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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-15
(45)【発行日】2024-02-26
(54)【発明の名称】創傷被覆材
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/00 20240101AFI20240216BHJP
【FI】
A61F13/00 301Z
A61F13/00 301M
A61F13/00 301A
A61F13/00 301J
A61F13/00 T
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022077308
(22)【出願日】2022-05-10
(62)【分割の表示】P 2018507784の分割
【原出願日】2016-04-27
(65)【公開番号】P2022105190
(43)【公開日】2022-07-12
【審査請求日】2022-05-10
(31)【優先権主張番号】1507134.3
(32)【優先日】2015-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】517377455
【氏名又は名称】メドトレード プロダクツ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】MEDTRADE PRODUCTS LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100113022
【弁理士】
【氏名又は名称】赤尾 謙一郎
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー ホガース
(72)【発明者】
【氏名】アンダー ブゲド
(72)【発明者】
【氏名】クレイグ ハーディー
【審査官】岡崎 克彦
(56)【参考文献】
【文献】特公昭39-018580(JP,B1)
【文献】特開平11-054101(JP,A)
【文献】実開昭60-064835(JP,U)
【文献】特表2015-500703(JP,A)
【文献】特開平03-217614(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/00-13/14
B32B 1/00-43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸い上げ材料から成る第1層及び吸収性繊維材料から成る第2層から成り、該吸収性材料が該吸い上げ材料通してパンチされ、
前記吸い上げ材料は発泡体を含み、前記吸収性材料は不織超吸収性材料からなり、
該吸収性材料が該吸い上げ材料通してパンチされる前に、該吸い上げ材料と該吸収性材料とが接着剤により結合されて結合層を形成しており、該吸収性材料の少なくとも一部分が、該吸い上げ層の創傷に面する表面上に露出する、創傷被覆材構成物。
【請求項2】
前記吸収性材料がポリマー材料から成る請求項1に記載の構成物。
【請求項3】
前記ポリマー材料が、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレンオキシド(PEO)、及びポリアクリル酸から選択される請求項2に記載の構成物。
【請求項4】
前記繊維が不織布層を形成する請求項1~3のいずれか一項に記載の構成物。
【請求項5】
前記吸い上げ材料が、親水性又は疎水性材料のいずれかから成る請求項1~4のいずれか一項に記載の構成物。
【請求項6】
前記親水性材料がポリウレタン発泡体であり、かつ前記疎水性材料がポリエチレン発泡体である請求項5に記載の構成物。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の創傷被覆材構成物を製造する方法であって、
(a)発泡体を含む吸い上げ材料から成る層及び不織超吸収性材料である吸収性材料から成る層を提供する段階、
(b)該吸い上げ材料から成る層を該吸収性材料から成る層に接着剤により結合させて結合層を形成する段階、及び
(c)該結合層に複数の孔をパンチする段階、
から成る方法。
【請求項8】
前記の複数の層が熱溶融性接着剤を使用して接着される請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記複数の孔が、その上に複数の針を有するローラを用いて前記結合層にパンチされる請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
請求項1~6のいずれか一項に記載の創傷被覆材構成物を、生理学的標的(ヒトを除く)から排出される液体を吸収する、又は生理学的標的部位(ヒトの部位を除く)から排出される液体の流れをくい止めることに使用する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、本発明は、創傷被覆材として使用するための、又は創傷被覆材中に使用するための、創傷被覆材構成物、及び創傷被覆材構成物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
