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特許7438328遊技テーブル及び遊技テーブルのチップ情報管理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-15
(45)【発行日】2024-02-26
(54)【発明の名称】遊技テーブル及び遊技テーブルのチップ情報管理方法
(51)【国際特許分類】
   A63F 1/06 20060101AFI20240216BHJP
【FI】
A63F1/06 Z
A63F1/06 A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2022509867
(86)(22)【出願日】2020-03-25
(86)【国際出願番号】 JP2020013258
(87)【国際公開番号】W WO2021192076
(87)【国際公開日】2021-09-30
【審査請求日】2022-08-05
(73)【特許権者】
【識別番号】513178621
【氏名又は名称】セガサミークリエイション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】金子 真人
(72)【発明者】
【氏名】嶋田 雄次
【審査官】岡崎 彦哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-040334(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0073415(US,A1)
【文献】特開2005-342175(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0357850(US,A1)
【文献】特開2015-061696(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チップを載置するためのベッティングエリアを複数備えるとともに、ディーラーがゲームのプレイを行うプレイエリアを備え、前記プレイエリアにはプレイヤがプレイヤ側とバンカー側にカードを置くべきタイミングで点灯する指示ランプが設けられた遊技テーブルであって、
前記ベッティングエリアに載置されているチップを特定する識別情報を読み取る読取装置と、
前記チップから読み取られた前記識別情報に基づいて前記チップの有効性を含む管理情報を更新するコンピュータ装置と、を備え、
前記コンピュータ装置は、
ゲームの進行を管理し、前記ゲームの勝敗を判定する機能と、
前記ゲームの結果に応じた配当額が支払われる配当期間中に、前記ゲームに勝利したと判定されたベッティングエリアに載置されているチップのステータスを有効とし、それ以外のチップのステータスを無効とするように前記管理情報を更新する機能と、
前記配当期間中に前記勝利したと判定されたベッティングエリアに新たに載置されるチップのステータスを有効とする機能と、
前記勝利したと判定されたベッティングエリアに載置されているチップの載置額を判定する機能と、
前記ゲームの勝敗に応じた配当額を計算する機能と、
前記載置額と前記配当額とを比較して前記載置額が前記配当額に一致した場合に前記新たに載置されたチップのステータスを有効とする機能と、
前記管理情報の更新が完了したことを報知する機能と、
前記ベッティングエリアに関して、前記勝利したと判定された当選エリアのランプを所定の色に発光させる一方、負けと判定された非当選エリアのランプを所定の色とは異なる色に発光させる機能と、
を実行させる、遊技テーブル。
【請求項2】
チップを載置するためのベッティングエリアを複数備えるとともに、ディーラーがゲームのプレイを行うプレイエリアを備え、前記プレイエリアにはプレイヤがプレイヤ側とバンカー側にカードを置くべきタイミングで点灯する指示ランプが設けられた遊技テーブルのチップ情報管理方法であって、
前記遊技テーブルの読取装置が、
前記ベッティングエリアに載置されているチップを特定する識別情報を読み取るステップを実行し、
前記遊技テーブルのコンピュータ装置が、
前記チップから読み取られた前記識別情報に基づいて前記チップの有効性を含む管理情報を更新するステップと、
ゲームの進行を管理し、前記ゲームの勝敗を判定するステップと、
前記ゲームの結果に応じた配当額が支払われる配当期間中に、前記ゲームに勝利したと判定されたベッティングエリアに載置されているチップのステータスを有効とし、それ以外のチップのステータスを無効とするように前記管理情報を更新するステップと、
