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特許7438348気泡塔型反応器を使用した、金属ナノワイヤの合成のための連続流動法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-15
(45)【発行日】2024-02-26
(54)【発明の名称】気泡塔型反応器を使用した、金属ナノワイヤの合成のための連続流動法
(51)【国際特許分類】
   B22F 1/062 20220101AFI20240216BHJP
   B01J 10/00 20060101ALI20240216BHJP
   B01J 19/00 20060101ALI20240216BHJP
   B22F 9/24 20060101ALI20240216BHJP
   B22F 1/00 20220101ALI20240216BHJP
   B22F 1/05 20220101ALI20240216BHJP
   B22F 1/054 20220101ALN20240216BHJP
【FI】
B22F1/062
B01J10/00 104
B01J19/00 N
B22F9/24 E
B22F1/00 K
B22F1/05
B22F1/054
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022528110
(86)(22)【出願日】2020-11-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-18
(86)【国際出願番号】 IN2020050953
(87)【国際公開番号】W WO2021095054
(87)【国際公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-06-22
(31)【優先権主張番号】201911046584
(32)【優先日】2019-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(73)【特許権者】
【識別番号】508176500
【氏名又は名称】カウンシル オブ サイエンティフィック アンド インダストリアル リサーチ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】アモル・アルヴィンド・クルカルニ
(72)【発明者】
【氏名】プラチ・カテ
(72)【発明者】
【氏名】スネハ・パテル
【審査官】萩原 周治
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/049172(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0102254(US,A1)
【文献】特表2013-503260(JP,A)
【文献】特開2013-007082(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109604630(CN,A)
【文献】特公昭47-030510(JP,B1)
【文献】国際公開第2014/169487(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F 1/00-12/90
B01J 10/00-12/02
B01J 14/00-19/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの気泡塔型反応器を使用する、金属ナノワイヤを合成するための連続フロー法であって、以下のステップ:
a)金属塩をエチレングリコールに溶かして溶液Aを得るステップ;
b)エチレングリコールを予熱し、ポリ(ビニルピロリドン)(PVP40,000~360,000)を溶かして溶液Bを得るステップ;
c)前記溶液A前記溶液Bとエチレングリコール中のFeClの溶液のブレンド物を、気泡塔型反応器にその底部入口から連続的に供給し、ガス/空気を気泡塔型反応器のスパージャーに通して生じる気泡によって前記ブレンド物を混合するステップ;
d)金属のナノワイヤを所望の寸法に成長させるために、25~80分の累積滞留時間で、各反応器内の温度を130~190℃に保つステップ
を含み、
ここで、前記ナノワイヤのアスペクト比は、100%の純度で300~1200の範囲で調整可能であり、かつ金属塩の転化率が85%~95%の範囲である、方法。
【請求項2】
少なくとも2つの気泡塔型反応器を使用する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記気泡塔型反応器が直列に連結されている、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
2~10の気泡塔型反応器が直列に連結されている、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ステップa)の金属塩が硝酸銀である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
