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特許7438350自動車用のブレーキシステムおよびトレーラ空気供給・制御モジュール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-15
(45)【発行日】2024-02-26
(54)【発明の名称】自動車用のブレーキシステムおよびトレーラ空気供給・制御モジュール
(51)【国際特許分類】
   B60T 7/20 20060101AFI20240216BHJP
   B60T 17/00 20060101ALI20240216BHJP
   B60T 8/17 20060101ALI20240216BHJP
   B60T 17/02 20060101ALI20240216BHJP
   B60T 8/96 20060101ALI20240216BHJP
   B60T 17/22 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
B60T7/20
B60T17/00 B
B60T8/17 B
B60T17/02
B60T8/96
B60T17/22 Z
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022528647
(86)(22)【出願日】2020-11-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-25
(86)【国際出願番号】 EP2020081601
(87)【国際公開番号】W WO2021099180
(87)【国際公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-06-17
(31)【優先権主張番号】19209862.2
(32)【優先日】2019-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】597007363
【氏名又は名称】クノル-ブレムゼ ジステーメ フューア ヌッツファールツォイゲ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Knorr-Bremse Systeme fuer Nutzfahrzeuge GmbH
【住所又は居所原語表記】Moosacher Strasse 80, D-80809 Muenchen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】フーバ ネーメト
(72)【発明者】
【氏名】ペーテル セール
(72)【発明者】
【氏名】マティアス ザイデンシュヴァング
【審査官】羽鳥 公一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0263371(US,A1)
【文献】特開2017-177954(JP,A)
【文献】特開2018-100057(JP,A)
【文献】特開2005-247274(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 7/12-8/1769
B60T 8/32-8/96
B60T 13/00-17/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気圧ブレーキシステムを備えるトレーラを備えた自動車のブレーキシステム用のトレーラ空気供給・制御モジュール(20)であって、前記トレーラの前記空気圧ブレーキシステムにプリセットブレーキ制御出口圧を提供するように構成されていて、
プリセットブレーキ制御出口圧のための信号を含む、2つの独立しているものの冗長な電気制御入力信号を受信するように構成された少なくとも2つの電気端子(201a,201b)と、
空気圧源(60)からの一定の空気圧を前記プリセットブレーキ制御出口圧に調整するように構成された少なくとも1つの弁と、
前記トレーラの前記空気圧ブレーキシステムにブレーキ供給出口圧を提供するように構成された少なくとも1つのブレーキ供給圧ターミナル(C)と、
前記トレーラの前記空気圧ブレーキシステムに前記プリセットブレーキ制御出口圧を提供するように構成された少なくとも1つのブレーキ制御圧ターミナル(D)と
を備え、
前記空気圧源(60)が、前記トレーラ空気供給・制御モジュール(20)内に配置されている、トレーラ空気供給・制御モジュール(20)。
【請求項2】
前記トレーラ空気供給・制御モジュール(20)が、前記空気圧源(60)として機能するように構成された少なくとも1つの圧縮機(60)をさらに備える、請求項1記載のトレーラ空気供給・制御モジュール(20)。
