(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-15
(45)【発行日】2024-02-26
(54)【発明の名称】電気光学ディスプレイ
(51)【国際特許分類】
G09G 3/34 20060101AFI20240216BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20240216BHJP
G02F 1/167 20190101ALI20240216BHJP
G02F 1/16757 20190101ALI20240216BHJP
G02F 1/1681 20190101ALI20240216BHJP
G02F 1/1685 20190101ALI20240216BHJP
【FI】
G09G3/34 C
G09G3/20 670J
G09G3/20 611D
G09G3/20 624D
G09G3/20 624E
G02F1/167
G02F1/16757
G02F1/1681
G02F1/1685
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022187233
(22)【出願日】2022-11-24
(62)【分割の表示】P 2021533198の分割
【原出願日】2019-12-30
【審査請求日】2022-12-28
(32)【優先日】2018-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500080214
【氏名又は名称】イー インク コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】クレッグ リン
(72)【発明者】
【氏名】ハイヤン グ
【審査官】塚本 丈二
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-513826(JP,A)
【文献】特開2011-150010(JP,A)
【文献】特開2011-099897(JP,A)
【文献】特開2011-242764(JP,A)
【文献】特表2003-535355(JP,A)
【文献】特開2009-244841(JP,A)
【文献】特開2011-141390(JP,A)
【文献】特開2015-184358(JP,A)
【文献】特表2010-509631(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2008-0040253(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/34
G09G 3/20
G02F 1/167
G02F 1/16757
G02F 1/1681
G02F 1/1685
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気光学ディスプレイであって、
第1の共通電極と表示ピクセルに関連付けられた表示ピクセル電極との間に配置された電気泳動表示媒体と、
貯蔵コンデンサであって、前記貯蔵コンデンサの第1の端子において前記表示ピクセル電極に結合されている、貯蔵コンデンサと、
前記貯蔵コンデンサの第2の端子に結合されている第2の共通電極と、
前記第1の共通電極、前記第2の共通電極、および前記表示ピクセル電極に関連付けられたトランジスタと電気連通している駆動部回路と
を備え、前記駆動部回路は、前記トランジスタを介して前記第1の共通電極と前記表示ピクセル電極との間に1つ以上の時間依存電圧を印加することによって、波形駆動シーケンスを前記表示ピクセルに印加することができ、
前記駆動部回路は、前記表示ピクセル電極および前記第1の共通電極が浮動状態にある間に、ゼロボルトに設定された定電圧を前記第2の共通電極に印加することによって、前記第2の共通電極を通して前記貯蔵コンデンサを放電することによって、前記波形駆動シーケンス後に前記表示ピクセル電極を放電するように構成されている、電気光学ディスプレイ。
【請求項2】
前記駆動部回路は、非ゼロDCバイアス電圧、ゼロボルトバイアス電圧、または浮動状態に、前記第1の共通電極および前記第2の共通電極を別個に制御するように構成されている、請求項1に記載の電気光学ディスプレイ。
【請求項3】
前記駆動部回路は、前記波形駆動シーケンス中に同一の電圧に前記第1の共通電極および前記第2の共通電極を設定するように構成されている、請求項1に記載の電気光学ディスプレイ。
【請求項4】
前記駆動部回路は、前記波形駆動シーケンス後に前記第1の共通電極を浮動状態にするように構成されている、請求項1に記載の電気光学ディスプレイ。
【請求項5】
前記駆動部回路は、前記波形駆動シーケンス後に前記第2の共通電極をゼロボルトに設定するように構成されている、請求項1に記載の電気光学ディスプレイ。
【請求項6】
前記第1の共通電極は、平面状の伝導性材料を備える、請求項1に記載の電気光学ディスプレイ。
【請求項7】
前記第2の共通電極は、V
comライン信号を備える、請求項1に記載の電気光学ディスプレイ。
【請求項8】
前記駆動部回路は、前記
波形駆動シーケンス後に前記表示ピクセル電極の1フレーム後に前記第1の共通電極を浮動状態にするように構成されている、請求項1に記載の電気光学ディスプレイ。
【請求項9】
前記駆動部回路は、前記
波形駆動シーケンス後に前記表示ピクセル電極の1フレーム前に前記第1の共通電極を浮動状態にするようにさらに構成されている、請求項1に記載の電気光学ディスプレイ。
【請求項10】
電気光学ディスプレイであって、
第1の共通電極と表示ピクセルに関連付けられた表示ピクセル電極との間に配置された電気泳動表示媒体と、
貯蔵コンデンサであって、前記貯蔵コンデンサの第1の端子において前記表示ピクセル電極に結合されている、貯蔵コンデンサと、
前記貯蔵コンデンサの第2の端子に結合されている第2の共通電極と、
前記第1の共通電極、前記第2の共通電極、および前記表示ピクセル電極に関連付けられたトランジスタと電気連通している駆動部回路と
を備え、前記駆動部回路は、前記トランジスタを介して前記第1の共通電極と前記表示ピクセル電極との間に1つ以上の時間依存電圧を印加することによって、波形シーケンスを前記表示ピクセルに印加することができ、前記駆動部回路は、
