(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-15
(45)【発行日】2024-02-26
(54)【発明の名称】集積回路のための低電圧レベルシフタ
(51)【国際特許分類】
H03K 19/0185 20060101AFI20240216BHJP
H03K 19/0175 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
H03K19/0185 240
H03K19/0175 210
(21)【出願番号】P 2022530706
(86)(22)【出願日】2020-04-03
(86)【国際出願番号】 US2020026543
(87)【国際公開番号】W WO2021107974
(87)【国際公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-06-24
(31)【優先権主張番号】201911192206.8
(32)【優先日】2019-11-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(32)【優先日】2020-04-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500147506
【氏名又は名称】シリコン ストーリッジ テクノロージー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】SILICON STORAGE TECHNOLOGY, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】メイ、ライアン
(72)【発明者】
【氏名】キアン、シャオゾウ
(72)【発明者】
【氏名】トラン、ヒュー バン
(72)【発明者】
【氏名】ズー、クレア
【審査官】及川 尚人
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2004/0164766(US,A1)
【文献】特表2016-513914(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0285658(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第102035534(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0222037(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0109744(US,A1)
【文献】特開2003-152096(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03K 19/0175
H03K 19/0185
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電圧領域の入力を受信し、第2の電圧領域の出力を生成するためのレベルシフタであって、前記第1の電圧領域内の「0」は第1の電圧であり、前記第1の電圧領域内の「1」は第2の電圧であり、前記第2の電圧領域内の「0」は前記第1の電圧であり、前記第2の電圧領域内の「1」は、前記第2の電圧とは異なる第3の電圧であり、前記レベルシフタは、
前記第3の電圧
(VDDH)を提供する第1の電源と、
前記第1の電源に結合された第1の端子、ゲート、及び第2の端子を含む、第1のPMOSトランジスタ
(1005)と、
前記第1の電源に結合された第1の端子、前記第1のPMOSトランジスタの前記第2の端子に結合されたゲート、及び、前記第1のPMOSトランジスタの前記ゲートに結合され、前記出力を提供するための出力ノードにも結合された第2の端子を含む、第2のPMOSトランジスタ
(1006)と、
前記第1のPMOSトランジスタの前記第2の端子に結合された第1の端子、第1の信号
(CC)を受信するように構成されたゲート、及び第2の端子を含む、第1のNMOSトランジスタ
(1003)と、
前記第1のNMOSトランジスタの前記第2の端子に結合された第1の端子、前記入力
(C)を受信するように構成されたゲート、及び前記第1の電圧に結合された第2の端子を含む、第2のNMOSトランジスタ
(1001)と、
前記出力ノードに結合された第1の端子、第2の信号
(CC-BAR)を受信するように結合されたゲート、及び第2の端子を含む、第3のNMOSトランジスタ
(1004)と、
