(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-15
(45)【発行日】2024-02-26
(54)【発明の名称】フラップデスク
(51)【国際特許分類】
A47B 3/00 20060101AFI20240216BHJP
A47B 83/04 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
A47B3/00 Z
A47B83/04
(21)【出願番号】P 2022136230
(22)【出願日】2022-08-29
【審査請求日】2022-09-05
(73)【特許権者】
【識別番号】500560129
【氏名又は名称】株式会社ニトリホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100130719
【氏名又は名称】村越 卓
(72)【発明者】
【氏名】福田 尚志
【審査官】家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】実開昭56-174546(JP,U)
【文献】実開昭50-066901(JP,U)
【文献】登録実用新案第3205550(JP,U)
【文献】特許第6966819(JP,B1)
【文献】特開平07-313271(JP,A)
【文献】特許第7064032(JP,B1)
【文献】登録実用新案第3094557(JP,U)
【文献】実開昭63-159533(JP,U)
【文献】実開平06-064532(JP,U)
【文献】特開2017-196261(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 1/00-41/06
63/00-65/00
77/00-87/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
デスク板と、
前記デスク板を、所定の起立角度からなる折畳回転位置とほぼ水平角度からなる展開回転位置との間において一端縁近傍で垂直回動可能に支持する回転支持部と、
前記展開回転位置をとる前記デスク板の回転中心よりも回転先端とは反対側に位置する余長部の上面に当接する補助支持部と、
水平方向に延在する収納水平部材と、高さ方向に延在する収納起立部材と、を具備する収納部であって、前記収納水平部材及び前記収納起立部材により区画される収納スペースを有する収納部と、
を備え
、
前記収納起立部材は、前記折畳回転位置に向かう前記デスク板の回動を制限し、
前記補助支持部は前記収納部に形成される、フラップデスク。
【請求項2】
前記補助支持部は、前記収納部に取り付けられ、前記収納部から下方への突出量が調整可能に設けられている、請求項1に記載のフラップデスク。
【請求項3】
前記デスク板は、前記展開回転位置において上方に露出する天面を有し、
前記回転支持部は、前記デスク板のうちの前記天面以外の部分に接触するトルクヒンジを有する、請求項1又は2に記載のフラップデスク。
【請求項4】
格納スペースを有し、前記回転支持部を介して前記デスク板を回動可能に支持する躯体部と、
前記躯体部に開閉可能に取り付けられる扉部と、を備え、
前記折畳回転位置に位置づけられる前記デスク板は、前記格納スペースに配置され、
前記扉部は、前記デスク板が前記格納スペースに配置されている状態で閉位置に配置されて、前記格納スペースを覆い、
前記デスク板は、前記扉部が開位置に配置されて前記格納スペースを覆わない状態で、前記展開回転位置に位置づけられる、請求項1又は2に記載のフラップデスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、回動可能なデスク板を備えるフラップデスクに関する。
【背景技術】
【0002】
限られたスペースを有効活用することが求められる住居環境下において、大型の机の設置が難しいことは少なくない。その一方で、作業効率の観点から、十分な大きさの作業スペースを確保可能な机のニーズは高い。特に最近では、テレワークやオンライン授業がより一般的に行われるようになったことで、一般家庭での机の需要が著しく高まっており、今後もそのような机の需要の高まりは続くことが予想される。
【0003】
このような状況下で、折り畳み式のデスク板を具備するフラップデスクは、十分な大きさの作業スペースを確保しつつ、住居スペースを有効活用するのに有利である。
【0004】
