IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コイズ カンパニー リミテッドの特許一覧

特許7438315LED光とミスト噴射式非接触超音波皮膚美容装置
<>
  • 特許-LED光とミスト噴射式非接触超音波皮膚美容装置 図1
  • 特許-LED光とミスト噴射式非接触超音波皮膚美容装置 図2
  • 特許-LED光とミスト噴射式非接触超音波皮膚美容装置 図3
  • 特許-LED光とミスト噴射式非接触超音波皮膚美容装置 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-15
(45)【発行日】2024-02-26
(54)【発明の名称】LED光とミスト噴射式非接触超音波皮膚美容装置
(51)【国際特許分類】
   A61N 5/06 20060101AFI20240216BHJP
【FI】
A61N5/06 Z
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2022189381
(22)【出願日】2022-11-28
(65)【公開番号】P2023081855
(43)【公開日】2023-06-13
【審査請求日】2022-11-28
(31)【優先権主張番号】10-2021-0169878
(32)【優先日】2021-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】522463750
【氏名又は名称】コイズ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウ、チェ-ヒョン
【審査官】滝沢 和雄
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2021-0035709(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2021-0009262(KR,A)
【文献】韓国特許第10-1946271(KR,B1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0016290(US,A1)
【文献】国際公開第2020/085727(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2021-0126835(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0134624(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 5/06
A61M 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波と光を照射して、使用者の顔に化粧料が効果的に吸収されることができるようにする皮膚美容装置であって、
構成要素の動作を制御するコントローラ(102)と、
商用電源またはバッテリから電源を供給する電源部(104)と、
一側一部分が開放され、内部に空間が形成される半球状のドームマスク(106)と、
前記ドームマスク(106)の内部天井面に設けられて、光を発散するLED光源(108)と、
前記ドームマスク(106)の内部天井面に設けられて、超音波を発生する超音波発振器(110)と、
前記ドームマスク(106)の内部天井面に設けられ、貯蔵タンク(114)に貯蔵された化粧料を微細粒子状に変換して噴射する噴射ノズル(112)と、を含む、LED光とミスト噴射式非接触超音波皮膚美容装置であって、
前記超音波発振器(110)が発生する超音波は、前記ドームマスク(106)の内部空間に噴射された化粧料の微細粒子を振動させ、これによって光の散乱を増加させ、前記使用者の顔の皮膚に残っている異物の分離が容易になるようにし、前記化粧料の微細粒子はサイズが前記LED光源(108)で照射された光の波長より長く前記光前記化粧料の微細粒子にヒットしてレイリー散乱系からミー散乱系に変換して散乱され前記ミー散乱系に変換した光は前記化粧料の微細粒子を高速で振動させ、前記使用者の顔に到逹する前記化粧料の量が多くなり、
前記LED光源(108)と、前記超音波発振器(110)と、前記噴射ノズル(112)は、前記ドームマスク(106)の内部天井面に対して角度調節が可能に設けられることを特徴とする、LED光とミスト噴射式非接触超音波皮膚美容装置。
【請求項2】
