IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ KDDI株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-管理装置、管理方法及びプログラム 図1
  • 特許-管理装置、管理方法及びプログラム 図2
  • 特許-管理装置、管理方法及びプログラム 図3
  • 特許-管理装置、管理方法及びプログラム 図4
  • 特許-管理装置、管理方法及びプログラム 図5
  • 特許-管理装置、管理方法及びプログラム 図6
  • 特許-管理装置、管理方法及びプログラム 図7
  • 特許-管理装置、管理方法及びプログラム 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-15
(45)【発行日】2024-02-26
(54)【発明の名称】管理装置、管理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/08 20120101AFI20240216BHJP
【FI】
G06Q40/08
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022148990
(22)【出願日】2022-09-20
【審査請求日】2022-11-29
【審判番号】
【審判請求日】2023-06-22
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(72)【発明者】
【氏名】田中 卓弥
(72)【発明者】
【氏名】川名 弘志
(72)【発明者】
【氏名】紫竹 紀至
【合議体】
【審判長】佐藤 智康
【審判官】渡邊 聡
【審判官】安井 雅史
(56)【参考文献】
【文献】特許第7113990(JP,B1)
【文献】特開2009-116612(JP,A)
【文献】“ドローン保険|株式会社グッド保険サービス”,[online],日本,株式会社グッド保険サービス,2022年06月26日,[2023年3月27日検索],インターネット<URL:https://web.archive.org/web/20220626054348/https://www.goodhoken.co.jp/drone/>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q40/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無人移動体のユーザを識別するためのユーザ識別情報、又は前記無人移動体を識別するための移動体識別情報の少なくともいずれかに関連付けられた、前記無人移動体の事故に関するトラブルを示すトラブル情報を取得する第1取得部と、
前記トラブル情報を取得したことに応じて、前記ユーザ識別情報又は前記移動体識別情報の少なくともいずれかに関連付けられた前記無人移動体の移動体情報と、当該無人移動体に対応する保険の内容を示す保険情報と、を取得する第2取得部と、
前記トラブル情報と前記移動体情報と前記保険情報とに基づいて、前記無人移動体に前記保険を適用するか否かを判定する判定部と、
を有し、
前記判定部は、前記トラブル情報が示す、前記事故により人に損害が発生したか否かを示す対人情報及び前記事故により物に損害が発生したか否かを示す対物情報の少なくともいずれかが、前記保険情報が示す保険の補償範囲であるか否かを判定する、
管理装置。
【請求項2】
前記判定部は、前記無人移動体の移動履歴、前記無人移動体の型式、前記無人移動体の点検若しくは事故に関する履歴、前記無人移動体を撮像した撮像画像、前記無人移動体の動作の内容、前記ユーザが前記無人移動体を操作した内容、及び前記無人移動体の周辺の環境に関する情報のうちの少なくとも1つを含む前記移動体情報を用いて前記無人移動体に前記保険を適用するか否かを判定する、
請求項1に記載の管理装置。
【請求項3】
前記判定部が前記保険情報を参照することにより、前記保険を適用するか否かを判定するための前記トラブル情報に不足情報があることを特定した場合、前記不足情報を前記ユーザに要求する要求部をさらに有する、
請求項1に記載の管理装置。
【請求項4】
前記無人移動体が停止した位置に対応する通知先に前記トラブル情報を通知する通知部をさらに有する、
請求項1に記載の管理装置。
【請求項5】
前記トラブルの属性に対応する通知先に前記トラブル情報を通知する通知部をさらに有する、
請求項1に記載の管理装置。
【請求項6】
前記通知部は、前記保険情報と前記トラブル情報とに基づいて作成した、前記ユーザの行動を促すための指示情報を含むメッセージを前記ユーザに通知する、
請求項4又は5に記載の管理装置。
【請求項7】
前記第1取得部は、前記トラブル情報として、前記無人移動体が備える衝突センサが衝突を検出した情報を取得し、前記ユーザ識別情報又は前記移動体識別情報の少なくともいずれかに関連付けて記憶部に記憶させる、
請求項1に記載の管理装置。
【請求項8】
コンピュータが実行する、
無人移動体のユーザを識別するためのユーザ識別情報、又は前記無人移動体を識別するための移動体識別情報の少なくともいずれかに関連付けられた、前記無人移動体の事故に関するトラブルを示すトラブル情報を取得するステップと、
前記トラブル情報を取得したことに応じて、前記ユーザ識別情報又は前記移動体識別情報の少なくともいずれかに関連付けられた前記無人移動体の移動体情報と、当該無人移動体に対応する保険の内容を示す保険情報と、を取得するステップと、
前記トラブル情報と前記移動体情報と前記保険情報とに基づいて、前記無人移動体に前記保険を適用するか否かを判定するステップと、
を有し、
前記判定するステップにおいて、前記トラブル情報が示す、前記事故により人に損害が発生したか否かを示す対人情報及び前記事故により物に損害が発生したか否かを示す対物情報の少なくともいずれかが、前記保険情報が示す保険の補償範囲であるか否かを判定する、
管理方法。
【請求項9】
コンピュータに、
無人移動体のユーザを識別するためのユーザ識別情報、又は前記無人移動体を識別するための移動体識別情報の少なくともいずれかに関連付けられた、前記無人移動体の事故に関するトラブルを示すトラブル情報を取得するステップと、
