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特許7438335配車制御装置、配車制御システム、及び配車制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-15
(45)【発行日】2024-02-26
(54)【発明の名称】配車制御装置、配車制御システム、及び配車制御方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/123 20060101AFI20240216BHJP
   G08G 1/0969 20060101ALI20240216BHJP
   G01C 21/26 20060101ALI20240216BHJP
   G01C 21/34 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
G08G1/123 A
G08G1/0969
G01C21/26 B
G01C21/34
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022514866
(86)(22)【出願日】2020-04-16
(86)【国際出願番号】 IB2020000373
(87)【国際公開番号】W WO2021209781
(87)【国際公開日】2021-10-21
【審査請求日】2022-11-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】棒谷 英法
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 政康
(72)【発明者】
【氏名】平林 知己
【審査官】田中 将一
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-168815(JP,A)
【文献】特開2017-053640(JP,A)
【文献】国際公開第2013/137077(WO,A1)
【文献】特開2019-096263(JP,A)
【文献】特開2010-025783(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
G01C 21/00 - 21/36
G01C 23/00 - 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配車リクエストに応じて配車した車両の走行ルートを制御するコントローラを備える配車制御装置であって、
前記コントローラは、
通信により前記配車をリクエストしたユーザの行動予定に関するデータを取得し、
前記ユーザの行動予定に関するデータを参照して前記ユーザの許容時間を推定し、
降車地を含む第1走行ルートを設定した後に、前記車両内の忘れ物を検出した場合、
設定した前記第1走行ルートを走行して前記車両が前記降車地に到着する第1時間を算出し、
前記第1走行ルートと異なる走行ルートであって、前記忘れ物を預ける施設を経由する第2走行ルートを少なくとも1つ設定し、
前記第2走行ルートを走行して前記車両が前記降車地に到着する第2時間を算出し、
前記第1時間と前記第2時間との時間差が前記許容時間以下となる否かを判断し、
前記第1時間と前記第2時間との時間差が前記許容時間以下となる場合、前記第1走行ルートを、前記第1時間と前記第2時間との時間差が前記許容時間以下となる前記第2走行ルートに変更する
ことを特徴とする配車制御装置。
【請求項2】
前記コントローラは、
前記第1時間と前記第2時間との時間差が許容時間以下となるように、前記第1走行ルートを変更可能な変更可能範囲を設定し、
前記施設の位置情報を含む地図データベースを取得し、
前記地図データベースを用いて前記変更可能範囲内に存在する前記施設を抽出し、
抽出した前記施設を経由する前記第2走行ルートを設定する
ことを特徴とする請求項1に記載の配車制御装置。
【請求項3】
前記コントローラは、
前記変更可能範囲内で前記施設を複数抽出した場合、それぞれの施設を経由するそれぞれの走行ルート候補を設定し、
前記それぞれの走行ルート候補のうち、前記車両の現在地から前記降車地に到着するまでの少なくとも時間または距離のいずれか一方に係る損失が小さい走行ルート候補を、前記車両の現在地から前記降車地に到着するまでの少なくとも時間または距離のいずれか一方に係る損失が大きい走行ルート候補より優先的に前記第2走行ルートとして設定する
ことを特徴とする請求項2に記載の配車制御装置。
【請求項4】
前記コントローラは、
前記変更可能範囲内で前記施設を複数抽出した場合、それぞれの施設を経由するそれぞれの走行ルート候補を設定し、
前記それぞれの走行ルート候補のうち、前記忘れ物をしたユーザの現在地から近い施設を経由する走行ルート候補を、前記忘れ物をしたユーザの現在地から遠い施設を経由する走行ルート候補より優先的に前記第2走行ルートとして設定する
ことを特徴とする請求項2に記載の配車制御装置。
【請求項5】
前記コントローラは、
前記変更可能範囲内で前記施設を複数抽出した場合、それぞれの施設を経由するそれぞれの走行ルート候補を設定し、
前記それぞれの走行ルート候補のうち、前記車両の現在地から前記降車地に到着するまでの時間に係る損失と、前記車両の現在地から前記降車地に到着するまでの距離に係る損失と、前記忘れ物をしたユーザの現在地から前記施設までの距離に関する損失と、の合計の損失が小さい走行ルート候補を、前記合計の損失が大きい走行ルート候補より優先的に前記第2走行ルートとして設定する
ことを特徴とする請求項2に記載の配車制御装置。
【請求項6】
前記コントローラは、前記忘れ物をしたユーザが所持する端末装置に前記変更可能範囲内の前記施設を表示する、または前記変更可能範囲と、前記変更可能範囲内の前記施設とを前記端末装置に表示する
ことを特徴とする請求項2~5のいずれか1項に記載の配車制御装置。
【請求項7】
前記コントローラは、前記端末装置から受信した、前記忘れ物をしたユーザが指定する施設を経由するように前記走行ルートを変更する
ことを特徴とする請求項6に記載の配車制御装置。
【請求項8】
前記コントローラは、
設定した前記走行ルートを走行して前記車両が、前記配車をリクエストしたユーザを乗車させる乗車地に到着する時間と、変更後の走行ルートを走行して前記車両が前記乗車地に到着する時間との時間差が許容時間以下となるように前記変更可能範囲を設定する
ことを特徴とする請求項2~5のいずれか1項に記載の配車制御装置。
【請求項9】
複数のユーザが過去に許容した時間を格納する記憶装置をさらに備え、
前記コントローラは、
前記記憶装置から前記複数のユーザが過去に許容した時間を取得し、
前記複数のユーザが過去に許容した時間の平均時間を算出し、
前記平均時間を前記配車をリクエストしたユーザの許容時間として推定する
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の配車制御装置。
【請求項10】
前記コントローラは、前記忘れ物をしたユーザが所持する端末装置から忘れ物探索を希望する信号を受信した場合に、前記車両に対して前記忘れ物を検出するための信号を送信する
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の配車制御装置。
【請求項11】
前記コントローラは、前記車両が経由する前記施設の位置情報及び前記車両が前記施設に到着する時間を、前記忘れ物をしたユーザが所持する端末装置に送信する
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の配車制御装置。
【請求項12】
前記コントローラは、前記車両が経由する前記施設に設置された端末装置に前記車両が到着する時間を送信する
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の配車制御装置。
【請求項13】
車両と、前記車両と通信可能であり、配車リクエストに応じて配車した前記車両の走行ルートを制御する配車制御装置と、を備える配車制御システムであって、
