(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-15
(45)【発行日】2024-02-26
(54)【発明の名称】1つのレールの2つのレール区分の一時的なレール接続部を監視するための監視装置、およびこのような監視装置を備えたレール接続システム
(51)【国際特許分類】
B61L 1/20 20060101AFI20240216BHJP
E01B 11/18 20060101ALI20240216BHJP
B61L 23/04 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
B61L1/20
E01B11/18
B61L23/04
(21)【出願番号】P 2021516683
(86)(22)【出願日】2019-09-05
(86)【国際出願番号】 EP2019073647
(87)【国際公開番号】W WO2020064289
(87)【国際公開日】2020-04-02
【審査請求日】2022-09-02
(31)【優先権主張番号】202018105484.8
(32)【優先日】2018-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】507069564
【氏名又は名称】ローベル バーンバウマシーネン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBEL Bahnbaumaschinen GmbH
【住所又は居所原語表記】Industriestrasse 31, D-83395 Freilassing, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】オットー ヴィトルロイター
(72)【発明者】
【氏名】ティム スタッフォード
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル ゼーライトナー
【審査官】清水 康
(56)【参考文献】
【文献】独国実用新案第202017103074(DE,U1)
【文献】特開2011-132760(JP,A)
【文献】特表2018-521248(JP,A)
【文献】実開昭51-063303(JP,U)
【文献】特開2000-159106(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61L 1/00 - 99/00
E01B 11/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つのレールの2つのレール区分の一時的なレール接続部を監視するための監視装置であって、
第1のレール区分(4)に固定するための第1の固定要素(22)と、
第2のレール区分(5)に固定するための第2の固定要素(24)と、
を備えた監視装置において、
前記固定要素(22,24)の間の第1の間隔(d)を測定するための第1の間隔センサ(30)と、
前記第1の固定要素(22)と前記一時的なレール接続部の第1のクランプ装置(15)との間の第2の間隔(a)を測定するための第2の間隔センサ(31)と、
を有することを特徴とする、監視装置。
【請求項2】
前記第2の固定要素(24)と前記一時的なレール接続部の第2のクランプ装置(16)との間の第3の間隔(b)を測定するための第3の間隔センサ(32)を有する、請求項1記載の監視装置。
【請求項3】
前記固定要素(22,24)は、結合要素(28)によって互いに結合されている、請求項1または2記載の監視装置。
【請求項4】
前記結合要素(28)は、レール長手方向(14)において延長可能である、請求項3記載の監視装置。
【請求項5】
前記第1の間隔センサ(30)は、前記結合要素(28)内に配置されている、請求項3または4記載の監視装置。
【請求項6】
前記第2の間隔センサ(31)は、前記第1の固定要素(22)内に組み込まれ
ている、請求項1から5までのいずれか1項記載の監視装置。
【請求項7】
前記第3の間隔センサ(32)は、前記第2の固定要素(24)内に組み込まれている、請求項2記載の監視装置。
【請求項8】
前記第1の固定要素(22)は、第1の対応固定要素(23)に結合されており、かつ/または前記第2の固定要素(24)は、第2の対応固定要素(25)に結合されている、請求項1から