前記第3のNMOSトランジスタの前記第2の端子に結合された第1の端子、前記入力
(C-BAR)の補数を受信するように構成されたゲート、及び前記第1の電圧に結合された第2の端子を含む、第4のNMOSトランジスタ
(1002)と、を含み、
前記第1の信号(CC)は、
前記第2の電源(VDDL)に結合された第1の端子、ゲート、第2の端子、及びバルクを含む、第3のPMOSトランジスタ(912)と、
前記第3のPMOSトランジスタの前記ゲートに結合された第1の端子、並びに前記第3のPMOSトランジスタの前記第2の端子及び前記第3のPMOSトランジスタの前記バルクに結合された第2の端子を含む、第1のコンデンサ(911)と、を含む、第1の回路(910)によって生成され、
前記第2の信号は、
前記第2の電源に結合された第1の端子、ゲート、第2の端子、及びバルクを含む、第4のPMOSトランジスタ(922)と、
前記第4のPMOSトランジスタの前記ゲートに結合された第1の端子、並びに前記第4のPMOSトランジスタの前記第2の端子及び前記第4のPMOSトランジスタの前記バルクに結合された第2の端子を含む、第2のコンデンサ(921)と、を含む第2の回路によって生成され、
前記第1の信号は、前記入力が前記第2の電圧であるとき、前記第2の電圧の2倍
から前記第3のPMOSトランジスタの閾値電圧をマイナスしたものであり、かつ、前記入力が前記第1の電圧であるとき、前記第2の電圧であり、
前記第2の信号は、前記入力が前記第1の電圧であるとき、前記第2の電圧の2倍
から前記第4のPMOSトランジスタの閾値電圧をマイナスしたものであり、かつ、前記入力が前記第2の電圧であるとき、前記第2の電圧であり、
前記入力が前記第1の電圧であるとき、前記出力は、前記第1の電圧であり、前記入力が前記第2の電圧であるとき、前記出力は、前記第3の電圧である、レベルシフタ。
【請求項2】
前記第2の電圧は、0.75ボルト~1.26ボルトである、請求項1に記載のレベルシフタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権の主張)
本出願は、2019年11月28日に出願された「Low Voltage Level Shifter For Integrated Circuit」と題する中国特許出願番号第201911192206.8号、及び2020年4月2日に出願された「Low Voltage Level Shifter For Integrated Circuit」と題する米国特許出願第16/838,847号に対する優先権を主張するものである。
【0002】
(発明の分野)
高速かつ低動作電圧で動作することができる、改善されたレベルシフタが開示される。
【背景技術】
【0003】
レベルシフタは、集積回路内の重要な構成要素である。レベルシフタは、第1の電圧領域から第2の電圧領域にデジタル信号を変換し、これは、集積回路の異なる部分が異なる電圧領域内で動作するときの本質的な機能である。
【0004】
図1は、先行技術において既知であるレベルシフタを含む、レベルシフタ100の概念的な動作を示す。この例では、電圧領域101(V
1)内の「1」は1Vで表され、「0」は0Vで表され、電圧領域102(V
2)内の「1」は2.5Vで表され、「0」は0Vで表される。レベルシフタ100は、電圧領域101の「1」(1V)を電圧領域102の「1」(2.5V)に変換し、電圧領域101の「0」(0V)を電圧領域102の「0」(0V)に変換する。「1」及び「0」を表すために他の電圧を利用する他の電圧領域は既知であり、当業者は、
図1及び本明細書で提供される電圧値が単なる例であることを理解するであろう。
【0005】
ここで、
図2~
図4を参照してレベルシフタ100の実施形態について説明する。最初に、
図2は、インバータ201及び202を示し、インバータ201は、信号としてINPUTを受信し、出力としてAを生成し(INPUTの補数である)、インバータ202は、入力としてAを受信し、出力としてA-BARを生成する(Aの補数であり、論理的にINPUTと同一である)。ここで、A及びA-BARの値「1」はそれぞれ、例えば1Vである電圧VDDLを有し得る。VDDLは、低電圧のコア電源電圧であり得る。
【0006】
図3は、レベルシフタ100の一例である先行技術のレベルシフタ300を示す。レベルシフタ300は、NMOSトランジスタ301及び302、PMOSトランジスタ303及び304、並びにインバータ305を含む。
図2の信号Aは、NMOSトランジスタ301のゲートに提供され、
図2の信号A-BARは、NMOSトランジスタ302のゲートに提供される。