血液及び/又は他の体液を浸出している、ヒト又は動物の身体上の創傷又は他の開口部を治療する際に使用するための局所創傷被覆材が知られている。この創傷被覆材を作製するために使用される材料は、血液及び/又は他の体液を吸収して、身体からそれらが流れるのを止めるように機能する。創傷被覆材のための材料は、例えば、メドトレード・プロダクツ・リミテッドによる、特表2012-502715(国際公開WO2010/031995)及び国際公開WO2015/050816(PCT/GB2015/050816)に開示されており、これらは市販され、入手可能である。
【0003】
もちろん、浸出液の管理は、創傷の管理及び外科手術の間で不可欠であり、重要である。浸出物を管理する目的は、本質的には、創傷床に湿った創傷環境を提供して、浸軟のリスクを最小限に抑えることであり、その結果、ヒト又は動物の身体への負の影響を減少させ、また回復するのに要する時間を短縮することができる。
創傷被覆材は、しばしば、少なくともある量の吸収性材料を含む。この吸収性材料の目的は、創傷部からの創傷浸出液を吸収し、それにより創傷床から浸出液を遠ざけることである。これにより、上で述べたように、治癒プロセスに有害であり得る傷床が過度に濡れることが回避される。創傷管理におけるさらなる発展は、接着剤が創傷接触層の表面を覆うように、全面的接着剤システム(特にシリコーン)を使用することである。これには、被覆材が創傷と密接な接触を維持し、より乾燥した領域にのみに付着し、湿った領域には付着しないという利点がある。また、創傷領域内により乾燥した領域がある場合、被覆材の接着性が、その接着接触を増加させ、そのため被覆材が、境界領域にのみ存在する接着剤と比較して、その場所に留まる能力を高める。シリコーン接着システムは、創傷領域と創傷周囲領域の両方において皮膚剥離の可能性を低減するので、使用されている。
【0004】
これらの被覆材内には、しばしば、創傷床から遠位にある接着性創傷接触層の表面上に液体吸い上げ層があり、これに高度に吸収性の層が結合される。この吸収層は、しばしば、高い液体吸収能力を有するだけでなく、高い液体保持能力を有し、創傷及び創傷周辺の浸軟のリスクを低減する超吸収性材料を含む。最終製品構成物を製造する際、吸い上げ層上に接着性創傷接触層を追加することは、直接的に適用するか又はキャリア層を用いて適用するかに依らず、吸い上げ層の疎水性を顕著に低下させることができ、液滴(溶液A、水、生理食塩水、模擬創傷液又は浸出液)が吸い上げ層に吸収されて超吸収性層に吸収されるまでに60秒以上かかるようにすることができる。これは、接着性創傷接触層と創傷床との間に過剰量の液体をもたらす可能性があり、細胞増殖を減速又は阻害して治癒を妨げることがあり、成長因子の利用可能性を妨げ、多量の炎症メディエーター及び活性化されたマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)を含むかもしれない浸出物を溜め込むことになるので、理想的ではない。
【0005】
本発明のさらなる利点は、吸い上げ層として疎水性材料を使用できることであり、これは、潜在的に、最終的な被覆材のコストを低下させ、又は被覆材を着用したときに支え及び快適性を提供するより高密度の材料の使用を可能にする。そのような状況では、吸い上げ層が創傷接触層を兼ねて、接着性創傷接触層を無くしてもよい。
簡単に概観すると、創傷被覆材は、液体吸収性、液体保持及び水蒸気透過率の3つの特性によって創傷浸出液を管理する。この液体吸収性は、創傷床から余分な液体を吸い込むために重要であり、これは浸軟のリスクを最小限に抑える。液体吸収の後の液体保持は、液体が被覆材から創傷床や周囲創傷領域に戻ることを最小限に抑え、創傷及び皮膚の浸軟の危険性を最小限に抑えるので重要である。
被覆材が最大の吸収性に達してしまうのを最小限に抑え、被覆材の使用可能時間を延ばすために、被覆材の外層の水蒸気透過率が重要であり、これは、本質的に水分が大気に移行し、被覆材を通過する液体を管理するのを助ける。吸収性と水蒸気透過率との組み合わせは、全液体処理と呼ばれる。
【0006】
全面粘着性創傷接触層を使用した創傷被覆材は、液体取り込み速度が妨げられ、潜在的に創傷浸軟及び治癒遅延のリスクを増加させるので、液体吸収率を改善する必要がある。
したがって、この問題に取り組むことができる創傷被覆材として使用するのに適した構成物又はこの創傷被覆材の中に使用するのに適した構成物が必要とされている。本発明は、上記を念頭に置いてなされたものである。
全液体取扱いを損なうことなく、液体の吸収率を増加させることによってこの問題に対処するために、織物の形態の吸収繊維材料を液体吸い上げ吸収層と組み合わせて成り、この吸収性繊維層が液体吸い上げ層中にパンチされた創傷被覆材が作られた。このような創傷被覆材において、吸収性吸い上げ層の本体内に吸収性繊維材料をパンチする作用は、液体取り込み速度に顕著に影響し、液体が吸収されるのにかかる時間を顕著に短縮する。また、これは、全液体取扱い特性を維持し、これに有害な影響を及ぼさない。