前記トラブル情報を取得したことに応じて、前記ユーザ識別情報又は前記移動体識別情報の少なくともいずれかに関連付けられた前記無人移動体の移動体情報と、当該無人移動体に対応する保険の内容を示す保険情報と、を取得するステップと、
前記トラブル情報と前記移動体情報と前記保険情報とに基づいて、前記無人移動体に前記保険を適用するか否かを判定するステップと、
を実行させ、
前記判定するステップにおいて、前記トラブル情報が示す、前記事故により人に損害が発生したか否かを示す対人情報及び前記事故により物に損害が発生したか否かを示す対物情報の少なくともいずれかが、前記保険情報が示す保険の補償範囲であるか否かを判定する、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管理装置、管理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、無人移動体の一例である無人飛行体が堕落するまでの飛行状態を評価するサーバ装置が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6860775号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のサーバ装置においては、無人移動体の保険会社が当該サーバ装置にアクセスすることで、事故や故障が発生した無人移動体の移動状態を参照できる。しかしながら、保険会社の担当者や無人移動体の利用者は、事故や故障が発生した無人移動体に保険を適用可能であるか否かを簡便又は迅速に把握したい場合があるが、個別に情報を収集しなければならず煩雑な作業を強いられるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、無人移動体に保険を適用可能であるか否かを判定する際の作業負担を軽減できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に係る管理装置は、無人移動体のユーザを識別するためのユーザ識別情報、又は前記無人移動体を識別するための移動体識別情報の少なくともいずれかに関連付けられた、前記無人移動体のトラブルに関するトラブル情報を取得する第1取得部と、前記トラブル情報を取得したことに応じて、前記ユーザ識別情報又は前記移動体識別情報の少なくともいずれかに関連付けられた前記無人移動体の移動体情報と、当該無人移動体に対応する保険の内容を示す保険情報と、を取得する第2取得部と、前記トラブル情報と前記移動体情報と前記保険情報とに基づいて、前記無人移動体に前記保険を適用するか否かを判定する判定部と、を有する。
【0007】
前記判定部は、前記無人移動体の移動履歴、前記無人移動体の型式、前記無人移動体の点検若しくは事故に関する履歴、前記無人移動体を撮像した撮像画像、前記無人移動体の動作の内容、前記ユーザが前記無人移動体を操作した内容、及び前記無人移動体の周辺の環境に関する情報のうちの少なくとも1つを含む前記移動体情報を用いて前記無人移動体に前記保険を適用するか否かを判定してもよい。
【0008】
前記判定部が前記保険情報を参照することにより、前記保険を適用するか否かを判定するための前記トラブル情報に不足情報があることを特定した場合、前記不足情報を前記ユーザに要求する要求部をさらに有してもよい。
【0009】
前記無人移動体が停止した位置に対応する通知先に前記トラブル情報を通知する通知部をさらに有してもよい。
【0010】
前記トラブルの属性に対応する通知先に前記トラブル情報を通知する通知部をさらに有してもよい。
【0011】
前記通知部は、前記保険情報と前記トラブル情報とに基づいて作成した、前記ユーザの行動を促すための指示情報を含むメッセージを前記ユーザに通知してもよい。
【0012】
本発明の第2の態様に係る管理方法は、コンピュータが実行する、無人移動体のユーザを識別するためのユーザ識別情報、又は前記無人移動体を識別するための移動体識別情報の少なくともいずれかに関連付けられた、前記無人移動体のトラブルに関するトラブル情報を取得するステップと、前記トラブル情報を取得したことに応じて、前記ユーザ識別情報又は前記移動体識別情報の少なくともいずれかに関連付けられた前記無人移動体の移動体情報と、当該無人移動体に対応する保険の内容を示す保険情報と、を取得するステップと、前記トラブル情報と前記移動体情報と前記保険情報とに基づいて、前記無人移動体に前記保険を適用するか否かを判定するステップと、を有する。
【0013】
本発明の第3の態様に係るプログラムは、コンピュータに、無人移動体のユーザを識別するためのユーザ識別情報、又は前記無人移動体を識別するための移動体識別情報の少なくともいずれかに関連付けられた、前記無人移動体のトラブルに関するトラブル情報を取得するステップと、前記トラブル情報を取得したことに応じて、前記ユーザ識別情報又は前記移動体識別情報の少なくともいずれかに関連付けられた前記無人移動体の移動体情報と、当該無人移動体に対応する保険の内容を示す保険情報と、を取得するステップと、前記トラブル情報と前記移動体情報と前記保険情報とに基づいて、前記無人移動体に前記保険を適用するか否かを判定するステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、無人移動体に保険を適用可能であるか否かを判定する際の作業負担を軽減できるようにするという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施形態に係る管理システム1の概要を説明するための図である。
図2】管理装置20の構成を示す図である。
図3】記憶部22に記憶されたトラブル情報の一例を示す図である。
図4】記憶部22に記憶された移動体情報の一例を示す図である。
図5】記憶部22に記憶された保険情報の一例を示す図である。
図6】記憶部22に記憶された免責事項情報の一例を示す図である。
図7】記憶部22に記憶された判定テーブルの一例を示す図である。
図8】管理装置20における処理シーケンスの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<管理システム1の概要>
図1は、本実施形態に係る管理システム1の概要を説明するための図である。図1に示す管理システム1は、複数の情報端末10(情報端末10a、情報端末10b、情報端末10c)と、管理装置20と、を備える。複数の情報端末10と管理装置20、及び管理装置20と移動体Mは、インターネット、イントラネット、LAN(Local Area Network)、無線LAN又は移動体通信網等のネットワークを介して互いに通信可能に接続されている。移動体Mは、例えば、ドローン等の無人移動体である。