【0007】
Aが高である場合、NMOSトランジスタ301はオンになり、トランジスタ302はオフになる。インバータ305への入力は、NMOSトランジスタ301を介してグランドへとプルされ、PMOSトランジスタ304へのゲートをオンにすることにもなる。OUTPUTと標識されたインバータ305の出力は高になり、ここでは電圧VDDHとなり、これは例えば2.5Vであり得る。VDDHは、高電圧のコア電源電圧であり得る。
【0008】
Aが低である場合、NMOSトランジスタ301はオフになり、NMOSトランジスタ302はオンになる。PMOSトランジスタ303は、そのゲートがNMOSトランジスタ302を介してグランドへとプルされるためオンになり、それによってインバータ305への入力は、PMOSトランジスタ303を介して高にプルされることになる。次いで、OUTPUTは低になる。
【0009】
先行技術のレベルシフタ300は、著しい制限を有する。具体的には、レベルシフタ300は、約0.5ナノ秒未満の切り替え時間で動作することができない。最悪の場合、切り替え時間は、1ナノ秒以上にもなり得る。これは、各トランジスタの電流駆動能力における固有の変動性に起因する。加えて、
図2の低供給電圧VDDLが低すぎることからA及びA-BARのピーク電圧が低すぎる場合、すなわち、NMOSトランジスタ301、302をそれぞれ完全にオンにするには不十分である場合、レベルシフタ300は完全に機能しなくなり得る。
【0010】
図4は、レベルシフタ100の別の例であり、レベルシフタ300よりも短い切り替え時間を有する先行技術のレベルシフタ400を示す。レベルシフタ400は、NMOSトランジスタ401及び402と、PMOSトランジスタ403、404、405、及び406と、インバータ407と、を含む。
図2の信号Aは、NMOSトランジスタ401のゲート及びPMOSトランジスタ405のゲートに提供され、
図2の信号A-BARは、NMOSトランジスタ402のゲート及びPMOSトランジスタ406のゲートに提供される。
【0011】
Aが高である場合、NMOSトランジスタ401はオンになり、トランジスタ402はオフになり、PMOSトランジスタ405はオフになり、PMOSトランジスタ406はオンになる。インバータ407への入力は、NMOSトランジスタ401を介してグランドへとプルされ、PMOSトランジスタ404のゲートをプルダウンすることにもなり、それによってPMOSトランジスタ404はオンになり、次いで、PMOSトランジスタ403のゲートが、PMOSトランジスタ404及び406を介してVDDHへと高くプルされることになる。OUTPUTと標識されたインバータの出力407は高になり、ここでは電圧VDDHとなり、これは例えば2.5Vであり得る。
【0012】
Aが低である場合、NMOSトランジスタ401はオフになり、NMOSトランジスタ402はオンになり、PMOSトランジスタ405はオンになり、PMOSトランジスタ406はオフになる。PMOSトランジスタ403は、そのゲートがNMOSトランジスタ402を介してグランドへとプルされ、それによってインバータ407への入力は、PMOSトランジスタ403及び405を介してVDDHへと高くプルされることになる。次いで、OUTPUTは低になる。
【0013】
レベルシフタ400はレベルシフタ300よりも速い切り替え時間を有するが、レベルシフタ400は依然として制限される。具体的には、切り替え時間を1ナノ秒未満に減少させることはできない。加えて、
図2の低供給電圧VDDLが低すぎることからA及びA-BARのピーク電圧が低すぎる場合、レベルシフタ400は完全に機能しなくなり得る。
【0014】
出願人は、最近、2019年8月9日に出願された「Improved Level Shifter for Integrated Circuit」と題する中国特許出願第2019/10733363.9号において改善されたレベルシフタを提案した。ここで、
図5~
図7を参照してその設計について説明する。
【0015】
図5は、結合段600及びレベルシフト段700を含むレベルシフタ500を示す。レベルシフタ500は、入力として「0」を受信すると(「0」は第1の電圧である)、「0」、すなわち第1の電圧を出力し、入力として第2の電圧である第1の電圧領域(VDDL)の「1」を入力として受信すると、第1又は第2の電圧とは異なる第3の電圧である第2の電圧領域(VDDH)の「1」を出力する。
【0016】
