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特許7438283非線形周波数変換素子を有する、ヘテロジニアスに統合したフォトニックプラットフォーム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-15
(45)【発行日】2024-02-26
(54)【発明の名称】非線形周波数変換素子を有する、ヘテロジニアスに統合したフォトニックプラットフォーム
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/377 20060101AFI20240216BHJP
   G02B 6/12 20060101ALI20240216BHJP
   G02B 6/122 20060101ALI20240216BHJP
   G02B 6/13 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
G02F1/377
G02B6/12 301
G02B6/12 371
G02B6/122 311
G02B6/13
【請求項の数】 18
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022123388
(22)【出願日】2022-08-02
(65)【公開番号】P2023181956
(43)【公開日】2023-12-25
【審査請求日】2022-08-29
(31)【優先権主張番号】17/838,325
(32)【優先日】2022-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】522194599
【氏名又は名称】ネクサス・フォトニクス・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ミン・トラン
(72)【発明者】
【氏名】ティン・コムリェノヴィッチ
【審査官】堀部 修平
(56)【参考文献】
【文献】特表2021-513667(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0131157(US,A1)
【文献】特開2004-212575(JP,A)
【文献】国際公開第2005/099054(WO,A1)
【文献】特表2010-504556(JP,A)
【文献】特開平07-074341(JP,A)
【文献】特開2005-284240(JP,A)
【文献】特開2015-120831(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/00-1/125
1/21-7/00
G02B 6/12-6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
デバイスであって、
共通の基板上に製造される第1の要素、第2の要素、および第3の要素を備え、
前記第1の要素が第1の光モードをサポートする能動導波路構造物を備え、前記第2の要素が第2の光モードをサポートする受動導波路構造物を備え、前記第3の要素が、前記第1の要素に少なくとも部分的に突き合わせ結合されて、中間光モードをサポートする中間導波路構造物を備え、
前記第2の要素が少なくとも1つの非線形部分を有し、周波数変換をサポートし、
前記第2の要素および第3の要素のうちの少なくとも1つの先細導波路構造物が、前記第2の光モードと前記中間光モードのうちの1つとの間の効率的な断熱変換を容易にし、
前記中間光モードのいずれかと前記第1の光モードとの間で断熱変換が生じず、
前記第1の要素、第2の要素、および第3の要素の相互の位置合わせが、前記第1の要素、第2の要素、および第3の要素を製造する処理ステップの期間中に形成される層間の正確な位置合わせを容易にするリソグラフィ用位置合わせマークを使用して規定される、デバイス。
【請求項2】
前記第3の要素が、前記第3の要素の堆積前の平坦化によって実現される、前記第2の要素の平坦な上面を直接覆う、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
第1の要素と第3の要素との間の界面が、反射を最小化するように最適化された角度で傾けられている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記第2の要素の前記非線形部分が、少なくとも2つの電極を備え、前記少なくとも2つの電極が、前記少なくとも2つの電極によって印可される電場によって引き起こされる前記周波数変換を最大化するように構成される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
前記電極が、前記共通の基板の底面に平行な平面内で、前記受動導波路構造物中の受動導波路のコアから横方向にオフセットされる、請求項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記電極が、前記共通の基板の底面に垂直な平面内で、前記受動導波路構造物中の受動導波路のコアから垂直方向にオフセットされる、請求項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記第2の要素の前記非線形部分が、それぞれアノード及びカソードを実現する少なくとも2つの電極のグループを備え、各グループ内の電極が、前記周波数変換を最適化するように選択されるピッチで分離される、請求項に記載のデバイス。
【請求項8】
アノード及びカソードを実現する2つの電極のグループが、くし型電極である、請求項7に記載のデバイス。
【請求項9】
前記第2の要素の前記非線形部分が、前記周波数変換を向上させるように構成された共振構造物を備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項10】
前記第2の要素の中の前記共振構造物が少なくとも2つの電極を備える、請求項に記載のデバイス。
【請求項11】
前記第2の要素の前記非線形部分が、前記周波数変換を向上させるように構成されたらせんベース遅延構造物を備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項12】
前記第2の要素の中の前記らせんベース遅延構造物が少なくとも2つの電極を備える、請求項11に記載のデバイス。
【請求項13】
前記第2の要素の前記非線形部分が、位相整合を調整し前記周波数変換を向上させるように構成された少なくとも1つのフォトニックベースの調整要素としての追加の電極を備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項14】
前記第2の要素の前記非線形部分の中の前記共振構造物が少なくとも1つのフォトニックベースの調整要素としての追加の電極を備える、請求項に記載のデバイス。
