(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-15
(45)【発行日】2024-02-26
(54)【発明の名称】無溶接車両用サスペンション制御アーム
(51)【国際特許分類】
B60G 7/00 20060101AFI20240216BHJP
【FI】
B60G7/00
(21)【出願番号】P 2022511385
(86)(22)【出願日】2020-09-04
(86)【国際出願番号】 US2020049333
(87)【国際公開番号】W WO2021046302
(87)【国際公開日】2021-03-11
【審査請求日】2022-02-21
(32)【優先日】2019-09-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514056403
【氏名又は名称】マルチマティック インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】MULTIMATIC INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】パイヴァ、 ブライアン ウィリアム
【審査官】池田 晃一
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第207790234(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2012/0021241(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第102006052782(DE,A1)
【文献】特表2004-533952(JP,A)
【文献】特開2002-337525(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102004016723(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60G 1/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板金から形成される第1のアーム構成要素及び第2のアーム構成要素であって、それぞれが、外壁及び2つの側壁、第1の端部に隣接するブッシング接続手段、第2の端部に隣接する少なくとも1つのブラケット受容リベット開口部、前記第1の端部と前記第2の端部との間に位置する少なくとも1つの構成要素接続リベット開口部を備えるアーム構成要素と、
ライドブッシング及びハンドリングブッシングと、
前記第1及び第2のアーム構成要素のそれぞれの第2の端部に隣接する前記少なくとも1つのブラケット受容リベット開口部に対応するブラケットリベット開口部を備えるボールジョイントブラケットと、
複数のリベットと
を備え、
組み立て時に、前記ボールジョイントブラケットは、前記少なくとも1つのブラケット受容リベット開口部及び前記対応するブラケットリベット開口部を介して、前記第1及び第2のアーム構成要素の両方にそれらの前記第2の端部に隣接してリベット留めされ、前記第1のアーム構成要素は、前記対応する少なくとも1つの構成要素接続リベット開口部において前記第2のアーム構成要素にリベット留めされ、前記ライドブッシングは、前記第1のアーム構成要素の前記第1の端部に接続され、前記ハンドリングブッシングは、前記第2のアーム構成要素の前記第1の端部に接続され
、
前記第1及び第2のアーム構成要素の前記側壁は、部分的に重なり合い、かつそれらの前記第1の端部において離間したままである、車両用サスペンション制御アーム。
【請求項2】
板金から形成される第3のアーム構成要素であって、外壁及び2つの側壁、各端部が少なくとも1つの第3のアーム構成要素リベット開口部を備える2つの端部を備えるアーム構成要素と、
ライドブッシング座部構成要素及びハンドリングブッシング座部構成要素と
をさらに含み、
前記第3のアーム構成要素は、前記第1及び第2のアーム構成要素の前記第1の端部に隣接して前記第1及び第2のアーム構成要素のそれぞれと、及び前記第3のアーム構成要素の前記各端部に隣接して前記ライドブッシング座部構成要素及び前記ハンドリングブッシング座部構成要素の両方とにリベット留めされるように適合される、請求項1に記載の車両用サスペンション制御アーム。
【請求項3】
少なくとも1つのスペーサが、前記少なくとも1つのアーム構成要素リベット開口部において、前記第1及び第2のアーム構成要素の両方の前記側壁の間の間隔を維持する、請求項1
又は2に記載の車両用サスペンション制御アーム。
【請求項4】
前記第1及び第2のアーム構成要素は、3つのアーム構成要素リベット開口部においてリベット留めされる、請求項1~
3のいずれか1項に記載の車両用サスペンション制御アーム。
【請求項5】
前記3つのアーム構成要素リベット開口部のうちの1つは、前記アーム構成要素の前記第2の端部に隣接して配置され、前記ボールジョイントブラケットは、前記3つのアーム構成要素リベット開口部のうちの前記1つにおいて前記第1及び第2のアーム構成要のそれぞれにリベット留めされる、請求項1~
4のいずれか1項に記載の車両用サスペンション制御アーム。
【請求項6】
前記ブッシング接続手段は、前記第1及び第2のアーム構成要素のそれぞれの前記第1の端部に隣接する一体型ブッシングスタッド受容開口部を備え、
前記制御アームは、第1のロッド端部におけるライドブッシングスタッド、第2のロッド端部におけるハンドリングブッシ
ングスタッド、及び第1及び第2の座面を備えるロッドをさらに備え、前記第1及び第2の座面は、前記スタッドに隣接して前記ロッドに沿って内側に配置され、各スタッドが前記ブッシングスタッド受容開口部を通って延びるときに、前記第1及び第2のアーム構成要素に接触するように適合され、
