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▶ モンサント テクノロジー エルエルシーの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-15
(45)【発行日】2024-02-26
(54)【発明の名称】植物調節エレメント及びその使用法
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/11 20060101AFI20240216BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20240216BHJP
   A01H 5/00 20180101ALI20240216BHJP
   A01H 5/10 20180101ALI20240216BHJP
【FI】
C12N15/11 Z ZNA
C12N5/10
A01H5/00 A
A01H5/10
【請求項の数】 16
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022054098
(22)【出願日】2022-03-29
(62)【分割の表示】P 2018547949の分割
【原出願日】2017-03-08
(65)【公開番号】P2022089861
(43)【公開日】2022-06-16
【審査請求日】2022-04-19
(31)【優先権主張番号】62/306,790
(32)【優先日】2016-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】501231613
【氏名又は名称】モンサント テクノロジー エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジャイシュリー・エム・チットゥール
(72)【発明者】
【氏名】スタニスラフ・フラシンスキー
(72)【発明者】
【氏名】モハメド・アウファトル
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・ダブリュー・ピーターソン
【審査官】松田 芳子
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-513982(JP,A)
【文献】'RecName: Full=Chlorophyll a-b binding protein 13, chloroplastic; AltName: Full=LHCII type III CAB-13; Flags: Precursor', UniProtKB/Swiss-Prot [online], 2016年2月17日, Accession No.P27489.1, [2023年3月16日検索], インターネット<https://www.ncbi.nlm.nih.gov/protein/115794?sat=46&satkey=434953478>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/09
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
組換えDNA分子であって、
a)配列番号4または5に対して、少なくとも90%の配列同一性を有し、遺伝子発現調節活性を有する配列、及び
b)配列番号4または5を含む配列
からなる群から選択されるDNA配列を含み、
前記配列が異種性の転写可能なDNA分子に作動可能に連結されている、前記組換えDNA分子。
【請求項2】
前記配列が配列番号4または5のDNA配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する、請求項1に記載の組換えDNA分子。
【請求項3】
前記配列が配列番号4または5のDNA配列に対して少なくとも97%の配列同一性を有する、請求項2に記載の組換えDNA分子。
【請求項4】
前記配列が配列番号4または5のDNA配列を含む、請求項3に記載の組換えDNA分子。
【請求項5】
前記異種性の転写可能なDNA分子が農学的に重要な遺伝子を含む、請求項1に記載の組換えDNA分子。
【請求項6】
前記農的に重要な遺伝子が植物において除草剤抵抗性を付与する、請求項5に記載の組換えDNA分子。
【請求項7】
前記農的に重要な遺伝子が植物において病虫害抵抗性を付与する、請求項5に記載の組換えDNA分子。
【請求項8】
遺伝子組換え植物細胞であって、
a)配列番号4または5に対して、少なくとも90%の配列同一性を有し、遺伝子発現調節活性を有する配列、及び
b)配列番号4または5を含む配列
からなる群から選択される配列を含む組換えDNA分子を含み、
前記配列が異種性の転写可能なDNA分子に作動可能に連結されている前記遺伝子組換え細胞。
【請求項9】
前記遺伝子組換え植物細胞が単子葉の植物細胞である、請求項8に記載の遺伝子組換え植物細胞。
【請求項10】
前記遺伝子組換え植物細胞が双子葉の植物細胞である、請求項8に記載の遺伝子組換え植物細胞。
【請求項11】
遺伝子組換え植物、またはその一部であって、請求項1に記載の組換えDNA分子を含む、前記遺伝子組換え植物、またはその一部。
【請求項12】
請求項11に記載の遺伝子組換え植物の子孫植物、またはその一部であって、前記子孫植物またはその一部が前記組換えDNA分子を含む、前記子孫植物、またはその一部。
【請求項13】
遺伝子組換え種子であって、前記種子が請求項1に記載の組換えDNA分子を含む、前記遺伝子組換え種子。
【請求項14】
商品生産物を産生する方法であって、請求項11に記載の遺伝子組換え植物またはその一部を得ること及びそこから前記商品生産物を産生することを含む、前記方法。
【請求項15】
前記商品生産物がタンパク質濃縮物、タンパク質単離物、穀粒、デンプン、種子、ミール、粉末、バイオマスまたは種子油である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
請求項11に記載の遺伝子組換え植物を得ること及び前記植物の栽培を含む、転写可能なDNA分子を発現する方法であって、前記転写可能なDNAが発現される、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の参照
本出願は2016年3月11日に出願された米国仮出願第62/306,790号に対する利益を主張するものであり、その全ての内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
配列表の組込み
2017年3月6日に作成された、29.4KB(Microsoft Windows(登録商標)にて計測)の「MONS417WO-sequence_listing」という名称のファイル内に含まれる配列表は、電子提出により本明細書と共に出願され、参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
発明の分野
本発明は、植物分子生物学、及び植物遺伝子工学の分野に関する。より具体的には、本発明は植物における遺伝子発現を調節するために有用なDNA分子に関する。
【背景技術】
【0004】
調節エレメントは、作動可能に連結される転写可能なDNA分子の転写を調整することによって遺伝子活性を調節する遺伝子エレメントである。このようなエレメントはプロモーター、リーダー、イントロン及び3’非翻訳領域を包含する場合があり、植物分子生物学及び植物遺伝子工学の分野において有用である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、植物において使用する新規の遺伝子調節エレメントを提供する。また本発明は、調節エレメントを含むDNAコンストラクトを提供する。また本発明は、調節エレメントを含む遺伝子組換え植物細胞、植物及び種子を提供する。一実施形態では、調節エレメントは転写可能なDNA分子に作動可能に連結される。ある特定の実施形態では、転写可能なDNA分子は、調節配列に対して異種性であり得る。したがって、本発明により提供された調節エレメント配列は、特定の実施形態において、異種性の転写可能なDNA分子に作動可能に連結されるとして定義され得る。また本発明は、調節エレメント、調節エレメントを含むDNAコンストラクトならびに転写可能なDNA分子に作動可能に連結される調節エレメントを含む遺伝子組換え植物細胞、植物及び種子を作成及び使用する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
したがって、一態様において本発明は、(a)配列番号1~15のいずれかに対して、少なくとも約85パーセントの配列同一性を有する配列、(b)配列番号1~15のいず
れかを含む配列、及び(c)遺伝子調節活性を有する、配列番号1~15のいずれかの断片からなる群から選択されるDNA配列を含む組換えDNA分子を含み、配列が異種性の転写可能なDNA分子に作動可能に連結される組換えDNA分子を提供する。「異種性の転写可能なDNA分子」は、転写可能なDNA分子が、作動可能に連結されるポリヌクレオチド配列に対して異種性であることを意味する。具体的な実施形態では、組換えDNA分子は、配列番号1~15のいずれかのDNA配列に対して少なくとも約90パーセント、少なくとも91パーセント、少なくとも92パーセント、少なくとも93パーセント、少なくとも94パーセント、少なくとも95パーセント、少なくとも96パーセント、少なくとも97パーセント、少なくとも98パーセントまたは少なくとも99パーセントの配列同一性を有するDNA配列を含む。特定の実施形態では、DNA配列は調節エレメントを含む。一部の実施形態では、調節エレメントはプロモーターを含む。さらに他の実施形態では、異種性の転写可能なDNA分子は、例えば植物における除草剤抵抗性の提供が可能な遺伝子、または植物における病虫害抵抗性の提供が可能な遺伝子などの農学的に重要な遺伝子を含む。さらに他の実施形態では、本発明は本明細書で提供される組換えDNA分子を含むコンストラクトを提供する。
【0007】