【請求項15】
前記第2の要素の前記非線形部分の中の前記らせんベース遅延構造物がフォトニックベースの調整要素としての追加の電極を備える、請求項11に記載のデバイス。
【請求項16】
前記第1の要素がGaAsレーザを備え、
前記第2の要素がSiN導波路構造物を備え、
前記第3の要素が、SiNより低い屈折率を有する材料を備え、前記第1の要素と前記第2の要素との間に効率的な光結合を実現し、
前記GaAsレーザからの出力の少なくとも一部分が、前記第2の要素で周波数2逓倍される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項17】
前記第2の要素の前記非線形部分が、前記周波数2逓倍を向上させるように構成された共振構造物を備える、請求項16に記載のデバイス。
【請求項18】
前記第1の要素がInPレーザを備え、
前記第2の要素がSiN導波路構造物を備え、
前記第3の要素が、SiNより低い屈折率を有する材料を備え、前記第1の要素と前記第3の要素との間に効率的な光結合を実現し、
前記InPレーザからの出力の少なくとも一部分が、前記第2の要素で周波数2逓倍される、請求項1に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体レーザに関する。より詳細には、本発明の一定の実施形態は、周波数変換のために非線形素子で光学的に結合される異種の材料を使用して、ヘテロジニアスに統合されたレーザの性能改善に関する。
【背景技術】
【0002】
フォトニック集積回路(PIC)または集積光回路は、複数のフォトニック機能を統合しており、そのため、電子集積回路に類似するデバイスである。その2つの間の主な違いは、フォトニック集積回路が、光学的搬送波に与えられる情報信号のための機能を提供することである。フォトニック集積回路で最も商業的に利用される材料プラットフォームは、リン化インジウム(InP)であって、これによって、同じチップ上で、様々な光学的に能動的および受動的な機能の統合が可能になる。多くの現行のPICがInPプラットフォームで実現されているが、電子集積回路のために既に行われていた投資を活用する、以前の材料についてのいくつかの優れた特性および優れた処理能力に起因して、過去十年で、PICを実現するためにInPではなくむしろシリコンを使用することにおいて、かなりの調査が行われてきた。
【0003】
PICにシリコンを使用することにおける最大の問題は、シリコンが、電気的にポンピングされる源を提供するのを困難にさせる間接遷移型材料であるということである。この問題は、別個のプロセスにおいて異種の材料から作られた2つ以上のチップを備えるPICを組み立てることによって一般的に解決される。そのような手法は、パッケージング費用を増加させ、小型化の制限をもたらす、非常に精細な位置合わせが必要となることに起因して、困難である。遷移型問題を解決する別の手法は、2つの異種の材料を結合し、それらを一緒に処理して、異種の材料の大きな部片または全ウェハを結合する期間中に正確な位置合わせをする必要をなくすこと、および大量生産を可能にすることである。本開示では、「ハイブリッド」という用語を使用して、別個に処理した部品の正確な組立を含む第1の手法を記載し、「ヘテロジニアス(heterogeneous)」という用語を使用して、2つの材料を結合し、次いで、結合された結果を処理して、導波路および対象の他の構成要素を規定する後者の手法を記載する。
【0004】
異種の材料間で光信号を伝達するため、ヘテロジニアス手法では、異種の材料の実効モード屈折率が一致して効率的なパワー伝達が実現するまで、徐々にその寸法が減少するテーパを利用する。この手法は、材料がシリコンおよびInPの場合と同様の屈折率を有するときに、一般的に良好に働く。たとえば、SiNとGaAsまたはInP間などといった、実効屈折率が大きく異なる場合に、テーパ端寸法の要件が法外になり、効率的なパワー伝達を制限する。具体的には、良好な結合を実現するために、(数十ナノメートルの程度の)極度に小さいテーパ端幅が必要になる場合がある。そのような寸法を達成するのは、複雑で法外な費用となる可能性がある。
【0005】
InPおよびシリコンベースのPICは多くの現在の要望に対処するが、それらにはいくつかの制限がある。とりわけ、材料の吸収が損失を増加させることにより動作波長範囲が制限されること、および、PICが取り扱うことができる最大光強度したがって光パワーの制限があることが挙げられる。これらの制限に対処するために、SiN、LiNbO、TiO、Ta、AlNなどといった、代替の導波路材料が考えられている。一般的に、そのような誘電体導波路はより大きい遷移エネルギーを有し、このことによって、より短い波長でのより良好な大パワーの取扱いおよび透明度を実現するが、一般的にそのような材料は、より小さい屈折率も有する。たとえば、約5eVのバンドギャップを有するSiNは約2の屈折率を有し、AlNは約6eVのバンドギャップおよび約2の屈折率を有し、約8.9eVのバンドギャップを有するSiOは約1.44の屈折率を有する。比較して、InPとGaAs両方の屈折率は、>3である。このことによって、テーパ手法が困難になる。
【0006】
代替のハイブリッド手法は、既に述べた欠点、すなわち、正確な位置合わせをする必要があり、それに対応して、複雑なパッケージングおよび小型化の制限がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】米国特許第10,859,764号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記で議論した問題に対する最近の手法は、極度に小さいテーパ幅の必要がなく使用されるヘテロジニアスプロセスを可能にするように、モード変換器と組み合わされる突き合わせ結合を採用する特許文献1において提示された。本発明は、この方法で突き合わせ結合を採用し、直接注入光源の周波数を変換するために使用される非線形素子を含むPICに向けられている。複数の非線形素子を利用することができ、いくつかの実施形態では、第2の高調波発生によって、他の手法では達成するのが困難であるまたは不可能である場合さえある、ある光学波長での、チップ規模の光源の性能が可能になる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
1つの例は、約775nmで放出する同様の狭線幅発生源を実現するために2倍にされた周波数である、約1550nmで動作するInP狭線幅レーザ(1Hzと同じほどまたはさらに低い線幅は、InPおよびSiNを利用して呈示されている)のチップ規模統合である。能動材料としてInPに基づいたそのような発生源のポンプ波長は、非常に広い範囲(典型的には1200nm~1800nmであるが、さらに広くてよい)で調整することが可能である。より短い波長に影響を及ぼす本質的により高い損失に起因して、SiN導波路を利用する(典型的には、630nm~1100nm波長範囲での直接放出をサポートするが、より広くてもよい)GaAsベースのポンプで同様のレベルの性能を達成するのは困難である。