前記配車制御装置は、
通信により前記配車をリクエストしたユーザの行動予定に関するデータを取得し、
前記ユーザの行動予定に関するデータを参照して前記ユーザの許容時間を推定し、
降車地を含む第1走行ルートを設定した後に、前記車両内の忘れ物を検出した場合、
設定した前記第1走行ルートを走行して前記車両が前記降車地に到着する第1時間を算出し、
前記第1走行ルートと異なる走行ルートであって、前記忘れ物を預ける施設を経由する第2走行ルートを少なくとも1つ設定し、
前記第2走行ルートを走行して前記車両が前記降車地に到着する第2時間を算出し、
前記第1時間と前記第2時間との時間差が前記許容時間以下となる否かを判断し、
前記第1時間と前記第2時間との時間差が前記許容時間以下となる場合、前記第1走行ルートを、前記第1時間と前記第2時間との時間差が前記許容時間以下となる前記第2走行ルートに変更する
ことを特徴とする配車制御システム。
【請求項14】
配車リクエストに応じて配車した車両の走行ルートを制御するコントローラに係る配車制御方法であって、
前記コントローラは、
通信により前記配車をリクエストしたユーザの行動予定に関するデータを取得し、
前記ユーザの行動予定に関するデータを参照して前記ユーザの許容時間を推定し、
降車地を含む第1走行ルートを設定した後に、前記車両内の忘れ物を検出した場合、
設定した前記第1走行ルートを走行して前記車両が前記降車地に到着する第1時間を算出し、
前記第1走行ルートと異なる走行ルートであって、前記忘れ物を預ける施設を経由する第2走行ルートを少なくとも1つ設定し、
前記第2走行ルートを走行して前記車両が前記降車地に到着する第2時間を算出し、
前記第1時間と前記第2時間との時間差が前記許容時間以下となる否かを判断し、
前記第1時間と前記第2時間との時間差が前記許容時間以下となる場合、前記第1走行ルートを、前記第1時間と前記第2時間との時間差が前記許容時間以下となる前記第2走行ルートに変更する
ことを特徴とする配車制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配車制御装置、配車制御システム、及び配車制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両に忘れ物をしたユーザに対して、その忘れ物を届ける発明が知られている(特許文献1)。特許文献1に記載された発明は、忘れ物をしたユーザを特定し、ユーザの端末装置の位置情報に基づいて忘れ物を届ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-245591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、次のユーザの配車リクエストを受け付けた場合において、特許文献1に記載された発明のように忘れ物をしたユーザに忘れ物を届けてしまうと、配車希望条件(待合せ時間など)を満たすことができなくなるおそれがある。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みて成されたものであり、その目的は、配車リクエストを受け付けた次のユーザの配車希望条件を満たすように忘れ物をしたユーザの対応を行う配車制御装置、配車制御システム、及び配車制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る配車制御装置は、降車地を含む第1走行ルートを設定した後に、車両内の忘れ物を検出した場合、設定した第1走行ルートを走行して車両が降車地に到着する第1時間を算出する。配車制御装置は第1走行ルートと異なる走行ルートであって、忘れ物を預ける施設を経由する第2走行ルートを少なくとも1つ設定する。配車制御装置は第2走行ルートを走行して車両が降車地に到着する第2時間を算出する。配車制御装置は第1走行ルートを第1時間と第2時間との時間差が許容時間以下となる第2走行ルートに変更する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、配車リクエストを受け付けた次のユーザの配車希望条件を満たすように忘れ物をしたユーザの対応を行う。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係る配車制御システム10の全体概略図である。
図2図2は、本発明の第1実施形態に係るコンピュータ20、車両40、及び端末装置60,61の機能ブロック図である。
図3図3は、本発明の第1実施形態に係る変更可能範囲90及び走行ルートの変更方法の一例を説明する図である。
図4図4は、本発明の第1実施形態に係る変更可能範囲90及び走行ルートの変更方法の他の例を説明する図である。
図5図5は、本発明の第1実施形態に係る配車制御システム10の一動作例を説明するフローチャートである。
図6図6は、本発明の第2実施形態に係るコンピュータ20、車両40、及び端末装置60,61の機能ブロック図である。
図7図7は、本発明の第2実施形態に係る変更可能範囲90及び走行ルートの変更方法の一例を説明する図である。
図8図8は、本発明の第2実施形態に係る配車制御システム10の一動作例を説明するフローチャートである。
図9図9は、本発明の第3実施形態に係るコンピュータ20、車両40、及び端末装置60,61の機能ブロック図である。
図10図10は、本発明の第3実施形態に係る変更可能範囲90及び走行ルートの変更方法の一例を説明する図である。
図11図11は、本発明の第3実施形態に係る配車制御システム10の一動作例を説明するフローチャートである。
図12図12は、本発明の第4実施形態に係る変更可能範囲90及び走行ルートの変更方法の一例を説明する図である。
図13図13は、本発明の第4実施形態に係る配車制御システム10の一動作例を説明するフローチャートである。
図14図14は、その他の実施形態に係る走行ルートの変更方法の一例を説明する図である。
図15図15は、その他の実施形態に係る走行ルートの変更方法の他の例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。図面の記載において同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0010】
(第1実施形態)
(配車制御システムの構成例)
【0011】
図1~2を参照して、第1実施形態に係る配車制御システム10の構成例を説明する。図1に示すように、配車制御システム10は、コンピュータ20(配車制御装置)と、通信ネットワーク30と、車両40と、ユーザ70と、ユーザ70が所持する端末装置60と、ユーザ71と、ユーザ71が所持する端末装置61とを含む。
【0012】
コンピュータ20は、通信ネットワーク30を介して車両40及び端末装置60,61と通信する。コンピュータ20は、CPU(Central Processing Unit)21と、メモリ22と、通信I/F23と、記憶装置24とを備え、これらの構成要素が図示しないバスなどを介して電気的に接続されている。コンピュータ20の設置場所は特に限定されないが、例えばコンピュータ20は車両40を運用する事業者の管理センタに設置される。
【0013】
CPU21は、記憶装置24などに記憶されている様々なプログラムをメモリ22に読み込んで、プログラムに含まれる各種の命令を実行する。メモリ22は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などの記憶媒体である。記憶装置24は、HDD(Hard Disk Drive)などの記憶媒体である。なお、以下で説明するコンピュータ20の機能を含む配車制御システム10の一部(または全部)は、通信ネットワーク30上に配置されたアプリケーション(Software as a Service(SaaS)など)によって提供されてもよい。また、コンピュータ20は、サーバであってもよい。
【0014】
通信I/F23は、ネットワークアダプタなどのハードウェア、各種の通信用ソフトウェア、及びこれらの組み合わせとして実装され、通信ネットワーク30などを介した有線または無線の通信を実現できるように構成されている。