溶液Aが、エチレングリコール中の硝酸銀の0.25~0.65Mの溶液である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
溶液Bが、エチレングリコール中のポリビニルピロリドンの0.077M溶液である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
請求項1に記載の金属ナノワイヤを合成するための連続フロー法であって
ステップa)の溶液Aが、金属塩の0.25~0.65Mの溶液であり
ステップb)の溶液Bが、ポリ(ビニルピロリドン)(PVP 360,000)(Mw約40,000~360,000)の0.077Mの溶液であり
金属塩の0.25~0.65Mの溶液である前記溶液Aと、ポリビニルピロリドン(Mw約40,000~360,000)の0.077Mの溶液である前記溶液Bと、エチレングリコール中の800μMのFeCl溶液のブレンド物を、反応器の底部入口から第一の多相非撹拌反応器へ連続的に供給するステップ;
金属のナノワイヤを所望の寸法に成長させるために、25~80分の累積滞留時間で、各反応器内の温度を130~190℃に保つステップ
を含む方法。
【請求項9】
前記気泡塔型反応器が以下のものを含む、請求項1に記載の方法:
単独のカラム又は少なくとも1つ以上のさらなるカラムもしくは連続撹拌槽型反応器と直列に連結したカラム(これは少なくとも1つの外部(4)又は少なくとも1つの内部エアループ(2)を含んでいるか、又は前記カラムは1つ又は少なくとも2つの区画(セクション)を含み、各区画(セクション)の直径は同じであり、前記の複数区画は、より狭い区画によって連結されており、より狭い区画の直径:区画の直径の比は0.2~0.5の範囲であり、区画の長さ:区画の直径の比は常に1~2である);
焼結プレートスパージャー(3)又はリングスパージャー(3)(前記スパージャーの直径は、前記の狭い区画の直径と同じか又はそれより大きく、0.01~0.06m/秒の空塔空気速度、並びに1mmの直径及び1m/秒より大きな速度の少なくとも2つのエアジェット(1),(5)をもつ)。
【請求項10】
請求項1に記載の方法であって、前記気泡塔型反応器が1つ又は複数の多相非撹拌反応器をさらに含み、ここで、前記反応器は、単純な気泡塔型反応器、又は穿孔板を備えた区画された気泡塔型反応器、又は穿孔板をもたない複数の隔室をもつ区画された気泡塔型反応器、又はカラム直径の0.1~0.4倍の直径を有するドラフトチューブを備え、直径に対する反応器の高さの比が6~20の範囲であり且つ1m/秒より大きなジェットエア速度で0.5mm~2mmの直径で定期的に操作される少なくとも1つのエアジェットを伴うスパージャー(3)(リングスパージャー又は焼結スパージャー)を備え、スパージャーの直径がカラムの直径と同じである、内部エアリフトループ反応器もしくは外部エアリフトループ反応器をさらに含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気泡塔型反応器(バブルカラム反応器)を使用して金属ナノワイヤを合成するための連続フロー法(連続フロープロセス)に関する。本発明はさらに、連続法を通じて高収率で金属ナノワイヤを合成するための様々なタイプの多相気泡塔型反応器に関する。
【背景技術】
【0002】
<発明の背景及び先行技術の説明>
金属ナノワイヤ、特に銀ナノワイヤは、さまざまな産業において用途が見出されており、この特殊化学物質に対する電子産業のニーズは非常に大きい。金属ナノワイヤの製造プロセスは世界中の何人かの研究者にとって関心のある主題であるが、高収率での大規模な製造プロセスは今なお科学界で発見されていない。
【0003】
銀ナノワイヤの大規模製造のためのいくつかのプロセスが提案されているが、それらにはいくつかの欠点がある。連続撹拌槽型反応器などのいくつかの装置の設計は、大量の廃棄物とナノワイヤの低い収率を生じさせ、このプロセスによる大規模製造を経済的には実行不可能な選択肢にしている。従来のプロセスは低い収率をもたらし、時間がかかり、バッチプロセスであることにより、バッチごとのばらつきを示す。しかし、従来技術のプロセスの主な欠点は、それらが100%の形状選択性を有するナノワイヤを生じさせないことである。生成物は、金属ナノ粒子、又はナノ粒子とナノワイヤの混合物のいずれかである。また、従来技術のプロセスによって得られた銀ナノワイヤは、低いアスペクト比、又は広い範囲のアスペクト比を有する。
【0004】