【0010】
第2の例は、520nmと630nmの間で放出する入手可能な発生源における緑-黄色ギャップを対象とする。GaNベースの利得媒質のバンドギャップをより長い波長にシフトすることに関する問題点に起因して、この波長領域は、(レーザ発生源とは反対に)市販のLED発生源だけで、直接放出要素でサポートするのは非常に困難である。しかし、波長「ギャップ」領域は、GaAsからの直接放出が非常に高い効率で生じる、1040nmと1260nmの間で動作するGaAs発生源の出力を周波数2逓倍することによって、アクセスすることができる。
【0011】
好適には、非線形素子とチップ規模レベルで統合した高性能ポンプを使用して、周波数2逓倍以外のタイプの非線形変換を利用することによって、同様の様式で、他の波長範囲をアクセスすることができる。
【0012】
特に、下で記載される実施形態は、周波数変換のため非線形素子に依存する高性能レーザの作成に必要な、光結合構造物および導波路の詳細な設計に関係する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態によるデバイスを示す、断面図である。
図2】本発明のいくつかの実施形態によるデバイスの上から見た断面図である。
図3】本発明のいくつかの実施形態による3つのデバイスの端面断面図である。
図4】本発明のいくつかの実施形態による2つのデバイスの上から見た断面図である。
図5】本発明のいくつかの実施形態による2つのデバイスの上から見た断面図である。
図6】本発明のいくつかの実施形態による3つのデバイスの上から見た断面図である。
図7】本発明の2つの実施形態によるフォトニック集積回路(PIC)ベースレーザを図示する図である。
図8】本発明の3つの他の実施形態によるフォトニック集積回路(PIC)ベースレーザを図示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
ここで記載されるのは、ウェハ結合および異種の材料の堆積を使用するフォトニック集積回路の実現のためのプラットフォームの実施形態であって、ここでは、モード変換および突き合わせ結合方式の使用によって光結合が改善され、光源の出力が、周波数変換のための非線形素子に効率的に結合される。
【0015】
以下の詳細な記載では、その部分を形成する添付の図面への参照が行われ、添付の図面では、全体を通して同様の数値は同様の部分を示しており、本開示の主題を実施できる実施形態が例として示される。他の実施形態を利用することができ、本開示の範囲から逸脱することなく、構造的または論理的変更を行うことができることを理解されたい。したがって、以下の詳細な記載は、限定する意味でとらえるべきでなく、実施形態の範囲は、添付の特許請求の範囲およびそれらの均等物によって規定される。
【0016】
本記載は、頂部/底部、入/出、上/下などといった視点ベースの記載を使用する場合がある。そのような記載は、単に議論を容易にするために使用され、本明細書に記載される実施形態の用途を何らかの特定の向きに限定する意図はない。本記載は、「一実施形態では」、または「実施形態では」という語句を使用する場合があり、これらは、各々が、同じまたは異なる実施形態の1つまたは複数のことを言ってよい。さらに、本開示の実施形態で使用する「備える(comprising)」、「含む(including)」、「有する(having)」などの用語は、同意語である。
【0017】
本開示の目的では、「Aおよび/またはB」という語句は、(A)、(B)、または(AおよびB)を意味する。本開示の目的では、「A、B、および/またはC」という語句は、(A)、(B)、(C)、(AおよびB)、(AおよびC)、(BおよびC)、または(A、B、およびC)を意味する。
【0018】
「と結合された」という用語ならびにその派生形が本明細書で使用される場合がある。「結合された」は、以下のうちの1つまたは複数を意味してよい。「結合された」は、2つ以上の要素が、直接的に物理、電気、または光学接触することを意味してよい。しかし、「結合された」は、2つ以上の要素が、互いに間接的に接触するが、依然として互いに協働する、または相互作用することも意味することができ、互いに結合すると言われる要素の間に1つまたは複数の他の要素が結合または接続されることを意味することができる。「直接的結合」という用語は、2つ以上の要素が、それらの表面の少なくとも部分で直接接触することを意味する。「突き合わせ」という用語は、「端面」または軸方向結合を意味する通常の意味で本明細書中で使用される。ここでは、対象の要素の間に、最小またはゼロの軸方向オフセットが存在する。軸方向オフセットは、たとえば、典型的には高反射性または反射防止機能を実現するために使用される薄いコーティング層などといった、何らかの種類の薄い介在層が要素間に形成される場合に、ゼロよりもわずかに大きくなってよい。2つの導波路構造または要素の軸は、それらが突き合わせ結合していると正確に記載するには、同一線上にある必要がないことに留意されたい。言い換えると、要素間に界面が、いずれかの軸に対して垂直となる必要がない。下で議論される図2の実施形態は、そのような可能性の例示である。
【0019】
「能動デバイス」、「能動構造物」、さもなくば「能動」素子、部品、または構成要素という用語を本明細書で使用する場合がある。能動と呼ばれるデバイスまたはデバイスの一部は、直接の光の発生、増幅、減衰、変調、および/または検出を行うことができる。これは、「受動デバイス」によって意味するものと対照的である。「受動デバイス」の原則的な機能は、光を閉じ込めるおよび導く、および/または、分割、組合せ、フィルタ処理を行う、および/または、受動デバイスに一般的に関連する他の機能性である。いくつかの受動デバイスは、たとえば、変調を実現できる熱効果または同様の効果を使用して実装される位相調節などといった、能動デバイスの機能性と重複する機能を実現することができる。純粋に材料の組成またはデバイス構造に基づいた、「能動」と「受動」の間の絶対的な差異を考えるべきではない。たとえば、シリコンデバイスは、変調または低波長の放射の検出のある種の条件下で能動と考えることができるが、ほとんどの他の状況で受動と考えることができる。能動デバイスまたは受動デバイスのいずれかが、非線形特性を有する要素、セクション、および/または部分を備えることができる。非線形特性は、当技術分野で知られており、下に記載されるような周波数変換に利用することができる。
【0020】