前記配当期間中に前記勝利したと判定されたベッティングエリアに新たに載置されるチップのステータスを有効とするステップと、
前記勝利したと判定されたベッティングエリアに載置されているチップの載置額を判定するステップと、
前記ゲームの勝敗に応じた配当額を計算するステップと、
前記載置額と前記配当額とを比較して前記載置額が前記配当額に一致した場合に前記新たに載置されたチップのステータスを有効とするステップと、
前記管理情報の更新が完了したことを報知するステップと、
前記ベッティングエリアに関して、前記勝利したと判定された当選エリアのランプを所定の色に発光させる一方、負けと判定された非当選エリアのランプを所定の色とは異なる色に発光させるステップと、を実行する遊技テーブルのチップ情報管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技テーブル及び遊技テーブルのチップ情報管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、識別情報を電子的に記録したチップを用いる遊技テーブルが開発されている。例えば、カジノチップを有価証券として管理するのではなく、カジノチップの識別情報に紐づけてサーバ上で債権を管理させるシステムが開示されている(例えば、特許文献1から4参照)。このようなシステムは、現金主義会計から発生主義会計への対応を可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-213940号公報
【文献】特開2014-87692号公報
【文献】特開2015-157113号公報
【文献】特開2015-157114号公報
【発明の概要】
【0004】
しかし、従来技術では、ゲームの結果が判明する度に、ベットエリアに載置されているチップを有効化したり無効化したりする処理をディーラーが行う必要があった。
【0005】
また、有効化されているチップは換金可能な状態であるため、プレイヤが不正行為を行う可能性があった。
【0006】
そこで、本発明は、ディーラーがチップの有効化に手間をかけることなく、チップの不正使用を抑制することができる遊技テーブルを提供することを目的とする。
【0007】
実施態様に係る遊技テーブルは、チップを載置するためのベッティングエリアを複数備える遊技テーブルであって、ベッティングエリアに載置されているチップを特定する識別情報を読み取る読取装置と、チップから読み取られた識別情報に基づいてチップの有効性を含む管理情報を更新するコンピュータ装置と、を備え、コンピュータ装置は、ゲームの進行を管理する機能と、ゲームの結果に応じた配当額が支払われる配当期間中に、ゲームに勝利したベッティングエリアに載置されているチップのステータスを有効とし、それ以外のチップのステータスを無効とするように管理情報を更新する機能と、を実行させる。
【発明の効果】
【0008】
本実施形態によれば、ゲームの結果が判明した後に当選したベッティングエリアに載置されているチップが自動で有効化されるので、ディーラーがチップの有効化に手間をかけることなく、チップの不正使用を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係る遊技テーブルの構成の一例を示すブロック図。
図2】実施形態に係る遊技テーブル本体の外観上面の一例を示す平面図。
図3】実施形態に係る遊技テーブル本体のプレイエリアの拡大説明図。
図4】実施形態に係る遊技テーブル本体のベッティングエリアの拡大説明図。
図5】実施形態の遊技テーブルにおける勝敗の例を示す説明図。
図6】実施形態に係る遊技テーブルのチップ情報管理方法を示すフローチャート。
図7】実施形態に係るコンピュータ装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図。
図8】別の実施形態に係るチップのデータとハードウェア構成を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。
【0011】
〔用語の説明〕
本明細書では、以下のように用語を定義する。
「遊技テーブル」:遊技場において各種のゲームが行われるテーブルのことをいう。一般に、一つのテーブルにつき、一人のディーラーが配置される。また、一つのテーブルにつき、複数人のユーザが同時にゲームに参加することができる。
「ディーラー」:ゲームで用いるカードを配るなど、ゲームの進行を仕切る遊技場側の人間のことをいう。
「ユーザ」:遊技場に来店してゲームに参加するゲストの人間のことをいう。