別の態様では、本明細書において、(a)配列番号1~15のいずれかに対して、少なくとも約85パーセントの配列同一性を有する配列、(b)配列番号1~15のいずれかを含む配列、及び(c)遺伝子調節活性を有する、配列番号1~15のいずれかの断片からなる群から選択されるDNA配列を含む組換えDNA分子を含み、DNA配列が、異種性の転写可能なDNA分子に作動可能に連結される遺伝子組換え植物細胞を提供する。ある特定の実施形態では、遺伝子組換え植物細胞は単子葉植物細胞である。他の実施形態では、遺伝子組換え植物細胞は単子葉植物細胞または双子葉植物細胞である。
【0008】
さらに別の態様では、本明細書において、a)配列番号1~15のいずれかに対し、少なくとも85パーセントの配列同一性を有する配列、b)配列番号1~15のいずれかを含む配列、及びc)遺伝子調節活性を有する、配列番号1~15のいずれかの断片からなる群から選択されるDNA配列を含む組換えDNA分子を含み、配列が異種性の転写可能なDNA分子に作動可能に連結される、遺伝子組換え植物、またはその一部をさらに提供する。具体的な実施形態では、遺伝子組換え植物は、組換えDNA分子を含む任意の世代の子孫植物である。また本明細書において、生育時にこのような遺伝子組換え植物を産生する組換えDNA分子を含む遺伝子組換え種子が提供される。
【0009】
別の態様では、本発明は、本発明の組換えDNA分子を含有する遺伝子組換え植物またはその一部を得ること、及びそこから商品生産物を産生することを含む、商品生産物を産生する方法を提供する。一実施形態では、商品生産物は、加工された種子、穀粒、植物部分、油及びミールである。
【0010】
さらに別の態様では、本発明は、形質転換植物細胞を産生するため、本発明の組換えDNA分子を用いて植物細胞を形質転換すること、及び形質転換植物細胞から遺伝子組換え植物を再生することを含む、本発明の組換えDNA分子を含む遺伝子組換え植物を産生する方法を提供する。
【0011】
配列の簡単な説明
配列番号1は、天然のリーダーに5’が作動可能に連結される、Cucumis meloの推定フェレドキシン2(Fe2)タンパク質遺伝子由来のプロモーターを含む、調節発現エレメント群(EXP)のDNA配列である。
【0012】
配列番号2は、Cucumis meloの推定フェレドキシン2(Fe2)タンパク質遺伝子由来のプロモーター配列である。
【0013】
配列番号3は、Cucumis meloの推定フェレドキシン2(Fe2)タンパク質遺伝子由来のリーダー配列である。
【0014】
配列番号4は、天然リーダーに5’が作動可能に連結される、Cucumis meloのクロロフィルa-b結合タンパク質13遺伝子由来のプロモーターを含む、EXPのDNA配列である。
【0015】
配列番号5は、Cucumis meloのクロロフィルa-b結合タンパク質13遺伝子由来のプロモーター配列である。
【0016】
配列番号6は、Cucumis meloのクロロフィルa-b結合タンパク質13遺伝子由来のリーダー配列である。
【0017】
配列番号7は、天然リーダーに対して5’が作動可能に連結される、Cucumis meloのBボックス型ジンクフィンガータンパク質24様遺伝子由来のプロモーターを含む、EXPのDNA配列である。
【0018】
配列番号8は、Cucumis meloのBボックス型ジンクフィンガータンパク質24様遺伝子由来のプロモーター配列である。
【0019】
配列番号9は、Cucumis meloのBボックス型ジンクフィンガータンパク質24様遺伝子由来のリーダー配列である。
【0020】
配列番号10は、天然リーダーに5’が作動可能に連結される、Medicago truncatulaの集光性複合タンパク質b2遺伝子由来のプロモーターを含む、EXPのDNA配列である。
【0021】
配列番号11は、Medicago truncatulaの集光性複合タンパク質b2遺伝子由来のプロモーター配列である。
【0022】
配列番号12は、Medicago truncatulaの集光性複合タンパク質b2遺伝子由来のリーダー配列である。
【0023】
配列番号13は、天然リーダーに5’が作動可能に連結される、Medicago truncatulaの光化学系II葉緑体前駆体遺伝子由来のプロモーターを含む、EXPのDNA配列である。
【0024】
配列番号14は、Medicago truncatulaの光化学系II葉緑体前駆体遺伝子由来のプロモーター配列である。
【0025】
配列番号15は、Medicago truncatulaの光化学系II葉緑体前駆体遺伝子由来のリーダー配列である。
【0026】
配列番号16は、Medicago truncatulaの集光性複合タンパク質b2遺伝子のプロモーターに由来するエンハンサー配列である。
【0027】
配列番号17は、プロセシング可能なイントロンを有するβ-グルクロニダーゼ(GUS)のコード配列である。
【0028】
配列番号18は、Gossypium barbadense E6遺伝子に由来する3’UTR配列である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明は、植物において遺伝子調節活性を有するDNA分子を提供する。これらのDNA分子のヌクレオチド配列は、配列番号1~15として提供される。これらのDNA分子は、植物組織において作動可能に連結される転写可能なDNA分子の発現に影響を与えることが可能であり、したがって、遺伝子組換え植物において作動可能に連結される導入遺伝子の遺伝子発現を調節することが可能である。また本発明は、それらを改変、産生及び使用する方法を提供する。また本発明は、本発明の組換えDNA分子を含有する遺伝子組換え植物細胞、植物、植物部分及び種子を包含する組成物、ならびにそれらを調製及び使用する方法を提供する。
【0030】
以下の定義及び方法は、本発明をより明確に定義し、本発明の実践において当業者を導くために提供される。特に記載のない限り、用語は当業者による慣例的用法に従って理解されるものとする。
【0031】
DNA分子
本明細書で使用される用語「DNA」または「DNA分子」は、5’(上流)末端から3’(下流)末端までの読み取りが行われる、ゲノムのまたは合成起源の二本鎖DNA分子、すなわち、デオキシリボヌクレオチド塩基のポリマーまたはDNA分子を意味する。本明細書で使用される用語「DNA配列」は、DNA分子のヌクレオチド配列を意味する。本明細書で使用される命名法は、米国連邦規則第37編1条822項の命名法に対応し、WIPO標準ST.25(1998)付属書2、表1及び3にある表に明記される。
【0032】
本明細書で使用される「組換えDNA分子」は、人の介入がなければ自然に同時発生しないであろうDNA分子の組合せを含むDNA分子である。例えば、組換えDNA分子は、相互に異種性の少なくとも2つのDNA分子を含むDNA分子、自然に存在するDNA配列から逸脱したDNA配列を含むDNA分子、または遺伝子形質転換もしくは遺伝子編集によって宿主細胞のDNAに組み込まれたDNA分子であり得る。
【0033】
本明細書で使用される用語「配列同一性」は、2つの最適に整列させたポリヌクレオチド配列または2つの最適に整列させたポリペプチド配列が同一である程度を意味する。最適な配列アラインメントは、例えばリファレンス配列と別の配列を、適切な内部のヌクレオチド挿入、欠失またはギャップを有する配列アラインメントにおいて、ヌクレオチドの一致数を最大にするように2つの配列を手動で整列させることにより作成される。本明細書で使用される用語「リファレンス配列」は、配列番号1~15として提供されるDNA配列に対して提供されるDNA配列を意味する。
【0034】
本明細書で使用される用語「配列同一性パーセント」または「同一性パーセント」または「同一性%」は、同一性比率に100を乗じたものである。リファレンス配列を用いて最適に整列させた配列に対する「同一性比率」は、最適なアラインメントにおけるヌクレオチドの一致数を、例えば完全長のリファレンス配列全体内におけるヌクレオチドの総数など、リファレンス配列内のヌクレオチドの総数によって除算したものである。したがって、本発明の一実施形態は、リファレンス配列に対して最適に整列させるときに、リファレンス配列に対して少なくとも約85パーセント、少なくとも約86パーセント、少なくとも約87パーセント、少なくとも約88パーセント、少なくとも約89パーセント、少なくとも約90パーセント、少なくとも約91パーセント、少なくとも約92パーセント、少なくとも約93パーセント、少なくとも約94パーセント、少なくとも約95パーセント、少なくとも約96パーセント、少なくとも約97パーセント、少なくとも約98パ
ーセント、少なくとも約99パーセントまたは少なくとも約100パーセントの同一性を有する、配列番号1~15として本明細書で提供される配列を含むDNA分子を提供する。
【0035】
調節エレメント
例えばプロモーター、リーダー(5’UTRとしても知られる)、エンハンサー、イントロン及び転写終結領域(または3’UTR)などの調節エレメントは、生細胞における遺伝子の全体的発現において不可欠な役割を果たす。本明細書で使用される用語「調節エレメント」は、遺伝子調節活性を有するDNA分子を意味する。本明細書で使用される用語「遺伝子調節活性」は、例えば作動可能に連結される転写可能なDNA分子の転写及び/または翻訳に影響を与えることにより、作動可能に連結される転写可能なDNA分子の発現に影響を与える能力を意味する。植物において機能する、例えばプロモーター、リーダー、エンハンサー、イントロン及び3’UTRなどの調節エレメントは、したがって遺伝子工学を介した植物表現型の改変に有用である。
【0036】
本明細書で使用される「調節発現エレメント群」または「EXP」配列は、例えばエンハンサー、プロモーター、リーダー及びイントロンなど、作動可能に連結される調節エレメントの群を意味し得る。したがって調節発現エレメント群は、例えば、リーダー配列に5’が作動可能に連結されるプロモーターを含み得る。本発明の実施において有用なEXPは、1、4、7、10及び13を包含する。