組み立て時に、前記ライドブッシングスタッドは、前記第1のアーム構成要素の前記ブッシングスタッド受容開口部を通って延び、前記ハンドリングブッシ
ングスタッドは、前記第2のアーム構成要素の前記ブッシングスタッド受容開口部を通って延び、前記第1及び第2のアーム構成要素は、前記ロッドの前記第1及び第2の座面にそれぞれ接触する、請求項1に記載の車両用サスペンション制御アーム。
【請求項7】
前記ロッドは管状である、請求項
6に記載の車両用サスペンション制御アーム。
【請求項8】
前記ライドブッシングは、前記第1のアーム構成要素の前記第1の端部にリベット留めされるブラケットを備える、請求項1に記載の車両用サスペンション制御アーム。
【請求項9】
前記ハンドリングブッシングは、前記第2のアーム構成要素の前記第1の端部に隣接して前記第1及び第2のアーム構成要素の少なくとも一方にリベット留めされる補強板金スタンピングとの接触によって安定化される、請求項1に記載の車両用サスペンション制御アーム。
【請求項10】
板金から形成される第1のアーム構成要素及び第2のアーム構成要素であって、それぞれが、外壁及び2つの側壁、第1の端部に隣接する一体型ブッシング座部受容開口部、第2の端部に隣接する少なくとも1つのブラケット受容リベット開口部、前記第1及び第2の端部の間に位置する少なくとも1つの構成要素接続リベット開口部を備えるアーム構成要素と、
第1の端部におけるライドブッシング座部、第2の端部におけるハンドリングブッシング座部、及び第1及び第2の接触面を備えるロッドであって、前記第1及び第2の接触面は、前記座部に隣接して前記ロッドに沿って前記座部の内側に配置され、各座部が前記座部受容開口部を通って延びるときに、前記第1及び第2のアーム構成要素に接触するように適合されるロッドと、
前記第1及び第2のアーム構成要素の前記第2の端部に隣接する前記ブラケット受容リベット開口部に対応するブラケットリベット開口部を備えるボールジョイントブラケットと、
複数のリベットと
を備え、
組み立て時に、前記ライドブッシング座部は、前記第1の構成要素の前記座部受容開口部を通って延び、前記ハンドリングブッシング座部は、前記第2の構成要素の前記座部受容開口部を通って延び、前記第1及び第2のアーム構成要素は、前記ロッドの前記第1及び第2の接触面に接触し、前記ボールジョイントブラケットは、前記ブラケット受容リベット開口部及び前記対応するブラケットリベット開口部を介して前記第1及び第2のアーム構成要素の両方にそれらの前記第2の端部に隣接してリベット留めされ、前記第1のアーム構成要素は、前記対応する少なくとも1つのアーム構成要素接続リベット開口部において前記第2のアーム構成要素にリベット留めされる、車両用サスペンション制御アーム。
【請求項11】
前記第1及び第2のアーム構成要素の前記側壁は、それらの前記第1の端部において離間している、請求項
10に記載の車両用サスペンション制御アーム。
【請求項12】
少なくとも1つのスペーサが、前記少なくとも1つのアーム構成要素リベット開口部において、前記第1及び第2のアーム構成要素の両方の前記側壁の間の間隔を維持する、請求項
11に記載の車両用サスペンション制御アーム。
【請求項13】
前記第1及び第2のアーム構成要素は、3つのアーム構成要素リベット開口部においてリベット留めされる、請求項
12に記載の車両用サスペンション制御アーム。
【請求項14】
前記3つのアーム構成要素リベット開口部のうちの1つは、前記アーム構成要素の前記第2の端部に隣接して配置され、前記ボールジョイントブラケットは、前記リベット開口部において前記第1及び第2のアーム構成要素のそれぞれにリベット留めされる、請求項
13に記載の車両用サスペンション制御アーム。
【請求項15】
前記ロッドは管状である、請求項
10に記載の車両用サスペンション制御アーム。
【請求項16】
第2のブッシングスタッドが、対応する雄ネジを有するファスナを受容するように雌ネジを有しており、外側のハンドリングブッシング座部、前記第2のブッシングスタッド上に肩部として形成される外側の第2の接触面、及びテーパ部を備え、前記制御アームは、前記第2のブッシングスタッド上に嵌合する成形リングであって、前記ハンドリングブッシングが前記第2のブッシングスタッドに締結されたときに、前記第2の接触面に対して前記第2のアーム構成要素を保持するように前記テーパ部に着座する成形リングをさらに備える、請求項
6又は
7に記載の車両用サスペンション制御アーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車構成要素、特に自動車サスペンション制御アームの分野に関する。
【0002】
(関連出願への相互参照)
本出願は、2019年9月5日に出願された米国仮出願第62/896,303号、及び2020年2月21日に出願された米国仮出願第62/979,532号の優先権を主張し、これらは参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
最近のほとんどの道路車両は、路面の不規則性によって引き起こされる車輪の乱れから客室を分離するために、何らかの形態のサスペンションシステムを使用している。これらのサスペンションシステムは、通常、ばね、ダンパー等のばねの運動を制御する装置、及び車輪運動の運動学を制御するリンク機構等の何らかの形態のエネルギー蓄積媒体を含む。この構成要素の組み合わせは、車両の車輪が制御されたやり方で道路の不規則性に対して上昇することを可能にするように構成されている。リンク機構の最も一般的な形態は、スピンドルアセンブリ、車体、及び一般に制御アームと呼ばれる2つの旋回構造構成要素から構築される4バーリンク機構の構成である。
【0004】