銀ナノワイヤの製造方法は、大きくは、テンプレートを用いる方法とテンプレートを用いない方法に分けられる。テンプレートを用いる方法では、銀をナノワイヤに成長させるテンプレートが用いられ、例えば、カーボンナノチューブ、多孔質AAO(陽極酸化アルミニウム)、多孔質TiOである。テンプレートを使用しない方法では、銀ナノワイヤは、110~200℃の温度で銀塩を還元することによって製造され、そのモルフォロジーは、界面活性剤の濃度、前駆体の濃度、ハロゲン化アルカリの濃度を調整するか、又はさまざまな還元剤を添加することによって調整することできる。テンプレートを利用した方法は常に不純な製品をもたらし、なぜならテンプレートから銀を回収するのが難しいからである。さらに、テンプレートそれ自体は、壊れやすい性質、作成が難しい、及びサイズが小さいなどの欠点がある。一方、テンプレートを用いない方法は、実験室で銀ナノワイヤを合成するために最も広く使用されている方法である。それにもかかわらず、この湿式化学法の不利な点はなお明らかであり、それはその低い製造効率であり、数ミリグラムの製品製造に数時間から数日が必要であることである。最近、マイクロ波支援溶液法が銀ナノワイヤの迅速な合成のために使用されているが、生産性はまだ低レベルであり、この方法はナノ粒子とワイヤのブレンド物を作り出す。
【0005】
刊行された論文である、Eng & Tech. Journal, Vol. 29, No. 6, 2011に掲載された、Dr. Burhan Sadeq Abdulrazzaqによる「A Hydrodynamic Study in a Sieve Plate Sectionalized Bubble Column」(ふるい板で区画された気泡塔の流体力学的研究)は、実験的なセミバッチ・トレイ・バブルカラムの装置を報告している。内径0.15m、全高2.20mのカラムは、3つの穴あきプレートを使用して4つのステージに分割され、トレイの形状、空塔ガス速度(superficial gas velocity)、及び液相の物理的特性が全体的なガス滞留量に及ぼす影響を調べている。全体的なガス滞留量は、ベッド拡張法によって実験的に測定される。
【0006】
刊行された論文である、Chem Engineering 2018, 2, 13に掲載されたGiorgio Besagniらによる「Two-Phase Bubble Columns: A Comprehensive Review」(二相バブルカラム:包括的なレビュー)は、流動の状態、流動状態の遷移、局所的及び全体的な流体力学パラメーター、並びに物質移動現象の分析が報告されている。論文は、操作パラメータ(すなわち、圧力、温度、並びに気体及び液体の流速)、操作モード(すなわち、並流、向流、及びバッチモード)、液相及び気相の特性、並びに設計パラメータ(すなわち、ガススパージャーの設計、カラムの直径、及びアスペクト比)が、どのように、流動様式の遷移及び流体力学パラメータに影響を及ぼすか論じている。第二に、この論文は、全体及び局所の流体力学特性を研究するための実験手法を提示している。最後に、この論文は、全体及び局所の気泡塔(バブルカラム)の流体力学を研究するためのモデリングアプローチを提示している。
【0007】
New J. Chem., 2012, 36, 2456-2459に掲載されたRonen Gottesmannらによる「Silver nanowires and nanoparticles from a mill fluidic reactor: application to metal assisted silicon etching」(ミル流体反応器からの銀ナノワイヤ及びナノ粒子:金属支援シリコンエッチングへの応用)の題名の論文は、銀ナノワイヤ及びナノ粒子が、ミル流体反応器中、ポリオール法によって合成されることを報告している。反応パラメータを変更することにより、この論文は、わずか3分の迅速な反応時間での単結晶銀ナノ粒子の合成を実証している。全ての結果は、標準のバッチ及びマイクロ波反応と比較されている。応用例は、シリコンウェハの銀ナノワイヤ支援エッチングを通して提供されている。金属支援シリコンエッチングのこのコロイドによるアプローチは、ナノワイヤの形状をシリコンに転写することを可能にする。
【0008】
銀ナノワイヤの現在の合成方法は、主にポリオール法である。ポリオール法では、ポリビニルピロリドンの保護と、ハロゲン化アルカリの補助効果を用いて、硝酸銀はポリオール(エチレングリコール)によって還元される。この方法は、反応原料の濃度を正確に制御することによって、ナノワイヤの制御可能な成長を達成している。しかしながら、結晶の種(シード)の形成及びナノワイヤの長さ方向の成長は同時に起こり、互いに干渉する。結晶の種の形成段階では、長さ方向の成長の存在は、直径の不均一性を増大させる可能性がある。そして、長さ方向の成長の段階では、自己核形成による新しい等方性シードの生成は、ナノワイヤの生成を深刻にブロックし、長さ方向の成長に使用される必要がある銀源を消費して、銀ナノワイヤの長さの低下をもたらす可能性がある。
【0009】
したがって、当技術分野では、最小の時間、及び再現性のあるやり方で、高アスペクト比、高純度を備えた金属ナノワイヤの高収率をもたらす方法(プロセス)を提供するという大きな必要性が残っている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【文献】Dr. Burhan Sadeq Abdulrazzaq, Eng & Tech. Journal, Vol. 29, No. 6, 2011
【文献】Giorgio Besagniら, Chem Engineering 2018, 2, 13