前記表示ピクセル電極と前記第1の共通電極との間で前記電気泳動表示媒体に駆動電圧を提供するために、波形シーケンスを前記表示ピクセル電極に印加することと、
前記波形シーケンス中に、第1のバイアス電圧を前記第2の共通電極に印加することと、
前記表示ピクセル電極および前記第1の共通電極を浮動状態にすることによって、前記印加された波形シーケンスの完了の後、前記表示ピクセル電極において最後のフレーム電圧レベルを維持することと、
前記貯蔵コンデンサを前記第2の共通電極を通して放電することによって、前記表示ピクセル電極における前記最後のフレーム電圧レベルを放電することであって、前記放電中に、前記第2の共通電極に印加される前記第1のバイアス電圧は、ゼロボルトに設定されている定電圧である、ことと
を行うように構成されている、電気光学ディスプレイ。
【請求項11】
前記駆動部回路は、前記波形シーケンス中に同一の電圧に前記第1の共通電極および前記第2の共通電極を設定するようにさらに構成されている、請求項10に記載の電気光学ディスプレイ。
【請求項12】
前記第1の共通電極は、平面状の伝導性材料を備える、請求項10に記載の電気光学ディスプレイ。
【請求項13】
前記第2の共通電極は、V
comライン信号を備える、請求項10に記載の電気光学ディスプレイ。
【請求項14】
前記駆動部回路は、前記表示ピクセル電極において最後のフレーム電圧レベルを維持するときに、前記表示ピクセル電極の1フレーム後に前記第1の共通電極を浮動状態にするようにさらに構成されている、請求項10に記載の電気光学ディスプレイ。
【請求項15】
前記駆動部回路は、前記表示ピクセル電極において最後のフレーム電圧レベルを維持するときに、前記表示ピクセル電極の1フレーム前に前記第1の共通電極を浮動状態にするようにさらに構成されている、請求項10に記載の電気光学ディスプレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2018年12月30日に出願された、米国仮出願第62/786,437号に関する。
【0002】
前述の出願の開示全体は、参照することによって本明細書に援用される。
【0003】
(技術分野)
本発明は、電気光学ディスプレイ装置に関し、より具体的には、電気光学ディスプレイを駆動するための方法に関する。
【背景技術】
【0004】
粒子ベースの電気泳動ディスプレイが、数年間にわたる精力的な研究および開発の対象となっている。そのようなディスプレイでは、複数の荷電粒子(時として、色素粒子と称される)が、電場の影響下で流体を通して移動する。電場は、典型的には、伝導性フィルム、または電界効果トランジスタ等のトランジスタによって提供される。電気泳動ディスプレイは、液晶ディスプレイと比較すると、良好な輝度およびコントラスト、広い視野角、状態双安定性、ならびに低電力消費量を有する。そのような電気泳動ディスプレイは、LCDディスプレイより低い切替速度を有するが、しかしながら、電気泳動ディスプレイは、典型的には、遅すぎてリアルタイムのビデオを表示することができない。加えて、電気泳動ディスプレイは、流体の粘性が、電気泳動粒子の移動を限定するため、低温において反応が遅くなり得る。これらの欠点にもかかわらず、電気泳動ディスプレイは、電子書籍(電子書籍リーダ)、モバイルフォンおよびモバイルフォンカバー、スマートカード、看板、腕時計、棚ラベル、およびフラッシュドライブ等の日常製品において見出され得る。
【0005】
多くの商業的な電気泳動媒体は、本質的には、2つの色のみを表示し、「グレースケール」として公知である黒色の極限と白色の極限との間の勾配を有する。そのような電気泳動媒体は、第2の異なる色を有する着色流体中の第1の色を有する単一のタイプの電気泳動粒子(その場合、第1の色は、粒子がディスプレイの視認表面に隣接して存在するときに表示され、第2の色は、粒子が視認表面から離間されているときに表示される)か、または着色されていない流体中に異なる第1の色および第2の色を有する第1のタイプの電気泳動粒子および第2のタイプの電気泳動粒子のいずれかを使用する。後者の場合では、第1の色は、第1のタイプの粒子がディスプレイの視認表面に隣接して存在するときに表示され、第2の色は、第2のタイプの粒子が視認表面に隣接して存在するときに表示される。典型的には、2つの色は、黒色および白色である。
【0006】
単純に思われるが、電気泳動媒体および電気泳動デバイスは、複雑な挙動を表示する。例えば、単純な「オン/オフ」電圧パルスが、電子リーダにおいて高品質のテキストを達成するためには不十分であることが発見されている。むしろ、状態間で粒子を駆動し、新しい表示されるテキストが以前のテキストの記憶(すなわち、「残像」)を保有しないことを保証するために、複雑な「波形」が必要とされる。さらに、しばらくの間駆動された後、電荷が、電気泳動媒体の中に蓄積し得、これは、時として、残留電圧と称される。残留電圧は、ディスプレイを経時的に損傷させ、電気泳動媒体に対して光学劣化を引き起こし得る。したがって、電気泳動ディスプレイにおけるこの残留電圧を低減させる必要性が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、電気光学ディスプレイを駆動するための方法であって、ディスプレイは、貯蔵コンデンサに結合される少なくとも1つの表示ピクセルを有し、方法は、波形シーケンスを少なくとも1つの表示ピクセルに印加し、貯蔵コンデンサを第1のバイアス電圧に接続することと、印加された波形の完了の後、表示ピクセルにおいて最後のフレーム電圧レベルを維持することとを含む、方法を提供する。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
電気光学ディスプレイを駆動するための方法であって、前記ディスプレイは、貯蔵コンデンサに結合される少なくとも1つの表示ピクセルを有し、前記方法は、
波形シーケンスを前記少なくとも1つの表示ピクセルに印加し、前記貯蔵コンデンサを第1のバイアス電圧に接続することと、
前記印加された波形の完了の後、前記表示ピクセルにおいて最後のフレーム電圧レベルを維持することと
を含む、方法。
(項目2)
