(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-15
(45)【発行日】2024-02-26
(54)【発明の名称】容器および容器と産卵構造との組み合わせ
(51)【国際特許分類】
A01K 67/033 20060101AFI20240216BHJP
【FI】
A01K67/033 502
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022075941
(22)【出願日】2022-05-02
(62)【分割の表示】P 2019568636の分割
【原出願日】2018-06-12
【審査請求日】2022-06-01
(32)【優先日】2017-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】517325272
【氏名又は名称】プロティ-ファーム アール アンド ディー ビー.ヴイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】スタール シモン
(72)【発明者】
【氏名】ボリエ ルーカス ヤン
(72)【発明者】
【氏名】デ ブルイン ヨハン
【審査官】小島 洋志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/153338(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0042131(US,A1)
【文献】仏国特許発明第01240706(FR,B)
【文献】実開昭51-042273(JP,U)
【文献】仏国特許出願公開第02703027(FR,A1)
【文献】欧州特許出願公開第00092888(EP,A1)
【文献】米国特許第05819685(US,A)
【文献】特開平10-016971(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 67/033
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
-小さいゴミムシダマシまたはゾフォバス・モリオスなどの伸縮可能な産卵管を有するクロール母虫を有するタイプの昆虫を繁殖させるための昆虫繁殖施設での使用に適合した昆虫産卵容器(1)であって、前記昆虫産卵容器は、底部(2)および、平行な直立壁の第1および第2のペア(2、3;4、5)を備える、昆虫産卵容器(1)と、
-伸縮可能な産卵管を有する母虫が卵を産卵する少なくとも1つの産卵構造(50)であって、穿孔された左部(51a)と穿孔された右部(51b)との間の中央にヒンジ(51g、51h)を介して接続して設けられた折り畳み部(51f)を有する折り畳み可能部材(51)を備え、前記産卵構造は剛性プレート(52)をさらに含む、産卵構造(50)と、
の組み合わせであって、
前記折り畳み可能部材および前記剛性プレートは、開いた形態と閉じた産卵形態との間で互いに対して移動可能であり、
閉じた産卵形態では、前記折り畳み可能部材(51)は、左部(51a)と右部(51b)とが互いに平行になるように折り畳まれ、前記剛性プレートは左部(51a)、右部(51b)間に挟まれ、剛性プレート(52)と折り畳まれた部材の内面(51ai、51bi)との間に多数の隙間(53)を作成し、隙間は母虫の産卵管に合わせた寸法を有し、そして、折り畳まれた部材の産卵形態の外面(51ao、51bo)は、2つの登山面を形成し、
閉じた産卵形態において産卵構造は、母虫が産卵構造の登山面に沿って下から上に這い上がって隙間に入ることができるように容器内に配置され、
開いた形態では、前記折り畳み可能部材
は開かれて、卵の収穫を可能にする、
組み合わせ。
【請求項2】
前記折り畳み可能部材は、前記剛性プレートの長さに本質的に対応する前記折り畳み部の方向の長さを有し、前記左部および前記右部の幅は、前記剛性プレートの幅に本質的に対応する、請求項1に記載の組み合わせ。
【請求項3】
前記折り畳み部(51f)は、前記剛性プレート(52)の長さに対応する長さ、前記剛性プレートの厚さに本質的に対応する幅、および前記剛性プレートを収容する深さを有する細長いスリットシート(51fs)を含む、請求項1または2に記載の組み合わせ。
【請求項4】
前記左部および右部と前記折り畳み部との間のヒンジの少なくとも1つは、折り畳み方向とは反対に予め応力がかけられている、請求項1~3のいずれか一項に記載の組み合わせ。
【請求項5】
前記折り畳み部に対向する前記折り畳み可能部材の内面の端部および/または前記折り畳み部に隣接する前記折り畳み可能部材の側面は、外面に向かって先細になる、請求項1~4のいずれか一項に記載の組み合わせ。
【請求項6】
前記昆虫産卵容器の底部(2)は、前記産卵構造を産卵形態で受け入れて、産卵構造を容器に結合できるようにする産卵構造クランプ(20)を備え
る、請求項1~5のいずれか一項に記載の組み合わせ。
【請求項7】
前記産卵構造の長さは、前記昆虫産卵容器の長さの70~100%であり、2~10個の産卵構造が、前記産卵容器の長手方向に設けられる、請求項1~6のいずれか一項に記載の組み合わせ。
【請求項8】
請求項1~7の1つ以上に記載の組み合わせの使用。
【請求項9】
伸縮可能な産卵管を有するクロール母虫を有するタイプの昆虫を繁殖させるための方法であって、
-請求項1~7のいずれか一項に記載の、閉じた産卵形態において産卵構造と組み合わせて複数の産卵容器(3)を提供するステップと、
-母虫を含む成虫を産卵容器に提供するステップと、
定期的に以下の
-産卵容器から産卵構造を取り除き、産卵容器内に成虫を残すステップ、
-産卵構造の折り畳み可能部材
を開くステップ、