7までのいずれか1項記載の監視装置。
【請求項9】
前記対応固定要素(23,25)は、別の結合要素(29)によって互いに結合されている、請求項
8記載の監視装置。
【請求項10】
バラスト道床(S)に対する前記レール(1)の相対運動を検出するための第4の間隔センサ(33)を有する、請求項1から
9までのいずれか1項記載の監視装置。
【請求項11】
加速度センサ(35)および/または温度センサ(36)を有する、請求項1から
10までのいずれか1項記載の監視装置。
【請求項12】
測定された間隔(d,a,b,h)を評価するための制御ユニット(38)を有する、請求項1から
11までのいずれか1項記載の監視装置。
【請求項13】
1つのレールの2つのレール区分の一時的なレール接続部を形成しかつ監視するためのレール接続システムであって、
少なくとも1つのレール継目板(10,11)と、
前記少なくとも1つのレール継目板(10,11)を第1のレール区分(4)にクランプするための第1のクランプ装置(15)と、
前記少なくとも1つのレール継目板(10,11)を第2のレール区分(5)にクランプするための第2のクランプ装置(16)と、
監視装置(9)であって、
前記クランプ装置(15,16)の間において前記第1のレール区分(4)に固定するための第1の固定要素(22)と、
前記クランプ装置(15,16)の間において前記第2のレール区分(5)に固定するための第2の固定要素(24)と、
前記固定要素(22,24)の間の第1の間隔(d)を測定するための第1の間隔センサ(30)と、
前記第1の固定要素(22)と前記第1のクランプ装置(15)との間の第2の間隔(a)を測定するための第2の間隔センサ(31)と、
を備えた監視装置(9)と、
を含むレール接続システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、独国実用新案出願第202018105484.8号の優先権を主張するものであり、この独国実用新案出願の内容は、参照により本特許出願に援用される。
【0002】
本発明は、1つのレールの2つのレール区分の一時的なレール接続部を監視するための監視装置に関する。さらに、本発明は、1つのレールの2つのレール区分の一時的なレール接続部を形成しかつ監視するためのレール接続システムに関する。
【背景技術】
【0003】
独国実用新案第202017103074号明細書に基づいて、一時的なレール接続部を形成しかつ監視するためのレール接続システムが公知である。レール破断後に、レール継目板を用いて、互いに連続しているレール区分の一時的な接続部が形成され、これによって、軌道を制限された走行速度下で引き続き使用することができるようになる。そのために、レール継目板は、クランプによってレール区分の両側において不動に固定される。一時的なレール接続部を監視するために、2つのセンサプレートを含む安全装置が設けられている。第1のセンサプレートは、第1の側におけるクランプによって、両レール継目板の一方のレール継目板のそばに固定されている。センサプレートは、第1の間隔センサを含んでおり、この第1の間隔センサは、第1のセンサプレートと隣接したレール継目板との間の間隔を検出する。これに相応して第2のセンサプレートは、第2の側におけるクランプによって、レール継目板のそばに固定されている。第2のレール継目板は、第2の間隔センサを含んでおり、この第2の間隔センサは、第2のセンサプレートと隣接したレール継目板との間の間隔を検出する。測定された間隔が変化しているが、間隔の総和が変化しないままである場合には、レール継目板の位置が変化し、レール区分の間の間隙が一定のままであるということが認識される。これに対して測定された間隔の総和が変化している場合には、レール区分の間の間隙の増大が認識される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の根底にある課題は、1つのレールの2つのレール区分の一時的なレール接続部の確実な監視を可能にする単純な監視装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、請求項1の特徴を備えた監視装置によって解決される。第1の固定要素は第1のレール区分に固定され、これに対して第2の固定要素は第2のレール区分に固定される。固定要素は、特にそれぞれのレール区分のレール底部に固定される。