【0037】
調節エレメントは、例えば構成的発現または時間的、空間的、発生的、組織、環境的、生理学的、病理学的、細胞周期及び/または化学的応答による発現ならびにその任意の組合せなどの正及び/または負の作用など、その遺伝子の発現パターンならびに定量的または定性的指標によって特徴付けられ得る。本明細書で使用される「遺伝子の発現パターン」は、作動可能に連結されるDNA分子における転写されたRNA分子への任意の転写のパターンである。転写されたRNA分子は、タンパク質分子を産生するために翻訳され得るか、またはアンチセンスもしくは他の調節RNA分子、例えば二本鎖RNA(dsRNA)、トランスファーRNA(tRNA)、リボソームRNA(rRNA)、ミクロRNA(miRNA)などを提供し得る。
【0038】
本明細書で使用される用語「タンパク質発現」は転写されたRNA分子におけるタンパク質分子への任意の翻訳のパターンである。タンパク質の発現は、時間的、空間的、発生的または形態学的性質、及び定量的または定性的指標によって特徴付けられ得る。
【0039】
プロモーターは、作動可能に連結される転写可能なDNA分子の発現を調整する調節エレメントとして有用である。本明細書で使用される用語「プロモーター」は一般的に、転写を開始するために、例えばトランス作用性転写因子など、RNAポリメラーゼII及び他のタンパク質の認識及び結合に関与するDNA分子を意味する。プロモーターは、遺伝子のゲノムコピーにおける5’非翻訳領域(5’UTR)から最初に単離され得る。あるいは、プロモーターは合成的に産生されたまたは操作されたDNA分子であり得る。またプロモーターは、キメラであり得る。キメラプロモーターは、2つ以上の異種性DNA分子の融合を介して産生される。本発明の実施において有用なプロモーターは、配列番号2、5、8、11及び14またはその断片もしくは変異体のいずれかの中に含まれるプロモーターエレメントを包含する。本発明の具体的な実施形態では、本明細書に記載の請求項に係るDNA分子及びその任意の変異体または誘導体は、プロモーター活性を含むこと、すなわち、例えば遺伝子組換え植物などの宿主細胞内でプロモーターとして作用可能であるものとしてさらに定義される。さらに具体的な実施形態では、断片は、由来する開始プロモーター分子に保持されるプロモーター活性を示すものとして定義され得るか、または断片は、基底レベルの転写を提供し、転写を開始するためのRNAポリメラーゼII複合
体を認識及び結合するためのTATAボックス、他の既知の転写因子結合部位モチーフまたは等価なDNA配列を含む「最小プロモーター」を含み得る。
【0040】
一実施形態では、本開示のプロモーター配列の断片が提供される。プロモーター断片は、上記の通りプロモーター活性を含む場合があり、単独においてまたは、例えばキメラプロモーターの構築などにおける他のプロモーター及びプロモーター断片との組合せにおいて、または他のEXP及びEXP断片との組合せにおいて有用である場合がある。具体的な実施形態では、本開示のプロモーター活性を有するDNA分子の少なくとも約50、少なくとも約75、少なくとも約95、少なくとも約100、少なくとも約125、少なくとも約150、少なくとも約175、少なくとも約200、少なくとも約225、少なくとも約250、少なくとも約275、少なくとも約300、少なくとも約500、少なくとも約600、少なくとも約700、少なくとも約750、少なくとも約800、少なくとも約900または少なくとも1000の、またはより長い、連続したヌクレオチドを含むプロモーターの断片が提供される。ある特定の実施形態では、本発明は完全長配列の活性を有する配列番号1~15のうちの任意の1つの断片を提供する。開始プロモーター分子からこのような断片を産生する方法は、当該技術分野において周知である。
【0041】
配列内または5’の欠失などの、配列番号2、5、8、11及び14のいずれかの中に含まれる任意のプロモーターエレメント由来の組成物は、例えば、発現に関する正もしくは負のいずれかの作用を有するエレメントの除去、発現に関する正もしくは負の作用を有するエレメントの複製、及び/または発現に関する組織もしくは細胞特異的作用を有するエレメントの複製もしくは除去を包含する、当該技術分野において公知の方法を用いて産生することにより発現を改善または変化させ得る。TATAボックスエレメントまたはその等価配列及び下流配列が除去された3’欠失を含む、配列番号2、5、8、11及び14のいずれかの中に含まれる任意のプロモーターエレメント由来の組成物は、例えばエンハンサーエレメントを作成するために使用され得る。発現に関して正または負の、組織特異的、細胞特異的またはタイミング特異的(例えば、これに限定されないが、概日リズムなど)作用を有する任意のエレメントを除去するため、さらに欠失が作成され得る。配列番号2、5、8、11及び14のいずれかの中に含まれる任意のプロモーターエレメントならびにそれ由来の断片またはエンハンサーは、キメラ転写調節エレメント組成物を作成するために使用され得る。
【0042】
本発明によれば、プロモーターまたはプロモーター断片は、例えばTATAボックス及び他の既知の転写因子結合部位モチーフなどの既知のプロモーターエレメントの有無、すなわち、DNA配列の特性について解析され得る。このような既知のプロモーターエレメントの同定は、元のプロモーターに類似した発現パターンを有するプロモーターの変異体を設計するため、当業者に用いられ得る。
【0043】
本明細書で使用される用語「リーダー」は、遺伝子の5’非翻訳領域(5’UTR)から単離され、転写開始部位(TSS)とタンパク質コード配列開始部位の間のヌクレオチドセグメントとして一般的に定義されるDNA分子を意味する。あるいは、リーダーは合成的に産生されたまたは操作されたDNAエレメントであり得る。リーダーは、作動可能に連結される転写可能なDNA分子の発現を調整する5’調節エレメントとして使用される可能性がある。リーダー分子は、異種性プロモーターまたはその天然のプロモーターと共に使用され得る。本発明の実施に有用なリーダーは、配列番号3、6、9、12及び15、または配列番号1、4、7、10及び13もしくはそのフラグメントもしくは変異体のいずれかの中に含まれる任意のリーダーエレメントを包含する。具体的な実施形態では、このようなDNA配列は、例えば、遺伝子組換え植物細胞などを包含する、宿主細胞内のリーダーとして作用可能であるものとして定義され得る。一実施形態では、このような配列はリーダー活性を含むものとして解読される。
【0044】
配列番号3、6、9、12及び15として、または配列番号1、4、7、10及び13のいずれかの中に含まれる任意のリーダーエレメントとして示されるリーダー配列(5’UTRとも呼ばれる)は、調節エレメントを含み得るか、または作動可能に連結される転写可能なDNA分子の転写もしくは翻訳に影響を与え得る二次構造をとる場合がある。配列番号3、6、9、12及び15として、または配列番号1、4、7、10及び13のいずれかの中に含まれる任意のリーダーエレメントとして示されるリーダー配列は、作動可能に連結される転写可能なDNA分子の転写または翻訳に影響を与えるキメラ調節エレメントを作成するため、本発明により使用され得る。
【0045】
本明細書で使用される用語「イントロン」は、遺伝子から単離または同定され得る、また翻訳前のメッセンジャーRNA(mRNA)プロセシングの間にスプライシング除去される領域として一般的に定義され得るDNA分子を意味する。あるいは、イントロンは合成的に産生されたまたは操作されたDNAエレメントであり得る。イントロンは、作動可能に連結される遺伝子の転写を生じるエンハンサーエレメントを含有し得る。イントロンは、作動可能に連結される転写可能なDNA分子の発現を調整する調節エレメントとして使用され得る。コンストラクトはイントロンを含む場合があり、イントロンは転写可能なDNA分子に対して異種性であっても異種性でなくてもよい。当該技術分野におけるイントロンの例として、イネアクチンイントロン及びトウモロコシHSP70イントロンが含まれる。
【0046】
植物では、遺伝子コンストラクト内にいくつかのイントロンを組み入れることにより、イントロン欠損コンストラクトと比較してmRNA及びタンパク質の蓄積の増加につながる。この作用は、遺伝子発現の「イントロン媒介型増強」(IME)と名付けられている。植物における発現を刺激することが知られているイントロンは、トウモロコシ遺伝子内(例えば、tubA1、Adh1、Sh1、及びUbi1など)、イネ遺伝子内(例えば、tpiなど)、ならびにペチュニア由来(例えば、rbcSなど)、ジャガイモ(例えば、st-ls1など)及びArabidopsis thaliana由来(例えば、ubq3及びpat1など)などの双子葉類植物遺伝子内において同定されている。イントロンのスプライス部位内の欠失または変異は遺伝子発現を低減させることが認められており、スプライシングがIMEに必要であり得ることを示唆している。しかし、双子葉類植物におけるIMEが、A.thaliana由来pat1遺伝子のスプライス部位内における点変異によって認められている。1つの植物における同一イントロンの多重使用は、不利益を示すことが認められている。その場合、適切な組換えDNAエレメントを構築する基本的な調節領域を収集する必要がある。
【0047】
本明細書で使用される、用語「3’転写終結分子」、「3’非翻訳領域」または「3’UTR」は、mRNA分子の3’部位の非翻訳領域に転写の間、使用されるDNA分子を意味する。mRNA分子の3’非翻訳領域は、特異的切断及び3’ポリアデニル化(polyA尾部としても知られている)によって生じ得る。3’UTRは、転写可能なDNA分子に作動可能に連結され、かつその下流に位置する場合があり、ポリアデニル化シグナル及び、転写、mRNAプロセシング、または遺伝子発現に影響を与えることが可能な他の調節シグナルを包含し得る。ポリA尾部は、mRNAの安定性及び翻訳の開始において機能すると考えられている。当該技術分野における3’転写終結分子の例は、ノパリン合成酵素3’領域、コムギhsp17 3’領域、エンドウマメルビスコ小サブユニット3’領域、ワタE6 3’領域、及びコイキシン3’UTRである。