【文献】Ronen Gottesmannら, New J. Chem., 2012, 36, 2456-2459
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
<本発明の目的>
本発明の主な目的は、したがって、これまでに報告された先行技術の欠点を取り除く、金属ナノワイヤの合成のための連続フロー法(連続フロープロセス)を提供することである。
【0012】
本発明の別の目的は、気泡塔型反応器を使用することによる連続フロー法、好ましくは銀ナノワイヤの合成のための連続フロー法を提供することである。
【0013】
本発明のさらに別の目的は、金属ナノワイヤ、好ましくは銀ナノワイヤを合成するための気泡塔型反応器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
<本発明の概要>
したがって、本発明は、気泡塔型反応器、及び気泡塔型反応器を使用することによる金属ナノワイヤ、好ましくは銀ナノワイヤの合成のための連続フロー法を提供する。
【0015】
一実施形態では、本発明は、少なくとも1つの気泡塔型反応器を使用することによって、金属ナノワイヤ、好ましくは銀ナノワイヤを合成するための連続フロー法を提供し、その方法は以下のステップ:
a)金属塩をエチレングリコールに溶かして金属塩の溶液Aを形成するステップ;
b)エチレングリコールを予熱し、ポリ(ビニルピロリドン)(PVP40,000~360,000)を溶かして、ポリ(ビニルピロリドン)の溶液Bを作るステップ;
c)金属塩の溶液A、ポリ(ビニルピロリドン)の溶液B(MW40,000~360,000)、エチレングリコール中のFeCl溶液のブレンド物を、気泡塔型反応器にその底部入口から連続的に供給するステップ;
d)25~80分の累積滞留時間で、各反応器内の温度を130~190℃に維持するステップ;及び、
e)金属のナノワイヤを所望の寸法に成長させるステップ、
を含み、
ここで、前記ナノワイヤのアスペクト比は、100%の純度で300~1200の範囲で調整可能であり、かつ金属塩の転化率が85%~95%の範囲である。
【0016】
別の実施形態において、本発明は、以下を含む気泡塔型反応器を提供する:単独の塔(カラム)、又は少なくとも1つ以上の塔又は連続撹拌式反応器と直列な塔(これは任意選択により、少なくとも1つの外部又は少なくとも1つの内部エアループを含んでいてもよく、あるいは前記の塔は1つ又は少なくとも2つの区画(セクション)を含み、各区画の直径は同じであり、その複数の区画はより狭い区画によって連結されており、ここで、狭い区画の直径:区画の直径の比は0.2~0.5の範囲であり、かつ区画の長さ:区画の直径の比は常に1である);焼結プレートスパージャー又はリングスパージャー(ここで、スパージャーの直径は前記の狭い区画の直径と同じか又はそれより大きく、0.01~0.06m/秒の空塔気体速度(superfacial air velocity)及び1mmの直径の少なくとも2つのエアージェット(air jet)及び1m/秒より大きな速度を備える)。
【0017】
さらに別の実施形態では、本発明はさらに、1つ又複数の多相非撹拌反応器(multiphase unstirred reactor)を提供し、ここで前記反応器はさらに、単純な気泡塔型反応器、又は穿孔板を備えた区画された気泡塔型反応器もしくは穿孔板をもたない多数の区画をもつ区画された気泡塔型反応器、又は塔(カラム)の直径の0.1~0.4倍の直径を有するドラフトチューブ及び6~20の範囲の反応器の直径に対する高さの比及び1mmの直径の少なくとも1つのエアジェット及び1メートル/秒より大きなジェットエアー速度を備えたスパージャー(リングスパージャー又は焼結スパージャー)を備えた内部エアリフトループ反応器もしくは外部エアリフトループ反応器(ここで、スパージャーの直径は塔(カラム)の直径と同じである)を含む。
【0018】
別の実施形態では、本発明のプロセス(方法)は、任意選択により場合によっては、2~10個の気泡塔型反応器を使用する。
【0019】
さらに別の実施形態では、本発明は、少なくとも2つの気泡塔型反応器を使用するプロセスを提供する。
【0020】
なお別の実施形態では、本発明は、気泡塔型反応器が直列に連結されるプロセスを提供する。
【0021】
さらに別の実施形態では、本発明は、2~10個の気泡塔型反応器が直列に連結されるプロセスを提供する。
【0022】
なお別の実施形態では、本発明は、金属塩が硝酸銀であるプロセスを提供する。
【0023】
さらに別の実施形態において、本発明は、溶液Aが、エチレングリコール中の硝酸銀の0.25~0.65Mの溶液であるプロセスを提供する。
【0024】
なお別の実施形態では、本発明は、溶液Bがエチレングリコール中のポリビニルピロリドンの0.077M溶液であるプロセスを提供する。
【0025】
使用される略語
FESEM:電界放出型走査電子顕微鏡
PVP:ポリ(ビニルピロリドン)
FeCl:塩化鉄(III)
CSTR:連続撹拌槽型反応器
AgNO:硝酸銀
AAS:原子吸光分光光度計
