組のジブのそれぞれ
のジブに1つ以上のトロリーが移動可能に連結されている
方法。
【請求項2】
請求項1の方法において、
エネルギーを蓄えるために複数のブロックを積み重ねることが、低高度から高高度へブロックを移動させるように電動機を動作させることを含む方法。
【請求項3】
請求項1の方法において、
高高度から低高度へ1つ以上のブロックを移動させることにより発電機が駆動されて発電される方法。
【請求項4】
請求項1の方法において、
1つ以上のブロックを高高度から低高度へ、または低高度から高高度へ移動させることが、1つ以上のブロックを低高度と高高度の間の移動中にブロックの向きを変えずに移動させることを含む方法。
【請求項5】
請求項1の方法において、
1つ以上のブロックを高高度から低高度へ、または低高度から高高度へ移動させることが、クレーンの方位角の変化に基づいて1つ以上のブロックを移動させることを含む方法。
【請求項6】
請求項5の方法において、
1つ以上のブロックを高高度から低高度へ移動させることが、タワーから離れた位置からタワーに近い位置に1つ以上のブロックを移動させることを含む方法。
【請求項7】
請求項5の方法において、
1つ以上のブロックを高高度から低高度へ移動させることが、タワーに近い位置からタワーから離れた位置に1つ以上のブロックを移動させることを含む方法。
【請求項8】
請求項1の方法において、
1つ以上のブロックを高高度から低高度へ、または低高度から高高度へ移動させることが、クレーンの並進動作に基づいて1つ以上のブロックを1つの位置から他の位置へ移動させることを含み、クレーンが第2の複数のブロックに取り付けられるブリッジクレーンである方法。
【請求項9】
請求項1の方法において、
1つ以上のブロックを低高度から高高度へ移動させることが、
前記クレーンの
1組のジブにおける2つのジブに取り付けられる2つのブロックを低高度から高高度へ実質的に同時に移動させてクレーンへの力を平衡させることを含む方法。
【請求項10】
請求項1の方法において、
1つ以上のブロックを高高度から低高度へ移動させることが、
前記クレーンの
1組のジブにおける2つのジブに取り付けられる2つのブロックを高高度から低高度へ実質的に同時に移動させてクレーンへの力を平衡させることを含む方法。
【請求項11】
蓄電及び発電するための方法であって、
1つ以上のブロックを低高度から高高度へ移動させることにより複数のブロックを積み重ねてブロックにエネルギーを蓄え、ブロックの各々がブロックの位置エネルギーの量に対応する量の
エネルギーを蓄えるようにクレーンを操作することと、
1つ以上のブロックを重力下で高高度から低高度へ移動させることによりブロックの1つ以上を積み下ろし、それによって高高度から低高度へ移動するときの前記1つ以上のブロックの運動エネルギーの量に対応する量の電力を発生させるようにクレーンを操作することと、
を含み、
複数のブロックを積み重ねることが、第1のタイル配置パターンを有するブロックの第1の層を位置決めすることと、ブロックの第2の層をブロックの第1の層の上に位置決めすることとを含み、ブロックの第2の層は、積み重ねられたブロックの横方向移動または転倒を抑制するために、第1のタイル配置パターンとは異なる第2のタイル配置パターンを有する方法。
【請求項12】
蓄電及び発電するための方法であって、
1つ以上のブロックを低高度から高高度へ移動させることにより複数のブロックを積み重ねてブロックにエネルギーを蓄え、ブロックの各々がブロックの位置エネルギーの量に対応する量の
エネルギーを蓄えるようにクレーンを操作することと、
1つ以上のブロックを重力下で高高度から低高度へ移動させることによりブロックの1つ以上を積み下ろし、それによって高高度から低高度へ移動するときの前記1つ以上のブロックの運動エネルギーの量に対応する量の電力を発生させるようにクレーンを操作することと、
を含み、
複数のブロックを積み重ねることが、ブロックの各々がブロックの下方の2つのブロックの少なくとも一部に90度の方向を向いて接触することによりブロックを交互配置するようにブロックの各々を位置決めすることを含む方法。
【請求項13】
蓄電及び発電するための方法であって、
1つ以上のブロックを低高度から高高度へ移動させることにより複数のブロックを積み重ねてブロックにエネルギーを蓄え、ブロックの各々がブロックの位置エネルギーの量に対応する量の
エネルギーを蓄えるようにクレーンを操作することと、
1つ以上のブロックを重力下で高高度から低高度へ移動させることによりブロックの1つ以上を積み下ろし、それによって高高度から低高度へ移動するときの前記1つ以上のブロックの運動エネルギーの量に対応する量の電力を発生させるようにクレーンを操作することと、
を含み、
ブロックを積み重ねるためにブロックを低高度から高高度へ移動させることが、層の1つ以上のブロックがその層の隣接するブロックに対して90度の向きになるように、その層のブロックを配置し、ブロックが互いに接触することなくその層のブロック間のスペースを最小化することを含む方法。
【請求項14】
蓄電及び発電するための方法であって、
1つ以上のブロックを低高度から高高度へ移動させることにより複数のブロックを積み重ねてブロックにエネルギーを蓄え、ブロックの各々がブロックの位置エネルギーの量に対応する量の
エネルギーを蓄えるようにクレーンを操作することと、
1つ以上のブロックを重力下で高高度から低高度へ移動させることによりブロックの1つ以上を積み下ろし、それによって高高度から低高度へ移動するときの前記1つ以上のブロックの運動エネルギーの量に対応する量の電力を発生させるようにクレーンを操作することと、
を含み、
ブロックをスタックするためにブロックを低高度から高高度へ移動させることが、ブロックの昇降中の摩擦を抑制するために、層のブロックをその層で横方向に隣接する1つ以上のブロックが互いに接触しないように配置することを含む方法。
【請求項15】
請求項1の方法において、
1つ以上のブロックを高高度から低高度へ、または低高度から高高度へ移動させることが、ブロックをブロックの底面から支持することを含む方法。
【請求項16】
エネルギー貯蔵システムであって、
複数のブロックと、クレーンとを備え、
クレーンは、
タワー及び前記タワーに連結された
1組又は複数組のジブを備え、前記ジブの各組が互いに前記タワーの反対側に延びる
2つのジブを有する、フレームと、
電動機/発電機と、
少なくとも1つのトロリーが
1組又は複数組のジブのそれぞれ
のジブに移動可能に連結される、前記フレームに移動可能に連結された1つ以上のトロリーと、
1つ以上のトロリーに移動可能に連結され、且つ電動機/発電機に作動可能に連結されたケーブルであって、複数のブロックの1つ以上に作動可能に連結されるように構成されたケーブルと、を備え、
クレーンは、1つ以上のブロックを互いに積み重ねるために、前記ブロックを低高度から高高度へ移動させ、前記ブロックの位置エネルギー量に対応する量の電気エネルギーを前記ブロックに蓄え、クレーンは、前記1つ以上のブロックを高高度から低高度へ移動させるときにその運動エネルギー量に対応する量の電力を生成するために、前記ブロックを高高度から低高度へ重力下で移動させることにより複数のブロックの1つ以上を積み下ろす操作がさらに可能であるシステム。
【請求項17】
請求項16のシステムにおいて、
1つ以上のトロリーが、1つ以上のブロックを低高度から高高度へ上昇させるためにケーブルを引き込み、電動機/発電機は、1つ以上のブロックを高高度から低高度へ重力下で下降させることによりケーブルが伸びるときに発電するシステム。
【請求項18】
請求項16または17のシステムにおいて、
前記1組又は複数組のジブが、1組のジブであるシステム。
【請求項19】
請求項16または17のシステムにおいて、
前記1組又は複数組のジブが、3組のジブであるシステム。
【請求項20】
請求項19のシステムにおいて、
各組のジブが異なる角度方向でタワーの反対側に延びているシステム。
【請求項21】
エネルギー貯蔵システムであって、
複数のブロックと、クレーンとを備え、
クレーンは、
フレームと、
電動機/発電機と、
フレームに移動可能に連結された1つ以上のトロリーと、
1つ以上のトロリーに移動可能に連結され、且つ電動機/発電機に作動可能に連結されたケーブルであって、複数のブロックの1つ以上に作動可能に連結されるように構成されたケーブルと、を備え、
クレーンは、1つ以上のブロックを互いに積み重ねるために、前記ブロックを低高度から高高度へ移動させ、前記ブロックの位置エネルギー量に対応する量の電気エネルギーを前記ブロックに蓄え、クレーンは、前記1つ以上のブロックを高高度から低高度へ移動させるときにその運動エネルギー量に対応する量の電力を生成するために、前記ブロックを高高度から低高度へ重力下で移動させることにより複数のブロックの1つ以上を積み下ろす操作がさらに可能であり、
複数のブロックが第1の複数のブロックと第2の複数のブロックを備え、第1の複数のブロックは、空間が風力にさらされるのを抑制するために空間を囲む周囲の防風構造を形成するように配置され、クレーンは、蓄電または発電するために第2の複数のブロックを空間内で移動させる操作が可能であるシステム。
【請求項22】
請求項21のシステムにおいて、
防風構造がほぼ円形の周縁部を形成しているシステム。
【請求項23】
請求項21のシステムにおいて、
防風構造が四角形の周縁部を形成しているシステム。
【請求項24】
請求項23において、
周縁部が正方形形状であるシステム。
【請求項25】
請求項21のシステムにおいて、
空間内に防風構造を強化する1つ以上のクロスメンバーを形成する第3の複数のブロックを有し、空間が1つ以上のクロスメンバーによって1つ以上の部分に分割され、第2の複数のブロックが防風構造によって囲まれた空間の前記1つ以上の部分の中で移動可能であるシステム。
【請求項26】
請求項16のシステムにおいて、
ケーブルに連結され、且つ複数のブロックの1つ以上に連結されて前記ブロックを昇降させるように選択的に作動するグラバーをさらに含むシステム。
【請求項27】
請求項
26のシステムにおいて、
グラバーは1組のアームを備え、各アームは1つ以上のレバーを有し、レバーは、アームがブロックの下端を越えて下降する格納位置と、ブロックの下端の1つ以上の凹部内へ1つ以上のレバーが延びてレバーをブロックに連結する伸張位置との間で作動可能であるシステム。
【請求項28】
請求項
26のシステムにおいて、
1組のアームがグラバーのクロスメンバーに連結される基端を有し、1組のアームが互いに離れ且つ互いに平行にアームの先端へ延びているシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[優先権主張出願の参照による援用]
本出願で提出された出願データシートで外国または国内の優先権主張が特定されているすべての出願は、本明細書に米国特許規則37 CFR 1.57に基づいて参照により援用され、本明細書の一部とみなされるべきである。
本発明は、エネルギー貯蔵システムに関し、より詳しくは、ブロックを積み重ねることによりエネルギーを貯蔵及び放出するエネルギー貯蔵システムに関する。
【背景技術】
【0002】
再生可能エネルギー源(例えば、太陽光発電、風力発電、水力発電、バイオマスなど)からの発電量は増加を続けている。しかしながら、これらの再生可能エネルギー源(例えば太陽光発電、風力発電など)の多くは断続的で予測ができず、断続的な再生可能エネルギー源から送電系統に供給できる電力量は制限されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、送電系統への予測可能な電力供給のために、再生可能エネルギー源によって生成される電力を捕捉するための改良されたシステムへの必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の一態様によればエネルギー貯蔵システムが提供される。代表的なエネルギー貯蔵システムは、クレーンと複数のブロックを有し、クレーンは、低高度から高高度へ1つ以上のブロックを移動させる操作が可能であり、(例えば高高度にあるブロックの位置エネルギーで)エネルギーを貯蔵し、高高度から低高度へ1つ以上のブロックを移動させる操作が可能であり、(例えば低高度へ移動させるときのブロックの運動エネルギーで)電力を発生させる。
【0005】
本開示の他の態様によれば重力駆動式蓄電及び発電システムが提供される。代表的な重力駆動式の蓄電及び発電システムは、1つ以上のジブ(例えば、複数のジブ)を備えたクレーンを有し、1つ以上のブロックを低高度から高高度へ移動させてエネルギーを貯蔵する操作が可能であり、1つ以上のブロックを重力下で高高度から低高度へ移動させて発電する操作が可能である。
【0006】
本開示の他の態様によれば、エネルギー貯蔵システムは、一つの例において、時間外の電力を生成するために太陽エネルギーを貯蔵することができる。エネルギー貯蔵システムは、複数のブロックを積み上げて、太陽エネルギーが豊富な日中に、積み上げられたブロックに太陽エネルギーを位置エネルギーとして貯蔵することができる。その後、エネルギー貯蔵システムは、電力網に供給する電力を生成するために発電機を駆動するように、積み上げたブロックを夜間に積み下ろす操作をすることができる。
【0007】
本開示の他の態様によれば、蓄電及び発電方法が提供される。この方法は、1つ以上のブロックを低高度から高高度へ移動させることによって複数のブロックを積み重ねてブロックにエネルギーを蓄え、各ブロックがブロックの位置エネルギー量に対応するエネルギー量を蓄えるようにクレーンを操作することを含む。また、この方法は、1つ以上のブロックを重力下で高高度から低高度へ移動させることによって、1つ以上のブロックを積み下ろすようにクレーンを操作することを含み、それによって、1つ以上のブロックを高高度から低高度へ移動させるときに1つ以上のブロックの運動エネルギー量に対応する量の電力を発生させる。
【0008】