-折り畳み可能部材および/または卵を保持している産卵構造の剛性プレートを取り外し、卵を孵化させるステップ、
-各産卵容器において閉じた産卵形態の空の産卵構造を提供するステップ、
を繰り返すステップと、
を含む、方法。
【請求項10】
前記昆虫は、小さいゴミムシダマシまたはゾフォバス・モリオスである、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の第1の態様は、概して長方形であり、底部と、底部およびコーナー構造を介してコーナーに結合された平行な直立壁の第1および第2のペアとを備える、上部が開いた積み重ね可能な成形プラスチック容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術から、積み重ね可能な容器はよく知られている。昆虫の繁殖と飼育の目的に適するように、少なくとも15個の容器の高さまで積み重ねることができ、温度が最高40℃までそして湿度が最高90%までの気候ハウジングで使用できるタイプの容器が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の態様によれば、容器のコーナー構造は、
-平面視で、隣接する直立壁の間を斜めに延び、直立壁に溶け込んで容器の収容空間の輪郭を定義する、実質的に斜めの直立壁部と、
-斜めの直立壁部の上端から外側に延びる上壁と、
-上壁から垂直に下方に延びる中空管状ポストであって、中空管状ポストは、斜めの直立壁部から間隔をあけられ、上壁は、中空管状ポストと整列した穴を有する、中空管状ポストと、を備え、
-複数の、例えば少なくとも3つの垂直スタッキングリブが中空管状ポストの周りに円周方向に間隔を空けて配置され、各スタッキングリブは中空管状ポストに結合された垂直内側端部を有し、
--少なくとも1つの、好ましくは2つのスタッキングリブは、斜めの直立壁部および/または隣接する直立壁部に結合された垂直外端を有し、
--スタッキングリブの各々は、共通平面に位置する下端を有し、
管状ポストは、スタッキングリブ下端の共通平面を越えて下方に延びる突出スタッキングピン部分を有し、スタックにおいて、上方容器のピン部分は、上方容器が上にスタックされる下方容器のコーナー構造の上壁の穴を通して受け入れられる。
【0005】
このタイプのコーナー構造は、比較的大きな収容空間と組み合わせて、少なくとも21個の容器を積み重ねた構造上の安定性を提供する。
【0006】
上部が開いた積み重ね可能なプラスチック容器は、好ましくはポリプロピレン(PP)から作られ、好ましくは一体射出成形される。
【0007】
スタックには、上方容器のピン部分があり、上方容器のピン部分は、上方容器がスタックされる下方容器のコーナー構造の上壁の穴を通して受け入れられる。共通平面にある上方容器のスタッキングリブ下端は、下方容器の穴に隣接する上壁に載っている。
【0008】
実施形態では、前記スタッキングピン部分は、容器の底部を越えて下方に突出せず(または底部より上で終端する)、スタッキングリブの下端は底部より上にある。その結果、積み重ねる前に、容器は底部が床に置かれ、スタックにおいて、上方容器が下方容器に入れ子になる。積み上げられると、下方容器の上壁は、上方容器の平行な直立壁の第1および第2のペアに隣接する。
【0009】
スタッキングピンが容器の底部を超えて下方に突出する実施形態では、容器は、スタッキングする前に、これらのスタッキングピン上に載る。底部より上にスタッキングリブの下端がある実施形態では、上方容器は下方容器に入れ子になる。スタッキングリブの下端が底部より下にある実施形態では、スタックにおいて、上方容器は下方容器に入れ子にならず、この下方容器より上方の距離に配置される。
【0010】
有利には、前記スタッキングリブの上端は、前記上壁に結合する。これは、射出成形による容器の製造の観点から特に有利である。スタッキングリブは基本的に長方形の断面を有する。生産の観点からも、スタッキングピンの方向に例えば下端の厚さが3.2mmに先細りするリグを設計することは有利である。
【0011】
実施形態では、コーナー構造は、上壁の外周縁から下向きに(依存して)延びる四分円のスカート壁をさらに含む。好ましくは、前記スタッキングリブの少なくとも1つは、前記斜めの直立壁部分および/または前記隣接する直立壁部分に結合されず、前記四分円のスカート壁に結合される外側垂直端部を有する。
【0012】
したがって、各スタッキングリブの内側端部はポストに結合され、好ましくは、前記スタッキングリブの上端部は上壁に結合する。前記スタッキングリブの少なくとも1つ、好ましくは2つは、前記斜めの直立壁部分および/または前記隣接する直立壁部分に結合された外側垂直端部を有する。あるいは、1つ以上の他のスタッキングリブの外側の垂直端が四分円のスカート壁に結合される。
【0013】
実施形態では、産卵容器の底部は産卵構造クランプを備え、本発明の第2の態様による産卵構造と組み合わせて使用される。
【0014】
実施形態では、上部フランジは、直立壁の上端から外向きに延びる。有利には、これらの上部フランジおよび/または上壁は、1つ以上の排水孔を備える。上部フランジが容器の底部に平行に延びることが考えられるが、直立壁の一部が傾斜し、上部フランジが底部に対してある角度で延びることも考えられる。
【0015】
有利には、フランジスカート壁は、上部フランジから下方に垂れ下がり、平行な直立壁のそれぞれの第1および第2の対に本質的に平行であり、それらから離れている。底部に平行に延び、底部に対してある角度で延びる上部フランジのスカート壁は、互いに溶け込むことがあり得る。有利には、上部フランジは、好ましくは直立壁に隣接する上壁の幅に対応する共通の幅を有する。好ましくは、スカート壁の少なくとも1つは、例えばインモールドラベリング経由でラベルを備える。