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1A図1Aは、気泡塔型反応器(1-反応原料が塔内に導入される反応器入り口、2-ガス/空気のための入り口、3-スパージャー、4-反応原料混合物のための出口、及び5-空気のための出口)を示す。
図1B図1Bは、リングスパージャーを備えた気泡塔型反応器(1-反応原料が塔内に導入される反応器入り口、2-ガス/空気のための入り口、3-スパージャー、4-反応原料混合物のための出口、及び5-空気のための出口)を示す。
図1C図1Cは、穿孔を備えた区画をもつ区画された気泡塔型反応器(1-反応原料が塔内に導入される反応器入り口、2-ガス/空気のための入り口、3-スパージャー、4-反応原料混合物のための出口、及び5-空気のための出口)を示す。
図1D図1Dは、変形された区画された気泡塔型反応器(1-反応原料が塔内に導入される反応器入り口、2-ガス/空気のための入り口、3-スパージャー、4-反応原料混合物のための出口、及び5-空気のための出口)を示す。
図1E図1Eは、外部ループエアリフト反応器(1-反応原料が塔内に導入される反応器入り口、2-ガス/空気のための入り口、3-スパージャー、4-反応原料混合物のための出口、及び5-空気のための出口)を示す。
図1F図1Fは、内部ループエアリフト反応器(1-反応原料が塔内に導入される反応器入り口、2-ガス/空気のための入り口、3-スパージャー、4-反応原料混合物のための出口、及び5-空気のための出口)を示す。
図2図2は、2つのCSTRとそれに続いての気泡塔型反応器の構成を使用して製造された銀ナノワイヤのFESEM画像である。
図3図3は、2つのCSTRとそれに続いてのコンデンサーが取り付けられた気泡塔型反応器の構成を使用して製造された銀ナノワイヤのFESEM画像である
図4図4は、2つのCSTRとそれに続いての区画プレートを備えた気泡塔型反応器を使用して製造された銀ナノワイヤのFESEM画像である。
図5図5は、単一の気泡塔型反応器中で製造された銀ナノワイヤのFESEM画像である。
図6図6は、収束・発散セクションをもつ単一の気泡塔型反応器中で製造された銀ナノワイヤのFESEM画像である。
図7図7は、改変されたスパージャーとガス散布(ガススパージ)のために使用するエアコンプレッサーを備えた単一の気泡塔型反応器中で製造された銀ナノワイヤのFESEM画像である。
図8図8は、直列の2つの気泡塔型反応器の構成を使用して製造された銀ナノワイヤのFESEM画像である。
図9図9は、直列の2つの気泡塔型反応器の構成を使用して製造された銀ナノワイヤのFESEM画像である。
図10図10は、直列の2つの気泡塔型反応器の構成(単純な気泡塔型反応器とそれに続くエアリフト気泡塔型反応器)を使用して製造された銀ナノワイヤのFESEM画像である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
<発明の詳細な説明>
次に、本発明を特定の好ましい且つ任意選択による実施形態と関連して詳細に説明し、それによって、その様々な側面がより完全に理解され且つ正しく認識されるであろう。
【0028】
一つの側面では、本発明は、気泡塔型反応器(バブルカラムリアクター)を使用することによる、金属ナノワイヤの合成のための連続フロープロセスを提供し、その方法は以下のステップを含む:
a)金属塩をエチレングリコールに溶かして溶液Aを得るステップ;
b)エチレングリコールを予熱し、ポリ(ビニルピロリドン)(PVP 40,000~360,000)を溶かして、溶液Bを得るステップ;
c)金属塩の溶液A、ポリ(ビニルピロリドン)(Mw約40,000~360,000)の溶液B、エチレングリコール中のFeCl溶液のブレンド物を、ボトム入り口から気泡塔型反応器に連続的に供給するステップ;
d)25~80分の累積滞留時間で、各反応器中の温度を130~190℃に保つステップ;及び
e)金属のナノワイヤを所望の寸法に成長させるステップ。
【0029】
別の側面では、本発明は、気泡塔型反応器(バブルカラムリアクター)を使用することによる、金属ナノワイヤの合成のための連続フロープロセスを提供し、その方法は以下のステップを含む:
a)金属塩をエチレングリコールに溶かして、金属塩の0.25~0.65Mの溶液を得るステップ;
b)エチレングリコールを110℃に予熱し、ポリ(ビニルピロリドン)(PVP 360,000)を溶かして、ポリ(ビニルピロリドン)の0.077Mの溶液を得るステップ;
c)エチレングリコール溶液中の、0.25~0.65Mの金属塩、0.077Mのポリ(ビニルピロリドン)(Mw約40,000~360,000)、800μMのFeClのブレンド物を、ボトム入り口から、最初の多相非撹拌反応器に連続的に供給するステップ;
d)25~80分の累積滞留時間で、各反応器中の温度を130~190℃に保つステップ;及び
e)金属のナノワイヤを所望の寸法に成長させるステップ。
【0030】
