(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-15
(45)【発行日】2024-02-26
(54)【発明の名称】ワイヤレス電力伝送のための大面積電力送電器
(51)【国際特許分類】
H02J 50/70 20160101AFI20240216BHJP
H02J 50/12 20160101ALI20240216BHJP
H02J 50/40 20160101ALI20240216BHJP
【FI】
H02J50/70
H02J50/12
H02J50/40
(21)【出願番号】P 2021510025
(86)(22)【出願日】2019-08-23
(86)【国際出願番号】 US2019047959
(87)【国際公開番号】W WO2020041736
(87)【国際公開日】2020-02-27
【審査請求日】2022-08-22
(32)【優先日】2018-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519129595
【氏名又は名称】イーサーダイン テクノロジーズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ETHERDYNE TECHNOLOGIES INC
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】モファット, ロバート エー.
【審査官】大濱 伸也
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-143061(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0109151(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0155737(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0087477(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0307347(US,A1)
【文献】国際公開第2017/187611(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/00-50/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤレス電力伝送のための方法であって、
ユーザによって変更可能なフォームファクタを有する可変フォームファクタ送電器を、所定のワイヤレス電力伝送エリアの周りに配置され
ており、それぞれの送電器ループをそれぞれ形成する少なくとも複数の交差結合セグメント
に適合させること
であって、前記それぞれの送電器ループは、複数のワイヤ・セグメントを介して互いに直列に接続された複数のキャパシタを有する分散キャパシタの列から形成され、前記複数のキャパシタのそれぞれは、所定の容量を有し、前記複数のワイヤ・セグメントのそれぞれは、所定のセグメント長と単位長さ当たりの所定のインダクタンスとを有し、前記複数の交差結合セグメントのうちの隣接するものは、高周波(RF)電源によって一緒に駆動された場合に互いに反対方向を有するそれぞれの磁界を誘導する、ことと、
高周波(RF)電源から、
前記所定の容量と単位長さ当たりの前記所定のインダクタンスとに少なくとも依存する特性周波数に少なくとも部分的に基づいて、前記可変フォームファクタ送電器の近傍電磁界を介して、前記所定のワイヤレス電力伝送エリアにわたってRF電力を送電することと、を有し、
前記複数の交差結合セグメントの隣接する交差結合セグメントによって誘導された互いに反対方向の磁界に基づいて、前記可変フォームファクタ送電器の遠方電磁界に起因する前記ワイヤレス電力伝送の放射損失が低減される、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記複数の交差結合セグメントのそれぞれは、複数の側部を有し、
前記隣接する交差結合セグメントの隣接する側部は、互いに反対の回転方向に電流を伝導するように構成される、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、
前記複数の交差結合セグメントの少なくとも一部に前記RF電源として複数の位相同期増幅器を配置することをさらに有する、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、
前記複数の交差結合セグメントは、エンドレス・ノットのパターンに従って前記所定のワイヤレス電力伝送エリアの周りに配置される、方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、
前記所定のワイヤレス電力伝送エリアは、前記可変フォームファクタ送電器の特性周波数に対応する波長を超える寸法を有する、方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、
分散キャパシタの列を使用して前記複数の交差結合セグメントのうちの1つ以上を形成することと、
少なくとも複数のワイヤ・セグメントを介して複数のキャパシタを分散キャパシタの前記列になるように直列に接続することと、をさらに有し、
前記複数のキャパシタのそれぞれは、所定の容量を有し、
前記複数のワイヤ・セグメントのそれぞれは、所定のセグメント長と、単位長さ当たりの所定のインダクタンスとを有し、
前記特性周波数は、少なくとも前記所定の容量及び単位長さ当たりの前記所定のインダクタンスに依存する、方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、
前記所定のワイヤレス電力伝送エリア内に複数の受電器デバイスを配置することをさらに有し、
前記RF電源から前記可変フォームファクタ送電器を介して送電された前記RF電力の一部は、前記複数の受電器デバイスによって受電され、
前記特性周波数は、前記複数の受電器デバイスの個数又は配置から実質的に独立している、方法。
【請求項8】
ワイヤレス電力伝送のための送電器であって、
ユーザによって変更可能なフォームファクタを有する可変フォームファクタ送電器であって、それぞれの送電器ループをそれぞれ形成する複数の交差結合セグメントが、所定のワイヤレス電力伝送エリアの周りに配置され
、前記それぞれの送電器ループは、複数のワイヤ・セグメントを介して互いに直列に接続された複数のキャパシタを有する分散キャパシタの列から形成され、前記複数のキャパシタのそれぞれは、所定の容量を有し、前記複数のワイヤ・セグメントのそれぞれは、所定のセグメント長と単位長さ当たりの所定のインダクタンスとを有し、前記複数の交差結合セグメントのうちの隣接するものは、高周波(RF)電源によって一緒に駆動された場合に互いに反対方向を有するそれぞれの磁界を誘導する、可変フォームファクタ送電器を備え、
前記複数の交差結合セグメントは、
高周波(RF)電源から、特性周波数に少なくとも部分的に基づいて、前記送電器の近傍電磁界を介して、前記所定のワイヤレス電力伝送エリアにわたってRF電力を送電することと、
前記複数の交差結合セグメントの隣接する交差結合セグメントによって誘導された互いに反対方向の磁界に基づいて、前記送電器の遠方電磁界に起因する前記ワイヤレス電力伝送の放射損失を低減することと、を行うように構成される、送電器。
【請求項9】
請求項8に記載の送電器であって、
前記複数の交差結合セグメントのそれぞれは、複数の側部を有し、
前記隣接する交差結合セグメントの隣接する側部は、互いに反対の回転方向に電流を伝導するように構成される、送電器。
【請求項10】
請求項8に記載の送電器であって、前記RF電源は、
前記複数の交差結合セグメントの少なくとも一部に配置された複数の位相同期増幅器を備える、送電器。
【請求項11】
請求項8に記載の送電器であって、
前記複数の交差結合セグメントは、エンドレス・ノットのパターンに従って前記所定のワイヤレス電力伝送エリアの周りに配置される、送電器。
【請求項12】
請求項8に記載の送電器であって、
前記送電器は、可変フォームファクタ送電器であり、
前記所定のワイヤレス電力伝送エリアは、前記可変フォームファクタ送電器の特性周波数に対応する波長を超える寸法を有する、送電器。
【請求項13】
請求項8に記載の送電器であって、前記複数の交差結合セグメントのうちの1つ以上は、
所定の容量をそれぞれが有する複数のキャパシタと、
所定のセグメント長と、単位長さ当たりの所定のインダクタンスとをそれぞれが有する複数のワイヤ・セグメントと、を備え、
前記複数のキャパシタは、少なくとも前記複数のワイヤ・セグメントを介して分散キャパシタの列になるように直列に接続されており、
前記特性周波数は、少なくとも前記所定の容量及び単位長さ当たりの前記所定のインダクタンスに依存する、送電器。
【請求項14】
ワイヤレス電力伝送のためのシステムであって、
ユーザによって変更可能なフォームファクタを有しており、所定のワイヤレス電力伝送エリアの周りに配置された複数の交差結合セグメント
を形成するように適合された可変フォームファクタ送電器であって、それぞれの送電器ループが、複数のワイヤ・セグメントを介して互いに直列に接続された複数のキャパシタを有する分散キャパシタの列から形成され、前記複数のキャパシタのそれぞれは、所定の容量を有し、前記複数のワイヤ・セグメントのそれぞれは、所定のセグメント長と単位長さ当たりの所定のインダクタンスとを有する、可変フォームファクタ送電器と、
前記複数の交差結合セグメントに結合された高周波(RF)電源
であって、前記複数の交差結合セグメントのうちの隣接するものは、前記RF電源によって一緒に駆動された場合に互いに反対方向を有するそれぞれの磁界を誘導する、RF電源と、を備え、
前記複数の交差結合セグメントは、
前記RF電源から、
前記所定の容量と単位長さ当たりの前記所定のインダクタンスとに少なくとも依存する特性周波数に少なくとも部分的に基づいて、前記複数の交差結合セグメントの近傍電磁界を介して、前記所定のワイヤレス電力伝送エリアにわたってRF電力を送電することと、
前記複数の交差結合セグメントの隣接する交差結合セグメントによって誘導された互いに反対方向の磁界に基づいて、前記複数の交差結合セグメントの遠方電磁界に起因する前記ワイヤレス電力伝送の放射損失を低減することと、を行うように構成される、システム。
【請求項15】
請求項14に記載のシステムであって、
前記複数の交差結合セグメントのそれぞれは、複数の側部を有し、
前記隣接する交差結合セグメントの隣接する側部は、互いに反対の回転方向に電流を伝導するように構成される、システム。
【請求項16】
請求項14に記載のシステムであって、前記RF電源は、
前記複数の交差結合セグメントの少なくとも一部に配置された複数の位相同期増幅器を備える、システム。
【請求項17】
請求項14に記載のシステムであって、
前記複数の交差結合セグメントは、エンドレス・ノットのパターンに従って前記所定のワイヤレス電力伝送エリアの周りに配置される、システム。
【請求項18】
請求項14に記載のシステムであって、
前記所定のワイヤレス電力伝送エリアは、前記複数の交差結合セグメントの特性周波数に対応する波長を超える寸法を有する、システム。
【請求項19】
請求項14に記載のシステムであって、前記複数の交差結合セグメントのうちの1つ以上は、
所定の容量をそれぞれが有する複数のキャパシタと、
所定のセグメント長と、単位長さ当たりの所定のインダクタンスとをそれぞれが有する複数のワイヤ・セグメントと、を備え、
前記複数のキャパシタは、少なくとも前記複数のワイヤ・セグメントを介して分散キャパシタの列になるように直列に接続されており、
前記特性周波数は、少なくとも前記所定の容量及び単位長さ当たりの前記所定のインダクタンスに依存する、システム。
【請求項20】
請求項14に記載のシステムであって、
前記所定のワイヤレス電力伝送エリア内に配置された複数の受電器デバイスをさらに備え、
前記RF電源から前記複数の交差結合セグメントを介して送電された前記RF電力の一部は、前記複数の受電器デバイスによって受電され、
前記特性周波数は、前記複数の受電器デバイスの個数又は配置から実質的に独立している、システム。
【請求項21】
ワイヤレス電力伝送のための方法であって、
所定のワイヤレス電力伝送エリアの周りに配置された少なくとも交差結合セグメントの第1集合及び第2集合に
、ユーザによって変更可能なそれぞれのフォームファクタを有する少なくとも第1可変フォームファクタ送電器及び第2可変フォームファクタ送電器をそれぞれ適合させることであって、交差結合セグメントの前記第1集合は、少なくとも第1端子及び第2端子を有し、交差結合セグメントの前記第2集合は、少なくとも第1端子及び第2端子を有
し、前記第1集合及び前記第2集合の前記交差結合セグメントのそれぞれは、分散キャパシタのそれぞれの第1列及び第2列からそれぞれの送電器ループを形成し、分散キャパシタの前記それぞれの第1列及び第2列は、複数のワイヤ・セグメントを介して互いに直列に接続された複数のキャパシタを含み、前記複数のキャパシタのそれぞれは、所定の容量を有し、前記複数のワイヤ・セグメントのそれぞれは、所定のセグメント長と単位長さ当たりの所定のインダクタンスとを有する、ことと、
交差結合セグメントの前記第1集合の前記第1端子及び前記第2端子に電気的に結合された第1高周波(RF)電源から、及び交差結合セグメントの前記第2集合の前記第1端子及び前記第2端子に電気的に結合された第2RF電源から、
前記第1可変フォームファクタ送電器及び前記第2可変フォームファクタ送電器の特性周波数に基づいて、交差結合セグメントの前記第1集合及び前記第2集合のそれぞれにおいて、隣接する交差結合セグメントが、前記それぞれの第1RF電源及び第2RF電源によって一緒に駆動された場合に互いに反対方向を有するそれぞれの磁界を誘導するように、前記第1可変フォームファクタ送電器及び前記第2可変フォームファクタ送電器の近傍電磁界を介して前記所定のワイヤレス電力伝送エリアにわたってRF電力を送信することであって、前記第1RF電源及び前記第2RF電源は、第1駆動信号及び第2駆動信号によってそれぞれ駆動される、ことと、を有する方法。
【請求項22】
請求項21に記載の方法であって、
交差結合セグメントの前記第1集合及び前記第2集合は、交差結合セグメントの前記第1集合と前記第2集合との間の誘導結合を最小化するように、予め選択された空間オフセットだけ互いに対して空間的にオフセットされ、
前記第1駆動信号及び第2駆動信号は、少なくとも所定の最小レベルのワイヤレス電力が前記所定のワイヤレス電力伝送エリア内の任意の位置で利用可能であることを保証する予め選択された位相シフトだけ互いに位相がずれている、方法。
【請求項23】
請求項22に記載の方法であって、
交差結合セグメントの前記第1集合の各交差結合セグメントは、複数の側部を有し、
交差結合セグメントの前記第1集合
の隣接する交差結合セグメントの隣接する側部は、互いに反対の回転方向に電流を伝導するように構成される、方法。
【請求項24】
請求項23に記載の方法であって、
交差結合セグメントの前記第2集合の各交差結合セグメントは、複数の側部を有し、
交差結合セグメントの前記第2集合
の隣接する交差結合セグメントの隣接する側部は、互いに反対の回転方向に電流を伝導するように構成される、方法。
【請求項25】
請求項22に記載の方法であって、
前記予め選択された空間オフセットは、交差結合セグメントの前記第1集合のセグメントの約半分の幅に等しい、方法。
【請求項26】
請求項22に記載の方法であって、前記予め選択された位相シフトは、約90度である、方法。
【請求項27】
請求項21に記載の方法であって、
前記所定のワイヤレス電力伝送エリア内に複数の受電器デバイスを配置することをさらに有し、
前記第1RF電源及び前記第2RF電源から前記第1可変フォームファクタ送電器及び前記第2可変フォームファクタ送電器をそれぞれ介して送電された前記RF電力の一部は、前記複数の受電器デバイスによって受電され、
前記第1可変フォームファクタ送電器及び前記第2可変フォームファクタ送電器の特性周波数は、前記所定のワイヤレス電力伝送エリア内の前記複数の受電器デバイスの個数又は配置から実質的に独立している、方法。