最後のフレーム電圧を維持する前記ステップはさらに、前記貯蔵コンデンサにおいて浮動状態を維持することを含む、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記電気光学ディスプレイはさらに、表示媒体を含む、項目1に記載の方法。
(項目4)
波形を印加する前記ステップはさらに、前記表示媒体を第2のバイアス電圧に接続することを含む、項目3に記載の方法。
(項目5)
前記第2のバイアス電圧は、定電圧源である、項目4に記載の方法。
(項目6)
最後のフレーム電圧レベルを維持する前記ステップはさらに、前記表示媒体において浮動状態を維持することを含む、項目4に記載の方法。
(項目7)
最後のフレーム電圧を維持する前記ステップはさらに、前記表示媒体においてゼロボルトバイアスを維持することを含む、項目4に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本明細書に開示される主題による、電気泳動ディスプレイを図示する。
【0009】
【
図2】
図2は、本明細書に開示される主題による、
図1に提示される電気泳動ディスプレイの等価回路を図示する。
【0010】
【
図3】
図3は、本明細書に開示される主題による、アクティブマトリクス回路を図示する。
【0011】
【
図4】
図4は、本明細書に提示される主題による、表示ピクセルの概略図を図示する。
【0012】
【
図5】
図5は、本明細書に提示される主題による、電気泳動ディスプレイを駆動するための1つの方法を図示する。
【0013】
【
図6】
図6は、本明細書に提示される主題による、電気泳動ディスプレイを駆動するための1つのサンプル設定を図示する。
【0014】
【
図7】
図7は、本明細書に提示される主題による、ディスプレイの白色状態の変動を図示する略図である。
【0015】
【
図8】
図8は、本明細書に提示される主題による、電気泳動ディスプレイを駆動するための別の方法を図示する。
【0016】
【
図9】
図9は、本明細書に提示される主題による、電気泳動ディスプレイを駆動するための別の設定を図示する。
【0017】
【
図10】
図10は、本明細書に提示される主題による、ディスプレイの白色状態の変動を図示する別の略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
上記に示されるように、本明細書で提示される主題は、電気泳動表示媒体の中に蓄積される電荷を低減させ、電気光学ディスプレイ性能を向上させるための方法および手段を提供する。
【0019】
材料またはディスプレイに適用される場合、「電気光学」という用語は、本明細書では、結像技術におけるその従来の意味で使用され、少なくとも1つの光学性質が異なる第1の表示状態および第2の表示状態を有する材料であって、材料への電場の印加によって、その第1の表示状態からその第2の表示状態に変化させられる材料を指す。光学性質は、典型的には、ヒトの眼に知覚可能な色であるが、光の透過率、反射率、発光率、または機械読取を対象としたディスプレイの場合は、可視範囲外の電磁波長の反射率の変化という意味での疑似色等の別の光学性質であり得る。
【0020】
「グレー状態」という用語は、本明細書では、結像技術におけるその従来の意味において、ピクセルの2つの極限光学状態の中間の状態を指すために使用され、必ずしも、これらの2つの極限状態の間の黒白遷移を暗示するわけではない。例えば、下記に参照されるE Ink特許および出願公開のうちのいくつかは、中間の「グレー状態」が、実際には淡い青色であるような、極限状態が白色ならびに濃青色である電気泳動ディスプレイを説明する。実際には、既述のように、光学状態の変化は、全く色の変化ではない場合がある。用語「黒色」および「白色」は、以降、ディスプレイの2つの極限状態を指すために使用され得、通常、厳密には黒色および白色ではない極限光学状態、例えば、前述の白色および濃青色状態を含むと理解されるべきである。「モノクロ」という用語は、以降、ピクセルを、介在するグレー状態を有しないそれらの2つの極限光学状態のみに駆動する駆動スキームを示すために使用され得る。
【0021】
「双安定」および「双安定性」という用語は、本明細書では、当技術分野におけるそれらの従来の意味において使用され、少なくとも1つの光学性質が異なる第1の表示状態および第2の表示状態を有する表示要素を備えるディスプレイであって、その第1の表示状態または第2の表示状態のうちのいずれかを呈するように、有限持続時間のアドレス指定パルスを用いて任意の所与の要素が駆動された後、アドレス指定パルスが終了した後に表示要素の状態を変化させるために要求されるアドレス指定パルスの最小持続時間の少なくとも数倍(例えば、少なくとも4倍)にわたってその状態が持続するようなディスプレイを指す。米国特許出願公開第2002/0180687号(対応する国際出願公開第WO
02/079869号も参照)では、グレースケール対応のいくつかの粒子ベースの電気泳動ディスプレイが、それらの極限の黒色状態および白色状態においてだけではなく、それらの中間グレー状態においても安定しており、同じことがいくつかの他のタイプの電気光学ディスプレイにも当てはまることが示されている。このタイプのディスプレイは、正しくは、双安定ではなく「多安定」と呼ばれるが、便宜上、「双安定」という用語が、本明細書では、双安定ディスプレイおよび複数安定ディスプレイの両方を網羅するために使用され得る。
【0022】
「インパルス」という用語は、本明細書では、時間に対する電圧の積分というその従来の意味で使用される。しかしながら、いくつかの双安定電気光学媒体は、電荷トランスデューサとして作用し、そのような媒体では、インパルスの代替的な定義、すなわち、経時的な電流の積分(印加される総電荷に等しい)が、使用され得る。媒体が、電圧-時間インパルストランスデューサとして作用するか、または電荷インパルストランスデューサとして作用するか応じて、インパルスの適切な定義が、使用されるべきである。
【0023】
カプセル化された電気泳動媒体を説明するMassachusetts Institute of Technology(MIT)およびE Ink Corporationに譲渡された多数の特許および出願、またはそれらの名義である多数の特許ならびに出願が、最近、公開された。そのようなカプセル化された媒体は、多数の小カプセルを備え、その各々自体が、液体懸濁媒体中に懸濁される電気泳動的可動粒子を含有する内相と、内相を囲繞するカプセル壁とを備える。典型的には、カプセル自体は、ポリマーバインダ内に保持され、2つの電極間に位置付けられるコヒーレント層を形成する。これらの特許および出願において説明される技術は、以下を含む。