図1は、異種の材料間の効率的な結合のために突き合わせ結合およびモード変換を利用し、周波数変換のために非線形素子を利用する統合フォトニックデバイス100の概略断面図である。例示的な断面図は、Si、InP、GaAs、石英、サファイア、ガラス、GaN、シリコンオンインシュレータ、または当技術分野で知られている他の材料などといった、半導体および誘電体処理用の任意の好適な基板であってよい基板105を含む。示される実施形態では、第2の材料の層104は、当技術分野で知られている技法を使用して、基板105の上面に、堆積、成長、転写、結合、または他の方法で取り付けられる。層104の主な目的は、コアとして102で光導波路を形成するのに必要な場合、(下で議論される)層102のための光学的クラッドを実現することである。光導波路は、光波を閉じ込めるために、2つのより低い屈折率の層間により高い屈折率のコアを置くことによって一般的に実現される。いくつかの実施形態では、層104が省略され、基板105自体がクラッドとして働く。
【0021】
層102は、当技術分野で知られている技法を使用して、存在する場合には層104の上、および/または、基板105の上に、堆積、成長、転写、結合、または他の方法で取り付けられる。層102の屈折率は、存在する場合には層104の屈折率より大きく、層104が存在しない場合、層102の屈折率は、基板105の屈折率より大きい。一実施形態では、層102の材料は、限定しないが、SiN、SiNO、TiO、Ta、(ドープ)SiO、LiNbO、およびAlNのうちの1つまたは複数を含むことができる。いくつかの実施形態では、他の通常の誘電体材料を層102用に使用することができる。他の実施形態では、半導体材料を層102用に使用することができる。いくつかの実施形態では、層102の屈折率は、1.44と2.5の間である。層104と層102のいずれかまたは両方を、当技術分野で一般的なように、パターン形成、エッチング、または再堆積することができる。層102は、本開示の請求項中で第2の要素と呼ばれる、受動導波路構造物用のコアである。
【0022】
その屈折率が層102の屈折率より小さい層108が、(下でより詳細に記載されるが、)層102の上を覆い、層101および103の下に配されて、層102の上面を平坦化する働きをする。いくつかの実施形態では、層108の上面の平面性は、化学機械研磨(CMP)または他のエッチング、化学的および/もしくは機械的研磨方法によって実現される。他の実施形態では、たとえば層108の材料がスピンオンガラス、ポリマ、フォトレジスト、または他の好適な材料である場合に、層108が堆積される方法の本質的な性質のために、平坦性が実現される。平坦化を制御して、(図1に示されるように)層102の上に、所望の、典型的には非常に低い薄さの層を残すこと、または層102の上面のレベルより上方のすべての材料を除去すること(図示せず)ができる。層108が層102の上に残される場合、その目標の厚さは、10nmから数百nmの範囲にある。平坦化プロセス(たとえば、CMP)の典型的な(当技術分野で一般的な)ヘテロジニアス性に起因して、実際の厚さは、ウェハにわたって、目標の厚さから±100nmを超えて変わる場合がある。いくつかの実施形態では、スピンオン材料が使用されて平坦化を行い、次いで、エッチバックして、典型的なCMPプロセスと比較して改善した全ウェハ均一性がもたらされる。
【0023】
層101は、対応する上面(108、102)の全体または部分の上に結合される。層101は、本開示の請求項中で第1の要素と呼ばれる、能動導波路構造物のコアを備える。
【0024】
結合は、当技術分野で知られているように、直接の分子結合であってよく、または、たとえば金属層もしくはポリマフィルムなどといった結合を容易にする追加材料を使用することができる。層101が一般的に能動領域と呼ばれるものを形成し、層101自体は、限定しないが、GaAsおよびGaAsベースの三元および四元物質、InPおよびInPベースの三元および四元物質、または直接光放出を実現するのに好適な任意の他の材料を含む1つまたは複数の材料から構成することができる。いくつかの実施形態の層101は、多層化され、能動デバイスについて当技術分野で知られているように、光学的閉込めと電気的閉込めの両方ならびに電気的接触を一緒に実現するサブレイヤを備える。さらに別の実施形態では、層101は、電気的閉込めおよび/または光学的閉込めならびに1つもしくは複数の電気的接触を実現するために、より低い層102、108、104および/または105を使用する。いくつかの実施形態中の層101のサブレイヤが垂直閉込め(図1中の上下)を実現する一方で、(図1の切片に垂直な面の)横方向閉込めは、能動デバイス製造の分野で知られているような少なくとも1つのエッチングによって実現される。
【0025】
いくつかの実施形態では、層101は、発光を行い増幅するため、効率的に電気的ポンピングをすることができる。本発明は、層101および層102中に形成される導波路間の効果的な光結合を可能にする。層102の材料によって、広帯域の透明度、高強度の取扱い、温度による相偏移、歪みもしくは他の調整機構、組合せ、分割、フィルタ処理、および/または、当技術分野で知られている他のものなどのさらなる機能性を実現することができる。いくつかの実施形態では、層102の特性のうちの1つは、周波数変換のために利用することができる、十分な大きさの非線形性である。その非線形性は、層102が形成される材料の固有の特性であってよいが、そのうちの1つが図1に示される電極109を実装すると拡張することができる。図3図6を用いてより詳細に説明されるように、少なくとも2つのそのような電極が一般的に利用される。電極は、性能をさらに最適化するため、たとえば熱的調整などといった、位相調整要素を実現するために使用することもできる。いくつかの実施形態では、電極は、位相または強度の変調を実現するために使用することもできる。いくつかの実施形態では、非線形性は、効率的に第二高調波発生を実現する。他の実施形態では、非線形性は、効率的に第三高調波発生を実現する。さらに他の実施形態では、限定しないが、4つの波の混合、光パラメトリック発振、ラマンおよび/またはブリルアン効果を含む異なる周波数変換方式が利用される。
【0026】
効率的な結合が層103によって容易にされ、層106が存在する場合には層106によって容易にされる。層103は、本開示の請求項中では中間要素と呼ばれる、中間導波路構造物のコアである。
【0027】
任意選択の層106は、層101と層103との間の界面において、反射防止コーティングまたは高反射性コーティングのいずれかとして主に働く。層103は、中間導波路層として働き、中間導波路層は、いくつかの実施形態では、そのため層101がコアを実現する導波路によってサポートされる光モードの形状(線150によって描かれる)を受け入れ、層101が、モード形状151として効率的に形状を捕捉し、それをモード形状152、最終的に153に徐々に伝達する。モード形状153は、層102がコアを実現する導波路に効率的に結合される。モード形状153は、次いで、層102中の非線形性を使用して、異なる周波数で動作するモード154に効率的に周波数変換される。いくつかの実施形態では、モード154の周波数は、モード153の周波数のほぼ2倍である。他の実施形態では、モード154の周波数は、モード153の周波数のほぼ3倍である。さらに他の実施形態では、モード153とモード154の周波数の間の異なる関係が生成される。