【請求項28】
ワイヤレス電力伝送のためのシステムであって、
所定のワイヤレス電力伝送エリアの周りに配置された交差結合セグメントの第1集合であって、交差結合セグメントの前記第1集合は、少なくとも第1端子及び第2端子を有する、交差結合セグメントの前記第1集合と、
所定のワイヤレス電力伝送エリアの周りに配置された交差結合セグメントの第2集合であって、交差結合セグメントの前記第2集合は、少なくとも第1端子及び第2端子を有
し、前記第1集合及び前記第2集合の前記交差結合セグメントのそれぞれは、分散キャパシタのそれぞれの第1列及び第2列を形成するそれぞれの送電器ループを形成し、分散キャパシタの前記それぞれの第1列及び第2列は、複数のワイヤ・セグメントを介して互いに直列に接続された複数のキャパシタを含み、前記複数のキャパシタのそれぞれは、所定の容量を有し、前記複数のワイヤ・セグメントのそれぞれは、所定のセグメント長と単位長さ当たりの所定のインダクタンスとを有する、交差結合セグメントの前記第2集合と、
交差結合セグメントの前記第1集合の前記第1端子及び前記第2端子に電気的に結合された第1高周波(RF)電源であって、交差結合セグメントの前記第1集合に電気的に結合された前記第1RF電源は、特性周波数で動作する第1可変フォームファクタ送電器を有する、第1RF電源と、
交差結合セグメントの前記第2集合の前記第1端子及び前記第2端子に電気的に結合された第2RF電源であって、交差結合セグメントの前記第2集合に電気的に結合された前記第2RF電源は、特性周波数で動作する第2可変フォームファクタ送電器を有する、第2RF電源と、を備え、
交差結合セグメントの前記第1集合は、
前記第1RF電源から、
交差結合セグメントの前記第1集合において、隣接する交差結合セグメントが、前記第1RF電源によって駆動された場合に互いに反対方向を有するそれぞれの磁界を誘導するように、交差結合セグメントの前記第1集合の近傍電磁界を介して前記所定のワイヤレス電力伝送エリアにわたってRF電力を送電するように構成され、
交差結合セグメントの前記第2集合は、
前記第2RF電源から、
交差結合セグメントの前記第2集合において、隣接する交差結合セグメントが、前記第2RF電源によって駆動された場合に互いに反対方向を有するそれぞれの磁界を誘導するように、交差結合セグメントの前記第2集合の近傍電磁界を介して前記所定のワイヤレス電力伝送エリアにわたってRF電力を送電するように構成され、
前記第1RF電源及び前記第2RF電源は、第1駆動信号及び第2駆動信号によってそれぞれ駆動される、システム。
【請求項29】
請求項28に記載のシステムであって、
交差結合セグメントの前記第1集合及び前記第2集合は、交差結合セグメントの前記第1集合と前記第2集合との間の誘導結合を最小化するように、予め選択された空間オフセットだけ互いに対して空間的にオフセットされ、
前記第1駆動信号及び前記第2駆動信号は、少なくとも所定の最小レベルのワイヤレス電力が前記所定のワイヤレス電力伝送エリア内の任意の位置で利用可能であることを保証する予め選択された位相シフトだけ互いに位相がずれている、システム。
【請求項30】
請求項29に記載のシステムであって、
前記第1集合
の複数の交差結合セグメントのそれぞれは、複数の側部を有し、
前記第1集合
の隣接する交差結合セグメントの隣接する側部は、互いに反対の回転方向に電流を伝導するように構成される、システム。
【請求項31】
請求項30に記載のシステムであって、
前記第2集合の前記複数の交差結合セグメントのそれぞれは、複数の側部を有し、
前記第2集合の前記隣接する交差結合セグメントの隣接する側部は、互いに反対の回転方向に電流を伝導するように構成される、システム。
【請求項32】
請求項28に記載のシステムであって、前記第1集合の前記交差結合セグメントのうちの1つ以上は、
所定の容量をそれぞれが有する複数のキャパシタと、
所定のセグメント長と、単位長さ当たりの所定のインダクタンスとをそれぞれが有する複数のワイヤ・セグメントと、を備え、
前記複数のキャパシタは、少なくとも前記複数のワイヤ・セグメントを介して分散キャパシタの列になるように直列に接続されており、
前記特性周波数は、少なくとも前記所定の容量及び単位長さ当たりの前記所定のインダクタンスに依存する、システム。
【請求項33】
請求項32に記載のシステムであって、
前記所定のワイヤレス電力伝送エリア内に配置された複数の受電器デバイスをさらに備え、
前記第1RF電源及び前記第2RF電源から交差結合セグメントの前記第1集合及び前記第2集合をそれぞれ介して送電された前記RF電力の一部は、前記複数の受電器デバイスによって受電され、
前記特性周波数は、前記複数の受電器デバイスの個数又は配置から実質的に独立している、システム。
【請求項34】
請求項29に記載のシステムであって、
前記予め選択された空間オフセットは、交差結合セグメントの前記第1集合のセグメントの半分の幅に等しい、システム。
【請求項35】
請求項34に記載のシステムであって、前記予め選択された位相シフトは、90度である、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、「ワイヤレス電力伝送のための大面積電力送電器」という名称の2018年8月24日に出願された米国特許出願第16/111,889号、及び「ワイヤレス電力伝送のための大面積電力送電器」という名称の2018年2月4日に出願された米国特許出願第16/266,886号の優先権及び出願日の利益を主張するPCT出願であり、これらは両方とも、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
ワイヤレス電力伝送とは、電源を電気負荷に接続するために人工の導体を使用することなく、電源から電気負荷に電気エネルギーを伝送することである。ワイヤレス電力伝送システムは、送電器と1つ以上の受電器デバイスとで構成される。送電器は電源に接続され、電力を、時間的に変化する電磁界に変換する。1つ以上の受電器デバイスは電磁界を介して電力を受電し、受電した電力を、電気負荷によって利用される電流に変換して戻す。
【発明の概要】
【0003】
総括的に、1つの側面では、本発明は、ワイヤレス電力伝送のための方法であって、所定のワイヤレス電力伝送エリアの周りに配置された少なくとも複数の交差結合セグメントに可変フォームファクタ送電器を適合させることと、RF電源から、前記特性周波数に少なくとも部分的に基づいて、前記可変フォームファクタ送電器の近傍電磁界を介して、前記所定のワイヤレス電力伝送エリアにわたってRF電力を送電することと、を有し、前記複数の交差結合セグメントの隣接する交差結合セグメントによって誘導された互いに反対方向の磁界に基づいて、前記可変フォームファクタ送電器の遠方電磁界に起因する前記ワイヤレス電力伝送の放射損失が低減される、方法に関する。
【0004】
別の側面では、前記複数の交差結合セグメントのそれぞれは、複数の側部を有し、前記隣接する交差結合セグメントの隣接する側部は、互いに反対の回転方向に電流を伝導するように構成される。
【0005】
別の側面では、前記方法は、前記複数の交差結合セグメントの少なくとも一部に前記RF電源として複数の位相同期増幅器を配置することをさらに有する。
【0006】
別の側面では、前記複数の交差結合セグメントは、エンドレス・ノットのパターンに従って前記所定のワイヤレス電力伝送エリアの周りに配置される。
【0007】
別の側面では、前記所定のワイヤレス電力伝送エリアは、前記可変フォームファクタ送電器の特性周波数に対応する波長を超える寸法を有する。
【0008】
別の側面では、前記方法は、分散キャパシタの列を使用して前記複数の交差結合セグメントのうちの1つ以上を形成することと、少なくとも複数のワイヤ・セグメントを介して複数のキャパシタを分散キャパシタの前記列になるように直列に接続することと、をさらに有し、前記複数のキャパシタのそれぞれは、所定の容量を有し、前記複数のワイヤ・セグメントのそれぞれは、所定のセグメント長と、単位長さ当たりの所定のインダクタンスとを有し、前記特性周波数は、少なくとも前記所定の容量及び単位長さ当たりの前記所定のインダクタンスに依存する。
【0009】
別の側面では、前記方法は、前記所定のワイヤレス電力伝送エリア内に複数の受電器デバイスを配置することをさらに有し、前記RF電源から前記可変フォームファクタ送電器を介して送電された前記RF電力の一部は、前記複数の受電器デバイスによって受電され、前記特性周波数は、前記複数の受電器デバイスの個数又は配置から実質的に独立している。
【0010】
別の側面では、ワイヤレス電力伝送のための送電器は、所定のワイヤレス電力伝送エリアの周りに配置された複数の交差結合セグメントを備え、RF電源から、前記特性周波数に少なくとも部分的に基づいて、前記送電器の近傍電磁界を介して、前記所定のワイヤレス電力伝送エリアにわたってRF電力を送電することと、前記複数の交差結合セグメントの隣接する交差結合セグメントによって誘導された互いに反対方向の磁界に基づいて、前記送電器の遠方電磁界に起因する前記ワイヤレス電力伝送の放射損失を低減することと、を行うように構成される。
【0011】
前記送電器の別の側面では、前記複数の交差結合セグメントのそれぞれは、複数の側部を有し、前記隣接する交差結合セグメントの隣接する側部は、互いに反対の回転方向に電流を伝導するように構成される。
【0012】
前記送電器の別の側面では、前記RF電源は、前記複数の交差結合セグメントの少なくとも一部に配置された複数の位相同期増幅器を備える。
【0013】
前記送電器の別の側面では、前記複数の交差結合セグメントは、エンドレス・ノットのパターンに従って前記所定のワイヤレス電力伝送エリアの周りに配置される。
【0014】
前記送電器の別の側面では、前記送電器は、可変フォームファクタ送電器であり、
前記所定のワイヤレス電力伝送エリアは、前記可変フォームファクタ送電器の特性周波数に対応する波長を超える寸法を有する。
【0015】
前記送電器の別の側面では、前記複数の交差結合セグメントのうちの1つ以上は、複数のキャパシタと、複数のワイヤ・セグメントと、を備える。前記キャパシタのそれぞれは、所定の容量を有する。前記ワイヤ・セグメントのそれぞれは、所定のセグメント長と、単位長さ当たりの所定のインダクタンスとを有する。前記複数のキャパシタは、少なくとも前記複数のワイヤ・セグメントを介して分散キャパシタの列になるように直列に接続されている。前記特性周波数は、少なくとも前記所定の容量及び単位長さ当たりの前記所定のインダクタンスに依存する。
【0016】
別の側面では、ワイヤレス電力伝送のためのシステムは、所定のワイヤレス電力伝送エリアの周りに配置された複数の交差結合セグメントと、前記複数の交差結合セグメントに結合されたRF電源と、を備える。前記複数の交差結合セグメントは、前記RF電源から、前記特性周波数に少なくとも部分的に基づいて、前記複数の交差結合セグメントの近傍電磁界を介して、前記所定のワイヤレス電力伝送エリアにわたってRF電力を送電することと、前記複数の交差結合セグメントの隣接する交差結合セグメントによって誘導された互いに反対方向の磁界に基づいて、前記複数の交差結合セグメントの遠方電磁界に起因する前記ワイヤレス電力伝送の放射損失を低減することと、を行うように構成される。
【0017】
ワイヤレス電力伝送のための前記システムの別の側面では、前記複数の交差結合セグメントのそれぞれは、複数の側部を有する。前記隣接する交差結合セグメントの隣接する側部は、互いに反対の回転方向に電流を伝導するように構成される。
【0018】
ワイヤレス電力伝送のための前記システムの別の側面では、前記RF電源は、前記複数の交差結合セグメントの少なくとも一部に配置された複数の位相同期増幅器を備える。
【0019】
ワイヤレス電力伝送のための前記システムの別の側面では、前記複数の交差結合セグメントは、エンドレス・ノットのパターンに従って前記所定のワイヤレス電力伝送エリアの周りに配置される。
【0020】
ワイヤレス電力伝送のための前記システムの別の側面では、前記所定のワイヤレス電力伝送エリアは、前記複数の交差結合セグメントの特性周波数に対応する波長を超える寸法を有する。
【0021】
ワイヤレス電力伝送のための前記システムの別の側面では、前記複数の交差結合セグメントのうちの1つ以上は、複数のキャパシタと、複数のワイヤ・セグメントと、を備える。各キャパシタは、所定の容量を有する。複数のワイヤ・セグメントのそれぞれは、所定のセグメント長と、単位長さ当たりの所定のインダクタンスとを有する。
【0022】
ワイヤレス電力伝送のための前記システムの別の側面では、前記複数のキャパシタは、少なくとも前記複数のワイヤ・セグメントを介して分散キャパシタの列になるように直列に接続されている。前記特性周波数は、少なくとも前記所定の容量及び単位長さ当たりの前記所定のインダクタンスに依存する。
【0023】
ワイヤレス電力伝送のための前記システムの別の側面では、前記システムは、前記所定のワイヤレス電力伝送エリア内に配置された複数の受電器デバイスをさらに備える。前記RF電源から前記複数の交差結合セグメントを介して送電された前記RF電力の一部は、前記複数の受電器デバイスによって受電される。前記特性周波数は、前記複数の受電器デバイスの個数又は配置から実質的に独立している。
【0024】
別の側面では、ワイヤレス電力伝送のための方法は、
所定のワイヤレス電力伝送エリアの周りに配置された少なくとも交差結合セグメントの第1集合及び第2集合に少なくとも第1可変フォームファクタ送電器及び第2可変フォームファクタ送電器をそれぞれ適合させることであって、交差結合セグメントの前記第1集合は、少なくとも第1端子及び第2端子を有し、交差結合セグメントの前記第2集合は、少なくとも第1端子及び第2端子を有する、ことと、
交差結合セグメントの前記第1集合の前記第1端子及び前記第2端子に電気的に結合された第1RF電源から、及び交差結合セグメントの前記第2集合の前記第1端子及び前記第2端子に電気的に結合された第2RF電源から、前記第1可変フォームファクタ送電器及び前記第2可変フォームファクタ送電器の近傍電磁界を介して前記所定のワイヤレス電力伝送エリアにわたってRF電力を送信することであって、前記第1RF電源及び前記第2RF電源は、第1駆動信号及び第2駆動信号によってそれぞれ駆動される、ことと、を有する。
【0025】
ワイヤレス電力伝送のための前記方法の別の側面では、交差結合セグメントの前記第1集合及び前記第2集合は、交差結合セグメントの前記第1集合と前記第2集合との間の誘導結合を最小化するように、予め選択された空間オフセットだけ互いに対して空間的にオフセットされる。前記第1駆動信号及び第2駆動信号は、少なくとも所定の最小レベルのワイヤレス電力が前記所定のワイヤレス電力伝送エリア内の任意の位置で利用可能であることを保証する予め選択された位相シフトだけ互いに位相がずれている。
【0026】
ワイヤレス電力伝送のための前記方法の別の側面では、交差結合セグメントの前記第1集合の各交差結合セグメントは、複数の側部を有する。交差結合セグメントの前記第1集合の前記隣接する交差結合セグメントの隣接する側部は、互いに反対の回転方向に電流を伝導するように構成される。
【0027】
ワイヤレス電力伝送のための前記方法の別の側面では、交差結合セグメントの前記第2集合の各交差結合セグメントは、複数の側部を有する。交差結合セグメントの前記第2集合の前記隣接する交差結合セグメントの隣接する側部は、互いに反対の回転方向に電流を伝導するように構成される。
【0028】
ワイヤレス電力伝送のための前記方法の別の側面では、前記予め選択された空間オフセットは、交差結合セグメントの前記第1集合のセグメントの約半分の幅に等しい。
【0029】
ワイヤレス電力伝送のための前記方法の別の側面では、前記予め選択された位相シフトは、約90度である。
【0030】
ワイヤレス電力伝送のための前記方法の別の側面では、
前記所定のワイヤレス電力伝送エリア内に複数の受電器デバイスを配置することをさらに有し、
前記第1RF電源及び前記第2RF電源から前記第1可変フォームファクタ送電器及び前記第2可変フォームファクタ送電器をそれぞれ介して送電された前記RF電力の一部は、前記複数の受電器デバイスによって受電され、