【0024】
(a)電気泳動粒子、流体、および流体添加剤(例えば、米国特許第7,002,728号および米国特許第7,679,814号参照)
【0025】
(b)カプセル、バインダ、およびカプセル化プロセス(例えば、米国特許第6,922,276号および米国特許第7,411,719号参照)
【0026】
(c)マイクロセル構造、壁材料、およびマイクロセルを形成する方法(例えば、米国特許第7,072,095号および米国特許第9,279,906号参照)
【0027】
(d)マイクロセルを充填し、封止するための方法(例えば、米国特許第7,144,942号および米国特許第7,715,088号参照)
【0028】
(e)電気光学材料を含有するフィルムおよびサブアセンブリ(例えば、米国特許第6,982,178号および米国特許第7,839,564号参照)
【0029】
(f)ディスプレイにおいて使用されるバックプレーン、接着剤層、および他の補助層ならびに方法(例えば、米国特許第D485,294号、米国特許第6,124,851号、米国特許第6,130,773号、米国特許第6,177,921号、米国特許第6,232,950号、米国特許第6,252,564号、米国特許第6,312,304号、米国特許第6,312,971号、米国特許第6,376,828号、米国特許第6,392,786号、米国特許第6,413,790号、米国特許第6,422,687号、米国特許第6,445,374号、米国特許第6,480,182号、米国特許第6,498,114号、米国特許第6,506,438号、米国特許第6,518,949号、米国特許第6,521,489号、米国特許第6,535,197号、米国特許第6,545,291号、米国特許第6,639,578号、米国特許第6,657,772号、米国特許第6,664,944号、米国特許第6,680,725号、米国特許第6,683,333号、米国特許第6,724,519号、米国特許第6,750,473号、米国特許第6,816,147号、米国特許第6,819,471号、米国特許第6,825,068号、米国特許第6,831,769号、米国特許第6,842,167号、米国特許第6,842,279号、米国特許第6,842,657号、米国特許第6,865,010号、米国特許第6,873,452号、米国特許第6,909,532号、米国特許第6,967,640号、米国特許第6,980,196号、米国特許第7,012,735号、米国特許第7,030,412号、米国特許第7,075,703号、米国特許第7,106,296号、米国特許第7,110,163号、米国特許第7,116,318号、米国特許第7,148,128号、米国特許第7,167,155号、米国特許第7,173,752号、米国特許第7,176,880号、米国特許第7,190,008号、米国特許第7,206,119号、米国特許第7,223,672号、米国特許第7,230,751号、米国特許第7,256,766号、米国特許第7,259,744号、米国特許第7,280,094号、米国特許第7,301,693号、米国特許第7,304,780号、米国特許第7,327,511号、米国特許第7,347,957号、米国特許第7,349,148号、米国特許第7,352,353号、米国特許第7,365,394号、米国特許第7,365,733号、米国特許第7,382,363号、米国特許第7,388,572号、米国特許第7,401,758号、米国特許第7,442,587号、米国特許第7,492,497号、米国特許第7,535,624号、米国特許第7,551,346号、米国特許第7,554,712号、米国特許第7,583,427号、米国特許第7,598,173号、米国特許第7,605,799号、米国特許第7,636,191号、米国特許第7,649,674号、米国特許第7,667,886号、米国特許第7,672,040号、米国特許第7,688,497号、米国特許第7,733,335号、米国特許第7,785,988号、米国特許第7,830,592号、米国特許第7,843,626号、米国特許第7,859,637号、米国特許第7,880,958号、米国特許第7,893,435号、米国特許第7,898,717号、米国特許第7,905,977号、米国特許第7,957,053号、米国特許第7,986,450号、米国特許第8,009,344号、米国特許第8,027,081号、米国特許第8,049,947号、米国特許第8,072,675号、米国特許第8,077,141号、米国特許第8,089,453号、米国特許第8,120,836号、米国特許第8,159,636号、米国特許第8,208,193号、米国特許第8,237,892号、米国特許第8,238,021号、米国特許第8,362,488号、米国特許第8,373,211号、米国特許第8,389,381号、米国特許第8,395,836号、米国特許第8,437,069号、米国特許第8,441,414号、米国特許第8,456,589号、米国特許第8,498,042号、米国特許第8,514,168号、米国特許第8,547,628号、米国特許第8,576,162号、米国特許第8,610,988号、米国特許第8,714,780号、米国特許第8,728,266号、米国特許第8,743,077号、米国特許第8,754,859号、米国特許第8,797,258号、米国特許第8,797,633号、米国特許第8,797,636号、米国特許第8,830,560号、米国特許第8,891,155号、米国特許第8,969,886号、米国特許第9,147,364号、米国特許第9,025,234号、米国特許第9,025,238号、米国特許第9,030,374号、米国特許第9,140,952号、米国特許第9,152,003号、米国特許第9,152,004号、米国特許第9,201,279号、米国特許第9,223,164号、米国特許第9,285,648号、および米国特許第9,310,661号、ならびに米国特許出願公開第2002/0060321号、米国特許出願公開第2004/0008179号、米国特許出願公開第2004/0085