【0028】
層103の屈折率は、モード形状150の効率的な結合を容易にして、層102および/または103に作られるテーパ構造物を利用することによって、モードをモード形状153を有するものに効率的に変形するように設計することができる。いくつかの実施形態では、層103の屈折率は、1.5と2の間である。層103の厚さは、最適化パラメータであって、いくつかの実施形態では、厚さは、400nmと2000nmの間である。本発明以前、すなわち中間層103がない場合、テーパ端幅についての要件は、上記で議論したように、問題であった。しかし、中間層103を使用することによって、テーパ端幅への厳しい要件が著しく低減され、非常に大きい屈折率材料(層101中のたとえばGaAs)と小さい屈折率材料(層102中のたとえばSiN)との間の効率的な伝達が可能になる。
【0029】
層101および102それぞれの中の導波路によってサポートされる光モード間の差異は、モード形状の観察によって明らかであっても明らかでなくともよいが、100%未満のモードの重ね合わせおよびモード150と153の間の垂直オフセット(図1)が(中間層103がない場合)著しい光損失をもたらす場合がある。いくつかの場合で、1dBまでの損失は許容できるが、それ以上の損失は許容できないと考えることができる。他の場合では、3dBの損失レベルが選択された基準であってよい。層103の機能は、不完全なモードの重ね合わせに起因する光損失を、所与の用途における許容可能レベルであると決定されるものより下に保つことである。
【0030】
103および/または102中に具体化される導波路用の上クラッド層107は周囲の空気であってよく(クラッド材料が実際には堆積されないことを意味する)、または、限定しないがポリマ、SiO2、SiN、SiONなどを含む、図1に示されるような任意の他の意図的に堆積した好適な材料であってよい。いくつかの実施形態では、層107と層108のために同じ材料が使用される。(図示しない)いくつかの実施形態では、層107のクラッド機能性は複数の堆積で実現することができる。たとえば、1つの材料が、層102中に形成されるコアによって導かれるモード153用のクラッドを実現し、別の材料が、層103中に形成されるコアによって導かれるモード151用のクラッドを実現する。すべての場合に、クラッド材料の屈折率は、モードを導くためのコアを実現する材料の屈折率より低い。さらに別の実施形態では(図示しない)、層103は、設計によって、その屈折率がより低いことにより、層102およびモード153および154に対してクラッド機能性を実現することができる。
【0031】
層109は、層102の少なくとも一部分にわたって電場を実現し、図3図6を用いてより詳細に記載されるように、その非線形効果を容易にする、またはより効率的にするため堆積された導電材料である。いくつかの実施形態では、層109が存在せず、材料102は、印可される電場の必要なしに、効率的な非線形効果を本質的に実現する。他の実施形態では、追加の導電電極が堆積されて調整機能を実現し、非線形効果を最適化する(ここでは図示せず、しかし図6を用いて記載される)。
【0032】
様々な処理ステップ期間中に形成される層間の正確な位置合わせを容易にするために、1つまたは複数のリソグラフィ用位置合わせマーク(この断面図には図示されないが、たとえば、図2中の240および以下の記載を参照のこと)が存在する。
【0033】
いくつかの実施形態では、層108が存在せず、層101の両方が結合され、層103が、非平坦層102の上に堆積される。そのような実施形態では、平坦化ステップがない。
【0034】
図2は、移行区域の中へと拡大した、本発明の1つの実施形態による統合フォトニックデバイス200の上面図を描いており、ここでは、透過率および背面反射の両方を制御するため、異種材料間の境界が角度を持っている。(明示的に異なって規定されない限り)機能層201から207は、図1に関して記載されたような機能層101から107に対応する。
【0035】
(少なくとも1つの横方向エッチングによって規定され、図示されない)能動層201によってサポートされる光モード250は、存在する場合には任意選択のコーティング層206を通して、層203の中へと導かれる。層203は、光モード252をサポートし、モード253をサポートする層202への効率的な結合のためにモードを変換する働きをする。層206は、高い反射機能を実現することができる、または代わりに、反射防止コーティングとして機能するように設計されると、低い反射を容易にすることができる。層201および202によってサポートされるモード間の結合を容易にするため、図の最も左に示される層202の幅と比較して端部211の比較的狭い幅によって示されるように、層202の寸法は、層201に向かって先細にされる。テーパ寸法についての要件は、層203が存在することに起因して、最高で数百ナノメートルまで著しく緩和されることが計算されている。たとえば、100ナノメートルより大きい端幅について、201と202の間の屈折率の差異が1より大きい場合でさえ、201と202の間の70%以上の結合効率を達成することができる。対照的に、層203がない場合、層201は、そのモードが層202の中へと直接結合できるように、先細にされなければならず、層201のテーパ端(図示せず)の寸法は、同様の結合効率のために100ナノメートルよりはるかに小さくなければならない。別の実施形態では、テーパは、層202中の代わりに層203中に作成される(図示せず)。さらに別の実施形態では、テーパは、高度に効率的な結合のため、層202と203の両方の中で作成される。いくつかの実施形態では、層202および203中の前記テーパは、より効率的な結合を容易にするため、1つより多いエッチング深さを利用することを意味する多段テーパであってよい。
【0036】
加えて、いくつかの実施形態では、層201、206および/または203間の界面のうちの1つまたは複数が、対応する背面反射を減らすために角度を持っている。
【0037】
角度220は、構造物201の内側の波の伝播の方向の接線と、201の出射面(層206が存在しない場合、206および/または203が合致するその界面)との間の角度である。角度220は、主に、層201によってサポートされるモードの背面反射が、206および/または203が合致する界面に到達するときに、その背面反射を制御するように利用され、その正確な値は、数値的または実験的な最適化の結果である。いくつかの実施形態では、角度は、0°~80°の範囲である。