【0007】
本発明によれば、吸い上げ材料から成る第1層及び吸収性繊維材料から成る第2層から成り、該吸収性材料が該吸い上げ材料の中へ及び/又はそれを通してパンチされた創傷被覆材構成物が提供される。
【0008】
「パンチされた」とは、本明細書において、複数の針が、吸収性材料の繊維が吸い上げ材料の層の中へ及び/又はそれを通して貫通又は侵入することができるように、吸い上げ材料の層に複数の小さな穴を形成することを意味する。創傷被覆材構成物による液体吸収の速度を増加させることを可能にするのは、吸い上げ材層のこの改変によるものである。
パンチングプロセスの結果として、吸収性材料の少なくとも一部は、典型的には、吸い上げ層の創傷対向表面上に露出する。
【0009】
用語「吸収性材料」は、本明細書において、創傷浸出液のような液体を吸収することができ、吸収性材料の約500重量%より多い量の液体を吸収することができ、吸収性材料の約40重量%より多い量の液体を保持できる、生理学的に許容可能な材料を指す。本明細書で言及される吸収性材料は、超吸収性材料であってもよい。吸収性材料への言及は、他に示されない限り、超吸収性材料への言及も含む。
用語「超吸収性材料」は、本明細書において、水膨潤性であるが水溶性ではなく、その液体吸収能力が、超吸収性材料の約2000重量%、好ましくは約2500重量%より多く、液体保持率が、約85%、好ましくは約90%より大きい。
【0010】
一実施態様において、創傷被覆材構成物の創傷接触面(即ち、創傷又は生理学的標的部位に近位の吸い上げ層の創傷接触面)に、さらに粘着性創傷接触層を付着させてもよい。
本明細書で記載するように、この吸い上げ材料は創傷液を吸収し、それにより創傷液を創傷床から遠ざける。このことは、創傷床における液体の体積を減少させ、創傷床が過剰に濡れることが回避され、創傷治癒により効果的な湿気レベルが生成されるという有利な効果をもたらす。吸い上げ材料にこの液体が過度に飽和すると、過度に飽和した創傷床もこの液体で過度に飽和することになるので、創傷液を吸い上げ材料から引き離すことが好ましい。
この吸い上げ層は、親水性吸収層であってもよいし、疎水性低吸収層であってもよい。吸い上げ層は、液体を超吸収性層へ吸い上げるように機能し、吸収性材料が創傷に入るのを防ぐ半障壁として機能し、また、湿気が創傷へ戻るのを減少させる。
【0011】
本発明においては、この創傷接触材料が当初創傷部位からの液体を容易に吸収し、この吸収性材料が創傷接触材料から液体を吸収するので、この創傷接触材料と吸収性材料とは相乗的に作用することができる。この吸収性材料の優れた保持特性とは、この吸収性材料が創傷液を保持し、創傷液を創傷床から遠ざけることができることを意味する。有益なことに、このことは、創傷の治癒率を高めることができる。上述したように、吸収層が吸い上げ層にパンチされていない場合、吸収特性及び液体吸収速度は低下する。
本発明の創傷被覆材構成物は、創傷浸出液のような液体に暴露されたとき、迅速な液体取り込み速度を維持する。従って、この創傷被覆材構成物は、創傷浸出液が創傷床から吸収され、創傷破壊又は浸軟の可能性が減少するため有益である。
【0012】
用語「創傷」は、本明細書において、ヒト又は動物の生理学的標的部位における皮膚又は皮下組織における如何なる破損又は開口をも指すために使用される。典型的には、本発明は、ヒトの生理学的標的部位に関する。この生理学的標的部位という用語は、本明細書において創傷部位とも呼ばれる。
用語「創傷被覆材」は、本明細書において、吸収性、ゲル化性、接着性又は保護特性を有する、創傷部位に配置された材料を指すために使用される。
この創傷被覆材は、特定のサイズ又は形状に限定されない。この創傷被覆材は、創傷に直接的又は間接的に接触して配置されてもよい。この創傷被覆材は、本明細書で定義される創傷被覆材を含んでもよいし、この創傷被覆材のみから成ってもよい。
用語「水膨潤性」は、本明細書において、水又は水含有液体と接触したときに、この液体を吸収して膨潤するが、その液体に実質的に溶解しない物質を指すために使用される。いくつかの場合において、この材料の少なくとも一部は、水又は水含有液体と接触するとゲル化する。
用語「水溶性」は、本明細書において、水又は水含有液体と接触したときにその液体に容易に溶解する物質を指すために使用される。
【0013】
この吸い上げ材料はまた、吸収性材料又は超吸収性材料ではない、ポリマー発泡材料のような発泡体から成ってもよい。このポリマー発泡体は、ポリウレタン発泡体又はポリエチレン発泡体であってもよい。
この吸収性材料又は超吸収性材料は、デンプン、セルロース、並びにポリビニルアルコール(PVA)、ポリ(エチレンオキシド)(PEO)及びポリ(アクリル酸)などのポリマー材料から選択される材料から成ってもよい。このポリ(アクリル酸)は、部分的に中和され、軽度に架橋されたポリ(アクリル酸)であってもよい。この材料は繊維状である。