【請求項3】
前記トレーラ空気供給・制御モジュール(20)が、前記空気(60)によって提供される空気の圧力レベルおよび湿度レベルを調整するように構成された空気処理ユニットをさらに備える、請求項1または2記載のトレーラ空気供給・制御モジュール(20)。
【請求項4】
前記トレーラ空気供給・制御モジュール(20)が、前記空気(60)によって生成された空気圧を貯留するように構成された空気リザーバを備える、請求項1から3までのいずれか1項記載のトレーラ空気供給・制御モジュール(20)。
【請求項5】
前記トレーラ空気供給・制御モジュール(20)が、外部の空気リザーバ用の空気圧インタフェースを備える、請求項1から4までのいずれか1項記載のトレーラ空気供給・制御モジュール(20)。
【請求項6】
前記トレーラ空気供給・制御モジュール(20)が、少なくとも2つの制御ソレノイド群(21a,21b,21c,21d)を備え、該制御ソレノイド群(21a,21b,21c,21d)の各々が、少なくとも1つの負荷弁(21b,21c)と、少なくとも1つの排気弁(21a,21d)とを含み、1つの制御通路の一部を形成している、請求項1から5までのいずれか1項記載のトレーラ空気供給・制御モジュール(20)。
【請求項7】
前記トレーラ空気供給・制御モジュール(20)が、通常駐車されていないトレーラの制御のための常開形の排気弁(21a)を備える、請求項6記載のトレーラ空気供給・制御モジュール(20)。
【請求項8】
前記トレーラ空気供給・制御モジュール(20)が、通常駐車されているトレーラの制御のための常閉形の排気弁(21d)およびフィードバック開口(27)を備える、請求項6記載のトレーラ空気供給・制御モジュール(20)。
【請求項9】
前記トレーラ空気供給・制御モジュール(20)が、一方の制御通路用の、通常駐車されているトレーラの制御のための常閉形の排気弁(21d)およびフィードバック開口(27)と、他方の制御通路用の、通常駐車されていないトレーラの制御のための常開形の排気弁(21a)とを備える、請求項6記載のトレーラ空気供給・制御モジュール(20)。
【請求項10】
前記トレーラ空気供給・制御モジュール(20)が、前記トレーラのレーキ制御出口圧を測定するように構成された、少なくとも2つの独立した圧力センサ(28a,28b)を備える、請求項1から9までのいずれか1項記載のトレーラ空気供給・制御モジュール(20)。
【請求項11】
前記トレーラ空気供給・制御モジュール(20)が、離脱時に自動トレーラ緊急ブレーキを作動させるための抑制弁(25)を備える、請求項1から10までのいずれか1項記載のトレーラ空気供給・制御モジュール(20)。
【請求項12】
自動車のブレーキシステムであって、
少なくとも1つのホイールブレーキユニット(50a,50b,50c,50d)を制御するように構成された少なくとも2つの独立したブレーキ制御ユニット(10a,10b)と、
請求項1から11までのいずれか1項記載のトレーラ空気供給・制御モジュール(20)と
を備え、
各ブレーキ制御ユニット(10a,10b)が、独立しているものの冗長な電気制御信号を前記トレーラ空気供給・制御モジュール(20)に提供する、自動車のブレーキシステム。
【請求項13】
前記自動車のブレーキシステムが、前記トレーラと前記ブレーキ制御ユニット(10a,10b)との間の通信ラインをさらに備えており、マルチプレクサ(70)が、前記トレーラを一方または他方のブレーキ制御ユニット(10a,10b)に接続するように構成されており、これにより、1つの前記ブレーキ制御ユニット(10a,10b)のみが、前記トレーラに特定の時点で接続される、請求項12記載の自動車のブレーキシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トレーラを装備する自動車用のブレーキシステムであって、トレーラ空気供給・制御モジュールを備えるブレーキシステムと、そのようなブレーキシステム用のトレーラ空気供給・制御モジュールとに関する。
【0002】
現在、商用車のブレーキシステムは、自動車とそのトレーラとの両方で圧縮空気を使用して動作している。ブレーキシステムでは、自動車とトレーラとの間のインタフェースは、適切な圧縮空気接続で標準化されている。
【0003】