【0017】
管理システム1は、移動体Mに発生したトラブルに、移動体Mのユーザが加入した保険を適用できるか否かを判定するためのシステムである。ここで、保険を適用できるか否かとは、最終的に保険を適用するか否かを判定することに限らず、保険を適用できる可能性があるか否かであってもよい。また、トラブルは、移動体Mの事故及び故障の少なくともいずれかである。保険は、例えば、移動体Mの利用に伴い発生した損害を補償するための損害保険である。
【0018】
情報端末10は、例えばスマートフォン、タブレット端末又はパーソナルコンピュータ等の装置である。図1においては、移動体Mのユーザが使用する情報端末10a、移動体Mを管理する管理会社が使用する情報端末10b及びユーザが加入した移動体Mの保険を取り扱う保険会社が使用する情報端末10cを示す。情報端末10は、移動体Mに発生したトラブルにユーザが加入した保険を適用できるか否かを判定した結果を、管理装置20から取得する。
【0019】
管理装置20は、例えばコンピュータであり、1若しくは複数の物理的なサーバ、又はクラウドサーバで構成されている。管理装置20は、例えば、情報端末10a、移動体M又は移動体Mを管理している企業から取得した、移動体Mの移動履歴、事故履歴及び点検履歴の少なくともいずれかを含む移動体情報を記憶部に記憶している。管理装置20は、例えば、情報端末10c、保険会社又は無人移動体Mを管理している企業から取得した、移動体Mに対応する保険の内容を含む保険情報を記憶部に記憶している。管理装置20は、ネットワークを介して接続された、保険会社が所有、使用、又は管理するサーバ又はクラウドサーバ等のコンピュータに保険情報を記憶させてもよい。保険の内容は、損害を受けた人、物及び移動体Mに対する補償の上限と免責事項とを含む。
【0020】
管理装置20は、移動体Mに発生したトラブルに関するトラブル情報を、移動体M及び情報端末10aから取得する(図1における(1))。トラブル情報は、例えば、トラブルが発生した日時と場所、損害の内容、及び損害の原因を含む。管理装置20は、例えば、トラブルが発生したことにより移動体Mが停止した場所と移動体Mが備える衝突センサが衝突を検出した情報とを移動体Mから取得し、トラブルが発生した日時と損害の内容と損害の原因とを情報端末10aから取得する。管理装置20は、記憶部を参照することにより移動体Mに対応する移動体情報を取得する(図1における(2))。管理装置20は、記憶部を参照することにより移動体Mに対応する保険情報を取得する(図1における(3))。
【0021】
管理装置20は、トラブル情報と移動体情報と保険情報とに基づいて、トラブル情報が示す損害の内容に対して保険情報が示す補償を適用するか否かを判定する(図1における(4))。「補償を適用するか否かを判定する」とは、最終的に保険を適用するか否かを判定することに限らず、保険を適用できる可能性があるか否かを判定することであってもよい。
【0022】
管理装置20は、例えば、移動体情報とトラブル情報とを参照することにより、トラブルが発生する直前の移動体Mの状態(例えば、機体異常の有無、積載量超過の有無)と、トラブルの内容及び原因とを特定する。管理装置20は、例えば、移動体Mの状態とトラブルの内容及び原因とが、保険情報が示す条件(例えば、免責事項に該当しないこと)を満たす場合に、保険情報が示す補償を適用すると判定し、移動体Mの状態とトラブルの内容及び原因とが、免責事項に該当する場合に、補償を適用しないと判定する。
【0023】
一例として、管理装置20は、移動体Mが稼働中(移動前、移動中、トラブル発生前)に送信した、移動体Mにおいて異常を検出したことを示すエラー情報を取得し、エラー情報を取得した日時及び移動体IDと関連付けて、移動体情報の一部として記憶部に記憶させる。移動体IDは、移動体を識別するための移動体識別情報である。
【0024】
管理装置20は、例えば、エラー情報に関連付けられた日時とトラブル情報に含まれる日時との差が所定の時間内である場合は、トラブル発生の直前に、移動体Mに異常が発生していたと判定し、保険情報が示す補償を適用しない(すなわち免責事項に該当する)と判定する。また、管理装置20は、移動体Mにエラーが発生した後に、移動体Mの移動中止を促す内容を含むエラー情報を移動体Mのユーザに通知したか否かの情報を取得し、ユーザがエラー発生後に移動体Mの移動を継続させたか否かを記録する。そして、ユーザがエラー情報を取得していないことを特定し、且つエラーが発生した後にトラブルが発生した場合、保険情報が示す補償を適用する(すなわち免責事項に該当しない)と判定してもよい。
【0025】
他の例として、管理装置20は、移動体Mの移動体情報に含まれる移動履歴が示す各種のデータ(例えば、移動距離の累積値、移動時間の累積値)が閾値を超えているか否かを特定し、閾値が超えている場合は移動体Mに補償を適用しないと判定する。さらに、管理装置20は、例えば、移動体Mの移動体情報に含まれる点検履歴を参照することにより、所定の点検を受けていないことを特定した場合は移動体Mに補償を適用しないと判定する。
【0026】
管理装置20は、複数の情報端末10に判定結果を通知する(図1における(5))。管理装置20がこのように判定結果を通知することで、情報端末10aのユーザ又は情報端末10cを使用する保険会社の従業員は、判定結果に基づいて、トラブルに伴う損害への補償に対応することができるため、作業負担を軽減することができる。
以下、管理装置20の構成及び動作を詳細に説明する。
【0027】
<管理装置20の構成>
図2は、管理装置20の構成を示す図である。管理装置20は、通信部21と、記憶部22と、制御部23と、を有する。
【0028】
通信部21は、ネットワークを介して情報を送受信するための通信デバイスを含む。通信デバイスは、例えば、LANコントローラ又は無線LANコントローラである。
【0029】
記憶部22は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)等の記憶媒体を有する。記憶部22は、制御部23が実行するプログラムを記憶している。記憶部22は、移動体Mの移動体情報と保険情報とを記憶している。また、記憶部22は、移動体Mから取得したトラブル情報を記憶する。