【0015】
通信ネットワーク30は、無線または有線の何れかの方式、あるいは両方の方式によって構成されてもよく、通信ネットワーク30には、インターネットが含まれてもよい。本実施形態では、コンピュータ20、車両40、及び端末装置60,61は、無線通信方式によって通信ネットワーク30と接続する。
【0016】
車両40は、運転者が存在する車両でもよく、運転者が存在しない自動運転車両でもよい。第1実施形態では、車両40は運転者が存在しない自動運転車両として説明する。車両40は特に限定されないが例えばタクシーである。
【0017】
ユーザ70は、端末装置60を用いて車両をリクエストする。端末装置60には、車両のリクエストに用いられる配車アプリケーション(以下単に配車アプリと称する)がインストールされており、ユーザ70は、配車アプリを用いて車両をリクエストする。
【0018】
ユーザ71は、車両40を利用した際に、車両40に忘れ物をした。忘れ物をしたことに気づいたユーザ71は、端末装置61にインストールされた専用のアプリケーションを用いて忘れ物探索を希望する。なお、忘れ物を探索するためのアプリケーションは専用のアプリケーションに限定されず、配車アプリの機能の一部として組み込まれてもよい。
【0019】
次に、図2を参照して、コンピュータ20、車両40、端末装置60,61の詳細について説明する。
【0020】
端末装置60は、通信I/F601と、配車アプリ602と、GPS受信機603と、を備える。通信I/F601は、通信I/F23(図1参照)と同様の構成を備えており、通信ネットワーク30を介してコンピュータ20と通信する。端末装置60は、例えば、スマートフォン、タブレットなどである。また、端末装置60は、ウェアラブル型の装置であってもよい。なお、図示は省略するが、端末装置60もコンピュータ20と同様に、CPU、メモリ、記憶装置などを備える。
【0021】
配車アプリ602は、上述したように車両のリクエストに用いられる。配車アプリ602は、ユーザ70が車両をリクエストする際のユーザインタフェースとして機能する。配車アプリ602は、端末装置60に設けられたCPUが、端末装置60に設けられた記憶装置から、専用のアプリケーションプログラムを読み出して実行することで実現する。ユーザ70が車両をリクエストする際、ユーザ70は希望する乗車地、希望する待合せ時間、希望する降車地などを配車アプリ602に入力し、車両をリクエストする。端末装置60は、ユーザ70の入力に従って、コンピュータ20に配車リクエストを送信する。また、端末装置60は、配車リクエストに対してコンピュータ20から返信される信号に含まれる各種情報(配車リクエスト受領、到着予定時間、走行ルートなど)を、端末装置60が備えるディスプレイに表示する。ただし、配車アプリ602の実現方法は、これに限定されない。例えば、端末装置60が、配車アプリ602の機能を提供するサーバにアクセスして機能提供を受け、サーバから送信される機能の実行結果をブラウザに表示するようにしてもよい。
【0022】
GPS受信機603によって取得された端末装置60の位置情報は、任意のタイミングでコンピュータ20に送信される。
【0023】
端末装置61は、通信I/F611と、配車アプリ612と、GPS受信機613と、を備える。これらは端末装置60と同様であるため、説明を省略する。
【0024】
コンピュータ20のCPU21(コントローラ)は、図2に示すように、複数の機能の一例として、配車受付部211と、割当部212と、位置取得部213と、走行ルート算出部214と、忘れ物検出部215と、予定取得部216と、変更可能範囲算出部217と、施設抽出部218と、走行ルート変更部219とを備える。コンピュータ20の記憶装置24には、地図データベース241と、顧客データベース242とが格納されている。
【0025】
地図データベース241には、道路情報、施設情報などルート案内に必要となる地図情報が記憶されている。道路情報には、道路の車線数、道路境界線、車線の接続関係、速度制限、一方通行などを示す道路標識などが含まれる。
【0026】
顧客データベース242には、ユーザ70,71のIDなどのアカウント情報、車両の利用履歴などが格納されている。利用履歴には、車両No、乗車日時、乗車区間、料金などが含まれる。IDと利用履歴は紐付けられて格納される。
【0027】
配車受付部211は、端末装置60から送信されるユーザ70の配車リクエストを受け付ける。また、配車受付部211は、ユーザ70の配車リクエストを受け付けた旨、乗車地及び降車地の到着予定時間、乗車地及び降車地の走行ルートなどを端末装置60に通知する。
【0028】
割当部212は、受け付けた配車リクエストに応じて、複数の車両の中から適切な車両を割り当てる。例えば、割当部212は、効率化のために、複数の車両の中から、ユーザ70が希望する乗車地に最も近い空車の車両を割り当てることができる。第1実施形態では、車両40が割り当てられたものとして説明する。
【0029】
位置取得部213は、端末装置60,61からユーザ70,71の位置情報を取得し、車両40から車両40の位置情報を取得する。ユーザ70,71の位置情報とは、ユーザ70,71が所持する端末装置60,61の位置情報を意味する。
【0030】
走行ルート算出部214は、地図データベース241を参照して車両40の現在地からユーザ70が希望する乗車地までの走行ルートを算出して設定する。走行ルート算出部214は、設定した走行ルートに沿ってユーザ70が希望する乗車地まで走行するように車両40に対して指令を送信する。また、走行ルート算出部214は、ユーザ70が希望する乗車地からユーザ70が希望する降車地(目的地)までの走行ルートも算出して設定する。走行ルート算出部214は、設定した走行ルートに沿ってユーザ70が希望する降車地まで走行するように車両40に対して指令を送信する。走行ルート算出部214が設定する走行ルートは、例えば、車両40の現在地からユーザ70が希望する乗車地を経由して、ユーザ70が希望する降車地に到着するまでの時間がもっとも短い走行ルートである。
【0031】
忘れ物検出部215は、ユーザ71から忘れ物探索を希望することを示す信号を受信し、忘れ物を検出する。忘れ物検出部215は、忘れ物探索を希望することを示す信号に含まれるユーザ71のIDと、顧客データベース242とを突き合わせることにより、ユーザ71が最後に乗車した車両を特定する。忘れ物検出部215は、車両を特定した後、特定した車両に対し、忘れ物を検出するための信号を送信する。
【0032】
予定取得部216は、ユーザ70のスケジュールデータを取得する。スケジュールデータとは、いつ、どこで、何をするといったユーザ70の行動予定に関するデータである。スケジュールデータを取得する方法は特に限定されないが、例えば、予定取得部216は、端末装置60からスケジュールデータを取得してもよい。あるいは、予定取得部216は、クラウドコンピューティングサービスを用いてスケジュールデータを取得してもよい。
【0033】
変更可能範囲算出部217は、走行ルート算出部214によって設定された走行ルートを走行して車両40が降車地に到着する時間と変更後の走行ルートを走行して車両40が降車地に到着する時間との時間差が許容時間以下となるように、走行ルートを変更可能な変更可能範囲を算出して設定する。
【0034】
施設抽出部218は、変更可能範囲算出部217によって設定された変更可能範囲内で忘れ物を預ける施設を抽出する。施設抽出部218は、地図データベース241を参照して施設を抽出する。
【0035】
走行ルート変更部219は、施設抽出部218によって抽出された施設を経由するように走行ルートを変更する。
【0036】
車両40は、通信I/F401と車両ECU(Electronic Control Unit)402と、GPS受信機403と、カメラ404と、コントローラ405とを備える。通信I/F401は、通信I/F23及び通信I/F601と同様の構成を備えており、通信ネットワーク30を介してコンピュータ20と通信する。車両ECU402は、車両40の走行を制御するためのコンピュータである。車両ECU402は、配車制御システム10からの指令に基づいて各種のアクチュエータ(ブレーキアクチュエータ、アクセルアクチュエータ、ステアリングアクチュエータなど)を制御する。GPS受信機403によって取得された車両40の位置情報は、任意のタイミングでコンピュータ20に送信される。