この吸収性材料は、化学的に変性されていてもよい。例えば、この超吸収性材料は、カルボキシメチルセルロース鎖にアクリル酸をグラフト重合させて得られるポリマー材料であってもよい。
【0014】
用語「架橋する」又は「架橋された」は、本明細書において、共有結合のような一次結合によって連結される2又はそれ以上のポリマー鎖を指すために使用される。
用語「軽度に架橋された」は、本明細書において、超吸収性材料中の架橋一次結合の数が架橋結合可能な全数よりも少ない実施態様を指すために使用される。
いくつかの実施態様において、この吸収性材料は、PVA、PEO及びポリ(アクリル酸)などのポリマー材料から選択されるが、これらに限定されない、この吸収性材料は、好ましくは部分的に中和され軽度に架橋されたポリ(アクリル酸)である。
【0015】
別の吸収性材料として、カルボキシメチルセルロース及びキトサン繊維誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、このキトサン繊維誘導体は、国際公開WO2010/031995公報に記載の材料から成ってもよく、この公報の内容は参照により本明細書に組み込まれる。したがって、この吸収性材料は、キトサン繊維と、それと結合した酸を有する材料(例えば、酢酸及び/又は乳酸のような酸で被覆されたセルロース繊維)との混合物を含むことができる。
典型的には、この吸収性材料は、部分的に中和され、軽度に架橋されたポリ(アクリル酸)である。
この吸収性材料は繊維の形態である。この繊維は、長さが約100mm以下、好ましくは約5~約75mm、より好ましくは約10~約60mm、最も好ましくは約30~約55mmであってもよい。長さが38~52mmの範囲の繊維を用いて良好な結果が観察された。
この吸収性材料は、織布層又は不織繊維層の形態であってもよい。この吸収性材料は、好ましくは、不織繊維層の形態である。この吸収性材料が層の形態である場合、この吸収性材料は、典型的には、創傷対向表面及び非創傷対向表面を含む。
【0016】
用語「創傷対向表面」は、本明細書において、使用時に、創傷部位に面する材料層の表面を指すために使用される。用語「非創傷対向表面」は、使用時に、創傷部位から離れた部位に面する材料層の表面を指す。
この吸収性材料は、水又は体液と接触してゲル化してもよい。この吸収性材料は、ゲル化又は半ゲル化性材料であってもよい。
用語「ゲル化材料」は、本明細書において、水又は体液と接触すると、実質的にすべての成分がゲル化し得る材料を指すために使用される。例えば、この「ゲル化材料」は、実質的に全ての繊維が水又は体液と接触するとゲル化することができる繊維材料から成ってもよい。
用語「半ゲル化」は、本明細書において、水又は体液と接触すると、その成分の一部はゲル化し、及びその成分の一部はゲル化しない成分の混合物から成る材料を指すために使用される。例えば、半ゲル化吸収性材料は、水又は体液と接触すると、その繊維の一部はゲル化し、及びその繊維の一部はゲル化しない繊維の組み合わせから成ってもよい。
用語「非ゲル化」は、本明細書において、水又は体液と接触すると実質的にすべての成分はゲル化しない材料を指すために使用される。例えば、「非ゲル化」は、実質的に全ての繊維が水又は体液との接触時にゲル化することができない繊維材料から成ってもよい。
【0017】
吸い上げ材料の層は、熱接着、感圧接着剤、熱溶融(ホットメルト)性接着剤、ニードルパンチングなどによって吸収性材料の層に結合させることができる。典型的には、この吸い上げ材料は、接着剤結合層によって吸収性材料に結合される。この接着材料は、任意の適切な生理学的に許容される接着剤のみからなってもよいし、又はそれを含んでもよい。この接着結合層は、熱接着又は圧着によってこの2つの材料を結合させてもよい。好ましくは、熱接着が用いられる。この接着剤結合層は、好ましくは粉末形態である。この接着剤結合層は、ポリカプロラクトン、ポリアミド、ポリエステル、エチレンコポリマー、及びこれらの任意の2又はそれ以上の組み合わせから選択されるポリマー材料を含む、又はそれらのみから成ってもよい。さらに、吸収性及び液体ハンドリング性を助け、湿気を維持して、この吸収性層が高通気性外層を使用する場合に乾燥を防止するために、これら2層の間に超吸収性ポリマー材料を使用してもよい。
【0018】
本発明の一実施態様において、創傷接触接着層を用いてもよい。
この接着材料は、任意の適切な生理学的に許容される接着剤のみからなってもよいし、又はそれを含んでもよい。
この接着材料は、感圧接着剤、熱接着剤、シリコーン接着剤などであってもよい。典型的には、この接着材料はシリコーン接着剤である。いくつかの実施態様において、この接着材料は、第2の接着材料を用いて、創傷から遠位のキャリア層に付着されてもよい。この場合、創傷に近位の表面(創傷接触面)はシリコーン、ポリウレタン又はアクリル接着剤から成り、一方、創傷から遠位の表面は感圧接着剤で被覆される。このキャリア層は、吸い上げ層に液体を通過させるために穴が開けられている。他の実施態様において、この創傷接触接着剤は、液体がこの接着剤層を通って吸い上げ層へ通過できるように、吸い上げ層上に直接塗布される。