前記第1可変フォームファクタ送電器及び前記第2可変フォームファクタ送電器の特性周波数は、前記所定のワイヤレス電力伝送エリア内の前記複数の受電器デバイスの個数又は配置から実質的に独立している、方法。
【0031】
別の側面では、ワイヤレス電力伝送のためのシステムは、
所定のワイヤレス電力伝送エリアの周りに配置された交差結合セグメントの第1集合であって、交差結合セグメントの前記第1集合は、少なくとも第1端子及び第2端子を有する、交差結合セグメントの前記第1集合と、
所定のワイヤレス電力伝送エリアの周りに配置された交差結合セグメントの第2集合であって、交差結合セグメントの前記第2集合は、少なくとも第1端子及び第2端子を有する、交差結合セグメントの前記第2集合と、
交差結合セグメントの前記第1集合の前記第1端子及び前記第2端子に電気的に結合された第1高周波(RF)電源であって、前記第1RF電源は、特性周波数で動作する第1可変フォームファクタ送電器を有する交差結合セグメントの前記第1集合に電気的に結合されている、第1RF電源と、
交差結合セグメントの前記第2集合の前記第1端子及び前記第2端子に電気的に結合された第2RF電源であって、前記第2RF電源は、特性周波数で動作する第2可変フォームファクタ送電器を有する交差結合セグメントの前記第2集合に電気的に結合されている、第2RF電源と、を備える。交差結合セグメントの前記第1集合は、
前記第1電源から、交差結合セグメントの前記第1集合の近傍電磁界を介して前記所定のワイヤレス電力伝送エリアにわたってRF電力を送電するように構成され、
交差結合セグメントの前記第2集合は、
前記第2電源から、交差結合セグメントの前記第2集合の近傍電磁界を介して前記所定のワイヤレス電力伝送エリアにわたってRF電力を送電するように構成され、
前記第1RF電源及び前記第2RF電源は、第1駆動信号及び第2駆動信号によってそれぞれ駆動される。
【0032】
ワイヤレス電力伝送のための前記システムの別の側面では、交差結合セグメントの前記第1集合及び前記第2集合は、交差結合セグメントの前記第1集合と前記第2集合との間の誘導結合を最小化するように、予め選択された空間オフセットだけ互いに対して空間的にオフセットされる。前記第1駆動信号及び前記第2駆動信号は、少なくとも所定の最小レベルのワイヤレス電力が前記所定のワイヤレス電力伝送エリア内の任意の位置で利用可能であることを保証する予め選択された位相シフトだけ互いに位相がずれている。
【0033】
ワイヤレス電力伝送のための前記方法の別の側面では、前記第1集合の前記複数の交差結合セグメントのそれぞれは、複数の側部を有し、前記第1集合の前記隣接する交差結合セグメントの隣接する側部は、互いに反対の回転方向に電流を伝導するように構成される。
【0034】
ワイヤレス電力伝送のための前記方法の別の側面では、前記第2集合の前記複数の交差結合セグメントのそれぞれは、複数の側部を有し、前記第2集合の前記隣接する交差結合セグメントの隣接する側部は、互いに反対の回転方向に電流を伝導するように構成される。
【0035】
ワイヤレス電力伝送のための前記システムの別の側面では、前記第1集合の前記交差結合セグメントのうちの1つ以上は、所定の容量をそれぞれが有する複数のキャパシタと、所定のセグメント長と、単位長さ当たりの所定のインダクタンスとをそれぞれが有する複数のワイヤ・セグメントと、を備える。前記複数のキャパシタは、少なくとも前記複数のワイヤ・セグメントを介して分散キャパシタの列になるように直列に接続されている。前記特性周波数は、少なくとも前記所定の容量及び単位長さ当たりの前記所定のインダクタンスに依存する。
【0036】
ワイヤレス電力伝送のための前記システムの別の側面では、前記システムは、前記所定のワイヤレス電力伝送エリア内に配置された複数の受電器デバイスをさらに備える。前記第1RF電源及び前記第2RF電源から交差結合セグメントの前記第1集合及び前記第2集合をそれぞれ介して送電された前記RF電力の一部は、前記複数の受電器デバイスによって受電される。前記特性周波数は、前記複数の受電器デバイスの個数又は配置から実質的に独立している。
【0037】
ワイヤレス電力伝送のための前記システムの別の側面では、前記予め選択された空間オフセットは、交差結合セグメントの前記第1集合のセグメントの半分の幅に等しい。
【0038】
ワイヤレス電力伝送のための前記システムの別の側面では、前記予め選択された位相シフトは、90度である。
【0039】
本発明の他の側面は、以下のトランザクションの説明及び添付の特許請求の範囲から明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1C】本発明の1つ以上の実施形態による可変フォームファクタ送電器を有する例示的なシステムの概略図を示す。
【0041】
【
図2P】本発明の1つ以上の実施形態による例示的な可変フォームファクタ送電器を説明するための様々な図を示す。
【0042】
【
図3E】本発明の1つ以上の実施形態による例示的な可変フォームファクタ送電器の例示的な特性を示す。
【0043】
【
図4B】本発明の1つ以上の実施形態による例示的な高周波(RF)電源の概略図を示す。
【0044】
【
図5E】本発明の1つ以上の実施形態による例示的な受電器デバイスの概略図及びレイアウト図を示す。
【0045】
【
図7F】本発明の1つ以上の実施形態によるワイヤレス電力伝送のための例示的な電力送信器の概略図及びレイアウト図を示す。
【0046】
【
図8】本発明の1つ以上の実施形態による方法フローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0047】
添付の図面を参照して本発明の特定の実施形態が以下に詳細に説明される。様々な図における同様の要素は、一貫性のために同様の参照符号によって示される。
【0048】
本発明の実施形態の以下の詳細な説明において、本発明のより完全な理解を提供するために、多数の特定の詳細が記載される。しかし、当業者には、本発明がこれらの特定の詳細なしに実施されうることが明らかであろう。他の例では、説明を不必要に複雑にすることを避けるために周知の特徴が詳細に説明されていない。
【0049】
以下の説明では本発明の様々な実施形態において、図に関して説明される任意の構成要素は任意の他の図に関して説明される1つ以上の同様に命名された構成要素と同等でありうる。簡潔にするために、これらの構成要素の少なくとも一部は、様々な凡例に基づいて暗黙的に識別される。また、各図について、これらの構成要素の説明は繰り返されない。よって、各図の構成要素の各実施形態及びすべての実施形態は、参照によって組み込まれ、1つ以上の同様に命名された構成要素を有する他のすべての図内にオプションとして存在すると仮定される。さらに、本発明の様々な実施形態によれば、図の構成要素の任意の説明は、任意の他の図における対応する同様に命名された構成要素に関して説明された実施形態に加えて、それに関連して、又はそれに代えて実施されうるオプションの実施形態として解釈されるべきである。図において、同一線上の黒い点々は、当該同一線上の点々の前及び/又は後に当該構成要素に類似する追加の構成要素がオプションとして存在しうることを示す。
【0050】
本願を通して、序数(例えば、第1、第2、第3等)は、要素(すなわち、本願における任意の名詞)の形容詞として使用されてもよい。序数の使用は、「前」、「後」、「単一」という用語、及び他のそのような用語の使用によるような、明示的に開示されない限り、要素の任意の特定の順序を暗示したり、作成したり、任意の要素を単一の要素のみに限定したりするものではない。むしろ、序数の使用は、要素を区別することである。一例として、第1要素は第2要素とは別個であり、第1要素は2つ以上の要素を包含し、要素の順序付けにおいて第2要素に続く(又は先行する)ことができる。
【0051】
一般に、本発明の実施形態は、ワイヤレス電力伝送のための方法、送電器デバイス、及びシステムを提供する。本発明の1つ以上の実施形態では、方法、送電器デバイス、及びシステムは、ワイヤレス電力伝送エリアを規定する経路に沿って配置された複数のキャパシタ及び誘導セグメントを含む電力送電器に基づく。キャパシタは、少なくとも誘導セグメントを介して、分散キャパシタの列になるように直列に接続される。本発明の1つ以上の実施形態では、分散キャパシタの列は、電力伝送エリアを規定する経路を少なくとも包含する(例えば、少なくとも誘電体材料を含む)積層材料シート上に統合される。1つ以上の実施形態では、1つ以上のキャパシタ及び1つ以上の誘導セグメントは、材料シートの互いに反対側にある2つの表面に取り付けられた導電片を使用して構築される。例えば、キャパシタは、互いに反対側にある2つの表面に取り付けられた2つの導電片を含んでもよい。さらに、誘導セグメントは、互いに反対側にある2つの表面のうちの1つに取り付けられた別の導電片を含んでもよい。したがって、RF電力は、高周波(RF)電源から、分散キャパシタの列の特性周波数に少なくとも基づいて、分散キャパシタの列の近傍電磁界を介してワイヤレス電力伝送エリアにわたって送電される。本発明の1つ以上の実施形態では、特性周波数は、国際電気通信連合(ITU)無線通信規則によって規定される産業、科学及び医療(ISM)無線帯域内にある。例えば、特性周波数は、ITU無線通信規則第5条脚注5.138に規定されているタイプAの周波数範囲(すなわち、6.765MHz~6.795MHz)内であってもよい。
【0052】
本発明の1つ以上の実施形態では、電力送電器は、所定のワイヤレス電力伝送エリアに固有の固定フォームファクタを有する。本発明の1つ以上の実施形態では、電力送電器は、種々のワイヤレス電力伝送エリアに合うように、(適合されたフォームファクタと呼ばれる)種々のフォームファクタに適合可能である。このような実施形態では、電力送電器は、適合されたフォームファクタから実質的に独立して維持される特性周波数を有する可変フォームファクタ送電器である。例えば、適合されたフォームファクタが変化するので、特性周波数は、ISM無線帯域内に維持されうる。
【0053】
図1Aは、本発明の1つ以上の実施形態による例示のシステム(100)の概略図を示す。1つ以上の実施形態では、
図1Aに示されるモジュール及び要素のうちの1つ以上が省略され、繰り返され、及び/又は置換されうる。したがって、本発明の実施形態は、
図1Aに示されるモジュールの特定の構成に限定されると考えられるべきではない。
【0054】
図1Aに示されるように、システム(100)は、(例えば、A、B、C、D、E、及びFとラベル付けされた円形アイコンとして示される)1つ以上の受電器デバイスが内部に配置されたワイヤレス電力伝送エリア(101)にわたるワイヤレス電力伝送のために、RF電源(108)から電力を受電する可変フォームファクタ送電器(102)を含む。以下、これらの構成要素のそれぞれについて詳細に説明する。
【0055】
本発明の1つ以上の実施形態では、ワイヤレス電力伝送エリア(101)は、1つ以上の受電器デバイスが可変フォームファクタ送電器(102)から電力を受電している任意の3次元(3D)物理空間である。例えば、ワイヤレス電力伝送エリア(101)は、例えば、部屋、廊下、車の客室、バス、電車、飛行機、又は宇宙船のような建物若しくは乗り物内、又は建物若しくは乗り物の任意の部分内の3D空間を含んでもよい。別の例では、ワイヤレス電力伝送エリア(101)は、遊び場、道路、遊園地、又は地面に接しているか、地面よりも上にあるか、又は宇宙空間内の地球から離れた任意のタイプの場(例えば、大気層又は星間空間)のような、囲まれていない3D空間を含んでもよい。さらに別の例では、ワイヤレス電力伝送エリア(101)は、洞穴、海底プラットフォーム又は海底付近の水中領域などの地下又は水中空間を含んでもよい。さらに別の例では、ワイヤレス電力伝送エリア(101)は、上記の例の組合せを含んでもよい。
【0056】
本発明の1つ以上の実施形態では、可変フォームファクタ送電器(102)は、ワイヤレス電力伝送エリア(101)内に完全に配置されるか、ワイヤレス電力伝送エリア(101)と重なるか、又はワイヤレス電力伝送エリア(101)の近傍に配置される。1つ以上の実施形態では、可変フォームファクタ送電器(102)の少なくとも一部が保護スリーブ内に挿入されてもよく、材料シート内に埋め込まれてもよく、ワイヤレス電力伝送エリア(101)内に自立してもよく、又はワイヤレス電力伝送エリア(101)に取り付けられてもよい。1つ以上の実施形態では、可変フォームファクタ送電器(102)の少なくとも一部が、ワイヤレス電力伝送エリア(101)及び/又はその中に配置された(例えば、A、B、C、D、E、及びFとラベル付けされた円形アイコンとして示される)1つ以上の受電器デバイスに対して静止していてもよいし、移動していてもよい。本発明の1つ以上の実施形態では、可変フォームファクタ送電器(102)のフォームファクタは、ワイヤレス電力伝送エリア(101)によって課される幾何的制約に従って適合される。例えば、可変フォームファクタ送電器(102)は、可変フォームファクタ送電器(102)のフォームファクタがワイヤレス電力伝送エリア(101)の部屋、廊下、客室、遊び地、道路、遊園地、フィールド、洞穴、水中領域などの物理的形状に合うようにユーザによって変更されるように、柔軟な材料で作られてもよい。この文脈では、可変フォームファクタ送電器(102)のフォームファクタは、ワイヤレス電力伝送エリア(101)に基づく。例えば、可変フォームファクタ送電器(102)のフォームファクタは、曲面、螺旋曲線等の3D部分を含んでもよい。
【0057】
本発明の1つ以上の実施形態では、受電器デバイス(A)から(F)は、個人のような、1人以上のユーザによって使用される同じタイプ又は異なるタイプのものであってもよい。1つ以上の実施形態では、受電器デバイス(A)から(F)のうちの1つ以上は、ワイヤレス電力伝送エリア(101)のいたるところでユーザ指定の位置に配置され、ワイヤレス電力伝送中は静止している。1つ以上の実施形態では、受電器デバイス(A)から(F)のうちの1つ以上は、ワイヤレス電力伝送エリア(101)の寸法よりも小さい寸法を有する。1つ以上の実施形態では、受電器デバイス(A)から(F)のうちの1つ以上は、ワイヤレス電力伝送エリア(101)の寸法に匹敵するか又はそれよりも大きい寸法を有する。例えば、受電器デバイス(A)は、ユーザが部屋又は廊下の天井に配置した照明デバイスであってもよい。1つ以上の実施形態では、受電器デバイス(A)から(F)のうちの1つ以上は、ワイヤレス電力伝送中に、時々、ワイヤレス電力伝送エリア(101)のいたるところを動き回る個別のユーザによって運ばれる。可変フォームファクタ送電器(102)の近傍電磁界の性質に基づいて、受電器デバイスのいずれによっても受電されない近傍電磁界の電力が、可変フォームファクタ送電器(102)及びRF電源(108)に戻される。これは、電力が放射された結果としてワイヤレス電力伝送にとって生産的でないエネルギー損失を生じる遠方電磁界とは対照的である。受電器デバイス(A)、受電器デバイス(B)、受電器デバイス(C)、受電器デバイス(D)、受電器デバイス(E)、及び受電器デバイス(F)の例が、以下の
図5A、
図5B、
図5C、
図5D、及び
図5Eを参照して説明される。
【0058】
本発明の1つ以上の実施形態では、可変フォームファクタ送電器(102)は、分散キャパシタの列を含む。特に、分散キャパシタの列は、電源(108)によって生成された高周波(RF)電流(105)を伝導するために直列に接続された複数のキャパシタ-ワイヤ・セグメントを含む。RF電流(105)は、ワイヤレス電力伝送エリア(101)のいたるところに存在する磁界(例えば、磁界(106))を誘導する。1つ以上の実施形態では、分散キャパシタの列は、ワイヤレス電力伝送エリア(101)のいたるところで磁界が受電器デバイスの電力要件に基づく閾値を超えるように、経路に沿って配置される。この文脈では、経路は、ワイヤレス電力伝送エリア(101)に基づく。1つ以上の実施形態では、RF電流(105)は、端子A(204a)及び端子B(204b)でワイヤに入る/ワイヤから出る。1つ以上の実施形態では、可変フォームファクタ送電器(102)の動作を妨げることなく、追加の介在構成要素(図示せず)を、一連のキャパシタ‐ワイヤ・セグメント内に挿入したり、一連のキャパシタ‐ワイヤ・セグメントと1つ以上の端子(例えば、端子A(204a)、端子B(204b))との間に挿入したりしてもよい。