【0030】
図3から図6は、記憶部22に記憶された情報の一例を示す図である。図3は、記憶部22に記憶されたトラブル情報の一例を示す図である。図3に示すトラブル情報は、トラブルID、ユーザID、移動体ID、トラブルが発生した日時、トラブルが発生した位置、対人、対物、対機体、トラブルが発生したことによる移動体Mの損害内容、及びトラブルの原因が関連付けられている。
【0031】
トラブルIDは、トラブルを識別するためのトラブル識別情報である。ユーザIDは、ユーザを識別するためのユーザ識別情報である。対人は、人に損害が発生したか否かを示し、対物は、物に損害が発生したか否かを示し、対機体は、他の移動体Mに損害が発生したか否かを示す。損害内容は、トラブルにより異常が発生した移動体Mの構成部品又は装備品の状態(例えば、破損、発火)を示す。また、ユーザID「U4」に関連付けられた「対人」及び「対物」は、移動体M又は情報端末10aから取得できなかった不足情報である。不足情報の詳細は、後述する。
【0032】
図4は、記憶部22に記憶された移動体情報の一例を示す図である。図4に示す移動体情報は、ユーザID、移動体ID、移動体Mの型式、移動体Mが移動を開始した日時又は点検を実施した日時、移動元の位置、移動先の位置、移動履歴、動作の内容、移動体Mが備えるカメラが撮像した撮像画像、周辺環境、ユーザ操作、事故履歴及び点検履歴が関連付けられている。図4に示す移動履歴は、記憶部22内のアドレスに関連付けられた移動履歴情報のファイル名であり、制御部23は、ファイル名を指定することにより移動履歴情報にアクセスすることができる。
【0033】
移動履歴情報は、例えば、累積移動距離、累積移動時間、累積移動回数、製造時期からの経過期間、購入時期からの経過期間、1回あたりの最大移動距離、1回あたりの最大移動時間、指定された速度に達しなかった回数、又はいずれかの部品の異常が検出された回数等を含む。
【0034】
「累積移動距離」は、移動体Mの使用が開始されてからの移動距離の累積値である。「累積移動時間」は、移動体Mの使用が開始されてからの移動時間の累積値である。「移動回数」は、移動体Mの使用が開始されてから移動した回数である。「製造時期からの経過期間」は、移動体Mが製造された日から現時点までの期間である。「購入時期からの経過期間」は、移動体Mが購入された日から現時点までの期間である。
【0035】
「1回あたりの最大移動距離」は、過去の移動において最も長い距離を移動した際の移動距離である。「1回あたりの最大移動時間」は、過去の移動において最も長い時間を移動した際の移動時間である。「指定された速度に達しなかった回数」は、例えば、情報端末10が指定した速度に達しない状態で移動先まで移動した回数である。「いずれかの部品の異常が検出された回数」は、過去の移動において部品の異常が検出された回数である。
【0036】
動作の内容は、移動体Mが正常に動作をしているか否かを示すエラー情報と、衝突センサ、速度センサ、加速度センサ等のセンサが取得したセンサ情報と、プロペラ回転数及びバッテリー残量等を示す内部動作情報と、を含む。図4においては、一例として、エラー情報とバッテリー残量とを示す。
【0037】
管理装置20は、一定の周期で、動作の内容に含まれる各種の情報を移動体Mから取得し、取得した時刻に関連付けて記憶部22に記憶させる。管理装置20は、動作の内容に含まれる各種の情報に対応する時刻を移動体Mから取得してもよい。管理装置20がこのように動作の内容を取得して記憶部22に記憶させることで、トラブルが発生した時刻の直前の時刻における移動体Mの動作の詳細を特定することができる。
【0038】
周辺環境は、移動体Mの周囲の天候及び障害物の有無に関する情報であり、例えば、移動体Mが備える感雨センサ、風速センサ、障害物センサ等の複数のセンサが取得した情報、又は移動体Mが備えるカメラの撮像画像に基づいて管理装置20が特定した情報である。図4においては、一例として、風速センサが取得した情報を示す。
【0039】
管理装置20は、一定の周期で、感雨センサ、風速センサ、障害物センサ等の複数のセンサが取得した情報を取得し、取得した時刻に関連付けて記憶部22に記憶させる。管理装置20は、複数のセンサが取得した情報と当該情報を取得した時刻とを関連付けて移動体Mから取得してもよい。管理装置20がこのように周辺環境に関する情報を取得して記憶部22に記憶させることで、トラブルが発生した時刻の直前の時刻における気象と移動体Mの周囲の障害物とを特定することができる。
【0040】
ユーザ操作は、ユーザが移動体Mを手動で操作した場合は「あり」を示し、移動体Mが自律移動をした場合は「なし」を示す。管理装置20は、例えば、移動体M又は管理会社のサーバ等の管理システムから取得した移動体Mの操作履歴情報に基づいて、ユーザが手動操作をしたか否かを特定する。
【0041】
ユーザが手動操作をしていないことを特定した場合、管理装置20は、ユーザ操作「なし」を記憶部22に記憶させる。ユーザが手動操作をしたことを特定した場合、管理装置20は、ユーザが手動操作をした時刻と操作内容とを関連付けて、移動体情報が示す「ユーザ操作」として記憶部22に記憶させる。管理装置20がこのように動作することで、トラブルが発生した時刻及びトラブルが発生した時刻の直前の時刻においてユーザが手動操作をしたか否かを特定できるため、手動操作によりトラブルか否かを特定できる。
【0042】
事故履歴は、図3に示す「トラブルID」を示す。管理装置20は、移動体情報が示すトラブルIDに関連付けられたトラブル情報を参照することで、過去に発生した事故に関する情報を参照できる。そして、後述する点検履歴を参照することにより、事故において破損した部品を交換又は修理したか否かを特定できる。
【0043】
点検履歴は、点検の目的、点検の項目、点検の結果及び修理の内容を含む。図4においては、一例として、点検の目的と修理の内容とが日時に関連付けられている。点検の目的は、例えば「定期点検」、「移動前点検」、「移動後点検」、「事故後点検」等である。点検の項目は、例えば、部品の異常の有無、試験飛行による動作確認、累積移動距離又は累積移動時間等の移動履歴情報が示すデータが閾値を超えたことによる部品交換等である。
【0044】