「バカラ」:伝統的なカードゲームであり、BANKER(胴元役)とPLAYER(客役)によるカードゲームの勝敗を、ユーザが予想して賭けるゲームをいう。ユーザは単にゲームの勝敗を予想するのみであり、その手軽さなどから世界各地の遊技場で人気を博している。ディーラーは、あるルールに則してバンカー及びプレイヤのそれぞれに2枚ないし3枚のトランプカードを配り、配られた合計点数の1桁目が「9」に近い方が勝ちとなる。
「チップ」:予想を表明するためにユーザが使用するトークンをいう。1つの「チップ」は一定額のクレジット又はポイントを有する。
「ベット」:ユーザが予想を表明して賭けることをいい、具体的には、チップをベッティングエリアの予想箇所に配置することをいう。例えば、バカラにおいては、バンカーが勝つのか、プレイヤが勝つのか又は勝負が引き分け(タイ(TIE))に終わるのかを予想して、この勝敗予想に対して賭けることをいう。また、例えばブラックジャックにおいては、ユーザは自身の勝つ可能性などを予想し、その勝敗予想に対応して賭けることをいう。
「ベッティングエリア」:遊技テーブル上でチップをベットする領域をいう。つまり、ユーザがチップを賭ける領域である。例えば、バカラにおいては、バンカーが勝つのか、プレイヤが勝つのか又は引き分けに終わるのかに応じたベットをする領域が遊技テーブル上に明示されている。
「ベット額」:ベットの際に用いる額のことである。各ユーザは、所望の種類や枚数のチップをベッティングエリアに置くことでベット額を任意に指定することができる。ユーザの予想が当たった場合には、ベット額に応じた配当が得られる。
「クレジット」:ユーザが保有している残高のことである。配当が得られた場合にはクレジットの額が増え、予想が外れた場合にはクレジットの額が減る。
【0012】
〔実施形態〕
まず本実施形態に係る遊技テーブルの構成について説明する。本実施形態に係る遊技テーブルは、伝統的なカードゲームであるバカラをプレイするためのテーブルを例示している。
<構成>
図1は、本実施形態に係る遊技テーブルの構成の一例を示すブロック図である。図1に示すように、遊技テーブル10は、遊技テーブル本体100とコンピュータ装置200とを備える。コンピュータ装置200は、遊技テーブル本体100に内蔵されている。但し、コンピュータ装置200は、遊技テーブル本体100とは物理的に離れて設けられ、有線又は無線の接続手段により通信可能に配置されていてもよい。
【0013】
<遊技テーブル本体>
遊技テーブル本体100は、外観上面をなすテーブル面110の下に、読取装置120、記録装置130、供給部140及び表示部150を備える。
【0014】
チップ2は、ユーザが予想したゲームの勝敗を表明するために、ゲームのベッティング期間中にテーブル面110のベッティングエリアに一時的に載置されるトークンである。本実施形態において、チップ2は識別情報及び管理情報を読み取り及び書き込み可能に構成されている。識別情報は、個々のチップ2を特定するユニークなID情報である。管理情報は、チップ2のステータスを規定する情報である。例えば、本実施形態において、管理情報は、無効状態、有効状態、及びベット状態の3状態を示す。無効状態は、チップ2が換金不可能な状態であることを示す。有効状態は、チップ2が換金可能な状態であることを示す。ベット状態は、チップがベットされている状態であることを示す。
【0015】
チップ2は、図示しないが、例えば、読取装置120及び記録装置130との間で電磁波による近距離無線通信が可能な構成を備える。電磁波により無線通信可能とする場合、チップ2は、例えば、電磁誘導用コイル、集積回路、メモリ等を備えたRFタグとしての構成を備える。そしてチップ2は、供給部140から供給される電磁波により電磁誘導された電力を蓄電して電源とすることが可能に構成される。なお、チップ2及び遊技テーブル本体100を赤外線等の光通信が可能な構成としてもよい。また、読取装置120がカメラとしての構成を備え、チップの画像を撮影することにより、チップ2のデータを読み取るようにしてもよい。
【0016】
なお、チップ2は、管理情報が有効化されているとキャッシャーで換金可能な状態となる。このため、キャッシャーからユーザに譲渡される際に管理情報が有効化されることが好ましい。ユーザがチップ2をベットすると、チップ2の管理情報はベット状態となる。ゲームに勝った場合には、チップ2は記録装置130により管理情報が有効化され、ゲームに負けた場合には、チップ2は記録装置130により管理情報が無効化される。また、表示部150にはベットした額や配当額等の様々なゲーム情報等を表示する。
【0017】