619号、米国特許出願公開第2004/0105036号、米国特許出願公開第2004/0112525号、米国特許出願公開第2005/0122306号、米国特許出願公開第2005/0122563号、米国特許出願公開第2006/0215106号、米国特許出願公開第2006/0255322号、米国特許出願公開第2007/0052757号、米国特許出願公開第2007/0097489号、米国特許出願公開第2007/0109219号、米国特許出願公開第2008/0061300号、米国特許出願公開第2008/0149271号、米国特許出願公開第2009/0122389号、米国特許出願公開第2009/0315044号、米国特許出願公開第2010/0177396号、米国特許出願公開第2011/0140744号、米国特許出願公開第2011/0187683号、米国特許出願公開第2011/0187689号、米国特許出願公開第2011/0292319号、米国特許出願公開第2013/0250397号、米国特許出願公開第2013/0278900号、米国特許出願公開第2014/0078024号、米国特許出願公開第2014/0139501号、米国特許出願公開第2014/0192000号、米国特許出願公開第2014/0210701号、米国特許出願公開第2014/0300837号、米国特許出願公開第2014/0368753号、米国特許出願公開第2014/0376164号、米国特許出願公開第2015/0171112号、米国特許出願公開第2015/0205178号、米国特許出願公開第2015/0226986号、米国特許出願公開第2015/0227018号、米国特許出願公開第2015/0228666号、米国特許出願公開第2015/0261057号、米国特許出願公開第2015/0356927号、米国特許出願公開第2015/0378235号、米国特許出願公開第2016/077375号、米国特許出願公開第2016/0103380号、および米国特許出願公開第2016/0187759号、ならびに国際出願公開第WO 00/38000号、欧州特許第1,099,207
B1号および欧州特許第1,145,072 B1号参照)
【0030】
(g)色形成および色調節(例えば、米国特許第7,075,502号および米国特許第7,839,564号参照)
【0031】
(h)ディスプレイを駆動するための方法(例えば、米国特許第7,012,600号および米国特許第7,453,445号参照)
【0032】
(i)ディスプレイの適用(例えば、米国特許第7,312,784号および米国特許第8,009,348号参照)
【0033】
(j)非電気泳動ディスプレイ(米国特許第6,241,921号、および米国特許出願公開第2015/0277160号、ならびに米国特許出願公開第2015/0005720号、および米国特許出願公開第2016/0012710号で説明されている)
【0034】
上記の特許および特許出願の全てが、参照することによってそれらの全体として本明細書に援用される。
【0035】
前述の特許および出願の多くは、カプセル化された電気泳動媒体中の個別のマイクロカプセルを囲繞する壁が、連続相によって取って代わられ得、したがって、これは、電気泳動媒体が電気泳動流体の複数の個別の液滴とポリマー材料の連続相とを備えるいわゆるポリマー分散型電気泳動ディスプレイを生産すること、ならびにそのようなポリマー分散型電気泳動ディスプレイ内の電気泳動流体の個別の液滴は、個別のカプセル膜が各個々の液滴と関連付けられないにもかかわらず、カプセルまたはマイクロカプセルとして見なされ得ることを認識する(例えば、前述の米国特許出願公開第2002/0131147号参照)。故に、本出願の目的のために、そのようなポリマー分散型電気泳動媒体は、カプセル化された電気泳動媒体の亜種として見なされる。
【0036】
カプセル化された電気泳動ディスプレイは、典型的には、従来的電気泳動デバイスのクラスタ化および沈降故障モードを被らず、多種多様の可撓性基板および剛性基板上にディスプレイを印刷またはコーティングするための能力等のさらなる利点を提供する。(「印刷」という語の使用は、限定ではないが、事前計量コーティング(パッチダイコーティング、スロットコーティングまたは押出コーティング、スライドコーティングまたはカスケードコーティング、カーテンコーティング等)、ロールコーティング(ナイフオーバーロールコーティング、フォワード・リバースロールコーティング等)、グラビアコーティング、浸漬コーティング、スプレーコーティング、メニスカスコーティング、スピンコーティング、ブラシコーティング、エアナイフコーティング、シルクスクリーン印刷プロセス、静電印刷プロセス、感熱印刷プロセス、インクジェット印刷プロセス、および他の同様の技法を含む、あらゆる形態の印刷ならびにコーティングを含むことを意図する。)したがって、結果として生じるディスプレイは、可撓性であり得る。さらに、表示媒体は、(種々の方法を使用して)印刷され得るため、ディスプレイ自体は、安価に作製され得る。
【0037】
関連タイプの電気泳動ディスプレイは、いわゆる、「マイクロセル電気泳動ディスプレイ」である。マイクロセル電気泳動ディスプレイでは、荷電粒子および懸濁流体は、マイクロカプセル内にカプセル化されず、代わりに、キャリア媒体、典型的には、ポリマーフィルム内に形成される複数の空洞内に保有される。例えば、国際出願公開第WO 02/01281号および米国特許出願公開第2002/0075556号(両方とも、Sipix Imaging, Inc.に譲渡された)を参照されたい。
【0038】
前述のタイプの電気光学ディスプレイは、双安定であり、典型的には、反射モードで使用されるが、前述の特許および出願のうちのあるものにおいて説明されるように、そのようなディスプレイは、「シャッタモード」で動作し得、シャッタモードでは、ディスプレイが透過モードで動作するように、電気光学媒体が、光の透過を変調させるために使用される。ポリマー分散型液晶を含む液晶もまた、当然ながら、電気光学媒体であるが、典型的には、双安定ではなく、透過モードで動作する。下記に説明される本発明のある実施形態は、反射型ディスプレイと併用するように限局される一方、他のものは、従来の液晶ディスプレイを含む反射型ディスプレイおよび透過型ディスプレイの両方と併用されてもよい。
【0039】