【0016】
また、本発明の第1の態様は、昆虫飼育施設における例えば繁殖および/または飼育用の容器に関する。さらに、第1の態様は、少なくとも15個、好ましくは少なくとも20個の容器を含むスタックに関する。そのような容器は、15~20kgの内容物重量を有し得る。
【0017】
さらに、本発明の第1の態様は、本発明の容器の複数のスタックを収容する昆虫繁殖施設の気候ハウジングに関する。
【0018】
本発明の第2の態様は、昆虫産卵容器と少なくとも1つの産卵構造との組み合わせに関する。このような組み合わせは、同じ出願人の特許文献1から公知である。これは、小さいゴミムシダマシ(lesser mealworm)またはゾフォバス・モリオス(zophobas morios)などの伸縮可能な産卵管を有するクロール母虫を有するタイプの昆虫を繁殖させるための昆虫繁殖施設での使用に適合した昆虫産卵容器を開示し、昆虫産卵容器には母虫が卵を産卵する少なくとも1つの産卵構造が設けられ、昆虫産卵容器は、底部と、底部に結合された少なくとも1つの産卵構造とを備え、少なくとも1つの産卵構造は、産卵構造の登れる面に沿って母虫が底部から上方へクロールできるように登れる面を有し、少なくとも1つの産卵構造は、登れる面からアクセスできる多数の隙間を含み、隙間は母虫の産卵管に合わせた寸法を有している。
【0019】
本発明の第2の態様の目的は、改善された組み合わせにより、昆虫の繁殖プロセスにおける収量の増加を提供する。
【0020】
これは、
-小さいゴミムシダマシまたはゾフォバス・モリオスなどの伸縮可能な産卵管を有するクロール母虫を有するタイプの昆虫を繁殖させるための昆虫繁殖施設での使用に適合した昆虫産卵容器であって、昆虫産卵容器は、底部および、平行な直立壁の第1および第2のペアを備える、昆虫産卵容器と、
-母虫が卵を産卵する少なくとも1つの産卵構造であって、穿孔された左部と穿孔された右部との間の中央にヒンジを介して接続して設けられた折り畳み部を有する折り畳み可能部材を備え、産卵構造は剛性プレートをさらに含む、産卵構造と、
の組み合わせであって、
折り畳み可能部材および剛性プレートは、開いた形態と閉じた産卵形態との間で互いに対して移動可能であり、
閉じた産卵形態では、折り畳み可能部材は、左部と右部とが互いに平行になるように折り畳まれ、剛性プレートは両部分間に挟まれ、剛性プレートと折り畳まれた部材の内面との間に多数の隙間を作成し、隙間は母虫の産卵管に合わせた寸法を有し、そして、折り畳まれた部材の産卵形態の外面は、2つの登山面を形成し、
閉じた産卵形態において産卵構造は、母虫が産卵構造の登山面に沿って下から上に這い上がって隙間に入ることができるように容器内に配置され、
開いた形態では、前記折り畳み可能部材は折り畳まれて開き、卵の収穫を可能にする、組み合わせを提供することにより達成される。
【0021】
これは、折り畳み可能部材を剛性プレートの周りに折り畳むと、本の開口部と同様に、折り畳み可能部材の横方向の動きによる開口が可能になり、産卵構造の折り畳み可能部材と剛性のプレートとの横方向の相対的なスライド運動がないため、卵を損傷するリスクが小さくなり、有利な構成である。さらに、隙間の寸法は明確に定義されており、再現性がある。その結果、歩留まりが向上する。
【0022】
本発明の第2の態様は、さらに、小さいゴミムシダマシまたはゾフォバス・モリオスなどの伸縮可能な産卵管を有するクロール母虫を有するタイプの昆虫を繁殖させるための方法であって、
-上記のように、閉じた産卵形態において産卵構造と組み合わせて複数の産卵容器を提供するステップと、
-母虫を含む成虫を産卵容器に提供するステップと、
定期的に以下の
-産卵容器から産卵構造を取り除き、産卵容器内に成虫を残すステップ、
-産卵構造の折り畳み可能部材を折り畳んで開くステップ、
-折り畳み可能部材および/または卵を保持している産卵構造の剛性プレートを取り外し、卵を孵化させるステップ、
-各産卵容器において閉じた産卵形態の空の産卵構造を提供するステップ、
を繰り返すステップと、
を含む、方法に関する。
【0023】
本発明の第2の態様はさらに、本発明の組み合わせの使用に関する。
【0024】
産卵構造の産卵形態の隙間は、産卵中に、甲虫の伸縮可能な産卵管が隙間に入り、隙間の中で折り畳み可能部材および/または剛性プレート上に卵を堆積させることができる一方、隙間への口の侵入を禁止し、甲虫が卵を食べるのを防ぐ寸法を有する。
【0025】
卵の堆積には、産卵管を隙間に配置し、産卵構造の一部上に卵を貼り付けることが含まれる。これは、産卵構造の折り畳み可能部材および剛性プレートの両方にすることができる。実施形態では、折り畳み可能部材および剛性プレートの一方は非粘着性にされ、すべての卵が産卵構造の他の部分に確実に付着するようにする。有利には、産卵構造の折り畳み可能部材は非粘着性であり、すべての卵を産卵構造の剛性プレート上に産卵できるようにする。
【0026】
開いた形態では、産卵構造の折り畳み可能部材と剛性プレートとの間の距離が長くなる。開いた形態では、卵の周囲に拡大された領域(自由空間)が作成され、孵化気候を最適化するのに有利である。卵は非常に脆弱であり、孵化するときに、幼虫は隙間から抜け出すためにより多くの空間を必要とする。隙間が小さすぎると、卵が湿り、幼虫が隙間の壁にくっつくリスクがある。拡大された領域は、孵化プロセスの開始時に、または孵化の数日後の終了時にのみ、またはその間に作成されることが考えられる。
【0027】
拡大した領域は、幼虫を収穫する目的でのみ取得してもよい。拡大された領域は、産卵構造を洗浄する目的でのみ取得されることも考えられる。
【0028】