図1には、一般的な従来技術による4バーリンク構成が示されている。「A」字形の制御アーム1、2は、車体4に対するスピンドルアセンブリ3の移動を位置決めしかつ案内する。スピンドルアセンブリは、車輪、タイヤ、軸受アセンブリ及びブレーキアセンブリを担持しており、これらはまとめて車両のばね下質量5と呼ばれる。ばね下質量はまた、制御アーム重量の一部を含む。ばね下質量を路面擾乱に対して移動させるのに必要なエネルギーが大きいため、このサブアセンブリの総重量を可能な限り減らすことが望ましい。さらに、車両のハンドリング特性はばね下構成要素の制御された動きに直接依存するので、制御アームは、それらに与えられる実質的な荷重に耐えるために十分な剛性及び強度を有することが不可欠である。
【0005】
したがって、サスペンション制御アームは、荷重を受けたときに良好に機能するように強くかつ剛性であると共に、ばね下質量を減少させるために軽量であることが重要である。通常、重量を減少させると、強度と剛性の両方が低下してしまう。重量を減少させながら同等の性能特性を有する部品を設計するためには、多大な工夫が必要である。サスペンション制御アームに与えられる動作荷重は離散的であり、用途に必要とされる方向及び位置に選択的な剛性と強度を提供するために不均一な構造が開発され得るようによく理解されている。車両用サスペンション制御アームは、一般に、車体マウントとスピンドルとの関係の構成に応じて、平面図において「A」又は「L」のいずれかの形状に構成される。いずれの場合も、支配的な誘導荷重は「A」又は「L」形態の平面内にあり、したがって、面内の断面二次モーメント値を最大化するためには、「A」又は「L」形態のエッジの周囲に高濃度の材料を配置する必要がある。
【0006】
最適化された制御アーム構造が不均一な形状であるという要求は、多くの複雑な製造プロセスを使用させてきた。車両制御アーム構造に関連する最も一般的な製造方法は、プレス成形された金属スタンピングのサブアセンブリへの鋳造、鍛造及び溶接である。複雑な形状が含まれるため、単純なプレス成形金属スタンピングから最適化された車両制御アームを製造することは困難である。
【0007】
図2には、一般的な従来技術で鋳造又は鍛造された「L」形状の制御アーム6が示されている。
【0008】
鋳造は、溶融金属を作るために高熱を必要とする。正確な形状を成形することができるが、制御アームはかなりの重量を伴って中実になる傾向がある。鋳造された制御アームは強度があるが、やや脆い傾向がある。鋳造プロセスは他の製造プロセスよりも高価である。アルミニウムは鋼鉄より軽く、耐食性があるが、かなり高価である。
【0009】
鍛造は、金属を可鍛性となる点まで加熱し、次いで、大きな圧力を加えて軟質金属を所望の形状に押し込むことを含む。鋳造と同様、鍛造された部品は中実である。鍛造部品は鋳造部品よりも引張強さが大きい傾向があるが、かなりの熱を必要とし、かなりの量のスクラップが存在する傾向があるのでこのプロセスも高価である。アルミニウムは鍛造に適しているが、かなりリサイクルが容易であるにもかかわらず、大量のスクラップがコストを増大させている。
【0010】
こうした構造にプレス成形された金属スタンピングを用いるサスペンション制御アームの大部分は、閉じた箱型断面として構成される。
図3には、2つのU字形プレス成形金属スタンピング501,502から構成された典型的な従来技術によるサスペンション制御アームの断面が示されている。このタイプの構造断面では、通常、必要な溶接隅肉ジョイントを容易にするために、材料のかなりの重複が必要となる。この材料の重複は、最終的には構造的に冗長であり、代替の鋳造又は鍛造構成よりも重い解決策となる可能性がある。突合せジョイント構造を使用する場合、材料の重複がなければ、ジョイントを作成するための溶接の強度と完全性がさらに重要になり、部品の製造がさらに困難になる。
【0011】
単一部品の制御アームは、本質的にU字形構造の板金鋼から製造することができるが、制御アームが受ける大きな荷重を処理するために比較的重いゲージ鋼が必要とされる。より重い部品は一般に望ましくなく、材料の追加コストは極めて高額である。さらに、U字形構造は、面内の断面二次モーメント値を最大にするために、「A」又は「L」形態のエッジの周りに高濃度の材料を配置することを困難にする。
【0012】
図4は、制御アームの周囲の大部分の周りに溶接された2つのプレス成形された金属スタンピングを有する典型的な従来技術による制御アームを示す。
図3に示したように、第1のスタンピング7と第2のスタンピング8とが溶接されている。
【0013】
サスペンション制御アームは、2つの主な荷重方向、すなわち前後方向とクロスカー方向の影響を受ける。加速及びブレーキ等の前後方向の荷重に耐えるために、制御アームは一般的に一組のブッシング及びボールジョイントを必要とする。現代の車両用サスペンションシステムでは、例えば縁石に衝突するときに車輪が後退運動を提供することを可能にするために、前後方向に比較的柔らかいサスペンションを有することが一般に望ましい。これにより衝撃が和らぐ。これは、比較的硬い前部ゴムブッシング及び柔らかい後部ゴムブッシングを有することによって達成される。これとは対照的に、カーブの周囲を走行する際に車両の適切な軌道を容易にするために、一般に、クロスカー方向に比較的剛性の高いサスペンションを有することが望ましい。これは、比較的剛性の前部ブッシングを有することによって達成され、後部ブッシングはこの特性に影響を与えない。剛性の前部ブッシングは、車輪からの牽引荷重を伝達するボールジョイントと一致している。剛性の前部ブッシングは一般にハンドリングブッシングと呼ばれ、柔らかい後部ブッシングは一般にライドブッシングと呼ばれる。
【0014】
上記の制御アームは、典型的には、ボールジョイントブラケット9に取り付けられたボールジョイントと、一対のブッシング10,11とを用いて、ばね下質量と車両とに接続される。上述の技術を使用して製造されたほとんどの従来技術による制御アームの欠点は、