上述したプロセス(方法)において、金属塩は好ましくは硝酸銀である。エチレングリコールは溶媒及び還元剤として機能し、PVPは安定剤及びキャッピング剤として機能してナノワイヤの成長を誘導する。さらに、このプロセスは、金属ナノワイヤの合成のために、少なくとも1つの気泡塔型反応器又は少なくとも2つの気泡塔型反応器のいずれかを使用することができる。一つの側面では、このプロセスは2~10個の気泡塔型反応器を使用し、その気泡塔型反応器は直列に連結されている。ステップ(c)の多相非撹拌反応器は、気泡塔型反応器又は区画された気泡塔型反応器(sectionalized bubble column reactor)又はエアループ反応器(air-loop reactor)であることができる。
【0031】
上記のプロセスは、気泡塔型反応器のみで、又は連続撹拌槽型反応器を伴って、実施することができる。本発明の方法は、多相非撹拌連続運転反応器を使用し、そこではドラフトチューブの直径が反応器の直径の0~0.15倍であり、且つ反応器の高さが反応器の直径の7~10倍である。ドラフトチューブは、エアリフト反応器内部の同心チューブであって、これが反応器の内容物の循環の増大を容易にする。
【0032】
別の側面では、本発明は、以下のものを含むバブルカラム反応器を提供する:
単独のカラム又は少なくとも1つ以上のさらなるカラムもしくは連続撹拌槽型反応器と直列にしたカラム(これは任意選択により、少なくとも1つの外部(4)又は少なくとも1つの内部エアループ(2)を含んでいてもよく、又は前記カラムは1つ又は少なくとも2つの区画(セクション)を含み、各区画(セクション)の直径は同じであり、複数ある区画は、より狭い区画によって連結されており、より狭い区画の直径:区画の直径の比は0.2~0.5の範囲であり、区画の長さ:区画の直径の比は常に1~2である);
焼結プレートスパージャー(3)又はリングスパージャー(3)(スパージャー(3)の直径は、狭い区画の直径と同じか又はそれより大きく、0.01~0.06m/秒の空塔空気速度(superficial air velocity)並びに1mmの直径及び1m/秒より大きな速度の少なくとも2つのエアジェット(1及び5)をもつ)。
【0033】
さらに別の側面では、本発明はさらに、1つ又は複数の多相非撹拌反応器を提供し、前記反応器は、単純な気泡塔型反応器、又は穿孔板を備えた区画された気泡塔型反応器、又は穿孔板をもたない多数の隔室(コンパートメント)をもつ区画された気泡塔型反応器、又はカラム直径の0.1~0.4倍の直径を有するドラフトチューブを備え、反応器の直径に対する高さの比が6~20の範囲であり且つ1m/秒より大きなジェットエア速度で0.5mm~2mmの直径で定期的に操作される少なくとも1つのエアジェットを伴うスパージャー(3)(リングスパージャー又は焼結スパージャー)を備え、スパージャーの直径がカラムの直径と同じである、内部エアリフトループ反応器もしくは外部エアリフトループ反応器をさらに含む。
【0034】
さらなる側面では、バッチモード又は連続モードで、8より大きなアスペクト比を有する気泡塔型反応器が使用される。空気は、0.01~0.06m/秒の空塔ガス速度で底部スパージャーを通して連続的に吹き込み分散(スパージ)させた。気泡塔内で吹き込み分散された空気は、還流冷却器を通して排出され、反応器内で酸の蒸気を凝縮させ、凝縮できないものを放出する。
【0035】
別の側面では、7~10のアスペクト比をもつエアーループリフト反応器が、連続運転モードで使用され、その場合、ドラフトチューブの直径は、カラム(塔)の直径の0.1~0.12倍である。
【0036】
さらに別の側面では、本発明は、0.5mm~2mmの直径で、1m/秒より大きなジェット空気速度で周期的に作動する少なくとも1つのエアジェットを使用して、スパージャー領域にランダムフロー場を作り出すことを特徴とする。
【0037】
なお別の側面では、静止容器中で銀ナノワイヤを分離するための出口管内で、最終生成物は、体積が5~6倍のアセトンと連続的に混合される。この方法で合成されたナノワイヤのアスペクト比は、100%の純度で300~1200の範囲である。金属の純度はEDAX/元素分析によって決定され、その結果はその金属が100%純粋であることを示していた。
【0038】
さらなる側面では、このプロセスは、最初に採取された金属塩の85%~95%の転化率、及び85%より高いナノワイヤの収率で、金属ナノワイヤをもたらす。
【0039】
本明細書に記載した金属ナノワイヤの合成法(合成プロセス)で使用される反応器及びプロセス条件は、堆積物のない合成プロセスをもたらし、ナノワイヤのアスペクト比は300~1200の範囲で調整可能である。
【0040】
図1Aは気泡塔型反応器を表しており、図中、1-反応原料が塔(カラム)に導入される反応器入口、2-ガス/空気用の入口、3-スパージャー、4-反応混合物用の出口、及び5-空気用の出口、である。
【0041】
図1Bは、リングスパージャーを備えた気泡塔(バブルカラム)を表しており、図中、1-反応原料が塔(カラム)に導入される反応器入口、2-ガス/空気用の入口、3-スパージャー、4-反応物混合物用の出口、及び5-空気用の出口、である。
【0042】
図1Cは、穿孔された区画(セクション)を備えた区画化された気泡塔反応器を表しており、図中、1-反応原料が塔(カラム)に導入される反応器入口、2-ガス/空気用の入口、3-スパージャー、4-反応混合物用の出口、及び5-空気用の出口、である。