この接着材料はポリマーであってもよい。典型的には、この接着材料は、アクリル系接着剤、ポリウレタン系接着剤、及びシリコーン系接着剤から選択される。
この接着材料は、層の形態であってもよい。この接着剤層は、創傷対向表面及び非創傷対向表面を有する。
【0019】
本発明の一実施態様において、吸収性材料の層の非創傷対向表面に接続されたアンカー層を設けてもよい。このアンカー層は、典型的には接着材料を用いて接続される。
この接着材料は、アンカー材料の非創傷対向表面の全体又は一部を覆ってもよい。この接着材料は、アンカー材料の非創傷対向表面の約50~100%、好ましくは約70~80%、最も好ましくは約75%を覆ってもよい。いくつかの実施態様において、この接着材料は、アンカー材料の非創傷対向表面の実質的に100%を覆ってもよい。接着材料の被覆率が高いほど、接着材料とアンカー材料との間の結合が強くなることに留意されたい。
接着材料がアンカー材料の非創傷対向表面の100%未満を覆う場合、接着材料はそのような表面に間隔を置いて配置されてもよい。そのような実施態様において、接着材料は、規則的又は不規則な間隔、好ましくは規則的な間隔で配置されてもよい。
この接着材料は、アンカー材料及び吸収性材料よりも大きい表面積を有してもよい。
そのような実施態様において、接着材料は、アンカー材料及び吸収性材料の1つ又は複数の縁部よりも外側に延びる境界を提供する。有益なことに、この接着材料は、(a)アンカー材料に接着するための接着材料の領域を提供することと、及び(b)創傷部位を取り囲む皮膚に接着することができる接着アンカー材料の周りに境界を設けること、の2つの目的を提供する。接着材料が患者の皮膚へ接着することにより、使用中に、創傷被覆材構成物を定位置に保持することができる。
【0020】
特許GB1239921は、織物から離れた発泡体の表面上に縫い糸が残るように、発泡体を織物に縫い付ける技術を教示する。この発泡体とこの織物は、外に曝されている発泡体表面の摩擦耐性を強化するように、接着剤又は炎結合により積層されている。
これとは対照的に、縫うことにより単一の通過又は移動に起因する縫い糸又は糸のループが残るので、本発明では、不織超吸収性材料は発泡体を通して縫い付けられていない。本発明では、超吸収性材料の繊維は発泡体を通してパンチされ、これにより繊維の通り道が作られ、不織超吸収性材料を縫っていないため、繊維は不織超吸収性材料から遠位の発泡体表面からがわずかに突き出る。そのためループは無い。このパンチを行う前に、吸い上げ層と吸収性層の2つの層は互いに結合される。
【0021】
この創傷被覆材構成物は、多層であってもよい。例えば、この創傷被覆材構成物は、創傷接触接着層、吸い上げ材及び吸収材層から成る異なる多層の形態であってもよい。本明細書には、第1、第2及び第3の層から成る多層の創傷被覆材構成物が記載されているが、本発明の多層の創傷被覆材構成物は、更に、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10の層、又はそれ以上の層を含んでもよい。これらのさらなる層は、吸い上げ層と吸収材層との間を接着する超吸収性ポリマーと溶融性粒子の混合物のような、第1、第2又は第3の層に関連して本明細書で言及される特徴のいずれかを含んでもよい。
この創傷被覆材構成物は、更に、例えば、裏地材料のような創傷被覆材のさらなる成分を含んでもよい。
裏地は、限定されるものではないが、ポリマーフィルム、薄い発泡体や布などの医療グレードのシート材料から成ってもよく、例えば、ポリウレタンフィルム、ポリウレタン発泡体、不織布などが挙げられる。
【0022】
適切な皮膚接触接着剤として、アクリレート、シリコーン又はポリウレタンに基づく接着剤が挙げられるが、これらに限定されない。これらは、ヒドロゲルに基づくものであってもよい。これらは、水分に対して多孔性であって高水蒸気透過率であってもよい。これらを、水エマルションや溶媒を用いて適用してもよく、また熱溶融システムを用いて適用してもよい。これらの接着剤は、良好な皮膚粘着性を有すべきであるが、除去時に皮膚外傷を最小にすべきである。これらは、裏地の100%を被覆してもよいし、又はパターン又はメッシュの形での部分的に被覆してもよい。
【0023】
この吸い上げ材料は、好ましくは発泡体の形態である。この吸い上げ層は、創傷対向表面及び非創傷対向表面を有する。いくつかの実施態様において、この発泡体層の厚さは、約0.5mm~約7mm、好ましくは約1.5mm~約3.0mmであってもよい。
典型的には、この吸い上げ材料は、親水性発泡体のような親水性材料である。この創傷接触材料は、親水性ポリマー材料を含む、又はそれのみから成ってもよい。用語「親水性」は、本明細書において、水と親和性を有する物質を指すために使用される。本発明において、この親水性創傷接触材料は、水との親和性を有し、そのため、創傷液を含む水を容易に吸収することが可能になる。
しかし、本明細書に記載されるように、この層は疎水性であってもよい。用語「疎水性」は、本明細書において、水に対して低い親和性を有する物質を指すために使用される。