【0059】
1つ以上の実施形態では、各キャパシタ‐ワイヤ・セグメントは、ワイヤ・セグメント(例えば、ワイヤ・セグメント(104))に接続されたキャパシタ(例えば、キャパシタ(103))を含む。1つ以上の実施形態では、可変フォームファクタ送電器(102)内の各キャパシタ(例えば、キャパシタ(103))は、その中の任意の他のキャパシタと同じ公称容量値を有し、これはワイヤレス電力伝送エリア(101)内に可変フォームファクタ送電器(102)を配置する前に決定される。例えば、可変フォームファクタ送電器(102)内のキャパシタ(例えば、キャパシタ(103))は、ユーザが可変フォームファクタ送電器(102)を使用してワイヤレス電力伝送エリア(101)内に無線で電力を供給する前に工場で設置されうる。キャパシタ(例えば、キャパシタ(103))は、セラミック・キャパシタ、フィルム及び紙キャパシタ、電解質キャパシタ、高分子キャパシタ、銀マイカ・キャパシタ等のような適切なタイプのものであってもよい。1つ以上の実施形態では、キャパシタのうち1つ以上は、アルミニウム又は他の金属酸化物層によって分離された2つのアルミニウム又は他の金属シート、箔、又はフィルムを含んでもよい。工場の製造プロセスにおいて典型的であるように、可変フォームファクタ送電器(102)内のすべてのキャパシタ(例えば、キャパシタ(103))の容量値は、例えば製造公差に起因して、(容量範囲と呼ばれる)範囲内で変化しうる。
【0060】
1つ以上の実施形態では、各キャパシタ‐ワイヤ・セグメントは、所定のセグメント長と、単位長さ当たりの所定のインダクタンスとを有するワイヤ・セグメントを含む。例えば、可変フォームファクタ送電器(102)内のワイヤ・セグメント(例えば、ワイヤ・セグメント(104))は、ユーザが可変フォームファクタ送電器(102)を使用してワイヤレス電力伝送エリア(101)内に無線で電力を供給する前に、工場内で設置されうる。ワイヤ・セグメント(例えば、ワイヤ・セグメント(104))は、銅、アルミニウム、又は他の適切な金属及び/又は合金材料から作製された、絶縁又は非絶縁ワイヤ、シート、箔、又はフィルムなどの適切なタイプのものであってもよい。1つ以上の実施形態では、ワイヤ・セグメント(例えば、ワイヤ・セグメント(104))のうちの1つ以上は、ユーザが1つ以上のワイヤ・セグメントを屈曲、伸張、又はその他のように形状を変化させることができるように、可撓性又は柔軟性を有する。工場の製造プロセスにおいて典型的であるように、可変フォームファクタ送電器(102)内のそれぞれすべてのワイヤ・セグメント(例えば、ワイヤ・セグメント(104))の長さ及びインダクタンス値は、例えば製造公差に起因して、(長さ範囲及びインダクタンス範囲と呼ばれる)範囲内で変化しうる。
【0061】
本発明の1つ以上の実施形態では、電界を閉じ込めることによって、可変フォームファクタ送電器(102)内のキャパシタ(例えば、キャパシタ(103))は、浮遊電界及びその結果生じるワイヤ・セグメント(例えば、ワイヤ・セグメント(104))の誘導電圧を低減する。したがって、可変フォームファクタ送電器(102)内のキャパシタ(例えば、キャパシタ(103))は、システム(100)内の全エネルギーに対する、ワイヤ・セグメント(例えば、ワイヤ・セグメント(104))の浮遊容量に蓄積されるエネルギーの割合を低減する。浮遊容量に関連する誘導電圧及び蓄積エネルギーの両方の低減は、環境相互作用に起因する損失を低減し、ユーザに対する安全性を向上する。
【0062】
本発明の1つ以上の実施形態では、可変フォームファクタ送電器(102)は、少なくとも所定の容量、所定のセグメント長、及び単位長当たりの所定のインダクタンスに基づく特性周波数に関連する。可変フォームファクタ送電器(102)の特性周波数は、以下の
図2A、
図2B、
図2D、
図2E、
図3A、
図3B、
図3C、
図3D、及び
図3Eを参照して説明される。本書全体を通して、「特性周波数」及び「共振周波数」という用語は、文脈に応じて、交換可能に使用されてもよい。
【0063】
1つ以上の実施形態では、電源(108)への直接接続の代わりに、可変フォームファクタ送電器(102)は、駆動ループ(109a)を介した誘導結合を使用して電源(108)から電力を受電する。
図1Bは、誘導結合電力構成における例示のシステム(100)の概略図を示す。駆動ループ(109a)を介した受電の詳細は、以下の
図1Cを参照して説明される。
【0064】
図1Cは、上記の
図1Bに描かれた駆動ループ(109a)を介して電力を供給する概略図を示す。1つ以上の実施形態では、
図1Cに示されるモジュール及び要素のうちの1つ以上が省略され、繰り返され、及び/又は置換されうる。したがって、本発明の実施形態は、
図1Cに示されるモジュールの特定の構成に限定されると考えられるべきではない。
【0065】
図1Cに示すように、駆動ループ(109a)は、バラン(108a)を介して電源(108)に結合された(例えば、インダクタンスL
1を有する)導電ワイヤの1つ以上のループを含む。バラン(108a)は、(例えば、可変容量C
1を有する)同調キャパシタA(109d)と、(例えば、可変容量C
2を有する)同調キャパシタB(109e)と、(例えば、フェライトコア(109b)の周りに巻かれ、インダクタンスL
2を有する)同軸ケーブル(109c)とを含む。具体的には、駆動ループ(109a)は、電源(108)が距離(110)にわたる電磁結合を介して可変フォームファクタ送電器(102)に電力を供給するように、可変フォームファクタ送電器(102)から距離(110)に配置される。1つ以上の実施形態では、同調キャパシタB(109e)は、フェライトコア(109b)のインダクタンスL
2と共振するように同調され、同軸ケーブル(109c)の互いに反対側にある2つの端部の間に高インピーダンスを課す並列共振LC回路を形成する。また、同調キャパシタA(109d)は、駆動ループ(109a)の共振周波数を同調させてRF電源(108)の周波数に整合するために用いられる。駆動ループ(109a)と可変フォームファクタ送電器(102)との間の距離(110)は、可変フォームファクタ送電器(102)の見かけの入力インピーダンスを同軸ケーブル(109c)のインピーダンス、及びRF電源(108)の出力インピーダンスに整合させるために調整されうる。
【0066】
図2Aは、本発明の1つ以上の実施形態による並列ワイヤ送電線(201)の概略図を示す。1つ以上の実施形態では、
図2Aに示されるモジュール及び要素のうちの1つ以上が省略され、繰り返され、及び/又は置換されうる。したがって、本発明の実施形態は、
図2Aに示されるモジュールの特定の構成に限定されると考えられるべきではない。
【0067】
図2Aに示すように、正弦波状のアイコン(201a)及び(201b)は、並列ワイヤ送電線(201)に沿って伝搬する電磁波を表す。並列ワイヤ送電線(201)は、それぞれがキャパシタによって接合されたワイヤ・セグメントを有する2つの並列ワイヤ(201d)で構成され、ここで、sは各ワイヤ・セグメントの長さを示し、Cは各キャパシタの容量を示し、qは並列ワイヤ送電線(201)に沿った電荷変位を示す。2本の並列ワイヤ(201d)がRF電流(例えば、
図1Aに描かれた電流(105))を伝導するという文脈において、2本の並列ワイヤ(201d)の各ワイヤは、本書全体を通して導電ワイヤとも呼ばれる。正弦波状のアイコン(201a)と(201b)との間の距離は、並列ワイヤ送電線(201)の長さに対応し、キャパシタの並列した2つの列の間の間隔は、並列ワイヤ送電線(201)の幅に対応する。並列ワイヤ送電線(201)の長さはワイヤレス電力伝送エリア(101)の他の寸法の長さに相当しうるが、並列ワイヤ送電線(201)の幅は1センチメートル未満からワイヤレス電力伝送エリア(101)の幅又は他の寸法までの範囲でありうる。1つ以上の実施形態では、並列ワイヤ送電線(201)は、上記の
図1Aに示される可変フォームファクタ送電器(102)の一部に対応する。言い換えれば、
図1Aに示されている分散キャパシタの列の2つの区間は、互いに平行に配置されてもよい。一般に、並列ワイヤ送電線(201)に沿って変位した電荷qは、並列ワイヤ送電線(201)に沿った位置及び時間の関数である。対応する電荷密度(すなわち、単位長さ当たりの電荷量)ρ
λ、及び電流Iは、並列ワイヤ送電線(201)について以下の式(1)によって与えられる。式(1)において、x及びtは、それぞれ、並列ワイヤ送電線(201)に沿った位置及び時間を示す。
【0068】
表1は、本書を通じて式で使用される変数の追加の定義を示す。
表1
【0069】
並列ワイヤ送電線(201)の隣接する一対のキャパシタ(例えば、キャパシタ対(201c))に蓄積される電気エネルギーU
jは、以下の式(2)で与えられる。
【0070】
sがqの空間変動より実質的に小さいシナリオでは、蓄積エネルギーU
jをセグメント長sで割った値は、並列ワイヤ送電線(201)に沿ったキャパシタCに蓄積されたエネルギーの密度と見なすことができる。cは、並列ワイヤ送電線(201)の2本の並列ワイヤ間の単位長さ当たりの浮遊容量を示す。並列ワイヤ送電線(201)に沿った単位長さ当たりに蓄積される総電気エネルギーu
Eは、以下の式(3)によって与えられる。
【0071】
並列ワイヤ送電線(201)に沿った単位長さ当たりに蓄積される全磁気エネルギーu
Bは、以下の式(4)によって与えられる。
【0072】
したがって、並列ワイヤ送電線(201)のラグランジアンは、以下の式(5)によって与えられる。
【0073】
一般化運動量π、オイラー‐ラグランジュ運動方程式、及び並列ワイヤ送電線(201)の波動方程式は、以下の式(6)、式(7)、及び式(8)によって与えられる。
【0074】
波動方程式(8)に基づいて、並列ワイヤ送電線(201)に対する分散関係は、以下の式(9a)、式(9b)、及び式(9c)によって与えられる。
【0075】
式(9a)、式(9b)、及び式(9c)において、ωは角周波数を表し、kは波数を表し、νは式(9a)で規定される漸近波速を表し、ωoは式(9b)で規定されるカットオフ角周波数を表す。特に、カットオフ角周波数ωoは、並列ワイヤ送電線(201)の長さに依存せず、幅に対して対数的に変化する。1つ以上の実施形態では、並列ワイヤ送電線(201)の関連するキャパシタを有する1つ以上のワイヤ・セグメントが取り外し可能である。したがって、並列ワイヤ送電線(201)は、実質的にωoを変更することなく、ワイヤレス電力伝送エリア(101)の寸法に従って全長を変更するようにユーザによって再構成されてもよい。
【0076】
式(9c)に基づいて、
図3Aは、並列ワイヤ送電線(201)に対する分散関係を説明するために、波数kに対する角周波数ωのプロットを示す。さらに、位相速度ν
p、群速度ν
gは、以下の式(10a)及び式(10b)で与えられる。
【0077】
なお、波数kが漸近的に0に近づくと、位相速度νpは漸近的に無限大に近づき、群速度νgは漸近的に0に近づき、角周波数ωは漸近的にω0に近づく。
【0078】
図2Bは、本発明の1つ以上の実施形態によるRF電源(108)によって駆動される並列ワイヤ送電線(201)の概略図を示す。1つ以上の実施形態では、
図2Bに示されるモジュール及び要素のうちの1つ以上が省略され、繰り返され、及び/又は置換されうる。したがって、本発明の実施形態は、
図2Bに示されるモジュールの特定の構成に限定されると考えられるべきではない。
【0079】
図2Bに示すように、並列ワイヤ送電線(201)は、端子A(204a)及び端子B(204b)を介して接続されたRF電源(108)によって駆動される。さらに、並列ワイヤ送電線(201)は、導電接続部(202)によって終端され、特性周波数ω
oで動作する。本発明の1つ以上の実施形態では、導電接続部(202)は、並列ワイヤ送電線(201)の特性周波数を微調整するために使用されてもよい可変キャパシタ又は他の電子部品で置き換えられてもよい。
【0080】
本発明の1つ以上の実施形態では、
図2Bに示される並列ワイヤ送電線(201)の構成は、上記の
図1Aに示される可変フォームファクタ送電器(102)を近似する。
図1Aと同様に、(例えば、A、B、C、D、E、及びFとラベル付けされた円形のアイコンとして示されている)受電器デバイスは、
図2Bに示される並列ワイヤ送電線(201)の周りに配置される。この近似は、ワイヤレス電力伝送エリア(101)が細長い形状を有し、かつ、ワイヤレス電力伝送エリア(101)の細長い形状に従って可変フォームファクタ送電器(102)の分散キャパシタの列が一対の平行線に配置されるシナリオに特に適している。後述するように、可変フォームファクタ送電器(102)の特性周波数は、上記の
図2Aに関連して説明したω
oに対応し、並列ワイヤ送電線(201)の長さとは実質的に無関係であり、幅に対して対数的に変化する。
【0081】
図2Bに示す構成では、RF電源(108)によって励起されるような、並列ワイヤ送電線(201)に沿った定常波は、無限の位相速度を有する。したがって、並列ワイヤ送電線(201)に沿った電圧及び電流は、全て、並列ワイヤ送電線(201)の異なる位置で同相である。言い換えると、並列ワイヤ送電線(201)の実効電気的長さは、並列ワイヤ送電線(201)の物理的長さにかかわらずゼロに等しい。並列ワイヤ送電線(201)においてエネルギー損失がないシナリオにおいて、RF電源(108)に提示されるような並列ワイヤ送電線(201)の入力インピーダンスは、並列ワイヤ送電線(201)の物理的長さにかかわらずゼロに等しい。言い換えると、並列ワイヤ送電線(201)は、並列ワイヤ送電線(201)の物理的長さが、駆動周波数ω
oの(例えば、ワイヤレス電力伝送エリア(101)の伝送媒体に基づく)自由空間波長よりもはるかに短いか、はるかに長いかにかかわらず、ω
oで共振するRLC回路(図示せず)と等価である。したがって、RF電源(108)によって駆動され、導電接続部(202)によって終端される並列ワイヤ送電線(201)は、並列ワイヤ送電線(201)の近傍に配置される受電器デバイスの共振を誘導するために、ワイヤレス電力伝送のための共振電源として使用されうる。特に、共振受電器は、並列ワイヤ送電線(201)の定常波によって生成される電界及び/又は磁界に結合し、電界及び/又は磁界から電力を受電する。
【0082】
1つ以上の実施形態では、共振受電器は、並列ワイヤ送電線(201)の近傍電磁界から電力を受電する。並列ワイヤ送電線(201)の物理的長さが駆動周波数の(例えば、ワイヤレス電力伝送エリア(101)の伝送媒体に基づく)自由空間波長よりもはるかに長い場合であっても、RF電源(108)から供給される電力は、遠方界放射に失われることなく、近くの共振受電器に伝送するために、並列ワイヤ送電線(201)内に実質的に保持される。放射損失に起因する並列ワイヤ送電線の品質係数は、長さではなく、ワイヤ分離及びワイヤ半径のみに依存する。
【0083】
図2Cは、導電ワイヤの一方が、以下でシールド送電線(201a)と呼ばれる他方の導電ワイヤを取り囲む導体シールド(203)を形成する分散容量を有する並列ワイヤ送電線(201)の変形例を示す。例えば、導体シールド(203)は、略円筒状であってもよい。
図2Cに示されるシールド送電線(201a)は、分散容量が中心導体のみに配置されていることを除いて、上記の
図2Bに示される並列ワイヤ送電線(201)と同様の原理で動作する。いくつかの構成では、中心導体は、外側導体(すなわち、導体シールド203)と同心でなくてもよい。また、中心導体及び外側導体(すなわち、導体シールド203)の断面は円形でなくてもよい。
【0084】
本発明の1つ以上の実施形態では、
図2Cに示されるシールド送電線(201a)の構成は、上記の
図1Aに示される可変フォームファクタ送電器(102)を近似する。
図1Aと同様に、(例えば、A、B、C、D、E、及びFとラベル付けされた円形のアイコンとして示される)受電器デバイスは、