図4に示すように、ナックル端部のボールジョイントの開口部を制御アームに溶接しなければならないか、又は、開口部をプレス成形部品にスタンピングしなければならないため、追加のステップ、板金の破砕、及び追加のスクラップが生じることである。ブッシングのための座部が、典型的には溶接によって制御アームに接続されなければならない。これにより、追加の溶接ステップがもたらされ、ブッシング座部の位置ずれや溶接の欠陥が発生する可能性がある。
【0015】
溶接のプロセスは、板金上の防食コーティングを破壊する傾向があり、溶接時に部品を腐食にさらす。一部の部品は溶接後に保護コーティングで電気メッキされることがあるが、これはより大きな不規則な形状の部品ではしばしば困難である。部品の溶接後の電気メッキは高価であり、余分な処理時間と床面積を必要とする。さらに、溶接により、溶接部に沿った様々な点で不均一な強度を有するジョイントが生じることがある。制御アームは、典型的には、車両が動いている間、連続的な応力を受けるので、溶接の不規則性は、溶接部に応力破壊を生じ得る。溶接されたジョイントは、一般的にジョイントのない金属部品よりも疲労性能が劣る。さらに、溶接プロセスでは、溶接部の両側に熱影響部が生じ、これは一般的には板金の残りの部分よりも強度が低くなるため、部品の全体的な強度が低下する。最新の溶接技術には、ロボット、溶接セル、溶接ワイヤ、溶接後の検査を含む付帯インフラが含まれ、これらは全て製造コストの要因となる。また、溶接は溶接部の空気質に悪影響を及ぼし、大きな電力を消費する。
【発明の概要】
【0016】
したがって、板金プレス成形のような低コストの製造技術を使用して、比較的低い質量を維持しながら、高い固有剛性及び強度を提供することができるサスペンション制御アームを作成することが有利であろう。自動車業界で要求されるような大量の用途では、板金プレス成形は構造構成要素を製造する最も費用対効果の高い方法であることが証明されている。現在製造されているほとんどの車両は、プレス成形技術を用いて製造されたアルミニウム又は鋼製のスタンピングからほぼ完全に構築された車体構造及び選択されたサブフレームを採用している。したがって、本発明の目的は、車両用サスペンション制御アームの製造に金属プレス成形を利用することである。
【0017】
溶接を使用せずに、比較的軽量のプレコーティングされた板金鋼を使用して制御アームを製造することも有利であろう。さらに、設備及び床面積の資本コストの低減、材料及びエネルギーコストの低減、検査コストの低減、部品疲労の低減、部品軽量化による車両性能及び燃費の向上等の効果が期待できる。
【0018】
本発明の一実施形態では、車両用サスペンション制御アームを含む構造構成要素は、均一な厚さの材料から形成された一対の複雑な単一部品の板金スタンピング構成要素から構築される。構成要素は、正しい平面図の形状、すなわち「A」、「L」、又は用途に適したその他の形状を形成するように、溶接せずに接合される。
【0019】
本発明の主要な態様では、車両用サスペンション制御アームは、板金から形成される第1のアーム構成要素及び第2のアーム構成要素であって、各アーム構成要素が、外壁及び2つの側壁、第1の端部に隣接するブッシング接続手段、第2の端部に隣接する少なくとも1つのブラケット受容リベット開口部、前記第1の端部と前記第2の端部との間に位置する少なくとも1つの構成要素接続リベット開口部を備えるアーム構成要素と、ライドブッシング及びハンドリングブッシングと、前記第1及び第2のアーム構成要素のそれぞれの前記第2の端部に隣接する前記少なくとも1つのブラケット受容リベット開口部に対応するブラケットリベット開口部を備えるボールジョイントブラケットと、複数のリベットとを備え、組み立て時に、前記ボールジョイントブラケットは、前記少なくとも1つのブラケット受容リベット開口部及び前記対応するブラケットリベット開口部を介して、前記第1及び第2のアーム構成要素の両方にそれらの前記第2の端部に隣接してリベット留めされ、前記第1のアーム構成要素は、前記対応する少なくとも1つの構成要素接続リベット開口部において前記第2のアーム構成要素にリベット留めされ、前記ライドブッシングは、前記第1のアーム構成要素の前記第1の端部に接続され、前記ハンドリングブッシングは、前記第2のアーム構成要素の前記第1の端部に接続される。
【0020】
本発明のさらなる態様では、車両用サスペンション制御アームは、板金から形成される第3のアーム構成要素であって、外壁及び2つの側壁、各端部が少なくとも1つの第3のアーム構成要素リベット開口部を備える2つの端部を備えるアーム構成要素と、ライドブッシング座部構成要素及びハンドリングブッシング座部構成要素とをさらに含み、前記第3のアーム構成要素は、前記第1及び第2のアーム構成要素の前記第1の端部に隣接して前記第1及び第2のアーム構成要素のそれぞれと、及び前記第3のアーム構成要素の前記各端部に隣接して前記ライドブッシング座部構成要素及び前記ハンドリングブッシング座部構成要素の両方とにリベット留めされるように適合される。
【0021】
本発明のさらにさらなる態様では、車両用サスペンション制御アームは、板金から形成される第1のアーム構成要素及び第2のアーム構成要素であって、各アーム構成要素が、外壁及び2つの側壁、第1の端部に隣接する一体型ブッシング座部受容開口部、第2の端部に隣接する少なくとも1つのブラケット受容リベット開口部、前記第1の端部と前記第2の端部との間に位置する少なくとも1つの構成要素接続リベット開口部を備えるアーム構成要素と、第1の端部におけるライドブッシング座部、第2の端部におけるハンドリングブッシング座部、及び第1及び第2の接触面を備えるロッドであって、前記第1及び第2の接触面は、前記座部に隣接して前記ロッドに沿って前記座部の内側に配置され、それぞれの座部が前記座部受容開口部を通って延びるときに、前記第1及び第2のアーム構成要素に接触するように適合されるロッドと、前記第1及び第2のアーム構成要素の前記第2の端部に隣接する前記ブラケット受容リベット開口部に対応するブラケットリベット開口部を備えるボールジョイントブラケットと、複数のリベットとを備え、組み立て時に、前記ライドブッシング座部は、前記第1の構成要素の前記座部受容開口部を通って延び、前記ハンドリングブッシング座部は、前記第2の構成要素の前記座部受容開口部を通って延び、前記第1及び第2のアーム構成要素は、前記ロッドの前記第1及び第2の接触面に接触し、前記ボールジョイントブラケットは、前記ブラケット受容リベット開口部及び前記対応するブラケットリベット開口部を介して前記第1及び第2のアーム構成要素の両方にそれらの前記第2の端部に隣接してリベット留めされ、前記第1のアーム構成要素は、前記対応する少なくとも1つのアーム構成要素接続リベット開口部において前記第2のアーム構成要素にリベット留めされる。