図6は、電圧VDDLを出力する低電圧電源610によって双方が電力供給される第1の回路621及び第2の回路622を含む、結合段600を示す。第1の回路621は、NMOSトランジスタ602と、PMOSトランジスタ604、606、及び608と、コンデンサ610と、を含む。第2の回路622は、NMOSトランジスタ601と、PMOSトランジスタ603、605、及び607と、コンデンサ609と、を含む。
図2の信号Aは、NMOSトランジスタ601のゲート、PMOSトランジスタ603のゲート、及びPMOSトランジスタ608のゲートに提供され、
図2の信号A-BARは、NMOSトランジスタ602のゲート、PMOSトランジスタ604のゲート、及びPMOSトランジスタ607のゲートに提供される。
【0017】
ここで、第1の回路621の動作について説明する。Aが高である場合、A-BARは低であり、NMOSトランジスタ602はオフであり、PMOSトランジスタ604はオンであり、PMOSトランジスタ608はオフである。電圧AAは、NMOSトランジスタ602がオフであり、PMOSトランジスタ608もオフであるため、浮遊することになり、かつ、コンデンサ610の任意の残留電荷は電源がない状態で消散するため、起動後の初期状態で約0Vとなる。
【0018】
Aが高から低に切り替わると、A-BARが低から高に切り替わり、NMOSトランジスタ602がオンになり、PMOSトランジスタ604がオフになり、PMOSトランジスタ608がオンになる。PMOSトランジスタ606はまた、そのゲートがNMOSトランジスタ602を介してグランドへとプルされるためオンになる。PMOSトランジスタ606及び608がオンになり、したがってノードAAはPMOSトランジスタ606及び608の直列接続を通してVDDLを提供する電源に結合されるので、コンデンサ610は充電を開始し、AAと標識されたノードは電圧VDDLに近づくことになる。上記は、グランドに接続されているNMOSトランジスタ602のソースを有するものとして説明されてきたが、これは決して限定することを意味するものではなく、VDDHに関連する任意の復帰電圧は、範囲を超えることなく、この文書全体を通してグランドの代わりに利用され得る。第1の電圧、すなわち、第2の電圧領域内の「0」は、復帰電圧に近づく電圧である。
【0019】
次いで、Aが低から高に切り替わると、A-BARは高から低に切り替わることになる。NMOSトランジスタ602はオフになり、PMOSトランジスタ604はオンになり、PMOSトランジスタ608は、AがPMOSトランジスタ608のゲートに提供されるためオフになる。PMOSトランジスタ606のゲートは、ノードAAの電圧(VDDLで開始する)になり、オフになる。Aは、コンデンサ610の上板を低から高(VDDLである)に駆動しているため、ノードAAは、コンデンサ610によって2*VDDLに駆動されることになる。
【0020】
次いで、Aが高から低に切り替わると、PMOSトランジスタ608はオンになり、NMOSトランジスタ602がオンになって、PMOSトランジスタ606のゲートをグランドへとプルし、PMOSトランジスタ606をオンにすることで、ノードAAを電圧VDDLへとプルすることになる。したがって、ノードAAは、Aが低から高に切り替わることに応答して、VDDLから2*VDDLにスイングし、ノードAAは、Aが高から低に切り替わることに応答して、2*VDDLからVDDLにスイングする。
【0021】
ここで、第2の回路622の動作について説明する。Aが低である場合、A-BARは高であり、NMOSトランジスタ601はオフであり、PMOSトランジスタ603はオンであり、PMOSトランジスタ607はオフである。電圧AA-BARは、NMOSトランジスタ601及びPMOSトランジスタ607の両方がオフであるため、浮遊することになり、かつ、コンデンサ609の任意の残留電荷は電源がない状態で消散するため、起動後の初期状態で約0Vとなる。
【0022】
Aが低から高に切り替わると、A-BARは高から低に切り替わり、NMOSトランジスタ601はオンになり、PMOSトランジスタ603はオフになり、PMOSトランジスタ607はオンになる。PMOSトランジスタ605はまた、そのゲートがNMOSトランジスタ601を介してグランドへとプルされるためオンになる。コンデンサ609の底板は、PMOSトランジスタ607及び605を介してVDDLへとプルされ、AA-BARと標識されたノードは、電圧VDDLを取得することになる。
【0023】