図2Cに示される並列ワイヤ送電線(201)の周りに配置される。この近似は、ワイヤレス電力伝送エリア(101)が金属パイプライン、航空機の機体、又はスペースシャトルのような導電エンクロージャ内の内部空間に対応するシナリオに特に適している。可変フォームファクタ送電器(102)の特性周波数は、
図2Cに示されるように、上記の
図2A及び
図2Bを参照して説明されたω
oに対応し、導体シールド(203)の長さとは実質的に無関係であり、直径に対して対数的に変化する。
図2Cに示されるシールド送電線(201a)の特性周波数は、式(11)で与えられる。これは、導電ワイヤのうちの1つだけが分散キャパシタを含むという事実に起因して、式(9b)とは√2の係数だけ異なることに留意されたい。
【0085】
図3Bは、(2つのワイヤの間の)分離dを自由空間波長λで割った値の関数として、6.78MHzで駆動される14AWG銅線からなる任意の長さの(例えば、
図2A又は
図2Bに示される)並列ワイヤ送電線の品質係数Qのプロットを示す。自由空間波長に比べて大きいワイヤ分離に対しては、放射損失に起因してQが抑制される。しかし、自由空間波長に比べて小さいワイヤ分離に対しては、放射は抑制され、損失は銅線中のオーム損失に支配される。
【0086】
シールド送電線(201)は、導体シールド(203)が内部の電磁界を完全に囲んでいるという事実に起因して、放射損失を有していないことに留意されたい。
【0087】
対照的に、以下に
図2Dを参照して説明されるRF電源(108)によって駆動される導体ワイヤ・ループは、近傍の共振受電器にも電力を伝送できるが、導体ワイヤ・ループの寸法が増大して駆動周波数の自由空間波長に近づくか、又はそれを超えると、遠方界放射に起因して電力伝送の効率が低下する。
図3Cは、ループ半径aを自由空間波長λで割った値の関数として、6.78MHzで駆動される14AWG銅線からなる円形ループの品質係数Qのプロットを示す。ループ半径が自由空間波長に比べて大きくなるにつれて、Qが低くなり、従ってワイヤレス電力伝送の効率が抑制されることに留意されたい。
【0088】
図2Dは、本発明の1つ以上の実施形態による、分散キャパシタを有し、RF電源(108)によって駆動されるワイヤ・ループ(204)の概略図を示す。1つ以上の実施形態では、
図2Dに示されるモジュール及び要素のうちの1つ以上が省略され、繰り返され、及び/又は置換されうる。したがって、本発明の実施形態は、
図2Dに示されるモジュールの特定の構成に限定されると考えられるべきではない。
【0089】
1つ以上の実施形態では、ワイヤ・ループ(204)は、円形ループ半径a、及び(ワイヤのゲージに対応する)ワイヤ半径b(図示せず)を有し、複数のキャパシタによって接合された長さsのワイヤ・セグメントから構成される。本発明の1つ以上の実施形態では、
図2Dに示されるワイヤ・ループ(204)の構成は、上記の
図1Aに示される可変フォームファクタ送電器(102)を近似する。この近似は、ワイヤレス電力伝送エリア(101)の特定の形状が可変フォームファクタ送電器(102)の円形フォームファクタと一致するシナリオに特に適している。後述するように、可変フォームファクタ送電器(102)の特性周波数は、ワイヤ・ループ(204)の共振周波数ω
oに対応し、ワイヤ・ループ(204)の幅及び/又は長さ(即ち、フォームファクタ)から実質的に独立している。
【0090】
ワイヤ・ループ(204)のインダクタンスL、全容量C
tot、及び共振角周波数ω
oは、以下の式(12a)、式(12b)、及び式(12c)によって与えられる。
【0091】
式(12a)、式(12b)、及び式(12c)において、Nは、ワイヤ・ループ(204)内のワイヤ・セグメント又はキャパシタCの個数を示し、μは、ワイヤレス電力伝送エリア(101)内の伝送媒体の電磁透過率を示す。1つ以上の実施形態では、共振角周波数ωoは、ワイヤ・ループ(204)の半径a又はワイヤ半径bにほんのわずかしか依存しない。1つ以上の実施形態では、ワイヤ・ループ(204)の関連するキャパシタを有する1つ以上のワイヤ・セグメントが取り外し可能である。したがって、ワイヤ・ループ(204)は、共振角周波数ωoを実質的に変更することなく、ワイヤレス電力伝送エリア(101)の寸法にしたがってループ半径aを変更するためにユーザによって再構成されうる。
【0092】
上記の
図2Aに示される並列ワイヤ送電線(201)とは異なり、ワイヤ・ループ(204)は、半径aが駆動周波数ω
oの(例えば、ワイヤレス電力伝送エリア(101)の伝送媒体に基づく)自由空間波長に相当するか、又はそれを超えるにつれて、効率的な遠方界放射器になる。均一な電流を搬送するワイヤの閉ループの放射抵抗(すなわち、遠方界放射に起因する実効直列抵抗)R
radは、以下の式(13a)に示されるワイヤ経路にわたる二重積分によって与えられる。
【0093】
式(13a)において、ワイヤレス電力伝送エリア(101)の伝送媒体に基づいて、ζは自由空間のインピーダンスであり、κは自由空間波数である。ワイヤ・ループ(204)に適用される式(13a)に基づいて、
図3Dは、半径を波長で割った値の関数として、放射抵抗を自由空間のインピーダンスで割った値のプロットを示す。
図3Dから分かるように、放射抵抗は、以下の式(14)で与えられる大小のループ半径についての漸近形を有する。
【0094】
放射に起因するループの品質係数Qは、放射抵抗Rradを含む全直列抵抗Rで誘導リアクタンスωoLを割った比率に等しい。放射抵抗が増加するにつれて、品質係数が減少し、ワイヤレス電力伝送の効率が低下する。
【0095】
図2Dに示される円形ワイヤ・ループ(204)について、式(12c)が適用され、ここで、
であり、aはループ半径であり、bはワイヤ半径である。
図2Bに示される並列ワイヤ送電線(201)について、式(9b)が適用され、
であり、dは並列ワイヤ送電線の幅であり、bはワイヤ半径であることが示されうる。特性周波数ω
0は、ln(a/b)≒ln(d/b)であるならば、円形ループ構成及び並列ワイヤ構成の両方について同様の値を有する。このようにして、単一の可変フォームファクタ送電器(102)は、ユーザが適合した細長いフォームファクタ又は円形フォームファクタに基づいて、細長い形状のサービスエリア及び円形のサービスエリアの両方で使用するために製造されうる。言い換えると、ユーザは、可変フォームファクタ送電器(102)の製造に使用されるワイヤ直径bに基づいて、ln(a/b)≒ln(d/b)となるように、ループ半径a、及び並列ワイヤ送電線幅dを選択してもよい。このようにして、工場で製造された1つの単一の可変フォームファクタ送電器は、特定の共振周波数ω
0に同調された同じ集合の受電デバイスに電力を供給するために、
図2Bに説明された並列ワイヤ・フォームファクタ又は
図2Dに説明された円形フォームファクタのいずれかに構成されうる。
【0096】
図2Eは、本発明の1つ以上の実施形態による、分散キャパシタを有し、RF電源(108)によって駆動される矩形ループ(206)の概略図を示す。本発明の1つ以上の実施形態では、矩形ループ(206)の構成は、上記の
図1Aに示される可変フォームファクタ送電器(102)を近似する。
図1Aと同様に、(例えば、A、B、C、D、E、及びFとしてラベル付けされた円形アイコンとして示される)受電器デバイスは、
図2Eに示される矩形ループ(206)の周りに配置される。例えば、矩形ループ(206)は、ユーザが矩形状のワイヤレス電力伝送エリアに合うように適合させた
図2Bに示される並列ワイヤ送電線(201)に対応してもよい。別の例では、矩形ループ(206)は、ユーザが矩形状のワイヤレス電力伝送エリアに合うように適合させた
図2Dに示されたワイヤ・ループ(204)に対応してもよい。
図2Eに示されるように、矩形ループ(206)は、変圧器結合方式を用いてRF電源(108)によって駆動される。特に、変圧器(206a)は、第1次コイルL
1に並列なキャパシタC
2と、第2次コイルL
1に並列なキャパシタC
1とを備える。また、
図2Bに示される導電接続部(202)は、キャパシタC
2に置き換えられている。キャパシタC
1、C
2及びC
3の容量値は、電源(108)と矩形ループ(206)との間のインピーダンス整合のため及び矩形ループ(206)の共振周波数の同調のために、工場及び/又はユーザによって調整されてもよい。
【0097】
図2Fは、容量結合方式を用いて電源(108)を接続する概略図を示す。特に、電源(108)は、同軸ケーブル(208)及びツイストペア(209)を介して、同調キャパシタC
1の互いに反対側にある端子において、分散キャパシタ列(207)に接続される。同調キャパシタC
1は、RF電源(108)と同軸ケーブル(208)との両方に適切なインピーダンス整合を提供するために、工場で又はユーザによって調整されてもよい。同軸ケーブル(208)のシールドを分散キャパシタ列(207)の電圧ノードに取り付けることによって、同軸ケーブル(208)のシールドは接地電位に維持される。
【0098】
1つ以上の実施形態では、分散キャパシタ列(207)は、
図2B及び
図2Cに示される並列ワイヤ送電線(201)の一部か、
図2Dに示されるワイヤ・ループ(204)の一部か、又は
図2Eに示される矩形ループ(206)の一部に対応してもよい。電源(108)によって誘導される接地(210)に対する電圧の大きさは、分散キャパシタ列(207)に沿った位置の関数として示される。
【0099】
図2Gは、代替の容量結合方式を使用して、電源(108)を可変フォームファクタ送電器に接続するための概略図を示す。
図2Gに示されるように、電源(108)を同調キャパシタC
1に接続するために共振バラン(211)が使用される。
【0100】
図3Eは、83フィートの14AWGワイヤから作られ、6.78MHzで駆動される、矩形ループ(例えば、上記の
図2Eに描かれた矩形ループ(206))の(幅/半周によって表される)アスペクト比の関数としてのインダクタンスのプロットである。
図3Eに示されるアスペクト比の範囲を有する矩形ループは、様々な形状を表す。
図2Dに示されるワイヤ・ループ(204)は、ユーザによって任意のワイヤレス電力伝送エリアに合うように適合されうる。プロットは、周囲(すなわち、ワイヤ・ループ(204)の周囲に対応する)が固定されるが、アスペクト比が変化する場合の、矩形ループのインダクタンスを示す。プロットから分かるように、インダクタンスは、アスペクト比が0.05~0.95の広い範囲にわたって変化することにつれて、20%未満しか変化しない。したがって、ワイヤ・ループ(204)の特性周波数は、広範囲のアスペクト比にわたって矩形ループに適合されている間に、10%未満で変化する。これは、適合されたフォームファクタの変動に対する分散容量を有するループの共振周波数の相対的な不感性を実証する。
【0101】
図1Aの説明に戻ると、本発明の1つ以上の実施形態では、システム(100)は、ISM帯域に基づいてワイヤレス電力伝送エリア(101)にわたるワイヤレス電力伝送を提供する。可変フォームファクタ送電器(102)が、
図2A、
図2B、又は
図2Cに示される並列ワイヤ送電線(201)で近似される場合、ワイヤ・セグメント長s、単位長さ当たりのインダクタンスl、及びキャパシタCの値は、式(9b)に基づいて、並列ワイヤ送電線(201)の共振角周波数ω
oを、ITU無線通信規則第5条脚注5.138に規定されるタイプA周波数範囲(すなわち、6.765MHz~6.795MHz)内でありうるRF電源の角周波数に等しく維持するように、工場内で選択されてもよい。
【0102】
可変フォームファクタ送電器(102)が
図2Dに示されるワイヤ・ループ(204)で近似されるシナリオでは、ワイヤ・セグメント長s及びキャパシタCの値は、式(12c)に基づいて、ワイヤ・ループ(204)の共振角周波数ω
oを、ITU無線通信規則第5条脚注5.138に規定されるタイプA周波数範囲(すなわち、6.765MHz~6.795MHz)内でありうるRF電源の角周波数に等しく維持するように、工場内で選択されてもよい。
【0103】
1つ以上の実施形態では、結果として生じる容量範囲、長さ範囲、及びインダクタンス範囲が共振角周波数ωoをタイプA周波数範囲(すなわち、6.765MHz~6.795MHz)から逸脱させないように前述の製造公差が制御される。さらに、上述の両方のシナリオについて、可変フォームファクタ送電器(102)のユーザに適合されたフォームファクタと、並列ワイヤ送電線(201)又はワイヤ・ループ(204)の単純化されたフォームファクタとの間の物理的差異に起因して、近似誤差が存在する。本発明の1つ以上の実施形態では、前述の製造公差及び近似誤差を補償するために、可変フォームファクタ送電器(102)の入力インピーダンス及び特性周波数は、工場内で、並びにユーザによって調整可能であってもよい。
【0104】
上述の
図1Aの説明に加えて、
図2Hは、可変フォームファクタ送電器(102)の等価回路A(205a)及び等価回路B(205b)の概略図を示す。電源(108)からの最適な電力伝送のために、可変フォームファクタ送電器(102)の入力インピーダンスは、電源(108)の(抵抗R
Lによって表される)出力インピーダンスに整合される。抵抗Rは、可変フォームファクタ送電器(102)の全ての損失源(例えば、オーム損失、放射損失、誘電損失等)を表す実効直列抵抗である。可変キャパシタC
1は、その共振周波数における可変フォームファクタ送電器(102)の見かけのインピーダンスを決定し、可変キャパシタC
2は、共振周波数を設定する。
【0105】
等価回路B(205b)は、等価回路A(205a)の単純化された形式に対応し、ここで、C
2、C
3及びLは、単一のリアクタンスχに組み合わされている。可変フォームファクタ送電器(102)の入力インピーダンスは、C
1が式(15)によって与えられる値を有する場合に、R
Lに等しい。
【0106】
R
L<Rである場合について、
図2Eに示される電圧器結合方式が使用されうる。R
L≧Rである場合について、
図2Fに示される容量結合方式が使用されうる。
【0107】
図2Jは、1つ以上の実施形態による、凡例(221)に基づいて描かれた、可変フォームファクタ送電器(102)の例示の構成を示す。1つ以上の実施形態では、
図2Jに示されるモジュール及び要素のうちの1つ以上が省略され、繰り返され、及び/又は置換されうる。したがって、本発明の実施形態は、
図2Jに示されるモジュールの特定の構成に限定されると考えられるべきではない。
【0108】
図2Jに示されるように、分散キャパシタ列A(210a)及び分散キャパシタ列B(210b)は、上記の
図1.1及び
図1.2に示される可変フォームファクタ送電器(102)の2つの例示の構成である。したがって、上記の
図2D及び
図2Eにそれぞれ示されるワイヤ・ループ(204)及び矩形ループ(206)は、分散キャパシタ列A(210a)、分散キャパシタ列B(210b)、又はそれらの組合せに基づいてもよい。特に、分散キャパシタ列A(210a)及び分散キャパシタ列B(210b)は、ワイヤ・ループ(204)又は矩形ループ(206)の断面図に対応する2つの例示の構成を示す。具体的には、この断面図は、ワイヤ・ループ(204)又は矩形ループ(206)内の連続するキャパシタ及びワイヤ・セグメントの断面を含む。
【0109】
分散キャパシタ列A(210a)は、誘電体シートの互いに反対側にある2つの表面(すなわち、表面A(220a)、表面B(220b))に取り付けられた導電片(230a)、(230b)、(230c)、(230d)、(230e)、(230f)などから構成されたキャパシタを含む。具体的には、シートは、互いに反対側にある2つの表面によって表面積の大部分が占められる(例えば、90%を超える)3次元(3D)フォームファクタを有する。言い換えると、シートの厚さ(すなわち、互いに反対側にある2つの表面の間の距離)は、互いに反対側にある2つの表面のそれぞれの寸法よりも十分に小さい。この文脈において、シートの3Dフォームファクタは、2Dフォームファクタの表面(例えば、表面A(220a)、表面B(220b))に直交する第3次元に沿った厚さを有する2次元(2D)フォームファクタとして表されうる。導電片は、誘電体シートに取り付けられ、誘電体シートよりも十分に小さい(例えば、10%未満)面積を有する導電体のシートである。分散キャパシタ列A(210a)は、導電片及び誘電体シートの断面を示す断面図に描かれている。特に、断面図は、導電片及び誘電体シートの厚さを示すために、第3次元に沿って、表面A(220a)及び表面B(220b)にわたって切断する。