図2は、本実施形態に係る遊技テーブルの外観上面、すなわち、テーブル面110の一例を示す平面図である。遊技テーブル本体100は、例えば、半円形状のテーブルであって、1箇所のプレイエリア20と複数のベッティングエリア30とを備える。プレイエリア20は、ディーラーがゲームのために使用するカードを載置する領域である。プレイエリア20は、ディーラー着席部11の前に配置されている。ベッティングエリア30は、ユーザがゲームの勝敗を予想してチップ2をベットするための領域である。図2では、ユーザ着席部12の数に対応させて、一つのテーブル面110にベッティングエリア30が三箇所配置されている場合を例示しているが、ベッティングエリア30の数は三つに限定されない。
【0018】
遊技テーブル10の各ベッティングエリア30のユーザ着席部12側には、ゲームの進行や結果を表示するための表示部36と、ユーザカードを読み取るためのカード読取部37が設けられている。ユーザカードは、ユーザの遊技情報が記憶された媒体であり、例えば、これまでのゲームの結果によって獲得されたポイントを記憶することができる。ユーザは、カードに記憶された遊技情報に応じて様々なサービスを受けることができる。ただし、カードが記憶している内容は、ゲームの結果に影響を与えない。
【0019】
図3は、プレイエリア20の拡大説明図である。図3に示すように、プレイエリア20には、左右にプレイヤ(PLAYER)側のカードを載置するプレイヤエリア21と、バンカー(BANKER)側のカードを載置するバンカーエリア22と、が配置されている。プレイヤエリア21の近傍には、プレイヤ側指示ランプ23が設けられている。プレイヤ側指示ランプ23は、プレイヤ側にカードを置くべきタイミングで点灯する。バンカーエリア22の近傍には、バンカー側指示ランプ24が設けられている。バンカー側指示ランプ24は、バンカー側にカードを置くべきタイミングで点灯する。プレイエリア20の近傍には、プレイヤエリア21及びバンカーエリア22に配布するカードを収容するカードシュー25が設けられている。プレイエリア20とディーラー着席部11との間には、ゲームに勝ったユーザに配当するチップを収容する配当用チップ収容部26が設けられている。
【0020】
図4は、ベッティングエリア30の拡大説明図である。図4に示すように、各ベッティングエリア30には、バンカーペア(BANKKER PAIR)エリア31と、プレイヤペア(PLAYER PAIR)エリア32と、バンカー(BANKKER)エリア33と、プレイヤ(PLAYER)エリア34と、タイ(TIE)エリア35と、からなるサブエリアが配置されている。バンカーペアエリア31は、バンカー側にペアが出ることを予想した場合にベットする領域である。プレイヤペアエリア32は、プレイヤ側にペアが出ることを予想した場合にベットする領域である。バンカーエリア33は、バンカーの勝ちを予想した場合にベットする領域である。プレイヤエリア34は、プレイヤの勝ちを予想した場合にベットする領域である。タイエリア35は、引き分けを予想した場合にベットする領域である。ベッティングエリア30のサブエリア(31、32、33、34、35)には、互いを区別するためのエリア識別情報が付与されている。各サブエリアの周囲には、ランプ40が設けられている。ランプ40は、ユーザ及びディーラーにゲームの進行状況を視覚的に報知可能に、複数の色で発光することが可能になっている。
【0021】
図1に戻り、読取装置120は、ベッティングエリア30に対応づけてそれぞれ設けられており、ベッティングエリア30に載置されたチップ2と無線通信して、チップ2の識別情報及び管理情報を読み取る機能を有する。各読取装置120は、チップ2から識別情報及び管理情報を読み取ると、自ら対応づけられているベッティングエリア30を特定する識別情報とともにコンピュータ装置200に出力するようになっている。記録装置130は、ベッティングエリア30に対応づけてそれぞれ設けられており、ベッティングエリア30に載置されたチップ2と無線通信して、チップ2の管理情報を書き換える機能を有する。即ち、記録装置130は、チップ2の管理情報を有効状態にしたり無効状態したりベット状態にしたりすることが可能になっている。なお、本実施形態では、読取装置120と記録装置130とを別々の構成として例示しているが、これらは同一の装置に設けられていてもよい。
【0022】
<コンピュータ装置>
コンピュータ装置200は、機能ブロックとして、ゲーム進行管理部210、配当額計算部220、載置額判定部230、載置額/配当額比較部240、管理情報更新部250、及び更新完了報知部260を備える。コンピュータ装置200は、チップデータベース(DB)270及び管理データベース(DB)280に接続され、これらデータベースとの間でデータの読み取り及び書込みが可能になっている。コンピュータ装置200の各機能ブロックは、図7において後述するハードウェアが、本実施形態に係るチップ情報管理方法を実現するためのソフトウェアプログラムを実行することによって実現される。