ディスプレイが反射型であるか、または透過型であるかにかかわらず、かつ、使用される電気光学媒体が双安定性であるかどうかにかかわらず、高分解能ディスプレイを取得するために、ディスプレイの個々のピクセルは、隣接するピクセルからの干渉なくアドレス可能でなければならない。この目的を達成するための1つの方法は、「アクティブマトリクス」ディスプレイを生産するように、少なくとも1つの非線形要素が各ピクセルと関連付けられているトランジスタまたはダイオード等の非線形要素のアレイを提供することである。1つのピクセルをアドレス指定するアドレス指定電極またはピクセル電極が、関連付けられる非線形要素を通して適切な電圧源に接続される。典型的には、非線形要素がトランジスタであるとき、ピクセル電極は、トランジスタのドレインに接続され、この配列が、以下の説明において仮定されるが、本質的に恣意的であり、ピクセル電極は、トランジスタのソースに接続され得る。従来、高分解能アレイでは、ピクセルは、任意の具体的なピクセルが1つの特定の行および1つの特定の列の交点によって一意に画定されるように、行および列の2次元アレイで配列される。各列内の全てのトランジスタのソースが、単一の列電極に接続される一方、各行内の全てのトランジスタのゲートは、単一の行電極に接続され、再度、行へのソースの割当および列へのゲートの割当は、従来のものであるが、本質的に恣意的であり、所望される場合、逆にされ得る。行電極は、行駆動部に接続され、行駆動部は、本質的に、任意の所与の瞬間において1つのみの行が選択されることを確実にし、すなわち、選択された行内のトランジスタ全てが伝導性であること等を確実にするように、選択された行電極に電圧が印加されている一方、選択されていない行内のトランジスタ全てが非伝導性のままであることを確実にするように、電圧がこれらの全ての他の行に印加されている。列電極は、列駆動部に接続され、列駆動部は、選択された行内のピクセルをそれらの所望の光学状態に駆動するように選択される電圧を種々の列電極にかける。(前述の電圧は、共通前面電極に対するものであり、共通前面電極は、従来、非線形アレイから電気光学媒体の反対側に提供され、ディスプレイ全体にわたって延在する。)「ラインアドレス時間」として既知の事前選択された間隔の後、選択された行が、選択解除され、次の行が、選択され、列駆動部における電圧が、ディスプレイの次のラインが書き込まれるように変更される。このプロセスは、ディスプレイ全体が行毎の態様で書き込まれるように繰り返される。
【0040】
アクティブマトリクスディスプレイを製造するためのプロセスが、しっかりと確立されている。薄膜トランジスタは、例えば、種々の堆積およびフォトリソグラフィ技術を使用して製作され得る。トランジスタは、ゲート電極と、絶縁誘電層と、半導体層と、ソース電極およびドレイン電極とを含む。ゲート電極への電圧の印加は、誘電層にわたる電場を提供し、これは、半導体層のソース/ドレイン間伝導性を劇的に増加させる。この変化は、ソース電極とドレイン電極との間の導電を可能にする。典型的には、ゲート電極、ソース電極、およびドレイン電極が、パターン化される。一般に、半導体層もまた、近隣回路要素間の浮遊伝導(すなわち、クロストーク)を最小限にさせるためにパターン化される。
【0041】
液晶ディスプレイは、一般的には、表示ピクセルのための切替デバイスとして、アモルファスシリコン(「a-Si」)薄膜トランジスタ(「TFT」)を採用する。そのようなTFTは、典型的には、ボトムゲート型構成を有する。1つのピクセル内で、薄膜コンデンサが、典型的には、切替TFTによって移送される電荷を保持する。電気泳動ディスプレイは、コンデンサを有する同様のTFTを使用し得るが、コンデンサの機能は、液晶ディスプレイにおけるものとは幾分異なる(前述の同時係属出願第09/565,413号、ならびに出願公開第2002/0106847号および出願公開第2002/0060321号参照)。薄膜トランジスタは、高性能を提供するように作製され得る。しかしながら、製作プロセスは、著しいコストをもたらし得る。
【0042】
TFTアドレス指定アレイでは、ピクセル電極は、ラインアドレス指定時間の間、TFTを介して充電される。ラインアドレス時間の間、TFTは、印加されるゲート電圧を変更することによって、伝導状態に切り替えられる。例えば、n型TFTに関して、TFTを伝導状態に切り替えるために、ゲート電圧が、「高」状態に切り替えられる。
【0043】
さらに、電圧偏移等の不要な影響が、表示ピクセルに駆動波形を供給するデータラインとピクセル電極との間で発生するクロストークによって引き起こされ得る。上記に説明される電圧偏移と同様に、データラインとピクセル電極との間のクロストークは、表示ピクセルがアドレス指定されていない(例えば、関連付けられるピクセルTFTが枯渇している)ときでさえ、2者の間の容量結合によって引き起こされ得る。そのようなクロストークは、電圧偏移をもたらし得、電圧偏移は、画像筋等の光学アーチファクトにつながり得るため、望ましくない。
【0044】
ある場合には、電気泳動ディスプレイ、すなわち、EPDは、2つの基板(例えば、プラスチックまたはガラス)を含み得、フロントプレーンラミネート、すなわち、FPLが、2つの基板の間に位置付けられる。いくつかの実施形態では、上部基板の底部は、伝導性電極(すなわち、Vcom平面)として機能するために、透明な伝導性材料でコーティングされ得る。下側基板の上部は、電極要素のアレイ(例えば、表示ピクセル毎の伝導性電極)を含み得る。薄膜トランジスタ、すなわち、TFT等の半導体スイッチが、これらのピクセル電極の各々と関連付けられ得る。ピクセル電極およびVcom平面へのバイアス電圧の印加が、FPLの電気光学変換をもたらし得る。この光学変換が、EPD上でのテキストまたグラフィック情報の表示のための基礎として使用され得る。所望の画像を表示するために、適切な電圧が、各ピクセル電極に印加される必要がある。
【0045】