図5は、記憶部22に記憶された保険情報の一例を示す図である。図5に示す保険情報は、ユーザID、移動体ID、保険を識別するための保険識別情報である保険ID、保険契約の開始日時、保険サービスの契約期間、対人補償額、対物補償額、機体補償額、及び免責事項を適用するか否かを示す免責の内容が関連付けられている。
【0045】
対人補償額は、トラブルの発生に伴う人への損害に対する補償額の上限を示す。対物補償額は、トラブルの発生に伴う物への損害に対する補償額の上限を示す。機体補償額は、トラブルの発生に伴う移動体Mの損害に対する補償額の上限を示す。免責の内容においては、複数の免責事項を識別するための免責事項識別情報(以下、「免責事項ID」という)DC1~DC5を示す。図6は、記憶部22に記憶された免責事項情報の一例を示す図である。図6に示す免責事項情報は、免責事項IDと免責事項とが関連付けられている。
【0046】
図2に戻って、制御部23は、例えば、CPU(Central Processing Unit)又はGPU(Graphical Processing Unit)である。制御部23は、記憶部22に記憶されたプログラムを実行することにより、第1取得部231、第2取得部232、判定部233、要求部234及び通知部235として機能する。
以下、制御部23により実現される各部の構成を説明する。
【0047】
第1取得部231は、移動体Mのユーザを識別するためのユーザID、又は移動体Mを識別するための移動体IDの少なくともいずれかに関連付けられた、移動体Mのトラブルに関するトラブル情報を取得する。第1取得部231は、例えば、移動体Mからトラブル情報(図3を参照)を取得する。第1取得部231は、移動体Mのユーザが情報端末10aを操作することにより作成したトラブル情報を取得してもよい。第1取得部231は、取得したトラブル情報を記憶部22に記憶させる。
【0048】
第2取得部232は、第1取得部231がトラブル情報を取得したことに応じて、ユーザID又は移動体IDの少なくともいずれかに関連付けられた移動体Mの移動体情報と、当該移動体Mに対応する保険の内容を示す保険情報と、を取得する。第2取得部232は、例えば、記憶部22を参照することにより、トラブル情報に含まれるユーザID又は移動体IDに関連付けられた移動体情報(図4を参照)及び保険情報(図5を参照)を取得する。
【0049】
第2取得部232は、移動体情報及び保険情報を、保険会社の管理システム等の外部の情報処理装置から取得してもよい。この場合、ユーザは、外部の情報処理装置が移動体Mの移動体情報を取得することを同意しているものとする。第2取得部232は、例えば、第1取得部231が移動体Mのトラブル情報を取得したことに応じて、移動体Mの移動体ID及びトラブル情報を外部の情報処理装置に通知する。外部の情報処理装置は、取得した移動体IDに対応する移動体Mの移動体情報を、移動体Mの管理会社の管理システムから取得し、第2取得部232に通知する。
【0050】
第2取得部232は、保険情報を、外部の情報端末10から取得してもよい。第2取得部232は、例えば、トラブル情報に含まれるユーザID又は移動体IDを、移動体Mの保険を取り扱う保険会社が使用する情報端末10cに通知することにより、移動体Mの保険情報を情報端末10cから取得し、記憶部22に記憶させる。
【0051】
判定部233は、トラブル情報と移動体情報と保険情報とに基づいて、移動体Mに保険を適用するか否かを判定する。判定部233は、例えば、移動体情報又はトラブル情報が示す1以上の項目の内容が、保険情報が示す補償を適用するための条件を満たすか否かを判定することにより、移動体Mに保険を適用するか否かを判定する。1以上の項目の内容は、移動体情報においては、例えば、移動体Mの移動履歴、移動体Mの型式、移動体Mの点検若しくは事故に関する履歴、移動体Mを撮像した撮像画像、移動体Mの動作の内容、ユーザが移動体Mを操作した内容、及び移動体Mの周辺の環境に関する情報のうちの少なくとも1つを含み、トラブル情報においては、トラブルにおける対人の有無、対物の有無、対機体の有無、移動体Mの破損箇所、及びトラブルの原因のうち少なくとも1つを含む。
【0052】
一例として、移動体Mの点検履歴を用いて保険を適用するか否かを判定する場合、判定部233は、トラブル情報に含まれるユーザID又は移動体IDに関連付けられた移動体Mの移動体情報を特定する。判定部233は、特定した移動体情報に含まれる点検履歴に関連付けられた日時とトラブル情報に含まれる日時との差である経過時間が所定の期間であるか否かを判定する。所定の期間は、点検が有効な期間であり、例えば6ヶ月である。
【0053】
続いて、判定部233は、保険情報に含まれる対人補償額、対物補償額及び機体補償額を参照することにより、トラブル情報に含まれる損害の対象(すなわち、人、物又は移動体M)が、保険の補償範囲であるか否かを判定する。判定部233は、経過時間が所定の期間であり、かつ損害の態様が保険の補償範囲であると判定した場合、損害の対象に保険を適用すると判定する。判定部233がこのように動作することで、移動体Mに発生したトラブルに伴う損害に保険を適用できるか否かを判定することができるため、移動体Mの保険会社の担当者及び移動体Mのユーザの作業負担を軽減することができる。
【0054】
判定部233は、移動体情報に含まれる型式に対応する製造年が所定の期間ではない場合、移動体Mに保険を適用しないと判定してもよい。所定の期間は、移動体Mの耐用年数に対応する期間であり、例えば現在の年月から10年前までの期間である。判定部233は、例えば、記憶部22を参照することにより、移動体情報に含まれる型式に関連付けられた製造年を特定する。判定部233は、特定した製造年が所定の期間である場合は移動体Mに保険を適用すると判定し、製造年が所定の期間でない場合は移動体Mに保険を適用しないと判定する。判定部233がこのように動作することで、耐用年数を超えて稼働している移動体Mのトラブルに対して保険を適用することを防ぐことができる。
【0055】
判定部233は、移動体情報に含まれる型式に対応する移動体Mに不具合があることを特定した場合、移動体Mに保険を適用しないと判定してもよい。判定部233は、例えば、記憶部22に記憶された、リコールが届け出された複数の移動体Mの型式に、移動体情報に含まれる型式が含まれている場合は保険を適用しないと判定する。判定部233がこのように動作することで、保安基準に適合していない移動体Mのトラブルに対して保険を適用することを防ぐことができる。