【0048】
3’UTRは、通常、特定のDNA分子の組換え発現において有益な使用法が認められている。3’UTRが弱い場合はリードスルーを生じる可能性があり、隣接する発現カセット内に位置するDNA分子の発現に影響を与え得る。転写終結を適切に制御することに
より、下流に局在するDNA配列(例えば、他の発現カセット)へのリードスルーを防ぐ可能性があり、さらにRNAポリメラーゼの効率的な再利用を可能にして遺伝子発現を改善する可能性がある。効率的な転写の終結(DNAからのRNAポリメラーゼIIの放出)は、転写の再開に不可欠であるため、全体的な転写レベルに直接的に影響を与える。転写終結後、成熟mRNAは合成部位から放出され、鋳型は細胞質に輸送される。真核生物のmRNAはin vivoでポリ(A)型として蓄積され、従来の方法による転写終結部位の検出を困難にしている。しかし、バイオインフォマティクス法による3’UTRの機能的かつ効率的な予測は、有効な3’UTRを容易に予測できる保存されたDNA配列が存在しないことから困難である。
【0049】
実用的な観点から、通常は発現カセットで使用される3’UTRが次の特性を備えていることは有益である。3’UTRは効率的かつ効果的に導入遺伝子の転写を終結させ、1つのトランスファーDNA(T-DNA)内に複数の発現カセットが存在する場合のように別の発現カセットを含み得る任意の隣接するDNA配列、またはT-DNAを挿入した隣接する染色体DNAに対して、転写産物のリードスルーを防ぐことが可能であるべきである。3’UTRは、DNA分子の発現を駆動するために用いられるプロモーター、リーダー、エンハンサー及びイントロンによって付与される転写活性の低減を引き起こすべきではない。植物のバイオテクノロジーにおいて、多くの場合3’UTRは、形質転換植物から抽出された逆転写されたRNAの増幅反応を始動するために用いられ、(1)植物染色体に組み込まれた後の発現カセットの転写活性または発現を評価するため、(2)植物DNA内の挿入のコピー数を評価するため、及び(3)育種後に得られた種子の接合性を評価するために用いられる。また3’UTRは、挿入されたカセットの完全性を特徴付けるための、形質転換植物より抽出されたDNAの増幅反応にも用いられる。
【0050】
本明細書で使用される用語「エンハンサー」または「エンハンサーエレメント」は、シス作用性調節エレメント、別名シスエレメントを意味し、これは全体的な発現パターンの態様を与えるが、通常、作動可能に連結される転写可能なDNA分子の転写を単独で駆動するには不十分である。プロモーターとは異なり、エンハンサーエレメントは通常、転写開始部位(TSS)もしくはTATAボックスまたは等価なDNA配列を包含しない。プロモーターまたはプロモーター断片は、作動可能に連結されるDNA配列の転写に影響を与える1つ以上のエンハンサーエレメントを自然に含む場合がある。またエンハンサーエレメントは、キメラプロモーターシスエレメントを産生するため、プロモーターに融合される場合があり、これは、全体的な遺伝子発現調整の態様を与える。Medicago truncatula集光性複合タンパク質b2前駆体遺伝子プロモーター由来のエンハンサーエレメントの例として、配列番号16を提供する。
【0051】
多くのプロモーターエンハンサーエレメントが、DNA結合タンパク質に結合し、及び/またはDNAトポロジーに影響を与え、RNAポリメラーゼのDNA鋳型へのアクセスを選択的に許可または制限する、または転写開始部位の二重らせんを選択的にほどくことを促進する局所的構造を産生すると考えられている。エンハンサーエレメントは、転写を調整する転写因子に結合するために機能し得る。いくつかのエンハンサーエレメントは2つ以上の転写因子に結合し、転写因子は2つ以上のエンハンサードメインと、異なる親和性で相互作用し得る。エンハンサーエレメントは、欠失解析(すなわち、1つ以上のヌクレオチドを5’末端もしくは内部からプロモーターまで欠失させること)、DNase Iフットプリント法を使用したDNA結合タンパク質解析、メチル化干渉法、電気泳動移動度シフトアッセイ、ライゲーションを介したポリメラーゼ連鎖反応法(PCR)によるin vivoゲノムフットプリント法及び他の従来のアッセイを包含する数々の技術によって、または、例えばBLASTなど、従来のDNA配列比較法を用いて標的配列もしくは標的モチーフとして既知のシスエレメントモチーフもしくはエンハンサーエレメントを使用するDNA配列類似性解析によって同定され得る。エンハンサードメインの微細構
造は、1つ以上のヌクレオチドの突然変異誘発(または置換)によって、または当該技術分野において公知の他の従来の方法によってさらに調査され得る。エンハンサーエレメントは、化学的合成またはこのようなエレメントを包含する調節エレメントからの単離によって得られる可能性があり、後の操作を容易にする有用な制限酵素部位を含有する追加の隣接ヌクレオチドを用いて合成され得る。したがって本開示の方法によって、作動可能に連結される転写可能なDNA分子の発現を調整するためのエンハンサーエレメントの設計、構築及び使用は、本発明に包含される。
【0052】
本明細書で使用される用語「キメラ(の)」は、第1のDNA分子を第2のDNA分子に融合させることによって産生される単一のDNA分子を意味し、ここで第1のDNA分子も第2のDNA分子も、通常はそのような構成、すなわちもう一方に融合されることが認められていない。したがってキメラDNA分子は、通常他の方法では自然に存在しない新規のDNA分子である。本明細書で使用される用語「キメラプロモーター」は、このようなDNA分子の操作を介して産生されるプロモーターを意味する。キメラプロモーターは、例えばプロモーターのエンハンサーエレメントへの融合など、2つ以上のDNA断片を組み合わせる場合がある。したがって本開示の方法によって、作動可能に連結される転写可能なDNA分子の発現を調整するためのキメラプロモーターの設計、構築及び使用は、本発明に包含される。
【0053】
キメラ調節エレメントは、例えば制限酵素による消化及びライゲーション、ライゲーション非依存性クローニング、増幅中のPCR産物のモジュールアセンブリまたは調節エレメントの直接的化学合成など、当該技術分野において公知の様々な方法及び当業者に既知の他の方法によって作動可能に連結され得る、様々な構成エレメントを含むように設計され得る。得られた様々なキメラ調節エレメントは、同一の構成エレメントまたはその変異体を含み得るが、構成部分が作動可能に連結されることを可能にする連結DNA配列(複数可)を含む1つのDNA配列または複数のDNA配列において異なっている。本発明では、配列番号1~15として提供されるDNA配列は、調節エレメントのリファレンス配列を提供する場合があり、リファレンス配列を含む構成エレメントは、当該技術分野において公知の方法によって連結される場合があり、1つ以上のヌクレオチドの置換、欠失、及び/もしくは挿入、または細菌及び植物細胞の形質転換において自然に発生する変異を含み得る。
【0054】
本明細書で使用される用語「変異体」は、例えば調節エレメントなど、第1のDNA分子と構成が類似するが同一ではない第2のDNA分子を意味し、ここで第2のDNA分子は、依然として一般的機能性、すなわち、例えばおおよそ等価な転写活性を介して、第1のDNA分子と同一または類似の発現パターンを維持している。変異体は、第1のDNA分子のより短いまたは省略したバージョン及び/または第1のDNA分子の配列の改変したバージョン、例えば種々の制限酵素部位及び/または内部欠損、置換及び/または挿入を有する第1のDNA分子などであってもよい。同様に「変異体」は、リファレンス配列の1つ以上のヌクレオチドの置換、欠失及び/または挿入を含むヌクレオチド配列を有する調節エレメントを包含する可能性があり、ここで調節エレメントの誘導体は、対応する親調節分子とおおよそ等価な転写または翻訳活性を有する。同様に調節エレメントの「変異体」は、細菌及び植物細胞の形質転換において自然に発生する変異に起因する変異体を包含する。本発明では、配列番号1~15として提供されるポリヌクレオチド配列は、元の調節エレメントのDNA配列と構成が類似するが同一ではない変異体の作製に使用される場合があり、さらに一般的機能性、すなわち、元の調節エレメントと同一または類似の発現パターンを維持している。本発明のこのような変異体の産生は、本開示に照らして十分に当業者の技能の範囲内であり、本発明の範囲内に包含される。
【0055】
本出願における「単離されたDNA分子」または同等の用語もしくは語句への言及は、
DNA分子が単独または他の組成物との組合せで存在するが、その自然環境内に存在しないことを意図する。例えば、コード配列、イントロン配列、非翻訳リーダー配列、プロモーター配列、転写終結配列など、生体ゲノム内のDNA中に自然に見られる核酸エレメントは、エレメントが生体ゲノム内にあり、それが自然に見られるゲノム内の位置にある限り、「単離された」とみなされない。しかし、これらの各エレメント及びこれらのエレメントのサブパートは、エレメントが生物ゲノム内になく、それが自然に見られるゲノム内の位置にない限り、本開示の範囲内において「単離された」ことになる。本開示の目的のため、任意の遺伝子組換えヌクレオチド配列、すなわち、植物もしくは細菌細胞のゲノムに挿入された、または染色体外ベクター中に存在するDNAのヌクレオチド配列は、それが形質転換に使用されるプラスミドもしくは類似構造物内、植物もしくは細菌ゲノム内に存在するかどうか、または植物もしくは細菌由来の組織、子孫、生体試料もしくは商品生産物内に検出可能な量が存在するかどうかに関わらず、単離されたヌクレオチド配列であるとみなされる。
【0056】
特定の導入遺伝子の望ましい発現態様に関して本明細書に記載の改変、複製または欠失の有効性は、例えば本明細書の実施例に記載されているように、開始DNA分子においてなされる変化及び変化の目的によって変わり得る結果を検証するため、安定的及び一過的植物アッセイにおいて経験的に試験され得る。
【0057】
コンストラクト