前記化粧料は、酸素が溶解されている酸素溶存溶液を含むことを特徴とする、請求項1に記載のLED光とミスト噴射式非接触超音波皮膚美容装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は LED光とミスト噴射式非接触超音波皮膚美容装置に関し、より詳しくは、化粧料が含有されたミストを顔の皮膚に効果的に染み込ませることができるようにするために、超音波を利用して光の散乱系変換を誘導して、光エネルギーとミストソリューションの皮膚浸透を増加させ、皮膚表面の残余異物の除去に役立つようにするLED光とミスト噴射式非接触超音波皮膚美容装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、皮膚に光を照射して皮膚美容を改善したり、または皮膚を治療する技術が開発されており、これに関する製品が発売されている。
【0003】
例えば、大韓民国特許公開第10-2018-0134624号における「多波長光源部を備える顔面マスク」は、多様な波長の光を照射するLED光源部を有する顔面マスクを提供して、皮膚美容に用いるようにしている。
【0004】
LED光を皮膚治療に利用する場合、傷の治癒、にきびの治癒、皮膚修復など多様な分野で用いられることができ、例えば、大韓民国特許公開第10-2012-0009571号における「LEDに基づく皮膚治療システム及び方法」は、LED光を利用して皮膚を治療する装置を開示する。
【0005】
このように、LEDのような光源手段で放出される光を利用して皮膚美容や皮膚治療を行うことができるが、この場合、放出される光によって熱が発生し、これを冷却する問題が浮上する。
【0006】
従来LED光で皮膚を治療する場合、導子などを皮膚に接触して皮膚を冷却していたが、これは、非常に不便であった。
【0007】
したがって、LED光などのように、光照射で皮膚美容または皮膚治療をしながら、皮膚に接触しない非接触式で楽で安定的に皮膚を冷却させることができる方法が求められている。
【0008】
一方、LED光を照射しながら、冷却とともに皮膚に必要な美容成分や薬物など皮膚の改善に良い成分を提供することができれば好ましいと考えられるので、このような技術が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
(特許文献1)KR10-2021-0009262 A
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述した問題点を解決するための本発明は、LED光源で照射される光がレイリー散乱系からミー散乱系に変換されて、光の直進性を増加させることができるように、ドームマスク空間内部に超音波を発生させるようにするLED光とミスト噴射式非接触超音波皮膚美容装置を提供することを目的とする。
【0011】
また、超音波が顔の皮膚に接触するようにすることにより、毛穴や皮膚の表面に残っている異物が排出されることができるようにするLED光とミスト噴射式非接触超音波皮膚美容装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した問題点を解決するために案出された本発明は、超音波と光を照射して、使用者の顔に化粧料が効果的に吸収されることができるようにする皮膚美容装置であって、構成要素の動作を制御するコントローラ102と、商用電源またはバッテリから電源を供給する電源部104と、一側一部分が開放され、内部に空間が形成される半球状のドームマスク106と、前記ドームマスク106の内部天井面に設けられて、光を発散するLED光源108と、前記ドームマスク106の内部天井面に設けられて、超音波を発生する超音波発振器110と、前記ドームマスク106の内部天井面に設けられ、貯蔵タンク114に貯蔵された化粧料を微細粒子を有するミストで噴射する噴射ノズル112と、を含む。
【0013】
前記超音波発振器110が発生する超音波は、前記ドームマスク106の内部空間に噴射されたミストの大きさが大きくなるようにし、前記LED光源108で照射された光は、レイリー散乱系からミー散乱系に変換して散乱されることを特徴とする。
【0014】
前記LED光源108と、前記超音波発振器110と、前記噴射ノズル112は、前記ドームマスク106の内部天井面に対して角度調節が可能に設けられることを特徴とする。
【0015】
前記化粧料は、酸素が溶解されている酸素溶存溶液を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係ると、光の散乱系を変換させることにより、光の直進性が大きくなって、皮膚美容に効果的な光が顔に円滑に伝達されることができるようにし、超音波によって顔の皮膚に残っている異物をきれいに取り除くことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】光の散乱系を説明した図面。
図2】本発明の皮膚美容装置の構造を示した断面図。
図3】皮膚美容装置の構成要素を示したブロック図。
図4】光が顔に到逹する環境を示した概念図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施形態に係る「LED光とミスト噴射式非接触超音波皮膚美容装置」(以下、『皮膚美容装置』とする)について説明する。