本開示の他の態様によれば、エネルギー貯蔵システムが提供される。このシステムは、複数のブロックとクレーンとを有し、クレーンは、フレーム、電動機/発電機、フレームに移動可能に連結された1つ以上のトロリー、及び1つ以上のトロリーに移動可能に連結され、電動機/発電機に操作可能に連結されたケーブルを有する。ケーブルは、複数のブロックのうちの1つ以上のブロックに動作可能に連結するように構成される。クレーンは、複数のブロックのうちの1つ以上を互いに重ねるように操作でき、前記ブロックの位置エネルギー量に対応する量の前記ブロックの電気エネルギーを蓄えるために、前記ブロックを低高度から高高度へ移動させる。さらに、クレーンは、複数のブロックのうちの1つ以上のブロックを、重力下で高高度から低高度へ移動させることにより、前記ブロックを積み下ろし、高高度から低高度へ移動させるときの1つ以上のブロックの運動エネルギー量に対応する電気エネルギーを発生させることができる。
【0009】
本開示の他の態様によれば、エネルギー貯蔵及び発電システムに用いるためのブロックが提供される。ブロックは、長さが幅よりも大きく、幅が深さよりも大きい長方形形状のコンクリートを有する本体と、本体の隣接する側面を互いに連結する切子面と、本体の底面に設けられた1つ以上の凹部とを有する。また、ブロックは、ブロックの移動中にブロックの摩耗を抑制するために、1つ以上の凹部に取り付けられた金属板を有する。
【0010】
本開示の他の態様によれば、エネルギー貯蔵及び発電システムでブロックの昇降に使用するためのグラバー(掴み装置)が提供される。グラバーは、クレーンによって操作できるケーブルに連結可能なクロスメンバーを有する本体と、クロスメンバー本体から離れる方向に延びる1組のアームと、1組のアームのそれぞれの先端部に配置される1つ以上のレバーとを有する。1つ以上のレバーは、グラバーがブロックの下端を越えて下降することを許容する格納位置と、1つ以上のレバーがブロックの下端に係合してブロックに連結される伸張位置との間で動作できる。
【0011】
本開示の他の態様によれば、エネルギー貯蔵及び発電システムのブロックを昇降させるためにグラバーを操作する方法が提供される。この方法は、ブロックに対してグラバーを下降させること、1組のアームの先端端が1組の孔から突出するまでブロックの1組の孔にグラバーの1組のアームを挿入すること、1組のアームに動作可能に連結された1つ以上のレバーを格納位置から伸張位置に作動させること、及びグラバーでブロックを持ち上げることを可能にするために伸張位置の1つ以上のレバーと1組の孔の凹んだ先端面を係合させることを含む。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、例示的なエネルギー貯蔵システムの概略図である。
【
図2】
図2は、例示的なエネルギー貯蔵システムの概略図である。
【
図3】
図3は、例示的なエネルギー貯蔵システムの概略図である。
【
図4】
図4は、エネルギー貯蔵システムによる時間当たりの出力電力の概略図である。
【
図5】
図5は、円形タワー形状のエネルギー貯蔵システムの部分斜視図である。
【
図6A】
図6Aは、複数のジブを有する円形タワー形状のエネルギー貯蔵システムの一動作形態の斜視図である。
【
図7A】
図7Aは、オーバーヘッドブリッジクレーンを有する角形タワー形状のエネルギー貯蔵システムの一動作形態の斜視図である。
【
図8A】
図8Aは、オーバーヘッドブリッジクレーンを有するエネルギー貯蔵システムの概略平面図である。
【
図8B】
図8Bは、オーバーヘッドブリッジクレーンを有するエネルギー貯蔵システムの概略平面図である。
【
図8C】
図8Cは、オーバーヘッドブリッジクレーンを有するエネルギー貯蔵システムの概略平面図である。
【
図8D】
図8Dは、オーバーヘッドブリッジクレーンを有するエネルギー貯蔵システムの概略平面図である。
【
図8E】
図8Eは、オーバーヘッドブリッジクレーンを有するエネルギー貯蔵システムの概略平面図である。
【
図8F】
図8Fは、オーバーヘッドブリッジクレーンを有するエネルギー貯蔵システムの概略平面図である。
【
図8G】
図8Gは、オーバーヘッドブリッジクレーンを有するエネルギー貯蔵システムの概略平面図である。
【
図8H】
図8Hは、オーバーヘッドブリッジクレーンを有するエネルギー貯蔵システムの概略平面図である。
【
図9】
図9は、オーバーヘッドブリッジクレーンを有するエネルギー貯蔵システムの概略部分側面図である。
【
図10A】
図10Aは、エネルギー貯蔵システムにおける第1層のブロックの概略図である。
【
図10B】
図10Bは、エネルギー貯蔵システムにおける第1層のブロックの上に配置される第2層のブロックの概略図である。
【
図12A】
図12Aは、1つを他の2つの上に積み重ねた3つのブロックの概略平面斜視図である。
【
図14C】
図14Cは、レバーが格納位置の状態でブロックを貫通するグラバーの部分断面図である。
【
図14D】
図14Dは、レバーが格納位置の状態でブロックを通って伸びるグラバーの部分断面図である。
【
図14F】
図14Fは、レバーが伸張位置でブロックと係合した状態のグラバーの部分断面図である。
【
図14H】
図14Hは、レバーが伸張位置でブロックと係合した状態で、ブロックを通って伸びるグラバーの底面斜視図である。
【
図14I】
図14Iは、グラバーのオペレーティングシステムの概略ブロック図である。
【
図14J】
図14Jは、グラバーの他のオペレーティングシステムの概略ブロック図である。
【
図14K】
図14Kは、グラバーの他のオペレーティングシステムの概略ブロック図である。
【
図14L】
図14Lは、プーリーアセンブリに取り付けられたグラバーの部分断面図である。
【
図15】
図15は、グラバーの操作方法の概略ブロック図である。
【
図16】
図16は、エネルギー貯蔵システムの動作方法の概略ブロック図である。
【
図17】
図17は、エネルギー貯蔵システムと電力網との間の電力インターフェースの概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[クレーンの構造]
図1~3は、電気エネルギーまたは電力を貯蔵のために位置エネルギーに変換し、例えば電力網への供給のために位置エネルギーを電気エネルギーまたは電力に変換する動作が可能なエネルギー貯蔵システム100(「システム」)の例を示す。
【0014】
システム100は、タワー102と1つ以上のジブ104を有するクレーン101を備える。一例では、1つ以上のジブ104は、タワー102に対して横方向(例えば、直角方向)に延びる。1つ以上のジブ104は、タワー102に対して径方向外側へ延びる。選択的に、ジブ104は、タワー102の周りで回転できる。
図1~3は、タワーの両側で互いに平衡する2つのジブ104を有するクレーン101を示す。一例では、クレーン101は、選択的に、タワー102の軸Zに対して対称である。
図1~3は2つのジブ104を有するクレーン101を示しているが、以下でさらに説明するように、他の例のエネルギー貯蔵システム100では、複数組のジブ104を備えてもよく、各組のジブ104は互いに平衡するようにタワー102の反対側に位置する。
【0015】
図1~3は、(タワー102の左側に示す)第2のジブ104の一部のみを示しているが、当業者であれば、一例において第2のジブ104が(例えばタワー102の右側に示す)第1のジブ104と左右対称であることを認識するであろう。タワー102とジブ104の一方または両方は、選択的にトラスフレームを有する。クレーン101は、ジブ104の一部105(例えば、先端または末端)に接続され、選択的にタワー102に接続される支持ケーブル110を選択的に有する。
【0016】
クレーン101は、選択的に電動機/発電機120を有する。一例では、
図1~3に示すように、電動機/発電機120は、タワー102及びジブ104の一方または両方に連結される。他の例では、電動機/発電機120は、タワー102及び/またはジブ104に対して他の適した位置に配置できる。一例では、電動機/発電機120は、電動機及び発電機のいずれとしても動作できる単一のユニットである。他の例では、電動機/発電機120は、分離した電動機ユニット及び発電機ユニット(例えば、発電機ユニットから隔てられるか、異なる位置に配置される分離した電動機ユニット)を有する。
【0017】
クレーン101は、ジブ104に動作可能に連結されたトロリー106を有してもよい。
図1~3に示す一実施例では、クレーン101は、それぞれが2つのジブ104の一つに動作可能に結連結された2つのトロリー106を有する。各トロリー106には、ケーブル108(例えば、1つ以上のケーブル)が、ケーブル108をほぼ垂直な方向(例えば、ジブ104に対してほぼ直角の方向)へトロリー106に対して引き込むか引き延ばす(例えば繰り出す)ことができるように、移動可能に連結されている。ケーブル108は、ブロック150に(例えば、以下にさらに説明するようにグラバー500を介して)動作可能に連結され、ブロック150の昇降を許容する。一例では、各組のジブ104は、ブロック150を互いに平衡するように同時に上昇(例えば垂直に上昇)または下降(例えば垂直に下降)させる。図面は、1本のケーブル108を示しているが、当業者であれば、1組のケーブル108が一方の端部でトロリー106に連結され、反対の端部でプーリーアセンブリに連結されて(例えば後述するグラバー500を介して)ブロック150に動作可能に連結されることが認識されるであろう。
【0018】
図1~
図3を引き続き参照すると、エネルギー貯蔵システム100は、複数のブロック150を有する。
図1に示す一例では、複数のブロック150の各々は、同じ大きさ及び形状を有する。
図2,
図3に示す他の例では、エネルギー貯蔵システムは複数のブロック150’を有し、1つ以上のブロック150’は大きさが異なる。異なる大きさのブロック150’は、クレーン101の最大許容重量を満たしてクレーン101の損傷を抑制するために、ブロック150’がタワー102から遠いジブに沿って移動する例示的なシステム100において使用できる。ブロック150,150’のさらなる詳細は以下で説明する。
【0019】
[タワークレーンの構造]
図5~
図6Eは、電気エネルギーまたは電力を蓄えるために位置エネルギーに変換し、例えば電力網に供給するために位置エネルギーを電気エネルギーまたは電力に変換する操作が可能なエネルギー貯蔵システム100A(「システム」)の例を示す。エネルギー貯蔵システム100Aの特徴のいくつかは、
図1~
図3のエネルギー貯蔵システム100の特徴と同様である。したがって、
図1~
図3のエネルギー貯蔵システム100の種々の特徴に関する構造と説明は、以下で説明する場合を除いて、
図5~
図6Eのエネルギー貯蔵システム100Aの対応する特徴にも適用される。
【0020】
エネルギー貯蔵システム100Aは、クレーン101がタワー102に連結された複数組のジブ104を有する点でエネルギー貯蔵システム100とは異なる。例えば
図6A~
図6Eは、クレーン101のタワー102に連結された(例えば交差する)3組のジブ104A-104B,104C-104D,104E-104Fを示す。各組のジブ104は、選択的にタワー102の反対側に延びて互いに平衡させるのが望ましい。さらに、複数(例えば3)組のジブ104は、異なる角度方向に方向付けられて、ブロック150が移動する極座標系を定める。トロリー106は、各ジブ104に移動可能に連結され、グラバー500(後述)に連結される1つ以上のケーブル108を移動可能に支持する。グラバー500は、ブロック150に連結され、ブロック150を第1の(開始)位置から上昇(例えば垂直に上昇)させ、ブロック150を(異なる極座標位置に)移動させ、ブロック150を第2の(終了)位置に下降(例えば垂直に下降)させるように選択的に動作できる。他の例では、クレーン101は、より多くの組(例えば、4組、5組など)のジブ104、またはより少ない組(例えば2組)のジブ104を有していてもよい。図面は、各ジブ104の各トロリー106に取り付けられた1つのケーブル108を示しているが、当業者は、1組のケーブル108を、一方の端部でトロリー106に、他方の端部でプーリーアセンブリに連結して(例えば後述するグラバー500を介して)ブロック150に動作可能に連結できることを認識するであろう。
【0021】
一例では、各組のジブ104は、互いに平衡するために、同時にブロック150を昇降させる。一例では、1組のジブ104が(例えば電力を発生させるために)ブロック150を下降(例えば同時に下降)させている間に、他の1組のジブ104は、グラバー500を他の組のブロック150に連結して上昇させるためにグラバー500の位置を変えるように、ブロック150が取り付けられていない1組のグラバー500(以下でさらに説明する)を上昇(例えば同時に上昇)させる。この構成によれば、複数組のうちの1つ以上の組のジブ104が発電のために常にブロック150を下降させるので、ブロック150の下降から(例えば中断のない)持続する発電が可能になり効果的である。
【0022】
積み重ねたブロック150により(例えばほぼ円筒形状の)タワー900が形成される。一例では、タワー900は、40から60の間のレベル数またはフロア数のブロック150を有し得る。タワー900は、防風構造910を形成するように選択的に配置される複数のブロック150を有する。一例では、防風構造910は、ほぼ円筒形状であってもよい。第2の複数のブロック150は、防風構造910を強化(例えば支持)するクロスメンバー920を形成するように選択的に積み重ねられる。クロスメンバー920は、選択的に、タワー102(例えばタワー900の中心)と防風構造910との間で径方向に延びていてもよい。
図5は、4つのクロスメンバー920のうちの3つを示す(タワー900の内部構造を示すために4つ目を除去している)。一例では、クロスメンバーはほぼ平面状であり、四分円を形成する。
【0023】
第3の複数のブロック150は、電気エネルギーまたは電力を位置エネルギーとして蓄え、位置エネルギーを前述したように電気エネルギーまたは電力に変換するために、防風構造910によって形成される(例えば区画される)空間内で積み重ねまたは積み下ろしができるエネルギー貯蔵アセンブリ930を形成する。位置エネルギーの貯蔵または発電のために第3の複数のブロック150を昇降させるときに、第3の複数のブロック150が風力にさらされることを防風構造910により抑制(例えば防止)することが効果的であり、それによりエネルギー貯蔵システム100Aの発電効率が向上する。
【0024】