次いで、Aが高から低に切り替わると、A-BARは、低から高に切り替わり、NMOSトランジスタ601は、オフになり、PMOSトランジスタ603は、オンになり、PMOSトランジスタ607は、オフになる。PMOSトランジスタ605のゲートは、PMOSトランジスタ603を介して電圧AA-BAR(VDDLで開始する)になり、したがってオフになる。A-BARは、コンデンサ609の上板を低から高(VDDLである)に駆動しているため、AA-BARは、コンデンサ609によって2*VDDLに駆動されることになる。
【0024】
次いで、Aが低から高に切り替わると、A-BARは高から低に切り替わり、PMOSトランジスタ607はオンになり、NMOSトランジスタ601はオンになって、PMOSトランジスタ605のゲートをグランドへとプルし、PMOSトランジスタ605をオンにすることで、ノードAA-BARを、PMOSトランジスタ605及び607を介して電圧VDDLへとプルすることになる。したがって、ノードAA-BARは、A-BARが低から高に切り替わることに応答して、VDDLから2*VDDLにスイングし、ノードAA-BARは、A-BARが高から低に切り替わることに応答して、2*VDDLからVDDLにスイングする。
【0025】
図7は、NMOSトランジスタ701、702、703、及び704、PMOSトランジスタ705及び706、並びに電圧VDDHを出力する高電源710を含むレベルシフト段700を示す。
図2の信号Aは、NMOSトランジスタ701のゲート及びNMOSトランジスタ704の1つの端子に提供される。
図2の信号A-BARは、NMOSトランジスタ702のゲート及び、NMOSトランジスタ703の1つの端子に提供される。
図5のノードAAは、NMOSトランジスタ703のゲートに提供され、
図5のノードAA-BARは、NMOSトランジスタ704のゲートに提供される。上に示したように、ノードAAは、VDDLと2*VDDLとの間で発振し、ノードAA-BARは、2*VDDLとVDDLとの間で発振することになる。
【0026】
Aが1(VDDL)から0に切り替わると、A-BARは0から1(VDDL)に切り替わり、AAはVDDLになり、AA-BARは2*VDDLになる。NMOSトランジスタ701はオフになり、NMOSトランジスタ702はオンになり、NMOSトランジスタ703はオフになり(AA及びA-BARが両方ともVDDLになるため)、NMOSトランジスタ704はオンになる。これは、ノードOUTPUTを、トランジスタ702及び704を介してグランドにプルし、PMOSトランジスタ705をオンにし、これは、PMOSトランジスタ706がオフになることを確実にすることになる。
【0027】
Aが0から1(VDDL)に切り替わると、A-BARは1から0に切り替わり、AAは2*VDDLになり、AA-BARはVDDLになる。NMOSトランジスタ701はオンになり、NMOSトランジスタ702はオフになり、NMOSトランジスタ703はオンになり、NMOSトランジスタ704はオフになり(A及びAA-BARが両方ともVDDLになるため)、NMOSトランジスタ704はオフになる。PMOSトランジスタ706のゲートは、NMOSトランジスタ701及び703を介してグランドへとプルされることになり、これにより、PMOSトランジスタ706はオンになり、OUPUTがVDDHへとプルされることになり、したがって、PMOSトランジスタ705をオフにする。
【0028】
特に、Aが1から0に切り替わると、NMOSトランジスタ704のオーバードライブ電圧は2倍の高さであるため、NMOSトランジスタ702及び704は、レベルシフタ300及び400よりも速くノードOUTPUTをグランドへとプルすることができる。具体的には、プルダウンNMOSトランジスタ704のVgsは、2*VDDLであり、NMOSトランジスタ302のVgs及びレベルシフタ400のNMOSトランジスタ402のVgsは、VDDLのみである。その結果、レベルシフタ700のOUTPUTは、レベルシフタ400よりも速く「0」にプルされ得る。
【0029】
同様に、Aが0から1に切り替わると、NMOSトランジスタ703のオーバードライブ電圧は2倍の高さであるため、NMOSトランジスタ701及び703は、レベルシフタ300及び400よりも速くPMOSトランジスタ706のゲートをグランドへとプルすることができる。その結果、OUTPUTは、非常に短時間でVDDHへとプルされる。具体的には、プルダウンNMOSトランジスタ703のVgsは、2*VDDLであり、レベルシフタ300のNMOSトランジスタ301のVgs及びレベルシフタ400のNMOSトランジスタ401のVgsは各々、VDDLのみである。その結果、PMOSトランジスタ706のゲートは迅速に「0」へとプルダウンされ、OUTPUTは、レベルシフタ300及び400よりも速くVDDHへとプルアップされることになる。
