(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-15
(45)【発行日】2024-02-26
(54)【発明の名称】バッテリモジュール及び充電システム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20240216BHJP
H02M 3/155 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
H02J7/00 302A
H02M3/155 H
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022121185
(22)【出願日】2022-07-29
【審査請求日】2022-09-07
(31)【優先権主張番号】202110875141.8
(32)【優先日】2021-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521531171
【氏名又は名称】ファーウェイ デジタル パワー テクノロジーズ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】トゥオ,ホォン
(72)【発明者】
【氏名】ユィ,ホア
(72)【発明者】
【氏名】リン,チュアンシィ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,ティエンホォイ
【審査官】杉田 恵一
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-049163(JP,A)
【文献】特開平06-175738(JP,A)
【文献】特開2013-223389(JP,A)
【文献】特開2017-211292(JP,A)
【文献】中国実用新案第208820017(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2016/0064962(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0127482(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0358295(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/26
H02J 1/00
H02J 7/00
H02M 3/155
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる電圧系の異なるタイプの端末装置に放電する
ことが可能なバッテリモジュールであって、当該バッテリモジュールは、検出・制御ユニット、バックブーストユニット、及びセルパックを有し、
前記検出・制御ユニットは
、端末装置によって送信された
、該端末装置の電圧系に基づく端末要求電圧を受信し、該端末要求電圧に基づいて前記セルパックを通じて
該端末装置に放電するよう、前記バックブーストユニットを制御するように構成さ
れる、
バッテリモジュール。
【請求項2】
前記検出・制御ユニットは、前記端末装置によって送信された、前記端末要求電圧と第1期間における前記端末装置の負荷入力電圧とに基づいて前記端末装置によって取得された第1の誤差基準値を受信し、該第1の誤差基準値と前記第1期間における前記バックブーストユニットの出力電圧とに基づいて、第1の目標出力電圧を取得し、前記セルパックを通じて前記第1の目標出力電圧に基づいて前記端末装置に放電するよう、前記バックブーストユニットを制御するように構成される、請求項1に記載のバッテリモジュール。
【請求項3】
前記検出・制御ユニットは、
Voutref1=Voutref0+Verror1
として前記第1の目標出力電圧を取得するように構成され、ここで、Voutref1は、前記第1の目標出力電圧を表し、Voutref0は、前記第1期間における前記バックブーストユニットの前記出力電圧を表し、Verror1は、前記第1の誤差基準値を表す、請求項
2に記載のバッテリモジュール。
【請求項4】
前記検出・制御ユニットは、前記端末要求電圧と、前記第1期間の前の電圧制御期間である第2期間における前記バックブーストユニットの出力電圧とに基づいて、第2の誤差基準値を取得し、該第2の誤差基準値と前記第1期間における前記バックブーストユニットの前記出力電圧とに基づいて、第2の目標出力電圧を取得し、前記セルパックを通じて前記第2の目標出力電圧に基づいて前記端末装置に放電するよう、前記バックブーストユニットを制御するように構成される、請求項
2に記載のバッテリモジュール。
【請求項5】
前記検出・制御ユニットは、
Verror2=Vinref-Voutref2
として前記第2の誤差基準値を取得するように構成され、ここで、Verror2は、前記第2の誤差基準値を表し、Vinrefは、前記端末要求電圧を表し、Voutref2は、前記第2期間における前記バックブーストユニットの前記出力電圧を表す、請求項
4に記載のバッテリモジュール。
【請求項6】
前記検出・制御ユニットは、
Voutref3=Voutref0+Verror2
として前記第2の目標出力電圧を取得するように構成され、ここで、Voutref3は、前記第2の目標出力電圧を表し、Voutref0は、前記第1期間における前記バックブーストユニットの前記出力電圧を表し、Verror2は、前記第2の誤差基準値を表す、請求項
4に記載のバッテリモジュール。
【請求項7】
前記検出・制御ユニットは、前記端末装置によって送信された、前記端末要求電圧を示す端末情報を受信し、該端末情報に基づいて前記端末要求電圧を取得するように構成される、請求項1
乃至6のいずれか一項に記載のバッテリモジュール。
【請求項8】
前記検出・制御ユニットは、前記端末情報が前記端末要求電圧を有する場合に、前記端末情報から前記端末要求電圧を取得し、前記端末情報が電圧指示情報を有する場合には、前記端末情報から前記電圧指示情報を取得し、前記電圧指示情報と前記端末要求電圧との間の事前設定された対応関係に基づいて前記端末要求電圧を取得するように構成される、請求項
7に記載のバッテリモジュール。
【請求項9】
前記検出・制御ユニットは、
事前設定された電圧補償条件を前記第1の目標出力電圧が満たす場合に、前記端末装置によって送信された第3の誤差基準値を受信し、該第3の誤差基準値は、前記端末要求電圧と第3期間における前記端末装置の負荷入力電圧とに基づいて前記端末装置によって取得され、該第3期間は、前記第1期間後の電圧制御期間であり、
前記第3の誤差基準値と前記第3期間における前記バックブーストユニットの出力電圧とに基づいて、第3の目標出力電圧を取得し、
前記セルパックを通じて前記第3の目標出力電圧に基づいて前記端末装置に放電するよう、前記バックブーストユニットを制御する、
ように構成される、請求項
2に記載のバッテリモジュール。
【請求項10】
前記検出・制御ユニットは、
前記端末装置のラインインピーダンスを取得し、
前記ラインインピーダンス
と第1期間における前記バックブーストユニットの出力電流とに基づいて、前記第1期間におけるライン電圧降下を取得し、
前記第1期間における前記ライン電圧降下と前記端末要求電圧とに基づいて、第4の目標出力電圧を取得し、
前記セルパックを通じて前記第4の目標出力電圧に基づいて前記端末装置に放電するよう、前記バックブーストユニットを制御する、
ように構成される、請求項1
乃至9のいずれか一項に記載のバッテリモジュール。
【請求項11】
前記検出・制御ユニットは、
Vdelta2=R*It2
として前記第1期間における前記ライン電圧降下を取得するように構成され、ここで、Vdelta2は、前記第1期間における前記ライン電圧降下を表し、Rは、前記ラインインピーダンスを表し、It2は、前記第1期間における前記バックブーストユニットの前記出力電流を表し、*は乗算を表す、請求項
10に記載のバッテリモジュール。
【請求項12】
前記検出・制御ユニットは、
Voutref4=Vinref+Vdelta2
として前記第4の目標出力電圧を取得するように構成され、ここで、Voutref4は、前記第4の目標出力電圧を表し、Vinrefは、前記端末要求電圧を表し、Vdelta2は、前記第1期間における前記ライン電圧降下を表す、請求項
10又は
11に記載のバッテリモジュール。
【請求項13】
検出・制御ユニットは、前記端末装置によって送信された前記第1期間における前記端末装置
の負荷入力電圧を受信し、前記第1期間における前記端末装置の前記負荷入力電圧と
、前記第1期間の前の電圧制御期間である第2期間における前記バックブーストユニットの出力電圧とに基づいて、前記第2期間におけるライン電圧降下を取得し、前記第2期間における前記バックブーストユニットの出力電流と前記第2期間におけるライン電圧降下とに基づいて、前記ラインインピーダンスを取得するように構成さ
れる、
請求項
10又は
11に記載のバッテリモジュール。
【請求項14】
前記検出・制御ユニットは、前記端末装置と前記ラインインピーダンスとの間の事前設定されたマッピング関係に基づいて、前記端末装置の前記ラインインピーダンスを取得するように構成される、請求項10又は11に記載のバッテリモジュール。
【請求項15】
前記検出・制御ユニットは、
Vdelta1=Voutref2-Vin0
として、前記第2期間における前記ライン電圧降下を取得するように構成され、ここで、Vdelta1は、前記第2期間における前記ライン電圧降下を表し、Voutref2は、前記第2期間における前記バックブーストユニットの前記出力電圧を表し、Vin0は、前記第1期間における前記端末装置の前記負荷入力電圧を表す、請求項
13に記載のバッテリモジュール。
【請求項16】
前記検出・制御ユニットは、
R=Vdelta1/It1
として、前記ラインインピーダンスを取得するように構成され、ここで、Rは、前記ラインインピーダンスを表し、Vdelta1は、前記第2期間における前記ライン電圧降下を表し、It1は、前記第2期間における前記バックブーストユニットの前記出力電流を表し、/は除算を表す、請求項
13に記載のバッテリモジュール。
【請求項17】
前記検出・制御ユニットは、
前記端末装置によって送信された前記第1期間における前記端末装置の前記負荷入力電圧を受信し、前記端末要求電圧と前記第1期間における前記端末装置の前記負荷入力電圧とに基づいて、前記第1の誤差基準値を取得し、前記第1の誤差基準値と前記端末要求電圧とに基づいて、第5の目標出力電圧を取得し、前記セルパックを通じて前記第5の目標出力電圧に基づいて前記端末装置に放電するよう、前記バックブーストユニットを制御するように構成される、請求項
2に記載のバッテリモジュール。
【請求項18】
前記検出・制御ユニットは、
Voutref5=Vinref+Verror1
として前記第5の目標出力電圧を取得するように構成され、ここで、Voutref5は、前記第5の目標出力電圧を表し、Vinrefは、前記端末要求電圧を表し、Verror1は、前記第1の誤差基準値を表す、請求項
17に記載のバッテリモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、電源技術の分野に関し、特に、バッテリモジュール及び充電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
バッテリモジュールは様々な端末装置で広く使用されている。例えば、端末装置は、例えば二輪又は三輪の電気自動車といった電気自動車を含み得る。しかしながら、二輪の電気自動車と三輪の電気自動車とでは電源電圧及びモータ駆動電圧が異なる。例えば、36ボルト(V)、48V、60V、及び72Vなどの一般的な電圧系が存在する。どのようにバッテリモジュールを標準化し、モジュール化し、全体的に構成するかが、ますます重要になる。
【0003】
現在の異なる電圧系では、バッテリモジュールは主に、異なる数の直列接続されたセルを使用してセルパックを形成することによって実装され、そのセルパックが、充電/放電スイッチを介して端末装置に接続される。バッテリモジュールの放電及び充電機能を実現するために、セルパックの出力状態及び充電器の出力状態に基づいて充電/放電スイッチが制御される。
【0004】
上述の技術的ソリューションでは、バッテリモジュールの充電電圧範囲及び放電電圧範囲が広く、負荷の入力電圧範囲が非常に広いことが要求される。異なる電圧系のバッテリモジュールは標準化されることができず、バッテリモジュールの耐用年数が短く安全性が乏しいという問題がある。
[先行技術文献]
[特許文献1]米国特許出願公開第2016/0064962号
【発明の概要】
【0005】
この出願の実施形態は、バッテリモジュールの耐用年数及び安全性を改善するバッテリモジュール及び充電システムを提供する。
【0006】
上述の技術的問題を解決するために、この出願の実施形態は以下の技術的ソリューションを提供する。
【0007】
第1の態様によれば、この出願の一実施形態は、バッテリモジュールを提供し、当該バッテリモジュールは、端末装置に放電するように構成され、当該バッテリモジュールは、検出・制御ユニット、バックブースト(buck-boost)ユニット、及びセルパックを含む。
【0008】
検出・制御ユニットは、端末装置によって送信された端末要求電圧を受信し、該端末要求電圧に基づいてセルパックを通じて端末装置に放電するよう、バックブーストユニットを制御するように構成される。
【0009】
あるいは、検出・制御ユニットは、端末装置によって送信された、端末要求電圧と第1期間における端末装置の負荷入力電圧とに基づいて端末装置によって取得された第1の誤差基準値を受信し、該第1の誤差基準値と第1期間におけるバックブーストユニットの出力電圧とに基づいて、第1の目標出力電圧を取得し、セルパックを通じて第1の目標出力電圧に基づいて端末装置に放電するよう、バックブーストユニットを制御するように構成される。