フラップデスクの一例として、特許文献1は、回動可能に設けられるライティング甲板(デスク板)を備えるライティングデスクを開示する。このライティング甲板は、蝶番を介して棚板に取り付けられるとともに、ステーを介してデスク筺体の内壁面に取り付けられ、蝶番及びステー(ひいては棚板及びデスク筺体)によって支えられつつ回動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
フラップデスクは、上述のように作業スペースの確保及び省スペース設置を両立させるのに有効な形態であるが、デスク上の作業スペースが必ずしも十分には有効活用されておらず、またデスク構造(とりわけデスク板の回動支持構造)が複雑なことが多い。
【0007】
例えば特許文献1のライティングデスクでは、ライティング甲板が、ライティング甲板の天面(すなわち作業面)に取り付けられるステーによって支持されつつ、回動する。そのため実質的な作業スペースがステーの存在によって制限される。また複数の可動部材が組み合わされて構成されるステーは、長期にわたる使用で故障が生じやすくもなる。
【0008】
本開示は上述の事情に鑑みてなされたものであり、機能的なフラップデスクを簡素な構成で実現するのに有利な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一態様は、デスク板と、デスク板を、所定の起立角度からなる折畳回転位置とほぼ水平角度からなる展開回転位置との間において一端縁近傍で垂直回動可能に支持する回転支持部と、展開回転位置をとるデスク板の回転中心よりも回転先端とは反対側に位置する余長部の上面に当接する補助支持部と、を備えるフラップデスクに関する。
【0010】
フラップデスクは、収納スペースを有する収納部を備え、補助支持部は、収納部に取り付けられ、収納部から下方への突出量が調整可能に設けられていてもよい。
【0011】
フラップデスクは、水平方向に延在する収納水平部材と、高さ方向に延在する収納起立部材と、を具備する収納部であって、収納水平部材及び収納起立部材により区画される収納スペースを有する収納部を備え、収納起立部材は、折畳回転位置に向かうデスク板の回動を制限してもよい。
【0012】
デスク板は、展開回転位置において上方に露出する天面を有し、回転支持部は、デスク板のうちの天面以外の部分に接触するトルクヒンジを有してもよい。
【0013】
フラップデスクは、格納スペースを有し、回転支持部を介してデスク板を回動可能に支持する躯体部と、躯体部に開閉可能に取り付けられる扉部と、を備え、折畳回転位置に位置づけられるデスク板は、格納スペースに配置され、扉部は、デスク板が格納スペースに配置されている状態で閉位置に配置されて、格納スペースを覆い、デスク板は、扉部が開位置に配置されて格納スペースを覆わない状態で、展開回転位置に位置づけられてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、機能的なフラップデスクを簡素な構成で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、フラップデスクの一例を示す斜視図であり、部分的に分解された状態を示す。
【
図2】
図2は、
図1に示すフラップデスクのうちデスク板及び収納ストッパーの近傍箇所を拡大して示す側方図である。
【
図3A】
図3Aは、デスク板及び収納ストッパーの斜視図である。
【
図4A】
図4Aは、収納ストッパーを正面側から見た斜視図である。
【
図4B】
図4Bは、収納ストッパーを背面側から見た斜視図である。
【
図5A】
図5Aは、躯体部の背面構造の一例を示す斜視図である。
【
図5B】
図5Bは、
図5Aに示す天パネル及び側方パネルの拡大図であり、バックパネルの図示が省略され、側方パネルの内側面の構造例を示す。
【
図6】
図6は、フラップデスクの一例を示す斜視図であり、デスク板が展開回転位置に配置され、一対の扉部が開位置に配置されている状態を示す。
【
図7】
図7は、フラップデスクの一例を示す斜視図であり、デスク板が折畳回転位置に配置され、一対の扉部が開位置に配置されている状態を示す。
【
図8】
図8は、フラップデスクの一例を示す正面図であり、デスク板が折畳回転位置に配置され、一対の扉部が閉位置に配置されている状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図面を参照して、本開示の実施形態に係るフラップデスクを説明する。
【0017】
図1は、フラップデスク10の一例を示す斜視図であり、部分的に分解された状態を示す。
図2は、