本明細書で使用される用語「コンストラクト」は、例えばプラスミド、コスミド、ウイルス、ファージまたは直鎖状もしくは環状DNAまたはRNA分子など、任意の原料由来で、ゲノムの組込みまたは自律増殖が可能な、少なくとも1つのDNA分子が別のDNA分子に機能的に作動する手法で連結される、すなわち作動可能に連結されるDNA分子を含む、任意の組換えDNA分子を意味する。本明細書で使用される用語「ベクター」は、形質転換、すなわち異種性DNAまたはRNAを宿主細胞へ導入することを目的として使用され得る任意のコンストラクトを意味する。コンストラクトは、通常1つ以上の発現カセットを包含する。本明細書で使用される用語「発現カセット」は、1つ以上の調節エレメント、通常少なくともプロモーター及び3’UTRに対して作動可能に連結される、転写可能なDNA分子を少なくとも含むDNA分子を意味する。
【0058】
本明細書で使用される用語「作動可能に連結される」は、第1のDNA分子が第2のDNA分子に連結され、ここで第1及び第2のDNA分子は、第1のDNA分子が第2のDNA分子の機能に影響を与えるように配置されることを意味する。2つのDNA分子は単一の連続したDNA分子の一部であってもなくてもよく、隣接していてもしなくてもよい。例えば、プロモーターは、細胞内において対象とする転写可能なDNA分子の転写を調整する場合、転写可能なDNA分子に作動可能に連結される。リーダーは、例えば、DNA配列の転写または翻訳に影響を与えることが可能である場合、DNA配列に作動可能に連結される。
【0059】
本発明のコンストラクトは、一実施形態では、A.tumefaciens細胞によって与えられるトランスファー分子と共に、植物細胞のゲノムへのT-DNAの組込みを可能にする、T-DNAを含むAgrobacterium tumefaciensから単離されたTiプラスミドの右境界(RBまたはAGRtu.RB)及び左境界(LBまたはAGRtu.LB)領域を有する二重腫瘍誘導(Ti)プラスミド境界コンストラクトとして提供され得る(例えば、米国特許第6,603,061号を参照のこと)。コンストラクトは、細菌細胞における複製機能及び抗生物質セレクションを提供するプラスミド骨格DNAセグメント、例えばori322などのEscherichia coli複製開始点、例えばoriVまたはoriRiなどの広域宿主複製開始点及び、例えばSpec/Strpなどのスペクチノマイシンもしくはストレプトマイシンに対する抵抗性
を与えるTn7アミノグリコシドアデニルトランスフェラーゼ(aadA)をコードする選択マーカー、またはゲンタマイシン(Gm、Gent)選択マーカー遺伝子のコード領域を含有し得る。植物の形質転換において、宿主菌株は多くの場合、A.tumefaciens ABI、C58またはLBA4404であるが、植物形質転換の当業者に公知の他の菌株は、本発明において機能し得る。
【0060】
転写可能なDNA分子が、タンパク質として翻訳及び発現される機能的mRNA分子へと転写されるように、コンストラクトを構築して細胞に導入する方法は、当該技術分野において公知である。本発明の実施において、コンストラクト及び宿主細胞の調製及び使用を目的とする従来の組成物及び方法は、当業者に周知である。高等植物の核酸の発現に有用な通常のベクターは、当該技術分野において周知であり、Agrobacterium tumefaciensのTiプラスミド由来のベクター及びpCaMVCNトランスファーコントロールベクターを包含する。
【0061】
様々な調節エレメントがコンストラクト内に包含され得、これらには本明細書で提供される任意の調節エレメントが包含される。このような調節エレメントは、いずれも他の調節エレメントとの組合せで提供され得る。このような組合せは、望ましい調節機能を産生するために設計または改変され得る。一実施形態では、本発明のコンストラクトは、3’UTRに作動可能に連結される転写可能なDNA分子に対して作動可能に連結される、少なくとも1つの調節エレメントを含む。
【0062】
本発明のコンストラクトは、本明細書に提供されるまたは当該分野で公知の任意のプロモーターまたはリーダーを包含し得る。例えば、本発明のプロモーターは、異種性の非翻訳5’リーダー、例えばヒートショックタンパク質遺伝子由来のものなどに作動可能に連結されてもよい。あるいは、本発明のリーダーは、例えばCauliflower Mosaic Virus 35S転写プロモーターなどの異種性プロモーターに作動可能に連結されてもよい。
【0063】
また発現カセットは、作動可能に連結されるタンパク質の、詳細には、葉緑体、白色体または他の色素体細胞小器官、ミトコンドリア、ペルオキシソーム、液胞または細胞外部位の、細胞内ターゲティングに有用なペプチドをコードする輸送ペプチドコード配列を包含し得る。多くの葉緑体局在タンパク質は、核遺伝子から前駆体として発現され、葉緑体輸送ペプチド(CTP)によって葉緑体に標的化される。このような単離された葉緑体タンパク質の例には、限定されないが、リブロース-1,5,-二リン酸カルボキシラーゼ、フェレドキシン、フェレドキシン酸化還元酵素、集光性複合タンパク質I及びタンパク質II、チオレドキシンFならびにエノールピルビルシキミ酸リン酸合成酵素(EPSPS)の小サブユニット(SSU)に関連するものが包含される。葉緑体輸送ペプチドは、例えば、米国特許第7,193,133号に記載される。非葉緑体タンパク質は、非葉緑体タンパク質をコードする導入遺伝子に作動可能に連結される異種性CTPの発現によって、葉緑体に標的化され得ることが実証されている。
【0064】
転写可能なDNA分子
本明細書で使用される用語「転写可能なDNA分子」は、限定されないが、タンパク質コード配列を有するDNA分子、及び遺伝子抑制に有用な配列を有するRNA分子を産生するDNA分子を包含する、RNA分子に転写可能な任意のDNA分子を意味する。DNA分子の種類は、限定されないが、例えば遺伝子のアンチセンスメッセージを含有するDNA分子、または導入遺伝子の人工的、合成的もしくは他の改変バージョンをコードするDNA分子などの同一植物由来のDNA分子、別の植物由来のDNA分子、異なる生物由来のDNA分子または合成DNA分子を包含し得る。本発明のコンストラクト内への組込みを目的とする例示的な転写可能なDNA分子には、例えば、DNA分子が組み込まれる
種以外の種に由来するDNA分子もしくは遺伝子、または同一種に由来するもしくは同一種に存在するが、伝統的な育種技術ではなく遺伝子工学的手法によって受容細胞に組み込まれる遺伝子が含まれる。
【0065】
「導入遺伝子」は、少なくとも宿主細胞ゲノム内のその位置に関して宿主細胞に対して異種性の転写可能なDNA分子及び/または現世代もしくは任意の前世代細胞内の宿主細胞ゲノムに人工的に組み込まれる転写可能なDNA分子を意味する。
【0066】
調節エレメント、例えば本発明のプロモーターなどは、調節エレメントに関して異種性の転写可能なDNA分子に作動可能に連結され得る。本明細書で使用される用語「異種性(の)」は、2つ以上のDNA分子の組合せであって、このような組合せが通常自然に存在しない時の組合せを意味する。例として、例えば同一種由来の異なる遺伝子または異なる種由来の同一遺伝子のように、2つのDNA分子は異なる種に由来する場合がある、及び/または、2つのDNA分子は異なる遺伝子に由来する場合がある。したがって調節エレメントは、このような組合せが通常自然に存在しない、すなわち調節エレメントに作動可能に連結される転写可能なDNA分子が自然に発生しない場合、作動可能に連結される転写可能なDNA分子に対して異種性である。
【0067】
転写可能なDNA分子は、一般的に転写の発現が望まれる任意のDNA分子であり得る。このような転写産物の発現は、得られたmRNA分子の翻訳、ひいてはタンパク質発現をもたらし得る。あるいは、例えば転写可能なDNA分子は、最終的に特定の遺伝子またはタンパク質の発現減少を引き起こすように設計され得る。一実施形態では、これはアンチセンス方向に向いた転写可能なDNA分子を用いることによって達成され得る。当業者は、このようなアンチセンス技術の使用について精通している。任意の遺伝子をこのような手法で負に調節する場合があり、一実施形態において、転写可能なDNA分子は、dsRNA、siRNAまたはmiRNA分子の発現を介して特定の遺伝子を抑制するために設計される場合がある。
【0068】
したがって、本発明の一実施形態は、コンストラクトが遺伝子組換え植物細胞のゲノムに組み込まれた場合に、転写可能なDNA分子の転写を望ましいレベルまたは望ましいパターンで調節するように、異種性の転写可能なDNA分子に作動可能に連結される、例えば配列番号1~15として提供される、本発明の調節エレメントを含む組換えDNA分子である。一実施形態では、転写可能なDNA分子は遺伝子のタンパク質コード領域を含み、別の実施形態では、転写可能なDNA分子は遺伝子のアンチセンス領域を含む。
【0069】
農学的に重要な遺伝子
転写可能なDNA分子は、農学的に重要な遺伝子であり得る。本明細書で使用される用語「農学的に重要な遺伝子」は、特定の植物組織、細胞または細胞の種類で発現されるとき、望ましい特性を与える転写可能なDNA分子を意味する。農学的に重要な遺伝子の産物は、植物形態学、生理学、生育、発生、収穫量、穀物組成、栄養的プロファイル、病害もしくは病虫害抵抗性及び/または環境耐性もしくは薬剤耐性に関して影響を及ぼすため植物内で作用し得るか、または植物表面に撒く餌に含まれる殺虫剤として作用し得る。本発明の一実施形態では、本発明の調節エレメントは、調節エレメントが、農学的に重要な遺伝子である転写可能なDNA分子に作動可能に連結されるように、コンストラクトに組み込まれる。このようなコンストラクトを含有する遺伝子組換え植物において、農学的に重要な遺伝子の発現は、有益な農学的特性を与える可能性がある。有益な農業的特性は、例えば、これに限定されないが、除草剤抵抗性、昆虫防除、収穫量改変、病害抵抗性、病原体抵抗性、植物の生育及び発生の改変、デンプン含有量の改変、油含有量の改変、脂肪酸含有量の改変、タンパク質含有量の改変、果実熟成の改変、動物及びヒトの栄養増強、生体高分子の産生、環境ストレス耐性、医薬品ペプチド、加工品質の改良、風味の改良、