【0010】
上述のソリューションにおいて、バッテリモジュールは端末装置に放電するように構成される。具体的には、バッテリモジュールは、検出・制御ユニット、バックブーストユニット、及びセルパックを含む。検出・制御ユニットは、端末装置によって送信された端末要求電圧を受信し、該端末要求電圧に基づいてセルパックを通じて端末装置に放電するよう、バックブーストユニットを制御するように構成される。バッテリモジュールは、検出・制御ユニットを含む。検出・制御ユニットは、端末要求電圧に基づいてセルパックを通じて端末装置に放電するよう、バックブーストユニットを制御し得る。異なる電圧系の端末装置は、異なる端末要求電圧を使用し得る。検出・制御ユニットは、バッテリモジュールが様々なタイプの端末装置に放電し得るように、端末要求電圧に基づいて端末装置に放電し得る。あるいは、検出・制御ユニットは、端末装置によって送信された第1の誤差基準値を受信し、該第1の誤差基準値に基づいて第1の目標出力電圧を取得し、セルパックを通じて第1の目標出力電圧に基づいて端末装置に放電するよう、バックブーストユニットを制御するように構成される。バッテリモジュールは検出・制御ユニットを含む。検出・制御ユニットは、第1の目標出力電圧に基づいてセルパックを通じて端末装置に放電するようバックブーストユニットを制御し、対応する第1の誤差基準値を、異なる電圧系の端末装置に送信し得る。検出・制御ユニットは、第1の誤差基準値に基づいて第1の目標出力電圧を取得し、そして、バッテリモジュールが様々なタイプの端末装置に放電し得るように、端末装置に放電し得る。端末装置は常に最適な入力電圧ポイントで動作し、その結果、異なる電圧系のバッテリモジュールが正規化及び標準化され、バッテリモジュールの耐用年数及び安全性が改善される。
【0011】
取り得る一実装において、検出・制御ユニットは、
Voutref1=Voutref0+Verror1
として第1の目標出力電圧を取得するように構成される。
【0012】
Voutref1は、第1の目標出力電圧を表し、Voutref0は、第1期間におけるバックブーストユニットの出力電圧を表し、Verror1は、第1の誤差基準値を表す。
【0013】
上述のソリューションにおいて、第1の目標出力電圧は、第1期間においてバックブーストユニットを制御するための目標電圧値を示し、上記の計算式に従ってVoutref1を正確に計算することができる。上記の計算式は単なる一例であり、この出願のこの実施形態における限定として解釈されるものではない。例えば、上記の計算式の変形が更に使用されてもよい。例えば、式の右側で結果が計算された後に、第1の目標出力電圧を得るために、事前設定された電圧較正値が該結果に加算される。
【0014】
取り得る一実装において、検出・制御ユニットは、端末要求電圧と、第1期間の前の電圧制御期間である第2期間におけるバックブーストユニットの出力電圧とに基づいて、第2の誤差基準値を取得し、該第2の誤差基準値と第1期間におけるバックブーストユニットの出力電圧とに基づいて、第2の目標出力電圧を取得し、セルパックを通じて第2の目標出力電圧に基づいて端末装置に放電するよう、バックブーストユニットを制御するように構成される。上述のソリューションにおいて、検出・制御ユニットは端末要求電圧を取得する。さらに、検出・制御ユニットは、第2期間におけるバックブーストユニットの出力電圧を取得する。バックブーストユニットの動作期間の長さは限定されない。なお、この出願のこの実施形態において、複数の電圧期間に基づいて電圧制御が実施され、第2期間、第1期間、及び第3期間の間の対応関係が、一例を用いて記述される。異なる期間の具体的な実装は限定されない。検出・制御ユニットは、端末要求電圧と第2期間におけるバックブーストユニットの出力電圧とに基づいて、第2の誤差基準値を取得する。第2の誤差基準値は、第1の期間において補償される必要がある電圧値を示す。次に、第2の誤差基準値と第1期間におけるバックブーストユニットの出力電圧とに基づいて、第2の目標出力電圧が取得され、該第2の目標出力電圧は、第1期間においてバックブーストユニットを制御するための目標電圧値を示す。最後に、検出・制御ユニットは、第2の目標出力電圧に基づいてセルパックを通じて端末装置に放電するよう、バックブーストユニットを制御し得る。斯くして、バッテリモジュールは、異なる電圧系の端末装置に放電する。
【0015】
取り得る一実装において、検出・制御ユニットは、
Verror2=Vinref-Voutref2
として第2の誤差基準値を取得するように構成される。
【0016】
Verror2は、第2の誤差基準値を表し、Vinrefは、端末要求電圧を表し、Voutref2は、第2期間におけるバックブーストユニットの出力電圧を表す。上述のソリューションにおいて、第2の誤差基準値は、第1期間において補償される必要がある電圧値を示し、上記の計算式に従ってVerror2を正確に計算することができる。上記の計算式は単なる一例であり、この出願のこの実施形態における限定として解釈されるものではない。例えば、上記の計算式の変形が更に使用されてもよい。例えば、式の右側で結果が計算された後に、第2の誤差基準値を得るために、事前設定された電圧差較正値が該結果から減算される。
【0017】
取り得る一実装において、検出・制御ユニットは、
Voutref3=Voutref0+Verror2
として第2の目標出力電圧を取得するように構成される。
【0018】
Voutref3は、第2の目標出力電圧を表し、Voutref0は、第1期間におけるバックブーストユニットの出力電圧を表し、Verror2は、第2の誤差基準値を表す。上述のソリューションにおいて、第2の目標出力電圧は、第1期間においてバックブーストユニットを制御するための目標電圧値を示し、上記の計算式に従ってVoutref3を正確に計算することができる。上記の計算式は単なる一例であり、この出願のこの実施形態における限定として解釈されるものではない。例えば、上記の計算式の変形が更に使用されてもよい。例えば、式の右側で結果が計算された後に、第2の目標出力電圧を得るために、事前設定された電圧較正値が該結果に加算される。
【0019】
取り得る一実装において、検出・制御ユニットは、端末装置によって送信された、端末要求電圧を示す端末情報を受信し、該端末情報に基づいて端末要求電圧を取得するように構成される。上述のソリューションにおいて、端末装置は、端末情報を検出・制御ユニットに送信し得る。端末情報は端末信号とも称され得る。端末情報は端末要求電圧を示す。検出・制御ユニットは、端末情報に基づいて端末要求電圧を取得し得る。端末要求電圧を取得することには複数の手法が存在する。これはここで限定されることではない。この出願のこの実施形態では、バッテリモジュールが端末要求電圧に基づいて端末装置に放電することができるよう、バッテリモジュールは、端末装置を介して端末要求電圧を取得し得る。
【0020】
取り得る一実装において、検出・制御ユニットは、端末情報が端末要求電圧を含む場合に、端末情報から端末要求電圧を取得し、端末情報が電圧指示情報を含む場合には、端末情報から電圧指示情報を取得し、電圧指示情報と端末要求電圧との間の事前設定された対応関係に基づいて端末要求電圧を取得するように構成される。上述のソリューションにおいて、端末情報は端末要求電圧を担持することができ、検出・制御ユニットは、端末情報を解析することによって端末要求電圧を取得することができる。他の一例として、端末情報は端末要求電圧を担持せずに、電圧指示情報を担持する。検出・制御ユニットは、電圧指示情報と端末要求電圧との間の事前設定された対応関係に基づいて端末要求電圧を取得し、電圧指示情報と端末要求電圧との間の対応関係は、バッテリモジュールに予め格納され得る。
【0021】
取り得る一実装において、検出・制御ユニットは、事前設定された電圧補償条件を第1の目標出力電圧が満たす場合に、端末装置によって送信された第3の誤差基準値を受信し、該第3の誤差基準値は、端末要求電圧と第3期間における端末装置の負荷入力電圧とに基づいて端末装置によって取得され、該第3期間は、第1期間後の電圧制御期間であり、第3の誤差基準値と第3期間におけるバックブーストユニットの出力電圧とに基づいて、第3の目標出力電圧を取得し、セルパックを通じて第3の目標出力電圧に基づいて端末装置に放電するよう、バックブーストユニットを制御する、ように構成される。上述のソリューションにおいて、事前設定された電圧補償条件を第1の目標出力電圧が満たす場合、バッテリモジュールが端末装置の端末要求電圧に基づいて放電することができるように、第3期間においてもなお第1の目標出力電圧を補償する必要がある。第3の誤差基準値の計算方法は、第1の誤差基準値の計算方法と同様であり、第3の目標出力電圧の計算方法は、第1の目標出力電圧の計算方法と同様である。詳細をここで再び説明することはしない。例えば、バックブーストユニットは、第1期間において第1の目標出力電圧に基づいて放電し、第3期間において第3の目標出力電圧に基づいて放電する。xは0より大きい正の整数であるとして、x期間が経過した後、合計したバックブーストユニットの出力電圧基準値がVoutrefxとなる。端末負荷ポートの電圧値は端末要求電圧に近いか等しいかであり、その結果、端末負荷ポートの電圧は、異なる車両負荷の要求に基づいて変わり、セル材料、セルの残存容量、直列接続セル数、周囲温度、及びこれらに類するものによっては影響されない。
【0022】
取り得る一実装において、検出・制御ユニットは、
端末装置のラインインピーダンスを取得し、
ラインインピーダンスと第1期間におけるバックブーストユニットの出力電流とに基づいて、第1期間におけるライン電圧降下を取得し、
第1期間におけるライン電圧降下と端末要求電圧とに基づいて、第4の目標出力電圧を取得し、
セルパックを通じて第4の目標出力電圧に基づいて端末装置に放電するよう、バックブーストユニットを制御する、
ように構成される。
【0023】
上述のソリューションにおいて、検出・制御ユニットは端末要求電圧を取得する。さらに、検出・制御ユニットは端末装置のラインインピーダンスを取得する。例えば、ラインインピーダンスは端末装置の抵抗とし得る。ラインインピーダンスを取得する具体的な手法は限定されない。検出・制御ユニットは更に、第1期間におけるバックブーストユニットの出力電流を取得することができ、バックブーストユニットの動作期間の長さは限定されない。なお、この出願のこの実施形態において、複数の電圧期間に基づいて電圧制御が実施され、第2期間、第1期間、及び第3期間の間の対応関係が、一例を用いて記述される。異なる期間の具体的な実装は限定されない。検出・制御ユニットは、ラインインピーダンスと第1期間におけるバックブーストユニットの出力電流とに基づいて、第1期間におけるライン電圧降下を取得し、第1期間におけるライン電圧降下は、第1期間において補償される必要がある電圧値を示す。端末要求電圧に基づいて放電するために、検出・制御ユニットは更に、第1期間におけるライン電圧降下と端末要求電圧とに基づいて、第1期間においてバックブーストユニットを制御するのに使用される目標電圧値を示す第4の目標出力電圧を取得し、セルパックを通じて第4の目標出力電圧に基づいて端末装置に放電するよう、バックブーストユニットを制御することを必要とする。斯くして、バッテリモジュールは、異なる電圧系の端末装置に放電する。
【0024】
取り得る一実装において、検出・制御ユニットは、
Vdelta2=R*It2
として第1期間におけるライン電圧降下を取得するように構成される。
【0025】
Vdelta2は、第1期間におけるライン電圧降下を表し、Rは、ラインインピーダンスを表し、It2は、第1期間におけるバックブーストユニットの出力電流を表し、*は乗算を表す。
【0026】
上述のソリューションにおいて、It2は、第1期間におけるバックブーストユニットの出力電流を表す。従って、第1期間におけるライン電圧降下Vdelta2は、It2とRとに基づいて計算されることができ、第1期間におけるライン電圧降下は、第1期間において補償される必要がある電圧値を示す。
【0027】
取り得る一実装において、検出・制御ユニットは、
Voutref4=Vinref+Vdelta2
として第4の目標出力電圧を取得するように構成される。
【0028】
Voutref4は、第4の目標出力電圧を表し、Vinrefは、端末要求電圧を表し、Vdelta2は、第1期間におけるライン電圧降下を表す。
【0029】
上述のソリューションにおいて、端末要求電圧に基づいて放電するために、検出・制御ユニットは更に、第1期間におけるライン電圧降下と端末要求電圧とに基づいて第4の目標出力電圧を取得する必要がある。例えば、第4の目標出力電圧は、第1期間におけるライン電圧降下を端末要求電圧に加算することによって取得され得る。第4の目標出力電圧は、第1期間においてバックブーストユニットを制御するための目標電圧値を示す。上記の計算式は単なる一例であり、この出願のこの実施形態における限定として解釈されるものではない。例えば、上記の計算式の変形が更に使用されてもよい。例えば、式の右側で結果が計算された後に、第4の目標出力電圧を得るために、事前設定された電圧較正値が該結果に加算される。
【0030】
取り得る一実装において、検出・制御ユニットは、端末装置によって送信された第1期間における端末装置の負荷入力電圧を受信し、第1期間における端末装置の負荷入力電圧と第2期間におけるバックブーストユニットの出力電圧とに基づいて、第2期間におけるライン電圧降下を取得し、第2期間におけるバックブーストユニットの出力電流と第2期間におけるライン電圧降下とに基づいて、ラインインピーダンスを取得するように構成される。
【0031】
あるいは、検出・制御ユニットは、端末装置とラインインピーダンスとの間の事前設定されたマッピング関係に基づいて、端末装置のラインインピーダンスを取得するように構成される。
【0032】