図1に示すフラップデスク10のうちデスク板11及び収納ストッパー13の近傍箇所を拡大して示す側方図である。
図2では、一方の側方パネル23(すなわち図面手前側の側方パネル23)の図示が省略されており、格納スペースT(躯体部20の内側空間)の状態例が示されている。
図3Aは、デスク板11及び収納ストッパー13の斜視図である。
図3Bは、
図3Aに示すデスク板11及びトルクヒンジ12の拡大図である。
図4A及び
図4Bは、収納ストッパー13を正面側及び背面側のそれぞれから見た斜視図である。
図5Aは、躯体部20の背面構造の一例を示す斜視図である。
図5Bは、
図5Aに示す天パネル22及び側方パネル23の拡大図であり、バックパネル21の図示が省略され、側方パネル23の内側面の構造例を示す。
【0018】
以下の説明において、幅方向H1、奥行方向H2及び高さ方向H3は互いに直交し、幅方向H1及び奥行方向H2は水平面に沿って延びる方向であり、高さ方向H3は鉛直面に沿って延びる方向である。
【0019】
図1~
図4Bに示すフラップデスク10は、躯体部20によって回動自在に支持されるデスク板11と、扉開閉ヒンジ43を介して躯体部20に開閉自在に取り付けられる一対の扉部26と、を備える。
【0020】
躯体部20は、高さ方向H3に延在する左右の側方パネル23と、左右の側方パネル23間で幅方向H1に延在する天パネル22及び下枠25と、背面側で高さ方向H3に延在するバックパネル21と、を備える。天パネル22は、ダボ等の接合部品42を介して左右の側方パネル23の上端部に取り付けられる。下枠25は、ダボ等の接合部品42を介して左右の側方パネル23の下端部に取り付けられる。
【0021】
バックパネル21は、左右の側方パネル23及び天パネル22の各々の取付溝部32(
図5B参照)にその端部(左右端部及び上端部)が嵌め込まれた状態で、左右の側方パネル23及び天パネル22によって三方で支持される。本例のバックパネル21は、接着剤(図示省略)とともに各取付溝部32に嵌め込まれることで、躯体部20の全体の剛性の向上に大きく寄与する。一例として、各取付溝部32にバックパネル21の対応の端部が嵌め込まれている状態で各取付溝部32に与えられた接着剤が乾くまで、バックパネル21は、ビス(例えば木ネジ)等の固定具を用いて下枠25に仮固定されてもよい。本例では
図5Aに示すように、バックパネル21の背面に対し、幅方向H1に延在する複数(6つ)の背面桟木28及び高さ方向H3に延在する複数(2つ)の背面桟木28が取り付けられており、これらの背面桟木28によってバックパネル21が支持される。バックパネル21を下枠25に対して仮固定するための固定具30は、背面桟木28及びバックパネル21を完全に貫通するとともに、下枠25を少なくとも部分的に貫通するように、設けられる。
【0022】
図1等に示すように、左右の側方パネル23及び天パネル22は奥行方向H2にも延在する。躯体部20は、左右の側方パネル23、天パネル22及びバックパネル21により囲まれる格納スペースTを有する。ユーザは、格納スペースTにおいて幅方向H1に延在する1又は複数の可動棚44を、左右の側方パネル23のうちの取り付け可能領域に(特に好みに応じた高さ位置に)取り付けたり、左右の側方パネル23から取り外したりすることができる。
【0023】
デスク板11は、一対のトルクヒンジ12(回転支持部)を介して躯体部20(特に左右の側方パネル23)に取り付けられており、展開回転位置P1と折畳回転位置P2との間で回動可能に設けられる。展開回転位置P1に位置づけられるデスク板11は、ほぼ水平角度を成す。折畳回転位置P2に位置づけられるデスク板11は、水平面に対し、所定の起立角度を成す。
【0024】
本例では、デスク板11が展開回転位置P1に位置づけられることで、デスク板11のデスク天面11sは、上方に向けられつつ概ね水平に広がるように配置されて、作業面を構成する。一方、デスク板11が折畳回転位置P2に位置づけられることで、デスク板11の全体が躯体部20の内側空間(格納スペースT)に配置(収容)され、デスク天面11s及びデスク裏面11rの各々は概ね垂直(鉛直)に広がるように配置される。
【0025】
各トルクヒンジ12は、デスク板11を展開回転位置P1と折畳回転位置P2との間で回動可能に支持し、デスク板11を展開回転位置P1と折畳回転位置P2との間の任意の回動位置で停止させるように支持することも可能である。このようにトルクヒンジ12はデスク板11をその一端縁近傍で垂直回動可能に支持し、デスク板11はトルクヒンジ12に支えられつつ回動するため、回動時のデスク板11の速度及び勢いがトルクヒンジ12によって抑えられる。これにより、デスク板11を回動させて展開回転位置P1及び折畳回転位置P2の各々に静かに配置することが可能であり、展開回転位置P1及び折畳回転位置P2においてデスク板11を支えるストッパー(後述のアジャスター15及び収納起立部材13b)に対してデスク板11が勢いよく衝突するのを防げる。