【0023】
チップデータベース270は、ゲームに使用される全てのチップ2を管理する情報を格納する記憶部である。個々のチップ2の識別情報に関連付けて、前述した無効状態、有効状態、及びベット状態を示す管理情報その他の情報、例えば、当該チップに割り当てられた換金額、履歴情報等が記録される。管理データベース280は、ユーザの識別情報、ユーザのクレジット情報等を格納する記憶部である。チップデータベース270及び管理データベース280は、別々の記憶装置に構築されていても同一の記憶装置に構築されていてもよい。
【0024】
ゲーム進行管理部210は、ゲームの進行を管理する機能ブロックである。具体的に、ゲーム進行管理部210は、一回のゲームについて、ベッティング期間、ゲーム期間、及び配当期間の3期間に分割して進行管理する。ベッティング期間は、ユーザがゲームの勝敗を予想して、自らのベッティングエリア30の中で予想に該当するいずれかのサブエリア31、32、33、34、又は35にチップ2をベットするための時間帯である。ゲーム期間は、ユーザによるベッティング行為が禁止され、ディーラーによりプレイエリア20のプレイヤエリア21及びバンカーエリア22に、カードゲームのルールに従ってカードが配布される時間帯である。配当期間は、配布されたカードの数によりゲームの勝敗が決定した時点からゲームの勝敗に応じて計算された配当額に相当するチップ2がディーラーにより勝利したユーザに配布される時間帯である。
【0025】
ゲーム進行管理部210は、ベッティング期間中、ユーザにチップ2をベットすることを促すように、各サブエリアのランプ40をベッティング期間中であることを示す色に発光させる。そして、ベッティング期間の終了時、ランプ40を消灯させる。
【0026】
ゲーム進行管理部210は、ベッティング期間の終了後にチップ2がいずれかのサブエリアに載置された場合にはエラーを報知するためにエラーを示す色にそのサブエリアのランプ40を発光させる。また、ゲーム進行管理部210は、記録装置130によりベッティングエリア30にベットされているチップ2の管理情報をベット状態に書き換える。例えば、ユーザによってバンカーエリア33にチップ2がベットされると(図4参照)、バンカーエリア33に載置されているチップ2の管理情報が有効状態からベット状態に書き換えられる。
【0027】
ゲーム進行管理部210は、ゲーム期間中、図示しない読取装置によりプレイエリア20に配布されるカードの数を読み取り、ゲームの勝敗を判定する。そしてゲームの勝敗が決定された時点でゲーム期間を終了させる。その後、ゲーム進行管理部210は、バンカーペアエリア31、プレイヤペアエリア32、バンカーエリア33、プレイヤエリア34、及びタイエリア35について、いずれが勝ちに該当するエリア(以下「当選エリア」)であり、いずれが負けに該当するエリア(以下「非当選エリア」)であるかを判定する。そして、管理情報更新部250は、当選エリアのランプ40を勝ち色に発光させ、非当選エリアのランプ40を負け色に発光させる。
【0028】
配当額計算部220は、ゲームの勝敗に応じた配当額を計算する機能ブロックである。即ち、配当額計算部220は、当選エリアにチップ2がベットされていた場合、チップデータベース270を参照してベットされていたチップ2の総額を計算し、ゲームの結果から当該チップ2をベットしたユーザに配当すべき配当額を計算する。
【0029】
ディーラーは、ランプ40の発光色によりどのサブエリアが当選エリアであるか非当選エリアであるかを確認する。そして、当選エリアにチップ2がベットされていれば、このチップ2と並べて配当額計算部220が計算した配当額に相当するチップ2を当該当選エリアにまとめて載置する。また、非当選エリアに載置されているチップ2を全て回収する。
【0030】
図5は、ゲームの勝敗が決定した後の配当期間中におけるチップ配置の例である。ベッティング期間中にユーザがバンカーエリア33及びタイエリア35にチップ2をそれぞれベットした状態でバンカーが勝つと、バンカーエリア33が当選エリアとなり、それ以外のサブエリアが非当選エリアとなる。当選エリアになったバンカーエリア33には、ディーラーによって配当用のチップ2Aが載置される。配当用のチップ2Aは、配当額に相当する額となるよう複数重ねられていてもよい。
【0031】