【0030】
すなわち、レベルシフタ500は、レベルシフタ300及び400よりも速く切り替わることができ、これは、レベルシフタ500に必要な切り替え時間は、レベルシフタ300及び400に必要な切り替え時間よりも小さいことを意味する。
【0031】
出願人は、先行技術のレベルシフタ300及び400に対してレベルシフタ500のシフト速度を比較するための実験を行った。VDDL=0.94~1.26V、VDDH=1.4~2.75V、及び温度=-40℃~160℃という条件では、Aが0から1に切り替わるとき、レベルシフタ500は3.5倍速く、Aが1から0に切り替わるとき、5.7倍速かった。このように、レベルシフタ500は、その切り替え時間においてレベルシフタ300及び400より少なくとも3.5倍速い。
【0032】
しかしながら、
図5~
図7の改善された設計であっても、いくつかの欠点を有する。具体的には、この設計は、レベルシフト段700が、2.5Vの供給電圧を使用するトランジスタを必要とするので、利用可能な供給電圧が0.8V以下であるシステムでは十分に機能しない。すなわち、レベルシフタ500は、VDDLが0.75Vなどの比較的小さい場合には、十分に機能しない。
【0033】
加えて、
図5~
図7の設計は、比較的複雑であり、半導体ダイ内に比較的大きな空間の量を必要とする。例えば、スタンバイ動作モード中に機能を維持するために、NMOSトランジスタ701及び702が存在する。
【0034】
0.75Vの低さでVDDLを使用しながら、その切り替え時間を0.5ナノ秒未満に減少させることが可能である、改善されたレベルシフト設計が必要とされる。
【発明の概要】
【0035】
改善されたレベルシフタが開示される。レベルシフタは、依然として0.75V~1.26VなどのVDDLの比較的低い電圧を使用しながら、1ナノ秒未満の切り替え時間を達成することができる。改善されたレベルシフタは、結合段及びレベル切り替え段を含む。
【0036】
【0037】
【0038】
【0039】
【0040】
【0041】
【0042】
【0043】
【0044】
【0045】
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図5】出願人によって最近提案されたレベルシフタを示す。
【
図7】
図5のレベルシフタのレベルシフト回路を示す。
【
図9】
図8の改善されたレベルシフタの結合段を示す。
【
図10】
図8の改善されたレベルシフタのレベルシフト回路を示す。
【発明を実施するための形態】
【0047】
図8は、結合段900及びレベルシフト段1000を含むレベルシフタ800を示す。レベルシフタ800は、入力として「0」を受信すると(「0」は第1の電圧である)、「0」、すなわち第1の電圧を出力し、入力として第2の電圧である第1の電圧領域(VDDL)の「1」を入力として受信すると、第1又は第2の電圧とは異なる第3の電圧である第2の電圧領域(VDDH、1.4V~2.75Vの範囲)の「1」を出力する。
【0048】
図9は、その範囲が0.75V~約1.26Vである低電圧電源930(VDDL)によって、双方が電力供給される第1の回路910及び第2の回路920を含む、結合段900を示す。第1の回路910は、PMOSトランジスタ912とコンデンサ911とを含む。第2の回路920は、PMOSトランジスタ922とコンデンサ921と、を含む。PMOSトランジスタ912のゲートはコンデンサ911の第1の端子に接続され、PMOSトランジスタ912のドレインは低電圧電源930に接続され、PMOSトランジスタ912のソースは、PMOSトランジスタ912のバルク、及びノードCCで表されるコンデンサ911の第2の端子に接続される。PMOSトランジスタ922のゲートはコンデンサ921の第1の端子に接続され、PMOSトランジスタ922のドレインは低電圧電源930に接続され、PMOSトランジスタ922のソースはPMOSトランジスタ922のバルク、及びノードCC-BARで表されるコンデンサ921の第2の端子に接続される。
【0049】
ここでは、信号C及びC-BARは、VDDL電力領域電圧であり、それぞれPMOSトランジスタ912及び922のゲートに提供される。
【0050】
ここで、スタンバイ動作モード中の結合段900の動作について説明する。
【0051】