【0026】
本実施形態のトルクヒンジ12は、デスク板11のうちのデスク天面11s以外の部分に接触して固定される。図示のトルクヒンジ12は、一軸式のフリーストップタイプのトルクヒンジであり、天板固定ビス12cを介してデスク裏面11rに取り付けられ、且つ、トルクヒンジ座金12a及び座金固定ビス12bを介して側方パネル23に取り付けられる。
【0027】
このように本実施形態では、各トルクヒンジ12がデスク板11の回転軸(支点)として利用され、デスク板11は、トルクヒンジ12の回動支点Rpを通る水平軸(回転軸Ax(
図3A及び
図3B参照))を中心に回動する。デスク板11のうち回動支点Rpよりも手前側に位置するデスク手前側部分11Aと、回動支点Rpよりも奥側に位置するデスク奥側部分11Bとは、お互いに逆の回動挙動を示す。すなわちデスク板11が展開回転位置P1から折畳回転位置P2に向けて折畳方向D1に回動する際、デスク手前側部分11Aは円弧軌道を描きながら上昇するが、デスク奥側部分11Bは円弧軌道を描きながら下降する。一方、デスク板11が折畳回転位置P2から展開回転位置P1に向けて展開方向D2に回動する際、デスク手前側部分11Aは円弧軌道を描きながら下降するが、デスク奥側部分11Bは円弧軌道を描きながら上昇する。
【0028】
本実施形態のフラップデスク10は、更に、躯体部20に取り付けられる収納ストッパー13を備える。収納ストッパー13は、収納スペースSを有する収納部として働くとともに、折畳回転位置P2におけるデスク板11の回動を制限するストッパー(折畳ストッパー)としても働く。
【0029】
本例の収納ストッパー13は、幅方向H1に延在する収納水平部材13aと、高さ方向H3に延在する収納起立部材13bと、を具備する。収納水平部材13aは、
図5Aに示すようにビス等の固定具30により、バックパネル21及び背面桟木28に対して固定的に取り付けられる。また収納起立部材13bは、
図1に示すようにダボ等の接合部品42を介して左右の側方パネル23に取り付けられる。このようにして躯体部20に取り付けられる収納水平部材13a及び収納起立部材13bは、全体としてT字状の断面を有するように配置される。これにより上方に開口する収納スペースSが、収納ストッパー13、左右の側方パネル23及びバックパネル21によって区画される。
【0030】
収納スペースSは格納スペースTの一部として設けられており、収納スペースSに収容される収納品Cの一部が、格納スペースTの他の空間(特に収納スペースSよりも上方の空間)に配置されてもよい。収納スペースSに収容される収納品Cは収納水平部材13a上に載せられるため、収納水平部材13aは収納品Cから鉛直方向(下向き)に荷重を受ける。本例の収納水平部材13aは、上述のように固定具30を介してバックパネル21及び背面桟木28により支持されるため、収納品Cから比較的大きな荷重を受けても、当該収納品Cを安定的に支持することができる。収納スペースSには任意の収納品Cを収納可能であり、例えばラップトップパソコン、タブレット型端末、電源タップ、ACアダプター、電源ケーブル及び文具等が、収納品Cとして収納スペースSに置かれてもよい。
【0031】
本例では
図4A及び
図4Bに示すように、収納スペースSにつながる貫通穴によって構成される配線孔45が、収納水平部材13aに設けられる。一方、
図3Aに示すように、デスク板11(特にデスク奥側部分11Bの奥側エッジ部分)には、切り欠きによって構成される貫通孔46が設けられる。これらの配線孔45及び貫通孔46は、デスク板11が展開回転位置P1に配置されている状態で、お互いに対面して、収納スペースSに連通する。電源コードなどのコード類を、配線孔45及び貫通孔46を貫通するように配設することで、当該コード類の一端を収納スペースSに位置づけつつ、他端を収納ストッパー13の外側に位置づけることが可能である。
【0032】
図4A及び
図4Bに示すように、配線孔カバー41が、収納水平部材13aの上面上をスライド可能なように設けられている。配線孔カバー41は、ユーザの手によってスライド移動され、配線孔45の全体を覆うカバー位置と、配線孔45の少なくとも一部を覆わない非カバー位置とに配置可能である。
【0033】