【0019】
図1は、光の散乱系を説明した図面であり、図2は、本発明の皮膚美容装置の構造を示した断面図であり、図3は、皮膚美容装置の構成要素を示したブロック図であり、図4は、光の顔に到逹する環境を示した概念図である。
【0020】
本発明の皮膚美容装置100は、使用者が顔を所定の空間内部に入れた状態で、光と超音波、ミストを顔の皮膚に接触しながらスキンケアをすることができるように構成される。通常、使用者はマスク状の装置に顔を入れて、光が照射されながらミストが皮膚に接触するようにする方式で用いる。本発明では、底部に横になった使用者の顔を上で覆うことができるように装置を構成することにより、噴射されるミストが使用者の顔に効果的に接触することができるようにする。
【0021】
光は、空気の中で直進しながら粒子とぶつかって、屈折または散乱を発生する。光の散乱は、直進する光の波長とぶつかる粒子の大きさによって、大きく二つの方式で現れる、レイリー散乱とミー散乱の二つの方式がある。
【0022】
光が直進する空間に存在する粒子の大きさが光の波長よりも小さい場合(分子状態)には、レイリー散乱が発生し、粒子が大きい場合(霧、煤煙などの状態)にはミー散乱が発生する。
【0023】
通常、散乱が発生すると、光が物体に反射されて、光の進行方向の反対側で光が強く見えるように思えるが、光の進行方向と同じ方向に散乱が大きく発生し、これは粒子の大きさによって異なる。
【0024】
粒子の大きさによる散乱角度粒子が小さくなるほど散乱は後の方向でも発生し、大きさが約0.05μmになると、進行方向に散乱される光と反対方向に散乱される光の強さが同様になる。
【0025】
レイリー散乱の強度は、波長の4乗に反比例する。したがって、波長が短いほど散乱が大きく発生するので、青色(400nm)が赤色(700nm)より9倍の散乱が発生して、空が青く見えるのである。
【0026】
本発明では、通常の空気粒子とぶつかりながら現われるレイリー散乱系をミー散乱系に変化させることにより、顔の皮膚に光がより効果的に接触することができるように、環境を変化させることを特徴とした。
【0027】
このために、本発明は、半球状のドームマスク106を備え、ドームマスク106の一側は一部分が開放されている。このように開放された空間に使用者の顔が入って、ドームマスク106の内部に位置することができる。
【0028】
ドームマスク106は、不透明素材で製作することが好ましいが、半透明または透明素材で製作されてもよい。そして、ドームマスク106は、プラスチック材質で製作することが好ましい。
【0029】
皮膚美容装置100にはコントローラ102が設けられて、構成要素の動作を制御する。コントローラ102は、ドームマスク106の一側に設けられてもよいが、ケーブルなどを通じて連結される別途の装置で構成されてもよい。コントローラ102は、接触式ボタンやタッチ式ディスプレイ形態の制御手段を備えることができる。
【0030】
また、電源部104は、噴射手段や発光手段などの動作のための電源を供給する。電源は、家庭でコンセントに連結して用いる商用電源であることが一般的であるが、充電可能なバッテリを用いて携帯用として用いることも可能である。
【0031】
ドームマスク106の内側面には、光と超音波、ミストを発生させる手段が備えられる。底部に横になって上側を見ている使用者の顔の姿勢を考えると、半球状のドームマスク106の内部天井面にこのような構成要素を設置することが好ましい。本発明では、ドームマスク106の天井面にLED光源108と超音波発振器110、噴射ノズル112が設けられるように構成する。このような構成要素は、所定領域に分離された形態に設置してもよいが、それぞれの構成要素の効果を均一に発生するようにするために、類似する領域と位置に混在するように設置することが好ましい。
【0032】
LED光源108は、所定波長の光を発散する手段として、これらLED光源108が放出する波長によって皮膚美容または治療効果が異なる。
【0033】
LEDのような光源手段から光が皮膚に照射されながら酸素が皮膚に供給される場合、酸素が励起(excited)されて、バクテリアなどを取り除く消毒効果などをもたらすことができ、それにより、きれいな皮膚を作ることができる。
【0034】
本発明の場合、これらLED光源108は、青色、赤色及び近赤外線の波長を放出し、LED光源108が青色と赤色を放出して、これら光の混合でバイオレットの光も放出するようになる。これらそれぞれの色によって、美容または治療効果が変わるようになる。
【0035】
本実施形態において、このようなLED光源108は複数個が提供されており、これらそれぞれの本体部と光源素子は、噴射ノズル112と隣接する所に設けられる。複数のLED光源108は、使用者の顔面に向かって光を照射することが一般的であるが、必要によっては、一部LED光源108は、使用者の頭皮に向かって光を照射するように設けられてもよい。