しかしながら、現代の車両のブレーキシステムの電動化は、補助エネルギー消費と、所要スペースと、騒音放出とを削減するための魅力的な方法である。トレーラは通常、ライフサイクルが長いため、そのライフサイクル全体で多くの異なる所有者がいる可能性があるが、自動車のブレーキシステムを電動化するための解決手段は、既存のトレーラを空気圧ブレーキで引き続き使用することができるようにするために、通常は依然として空気圧ブレーキで機能するトレーラの既存のブレーキシステムと両立性がある必要がある。したがって、トレーラの空気圧ブレーキシステムを制御することができる、現代の自動車で好ましく使用される電気機械式ブレーキシステムのための解決手段が必要である。
【0004】
例えば、独国特許出願公開第10310235号明細書に記載されている、自動車用およびトレーラ用の先行技術のブレーキシステムにおいて、トレーラのブレーキは、トレーラ制御弁(TCV)またはいわゆるトレーラ制御モジュール(TCM)によって制御され、これらは、自動車内に位置決めされているため、ブレーキシステムの一部を形成している。1つのブレーキ回路信号が機能しない場合でもブレーキ圧力を提供することができるようにするためには、冗長な独立した信号が必要である。したがって、車両の速度を落とす必要がある場合、TCV/TCMは、車両の運転者によって操作される常用ブレーキの信号を処理する電子制御ユニット(ECU)からの入力を受信することができる少なくとも2つの独立した制御入力端子を備えている。ECUからTCV/TCMへのこれらの入力は、TCVを使用する場合は両方とも空気圧式であり、TCMを使用する場合は、1つは空気圧式で、もう1つは電気制御ラインからの電気式である。さらに、TCV/TCMは、パーキングブレーキから到来する逆空気圧制御入力部と、圧縮空気供給入口と、1つがトレーラの空気供給用であり、もう1つがトレーラのブレーキ用の空気圧制御ライン用である、2つのカップリングヘッド出力部(空気圧出口)とを備えている。さらに、任意選択的に、自動車とトレーラとの間に、ISO11992に従って標準化された24VのCANバスの形式のデジタル通信ラインが存在する。先行技術のTCMの内部設計の説明は、例えば欧州特許出願公開第1127764号明細書に記載されている。同明細書に開示されている先行技術によるTCMには、3つの異なるソレノイド弁が設けられ、これらのソレノイド弁により、リレー弁と組み合わせて、トレーラのブレーキユニットのためのブレーキ圧力を調整することができる。
【0005】
自動車の現代の電気機械式ブレーキシステムは、少なくとも1つの空気圧出力の代わりに、電気出力のみを提供することができるため、新しいTCMの必要性が生じる。したがって、本発明の目的は、上述した空気圧式の先行技術のトレーラのブレーキシステムと両立性のあるTCMと、このTCMを備えた自動車における空気圧式でないブレーキシステムとを提供することである。
【0006】
そのようなTCMと、このTCMを備えた自動車用のブレーキシステムとは、独立請求項の主題によって提供される。有利な効果を有する本発明の更なる改良形態は、従属請求項によって提供される。
【0007】
本発明による自動車のブレーキシステム用のトレーラ制御モジュールは、トレーラの空気圧ブレーキシステムにプリセットブレーキ制御出口圧を提供するように構成されていて、プリセットブレーキ制御出口圧のための信号を含む、2つの独立しているものの冗長な電気制御入力信号を受信するように構成された少なくとも2つの電気端子を備える。トレーラ制御モジュールは、空気圧源からの一定の空気圧をプリセットブレーキ出口圧に調整するように構成された少なくとも1つの弁と、トレーラの空気圧ブレーキシステムにブレーキ供給出口圧を提供するように構成された少なくとも1つのブレーキ供給圧ターミナルと、トレーラの空気圧ブレーキシステムにプリセットブレーキ制御出口圧を提供するように構成された少なくとも1つのブレーキ制御圧ターミナルとをさらに備える。本発明によれば、空気圧源は、トレーラ制御モジュール内に位置決めされており、したがって、トレーラ空気供給・制御モジュール(TASM)である。
【0008】
本発明の有利な実施形態では、TASMは、空気圧源として機能するように構成された少なくとも1つの圧縮機を備える。
【0009】
本発明の実施形態の別の有利な改良形態では、TASMは、圧力レベルを、プリセット逸脱(preset divergences)を伴うプリセット値付近で安定させ、空気源によって提供される空気の湿度レベルを制御するように構成された空気処理ユニットをさらに備える。こうして、空気圧の供給を改善することができ、空気の一定の品質を保証することができる。
【0010】