【0037】
コントローラ405は、忘れ物検出部215から忘れ物を検出するための信号を受信したとき、カメラ404を用いて車両40の車室内を撮影する。コントローラ405は、所定の画像処理を用いてカメラ画像を解析する。この解析によりユーザ71の忘れ物が検出される。コントローラ405は、忘れ物を検出したことを示す信号をコンピュータ20に送信する。
【0038】
次に、図3を参照して、第1実施形態に係る配車制御システム10の一動作例について説明する。
【0039】
図3に示すシーンは、ユーザ70の配車リクエストによって割り当てられた車両40がユーザ70を迎えに行くシーンである。車両40に乗客はいない。図3のAは、ユーザ70が指定した乗車地である。図3のGは、ユーザ70が指定した降車地(目的地)である。降車地Gは映画館である。車両40の車室内にはユーザ71の忘れ物(財布)がある。
【0040】
図3の走行ルート80は、走行ルート算出部214によって設定された走行ルートである。走行ルート80は、車両40の現在地からユーザ70が希望する乗車地Aを経由して、ユーザ70が希望する降車地Gに到着する走行ルートである。また、走行ルート80は、車両40の現在地からユーザ70が希望する乗車地Aを経由して、ユーザ70が希望する降車地Gに到着するまでの時間がもっとも短い走行ルートである。車両40が走行ルート80に沿って走行した場合、降車地Gに到着する時間はPM13:40である。
【0041】
上述したように、ユーザ71は車両40を利用した際に、車両40に忘れ物をした。忘れ物をしたことに気づいたユーザ71は、専用のアプリケーションを用いて忘れ物探索を希望する。これにより、忘れ物探索を希望することを示す信号(以下、信号S1という)が、忘れ物検出部215に送信される。信号S1には、ユーザ71のID、忘れ物の具体的な内容(ここでは財布)、車両を利用した日時などが含まれる。
【0042】
ユーザ71から信号S1を受信した忘れ物検出部215は、顧客データベース242を参照して、ユーザ71が最後に乗車した車両を特定する。上述したように、顧客データベース242には、ユーザID、車両No、乗車日時、乗車区間、料金などが格納されている。忘れ物検出部215は、信号S1に含まれるユーザ71のIDと、顧客データベース242とを突き合わせることにより、ユーザ71が最後に乗車した車両を特定する。これにより、ユーザ71が最後に乗車した車両は、車両40であると特定される。忘れ物検出部215は、特定した車両40に対し、忘れ物を検出するための信号(以下、信号S2という)を送信する。
【0043】
車両40に搭載されたコントローラ405は、忘れ物検出部215から信号S2を受信した場合、カメラ404を用いて車両40の車室内を撮影する。コントローラ405は、所定の画像処理を用いてカメラ画像を解析する。この解析によりユーザ71の忘れ物(財布)が検出される。コントローラ405は、忘れ物を検出したことを示す信号(以下、信号S3という)をコンピュータ20に送信する。
【0044】
車両内に忘れ物がある場合、ユーザ71は困っているため、車両の配車予定がなければ、速やかにユーザ71に忘れ物を届けることが考えられる。しかし、車両40は、忘れ物をしたユーザ71とは異なるユーザ70の配車リクエストを受け付けている。第1実施形態において、走行ルート80が設定された後に、ユーザ71から信号S1が送信される。つまり、ユーザ71から信号S1が送信されるタイミングは、車両40が走行ルート80に沿って走行しているとき、あるいは間もなく車両40が走行ルート80に沿って走行するときである。この状況において、忘れ物を届けるために車両40がユーザ71の現在地に向かうと、ユーザ70の配車希望条件を満たせず、ユーザ70は配車をキャンセルしてしまう。これにより、車両40を運用する事業者の営業損失が発生する可能性がある。ユーザ70の配車希望条件とは、一例としてユーザ70のスケジュールを満たす条件を指す。
【0045】
そこで、コンピュータ20は、走行ルート80を、ユーザ71の忘れ物を預ける施設を経由するルートに変更した場合、ユーザ70が許容するか否かを推定する。この推定のため、コントローラ405が信号S3を受信した場合、予定取得部216は、ユーザ70のスケジュールデータを取得する。ユーザ70のスケジュールとして、「PM14:00に映画を観る」と予定されていたと仮定する。
【0046】
上述したように、車両40が走行ルート80に沿って走行した場合、車両40が降車地Gに到着する時間はPM13:40である。よって、車両40が走行ルート80に沿って走行した場合、映画の上映時間まで20分の余裕がある。ここで、映画の上映時間の10分前に降車地Gに到着したとしても、映画の上映時間には十分に間に合うと考えられる。換言すれば、PM13:50までに降車地Gに到着すれば、ユーザ70は時間通りに映画を観ることができるため、ユーザ70が不満を感じることは少ないと考えられる。
【0047】
走行ルート80を変更する場合、ユーザ70がその変更を許容するか否かは、一例として、降車地Gに到着する時間の遅れが許容時間以下となるかどうかによる。図3のシーンにおいて、ユーザ70の許容時間は、映画の上映時間を基準に求められる。映画の上映時間の5分前(PM13:55)に降車地Gに到着した場合、映画の上映時間に間に合わない可能性があるため、15分の遅れはユーザ70は許容しないと推定される。一方、10分の遅れならば映画の上映時間に十分に間に合うため、ユーザ70は許容すると推定される。
【0048】
よって、PM13:50までに降車地Gに到着できるのであれば、走行ルートを変更したとしても、ユーザ70は走行ルートの変更を許容すると推定される。つまり、ユーザ70が配車リクエストをキャンセルすることはないと推定される。そこで、ユーザ70のスケジュールを把握した変更可能範囲算出部217は、走行ルート80を走行して車両40が降車地Gに到着する時間(PM13:40)と変更後の走行ルートを走行して降車地Gに到着する時間との時間差が許容時間(10分)以下となるように、走行ルートを変更可能な変更可能範囲90を設定する。
【0049】
図3に示す変更可能範囲90は、この範囲内であれば、走行ルートを変更したとしても、ユーザ70の許容時間内に、つまり、PM13:50までに降車地Gに到着可能な範囲を示す。
【0050】
次に、施設抽出部218は、図3に示すように、変更可能範囲算出部217によって設定された変更可能範囲内で忘れ物を預ける施設91を抽出する。施設抽出部218は、地図データベース241を参照して施設91を抽出する。施設91は、忘れ物を預けられる場所である。例えば、コンビニエンスストア、警察署である。なお、変更可能範囲内で抽出される施設は、一例としてユーザ71が徒歩で行くことが可能な場所であるが、これに限定されない。変更可能範囲内で抽出される施設は、ユーザ71が自転車で行くことが可能な場所でもよく、ユーザ71が車両で行くことが可能な場所でもよい。
【0051】
次に、走行ルート算出部214は、図3に示すように、施設抽出部218によって抽出された施設91を経由する走行ルート81を算出する。次に、走行ルート変更部219は、実際に車両40が走行する走行ルートを、走行ルート80から走行ルート81に変更し、走行ルート81に沿って走行するように車両40に対して指令を送信する。
【0052】
図3に示すように、走行ルート変更部219から指令を受信した車両40は、ユーザ70を乗車させる前に、施設91に寄ってユーザ71の忘れ物を預ける。車両40が施設91に到着する前に、コンピュータ20は施設91に設置された端末装置に車両40が到着する時間を通知する。これにより、施設91で働く従業者は、いつ忘れ物が届くのかを把握することができる。
【0053】