【0110】
1つ以上の実施形態では、導電片(230a)、(230b)、(230c)、(230d)、(230e)、(230f)などのうちの1つ以上は、導電インク、ペースト、塗料、又は他の導電コーティング材料を使用して、表面A(220a)及び/又は表面B(220b)上に印刷される。1つ以上の実施形態では、導電片(230a)、(230b)、(230c)、(230d)、(230e)、(230f)などのうちの1つ以上は、誘電体シートと積層された1つ以上の導電フィルムを選択的にエッチングすることによって形成される。例えば、熱、圧力、接着剤、溶接、又は他の適切な方法によって、導電フィルム及び誘電体シートが一緒に積層されうる。
【0111】
例えば、キャパシタ(211)は、表面A(220a)及び表面B(220b)にそれぞれ取り付けられた導電片(230a)及び導電片(230e)の重なり部分を含み、これらの部分は、誘電体シートの厚さdだけ離間されている。導電片(230a)及び導電片(230e)の重なり部分は、キャパシタ(211)の平行板構成における2つの電極を形成する。同様に、キャパシタ(213)は、表面A(220a)及び表面B(220b)にそれぞれ取り付けられた導電片(230b)及び導電片(230e)の重なり部分を含み、これらの部分は、誘電体シートの厚さdだけ離間されている。導電片(230b)及び導電片(230e)の重なり部分は、キャパシタ(213)の平行板構成における2つの電極を形成する。隣接する2つの導電片の重なり部分は、距離xを有する重なり領域と呼ばれる。さらに、導電片(230a)、(230b)、(230c)、(230d)、(230e)、(230f)等のそれぞれは、分散キャパシタ列A(210a)内の2つの隣接するキャパシタを接続する誘導セグメントとして作用する。例えば、導電片(230e)はキャパシタ(211)及びキャパシタ(213)を直列に接続するための誘導セグメント(212)として作用するか、又は他のようにこれを実施する。したがって、キャパシタ(211)及び誘導セグメント(212)は、分散キャパシタ列A(210a)の複数のキャパシタ‐ワイヤ・セグメントのうちの1つを形成する。同様に、キャパシタ(213)及び誘導セグメント(214)は、分散キャパシタ列A(210a)の複数のキャパシタ‐ワイヤ・セグメントのうちの別の1つを形成する。分散キャパシタ列A(210a)において、誘導セグメントが取り付けられている誘電体シートの表面は、表面A(210a)と表面B(210b)との間で交互になっている。例えば、誘導セグメント(212)及びキャパシタ(213)の一方の電極は、表面A(210a)に取り付けられた単一の導電片(230e)として統合され、誘導セグメント(214)及びキャパシタ(213)の他方の電極は、反対側にある表面B(210b)に取り付けられた単一の導電片(230b)として統合される。この文脈では、分散キャパシタ列A(210a)に示される各キャパシタ‐ワイヤ・セグメントが、第1タイプの統合キャパシタ‐ワイヤ・セグメントである。本書で使用されるように、統合キャパシタ‐ワイヤ・セグメントは、直列に接続されたキャパシタ及び誘導セグメントであり、ここで、誘導セグメントとキャパシタの1つの電極とが単一の導電片に統合されている。
【0112】
さらに、
図2Jに示されるように、分散キャパシタ列B(210b)は、誘電体シートの互いに反対側にある2つの表面(すなわち、表面C(220c)、表面D(220d))に取り付けられた導電片(230g)、(230h)、(230j)、(230k)、(230m)、(230n)、(230p)などから構成されたキャパシタを含む。分散キャパシタ列A(210a)と同様に、分散キャパシタ列B(210b)は、印刷、積層、エッチング、又はそれらの組合せによって構成されうる。例えば、キャパシタ(215)は、表面C(220c)及び表面D(220d)にそれぞれ取り付けられた導電片(230g)及び導電片(230m)の重なり部分を含み、これらの部分は、誘電体シートの厚さdだけ離間されている。導電片(230g)と導電片(230m)の重なり部分は、キャパシタ(215)の平行板構成における2つの電極を形成する。キャパシタ(216)は、表面C(220c)及び表面D(220d)にそれぞれ取り付けられた導電片(230h)及び導電片(230m)の重なり部分を含み、これらの部分は、誘電体シートの厚さdだけ離間されている。導電片(230h)及び導電片(230m)の重なり部分は、キャパシタ(216)の平行板構成における2つの電極を形成する。キャパシタ(215)及びキャパシタ(216)は、導電片(230m)において互いに直列に接続され、導電片(230g)と導電片(230h)との間にそれ自体接続される複合キャパシタ(222)を形成する。同様に、直列に接続された2つのキャパシタを含む複合キャパシタ(223)は、導電片(230h)と導電片(230j)との間に接続される。さらに、導電片(230g)、(230h)、(230j)等のそれぞれは、分散キャパシタ列B(210b)内の2つの隣接する複合キャパシタを接続する誘導セグメントとして作用する。例えば、導電片(230h)は、複合キャパシタ(222)及び複合キャパシタ(223)を直列に接続するための誘導セグメント(218)として作用するか、又は他のようにこれを実施する。したがって、複合キャパシタ(222)及び誘導セグメント(218)は、分散キャパシタ列B(210b)の複数のキャパシタ‐ワイヤ・セグメントのうちの1つを形成する。同様に、複合キャパシタ(223)及び誘導セグメント(219)は、分散キャパシタ列B(210b)の複数のキャパシタ‐ワイヤ・セグメントの別の1つを形成する。分散キャパシタ列B(210b)において、誘導セグメント(215)、(218)、(219)等は、誘電体シートの単一の表面(すなわち、表面C(220c))に取り付けられる。例えば、誘導セグメント(218)及び複合キャパシタ(223)の一方の電極は、表面C(210c)に取り付けられた単一の導電片(230h)として統合され、誘導セグメント(219)及び複合キャパシタ(223)の他方の電極は、同じ表面C(210c)に取り付けられた単一の導電片(230j)として統合される。この文脈では、分散キャパシタ列B(210B)に示される各キャパシタ‐ワイヤ・セグメントは、第2タイプの統合キャパシタ‐ワイヤ・セグメントである。
【0113】
上述したように、上記の
図2D及び
図2Eにそれぞれ示されたワイヤ・ループ(204)及び矩形ループ(206)は、分散キャパシタ列A(210a)、分散キャパシタ列B(210b)、又はそれらの組合せに基づいてもよい。言い換えると、分散キャパシタ列A(210a)内の第1タイプの統合キャパシタ‐ワイヤ・セグメント及び/又は分散キャパシタ列B(210b)内の第2タイプの統合キャパシタ‐ワイヤ・セグメントは、上記の
図2D及び
図2Eにそれぞれ示されるワイヤ・ループ(204)及び/又は矩形ループ(206)に含まれてもよい。上記の分散キャパシタ列A(210a)及び分散キャパシタ列B(210b)には特定の数の統合キャパシタ‐ワイヤ・セグメントが示されているが、ワイヤ・ループ(204)及び/又は矩形ループ(206)は、分散キャパシタ列A(210a)及び分散キャパシタ列B(210b)に示されているものよりも、いずれかのタイプのより多い統合キャパシタ‐ワイヤ・セグメント、又はいずれかのタイプのより少ない統合キャパシタ‐ワイヤ・セグメントを含んでもよい。1つ以上の実施形態では、いずれかのタイプ又は両方のタイプの統合キャパシタ‐ワイヤ・セグメントは、(例えば、個別のキャパシタ及びインダクタに基づく)他の形式のキャパシタ‐ワイヤ・セグメントと組み合わされて、上記の
図2D及び
図2Eにそれぞれ示されるワイヤ・ループ(204)及び/又は矩形ループ(206)を形成してもよい。
【0114】
図2Kは、1つ以上の実施形態による、凡例(221)に基づいて描かれた可変フォームファクタ送電器(102)の例示の構成を示す。1つ以上の実施形態では、
図2Kに示されるモジュール及び要素のうちの1つ以上が省略され、繰り返され、及び/又は置換されうる。したがって、本発明の実施形態は、
図2Kに示されるモジュールの特定の構成に限定されると考えられるべきではない。
【0115】
図2Kに示されるように、凡例(221)に基づいて描かれる電力送電器(250)は、上述の
図2Eの3次元(3D)図に対応する例示の構成を示す。電力送電器(250)の矩形ループ(206)は、上述の
図2Jを参照して説明された分散キャパシタ列A(210a)に基づく。具体的には、矩形ループ(206)の部分(224)は、
図2Jに描かれている分散キャパシタ列A(210a)の3D図に対応する。言い換えれば、
図2Jに示された分散キャパシタ列A(210a)は、部分(224)の(両方向破線矢印によって示される)断面に対応する。分散キャパシタ列A(210a)内の導電片及び誘電体シートの厚さは、前述の2Dフォームファクタを示すことを分かりやすくするために、3D図では省略されている。
【0116】
矩形ループ(206)のRF特性が以下に説明され、ここで、矩形ループ(206)のオーバーラップ領域の幅、長さ、及び個数は、それぞれa、b、及びnとして示される。隣接する2つの導電片間の重なり面積Aは、式(16)を使用して計算されてもよく、ここで、導電片幅、導電片長、及び重なり領域距離はそれぞれ、w、l、及びxとして示される。
【0117】
各重なり領域の容量は式(17)を用いて計算されてもよく、ここで、誘電率及び誘電体シートの厚さはそれぞれ、ε及びdと表される。
【0118】
矩形ループ(206)の全容量は、式(18)を使用して計算されてもよい。
【0119】
矩形ループ(206)の全インダクタンスは、式(19)及び式(20)を使用して計算されてもよい。
【0120】
矩形ループ(206)の共振周波数ω
oは、式(21)を使用して計算されてもよい。
【0121】
矩形ループ(206)の共振周波数と他のパラメータとの間の追加の関係は、式(22)、式(23)、及び式(24)を含む。
【0122】
表2は、上記の式に基づいた矩形ループ(206)のRF特性の4つの例を列挙する。
表2
【0123】
1つ以上の実施形態では、電力送電器(250)は、所定のワイヤレス電力伝送エリアに基づいて構成される。例えば、所定のワイヤレス電力伝送エリアは、1つ以上のモバイル受電器デバイス(例えば、携帯電話)がワイヤレス電力伝送を受電するために配置されるテーブル・トップ表面であってもよい。矩形ループ(206)は、テーブル・トップ表面に基づく経路に沿って移動可能に又は永久的に配置されてもよい。例えば、経路は、テーブル・トップ表面の縁であってもよいし、テーブル・トップ表面の上又は下であってもよいし、テーブル・トップ表面の表面の固定具又は天井であってもよいし、テーブル・トップ表面の下方の床上又は床に埋め込まれてもよい。電源(108)は、端子A(202a)及び端子B(202b)を介してキャパシタ‐ワイヤ・セグメントに接続され、テーブル・トップ表面近くの壁の電源コンセントに差し込まれてもよい。誘電体シート(225)は、矩形ループ(206)のキャパシタを実施し、矩形ループ(206)を機械的に支持するために、経路の少なくとも一部を取り囲む。
【0124】
別の例では、所定のワイヤレス電力伝送エリアは、1つ以上の受電器デバイス(例えば、携帯電話)がワイヤレス電力伝送を受電するために空間の周りに配置される窓に隣接する空間であってもよい。矩形ループ(206)は、窓に基づく経路に沿って移動可能に又は永久的に配置されてもよい。例えば、経路は、窓枠の縁部であってもよいし、窓ガラス表面の前又は後ろであってもよいし、窓ガラス又は窓枠に埋め込まれてもよい。電源(108)は、窓が取り付けられている壁の電源コンセントに差し込まれてもよいし、壁の表面の後ろの電源コンセントに配線されてもよい。
【0125】
1つ以上の実施形態では、誘電体シート、導電片、及び/又は統合キャパシタ‐ワイヤ・セグメントのうちの1つ以上は、それぞれの厚さ及び/又は組成に応じて、剛性又は柔軟性、透明、半透明、又は不透明であってもよい。誘電体シート、導電片、及び/又は統合キャパシタ‐ワイヤ・セグメントの2Dフォームファクタは
図2Kでは矩形として示されているが、示されるものとは異なる2Dフォームファクタ(例えば、多角形、円形、長円形、楕円形、螺旋形などの形状、又はそれらの組合せ)も、誘電体シート、導電片、及び/又は統合キャパシタ‐ワイヤ・セグメントによって示されうる。矩形ループ(206)内の導電片は
図2Kの矩形状の輪郭を描く経路に追従するが、矩形ループ(206)内の導電片は、矩形ループ(206)を、多角形、円形、長円形、楕円形、螺旋形などのループ、又はそれらの組合せのような異なる形状を有するループに変える異なる形状の輪郭を描く異なる経路に追従してもよい。矩形ループ(206)内の特定の個数の導電片及び/又は統合キャパシタ‐ワイヤ・セグメントが
図2Kに示されているが、電力送電器(250)は、示されているものよりも多い統合キャパシタ‐ワイヤ・セグメントを含んでもよく、又は少ない統合キャパシタ‐ワイヤ・セグメントを含んでもよい。
【0126】
図2Lは、1つ以上の実施形態による可変フォームファクタ送電器(102)の例示の構成を示す。1つ以上の実施形態では、
図2Lに示されるモジュール及び要素のうちの1つ以上が省略され、繰り返され、及び/又は置換されうる。したがって、本発明の実施形態は、
図2Lに示されるモジュールの特定の構成に限定されると考えられるべきではない。
【0127】
図2Lに示されるように、凡例(231)に基づいて描かれた電力送電器(260)は、上記の
図2Kに描かれた電力送電器(250)の上面図に対応する例示の構成を示す。特に、上面図は、電力送電器(250)の表面(例えば、表面A(220a)、表面B(220b))に直交する前述の第3次元に沿った観察方向を有する。電力送電器(260)は、誘電体シート(251)を用いて実装され、電源(108)に接続された矩形ループ(206a)を含む。矩形ループ(206a)及び誘電体シート(251)は、上記の
図2Kに描かれた矩形ループ(206)及び誘電体シート(225)の変形である。例えば、矩形ループ(206a)及び矩形ループ(206)は、異なる個数のキャパシタ‐ワイヤ・セグメントを有する。また、誘電体シート(251)は、誘電体が誘電体シート(251)から切り出された開口(233)を含む。
【0128】
1つ以上の実施形態では、電源(108)は、導電回路パターン及びそれに取り付けられた電子チップを有する絶縁ポリマー薄膜を有する少なくともフレキシブル回路を使用して実装される。例えば、フレキシブル回路は、誘電体シート(251)に取り付けられ、及び/又は機械的に支持されてもよい。電力送電器(260)のうちの電源(108)を含む部分の例示の詳細が、凡例(241)に基づいて以下の
図2Mに示される。
【0129】
図2Mに示されるように、電源(108)は、誘電体シート(251)の表面に取り付けられたいくつかの導電片に接続されたフレキシブル回路(108a)を含む。導電片は、スパイラルA(209a)、スパイラルB(209b)、スパイラルC(209c)、及びスパイラルD(209d)を含む。スパイラルA(209a)の一端を端子A(204a)と表し、スパイラルB(209b)の一端を端子B(204b)と表し、スパイラルC(209c)の一端を端子C(204c)と表し、スパイラルD(209d)の一端を端子D(204d)と表す。スパイラルA(209a)及びスパイラルB(209b)の他端は、導電ブリッジA(209d)を用いて一緒に接続され、電源(108)に収容された絶縁変圧器の二次巻線を実装する。スパイラルC(209c)及びスパイラルD(209d)の他端は、導電ブリッジB(209e)を用いて一緒に接続され、絶縁変圧器の一次巻線を実装する。導電ブリッジA(209d)及び導電ブリッジB(209e)は、絶縁された導電ワイヤ又は他の電気接続手段を使用して実装されてもよい。一次巻線と二次巻線とは互いに絡み合い、絶縁変圧器のインダクタンス結合効果をもたらす。さらに、電源(108)に含まれる(C1及びC2と表される)特定のキャパシタは、端子A(204a)、端子B(204b)、端子C(204c)、及び端子D(204d)に接続されてもよい。キャパシタC1及びC2は、誘電体シート(251)の互いに反対側にある2つの表面に取り付けられた追加の導電片を用いて実装された端子又はキャパシタに半田付けされた個別のキャパシタであってもよい。例えば、絶縁変圧器及びキャパシタC1及びC2は、電源(108)の所定の出力インピーダンスを、