【0043】
図1Dは、改変された区画化気泡塔型反応器を表しており、図中、1-反応原料が塔(カラム)に導入される反応器入口、2-ガス/空気用の入口、3-スパージャー、4-反応混合物用の出口、及び5-空気用の出口、である。
【0044】
図1Eは、外部ループエアリフト反応器を表しており、図中、1-反応原料が塔(カラム)に導入される反応器入口、2-ガス/空気用の入口、3-スパージャー、4-反応混合物用の出口、及び5-空気用の出口、である。
【0045】
図1Fは、内部ループエアリフト反応器を表しており、図中、1-反応原料が塔(カラム)に導入される反応器入口、2-ガス/空気用の入口、3-スパージャー、4-反応混合物用の出口、及び5-空気用の出口、である。
【0046】
図2は2つのCSTR(連続撹拌槽型反応器)及びそれに続く気泡塔型反応器の構成を使用して製造された銀ナノワイヤのFESEM画像を示している。
【0047】
図3は、2つのCSTRと、それに続く凝縮器が取り付けられた気泡塔(バブルカラム)の装置の構成を使用して製造された銀ナノワイヤのFESEM画像を示している。
【0048】
図4は、2つのCSTRとそれに続く区画プレートを備えた気泡塔(バブルカラム)を使用して製造された銀ナノワイヤのFESEM画像を示している。
【0049】
図5は、単一の気泡塔(バブルカラム)中で製造された銀ナノワイヤのFESEM画像を示している。
【0050】
図6は、収束-発散セクションを備えた単一の気泡塔(バブルカラム)中で製造された銀ナノワイヤのFESEM画像を示している。
【0051】
図7は、改変したスパージャーを備え、エアコンプレッサをガス排出のために使用して、製造された銀ナノワイヤのFESEM画像を示している。
【0052】
図8は、直列に配置された2つの気泡塔(バブルカラム)の構成を使用して製造された銀ナノワイヤのFESEM画像を示している。
【0053】
図9は、直列に配置された2つの気泡塔(バブルカラム)の構成を使用して製造された銀ナノワイヤのFESEM画像を表している。
【0054】
図10は、直列に配置された2つの気泡塔(単純な気泡塔とそれに続くエアリフト気泡塔)の構成を使用して製造された銀ナノワイヤのFESEM画像を表している。
【0055】
比較例1~5では、異なるプロセスパラメータを用いた連続撹拌槽型反応器又は気泡塔型反応器を使用し、これにより、300~1200あいだの所望するアスペクト比を持たない銀ナノワイヤが得られた。プロセスパラメータのこの変更も、例1~5で証明されているように、硝酸銀から純銀ナノワイヤへの変換に影響を及ぼした。したがって、特許請求の範囲に記載されたプロセスは、プロセスパラメータの単なる最適化ではなく、300~1200の範囲で調整可能なアスペクト比を備えた100%の純銀ナノワイヤにつながる、気泡塔型反応器の構造及び構成とプロセスパラメータの予期しない組み合わせであって、85~95%の硝酸銀の転化と85%より高い銀ナノワイヤの収率を伴う。
【実施例
【0056】
以下の例は例示のためにのみ与えられており、したがって、いかなるかたちでも本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0057】
<比較例-例1~5>
【0058】
<例1>
2つの連続撹拌槽型反応器(CSTR 60ml容量)とそれに続く気泡塔型反応器(図1A)(約1200ml)を使用し、第1のCSTRに対する0.25M AgNO、600μM FeCl、及び0.077M PVP(分子量360,000)の反応原料の入り口組成、及び140℃に保たれた各反応器内の温度、1時間の累積滞留時間を用いたときに、原子吸光スペクトル(AAS)を使用した出口サンプルの分析は73.6%の転化率を示した。気泡塔(バブルカラム)中での撹拌は、0.0051m/sの空塔速度で底部からの空気吹き込み分散(エアスパージング)の助けをかりて達成された。ナノワイヤの平均の直径及び長さ(電界放出型走査電子顕微鏡を使用して観察した)は465±100nm及び23±10μmであり、それぞれ50~70の範囲内の低いアスペクト比を示した。図2を参照されたい。
第2のCSTRは、反応原料が反応して成長段階に入る前に核を形成するためのより多くの時間を可能にする。
【0059】
<例2>
気泡塔(バブルカラム)の頂部に還流凝縮器(コンデンサ)を追加しただけで(図1Aの反応器を使用して)、実験装置の構成、反応条件、並びに手順は例1にしたがった。原子吸光分光法の結果は、転化率の約12%の向上を示し(約85%)、250~300の範囲でナノワイヤの全体のアスペクト比の大幅な増大が観察された(平均の直径110±55nm及び長さ26±15μm)。図3を参照されたい。
【0060】
<例3>
上記と同じすべての反応パラメータ(実施例1)を維持し、穴の径が1mmの3枚の穴あきプレートを有する区画化された気泡塔(バブルカラム)を使用して反応を実施した(図1C)。この試験における全体の転化率は64%であり、ナノワイヤ(平均の直径150±75nm及び長さ10±5μm)の全体のアスペクト比(150~180)の大幅な低下が観察された。穴あきプレート上に多くの銀ナノワイヤが堆積しているのが発見された。図4を参照されたい。