【0022】
本発明のさらなる態様では、前記第1及び第2のアーム構成要素の前記側壁は、部分的に重なり合い、かつそれらの前記第1の端部において離間したままである。
【0023】
本発明のさらなる態様では、少なくとも1つのスペーサが、前記少なくとも1つのアーム構成要素リベット開口部において、前記第1及び第2のアーム構成要素の両方の前記側壁の間の間隔を維持する。
【0024】
本発明のさらなる態様では、前記第1及び第2のアーム構成要素は、3つのアーム構成要素リベット開口部においてリベット留めされる。
【0025】
本発明のさらなる態様では、前記3つのアーム構成要素リベット開口部のうちの1つは、前記アーム構成要素の前記第2の端部に隣接して配置され、前記ボールジョイントブラケットは、前記リベット開口部において前記第1及び第2のアーム構成要素のそれぞれにリベット留めされる。
【0026】
本発明のさらなる態様では、前記ブッシング接続手段は、前記第1及び第2のアーム構成要素のそれぞれの前記第1の端部に隣接する一体型ブッシングスタッド受容開口部を備え、前記制御アームは、第1のロッド端部におけるライドブッシングスタッド、第2のロッド端部におけるハンドリングブッシスタッド、及び第1及び第2の座面を備えるロッドをさらに備え、前記第1及び第2の座面は、前記スタッドに隣接して前記ロッドに沿って内側に配置され、前記各スタッドが前記ブッシングスタッド受容開口部を通って延びるときに、前記第1及び第2のアーム構成要素に接触するように適合され、
組み立て時に、前記ライドブッシングスタッドは、前記第1のアーム構成要素の前記ブッシングスタッド受容開口部を通って延び、前記ハンドリングブッシスタッドは、前記第2のアーム構成要素の前記ブッシングスタッド受容開口部を通って延び、前記第1及び第2のアーム構成要素は前記ロッドの前記第1及び第2の座面にそれぞれ接触する。
【0027】
本発明のさらなる態様では、前記ロッドは管状である。
【0028】
本発明のさらなる態様では、前記ライドブッシングは、前記第1のアーム構成要素の前記第1の端部にリベット留めされるブラケットを備える。
【0029】
本発明のさらなる態様では、前記ハンドリングブッシングは、前記第2のアーム構成要素の前記第1の端部に隣接して前記第1及び第2のアーム構成要素の少なくとも一方にリベット留めされる補強板金スタンピングとの接触によって安定化される。
【0030】
本発明のさらなる態様では、前記第2のブッシングスタッドは、対応する雄ネジを有するファスナを受容するように雌ネジを有しており、外側のハンドリングブッシング座部、前記第2のブッシングスタッド上に肩部として形成される外側の第2の接触面、及びテーパ部を備え、前記制御アームは、前記第2のブッシングスタッド上に嵌合する成形リングであって、前記ハンドリングブッシングが前記第2のブッシングスタッドに締結されたときに、前記第2の接触面に対して前記第2のアーム構成要素を保持するように前記テーパ部に着座する成形リングをさらに備える。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】従来技術による4バーリンク車両用サスペンションシステムの斜視図である。
【0032】
【
図2】従来技術による鋳造又は鍛造サスペンション制御アームの斜視図である。
【0033】
【
図3】2つのU字形プレス成形金属スタンピングから構築された典型的な従来技術による溶接サスペンション制御アームの断面立面図である。
【0034】
【
図4】2つのU字形プレス成形金属スタンピングから構築された典型的な従来技術による溶接サスペンション制御アームの斜視図である。
【0035】
【
図5】本発明の無溶接サスペンション制御アームの主要な実施形態の構成要素の斜視分解図である。
【0036】
【
図6】本発明の無溶接サスペンション制御アームの部分的に分解されかつ部分的に組み立てられた斜視図である。
【0037】
【
図7】
図5の部分的に組み立てられた無溶接サスペンション制御アームの斜視図である。
【0038】
【
図8】
図7の無溶接サスペンション制御アームの斜視図であり、制御アームへの組み立て前のブッシングが示されている。
【0039】
【
図9】
図8の無溶接サスペンション制御アームの斜視図であり、ブッシング及びボールジョイントが組み立てられている。
【0040】
【
図10】本発明の無溶接サスペンション制御アームの別の主要な実施形態の平面図である。
【0041】
【0042】
【0043】
【
図11A】本発明の無溶接サスペンション制御アームのさらなる代替実施形態の斜視図である。
【0044】
【0045】
【0046】
【
図12A】
図11Aの代替的な実施形態態の斜視図であり、第3のアーム構成要素の向きを逆にしている。
【0047】
【0048】
【
図13】
図11Aの制御アームの斜視図であり、ブッシング及びボールジョイントが組み付けられている。
【0049】
【
図14】
図5-9の第1の実施形態のロッドの立面断面図である。
【0050】