有利には、産卵構造全体が産卵容器から取り除かれ、その後のステップで、産卵構造の部品間の距離が拡大され、卵を含む産卵構造の折り畳み可能部材および/または剛性プレートが、孵化する、例えば孵化エリアに輸送される。産卵構造の部品のうちの1つを非粘着性にして、すべての卵を産卵構造の他の部品に産卵できるようにする実施形態では、卵が付着した産卵構造の部品を例えば孵化室で孵化する一方、産卵構造の他の部品を洗浄できて有利である。洗浄後、この他の部品を卵のない新しい部品と組み立てて、産卵容器に入れる閉じた産卵形態を形成することができる。有利なことに、卵は産卵構造の剛性プレートにくっつく。したがって、卵を有する剛性プレートを孵化させながら、別の剛性プレートを洗浄済みの折り畳み可能部材に配置し、産卵容器に戻すことができる。
【0029】
有利には、折り畳み可能部材は、剛性プレートの長さに本質的に対応する折り畳み部の方向に長さを有し、左部および右部の幅は、剛性プレートの幅に本質的に対応する。このような調整された寸法により、産卵形態では、折り畳み可能部材と剛性プレートとが互いに一致し、産卵構造を単一のエンティティとして扱うことができる。さらに、このような構成により、単一の産卵構造で折り畳み可能部材と剛性プレートとの間の隙間の量を最適化できる。
【0030】
産卵構造の剛性プレートは、有利には、その幅の4倍の長さを有する。したがって、折り畳む前の産卵構造の折り畳み可能部材は、折り畳み部の方向に幅の約2倍の長さを有する。例えば、産卵構造の剛性プレートの長さは40~80cm、高さは10~20mmである。折り畳み部の左部と右部、および剛性プレートの有利な厚さは、2~5mm、好ましくは3mmである。
【0031】
折り畳み部は、第2のプレートの厚さに本質的に対応する幅と、第2のプレートの厚さの1.1~2.5倍の幅との間の範囲の広げられた位置の幅を有する。
【0032】
折り畳み部の幅は、例えばヒンジの種類に依存する。有利には、産卵構造の折り畳み可能部材には、一方では折り畳み部と、他方では左部および右部との間にリビングヒンジが設けられる。リビングヒンジは、薄い柔軟な、またはいわゆるフレクシャーベアリング(flexure bearing)である。そのようなリビングヒンジの位置での折り畳み可能部材の厚さは、0.5mm未満、特に0.35mmまで減少し得る。そのようなリビングヒンジでは、第2のプレートの厚さに本質的に対応する折り畳み部の幅を有することが可能である。
【0033】
実施形態では、折り畳み部は、剛性プレートの長さに対応する長さ、剛性プレートの厚さに本質的に対応する幅、および剛性プレートを収容する深さを有するスリットシートを含む。スリットの深さは、例えば5~15mm、好ましくは約10mmである。有利には、スリットの幅は、剛性プレートがスリットに留められるように、剛性プレートの厚さに調整される。実施形態では、スリットの上端部には、剛性プレートをスリットに案内するのを助けるために傾斜したガイド面が設けられる。そのような折り畳み部がスリットを含む場合、折り畳み部は、展開された位置で第2のプレートの厚さの約2倍の幅を有する。また、折り畳み部がスリットを含むそのような実施形態では、折り畳み部と左部および右部との間にリビングヒンジを設けることが可能である。
【0034】
実施形態において、左部および右部と折り畳み部との間のヒンジの少なくとも1つは、折り畳み方向とは反対に予め応力がかけられている。結果として、折り畳み可能部材を産卵構造の剛性プレートの周りに折り畳むと、左部、剛性プレートおよび右部を互いに平行にするために、予応力に打ち勝たなければならない。これは、産卵構造を開く場合に特に有利である。卵が産卵構造の折り畳み可能部材および/または剛性プレート上に堆積されると、産卵構造の部品が互いにくっつく可能性がある。予応力ヒンジにより、予応力は、産卵構造の折り畳み可能部材と剛性プレートとの間の距離を広げ、起こり得る粘着力を克服するのに役立つ。
【0035】
実施形態では、折り畳み部の反対側の折り畳み可能部材の内面の端部は、外面に向かって先細になっている。あるいは、その代わりに、またはそれに加えて、折り畳み部に隣接する折り畳み可能部材の側面は、外面に向かって先細になっている。端部を外面に向かって先細にすることにより、産卵形態では、一方では平行な左部および右部と、他方では剛性プレートとの間に開口スリットが作成される。この開口スリットは、産卵構造の折り畳み可能部材と剛性プレートとの間の距離を開いた形態に増加させるのを容易にする。あるいは、開口部のスリットにより、開口部ツールを使用して相互距離を延ばすことができる。
【0036】
実施形態では、昆虫産卵容器の底部に産卵構造クランプが設けられ、産卵形態の産卵構造を受け取り、産卵構造を容器に接続できるようにする。
【0037】
あるいは、産卵構造クランプは、昆虫産卵容器の底から突き出た対向する突出した指を備え、その間に産卵構造受け溝が設けられる。あるいは、対向する指の構成は、指の間の溝の底が産卵容器の底からある距離(例えば、2~4mm、好ましくは3mm)で設けられるようなものである。有利には、指は、産卵構造のガイド面を提供するために、テーパー状の端部を有する。
【0038】
好ましくは、折り畳み部の反対側の折り畳み可能部材の外面の端部は、産卵構造が産卵形態で容器に接続されることを可能にする相補的な容器コネクタを備える。有利には、産卵構造クランプおよび相補的な容器コネクタの構成は、産卵構造を容器に接続することにより、容器内の産卵構造の位置が規定されるようなものである。考えられる容器コネクタは、外面から突き出ているスナップ式の固定具である。
【0039】
本発明によれば、閉じた産卵形態の産卵構造体は、母虫が底部から産卵構造体の登山面に沿って隙間に這い上がることができるように容器内に配置される。あるいは、産卵構造は容器の底に隣接して配置される。母虫が容器の産卵構造クランプを介して登山面上を這うことも可能である。
【0040】