上述のソリューションにおいて、検出・制御ユニットは更に、端末装置とラインインピーダンスとの間のマッピング関係に従ってラインインピーダンスを取得し得る。例えば、異なるタイプの端末装置は異なるラインインピーダンスに対応する。端末装置の識別子を取得した後、マッピング関係に従って端末装置のラインインピーダンスが取得され得る。あるいは、検出・制御ユニットは自身でラインインピーダンスを計算してもよい。例えば、検出・制御ユニットは、端末装置によって送信された、第1期間において端末装置によって検出された負荷ポート電圧である第1期間における端末装置の負荷入力電圧を受信し、第1期間における端末装置の負荷入力電圧と第2期間におけるバックブーストユニットの出力電圧とに基づいて、第2期間におけるライン電圧降下を取得し、該第2期間におけるライン電圧降下を取得した後に、第2期間におけるバックブーストユニットの出力電流と第2期間におけるライン電圧降下とに基づいてラインインピーダンスを取得する。検出・制御ユニットは、第2期間におけるバックブーストユニットの出力電流をバックブーストユニットから取得してもよい。
【0033】
取り得る一実装において、検出・制御ユニットは、
Vdelta1=Voutref2-Vin0
として、第2期間におけるライン電圧降下を取得するように構成される。
【0034】
Vdelta1は、第2期間におけるライン電圧降下を表し、Voutref2は、第2期間におけるバックブーストユニットの出力電圧を表し、Vin0は、第1期間における端末装置の負荷入力電圧を表す。
【0035】
上述のソリューションにおいて、ライン電圧降下は、第1期間において補償される必要がある電圧値を示し、上記の計算式に従ってVdelta1を正確に計算することができる。上記の計算式は単なる一例であり、この出願のこの実施形態における限定として解釈されるものではない。例えば、上記の計算式の変形が更に使用されてもよい。例えば、式の右側で結果が計算された後に、ライン電圧降下を得るために、事前設定された電圧差較正値が該結果から減算される。
【0036】
取り得る一実装において、検出・制御ユニットは、
R=Vdelta1/It1
として、ラインインピーダンスを取得するように構成される。
【0037】
Rは、ラインインピーダンスを表し、Vdelta1は、第2期間におけるライン電圧降下を表し、It1は、第2期間におけるバックブーストユニットの出力電流を表し、/は除算を表す。
【0038】
上述のソリューションにおいて、It1は、第2期間におけるバックブーストユニットの出力電流を示す。従って、It1とVdelta1とに基づいてラインインピーダンスを計算することができ、ラインインピーダンスを用いて、第1期間において補償される必要があるライン電圧降下を計算することができる。
【0039】
取り得る一実装において、検出・制御ユニットは、端末装置によって送信された第1期間における端末装置の負荷入力電圧を受信し、端末要求電圧と第1期間における端末装置の負荷入力電圧とに基づいて、第1の誤差基準値を取得し、第1の誤差基準値と端末要求電圧とに基づいて、第5の目標出力電圧を取得し、セルパックを通じて第5の目標出力電圧に基づいて端末装置に放電するよう、バックブーストユニットを制御するように構成される。
【0040】
上述のソリューションにおいて、検出・制御ユニットは、端末要求電圧に基づいて端末装置に放電する。バッテリモジュールと端末装置との間の電力出力は必然的に損失を有するので、端末装置は、第1期間における端末装置の負荷入力電圧を検出する。負荷入力電圧は、バッテリモジュールが端末要求電圧を出力したときに端末装置によって実際に受け取られる電圧である。端末装置は、第1期間における端末装置の負荷入力電圧をバッテリモジュールに送信することができ、検出・制御ユニットが、端末装置によって送信された第1期間における端末装置の負荷入力電圧を受信する。第1期間の負荷入力電圧は、第1期間において端末装置によって検出された負荷ポート電圧である。検出・制御ユニットは、端末要求電圧と第1期間における端末装置の負荷入力電圧とに基づいて第1誤差基準値を取得する。例えば、第1の誤差基準値を得るために、端末要求電圧から負荷入力電圧が減算される。次いで、検出・制御ユニットは、第1の誤差基準値と端末要求電圧とに基づいて、第1期間においてバックブーストユニットを制御するための目標電圧値を表すのに使用される第5の目標出力電圧を取得し、セルパックを通じて第5の目標出力電圧に基づいて端末装置に放電するよう、バックブーストユニットを制御する。斯くして、バッテリモジュールは異なる電圧系の端末装置に放電する。
【0041】
取り得る一実装において、検出・制御ユニットは、
Voutref5=Vinref+Verror1
として第5の目標出力電圧を取得するように構成される。
【0042】
Voutref5は、第5の目標出力電圧を表し、Vinrefは、端末要求電圧を表し、Verror1は、第1の誤差基準値を表す。
【0043】
上述のソリューションにおいて、第5の目標出力電圧は、第1期間においてバックブーストユニットを制御するための目標電圧値を示し、上記の計算式に従ってVoutref5を正確に計算することができる。上記の計算式は単なる一例であり、この出願のこの実施形態における限定として解釈されるものではない。例えば、上記の計算式の変形が更に使用されてもよい。例えば、式の右側で結果が計算された後に、第5の目標出力電圧を得るために、事前設定された電圧較正値が該結果に加算される。
【0044】
取り得る一実装において、検出・制御ユニットは、第1のターゲット出力電圧に基づいてパルス幅変調PWMデューティサイクルを取得し、該PWMデューティサイクルに基づいて、セルパックを通じて端末装置に放電するようバックブーストユニットを制御する。上述のソリューションにおいて、検出・制御ユニットによって取得された第1期間におけるバックブーストユニットの目標電圧が第1の目標出力電圧である場合、検出・制御ユニットは、第1の目標出力電圧に基づいてPWMデューティサイクルを取得し、該PWMデューティサイクルに基づいて、セルパックを通じて端末装置に放電するようバックブーストユニットを制御する。この出願の実施形態において、バッテリモジュールは自動制御式に端末装置に正確に放電することができる。
【0045】
取り得る一実装において、端末要求電圧は、端末装置の定格端末電圧、第1期間における端末装置の端末動作電圧、又は端末装置の現在の端末動作モードに対応する入力電圧のうちの少なくとも1つを含む。上述のソリューションにおいて、端末要求電圧は、端末装置の定格端末電圧とし得る。定格端末電圧は異なる端末装置では異なり、端末定格電圧は送達前に、その端末装置に対して事前設定され得る。他の一例では、端末要求電圧は第1期間における端末装置の動作電圧とし得る。例えば、端末要求電圧は、ある瞬間の端末装置の動作電圧である他の一例では、端末要求電圧は、現在の端末動作モードにある端末装置に対応する入力電圧とすることができ、異なる端末動作モードは異なる入力電圧に対応する。例えば、端末要求電圧は、ある瞬間の車両の動作モードにおける総合的な最適入力電圧値である。例えば、端末動作モードは、最適省エネルギーモード又は最適電力モードとし得る。端末要求電圧の実装は、この出願のこの実施形態において限定されることではない。
【0046】
取り得る一実装において、バックブーストユニットは、検出・制御ユニットとセルパックとに別々に接続される。
【0047】
バックブーストユニットは更に、端末装置に接続するように構成される。
【0048】
検出・制御ユニットは更に、端末装置に接続するように構成される。
【0049】
取り得る一実装において、バックブーストユニットは、セルパックを通じて放電するときに、ブースト出力、バック出力、時分割バックブースト出力、時分割ブースト・シュートスルー出力、又は時分割バックブースト・シュートスルー出力、という電圧制御モードのうちの少なくとも1つを実装するように構成される。
【0050】
第2の態様によれば、この出願の一実施形態は更にバッテリモジュールを提供し、当該バッテリモジュールは直流源を通じて充電され、当該バッテリモジュールは、検出・制御ユニット、バックブーストユニット、及びセルパックを含む。
【0051】
検出・制御ユニットは、第1期間におけるセルパックの充電電流リミット及び充電電圧リミットを、第1期間におけるセルパックのステータス情報と直流源の出力電力とに基づいて取得し、充電電流リミット及び充電電圧リミットと、第1期間におけるセルパックの充電電流及び充電電圧と、直流源の出力電力とに基づいて、第1期間におけるセルパックの目標充電電力を取得し、直流源を通じて目標充電電力に基づいてセルパックを充電するよう、バックブーストユニットを制御するように構成される。
【0052】
上述のソリューションにおいて、バッテリモジュールは直流源を通じて充電され、バッテリモジュールは、検出・制御ユニット、バックブーストユニット、及びセルパックを含み、検出・制御ユニットは、第1期間におけるセルパックの充電電流リミット及び充電電圧リミットを、第1期間におけるセルパックのステータス情報と直流源の出力電力とに基づいて取得し、充電電流リミット及び充電電圧リミットと、第1期間におけるセルパックの充電電流及び充電電圧と、直流源の出力電力とに基づいて、第1期間におけるセルパックの目標充電電力を取得し、直流源を通じて目標充電電力に基づいてセルパックを充電するよう、バックブーストユニットを制御するように構成される。バッテリモジュールは、検出・制御ユニットを含む。検出・制御ユニットは、第1期間におけるセルパックの充電電流リミット及び充電電圧リミットを取得し、第1期間におけるセルパックの目標充電電力を取得し得る。セルパックは、目標充電電力に基づいて直流源を通じて充電される。従って、バッテリモジュールは迅速且つ正確に充電電力を調整することができ、それにより、例えば充電器による電流制限及び電圧調整などの機能に対する依存性を排し、異なる電圧系のバッテリモジュールの正規化や標準化を達成し、バッテリモジュールの耐用年数及び安全性を改善することができる。
【0053】
取り得る一実装において、ステータス情報はセル温度を含み、又はステータス情報はセル温度及び電気化学セル容量を含む。上述のソリューションにおいて、セル温度はセルパックの温度であり、電気化学セル容量はセルパックの容量である。セル温度及び電気化学セル容量の具体的な実装は限定されない。例えば、バッテリモジュール内の検出・制御ユニットは、例えばセルパックのセル温度又はセル温度とセル容量などの、セルパックの状態を検出することにより、特定のルールに基づく総合的な計算を通じて、セルパックの現在の充電電圧リミット値及び現在の充電電流リミット値を決定する。そして、バッテリモジュールの外部入力能力(すなわち、充電器の電流出力能力)に基づいてセルパックのリアルタイム目標充電電力が総合的に決定され、その目標充電電力をセルパックに提供するようにバックブーストユニットが制御される。
【0054】
取り得る一実装において、検出・制御ユニットは、充電電流リミット及び充電電圧リミットと、第1期間におけるセルパックの充電電流及び充電電圧とに基づいて、バッテリモジュールの充電電力を取得し、バッテリモジュールの充電電力と、直流源の出力電力とに基づいて、目標充電電力を取得するように構成される。上述のソリューションにおいて、検出・制御ユニットは、バックブーストユニットを制御することによって、目標充電電力で充電されるようにセルパックを制御する。バッテリモジュールは、例えば充電入力源の電圧スケーリング及び/又は電流制限などのロジック制御に頼らない。検出・制御ユニットは、充電電流リミット、充電電圧リミット、及びこれらに類するものに基づいてバッテリモジュールの充電電力を計算し、バッテリモジュールの充電電力及び直流源の出力電力のうち小さい方、すなわち、現在の電気化学セルの目標充電電力を選択し得る。
【0055】
取り得る一実装において、検出・制御ユニットは、目標充電電力に基づいてパルス幅変調PWMデューティサイクルを取得し、該PWMデューティサイクルに基づいて、直流源を通じてセルパックを充電するようバックブーストユニットを制御する。上述のソリューションにおいて、セルパックの目標充電電力を取得した後、検出・制御ユニットは、目標充電電力に基づいてPWMデューティサイクルを取得し、該PWMデューティサイクルに基づいて、直流源を通じてセルパックを充電するようバックブーストユニットを制御する。この出願の実施形態において、バッテリモジュールは自動制御式に正確な充電を実施することができる。
【0056】
取り得る一実装において、バックブーストユニットは、検出・制御ユニットとセルパックとに別々に接続される。
【0057】
バックブーストユニットは更に、直流源に接続するように構成される。
【0058】
取り得る一実装において、バックブーストユニットは、セルパックを充電するときに、バック入力、ブースト入力、時分割バックブースト入力、時分割ブースト・シュートスルー入力、時分割バックブースト・シュートスルー入力、又は時分割バックブースト・シュートスルー入力、という電圧制御モードのうちの少なくとも1つを実装するように構成される。
【0059】
第3の態様によれば、この出願の一実施形態は更に充電システムを提供し、当該充電システムは、第2の態様のいずれか一に従ったバッテリモジュールを含む。
【0060】
N個のバッテリモジュールが存在し、Nは1以上の正の整数である。
【0061】
取り得る一実装において、Nが1より大きい場合、N個のバッテリモジュールは、並列に接続された後に直流源に接続される。
【0062】
上述のソリューションにおいて、バッテリモジュールは任意の直流源を通じて充電されることができ、この出願のこの実施形態における複数のバッテリモジュールは同じ直流源を共有することができる。この出願のこの実施形態において、バッテリモジュールが充電される必要があるとき、バッテリモジュールは、直流源側での均等充電又はフロート充電制御に依存せず、入力源が共通の直流源によって置き換えられることで、バッテリモジュールは標準化、正規化、及び高速バッテリ充電を実施することができる。