【0056】
判定部233は、移動体Mにトラブルが発生する直前に、移動体Mにおいて検出された状態に基づいて、移動体Mに保険を適用するか否かを判定してもよい。一例として、判定部233は、移動体情報に含まれる動作の内容が、バッテリー残量の不足又は移動体Mの機体異常に関する内容である場合、移動体Mに保険を適用しないと判定してもよい。
【0057】
具体的には、判定部233は、図3に示すトラブルID「T2」を含むトラブル情報を取得し、トラブルID「T2」に関連付けられた日時「D21」が移動体M2のトラブル発生時刻であることを特定する。判定部233は、図4に示す「エラー情報」を参照することにより、特定した日時「D21」の直前の時刻である日時「D20」において、移動体M2が「バッテリー残量警告」のエラーを検出していたことを特定する。判定部233は、移動体M2が堕落直前にバッテリー残量が不足していたと判定し、図6に示す免責事項ID「DC1」に対応する免責事項(以下、免責事項DC1という)を適用して、移動体Mに保険を適用しないと判定する。
【0058】
また、判定部233は、図3に示すトラブルID「T1」を含むトラブル情報を参照することにより、日時「D11」が移動体M1のトラブル発生時刻であることを特定する。判定部233は、図4に示す「撮像画像」を参照することにより、特定した日時「D11」の直前の時刻である日時「D10」において、移動体M1が鳥と接触したことを特定する。判定部233は、移動体M1に発生したトラブルは、図6に示す免責事項の範囲ではないと判定し、移動体M1に保険を適用すると判定する。
【0059】
判定部233は、移動体情報に含まれる移動履歴が示す移動エリア又は移動時間が所定のエリア又は所定の時間である場合、移動体Mに保険を適用しないと判定してもよい。所定のエリアは、例えば、移動体Mが侵入することを禁止しているエリアである。所定の時間は、例えば、移動体Mが飛行することを禁止している時間である。
【0060】
例えば、判定部233は、図3に示す「日時」を参照することにより、トラブルが発生した移動体Mが飛行した時間を特定する。続いて、判定部233は、記憶部22に記憶された飛行禁止時間に関する情報を参照することにより、特定した時間が飛行禁止時間であるか否かを判定する。判定部233は、移動体Mが飛行禁止時間に飛行したと判定した場合は、図6に示す免責事項DC3を適用することにより、移動体Mに保険を適用しないと判定する。
【0061】
判定部233は、移動体Mの移動申請が示す内容と異なる内容で移動体Mが移動した場合、移動体Mに保険を適用しないと判定してもよい。例えば、移動申請が示す予定経路と異なる経路、又は移動申請が示す操作モード(例えば、手動操作又は自律走行)と異なる操作モードで移動体Mが移動した場合、判定部233は、移動体Mに保険を適用しないと判定する。
【0062】
具体的には、移動体M1の移動申請が示す操作モードが自律走行であり、且つ日時D11において移動体M1にトラブルが発生したとする。この場合、判定部233は、図4に示す「ユーザ操作」を参照することにより、日時D11の直前の時刻である日時D10においてユーザが移動体M1を手動操作したことを特定し、移動体M1に保険を適用しないと判定する。判定部233がこのように動作することで、移動申請が示す内容と異なる移動をした移動体Mに保険を適用することを防ぐことができる。
【0063】
また、判定部233は、移動申請が不許可であるにもかかわらず移動体Mが移動した場合、移動体Mに保険を適用しないと判定してもよい。判定部233は、例えば、記憶部22を参照することにより、トラブル情報に含まれる移動体IDに対応する移動体Mの移動申請が許可されたか否かを特定する。移動申請が許可されていない場合、判定部233は、移動体Mに保険を適用しないと判定する。判定部233がこのように動作することで、移動を許可されていない移動体Mに保険を適用することを防ぐことができる。
【0064】
判定部233は、移動体情報に含まれる動作の内容又はトラブル情報に含まれるトラブルの原因が積載量の超過であることを示す場合、移動体Mに保険を適用しないと判定してもよい。判定部233は、例えば、図3に示す「トラブルの原因」を参照することにより、移動体ID「M3」に対応する移動体M(以下、移動体M3という)のトラブルの原因が積載量の超過であることを特定する。判定部233は、移動体M3が備える重量センサが取得した、移動体M3の積載量を示す積載量情報を取得する。
【0065】
続いて、判定部233は、積載量情報が示す積載量と、記憶部22に記憶された移動体M3の最大積載量とを比較することにより、積載量が最大積載量を超えていないか否かを判定する。積載量が最大積載量を超えていた場合、判定部233は、図6に示す免責事項DC4を適用することにより当該移動体M3に保険を適用しないと判定する。判定部233がこのように動作することで、重量違反をした移動体M3に保険を適用することを防ぐことができる。
【0066】
さらに、ドローン等の無人飛行体は、飛行における安全性を確保するために、積載量に応じた制限速度が設けられることが想定される。例えば、無人飛行体の積載量が大きければ大きいほど、制限速度の上限値が低くなる。これに対して、判定部233は、記憶部22を参照することにより、移動体M3から取得した積載量情報が示す積載量に関連付けられた制限速度を特定する。そして、判定部233は、移動体Mにトラブルが発生した後に移動体情報を参照することにより、トラブル情報に含まれる「日時」の直前の日時における移動体Mの速度を特定する。判定部233は、特定した速度が積載量に関連付けられた制限速度を超える場合は、移動体M3の積載量が最大積載量以下であっても、発生したトラブルによる損害に対して保険を適用しないと判定する。
【0067】
また、ドローン等の無人飛行体は、飛行する日時における天候により、安全性を確保できる積載量が異なる場合がある。例えば、風が強い日に積載量が大きい場合、飛行中にバランスを失いやすくなるため事故のリスクが高まる。そこで、判定部233は、記憶部22に記憶された気象情報に含まれる風速に関連付けられた最大積載量と、移動体情報に含まれる、トラブルが発生した飛行中の移動体Mの積載量とを特定し、特定した積載量が最大積載量を超えていた場合は保険を適用しないと判定する。例えば、判定部233は、移動体Mの移動開始時または移動開始動作前に移動体Mが管理装置20に送信した荷物の積載量を示す情報に基づく積載量を特定し、特定した積載量が最大積載量を超える場合は、発生したトラブルによる損害に対して保険を適用しないと判定する。