収納水平部材13aには、デスク板11を展開回転位置P1に位置決めするための2つ(複数)のアジャスター15(展開ストッパー)が、幅方向H1に離間した位置に取り付けられる(
図2参照)。各アジャスター15は、デスク板11が展開回転位置P1に向かって回動する際に上方へ回動するデスク板11の部分(すなわちデスク奥側部分11B)に対して上方から接触することで、デスク板11全体の回動を制限して、デスク板11を展開回転位置P1に位置決めする。このようにデスク奥側部分11Bは、展開回転位置P1をとるデスク板11の回転中心(
図3A及び
図3Bの回転軸Ax参照)よりも、回転先端(デスク手前側部分11Aの先端)とは反対側に位置する余長部を成す。そして各アジャスター15は、デスク板11が展開回転位置P1に位置している状態で、当該余長部(デスク奥側部分11B)の上面に当接する補助支持部として働く。
【0034】
特に本例の各アジャスター15は、収納水平部材13aから下方への突出量が、手動で微調整可能に設けられている。すなわち各アジャスター15は、収納水平部材13aの係合孔(図示省略)にネジ係合することで収納水平部材13aに取り付けられている。収納水平部材13aに対する各アジャスター15の回転量に応じて、収納水平部材13aからの各アジャスター15の突出量が変わる。
【0035】
例えば各アジャスター15を時計回りに回すことで、各アジャスター15の突出量を増大させ、その結果、展開回転位置P1に位置するデスク板11のデスク奥側部分11Bを下降させ且つデスク手前側部分11Aを上昇させることができる。一方、各アジャスター15を反時計回りに回すことで、各アジャスター15の突出量を低減させ、その結果、展開回転位置P1に位置するデスク板11のデスク奥側部分11Bを上昇させ且つデスク手前側部分11Aを下降させることができる。
【0036】
このように収納水平部材13aに対する各アジャスター15の回転量を調整することで、展開回転位置P1に位置するデスク板11の姿勢を調整することができる。
【0037】
本例の各アジャスター15は、いわゆるローレットねじによって構成される。すなわち各アジャスター15のうち、収納水平部材13aから下方に突出する部分はローレット加工部を含む。このローレット加工部が手で把持されて回転されることで、アジャスター15の全体が回転される。
【0038】
また本例の各アジャスター15は、工具(例えばドライバーや六角レンチ)と係合可能な金具部分を含む。すなわち各アジャスター15のうち、収納水平部材13aに取り付けられた状態で上方に露出する部分が、そのような金具部分を含む。当該金具部分が工具を使って回転されることで、アジャスター15の全体が回転される。
【0039】
このようにアジャスター15の突出量の調整を上方及び下方の双方から行うことが可能であり、便利である。例えばデスク板11が展開回転位置P1に配置されている状態で、ユーザは、工具を使って各アジャスター15を回転させて、デスク板11の展開回転位置P1を調整することができる。またデスク板11が展開回転位置P1に配置されている状態で、ユーザは、ローレット加工部を手で把持しつつ各アジャスター15を回転させて、デスク板11の展開回転位置P1を調整することができる。
【0040】
収納起立部材13bは、デスク板11の折畳方向D1への回動を制限し、デスク板11を折畳回転位置P2に位置決めする。これにより、折畳回転位置P2に向かって移動するデスク板11が、収納スペースSに収容される収納品Cと衝突するのを防ぐことができる。特に、収納スペースSの上方の空間(格納スペースT)へのデスク板11の進入を防ぐことで収納品Cとデスク板11との間の衝突を防ぐ観点からは、折畳回転位置P2に配置されたデスク板11が全体として高さ方向H3と平行に延在するように、収納起立部材13bが折畳回転位置P2に配置されたデスク板11に接触してデスク板11の回動を制限することが好ましい。
【0041】
収納起立部材13bの下面には、衝撃吸収性に優れるフェルト等のクッション材14が取り付けられている。本例の収納ストッパー13はT字状の断面を有するため、収納起立部材13bの下面及びクッション材14は、収納水平部材13aよりも下方に位置する。したがってクッション材14は、デスク板11の展開方向D2への回動を制限するストッパーとしても機能し、デスク板11が展開方向D2へ過剰に回動するのを防ぐ。すなわち各アジャスター15の突出量が非常に小さい場合、デスク奥側部分11Bが、各アジャスター15に接触することなくクッション材14に接触することで、デスク板11の展開方向D2への回動が停止される。