雑種種子産生の有用性、繊維産生の改良、ならびに望ましいバイオ燃料の産生が包含され得る。
【0070】
当該技術分野において公知の農学的に重要な遺伝子の例として、除草剤抵抗性(米国特許第6,803,501号、同第6,448,476号、同第6,248,876号、同第6,225,114号、同第6,107,549号、同第5,866,775号、同第5,804,425号、同第5,633,435号、及び同第5,463,175号)、収穫量増加(米国再発行特許第38,446号、同第6,716,474号、同第6,663,906号、同第6,476,295号、同第6,441,277号、同第6,423,828号、同第6,399,330号、同第6,372,211号、同第6,235,971号、同第6,222,098号、及び同第5,716,837号)、昆虫防除(米国特許第6,809,078号、同第6,713,063号、同第6,686,452号、同第6,657,046号、同第6,645,497号、同第6,642,030号、同第6,639,054号、同第6,620,988号、同第6,593,293号、同第6,555,655号、同第6,538,109号、同第6,537,756号、同第6,521,442号、同第6,501,009号、同第6,468,523号、同第6,326,351号、同第6,313,378号、同第6,284,949号、同第6,281,016号、同第6,248,536号、同第6,242,241号、同第6,221,649号、同第6,177,615号、同第6,156,573号、同第6,153,814号、同第6,110,464号、同第6,093,695号、同第6,063,756号、同第6,063,597号、同第6,023,013号、同第5,959,091号、同第5,942,664号、同第5,942,658号、同第5,880,275号、同第5,763,245号、及び同第5,763,241号)、真菌病抵抗性(米国特許第6,653,280号、同第6,573,361号、同第6,506,962号、同第6,316,407号、同第6,215,048号、同第5,516,671号、同第5,773,696号、同第6,121,436号、同第6,316,407号、及び同第6,506,962号)、ウイルス抵抗性(米国特許第6,617,496号、同第6,608,241号、同第6,015,940号、同第6,013,864号、同第5,850,023号、及び同第5,304,730号)、線虫抵抗性(米国特許第6,228,992号)、細菌病抵抗性(米国特許第5,516,671号)、植物の生育及び発生(米国特許6,723,897号及び同第6,518,488号)、デンプン産生(米国特許第6,538,181号、同第6,538,179号、同第6,538,178号、同第5,750,876号、同第6,476,295号)、油産生の改変(米国特許第6,444,876号、同第6,426,447号、及び同第6,380,462号)、高い油産生量(米国特許第6,495,739号、同第5,608,149号、同第6,483,008号、及び同第6,476,295号)、脂肪酸含量の改変(米国特許第6,828,475号、同第6,822,141号、同第6,770,465号、同第6,706,950号、同第6,660,849号、同第6,596,538号、同第6,589,767号、同第6,537,750号、同第6,489,461号、及び同第6,459,018号)、高いタンパク質産生量(米国特許第6,380,466号)、果実熟成(米国特許第5,512,466号)、動物及びヒトの栄養増強(米国特許第6,723,837号、同第6,653,530号、同第6,5412,59号、同第5,985,605号、及び同第6,171,640号)、生体高分子(米国再発行特許第37,543号、同第6,228,623号、及び同第5,958,745号、及び同第6,946,588号)、環境ストレス抵抗性(米国特許第6,072,103号)、医薬品ペプチド及び分泌性ペプチド(米国特許第6,812,379号、同第6,774,283号、同第6,140,075号、及び同第6,080,560号)、加工特性の改良(米国特許第6,476,295号)、消化性の改良(米国特許第6,531,648号)、低ラフィノース(米国特許第6,166,292号)、産業用酵素の生産(米国特許第5,543,576号)、風味の改良(米国特許第6,011,199号)、窒素
固定(米国特許第5,229,114号)、雑種種子産生(米国特許第5,689,041号)、繊維産生(米国特許第6,576,818号、同第6,271,443号、同第5,981,834号、及び同第5,869,720号)ならびにバイオ燃料産生(米国特許第5,998,700号)が包含される。
【0071】
あるいは、農学において重要な遺伝子は、内在性遺伝子の遺伝子発現の標的とされた調節を引き起こすRNA分子をコードすることにより、例えば、アンチセンス(例えば米国特許第5,107,065号を参照のこと)、抑制性RNA(「RNAi」、例えば米国特許出願公開第2006/0200878号及び同第2008/0066206号、ならびに米国特許出願第11/974,469号に記載の、miRNA、siRNA、トランス作用性siRNA、及び段階的sRNAを介した機序による遺伝子発現の調節を包含する)、または共抑制を介した機序によって、上記の植物の特徴または表現型に影響を与える可能性がある。RNAは、望ましい内在性mRNA産物を切断するように操作された触媒RNA分子(例えばリボザイムまたはリボスイッチなど、例えば米国特許第2006/0200878号などを参照のこと)であってもよい。転写可能なDNA分子が遺伝子抑制を引き起こすことが可能な分子に転写されるような手法でコンストラクトを構築し、細胞に導入する方法は、当該分野で公知である。
【0072】
選択マーカー
選択マーカー導入遺伝子を本発明の調節エレメントと共に用いてもよい。本明細書で使用される用語「選択マーカー導入遺伝子」は、遺伝子組換え植物、組織または細胞内でのその発現、またはその欠如に対し、何らかの方法によってスクリーニングまたはスコア化が可能である、任意の転写可能なDNA分子を意味する。本発明の実施において用いられる、選択マーカー遺伝子、ならびにそれに関連するセレクション及びスクリーニング技術は、当該技術分野において公知であり、限定されないが、β-グルクロニダーゼ(GUS)、緑色蛍光タンパク質(GFP)、抗生物質耐性を付与するタンパク質及び除草剤抵抗性を付与するタンパク質をコードする転写可能なDNA分子を包含する。選択マーカー導入遺伝子の例は、配列番号17として提供される。
【0073】
細胞形質転換
また本発明は、転写可能なDNA分子に作動可能に連結される1つ以上の調節エレメントを含む形質転換細胞及び植物を産生する方法に関する。
【0074】
本明細書で使用される用語「形質転換」は、受容宿主へのDNA分子の導入を意味する。本明細書で使用される用語「宿主」は、細菌、真菌、または植物のあらゆる細胞、組織、器官、または子孫を含む、細菌、真菌、または植物を意味する。特に重要な植物の組織及び細胞には、プロトプラスト、カルス、根、塊茎、種子、茎、葉、実生、胚、及び花粉が包含される。
【0075】
本明細書で使用される用語「形質転換(された)」は、例えばコンストラクトなどの外来DNA分子が導入された細胞、組織、器官、または生物を意味する。導入されたDNA分子は、導入されたDNA分子が後の子孫に遺伝されるように、受容細胞、受容組織、受容器官、または受容生物のゲノムDNAに組み込まれ得る。また「遺伝子組換え」または「形質転換」細胞または生物には、細胞または生物の子孫、及びこのような遺伝子組換え生物を親として交配に使用する育種プログラムから産生され、外来DNA分子の存在により得られる変化した表現型を示す子孫も包含され得る。また導入されたDNA分子は、導入されたDNA分子が後の子孫に遺伝されないように、一過的に受容細胞に導入され得る。用語「遺伝子組換え(の)」は、1つ以上の異種性DNA分子を含有する細菌、真菌、または植物を意味する。
【0076】
DNA分子を植物細胞に導入するための、当業者に周知の多くの方法が存在する。プロセスは、一般的に、適切な宿主細胞を選択し、宿主細胞においてベクターを用いて形質転換し、形質転換された宿主細胞を得るという段階を含む。本発明の実施において植物コンストラクトを植物ゲノムに導入することにより植物細胞を形質転換する方法及び材料は、任意の周知かつ実証された方法を包含し得る。適切な方法としては、これに限定されないが、特に、細菌感染(例えばAgrobacteriumなど)、バイナリーBACベクター、DNAの直接的送達(例えば、PEGを介した形質転換、乾燥/阻害を介したDNAの取り込み、エレクトロポレーション、炭化ケイ素繊維を用いた撹拌、及びDNA被覆粒子の加速などによる)、遺伝子編集(例えばCRISPR-Casシステムなど)を包含する。
【0077】
宿主細胞は、例えば植物細胞、藻細胞、藻類、真菌細胞、真菌、細菌細胞、または昆虫細胞などの、任意の細胞または生物であってもよい。具体的な実施形態では、宿主細胞及び形質転換細胞は、収穫植物から得た細胞を包含し得る。
【0078】
遺伝子組換え植物は後に、本発明の遺伝子組換え植物細胞から再生され得る。従来の育種技術または自家受粉を使用して、種子をこの遺伝子組換え植物から産生してもよい。このような種子、及びこのような種子から生育されて得られた子孫植物は、本発明の組換えDNA分子を含有し、したがって遺伝子組換え体になる。
【0079】