本発明の実施形態の別の有利な改良形態では、トレーラ制御モジュールは、空気源によって生成された空気圧を貯留するように構成された空気リザーバを備える。空気リザーバを使用することにより、一定期間、空気圧を蓄えることができる。こうして、ブレーキシステムの現在の空気圧要件から独立して、圧縮機の動作を制御することを実現することができる。また、それにより、圧縮機は、ブレーキシステムに特定の空気圧レベルを直接的に提供する必要がなく、ブレーキシステムが空気圧を必要としないときに空気リザーバを充填することができるため、エネルギー消費量が少ない小型の圧縮機を使用することができる。
【0011】
本発明の更なる別の有利な実施形態では、TASMは、外部の空気リザーバ用の接続インタフェースを備える。この解決手段では、TASMの内部の空気リザーバを省略し、外部の空気リザーバを離れた位置で接続することができる。
【0012】
本発明の有利な実施形態では、TASMは、少なくとも2つの制御ソレノイド群を備えており、制御ソレノイド群の各々が、負荷弁と、排気弁とを含み、各群は、それ自体でかつ互いに独立して、それ自体の制御通路を介してブレーキ制御出口圧を制御することを可能にする。各ソレノイド群には、2つの異なるブレーキECUからの、それ自体独立しているものの冗長な信号が提供される。したがって、TASMが、互いに異なるが冗長な両方の電気信号を互いに独立して処理し、既存の安全要件を満たすことができるようにするために、空気圧信号をブレーキ制御出口圧に処理することができる2つの別個の圧力制御通路もまた内部に必要である。TASMでソレノイドを使用する利点は、ソレノイドが先行技術において公知であり、メンテナンスの面でも扱いやすく、動作に多くのエネルギーを必要としないことである。
【0013】
本発明によるTASMの更なる有利な実施形態は、各制御通路用の、通常駐車されていないトレーラの制御のための常開形の排気弁を備える。この出願の文脈では、通常駐車されていないトレーラとは、トレーラのパーキングブレーキが作動していないトレーラのことであり、一方、そのトレーラが取り付けられている車両は、パーキングブレーキが作動しているとき、車両のブレーキだけで車両とトレーラとの両方を駐車位置に保持することができる、作動している車両のパーキングブレーキを有している。これには、組み合わせの駐車の安定性が、(常にスプリングブレーキベースとは限らない)トレーラのパーキングブレーキではなく、(常にスプリングブレーキベースである)トラクタのパーキングブレーキのみに依存するという利点がある。この定義によれば、通常駐車されているトレーラとは、トレーラのパーキングブレーキが作動しているトレーラであり、一方、トレーラが取り付けられている車両もまた、作動している車両のパーキングブレーキを有している。
【0014】
本発明の更なる有利な実施形態では、TASMは、双安定パーキングブレーキ挙動を実現するために、各制御通路用の、通常駐車されているトレーラの制御のための(例えばソレノイドとしての)常閉形の排気弁およびフィードバック開口を備える。
【0015】
本発明の別の有利な実施形態では、TASMは、一方の制御通路用の、通常駐車されているトレーラの制御のための常閉形の排気弁およびフィードバック開口と、他方の制御通路用の、通常駐車されていないトレーラの制御のための常開形の排気弁とを備える。
【0016】
本発明の更なる別の有利な実施形態では、TASMは、トレーラのブレーキ制御出口圧を測定するように構成された、少なくとも2つの独立した圧力センサを備える。こうして、ブレーキシステムとTASMとの適正な機能を、必要に応じて自動車のブレーキシステムのECUによって簡単に制御しかつ調整することができる。
【0017】
本発明の更なる有利な実施形態では、トレーラ空気供給・制御モジュールは、車両とトレーラとの間の予期しない離脱時に自動トレーラ緊急ブレーキを作動させるための抑制弁(hold back valve)を備える。操作中(運転中)に予期せぬ離脱が発生した場合、法律ではトレーラの緊急ブレーキ機能が義務付けられている。これは、ブレーキ供給ターミナルに直接的に供給圧を提供する抑制弁によって実現することができる。
【0018】
本発明による自動車のブレーキシステムは、プリセットブレーキ制御出口圧のための信号を含む、少なくとも2つの独立しているものの冗長な電子信号をTASMに提供するように構成された少なくとも2つの独立したブレーキ制御ユニット(ECU)を備える。自動車のブレーキシステムは、本発明によるトレーラ制御モジュールをさらに備える。
【0019】
自動車のブレーキシステムの有利な実施形態では、自動車のブレーキシステムは、トレーラとブレーキ制御ユニットとの間にある時点で一方にのみ通信ラインを提供するように構成されたマルチプレクサをさらに備える。
【0020】