固定要素は、一時的なレール接続部の少なくとも1つのレール継目板のための第1のクランプ装置と第2のクランプ装置との間に配置されている。固定要素は、特にレールの同じ側に配置されている。第1の間隔センサを用いて、固定要素の間の第1の間隔が測定される。第2の間隔センサを用いて、第1の固定要素と少なくとも1つのレール継目板のための第1のクランプ装置との間の第2の間隔が測定される。第1の間隔および第2の間隔の測定は、特に繰り返し、かつそれぞれ共通の時間幅において、好ましくは同時にかつ/または周期的に行われる。第1の間隔および第2の間隔によって、一方では第1の固定要素の不所望の移動が、他方では第1のクランプ装置の不所望の移動が認識され、かつ区別される。第1の間隔および第2の間隔が共に変化している場合には、第1の固定要素は不所望に移動させられている。第2の間隔が変化し、かつ第1の間隔が等しいままである場合には、第1のクランプ装置は不所望に移動させられている。第1の間隔および第2の間隔によってさらに、特に、第2の固定要素と一時的なレール接続部の第2のクランプ装置との間の、測定された第3の間隔との関連において、レール区分の間の間隙が増大しているか否か、またはレール区分の間の破断箇所が拡大しているか否かを認識することができる。第1の間隔が増大し、第2の間隔が等しいままであり、特に第3の間隔も等しいままである場合には、第1の固定要素は移動しておらず、特に第2の固定要素も移動しておらず、第1の間隔の増大は、間隙の増大として認識される。これによって、監視装置を用いて、簡単かつ確実に、一時的なレール接続部を監視することができ、発生している変化を区別することができる。
【0006】
第1の間隔センサは、例えば第1の固定要素に、または第2の固定要素に、または固定要素を結合している結合要素に配置されている。第2の間隔センサは、特に第1の固定要素に配置されている。好ましくは、第2の間隔センサは第1の固定要素の、第2の固定要素とは反対の側にかつ/または第1のクランプ装置に向けられた側に配置されている。
【0007】
請求項2記載の監視装置は、一時的なレール接続部の確実な監視を簡単に保証する。第3の間隔センサは、好ましくは第2の固定要素に配置されている。第3の間隔センサは、特に第2の固定要素の、第1の固定要素とは反対の側にかつ/または第2のクランプ装置に向けられた側に配置されている。第1の間隔および/または第2の間隔および第3の間隔の測定は、特に繰り返し、かつそれぞれ共通の時間幅において、好ましくは同時にかつ/または周期的に行われる。第1の間隔および第3の間隔によって、第2の固定要素の不所望の移動および第2のクランプ装置の不所望の移動が検出され、かつ互いに区別される。第1の間隔および第3の間隔が共に変化している場合には、第2の固定要素の不所望の移動が認識される。これに対して、第3の間隔が変化していて、第1の間隔が等しいままである場合には、第2のクランプ装置の不所望の移動が認識される。第1の間隔が増大し、第2の間隔および第3の間隔が等しいままである場合には、第1の固定要素および第2の固定要素は移動しておらず、第1の間隔の増大は、間隙の増大として確実に認識される。
【0008】
請求項3記載の監視装置は、一時的なレール接続部の確実な監視を簡単に保証する。結合要素によって、固定要素は結合されて1つの部材を形成しており、これによって、固定要素の比較的簡単な取扱いおよび取付けまたは取外しが可能になる。
【0009】
請求項4記載の監視装置は、一時的なレール接続部の確実な監視を簡単に保証する。結合要素がレール長手方向において延長可能であることによって、第1の間隔の確実な測定が保証される。レール区分の間の間隙が増大すると、結合要素もレール長手方向において延長し、これによって、第1の間隔の測定が損なわれることはなくなり、かつ/または影響を受けることはなくなる。好ましくは、結合要素はフレキシブルに、またはフレキシブルな材料から形成されているか、または互いに相対的に移動可能な結合要素部分を備えて複数部分から形成されている。好ましくは、結合要素はエラストマ材料から製造されている。
【0010】
請求項5記載の監視装置は、一時的なレール接続部の確実な監視を簡単に保証する。第1の間隔センサが結合要素内に配置されていることによって、第1の間隔センサは、例えば雪、泥、または塵埃のような周囲の影響、および損傷に対して保護される。結合要素がフレキシブルにまたは弾性に形成されていると、例えば結合要素がエラストマ材料から形成されていると、第1の間隔センサはさらに振動に対しても保護される。