電源を入れると、VDDLは低から高まで(すなわち、0から0.75V~1.26Vまで)上昇し、Cは低から高(VDDL)まで上昇し、C-BARは低状態(0V)を維持する。ノードCCは、コンデンサ911を介して結合され、低から高(VDDL-VD)まで上昇し、ここで、VDは、PMOSトランジスタ912の寄生ダイオードからの順電圧である。PMOSトランジスタ912を通る電流が存在しないので、VDは非常に小さくなる(約20mV)。信号C-BARは低状態を維持し、PMOSトランジスタ922はオンになるので、ノードCC-BARでの電圧は低から高(VDDL)まで上昇する。したがって、コンデンサ911は大部分が放電され、コンデンサの両端にわずかな電圧(VD)を有し、コンデンサ921は両端のVDDLの電圧によって充電される。
【0052】
次に、アクティブモード中の結合段900の動作について説明する。
【0053】
Cが高から低に切り替わると、信号Cの変化がコンデンサ911を介して結合され、それにより、ノードCCは、高(VDDL-VD)から低(約0V)まで直ちに切り替わり、次いで、PMOSトランジスタ912がオンになるので、高(VDDL)まで上昇する。C-BARは、低から高に切り替わり、信号C-BARの変化がコンデンサ921を介して結合され、それにより、ノードCC-BARが高(VDDL)からより高(約2*VDDL)に直ちに切り替わり、次いで、PMOSトランジスタ922のソースへの電圧がそれをオフにするPMOSトランジスタ922の閾値に低下するまでコンデンサ921がPMOSトランジスタ922を介して放電するので、VDDL+Vth922まで低下する。Vth922は、PMOSトランジスタ922の閾値電圧である。
【0054】
Cが低から高に切り替わると、信号Cの変化がコンデンサ911を介して結合され、それにより、ノードCCは、高(VDDL)からより高(約2*VDDL)に直ちに切り替わり、次いで、PMOSトランジスタ912のソースへの電圧がそれをオフにするPMOSトランジスタ912の閾値に低下するまでコンデンサ911がPMOSトランジスタ912を介して放電するので、高(VDDL+Vth912)まで低下する。Vth912は、PMOSトランジスタ912の閾値電圧である。C-BARは高から低に切り替わり、信号C-BARの変化がコンデンサ921を介して結合され、それにより、ノードCC-BARは、高(VDDL+Vth922)から低(Vth922)に直ちに切り替わり、次いで、この時点でPMOSトランジスタ922がオンになるので、VDDLまで上昇する。
【0055】
図10は、NMOSトランジスタ1001、1002、1003、及び1004、PMOSトランジスタ1005及び1006、並びに電圧VDDHを出力する高電源1007を含むレベルシフト段1000を示す。レベルシフタ500のレベルシフト段700とは異なり、レベルシフト段1000は、VDDLが0.75Vの低さである場合に動作することが可能である。
信号Cは、NMOSトランジスタ1001のゲートに提供される。信号C-BARは、NMOSトランジスタ1002のゲートに提供される。
図9のノードCCは、NMOSトランジスタ1003のゲートに提供され、
図9からのノードのCC-BARは、NMOSトランジスタ1004のゲートに提供される。
【0056】
Cが高(VDDL)から低に切り替わると、C-BARが低から高(VDDL)に切り替わり、NMOSトランジスタ1001がオフになり、NMOSトランジスタ1002がオンになり、NMOSトランジスタ1003がオンになり、NMOSトランジスタ1004がオンになる。ノードOUTは、トランジスタ1004及び1002を通してグランドにプルされ、したがって、PMOSトランジスタ1005をオンにする。次いで、PMOSトランジスタ1006のゲートがPMOSトランジスタ1005を介して高にプルされ、PMOSトランジスタ1006がオフにされる。
【0057】
Cが低から高(VDDL)に切り替わると、C-BARは高から低に切り替わることになる。NMOSトランジスタ1001はオンになり、NMOSトランジスタ1002はオフになり、NMOSトランジスタ1003はオンになり、NMOSトランジスタ1004はオンになる。PMOSトランジスタ1006のゲートは、NMOSトランジスタ1003及び1001を介してグランドにプルされ、次に、PMOSトランジスタ1006はオンになり、OUPUTがVDDHへとプルされることになり、したがって、PMOSトランジスタ1005をオフにする。
【0058】