典型的には、この吸い上げ材料は、ポリウレタン、ポリエチレン又は織物材料を含む、又はそれのみから成る。このポリウレタンの形状は、発泡体であってもよい。この織物材料はネット、不織布又は織布層の形態であってもよい。
この吸い上げ材料は、好ましくは、ポリウレタン発泡体を含む、又はそれのみから成ってもよい。
この吸い上げ材料は、吸収性材料の創傷対向表面の全体又は一部を覆ってもよい。典型的には、この吸い上げ材料は、創傷接触接着剤層の背後の、吸収性材料の創傷対向表面の全体を覆う。しかし、特定の場合において、創傷接触接着層が無いことがある。
【0024】
この創傷被覆材構成物は、更に、裏地材料を含んでもよい。この裏地材料は、典型的には、接着材料に付着される。この裏地材料は、典型的には層の形態であり、創傷被覆材構成物の最外層又は皮膚から最も遠い層になる。
有益なことに、この裏地材料は、バクテリアなどの汚染物質による創傷の汚染を防止するための障壁として機能することができる。裏地材料は防水性であってもよい。
典型的には、この裏地材料は層を形成する。この裏地層は、当業者に知られている任意の適切な手段によって接着材料に取り付けることができる。この接着材料が感圧接着剤を含む又は感圧接着剤のみからなる場合、この裏地材料は単に接着材料と接触され、適切な圧力が加えられる。この裏地材料は、好ましくはフィルム、より好ましくは不織フィルムの形態である。
この裏地材料は、ポリマー材料を含む又はそれのみから成ってもよい。典型的には、この裏地材料は、ポリウレタン、ポリエチレン、及びポリエステルを含むか、又はそれのみからなる。このポリエステルは不織布であってもよい。この裏地材料は、好ましくは、ポリウレタンである。
【0025】
この創傷被覆材構成物は、更に皮膚保護層を含んでもよい。この皮膚保護層は、創傷部位を取り囲む皮膚に創傷被覆材構成物を付着させる代替手段を提供することができる。そのような実施態様において、この皮膚保護層を接着材料の創傷対向表面に付着させてもよい。好ましくは、この皮膚保護層は、接着材料の境界の創傷対向表面、即ちこれに接着したアンカー材料の外側に置かれた接着材料部分、に付着される。
この皮膚保護層は、被覆材を創傷部位に固定するための接着材料を含み、この接着剤はシリコーン材料又は感圧接着材料から成ってもよい。このシリコーンは、接着剤と同じ方法で皮膚に接着することができ、ほとんど痛みや損傷なしに剥離や再塗布が可能であるので、皮膚保護層として理想的に適している。また、このシリコーン材料は、本明細書に記載の接着材料と比較して、使用者にとって少ない痛みで、皮膚から除去することができる。
【0026】
このシリコン層と接着材料との間にキャリア材料を配置することを必要とすることがある。このキャリア材料は、典型的には、高分子フィルムから成る。このキャリア材料は、本明細書に記載の裏地層と同じ材料であってもよい。
接着材料に接着された皮膚保護層は、アンカー材料の非創傷対向表面と重複してもよい。このような実施態様において、アンカー材料の非創傷対向表面は、本明細書に記載されているように接着材料に付着し、かつ皮膚保護層の一部にも付着する。これにより、創傷被覆材構成物の安定性が向上する。
【0027】
代替として、この皮膚保護層は、超吸収性材料の創傷対向表面又は存在する場合に創傷接触材料の創傷対向表面の少なくとも一部と重複してもよい。再度述べるが、これは創傷被覆材構成物の安定性を高める。これは、また、創傷部位と直接接触することが可能な皮膚保護層の一部を提供する。再度述べるが、シリコーン材料は皮膚に穏やかに接着するので、創傷部位との接触に理想的に適している。創傷及び創傷の一部は、異なる速度で治癒し、異なる部位及び異なる時間に創傷被覆材構成物に粘着する。吸収性材料(又は存在する場合には創傷接触材料)の少なくとも一部をシリコーン材料で覆うことは、シリコーン材料が皮膚に穏やかに接着するので、有益であると考えられる。
いくつかの実施態様において、この皮膚保護層は、超吸収性材料の創傷対向表面又は創傷接触材料の全部又は一部にわたって延在することができる。このような実施態様において、吸い上げ材料と吸収性材料との組み合わせによる創傷液の吸収を促進するため、また通気性のため、また創傷部位への穏やかな接着のために、皮膚保護層に穴をあけておくことが好ましい。
【0028】
本発明のさらなる実施態様において、本明細書で定義される創傷被覆材構成物を含む創傷被覆材が提供される。
本発明の創傷被覆材構成物又はこの創傷被覆材構成物を含む創傷被覆材において、本明細書に記載した1又はそれ以上の物質又は層に、追加の成分を混合してもよい。このような追加の成分として、医薬品;界面活性剤のような湿潤剤;成長因子;サイトカイン;マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)及びエラスターゼのような治癒を遅らせる薬剤を吸収する薬剤;及び/又はカルシウム、ビタミンK、フィブリノーゲン、トロンビン、第VII因子、第VIII因子、カオリンのような粘土、酸化再生セルロース、ゼラチン、又はコラーゲンなどの別の創傷被覆材成分が挙げられるが、これらに限定されない。