一例では、エネルギー貯蔵アセンブリ930の第3の複数のブロック150が、防風構造910及びクロスメンバー920によって形成される四分円内で積み重ね及び積み下ろしされる。このような例(
図5参照)では、防風構造910及びクロスメンバー920を形成するブロック150は移動しない。選択的に、防風構造910の剛性を高めるために、防風構造910を形成するブロック150の孔(例えば孔157、
図13A参照)に鉄筋を挿入することができる。また、選択的に、防風構造910を形成するブロック150の孔(例えば孔157、
図13A参照)は、防風構造910をモノリシック構造にするように、コンクリートを鉄筋に追加して充填したり鉄筋の代わりに充填したりできる。
【0025】
他の例(例えば、
図6A~6Eを参照)では、防風構造910を形成する第1の複数のブロック150、及び/またはクロスメンバー920を形成する第2の複数のブロック150を、位置エネルギーを蓄えるかまたは発電するために昇降させてもよい。
図6A~6Bは、十分に積み重ねた構成(例えば十分に充電されるか、またはほぼ最大の位置エネルギー貯蔵レベル)のタワー900を示す。
図6C~
図6Eは、積み下ろされた構成(例えばほぼ完全に積み下ろされた構成で、位置エネルギー貯蔵レベルが低く、例えば最小)のタワー900を示す。
【0026】
以下に説明するように、一例では、ブロック150の各々は、長さLがブロック150の幅Wの約2倍である。したがって、ブロック150は、東西方向または南北方向に、例えば互い違いになるパターンで積み重ねることができる(例えば、タワー900の各レベルまたはフロアを、隣接するレベルまたはフロアのタイル配置パターンとは異なるタイル配置パターンにすることができる)。したがって、ブロック150は、以下にさらに説明するように、積み重ねたブロック150の構造的な完全性と安定性(例えばタワー900の安定性)を高めるために交互に配置することが効果的である。
【0027】
[ブリッジクレーンの構造]
図7A~7Dは、電気エネルギーまたは電力を蓄えるために位置エネルギーに変換し、例えば電力網に供給するために位置エネルギーを電気エネルギーまたは電力に変換する動作が可能なエネルギー貯蔵システム100G(「システム」)の例を示す。このエネルギー貯蔵システム100Gの特徴のいくつかは、
図1~
図3のエネルギー貯蔵システム100及び
図5~
図6Eのシステム100Aの特徴と同様である。したがって、エネルギー貯蔵システム100Gでは、識別符号に「G」を追加することを除いて同じ識別符号を使用する。
図1~
図3のエネルギー貯蔵システム100及び
図5~
図6Eのシステム100Aの種々の特徴に関する構造と説明は、以下で説明されることを除き、
図7A~
図7Dのエネルギー貯蔵システム100Gの対応する特徴にも適用される。
【0028】
エネルギー貯蔵システム100Gは、クレーン101Gが1組のレール902G上に載置されている点で、エネルギー貯蔵システム100及びエネルギー貯蔵システム100Aとは異なる。一例では、クレーン101Gはブリッジ104Gを形成し、ブリッジ104Gは両端部に1組以上のホイール103Gを有する。一例では、ホイール103Gはレール902Gに沿って移動でき、それにより、クレーン101Gのブリッジ104Gがレール902Gの長さに沿って(例えば第1の方向に)移動、位置変化、または他の運動をすることができる。また、クレーン101Gは、ブリッジ104Gに連結される1つ以上のトロリー106Gを有し得る。一例では、トロリー106Gはブリッジ104Gに移動可能に連結され、トロリー106Gは、ブリッジ104Gの長さに沿って(例えば第1の方向に直角の第2の方向に)移動または他の運動をすることができる。トロリー106Gには1つまたは複数のケーブル108Gが移動可能に連結されている。例えば、ケーブル108Gは、トロリー106Gに対して(例えばトロリー106Gのウインチに対して)ケーブル108Gを引っ込める(例えば巻き取る)か、または引き延ばすか、または繰り出す(例えば巻き戻す)操作が可能なトロリー106Gのウインチに連結される。1つ以上のケーブル108Gは、ブロック150に連結するために選択的に作動可能なグラバー500(後述)に連結できる。図面は、ブリッジ104G上の各トロリー106Gに取り付けられた1本のケーブル108Gを示しているが、当業者は、1組のケーブル108を、一方の端部でトロリー106Gに連結し、他方の端部でプーリーアセンブリに連結することにより(例えば後述するグラバー500を介して)ブロック150に操作可能に連結できることを認識するであろう。
【0029】
クレーン101Gは、ブロック150が移動する直交座標系(例えばレール902Gが第1の軸または方向を規定し、ブリッジ104Gが第1の軸または方向と直交する第2の軸または方向を規定する)を定めることが効果的である。一例では、レール902Gに沿うブリッジ104Gの移動とブリッジ104Gに沿うトロリー106Gの移動の一方または両方により、クレーン101Gは1つ以上のブロック150を異なる直交座標の位置に位置決めできる。一例では、グラバー500は、ブロック150を第1の(開始)位置(例えば第1の直交座標位置)から上昇(例えば垂直に上昇)させ、ブロック150を(第1の直交座標位置とは異なる第2の直交座標位置に)移動させ、ブロック150を第2の(終了)位置に下降(例えば垂直に下降)させる操作が可能である。
【0030】
積み重ねたブロック150は、(例えば上方から見たときにほぼ正方形の断面形状を有する)タワー900Gを形成する。一例では、タワー900Gは、40から60の間のレベルまたはフロアのブロック150を有し得る。タワー900Gは、防風構造910Gを形成するように配置された複数のブロック150を有する。一例では、レール902Gは、防風構造910Gの最上層で支持できる(例えば、1組のレール902Gは、防風構造910Gの最上層を形成するブロック150の最上面151Aに連結、載置、または他の方法で取り付けできる)。
【0031】
一例では、防風構造910Gは、ほぼ正方形または長方形の形状を有する(例えば、上方から見たときにほぼ正方形の断面形状の周縁部を有する)。第2の複数のブロック150は、前述したように、電気エネルギーまたは電力を位置エネルギーとして蓄え、位置エネルギーを電気エネルギーまたは電力に変換するために、防風構造910Gによって形成される(例えば区画される)空間内で積み上げ及び積み下ろしができるエネルギー貯蔵アセンブリ930Gを形成する。防風構造910は、位置エネルギーを貯蔵するかまたは発電するために第2の複数のブロック150を昇降するときに、第2の複数のブロック150への風力を抑制し、それによって、エネルギー貯蔵システム100Gの発電効率を高めることが効果的である。一例では、防風構造910Gの剛性を高めるために(例えば防風構造910Gがモノリシック構造になるように)、防風構造910Gを形成するブロック150の孔(例えば孔157、
図13A参照)に鉄筋及び/またはコンクリートを選択的に挿入できる。
【0032】
図7A,
図7Bは、十分に積み重ねた構成(例えば、十分に充電されたかほぼ最大の位置エネルギー貯蔵レベル)のタワー900を示す。
図7C,
図7Dは、積み下ろされた構成(例えばほぼ完全に積み下ろされた構成で、位置エネルギー貯蔵レベルが低く、例えば最小)のタワー900を示す。
【0033】
以下にさらに説明するように、一例では、ブロック150の各々は、長さLがブロック150の幅Wの約2倍である。したがって、ブロック150は、東西方向または南北方向に、例えば互い違いになるパターンで積み重ねることができる(例えば、タワー900の各レベルまたはフロアを、隣接するレベルまたはフロアのタイル配置パターンとは異なるタイル配置パターンにすることができる)。したがって、ブロック150は、以下にさらに説明するように、積み重ねたブロック150の構造的な完全性と安定性(例えばタワー900Gの安定性)を高めるために交互に配置することが効果的である。
【0034】
図8A~8Hは、他のエネルギー貯蔵システム100H~100Pの例を示す。エネルギー貯蔵システム100H~100Mは、以下の説明以外はエネルギー貯蔵システム100Gと同様である。したがって、同じ識別符号を使用し、
図7A~
図7Dのエネルギー貯蔵システム100Gの種々の特徴に関する構造と説明は、以下で説明されることを除き、
図8A~
図8Fのエネルギー貯蔵システム100H~100Mの対応する特徴にも適用される。エネルギー貯蔵システム100N、100Pは、以下で説明されることを除き、エネルギー貯蔵システム100Aと同様である。したがって、同じ識別符号を使用し、
図5~
図6Eのエネルギー貯蔵システム100Aの種々の特徴に関する構造と説明は、以下に記載されることを除き、
図8G~
図8Hのエネルギー貯蔵システム100N,100Pの対応する特徴にも適用される。
【0035】
エネルギー貯蔵システム100Hは、防風構造910Gが(上方から見たときに)長方形の形状を有し、クレーン101Gがレール902Gに沿って(直線的に)移動する2つのブリッジ104Gを有し、ブリッジ104Gの各々が、ブロック150を昇降させるために(例えば後述するグラバー500を介して)ブロック150に連結されたケーブル108Gを巻き上げたり巻き戻したりする対応するトロリー106Gを有するという点のみがエネルギー貯蔵システム100Gと異なる。一例では、防風構造910Gは、上方から見たときに、約60mの幅及び約30mの深さを有する。他の適切な寸法にすることは可能である。
【0036】
エネルギー貯蔵システム100Iは、選択的に防風構造910Gを強化(例えば支持)できるクロスメンバー920Gが追加されるという点のみがエネルギー貯蔵システム100Hと異なる。一例では、クロスメンバー920Gはほぼ平面状であり、防風構造910Gによって形成された(例えば区画された)空間を二等分に分割する。ブリッジ104Gの各々は、選択的に、その関連する二分割部分の中でブロック150を移動させるために、二分割部分の各々の中で動作(例えば直線的に移動)する。
【0037】
エネルギー貯蔵システム100Jは、(例えばタワー900Gの中心から延び、)防風構造910Gによって形成された(例えば区画された)空間を四等分に分割する4つのクロスメンバー920Gが追加される点でエネルギー貯蔵システム100Gと異なる。エネルギー貯蔵システム100Jは、選択的に4つのブリッジ104Gを有し、対応する四分割部分の中でブロック150を移動させるために、四分割部分の各々の中で一つが動作(例えば直線的に移動)する。
【0038】
エネルギー貯蔵システム100Kは、防風構造910Gが正方形ではなく、開放端を有するC字形状であるという点のみがエネルギー貯蔵システム100Gと異なる。
【0039】
エネルギー貯蔵システム100Lは、防風構造910Gが2つの開放端を有し、(上方から見たときに)防風構造910Gとクロスメンバー920GがI字形状を形成するという点のみがエネルギー貯蔵システム100Iとは異なる。
【0040】
エネルギー貯蔵システム100Mは、防風構造910Gが4つの開放端を有し、(上方から見たときに)防風構造910Gとクロスメンバー920Gが2つのI字形状を形成する点のみがエネルギー貯蔵システム100Jと異なる。
【0041】
エネルギー貯蔵システム100Nは、クレーン101が、ジブ104の代わりに、(上方から見たときに)タワー900の中心の周りで移動ないし回転するブリッジ104を有する点がエネルギー貯蔵システム100Aと異なる。選択的に、円筒状の防風構造910Gの上端に取り付けられたレールに沿って複数のブリッジ104の一端が移動することにより、ブリッジ104が極座標において回転し、異なる極座標位置の間でブロック150を移動させることができる。
【0042】
エネルギー貯蔵システム100Pは、それぞれがタワー900の中心の近くで連結された一端と、円筒状の防風構造910の一部に移動可能に連結された他端とを有する4つのブリッジ104Gを有する点がエネルギー貯蔵システム100Aとは異なる。ブリッジ104Gの各々は、選択的に、タワー900の関連する四分割部分の中でブロック150を移動させるためにタワー900の中心の周りで旋回するように動作する。
【0043】
図9は、
図7A~
図7Dのエネルギー貯蔵システム100G及び
図8A~
図8Fのエネルギー貯蔵システム100H~100Mと共に選択的に使用できるブリッジ104Gを有するクレーン101Gの例を示す。ブリッジ104Gは、選択的に、複数のブロック150を同時に移動させることができる。一例では、ブリッジ104Gは、複数(例えば3つ)のグラバー500(後述)に動作可能に連結された複数のケーブル108Gの巻き取り及び巻き戻しをする1つ以上のトロリー106Gを有し得る。したがって、複数のケーブル108及びグラバー500は、同時に複数(例えば3つ)のブロック150に選択的に連結できる(例えば、同時に複数のブロック150を上昇、移動、及び下降させることができる)。
[ブロックの配置]
図10A~
図10Bは、(例えば、エネルギー貯蔵システム100,100A,100G~100Pの)ブロック150の異なる2つの層を示す。一例では、ブロック150の異なる2つの層は、防風構造910及び/またはエネルギー貯蔵アセンブリ930(例えば、電気エネルギーまたは電力を蓄え、生成するために移動する複数のブロック150)の異なる部分など、タワーないしスタック900,900G内の異なるレベルの少なくとも一部を形成するのに使用できる。一例では、1つ以上のブロック150が、(例えば、ブロック150を交互配置するように)2つの他のブロック150の上に積み重ねられ、そのことにより、効果的なことに、タワーないしスタック900,900Gのブロック150の横方向移動を抑制(例えば防止)し(例えば、タワーまたはスタックをより安定させ)、及び/またはタワーないしスタック900,900Gの転倒を抑制(例えば防止)する。
【0044】
図10Aは、ブロック150の間に最小限の空間を有して密に積み重ねられる第1の層700のブロック150を示す。
図10Bは、ブロック150の第1の層700の上に積み重ねられる第2の層800のブロック150を示す。