【0063】
この出願の第3の態様によれば、充電システムはバッテリモジュールを含む。当該バッテリモジュールは、第2の態様及び取り得る実装で説明したバッテリモジュールとし得る。詳細については、第2の態様及び取り得る実装の上述の説明を参照されたい。
【0064】
上述の技術的ソリューションから分かるように、この出願のこの実施形態は以下の利点を有する。
【0065】
この出願のこの実施形態はバッテリモジュールを提供し、当該バッテリモジュールは端末装置に放電するように構成される。具体的には、バッテリモジュールは、検出・制御ユニット、バックブーストユニット、及びセルパックを含む。検出・制御ユニットは、端末装置によって送信された端末要求電圧を受信し、該端末要求電圧に基づいてセルパックを通じて端末装置に放電するよう、バックブーストユニットを制御するように構成される。バッテリモジュールは、検出・制御ユニットを含む。検出・制御ユニットは、端末要求電圧に基づいてセルパックを通じて端末装置に放電するよう、バックブーストユニットを制御し得る。異なる電圧系の端末装置は、異なる端末要求電圧を使用し得る。検出・制御ユニットは、バッテリモジュールが様々なタイプの端末装置に放電し得るように、端末要求電圧に基づいて端末装置に放電し得る。あるいは、検出・制御ユニットは、端末装置によって送信された第1の誤差基準値を受信し、該第1の誤差基準値に基づいて第1の目標出力電圧を取得し、セルパックを通じて第1の目標出力電圧に基づいて端末装置に放電するよう、バックブーストユニットを制御するように構成される。バッテリモジュールは検出・制御ユニットを含む。検出・制御ユニットは、第1の目標出力電圧に基づいてセルパックを通じて端末装置に放電するようバックブーストユニットを制御し、対応する第1の誤差基準値を、異なる電圧系の端末装置に送信し得る。検出・制御ユニットは、第1の誤差基準値に基づいて第1の目標出力電圧を取得し、そして、バッテリモジュールが様々なタイプの端末装置に放電し得るように、端末装置に放電し得る。端末装置は常に最適な入力電圧ポイントで動作し、その結果、異なる電圧系のバッテリモジュールが正規化及び標準化され、バッテリモジュールの耐用年数及び安全性が改善される。
【0066】
この出願のこの実施形態は、バッテリモジュールを提供し、当該バッテリモジュールは直流源を通じて充電され、当該バッテリモジュールは、検出・制御ユニット、バックブーストユニット、及びセルパックを含み、検出・制御ユニットは、第1期間におけるセルパックの充電電流リミット及び充電電圧リミットを、第1期間におけるセルパックのステータス情報と直流源の出力電力とに基づいて取得し、充電電流リミット及び充電電圧リミットと、第1期間におけるセルパックの充電電流及び充電電圧と、直流源の出力電力とに基づいて、第1期間におけるセルパックの目標充電電力を取得し、直流源を通じて目標充電電力に基づいてセルパックを充電するよう、バックブーストユニットを制御するように構成される。バッテリモジュールは、検出・制御ユニットを含む。検出・制御ユニットは、第1期間におけるセルパックの充電電流リミット及び充電電圧リミットを取得し、第1期間におけるセルパックの目標充電電力を取得し得る。セルパックは、目標充電電力に基づいて直流源を通じて充電される。従って、バッテリモジュールは迅速且つ正確に充電電力を調整することができ、それにより、例えば充電器による電流制限及び電圧調整などの機能に対する依存性を排し、異なる電圧系のバッテリモジュールの正規化や標準化を達成し、バッテリモジュールの耐用年数及び安全性を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【
図1】この出願の一実施形態に従ったバッテリモジュールの構成構造の概略図である。
【
図2】この出願の一実施形態に従ったバッテリモジュールと端末装置との間の接続の概略図である。
【
図3】この出願の一実施形態に従ったバッテリモジュールと直流源との間の接続の概略図である。
【
図4】この出願の一実施形態に従った放電システムの構成構造の概略図である。
【
図5】この出願の一実施形態に従った複数のバッテリモジュールと直流源との間の接続の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0068】
この出願の一実施形態は、バッテリモジュールの耐用年数及び安全性を改善するバッテリモジュール及び充電システムを提供する。
【0069】
以下、添付の図面を参照してこの出願の実施形態を説明する。
【0070】
現在、異なる電圧系のバッテリモジュールは正規化されることができず、充電電圧範囲及び放電電圧範囲が広く、端末装置の入力電圧範囲が非常に広いことが要求され、それ故に、端末装置がある入力電圧ポイントで常に動作することはできない。バッテリレベルが減少すると、バッテリ出力電圧は、バッテリの電圧も減少するのと同等になる。結果として、端末装置の電力が有意に減少し、端末装置の使用に影響を及ぼす。さらに、バッテリモジュールは、容量、新しさ、及びメーカーにおいて様々である。従って、拡張及びパワー増強のためにバッテリモジュールを並列に接続するのは困難である。異なる容量のバッテリモジュールは、バッテリと充電/放電ポートとの間のシュートスルーが許されてしまうため、並列接続されることができない。異なるバッテリモジュールの材料や容量の違いに起因して、バッテリが高温又は低温にありセルが過放電又はフロート充電されるときに、充電電流制限及び電圧調整は適時に制御されない。例えば、端末装置は車載装置を含み得る。この出願のこの実施形態で提供される端末装置は、バッテリモジュールによって電力供給される必要がある装置であるようには限定されない。端末装置の種類及び具体的な実装は限定されない。端末装置は、例えば、携帯電話、ウェアラブル装置、パーソナルコンピュータ、サーバ、又はこれらに類するものとし得る。端末装置が具体的に車載機器である例を説明のために用いる。大型の車両パワースワップステーションでは、1つの充電ボックスが1つの専用の充電器を有して構成される。この動作条件では、充電器の使用効率を十分に活用することができず、集中充電シナリオではコストが高い。
【0071】
図1に示すように、この出願の一実施形態はバッテリモジュールを提供する。例えば、バッテリモジュールは電気自動車のバッテリモジュールとし得る。バッテリモジュールは、検出・制御ユニット、バックブースト(buck-boost)ユニット、及びセルパックを含む。検出・制御ユニットは、充電又は放電を行うようにバックブーストユニットを制御するように構成され、バックブーストユニットは、セルパックに対してバックブースト制御を実行するように構成される。例えば、バックブーストユニットは、直流/直流(direct-current/direct-current、DC/DC)コンバータとし得る。この出願のこの実施形態におけるDC/DCコンバータは、以下に限られないが、非対称ハーフブリッジフライバックコンバータ、非対称ハーフブリッジフォワードコンバータ、LLC共振コンバータ、又はこれらに類するものを含み得る。DC/DCコンバータはDC/DC変換回路とも呼ばれ得る。セルパックは、複数のセルによって形成されるモジュールとし得る。セルは、電力バッテリの最小単位であり、電気エネルギー蓄積単位でもある。電気自動車がいっそう長い走行距離を持つよう、セルは、可能な限り多くの電気エネルギーを蓄えるために比較的高いエネルギー密度を持つ。セルパックは、バックブーストユニットの制御の下で充電及び放電を行う。
【0072】
この出願のこの実施形態で提供されるバッテリモジュールは、外部に放電するように構成されることができ、又は直流源を通じて充電されるように構成されることができる。この出願のこの実施形態において、バックブーストユニット及び検出・制御ユニットはバッテリモジュールに統合される。この出願のこの実施形態で提供される検出・制御ソリューションによれば、バッテリモジュールの標準化及び正規化並びに柔軟な構成を実現するために、バッテリモジュールは、端末装置の要求に基づいて端末装置に入力ポート電圧を提供し得る。これはまた、充電安全性及び専用充電器の問題を解決する。
【0073】
次に、バッテリモジュールが適用可能な放電シナリオと充電シナリオを、この出願のこの実施形態にて別々に詳細に説明する。
【0074】
放電シナリオにおいて、バッテリモジュールは端末装置に放電するように構成され、端末装置はバッテリモジュールによって電力供給されて動作し得る。端末装置が具体的に車載機器である例を説明のために用いる。例えば、端末装置は、車両を駆動して進ませ、あるいは、例えば車載空調装置又は車両ランプなどの端末コンポーネントを駆動して動作させる。端末装置は、具体的に、車両モータ駆動機器又は車両信号処理ユニットとしてもよい。
【0075】
図2に示すように、バッテリモジュールは、端末装置に放電するように構成され、当該バッテリモジュールは、検出・制御ユニット、バックブーストユニット、及びセルパックを含む。
【0076】
検出・制御ユニットは、端末装置によって送信された端末要求電圧を受信し、該端末要求電圧に基づいてセルパックを通じて端末装置に放電するよう、バックブーストユニットを制御するように構成される。
【0077】
あるいは、検出・制御ユニットは、端末装置によって送信された、端末要求電圧と第1期間における端末装置の負荷入力電圧とに基づいて端末装置によって取得された第1の誤差基準値を受信し、該第1の誤差基準値と第1期間におけるバックブーストユニットの出力電圧とに基づいて、第1の目標出力電圧を取得し、セルパックを通じて第1の目標出力電圧に基づいて端末装置に放電するよう、バックブーストユニットを制御するように構成される。
【0078】
この出願の一部の実施形態において、
図2に示すように、バックブーストユニットは、検出・制御ユニットとセルパックとに別々に接続される。
【0079】
バックブーストユニットは更に、端末装置に接続するように構成される。
【0080】
検出・制御ユニットは更に、端末装置に接続するように構成される。
【0081】
セルパックとバックブーストユニットとが接続される。検出・制御ユニットとバックブーストユニットとが接続される。検出・制御ユニットは、信号検出伝送チャネルを介して端末装置に接続される。バックブーストユニットは電力インタフェースを含み、該電力インタフェースに端末装置が接続される。バックブーストユニットは、電力インタフェースを介して端末装置に放電する。
【0082】
具体的には、一実装シナリオにおいて、端末装置は端末要求電圧をバッテリモジュールに送信し、端末要求電圧は、端末装置が使用する必要がある動作電圧である。例えば、検出・制御ユニットは、信号検出伝送チャネルを介して端末装置に接続される。端末装置は、検出・制御ユニットが端末装置の端末要求電圧を取得するよう、信号検出伝送チャネルを介して検出・制御ユニットに端末要求電圧を送る。
【0083】
この出願のこの実施形態において、端末装置によって送信された端末要求電圧を検出・制御ユニットが受信した後、検出・制御ユニットは、端末要求電圧に基づいてセルパックを通じて端末装置に放電するよう、バックブーストユニットを制御し得る。例えば、端末要求電圧は、バックブーストユニットを制御するのに使用される目標値である。バックブーストユニットは、端末装置が常に最適な入力電圧ポイントで動作するよう、セルパックの放電エネルギーが端末装置の入力電圧要求を満たすように、端末要求電圧に基づいてセルパックの放電を制御し得る。異なる電圧系のバッテリモジュールの正規化及び標準化が達成され、バッテリモジュールの耐用年数及び安全性が改善される。
【0084】
具体的には、この出願の一部の実施形態において、検出・制御ユニットは、端末要求電圧と、第1期間の前の電圧制御期間である第2期間におけるバックブーストユニットの出力電圧とに基づいて、第2の誤差基準値を取得し、該第2の誤差基準値と第1期間におけるバックブーストユニットの出力電圧とに基づいて、第2の目標出力電圧を取得し、セルパックを通じて第2の目標出力電圧に基づいて端末装置に放電するよう、バックブーストユニットを制御するように構成される。
【0085】
検出・制御ユニットは端末要求電圧を取得する。さらに、検出・制御ユニットは、第2期間におけるバックブーストユニットの出力電圧を取得する。バックブーストユニットの動作期間の長さは限定されない。例えば、第1期間と第2期間は、2つの隣接する電圧制御期間である。例えば、第1期間は現在期間であり、第2期間は現在期間の先行期間である。なお、この出願のこの実施形態において、複数の電圧期間に基づいて電圧制御が実施される。例えば、電圧制御期間は、第1期間、第2期間、及び第3期間を含む。例えば、第1期間は現在期間であり、第2期間は現在期間の先行期間である。第3期間は現在期間の次の期間である。この出願のこの実施形態では、例を用いることによって、第2期間、第1期間、及び第3期間の間の対応関係が、例を用いて記述される。
【0086】
検出・制御ユニットは、端末要求電圧と第2期間におけるバックブーストユニットの出力電圧とに基づいて、第2の誤差基準値を取得する。第2の誤差基準値は、第1の期間において補償される必要がある電圧値を示す。次に、第2の誤差基準値と第1期間におけるバックブーストユニットの出力電圧とに基づいて、第2の目標出力電圧が取得され、該第2の目標出力電圧は、第1期間においてバックブーストユニットを制御するための目標電圧値を示す。最後に、検出・制御ユニットは、第2の目標出力電圧に基づいてセルパックを通じて端末装置に放電するよう、バックブーストユニットを制御し得る。斯くして、バッテリモジュールは、異なる電圧系の端末装置に放電する。
【0087】
この出願の一部の実施形態において、検出・制御ユニットは、
Verror2=Vinref-Voutref2
として第2の誤差基準値を取得するように構成される。