【0061】
<例4>
例4は、より大きなリングスパージャーを使用して気泡塔(バブルカラム)の設計を変更し(図1B)、この場合、スパージャーの直径はカラムの直径と同じに保った。その他の全てのパラメータは例1のように保ったが、カラムの底部からの反応原料及び空気の並流(空塔速度0.0051m/秒)は、ナノワイヤへの約88.4%の転化率をもたらした。平均の直径及び長さ(FE-SEMで分析し、ImageJを使用して測定した)は、それぞれ65±10nm及び33±15μmだった。図5を参照されたい。
【0062】
<例5>
図1Dの反応器(この場合、複数の区画は周期的に反応器の断面を小さくすることによって達成されている)を使用し、例1で述べた条件で反応を実施すると、多量の壁への体積並びにスパージャー上でのクラスターの形成が観察され、これによって全体での転化率の低下が起こった(61.5%)。また、ワイヤのアスペクト比は非常に小さかった(120~160)(平均の長さ10±5μm及び直径200±55nm)。図6を参照されたい。
【0063】
<本発明の例6~13(例10を除く)の実施例>
【0064】
<例6>
例3の装置構成(図1Cの反応器のみを使用し、CSTRは使用しなかった)及び条件で試験を行い、エアスパージングは約1バール(bar)の出口圧力にて行った。サンプルの分析は、91.1%の全体での転化率を示した。60±10nm及び35±15μmのそれぞれ平均の直径及び長さに対してアスペクト比は1000を超えた。図7を参照されたい。
【0065】
<例7>
同じHc/D比及びスパージャー設計をもつ、直列の2つの気泡塔(バブルカラム)(図1B及び図1B)のみを使用して、1時間の合計滞留時間、最適化された反応の化学量論を用い、反応原料を例6と同じ条件で第一の気泡塔へ供給した場合、転化率は91.7%へ増大し、この例で製造されたナノワイヤは、単一の気泡塔における結果と比較したとき、50%長かった。この銀ナノワイヤの平均の長さ及び直径はそれぞれ65±10nm及び35±25μmだった。図8を参照されたい。
【0066】
<例8>
2つの気泡塔(バブルカラム)(図1B及び図1B)のみを使用し、表面を洗浄するためのジェット噴射を組み込み、各反応器中で15分の滞留時間及び165℃で、例7と同じ反応の化学量論、及び異なる分子量(分子量55,000:360,000)の組み合わせをもつPVPを用いて、硝酸銀の96%の転化率及び直径50nm及び500~1000のアスペクト比のナノワイヤをもたらした。図9を参照されたい。
【0067】
<例9>
例8の試験装置の構成において、内部エアリフトループ反応器を最初の気泡塔(バブルカラム)の後に使用した(図1B及び図1F)。最初の反応器の温度を130℃に保ち、一方、二番目の反応器の温度を160℃に保った。その結果、97%の転化率と、55±10nmの直径及び600~1000のアスペクト比を有するワイヤが得られた。図10を参照されたい。
【0068】
<例10>
0.04m/秒の空塔速度で空気をスパージングして、例3の試験(図1Cの反応器を使用した)を繰り返したところ、より短いナノワイヤが得られ、生成物は多数の銀ナノワイヤが主だった。銀イオンの銀ナノワイヤへの転化率は最大63.9%であり、そのアスペクト比もまた100~180の範囲に顕著に低下しており、それぞれ160±65nm及び18±13μmの平均の直径及び長さだった。
【0069】
<例11>
気泡塔反応器の後に、内部ループエアリフト反応器を外部ループエアリフト反応器で置き代えて(図1B及び図1E)、例9を繰り返したところ、96%の転化率及び75±8nmの直径を有するワイヤが得られ、アスペクト比は400~600だった。
【0070】
<例12>
130℃及び160℃で連続する2つの外部エアループ反応器(図1E及び図1E)で、例8と同じその他のパラメータを用いたところ、93%転化率及び65±10nmの直径を有するワイヤが得られ、アスペクト比は300~650だった。
【0071】
<例13>
130℃及び160℃で連続する2つの内部エアループ反応器(図1F及び図1F)で、例8と同じその他のパラメータを用いたところ、96%の転化率及び60±10nmの直径を有するワイヤが得られ、アスペクト比は500~650だった。
【0072】
<本発明の利点>
・合成の連続プロセス
・高収率をもたらすプロセス
・可動部品がないことによる簡単な操作
・アスペクト比が調節可能である
【符号の説明】
【0073】
1・・・反応原料が塔(カラム)に導入される反応器入口
2・・・ガス/空気用の入口
3・・・スパージャー
4・・・反応混合物用の出口
5・・・空気用の出口
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図2(a)】
図2(b)】
図3(a)】
図3(b)】
図4(a)】
図4(b)】
図5(a)】
図5(b)】
図6(a)】
図6(b)】
図7(a)】
図7(b)】
図8(a)】
図8(b)】
図9(a)】
図9(b)】
図10(a)】
図10(b)】