図10Cは、第2の層800の各ブロック150が第1の層700の2つのブロック150に載るように、第1の層700の上に置かれた第2の層800を図示している。一例では、このパターンは、タワーないしスタック900,900Gの他の層(例えばすべての層)で繰り返される。一例では、ブロック150の2つ以上のパターン(例えば、3つまたは4つのタイル配置パターン)を、タワーまたはスタック900,900Gを形成する層、レベルまたはフロアに使用できる。一例では、ブロック150の4つの異なるタイル配置パターンを、タワーまたはスタック900,900Gを構築または形成するために使用できる。
【0045】
タワーないしスタック900,900Gの層(例えば、第1の層700及び第2の層800、すべての層、レベルまたはフロア)のブロック150は、横方向に隣り合うブロック150の対向面の間でブロック150の側面が互いに接触せずにギヤップGを形成するように配置(例えば、後述するグラバー500によって下降または位置決め)され、これによって効果的なことに、ブロック150が第1の(開始)位置から持ち上げられたり第2の(終了)位置に降ろされたりするときに、ブロック150間の摩擦と摩耗を抑制する(例えば防止する)。一例では、ギヤップGは、約50mmと約200mmの間(例えば、50mm、70mm、100mm、150mm、200mm等)である。
[ブロックの構造]
図11A~13Cは、1組のブロック150の例を示す。選択的に、1組のブロック150は同一である。ブロック150は、選択的に、長さL、幅W及び深さDの長方形形状である(例えば、長さL、幅W及び深さDのうちの任意の2つが長方形の面を形成する)。一例では、長さLはブロック150の幅Wの約2倍である。一例では、幅Wはブロック150の深さDの約2倍である。一例では、ブロック150は、長さL:幅W:深さDのアスペクト比が4:2:1である。他の例では、ブロック150は、長さLと幅Wと深さDのアスペクト比が3:2:1である。一例では、ブロック150は、長さが約4メートル(m)である。効果的なことに、ブロック150のアスペクト比により、ブロック150を積み重ねたときにブロック150が安定し、したがってスタック(積み重ね)構造が安定性する一方で、前述したタワー900,900Gのようなスタック構造の所望の高さを定めるブロック150の層またはフロアの数を減らすことができる。ブロック150は、選択的に、重量が約20トンから約60トンの間、例えば約55トンである。しかしながら、他の例では、ブロック150は、他の適切な重さであってよい。一例では、前述したタワーのようなスタック構造の上部(例えば、最上層、上部2層)を形成するブロック150は、スタック構造の下部(例えば、最下層、下部2層など)を形成するブロック150よりも重くすることができる。
【0046】
ブロック150は、上面151を形成する上部151と、周面152Aを形成する中間部152と、下面153Aを形成する下部または基部153とを有する。一例では、周面152は、前面/後面152A1と左側面/右側面152A2を有し得る。一例では、前面/後面152A1の各々は、切子面(例えば面取り状または傾斜状の面)152A3を介して左側面/右側面152A2に接続される。切子面152A3は、選択的に、前面/後面151A1及び左側面/右側面152A2に対して45度で延びる。
【0047】
上部151、中間部152、及び下部153は、選択的に、ブロック150の外層ないしシェルSを形成する。一例では、上部151は、約10~25cm、例えば約10cmの厚さt1を有する。一例では、下部153は、約10~25cm、例えば約15cmの厚さt2を有する。一例では、上部151は、(例えば、上面151Aと周面152Aとの間に約45度で延びる)周縁の面取り面151Cを有する。
【0048】
ブロック150は、シェルS内に封入されたバラスト塊154(例えば、耐荷重充填材)を有する。一例では、バラスト塊154は、シェルSの材料とは異なる材料である。例えば、バラスト塊ないし耐荷重充填材154は、後述するように、土、石炭、フライアッシュ、瓦礫、解体材料、砂利、建築廃棄物、及び/または低グレードまたは安価なコンクリートと混合及び/または圧搾されたリサイクル材料であってよい。このことは、好都合なことに、ブロック150の製造コストを低減し、そうでなければ埋め立て地に送られるような材料(例えば、解体材料、建築廃棄物、瓦礫など)を分配するための仕組みになり得る。他の例では、バラスト塊154とシェルSは同じ材料である(例えば、境界または継ぎ目のないモノリシックまたは単一の塊を形成する)。選択的に、ブロック150は、例えば、上部151、中間部152、及び下部153の1つ以上に配置された網状の鋼材または鉄筋(例えば構造用鋼)の1つ以上の補強層155で、(例えば鋼で)補強できる。
【0049】
ブロック150は、選択的に、少なくとも一部をコンクリートで形成できる(例えば、ブロック150のシェルSをコンクリートで形成できる)。有利なことに、コンクリートは水よりも高密度であるため、ブロック150の体積は、対応する水の体積よりも多くの位置エネルギーを蓄えることができる。一実施例では、ブロック150の少なくとも一部は、(例えば圧縮強度が10~60メガパスカル(MPa)、例えば25~40MPaの10~60メガパスカル(MPa)の)高性能コンクリートで形成することができ、これにより、ブロック150は、上に積まれる複数のブロック150の重量に耐えることができる。一例では、ブロック150の少なくとも一部は、(例えば圧縮強度が3~8MPaなど10MPa未満の)低グレードのコンクリートで形成できる。一例では、上部及び下部151,153の一方または両方は、(例えば圧縮強度が10~60MPa、例えば25~40MPaの)高性能コンクリートで作られ、中間部152は、その上に置かれるブロックの荷重に耐えるのに十分な強度を有する(例えば圧縮強度が3~8MPaなど10MPa未満の)低グレードのコンクリートで形成してもよい。ブロック150全体が耐荷重を有する例では、ブロック壁に要求される圧縮強度は低減される。一例では、前述したように、スタックの下層で使用されるブロック150は、前記下層のブロック150が、その上に置かれるスタックの残りの層の荷重に耐え得るように、より高い圧縮強度を有するとよい(例えば、より多くのブロック150を高性能コンクリートで形成するとよい)。一例では、前述したように、スタックの上部(例えば最上)層で使用されるブロック150は、スタックの上部(例えば最上)層の前記ブロック150がより少ない荷重を支える(例えば、スタックの最上層のブロック150は荷重を受けない)ため、圧縮強度をより小さくできる(例えば、より多くのブロック150を低グレードのコンクリートで形成できる)。
【0050】
上面151A及び下面153Aは、実質的に平坦にすることができる(例えば、その面のどの部分も、その面に沿って延びる平面から1mmを超えて変化しないように製造される)。上面151A及び底面153Aは、互いにほぼ平行に延びることができ、中間部152は、上部151及び底部153の間で垂直に(例えば、上面151A及び底面153Aに対して直角に)延びることができる。上面151A及び底面153Aの平面度により、有利なことに、1つのブロック150の実質的に底面153Aの全体が、そのすぐ下のブロックの上面151Aの実質的に全体に接触でき、積み重ねたブロック150の安定性が高められる。
【0051】
ブロック150は、上部151の基部開口156と底部153の先端開口158との間で延びる1つ以上の孔157を有していてよい。一例では、ブロック150は、上部の基部開口156A,156Bと、底部153の先端開口158A,158Bとの間で延びる2つの孔157A,157Bを有する。一例では、穴157A,157Bは、選択的に、直径が約30cmの円形断面を有する。
【0052】
1つ以上の基部開口156(例えば2つの開口156A,156B)及び1つ以上の先端開口158(例えば2つの先端開口158A,158B)は、ブロックがブロック150の幅Wに沿った中心軸に関して対称になり、且つブロック150の深さDに沿った中心軸に関して対称になるように、それぞれ上面151A及び底面面153A上で中央に配置されることが望ましい。
図13Aでは、基部開口156A,156Bは、開口156A,156Bがブロック150の幅Wに沿ってブロックの側端から同じ距離だけ間隔をあけるように上面151Aの中央に配置され、先端開口158A,158Bは、開口158A,158Bがブロック150の幅Wに沿ってブロックの側端から同じ距離だけ間隔をあけるように底面153Aの中央に配置される。このことにより、ブロック150の孔157A,157Bの位置を変えずにブロック150を180度回転させることができ、それにより、180度回転させても、1つのブロック150が他のブロック150の上に直接に載置されたときに、孔157A,157Bの位置を揃えたままにする(例えば、タワーないしスタック900,900Gのようなスタックの全てのブロック150の全ての孔157A,157Bが、スタックの最上部のフロアまたはレベルからスタックの最下部のフロアまたはレベルまで位置を揃える)ことができる。孔157A,157Bのそのような芯出しは、効果的なことに、以下でさらに説明するように、スタックされたブロックの位置合わせを容易にする。
【0053】
さらに、ブロック150の長さLがブロック150の幅Wの約2倍である例では、ブロック150は
図12Aに示すように互い違いに配置され、2つのブロックは同じレベルで同じ向きに配置されるが、
図12Bに示すようにその幅Wの半分だけオフセットし、第3のブロック150は、
図12A~12Bに示すように、それらの上に90度異なる向きに配置できる。孔157A,157Bは中央に配置されるので、最上部のブロック150の孔の各々は、底部の2つのブロック150の孔157A,157Bのうちの1つと整列する。
【0054】
図13Cにおいて、基部開口156A,156Bは、選択的に、上面151Aと孔157A,157Bの表面との間で延びるテーパ状(例えば、傾斜、面取り、円錐状)の面151Bによって少なくとも一部が形成される。一例では、上部151は、金属製の支持材または補強材(例えば、環状の支持材)159Aを有することができる。選択的に、金属製の支持材または補強材159Aは、上部151に埋め込まれる。選択的に、金属製の支持材または補強材159Aは、開口156A,156Bの少なくとも一部を形成する(例えば、テーパ状または円錐状の面151Bの少なくとも一部を形成する)。
【0055】
一例では、先端開口158A,158Bは、選択的に、段付き(例えば凹部)面153Bによって少なくとも一部が形成される。一例では、底部153は、金属製の支持材または補強材(例えば環状支持体)159Bを有していてもよい。選択的に、金属製の支持材または補強材159Bは、開口158A,158Bの少なくとも一部を形成する(例えば、段付き面153Bの少なくとも一部を形成する)。選択的に、金属製の支持材または補強材159Bは、底部153に埋め込まれる。金属製の支持材または補強材159Bは、以下でさらに説明されるようにブロック150を上昇させて位置決めすることを可能にする内面159C(例えば肩面)を形成する。他の例では、先端開口158A,158Bに関する1つ以上の突起(例えば円筒状の突起)を、ブロック150の底面153Aから突出し、その突起が置かれるブロック150の基部開口156A,156Bに適合する形状(例えばテーパー状)にして、積み重ねたときにブロック150と係合させることができる。
[グラバーの構造]
図14A~
図14Lは、ブロック150を解放可能に握るまたは掴む操作が可能なグリッパー機構またはグラバー機構500(「グリッパー」または「グラバー」)を示し、
図14F~
図14Hは、ブロック150に連結されたグラバー500を示す。グラバー500は、基端502から先端504まで延びる。グラバー500は、選択的に、ケーブル108に動作可能に接続される基部コネクタ505を含む。また、グラバー500は、例えば基部コネクタ505のフランジとクロスメンバー530の表面との間に配置されたベアリング512(例えば、ターンテーブルベアリング)を介して、コネクタ505に取り付けられる(例えば、回転可能に連結される)クロスメンバー530を有する。また、グラバー500は、1つ以上のアーム540、1つ以上のロック機構550、及び選択的に1つ以上の自己芯出し端570を含む。したがって、グラバー500は、ケーブル108をブロック150に動作可能に連結する(例えば、前述したように、トロリー106とケーブル108がブロック150を上昇させて位置変化させることを可能にする)。グラバー500の少なくとも一部(例えば、基部コネクタ505、クロスメンバー530、アーム540)は、剛性の高い材料(例えば金属)で形成できる。選択的に、自己芯出し端570は金属で形成できる。アーム540と自己芯出し端570は、ともに槍様の形状を形成し得る。
【0056】
図14Aに示す一例において、グラバー500は、2つのアーム540A,540Bと、2つのロック機構550A,550B(アームのそれぞれに1つ)と、2つの自己芯出し端570A,570B(アームのそれぞれに1つずつ)とを有する。一例では、アーム540A,540Bは、管状(例えば円筒状)の形状にすることができ、自己芯出し端570A,570Bは、円錐状の形状にすることができる。
図14C~14Fに示すように、アーム540A,540Bは、それぞれ、孔157の直径よりも約5ミリメートル(mm)~約10mm(例えば5mm,7mm,9mm,10mm)小さい外径にすることができ、これにより、アーム540A,540Bが孔157を貫通できる。
【0057】
図14C~14Fは、グラバー500がブロック150と係合できるようにするロック機構550の動作を示す。一例では、ロック機構550は、外面550Dを備える本体550Cを有し、本体550Cに対して格納位置(例えば
図14C~
図14Dを参照)と、伸張位置または展開位置(例えば
図14Eを参照)との間で動作可能な1つ以上(例えば複数)のフィンガーまたはレバー(またはフック)551を備える。一例では、レバー551は、本体550Cの反対側に配置でき、(例えば格納位置と展開位置との間で)実質的に同時に作動するレバー551の1つ以上の作動組を形成する。一例では、レバー551は、選択的に本体550Cの周方向に配置できる。一例では、ロック機構550は、本体550Cの周方向に配置された4つのレバー551を有し得る。
【0058】