図1は、本明細書に提示される主題による、電気光学ディスプレイの表示ピクセル100の概略的モデルを図示する。ピクセル100は、結像フィルム110を含み得る。いくつかの実施形態では、結像フィルム110は、電気泳動材料の層であり、本質的に双安定であり得る。この電気泳動材料は、複数の荷電着色色素粒子(例えば、黒色、白色、黄色、または赤色)を含み得、複数の荷電着色色素粒子は、流体中に配置され、電場の影響下で流体を通して移動することが可能である。いくつかの実施形態では、結像フィルム110は、荷電色素粒子を有するマイクロセルを有する電気泳動フィルムであり得る。いくつかの他の実施形態では、結像フィルム110は、限定ではないが、例えば、荷電色素粒子を含み得るカプセル化された電気泳動結像フィルムを含み得る。下記に提示される駆動方法が、いずれのタイプの電気泳動材料(例えば、カプセル化型またはマイクロセルを有するフィルム)のためにも容易に取り入れられ得ることを理解されたい。
【0046】
いくつかの実施形態では、結像フィルム110は、前面電極102と背面電極またはピクセル電極104との間に配置され得る。前面電極102は、結像フィルムとディスプレイの前面との間に形成され得る。いくつかの実施形態では、前面電極102は、透明かつ光透過性であり得る。いくつかの実施形態では、前面電極102は、限定ではないが、酸化インジウムスズ(ITO)を含む任意の好適な透明材料から形成され得る。背面電極104は、前面電極102に対する結像フィルム110の反対側に形成され得る。いくつかの実施形態では、寄生容量(図示せず)が、前面電極102と背面電極104との間に形成され得る。
【0047】
ピクセル100は、複数のピクセルのうちの1つであり得る。複数のピクセルは、任意の具体的なピクセルが、1つの特定の行および1つの特定の列の交点によって一意に画定されるように、行および列の2次元アレイで配列され、マトリクスを形成し得る。いくつかの実施形態では、ピクセルのマトリクスは、各ピクセルが少なくとも1つの非線形回路要素120と関連付けられる「アクティブマトリクス」であり得る。非線形回路要素120は、裏面平板電極104とアドレス指定電極108との間に結合され得る。いくつかの実施形態では、非線形要素120は、ダイオード、および/または、限定ではないが、MOSFETもしくは薄膜トランジスタ(TFT)を含むトランジスタであり得る。MOSFETまたはTFTのドレイン(もしくはソース)は、裏面平板電極またはピクセル電極104に結合され得、MOSFETまたはTFTのソース(もしくはドレイン)は、アドレス指定電極108に結合され得、MOSFETまたはTFTのゲートは、MOSFETまたはTFTのアクティブ化および非アクティブ化を制御するように構成される駆動部電極106に結合され得る。(単純化のために、裏面平板電極104に結合されるMOSFETまたはTFTの端子は、MOSFETまたはTFTのドレインと称され、アドレス指定電極108に結合されるMOSFETまたはTFTの端子は、MOSFETまたはTFTのソースと称される。しかしながら、当業者は、いくつかの実施形態では、MOSFETまたはTFTのソースおよびドレインが入れ換えられ得ることを認識するであろう。)
【0048】
アクティブマトリクスのいくつかの実施形態では、各列内のピクセル全てのアドレス指定電極108は、同一の列電極に接続され得、各行内のピクセル全ての駆動部電極106は、同一の行電極に接続され得る。行電極は、行駆動部に接続され得、行駆動部は、選択される行内のピクセル100全ての非線形要素120をアクティブ化するために十分な電圧を、選択される行電極に印加することによって、ピクセルの1または複数の行を選択し得る。列電極は、列駆動部に接続され得、列駆動部は、ピクセルを所望の光学状態に駆動するために好適な電圧を、選択される(アクティブ化される)ピクセルのアドレス指定電極106にかけ得る。アドレス指定電極108に印加される電圧は、ピクセルの前面平板電極102に印加された電圧に相対的であり得る(例えば、約ゼロボルトの電圧)。いくつかの実施形態では、アクティブマトリクス内のピクセル全ての前面平板電極102が、共通電極に結合され得る。
【0049】
使用時、アクティブマトリクスのピクセル100は、行毎の態様で書き込まれ得る。例えば、ピクセルの行が、行駆動部によって選択され得、ピクセルの行に関する所望の光学状態に対応する電圧が、列駆動部によってピクセルに印加され得る。「ラインアドレス時間」として既知の事前選択された間隔の後、選択された行が、選択解除され得、別の行が、選択され得、列駆動部における電圧が、ディスプレイの別の行が書き込まれるように変更され得る。
【0050】
図2は、本明細書に提示される主題による、前面電極102と背面電極104との間に配置される電気光学結像層110の回路モデルを図示する。抵抗器202およびコンデンサ204は、任意の接着層を含む、電気光学結像層110、前面電極102、および背面電極104の抵抗および静電容量を表し得る。抵抗器212およびコンデンサ214は、積層接着層の抵抗および静電容量を表し得る。コンデンサ216は、前面電極102と裏面電極104との間、例えば、結像層と積層接着層との間および/または積層接着層とバックプレーン電極との間の界面等、層間の界面接触領域に生じ得る静電容量を表し得る。ピクセルの結像フィルム110にわたる電圧Viは、ピクセルの残留電圧を含み得る。
【0051】
図3は、電気泳動ディスプレイを駆動するための例示的アクティブマトリクスを図示する。いくつかの実施形態では、電気泳動ディスプレイの各表示ピクセルは、薄膜トランジスタ(TFT)によって制御され得る。このTFTは、駆動電圧を受け取り、関連付けられる表示ピクセルの光学状態を変調させるようにオンおよびオフにされ得る。関連付けられる表示ピクセルの駆動を効果的に制御するために、
図3に図示されるような各TFT102は、ゲートライン信号と、データライン信号と、V
comライン信号と、貯蔵コンデンサとを提供され得る。一実施形態では、
図1に図示されるように、各TFT102のゲートは、走査ラインに電気的に結合され得、トランジスタのソースまたはドレインは、データラインに接続され得、貯蔵コンデンサの2つの端子は、それぞれ、V
comラインおよびピクセル電極のピクセルに接続され得る。いくつかの実施形態では、上部基板の底部におけるV
comおよび底部基板の上部におけるV
comライングリッドは、同一のDC源に接続され得る。
【0052】