本発明による自動車のブレーキシステムの有利な実施形態では、自動車のブレーキシステムは、トレーラとブレーキ制御ユニットとの間の通信ラインをさらに備え、マルチプレクサが、トレーラを一方または他方のブレーキ制御ユニットに接続するように構成されており、これより、1つのブレーキ制御ユニットのみが、トレーラに特定の時点で接続される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
以下では、本発明の実施形態を、対応する図面に関してより詳細に説明する。
図1】本発明による自動車のブレーキシステムの概略図である。
図2】本発明によるTASMのアーキテクチャの概略図である。
【0022】
図1は、本発明による自動車のブレーキシステムの概略図を示している。本発明によるブレーキシステムは、少なくとも2つの独立した電気エネルギー源40a,40bによって電力を供給され、少なくとも2つの独立した電子制御ユニット10a,10b(ECU)によって制御される。フットブレーキセンサ30は、ブレーキが必要な場合に、自動車の操作者によって操作される。信号は、第1のECU10aおよび第2のECU10bの両方で提供される。さらに、パーキングブレーキ制御部31もまた、両方のECU10a,10bに接続されている。パーキングブレーキ制御が1つのECUにのみ接続されている実施形態もまた可能である。パーキングブレーキ制御部31とフットブレーキセンサ30との両方は、本発明の他の実施形態ではデジタルであってもよいアナログの電気ライン90を介してECU10a,10bに接続されている。第1のECU10aはさらに、デジタル電気信号ライン80を介して第2のECU10bに接続されている。ECU10a,10bの両方は、デジタル電気ライン80を介して4つのホイールブレーキユニット50a,50b,50c,50d(他の実施形態ではもっと多くても少なくてもよい)を制御することができるため、ECU10a,10bの両方は少なくとも2つの独立した通信ラインを通じてホイールブレーキユニット50a~50dに命令することが可能である。
【0023】
ホイールブレーキユニット50a,50bおよび第1のECU10aには、第1の電気エネルギー源40aによって電力が供給され、一方、ホイールブレーキユニット50c,50dおよび第2のECU10bには、第2の電気エネルギー源40bによって電力が供給される。
【0024】
トレーラのブレーキ性能を実現するために、両方のECU10a,10bは、アナログの電気ライン90を介して、トレーラのブレーキシステムにブレーキ出口圧を提供するトレーラ空気供給・制御モジュール(TASM)20に、他の実施形態ではデジタルであってもよい冗長な電気信号を送信する。TASM20には、トレーラのブレーキ圧力を調整するための電気信号のみが提供される。
【0025】
マルチプレクサ70は、先行技術から公知のISO11992に準拠する標準化されたCANバスを介してトレーラに接続され、第1のECU10aまたは第2のECU10bからの信号をトレーラに渡す。これは、(作動スイッチによる)物理的なもの、または(例えば、両方のブレーキ制御ユニットへの相互接続されたバスによって、マスタが命令し、スレーブが聞くなどの)機能的なもののいずれかであってよい。
【0026】
操作中、自動車の操作者(運転者)は、通常の常用ブレーキが必要な場合はフットブレーキセンサ(30)を操作し、停止中の車両の移動を防止する必要がある場合はパーキングブレーキ制御部31を操作する。電気信号は両方のECU10a,10bに渡され、そこで必要なブレーキ力が計算され、それに応じて、ECU10a,10bは、対応するデジタル電気信号ライン80を介して自動車のホイールブレーキユニット50a,50b,50c,50dを制御する。さらに、トレーラの空気圧ブレーキシステムに適用する必要があるブレーキ圧力の情報は、アナログの電気ライン90を介して、電気信号を介して、TASM20に渡される。ECU10a,10bによって与えられた信号を使用して、TASMは要求されたブレーキ圧力を調整し、それをトレーラのブレーキシステムに提供する。さらに、ECU10a,10bのいずれか1つの情報が、CANバスを介してマルチプレクサ70の位置に従ってトレーラに提供される。
【0027】
図2は、本発明の実施形態によるTASMのアーキテクチャの概略図を示している。TASMは、圧縮空気を生成するために、空気圧源として圧縮機60を備えている。これは、第1の電源ユニット40aによって電力が供給される電気モータインバータユニット61によって駆動される。生成された圧縮空気は、その圧力レベルおよび湿度レベルを制御する空気処理ユニット62の圧力接続を介して提供される。空気処理ユニット62は、第2の電源40bによって電力を供給されるが、別の実施形態では、第1の電源40aによって電力を供給されてもよい。空気処理ユニット62は、電気モータインバータユニット61から電気信号を受信し、付属の圧力センサによって圧力レベルを制御することができる。