レバー551は、選択的に、レバー551と本体550Cとの間の回転連結部551Aの周りで回転する。本体550Cは、それらの間のギヤップS1をレバー551の底面551Fの下に形成する角度面550Eを有し、これにより、(例えば
図14Eに示すように)底面551Fが本体550Cの角度面550Eに接触するまで、レバー551は本体550Cに対して外向きに回転することが可能である。一例では、レバー551は、レバー551が格納位置にあるときに本体550Cの外面550Dとほぼ位置が揃う外面551Eを有し、これにより、アーム540A,540Bは、レバー551が孔157の表面と係合することなく、ブロック150の孔157を貫通することができる(例えば、
図14C参照)。
【0059】
一例では、レバー551は、選択的に、互いに対してある角度(例えば90度)で延びる角度付きの基端面551C,551Dを有する。選択的に、角度付きの基端面551C,551Dは先端部551bで連結する。一例では、レバー551が伸張位置または展開位置にあるとき(例えば
図14Eを参照)、面551Dは実質的に水平に延び、面551Cは実質的に垂直に延びる。選択的に、伸張位置において、レバー551の基端は、前端開口158A,158Bの内面(例えば肩面159C)の(例えば、先端開口158A,158Bの金属製の支持材または補強材159Bの)寸法に実質的に対応する距離だけ互いに間隔が隔てられている。グラバー500は、一旦伸張位置または展開位置になると、(例えばケーブル108によって)上昇させることができ、それによってレバー551は肩面159Cに係合でき(例えばロックでき)、それによってグラバー500はブロック150を上昇させることができる。
【0060】
図14C~
図14Fを引き続き参照する。ロック機構550は、選択的にプーリー552に巻き付いて、(例えば角度付きの面551C,551Dに近接する)レバー551に接続(例えば固定)されるケーブル553を有し得る。ケーブル553は、選択的に、スプリング556(例えばコイルスプリング)に連結された基部コネクタ557に連結される。一例では、スプリング556は、基部コネクタ557と先端コネクタ555の間で延び、基部コネクタ557と先端コネクタ555に固定される。一例では、スプリング556は、基部コネクタ557(したがってケーブル553)を先端コネクタ555に向かって引っ張る方向に付勢し、これによりレバー551を格納位置に移動させる。作動ケーブル558は基部コネクタ557に連結できる。一例では、作動ケーブル558は、スプリング556のスプリング圧縮力に打ち勝って基部コネクタ557を先端502に向かって引っ張る力(例えば張力)でグラバー500の基端502に向かって作動する(例えば引っ張られ、張力を受ける)。このことにより、選択的に、ケーブル553がプーリー552を越えて(外側へ)移動し、レバー551は、本体550Cに対して外向きに伸長位置または展開位置へ回転可能になる。引張り力が一旦作動ケーブル558から除去されると、スプリング556のスプリング圧縮力は、選択的にケーブル558の作動力に打ち勝つことができ、これにより、スプリング556は基部コネクタ557を先端コネクタ555に向かって引き戻すことができ、レバー551を(例えば、ケーブル553がプーリー552上を移動することによって)格納位置に引き戻すことができる。
【0061】
図14Iに示す一例では、電気系統531は、グラバー500(例えばロック機構550)を作動させることができる。電気系統531は、例えばクロスメンバー530に選択的に配置される1つ以上の電動機532を有し得る。電動機532は、作動ケーブル(558)を作動させてレバー551を動作させるように運転可能である。例えば、電動機532は、レバー551が伸長位置または展開位置に移動するように作動ケーブル558に張力を加える運転が可能であり、レバー551が格納位置に移動するようにケーブル558に張力を緩める運転が可能である。一例では、ケーブル558の基端は、電動機532の出力軸に(例えば、電動機532の出力軸に取り付けられたホイール、スプロケットまたはギヤを介して)動作可能に連結できる。電動機532の出力軸が一方向に回転すると、ケーブル558が引っ張られてレバー551を伸長位置に移動させ、電動機532の出力軸が反対方向に回転すると、ケーブル558の張力が緩められるか又は減少してレバー551を格納位置に移動させる。一例では、アーム540A,540Bの各々のロック機構550は、選択的に、異なる電動機532によって作動する。他の例では、アーム540A,540Bの各々のロック機構550は、同じ電動機532によって作動する。電動機532は、選択的にクレーン101を介して、例えば、クレーン101の電源またはクレーン101上の電源から来てケーブル108に沿って(ケーブル108内をまたはケーブルの周囲を)グラバー500へ(例えば、基部コネクタ505のチャンネル511を介してグラバー500内へ)向かう電源ケーブルを介して電力供給できる。他の実施例では、電動機532に電力を供給する電源(例えば、バッテリ)をグラバー500内に(例えば、クロスメンバー530内に)配置できる。
【0062】
図14Jに示す他の例では、ロック機構550を作動させるために電動機532の代わりに空気圧系統531Aを使用できる。例えば、空気圧系統531Aは、ピストン534Aを作動させる動作が可能な圧縮機532A(例えばクロスメンバー530内に配置される)を有し得る。ピストン534Aはケーブル558に作動可能に連結され、レバー551が伸長位置に移動するようにケーブル558に張力をかけるか、または前述したようにレバー551が格納位置に移動するようにケーブル558の張力を除去するか減少させることができる。
【0063】
図14Kに示す他の例では、ロック機構550を作動させるために、電動機532の代わりに電磁系統531Bを使用することができる。例えば、電磁系統531Bは、金属部(例えば永久磁石)534Bを選択的に引き付けるかまたは反発するように駆動できる電磁石532Bを有し得る。ケーブル558は永久磁石534Bに操作的に連結できる。永久磁石534bを引き付けるために電磁石に電流が流されると、永久磁石534bが電磁石532Bに向かって移動することによりケーブル558に張力が加えられ、レバー551が伸張位置に移動する。電磁石532Bが永久磁石534Bを反発するように駆動されると、ケーブル558の張力が低減または除去され、レバー551が格納位置に移動する。
【0064】
図14Lに関し、グラバー500は、選択的に、(例えば基部コネクタ505に対してや、関連するジブ104に対して)グラバー550を回転させるトランスミッションアセンブリ525を有し得る。トランスミッションアセンブリ525は、選択的に、基部コネクタ505に対して固定された第1のディスクまたはギヤ526と、クロスメンバー530の内面に取り付けられた電動機529に連結された第2のディスクギヤ528と、ディスクまたはギヤ526,528に巻き付けて相互に連結するチェーン、ケーブルまたはベルト527とを有し得る。
図14Lに示すように、グラバー500は、1つ以上のプーリー(例えば、4つのプーリー)537が回転可能に連結されたフレーム536を有するプーリーアセンブリ535に連結できる。フレーム536は、ブラケット538を介して基部コネクタ505に連結できる。1つ以上のケーブル108(例えば、ケーブル108A、108B)は、少なくとも一部を1つ以上のプーリー537の周りに巻き付けることができ、ケーブル108の基部端はトロリー106に移動可能に連結される。
【0065】
一例では、トランスミッションアセンブリ525は、対応するジブ104がクレーン101,101Aのタワー102に対して回転する(それによって、トロリー106、ケーブル108、及びグラバー500の上のプーリーアセンブリ535がタワー102の周りで回転する)とき、基部コネクタ505に対してグラバー500を相対的に回転させるように動作する。ジブ104がクレーン101,101Aのタワー102に対して第1の方向に回転する(そしてトロリー106、ケーブル108及びグラバー500の上のプーリーアセンブリ535がタワー102の周りを第1方向に同じ速度で回転する)と、トランスミッションアセンブリ525は、基部コネクタ505に対してグラバー500を第1の方向とは反対の第2の方向に、タワー102の周りをジブ104の回転と同じ回転速度で回転させる。このことにより、効果的であることに、ブロック150はどのような回転も行わず(すなわち、ブロック150は同じ向きを維持し)、モーメントがゼロになる(すなわち、ブロック150は平行移動するだけで回転しない)。電動機529は、チェーン、ケーブルまたはベルト527を介して、第2のディスクまたはギヤ528を第1のディスクまたはギヤ526に対して回転させることができる。第1のディスクまたはギヤ526が基部コネクタ505に固定されるので、電動機529による第2のディスクまたはギヤ528の回転により、第2のディスクまたはギヤ528が第1のディスクまたはギヤ526の周りを周方向に移動することになり、これにより、クロスメンバー530の向きひいてはグラバー500の向きを同じにとどめて、有利なことにケーブル108のひねり(またはねじりの適用)を抑制(例えば防止)し、ブロック150のねじれ揺動を抑制できる。したがって、トランスミッションアセンブリ525は、有利なことに、グラバー500がブロック150に連結され、ジブ104がクレーン101,101Aのタワー102に対して回転するときに、グラバー500とブロック150の絶対的な方向性を(例えば世界座標に関して)一定に維持する。
【0066】
他の例では、トランスミッションアセンブリ525は、グラバー500がブロック150に連結されていないときに、グラバー500を回転させるように(例えば、グラバー500が移動した前のブロック150に対して90度の向きのブロック150に連結する前に、その前の向きに対してグラバー500を90度の向きにするように)動作する。電動機529は、第2のディスクまたはギヤ528を第1のディスクまたはギヤ526に対してチェーン、ケーブルまたはベルト527を介して回転させるように動作できる。しかしながら、第1のディスクまたはギヤ526が基部コネクタ505に固定されているので、グラバー500と比べるとグラバー500の上のプーリーアセンブリ535の慣性力が比較的小さいために、電動機529による第2のディスクまたはギヤ528の回転によって、第1のディスクまたはギヤ526が回転しやすくなる(それによってプーリーアセンブリ535が回転し、グラバー500の上のケーブル108が捻られる)。
【0067】
このような第1のディスクまたはギヤ526の回転とグラバー500の上のケーブル108のねじれを避けるために、クロスメンバー530に固定される(例えば、グラバー500の中心軸に沿ってクロスメンバー530の中心に固定される)電動機522が、電動機522に接続されるフライホイールまたはリアクションホイール523を回転させるように作動する。電動機522によってフライホイール523に加えられるトルクは、クロスメンバー530にも逆方向に異なる速度で加えられ(クロスメンバー530とリアクションホイール523との間の慣性力の差のため)、その結果、電動機522の動作によりリアクションホイール523が一方向に回転すると、クロスメンバー530が逆方向に回転することになる。リアクションホイール523の一方向の回転が(電動機522の動作により)加速されると、クロスメンバー530の逆方向の回転も(クロスメンバー530とリアクションホイール523の2つの慣性モーメントの比に応じて)加速される。リアクションホイール523の一方向の回転が(電動機522の動作により)減速されると、クロスメンバー530の逆方向の回転も(クロスメンバー530とリアクションホイール523の2つの慣性モーメントの比に応じて)減速され、最終的には停止する。リアクションホイール523の一方向の回転が(電動機522の動作により)一定に保たれている場合、クロスメンバー530の回転もリアクションホイール523の回転とは逆の方向に一定に保たれる。
【0068】
クロスメンバー530がリアクションホイール523に対して前記逆方向に回転すると、電動機529は、クロスメンバー530を基部コネクタ505に対して、クロスメンバー530の回転方向と反対方向に回転させ、それによって、グラバー500の上のケーブル108及び/またはプーリーアセンブリ535のひねり(またはねじりの適用)が抑制(例えば防止)される。電動機529は、第2のディスクまたはギヤ528をリアクションホイール523の回転と同じ方向に回転させ、グラバー500は、ケーブル108がねじれないように、リアクションホイール523及び第2のディスクまたはギヤ528の両方とは逆の方向に回転する。
【0069】
前述したように、自己芯出し端570は円錐形状にすることができる。これにより、有利なことに、アーム540がブロック150の開口156を通って孔157内を延びるときに、ブロック150に対してグラバー500を自己芯出しできる。例えば、アーム540と基部開口156との間にわずかな位置のずれがあったとしても、その端570の円錐形状により、アーム540がブロック150を通って前進するにつれて、孔157の中でアーム540の自己芯出しが生じる。基部開口156のテーパ面151Bによっても、選択的に、ブロック150の孔157に対するグラバー500のアーム540の自己芯出しが容易になる。
図14Fに示すように、自己芯出し端570は、グラバー500がブロック150に係合する(例えばロックされる)と、ブロック150の底面153Aを越えて延びる。これにより有利なことに、グラバー500で、係合したブロック150を下ろして載せるべきブロック150と(例えば中央に)位置合わせすることができ、自己芯出し端570は、係合したブロック150がその上に下ろされるときに、(そして係合したブロック150の底面153Aが下のブロック150の上面151Aに接触する前に)、下のブロック150の基部開口156の中へ延びる。したがって、自己芯出し端570により、有利なことに、ブロック150を掴むためにブロック150上でのグラバー500の芯出しが容易になり、しかも、掴んだブロック150を下降させるときに、掴んだブロック150を下のブロック150の上で容易に芯出しできる。
【0070】