【
図15】
図5-9のリベット留めされた無溶接サスペンション制御アームの斜視図であり、成形リングの組み付けを示す。
【0051】
【
図16A】ブッシングの組み付け準備ができている
図15の制御アームの斜視図である。
【0052】
【
図16B】
図15及び16の制御アームの一部の立面断面図であり、制御アームにハンドリングブッシングが組み付けられている。
【発明を実施するための形態】
【0053】
図5-9は、本発明の無溶接車両用サスペンション制御アーム15の好ましい実施形態を示す。第1のアーム構成要素12及び第2のアーム構成要素14は、板金からスタンピングされる。好ましい材料は、腐食保護のためにプレコーティングされた鋼板である。この構造の性質を考慮すると、
図3及び
図4に示されるような対応する従来技術による溶接構造よりも軽いゲージの板金が一般に使用されてもよい。
【0054】
第1のアーム構成要素12及び第2のアーム構成要素14は、所定の共通する特徴を有する。各々は、外壁16と2つの側壁18とを備える。各アーム構成要素は、アーム構成要素の第1の端部22に隣接する一体型ブッシング座部受容開口部20を有する。適切なスタンピングにより、開口部20は、従来技術による製造に典型的なように、ブッシング座部を備えた別の構成要素を溶接又は別のやり方で制御アームに取り付ける必要なしに、アーム構成要素の残りの部分を含む同じ材料から形成される。さらに、各アーム構成要素12、14は、アーム構成要素の第2の端部26に隣接する少なくとも1つのブラケット受容リベット開口部24を備える。
図5の好ましい実施形態では、2つの整列されたブラケット受容開口部24が、各アーム構成要素のスタンピング中に形成される。さらに、各アーム構成要素は、第1の端部22と第2の端部26との間に位置する少なくとも1つの構成要素接続リベット開口部28を備える。
図5の好ましい実施形態では、各アーム構成要素12、14は、3対の整列した構成要素接続リベット開口部28を備える。
【0055】
ロッド30は、アーム構成要素12、14の間にリベット留めされていない接続を提供するように機能する。また、それはブッシング座部のような別の構成要素に置き換わり、以下でさらに説明するように、そうでない場合は制御アームに溶接されるか又は同様に取り付けられなければならない。ロッド30は、好ましくは、制御アームの重量を減少させるために管状であるが、中実であってもよい。ロッド30は、第1の端部34にライドブッシング座部32を有する第1のスタッド31と、第2の端部38にハンドリングブッシング座部36を有する第2のスタッド33とを備える。これらのブッシング座部32、36は、以下にさらに説明するように、ブッシングを受容するように意図されている。ロッド30は、ロッドの第1及び第2の端部34、38から内側に配置される第1の接触面40及び第2の接触面42も備える。これらの接触面40、42は、制御アームが組み立てられたときにブッシング座部受容開口部20で第1及び第2のアーム構成要素12、14と接触するように設計されている。
【0056】
ボールジョイントブラケット44は、以下にさらに説明するように、ボールジョイントを受容するように適合される。ボールジョイントブラケット44は、第1及び第2のアーム構成要素12,14の第2の端部26に隣接するブラケット受容開口部24に対応するブラケットリベット開口部46を備える。
図5に示された好ましい実施形態では、2つの外部ブラケットリベット開口部46は、第1及び第2のアーム構成要素12、14の各々にある一対のブラケット受容リベット開口部24とそれぞれ整列する。内部ブラケットリベット開口部46は、アーム構成要素12、14の第2の端部26に隣接する構成要素接続開口部28の対と整列する。したがって、アーム構成要素12、14の第2の端部26に隣接する構成要素接続開口部28の対は、2つのアーム構成要素の相互接続と、ボールジョイントブラケット44の2つのアーム構成要素への接続の両方の機能を有する。
【0057】
図6に示すように、複数のリベット48が、種々のブラケット受容リベット開口部24、構成要素接続リベット開口部28及びブラケットリベット開口部46において種々の構成要素を接合するために利用される。
【0058】
スペーサ50が、組み立て前及び組み立て中にアーム構成要素12、14の安定性を維持するために使用されてもよい。
図5に示されるように、スペーサ50は、組み立て前に第1のアーム構成要素12における構成要素接続リベット開口部28に配置されているが、いずれのアーム構成要素もそれらを受容することができる。スペーサ50は、制御アームが組み立てられるとき、各アーム構成要素の側壁18間の間隔を維持する。
【0059】
好ましい組み立てシーケンスでは、第1及び第2のアーム構成要素12、14をスタンピングした後で、スペーサ50は、典型的には車両に対して後方を向く第1のアーム構成要素12の中央に位置する構成要素接続リベット開口部28と整列して設置される。以下のシーケンスは、同時に又は近接したシーケンスで行われてもよい。ロッド30のスタッド31のライドブッシング座部32は、第1の構成要素12のブッシング座部受容開口部20を通して挿入され、ロッド30の第1の接触面40は、第1のアーム構成要素12に接触する。スタッド33のハンドリングブッシング座部36は、第2の構成要素14のブッシング座部開口部20を通して挿入され、第2の接触面42は第2のアーム構成要素14に接触する。第1及び第2のアーム構成要素12、14は、構成要素接続リベット開口部28で重なり合って整列される。ボールジョイントブラケット44は、ブラケット受容リベット開口部24、ブラケットリベット開口部46、及びアーム構成要素の第2の端部26に隣接する構成要素接続リベット開口部28において、第1及び第2のアーム構成要素12、14と整列する。
図6は、この時点で部分的に組み立てられた制御アームを示す。次に、リベット48を取り付けて、