実施形態では、産卵構造の長さは、昆虫産卵容器の長さの70~100%、特に80~90%であり、好ましくは2~10個、特に4~6個の産卵構造が産卵容器の長手方向に設けられる。産卵容器内にこのような細長い産卵構造が複数あると、最適な数の卵が収穫される。有利には、産卵構造は、産卵容器の側面に沿って設けられ、産卵容器内に明確な中央縦方向空間を残す。産卵容器の幅の本質的に30~70%、特に40~60%の幅を有するこの空き空間では、母虫は自由に動き回り、食物を受け取り、換気を提供する。必要に応じて、産卵容器の底には、排泄物の除去を可能にするための穴の開いた領域がこの空き空間に設けられる。
【0041】
本発明によれば、閉じた産卵形態において、産卵構造の折り畳み可能部材および剛性プレートは、それらの間に多数の隙間が作られるように互いに対して配置される。折り畳み可能部材には、穿孔部、すなわち切り欠きが設けられた部分が設けられ、少なくとも穿孔の外側輪郭と産卵構造の剛性プレートとの間に隙間が作られる。
【0042】
小さいゴミムシダマシを繁殖させる場合、隙間の幅(w)は0.2~1.2mmであり、ゾフォバス・モリオスを繁殖させる場合、隙間の幅は0.2~1.8mmである。隙間の深さ(d)は、0.5~10.0mmの間で変化し得る。
【0043】
長さ40~80cm、高さ10~20mmの産卵構造の場合、左部および右部がそれぞれ250~400個、特に300~350個の穿孔を備えるのが有利である。
【0044】
第1の発明の態様は第2の発明と組み合わせることができ、逆もまた同様であることが想定される。
【0045】
本発明は、図面に関連してさらに説明される。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1a】
図1aは、本発明の第1の態様による2つの容器のスタックの側面図を表す。
【
図1b】
図1bは、本発明の第1および第2の態様による容器の斜視上面図を表す。
【
図2c】
図2cは、
図1の2つの積み重ねられた容器のコーナー構造の断面図を表す。
【
図3a】
図3aは、本発明の第2の態様による組み合わせの産卵構造の折り畳み可能部材の下からの斜視図を表す。
【
図3b】
図3bは、本発明の第2の態様による組み合わせの産卵構造の折り畳み可能部材の上面図を表す。
【
図3c】
図3aは、本発明の第2の態様による組み合わせの産卵構造の折り畳み可能部材の側面図を表す。
【
図3d】
図3dは、本発明の第2の態様による組み合わせの産卵構造の折り畳み可能部材の上からの斜視図を表す。
【
図3e】
図3eは、本発明の第2の態様による組み合わせの産卵構造の折り畳み可能部材の上からの斜視図の詳細を表す。
【
図4】
図4は、開いた形態における本発明の第2の態様による産卵構造の斜視図を表す。
【
図5a】
図5aは、閉じた構成における本発明の第2の態様による産卵構造全体の斜視図を表す。
【
図5b】
図5bは、閉じた構成における本発明の第2の態様による産卵構造全体の斜視図の詳細を表す。
【
図6a】
図6aは、本発明の第2の態様による産卵構造の折り畳み可能部材の折り畳み部の詳細を表す。
【
図6b】
図6bは、本発明の第2の態様による産卵構造の折り畳み可能部材の折り畳み部の詳細を表す。
【
図6c】
図6cは、本発明の第2の態様による産卵構造の折り畳み可能部材の折り畳み部の詳細を表す。
【
図6d】
図6dは、本発明の第2の態様による産卵構造の折り畳み可能部材の折り畳み部の詳細を表す。
【
図7a】
図7aは、折り畳み可能なプレート上の産卵構造クランプおよび相補的な容器コネクタの詳細な斜視図を示す。
【
図7b】
図7bは、折り畳み可能なプレート上の産卵構造クランプおよび相補的な容器コネクタの詳細な斜視図を示す。
【
図8a】
図8aは、折り畳み可能なプレート上の産卵構造クランプおよび相補的な容器コネクタの詳細な斜視図を示す。
【
図8b】
図8bは、折り畳み可能なプレート上の産卵構造クランプおよび相補的な容器コネクタの詳細な斜視図を示す。
【
図8c】
図8cは、折り畳み可能なプレート上の産卵構造クランプおよび相補的な容器コネクタの詳細な斜視図を示す。
【
図8d】
図8dは、折り畳み可能なプレート上の産卵構造クランプおよび相補的な容器コネクタの詳細な斜視図を示す。
【
図9a】
図9aは、本発明の第2の態様による昆虫産卵容器および産卵構造の組み合わせの斜視図を表す。
【
図9b】
図9bは、本発明の第2の態様による検査産卵容器および産卵構造の組み合わせの上面図を表す。
【発明を実施するための形態】
【0047】
図1a~
図2dには、本発明の第1の態様の、上部が開いた積み重ね可能なプラスチック容器1が、本発明のコーナー構造10の詳細とともに示されている。
図1aおよび
図2cには、2つの積み重ねられた容器1および1’が示されており、同じ部分にはアポストロフィ(’)が追加された同じ参照番号が与えられている。
【0048】
容器は、好ましくはモノリシックに射出成形された容器であり、好ましくはPPから作られている。容器1は、一般に長方形であり、底部2と、底部2に結合された平行な直立壁2、3、4、5の第1および第2の対が、以下で詳細に説明する本発明のコーナー構造10を介してコーナーで結合されている。
【0049】
ここで、下端で、直立した壁2、3;4、5は、湾曲部2c、3c;4c、5cを介して底部に結合(および融合)する。このタイプの容器の一般的な壁の厚さは、2~3.5mmである。
【0050】
そのような容器の寸法は、例えば長さ700~800mm、幅500~600mmおよび高さ100~200mmである。長さ79x59x19cmの外寸で、2700cm2を超える容器の収納空間8が得られる。
【0051】