また、コンピュータ20は、施設91の名称、施設91の位置情報、施設91に忘れ物が届く時間などをユーザ71に通知する。この通知を端末装置61で受信したユーザ71は、施設91で忘れ物を受け取ることが可能になる。
【0054】
施設91に忘れ物を預けた後、車両40はユーザ70を迎えに行き、降車地Gに向かう。車両40は降車地GにPM13:50に到着するため、映画の上映時間には十分に間に合う。このように、第1実施形態によれば、走行ルート80を変更した場合であっても、ユーザ70による配車リクエストのキャンセルは回避されうる。これにより、ユーザ70の配車希望条件に満たし、ユーザ70へのサービスが提供でき、車両40を運用する事業者の営業損失は抑制される。また、走行ルート80を走行ルート81に変更したことにより、ユーザ71の忘れ物を施設91に預けることが可能となり、ユーザ71は忘れ物を受け取ることができる。
【0055】
なお、変更可能範囲算出部217は、走行ルート80を変更する場合において、変更前の走行ルート80を走行して車両40が降車地Gに到着する時間から変更後の走行ルートを走行して車両40が降車地Gに到着する時間までの遅れ時間がユーザ70の許容時間以下となるように、走行ルートを変更可能な変更可能範囲90を設定してもよい。
【0056】
また、図3に示す例では、車両内に忘れ物が検出された場合を説明したが、必ずしも忘れ物が検出されるとは限られない。ユーザ71が忘れ物をした場所は、車両40とは限られないからである。コントローラ405は、忘れ物が検出されない場合、忘れ物がないことを示す信号をコンピュータ20に送信する。
【0057】
また、図3に示す例では、変更可能範囲を算出する際に、走行ルート80を走行して車両40が降車地Gに到着する時間と、変更後の走行ルートを走行して車両40が降車地Gに到着する時間との時間差を用いたが、これに限定されない。ユーザ70がまだ乗車していない場合、変更可能範囲算出部217は、走行ルート80を走行して車両40が配車をリクエストしたユーザ70を乗車させる乗車地Aに到着する時間と、変更後の走行ルートを走行して車両40が乗車地Aに到着する時間との時間差が許容時間以下となるように変更可能範囲を設定してもよい。ここでいう許容時間も、ユーザ70のスケジュールデータを参照することによって求められる。
【0058】
また、図3に示す例では、ユーザ70を迎えに行くシーンを説明したが、これに限定されない。図4に示すように、ユーザ70がすでに車両40に乗車している状態で、信号S1が送信された場合にも、上述と同様の処理が行われる。
【0059】
また、予定取得部216がユーザ70のスケジュールデータを取得できない場合もある。この場合、変更可能範囲算出部217は、顧客データベース242を参照してユーザ70の許容時間を推定してもよい。顧客データベース242には、過去に複数のユーザが許容した時間が格納されている。変更可能範囲算出部217は、顧客データベース242を参照して、複数のユーザが許容した時間の平均時間を算出する。変更可能範囲算出部217は、算出した平均時間をユーザ70の許容時間として推定してもよい。
【0060】
なお、変更可能範囲算出部217は、一般的に車両の遅れを許容できる時間(例えば10分)をユーザ70の許容時間として推定してもよい。
【0061】
コンピュータ20は、走行ルートを変更したこと、変更後の走行ルート81、及び走行ルート81に沿って走行した場合に降車地Gに到着する時間(PM13:50)をユーザ70に通知する。このとき、コンピュータ20は、ユーザ70がこの変更を許容するかどうか、ユーザ70に承認を求めてもよい。
【0062】
次に、図5のフローチャートを参照して、配車制御システム10の一動作例を説明する。
【0063】
ステップS101において、配車受付部211は、端末装置60に入力されたユーザ70の配車リクエストを受け付ける。
【0064】
処理はステップS103に進み、割当部212は、配車受付部211によって受け付けられた配車リクエストに応じて、複数の車両の中から適切な車両(車両40)を割り当てる。
【0065】
処理はステップS105に進み、走行ルート算出部214は、車両40の現在地からユーザ70が希望する乗車地を経由して、ユーザ70が希望する降車地に到着する走行ルート80を算出して設定する。走行ルート算出部214は、設定した走行ルート80に沿って走行するように車両40に対して指令を送信する。
【0066】
車両40が走行ルート80に沿って走行しているとき、あるいは間もなく車両40が走行ルート80に沿って走行するときに、忘れ物検出部215が忘れ物探索を希望することを示す信号(信号S1)を受信した場合(ステップS107でYES)、処理はステップS109に進む。
【0067】
ステップS109において、ユーザ71から信号S1を受信した忘れ物検出部215は、顧客データベース242を参照して、ユーザ71が最後に乗車した車両(車両40)を特定する。忘れ物検出部215は、特定した車両40に対し、忘れ物を検出するための信号(信号S2)を送信する。信号S2を受信したコントローラ405は、カメラ404を用いて車両40の車室内を撮影する。コントローラ405は、所定の画像処理を用いてカメラ画像を解析して、忘れ物を検出する。忘れ物が検出された場合(ステップS109でYES)、コントローラ405は、忘れ物を検出したことを示す信号(信号S3)をコンピュータ20に送信する。一方、忘れ物が検出されない場合(ステップS109でNO)、コントローラ405は、忘れ物がないことを示す信号をコンピュータ20に送信する。
【0068】
ステップS111において、コンピュータ20は、車両40には忘れ物がないことをユーザ71に通知する。
【0069】
ステップS113において、コントローラ405から信号S3を受信した予定取得部216は、ユーザ70のスケジュールデータを取得する。
【0070】
処理はステップS115に進み、ユーザ70のスケジュールを把握した変更可能範囲算出部217は、走行ルート80を走行して車両40が降車地Gに到着する時間と変更後の走行ルートを走行して車両40が降車地Gに到着する時間との時間差が許容時間以下となるように、走行ルートを変更可能な変更可能範囲90を設定する(図3参照)。
【0071】
処理はステップS117に進み、施設抽出部218は、変更可能範囲算出部217によって設定された変更可能範囲内で忘れ物を預ける施設91を抽出する(図3参照)。
【0072】
処理はステップS119に進み、走行ルート算出部214は、施設抽出部218によって抽出された施設91を経由する走行ルート81を算出する(図3参照)。
【0073】
処理はステップS121に進み、走行ルート変更部219は、実際に車両40が走行する走行ルートを、走行ルート80から走行ルート81に変更し、走行ルート81に沿って走行するように車両40に対して指令を送信する。
【0074】
処理はステップS123に進み、コンピュータ20は施設91に設置された端末装置に車両40が到着する時間を通知する。
【0075】
処理はステップS125に進み、コンピュータ20は、施設91の名称、施設91の位置情報、施設91に忘れ物が届く時間などをユーザ71に通知する。
【0076】
(作用効果)
以上説明したように、第1実施形態によれば、以下の作用効果が得られる。
【0077】
コンピュータ20のCPU21(コントローラ)は、降車地Gを含む走行ルート80を設定した後に、車両内の忘れ物を検出する。コンピュータ20は、設定した走行ルート80を走行して車両40が降車地Gに到着する時間と、変更後の走行ルートを走行して車両40が降車地Gに到着する時間との時間差が許容時間以下となるように、走行ルート80を変更可能な変更可能範囲90を設定する。コンピュータ20は、設定した変更可能範囲内で忘れ物を預ける施設91を抽出する。コンピュータ20は、抽出した施設91を経由する走行ルート81を算出する。コンピュータ20は、走行ルート80から走行ルート81に変更する。走行ルート80の変更は、変更可能範囲内で実施されるため、走行ルート80を変更した場合であってもユーザ70による配車リクエストのキャンセルは回避されうる。これにより車両40を運用する事業者の営業損失は抑制される。また、走行ルート80を走行ルート81に変更したことにより、ユーザ71の忘れ物を施設91に預けることが可能となり、ユーザ71は忘れ物を受け取ることができる。