【0068】
さらに、判定部233は、一定の周期で移動体Mが備える風速センサが取得した風速を示す風速情報を取得し、風速情報が示す風速に関連付けられた最大積載量を特定してもよい。そして、判定部233は、風速に関連付けられた最大積載量を移動体Mの積載量が超えたタイミングで、移動体Mのユーザに、最大積載量を超えたことを通知してもよい。判定部233がこのように動作することで、ユーザは、天候の変化によりトラブルによる損害に対して保険を適用されないことを知ることができるため、移動体Mを停止させることができる。
【0069】
判定部233は、移動体情報に含まれる周辺の環境に関する情報が所定の条件を満たさない場合、移動体Mに保険を適用しないと判定してもよい。所定の条件は、例えば、移動体Mが安全に移動できる風速であること、又は気象に関する警報が発せられていないことである。
【0070】
判定部233は、例えば、図4に示す「周辺環境」を参照することにより、移動体Mが移動しているエリアの周辺の風速を特定する。判定部233は、特定した風速が、図6に示す免責事項ID「DC5」に関連付けられた風速(40m/s以上)であれば、移動体Mに保険を適用しないと判定する。なお、判定部233は、移動体Mの周辺の風速を含む気象情報を外部の情報処理装置(不図示)から取得して、所定の条件を満たすか否かを判定してもよい。
【0071】
判定部233は、移動体情報に含まれる各種のデータそれぞれが示す値が閾値を超えたか否かを判定し、閾値を超えた場合は移動体Mに保険を適用しないと判定してもよい。一例として、判定部233は、移動体情報に含まれる移動履歴情報が示す各種のデータの値と、各種のデータに対応する判定閾値を含む判定テーブルとを比較する。続いて、判定部233は、判定閾値を超える値を示すデータがある場合に、移動体Mに保険を適用しないと判定する。
【0072】
図7は、記憶部22に記憶された判定テーブルの一例を示す図である。図7に示す判定テーブルは、移動体Mの型式と、移動履歴情報に関する判定項目に対応する判定閾値とが関連付けられている。さらに、移動体Mの用途によって要求される安全性が異なることが想定されるため、図7に示す判定テーブルにおいては、用途と型式の組み合わせごとに異なる判定閾値が関連付けられている。
【0073】
具体的には、判定部233は、トラブルが発生した移動体Mの移動体情報を参照することにより、用途「運搬」と型式「K1」と、移動履歴情報に含まれる累積移動距離「800km」とを特定する。続いて、判定部233は、累積移動距離「800km」が、図7に示す「用途(運搬)」及び「型式K1」に関連付けられた判定項目「累積移動距離」の閾値「700km」を超えていることを特定し、移動体Mに保険を適用しないと判定する。判定部233がこのように動作することで、明確な判定条件に基づいて保険を適用するか否かを判定することができる。
【0074】
なお、管理装置20は、判定閾値を保険会社のサーバ等の情報処理装置から取得して記憶部22に記憶させてもよいし、記憶部22に記憶された保険情報が示す条件に基づいて管理装置20が決定した判定閾値を記憶部22に記憶させてもよい。保険情報が示す条件は、例えば「累積移動距離500km未満まで補償」、「部品の異常を検出した回数が3回まで補償」等の条件である。さらに、管理装置20は、移動体Mのメーカが指定した判定閾値、保険会社が指定した判定閾値、国又は行政機関が指定した判定閾値の少なくともいずれかを外部の情報処理装置から取得して記憶部22に記憶させてもよいし、取得した複数の判定閾値を組み合わせて記憶部22に記憶させてもよい。
【0075】
ところで、ユーザが情報端末10を誤って操作した場合、第1取得部231が情報端末10から取得したトラブル情報が不足する可能性がある。具体的には、図3に示すユーザU4に関連付けられたトラブル情報においては、「対人」及び「対物」に関する情報が空白であり、不足している。これに対して、要求部234は、判定部233が保険情報を参照することにより、保険を適用するか否かを判定するためのトラブル情報に不足情報があることを特定した場合、不足情報をユーザに要求する。「ユーザに要求する」とは、例えば、要求する内容を示すメッセージデータをユーザが使用する情報端末10に送信することである。
【0076】
具体的には、判定部233は、例えば、図5に示す「対人補償額」、「対物補償額」を参照することにより、移動体M4に発生したトラブルにおいて人又は物への損害が発生したか否かを示す情報が必要であると特定する。判定部233は、図3に示す「対人」、「対物」を参照することにより、移動体M4関連付けられたトラブル情報において「対人」及び「対物」に関する情報が不足情報であることを要求部234に通知する。要求部234は、移動体M4のユーザが使用する情報端末10に「対人」、「対物」を管理装置20に通知するように要求する。
【0077】
判定部233及び要求部234がこのように動作することで、判定部233は、不足情報がある状態で移動体Mに保険を適用するか否かを判定することを防ぐことができる。その結果、判定部233は、保険を適用するか否かを正しく判定することができる。
【0078】
移動体Mにトラブルが発生した場合、トラブルが発生した時刻、場所、損害の内容等に応じた通知先にトラブル情報を通知することが考えられる。そこで、通知部235は、トラブル情報が示すトラブルの内容に応じた通知先にトラブル情報を通知する。一例として、通知部235は、移動体Mが停止した位置に対応する通知先にトラブル情報を通知する。通知先は、例えば、ユーザ、移動体Mの保険を取り扱う保険会社、又は停止した位置を含む土地を所有する所有者である。
【0079】
通知部235は、例えば、記憶部22を参照することにより、トラブル情報に含まれる日時と位置とを特定する。通知部235は、図4に示す移動体情報に含まれる日時と、移動体情報に含まれる位置、衝突センサから取得したセンサ情報、及び撮像画像の少なくともいずれかと、を参照することにより、特定した日時の後の時刻において移動体Mが移動しているか否かを判定する。
【0080】