一例では、グラバー500(例えばグラバー500のロック機構550)は、レバー551が格納位置または伸張/展開位置にあるときに検知する1つ以上のセンサ(例えば、圧力センサ、接触センサ、近接センサ、静電容量センサ)を有する。一例では、(例えば、グラバー500のロック機構550は)伸張/展開位置にあるレバー551がブロック150と(例えばブロック150の肩面159Cと)もはや接触または係合していないときに検知する1つ以上のセンサ(例えば圧力センサ、接触センサ)を有し、それによって、レバー551を(例えば1つ以上の電動機522によって)格納位置に移動させることができる。
【0071】
一例では、グラバー500(例えば、グラバー500のロック機構550、グラバー500のレバー551)は、例えばグラバー500が接近しているブロック150に対して、グラバー500(例えばグラバー500のレバー551)の垂直位置を検出する1つ以上のセンサ(例えば、超音波センサ、近接センサ)を有する。有利なことに、前記1つ以上のセンサは、前述したようにして、グラバー500をブロック150に確実に適切に連結するのに役立ち、仮にそのようなセンサが存在しなかった場合にブロック150に対するグラバー500の位置決めエラーが生じ得るケーブル108の長さのあらゆる変化(例えば、周囲温度または繰り返しの使用からのケーブル108の伸長による)を押さえ込む。
【0072】
一例では、グラバー500は、ブロック150の孔157へのグラバー500の挿入(例えば、自己芯出し端570の挿入、アーム540の挿入)の前に(または挿入中に)、ブロック150の上面151Aの上に、ある量の圧縮空気を(例えば自己芯出し端570の開口を介して)選択的に供給できる。空気の量は、ブロック150の上面151Aに供給されて、上面151Aを綺麗に(例えば、屑や塵などを除去)し、それによって、ブロック150の位置を移したときに上面151Aを確実に綺麗にする。一例では、一旦グラバー500がブロック150に連結され(例えば
図14F~14Hを参照)、ブロック150を上昇させ、ブロック150を他のブロック150の上に位置を移す過程で、グラバー500が上部のブロック150を下降させると、ある量の圧縮空気を(例えば自己芯出し端570の開口を介して)、上のブロック150の底面153Aが下のブロック150の上面151Aに接触する前に下部のブロック150の上面151Aに供給して、下部のブロック150の上面151Aを綺麗にすることができる。
【0073】
一例では、グラバー500は、レバー551の底面551Fと本体550Cの角度面550Eとの間の空間S1に(例えば本体550Cの開口部を介して)ある量の圧縮空気を選択的に供給して空間S1から塵または屑を除去することができ、レバー551は(例えば底面551Fが本体550Cの角度面550Eに接触する)伸張位置または展開位置に移動することができる。それに加えて、またはそれに代えて、グラバー500は、本体550Cの内面550Fとレバー551の内面551Gとの間の空間S2にある量の圧縮空気を供給して空間S2から塵または屑を除去することができ、レバー551は(例えばレバー551の内面551Gが本体550Cの内面550Fに接触する)格納位置に移動することができる。前記圧縮空気は、選択的に、レバー551が伸長位置または展開位置に移動する前(例えば、レバー551が
図14C~
図14Dに示されているような位置にある場合)に、空間S1に供給できる。前記圧縮空気は、選択的に、レバー551が格納位置に移動する前(例えば、レバー551の位置が
図14E~14Fに示されているような位置にある場合)に、空間S2に供給できる。圧縮空気のそのような供給は、有利なことに、ロック機構550がブロック150の係合及び持ち上げもブロック150の係合解除も行えるような適切な動作を保証する。
【0074】
一例では、グラバー500は、前述したように、トランスミッションアセンブリ525及びリアクションホイール523を使用するように、グラバー500がブロック150に連結されていないときに回転できる(例えば、基部コネクタ505はクロスメンバー530に対して回転できる)。例えば、グラバー500がジブ104に近接した位置から下降する前に、及び/またはグラバー500がブロック150を下降させてブロック150から連結解除した後に上昇させる間に、グラバー500を少なくとも2つ方向(例えば、互いに90度をなす2つの方向)の間で回転させることができる。グラバー500が回転することにより、有利なことに、グラバー500は、前述したように、ブロック150のタイル配置パターンを形成するように、ブロック150が1つの層またはレベルを形成し、いくつかのブロック150がその層またはレベルの他のブロック150に対して異なる方向となる(例えば90度の向きを向く)ように、異なる向きに配置された(例えば、互いに90度で配置された)ブロック150を掴むことができる。
【0075】
動作時に、グラバー500は、前述したようにしてブロック150上に降ろされてブロック150と係合する。選択的に、グラバー500は、前述したように、塵または屑を除去するために、ブロック150の上面151Aの上に圧縮空気を供給する。アーム540がブロック150の開口部157を通って延びると、ロック機構550がレバー551を伸張位置に移動させるように作動する。選択的に、ロック機構550を作動させる前に、位置センサ(例えば超音波センサ)は、レバー551が伸張位置または展開位置に移動する前に、レバー551が適切な(垂直の)位置にあることを検知する。次に、(例えば、トロリー106上に位置するウインチによって選択的に引き込まれるケーブル108等によって)グラバー500が上昇する。グラバー500が上昇すると、伸張位置のレバー551がブロック150の底部の肩面159Cに係合して、グラバー500がブロック150を持ち上げることが可能になる。(例えばブロック150の重量により)ブロック150に連結されているときには、(例えばブロック150を回転させるためには大きなトルクが必要であるために)グラバー500は回転しない。そのため、ブロック150は、グラバー500によって同じ向きで上昇し、移動し、そして下降する。したがって、南北方向を向いたブロック150は、グラバー500によって同じ南北方向を向いて上昇し、移動し、そして下降する。同様に、東西方向を向いたブロック150は、グラバー500によって同じ東西方向を向いて上昇し、移動し、そして下降する。したがって、ブロック150は、(例えばグラバー500によって上昇する前の)その開始位置と、(例えばグラバー500によって下降した後の)その終了位置とで同じ向きとなる。
【0076】
図15は、グラバー500の操作方法600の一つを示す。この方法600は、グラバー500をブロック150に対して下降させる動作610を含む。また、この方法600は、1組のアーム540の先端が1組の孔157から突出するまで、グラバー500の1組のアーム540をブロック150の1組の孔157に挿入する動作620を含む。また、この方法は、1組のアーム540に移動可能に連結された1つ以上のレバー551を格納位置から伸張位置に動作させる動作と、及びグラバー500でブロック150を上昇させる(例えば、垂直に上昇させる)ことを可能にするために、1組の孔の157の凹状先端面153Bと伸張位置の1つ以上のレバー551とを係合させる動作640を含む。
[クレーンの操作]
エネルギー貯蔵システム100,100A,100G-100Pは、ブロック150,150’を低高度から高高度さに上昇させる(例えば垂直上昇させる)ことにより、電気エネルギーまたは電力を蓄えるために位置エネルギーに変換し、ブロック150,150’の1つ以上を高高度から低高度へ重力で移動させる(例えば、垂直に移動させる、垂直に下げる)ことにより、位置エネルギーを電気エネルギーまたは電力に変換する操作が可能である。
【0077】
図16は、エネルギー貯蔵システム100,100A,100G~100Pを動作させる方法650の一つを示す。この方法650は、クレーン101を操作して1つ以上のブロック150を低高度から高高度へ移動させて複数のブロック150を積み重ねること660を含み、各ブロック150は、ブロック150の位置エネルギー量に対応する量のエネルギー量を蓄える。また、この方法は、1つ以上のブロック670を異なる場所に移動させることを含む。また、この方法は、クレーン101を操作して、1つ以上のブロック150を重力下で高高度から低高度へ移動させることにより、1つ以上のブロック150を積み下ろし、それによって、高高度から低高度へ移動させたときの前記1つ以上のブロック150の運動エネルギーの量に対応する量の電力を発生させることを含む。
【0078】
クレーン101の電動機/発電機120は、トロリー106とケーブル108を操作して、1つ以上のブロック150,150’を低高度から上昇(例えば垂直上昇)させ、前記ブロック150,150’を対して異なる位置(例えばタワー102に対して、ジブに沿った異なる極座標位置、ブリッジ104Gに沿った異なる直交座標位置)に移動させ、さらに、ブロック150,150’を前記異なる位置でより高高度に配置(例えば1つのブロックを他のブロック上に配置)して、例えば
図1,
図6A~
図6B、及び
図7A~
図7Bに示すようにブロック150,150’のスタックを形成することができる。積み重ねた各ブロック150,150’は、その質量とブロック150,150’の低高度と高高度との間の高さの差に対応する(例えば比例する)量の位置エネルギー(例えば、位置エネルギー=質量×重力×地面などの基準表面からの高さ)を蓄える。ブロック150,150’が重いほど、そして、ブロック150,150’を高く積み上げるほど、多くの位置エネルギーを蓄えることができる。
【0079】
蓄えられた位置エネルギーを電力に変換するために、クレーン101は、トロリー106とケーブル108を操作して、積み上げられたブロック150,150’の1つ以上をより高高度から上昇(例えば垂直上昇)させる、トロリー106を異なる位置(例えばタワー102に対して、ジブに沿った異なる極座標位置、ブリッジ104Gに沿った異なる直交座標位置)に移動させ、さらに、前記ブロック150,150’をより低高度へ移動(例えば、少なくとも一部を重力で垂直に下降)させて、電動機/発電機120を(ケーブル108を介して)駆動して電力を発生させ、電力網に供給することができる。
【0080】
電力の形態の動力は、ブロック150が下降するたびに生成される。
図4は、
図1~
図3、
図6A~
図6Eのクレーン101のタワー102の両側の1対のジブ104によって生成される電力を示す、出力電力対時間のグラフである。
図4に示すように、3つのブロック150の下降に対応して3つのピーク510が発生する。各ブロック150が下降した後、電力520は、ケーブル108とグラバー500をスタック上の新しいブロック150に係合する前に上昇させるために短時間で消費される。
【0081】
図17は、回生(再生)可変周波数駆動部125を介して電力網130に接続される電動機/発電機120を示す概略ブロック図である。回生可変周波数駆動部125は、電動機/発電機120と電力網130との間のインターフェースである。回生(デュアルブリッジ)可変周波数駆動部125は、電力網側トランジスタブリッジ、DCバス、電動機側トランジスタブリッジを有し得る。電力網側トランジスタブリッジは、(回生時に)電動機/発電機120からの全ての直流電力を電力網130の50Hzまたは60Hzに変換するインバータである。非回生時は、可変周波数駆動部125は電力網130を直流電力に整流する。電動機側では、可変周波数駆動部125は、(例えば、電動機120の減速及び/または加速を制御するため、電動機/発電機120の負荷を調整するため、クレーン101,101Gの巻き上げモータの回転を変化させて電動機/発電機120からの出力電力を制御または調整するために、)電動機/発電機120が動作する周波数を変更する。
【0082】
エネルギー貯蔵システム100は、電気エネルギーまたは電力を最大限蓄えるように操作できる。
図1において、クレーン101は、すべてのスタックが同じ高さになるように(それぞれが同じ大きさの)ブロック150を積み重ねる。
図2では、大きさが異なる複数のブロック150’がすべて地面の高さにあるので、システム100は位置エネルギーがゼロの状態で示されている。(ブロックの重量に比例する)ブロック150’の高さはジブ104の長さに沿って変化し、重量がより大きいブロック(例えばブロックA~D)はタワー102に近くに位置し、重量がより小さいブロック(例えば、ブロックE~J)はタワー102から離れて位置している。一例として、
図3に示すように、クレーン101は、最も重いブロック150’(例えばブロックA~D)を最初にタワー102の最も近くで積み重ね、その後にクレーン101は、より軽いブロック150’(例えばブロックA-J)を積み重ね、システム100の位置エネルギーの貯蔵を最大にするためにすべてのブロック150’(例えばブロックA~J)を1つ以上のブロック150’のスタックまたは柱にするまで、最も重いブロックから最も軽いブロック150’まで(例えば、ブロックE~J)を1つずつ積み重ねる。
図3を引き続き参照すると、前述したように、ブロック150’をより高高度から低高度へ移動させることによって発電するために、ブロック150’は、最も軽いものら最も重いものへの順にスタックから持ち上げられ、
図2に示される順に地面に戻される。
【0083】
有利なことに、エネルギー貯蔵システム100,100A、100G~100Pは、例えば、太陽エネルギーで生成された電力を、太陽エネルギーが利用できる昼間の時間帯に、積み重ねたブロック150、150’に位置エネルギーとして蓄え、太陽エネルギーが利用できない夜間の時間帯に、積み重ねたブロック150、150’の位置エネルギーを電力に変換し、変換された電力を電力網に供給できる。
[外から内への積み重ね]
図1~3において、ブロック150,150’は、電力をブロック150,150’に位置エネルギーとして蓄えるために、タワー102から離れた径方向位置のジブ104の低高度から、タワー102に近い径方向位置のジブ104の高高度へ移動する。ブロック150,150’は、その後、発電するために、タワー102に近い径方向位置のジブ104の高高度から、タワー102から離れた径方向位置のジブ104の低高度へ移動する。
[内から外への積み重ね]
図6A~