図4は、本明細書に開示される主題による、表示ピクセル400の上面図を図示する。表示ピクセル400は、表示ピクセルを駆動するように構成されるピクセル電極404を含む。使用時、表示ピクセル400は、ピクセル電極404上に誘起される一連の電圧パルスによって駆動される。一連の電圧パルスは、トランジスタ408を通してピクセル電極204に印加され得る。トランジスタ408は、ピクセル電極404につながる信号経路をオンおよびオフに切り替えるスイッチとして機能し得る。例えば、トランジスタ408のゲート416は、信号選択ゲートライン402に接続され得る。使用時、このゲート402は、トランジスタ408のゲート416に電圧を印加し、または印加しないことによって、トランジスタ408を選択的にオンおよびオフにするために使用され得る。さらに、一連の電圧パルスは、データライン406を通して供給され得る。このデータライン406はまた、
図4に図示されるように、トランジスタ408に電気的に結合される。動作時、信号(例えば、電気パルス)が、ゲートライン402を通して伝送され、トランジスタ408をアクティブ化またはオンにし得、いったんトランジスタ408がオンにされると、データライン406を通して印加された信号が、トランジスタ408を通してピクセル電極404に伝送され得る。また、
図4に提示されるものは、V
comライン410である。いくつかの実施形態では、このV
comライン410は、ディスプレイの上部電極(
図4に示されず)に電気的に結合され、上部電極を一定の電圧レベル(例えば、V
com)に保ち得る。通常、このV
comライン410は、ピクセル電極404の下方に位置付けられるデバイスレベルにある。また、このV
comライン410に接続されるものは、貯蔵コンデンサの電極414であり、電極414は、V
comライン40と同一のデバイス層上に位置付けられ得る。いくつかの実施形態では、この貯蔵コンデンサは、
図6に図示される貯蔵コンデンサCst602または
図9に図示されるCst902であり得る。
【0053】
図5は、EPDを駆動する1つの方法を図示する。この構成では、貯蔵コンデンサ、すなわち、Cstと、その抵抗Repdによって表されるEPD電気泳動材料層とが、
図6に図示されるように、一定電圧Vcomにともに繋合される。動作時、EPDの表示ピクセルを駆動する波形は、0V駆動部分で終了し、残存電圧全てを貯蔵コンデンサ(すなわち、Cst)に放電し得る。
【0054】
しかしながら、いくつかの場合には、EPDモジュールは、EPDの光学品質の不要な変動または偏移につながり得るキックバック電圧を被り得る。
図7は、キックバック効果に起因するEPDの白色状態の偏移を示すプロットを図示し、キックバック効果は、完全な偏光の後、電極が両方とも、媒体上のいかなる画像の消去ももたらし得る接地に接続された(または共通電位にされた)場合、最初に印加された電場に等しいかまたはそれと反対の電場に起因してディスプレイの内相によって経験される効果であり得る。
【0055】
ここで
図7を参照すると、駆動波形または波形シーケンスの終了部が、時間スケールの27.7付近に存在し、白色状態のL*は、瞬時に約8L*減衰する。
図7に図示されるものは、厳密には、
図5の波形が0V駆動に変化した時点におけるものである。
【0056】
代替として、
図8および
図9に図示されるように、貯蔵コンデンサ(すなわち、Cst902)およびEPD表示媒体層(すなわち、Repd904)は、別個にバイアスされ得る。例えば、貯蔵コンデンサCst902は、
図4に図示されるVcomライン410と同様のVcomライン(例えば、TFT Vcom906)によってバイアスされ得る。一方、表示媒体Repd904は、上記に述べられるようなVcom平面(例えば、FPL Vcom908)によって別個にバイアスおよび制御され得る。さらに、波形駆動シーケンスの終了時において、ゼロボルト駆動の周期の代わりに、関連付けられるTFTのソースおよびゲートが、電力遮断され得る。言い換えると、表示ピクセルは、波形の最後のフレームの電圧に、または実質的に浮動状態(すなわち、ピクセルが、実質的に絶縁されるか、またはいかなる伝導性経路にも接続されていないかのような状態)に保たれ得る。そして、貯蔵コンデンサは、徐々に放電され得る。いくつかの実施形態では、FPL
Vcom908は、次のフレームにおいて浮動状態に置かれるように構成され得る。いくつかの実施形態では、ピクセルとVcom制御との間にわずかなタイミング差が存在することを確実にするために、FPL Vcom908電圧は、波形がピクセルにおいて終了することに先立って、1フレーム分浮動するように設定され得る。いくつかの実施形態では、TFT Vcom906電圧は、異なるように制御され、ゼロボルトまたはあるDC電圧のいずれかに設定され、貯蔵コンデンサが適切に充電されることを確実にし得る。いくつかの他の実施形態では、TFT Vcom906は、浮動状態になるように構成され得、FPL Vcom908は、浮動状態またはゼロボルトバイアスのいずれかであるように構成され得る。
【0057】
代替として、TFT Vcom906およびFPL Vcom908電圧は、
図5に図示される実施形態のように、浮動状態であるように電気的に結合され、プログラムされ得る。
【0058】
いくつかの実施形態では、本明細書に説明されるような電気光学ディスプレイは、最初に、波形シーケンスをディスプレイの表示ピクセルに印加し、表示ピクセルと関連付けられる貯蔵コンデンサを、TFT Vcom電圧等の第1のバイアス電圧に接続し、駆動シーケンスの完了時に、表示ピクセルにおいて最後のフレーム電圧レベルを維持することによって、駆動され得る。さらに、駆動シーケンスの終了時に、貯蔵コンデンサは、浮動状態に保たれ得、ディスプレイの表示媒体は、浮動状態またはゼロボルトバイアスに保たれ得る。
【0059】
図8に図示される駆動方法は、ルックアップテーブル(LUT)内のいくつかの波形または全ての波形に適用され得る。例えば、LUTが、黒色状態と、白色状態と、赤色状態と、黄色状態、したがって、4つの波形を有する場合、設計者が、
図8で説明されるシーケンスを起動し得る波形(単数または複数)を選定し得る。また、それらは、LUTの最後のフレームにおいて終了してもよく、このシーケンスを起動しない他の波形は、ゼロボルトに駆動するために少なくとも1つのフレーム分早く終了することが必要とされる。この駆動シーケンスは、キックバック効果を排除するか、または少なくともそれを低減させ得る。新しいシーケンスの光学トレース線が、
図10に図示される。