図7に示すように、基本的な制御アーム15を完成させる。図示された好ましい実施形態の構造の利点は、リベット48を単一の平面内に設置することができ、したがって、組み立てを著しく単純化することである。組み立てられた制御アーム15にロッド30を固定するために、1つ以上のさらなる取り付け具(図示せず)が使用されてもよい。
【0060】
基本的な制御アーム15の構造に続いて、ライドブッシング52をライドブッシング座部32に取り付け、ハンドリングブッシング54をハンドリングブッシング座部36に取り付けてもよい。取り付けは、ブッシング52、54をブッシング座部32、36に圧入することによって行われてもよい。これは、
図8においてブッシングの組み立て前に示されている。また、ボールジョイント56は、標準的な方法を使用して、ボールジョイントブラケット44において制御アーム15に接続されてもよい。
図9には、ブッシング52、54及びボールジョイント56を含む完全に組み立てられた制御アームが示されている。明らかに、制御アーム、ブッシング及びボールジョイントを組み立てるために、他の公知の方法が適宜用いられてもよい。
【0061】
図10には、制御アーム構造の第2の主要な実施形態が示されている。この場合、ロッド30は省略されている。ここでも、種々の構成要素を接合するために複数のリベットが用いられる。この実施形態は、サスペンションシステム内の制御アームの「パッケージング」要件が、制御アームの異なる周辺外形を指示する場合等、特定の用途において有益であり得る。ロッド30を除去することによって、部品の質量及びコストを低減することもでき、これは、十分な部品の耐久性及び機能性が維持される限り、一般に望ましい。
【0062】
図10-10Bを参照すると、制御アーム115は、第1のアーム構成要素112及び第2のアーム構成要素114で構築される。また、これらの構成要素は、1つの外壁と2つの側壁を有するアーム構成要素の典型的なU字形を示すために、断面が概略示されている。第2のアーム構成要素114の側壁は、第2のアーム構成要素114が第1のアーム構成要素112内に部分的に入れ子になることができるように、第1の壁構成要素112の側壁よりも互いに接近した間隔で配置される。ボールジョイントブラケット144は、ボールジョイントを受容するように適合される。
【0063】
ボールジョイントブラケット144は、第1及び第2のアーム構成要素112,114の第2の端部126に隣接するブラケット受容開口部124に対応するブラケットリベット開口部146を備える。2つの外部ブラケットリベット開口部146は、第1及び第2のアーム構成要素112,114の各端部上の一対のブラケット受容開口部124にそれぞれ整列するが、他の取り付けの選択も可能である。したがって、アーム構成要素の第2の端部126に隣接する構成要素接続開口部128の対は、2つのアーム構成要素の相互接続と、ボールジョイントブラケット144の2つのアーム構成要素への接続の両方の機能を有する。
【0064】
ライドブッシングブラケット158を含むライドブッシング152は、1つ以上のブッシングブラケット開口部160及び1つ以上の第1のアーム構成要素のブッシングブラケット受容開口部162において、第1の構成要素112の第1の端部122にリベット留めされる。ハンドリングブッシング154は、第2のアーム構成要素114の第1の端部122に従来通り締結されてもよい。補強板金スタンピング164は、1つ以上の開口部166,168において第1及び第2の構成要素にリベット留めされてもよい。補強板金スタンピング164は、ハンドリングブッシング154に接触してこれを安定させるように機能する。もちろん、補強は、板金スタンピング以外でも可能であるが、板金スタンピングを使用することは、全体として制御アームを作成するプロセスと一貫性があり、これらのプロセスに付随する利点を有する。
【0065】
本発明のさらなる主要な実施形態を
図11A-13に示す。この実施形態は、
図5-9に示された制御アームの構造と同様であるが、第1及び第2のアーム構成要素を接合するロッドが、その外壁及び2つの側壁に関して第1及び第2のアーム構成要素と同様な形状の板金スタンピングを含む第3のアーム構成要素と置き換えられている。第1のアーム構成要素及び第2のアーム構成要素の板金材料からブッシング座部開口部を形成する代わりに、別個のブッシング座部構成要素が第3のアーム構成要素と共に第1及び第2のアーム構成要素の第1の端部にリベット留めされて、ブッシングを受容することができる堅牢なリベット留め構造を形成する。ブッシング座部構成要素は、板金又は他の好都合な材料から形成されてもよい。
【0066】
図11A-13の実施形態において、第1のアーム構成要素212、第2のアーム構成要素214が板金からスタンピングされる。第1のアーム構成要素212及び第2のアーム構成要素214は、所定の共通する特徴を有する。各アーム構成要素212,214は、外壁216と2つの側壁218とを備える。さらに、各アーム構成要素212、214は、アーム構成要素の第2の端部226に隣接する少なくとも1つのブラケット受容リベット開口部224を備える。アーム構成要素212,214は、
図5-9の実施形態に関連して既に説明した第1の実施形態と同様に、それらの第2の端部及び中央部の両方で接続される。第1の実施形態とこのさらなる実施形態との間の相違は、アーム構成要素212,214の第1の端部において明らかである。各アーム構成要素212,214は、第1のアーム構成要素と第2のアーム構成要素の第1の端部に隣接して配置された少なくとも1つの追加の構成要素接続リベット開口部229を含む。
図11A-13の好ましい実施形態において、第1及び第2のアーム構成要素212,214の各々は、一対の追加の接続リベット開口部229を備える。
【0067】