このような容器は、例えば、あるいは本発明の第2の態様による産卵構造と組み合わせて、産卵母虫を収容する、昆虫の繁殖/飼育での使用に適している。さらに、容器は、卵の孵化、幼虫の飼育、幼虫の成虫への飼育プロセスに使用できる。
【0052】
容器には、本発明の第2の態様により組み合わせて使用される産卵構造クランプ20が設けられることが考えられる。これについては、以下でさらに説明する。容器はまた、例えば、卵が産卵される第2の態様の産卵構造の一部が収容される孵化構造を収容するのに適していてもよい。あるいは、容器の底は、卵または幼虫が産卵構造から別の容器に落下できるように、少なくとも部分的に取り除かれている。
【0053】
実施形態では、例えば、容器が母虫を収容するために使用される場合、容器の底の少なくとも一部を除去し、例えば、排泄物の除去のためにメッシュに置き換えることが可能である。
【0054】
図1aには、本発明による2つの容器のスタック9が示されている。有利には、スタックは少なくとも20個の容器を含む。好ましくは、いくつかのスタック、例えば2~4スタックがパレット上に配置される。有利には、昆虫繁殖施設には、容器の複数のスタックが設けられる1つまたは複数の気候ハウジングまたは気候エリアが設けられる。
【0055】
本発明の第1の態様によるコーナー構造10は、
図1bの壁4と5との間のコーナー構造10に関連して説明される。示される実施形態では、4つのコーナー構造10はすべて同じ構成を有する。
【0056】
コーナー構造10は、平面視で、隣接する直立壁4、5間で斜めに延び、前記直立壁に溶け込んで容器の収容空間8の輪郭を画定する、実質的に斜めの直立壁部11を含む。特に、示された実施形態では、
図1に見ることができるように、
図1b、
図2a、
図2b、および
図2dにおいて、直立壁部11は、3つの部分、すなわち、壁5に隣接する部分11a、壁4に隣接する直立壁部分11c、およびそれらの間の直立壁部分11bを含む。
【0057】
下端では、直立壁部11は、湾曲部11a1、11b1、11c1を介して、直立壁の底部への結合のタイプと同様に底部に結合される。
【0058】
示された実施形態では、上壁12は、斜めの直立壁部の上端から外向きに延びて、底部2に対して本質的に平行に延びている。
【0059】
示された実施形態では、平行な直立壁2、3;4、5の第1および第2の対は、直立壁の上端から外向きに延びる上部フランジ2a、3a;4a、5aを含む。ここで、上部フランジおよび上壁12はすべて、容器の底部2に平行に水平に延びている。ここで、
図1bおよび
図2dに見られるように、上部フランジと上壁12の両方に排水穴17が設けられている。
【0060】
図示の実施形態では、上部フランジ2a、3a;4a、5aは、フランジスカート壁2b、3b;4b、5bをさらに備え、フランジスカート壁2b、3b;4b、5bは、上部フランジから下向きに垂れ下がり、平行な直立壁の第1および第2の対に本質的に平行であり、そこから距離を置いていて、好ましくはスカート壁の少なくとも1つは、例えば型内ラベリング経由でラベル18を備える。
【0061】
ここで、コーナー構造10はまた、上壁12の外周辺から下向きに、斜めの直立壁部から距離を置いて垂下する四分円のスカート壁12cを含む。
【0062】
本発明の第1の態様によれば、中空の管状ポスト13は、前記上壁12から垂直に下方に延び、前記中空の管状ポスト13は、前記斜めの直立壁部分から離間している。ここで、管状ポスト13は、四分円のスカート壁12cからも離間している。上壁は、中空の管状ポスト13と位置合わせされた穴14を有する。
【0063】
複数の、例えば少なくとも3つの、図示の実施形態では7つの垂直スタッキングリブ15a~15gが中空管状ポスト13の周りに円周方向に間隔を空けて配置され、各スタッキングリブは、前記中空管状ポストに結合される垂直内側端部を有する。スタッキングリブは、例示的な厚さ2~4mmを有する。
【0064】
少なくとも1つの、ここでは2つの前記スタッキングリブ15a、15gは、それぞれ、前記斜めの直立壁部11a、11cに結合された垂直外側端部を有する。垂直な外端が平行な直立壁の第1および第2の対の壁に結合されることも考えられる。さらに、ここでは、スタッキングリブ15c、15d、15eの垂直外側端部の一部は、前記四分円のスカート壁12cに結合されている。スタッキングリブ15b、15fの垂直外側端部は、他のどの部分にも結合されていない。
【0065】
各スタッキングリブには上端がある。ここで、前記スタッキングリブ15a~15gの上端は、前記上壁12に結合する。さらに、各スタッキングリブには下端がある。本発明の第1の態様によれば、前記下端は共通平面Cに位置する。ここで、下端はわずかに丸みを帯びており、積み重ねられたときに突出する積み重ねピン部分が受け入れられる穴14に一致するために、これは
図2cに見られるように有利である。
【0066】
管状ポスト13は、スタッキングリブ下端の前記共通平面を越えて下方に延びる突出したスタッキングピン部分13pを有する。示された実施形態では、突出したスタッキングピン部分13pは、テーパー端部分13p’を含む。ここで、スタッキングピン部13pの下端には、排水孔13hが設けられている。特に
図2cに見られるように、積み重ねにおいて、上方容器1’のピン部分13p’は、上方容器が積み重ねられる下方容器1のコーナー構造の上壁12の穴14を通して受け入れられる。
【0067】
示された好ましい実施形態では、前記スタッキングピン部分13pは、容器の底部2を越えて下方に突出せず、共通平面Cのスタッキングリブの下端は底部の上にあるので、上方容器は、スタックにおいて、下の容器に入れ子式になる。特に、上方容器のスタッキングリブの下端(ここではリブ15d’および15a’が見える)は、下方容器の上壁12上に載っているが、スタッキングピン部13p’は穴14を通って下方容器1の管状ポスト13に積み重ねられている。ここで、スタックにおいて、上方容器の底部2’は下方容器のコーナー構造の上壁のレベルよりわずかに下にある。したがって、容器1と1’にはオーバーラップがある。つまり、容器間の相対距離は負である。