移動体Mがトラブル発生後に移動していないと判定した場合、通知部235は、トラブル情報に含まれる移動体IDに関連付けられたユーザIDに対応するユーザ、移動体IDに関連付けられた保険会社、又はトラブル情報に含まれる位置に対応する通知先にトラブル情報を通知する。トラブル情報に含まれる位置に対応する通知先は、例えば、当該位置に対応する役所、警察署、消防署等である。
【0081】
通知部235は、例えば、トラブルの属性に対応する通知先にトラブル情報を通知する。トラブルの属性は、例えば、火災の有無、人身被害の有無、移動体Mと異なる物の損害の有無である。記憶部22は、例えば、場所とトラブルの属性と通知先とを関連付けた通知先テーブルを記憶している。管理装置20は、外部の情報処理装置から取得した地図情報に含まれる役所、警察署、消防署等の位置を特定することにより、場所とトラブルの属性とに関連付ける通知先を決定し、記憶部22に記憶させてもよい。
【0082】
通知部235は、例えば、トラブル情報に含まれる「対人」、「対物」、「対機体」及び「損害内容」を参照することにより、トラブルの属性を特定する。通知部235は、通知先テーブルを参照することにより、特定したトラブルの属性とトラブル情報に含まれる位置とに関連付けられた通知先を特定し、トラブル情報を通知する。通知部235がこのように動作することで、トラブルの属性に応じた通知先にトラブル情報を通知できる。
【0083】
通知部235は、保険情報とトラブル情報とに基づいて作成した、ユーザの行動を促すための指示情報を含むメッセージをユーザに通知してもよい。指示情報は、例えば、移動体Mの保険を取り扱う保険会社にトラブルの内容を連絡する指示、警察、消防又は行政機関にトラブルの内容を連絡する指示、トラブルが発生した場所を撮影する指示のいずれかである。通知部235は、例えば、トラブルの属性が、人身被害が発生したことを示す場合、警察及び消防にトラブルの内容を連絡する指示を含むメッセージをユーザに通知する。通知部235がこのように動作することで、通知部235は、ユーザが的確な行動をするように仕向けることができる。
【0084】
<管理装置20における処理シーケンス>
図8は、管理装置20における処理シーケンスの例を示す図である。図8に示す処理シーケンスは、第1取得部231がトラブル情報を取得する時点から開始している(S11)。第2取得部232は、第1取得部231がトラブル情報を取得したことに応じて移動体情報を取得する(S12)。第2取得部232は、第1取得部231がトラブル情報を取得したことに応じて保険情報を取得する(S13)。
【0085】
判定部233は、第1取得部231が取得したトラブル情報に不足情報があるか否かを判定する(S14)。判定部233が、不足情報があると判定した場合(S14のYES)、要求部234は、不足情報をユーザに要求する(S15)。判定部233が、不足情報がないと判定した場合(S14のNO)、管理装置20は、S16の処理に進む。
【0086】
通知部235は、トラブル情報を参照することにより移動体Mの停止位置(すなわち、トラブルが発生した位置)を特定し、停止位置に対応する通知先を特定する(S16)。通知部235は、特定した通知先にトラブル情報を通知する(S17)。さらに、通知部235は、ユーザへの指示情報を含むメッセージを作成し(S18)、ユーザにメッセージを通知する(S19)。
【0087】
判定部233は、トラブル情報と移動体情報と保険情報とに基づいて、トラブル情報が示すトラブルの内容が保険の適用範囲であるか否かを判定する(S20)。保険の適用範囲であると判定した場合(S20のYES)、判定部233は、移動体Mに保険を適用すると判定する(S21)。保険の適用範囲ではないと判定した場合(S20のNO)、判定部233は、移動体Mに保険を適用しないと判定する(S22)。通知部235は、判定部233が判定した結果をユーザに通知する(S23)。
【0088】
<変形例>
以上の説明においては、第1取得部231が、移動体Mのユーザが使用する情報端末10a又は移動体Mからトラブル情報を取得する動作を例示したが、これに限らない。第1取得部231は、移動体M又は情報端末10aから、移動体Mが備えるセンサが取得したセンサ情報及び移動体Mが備えるカメラの撮影画像を取得し、センサ情報及び撮影画像に基づいてトラブル情報を作成し、記憶部22に記憶させてもよい。
【0089】
<管理装置20による効果>
以上説明したように、管理装置20は、ユーザID又は移動体IDに関連付けられたトラブルに関するトラブル情報を取得する第1取得部231と、ユーザID又は移動体IDに関連付けられた移動体Mの移動体情報及び保険情報を取得する第2取得部232と、トラブル情報と移動体情報と保険情報とに基づいて移動体Mに保険を適用するか否かを判定する判定部233と、を有する。
【0090】
管理装置20がこのように構成されることで、管理装置20は、移動体Mに発生したトラブルに対して移動体Mのユーザが加入した保険を適用するか否かを判定することができる。その結果、保険を取り扱う保険会社の担当者が保険を適用するか否かを判定する際の作業負担が軽減される。
【0091】
なお、本発明により、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」に貢献することが可能となる。
【0092】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0093】
1 管理システム
10 情報端末
20 管理装置
21 通信部
22 記憶部
23 制御部
231 第1取得部
232 第2取得部
233 判定部
234 要求部
235 通知部
【要約】
【課題】無人移動体に保険を適用可能であるか否かを判定する際の作業負担を軽減できるようにする。
【解決手段】管理装置20は、無人移動体のユーザを識別するためのユーザ識別情報、又は無人移動体を識別するための移動体識別情報の少なくともいずれかに関連付けられた、無人移動体のトラブルに関するトラブル情報を取得する第1取得部231と、トラブル情報を取得したことに応じて、ユーザ識別情報又は移動体識別情報の少なくともいずれかに関連付けられた無人移動体の移動体情報と、当該無人移動体に対応する保険の内容を示す保険情報と、を取得する第2取得部232と、トラブル情報と移動体情報と保険情報とに基づいて、無人移動体に保険を適用するか否かを判定する判定部233と、を有する。
【選択図】図2

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8