【0038】
角度230は、構造物201の内側の波の伝播の方向と、203によって形成される導波路の角度との間の角度である。前記角度は、層201および203によってサポートされるモード間の結合効率のための最適化パラメータであり、角度220ならびに/または層201および203ならびにそれらそれぞれのクラッド中の使用される材料の屈折率の選択に関係する。いくつかの実施形態では、角度は、0°~80°の範囲である。
【0039】
206および/または201に対する界面における、構造物201の内側の波の伝播の方向によって規定される軸と、導波路203の中心との間の正確な垂直位置合わせ(図2における上下)が最適化パラメータであって、そのようなオフセットは、正(図2中の上)、負(図2中の下)、および/または0に実質的に等しい(オフセットなし)であってよい。そのような最適化は、角度230を最適化することとともに、変化の性能を最大化するため、数値ソフトウェアで実施するのが簡単である。
【0040】
本発明以前、すなわち中間層103/203がない場合、層101/201と層102/202の間の直接伝達のためのテーパ端幅についての要件は、問題があった。しかし、いくつかの実施形態では角度のある界面ではあるが、層101/201に突き合わせ結合される中間層103/203を使用することによって、テーパ端幅への厳しい要件が著しく低減され、非常に大きい屈折率材料(101/201中のたとえばGaAsおよび/またはInPベースの層など)と小さい屈折率材料(層102/202中のたとえばSiN、LiNbO3、または同様のものなど)との間の効率的な伝達が可能になる。層203は、誘電体、ポリマ、および/または任意の他の好適な材料を含むことができる。突き合わせ結合される界面では、要素101/201および103/203にサポートされる光モードの間に断熱変換は生じない。層103/203および/または層102/202は、導かれる光波の経路指定を制御するために曲げ(図示せず)を含むことができる。様々な処理ステップ期間中に形成される層間の正確な位置合わせを容易にするために、1つまたは複数のリソグラフィ用位置合わせマーク240が存在する。
【0041】
図3は、非線形相互作用が最適化される領域における、端面断面図300、330、および360中に示される本発明の3つの実施形態を描く。
【0042】
前記非線形性は、層302が形成される材料の固有の特性であってよく、効率を最大化するため、層302の幾何学的寸法を設計することに最適化が関係する場合がある。非線形性は、やはりまたは代わりに、電場を印可してより強い非線形性を誘起させるため電極309aおよび309bを設けることによって設計することができる。いくつかの実施形態(図示せず)では、電極309aおよび309bが存在せず、層302の本質的な材料特性が効率的な非線形効果を実現する。
【0043】
図1を用いて記載されるように、そこに形成される受動導波路についてコア機能を実現する層302は、たとえば層104、107、および108といった複数のサブレイヤを備えることができるクラッド材料307によって囲まれる。いくつかの実施形態では、クラッドは基板305の上に存在する。図示しない他の実施形態では、基板305は、層302の中に形成される導波路についてのクラッドの少なくとも一部分として働くことができる。
【0044】
図300に示される実施形態では、電圧が電極の両端間に印加されるときに電場を発生させるために、2つの電極が導波路の幅の両端間に横方向に配置される。図330に示される実施形態では、電圧が電極の両端間に印加されるときに電場を発生させるために、2つの電極が導波路の深さの両端間に縦方向に配置される。いくつかの実施形態では、基板305は、導電性であって、導波路302における電場の強度を向上させるように働く。図360に示される実施形態では、図330中の状況と同様に、電圧が電極の両端間に印加されるときに電場を発生させるために、2つの電極が縦方向に配置されるが、図360では、両方の電極はウェハの同じ側に(示されるように上部に)位置決めされる接点を有する。
【0045】
同様の機能性を実現する様々な他の実施形態は、層102中の導電率の利用を含む、層102中に規定される受動導波路のコアの両端間に最適化した電場を印可するという目的をもって想定することができる。
【0046】
図4は、非線形相互作用が最適化される領域における、上面図400および450中に示される本発明の2つの実施形態を描く。これらの実施形態では、非線形性を向上させること、および、擬似位相整合を実現することの両方のために、周期的な電極が使用される。周期的な電極のピッチは、当業者には知られているように、基本周波数および変換後周波数において擬似位相整合および/または(共振器の場合に)共振条件にしたがい、周波数変換を最適化するべきである。
【0047】
図400に示される実施形態では、2つの電極グループが利用される。白で示される電極409aの1つのグループがアノードを実現し、黒で示される別のグループ、409bがカソードを実現する。グループは、一方のタイプの電極が導波路402の一方の側、たとえば示されるようにその上にあり、黒で示される他方のタイプが反対側に(示されるようにその下に)あるように位置決めされる。
【0048】
図450に示される実施形態では、やはり2つの電極グループが利用されるが、異なる配置である。電極のグループ409aがアノードを実現し、他のグループ409bがカソードを実現するが、2つのグループは、相互嵌合する周期的な構成で位置決めされる。示される実施形態では、相互嵌合は、導波路402の両側(上部および底部)に存在するが、他の場合には、相互嵌合が片側だけにあってよい。各グループの電極間のピッチは、周波数変換が最適化されるようにまた選択される。
【0049】
図5は、非線形相互作用が最適化される領域における、上面図500および550中に示される本発明の2つの実施形態を描く。これらの実施形態では、下で記載されるように、光ポンプ信号と周波数変換信号の間の相互作用長が増加し、より効率的な非線形周波数生成がもたらされる。
【0050】
図500に示される実施形態では、典型的にはらせん形にレイアウトされる、より長い導波路構造物502を設計することによって、相互作用長が増加される。周波数変換用に最適化した領域中の導波路構造物は、図3および図4に示される電極構成のいずれかを使用して実装することができる。いくつかの実施形態では、導波路の交差を回避するべきであって、図500に描かれるような2重らせんが利用される。光ポンプ信号(λ)が導波路構造物502に入力ポート505で入り、光ポンプ信号(λ)が導波路構造物502に沿って伝播すると、導波路材料の非線形性を利用して、周波数変換信号(λNL)が生成され、ポンプ信号と同じ方向に伝播する。ポンプ信号と周波数変換信号の両方が出力506に存在し、それらの正確なパワー比率は、非線形プロセスの効率によって規定される。他の実施形態(図示せず)では、構造物の密度(合計長対合計面積)を増加させるために、交差を使用する場合がある。さらに他の実施形態では、製造に最も好適な他の幾何形状が設計される。