これらの追加成分の典型的な含有レベルは、創傷被覆材構成物の約50ppm~約50重量%であってもよい。より典型的なレベルは、創傷被覆材構成物の10重量%未満、さらにより典型的には約5重量%未満である。約1重量%未満の創傷被覆材構成物を含む追加の成分もまた本発明の範疇に入る。
【0029】
本発明のさらなる実施態様において、本明細書に記載の創傷被覆材構成物を製造する方法であって、
(a)吸い上げ材料から成る層及び吸収性材料から成る層を提供する段階、
(b)該吸い上げ材料から成る層を該吸収性材料から成る層に付着させて結合層を形成する段階、及び
(c)該結合層に複数の孔をパンチする段階、
から成る方法が提供される。
典型的には、この吸い上げ材料の層と吸収性材料の層とは、接着剤、典型的には熱溶融性接着剤を用いて付着される。本発明の一実施態様において、ある量の熱溶融性接着剤がこの吸い上げ材料の層又は吸収性材料の層のいずれかに塗布される。より典型的には、この熱溶融性接着剤は、吸収性材料の層に塗布される。この実施態様において、この吸収性材料の層は、吸収層の上側(即ち、非創傷対向側)に配置され、この結合された2層は加熱チャンバを通され、そこで乾燥した接着剤の粉末は溶融してこの2層を一緒に接着する。
【0030】
本発明の別の実施態様において、結合された材料がローラと別の表面との間を通過するように、複数の孔が、その上に複数の針を有するローラを用いて上記結合層にパンチされる。吸収性材料の繊維を吸い上げ層の中に及び/又は吸い上げ層を通してパンチできるように、複数の針が吸収性材料の層のその側にあるように、この結合された層は配向する。
また、本発明の方法は、上記で定義した、アンカー層及び裏地層、又は創傷接触接着剤層を付着させる段階を含んでもよい。
【0031】
本明細書に記載された創傷被覆材構成物の材料及び/又は成分は、無菌又は非無菌の形態で提供されてもよい。この材料及び/又は成分が最初に滅菌形態で提供される場合、滅菌はガンマ線照射、電子ビーム処理、熱処理、X線照射などの当技術分野において従来公知の方法のいずれかを用いて実施してもよく、又はエチレンオキシドを用いた処理によって行ってもよい。滅菌方法として、エチレンオキシドを使用する殺菌が好ましい。非滅菌形態の材料を、1種以上の防腐剤と組み合わせて提供してもよい。しかし、本発明の創傷被覆材構成物は、予め滅菌された形態で提供されることが好ましい。
本発明の創傷被覆材構成物又はこの創傷被覆材構成物を含む創傷被覆材は、典型的には、本明細書に記載されたいずれかの方法を用いて包装する前に滅菌される。これにより、医師又は緊急応答者は、パッケージングから取り出した創傷被覆材構成物又は創傷被覆材を直接使用することができ、時間を節約することができる。
本発明のさらなる実施態様において、本明細書で定義される創傷被覆材構成物又は本明細書で定義される創傷被覆材を、創傷のような生理学的標的から排出される液体を吸収する、又は生理学的標的部位から排出される液体の流れをくい止めることに使用する方法が提供される。
本発明のさらなる実施態様において、創傷のような生理学的標的から排出される液体を吸収するための、又は生理学的標的部位から排出される液体の流れをくい止めることに使用するための、本明細書で定義される創傷被覆材構成物又は本明細書で定義される創傷被覆材が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明の一実施態様による創傷被覆材構成物の断面図である。
図2】本発明の別の創傷被覆材構成物の断面図である。
図3】皮膚保護層を含む本発明の創傷被覆材構成物の断面図である。
図4】皮膚保護層を含む本発明の更に別の創傷被覆材構成物の断面図である。
図5】皮膚保護層を含む本発明の更に別の創傷被覆材構成物の断面図である。
図6】本発明の更に別の創傷被覆材構成物の断面図である。
図7】皮膚保護層をさらに含む図6の創傷被覆材構成物の断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
図1及び2は、吸い上げ材料から成る層(2)、溶融性接着剤から成る層(3)、吸収性材料から成る層(4)、アンカー材料から成る層(5)、接着材料から成る層(6)、及び裏地層(7)から成る創傷被覆材構成物(1)を示す。吸収性材料の層(4)は、吸い上げ材料の層(2)の中にパンチされる。吸い上げ材料の層(2)は、創傷接触層として作用することができる。また、図2は、キャリア層(8)及び皮膚に優しい接着剤層(9)から成る境界周りの2層を有する。
吸い上げ材料の層(2)は創傷部位に隣接し、創傷に創傷被覆材構成物(1)を塗布すると創傷と直接接触する。この吸い上げ材料の層(2)は、本明細書に記載した手段のいずれかにより、吸収性材料(4)の創傷対向表面に付着される。
この吸い上げ材料層(2)は、好ましくは、粉末接着剤を用いて吸収性材料層(4)に付着される。また、この吸い上げ材料層(2)は、吸収性材料層(4)からの液体の浸出を防止又は低減する働きをする。
この溶融性接着剤(3)は、吸い上げ材料層(2)と吸収性材料層(4)との間に配置される。図1及び2において、これらの層の間に形成された結合は、使用中にそれぞれの材料が創傷液で濡れても壊れない。