図2Lに描かれた矩形ループ(206a)内の分散キャパシタの列に実質的に整合させるために、インピーダンス整合回路の一部であってもよいし、これに関連してもよい。
【0130】
図2Nは、1つ以上の実施形態による、上記の
図2Kに示された電力送電器(250)に基づく、ワイヤレス電力伝送エリアの適用例を示す。1つ以上の実施形態では、
図2Nに示されるモジュール及び要素のうちの1つ以上が省略され、繰り返され、及び/又は置換されうる。したがって、本発明の実施形態は、
図2Nに示されるモジュールの特定の構成に限定されると考えられるべきではない。
【0131】
図2Nに示されるように、ワイヤレス電力伝送エリアは、電力送電器(250)の矩形ループ(206)がテーブル・トップ(600)の縁に追従するテーブル・トップ(600)を含む。誘電体シート(225)は、明瞭にするために厚さが省略されたテーブル・トップ(600)の上部に敷設される。電源(108)の電源コード及びプラグも省略されている。受電器デバイスA(500a)及び受電器デバイスB(500b)は、電力送電器(250)からワイヤレス電力伝送を受電して、グラスの底部に取り付けられた装飾的な発光ダイオード(LED)の列を点灯させる。受電器デバイスA(500a)及び受電器デバイスB(500b)の例が、
図5A、
図5B、
図5D、及び
図5Eを参照していかに説明される。さらに、受電器デバイスC(500c)は、携帯電話、タブレット・コンピュータ、ノート・コンピュータなどのようなモバイル・デバイス(500)のバッテリを充電するために、電力送電器(250)からワイヤレス電力伝送を受電する市販の製品である。表3は、電力送電器(250)の4つの例示の負荷シナリオに対する入力電力及び入力電流を示す。
表3
【0132】
上記の
図2Jに示されている分散キャパシタ列A(210a)及び分散キャパシタ列B(210b)と同様に、
図2Pは、1つ以上の実施形態による可変フォームファクタ送電器の追加の構成を示す。特に、2つの導電フィルムの重なり部分はキャパシタに対応し、一方、いずれかの導電フィルムの非重なり部分はインダクタに対応する。1つ以上の実施形態では、
図2Pに示されるモジュール及び要素のうちの1つ以上が省略され、繰り返され、及び/又は置換されうる。したがって、本発明の実施形態は、
図2Pに示されるモジュールの特定の構成に限定されると考えられるべきではない。
【0133】
図2Pに示されるように、分散キャパシタ列C(210c)、分散キャパシタ列D(210d)、及び分散キャパシタ列E(210e)は、上記の
図1.1及び
図1.2に示される可変フォームファクタ送電器(102)の3つの追加の例示の構成である。凡例(300)にしたがって、誘電体は、2層の導電フィルムを分離する層である。機械的支持は、誘電体によって提供されるのではなく、むしろ、導電フィルム層及び誘電体層の両方の下方に示される、別個で区別できる機械的絶縁基板によって提供される。誘電体は、導電フィルムの層のうちの1つの層の表面上に成長した酸化物層を含んでもよく、これは金属導電体であってもよい。誘電体層は、分散キャパシタ列C(210c)に示されるように、下部導電層の上面全体を覆ってもよく、又は分散キャパシタ列D(210d)に示されるように、重なりの領域のみを覆ってもよい。
【0134】
これにかえて、分散キャパシタ列E(210e)に示されるように、誘電体は、上部導電フィルム及び下部導電フィルムの両方が接着する絶縁体の薄膜から構成されてもよい。しかし、誘電体は、十分な機械的支持を提供するには薄すぎるかもしれず、この場合、3つの層すべてが、誘電体及び上部/下部導電フィルムの機械的支持を提供する追加の絶縁層の上に重ね合わされてもよい。
【0135】
図4Aは、本発明の1つ以上の実施形態による例示のRF電源の概略図を示す。特に、
図4Aに示される例示のRF電源(108)は、上記の
図1A、
図1C、
図2B、
図2C、
図2D、
図2K、
図2L、及び
図2Mに描かれた電源(108)として、ISM帯域に基づいて動作してもよい。具体的には、
図4Aに示される例示のRF電源(108)は、上記の
図1A、
図1C、
図2B、
図2C、
図2D、
図2K、
図2L、及び
図2Mに描かれた電源(108)の2つの端子に対応する端子A(204a)及び端子B(204b)を含む。概略図は、様々なRLC回路部品のキャパシタ、インダクタ、及び抵抗、並びに様々な型番の集積回路部品を含む。特に、L1及びL2として表されるインダクタは、上記の
図2Mに示される一次導電巻線及び二次導電巻線に対応する。C1及びC2として表されるキャパシタは、上記の
図2Mに示される同様の名称のキャパシタに対応する。1つ以上の実施形態では、
図4Aに示されるモジュール及び要素のうちの1つ以上が省略され、繰り返され、及び/又は置換されうる。したがって、本発明の実施形態は、
図4Aに示されるモジュールの特定の構成に限定されると考えられるべきではない。
【0136】
図4Bは、本発明の1つ以上の実施形態による等価回路に接続された例示のRF電源の概略図を示す。特に、
図4Bに示される例示のRF電源(108)は、上記の
図1A、
図1C、
図2B、
図2C、
図2D、
図2K、及び
図2Lに描かれた電源(108)として、ISM帯域に基づいて動作してもよい。具体的には、
図4Bに示される例示のRF電源(108)は、上記の
図1A、
図1C、
図2B、
図2C、
図2D、
図2K、及び
図2Lに描かれた電源(108)の2つの端子に対応する端子A(204a)及び端子B(204b)を含む。概略図は、様々なRLC回路部品のキャパシタ、インダクタ、及び抵抗、並びに様々な型番の集積回路部品を含む。特に、等価回路(206b)は、上記の
図2K及び
図2Lに示される矩形ループ(206)又は矩形ループ(206a)を表す。1つ以上の実施形態では、
図4Bに示されるモジュール及び要素のうちの1つ以上が省略され、繰り返され、及び/又は置換されうる。したがって、本発明の実施形態は、
図4Bに示されるモジュールの特定の構成に限定されると考えられるべきではない。
【0137】
図5Aは、本発明の1つ以上の実施形態による例示の受電器デバイスA(500a)の概略図を示す。1つ以上の実施形態では、
図5Aに示されるモジュール及び要素のうちの1つ以上が省略され、繰り返され、及び/又は置換されうる。したがって、本発明の実施形態は、
図5Aに示されるモジュールの特定の構成に限定されると考えられるべきではない。
【0138】
図5Aに示されるように、受電器デバイスA(500a)は、LED列を形成するように並列に接続されている複数の発光ダイオード(LED)(例えば、LED(502))を含む。LED列の両端は、整流回路A(501a)に接続されてループを形成している。例えば、ループは、上記の
図1Aに描かれたワイヤレス電力伝送エリア(101)内で使用されるモバイルLED照明デバイスとして使用される円形ループであってもよい。1つ以上の実施形態では、整流器A(501a)は、キャパシタC
1、C
2と、C
3及び整流ダイオードD
1及びD
2とを含む。受電器デバイスA(500a)が振動磁界の存在下にある場合、LED列のループを通る変化する磁束は、LED列の両端間に電圧差を誘導する。誘導電圧差は、経時的に振動する。静電容量C
3は、誘導された振動電圧を高めるために、LED列を振動磁界と共振させるように調整される。整流ダイオードD
1及びD
2は、誘導された振動電圧を整流して、LED列の外側ワイヤ(503a)と内側ワイヤ(503b)との間にDC電圧差を生成し、それによって、並列接続されたLED(例えば、LED(502))に電力を送達する。キャパシタC
1及びC
2はRFバイパスキャパシタとして作用し、LED列の外側ワイヤ(503a)及び内側ワイヤ(503b)がRF電流に短絡されたように見えるように維持する。受電器デバイスA(500a)の構成は、整流ダイオードD
1又はD
2と直列に接続されたLEDにわたる組み合わされた順方向電圧降下によってループ電圧を制限し、これにより、ユーザに対する安全性が向上する。
【0139】
図5Aと同様に、
図5Bは例示の受電器デバイスB(500b)を示しており、これは、複数の整流回路(すなわち、整流回路B(501b)、整流回路C(501c)、整流回路D(501d)、整流回路E(501e))を有する受電器デバイスA(500a)のより大きなバージョンである。受電器デバイスB(500b)の動作は、受電器デバイスA(500a)とほぼ同じである。受電器デバイスB(500b)内のセグメント数は、負荷、すなわち並列接続されたLEDに最適なインピーダンス整合を与えるように選択されうる。
【0140】
【0141】
図5Cは、本発明の1つ以上の実施形態による例示の受電器デバイス回路(500c)の概略図を示す。1つ以上の実施形態では、受電器デバイス回路(500c)は、上記の
図1Aに示されるワイヤレス電力伝送エリア(101)内の様々な種々のタイプのモバイル用途又は静止用途のために、種々の形状、サイズ、フォームファクタなどを有する様々なタイプの受電器デバイスで使用される。1つ以上の実施形態では、受電器デバイス回路(500c)の少なくともインダクタLが、ワイヤレス電力伝送を受電するためにワイヤレス電力伝送エリア(101)内に配置される。
図5Cに示される残りの構成要素は、受電されたワイヤレス電力を、抵抗R
Lによって表される負荷によって消費されるのに適した形式に変換するように構成される。
【0142】
図5Cに示されるように、インダクタLは、キャパシタC
1、C
2及びC
3と共に、上記で
図1A~
図2Gを参照して説明された可変フォームファクタ送電器(102)及びRF電源(108)の特性周波数で共振するように同調される。キャパシタC
1の値は、共振受電器とDC‐DC変換器(504)との間のインピーダンス整合を提供するように選択される。DC‐DC変換器(504)は、整流された電圧を、負荷R
Lを駆動するための定電圧に変換する。DC‐DC変換器(504)は、受電器デバイス回路(500c)がワイヤレス電力伝送エリア(101)内の変化する磁界強度の領域を通って移動する状況においても、受電器デバイス回路(500c)が負荷R
Lに定電圧を与えることを可能にする。負荷R
Lは、線形デバイス、すなわち線形の電圧対電流関係を有するデバイスである必要はないことに留意されたい。負荷R
Lの例は、LED、マイクロコントローラ、モータ、センサ、アクチュエータなどを含むが、これらに限定されない。
【0143】
図5Dは、本発明の1つ以上の実施形態による追加の例示の受電器デバイス回路(500d)の概略図を示す。インダクタLは、キャパシタC
1及びC
2と共に、上記の
図1A~
図2Gを参照して説明された可変フォームファクタ送電器(102)及びRF電源(108)の特性周波数で共振するように同調される。キャパシタC
1の値は、共振受電器とLED負荷との間のインピーダンス整合を提供するように選択される。ブリッジ整流器は、キャパシタC
1に存在する高周波電圧をDC電圧に変換し、このDC電圧はLEDを駆動する。例えば、LEDは、上記の
図2Nに描かれている、グラスの底部に取り付けられた装飾的な発光ダイオード(LED)の列に対応してもよい。
【0144】
図5Eは、上記の
図5Dに描かれた例示の受電器デバイス回路(500d)のレイアウト図(500e)を示す。インダクタLは、プリント回路基板(PCB)の表面上の、複数の転回点を有する平坦スパイラルの形状の導電配線で構成される。キャパシタ、C
1及びC
2は、位置(501)でこのスパイラルに直列に配置される。接続部がインダクタLの複数の転回点上にジャンプすることを可能にするためにPCB上で第2層の配線が使用される。また、C
1及びC
2は任意の点でインダクタLの転回点と直列に配置されうることに留意されたい。例えば、
図5Eでは、キャパシタC
2は、インダクタLの中心の断線の両端に配置されている。この配置は、インダクタLの転回点上の電圧の配分の対称性を維持するのに役立つ。
【0145】
本発明の1つ以上の実施形態では、受電器デバイスA(500a)、受電器デバイスB(500b)、受電器デバイス回路(500c)、又は受電器デバイス回路(500d)は、ダイポール送電器(例えば、磁気ダイポール送電器)、分散容量を有するループ・アンテナ、分散容量を有する並列ワイヤ送電線、分散容量を有するシールド送電線などのような任意の電磁送電器から電力を無線で受電してもよい。本発明の1つ以上の実施形態では、受電器デバイスA(500a)、受電器デバイスB(500b)、受電器デバイス回路(500c)、及び/又は受電器デバイス回路(500d)は、可変フォームファクタ送電器(102)から電力を無線で受電するために、受電器デバイス(A)、受電器デバイス(B)、受電器デバイス(C)、受電器デバイス(D)、受電器デバイス(E)、又は受電器デバイス(F)としてワイヤレス電力伝送エリア(101)内に配置される。
【0146】
図6A~
図6Fは、上記の
図1A~
図1Cに示される可変フォームファクタ送電器(102)の変形例の、凡例(600)に従う概略図及びレイアウト図を示す。本発明の1つ以上の実施形態では、
図6A~
図6Fに示される可変フォームファクタ送電器(102)は、上記の
図2A~
図2Pを参照して説明された例示の構成を含んでもよく、又はその他のようにこれに基づいてもよい。分かりやすくするために、分散キャパシタは、
図6A~
図6Fに明示的に示されていないかもしれない。1つ以上の実施形態では、
図6A~
図6Fに示されるワイヤレス電力伝送エリア(101)は、大きなワイヤレス電力伝送エリアであってもよい。大きなワイヤレス電力伝送エリア、又は単に大きなエリアは、可変フォームファクタ送電器(102)の前述の特性周波数に対応する波長を超える寸法(例えば、長さ、幅、直径など)を有する。
【0147】
本発明の1つ以上の実施形態では、
図6A~
図6Fに示される可変フォームファクタ送電器(102)は、振動する電流密度に起因する遠方界放射を抑制するために、2次元の空間周期的な構造に配置されてもよい。特に、
図6A~
図6Fに示される可変フォームファクタ送電器(102)における遠方界放射を抑制することは、以下の
図7A~
図7Fを参照して説明される。
【0148】
1つ以上の実施形態では、
図6A~
図6Fに示されるモジュール及び要素のうちの1つ以上が省略され、繰り返され、及び/又は置換されうる。したがって、本発明の実施形態は、
図6A~
図6Fに示されるモジュールの特定の構成に限定されると考えられるべきではない。
【0149】
図6Aに示されるように、可変フォームファクタ送電器(102)は、ワイヤレス電力伝送エリア(101)の周りに配置された複数の交差結合セグメント(例えば、セグメントA(601)、セグメントB(601b)、セグメントC(601c)等)を含む。本書で使用されるように、セグメントは、可変フォームファクタ送電器(102)の連続部分である。例えば、セグメントは、上記の