【0088】
Verror2は、第2の誤差基準値を表し、Vinrefは、端末要求電圧を表し、Voutref2は、第2期間におけるバックブーストユニットの出力電圧を表す。
【0089】
第2の誤差基準値は、第1期間において補償される必要がある電圧値を示し、上記の計算式に従ってVerror2を正確に計算することができる。上記の計算式は単なる一例であり、この出願のこの実施形態における限定として解釈されるものではない。例えば、上記の計算式の変形が更に使用されてもよい。例えば、式の右側で結果が計算された後に、第2の誤差基準値を得るために、事前設定された電圧差較正値が該結果から減算される。
【0090】
この出願の一部の実施形態において、検出・制御ユニットは、
Voutref3=Voutref0+Verror2
として第2の目標出力電圧を取得するように構成される。
【0091】
Voutref3は、第2の目標出力電圧を表し、Voutref0は、第1期間におけるバックブーストユニットの出力電圧を表し、Verror2は、第2の誤差基準値を表す。
【0092】
第2の目標出力電圧は、第1期間においてバックブーストユニットを制御するための目標電圧値を示し、上記の計算式に従ってVoutref3を正確に計算することができる。上記の計算式は単なる一例であり、この出願のこの実施形態における限定として解釈されるものではない。例えば、上記の計算式の変形が更に使用されてもよい。例えば、式の右側で結果が計算された後に、第2の目標出力電圧を得るために、事前設定された電圧較正値が該結果に加算される。
【0093】
この出願の一部の実施形態において、検出・制御ユニットは、端末装置によって送信された、端末要求電圧を示す端末情報を受信し、該端末情報に基づいて端末要求電圧を取得するように構成される。
【0094】
具体的には、端末装置は、端末情報を検出・制御ユニットに送信し得る。端末情報は端末信号とも称され得る。端末情報は端末要求電圧を示す。検出・制御ユニットは、端末情報に基づいて端末要求電圧を取得し得る。端末要求電圧を取得することには複数の手法が存在する。これはここで限定されることではない。この出願のこの実施形態では、バッテリモジュールが端末要求電圧に基づいて端末装置に放電することができるよう、バッテリモジュールは、端末装置を介して端末要求電圧を取得し得る。
【0095】
この出願の一部の実施形態において、検出・制御ユニットは、端末情報が端末要求電圧を含む場合に、端末情報から端末要求電圧を取得し、端末情報が電圧指示情報を含む場合には、端末情報から電圧指示情報を取得し、電圧指示情報と端末要求電圧との間の事前設定された対応関係に基づいて端末要求電圧を取得するように構成される。
【0096】
具体的には、端末情報は端末要求電圧を担持することができ、検出・制御ユニットは、端末情報を解析することによって端末要求電圧を取得することができる。他の一例として、端末情報は端末要求電圧を担持せずに、電圧指示情報を担持する。検出・制御ユニットは、電圧指示情報と端末要求電圧との間の事前設定された対応関係に基づいて端末要求電圧を取得し、電圧指示情報と端末要求電圧との間の対応関係は、バッテリモジュールに予め格納され得る。
【0097】
例えば、電圧指示情報と端末要求電圧との間の対応関係は、予め決定されたルールとし得る。例えば、検出・制御ユニットは通信プロトコルを使用する。車両が48Vの要求電圧値を送信する場合、検出・制御ユニットは解析して、車両要求電圧が48Vであることを得る。あるいは、電圧指示情報は、車両によって出力される一定の符号化レベルであり、検出・制御ユニットは、それに対応して解析して車両要求電圧を得る、又は、電圧指示情報は、車両によって出力される電圧アナログ信号である。0.5V未満のアナログ量は、車両要求電圧が36Vであると見なされ、0.5Vから1Vのアナログ量は、車両要求電圧が48Vであると見なされ、1Vから1.5Vのアナログ量は、車両要求電圧が60Vであると見なされるなどである。あるいは、電圧指示情報は抵抗値信号であってもよい。0オームから100オームの抵抗値信号は、車両要求電圧が36Vであることを指し示し、200オームから300オームの抵抗値信号は、車両要求電圧が48Vであることを指し示すなどである。
【0098】
この出願の一部の実施形態において、端末要求電圧の複数の実装が存在する。例えば、端末要求電圧は、端末装置の定格端末電圧、第1期間における端末動作電圧、又は端末装置の現在の端末動作モードに対応する入力電圧のうちの少なくとも1つを含む。
【0099】
例えば、端末要求電圧は、端末装置の定格端末電圧とし得る。定格端末電圧は異なる端末装置では異なり、端末定格電圧は送達前に、その端末装置に対して事前設定されされ得る。他の一例では、端末要求電圧は第1期間における端末装置の動作電圧とし得る。例えば、端末要求電圧は、ある瞬間の端末装置の動作電圧である。他の一例では、端末要求電圧は、現在の端末動作モードにある端末装置に対応する入力電圧とすることができ、異なる端末動作モードは異なる入力電圧に対応する。例えば、端末要求電圧は、ある瞬間の車両の動作モードにおける総合的な最適入力電圧値である。例えば、端末動作モードは、最適省エネルギーモード又は最適電力モードとし得る。端末要求電圧の実装は、この出願のこの実施形態において限定されることではない。
【0100】
この出願の一部の実施形態において、バックブーストユニットは、セルパックを通じて放電するときに、ブースト出力、バック出力、時分割バックブースト出力、時分割ブースト・シュートスルー出力、時分割バック・シュートスルー出力、又は時分割バックブースト・シュートスルー出力、という電圧制御モードのうちの少なくとも1つを実装するように構成される。シュートスルー(shoot-through)は、セルパックの電圧がバッテリモジュールポートの電圧に等しいことを意味する。換言すれば、電圧が上昇されたり低下されたりしない。ブースト(boost)出力は、セルパックの電圧が上昇されて出力される必要があることを意味する。バック(buck)出力は、セルパックの電圧が低下されて出力される必要があることを意味する。時分割は、バックブーストユニットが、予め設定された期間に基づいて複数の異なる電圧モードで動作することを意味する。例えば、時分割バックブースト出力は、バックブーストユニットが、予め設定された期間に基づいて別々にブースト出力又はバック出力で動作することを意味する。時分割ブースト・シュートスルー出力、時分割バック・シュートスルー出力、又は時分割バックブースト・シュートスルー出力の意味を詳細に説明することはしない。
【0101】
この出願の一部の実施形態において、検出・制御ユニットが端末装置の端末要求電圧を受信した後、検出・制御ユニットは、端末装置のラインインピーダンスを取得し、ラインインピーダンスと第1期間におけるバックブーストユニットの出力電流とに基づいて、第1期間におけるライン電圧降下を取得し、第1期間におけるライン電圧降下と端末要求電圧とに基づいて、第4の目標出力電圧を取得し、セルパックを通じて第4の目標出力電圧に基づいて端末装置に放電するよう、バックブーストユニットを制御する、ように構成される。
【0102】
検出・制御ユニットは端末要求電圧を取得する。さらに、検出・制御ユニットは端末装置のラインインピーダンスを取得する。例えば、ラインインピーダンスは端末装置の抵抗とし得る。ラインインピーダンスを取得する具体的な手法は限定されない。検出・制御ユニットは更に、第1期間におけるバックブーストユニットの出力電流を取得することができ、バックブーストユニットの動作期間の長さは限定されない。
【0103】
検出・制御ユニットは、ラインインピーダンスと第1期間におけるバックブーストユニットの出力電流とに基づいて、第1期間におけるライン電圧降下を取得し、第1期間におけるライン電圧降下は、第1期間において補償される必要がある電圧値を示す。端末要求電圧に基づいて放電するために、検出・制御ユニットは更に、第1期間におけるライン電圧降下と端末要求電圧とに基づいて、第1期間においてバックブーストユニットを制御するのに使用される目標電圧値を示す第4の目標出力電圧を取得し、セルパックを通じて第4の目標出力電圧に基づいて端末装置に放電するよう、バックブーストユニットを制御することを必要とする。斯くして、バッテリモジュールは、異なる電圧系の端末装置に放電する。
【0104】
この出願の一部の実施形態において、検出・制御ユニットは、
Vdelta2=R*It2
として第1期間におけるライン電圧降下を取得するように構成される。
【0105】
Vdelta2は、第1期間におけるライン電圧降下を表し、Rは、ラインインピーダンスを表し、It2は、第1期間におけるバックブーストユニットの出力電流を表し、*は乗算を表す。
【0106】
具体的には、It2は、第1期間におけるバックブーストユニットの出力電流を表す。従って、第1期間におけるライン電圧降下Vdelta2は、It2とRとに基づいて計算されることができ、第1期間におけるライン電圧降下は、第1期間において補償される必要がある電圧値を示す。
【0107】
この出願の一部の実施形態において、検出・制御ユニットは、
Voutref4=Vinref+Vdelta2
として第4の目標出力電圧を取得するように構成される。
【0108】
Voutref4は、第4の目標出力電圧を表し、Vinrefは、端末要求電圧を表し、Vdelta2は、第1期間におけるライン電圧降下を表す。
【0109】
端末要求電圧に基づいて放電するために、検出・制御ユニットは更に、第1期間におけるライン電圧降下と端末要求電圧とに基づいて第4の目標出力電圧を取得する必要がある。例えば、第4の目標出力電圧は、第1期間におけるライン電圧降下を端末要求電圧に加算することによって取得され得る。第4の目標出力電圧は、第1期間においてバックブーストユニットを制御するための目標電圧値を示す。上記の計算式は単なる一例であり、この出願のこの実施形態における限定として解釈されるものではない。例えば、上記の計算式の変形が更に使用されてもよい。例えば、式の右側で結果が計算された後に、第4の目標出力電圧を得るために、事前設定された電圧較正値が該結果に加算される。
【0110】
この出願の一部の実施形態において、検出・制御ユニットは、複数の実装で端末装置のラインインピーダンスを取得する。例えば、検出・制御ユニットは、端末装置によって送信された第1期間における端末装置の負荷入力電圧を受信し、第1期間における端末装置の負荷入力電圧と第2期間におけるバックブーストユニットの出力電圧とに基づいて、第2期間におけるライン電圧降下を取得し、第2期間におけるバックブーストユニットの出力電流と第2期間におけるライン電圧降下とに基づいて、ラインインピーダンスを取得するように構成される。
【0111】
あるいは、検出・制御ユニットは、端末装置とラインインピーダンスとの間の事前設定されたマッピング関係に基づいて、端末装置のラインインピーダンスを取得するように構成される。
【0112】
具体的には、検出・制御ユニットは更に、端末装置とラインインピーダンスとの間のマッピング関係に従ってラインインピーダンスを取得し得る。例えば、異なるタイプの端末装置は異なるラインインピーダンスに対応する。端末装置の識別子を取得した後、マッピング関係に従って端末装置のラインインピーダンスが取得され得る。あるいは、検出・制御ユニットは自身でラインインピーダンスを計算してもよい。例えば、検出・制御ユニットは、端末装置によって送信された、第1期間において端末装置によって検出された負荷ポート電圧である第1期間における端末装置の負荷入力電圧を受信し、第1期間における端末装置の負荷入力電圧と第2期間におけるバックブーストユニットの出力電圧とに基づいて、第2期間におけるライン電圧降下を取得し、該第2期間におけるライン電圧降下を取得した後に、第2期間におけるバックブーストユニットの出力電流と第2期間におけるライン電圧降下とに基づいてラインインピーダンスを取得する。第2期間におけるバックブーストユニットの出力電流は、検出・制御ユニットによってバックブーストユニットから取得されてもよい。
【0113】
この出願の一部の実施形態において、検出・制御ユニットは、
Vdelta1=Voutref2-Vin0
として、第2期間におけるライン電圧降下を取得するように構成される。
【0114】
Vdelta1は、第2期間におけるライン電圧降下を表し、Voutref2は、第2期間におけるバックブーストユニットの出力電圧を表し、Vin0は、第1期間における端末装置の負荷入力電圧を表す。
【0115】
ライン電圧降下は、第1期間において補償される必要がある電圧値を示し、上記の計算式に従ってVdelta1を正確に計算することができる。上記の計算式は単なる一例であり、この出願のこの実施形態における限定として解釈されるものではない。例えば、上記の計算式の変形が更に使用されてもよい。例えば、式の右側で結果が計算された後に、ライン電圧降下を得るために、事前設定された電圧差較正値が該結果から減算される。
【0116】
この出願の一部の実施形態において、検出・制御ユニットは、
R=Vdelta1/It1
として、ラインインピーダンスを取得するように構成される。
【0117】
Rは、ラインインピーダンスを表し、Vdelta1は、第2期間におけるライン電圧降下を表し、It1は、第2期間におけるバックブーストユニットの出力電流を表し、/は除算を表す。
【0118】
具体的には、It1は、第2期間におけるバックブーストユニットの出力電流を示す。従って、It1とVdelta1とに基づいてラインインピーダンスを計算することができ、ラインインピーダンスを用いて、第1期間において補償される必要があるライン電圧降下を計算することができる。
【0119】