【0078】
また、コンピュータ20は、走行ルート80を走行して車両40が配車をリクエストしたユーザ70を乗車させる乗車地Aに到着する時間と、変更後の走行ルートを走行して車両40が乗車地Aに到着する時間との時間差が許容時間以下となるように変更可能範囲を設定してもよい。このように変更可能範囲を設定した場合であっても、ユーザ70による配車リクエストのキャンセルは回避されうる。これにより車両40を運用する事業者の営業損失は抑制される。
【0079】
また、コンピュータ20は、通信により配車をリクエストしたユーザ70の行動予定に関するデータ(スケジュールデータ)を取得し、ユーザ70の行動予定に関するデータを参照してユーザ70の許容時間を推定してもよい。行動予定に関するデータの一例は、上述した「PM14:00に映画を観る」というデータである。コンピュータ20は、ユーザ70の行動予定に関するデータを参照して許容時間を推定することにより、ユーザ70が走行ルートの変更を許容しうる変更可能範囲90を設定することができる。
【0080】
コンピュータ20は、複数のユーザが過去に許容した時間を格納する記憶装置24を備える。コンピュータ20は、記憶装置24から複数のユーザが過去に許容した時間を取得し、複数のユーザが過去に許容した時間の平均時間を算出してもよい。そして、コンピュータ20は、算出した平均時間を配車をリクエストしたユーザ70の許容時間として推定してもよい。ユーザ70の行動予定に関するデータを取得できない場合は、この推定方法を用いることによって、コンピュータ20はユーザ70が走行ルートの変更を許容しうる変更可能範囲90を設定することができる。
【0081】
コンピュータ20は、忘れ物をしたユーザ71が所持する端末装置61から忘れ物探索を希望する信号を受信した場合に、車両40に対して忘れ物を検出するための信号を送信する。これにより、コンピュータ20は、車両内の忘れ物を検出することができる。
【0082】
コンピュータ20は、車両40が経由する施設91の位置情報及び車両40が施設91に到着する時間を、忘れ物をしたユーザ71が所持する端末装置61に送信する。これによりユーザ71は、施設91に忘れ物が届くことを知ることができ、施設91で忘れ物を受け取ることが可能になる。
【0083】
コンピュータ20は、車両40が経由する施設91に設置された端末装置に車両40が到着する時間を送信する。これにより、施設91で働く従業者は、いつ忘れ物が届くのかを把握することができる。
【0084】
コンピュータ20は、降車地Gを含む第1走行ルート(図3の走行ルート80に対応)を設定した後に、車両40内の忘れ物を検出した場合、設定した第1走行ルートを走行して車両40が降車地Gに到着する第1時間(上述したPM13:40に対応)を算出する。コンピュータ20は、第1走行ルートと異なる走行ルートであって、忘れ物を預ける施設を経由する第2走行ルート(図3の走行ルート81に対応)を少なくとも1つ設定する。コンピュータ20は、第2走行ルートを走行して車両40が降車地Gに到着する第2時間(上述したPM13:50に対応)を算出する。コンピュータ20は、第1走行ルートを、第1時間と第2時間との時間差が許容時間以下となる第2走行ルートに変更する。これにより、配車リクエストを受け付けた次のユーザ70の配車希望条件を満たすように忘れ物をしたユーザ71の対応を行うことが可能となる。なお、第2走行ルートは車両40が実際に走行するルートである。
【0085】
コンピュータ20は、第1時間と第2時間との時間差が許容時間以下となるように、第1走行ルートを変更可能な変更可能範囲90を設定する。コンピュータ20は、施設91の位置情報を含む施設データベースを取得する。施設データベースは地図データベース241(図2参照)に格納されている。コンピュータ20は施設データベースを用いて変更可能範囲内に存在する施設91を抽出する。コンピュータ20は抽出した施設91を経由する第2走行ルートを設定する。
【0086】
(第2実施形態)
次に、図6を参照して、本発明の第2実施形態を説明する。第2実施形態が第1実施形態と異なるのは、コンピュータ20が、損失算出部220と走行ルート選択部221をさらに備えることである。第1実施形態と重複する構成については符号を引用してその説明は省略する。以下、相違点を中心に説明する。
【0087】
損失算出部220は、変更後の走行ルートが複数ある場合において、車両40がそれぞれの走行ルートに沿って走行した場合の損失を算出する。ここでいう損失とは、車両40を運用する事業者の営業損失を意味する。営業損失には、一例として、時間の損失、エネルギー(ガソリン、水素、電気など)の損失が含まれる。
【0088】
走行ルート選択部221は、損失算出部220によって算出された損失が小さい走行ルートを選択する。
【0089】
図7を参照して、第2実施形態に係る配車制御システム10の一動作例について説明する。
【0090】
図7に示すシーンは、図3に示すシーンと同様に、ユーザ70の配車リクエストによって割り当てられた車両40がユーザ70を迎えに行くシーンである。図7図3と異なるのは、変更可能範囲内で2つの施設(施設91,92)が抽出されたことである。
【0091】
図7において、走行ルート算出部214は、施設抽出部218によって抽出された施設91を経由する走行ルート81、及び施設92を経由する走行ルート82を算出する。走行ルート81,82は、両方ともユーザ70が変更を許容すると推定されるルートである。また走行ルート81,82は算出された時点ではあくまでも候補(走行ルート候補)である。
【0092】
走行ルート81,82のどちらを選択するかの一例として、より損失が小さい走行ルートを選択することが考えられる。そこで、損失算出部220は、車両40が走行ルート81に沿って走行した場合の損失、及び車両40が走行ルート82に沿って走行した場合の損失を算出する。損失の算出例として、時間または距離が用いられる。
【0093】
時間を用いた場合の損失式は、下記の式(1),(2)で表現される。式(1)は、車両40が走行ルート81に沿って走行した場合の損失を示し、式(2)は、車両40が走行ルート82に沿って走行した場合の損失を示す。
(T-T1)×α・・・(1)
(T-T2)×α・・・(2)
【0094】
Tは、車両40が走行ルート80に沿って走行した場合に、降車地Gに到着するまでに要する時間である。T1は、車両40が施設91を経由する走行ルート81に沿って走行した場合に、降車地Gに到着するまでに要する時間である。T2は、車両40が施設92を経由する走行ルート82に沿って走行した場合に、降車地Gに到着するまでに要する時間である。αは、時間に対する重みであり、任意の値が設定される。T1<T2であるため、式(1)<式(2)となる。よって、走行ルート81のほうが、走行ルート82より時間の損失が小さい。走行ルート選択部221は、損失が小さい走行ルート81を、損失が大きい走行ルート82より優先的に選択する。走行ルート変更部219は、実際に車両40が走行する走行ルートを、走行ルート80から走行ルート選択部221によって選択された走行ルート81に変更する。そして走行ルート変更部219は、走行ルート81に沿って走行するように車両40に対して指令を送信する。これにより、車両を運用する事業者の損失は抑制される。
【0095】
距離を用いた場合の損失式は、下記の式(3),(4)で表現される。式(3)は、車両40が走行ルート81に沿って走行した場合の損失を示し、式(4)は、車両40が走行ルート82に沿って走行した場合の損失を示す。
(D-D1)×β・・・(3)
(D-D2)×β・・・(4)
【0096】