【0042】
図6は、フラップデスク10の一例を示す斜視図であり、デスク板11が展開回転位置P1に配置され、一対の扉部26が開位置P11に配置されている状態を示す。
図7は、フラップデスク10の一例を示す斜視図であり、デスク板11が折畳回転位置P2に配置され、一対の扉部26が開位置P11に配置されている状態を示す。
図8は、フラップデスク10の一例を示す正面図であり、デスク板11が折畳回転位置P2に配置され、一対の扉部26が閉位置P12に配置されている状態を示す。
【0043】
図6に示すように、デスク板11は、扉部26が開位置P11に配置されて格納スペースTを覆わない状態で、展開回転位置P1に位置づけられる。これによりユーザは、椅子70に座った状態で或いは立った状態で、デスク板11を使って作業を行うことができる。
【0044】
一方、
図8に示すように、扉部26は、デスク板11が格納スペースTに配置されている状態で閉位置P12に配置されることで、デスク板11及び格納スペースTを覆う。ユーザは、
図7に示すように扉部26が開位置P11に配置されている状態でデスク板11を回動させて折畳回転位置P2に配置し、その後、
図8に示すように扉部26を閉位置P12に配置することができる。
図8に示す例では、一対の扉部26が閉位置P12に配置されている状態で、各扉部26の切り欠き部を介し、フラップデスク10の外側からデスク板11が見える。
【0045】
なお、躯体部20の内側空間である格納スペースTのうちデスク板11よりも下方の空間に、折り畳まれた状態の椅子70が収容されてもよい(
図6及び
図7参照)。この場合、椅子70の保管スペースをフラップデスク10の外側に確保する必要がなく、またユーザは、フラップデスク10及び椅子70を一体的に取り扱うことができる。特に本例では、下枠25の奥行方向H2の占有範囲が小さいため、下枠25よりも手前側におけるスペース(格納スペースT)を比較的大きく確保でき、当該スペースを椅子70の保管スペースとして好適に活用できる。
【0046】
以上説明したように本実施形態によれば、デスク板11が展開回転位置P1に向かって回動する際に上方へ移動するデスク奥側部分11Bに対し、各アジャスター15が上方から接触することで、デスク板11が展開回転位置P1に位置決めされる。これにより各アジャスター15は、デスク板11の展開方向D2に関するデスク板11の角度範囲を制限し、デスク板11が過剰に回転するのを防ぐ。また各アジャスター15は、デスク板11を展開回転位置P1に位置決めしつつ、デスク手前側部分11Aにおいて下向きの荷重を受けた場合に、デスク奥側部分11Bを介してそのような荷重を負担する。したがって各アジャスター15は、展開回転位置P1に配置されるデスク板11に対して過剰回転防止機能を発揮するとともに、荷重負担機能を発揮する。このように本実施形態によれば、折り畳み式の機能的なフラップデスク10を簡素な構成で実現することができ、ダウンステーやドロップ蝶番などの部品が不要である。
【0047】
その結果、部品点数の増大を抑えつつ、耐久性(耐荷重性、強度安定性、及び対故障性を含む)に優れたフラップデスク10を提供することができ、部品コスト、組み立て性、外観(デザイン性)、及び作業スペースの確保の点でも有利である。
【0048】
特に、本実施形態では、デスク板11の支持のためのトルクヒンジ12が、デスク板11のデスク天面11s以外の箇所(具体的にはデスク裏面11r)に取り付けられる。そのため、利用者が実質的に利用可能なデスク天面11sの有効範囲及び当該有効範囲の上方空間(作業スペース)が、トルクヒンジ12によって狭められない。
【0049】
またユーザがアジャスター15を使って、デスク板11の展開回転位置P1を調整することができる。これにより、フラップデスク10の経年変化等によってデスク板11の展開回転位置P1が本来の位置から変わっても、ユーザはアジャスター15を使ってデスク板11の展開回転位置P1を適正な位置に調整できる。
【0050】
また本実施形態によれば、デスク板11が折畳回転位置P2に配置され且つ扉部26が閉じられることで、フラップデスク10の占有スペース(特に奥行方向H2に関する占有範囲)を抑えることができる。これにより、例えば部屋の壁面に沿うスペースをフラップデスク10の設置スペースとして有効活用することが可能であり、室内の美観を損なわないように室内に調和した形態でフラップデスク10を設置することが可能である。特に、躯体部20の内側の収納スペースS及び格納スペースTに収納品Cを収納した状態で扉部26を閉じることができるため(