【0068】
スタッキングピン部分の長さは、容器のスタックの安定性に寄与する。有利な長さは、高さが190mmの容器の場合、30mmであり、その結果、容器の積み重ね高さは約160mmになる。
【0069】
積み重ねピン部分13pが容器の底部2を越えて下方に突出する実施形態(図示せず)では、積み重ねの最下部の容器は、その底部ではなく積み重ねピン部分に載る。さらに、容器間の相対距離が拡大され得る。容器間の相対距離は、スタッキングリブの下端の共通平面Cの位置によって決まる。
【0070】
スタッキングピン部13pの下端が容器の底部2よりも上方にある実施形態(図示せず)では、スタックの最下部の容器は、スタッキングピン部ではなく底部に載る。さらに、容器間の相対的距離は非常に小さく、容器がより大きく重なり合う場合がある。
【0071】
本発明の第2の態様は、昆虫産卵容器1と少なくとも1つの産卵構造50との組み合わせに関し、その例が
図9aおよび
図9bに示されている。ここで、昆虫産卵容器1は、本発明の第1の態様の容器1に対応する。小さいゴミムシダマシまたはゾフォバス・モリオスなどの伸縮可能な産卵管を有するクロール母虫を有するタイプの昆虫を繁殖させるための昆虫繁殖施設の昆虫産卵容器として使用するのに適している限り、代替の容器構成、特に積み重ね可能な容器も考えられる。昆虫産卵容器1は、底部2、平行な直立壁の第1および第2の対2、3;4、5、および母虫用の収容空間8を含む。
【0072】
母虫が卵を産卵するために、産卵構造50、ここでは4つの産卵構造50が容器1と組み合わせて設けられる。ここで、産卵構造50は、産卵容器1の長手方向に、容器の側部に設けられ、産卵構造50間の中央領域を開いたままにする。示された構成では、産卵構造の長さは、昆虫の産卵容器の長さの70~100%、特に80~90%である。産卵構造の幅は比較的小さく、容器の幅の1~5%のオーダー、特に8~20mmのオーダー、特に10~15mmのオーダーである。
【0073】
示された実施形態では、
図1b、
図9aおよび
図9bに見られるように、容器の底部2は、産卵形態に産卵構造を受け取り、産卵構造が容器2に接続されることを可能にするために、産卵構造クランプ20をあるいは備えている。好ましくは、これは、本発明の第2の態様による産卵構造である。
【0074】
産卵構造は、
図3a~
図3eに示されるように穿孔または切り欠き51cを備えた折り畳み可能部材51、および
図4に見られるように剛性プレート52を備える。折り畳み可能部材51および剛性プレート52は、好ましくは、一体的に射出成形されたプラスチック製品である。
【0075】
図3a~
図3eには、本発明の第2の態様による産卵構造の折り畳み可能部材51が詳細に示されており、産卵構造50の剛性プレート52は示されていない。
【0076】
本発明の第2の態様によれば、この折り畳み可能部材51は、穿孔された左部51aと穿孔された右部51bとの間の中央にヒンジ51g、51hを介して設けられた折り畳み部51fを備える。左部51aおよび右部51bは、プレートとして具体化され、穿孔51cを備える。図示の構成では、折り畳み可能部材51は8つのセグメントを含み、ここでは各々80~81個の穿孔が設けられている。各部51a、51bは、それぞれ外面51ao、51boおよび内面51ai、51biを含む。
【0077】
本発明の第2の態様によれば、折り畳み可能部材および剛性プレートは、開いた形態と閉じた産卵形態との間で互いに対して移動可能である。折り畳み可能部材と剛性プレートとの間の相互距離、特に内面1ai、51bi間の距離は、この移動中に増減する。
【0078】
図5a、
図5bおよび
図9a、
図9bでは、産卵構造50が閉じた産卵形態において示されている。産卵形態において、折り畳み可能部材51は、左部51aと右部51bとが互いに平行になるように折り畳まれる。剛性プレート52は、左部51a、右部51bの間に挟まれている。剛性プレート52と折り畳まれた部材の内面51ai、51biとの間に多数の隙間53が作られる。これらの隙間53は、母虫の産卵管に合わせた寸法を有する。小さいゴミムシダマシを繁殖させるための隙間の幅は0.2~1.2mmであり、ゾフォバス・モリオスを繁殖させるための隙間の幅は0.2~1.8mmである。隙間の深さは、0.5~10.0mmの間で変化し得る。
【0079】
図9aおよび
図9bに示されるように、産卵形態において、産卵構造50は、容器内に、ここでは底部2に隣接して配置される。折り畳まれた部材51の外面51ao、51boは、容器の底部に隣接して配置される2つの登山面を形成する。折り畳み可能部材の利点は、産卵構造の両側に隙間が作成されることである。
【0080】
閉じた産卵形態において産卵構造は、産卵構造クランプ20を介して、母虫が底から産卵構造の登山面に沿って上に這い上がって裂け目に入ることができるように容器に配置される。
【0081】
図4に示されるように、開いた形態において、折り畳み可能部材51は開いて折り畳まれ、折り畳み可能部材51と剛性プレート52との間の距離は増大し、卵の収穫および/または産卵構造の洗浄を可能にする。
【0082】
本発明の第2の態様による産卵構造の構成は、例えば、閉じた構成と開いた形態とを切り替えるために産卵構造の効率的な取り扱いを可能にする。効率の向上は、特に昆虫の繁殖を拡大する際の収量の増加に寄与し得る。
【0083】