図2Fに示される分散キャパシタ列(207)の一区間であってもよい。1つ以上の実施形態では、セグメントは、ループ・エリアを実質的に囲むループ・フォームファクタに配置され、(ネイバーと呼ばれる)隣接するセグメントへの電気接続のための少なくとも1対の端子を有する。隣接するセグメントは、それらの間に介在するセグメントが配置されていない2つのセグメントである。1つ以上の実施形態では、隣接するセグメントは、一方のセグメントから他方のセグメントに電流を流すために互いに電気的に接続される。例えば、セグメントA(601)は、セグメントB(601b)の別の対の端子(602b)に接続された1対の端子(602a)を有する。別の例では、セグメントB(601b)は、隣接する2つのセグメント(すなわち、セグメントA(601a)及びセグメントC(601c))に接続するための2対の端子を有する。1つ以上の実施形態では、各セグメントに流れる電流は、セグメントのループ・エリアに実質的に直交する磁界を誘導する。誘導磁界の方向は、セグメントを流れる電流の回転方向に依存する。回転方向は、時計回り方向と反時計回り方向とのいずれかである。1つ以上の実施形態では、電流は、サイクルの半分の間にすべての電流の方向が反転する交流である。誘導磁界の方向は、電磁定理の右手の法則に従って流れる電流の回転方向に関連する。
【0150】
1つ以上の実施形態では、可変フォームファクタ送電器(102)のセグメントは、高周波(RF)電源から、前述の特性周波数に少なくとも部分的に基づいて、可変フォームファクタ送電器(102)の近傍電磁界を介してワイヤレス電力伝送エリア(101)にわたってRF電力を送電するように構成される。
【0151】
1つ以上の実施形態では、各セグメントは、1つ以上の側部を含み、隣接するセグメントの隣接する側部は互いに反対の回転方向に電流を伝導するように構成される。例えば、誘導磁界が磁界方向Aになるように、セグメントA(601a)及びセグメントC(601c)において電流は反時計回り方向に流れ、これは、
図6Aの観察者に向かってセグメントA(601a)及びセグメントC(601c)のループ・エリアから流出する方向に対応する。対照的に、誘導磁界が磁界方向Bになるように、セグメントB(601b)内で電流は時計回り方向に流れ、これは、
図6Aの観察者から離れてセグメントB(601b)のループ・エリアに流れ入る方向に対応する。隣接するセグメントによって誘導される互いに反対方向の磁界の結果として、可変フォームファクタ送電器(102)の遠方電磁界に起因するワイヤレス電力伝送の放射損失が低減される。隣接するセグメントにおける互いに反対の磁界方向(すなわち、位相のずれた方向)の反復パターンは、市松位相パターンと呼ばれる。
図6Aは、1次元市松パターンを示す。2次元市松パターンの例が以下の
図6E~
図6Gに示される。
【0152】
1つ以上の実施形態では、RF電源は、可変フォームファクタ送電器(102)のセグメントの少なくとも一部に配置された複数の位相同期増幅器を含む。例えば、
図6Aに示される各セグメントは、位相同期RF増幅器を含む。1つ以上の実施形態では、セグメント間の位相同期は、位相同期ループ及びマスタ・スレーブ・トポロジーを使用して達成され、このトポロジーではすべての位相同期RF増幅器がマスタ・クロック信号を共有する。
図6Aは単一ループを形成する接続されたセグメントを描いているが、接続されていないが結合されたループを有する代替の構成では、各ループは、自身のネイバーからの自身の位相差を測定し、自身の位相を、自身の最近接ネイバーの平均位相と反対になるように調節する、位相同期RF増幅器を有していてもよい。この場合、可変フォームファクタ送電器(102)の複数の位相同期増幅器は、何らかの集中制御を必要とせずに、交互位相の市松パターンに自身を自動的に配置する。本書で使用されるように、交互位相は、隣接するセグメントに流れる電流の互いに反対の回転方向を表す。
【0153】
1つ以上の実施形態では、可変フォームファクタ送電器(102)のセグメントは、同じ形状及び/又は寸法を有する。1つ以上の実施形態では、可変フォームファクタ送電器(102)の1つ以上のセグメントは、可変フォームファクタ送電器(102)内の残りのセグメントと比較して、異なる形成及び/又は寸法を有してもよい。1つ以上の実施形態では、可変フォームファクタ送電器(102)のセグメントは、1次元又は多次元の反復構造に配置される。
【0154】
図6Bは、上記の
図6Aに示される例示の可変フォームファクタ送電器(102)の変形の概略レイアウト図を示し、ここで、RF電源が単一のRF増幅器を含む。
図6Bに示されるように、各セグメントは、ループ・エリアにわたって実質的に均一な磁界を説明するために、複数の磁気方向シンボルに関連付けられる。
【0155】
図6Cは、上述の
図6Aに描かれた例示の可変フォームファクタ送電器(102)の変形例の概略レイアウト図を示し、ここで、セグメントは、「A」及び「B」と表された別個のRF増幅器によって個々に給電される可変フォームファクタ送電器A(102a)及び可変フォームファクタ送電器B(102b)として表される2つの別個の部分に分割される。1つ以上の実施形態では、可変フォームファクタ送電器A(102a)及び可変フォームファクタ送電器B(102b)は、セグメント幅の半分だけ物理的にシフトされ、90度の相対位相シフトで駆動される。特に、この配置は、
図6Bに示される構成に存在する磁界の垂直成分におけるヌルを排除する。90度の位相シフトは、放射損失に影響を及ぼさない。
【0156】
図6Dは、上述の
図6Cに描かれた例示の可変フォームファクタ送電器(102)の変形例の概略レイアウト図を示し、ここで、可変フォームファクタ送電器A(102a)はRF増幅器によって明示的に駆動されない。代わりに、可変フォームファクタ送電器B(102b)からの誘導磁界は、次に、可変フォームファクタ送電器A(102a)のセグメントに電流を誘導する。可変フォームファクタ送電器A(102a)及び可変フォームファクタ送電器B(102b)は物理的及び電気的接続に関して互いに独立であるが、それらは磁気的に結合された共振器となる。
【0157】
可変フォームファクタ送電器(102)が磁気的に結合された複数のセグメントから構成される場合、組み合わされた構造の共振特性は、アクティブ位相制御を必要とすることなく、磁気的に結合されたセグメント間に正しい位相関係が存在することを保証するために使用されてもよい。この場合に採用される効果は、任意の2つ以上の結合された共振器の間で生じる周波数分割である。共振器が周期構造に配置される場合、共振固有周波数は、構造のサイズが束縛されずに拡張されるにつれて、連続帯の形式に近づく。ブロッホの定理はこのような構造に適用され、励起の固有モードはブロッホ波動関数で記述される。最高の空間周波数を持つ固有モードは最低の時間周波数を有する。この最高の空間周波数固有モードは、所望の市松位相パターンに対応する。したがって、ブロッホ帯域内でその最低の時間固有周波数で構造を駆動することにより、個々の可変フォームファクタ送電器間の正しい位相関係を保証することが可能である。
【0158】
1つ以上の実施形態では、ワイヤレス電力伝送は、固定された所定の周波数で動作する。したがって、磁気的に結合されたセグメントのシステムは、ブロッホ帯域における最低の時間周波数固有モードがワイヤレス電力伝送の所望の所定の周波数に等しい共振周波数を有するように設計される。
【0159】
磁気的に結合されたセグメントのシステムは、単一のセグメントに接続された増幅器によって駆動されてもよく、その場合、上記の共振条件が満たされる限り、RF電力は、上記の市松位相パターンを確立するために構造を通じて拡散する。しかし、磁気的に結合されたセグメントが何らかの放射損失を有する場合に、磁界の大きさは、セグメント間ホップごとに幾何的に減衰する。したがって、システムのサイズに応じて、システムを複数の点から駆動する必要がある場合がある。この場合ならば、各別々の増幅器は所望の市松位相パターンを維持するように、適切に位相同期されなければならない。
【0160】
単一セグメント内の導電ワイヤの全長が動作周波数の自由空間波長の半分に近づくと、その自己容量に起因して、ワイヤ構造上に実質的な電荷の蓄積が存在することに留意されたい。この解決策は、セグメントと直列に規則的な間隔で分散キャパシタを追加することである。言い換えれば、各セグメントは、上述の分散キャパシタ列として構成される。
【0161】
図6Eは、上述の
図6Aに示される例示の可変フォームファクタ送電器(102)の変形例の概略レイアウト図を示し、ここで、セグメントは、大きな2次元地理的エリアをカバーするように配置される略矩形の形状を有する。
図6Eに描かれた送電器は、誘導結合された接続されていない複数のループのワイヤからなることに留意されたい。
図6Dに示される送電器のように、この誘導結合は、電力が構造全体に均等に拡散されることを保証する。
【0162】
図6Fは、上記の
図6Eに示される例示の可変フォームファクタ送電器(102)の変形例の概略レイアウト図を示し、セグメントがエンドレス・ノット・パターンに従って接続される。
【0163】
図6Gは、上記の
図6Dに描かれた例示の可変フォームファクタ送電器(102)の変形例の概略レイアウト図を示し、ここで、上記の
図6E及び
図6Fに描かれた4つのネイバー構成とは対照的に、各セグメントが3つのネイバー(すなわち、隣接セグメント)を有する。
【0164】
図7A~
図7Fは、2次元の空間周期的な構造に配置された振動電流密度による遠方界放射の抑制を示す図である。
図7Aは、x‐y平面内に全体として存在する2次元の空間周期的な電流分散を示す。ベクトルa
1及びa
2が、構造の2つの基本変換ベクトルを表しているとする。
【0165】
位置‐空間電流密度関数J(x)は、次の特性を有する。
ここで、n
1及びn
2は任意の整数である。式1は、空間周期的構造の別個の並進対称性を表す。
【0166】
逆格子ベクトルb
1及びb
2は、基本変換ベクトルの関数として書かれてもよい。
ここで、^は2つのベクトルのウェッジ積を示す。逆格子ベクトルは次の特性を有する。
ここで、δ
nmはクロネッカーデルタ関数である。
【0167】
さらに、電流密度が以下の追加の対称性を有することを規定する。
【0168】
式5に規定される条件は、電流密度が式1によって記述される周期的並進対称性に加えて、市松パターンの並進対称性を示すことを保証する。
図7Aの検査は、その中に描かれた電流分散が、式5によって説明された市松パターンの並進対称性に従うことを示す。
【0169】
が電流密度の空間フーリエ変換を表すとする。ここで、kは空間波数ベクトルである。
【0170】
図7Bは、フーリエ空間の逆格子を示す。関数
は、
図7Bに示されるように、k
z軸に対して無限に拡張された特異点の線上を除き、どこでもゼロとなり、k
x‐k
y面における逆格子の格子点のそれぞれを中心とする。
【0171】
式(5)に規定される条件は、フーリエ空間における以下の条件を示す。
【0172】
式7は、ドット積
が2πの整数倍である任意の点において
がゼロでなければならないことを示す。逆格子の格子点では、波数ベクトルkは次のように表される。
ここで、n
1及びn
2は整数である。したがって、
は、次の条件が成り立つ逆格子のすべての格子点でゼロになる。
条件9は、整数n
1及びn
2が両方とも奇数又は両方とも偶数であるすべての格子点で満たされる。したがって、
が非ゼロ値をとることができる逆格子内の格子点は、2つの整数の一方が奇数であり他方が偶数である格子点だけである。
【0173】
図7Cは、
がゼロ以外の数値を取りうるk
x‐k
y面内の点を示す。関数
は、k
x‐k
y面内のこれらの点を中心とし、k
z軸に沿って無限に拡張された特異点の線から成る。
【0174】
電流分散J(x)が、角周波数ωで経時的に正弦波で振動すると仮定する。cは周囲媒質中の光速を表し、
は角周波数ωの伝搬電磁波の自由空間波数を表すとする。電流密度J(x)によって放射される電力は、フーリエ空間において実行される以下の積分によって与えられる。
ここで、
であり、
は出射放射線の方向単位ベクトルであり、角度積分
は、
のすべての方向にわたって取られる。式10は発散のない、すなわち、
である電流の分布に対してのみ有効であることに留意されたい。
【0175】
式10の積分は、原点を中心とする半径
のフーリエ空間内の球の表面にわたって実行される。
図7D及び
図7Eは、それぞれケース(a)及びケース(b)のk
x‐k
y面におけるこの表面の円形の断面を示す。特に、
図7Dは、遠方界放射が抑制される例示のケース(a)を示す。ケース(a)の場合、波数
の大きさは、|b
1|及び|b
2|の両方よりも小さい。対照的に、
図7Eは、遠方界放射が抑制されない例示のケース(b)を示す。ケース(b)の場合、
の大きさは、|b
1|及び|b
2|の1つよりも大きい。
【0176】
ケース(a)では、半径
の球は、
が非ゼロ値をとる特異線のいずれとも交差しない。したがって、関数
の値はこの球の表面上のどこでもゼロであり、式(10)の積分は、ケース(a)について正確にゼロである。
【0177】
ケース(b)では、
が非ゼロの値をとる特異線のいくつかは、半径
の球の表面と交差する。したがって、式10の積分はケース(b)に対してゼロではない。
【0178】
したがって、以下の条件を満たす限り、放射電力は抑制される。
【0179】
式5によって表される市松パターンの並進対称性は、式11が満たされる場合に生じる遠方界放射の抑制を保証することに留意されたい。なぜなら、市松パターンの並進対称性は、原点を含む式9によって規定される格子点のすべてにおいて、
の大きさがゼロであるからである。逆格子の原点で
の大きさがゼロでないならば、
は、k
z軸に沿って延びる特異線を有し、この特異線は球の半径にかかわらず、原点を中心とする球と交差することになる。したがって、式10の積分は、
のすべての値に対してゼロではない。
【0180】
図7Fは、電流密度が配置されている矩形の市松格子の例を示す。2つの基本変換ベクトルは、
である。
ここで、w及びhは矩形セルの幅と高さであり、e
1及びe
2はそれぞれx方向及びy方向を指す単位ベクトルである。逆格子ベクトルは、
である。
【0181】
逆格子ベクトルは両方とも、次式で与えられる同じ大きさを有する。
【0182】
遠方界放射を抑制するための条件は、次のように表すことができる。
【0183】
この条件は、自由空間波長
に関しても表すことができる。
【0184】
である場合に、矩形格子が縞柄パターンに近づくと、放射抑制の条件は次のようになる。
【0185】
図8は、本発明の1つ以上の実施形態による方法フローチャートを示す。1つ以上の実施形態では、方法は、上記の
図6A~
図6Gに示される1つ以上の可変フォームファクタ送電器に基づいてもよい。
図8に示される1つ以上のステップは、本発明の様々な実施形態の間で、省略され、繰り返され、及び/又は異なる順序で実行されてもよい。したがって、本発明の実施形態は、
図8に示されるステップの特定の個数及び配置に限定されると考えられるべきではない。
【0186】
最初に、ステップ801では、可変フォームファクタ送電器は、所定のワイヤレス電力伝送エリアの周りに配置された少なくとも複数の交差結合セグメントに適合される。所定のワイヤレス電力伝送エリアは、可変フォームファクタ送電器の特性周波数に対応する波長を超える寸法を含む。1つ以上の実施形態では、1つ以上の交差結合セグメントは、分散キャパシタの列を使用して構成される。
【0187】
ステップ802では、複数の位相同期増幅器がワイヤレス電力伝送のための高周波(RF)電源として、交差結合セグメントの少なくとも一部に配置される。
【0188】
ステップ803では、RF電源から、特性周波数に少なくとも部分的に基づいて、可変フォームファクタ送電器の近傍電磁界を介して、所定のワイヤレス電力伝送エリアにわたってRF電力が送信される。
【0189】
ステップ804では、隣接する交差結合セグメントによって誘導される互いに反対方向の磁界に基づいて、可変フォームファクタ送電器の遠方電磁界に起因するワイヤレス電力伝送の放射損失が低減される。
【0190】
ステップ805では、RF電力伝送を受電するために、所定のワイヤレス電力伝送エリア内に受電器デバイスが配置される。特に、可変フォームファクタ送電器を介してRF電源から送信されたRF電力の一部が受電器デバイスによって受電され、ここで、特性周波数は受電器デバイスの個数又は配置とは実質的に無関係である。
【0191】
本発明を限られた数の実施形態に関して説明してきたが、本開示の恩恵を受ける当業者であれば、本書に開示される本発明の範囲から逸脱しない他の実施形態を考案できることを理解するだろう。したがって、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるべきである。