(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-15
(45)【発行日】2024-02-26
(54)【発明の名称】ヒューズの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01H 69/00 20060101AFI20240216BHJP
H05K 3/36 20060101ALI20240216BHJP
H01H 37/76 20060101ALI20240216BHJP
H01H 85/06 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
H01H69/00
H05K3/36 A
H01H37/76 L
H01H85/06
(21)【出願番号】P 2021537906
(86)(22)【出願日】2019-12-27
(86)【国際出願番号】 EP2019087102
(87)【国際公開番号】W WO2020136261
(87)【国際公開日】2020-07-02
【審査請求日】2022-09-21
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2018/097043
(32)【優先日】2018-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591178562
【氏名又は名称】シュルター アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Schurter AG
【住所又は居所原語表記】Werkhofstrasse 8, 6005 Luzern, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マウロ カステッラーニ
(72)【発明者】
【氏名】ペーター シュトラウプ
【審査官】片岡 弘之
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-263949(JP,A)
【文献】中国実用新案第207149513(CN,U)
【文献】特開平09-035614(JP,A)
【文献】特表2012-522334(JP,A)
【文献】米国特許第4972169(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 69/00
H05K 3/36
H01H 37/76
H01H 85/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端部(11)から長手方向軸線(L)に沿って第2端部(12)まで延在するヒューズ(1)を製造する方法であって、以下のステップ、すなわち、
ベースプレート(2)を設けるステップと、
前記ベースプレート(2)に少なくとも部分的に導電性の織物(4)を積層するステップと、
前記織物(4)にカバー層(5)を積層するステップと、
前記ベースプレート(2)と前記織物(4)との間および前記織物(4)と前記カバー層(5)との間に、少なくともそれぞれの縁部領域において、接合層(3)を設けるステップと、
を有し、
前記織物(4)の両面には、前記織物(4)に続いて、それぞれの前記縁部領域間に少なくとも1つの中空部(200、500;700
;800)を設け、
前記織物(4)は、導電性でありかつ前記長手方向軸線(L)に沿って前記ヒューズ(1)の前記第1端部(11)から前記ヒューズ(1)の前記第2端部(12)まで延在する少なくとも1つの第1繊維(400)と、非導電性でありかつ前記長手方向軸線(L)に対して少なくとも横方向に延在する第2繊維(401)と、を有し、少なくとも1つの前記第1繊維(400)は、前記第2繊維(401)よりも高い融解温度を有し、
前記方法はさらに、
少なくとも1つの前記第1繊維(400)の前記融解温度を下回りかつ前記第2繊維(401)の融解温度を上回る温度に、前記積層された要素を加熱するステップと、
所定時間の間、前記温度を維持し、これにより、少なくとも、少なくとも1つの前記第1繊維(400)の領域において、前記第2繊維(401)を融解させ、これにより、少なくとも1つの前記第1繊維(400)を、前記中空部(200、500;700
;800)の領域において少なくとも部分的に露出させるステップと、
前記積層された要素を室温まで冷却するステップと、
を有する、
方法。
【請求項2】
前記ベースプレート(2)は、プリント基板を有する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記ヒューズの2つの前記端部(11、12)に、少なくとも1つの前記第1繊維(400)に導電接続されている電気コンタクト要素(6)を配置するステップを含む、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記コンタクト要素(6)は、前記ヒューズ(1)のそれぞれの前記端部(11、12)の全面にわたって延在している
、または、前記コンタクト要素(6)は、前記ヒューズ(1)の2つの前記端部(11、12)の面の前記織物(4)の領域だけに設けられている、請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記ベースプレート(2)には、少なくとも1つの第1中空部(200)が、前記ベースプレート(2)の前記縁部領域間に構成されており、前記カバー層(5)には、少なくとも1つの第2中空部(500)が、前記カバー層(5)の前記縁部領域間に構成されている、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記ベースプレート(2)と前記織物(4)との間および/または前記織物(4)と前記カバー層(5)との間に、少なくとも1つのフレーム状のスペーサ(7)を配置するステップであって、前記スペーサ(7)の前記縁部領域間に少なくとも1つの第3中空部(700)を構成する、ステップを含む、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
接合層(3)を用いて、前記織物(4)の片面または両面に吸取層(9)を、対応する中空部(200、500;700)に配置するステップを含む、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記ベースプレート(2)、前記カバー層(5)および前記吸取層(9)を閉平面として構成する、請求項
7記載の方法。
【請求項9】
前記接合層(3)は、閉じかつ周りを取り囲むフレームを有し、かつ/または別の接合層(35)は、閉平面として構成されている、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
前記方法は、前記ベースプレート(2)と前記織物(4)との間および/または前記織物(4)と前記カバー層(5)との間に、少なくとも1つのフレーム状のスペーサ(7)を配置するステップであって、前記スペーサ(7)の前記縁部領域間に少なくとも1つの第3中空部(700)を構成する、ステップを含み、
前記接合層(3)は、前記長手方向軸線(L)に対して横方向に、前記フレームの一方の側部(33)から、前記側部(33)に対向する、前記フレームの他方の側部(34)まで延在している少なくとも1つのウェブ(30)を有し、少なくとも1つの前記スペーサ(7)は、前記長手方向軸線(L)に対して横方向に、前記フレームの一方の側部(71)から、前記側部に対向する、前記フレームの他方の側部(72)まで延在する少なくとも1つのウェブを有する、請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記方法は、前記ベースプレート(2)と前記織物(4)との間および/または前記織物(4)と前記カバー層(5)との間に、少なくとも1つのフレーム状のスペーサ(7)を配置するステップであって、前記スペーサ(7)の前記縁部領域間に少なくとも1つの第3中空部(700)を構成する、ステップを含み、
前記ベースプレート(2)、少なくとも1つの前記接合層(3)、少なくとも1つの前記織物(4)、少なくとも1つの前記スペーサ(7)および少なくとも1つの前記カバー層(5)を実質的に矩形に構成し、前記ベースプレート(2)、少なくとも1つの前記接合層(3)、少なくとも1つの前記織物(4)、少なくとも1つの前記スペーサ(7)および少なくとも1つの前記カバー層(5)は、互いに対向する2つの端部(11、12)と、互いに対向する2つの側部(13、14)とを有する、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
2つ以上の織物(4)を配置するステップであって、隣接する2つの織物(4)の間に、接合層(3)によって前記織物(4)に接合されているか、または接合層(3)およびスペーサ(7)によって前記織物(4)に接合されている中間層(8)を設ける、ステップを含む、請求項1から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
前記中間層(8)において、前記中間層(8)の前記縁部領域間に少なくとも1つの第4中空部(800)を構成する、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記織物(4)は、前記長手方向軸線(L)に対して横方向に延在する第1繊維(400)を有する、請求項1から13までのいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
前記織物(4)は、前記長手方向軸線(L)に沿って延在する第2繊維(401)を有する、請求項1から14までのいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
前記織物(4)は、第1融解温度を有する第2繊維(401)と、前記第1融解温度とは異なる第2融解温度を有する
さらなる第2繊維(401)とを有する、請求項1から15までのいずれか1項記載の方法。
【請求項17】
少なくとも部分的に複数の第1繊維(400)をまとめ、かつ/または少なくとも部分的に複数の第2繊維(401)をまとめる、請求項1から16までいずれか1項記載の方法。
【請求項18】
前記織物(4)は、少なくとも、前記織物(4)の2つの側部(43、44)の領域において第2繊維(401)だけを有する、請求項1から17までのいずれか1項記載の方法。
【請求項19】
前記第1繊維(400)および/または前記
第2繊維(401)は、異なる直径を有する、請求項1から18までのいずれか1項記載の方法。
【請求項20】
前記第1繊維(400)は、完全に導電性の断面を有するか、または前記第1繊維(400)は、導電性コーティングまたは導電性コアを有する、請求項1から19までのいずれか1項記載の方法。
【請求項21】
第2繊維(401)の周りに、または第2繊維(401)から成る束の周りに少なくとも1つの第1繊維(400)を螺旋状に巻回する、請求項1から20までのいずれか1項記載の方法。
【請求項22】
請求項1から21までのいずれか1項に記載の方法によって製造される、ヒューズ(1)であって、ベースプレート(2)と、少なくとも部分的に導電性の織物(4)と、接合層(3)により、少なくとも、それぞれの縁部領域において互いに接合されているカバー層(5)と、を有し、
前記織物(4)は、導電性でありかつ長手方向軸線(L)に沿って前記ヒューズ(1)の第1端部(11)から前記ヒューズ(1)の第2端部(12)まで延在している少なくとも1つの第1繊維(400)と、非導電性の第2繊維(401)とを有し、少なくとも1つの前記第1繊維(400)は、前記第2繊維(401)よりも高い融解温度を有する、
ヒューズ(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒューズの製造方法と、このような方法によって製造されるヒューズ、特に表面実装可能なヒューズとに関する。
【0002】
背景技術
従来技術からは、受動電気部品としての表面実装可能なSMD(Surface Mounted Device)デバイスヒューズが公知であり、これは、チップヒューズとも称される。一般に、このようなヒューズは、プリント基板技術を用いて製造される。SMDヒューズは、多くの場合、ピック・アンド・プレースマシンによってFR4プリント基板に自動で被着され、その後、リフローはんだプロセスを用いて、またはウェーブはんだ付け法ではんだ付けされる。SMDヒューズ用の基材としては、主にFR4プリント基板材料またはセラミックが使用される。択一的には、SMDヒューズは、セラミックケーシング内のヒューズとして構成することが可能である。
【0003】
PCB関連の電気めっきによって製造する際には、FR4プリント基板材料は、ガラス繊維によって強化されたエポキシ樹脂から構成される。種々異なる厚さの(6、9、12、18、35μmおよびより厚い)銅シートが、圧力および温度の下でFR4にプレスされて、多くの場合にヒューズエレメント用の土台を形成する。ヒューズエレメントそれ自体は、フォトリソグラフィ法を用いて、また湿式エッチングプロセスによって構造化される。PCB電気めっきは、製造時に侵食的なエッチング化学薬品を要するという欠点を有する。さらに、PCB電気めっきは、時間的かつ装置技術的にコストがかかり、ひいては費用のかかる方法である。さらにヒューズエレメントの断面幾何学形状は、正確に再現可能ではない。というのは、エッチングプロセスは等方性であり、フォトレジストがアンダーカットされてしまうからである。これは、特に厚い銅シートでは大きな悪影響を及ぼし、所望される矩形の断面ではなく台形の断面が生じてしまう。
【0004】
別の製造方法では、プリント基板間にヒューズワイヤが積層される。この方法の欠点は、それぞれのワイヤを個別にプリント基板に固定しなければならないことである。平行に延ばされるべき金属ワイヤの間の間隔およびそれら真直度の規則正しさは、大きなコストをかけることによってのみ保証される。
【0005】
別の製造方法は、半導体製造に由来しかつPCB技術に転用されたワイヤボンディングである。ワイヤボンディングは、チップ・端子接触接続から由来するものであり、複数のボンディングパッドをワイヤによって機械式に接続することができる。ここではワイヤはリールから繰り出され、それぞれのコンタクパッドに接続するように保持される。引き続き、ワイヤとコンタクトパッドとは、例えば、超音波熱法または超音波法のような接続方法により、少なくとも局所的に互いに接続される。このようなヒューズでは、ワイヤの正確な位置決めが極めて重要である。しかしながらワイヤの正確な位置決めは、繁雑であり、付加的な機械コストが必要である。
【0006】
発明の説明
本発明の課題は、上で説明した欠点が回避される、ヒューズの製造方法を提供することである。
【0007】
この課題は、請求項1の特徴的構成を有する方法によって解決される。この方法の別の実施形態およびこの方法によって製造されるヒューズは、別の請求項の特徴的構成によって定義される。
【0008】
第1端部から長手方向軸線に沿って第2端部まで延在するヒューズを製造する本発明の方法は、以下のステップ、すなわち、
・ベースプレートを設ける(Bereitstellen)ステップと、
・ベースプレートに少なくとも部分的に導電性の織物を積層するステップと、
・織物にカバー層を積層するステップと、
・ベースプレートと織物との間および織物とカバー層との間に、少なくともそれぞれの縁部領域において、接合層を設ける(Bereitstellen)ステップと、を有し、
織物の両面には、織物に続いて、それぞれの縁部領域間に少なくとも1つの中空部を設け、
織物は、導電性でありかつ長手方向軸線に沿ってヒューズの第1端部からヒューズの第2端部まで延在する少なくとも1つの第1繊維と、非導電性でありかつ長手方向軸線に対して少なくとも横方向に延在する第2繊維と、を有し、少なくとも1つの第1繊維は、第2繊維よりも高い融解温度を有し、この方法はさらに、
・少なくとも1つの第1繊維の融解温度を下回りかつ第2繊維の融解温度を上回る温度に、積層された要素を加熱するステップと、
・所定時間の間、この温度を維持し、
これにより、少なくとも、少なくとも1つの第1繊維の領域において、第2繊維を融解させ、これにより、少なくとも1つの第1繊維を、中空部の領域において少なくとも部分的に露出させるステップと、
・積層された要素を室温まで冷却するステップと、を有する。
【0009】
このような方法により、ワイヤ・イン・エアヒューズを製造可能である。少なくとも部分的に導電性の織物により、この織物の個々の繊維の層および織物繊維の位置を互いに極めて正確に決定可能であり、これにより、少なくとも1つのヒューズワイヤの繁雑な位置決めを回避可能である。同様に織物繊維の本数および分配を容易に設定可能である。これに対応して、電流・時間特性、温度特性、衝撃耐性、遮断能力、絶縁耐性およびi2t値を容易に設定可能である。このようなヒューズにより、さらに、材料コストおよび製造コストが低くなる。部分的に導電性の織物のコストは低く、ヒューズは、簡単なプロセスを用いて、例えば、プリント基板を製造するためのバッチプロセスのようなバッチプロセスによって製造可能である。例えば、プリプレグによる積層または熱間加圧のような別の有利なプロセスステップも同様に、プリント基板製造から引き継ぐことが可能である。例えば、第1繊維は銅製であり、第2繊維はポリエステル製である。銅は、約1000℃の融解温度を有し、ポリマーは、一般に約100℃~400℃の融解温度を有する。
【0010】
ヒューズを積層する際には、第2繊維が融解する前にヒューズのケーシングを以下によって作製する。すなわち、
・ベースプレートに対して実質的に垂直な方向に、積層された要素を押圧する、
・少なくとも1つの第1繊維および第2繊維の融解温度を下回る温度に、積層された要素を加熱する、
・所定時間の間、この温度に維持する。
【0011】
例えば、190℃の温度に加熱し、この温度を1時間、維持する。これにより、少なくとも、積層された要素の縁部領域が、互いにしっかりと接合される。引き続き、積層された要素を、第1繊維の融解温度を下回りかつ第2繊維の融解温度を上回る温度に加熱する。次に、この温度をある時間の間、維持する。第1の銅製繊維および第2のポリエステル繊維を用いた方法では、ヒューズの積層された要素は、3分以内に室温から250℃の温度に加熱される。この温度を90秒間、維持する。引き続き、ヒューズを室温まで冷却する。加熱は、250℃を上回る温度に、例えば300℃、350℃、400℃または450℃に行うことも可能である。維持時間は、90秒よりも長く、例えば120秒もしくは180秒または900秒までであってもよい。比較的融解温度が低いポリマー材料から成る第2繊維では、加熱温度をより低くまた維持時間をより短く選択可能である。加熱温度は、いずれにせよ、第2繊維の材料の分解温度を下回るように選択すべきである。加熱温度はまた、ベースプレート、接合層およびカバー層の融解温度または分解温度も下回るべきである。第2繊維のエントロピー弾性により、第2繊維は、融解した後、少なくとも1つの第1繊維の領域において縁部領域の方へ引っ張られる。加熱温度をより長く維持すればするほど、第2繊維は、中空部領域内の少なくとも1つの第1繊維の領域においてより完全に融解する。第2繊維を加熱すること、もしくは融解させることにより、縁部領域における織物もしくは融解した織物の厚さを、縁部領域が完全に充填されるまで減少させることが可能である。接合層は、別の層として構成可能であるか、またはヒューズの接合すべき要素に少なくとも部分的に組み入れ可能である。例えば、ベースプレートおよび/または織物および/またはカバー層は、接合性の材料を含んでいてよい。例えば、ヒューズの隣接する2つの層を互いに接合するために、接着ラッカーまたは接着シートを使用可能である。加熱により、接合層の厚さが減少することがある。例えば、接合層の一部分は、織物に浸透してよいか、または縁部領域から流れ出てよい。この方法は、積層されるヒューズとの関連においてのみ使用できるのではない。これは、あらかじめ作製されたケーシング部分を有するヒューズにおいても使用可能である。例えば、第1繊維および第2繊維を有する織物を2つのプラスチックケーシング部分の間に接着可能である。この場合、第1ケーシング部分は、凹部が形成されたベースプレートに対応し、第2ケーシング部分は、凹部が形成されたカバー層に対応し、接着剤は、接合層に対応する。
【0012】
一実施形態においてベースプレートは、プリント基板、例えば、FR4基板またはFR5基板を有する。プリント基板には、例えば、ガラス繊維強化されたエポキシ樹脂のような接合材料が含まれていてよい。択一的には、例えばガラスプレートまたはセラミックプレートのようなセラミック材料が使用可能であるか、またはプラスチックとセラミックとの組み合わせを使用可能である。エポキシ樹脂の代わりに両面接着ポリイミドシートを接合層として使用可能である。
【0013】
一実施形態では、ヒューズの2つの端部に、少なくとも1つの第1繊維に導電接続されている電気コンタクト要素を設ける。このような電気コンタクトは、ターミナルまたは端部外部コンタクトと称され、多くの場合にENIGプロセスによって表面処理加工される。すなわち電気コンタクト要素は、金製のカバー層を有する。
【0014】
一実施形態では、コンタクト要素は、ヒューズの2つの端部の全面にわたって延在している。択一的には、コンタクト要素は、ヒューズの2つの端面の織物の領域だけに設けられていてよい。同様に、コンタクト要素が、側方に、かつ/または上方および下方にヒューズを部分的に包囲することも可能である。このような実施形態では、コンタクト要素は、クランプ状またはスリーブ状に構成される。
【0015】
一実施形態では、ベースプレートには、少なくとも1つの第1中空部(Hohlraum)がベースプレートの縁部領域間に構成されており、カバー層には、少なくとも1つの第2中空部が、カバー層の縁部領域間に構成されている。例えば、ベースプレートおよび/またはカバー層には複数の中空部が構成されていてよい。個々の中空部は、ウェブによって互いに離されていてよい。これらの中空部は、異なる寸法を有していてよく、すなわち、これらの中空部は、異なる幅または深さで構成されていてよい。個々の中空部が、一定の寸法を有しないこと、すなわち、これらの寸法が、長手方向軸線に沿っておよび/またはこれに対して横方向に変化することも考えられる。ヒューズのサイズに応じて、縁部領域は大きさが異なる。例えば、縁部領域およびウェブの幅は、0.3ミリメートル~10ミリメートルである。縁部領域の幅は、ウェブの幅よりも大きくても、同じ大きさでも、また小さくてもよい。
【0016】
一実施形態では、ベースプレートと織物との間および/または織物とカバー層との間に、少なくとも1つのフレーム状のスペーサを配置し、スペーサの縁部領域間に少なくとも1つの第3中空部を構成する。これにより、ベースプレートと織物との間および/または織物とカバー層との間で、スペーサ内に第3中空部が生じる。スペーサは、接合層を用いて、隣接する層に接合可能である。ここでも同様に接着ラッカーまたは接着シートを使用可能である。スペーサおよび/またはこれに隣接する層には、接着ラッカーを染み込ませることも可能である。
【0017】
一実施形態では、接合層を用いて、織物の片面または両面に吸取層を、対応する中空部に配置する。対応する吸取層は、織物の近くの領域に配置可能であるか、またはこの領域から離れた領域に配置可能である。例えば、吸取層は、第2繊維の融点よりも融点が高く吸取性を備えたシリコーンまたは無機材料、例えばバーミキュライト、PDMSなどを有する。吸取層は、織物またはシートとして構成されていてよい。択一的には、織物が、吸取材料を有していてよい。例えば、ガラス繊維が、織物に一緒に織り込まれている場合である。織物にシリコーン樹脂を染み込ませることも可能であり、これにより、織物の繊維は、吸取性を備えたシリコーン樹脂から成るマトリクスによって包囲される。
【0018】
一実施形態において、ベースプレート、カバー層およびそれぞれの吸取層を閉平面として構成する。すなわち、これらは、実質的にヒューズの全幅および全長にわたって穴なしに延在している。一実施形態において、接合層は、閉じかつ周りを取り囲むフレームを有し、すなわち、接合層は、縁部領域から離隔された少なくとも1つの貫通開口部を有する。吸取層が、接合層により、ベースプレートまたはカバー層に直接に接合される場合、対応する接合層は、フレーム形状、ストライプ形状で、または閉平面として構成されていてよい。
【0019】
一実施形態において、接合層は、長手方向軸線に対して横方向に、フレームの一方の側部から、これとは対向する、フレームの他方の側部まで延在している少なくとも1つのウェブを有し、少なくとも1つのスペーサは、長手方向軸線に対して横方向に、フレームの一方の側部から、これとは対向するフレームの他方の側部まで延在する少なくとも1つのウェブを有する。フレームの一方の側部から、これとは反対側にあるフレームの側部まで延在する2つ以上のウェブを設けることも可能である。したがって1つのウェブの際には、接続層および/またはスペーサにおいて2つの貫通開口部が生じる。したがって織物の一方の側部には、これに隣接する2つの中空部が現れる。これに対応して、設けられているウェブよりもそれぞれ1つだけ多くの中空部が現れる。
【0020】
一実施形態では、ベースプレート、少なくとも1つの接合層、少なくとも1つの織物、少なくとも1つのスペーサおよび少なくとも1つのカバー層を実質的に矩形に構成する。すなわちこれらは、実質的に矩形の輪郭を有し、かつ互いに対向する2つの端部と、互いに対向する2つの側部とを有する。端部は、長手方向軸線に沿って並べられており、側部は、長手方向軸線に対して横方向に並べられている。端部と側部との間のコーナには、丸みがつけられていてよい。接合層の貫通開口部およびスペーサも同様に、丸みがつけられたコーナを有していてよい。貫通開口部は、丸みがつけられた端部を有するスリットとして形成されていてもよい。
【0021】
一実施形態では、織物を平坦に構成する。択一的には、プリーツをとって織物を構成し、織物は、複数の連続するプリーツを有する。すなわち、織物は、折られるかまたは波打たされ、織物の2つの端部の間で、織物面から、すなわち接合面から突出する部分を有する。
【0022】
一実施形態では、ヒューズに2つ以上の織物を配置し、隣接する2つの織物の間に、接合層によって織物に接合されているかまたは接合層およびスペーサによって織物に接合されている中間層を配置する。
【0023】
一実施形態では、中間層において、中間層の縁部領域間に少なくとも1つの第4中空部を構成する。この中間層は、ベースプレートもしくはカバー層と同じ材料を有していてよい。
【0024】
一実施形態において、織物は、長手方向軸線に対して横方向に延在する第1繊維を有する。すなわち、織物は、長手方向軸線に沿って延在する導電性繊維と、長手方向軸線に対して横方向に延在する導電性繊維とを有する。織物は、長手方向に配向されている繊維が、横方向に配向されている繊維に接触して電流を通す接触接続を形成するように織ることが可能である。
【0025】
一実施形態において、織物は、長手方向軸線に沿って延在する第2繊維を有する。すなわち、織物は、長手方向軸線に対して横方向に延在する非導電性繊維と、長手方向軸線に沿って延在する非導電性繊維とを有する。
【0026】
一実施形態では、少なくとも部分的に複数の第1繊維をまとめる。すなわち複数の第1繊維は、互いに織り合わせされた繊維束を形成する。択一的または付加的には、少なくとも部分的に複数の第2繊維をまとめる。したがって個々の導電性繊維または非導電性繊維を互いに織り合わせて織物にするか、または個々の繊維と繊維束とを織り合わせて織物にするか、または繊維束を互いに織り合わせることが可能である。繊維束は、例えば、互いに融解されかつ互いに平行に配置されている複数の繊維を有していてよい。このような繊維束は、より大きな直径を有する単独の繊維と同様に振る舞う。
【0027】
一実施形態において、織物は、少なくとも、その2つの側部の領域において第2繊維だけを有する。すなわち、織物は、2つの側部の領域において電気的に非導通である。
【0028】
一実施形態において、第1繊維および/または第2繊維は、異なる直径を有する。例えば、導電性繊維の直径は、非導電性繊維の直径よりも小さい。択一的には、導電性繊維は、非導電性繊維よりも大きな直径を有してよい。同様に、織物において、第1直径を有する非導電性繊維と、第1直径とは異なる第2直径を有する非導電性繊維とを設けることも可能である。例えば、導電性繊維は、5~2,000マイクロメートルの直径を有する。第1繊維および/または第2繊維の断面は、円形、楕円形または多角形に構成されていてよい。
【0029】
一実施形態において、第1繊維は、完全に導電性の断面を有する。このような繊維は、ただ1つの材料だけを有していてよいか、または第1材料から成る導電性コアと、第2材料から成る導電性コーティングとを有していてよい。択一的には第1繊維は、導電性コーティングまたは導電性コアを有する。
【0030】
一実施形態では、非導電性の第2繊維の周りに、または非導電性繊維から成る束の周りに少なくとも1つの導電性の第1繊維を螺旋状に巻回する。この巻線は、均一に実施可能である。すなわち、巻線間隔は、織物の全長にわたって均一に分布している。択一的には、導電性繊維は、非導電性繊維の周りに局所的に狭く、すなわち、より小さな巻線間隔で巻回可能である。より狭い巻線の領域では、導電性繊維はより早く加熱し、これにより、この繊維は、この部分において最初に融解する。したがって、より狭い巻線の領域は、目標融解箇所を形成する。
【0031】
一実施形態において、織物の第2繊維は、異なる材料を有していてよい。例えば、いくつかの繊維は、加熱の際に融解する材料を有し、別のいくつかの繊維は、加熱の際に融解しない材料を有していてよい。例えば、長手方向に配向される第2繊維は、融解しないことが可能であり、長手方向に対して横方向に配向される第2繊維は、融解することが可能である。横方向に配向されるいくつかの繊維が、非融解性であり、これにより、少なくとも1つの第1繊維が、中空部内の中央に位置決めされることが保証される。すなわち、少なくとも1つの第1繊維は、第2繊維により、織物の中央平面によって定められる平面内に保持可能である。
【0032】
一実施形態において、非導電性繊維は、シリコーン(例えばPDMS)、ポリイミド、ポリエステル、ポリアミド(ナイロン)、アラミド(ケブラー)、ポリテトラフルオロエチレン(テフロン)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、エチレン・テトラフルオロエチレン・コポリマー(ETFE)、ポリベンゾイミダゾール(PBI)、ポリアクリロニトリル(PAN)、酸化ポリアクロリニトリル(Pyron:Oxidized polyacrolynitrile)、ポリカーボネート(PC)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、芳香族ポリエステル(例えばVectran)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリビニリデンジフルオライド(PVDF)およびポリプロピレン(PP)を含むグループから選択される材料を有する。
【0033】
一実施形態において、織物は、少なくとも1つの第1繊維および第2繊維と織り合わされた非導電性の第3繊維を有する。第3繊維は、第2繊維よりも高い融点を有する。第3繊維は、基本的に第2繊維と同じ材料を有していてよい。好適には、第3繊維は、ガラス繊維、ポリイミド(カプトン)、アラミド(ケブラー)、ポリベンゾイミダゾール(PBI)および無機繊維または真のセラミック繊維(例えば、アルミノケイ酸塩またはアルミノホウケイ酸塩)を含むグループから選択される材料を含む。
【0034】
一実施形態において、吸取層および/またはベースプレートおよび/またはカバー層および/または導電性繊維および非導電性繊維は、ミネラルコーティングされた表面、例えばバーミキュライトコーティングがコーティングされた表面を有する。
【0035】
一実施形態では、表面コーティングを有する導電性繊維および/または非導電性繊維を設けることができ、この表面コーティングは、PVD/CVD法により、またはプラズマ重合によって被着可能である。非導電性ファイバコアの表面金属化のための択一的なコーティング法は、コロイド溶液への液浸しおよび外部電流のない(無電解)めっきである。表面コーティングにより、その下にある繊維が、例えば、機械的かつ/または電気的かつ/または化学的な影響から保護される。
【0036】
一実施形態において、導電性繊維には吸取材料をコーティング可能である。
【0037】
一実施形態において、表面コーティングには、ポリウレタン(PU)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド(PA)および例えばポリイミド(PI)のようなイミド、または、例えば、上で挙げた材料のコポリマーまたは誘導体のような合成材料を含むグループから選択される材料が含まれる。
【0038】
一実施形態において、導電性繊維には、金、銅、銀、スズおよびこれらの合金を含むグループから選択される材料が含まれる。これらの繊維は、この材料から完全に構成されていてよく、または導電性コアまたは導電性コーティングを有していてよい。コーティングは、部分的なもの、または全体的なものであってよい。例えば、アラミド繊維に金をコーティングするか、またはナイロン繊維に銅をコーティングすることが可能である。例えば、銅線に部分的または全体的にスズまたは銀をコーティングすることも可能である。
【0039】
一実施形態では、複数のヒューズを一緒に積層し、引き続いて互いに切り離す。この場合、個々の層は、複数のヒューズの寸法を有する。例えば、一方向にまとめられた複数のベースプレートは、長いベルトを形成可能であるか、またはこれらが互いに垂直な2つの方向にまとめられた場合にはより大きなプレートを形成可能である。織物によって保証されるのは、導電性繊維が、あらかじめ定められた領域に設けられることである。これに対応し、個々のヒューズは、第1ステップにおいて、導電性繊維の領域においてのみ、例えば穴開けまたはフライス加工によって切り離し可能であり、第2ステップにおいて互いに完全に切り離し可能である。択一的には、個々のヒューズは、例えば、切断、フライス加工またはソーイングにより、一ステップにおいて互いに切り離し可能である。
【0040】
ヒューズの上述の複数の実施形態は、互いに矛盾しないのであれば、任意に組み合わせて使用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
以下、図面に基づき、本発明の実施例をさらに詳しく説明する。これらの図面は、単に説明のために使用されており、制限的なものと解釈すべきではない。
【
図1】本発明によるヒューズの第1実施形態の加熱前の断面図である。
【
図2】
図1のヒューズの切断線A-Aに沿った断面図である。
【
図4】本発明によるヒューズの第2実施形態の加熱前の断面図である。
【
図5】
図4のヒューズの切断線A-Aに沿った断面図である。
【
図7】本発明によるヒューズの第3実施形態の加熱前の断面図である。
【
図8】本発明によるヒューズの第4実施形態の加熱前の断面図である。
【
図9】本発明によるヒューズの第5実施形態の加熱前の断面図である。
【
図10】本発明によるヒューズの第6実施形態の加熱前の断面図である。
【
図11】本発明によるヒューズの第7実施形態の加熱前の断面図である。
【
図12】本発明によるヒューズの第8実施形態の加熱前の断面図である。
【
図13】本発明によるヒューズの第9実施形態の加熱前の断面図である。
【
図14】本発明によるヒューズの第10実施形態の加熱前の断面図である。
【
図17】巻回された導電性の第1繊維を示す図である。
【0042】
本発明の詳細な説明
図1には、本発明によるヒューズ1の第1実施形態の加熱前の断面図が示されている。
図2には、切断線A-Aに沿った
図1のヒューズの断面図が示されており、
図3には、完成した
図1のヒューズの断面図が示されている。ヒューズは、長手方向軸線Lに沿って第1端部11から、これに対向する第2端部12まで延在している。ベースプレート2は、ここでは図示されていない、実質的に平坦な基礎に載置されている。その上には順次に、接合層3と、少なくとも部分的に導電性の織物4と、別の接合層3と、カバー層とが互いに整列されて積層されている。ベースプレート2は、実質的に矩形に構成されたプリント基板であり、第1端部21と、これに対向する第2端部22と、これに対して横方向に配置された第1側部23と、これに対向する第2側部24とを有する。ベースプレート2には、ベースプレート2の上面の縁部領域から離隔されて凹部が形成されており、この凹部は、組み立てられた状態で第1中空部200を画定する。カバー層5は、ベースプレート2と幾何学形状的に同じであり、第1端部51と、第2端部52と、第1側部53と、第2側部54と、組み立てられた状態で第2中空部500を画定する第2凹部とを備えたプリント基板を有する。接合層3は、フレーム状に形成されており、
図15に描画されているように、第1端部31と、第2端部32と、第1側部33と、第2側部34とを有する。
図15の接合要素とは異なり、
図1~
図3に示された実施形態の接合要素は、2つの側部の間に延在する中間ウェブを有しない。これに対応し、縁部領域から離隔されて、ただ1つの貫通開口部が構成されている。少なくとも部分的に導電性の織物4は、第1端部41と、これに対向する第2端部42と、第1側部43と、これに対向する第2側部44とを備えた閉平面を有する。織物4は、少なくともヒューズ1の長手方向に第1端部11から第2端部12まで延在する少なくとも1つの導電性の第1繊維400を有し、また長手方向軸線Lに対して少なくとも横方向に延在する非導電性の第2繊維401を有する。第1繊維400は、第2繊維401よりも高い融解温度を有する。
図2に見て取れるように、織物4は、ヒューズ1の側方の外側輪郭までは延在しておらず、これにより、織物4は、側方が、外側に向かって接合層3の材料によって覆われている。択一的には、織物4は、側方がヒューズの周縁部まで延在していてよい。第2繊維の融解温度を上回る温度に
図1および
図2に描画された積層体を加熱することにより、第2繊維は、融解し、これにより、
図3に示されているように、少なくとも1つの第1繊維400を露出させる。ヒューズ1の2つの端部11、12には、コンタクト要素6が配置されており、コンタクト要素6は、それぞれの端面全体にわたって延在しており、かつ少なくとも1つの第1繊維400と導電接続されている。
【0043】
図4~
図6には、加熱の前後の、本発明によるヒューズの第2実施形態が示されている。第1実施形態とは異なり、ベースプレート2およびカバー層5は、凹部を有しない。その代わりにフレーム状のスペーサ7が設けられており、その内側により、組み立てられた状態において第3中空部700が画定される。すなわち、加熱の前には、プリント基板2と、接合層3と、スペーサ7と、別の接合層3と、少なくとも部分的に導電性の織物4と、別の接合層3と、スペーサ7と、別の接合層3と、カバー層5とが重なり合って積層される。織物4は、ヒューズ1の2つの側部13、14まで延在しているが、織物4の側方の2つの領域43、44は、非導電性である。このような織物4は、例えば、
図16aおよび
図16fに描画されている。ヒューズ1の2つの端部11、12には、コンタクト要素6が配置されており、コンタクト要素6は、織物4を含むそれぞれの端面の領域全体にわたって延在している。これらのコンタクト要素6も、少なくとも1つの第1繊維400に導電接続されている。
【0044】
図7には、本発明によるヒューズ1の第3実施形態の加熱前の断面図が示されている。
図4~
図6の実施形態とは異なり、接合層3およびスペーサ7は、フレーム状にかつウェブ30、70を伴って構成されている。これに対応し、個々の層の縁部領域だけが互いに接合されているのではなく、ベースプレート2の中央領域20と、スペーサ7のウェブ70と、織物4の中央領域40と、カバー層5の中央領域50とが、対応する接合層3のウェブ30によって互いに接合されている。接合層3は、例えば
図15に描画されているように、長手方向軸線Lに沿って、第1端部31から、これに対向する第2端部32まで延在しており、かつ端部近くの2つのフレーム部分31、32と、側方の2つのフレーム部分33、34とを有する、閉じられかつ周囲を取り囲むフレームを有する。側方の第1フレーム部分33の中央からは、ウェブ30が、接合層3の中央領域を通り、第1フレーム部分33に対向する側方の第2フレーム部分34まで延在している。これに対応し、ベースプレート2は、部分的にのみ、すなわち、接合層3のフレーム部分の領域においてのみ、織物4に接合されている。これに対応し、ベースプレート2の第1端部21、第2端部22、第1側部、第2側部および中央領域20と、織物の第1端部41、第2端部42、第1側部、第2側部および中央領域40とが接合されている。同様に織物4の上記の領域は、別の接合層3により、対応して、カバー層5の第1端部51、第2端部52、第1側部、第2側部および中央領域50に接合されている。スペーサ7は、接合層3の寸法に対応する寸法を有するフレーム状の構造を有する。接合層3およびスペーサ要素7のフレーム状の構造により、ベースプレート2と織物4との間、もしくは織物4とカバー層5との間に第3中空部700が、接合層3の貫通開口部の領域に生じる。
【0045】
図8には、本発明によるヒューズの第4実施形態の加熱前の断面図が示されている。この実施形態は、
図1~
図3の実施形態に対応するが、中空部200、500には吸取層9が、接合層3によって配置されている。吸取層9は、閉平面として構成されており、吸取層9は、中空部200、500を貫通して、ヒューズの2つの端部11、12および2つの側部まで延在している。
【0046】
図9には、本発明によるヒューズの第5実施形態の加熱前の断面図が示されている。この実施形態は、
図4~
図6の実施形態に対応するが、中空部700には吸取層9が、接合層3によって配置されており、吸取層9は、側方にかつ長手方向にヒューズ1の周縁部まで延在している。
【0047】
図10には、本発明によるヒューズの第6実施形態の加熱前の断面図が、また
図11には対応する第7実施形態が示されている。これらの実施形態は、
図1および
図4の実施形態に対応するが、閉じられておりかつ平坦な接合層35を有する吸取層9が、ベースプレート2もしくはカバー層5に接合されている。
図10の実施形態において、吸取層9は、ベースプレート2もしくはカバー層5の凹部の、織物4側を向いた面全体にわたって延在している。
図11の実施形態において、吸取層9は、ヒューズ1の第1端部11から第2端部12まで、ベースプレート2もしくはカバー層5の、織物4側を向いた面全体にわたって延在している。
【0048】
図12には、本発明によるヒューズの第8実施形態の加熱前の断面図が示されている。ここでは2つの織物4が、共通の中空部700に配置されている。2つの織物4は、スペーサ7によって互いに離されている。織物4は、外側を向いた面もしくは上方および下方を向いた面において、スペーサ7により、ベースプレート2もしくはカバー層5から離されている。ベースプレート2、スペーサ7、織物4およびカバー層5は、フレーム状の接合層3によって互いに接合されている。当然のことながら、例えば、
図12に示されているように、ベースプレートとカバー層との間に、1つのスペーサによって互いに切り離される2つの織物を配置することも可能である。
【0049】
図13には、本発明によるヒューズの第9実施形態の加熱前の断面図が示されている。実質的に平坦に構成された2つの織物4が、ベースプレート2とカバー層5との間に積層されて配置されている。ここではプリント基板が、中間層8として、2つの織物4の間に設けられている。中間層8には、中間層8の上方および下方の面の縁部領域から離隔されて凹部が構成されており、これらの凹部により、組み立てられた状態において、第4中空部800が画定される。個々の層は、接合層3によって互いに接合されている。
【0050】
図14には、本発明によるヒューズの第10実施形態の加熱前の断面図が示されている。
図13の実施形態とは異なり、ベースプレート2、カバー層5および中間層8は、凹部を有しない。中空部700は、対応するスペーサ7によって形成されており、スペーサ7は、ベースプレート2と織物4との間、織物4と中間層8との間、および織物4とカバー層5との間で、対応する接合層3によって配置されている。
【0051】
図16aには、長手方向軸線Lに沿って延在する導電性の1つの第1繊維400と、長手方向軸線Lに対して横方向にかつこれに対して平行に延在する複数の非導電性繊維401とを有する織物4の第1実施形態が示されている。
【0052】
図16bには、長手方向軸線Lに沿って延在する導電性の複数の第1繊維400と、長手方向軸線Lに対して横方向に延在する非導電性の複数の繊維401とを有する織物4の第2実施形態が示されている。
【0053】
図16cには、織物4の第3実施形態が示されている。織物4は、長手方向軸線Lに沿いかつこれに対して横方向に延在する複数の第1繊維400と、長手方向軸線に沿いかつこれに対して横方向に延在する複数の第2繊維401とを有する。
【0054】
図16dには、第1繊維400から成る束が、個々の第2繊維401に織り合わせられている。織物4の第4実施形態が示されている。
【0055】
図16eには、個々の第1繊維400が、第2繊維401から成る束に織り合わせられている、織物4の第5実施形態が示されている。
【0056】
図16fには、長手方向軸線Lに沿って織物4の第1端部41から第2端部42に延在する個々の第1繊維400間に、複数の第2繊維401が織り込まれている織物の第6実施形態が示されている。したがって2つの導電性の第1繊維400間の間隔は、極めて正確に設定可能である。隣接する2つの導電性繊維400の間により多くの非導電性の第2繊維401が配置されればされるほど、それだけ第1繊維400の間隔は大きくなる。織物4の第1側部43および第2側部44の領域には、非導電性繊維401だけが設けられており、そのために織物4の2つの側方の領域は非導電性である。
【0057】
図17aには、非導電性の第2繊維401の周りに螺旋状に巻回された導電性の第1繊維400が示されており、
図17bには、第2繊維401から成る束の周りに巻回された第1繊維400が示されている。このように巻回された第1繊維400は、上で説明した織物に使用可能である。
【符号の説明】
【0058】
1 ヒューズ
11 第1端部
12 第2端部
13 第1側部
14 第2側部
2 ベースプレート
20 中央領域
21 第1端部
22 第2端部
23 第1側部
24 第2側部
200 中空部
3 接合層
30 ウェブ
31 第1端部
32 第2端部
33 第1側部
34 第2側部
35 接合層
4 ヒューズ素子/織物
40 中央領域
41 第1端部
42 第2端部
43 第1側部
44 第2側部
400 第1繊維
401 第2繊維
402 融解された第2繊維
5 カバー層
50 中央領域
51 第1端部
52 第2端部
53 第1側部
54 第2側部
500 中空部
6 コンタクト要素
7 スペーサ
70 ウェブ
71 第1端部
72 第2端部
700 中空部
8 中間層
800 中空部
9 吸取層
L 長手方向軸線