特に、Cが高から低に切り替わると、NMOSトランジスタ1004のオーバードライブ電圧(CC-BAR)は2倍の高さ(すなわち、2*VDDL)であるため、NMOSトランジスタ1002及び1004は、先行技術のレベルシフタ300及び400よりも速くノードOUTPUTをグランドにプルすることができる。具体的には、プルダウンNMOSトランジスタ1004のVgsは、2*VDDLであり、NMOSトランジスタ302のVgs及びレベルシフタ400のNMOSトランジスタ402のVgsは、VDDLのみである。その結果、レベルシフト段1000のOUTPUTは、レベルシフタ400よりも速く「0」にプルされ得る。
【0059】
同様に、Cが低から高に切り替わると、NMOSトランジスタ1003のオーバードライブ電圧(CC)は2倍の高さである(すなわち、2*VDDL)ため、NMOSトランジスタ1003及び1001は、レベルシフタ300及び400よりも速くPMOSトランジスタ1006のゲートをグランドにプルすることができる。結果として、OUTは、非常に短時間でVDDHへとプルされる。具体的には、プルダウンNMOSトランジスタ1003のVgsは、2*VDDLであり、レベルシフタ300のNMOSトランジスタ301のVgs及びレベルシフタ400のNMOSトランジスタ401のVgsは各々、VDDLのみである。その結果、OUTがグランドへとプルダウンされ、レベルシフタ300及び400よりも速くVDDHへとプルアップされる。
【0060】
すなわち、レベルシフタ800は、レベルシフタ300及び400よりも速く切り替わることができ、これは、レベルシフタ800に必要な切り替え時間は、レベルシフタ300及び400に必要な切り替え時間よりも小さいことを意味する。加えて、レベルシフタ800は、0.75Vの低さのVDDLで動作することができる。
【0061】
図11は、レベルシフタ800を使用して実施され得るレベルシフト方法1100を示す。第1のステップは、第1の電圧領域の入力を受信するステップであり、第1の電圧領域内の「0」は第1の電圧(例えば、0V)であり、第1の電圧領域内の「1」は第2の電圧(例えば、0.75Vの低さ、好ましくは0.75V~1.26V)である(ステップ1101)。第2のステップは、第2の電圧の2倍に等しい切り替え電圧を生成するステップである(ステップ1102)。第3のステップは、切り替え電圧を使用して第2の電圧領域の出力を生成するステップであって、第2の電圧領域内の「0」は、第1の電圧であり、入力が「0」あるときに生成され、第2の電圧領域内の「1」は、第3の電圧(例えば、2.75V)であり、入力が「1」であるときに生成される(ステップ1103)。
【0062】
出願人は、先行技術のレベルシフタ300及び400に対してレベルシフタ800のシフト速度を比較するための実験を行った。VDDL=0.75~1.26V、VDDH=1.4~2.75V、及び温度=-40℃~160℃という条件では、A(Cとして再標識される)が0から1に切り替わるとき、レベルシフタ800は3倍速く、A(Cとして再標識される)が1から0に切り替わるとき、5倍速かった。このように、レベルシフタ800は、その切り替え時間がレベルシフタ300及び400よりも少なくとも3倍速い。
【0063】
VDDLが0.87Vよりも大きい場合、レベルシフタ800は、レベルシフタ500ほど高速でない。しかしながら、レベルシフタ800は、レベルシフタ500よりもはるかに少ない半導体ダイ上の空間しか必要とせず、より単純な設計を有する。加えて、VDDLが0.75Vの低さである場合、レベルシフタ800は、レベルシフタ500よりも良好に機能する。
【0064】
本明細書で使用される場合、「の上方に(over)」及び「に(on)」という用語は両方とも、「の上に直接」(中間材料、要素、又は間隙がそれらの間に配設されていない)、及び「の上に間接的に」(中間材料、要素、又は間隙がそれらの間に配設されている)を包括的に含むことに留意されるべきである。同様に、「隣接した」という用語は、「直接隣接した」(中間材料、要素、又は間隙がそれらの間に配設されていない)、及び「間接的に隣接した」(中間材料、要素、又は間隙がそれらの間に配設されている)を含み、「に取り付けられた」は、「に直接取り付けられた」(中間材料、要素、又は間隙がそれらの間に配設されていない)、及び「に間接的に取り付けられた」(中間材料、要素、又は間隙がそれらの間に配設されている)を含み、「電気的に結合された」は、「に直接電気的に結合された」(要素を一緒に電気的に接続する中間材料又は要素がそれらの間にない)、及び「に間接的に電気的に結合された」(要素を一緒に電気的に接続する中間材料又は要素がそれらの間にある)を含む。例えば、要素を「基板の上方に」形成することは、その要素を基板に直接、中間材料/要素をそれらの間に伴わずに形成すること、及びその要素を基板に間接的に1つ以上の中間材料/要素をそれらの間に伴って形成することを含み得る。