他の一実装シナリオにおいて、端末装置は第1の誤差基準値をバッテリモジュールに送信することができ、第1の誤差基準値は、端末要求電圧と第1期間における端末装置の負荷入力電圧とに基づいて、端末装置によって取得される。例えば、検出・制御ユニットは信号検出伝送チャネルを介して端末装置に接続され、端末装置は、検出・制御ユニットが第1の誤差基準値を取得するよう、信号検出伝送チャネルを介して検出・制御ユニットに第1の誤差基準値を送信する。そして、検出・制御ユニットは、第1の誤差基準値と第1期間におけるバックブーストユニットの出力電圧とに基づいて、第1の目標出力電圧を取得する。検出・制御ユニットは、セルパックを用いることによって第1の目標出力電圧に基づいて端末装置に放電するよう、バックブーストユニットを制御する。
【0120】
端末装置は、先ず第1の誤差基準値を取得し、第1の誤差基準値は、第1期間においてバッテリモジュールによって補償される必要がある電圧値を示し、端末装置は第1の誤差基準値を検出・制御ユニットに送信する。検出・制御ユニットは、第1の誤差基準値を取得する。さらに、検出・制御ユニットは、第1期間におけるバックブーストユニットの出力電圧を取得する。バックブーストユニットの動作期間の長さは限定されない。なお、この出願のこの実施形態において、複数の電圧期間に基づいて電圧制御が実施される。例えば、電圧制御期間は、第1期間、第2期間、及び第3期間を含む。例えば、第1期間は現在期間であり、第2期間は現在期間の先行期間である。第3期間は現在期間の次の期間である。この出願のこの実施形態では、例を用いることによって、第2期間、第1期間、及び第3期間の間の対応関係が、例を用いて記述される。異なる期間の具体的な実装は限定されない。
【0121】
検出・制御ユニットは、第1の誤差基準値と第1期間におけるバックブーストユニットの出力電圧とに基づいて、第1の目標出力電圧を取得し、第1の目標出力電圧に基づいてセルパックを通じて端末装置に放電するよう、バックブーストユニットを制御し、第1の目標出力電圧は、第1期間においてバックブーストユニットを制御するための目標電圧値を示す。最後に、検出・制御ユニットは、第1の目標出力電圧に基づいてセルパックを通じて端末装置に放電するよう、バックブーストユニットを制御し得る。斯くして、バッテリモジュールは、異なる電圧系の端末装置に放電する。
【0122】
この出願の一部の実施形態において、検出・制御ユニットは、
Voutref1=Voutref0+Verror1
として第1の目標出力電圧を取得するように構成される。
【0123】
Voutref1は、第1の目標出力電圧を表し、Voutref0は、第1期間におけるバックブーストユニットの出力電圧を表し、Verror1は、第1の誤差基準値を表す。
【0124】
第1の目標出力電圧は、第1期間においてバックブーストユニットを制御するための目標電圧値を示し、上記の計算式に従ってVoutref1を正確に計算することができる。上記の計算式は単なる一例であり、この出願のこの実施形態における限定として解釈されるものではない。例えば、上記の計算式の変形が更に使用されてもよい。例えば、式の右側で結果が計算された後に、第1の目標出力電圧を得るために、事前設定された電圧較正値が該結果に加算される。
【0125】
この出願の一部の実施形態において、検出・制御ユニットは、第1の目標出力電圧に基づいてセルパックを通じて端末装置に放電するよう、バックブーストユニットを制御し得る。換言すれば、検出・制御ユニットは第1期間における端末装置への放電を完了する。第1の目標出力電圧が事前設定の電圧補償条件を満たさない場合、第1の目標出力電圧に対して補償が行われる必要はない。第1の目標出力電圧が事前設定の電圧補償条件を満たす場合、第1の目標出力電圧は第3期間においてなおも補償される必要がある。電圧補償条件の複数の実装が存在する。例えば、電圧補償条件は、第1の目標出力電圧が端末要求電圧よりも低い場合に、第1の目標出力電圧に対して順方向補償が行われることとし得る。例えば、電圧補償条件は、第1の目標出力電圧が端末要求電圧よりも高い場合に、バッテリモジュールが端末装置の端末要求電圧に基づいて放電することができるように、第1の目標出力電圧に対して負の補償が行われることとし得る。
【0126】
例えば、検出・制御ユニットは、事前設定された電圧補償条件を第1の目標出力電圧が満たす場合に、端末装置によって送信された第3の誤差基準値を受信し、該第3の誤差基準値は、端末要求電圧と第3期間における端末装置の負荷入力電圧とに基づいて端末装置によって取得され、該第3期間は、第1期間後の電圧制御期間であり、第3の誤差基準値と第3期間におけるバックブーストユニットの出力電圧とに基づいて、第3の目標出力電圧を取得し、セルパックを通じて第3の目標出力電圧に基づいて端末装置に放電するよう、バックブーストユニットを制御する、ように構成される。
【0127】
なお、事前設定された電圧補償条件を第1の目標出力電圧が満たす場合、バッテリモジュールが端末装置の端末要求電圧に基づいて放電することができるように、第3期間においてもなお第1の目標出力電圧を補償する必要がある。第3の誤差基準値の計算方法は、第1の誤差基準値の計算方法と同様であり、第3の目標出力電圧の計算方法は、第1の目標出力電圧の計算方法と同様である。詳細をここで再び説明することはしない。
【0128】
例えば、バックブーストユニットは、第1期間において第1の目標出力電圧に基づいて放電し、第3期間において第3の目標出力電圧に基づいて放電する。xは0より大きい正の整数であるとして、x期間が経過した後、合計したバックブーストユニットの出力電圧基準値がVoutrefxとなる。端末負荷ポートの電圧値は端末要求電圧に近いか等しいかであり、その結果、端末負荷ポートの電圧は、異なる車両負荷の要求に基づいて変わり、セル材料、セルの残存容量、直列接続セル数、周囲温度、及びこれらに類するものによっては影響されない。
【0129】
この出願の一部の実施形態において、検出・制御ユニットは、端末装置によって送信された第1期間における端末装置の負荷入力電圧を受信し、
端末要求電圧と第1期間における端末装置の負荷入力電圧とに基づいて、第1の誤差基準値を取得し、
第1の誤差基準値と端末要求電圧とに基づいて、第5の目標出力電圧を取得し、
セルパックを通じて第5の目標出力電圧に基づいて端末装置に放電するよう、バックブーストユニットを制御するように構成される。
【0130】
具体的には、検出・制御ユニットは、端末要求電圧に基づいて端末装置に放電する。バッテリモジュールと端末装置との間の電力出力は必然的に損失を有するので、端末装置は、第1期間における端末装置の負荷入力電圧を検出する。負荷入力電圧は、バッテリモジュールが端末要求電圧を出力したときに端末装置によって実際に受け取られる電圧である。端末装置は、第1期間における端末装置の負荷入力電圧をバッテリモジュールに送信することができ、検出・制御ユニットが、端末装置によって送信された第1期間における端末装置の負荷入力電圧を受信する。第1期間の負荷入力電圧は、第1期間において端末装置によって検出された負荷ポート電圧である。検出・制御ユニットは、端末要求電圧と第1期間における端末装置の負荷入力電圧とに基づいて第1誤差基準値を取得する。例えば、第1の誤差基準値を得るために、端末要求電圧から負荷入力電圧が減算される。次いで、検出・制御ユニットは、第1の誤差基準値と端末要求電圧とに基づいて、第1期間においてバックブーストユニットを制御するための目標電圧値を表すのに使用される第5の目標出力電圧を取得し、セルパックを通じて第5の目標出力電圧に基づいて端末装置に放電するよう、バックブーストユニットを制御する。斯くして、バッテリモジュールは異なる電圧系の端末装置に放電する。
【0131】
この出願の一部の実施形態において、検出・制御ユニットは、
Voutref5=Vinref+Verror1
として第5の目標出力電圧を取得するように構成される。
【0132】
Voutref5は、第5の目標出力電圧を表し、Vinrefは、端末要求電圧を表し、Verror1は、第1の誤差基準値を表す。
【0133】
第5の目標出力電圧は、第1期間においてバックブーストユニットを制御するための目標電圧値を示し、上記の計算式に従ってVoutref5を正確に計算することができる。上記の計算式は単なる一例であり、この出願のこの実施形態における限定として解釈されるものではない。例えば、上記の計算式の変形が更に使用されてもよい。例えば、式の右側で結果が計算された後に、第5の目標出力電圧を得るために、事前設定された電圧較正値が該結果に加算される。
【0134】
この出願の一部の実施形態において、検出・制御ユニットは、第1のターゲット出力電圧に基づいてパルス幅変調(pulse width modulation、PWM)デューティサイクルを取得し、該PWMデューティサイクルに基づいて、セルパックを通じて端末装置に放電するようバックブーストユニットを制御する。
【0135】
検出・制御ユニットによって取得された第1期間におけるバックブーストユニットの目標電圧が第1の目標出力電圧である場合、検出・制御ユニットは、第1の目標出力電圧に基づいてPWMデューティサイクルを取得し、該PWMデューティサイクルに基づいて、セルパックを通じて端末装置に放電するようバックブーストユニットを制御する。この出願の実施形態において、バッテリモジュールは自動制御式に端末装置に正確に放電することができる。
【0136】
例えば、検出・制御ユニットは、出力電圧値を自動的に制御する方式を使用し得る。具体的には、第1の目標出力電圧Voutref1が48Vであり、且つ現在の実際の出力電圧が45Vである場合、先行ビートのPWMを基礎にしてPWM1が追加される。現在のPWMは、PWM+PWM1となる。次の期間にて、実際の出力電圧は47Vに変化し、Voutref1は依然として48Vである。この場合、PWM2を追加する必要がある。換言すれば、Voutref1が48Vに等しくなるまで、現在のPWMは、PWM+PWM1+PWM2となる。この場合、PWMは動的に安定したままになる。バックブーストユニットは、最新のPWMに基づいて、セルパックを通じて端末装置に放電するように制御される。
【0137】
上述の実施形態の例から分かることには、バッテリモジュールは端末装置に放電するように構成される。具体的には、バッテリモジュールは、検出・制御ユニット、バックブーストユニット、及びセルパックを含む。検出・制御ユニットは、端末装置によって送信された端末要求電圧を受信し、該端末要求電圧に基づいてセルパックを通じて端末装置に放電するよう、バックブーストユニットを制御するように構成される。バッテリモジュールは、検出・制御ユニットを含む。検出・制御ユニットは、端末要求電圧に基づいてセルパックを通じて端末装置に放電するよう、バックブーストユニットを制御し得る。異なる電圧系の端末装置は、異なる端末要求電圧を使用し得る。検出・制御ユニットは、バッテリモジュールが様々なタイプの端末装置に放電し得るように、端末要求電圧に基づいて端末装置に放電し得る。あるいは、検出・制御ユニットは、端末装置によって送信された第1の誤差基準値を受信し、該第1の誤差基準値に基づいて第1の目標出力電圧を取得し、セルパックを通じて第1の目標出力電圧に基づいて端末装置に放電するよう、バックブーストユニットを制御するように構成される。バッテリモジュールは検出・制御ユニットを含む。検出・制御ユニットは、第1の目標出力電圧に基づいてセルパックを通じて端末装置に放電するようバックブーストユニットを制御し、対応する第1の誤差基準値を、異なる電圧系の端末装置に送信し得る。検出・制御ユニットは、第1の誤差基準値に基づいて第1の目標出力電圧を取得し、そして、バッテリモジュールが様々なタイプの端末装置に放電し得るように、端末装置に放電し得る。端末装置は常に最適な入力電圧ポイントで動作し、その結果、異なる電圧系のバッテリモジュールが正規化及び標準化され、バッテリモジュールの耐用年数及び安全性が改善される。
【0138】
上述の実施形態は、バッテリモジュールの放電プロセスを説明している。以下、バッテリモジュールの充電プロセスを説明する。バッテリモジュールは任意の直流源を通じて充電されることができ、この出願のこの実施形態における複数のバッテリモジュールは同じ直流源を共有することができる。この出願のこの実施形態において、バッテリモジュールが充電される必要があるとき、バッテリモジュールは、直流源側での均等充電又はフロート充電制御に依存せず、入力源が共通の直流源によって置き換えられることで、バッテリモジュールは標準化、正規化、及び高速バッテリ充電を実施することができる。
【0139】
図3に示すように、バッテリモジュールが提供され、当該バッテリモジュールは直流源を通じて充電され、当該バッテリモジュールは、検出・制御ユニット、バックブーストユニット、及びセルパックを含む。
【0140】
検出・制御ユニットは、第1期間におけるセルパックの充電電流リミット及び充電電圧リミットを、第1期間におけるセルパックのステータス情報と直流源の出力電力とに基づいて取得し、充電電流リミット及び充電電圧リミットと、第1期間におけるセルパックの充電電流及び充電電圧と、直流源の出力電力とに基づいて、第1期間におけるセルパックの目標充電電力を取得し、直流源を通じて目標充電電力に基づいてセルパックを充電するよう、バックブーストユニットを制御するように構成される。
【0141】
バッテリモジュールは検出・制御ユニットを含む。検出・制御ユニットは、先ず、第1期間におけるセルパックのステータス情報を収集し、次いで、セルパックのステータス情報と直流源の出力電力とに基づいて、第1期間におけるセルパックの充電電流リミット及び充電電圧リミットを決定し得る。充電電流リミット及び充電電圧リミットは、セルパックのステータス情報と直流源の出力電力とによって決定される。充電電流リミットは、セルパックが充電されるときに制限される必要がある最大電流値を指し、実際の充電電流は充電電流リミットを超えることができない。充電電圧リミットは、バッテリが充電されるときに制限される必要がある最大電圧を指し、実際の充電電圧は充電電圧リミットを超えることができない。例えば、直流源の出力電力が十分である場合、第1期間におけるセルパックの充電電流リミット及び充電電圧リミットは、セルパックのステータス情報に基づいて決定される。