図6Eにおいて、ブロック150は、タワー102に近い径方向位置のジブ104の低高度(
図6C~
図6Eを参照)から、タワー102から離れた径方向位置のジブ104の高高度(
図6A~6Bを参照)に移動し、タワー900を形成するブロック150に電力を位置エネルギーとして蓄える。ブロック150は、その後、発電するために、タワー102から離れた径方向位置のジブ104の高高度から、タワー102に近い径方向位置のジブ104の低高度へ移動する。
[利用]
本明細書で説明されているのは、電気エネルギーまたは電力を蓄えるために位置エネルギーに変換し、例えば電力網に供給するために位置エネルギーを電気エネルギーまたは電力に変換する操作が可能なエネルギー貯蔵システム(例えば、エネルギー貯蔵システム100,100A,100G~100P)の例である。このエネルギー貯蔵システムは、有利なことに、ほとんどまたは全くメンテナンスを必要とせず、エネルギーの貯蔵容量を実質的に減少させずに数十年(例えば、0~50年)運転できる。
【0084】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のエネルギー貯蔵システムは、約10メガワット時(MWh)以上(例えば、15MWh、20MWh、30MWh、50MWh、80MWh、90MWhなど、10MWhと100MWhの間)のエネルギーを蓄え、約10MWh以上(例えば、15MWh、20MWh、30MWh、50MWh、80MWh、90MWhなど、10MWhと100MWhの間)のエネルギーを電力網に供給できる。本明細書に記載されたエネルギー貯蔵システムは、(例えば1MWから最大6MWまでまたはそれ以上)のエネルギーを毎時供給できる。しかしながら、他の実施形態において、本明細書に記載のエネルギー貯蔵システムは、他の適切なエネルギー貯蔵及び供給容量(例えば、1MWh、3MWh、5MWhなど)にすることができる。一実施形態では、エネルギー貯蔵システムは、選択的に1日に約1000の家庭に電力を供給できる。
【0085】
本明細書に記載のエネルギー貯蔵システムは、有利なことに、例えば太陽エネルギーシステムや風力エネルギーシステム(例えば風力タービン)などの再生可能エネルギー(例えば、グリーンエネルギー)発電システムに接続できる。有利なことに、再生可能エネルギー発電システムの運転(例えば、日中の太陽エネルギーシステムの運転、風の強い条件での風力発電システムの運転)中に、このエネルギー貯蔵システムは、再生可能エネルギー発電システムによって生成された電力を取り込む。このエネルギー貯蔵システムは、再生可能エネルギー発電システムが動作していないとき(例えば、夜間や風のない状態のとき)、蓄えられた電力を後で電力網に供給できる。したがって、このエネルギー貯蔵システムは、再生可能エネルギー発電システム用のバッテリーのように動作して、再生可能エネルギー発電システムから電力網に時間外電力を提供できる。
【0086】
前述の実施形態において、エネルギー貯蔵システムは、電気エネルギーを位置エネルギーとして蓄えるためにブロック150,150’を積み重ね、発電するためにブロック150,150’を積み下ろすようにクレーン101,101Gを用いる。一実施形態では、クレーン101,101Gは、電力網からの余剰の電力で動作させることができる。ブロック150,150’を上昇させるために使用されるエネルギーの単位量ごとにエネルギー貯蔵システムによって回収されるエネルギーの量は、選択的に80~90%にすることができる。
[追加の実施形態]
本発明の実施形態では、エネルギー貯蔵システム及びその動作方法は、以下のいずれかの項に従ったものにすることができる。
【0087】
第1項。蓄電及び発電するための方法であって、
1つ以上のブロックを低高度から高高度へ移動させることにより複数のブロックを積み重ねてブロックにエネルギーを蓄え、ブロックの各々がブロックの位置エネルギーの量に対応する量のエネルチーを蓄えるようにクレーンを操作することと、
1つ以上のブロックを重力下で高高度から低高度へ移動させることによりブロックの1つ以上を積み下ろし、それによって高高度から低高度へ移動するときの前記1つ以上のブロックの運動エネルギーの量に対応する量の電力を発生させるようにクレーンを操作することと、
を含む方法。
【0088】
第2項。第1項の方法において、エネルギーを蓄えるために複数のブロックを積み重ねることが、低高度から高高度へブロックを移動させるように電動機を動作させることを含む方法。
【0089】
第3項。第1項または第2項の方法において、高高度から低高度へ1つ以上のブロックを移動させることにより発電機が駆動されて発電される方法。
【0090】
第4項。第1項から第3項の何れか1つの方法において、1つ以上のブロックを高高度から低高度へ、または低高度から高高度へ移動させることが、1つ以上のブロックを低高度と高高度の間の移動中にブロックの向きを変えずに移動させることを含む方法。
【0091】
第5項。第1項から第4項の何れか1つの方法において、1つ以上のブロックを高高度から低高度へ、または低高度から高高度へ移動させることが、クレーンの方位角の変化に基づいて1つ以上のブロックを移動させることを含む方法。
【0092】
第6項。第5項の方法において、1つ以上のブロックを高高度から低高度へ移動させることが、タワーから離れた位置からタワーに近い位置に1つ以上のブロックを移動させることを含む方法。
【0093】
第7項。第5項の方法において、1つ以上のブロックを高高度から低高度へ移動させることが、タワーに近い位置からタワーから離れた位置に1つ以上のブロックを移動させることを含む方法。
【0094】
第8項。第1項から第7項の何れか1つの方法において、1つ以上のブロックを高高度から低高度へ、または低高度から高高度へ移動させることが、クレーンの並進動作に基づいて1つ以上のブロックを1つの位置から他の位置へ移動させることを含み、クレーンが第2の複数のブロックに取り付けられるブリッジクレーンである方法。
【0095】
第9項。第1項から第8項の何れか1つの方法において、1つ以上のブロックを低高度から高高度へ移動させることが、クレーンの対向するジブに取り付けられる2つのブロックを低高度から高高度へ実質的に同時に移動させてクレーンへの力を平衡させることを含む方法。
【0096】
第10項。第1項から第9項の何れか1つの方法において、1つ以上のブロックを高高度から低高度へ移動させることが、クレーンの対向するジブに取り付けられる2つのブロックを高高度から低高度へ実質的に同時に移動させてクレーンへの力を平衡させることを含む方法。
【0097】
第11項。第1項から第10項の何れか1つの方法において、複数のブロックを積み重ねることが、第1のタイル配置パターンを有するブロックの第1の層を位置決めすることと、ブロックの第2の層をブロックの第1の層の上に位置決めすることとを含み、ブロックの第2の層は、積み重ねられたブロックの横方向移動または転倒を抑制するために、第1のタイル配置パターンとは異なる第2のタイル配置パターンを有する方法。
【0098】
第12項。第1項から第11項の何れか1つの方法において、複数のブロックを積み重ねることが、ブロックの各々がブロックの下方の2つのブロックの少なくとも一部に90度の方向を向いて接触することによりブロックを交互配置するようにブロックの各々を位置決めすることを含む方法。
【0099】
第13項。第1項から第12項の何れか1つの方法において、ブロックを積み重ねるためにブロックを低高度から高高度へ移動させることが、層の1つ以上のブロックがその層の隣接するブロックに対して90度の向きになるように、その層のブロックを配置し、ブロックが互いに接触することなくその層のブロック間のスペースを最小化することを含む方法。
【0100】
第14項。第1項から第13項の何れか1つの方法において、ブロックをスタックするためにブロックを低高度から高高度へ移動させることが、ブロックの昇降中の摩擦を抑制するために、層のブロックをその層で横方向に隣接する1つ以上のブロックが互いに接触しないように配置することを含む方法。
【0101】
第15項。第1項から第14項の何れか1つの方法において、1つ以上のブロックを高高度から低高度へ、または低高度から高高度へ移動させることが、ブロックをブロックの底面から支持することを含む方法。
【0102】
第16項。エネルギー貯蔵システムであって、
複数のブロックと、クレーンとを備え、
クレーンは、
フレームと、
電動機/発電機と、
フレームに移動可能に連結された1つ以上のトロリーと、
1つ以上のトロリーに移動可能に連結され、且つ電動機/発電機に作動可能に連結されたケーブルであって、複数のブロックの1つ以上に作動可能に連結されるように構成されたケーブルと、を備え、
クレーンは、1つ以上のブロックを互いに積み重ねるために、前記ブロックを低高度から高高度へ移動させ、前記ブロックの位置エネルギー量に対応する量の電気エネルギーを前記ブロックに蓄え、クレーンは、前記1つ以上のブロックを高高度から低高度へ移動させるときにその運動エネルギー量に対応する量の電力を生成するために、前記ブロックを高高度から低高度へ重力下で移動させることにより複数のブロックの1つ以上を積み下ろす操作がさらに可能であるシステム。
【0103】
第17項。第16項のシステムにおいて、1つ以上のトロリーが、1つ以上のブロックを低高度から高高度へ上昇させるためにケーブルを引き込み、電動機/発電機は、1つ以上のブロックを高高度から低高度へ重力下で下降させることによりケーブルが伸びるときに発電するシステム。
【0104】
第18項。第16項又は第17項のシステムにおいて、フレームが、タワーと、タワーに連結された複数のジブとを備え、ジブの各組がタワーの反対側に延び、複数のジブのそれぞれに1つ以上のトロリーの少なくとも1つが移動可能に連結されているシステム。
【0105】
第19項。第18項のシステムにおいて、複数のジブが2つのジブであるシステム。
【0106】
第20項。第18項のシステムにおいて、複数のジブが6つのジブであるシステム。
【0107】
第21項。第20項のシステムにおいて、6つのジブが3組のジブを形成し、各組のジブが異なる角度方向でタワーの反対側に延びているシステム。
【0108】
第22項。第16項から第21項の何れか1つのシステムにおいて、複数のブロックが第1の複数のブロックと第2の複数のブロックを備え、第1の複数のブロックは、空間が風力にさらされるのを抑制するために空間を囲む周囲の防風構造を形成するように配置され、クレーンは、蓄電または発電するために第2の複数のブロックを空間内で移動させる操作が可能であるシステム。
【0109】
第23項。第22項のシステムにおいて、防風構造がほぼ円形の周縁部を形成しているシステム。
【0110】
第24項。第22項のシステムにおいて、防風構造が四角形の周縁部を形成しているシステム。
【0111】
第25項。第24項のシステムにおいて、周縁部が正方形形状であるシステム。
【0112】
第26項。第25項のシステムにおいて、フレームは、防風構造の上に配置されたレール上に移動可能に支持されたブリッジを形成し、ブリッジは第1の方向に移動するように構成され、ブリッジに移動可能に連結された1つ以上のトロリーは第1の方向に直角の第2の方向に移動するように構成されているシステム。
【0113】
第27項。第22項のシステムにおいて、空間内に防風構造を強化する1つ以上のクロスメンバーを形成する第3の複数のブロックを有し、空間が1つ以上のクロスメンバーによって1つ以上の部分に分割され、第2の複数のブロックが防風構造によって囲まれた空間の前記1つ以上の部分の中で移動可能であるシステム。
【0114】
第28項。第16項から第27項の何れか1つのシステムにおいて、ケーブルに連結され、且つ複数のブロックの1つ以上に連結されて前記ブロックを昇降させるように選択的に作動するグラバーをさらに含むシステム。
【0115】
第29項。第28項のシステムにおいて、グラバーは1組のアームを備え、各アームは1つ以上のレバーを有し、レバーは、アームがブロックの下端を越えて下降する格納位置と、ブロックの下端の1つ以上の凹部内へ1つ以上のレバーが延びてレバーをブロックに連結する伸張位置との間で作動可能であるシステム。
【0116】
第30項。第28項のシステムにおいて、1組のアームがグラバーのクロスメンバーに連結される基端を有し、1組のアームが互いに離れ且つ互いに平行にアームの先端へ延びているシステム。
【0117】
第31項。エネルギー貯蔵及び発電システムに用いるブロックであって、
長さが幅よりも大きく、幅が深さよりも大きい長方形形状のコンクリートを備える本体であって、本体の隣接する側面を相互に連結する平面状の切子面と、本体の底面に設けられた1つ以上の凹部とを有する本体と、
ブロックの移動中にブロックの摩耗を抑制するように1つ以上の凹部に取り付けられた金属板と、
を有するブロック。
【0118】
第32項。第31項のブロックにおいて、本体の長さと幅と深さのアスペクト比が4:2:1であるブロック。
【0119】
第33項。第31項のブロックにおいて、本体の長さと幅と深さのアスペクト比が3:2:1であるブロック。
【0120】
第34項。第31項から第33項の何れか1つのブロックにおいて、本体の長さが約4mであるブロック。
【0121】
第35項。第31項から第34項の何れか1つのブロックにおいて、平面状の切子面が本体の隣接する側面に対して45度に延びているブロック。
【0122】
第36項。第31項から第35項の何れか1つのブロックにおいて、本体が20トンと55トンの間の重さであるブロック。
【0123】
第37項。第31項から第36項の何れか1つのブロックにおいて、本体が、ブロックの幅を通る第1の中心面と、ブロックの深さを通る第2の中心面に沿って対称であるブロック。
【0124】
第38項。第31項から第37項の何れか1つのブロックにおいて、本体が、ブロックの上端の1つ以上の基部開口からブロックの下端の1つ以上の先端開口までブロックの長さを通って延びる1つ以上の穴を有し、先端開口は本体の底面の1つ以上の凹部に位置合わせされているブロック。
【0125】
第39項。第31項から第38項の何れか1つのブロックにおいて、1つ以上の孔が、ブロックの長さを通って延び、前記ブロックの幅及び深さに沿って芯合わせされた相隔たる1組の孔であるブロック。
【0126】