載置額判定部230は、勝利したベッティングエリアに載置されているチップの載置額を判定する機能ブロックである。具体的に、載置額判定部230は、配当期間中にディーラーにより当選エリアに載置された1枚以上の配当用のチップ2A(図5参照)の識別情報を読み取る。そして、チップデータベース270を参照して配当用のチップ2Aの換金額を加算して載置されたチップ2Aの総額である載置額を判定する。
【0032】
載置額/配当額比較部240は、載置額と配当額とを比較して載置額が配当額に一致するか否かを判定するする機能ブロックである。即ち、載置額/配当額比較部240は、載置額判定部230により判定された載置額と、配当額計算部220により計算された配当額とを比較し、両者が一致するか否かを判定する。
【0033】
管理情報更新部250は、ゲームの結果に応じた配当額が支払われる配当期間中に、ゲームに勝利したベッティングエリア30に載置されているチップ2のステータスを有効とし、それ以外のチップのステータスを無効とするように管理情報を更新する機能ブロックである。即ち、管理情報更新部250は、配当期間の終了時、当選エリアに載置されているチップ2の管理情報を記録装置130により有効状態に書き換える。一方、配当期間の終了時、非当選エリアに載置されているチップ2の管理情報を記録装置130により無効状態に書き換える。
【0034】
さらに、管理情報更新部250は、配当期間中に勝利したベッティングエリアに新たに載置されるチップのステータスを更新する機能を実行する。即ち、管理情報更新部250は、載置額/配当額比較部240によって載置額が配当額と一致すると判定された場合に、ディーラーにより当選エリアに載置された配当用のチップ2Aの管理情報を有効状態に書き換える。図5の例では、管理情報更新部250は、配当用に載置されたチップ2Aの管理情報が有効状態に書き換えられることになる。
【0035】
更新完了報知部260は、管理情報の更新が完了したことを報知する機能ブロックである。即ち、更新完了報知部260は、チップ2の管理情報が有効状態に書き換えられタイミングで、配当期間の終了をディーラー及びユーザに報知する。報知の態様は種々適用可能である。例えば、当選エリア及び非当選エリアを示すように点灯していたサブエリアのランプ40を消灯したり一定期間点滅させたりしてもよい。
【0036】
<チップ情報管理方法>
次に、本実施形態に係るチップ情報管理方法について説明する。本実施形態に係るチップ情報管理方法は、チップを載置するためのベッティングエリアを複数備える遊技テーブルのチップ情報管理方法であって、ベッティングエリアに載置されているチップを特定する識別情報を読み取るステップと、チップから読み取られた識別情報に基づいてチップの有効性を含む管理情報を更新するステップと、を有し、管理情報を更新するステップにおいて、ゲームの結果に応じた配当額が支払われる配当期間中に、ゲームに勝利したベッティングエリアに装置されているチップのステータスを有効とし、それ以外のチップのステータスを無効とするように管理情報を更新する機能と、を実行させる。以下、図6を参照しながら具体的に説明する。
【0037】
図6は、本実施形態に係る遊技テーブルのチップ情報管理方法を示すフローチャートである。図6に示すように、ゲームが開始されると、まず、ベッティング期間の処理として、ゲーム進行管理部210は、ベッティングエリア30において、ユーザによるベットを受け付ける処理を開始する(S110)。ベッティング期間が開始すると、ベット可能である旨がテーブル面110の表示部36に表示される。ディーラーはカードシュー25(図2)から一枚ずつカードを取り出して、順番にプレイエリア20のプレイヤエリア21及びバンカーエリア22の該当箇所(図3)に配布する。ベッティング期間中、ユーザはゲームの勝敗を予想して、ベッティングエリア30の中で予想したゲーム結果に対応するサブエリアにチップ2をベットする。具体的には、バンカーペアエリア31、プレイヤペアエリア32、バンカーエリア33、プレイヤエリア34、又はタイエリア35のいずれかのサブエリアにチップ2を載置する。また複数のサブエリアにベットしたい場合には、サブエリアから複数を選択して、それぞれにチップ2をベットする。
【0038】
いずれかのサブエリアにチップ2がベットされ、ベット受付は終了したと判断されると(S120:YES)、ゲーム進行管理部210は、ベットされたチップ2の管理情報をベット状態に変更する(S130)。具体的には、ゲーム進行管理部210は、それぞれのベッティングエリア30の識別情報及びベットされているチップ2から識別情報を読み取り、チップデータベース270の識別情報に対応づけられた履歴情報をベット状態に更新する。ゲーム進行管理部210は、ベッティング期間が継続する限り(S120:NO)、上記ステップS110及びS120を繰り返す。