【0036】
超音波発振器110は、超音波を発生させて、使用者の顔や頭皮に照射する。また、超音波は、ドームマスク106の内部に噴射されるミストの粒子が互いに合わされながら大きさが大きくなるようにし、それにより、光がレイリー散乱系からミー散乱系に変換して散乱されるようにする。超音波による粒子大きさの変化は光の散乱系を変化させ、それにより、LED光源108で照射された光の直進性がより大きくなりながら、使用者の皮膚により集中的に到逹することができる。
【0037】
超音波は、媒質の特性によって媒質を通過したり反射され、周波数と媒質の固有振動数が同様である場合には、エネルギーを媒質に伝達したりする。空気中では、超音波は損失が少ない状態で伝達されるが、空間がある所では主に反射されてから戻ってくる。
【0038】
また、超音波は、使用者の皮膚に印加されながら、皮膚表面や毛穴などに残っている異物に振動を加えることができる。それにより、皮膚から異物がより容易に分離されることができて、クレンジング効果を増大させることができる。
【0039】
ネブライザー方式の噴射ノズル112は、液状のミストを約1mm~5mmの大きさを有する微細な粒子に変えて噴射する。噴射されたミストは、ドームマスク106の内部空間に広がり、重力によって下に落ちながら使用者の顔と頭皮に到逹することができる。噴射ノズル112は、貯蔵タンク114と配管で連結され、配管にはポンプや圧縮機などがさらに備えられることができる。コントローラは、ポンプや圧縮機の動作を制御して、適切な時間に適切な量のミストが噴射ノズル112を通じて噴射されることができるように制御する。
【0040】
貯蔵タンク114に貯蔵されてから噴射ノズル112を通じてミスト形態で噴射される化粧料は皮膚に良い成分が含有された溶液で、多様なものが提供され得る。例えば、化粧品ソリューション、酸素溶存溶液や皮膚の美容や活性または治療などに必要な成分(例えば、漢方薬剤など)が含まれた溶液のようなものが提供されることができる。
【0041】
特に、酸素溶存溶液を提供する場合、酸素成分がミスト形態で使用者の皮膚に接触するようになるが、この場合、LED光源108のような手段によって、皮膚に発生した熱を冷却しながら、同時に酸素が皮膚に供給されるようにする。
【0042】
前述したように、本願発明は、LED光源108が光を照射しながら超音波が一緒に発生され、ミストが噴射されながら使用者の顔に複合的な効果を与えることができる。微細な大きさの粒子で噴射されたミストは、LED光源108で照射される光と衝突しながら光を散乱させる。この時、ミスト粒子がない状態では、光がレイリー散乱系に沿って散乱しながら等方向に広がり、比較的大きい粒子が存在する状態で、ミー散乱系に沿って散乱しながら最初の光の進行方向に大部分の光エネルギーが伝達されることができる。したがって、使用者の顔に光エネルギーの相当量が到逹することができる。
【0043】
一方、使用者の顔の大きさと位置、形状によって、エネルギーの伝達が最も多くなるように、光の照射と超音波発振、ミストの噴射角度を調節する必要がある。本発明では、LED光源108と超音波発振器110、及び噴射ノズル112がドームマスク106の内部天井面に付着されているが、それぞれの構成要素の角度を調節することができるように構成する。使用者は自分の顔の外形的特性に応じて、LED光源108、超音波発振器110、噴射ノズル112の角度を一つずつ調節することができる。場合によっては、コントローラ102が個別的な構成要素の角度を調節することができるように、電動式角度調節装置を備えてもいい。この場合には、使用者の顔の外形を3次元的に認識するスキャナをさらに備えて、顔の表面と最も垂直に近い角度を保持するようにすることも好ましい。
【0044】
以上、添付図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明したが、上述した本発明の技術的構成は、本発明が属する技術分野における当業者が本発明のその技術的思想や必須特徴を変更せずに他の具体的な形態に実施され得ることを理解すべきである。そのため、以上で記述した実施形態は、全ての面で例示的なものであり、限定的なものではないことを理解すべきであり、本発明の範囲は前記詳細な説明よりは特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の意味及び範囲、そしてその等価概念から導き出される全ての変更または変形された形態が本発明の範囲に含まれることと解釈すべきである。
【符号の説明】
【0045】
100:皮膚美容装置
102:コントローラ
104:電源部
106:ドームマスク
108:LED光源
110:超音波発振器
112:噴射ノズル
114:貯蔵タンク
図1
図2
図3
図4