Dは、車両40が走行ルート80に沿って走行した場合に、降車地Gに到着するまでに要する距離である。D1は、車両40が施設91を経由する走行ルート81に沿って走行した場合に、降車地Gに到着するまでに要する距離である。D2は、車両40が施設92を経由する走行ルート82に沿って走行した場合に、降車地Gに到着するまでに要する距離である。βは、距離に対する重みであり、任意の値が設定される。D1<D2であるため、式(3)<式(4)となる。よって、走行ルート81のほうが、走行ルート82より距離の損失が小さい。つまり、走行ルート81のほうが、走行ルート82よりエネルギーの消費が少ない。走行ルート選択部221は、損失が小さい走行ルート81を、損失が大きい走行ルート82より優先的に選択する。走行ルート変更部219は、実際に車両40が走行する走行ルートを、走行ルート80から走行ルート選択部221によって選択された走行ルート81に変更する。そして走行ルート変更部219は、走行ルート81に沿って走行するように車両40に対して指令を送信する。これにより、車両を運用する事業者の損失は抑制される。
【0097】
次に、図8のフローチャートを参照して、第2実施形態に係る配車制御システム10の一動作例を説明する。ただし、ステップS201~219,225~229の処理は、図5に示すステップS101~119,121~125の処理と同様であるため、説明を省略する。
【0098】
ステップS221において、損失算出部220は、変更後の走行ルートが複数ある場合において、それぞれの走行ルートに沿って走行した場合の損失を算出する。なお、図7に示す例において、変更後の走行ルートが2つある場合について説明したが、これに限定されない。変更後の走行ルートが3つ以上ある場合、損失算出部220はそれぞれの走行ルートに沿って走行した場合の損失を算出する。
【0099】
また、図7に示す例において、時間または距離の損失を説明したが、これに限定されない。損失算出部220は、時間と距離の両方を用いて時間と距離の合計の損失を算出してもよい。時間と距離の両方を用いた場合の損失式は、下記の式(5),(6)で表現される。式(5)は、車両40が走行ルート81に沿って走行した場合の損失を示し、式(6)は、車両40が走行ルート82に沿って走行した場合の損失を示す。
(T-T1)×α+(D-D1)×β・・・(5)
(T-T2)×α+(D-D2)×β・・・(6)
【0100】
T1<T2,D1<D2であるため、式(5)<式(6)となる。よって、走行ルート81のほうが、走行ルート82より時間と距離の合計の損失が小さい。
【0101】
処理はステップS223に進み、走行ルート選択部221は、損失算出部220によって算出された損失が小さい走行ルートを、損失が大きい走行ルートより優先的に選択する。結果として、走行ルート選択部221は、損失が最も小さい走行ルート81を選択する。
【0102】
(作用効果)
以上説明したように、第2実施形態によれば、以下の作用効果が得られる。
【0103】
走行ルート算出部214は、変更可能範囲内で施設が複数抽出された場合、それぞれの施設(施設91,92)を経由するそれぞれの走行ルート候補(走行ルート81,82)を設定する(図7参照)。コンピュータ20は、それぞれの走行ルート候補のうち、車両40の現在地から降車地Gに到着するまでの少なくとも時間または距離のいずれか一方に係る損失が小さい走行ルート候補(走行ルート81)を、車両40の現在地から降車地Gに到着するまでの少なくとも時間または距離のいずれか一方に係る損失が大きい走行ルート候補(走行ルート82)より優先的に第2走行ルートとして設定する。これにより、車両40を運用する事業者の損失は抑制される。これにより、配車リクエストを受け付けた次のユーザ70の配車希望条件を満たすように忘れ物をしたユーザ71の対応を行うことが可能となる。
【0104】
(第3実施形態)
次に、図9を参照して、本発明の第3実施形態を説明する。第3実施形態が第1実施形態と異なるのは、コンピュータ20が、走行ルート選択部221をさらに備えることである。第1実施形態と重複する構成については符号を引用してその説明は省略する。以下、相違点を中心に説明する。
【0105】
走行ルート選択部221は、変更後の走行ルートが複数ある場合において、ユーザ71の現在地から近い施設を経由する走行ルートを選択する。
【0106】
図10を参照して、第3実施形態に係る配車制御システム10の一動作例について説明する。
【0107】
図10に示すシーンは、図3に示すシーンと同様に、ユーザ70の配車リクエストによって割り当てられた車両40がユーザ70を迎えに行くシーンである。図10図3と異なるのは、変更可能範囲内で2つの施設(施設91,93)が抽出されたことである。図10のBは、ユーザ71の現在地を示す。
【0108】
図10において、走行ルート算出部214は、施設抽出部218によって抽出された施設91を経由する走行ルート81、及び施設93を経由する走行ルート83を算出する。走行ルート81,83は、両方ともユーザ70が変更を許容すると推定されるルートである。また走行ルート81,83は算出された時点ではあくまでも候補(走行ルート候補)である。
【0109】
走行ルート81,83のどちらを選択するかの一例として、ユーザ71から近い施設を経由する走行ルートを、ユーザ71から遠い施設を経由する走行ルートより優先的に選択することが考えられる。そこで、走行ルート選択部221は、ユーザ71の位置情報と、施設91,93の位置情報を取得し、ユーザ71の現在地Bから施設91までの距離と、ユーザ71の現在地Bから施設93までの距離を算出する。図10に示すように、ユーザ71の現在地Bから施設93までの距離は、ユーザ71の現在地Bから施設91までの距離より短い。つまり、施設93のほうが、施設91よりユーザ71の現在地Bに近い。そこで、走行ルート選択部221は、ユーザ71の現在地Bから最も近い施設93を経由する走行ルート83を選択する。走行ルート変更部219は、実際に車両40が走行する走行ルートを、走行ルート80から走行ルート選択部221によって選択された走行ルート83に変更する。そして走行ルート変更部219は、走行ルート83に沿って走行するように車両40に対して指令を送信する。これにより、ユーザ71は、施設91に忘れ物が預けられた場合と比較して、より短い時間で忘れ物を受け取ることが可能となる。このように第3実施形態によれば、ユーザ71の利便性が向上する。
【0110】
次に、図11のフローチャートを参照して、第3実施形態に係る配車制御システム10の一動作例を説明する。ただし、ステップS301~319,323~327の処理は、図5に示すステップS101~119,121~125の処理と同様であるため、説明を省略する。
【0111】
ステップS321において、走行ルート選択部221は、変更後の走行ルートが複数ある場合において、ユーザ71の現在地Bから近い施設を経由する走行ルートを、ユーザ71の現在地Bから遠い施設を経由する走行ルートより優先的に選択する。なお、図10に示す例において、変更後の走行ルートが2つある場合について説明したが、これに限定されない。変更後の走行ルートが3つ以上ある場合、走行ルート選択部221は、ユーザ71の現在地Bから最も近い施設を経由する走行ルートを選択する。
【0112】
(作用効果)
以上説明したように、第3実施形態によれば、以下の作用効果が得られる。
【0113】
走行ルート算出部214は、変更可能範囲内で施設が複数抽出された場合、それぞれの施設(施設91,93)を経由するそれぞれの走行ルート候補(走行ルート81,83)を設定する(図10参照)。コンピュータ20は、それぞれの走行ルート候補のうち、忘れ物をしたユーザ71の現在地Bから近い施設を経由する走行ルート候補(走行ルート83)を、忘れ物をしたユーザ71の現在地Bから遠い施設を経由する走行ルート候補(走行ルート81)より優先的に第2走行ルートとして設定する。これにより、ユーザ71は、より短い時間で忘れ物を受け取ることが可能となり、ユーザ71の利便性が向上する。これにより、配車リクエストを受け付けた次のユーザ70の配車希望条件を満たすように忘れ物をしたユーザ71の対応を行うことが可能となる。
【0114】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態を説明する。第4実施形態に係る構成は第2実施形態と同じである。ただし、第4実施形態に係る損失算出部220は、車両40がそれぞれの走行ルートに沿って走行した場合の損失と、ユーザ71の損失との合計を算出する。