本発明の遺伝子組換え植物は、自家受粉させることで、本発明のホモ接合性遺伝子組換え植物の(組換えDNA分子に関してホモ接合性である)種子を産生する可能性があり、または非遺伝子組換え植物あるいは異なる遺伝子組換え植物と交配することで、本発明のヘテロ接合性遺伝子組換え植物の(組換えDNA分子に関してヘテロ接合性である)種子を産生する可能性がある。本明細書において、このようなホモ接合性及びヘテロ接合性遺伝子組換え植物は、いずれも「子孫植物」を意味する。子孫植物は、元の遺伝子組換え植物の子孫であり、かつ本発明の組換えDNA分子を含有する遺伝子組換え植物である。本発明の遺伝子組換え植物を使用して産生された種子は、本発明のコンストラクトを含み農学的に重要な遺伝子を発現する遺伝子組換え植物の世代、すなわち本発明の子孫植物を生育するために収穫及び使用され得る。種々の作物に一般に使用される育種法の記載は、いくつかの参考文献のうちの1冊に提供される可能性があり、例えば、Allard,Principles of Plant Breeding,John Wiley&Sons,NY,U.of CA,Davis,CA,50-98(1960)、Simmonds,Principles of Crop Improvement,Longman,Inc.,NY,369-399(1979)、Sneep and Hendriksen,Plant breeding Perspectives,Wageningen(ed),Center for Agricultural Publishing and Documentation(1979)、Fehr,Soybeans:Improvement,Production and Uses,2nd Edition,Monograph,16:249(1987)、Fehr,Principles of Variety Development,Theory and Technique,(Vol.1)及びCrop Species Soybean(Vol.2),Iowa State Univ.,Macmillan Pub.Co.,NY,360-376(1987)を参照のこと。
【0080】
形質転換植物は、重要な遺伝子(複数可)の存在ならびに本発明の調節エレメントによって与えられた発現レベル及び/または発現プロファイルに関して解析され得る。当業者は、形質転換植物の解析に関して数多くの方法が利用可能であることを認識している。例えば、植物解析の方法は、これに制限されないが、サザンブロットまたはノーザンブロット、PCRベースの手法、生化学的解析、表現型スクリーニング法、現地評価及び免疫診
断アッセイを包含する。転写可能なDNA分子の発現は、TaqMan(登録商標)(Applied Biosystems、Foster City、CA)試薬及びメーカーによって記載された方法ならびにTaqMan(登録商標)Testing Matrixを使用して決定されたPCRサイクル時間を使用して測定され得る。あるいは、Invader(登録商標)(Third Wave Technologies、Madison、WI)試薬及びメーカーによって記載された方法を使用して導入遺伝子の発現が評価され得る。
【0081】
また本発明は、本発明の植物の部分も提供する。植物の部分には、限定されないが、葉、茎、根、塊茎、種子、胚乳、胚珠、及び花粉が包含される。本発明の植物の部分は、生育可能である、生育不可能である、再生可能である及び/または再生不可能であり得る。また本発明は、本発明のDNA分子を含む形質転換植物細胞を包含し、提供する。本発明の形質転換細胞または遺伝子組換え植物細胞は、再生可能な及び/または再生不可能な植物細胞を包含する。
【0082】
また本発明は、本発明の組換えDNA分子を含む遺伝子組換え植物またはその一部から産生された商品生産物を提供する。本発明の商品生産物は、配列番号1~15からなる群から選択されるDNA配列を含む検出可能な量のDNAを含有する。本明細書で使用される用語「商品生産物」は、本発明の組換えDNA分子を含有する遺伝子組換え植物、種子、植物細胞または植物の一部に由来する材料を含む、任意の組成物または製品を意味する。商品生産物は、限定されないが、加工された種子、穀粒、植物部分及びミールを包含する。本発明の商品生産物は、本発明の組換えDNA分子に対応する検出可能な量のDNAを含有する。商品生産物の成分または原料を判断するため、試料中の1つ以上のこのDNAの検出法が使用され得る。本開示に記載の検出方法を包含する、任意の標準的なDNA分子の検出方法が使用され得る。
【0083】
本発明は指示のない限り、実例として提供されながら本発明の限定を意図しない以下の実施例の参照により、さらに容易に理解され得る。以下の実施例で開示される技術が、本発明の実施で十分に機能することが本発明者により認められた技術を表すことは、当業者に理解されるべきである。しかし、本開示に照らして、多くの変更が開示された具体的な実施形態において成される可能性があり、また依然として、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく同様または類似の結果を得る可能性があり、したがって、添付の図面に明記または示される全ての事項が、限定的な意味ではなく、実例として解釈されるべきであることは当業者に理解されるべきである。
【実施例
【0084】
実施例1
調節エレメントの同定及びクローニング
新規の転写性調節エレメント及び調節発現エレメント群(EXP)を同定し、双子葉植物種Cucumis melo(WSH-39-1070AN)及びMedicago truncatulaのゲノムDNAからクローニングした。
【0085】
転写性調節エレメントは、ダイズ(Glycine max)及びArabidopsisにおいて実施する転写性プロファイリング実験から得た専有及び公的のマイクロアレイデータ、ならびに専有のCucumis meloならびに専有及び公的のMedicago truncatula配列に対するクエリとして既知の双子葉植物配列を使用した、相同性ベースの検索に基づいて選択された。
【0086】
同定した配列を使用してバイオインフォマティクス解析を行い、増幅DNA内にある調節エレメントを同定した。例えば、バイオインフォマティクス解析を行い、配列中に存在
する転写開始部位(TSS)及び任意の双方向性、イントロンまたは上流コード配列を同定した。この解析結果を使用して調節エレメントをDNA配列内で決定し、調節エレメントを増幅するためにプライマーを設計した。各調節エレメントに対応するDNA分子は、独自の制限酵素部位ならびにCucumis melo及びMedicago truncatulaから単離したゲノムDNAを含有するプライマーを用いて、標準的なポリメラーゼ連鎖反応条件を使用して増幅した。得られたDNA断片を、適合する制限部位の標準的な制限酵素消化及びDNAライゲーション法を使用して、ベース植物発現ベクター内にライゲーションした。
【0087】
調節エレメントTSS及びイントロン/エクソンスプライスジャンクションの解析は、形質転換植物組織を使用して実行され得る。簡潔には、植物を、異種性の転写可能なDNA分子に作動可能に連結されるクローン化DNA断片を含む植物発現ベクターを用いて形質転換させる。次に、5’ RACE System for Rapid Amplification of cDNA Ends,Version 2.0(Invitrogen、Carlsbad、California 92008)を使用して、産生されるmRNA転写物のDNA配列を解析することで、調節エレメントTSS及びイントロン/エクソンスプライスジャンクションを確認する。
【0088】
リーダーエレメントに作動可能に連結されるプロモーターエレメントを含む、Cucumis及びMedicagoの転写調節発現エレメント群またはEXP配列をコードするDNA配列を、対応するプロモーター及びリーダーと共に表1に示す。
【0089】
【表1】
【0090】
実施例2
安定的に形質転換されたダイズ植物におけるGUS発現を駆動する調節エレメントの解析
ダイズ植物において、ベクターを用いて、具体的には、β-グルクロニダーゼ(GUS)導入遺伝子の発現を駆動する試験用転写調節発現エレメントを含有する植物発現ベクターを用いて形質転換した。得られた植物をGUSタンパク質発現に関して解析し、発現に関して選択された調節エレメントの作用を評価した。
【0091】
ダイズ植物を、表2に記載された植物GUS発現コンストラクトを用いて形質転換した。調節エレメントを、当該技術分野において公知の標準的な方法を用いてベース植物発現ベクターにクローニングした。得られた植物発現ベクターは、Agrobacterium tumefaciens由来の右境界領域(B-AGRtu.右境界)、除草剤グリ
ホサートまたは抗生物質スペクチノマイシンのいずれかへの抵抗性を付与する形質転換植物細胞において、そのセレクションに使用される第1の導入遺伝子セレクションカセット、Gossypium barbadense E6遺伝子(T-Gb.E6-3b:3b:1、配列番号18)由来の3’末端領域に5’が作動可能に連結されるジャガイモ光誘導性組織特異的ST-LS1遺伝子(Genbank受託番号:X04753)由来のプロセシング可能なイントロンを含有するβ-グルクロニダーゼのコード配列(GUS、GOI-Ec.uidA+St.LS1:1:1、配列番号17)に5’が作動可能に連結されるEXP配列を含む調節エレメントの活性を評価する第2の導入遺伝子カセット及びAgrobacterium tumefaciens(B-AGRtu.左境界)由来の左境界領域を含有する。
【0092】
【表2】
【0093】
ダイズ植物細胞は、当該技術分野で公知の方法を用いたAgrobacteriumを介した形質転換によって、上述のバイナリー形質転換ベクターコンストラクトを使用して形質転換された。得られた形質転換植物細胞を誘導して、ダイズ植物全体を形成した。
【0094】
組織化学的なGUS解析を、形質転換植物の定性的及び定量的な発現解析に用いた。全組織切片をGUS染色溶液X-Gluc(5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-b-グルクロニド)(1ミリグラム/ミリリットル)と共に適切な長さの時間でインキュベートし、すすぎ、青色着色について目視検査した。GUS活性を、選択した植物器官及び組織を使用して、直接的目視検査または顕微鏡下での検査によって定性的に決定した。
【0095】