【0039】
ベットされたチップ2の履歴を変更すると(S130)、ゲーム進行管理部210は、ゲーム期間に移行させ、ゲーム処理を遂行する(S140)。ディーラーは、バカラのルールに従いプレイヤエリア21とバンカーエリア22のカードを1枚ずつ捲っていく。ゲーム進行管理部210は、捲ったカードの合計点を計算し、ゲームの勝敗を判定する。即ち、いずれのサブエリアが当選エリアになるのか非当選エリアになるのかを判定する。
【0040】
次に、ゲーム進行管理部210は、ユーザが当選エリアにチップ2をベットしているか否かを判定する(S150)。そして、当選エリアにチップ2をベットしていた場合には(S150:YES)、ステップS160に移行する。即ち、配当額計算部220は、ゲームの勝敗に応じた配当額を計算する。ディーラーは、配当額に相当するチップ2Aを当該当選エリアに載置する。載置額判定部230は、当選エリアに載置されたチップ2Aの載置額を判定する。載置額/配当額比較部240は、載置額と配当額とを比較して載置額が配当額に一致するか否かを判定する。載置額が配当額に一致しない限り(S160:NO)、ディーラーによる配当の最中と判断できるので、同様の判定・比較を繰り返す。
【0041】
載置額が配当額に一致したら(S160:YES)、ディーラーによる配当が完了したと判断できるので、管理情報更新部250は、当選エリアにベットされているチップ2のステータスを有効する(S170)。具体的には、管理情報更新部250は、記録装置130を通じて、当選エリアに載置されている、ユーザがベットしたチップ2及びディーラーが配当したチップ2Aの管理情報を有効状態に書き換える。
【0042】
更新完了報知部260は、当選によりチップ2及びチップ2Aの管理情報が有効状態に書き換えられると、チップ2及びチップ2Aの管理情報が変更された旨の告知を行い(S180)、ゲームを終了する。管理情報が有効状態に変更された旨の告知は、例えば、ランプ40の発光色を変更させたり、テーブル面110の表示部36にメッセージを表示させたりすることにより行う。
【0043】
一方、ユーザが当選エリアにチップ2をベットしていなかった場合には(S150:NO)、管理情報更新部250は、非当選エリアにベットされたチップ2の管理情報を無効状態に更新する(S190)。具体的には、管理情報更新部250は、記録装置130を通じて、非当選エリアにベットされたチップ2の管理情報を無効状態に書き換える。
【0044】
そして、更新完了報知部260は、非当選によりチップ2の管理情報が無効状態に書き換えられると、チップ2の管理情報が変更された旨の告知を行い(S200)、ゲームを終了する。管理情報が無効状態に変更された旨の告知は、例えば、ランプ40を点滅させるなど、上述した管理情報が有効状態に変更された旨の告知とは異なる方法で行えばよい。
【0045】
<コンピュータ装置のハードウェア構成>
図7に、本実施形態に係るコンピュータ装置200のハードウェア構成を示す。図7に示すように、コンピュータ装置200は、制御部201、記憶装置204、及びインターフェース装置205を含む汎用コンピュータとしての構成を備える。制御部201は、CPU(Computer Processing Unit:中央演算装置)202及びメモリ203を備える。
【0046】
CPU202は、所定のプログラムを逐一実行して所定の機能を発揮する演算装置である。メモリ203は、RAM(Random Access Memory)等の一時的な記憶領域である。記憶装置204は、ハードディスクその他の大容量記憶媒体であり、本実施形態に係るチップ情報管理方法に係るソフトウェアプログラム及び必要なデータを記憶する。インターフェース装置205は、遊技テーブル本体100とデータの送受信を可能とする入出力手段である。
【0047】
本実施形態において、CPU202は、記憶装置204に格納されている上記ソフトウェアプログラム及びデータをメモリ203に転送して実行することにより、コンピュータ装置200を、図1で説明した機能ブロックであるゲーム進行管理部210、配当額計算部220、載置額判定部230、載置額/配当額比較部240、管理情報更新部250、及び更新完了報知部260として機能させる。
【0048】
<効果>