【0028】
空気処理ユニット62から到来する圧縮空気は、次いで、空気リザーバ63に貯留された後に、空気圧源ライン23を介して、抑制弁25と、2つのソレノイド弁21bおよび21cとに提供される。それらは両方とも、以下では負荷弁21b,21cとも呼ばれ、常閉形である。負荷弁21b,21cの両側で、2つの更なるソレノイド弁21a,21dが位置決めされ、これらは排気弁21a,21dとも呼ばれ、排気弁21aは常開形であり、排気弁21dは常閉形である。4つのソレノイド弁21a~21dはすべて、自動車のブレーキシステムの2つのECU10a,10bの電気信号によって制御される。ソレノイド弁21a,21bは、第1のECU10aによって制御される1つの群を形成し、ソレノイド弁21c,21dは、第2のECU10bによって制御される第2の群を形成している。
【0029】
負荷弁21b,21cの両方から、抑制弁25および各群の対応する排気弁21a,21dへの制御圧通路24が形成される。さらに、負荷弁21b,21cからの制御圧通路24はまた、二重通路リレー弁26および開口27を接続する。したがって、抑制弁25および二重通路リレー弁26は、負荷弁21b,21cの出口で提供される圧力を介して制御することができる。排気圧ライン22と呼ばれる更なる圧力ラインは、排気弁21a,21dの出口および二重通路リレー弁26の出口から排気出口ターミナルBにつながり、システム内で不要になった圧力を大気中に放出することが可能である。
【0030】
さらに、抑制弁25の1つの出口は、ブレーキ供給圧出口29aを介して二重通路リレー弁26の1つの入口に接続されており、それはまた、空気圧出口である、トレーラに圧縮空気供給を提供するブレーキ供給圧ターミナルCにつながる。上記のように、二重通路リレー弁26の一方の出口は、排気出口ターミナルBに接続されている。二重通路リレー弁26の別の出口は、ブレーキ制御圧出口29bによってブレーキ制御圧ターミナルDに接続されている。ブレーキ制御圧ターミナルDは、第2の空気圧出口であり、トレーラにトレーラブレーキ制御圧信号を提供する。ブレーキ制御圧出口29b内の圧力は、2つの圧力センサ28a,28bによって測定され、これらは、両方のECU10a,10bに恒久的に接続されている。
【0031】
図2に示される本発明の実施形態では、圧縮機60によって生成される圧力は、圧縮空気が除湿される空気処理ユニット62によって提供される。圧縮空気は、空気処理ユニット62から到来して、TASMの内部または外部にあってよい空気リザーバ63に貯留される。空気リザーバを使用することにより、ブレーキシステムの動作中にいつでも必要となる可能性のある必要な空気圧レベルを提供することができなくなるリスクを冒すことなしに、圧縮機をより小さく設計することができる。圧縮空気を空気リザーバ63に貯留することができ、ひいては圧縮機は必ずしもブレーキシステムに一定の高圧を提供することができる必要はない。ブレーキシステムに圧縮空気が必要ない場合、圧縮機は空気リザーバを簡単に充填し、空気リザーバ63がいっぱいになった場合にスイッチを切ることができる。これはエネルギーを節約するのに役立ち、ひいてはエネルギー消費とコストとにプラスの効果をもたらす。
【0032】
空気リザーバ63から、一定圧力の圧縮空気をブレーキ供給圧ターミナルCに直接的に提供することができる。
【符号の説明】
【0033】
10a 第1の電子制御ユニット
10b 第2の電子制御ユニット
20 トレーラ空気供給・制御モジュール(TASM)
201a,201b 電気端子
21a,21d ソレノイド弁:排気弁
21b,21c ソレノイド弁:負荷弁
22 排気圧ライン
23 空気圧源ライン
24 制御圧通路
25 抑制弁
26 二重通路リレー弁
27 開口
28a,28b 圧力センサ
29a ブレーキ供給圧出口
29b ブレーキ制御圧出口
30 フットブレーキセンサ
31 パーキングブレーキ制御部
40a 第1の電気エネルギー源
40b 第2の電気エネルギー源
50a,50b,50c,50d ホイールブレーキユニット
60 空気圧縮機
61 電気モータインバータユニット
62 空気処理ユニット
63 空気リザーバ
70 マルチプレクサ
80 デジタル電気信号ライン
90 アナログの電気ライン
B 排気出口ターミナル
C 第1の出口、トレーラ空気タンクへのブレーキ供給圧ターミナル
D 第2の出口、トレーラにトレーラブレーキ制御圧信号を提供するブレーキ制御圧ターミナル
図1
図2