GUS発現の定量的分析については、総タンパク質を、形質転換ダイズ植物の選択された組織から抽出した。総タンパク質のうち1マイクログラムを、50マイクロリットルの総反応体積で、蛍光発生基質4-メチルウンベリフェリル-β-D-グルクロニド(MUG)と共に使用した。反応生成物である、4-メチルウンベリフェロン(4-MU)は、高pHで最大の蛍光性を示し、ヒドロキシル基はイオン化されている。炭酸ナトリウムの塩基性溶液の追加は同時にアッセイを停止し、蛍光産物を定量化するためにpHを調整する。蛍光は、Micromax Readerと共にFluoromax-3を使用して、365nmの励起、445nmの発光で測定し、スリット幅は、励起2nm及び発光3nmに設定した。値は、総タンパク質GUS/時間/mgの単位で提供される。
【0096】
世代において以下の組織、ステージVn5のシンク葉、ソース葉及び根、ステージR1の葉柄、ソース葉、花及び子葉、ステージR3の鞘及び未成熟種子、ならびにステージ黄色鞘の胚及び子葉を、GUS発現に関してサンプリングした。以下の表3及び4は、表2に示された調節エレメントによって駆動される各サンプリング組織についての平均定量的GUS発現を示す。
【0097】
【表3】
【0098】
【表4】
【0099】
表3及び4に見られるように、各調節エレメントは、採取された組織において独自の発現パターンを有する。EXP-CUCme.Fe2:1(配列番号1)及びEXP-CUCme.CipLhcb:1(配列番号4)は、共にR3鞘において高発現を示し、またR3未成熟種子、Vn5根、R5子葉ならびに黄色鞘ステージの胚及び子葉において最小の発現レベルを示す。EXP-CUCme.Fe2:1によって駆動されるGUS発現は、Vn5ステージのシンク及びソース葉ならびにR1ステージの葉柄、ソース葉及び花においても高かった。調節エレメントEXP-CUCme.Bbz:1(配列番号7)はVn5ステージのシンク及びソース葉ならびにR3ステージの鞘において最大の発現を示し
た。EXP-Mt.Lhcb2:1:1(配列番号10)によって駆動されるGUS発現は、Vn5ステージのソース葉及びR1葉柄において最大であった。EXP-Mt.PSII-T:1:1(配列番号13)は、R1ステージのソース葉において最大の発現を示した。
【0100】
各調節エレメントは、発現に関する望ましい組織選択に応じて、種々の導入遺伝子の発現に最適に駆動するよう使用され得る独自の発現パターンを提供する。
【0101】
実施例3
調節エレメント由来のエンハンサーエレメント
エンハンサーは、配列番号2、5、8、11及び14として示される、プロモーターエレメントに由来する。エンハンサーエレメントは、5’もしくは3’がプロモーターエレメントに作動可能に連結されるか、または5’もしくは3’が作動可能に、プロモーターに作動可能に連結される追加のエンハンサーエレメントに連結された場合、特定の細胞の種類もしくは植物器官で、または発生もしくは概日リズムにおける特定の時点で、転写可能なDNA分子の発現レベルを増強もしくは調整し得るか、または転写可能なDNA分子の発現を提供し得る、1つ以上のシス調節エレメントを含む場合がある。エンハンサーは、例えば配列番号2、5、8、11及び14として示される配列、またはその断片など、プロモーター配列から転写を開始させるTATAボックスまたは機能的に類似のエレメント及びプロモーターより下流の任意の配列を除去することによって作成される。
【0102】
植物プロモーター中のTATAボックスは、他のいくつかの真核生物のように高度に保存されていない。したがって、エンハンサーとしての断片を定義するために、まず、5’UTRが最初に転写される遺伝子の転写開始部位(TSS)を同定しなければならない。例えば、転写調節エレメントEXP-Mt.Lhcb2:1:1(配列番号10)は、5’UTRまたはリーダーエレメントL-Mt.Lhcb2-1:2:1(配列番号12)に作動可能に連結される、プロモーターエレメントP-Mt.Lhcb2-1:2:1(配列番号11)を含む。1837bpのプロモーターエレメントP-Mt.Lhcb2-1:2:1(配列番号11)内で、推定コアTATA様エレメントがヌクレオチド1798~1803の範囲に認められる。P-Mt.Lhcb2-1:2:1に由来するエンハンサー断片は、配列番号11のヌクレオチド1~1797を含み、最終的に配列番号16(E-Mt.Lhcb2)として示される配列になり得る。プロモーターP-Mt.Lhcb2-1:2:1(配列番号11)由来のエンハンサーは、E-Mt.Lhcb2(配列番号16)のより小さい断片をさらに含み得る。プロモーターP-Mt.Lhcb2-1:2:1(配列番号11)に由来するエンハンサーエレメントの有効性は、プロモーター及びリーダーに作動可能に連結され、安定的または一過的植物アッセイにおいて、例えばGUSなどのような転写可能なDNA分子の発現の駆動に使用される、プロモーターP-Mt.Lhcb2-1:2:1(配列番号11)に由来するエンハンサーを含む、キメラ転写調節エレメントを構築することによって経験的に決定される。
【0103】
エンハンサーエレメントのさらなる改良が必要とされる場合があり、経験的に検証される。さらに、キメラの転写調節エレメントの範囲内の各エレメントの順序が、各エレメントの相対的な位置に応じて様々な作用を与え得るため、キメラの転写調節エレメントの範囲内の他のエレメントに関連するエンハンサーエレメントの位置も、同様に経験的に決定される。一部のプロモーターエレメントは、複数のTATAボックスまたはTATAボックス様エレメント、及び複数の潜在的な転写開始部位を有する。このような状況下では、最初のTSSがどこに位置するかを最初に特定し、また推定エンハンサーエレメント内で潜在的な転写開始が起こるのを防ぐため、最初のTSSを使用したエンハンサー設計の開始が必要とされ得る。
【0104】
配列番号2、5、8、11及び14として示されるプロモーターエレメント由来のエンハンサーエレメントを、5’もしくは3’がプロモーターエレメントに作動可能に連結されるか、または5’もしくは3’が作動可能に、プロモーターに作動可能に連結される追加のエンハンサーエレメントに連結されるように、当該技術分野で公知の方法を使用してクローニングした。あるいは、エンハンサーエレメントを、2つ以上のエンハンサーのコピーを含む、より大きなエンハンサーエレメントを提供するため、当該技術分野で公知の方法を使用してクローニングする可能性があり、また、プロモーターエレメントに5’もしくは3’が作動可能に連結されるように、またはプロモーターに作動可能に連結される追加のエンハンサーエレメントに、5’もしくは3’が作動可能に連結されるように、当該技術分野で公知の方法を使用してクローニングし、キメラ転写調節エレメントを産生する可能性がある。またエンハンサーエレメントは、異なる種類の生物に由来するプロモーターエレメントに5’が作動可能に連結されるか、または同一もしくは異なる種類の生物のいずれかに由来するプロモーターに作動可能に連結される、他の種類に由来する追加のエンハンサーエレメントに、5’もしくは3’が作動可能に連結されるように、当該技術分野で公知の方法を使用してクローニングされ、キメラ転写調節エレメントを生じる。GUS発現植物形質転換ベクターは、得られた植物発現ベクターがAgrobacterium tumefaciens由来の右境界領域(B-AGRtu.右境界)、抗生物質スペクチノマイシンに抵抗性を付与する形質転換植物細胞のセレクションに使用される、第1の導入遺伝子セレクションカセット、ならびに、5’もしくは3’がプロモーターエレメントに作動可能に連結されるエンハンサーエレメントか、またはGossypium barbadense E6遺伝子(T-Gb.E6-3b:3b:1、配列番号18)由来の3’末端領域に作動可能に連結されるジャガイモ光誘導性組織特異的ST-LS1遺伝子(Genbank受託番号:X04753)由来のプロセシング可能なイントロンを含有するβ-グルクロニダーゼのコード配列(GUS、GOI-Ec.uidA+St.LS1:1:1、配列番号17)に作動可能に連結されるリーダーエレメントに5’が作動可能に連結されるプロモーターに作動可能に連結される追加のエンハンサーエレメントに5’もしくは3’が作動可能に連結されるエンハンサーエレメント、を含む、エンハンサーエレメントを試験するための第2の導入遺伝子カセット、及びA.tumefaciens由来の左境界領域(B-AGRtu.左境界)を含む、上の実施例2に記載されたコンストラクトに類似する、当該技術分野で公知の方法を使用して作成され得る。得られたプラスミドは、上記の方法により、ダイズ植物または他の種類の植物を形質転換するために使用される。あるいは、ダイズまたは他の種類の植物由来のプロトプラスト細胞を、一過的アッセイを行うために当該技術分野で公知の方法を使用して形質転換する。
【0105】
1つ以上のエンハンサーを含む調節エレメントにより駆動されるGUS発現は、転写可能なDNA分子の発現に関するエンハンサーエレメントの作用を決定する安定的または一過的植物アッセイにより評価される。1つ以上のエンハンサーエレメントに対する改変、または1つ以上のエンハンサーエレメントの複製は、経験的実験及び各調節エレメント組成物を使用することで観察される結果の遺伝子発現調節に基づいて実行され得る。得られた調節エレメントまたはキメラ調節エレメント中の1つ以上のエンハンサーの相対的な位置の変更は、調節エレメントまたはキメラ調節エレメントの転写活性または特異性に影響を与える場合があり、コーン植物または他の種類の植物の範囲において望ましい導入遺伝子発現プロファイルに対する最も優れたエンハンサーを同定するために経験的に決定される。
【0106】
本発明の原理を例示及び記載したことから、当業者には、このような原理から逸脱することなく、本発明を配置及び詳細について改変し得ることは明らかとなるはずである。本発明者らは、特許請求の範囲の趣旨及び範囲内にある全ての変更を主張する。本明細書で引用された全ての刊行物及び公開特許文献は、各々の刊行物または特許出願が参照により組み込まれることを具体的かつ個々に示された場合と同じ程度に、参照により本明細書に
組み込まれる。
【配列表】
0007438253000001.app