【0142】
検出・制御ユニットは、充電電流リミット及び充電電圧リミットを取得する。さらに、検出・制御ユニットは、第1期間におけるセルパックの充電電流及び充電電圧と、直流源の出力電力とを取得する必要がある。第1期間におけるセルパックの充電電流及び充電電圧は、第1期間における実際の充電電流及び実際の充電電圧を指し、直流源の出力電力は、充電電流リミット及び充電電圧リミットに基づいてセルパックに電気エネルギーを供給するために直流源によって使用される電力パラメータを指す。第1期間におけるセルパックの目標充電電力は、第1期間におけるセルパックの充電電流及び充電電圧と直流源の出力電力とを組み合わせることによって取得され得る。第1期間におけるセルパックの目標充電電力は、第1期間においてセルパックが充電されるときに使用されることができる目標充電電力である。目標充電電力は、バックブーストユニットを制御するための目標電力値である。最後に、検出・制御ユニットは、目標充電電力に基づいて直流源を通じてセルパックを充電するよう、バックブーストユニットを制御し得る。バッテリモジュールは、充電制御のために専用の充電器に頼らずにセルのリアルタイム状態に基づいて正確な充電制御及び管理を実施し、バッテリの寿命及び安全性を改善する。
【0143】
この出願の一部の実施形態において、セルパックのステータス情報はセル温度を含み、あるいは、ステータス情報はセル温度及びセル容量を含む。
【0144】
セル温度はセルパックの温度であり、電気化学セル容量はセルパックの容量である。セル温度及び電気化学セル容量の具体的な実装は限定されない。例えば、バッテリモジュール内の検出・制御ユニットが、例えばセル温度、セル温度とセル容量、及びこれらに類するものなどの、セルパックの状態を検出する。例えば、セルパックのステータス情報はセル温度を含む。現在期間におけるセル温度に対応する充電電流リミットが、セル温度と充電電流リミットとの間の事前設定された対応関係に基づいて取得される。例えば、セル温度が第1の温度範囲内にあるとき、充電電流リミットはC1であり、充電電圧リミットはV1である。セル温度が第2の温度範囲内にあるとき、充電電流リミットはC2であり、充電電圧リミットはV2である。セル温度に加えて、ステータス情報は更にセル容量を含み得る。具体的には、セル温度とセル容量とに共に基づいて充電電流リミットが決定される。特定のセル温度とセル容量に対して、対応するセルパックの充電電流リミット及び充電電圧リミットが決定され得る。セルパックのステータス状態情報が取得された後、特定のルールに基づく総合的な計算を通じて、セルパックの現在の充電電圧リミット値及び現在の充電電流リミット値が決定される。そして、バッテリモジュールの外部入力能力(すなわち、充電器の電流出力能力)に基づいてセルパックのリアルタイム目標充電電力が総合的に決定され、その目標充電電力をセルパックに提供するようにバックブーストユニットが制御される。
【0145】
この出願の一部の実施形態において、検出・制御ユニットは、充電電流リミット及び充電電圧リミットと、第1期間におけるセルパックの充電電流及び充電電圧とに基づいて、バッテリモジュールの充電電力を取得し、バッテリモジュールの充電電力と、直流源の出力電力とに基づいて、目標充電電力を取得するように構成される。
【0146】
検出・制御ユニットは、バックブーストユニットを制御することによって、目標充電電力で充電されるようにセルパックを制御する。バッテリモジュールは、例えば充電入力源の電圧スケーリング及び/又は電流制限などのロジック制御に頼らない。検出・制御ユニットは、充電電流リミット、充電電圧リミット、及びこれらに類するものに基づいてバッテリモジュールの充電電力を計算し、バッテリモジュールの充電電力及び直流源の出力電力のうち小さい方、すなわち、現在の電気化学セルの目標充電電力を選択し得る。
【0147】
この出願の一部の実施形態において、検出・制御ユニットは、目標充電電力に基づいてパルス幅変調PWMデューティサイクルを取得し、該PWMデューティサイクルに基づいて、直流源を通じてセルパックを充電するようバックブーストユニットを制御する。
【0148】
セルパックの目標充電電力を取得した後、検出・制御ユニットは、目標充電電力に基づいてPWMデューティサイクルを取得し、該PWMデューティサイクルに基づいて、直流源を通じてセルパックを充電するようバックブーストユニットを制御する。この出願の実施形態において、バッテリモジュールは自動制御式に正確な充電を実施することができる。
【0149】
この出願の一部の実施形態において、バックブーストユニットは、検出・制御ユニットとセルパックとに別々に接続される。
【0150】
バックブーストユニットは更に、直流源に接続するように構成される。
【0151】
セルパックとバックブーストユニットとが接続される。検出・制御ユニットとバックブーストユニットとが接続される。バックブーストユニットは電力インタフェースを含み、該電力インタフェースに直流源が接続される。バックブーストユニットは、電力インタフェースを通じてセルパックに放電する。
【0152】
この出願の一部の実施形態において、バックブーストユニットは、セルパックを充電するときに、バック入力、ブースト入力、時分割バックブースト入力、時分割ブースト・シュートスルー入力、時分割バック・シュートスルー入力、又は時分割バックブースト・シュートスルー入力、という電圧制御モードのうちの少なくとも1つを実装するように構成される。
【0153】
シュートスルーは、セルパックの電圧がバッテリモジュールポートの電圧に等しいことを意味する。換言すれば、電圧が上昇されたり低下されたりしない。ブースト入力は、直流源の電圧が上昇されて入力される必要があることを意味する。バック入力は、直流源の電圧が低下されて入力される必要があることを意味する。時分割は、バックブーストユニットが、予め設定された期間に基づいて複数の異なる電圧モードで動作することを意味する。例えば、時分割バックブースト入力は、バックブーストユニットが、予め設定された期間に基づいてブースト入力又はバック入力で動作することを意味する。時分割ブースト・シュートスルー入力、時分割バック・シュートスルー入力、又は時分割バックブースト・シュートスルー入力の意味を詳細に説明することはしない。
【0154】
上述の実施形態の説明例から分かることには、バッテリモジュールは直流源を通じて充電され、バッテリモジュールは、検出・制御ユニット、バックブーストユニット、及びセルパックを含み、検出・制御ユニットは、第1期間におけるセルパックの充電電流リミット及び充電電圧リミットを、第1期間におけるセルパックのステータス情報と直流源の出力電力とに基づいて取得し、充電電流リミット及び充電電圧リミットと、第1期間におけるセルパックの充電電流及び充電電圧と、直流源の出力電力とに基づいて、第1期間におけるセルパックの目標充電電力を取得し、直流源を通じて目標充電電力に基づいてセルパックを充電するよう、バックブーストユニットを制御するように構成される。バッテリモジュールは、検出・制御ユニットを含む。検出・制御ユニットは、第1期間におけるセルパックの充電電流リミット及び充電電圧リミットを取得し、第1期間におけるセルパックの目標充電電力を取得し得る。セルパックは、目標充電電力に基づいて直流源を通じて充電される。従って、バッテリモジュールは迅速且つ正確に充電電力を調整することができ、それにより、例えば充電器による電流制限及び電圧調整などの機能に対する依存性を排し、異なる電圧系のバッテリモジュールの正規化や標準化を達成し、バッテリモジュールの耐用年数及び安全性を改善することができる。
【0155】
この出願の一実施形態は更に充電システムを提供する。
図4に示すように、当該充電システムは、
図3に示したバッテリモジュールを含む。
【0156】
N個のバッテリモジュールが存在し、Nは1以上の正の整数である。
【0157】
この出願の一部の実施形態において、Nが1より大きい場合、N個のバッテリモジュールは、並列に接続された後に直流源に接続される。
【0158】
バッテリモジュールは任意の直流源を通じて充電されることができ、この出願のこの実施形態における複数のバッテリモジュールは同じ直流源を共有することができる。この出願のこの実施形態において、バッテリモジュールが充電される必要があるとき、バッテリモジュールは、直流源側での均等充電又はフロート充電制御に依存せず、入力源が共通の直流源によって置き換えられることで、バッテリモジュールは標準化、正規化、及び高速バッテリ充電を実施することができる。
【0159】
上述の実施形態の説明例から分かることには、充電システムは1つ以上のバッテリモジュールを含むことができ、該バッテリモジュールは直流源を通じて充電され、該バッテリモジュールは、検出・制御ユニット、バックブーストユニット、及びセルパックを含み、検出・制御ユニットは、第1期間におけるセルパックの充電電流リミット及び充電電圧リミットを、第1期間におけるセルパックのステータス情報と直流源の出力電力とに基づいて取得し、充電電流リミット及び充電電圧リミットと、第1期間におけるセルパックの充電電流及び充電電圧と、直流源の出力電力とに基づいて、第1期間におけるセルパックの目標充電電力を取得し、直流源を通じて目標充電電力に基づいてセルパックを充電するよう、バックブーストユニットを制御するように構成される。バッテリモジュールは、検出・制御ユニットを含む。検出・制御ユニットは、第1期間におけるセルパックの充電電流リミット及び充電電圧リミットを取得し、第1期間におけるセルパックの目標充電電力を取得し得る。セルパックは、目標充電電力に基づいて直流源を通じて充電される。従って、バッテリモジュールは迅速且つ正確に充電電力を調整することができ、それにより、例えば充電器による電流制限及び電圧調整などの機能に対する依存性を排し、異なる電圧系のバッテリモジュールの正規化や標準化を達成し、バッテリモジュールの耐用年数及び安全性を改善することができる。
【0160】
以下では、説明のための例として、詳細な適用ナリオを使用する。例えば、端末装置は具体的に車載機器であり、車両要求電圧は具体的に、車載機器によって要求される電圧である。以下に示す実施形態1-3はバッテリモジュールの放電シナリオに関するものであり、実施形態4はバッテリモジュールの充電シナリオに関するものである。
【0161】
この出願のこの実施形態では、検出・制御ユニット、バックブーストユニット、検出回路、セルパック、通信回路が統合されて、電動自転車又は電動バイクのバッテリモジュールを形成する。検出・制御ユニットが、予め設定されたルール又は通信ネゴシエーションに基づいて車両要求電圧を検出する。複数の異なる車載機器の負荷電圧出力要求を満たすように、バックブーストユニットが車両要求電圧を出力するように制御され、それにより、バッテリモジュールの標準化及び正規化を実現する。バッテリモジュールが充電される必要があるとき、検出・制御ユニットが、リアルタイムのセル温度、セル電圧、及びバッテリモジュールの入力ポートの充電電圧に基づいて総合的に最適充電電力を計算し、バッテリモジュールの充電電力を制御する。従って、当該バッテリモジュールは、充電器の電圧調整及び電流制限制御に頼るものではなく、それによりバッテリの耐用年数及びバッテリの安全性を改善する。
【0162】
この出願の実施形態1:
二輪の電動自転車及び電動バイクのバッテリモジュールを例として使用する。二輪電動自転車の車両要求電圧は、一般的に、電動バイクのバッテリモジュールの出力電圧よりも低い。例えば、殆どの二輪電動自転車の車両要求電圧は定格36V又は48Vである。電動バイクのバッテリモジュールの出力電圧は定格60V又は72Vである。バッテリモジュールは車両要求電圧を特定し、車両要求電圧に基づいて出力するようにバッテリモジュールを制御する。主に次のステップが含まれる。
【0163】
S11:電動車両にバッテリモジュールが搭載され、バッテリモジュールは、アクティブにされて起動された後に、車載機器の信号処理ユニットが動作することを確保するよう、低めの安全電圧Voutref0を出力する。
【0164】
S12:車載機器の信号処理ユニットが動作し、予め設定された信号検出伝送チャネルを介して、車載情報をバッテリモジュール内の検出・制御ユニットに送る。信号検出伝送チャネルを介して伝えられる車載情報は、以下に限られないが、アナログ信号、I/O論理レベル、コントローラエリアネットワーク(controller area network、CAN)通信、458通信、他のシリアルパラレル通信方式、及びこれらに類するものを含み得る。車載情報は、少なくとも、予め設定された車両要求電圧Vinrefを含み、車両要求電圧の電圧値は、連続(例えば、アナログ信号又は浮動小数点数)、セグメント(すなわち、電圧系は電圧範囲を表す)、ポイント(例えば、36V、48V、又は60V、...)、又はこれらに類するものとし得る。
【0165】
S13:車載情報を受信した後、検出・制御ユニットは、予め設定されたルールに従って車載情報を解析する。予め設定されたルールは通信プロトコルを指す。例えば、車両によって送信された車両要求電圧の値は48Vであり、バッテリモジュールは、受信し、解析し、車両要求電圧が48Vであることを得る。あるいは、車両が一定の符号化レベルを出力し、バッテリモジュールは、それに対応して解析して車両要求電圧を得ることができる。あるいは、車両が電圧アナログ信号を出力し、0.5V未満のアナログ量は36Vの車両要求電圧に対応し、0.5Vから1Vのアナログ量は48Vの車両要求電圧に対応し、1Vから1.5Vのアナログ量は60Vの車両要求電圧に対応し、などである。あるいは、車載情報は抵抗値信号であってもよい。0オームから100オームの抵抗値信号は36Vの車両要求電圧に対応し、200オームから300オームの抵抗値信号は48Vの車両要求電圧に対応し、などである。
【0166】