【0011】
請求項6記載の監視装置は、一時的なレール接続部の確実な監視を簡単に保証する。第2の間隔センサが第1の固定要素内に、かつ/または第3の間隔センサが第2の固定要素内に組み込まれていると、一方では監視装置の頑丈かつコンパクトな構造が得られ、かつ他方ではそれぞれの間隔センサが周囲の影響および損傷に対して保護される。好ましくは、第2の間隔センサは第1の固定要素の、第1のクランプ装置に向けられた端面に配置されているかまたは組み込まれている。さらに好ましくは、第3の間隔センサは、第2の固定要素の、第2のクランプ装置に向けられた端面に配置されているかまたは組み込まれている。
【0012】
請求項7記載の監視装置は、一時的なレール接続部の確実な監視を簡単に保証する。固定要素およびそれぞれ付属の対応固定要素は、それぞれのレール区分の両側における安全かつ確実な固定を保証する。第1の固定要素と第1の対応固定要素および/または第2の固定要素と第2の対応固定要素とは、特にねじ結合装置を用いて互いに結合されている。固定要素および付属の対応固定要素は、例えばねじ式締め具の形式で互いに結合されている。好ましくは、固定要素と付属の対応固定要素とは、両要素がそれぞれのレール区分のレール底部に固定可能であるように互いに結合されている。
【0013】
請求項8記載の監視装置は、一時的なレール接続部の確実な監視を簡単に保証する。別の結合要素によって、対応固定要素は互いに結合されて1つの部材を形成しており、これによって、対応固定要素の比較的簡単な取扱いおよび取付けまたは取外しが可能になる。好ましくは、固定要素を互いに結合する第1の結合要素と、対応固定要素を互いに結合する第2の結合要素とは、互いに相応に形成されている。特に、第2の結合要素もレール長手方向において延長可能に形成されている。
【0014】
請求項9記載の監視装置は、一時的なレール接続部の確実な監視を簡単に保証する。第4の間隔センサは、バラスト道床に対するレールまたは軌道の相対運動を特徴付ける第4の間隔を測定する働きをする。この相対運動は呼吸とも呼ばれる。第4の間隔センサは、この第4の間隔センサがレール長手方向に対して横方向に、特に垂直に、かつバラスト道床の方向において測定を行うように位置合わせされている。好ましくは、監視装置は基準要素を有しており、この基準要素に対して第4の間隔が測定される。基準要素は、特に基準測定プレートである。基準測定プレートは、例えば鋼薄板から製造されている。監視装置の取付け時に、基準要素または基準測定プレートはバラスト道床内に配置される。第4の間隔センサとバラスト道床内に配置された基準要素との間の相対運動は、第4の間隔として測定され、かつ評価される。列車の通過時にレールがまくらぎと共に不所望にバラスト道床内に押し込まれると、このことが第4の間隔センサを用いて認識される。
【0015】
請求項10記載の監視装置は、一時的なレール接続部の確実な監視を簡単に保証する。加速度センサまたは温度センサによって、レール区分の間の間隙および/またはバラスト道床の耐荷量および/またはレールの上を走行する列車の車輪セットを評価することができる。レール区間の間の大きな間隙は、高い振動値または衝撃値を生じさせる原因である。上を走行する列車に基づく、レール区分の間の間隙によって発生する衝撃力は、バラスト道床におけるレールまたはまくらぎを降下させる。これによって、レールの相対運動または軌道の呼吸が生じる。この相対運動は、加速度センサまたは振動センサを用いて検出可能である。さらに、軌道の上を走行する列車の車輪におけるフラット箇所が、加速度センサまたは振動センサを用いて検出可能である振動の原因である。温度センサは、温度または温度による長さ膨張に関連した、測定された間隔の評価を可能にする。
【0016】
請求項11記載の監視装置は、一時的なレール接続部の確実な監視を簡単に保証する。制御ユニットは、特に中央のコントロールセンタに情報/信号を伝送するための無線モジュールを有している。そのために制御ユニットは、特に無線アンテナを含んでいる。エネルギ供給のために制御ユニットは、特にアキュムレータを含むエネルギ供給モジュールを含んでいる。制御ユニットは、例えば接続ケーブルを用いて間隔センサに信号接続されている。