【0051】
図550に示される実施形態では、たとえばリング共振器、レーストラック共振器、または同様のものなどといった共振構造物を使用して、共振器の実効キャビティ長および/または共振器の内側のパワーの蓄積を使用するポンプ信号と周波数変換信号の間の相互作用を増加させる。変換効率という観点での性能の最適化を目的として、たとえば、(図550に示されるような)アドドロップ共振器570、全通過共振器(図示せず)、単一リングを有する複数の(2つ以上の)結合領域、および/または、(1つまたは複数の結合点を有する)複数リング設計などといった、様々な共振器構造を利用することができる。周波数変換用に最適化した領域中の共振器570の導波路構造物は、図3および図4に示される電極構成のいずれかを使用して実装することができる。光ポンプ信号(λ)が導波路構造物552に入力ポート555で入り、光ポンプ信号(λ)が導波路構造物552に沿って伝播すると、共振器570に少なくとも部分的に結合される。正確な結合強度は、デバイス効率についての最適化パラメータであって、非結合部分が出力556で構造物を離れる。共振器の内側の非線形性およびパワーの蓄積を利用して、共振器570の内側に周波数変換信号(λNL)が生成され、結合した光ポンプと同じ方向に伝播する。周波数変換信号は、バス導波路553へと効率的に結合し、出力ポート557で構造物を離れる。ポンプ信号の一部がやはり出力ポート557に存在する場合があるが、出力ポート557は、主に、周波数変換信号のための出力として働き、その目的用に最適化される。同様に、出力ポート556が周波数変換信号の部分をやはり有する場合があるが、出力ポート556は、主に、任意の残りの非変換ポンプ信号のための出力として働き、その目的用に最適化される。最適化は、一般的に、共振器の波長感度結合比率を調整することによって行われる。
【0052】
図4に示される2つの周期的な電極パターンの場合のいずれかを利用して、図5の相互作用長を増やした設計の非線形効果を最適化することができるが、図550には、1つだけが明示的に示される。短い点線の矢印が(非線形素子と統合された直接放出レーザによって規定される)光ポンプ(λ)の方向を示し、長い点線の矢印が周波数変換信号(λNL)の方向を示す。当業者には知られているように、共振器手法の場合には、結合構造の最適化によってより高い効率を容易にすることができる。
【0053】
図6は、非線形相互作用が最適化される領域における、上面図600、630および660中に示される本発明の3つの実施形態を描く。これらの実施形態では、受動導波路中の非線形効果は、調整要素を使用して最適化され、位相整合条件が改善されると、より効率的な非線形周波数生成がもたらされる。
【0054】
図600では、(たとえば図3および層302を用いて記載されるように)層602中で実現される最適化した導波路を有するデバイスおよび少なくとも1つの調整要素610が示され、調整要素610は、位相整合制御を可能にする。そのようなデバイスは、図3図5を用いて記載されるように、追加の電極(図示せず)を含むことができる。
【0055】
図630では、(図500に示されるものと同様に)層632中で実現される最適化した導波路を有するらせん状幾何形状を有するデバイスおよび少なくとも1つの調整要素640が示され、調整要素640は、位相整合制御を可能にする。そのようなデバイスは、図3図5を用いて記載されるように、追加の電極(図示せず)を含むことができる。
【0056】
図660では、(図550に示されるものと同様に)層662中で実現される最適化した導波路を有する共振構造を有するデバイスおよび少なくとも1つの調整要素670が示され、調整要素670は、位相整合制御を可能にする。そのようなデバイスは、図3図5を用いて記載されるように、追加の電極(図示せず)を含むことができる。
【0057】
フォトニックベースの調整器を設計する技術分野で知られているように、すべての場合で、調整器は、よりよい効率または他の所望の特性を実現するために、レイアウト、長さ、および/または配置の点で最適化することができる。いくつかの実施形態では、熱調整効果が利用される。
【0058】
図7中の図700および図750は、本発明を利用するフォトニック集積回路(PIC)ベースのレーザの2つの実施形態を描く。両方の実施形態で、独立型レーザが共振器ベースの非線形素子に結合される。独立型レーザの定義は、何ら追加の要素なしでレーザとして動作するレーザであって、レーザキャビティを形成する1つまたは複数の利得要素およびミラーを備えることを意味し、いくつかの実施形態では、前記ミラーは、単一周波数レーザを作るため単一縦モードを選択するように働くこともできる。他の実施形態では、単一周波数(DFB)レーザを実現するために、利得要素中に格子が形成される。さらに別の実施形態では、前記ミラーは調整可能であって、広範囲に調整可能なレーザが作られる。
【0059】
図700は、非線形周波数変換を実現にする非線形共振器構造に結合される独立型レーザを利用する実施形態を示す。完全に結合した場合には、図で示される方位で、共振器の右に出力されるパワーはないが、ほとんどの場合では、共振器に入射するパワーのうちのごく一部は、消光比が無限大ではないために、右に伝送される。共振器に結合された信号が周波数変換され、共振器の第2の結合ポートで外へと結合される(示されるように右下に出力される)。同様の機能性を、共振器へのただ1つの結合ポート(図示せず)で、または共振器への3つ以上の結合点(図示せず)で実現することができる。位相調整器は、PICのより高い性能を容易にするために含む場合がある任意選択の要素である。
【0060】
図750では、全体の配置構成は図700中のものと同様であるが、この場合には、意図的な欠陥または一般的な製造上の不完全性のいずれかに起因して、共振器からのポンプ波長の後方散乱が存在し、いずれの場合にも、共振器にレーザの注入ロックがもたらされる。そのような注入ロックは、共振器の品質因子が十分に高いと仮定して、レーザの線幅を改善することが示されている。現代の半導体処理によってサポートされる高Q共振器を用いて、数桁またはさらに大きい線幅の改善が呈示されている。一般的な動作は、図700で示されるデバイスと同様であって、デバイスは、一般的により狭い線幅を有して図750で示される。位相調整器は、PICのより高い性能を容易にするために含む場合がある任意選択の要素である。
【0061】
図8中の図800図830、および図860は、本発明を利用するフォトニック集積回路(PIC)ベースのレーザの3つの実施形態を描く。すべてのこれらの実施形態において、図7で示された実施形態とは対照的に、非線形素子はレーザキャビティの一部である。位相調整器は、すべての実施形態において、PICのより高い性能を容易にすることができる任意選択の要素である。