図8参照)、本実施形態のフラップデスク10は収納品Cを保管する家具としても使用可能である。
【0051】
このように本実施形態のフラップデスク10は、作業スペースの確保及び省スペース設置を両立させるのに有効である。
【0052】
[変形例]
上述の実施形態ではトルクヒンジ12(回転支持部)がデスク板11のデスク裏面11rに取り付けられているが、トルクヒンジ12が取り付けられるデスク板11の箇所は限定されない。例えばデスク板11の側面(デスク天面11sとデスク裏面11rとの間で延在する面)に、トルクヒンジ12が取り付けられてもよい。
【0053】
また上述の実施形態では収納ストッパー13がT字状の断面を有するが、収納ストッパー13の設置形態は限定されない。収納水平部材13a及び収納起立部材13bは、例えば全体としてL字状の断面を有するように、配置されてもよい。
【0054】
また
図6に示すように、各側方パネル23を貫通する引込孔47と、当該引込孔47に少なくとも一部が挿入される引込カバー48と、が設けられてもよい。引込孔47は、例えば電源コードを通すための穴として活用可能である。引込カバー48は、引込孔47を貫通するコード等に適合するように可変的に開口する。電源コードが、引込孔47及び引込カバー48を貫通するように配設されることで、扉部26の開閉状態にかかわらず、躯体部20の内側に電源タップを配置することが可能である。
【0055】
例えば、当該電源コードは、引込孔47及び引込カバー48から、貫通孔46(
図3A参照)及び配線孔45(
図4A及び
図4B参照)を通って、収納スペースSに至るように配設可能である。この場合、電源タップを収納スペースSに配置でき、収納スペースSに収容される収納品Cの電源として当該電源タップを使用することが可能である。
【0056】
なお
図1~
図8に示すフラップデスク10は一例に過ぎず、本開示の技術は他のフラップデスク10に対しても適用可能である。例えば、全体が移動可能なキャスター付きデスク、デスク板11の全体が高さ方向H3に昇降可能な昇降デスク、或いは他の任意の機能を備えるデスクに対し、上述の技術を適用することが可能である。
【0057】
また本開示のフラップデスク10は、典型的には、各種の事務作業を行うのに適した机によって構成されるが、その用途は限定されない。例えば、「テーブル」とも呼ばれる事務作業以外の用途に使用可能なデスクに対しても、本開示の技術を適用することが可能である。
【0058】
本明細書で開示されている実施形態及び変形例はすべての点で例示に過ぎず限定的には解釈されないことに留意されるべきである。上述の実施形態及び変形例は、添付の特許請求の範囲の趣旨を逸脱することなく、様々な形態での省略、置換及び変更が可能である。例えば上述の実施形態及び変形例が全体的に又は部分的に組み合わされてもよく、また上述以外の実施形態が上述の実施形態又は変形例と組み合わされてもよい。また、本明細書に記載された本開示の効果は例示に過ぎず、その他の効果がもたらされてもよい。
【符号の説明】
【0059】
10 フラップデスク、11 デスク板、11A デスク手前側部分、11B デスク奥側部分、11r デスク裏面、11s デスク天面、12 トルクヒンジ、12a トルクヒンジ座金、12b 座金固定ビス、12c 天板固定ビス、13 収納ストッパー、13a 収納水平部材、13b 収納起立部材、14 クッション材、15 アジャスター、20 躯体部、21 バックパネル、22 天パネル、23 側方パネル、25 下枠、26 扉部、28 背面桟木、30 固定具、32 取付溝部、41 配線孔カバー、42 接合部品、43 扉開閉ヒンジ、44 可動棚、45 配線孔、46 貫通孔、47 引込孔、48 引込カバー、70 椅子、Ax 回転軸、C 収納品、F 荷重、D 回動方向、D1 折畳方向、D2 展開方向、P1 展開回転位置、P2 折畳回転位置、P11 開位置、P12 閉位置、Rp 回動支点、S 収納スペース、T 格納スペース、H1 幅方向、H2 奥行方向、H3 高さ方向
【要約】
【課題】機能的なフラップデスクを簡素な構成で実現するのに有利な技術を提供する。
【解決手段】フラップデスク10は、デスク板11と、デスク板11を、所定の起立角度からなる折畳回転位置P2とほぼ水平角度からなる展開回転位置P1との間において一端縁近傍で垂直回動可能に支持する回転支持部12と、展開回転位置P1をとるデスク板11の回転中心よりも回転先端とは反対側に位置する余長部の上面に当接する補助支持部15と、を備える。
【選択図】
図1