【0017】
さらに、本発明の根底を成す課題は、1つのレールの2つのレール区分の一時的なレール接続部を確実に形成しかつ監視することができる、単純なレール接続システムを提供することである。
【0018】
この課題は、請求項12の特徴を備えたレール接続システムによって解決される。本発明に係るレール接続システムの利点は、本発明に係る監視装置の、既に記載された利点に相当する。レール接続システムの監視装置は、特に、請求項1~11のうちの少なくとも1つの請求項の特徴を備えて形成されてもよい。本発明によれば、第1の間隔センサはレール長手方向において固定要素の間に配置されており、これらの固定要素は、少なくとも1つのレール継目板をクランプするためのクランプ装置の間に配置されている。好ましくは、レール接続システムは少なくとも2つのレール継目板を有している。第2の間隔センサは、第1の固定要素と第1のクランプ装置との間の第2の間隔を測定するために配置されている。第1の固定要素は、第1のクランプ装置と第2の固定要素との間に配置されている。さらに、監視装置は、特に第2の固定要素と第2のクランプ装置との間の第3の間隔を測定するための第3の間隔センサを有している。第3の間隔センサは、第2の固定要素と第2のクランプ装置との間に配置されている。第2の固定要素は、第1の固定要素と第2のクランプ装置との間に配置されている。
【0019】
本発明のさらなる特徴、利点、および詳細については、以下で一実施例を参照しながら記載する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】レール接続システムを用いて一時的に接続されている破断されたレールを備えた軌道を示す斜視図である。
【
図2】破断されたレールを
図1のII-II線に沿って断面して示す断面図である。
【
図3】一時的なレール接続部を監視するための監視装置を示す側面図である。
【
図4】
図3に示された監視装置を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
軌道は、互いに平行に配置された2つのレール1,2を有しており、両レール1,2は、まくらぎ3に、図示されていない通常の形式で固定されている。まくらぎ3はバラスト道床S内に配置されており、バラスト道床Sは、まくらぎ3を収容しかつ支持する働きをする。レール1は破断箇所を有しているので、レール区分4,5の間には間隙6が形成されている。
【0022】
レール区分4,5の一時的なレール接続部を形成しかつ監視するために、レール接続システム7が機能する。レール接続システム7は、一時的なレール接続部を形成するための非常用継目板締結装置8と、一時的なレール接続部を監視するための監視装置9とを含んでいる。
【0023】
非常用継目板締結装置8は2つのレール継目板10,11を有しており、両レール継目板10,11は、レール区分4,5の両側においてレール頭部12とレール底部13との間に配置されている。レール継目板10,11はレール長手方向14に延在しており、第1のクランプ装置15を用いて第1のレール区分4に結合され、かつ第2のクランプ装置16を用いて第2のレール区分5に結合されている。加えて、レール継目板10,11は、レール長手方向14において第1のクランプ装置15に対して間隔をおいて配置されている第3のクランプ装置17を用いて、第1のレール区分4に結合されている。これに相応してレール継目板10,11は、レール長手方向14において第2のクランプ装置16に対して間隔をおいて配置されている第4のクランプ装置18を用いて、第2のレール区分5に結合されている。
【0024】
クランプ装置15~18のそれぞれのクランプ装置は2つのクランプジョー19,20を有しており、両クランプジョー19,20は、レール底部13およびそれぞれのレール継目板10,11に支持されていて、ねじ山付き締付けボルト21を用いてレール底部13の下で緊締されている。非常用継目板締結装置8は、欧州特許第1697592号明細書に詳しく図示および記載されているので、これについては当該明細書を参照するものとする。
【0025】
監視装置9は、付属の第1の対応固定要素23を備えた第1の固定要素22と、付属の第2の対応固定要素25を備えた第2の固定要素24とを含んでいる。第1の固定要素22と第1の対応固定要素23とは、レール区分4の両側に配置されていて、第1のねじ結合装置26を用いてレール底部13に固定されている。このようにして、第1の固定要素22と第1の対応固定要素23とは、第1のねじ式締め具を形成している。これに相応して、第2の固定要素24と第2の対応固定要素25とは、レール区分5の両側に配置されていて、第2のねじ結合装置27を用いてレール底部13に固定されている。このようにして第2の固定要素24と第2の対応固定要素25とは、第2のねじ式締め具を形成している。これによって、固定要素22,24および付属の対応固定要素23,25は、レール長手方向14においてクランプ装置15,16の間に配置されている。
【0026】
固定要素22,24は第1の結合要素28を用いて互いに結合されており、これによって、第1の部材B1が形成される。これに相応して対応固定要素23,25は、第2の結合要素29を用いて互いに結合されており、これによって、第2の部材B2が形成される。結合要素28,29は、レール長手方向14において延長可能である。結合要素28,29は、例えばエラストマ材料から形成されている。
【0027】
固定要素22,24の間の第1の間隔dを測定するために、監視装置9は第1の間隔センサ30を有している。第1の間隔センサ30は、第1の結合要素28内に組み込まれており、特にレール長手方向14において測定を行うので、測定された第1の間隔dは、間隙6の幅wに関連して変化する。
【0028】
監視装置9はさらに、第1のクランプ装置15に向けられた側において第1の固定要素22内に組み込まれている第2の間隔センサ31と、第2のクランプ装置16に向けられた側において第2の固定要素24内に組み込まれている第3の間隔センサ32とを含んでいる。第2の間隔センサ31は、レール長手方向14において第1の固定要素22と第1のクランプ装置15との間の第2の間隔aを測定する働きをする。これに対して、第3の間隔センサ32は、レール長手方向14において第2の固定要素24と第2のクランプ装置16との間の第3の間隔bを測定する働きをする。
【0029】
さらに、監視装置9は、第4の間隔センサ33および付属の基準要素34を含んでいる。第4の間隔センサ33は、第4の間隔hがレール長手方向14に垂直にかつバラスト道床Sの方向において測定されるように配置されていて、かつ位置合わせされている。第4の間隔センサ33は、固定要素22,24のうちの1つの固定要素、対応固定要素23,25のうちの1つの対応固定要素、または結合要素28,29のうちの1つの結合要素に配置されている。例えば、第4の間隔センサ33は、バラスト道床Sに向けられた側において第1の結合要素28内に組み込まれている。基準要素34は、基準測定プレートとして、特に鋼薄板から形成されている。基準要素34は、第4の間隔センサ33の下においてバラスト道床S上に載置されている。これによって、第4の間隔センサ33を用いて、第4の間隔センサ33と基準要素34との間の高さ差異を特徴付ける第4の間隔hが測定される。
【0030】
監視装置9はさらに、加速度センサ35および温度センサ36を有している。加速度センサ35および温度センサ36は、固定要素22,24のうちの1つの固定要素、対応固定要素23,25のうちの1つの対応固定要素、および/または結合要素28,29のうちの1つの結合要素に配置されている。例えば、加速度センサ35および温度センサ36は、第1の固定要素22内に組み込まれている。
【0031】
間隔センサ30~33、加速度センサ35、および温度センサ36は、ケーブル接続部37を用いて、監視装置9の制御ユニット38に電気接続されている。制御ユニット38は、間隔センサ30~34、加速度センサ35、および温度センサ36の測定信号を評価するための評価モジュール39、エネルギ供給モジュール40、および無線モジュール41を含んでいる。エネルギ供給モジュール40は、監視装置9へ、特に評価モジュール39および無線モジュール41へエネルギを供給する働きをする。
【0032】
レール接続システム7および監視装置9の機能形式は、下記の通りである。すなわち、
レール1のレール破断後にはまず、非常用継目板締結装置8を用いて、レール区分4,5の一時的なレール接続部が形成される。そのためにレール継目板10,11は一般的な形式で、クランプ装置15,17を用いて第1のレール区分4に、かつクランプ装置16,18を用いて第2のレール区分5に固定される。
【0033】
次いで、監視装置9が組み付けられ、作動させられる。そのために、部材B1,B2が、ねじ結合装置26,27を用いてクランプ装置15,16の間に固定される。第1の固定要素22および付属の第1の対応固定要素23は、第1のレール区分4に固定され、これに対して第2の固定要素24および第2の対応固定要素25は、第2のレール区分5に固定される。ねじ結合装置26,27を用いて部材B1,B2は、レール区分4,5のそれぞれのレール底部13において緊締されるかまたはクランプされる。基準要素34は、第4の間隔センサ33の下でバラスト道床S内に配置される。間隔センサ30~33、加速度センサ35、および温度センサ36は、ケーブル接続部37を用いて電気を通すようにかつ信号を伝送するように制御ユニット38に接続される。
【0034】
次いで、第1~第4の間隔のための基準値が決定され、これらの基準値は個々にd0,a0,b0,h0と呼ばれる。
【0035】
監視装置9は、繰り返し、特に周期的に、かつ共通の時間幅において、特に同時に、間隔d,a,b,hのための測定値、およびレール1の加速度のための測定値、ならびに温度のための測定値を検出する。
【0036】
制御ユニット38を用いて、間隔d,a,bのための測定値によって下記の問題シナリオが認識され、かつ区別される。
【0037】
間隙6が拡大し幅wが増大する際には、基準値d0に比べて大きな第1の間隔dが測定される。間隔a,bが基準値a0,b0に比べて等しいままである場合には、制御ユニット38は間隙6の拡大を認識する。
【0038】
第1の固定要素22の不所望の移動は、第2の間隔aが基準値a0に比べて変化し、かつ同時に第1の間隔dが基準値d0に比べて変化している場合に、第2の間隔aを介して認識される。
【0039】
これに相応して、第2の固定要素24の不所望の移動は、第3の間隔bが基準値b0に比べて変化し、かつ同時に第1の間隔dが基準値d0に比べて変化している場合に、第3の間隔bを介して認識される。
【0040】
第1のクランプ装置15の不所望の移動は、第2の間隔aが基準値a0に比べて変化し、かつ同時に第1の間隔dが基準値d0に比べて等しいままである場合に、第2の間隔aを介して認識される。
【0041】
これに相応して、第2のクランプ装置16の不所望の移動は、第3の間隔bが基準値b0に比べて変化し、かつ同時に第1の間隔dが基準値d0に比べて等しいままである場合に、第3の間隔bを介して認識される。
【0042】
それぞれの問題シナリオは、評価モジュール39を用いて認識され、相応の評価信号が無線モジュール41を用いて中央のコントロールセンタに伝送される。
【0043】
一時的なレール接続部の上を列車が通過すると、レール1,2はまくらぎ3と一緒にバラスト道床S内に押し込まれ、これに対してまくらぎ3の間のバラスト道床Sの高さは変わらないままである。この相対運動は、軌道の呼吸と呼ばれる。第4の間隔hの測定値を基準値h0と比較することによって、軌道の呼吸またはレール1とバラスト道床Sとの間の相対運動が検出される。不所望の相対運動が検出されると、無線モジュール41は相応の評価信号を中央のコントロールセンタに伝送する。これによって、軌道の呼吸も問題シナリオとして認識される。
【0044】
測定された温度を用いて、測定された間隔d,a,b,および/またはhが評価され、かつ場合によっては補正される。測定された温度は、特に、レール長手方向14における温度による長さ膨張の補正を可能にする。
【0045】
加速度センサ35を用いて測定された1つまたは複数の加速度は、一方では、列車が一時的なレール接続部の上を通過した場合における間隙の評価を可能にする。高い測定値は、損傷した一時的なレール接続部に対する示唆である。他方では、測定値は、一時的なレール接続部の上を通過する列車の車輪におけるフラット箇所を認識することを可能にする。なぜなら、このようなフラット箇所は、特徴的な認識可能な振動を生じさせるからである。さらに、測定値を用いて、レール1の呼吸を、第4の間隔センサ33の代わりにまたは第4の間隔センサ33に加えて測定することが可能である。
【0046】
これによって、レール接続システム7および監視装置9は、一時的なレール接続部の確実な形成および監視を簡単に可能にする。監視装置9は、種々様々な問題シナリオの認識および区別を可能にし、かつ相応の評価信号を中央のコントロールセンタに伝送する。