以上説明したように、本実施形態に係る遊技テーブル10は、ゲームの結果に応じた配当額が支払われる配当期間中に、ゲームに勝利したベッティングエリア30に装置されているチップ2のステータスを有効とし、それ以外のチップ2のステータスを無効とするように管理情報を更新する機能を実行させる。よって、実施形態に係る遊技テーブル10によれば、ゲームの結果が判明した後に勝利したベッティングエリア30に載置されているチップ2が自動で有効化されたり無効化されたりするので、ディーラーがチップ2のステータス有効化に手間をかけることがない。またディーラーが無効状態にすべきチップを有効にしたり、有効状態にすべきチップを無効にしたりする誤りを防止することができる。さらにチップが有効化にされる条件とタイミングが限定されるので、ユーザが有効化されたチップを隠して換金するといった不正使用を抑制することができる。
【0049】
〔その他の実施形態〕
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。実施形態が備える各要素並びにその配置、材料、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
【0050】
(1)上記実施形態では、伝統的なカードゲームであるバカラを例示して説明したが、これに限られない。例えば、ブラックジャック等の他の種類のゲームを行う遊技テーブルについても本発明を適用可能である。ユーザがゲームの勝ち又は負けを予想してチップを掛けて遊ぶゲームであれば、チップの管理情報の更新管理に本発明を適用可能である。
【0051】
(2)上記実施形態では、遊技テーブル本体100に一つのコンピュータ装置200が配置されているスタンドアロン型のシステムを例示したが、これに限られない。例えば、複数の遊技テーブル本体100と構内ネットワーク又は広域ネットワークを介してコンピュータ装置200とを接続したスター型のシステムとして構成されていてもよい。この場合、コンピュータ装置200は、ホストコンピュータとして複数の遊技テーブル本体100におけるゲーム進行及びチップの管理情報を管理する。コンピュータ装置200は、ベッティングエリアの識別情報に加えて、遊技テーブルを特定する識別情報も併せて管理可能に構成する。
【0052】
(3)上記実施形態では、チップ2に管理情報を更新可能に書き込む構成を例示したが、これに限られない。例えば、チップ2には識別情報のみが記録されており、有効状態であるか無効状態であるか等を管理する管理情報は、チップデータベース270に識別情報に紐づけて更新可能に管理することが考えられる。例えば、図8に示す説明図では、遊技テーブル側の記憶装置(チップデータベース270)にチップ2の識別情報(チップID)を紐づけて金額情報、管理情報(有効状態、無効状態、ベット状態)を記憶して更新している。有効状態であるか無効状態でるかはチップ2そのものには記録されていないので、不正行為の抑制にさらに効果的である。
【0053】
(4)上記実施形態では、ユーザのベット額や当選の結果得られる配当額を特段示していなかったが、これに限られない。例えば、表示部36において、ベット額や配当額を表示するように構成してもよい。
【0054】
(5)上記実施形態では、チップの管理情報が変更された旨の告知は、ベッティングエリア30のサブエリア周囲に設けたランプ40により行っていたが、これに限られない。例えば、サブエリア自体を発光可能に構成したり、表示装置を設けて画像情報や文字情報で告知を行うように構成したりしてもよい。また音響装置を設けて音響情報により告知を行うことを追加または代替させてもよい。
【0055】
(6)上記実施形態では、載置額が配当額に一致していない場合は(S160:NO)、ディーラーによる配当の最中と判断したが、これに限られない。例えば、載置額が配当額に一致しておらず、かつ、配当額に相当するチップ2Aが載置されてから所定時間以上経過している場合には、誤った配当額のチップ2Aが載置されていると判断してもよい。この場合、更新完了報知部260は、ディーラーによって当選エリアに載置されたチップ2Aの配当額が、誤っていることを告知するために、ランプ40を点滅などさせてもよい。またディーラー側にはその旨の詳細を表示する表示部を設けてもよい。
【0056】
(7)上記実施形態では、ディーラーがカードを配る操作を行うようにしたが、ゲーム進行については、自動的に行われてもよい。すなわち液晶表示部を設けた盤面にゲーム進行を表示する等、必ずしもディーラーがゲーム進行を行わなくても良い。
【符号の説明】
【0057】
10…遊技テーブル、2…チップ、30…ベッティングエリア、100…遊技テーブル本体、110…テーブル面、120…読取装置、130…記録装置、200…コンピュータ装置、210…ゲーム進行管理部、220…配当額計算部、230…載置額判定部、240…載置額/配当額比較部、250…管理情報更新部、260…更新完了報知部

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8