第40項。第38項のブロックにおいて、1つ以上の基部開口が円錐形状であるブロック。
【0127】
第41項。第38項のブロックにおいて、1つ以上の先端開口部が段差状であり、金属板の少なくとも一部が、1つ以上の先端開口の少なくとも1つを形成するブロック。
【0128】
第42項。第38項のブロックにおいて、1つ以上の基部開口の周りでブロックに埋め込まれた金属板をさらに有し、金属板の少なくとも一部が1つ以上の基部開口のテーパ面を形成するブロック。
【0129】
第43項。第31項から第42項の何れか1つのブロックにおいて、本体が、異なる材料のバラスト塊を封入するコンクリートのアウターシェルを有するブロック。
【0130】
第44項。第31項から第43項の何れか1つのブロックにおいて、コンクリートに埋め込まれた鉄筋を有するブロック。
【0131】
第45項。第31項から第44項の何れか1つのブロックにおいて、ブロックの上面を形成する上部、ブロックの外周面を形成する中間部、及びブロックの底面を形成する下部底部を備え、上部及び底部は、比較的高い圧縮強度の高性能コンクリートを含み、中間部は、比較的低い圧縮強度の低グレードコンクリートを含むブロック。
【0132】
第46項。第45項のブロックにおいて、上部及び底部が10MPa以上60MPa以下の圧縮強度を有する高性能コンクリートを含み、中間部が3MPa以上8MPa以下の圧縮強度を有する低グレードコンクリートを含むブロック。
【0133】
第47項。第45項のブロックにおいて、ブロックの上部、中間部、及び底部の1つ以上に配置される1つ以上の補強層をさらに有するブロック。
【0134】
第48項。第47項のブロックにおいて、1つ以上の補強層が構造用鋼であるブロック。
【0135】
第49項。エネルギー貯蔵及び発電システムでブロックの昇降に使用されるグラバーであって、
本体を有し、本体は、
クレーンによって操作可能なケーブルに連結可能なクロスメンバーと、
クロスメンバー本体から先端へ延びる1組のアームと、
1組のアームの各々の先端部に配置された1つ以上のレバーと、を備え、
1つ以上のレバーは、グラバーをブロックの下端を越えて下降可能にする格納位置と、1つ以上のレバーをブロックの下端に係合させてブロックに連結可能にする伸張位置との間で作動可能であるグラバー。
【0136】
第50項。第49項のグラバーにおいて、さらに、1組のアームのそれぞれに取り付けられた円錐状の先端であって、その先端が基部開口の中へ挿入される間にブロックの基部開口に対するアームの自己芯出しを可能にする先端を備え、円錐状部分はグラバーがブロックに連結されるときにブロックの底面を越えて延びるように構成されているグラバー。
【0137】
第51項。第50項のグラバーにおいて、1以上のレバーが、先端に近接した位置で各アームの先端の周りに周方向に配置された複数のレバーであるグラバー。
【0138】
第52項。第49項から第51項の何れか1つのグラバーにおいて、1組のアームの各々が管状であるグラバー。
【0139】
第53項。第49項から第52項の何れか1つのグラバーにおいて、1つ以上のレバーが格納位置においてアームの中心軸に平行に方向付けられるグラバー。
【0140】
第54項。第49項から第53項の何れか1つのグラバーにおいて、1つ以上のレバーが伸張位置においてアームに対して外方向へ回転することによりアームの側面を超えて突出するグラバー。
【0141】
第55項。第54項のグラバーにおいて、伸張位置において1つ以上のレバーが外側へ回転し、アームの中心軸に対して鋭角に延びるグラバー。
【0142】
第56項。第55項のグラバーにおいて、さらに、1つ以上のレバーとスプリングに取り付けられる1つ以上のケーブルを有するスプリング装荷ケーブルアセンブリを備え、スプリングの伸張により1つ以上のレバーが外側へ回転して伸張位置になり、スプリングの収縮により1つ以上のレバーが内側へ回転させて格納位置になるグラバー。
【0143】
第57項。第49項から第56項の何れか1つのグラバーにおいて、さらに、1つ以上のレバーをブロックに連結する前にブロックに対する1つ以上のレバーの位置を検知する動作が可能な超音波センサを有するグラバー。
【0144】
第58項。第49項から第58項の何れか1つのグラバーにおいて、さらに、空気供給源と流体的に連通する1組のアームの少なくとも1つの先端部に1つ以上の開口を有し、空気供給源は、アームがブロックに近付くときに1つ以上の開口を介してブロックの上面に空気を供給することによって本体がブロックに係合する前にブロックの上面から塵や屑を除去する操作が可能であるグラバー。
【0145】
第59項。第49項から第58項の何れか1つのグラバーにおいて、
さらに、1つ以上のレバーに近接し且つ空気供給源と流体的に連通する1つ以上の開口を有し、空気供給源は、レバーが伸長位置にあるときに、1つ以上の開口を介して空気をレバーと1組のアームとの間の供給に送出することよって前記空間の屑を除去し、1つ以上のレバーを格納位置と伸長位置との間で妨げられずに移動可能にする操作が可能であるグラバー。
【0146】
第60項。第49項から第59項の何れか1つのグラバーにおいて、さらに、クロスメンバーに回転可能に取り付けられる基部コネクタに固定される第1のディスクと、クロスメンバーに回転可能に取り付けられ且つ電動機によって回転可能な第2のディスクと、第1及び第2のディスクの周りに巻き付けて両ディスクを相互に連結するチェーンとを有するトランスミッションアセンブリを有するグラバー。
【0147】
第61項。第60項のグラバーにおいて、トランスミッションアセンブリが、ブロックから連結解除されたときに本体を回転させるように構成され、基部コネクタに対する本体の向きを変化させるように電動機が第2のディスクを第1のディスクに対して回転させるグラバー。
【0148】
第62項。第60項のグラバーにおいて、トランスミッションアセンブリが、基部コネクタに動作可能に連結されたクレーンの少なくとも一部の回転に対抗するようにブロックに連結されたときに本体を回転させるように構成され、電動機は、基部コネクタに対する本体の向きを変化させるように第2のディスクを第1のディスクに対して回転させることにより、本体に連結されたブロックがその向きを維持してモーメントをゼロにするように構成されているグラバー。
【0149】
第63項。エネルギー貯蔵及び発電システムのブロックを昇降させるためにグラバーを操作する方法であって、
ブロックに対してグラバーを下降させることと、
1組のアームの先端が1組の孔から突出するまでブロックの1組の孔にグラバーの1組のアームを挿入することと、
1組のアームに移動可能に連結された1つ以上のレバーを格納位置から伸張位置に作動させることと、
ブロックをグラバーで上昇可能にするために、1組の孔の凹状の先端面を伸張位置の1つ以上のレバーと係合させることと、
を有する方法。
【0150】
第64項。第63項の方法において、さらに、1つ以上のレバーを伸張位置に動作させる前に、ブロックに対する1組のアームの1つ以上のレバーの位置を超音波センサで検知することを含む方法。
【0151】
第65項。第63項または第64項の何れか1つの方法において、1組の孔に1組のアームを挿入することが、1組の孔に1組のアームの円錐形の端部を挿入することを含み、1組の孔に1組のアームを挿入する間に円錐形の端部が1組の孔に対して1組のアームを自己芯出しする方法。
【0152】
第66項。第63項から第65項の何れか1つの方法において、さらに、ブロックの基端面を綺麗にするために、円錐状の端部からある量の空気を1つ以上のブロックの基端面に供給することを含む方法。
【0153】
第67項。第63項から第66項の何れか1つの方法において、さらに、レバーが伸長位置にあるときに、1つ以上のレバーと1組のアームとの間の空間にある量の空気を供給することにより前記空間の屑を取り除き、1つ以上のレバーを伸長位置と格納位置の一方または両方へ移動可能にすることを含むグラバー。
【0154】
本発明の特定の実施形態を説明してきたが、これらの実施形態は例示にすぎず、本開示の範囲を制限することを意図するものではない。実際、本明細書に記載された新規な方法とシステムは、他の種々の形態で具体化してもよい。さらに、本明細書に記載されたシステムと方法において、種々の省略、置換及び変更を、本開示の趣旨から逸脱することなく行うことができる。添付の特許請求の範囲及びそれらの均等物は、本開示の範囲及び趣旨に含まれる形態または変形例を保護することを意図する。したがって、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲を参照することによってのみ定められる。
【0155】
特定の態様、実施形態、または例に関して説明された特徴、材料、特性またはグループは、それと矛盾する場合を除き、本明細書のこの部分または他の部分に記載された他のどのような態様、実施形態または例において適用できると理解されるべきである。本明細書(添付の特許請求の範囲、要約書及び図面を含む)に開示された特徴のすべて、及び/またはそのように開示されたすべての方法またはプロセスのすべてのステップは、そのような特徴及び/またはステップの少なくとも一部が相互に排他的である組み合わせを除き、どのような組み合わせで組み合わせてもよい。保護は、前述のどの実施形態の詳細にも限定されない。保護は、本明細書(添付の特許請求の範囲、要約書及び図面を含む)に開示された特徴の任意の新規な1つまたは任意の新規な組み合わせ、またはそのように開示された任意の方法またはプロセスのステップの任意の新規な1つまたは任意の新規な組み合わせにまで及ぶ。
【0156】
さらに、本開示において別々の実施形態に記載されている特定の特徴は、組み合わせて単一の実施形態で実施してもよい。逆に、単一の実施形態に記載されている種々の特徴を、複数の実施形態において別々に、または任意の好適なサブコンビネーションの形で実施してもよい。さらに、ある特徴について、特許請求の範囲に記載された組み合わせの1つ以上の特徴は、特定の組み合わせで作用するように説明されているが、ある場合には、その組み合わせから取り出してもよく、その組み合わせをサブコンビネーションまたはサブコンビネーションの変形例としてもよい。
【0157】
さらに、動作が図面に描かれているかまたは明細書に特定の順序で記載されていることがあるが、そのような動作は、望ましい結果を達成するために、示された特定の順序で実行もしくは順次実行しなくてもよく、またはすべての動作を実行しなくてもよい。描かれていないかまたは記載されていない他の操作を、例示的な方法及びプロセスに組み込んでもよい。例えば、1つ以上の追加の動作を、記載されたいずれかの動作の前、後、同時、または間に実行することができる。さらに、その動作を、他の実施形態において、位置を変えたり順序を変えたりしてもよい。当業者であれば、いくつかの実施形態において、図示されたプロセス及び/または開示されたプロセスで行われる実際のステップが、図示されたものと異なることがあることを理解するであろう。実施形態によっては、前述したステップのうちの特定のものを削除してもよく、他の特定のものを追加してもよい。さらに、前述した特定の実施形態の特徴及び特性を、追加の実施形態を形作るために異なる方法で組み合わせてもよく、それらのすべては本開示の範囲に含まれる。また、前述の実施形態における種々のシステム構成要素を分離することは、すべての実施形態においてそのような分離が必要であると理解されるべきでなく、記載された構成要素とシステムは、ほとんどの場合は単一の製品に統合してもよく、または複数の製品に取り入れてもよいことが理解されるべきである。
【0158】
本明細書では、開示の目的のために、特定の態様、効果、及び新規な特徴が説明されている。必ずしもそのような効果のすべてが、ある任意の実施形態で達成される必要はない。したがって、例えば、当業者には、本明細書で教示または示唆される他の効果を必ずしも達成せず、本明細書で教示される1つの効果または一群の効果を達成するように、本開示を具体化または実施できることが認識されるであろう。
【0159】
「できる」、「できた」、「かもしれない」、または「でもよい」のような条件としての用語は、特に別段の記載がない限り、または使用される文脈内で理解されない限り、一般には、特定の実施形態が特定の特徴、要素、及び/またはステップを含む一方で、他の実施形態が特定の特徴、要素、及び/またはステップを含まないことを伝えることを意図している。したがって、そのような条件としての用語は、一般に、特徴、要素、及び/またはステップが、1つ以上の実施形態に形はどうあれ必要とされること、またはこれらの特徴、要素、及び/またはステップが特定の任意の実施形態において含まれるか実行されるべきかをユーザ入力や指示の有無に関係なく決定するためのロジックが1つ以上の実施形態に必然的に含まれることを暗示することは意図していない。
【0160】
「X、Y及びZの少なくとも1つ」という句などの接続用語は、特に明記されていない限り、項目、用語などがX、Y及びZのいずれかでよいことを伝えるために使用されていると理解される。したがって、そのような接続用語は、特定の実施形態がXの少なくとも1つ、Yの少なくとも1つ、及びZの少なくとも1つの存在を必要とすると示すことを意図するものではない。
【0161】
本明細書で使用される「ほぼ」、「約」、「一般に」、及び「実質的に」などの用語のような度合いの用語は、所望の機能を実行するかまたは所望の結果を達成する、記載された値、量、または特性に近い、値、量、または特性を表す。例えば、「ほぼ」、「約」、「一般に」、及び「実質的に」という用語は、記載された量の10%未満、5%未満、1%未満、0.1%未満、及び0.01%未満の範囲内の量を表していてよい。他の例として、特定の実施形態において、「ほぼ平行」及び「実質的に平行」という用語は、15度、10度、5度、3度、1度、または0.1度以下の、正確には平行ではない値、量、または特性を示す。
【0162】
本開示の範囲は、本明細書のこの部分または他の部分の好ましい実施形態の特定の開示によって限定されることを意図するものではなく、本明細書のこの部分または他の部分で示される、または将来的に示される特許請求の範囲によって定められる。特許請求の範囲の文言は、特許請求の範囲で用いられた用語に基づいて広く解釈されるべきであって、本出願の明細書または係属中の非独占的であると解釈される実施例に限定されるものではない。