【0034】
アンカー材料(5)は、吸収性材料(4)の非創傷対向表面に付着される。典型的には、このアンカー材料(5)は吸収性材料(4)に熱接着される。本明細書に記載されるように、このアンカー材料(5)と吸収性材料(4)との間に形成される結合は、使用中に材料が創傷液で濡れても壊れない。
接着剤層(6)は、その非創傷対向表面に取り付けられた裏地層(7)を有する。アンカー材料(5)と同様に、裏地層(7)は、2つの材料を一緒に接触させて圧力を加えることによって、アンカー材料(5)に付着されてもよい。
図1及び図2の両方に見られるように、接着剤層(6)及び裏地層(7)は、アンカー材料(5)、吸収性材料(4)及び吸い上げ材料(2)よりも大きな断面を有し、境界部分(8)を形成する。境界部分(8)中の裏地層(7)の創傷対向表面は、使用時に、接着剤(10)を用いて創傷部位の周りの患者の皮膚に直接適用される。したがって、接着剤層(10)は、アンカー層(5)に接着し、患者の皮膚に接着するという二重の目的を有する。
【0035】
図3は、キャリア層のみから成る穴が開けられた層、吸収性材料層(4)の近位にある感圧接着剤から成る層(10)、及び創傷の近位にあり、被覆材の液体吸収部分を包むシリコーン接着層とから成る別のデザインを示す。この構成にすることでアンカー層の必要はない。
図4及び図5は、図1及び図2の実施態様の代替物であり、人の皮膚/創傷に被覆材を固定するために使用される被覆材の接着部分は、創傷接触層に重なるが、この創傷接触層を完全に覆ってはいない。この層は、穴をあけられていてもよいが、穴をあけられていなくともよい。
図6及び図7は、接着面がある場合とない場合の境界にないバージョンを示す。
使用時に、本発明の創傷被覆材構成物は、創傷接触層及び/又はシリコーン層を創傷部位に接触させることによって創傷に適用される。境界部分又は境界が存在しない場合の非境界部分に下向きの圧力をかけることによって、又は二次固定装置を用いることによって、創傷被覆材構成物を患者の皮膚に貼り付けることができる。創傷部位からの創傷浸出液は、吸い上げ層を通ってと超吸収性材料層に吸収される。このことは、創傷床から液体を引き離し、創傷床に治癒に役立つ湿気レベルを作り出す効果を有する。
【実施例
【0036】
発明の創傷被覆材構成物は、層間剥離せず、一定レベルの水分を維持し、1mlの液体の吸い上げ速度が60秒未満、好ましくは30秒未満である。これを試験するために、以下の実験を行った。
【0037】
試験方法
図3に示すような本発明の2つの島状の創傷被覆材を調製した。第1の創傷被覆材(T1)は、ポリアクリレート繊維から成る超吸収性層(200gsm)、感圧アクリル接着剤から成るパターン状に塗布された接着剤層(20gsm)、高透湿性ポリウレタンフィルムの裏地層、厚さ30ミクロン、及びポリウレタン発泡体から成る吸い上げ層、厚さ1.5mm、及び100cm2あたり0.49gの超吸収性ポリマー/乾燥熱溶融性接着剤層から形成される。この超吸収性層を、この吸い上げ層に結合し、次いで吸い上げ材料中にパンチされた。第2の創傷被覆材(T2)は、ポリアクリレート繊維から成る超吸収性層(250gsm)、感圧アクリル接着剤から成るパターン状に塗布された接着剤層(20gsm)、高透湿性ポリウレタンフィルムの裏地層、厚さ30ミクロン、及びポリウレタン発泡体から成る吸い上げ層、厚さ1.5mm、及び100cm2あたり0.25gの乾燥熱溶融性接着剤層から形成される。この超吸収性層を、この吸い上げ層に結合し、次いで吸い上げ材料中にパンチされた。
2つの対照被覆材(C1及びC2)を、超吸収性層を吸い上げ材料中にパンチされない以外は、上記と同様に構築した。
すべての試験用被覆材及び対照被覆材を包装し、エチレンオキシド滅菌により滅菌した。
この試験において、溶液Aは、塩化物(塩)として142ミリモルのナトリウムイオン及び2.5ミリモルカルシウムイオンを含み、溶液Bは生理食塩水であり、溶液Cは創傷液を想定した溶液(50%ペプトン水及び50%ウシ胎児血清)である。
各試験品及び対照品に対して、溶液A、B及びCの各1mlを被覆材の接着剤の創傷接触表面上にピペットで移し、接着剤の創傷接触面がベンチから見て最上部になるように反転した。これにより、溶液の液滴が被覆材の表面上にくる。この溶液が被覆材に吸収されるのに要した時間を記録した。
【0038】
【表1】
上記の結果は、超吸収性層の吸い上げ層へのパンチングが、液体が創傷被覆材に吸収されるのにかかる時間を著しく減少させることを示している。
もちろん、本発明が、単なる例示として記載された上記の実施例に限定されるものではないことを理解されたい
【符号の説明】
【0039】
1 創傷被覆材構成物
2 吸い上げ材料から成る層
3 溶融性接着剤から成る層
4 吸収性材料から成る層
5 アンカー材料から成る層
6 接着材料から成る層
7 裏地層
8 キャリア層
9 皮膚に優しい接着剤層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7