【0062】
図800では、共振器中の意図的な欠陥または一般的な製造上の不完全性に起因して、非線形共振器がミラーのうちの1つとして利用され、利得要素への背面反射がもたらされる。キャビティを完成させるために必要な第2のミラーは、格子、ループミラー、リング共振器、および/または、それらの様々な組合せを含む複数の方法で実現することができる。
【0063】
図830では、2つの別個のミラーが使用されて、利得と一緒にキャビティを形成する。両方のミラーは、たとえば、光ポンプ(λ)用の高反射率および周波数変換信号(λNL)用の低反射率といった、光応答を実現するように設計することができる。この方法では、周波数変換信号の効率を引き出すのと同時に、レーザしきい値を最適化することができる。非線形素子が2つのミラーの間に挿入され、効率的な周波数変換を実現する。これらのミラーは、PICベースのレーザの波長調整を実現するために、調整可能であってよい。
【0064】
図860では、図830に示されたデバイス中のものと同様の配置構成が利用されるが、広帯域調整および/またはより高い変換効率をサポートするために、複数の非線形共振器素子が利用される。
【0065】
これらの例示の実施形態は、本発明を利用するPICベースのレーザのほんのいくつかの例を教示しており、多くの他の同様の配置構成を想定することができることを理解されたい。さらに、そのようなPICベースのレーザを複数の他の構成要素と組み合わせて、様々なフィルタ処理要素、増幅器、モニタフォトダイオード、変調器、および/または、他のフォトニック構成要素などといったさらなる機能性またはより良好な性能を実現することができる。
【0066】
本発明の実施形態は、多くの利点を提供する。統合プラットフォームによって、周波数変換のために非線形性を使用することにより、自然の直接放出レーザにとって困難である波長で動作するための、より高い性能および/または能力を実現する複数の材料から作られるPICの拡張可能な製造が可能になる。さらに、プラットフォームは、典型的なSi導波路ベースまたはInP導波路ベースのPICと比較して大きい光パワーを取り扱うことが可能である。
【0067】
以前の手法は、III/V半導体能動デバイス(101)から受動デバイス(102)に光モードを伝達するためにテーパ構造物が一般的に使用されてきた。ここでは、化合物半導体領域の幅は、サブミクロンサイズに断熱的に先細にされる。しかし、屈折率の差異が拡大すると、必要なテーパ端の幅は、急激に数十ナノメートルサイズに減少する。本発明は、突き合わせ結合方式を展開し、化合物半導体導波路(図1中の101)中の非常に小さいテーパサイズの必要性をなくす。このことによって、そのような構造物の製造が容易になる。
【0068】
他の手法は、予め製造した光能動デバイスの受動導波路へのダイ取付けに依拠している。これは、典型的なダイボンディング機が実現できるもの典型的には超えている、非常に厳しい位置合わせ精度を必要とする。この態様は、このプロセスのスループットならびに光結合の性能を制限する。
【0069】
本発明は、典型的には、(図1を用いて記載されるような)誘電体導波路を有するキャリアウェハ上の化合物半導体材料の全体的な部片のウェハ結合、およびその後の、当技術分野で知られているような半導体製造プロセスからなるプロセスフローを利用する。そのことによって、典型的なフォトリソグラフィステップを介した能動導波路と受動導波路の間の光学的位置合わせを正確に規定することが可能になり、正確な物理的位置合わせの必要がなくなる。前記フォトリソグラフィベースの位置合わせによって、ウェハ規模の技法を使用した拡張可能な製造が可能になる。
【0070】
異種の材料間の効率的な光伝達が、モード変換器(中間導波路)と組み合わせた突き合わせ結合手法を使用することによって容易になり、現行の従来技術の工具を用いて解決し製造するのが難しい狭いテーパ端の必要をなくす。
【0071】
能動層と受動層中のモード間の光結合が相互の関係であり、したがって、図1を例に取ると、構造物は、領域101から領域102への光の伝達を容易にするが、領域102から領域101に逆の方向への伝達も容易にするように構成できることを理解されたい。それらの数または向きに制限がない複数のそのような変化を、好適に構成したPIC上で実現できることを理解されたい。
【0072】
いくつかの実施形態では、能動デバイスは、その間に誘電体がない基板への直接接触に起因して、より効率的な熱シンクのために基板を利用することができる。
【0073】
いくつかの実施形態では、能動デバイスは、たとえば分布帰還型(DFB)レーザまたは同様の構成要素のため、たとえば、レーザキャビティの内部に形成される波長選択可能な構成要素を作成するために使用することができる、誘電体層を有するハイブリッド導波路構造物を生み出す。
【0074】
本明細書に記載される光デバイスの実施形態は、限定しないが、様々な計算用および/または家庭用電子デバイス/機器、通信システム、センサ、および検知システムを含む、様々な他のデバイスおよびシステムの中に組み込むことができる。
【0075】
本開示は例示的な実施形態のほんの少しの例を教示しており、本開示を読めば当業者が本発明の多くの変形形態を容易に考案できること、本発明の範囲は、以下の請求項によって規定されるべきであることを理解されたい。
【符号の説明】
【0076】
100 統合フォトニックデバイス
101 層、機能層、領域
102 材料、層、機能層、領域、III/V半導体能動デバイス
103 層、中間層、機能層
104 第2の材料の層、層、機能層
105 基板、層、機能層
106 層、機能層
107 層、機能層
108 層
109 電極、層
150 線、モード形状、モード
151 モード形状、モード
152 モード形状、モード
153 モード形状、モード
201 構造物、機能層
202 層、機能層
203 層、機能層、導波路、中間層
204 機能層
205 機能層
206 機能層、コーティング層
207 機能層
211 端部
220 角度
230 角度
250 光学モード
252 光モード
253 モード
302 層、導波路
305 基板
307 クラッド材料
309a 電極
309b 電極
402 導波路
409a 電極
409b 電極
502 導波路構造物
503 層
505 入力ポート
506 出力
552 導波路構造物
553 バス導波路
555 入力ポート
556 出力、出力ポート
557 出力ポート
570 アドドロップ共振器
602 層
610 調整要素
632 層
640 調整要素
662 層
670 調整要素
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8