S14:検出・制御ユニットは、予め設定されたルールに従って車両要求電圧Vinrefを受信・解析し、誤差基準値Verror(例えば、Verror=Vinref-Voutref0)を計算し、誤差基準値Verrorを出力電圧基準値Voutref1に加算する。
【0167】
S15:検出・制御ユニットは、Voutref1=Voutref0+Verrorを、バックブーストユニットの出力を制御するための新たな電圧ループ基準として使用し、そして、対応するPWMデューティサイクルを、自動制御原理における比例積分(proportion integration、PI)、比例積分微分(proportion integration differentiation、PID)、又はこれらに類するものを用いることによって計算して、Voutref1に基づいて出力するようにバックブーストユニットを制御する。
【0168】
S16:上述のステップS11からS15のプロセスを複数回(例えば、x回)実行した後、バックブーストユニットの出力電圧基準値の足し合わせがVoutrefxへと変化し、車載負荷ポート電圧の値はVinrefに近いもの又は等しいものとなり、その結果、異なる車両負荷要求とともに車載負荷ポートの電圧が変わるようになる。これは、セル材料、セルの残存容量、直列接続セル数、周囲温度、及びこれらに類するものによっては影響されない。xは0より大きい正の整数である。xの値は、この出願のこの実施形態において限定されない。
【0169】
この出願の実施形態2:
実施形態1と実施形態2との間の主な違いは、車載機器の制御ユニットが、車載機器の入力ポート電圧Vinを検出し、車載機器の制御ユニットが、現在の状態における入力ポート電圧Vinと車両要求電圧に基づいて誤差値Verrorを計算する点にある。そして、計算された誤差値がバッテリモジュールの検出・制御ユニットに転送され、バッテリモジュールの検出・制御ユニットが、予め設定された電圧制御期間を1ビートとして、先行ビートの調整値と現在受信したVerrorとに基づいて現在の電圧制御基準値を計算する。例えば、計算周期が50マイクロ秒(μs)である場合、50μsの間隔で計算が繰り返される。各計算が1ビートである。実施形態1では、バッテリモジュール内の検出・制御ユニットは、車載負荷ポート電圧Vinを取得せず、負荷によって入力されるVinrefに基づいて誤差値を計算する。
【0170】
実施形態2は主に以下のステップを含む。
【0171】
S21:バッテリモジュールが、制御電圧Voutref0を出力し、あるいは、予め設定されたデフォルトの安全電圧Voutref0を出力し、これらを総称してVoutref0と呼ぶ。
【0172】
S22:車載負荷が動作した後、車載機器が継続的且つ周期的に負荷入力ポート電圧Vin0を検出し、それを車載機器の車両要求電圧Vinrefと比較して、誤差値Verror(例えば、Verror=Vinref-Vin0)を取得する。
【0173】
S23:車載機器が、誤差値Verrorをバッテリモジュールの検出・制御ユニットに転送する。例えば、誤差値は、検出・制御ユニット及び車載機器の信号検出伝送チャネルを介して伝送される。例えば、車載機器によって送信される誤差値は、アナログ信号とすることができ、あるいは、CAN信号又は他のデジタル通信信号とすることができる。これは、ここで限定されることではない。
【0174】
S24:バッテリモジュールの検出・制御ユニットが、受信した誤差値Verrorを新たな出力電圧基準Voutref1に追加する。
【0175】
S25:バッテリモジュールの検出・制御ユニットが、Voutref1=Voutref0+Verrorを取得し、該Voutref1=Voutref0+Verrorを、新たなバックブーストユニットによって制御される出力電圧ループの基準値として使用し、自動制御原理におけるPI又はPIDに基づいてPWMデューティサイクルを計算し、そして、出力のために、足し合わされたVoutref1に基づいて放電するようにバックブーストユニットを制御する。
【0176】
S26:上述のステップS22からS25のプロセスをx回実行した後、バックブーストユニットの出力電圧基準値の足し合わせがVoutrefxへと変化し、車載負荷ポートの電圧値はVinrefに近いもの又は等しいものとなり、その結果、異なる車両負荷要求とともに車載負荷ポート電圧が変わるようになる。これは、セル材料、残存容量、直列接続セル数、周囲温度、及びこれらに類するものによっては影響されない。xは0より大きい正の整数である。xの値は、この出願のこの実施形態において限定されない。
【0177】
この出願の実施形態3:
第1の実施形態、第2の実施形態、及び第3の実施形態の間の主な違いは、瞬時負荷電流Itが導入される点にある。瞬時負荷電流Itとライン電圧降下Vとに基づいて、ラインインピーダンスRが計算される。ラインインピーダンス及びVdelta=It*Rを用いることによって、出力電圧がリアルタイムで補償される。
【0178】
S31:バッテリモジュールが、制御電圧Voutref0を出力し、あるいは、予め設定されたデフォルトの安全電圧Voutref0を出力し、これらを総称してVoutref0と呼ぶ。
【0179】
S32:車両が動作した後、車載機器が継続的且つ周期的に、負荷入力ポート電圧Vin0及び車両要求電圧Vinrefを検出し、これらの電圧をバッテリモジュールの検出・制御ユニットに送信する。
【0180】
S33:バッテリモジュールの検出・制御ユニットが、バッテリモジュールの出力電圧Voutref0と負荷入力ポート電圧とに基づいてライン電圧降下Vdelta(例えば、Vdelta=Voutref0-Vin0)を計算し、先行周期における出力電流It1に基づいてラインインピーダンスR=Vdelta/It1を計算する。
【0181】
S34:バッテリモジュールの検出・制御ユニットが、ステップS33で計算したラインインピーダンスとリアルタイム出力負荷電流It2とに基づいて、ライン電圧降下Vdelta=R*It2を計算する。
【0182】
S35:バッテリモジュールの検出・制御ユニットが、車両要求電圧VinrefとステップS34で計算したとライン電圧降下Vdeltaとに基づいて、Voutrefx=Vinref+Vdeltaである出力電圧目標値を取得する。
【0183】
S36:この素早い補償の後、車載負荷ポート電圧は、異なる車両負荷要求とともに変わり、また、セル材料、残存容量、直列接続セル数、及び周囲温度などに加えて負荷電流変化によっても影響されない。車載負荷ポート電圧が迅速に安定化される。
【0184】
この出願の実施形態4:
図5に示すように、例えば、Nは1以上の整数であるとして、充電システムはN個のバッテリモジュールを含む。異なる容量及び状態のN個のバッテリモジュールが並列に接続され、1つ以上の直流源を用いることによって並行して充電される。各バッテリモジュールの検出・制御ユニットが、該バッテリモジュールの充電電流リミット値及び充電電圧リミット値を、セル温度又はセル温度とセル容量などに基づいて総合的に計算し、例えば自動制御原理PI、PIDアルゴリズム、又はこれらに類するものを用いることによって出力PWMデューティサイクルを計算する。バッテリモジュールのバックブーストユニットが、セルに対する正確な充電管理を実行するように制御され、その結果、バッテリモジュールの充電は、充電器の均等化及びフロート充電制御に依存しない。入力源として、専用充電器の代わりに共通の直流源が使用される。これは、バッテリモジュールの標準化、正規化、及び高速バッテリ充電を実現することができる。主に以下のステップが含まれる。
【0185】
S41:バッテリモジュールが充電される必要があるとき、バッテリモジュールの電力インタフェースが直流源出力ポートに接続される。この出願のこの実施形態において、専用の充電器を置き換えて共通の直流源を使用することができ、専用の充電器又は一対一充電は必要とされない。
【0186】
S42:バッテリモジュールの検出・制御ユニットが、バッテリモジュールのセル温度を検出し、セル温度と直流源の出力電力とに基づいて、バッテリモジュールのリアルタイムセル充電電圧リミットVchgref、及びバッテリモジュールのリアルタイム充電電流リミットIchgrefを計算する。あるいは、検出・制御ユニットがバッテリモジュールのセル温度及びセル容量を検出し、セル温度、セル容量、及び直流源の出力電力に基づいて、バッテリモジュールのリアルタイムセル充電電圧リミットVchgref、及びバッテリモジュールのリアルタイム充電電流リミットIchgrefを計算する。例えば、セル温度が0度より低い場合、充電電流は0であり、充電を停止する必要がある。セル温度が0度から5度である場合、充電電流は0.2C以下である。セル温度が5度から15度である場合、充電電流は0.5Cである。セル温度が15度より高い場合、充電電流は1Cである。セル温度の範囲区分及び充電電流は、異なるセル材料では異なる。
【0187】
S43:バッテリモジュールの検出・制御ユニットが、リアルタイム充電電流It及びバッテリリアルタイム充電電圧Vbatをフィードバック値として用いるとともに、計算した最大充電電流リミット値Ichgref及びセルパック充電電圧リミット値Vchgrefを基準値として用いて、自動制御原理PI、PIDアルゴリズム、又はこれらに類するものに従って出力PWMデューティサイクルを計算する。
【0188】
S44:専用の充電器の制御に依存することなく、計算されたPWMデューティサイクルに基づいてセルの最大電圧リミット及び電流リミット充電制御を実施するよう、バックブーストユニットを制御する。
【0189】
上述の例から分かることには、異なる電圧レベルの車両バッテリの正規化が、バッテリ出力電圧が車両負荷要求に適応的に適応することを可能にし得るように、バックブーストユニットと検出・制御ユニットが、電気自動車のバッテリモジュールに統合される。バッテリモジュールの負荷放電電圧が、バッテリの数、バッテリ容量、周囲温度、及び負荷電流に影響されず、加速性能が制限されない。バッテリモジュールが車両を放電するとき、車両電気駆動の入力ポートの電圧が常に最適な状態で動作するよう、バッテリモジュールは、負荷電流、及び電圧についての車両負荷のリアルタイム要求を検出する。
【0190】
この出願のこの実施形態で提供される充電システムは、異なる容量及び異なる状態のバッテリモジュールの並列拡張及びパワー増強を実現し得る。バッテリモジュールは、セルのリアルタイム状態に基づいて正確な充電制御及び管理を実行し、充電制御のために専用充電器に依存せず、バッテリの耐用年数及び安全性を改善する。専用充電器を置き換えて共通の直流電源を使用することができ、集中充電コストを低減させるとともに充電効率を向上させ得る。
【0191】
なお、本出願の明細書、特許請求の範囲、及び添付図面における用語“第1”及び“第2”は、単に説明の目的で使用されており、相対的な重要さを示したり意味したりするものとして解釈されない。用語“第1”及び“第2”は、特定の順序又はシーケンスを記述するために使用される必要はなく、同様の対象間で区別を行うために使用されている。理解されるべきことには、このようにして使用される用語は、適当な状況において相互に入れ換え可能であり、これは単に、同じ属性を持つ複数の対象がこの出願の実施形態で記述されるときに使用される区別の仕方である。また、用語“含む”、“持つ”、及びこれらの任意の他の変形は、非排他的な包含をカバーすることを意味し、それ故に、一連のユニットを含むプロセス、方法、システム、プロダクト、又は装置は、必ずしもそれらのユニットに限定されず、明示的に列挙されていない他のユニットや、そのようなプロセス、方法、プロダクト、又は装置に本来備わるもの他のユニットを含み得る。
【0192】
この出願において、“少なくとも1つ”は1つ以上を意味し、“複数の”は2つ以上を意味する。用語“及び/又は”は、関連するオブジェクト間の連関関係を記述するために使用され、3つの関係が存在し得ることを表す。例えば、“A及び/又はB”は、以下の3つのケース、すなわち、Aのみが存在する、Bのみが存在する、及び、AとBの両方が存在するという3つのケースを表し得るものであり、A及びBは単数であっても複数であってもよい。文字“/”は、一般に、関連するオブジェクト間の“又は”の関係を表す。“以下のアイテム(ピース)のうち少なくとも1つ”又はこれに類する表現は、複数のアイテム(ピース)のうちの単一のアイテム(ピース)又は任意の組み合わせを含め、それらのアイテムのうちの任意の組み合わせを指し示す。例えば、a、b、又はcのうちの少なくとも1つ(ピース)は、a、b、c、“a及びb”、“a及びc”、“b及びc”、又は“a、b、及びc”を表し得るものであり、a、b、及びcは単数であっても複数であってもよい。
【0193】
この出願の実施形態における全ての機能ユニットが1つの処理ユニットへと統合されてもよく、各ユニットが1つのユニットとして別々に使用されてもよく、あるいは、2つ以上のユニットが1つのユニットへと統合されてもよい。統合されたユニットは、ハードウェアの形態で実装されてもよいし、ハードウェアとソフトウェアの機能ユニットの形態で実装されてもよい。
【0194】
以上の説明は、単にこの出願の実施形態例であり、如何なる形態にもこの出願を限定する意図はない。この出願の実施形態例を上述したが、これらの実施形態はこの出願を限定することを意図したものではない。上で開示された方法及び技術的内容を用いることにより、当業者は、この出願の技術的ソリューションの保護範囲から逸脱することなく、この出願の技術的ソリューションに対して複数の可能な変形及び変更を加えたり、その技術的ソリューションを、均等な変形を通じて、等しい効果を持つ実施形態となるように改正したりすることができる。従って、この出願の技術的ソリューションの内容から逸脱することなく、この出願の技術的本質に従って、上の実施形態に対して行われる単純な改正、均等な変形、及び変更は、この出願の技術的ソリューションの保護範囲に入るものである。