【0115】
ユーザ71の損失とは、ユーザ71の現在地Bから変更可能範囲内の施設までの距離を意味する。ユーザ71の現在地Bから施設までの距離が遠いほど、ユーザ71の損失は大きくなる。理由は、忘れ物を受け取るために要する時間が増えるからである。
【0116】
図12を参照して、第4実施形態に係る配車制御システム10の一動作例について説明する。
【0117】
図12に示すシーンは、図3に示すシーンと同様に、ユーザ70の配車リクエストによって割り当てられた車両40がユーザ70を迎えに行くシーンである。図12図3と異なるのは、変更可能範囲内で3つの施設(施設91,92,93)が抽出されたことである。
【0118】
図12において、走行ルート算出部214は、施設抽出部218によって抽出された施設91を経由する走行ルート81、施設92を経由する走行ルート82、及び施設93を経由する走行ルート83を算出する。走行ルート81,82,83はすべて、ユーザ70が変更を許容すると推定されるルートである。また走行ルート81,82,83は算出された時点ではあくまでも候補(走行ルート候補)である。
【0119】
走行ルート81,82,83のうちどれを選択するかの一例として、車両40がそれぞれの走行ルートに沿って走行した場合の損失と、ユーザ71の損失との合計の損失が小さい走行ルートを、合計の損失が大きい走行ルートより優先的に選択することが考えられる。そこで、損失算出部220は、車両40が走行ルート81に沿って走行した場合の損失の合計、車両40が走行ルート82に沿って走行した場合の損失の合計、及び車両40が走行ルート83に沿って走行した場合の損失の合計を算出する。
【0120】
損失式は、下記の式(7),(8),(9)で表現される。式(7)は、車両40が走行ルート81に沿って走行した場合の損失の合計を示す。式(8)は、車両40が走行ルート82に沿って走行した場合の損失の合計を示す。式(9)は、車両40が走行ルート83に沿って走行した場合の損失の合計を示す。
(T-T1)×α+(D-D1)×β+L1×γ・・・(7)
(T-T2)×α+(D-D2)×β+L2×γ・・・(8)
(T-T3)×α+(D-D3)×β+L3×γ・・・(9)
【0121】
L1は、ユーザ71の現在地Bから施設91までの距離である。L2は、ユーザ71の現在地Bから施設92までの距離である。L3は、ユーザ71の現在地Bから施設93までの距離である。T3は、車両40が施設93を経由する走行ルート83に沿って走行した場合に、降車地Gに到着するまでに要する時間である。D3は、車両40が施設93を経由する走行ルート83に沿って走行した場合に、降車地Gに到着するまでに要する距離である。γは、ユーザ71の現在地から施設までの距離に対する重みであり、任意の値が設定される。
【0122】
図12において、L3<L1<L2であり、T1<T3<T2であり、D1<D3<D2である。よって、走行ルート81のほうが、走行ルート82,83より車両40の損失は小さい。一方で、走行ルート83のほうが、走行ルート81,82よりユーザ71の損失は小さい。したがって、走行ルート算出部214は、損失が小さい走行ルート83を損失が大きい走行ルート81,82より優先的に選択する。式(7)~(9)のどれが最も小さいかは、α,β,γの設定に依存する。車両40の損失に重きを置けば、α,βを大きく設定し、γを小さく設定すればよい(例えば、α=1,β=1,γ=0.5)。一方、ユーザ71の損失に重きを置けば、α,βを小さく設定し、γを大きく設定すればよい(例えば、α=0.5,β=0.5,γ=1)。車両40の損失に重きを置けば、式(7)が最も小さくなる。一方で、ユーザ71の損失に重きを置けば、式(9)が最も小さくなる。車両40の損失に重きを置けば、車両を運用する事業者の損失は抑制される。一方で、ユーザ71の損失に重きを置けば、ユーザ71はより短い時間で忘れ物を受け取ることが可能となり、ユーザ71の利便性が向上する。
【0123】
次に、図13のフローチャートを参照して、第4実施形態に係る配車制御システム10の一動作例を説明する。ただし、ステップS401~419,425~429の処理は、図5に示すステップS101~119,121~125の処理と同様であるため、説明を省略する。
【0124】
ステップS421において、損失算出部220は、変更後の走行ルートが複数ある場合において、車両40がそれぞれの走行ルートに沿って走行した場合の損失と、ユーザ71の損失との合計を算出する。
【0125】
処理はステップS423に進み、走行ルート選択部221は、損失算出部220によって算出された損失が最も小さい走行ルートを選択する。
【0126】
(作用効果)
以上説明したように、第4実施形態によれば、以下の作用効果が得られる。
【0127】
走行ルート算出部214は、変更可能範囲内で施設が複数抽出された場合、それぞれの施設(施設91,92,93)を経由するそれぞれの走行ルート候補(走行ルート81,82,83)を設定する(図12参照)。損失算出部220は、それぞれの走行ルート候補のうち、車両40の現在地から降車地Gに到着するまでの時間に係る損失と、車両40の現在地から降車地Gに到着するまでの距離に係る損失と、忘れ物をしたユーザ71の現在地Bから施設までの距離に関する損失と、の合計の損失を算出する。走行ルート変更部219は、損失算出部220によって算出された損失の合計が小さい走行ルートを、損失の合計が大きい走行ルートより優先的に第2走行ルートとして設定する。これにより配車に対する損失とユーザ71の損失のバランスを取ることができる。また、車両40の損失に重きを置けば、車両を運用する事業者の損失は抑制される。一方で、ユーザ71の損失に重きを置けば、ユーザ71はより短い時間で忘れ物を受け取ることが可能となり、ユーザ71の利便性が向上する。
【0128】
上述の実施形態に記載される各機能は、1または複数の処理回路により実装され得る。処理回路は、電気回路を含む処理装置等のプログラムされた処理装置を含む。処理回路は、また、記載された機能を実行するようにアレンジされた特定用途向け集積回路(ASIC)や回路部品等の装置を含む。
【0129】
上記のように、本発明の実施形態を記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0130】
上述の実施形態では、変更可能範囲内で施設が複数抽出された場合、車両40の損失、あるいはユーザ71の損失に着目して、車両40が実際に走行する走行ルートを設定したが、これに限定されない。例えば、変更可能範囲内で施設が複数抽出された場合、忘れ物をしたユーザ71に施設を選択してもらい、選択された施設を経由する走行ルートを設定してもよい。
【0131】
忘れ物をしたユーザ71に施設を選択してもらう方法として、例えば、図14に示すように、端末装置61のディスプレイに変更可能範囲90と、変更可能範囲内の施設91,92を表示する方法が挙げられる。ディスプレイを見たユーザ71は、施設を選択可能な範囲、及び選択可能な範囲内の施設を一目で把握することが可能となる。そしてコンピュータ20は、端末装置61から受信した、ユーザ71が指定する施設を経由するように走行ルートを変更すればよい。これにより、ユーザ71は、自分が希望する施設で忘れ物を受け取ることが可能となり、ユーザ71の利便性が向上する。なお、図14に示す97は、ユーザ71の現在地を示す。
【0132】
また、図15に示すように、変更可能範囲90は表示せず、変更可能範囲内の施設91,92のみを表示してもよい。
【符号の説明】
【0133】
10 配車制御システム
20 コンピュータ
24 記憶装置
211 配車受付部
212 割当部
213 位置取得部
214 走行ルート算出部
215 忘れ物検出部
216 予定取得部
217 変更可能範囲算出部
218 施設抽出部
219 走行ルート変更部
220 損失算出部
221 走行ルート選択部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15