さらに、本の開きと同様に、特に左部51aおよび右部51bの折り畳み可能部材51の横方向の動きにより産卵構造の開口を可能にすることによって、歩留まりの増加が得られる。この横向きの開口は、折り畳み可能部材と産卵構造の剛性プレートとの横方向の相対的なスライド移動が不可能であるため、卵を損傷するリスクを低減する。
【0084】
また、相対的なスライドの防止に寄与するのは、剛性プレートの長さに対応する長さ、剛性プレートの厚さに本質的に対応する幅、および剛性プレートを収容する深さを有する細長いスリットシート51fsを折り畳み部51fに提供することである。
【0085】
これを
図6a~
図6dに詳しく示す。特に、
図6aには、剛性プレート52のない「空の」スリット51fsが示されている。また、スリット51fsに任意に設けられたリブ51rが見え、これは剛性プレート52の固定に寄与するために設けられ得る。
【0086】
図6dに示すように、剛性プレート52は、スリットシート51fs内に配置される。
【0087】
歩留まりは、正しい寸法を有する隙間53の数と相関している。
【0088】
特に
図5bでは、有利なタイプの穿孔の詳細が見える。穿孔51cは円形であり、ここでは、穿孔51cが折り畳み可能なプレートの外面51aoに隣接する比較的大きな直径を含み、穿孔の円筒形部分51ccに隣接するより小さな直径に先細になるように、傾斜部分51cbが設けられ、穿孔は、折り畳み可能なプレート51の内面51aiで終わる。隙間53は、円筒部51ccの端部と剛性プレート52との間に形成されている。
【0089】
有利なことに、特に
図4から導き出せるような図示の構成では、折り畳み可能部材51は、剛性プレート52の長さに本質的に対応する折り畳み部51fの方向に長さを有し、左部および右部の幅は、剛性プレートの幅に本質的に対応する。その結果、想定される隙間を除いて、折り畳み可能部材と剛性プレートとの間に追加の隙間や明らかな間隔は作られない。
【0090】
母虫の産卵管に合わせた寸法を有する隙間を得るために、折り畳み可能部材の内面51ai、51biは、特に
図3eで見える突起51pを備えることが有利である。例えば、高さ0.3~0.4mmの突起は、所望の寸法の隙間を作成するのに適している。
【0091】
隙間の寸法の重要性を考慮すると、折り畳み可能部材と閉じた産卵形態の剛性プレートとの間の相互距離を正確に制御することが重要である。突起51pを設けることにより、産卵構造の部品間の最小距離が確保される。一方、対策は相互距離が大きすぎるリスクを減らすことを意図し得る。
【0092】
例えば、
図3aでは、穿孔部間に細長いセービング51sが見える。これらは、左部および右部からの膨らみを防ぐために設けられる。
【0093】
隙間の寸法を制御する別の手段は、左部51aおよび右部51bと折り畳み部51fとの間のヒンジ51g、51hの少なくとも1つに、折り畳み方向の反対の予応力を与えることである。
【0094】
図3cでは、予応力は、右部51bと水平部との間の1~1.5°のわずかな角度αとして見ることができるが、ここでは左部51aは水平部との角度を含まない。
【0095】
図6aでは、折り畳み部51fに隣接する折り畳み可能部材51の左部51aおよび右部51bのそれぞれの側部51ae、51beは、それぞれ、外面51ao、51boに向かって先細になることが分かる。端部を外面に向かって先細にすることにより、産卵形態では、一方の平行な左部および右部と、他方の剛性プレートとの間に開口部が作成される。この開口部は、折り畳み可能部材と産卵構造の剛性プレートとの間の距離を、開いた形態に増加させることを容易にする。あるいは、開口部により、開口ツールを使用して相互距離を延ばすことができる。折り畳み部の反対側の折り畳み可能部材の内面の端部および/または折り畳み部に隣接する折り畳み可能部材の側面は、外面に向かって先細になっている。
【0096】
隙間の寸法を制御するさらに別の任意の手段は、閉じた産卵形態において産卵構造が適切に閉じるのを保証することである。例えば、左部51a、剛性プレート52、および折り畳み部51fの反対側の右部51bのサンドイッチを閉じるためにクリップが設けられる。
【0097】
示された実施形態では、産卵構造は、昆虫産卵容器1の底部に設けられた産卵構造クランプ20を介してクレートに配置される。これらのクランプ20の設計は、サンドイッチされた産卵構造50の適切な閉鎖に寄与する。
【0098】
図7a~
図8dを参照すると、産卵構造クランプ20がさらに詳細に示されている。昆虫産卵容器1の底部2には、産卵形態の産卵構造50を収容する産卵構造クランプ20が設けられ、産卵構造を容器に接続することができる。
【0099】
図示の実施形態では、産卵構造クランプ20は、昆虫産卵容器の底部2から突出する対向する突出指20a、20bを備え、その間に産卵構造収容溝20cが設けられる。対向する指の構成は、指の間の溝の底が産卵容器の底からある距離(例えば、2~4mm、好ましくは3mm)で設けられるようなものである。
【0100】
指にはテーパー状の端部があり、産卵構造にガイド面20gを提供する。これは特に
図8aおよび
図8bで見ることができ、そこでは、産卵構造50の入口、および閉じた産卵形態への閉鎖が説明されている。
【0101】
容器1に対する産卵構造50の位置を定義するために、有利には、折り畳み部の反対側の折り畳み可能部材の外面50ao、50boの端部に、相補的な容器コネクタ50ac、50bcが設けられる。相補的な容器コネクタ50ac、50bcにより、産卵構造50を産卵形態で容器1に接続することができる。ここで、産卵構造クランプ20および相補的な容器コネクタ50ac、50bcの構成は、産卵構造を容器に接続することにより、容器内の産卵構造の位置が規定されるようなものである。考えられる容器コネクタは、外面から突き出ているスナップ式の固定具である。