第3のアーム構成要素230は、第1及び第2のアーム構成要素212,214にリベット接続を提供するように機能する。第1及び第2のアーム構成要素と同様に、第3のアーム構成要素は、外壁及び2つの側壁で構築される。第3のアーム構成要素230は、第1及び第2のアーム構成要素212,214の少なくとも1つの追加の構成要素接続リベット開口部229と整列するために、その各端部に隣接する少なくとも1つの第3のアームリベット開口部231を備える。
図12A及び12Bに示されているように、第3アーム構成要素230は、
図11A及び11Bに示された実施形態のものとは逆方向に配向されてもよい。これらの開口部においてリベット留めされると、第1及び第2のアーム構成要素212,214と、第3のアーム構成要素230と、ライド及びハンドリングブッシング座部構成要素232,236とが、全て確実に接続される。キャップ238は、ファスナで固定されたときに、ハンドリングブッシングをハンドリングブッシング座部236に保持するように機能する。ここでもスペーサ50が、アーム構成要素間の間隔を維持し、制御アームの構造を支持するために、第1及び第2のアーム構成要素212,214の一方の側壁の間、及び種々のリベット開口部の位置における第3のアーム構成要素230の側壁の間に使用されてもよい。
【0068】
図13に示されるように、
図5-9に示される実施形態と同様に、基本的な制御アーム215の構成に続いて、ライドブッシング252がライドブッシング座部構成要素232のライドブッシング座部に設置され、ハンドリングブッシング254がハンドリングブッシング座部構成要素236のハンドリングブッシング座部に設置されてもよい。
【0069】
自動車の制御アームは、サスペンションシステムの作動中に受ける荷重を効果的に伝達できることが不可欠である。制御アームの構造構成要素として比較的軽いゲージの板金スタンピングを使用することに関する1つの関心事は、構成要素の移動の過度の自由度に起因し得る強度の経時的な損失なしに、かかるサスペンション荷重を伝達する板金構造の能力である。特に、
図5-9に示す第1の実施形態の場合には、アーム構成要素自体がブッシング座部受容開口部と共にスタンピングており、これらの開口部を囲むアーム構成要素材料が十分に補強されていることを確実にすることが重要である。
図14-16Bには、このような強化を達成するための好ましいやり方の詳細が示されている。
【0070】
図14は、前述した中空管ロッド30が示されている。その第1の端部34において、ロッド30は、第1の接触面40を含むテーパ部分に通じるライドブッシング座部32を有する第1のブッシングスタッド31を備える。その第2の端部38において、ロッド30は、ハンドリングブッシング座部36を有する第2のブッシングスタッド33と、第2のスタッド33内の雌ねじ37と、ロッド30の第2のスタッド33上に肩部として形成される第2の接触面42とを備える。ロッド30のテーパ部43は、ハンドリングブッシング座部36と第2の接触面42との間にある。
【0071】
図15は、リベット留めされた制御アーム15を示す。ロッド30の第1の端部34に隣接して、第1の接触面40は、ライドブッシング座部32が第1のアーム構成要素12の第1の端部22におけるブッシング座部受容開口部20を通過すると、第1のアーム構成要素12に当接する。ロッド30の第2の端部38に隣接して、第2の接触面42は、ハンドリングブッシング座部36が第2のアーム構成要素14の第1の端部22におけるブッシング座部受容開口部20を通過すると、第2のアーム構成要素14に当接する。
【0072】
図15-16Bに示されているように、成形リング51が、ハンドリングブッシング座部36上に嵌合され、ロッド30のテーパ部43と、第2のアーム構成要素14の第1の端部22に隣接するブッシング座部受容開口部20を囲む第2のアーム構成要素14の材料とに接触する。ハンドリングブッシング54は、同様にハンドリングブッシング座部36上に嵌合され、成形リング51に接触する内側スリーブ55を備える。最後に、雄ネジ部59を有するファスナ56が、ハンドリングブッシング座部36の対応する雌ネジ部37に螺合される。ファスナ56は、ハンドリングブッシング54に接触するように形成されたファスナヘッド61を備える。ファスナヘッド61は、サスペンションシステムの作動中にハンドリングブッシング54の撓みに対する停止部として作用するように、ハンドリングブッシング54から特定の位置で一定のクリアランスが得られるように成形されてもよい。
【0073】
ファスナが挿入されて締め付けられると、ハンドリングブッシング54が所定位置に保持され、第2のアーム構成要素14が中間の成形リング51を介してロッド30に確実に保持される。この配置によって生じる半径方向のクランプ力は、サスペンションシステムの作動中の力の効果的な伝達を容易にし、かつ堅牢な制御アーム構造を形成するように、第2のアーム構成要素14のハンドリングブッシング座部受容開口部20を囲む第2のアーム構成要素14の板金材料を十分に補強する。
【0074】
特定の構成要素の配置が図示された実施形態に開示されているが、他の配置も本発明から利益を得ることが理解されるべきである。特定のステップシーケンスが示されかつ説明されているが、ステップは、他に示されていない限り、任意の順序で、分離され又は組み合わされて実行されてもよく、それでも本発明から利益を受けることが理解されるべきである。
【0075】
異なる例は例示された特定の構成要素を有するが、本発明の実施形態は、こうした特定の組合せに限定されない。一例による構成要素又は特徴の一部を別の例による特徴又は構成要素と組み合わせて使用することも可能である。
【0076】
例示的な実施形態が開示されているが、当業者であれば、所定の変更が特許請求の範囲内に含まれることを認識するであろう。そのため、以下の特許請求の範囲について検討し、その実際の範囲及び内容を決定すべきである。