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特許7438356車両間で操縦情報を交換するための方法及び装置
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  • 特許-車両間で操縦情報を交換するための方法及び装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-15
(45)【発行日】2024-02-26
(54)【発明の名称】車両間で操縦情報を交換するための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   B60W 40/04 20060101AFI20240216BHJP
   B60W 40/10 20120101ALI20240216BHJP
   B60W 30/10 20060101ALI20240216BHJP
   B60W 60/00 20200101ALI20240216BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20240216BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
B60W40/04
B60W40/10
B60W30/10
B60W60/00
G08G1/00 D
G08G1/09 H
G08G1/09 F
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022533430
(86)(22)【出願日】2020-11-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-06
(86)【国際出願番号】 EP2020082323
(87)【国際公開番号】W WO2021110399
(87)【国際公開日】2021-06-10
【審査請求日】2022-07-28
(31)【優先権主張番号】102019219021.9
(32)【優先日】2019-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100147991
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥居 健一
(72)【発明者】
【氏名】シュローダー,ゲルノット
(72)【発明者】
【氏名】ハウク,マティアス
(72)【発明者】
【氏名】ドルゴフ,マキシム
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャルケ,トーマス
【審査官】藤村 泰智
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-076581(JP,A)
【文献】特開2018-008688(JP,A)
【文献】特開2008-299676(JP,A)
【文献】特開2006-160111(JP,A)
【文献】特開2017-182566(JP,A)
【文献】特開2012-006590(JP,A)
【文献】国際公開第2019/150460(WO,A1)
【文献】特開2004-101586(JP,A)
【文献】特開2003-296884(JP,A)
【文献】特開2012-230523(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0004213(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0261093(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第102015215929(DE,A1)
【文献】独国特許出願公開第102015221817(DE,A1)
【文献】独国特許出願公開第102018109885(DE,A1)
【文献】特表2021-522102(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102015220481(DE,A1)
【文献】独国特許出願公開第102014211507(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 30/00 ~ 60/00
G08G 1/00 ~ 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(100)間で操縦情報(104)を交換するための方法であって、自車(100a)の将来の操縦情報(104)が、前記自車(100a)の少なくとも1つの自車軌道(110a)を計画するためのパラメータ化可能な自車軌道プランナ(108a)で表現され、前記自車軌道プランナ(108a)が、少なくとも1つの他車(100b)のために提供される、方法において、
前記自車軌道プランナ(108a)は、少なくとも1つのパラメータ又は可変入力変数に応じて操縦情報の軌道の少なくとも1つを出力するアルゴリズムであることを特徴とする、方法
【請求項2】
前記自車軌道プランナ(108a)が、前記自車(100a)からエンコードされて提供される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記自車(100a)の周囲状況の簡略化された周囲状況表現が、前記自車軌道プランナ(108a)で表現される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記自車(100a)において、いくつかの取り得る将来の自車軌道(110a)が評価され、前記自車軌道(110a)の評価が、前記他車(100b)のために前記自車軌道プランナ(108a)で表現される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記他車(100b)のために前記自車軌道プランナ(108a)で表現される前記操縦情報(104)が簡略化される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
車両(100)間で操縦情報(104)を交換するための方法であって、他車(100b)によって提供される、前記他車(100b)の将来の操縦情報(104)を表現するパラメータ化可能な他車軌道プランナ(108b)が、自車(100a)において少なくとも1つの時間パラメータ(124)を使用してパラメータ化されて実行され、前記他車(100b)の少なくとも1つの将来の他車軌道(110b)が取得される、方法において、
前記他車軌道プランナ(108b)は、少なくとも1つのパラメータ又は可変入力変数に応じて操縦情報の軌道の少なくとも1つを出力するアルゴリズムであることを特徴とする、方法
【請求項7】
前記他車軌道プランナ(108b)が、前記自車(100a)において、前記自車(100a)の少なくとも1つの自車パラメータ(128)を使用してさらにパラメータ化されて実行される、請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記自車パラメータ(128)が、前記自車(100a)の計画される将来の自車軌道(110a)を特徴付ける、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記他車軌道プランナ(108b)の実行後、前記時間パラメータ(124)が更新され、前記他車軌道プランナ(108b)が、前記更新された時間パラメータ(124)を使用して新たに前記自車(100a)においてパラメータ化されて実行されて、前記他車(100b)の更新された将来の他車軌道(110b)が取得される、請求項6~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記他車軌道プランナ(108b)が、前記他車(100b)からエンコードされて受信され、パラメータ化及び実行前に、前記自車(100a)でデコードされる、請求項6~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
車両(100)間で操縦情報(104)を交換するための方法であって、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法によって、自車(100a)の少なくとも1つの将来の自車軌道(110a)を計画するためのパラメータ化可能な自車軌道プランナ(108a)が、少なくとも1つの他車(100b)のために提供され、請求項6~11のいずれか一項に記載の方法によって、前記自車(100a)において、他車(100b)から受信される、前記他車(100b)の少なくとも1つの将来の他車軌道(110b)を計画するための少なくとも1つのパラメータ化可能な他車軌道プランナ(108b)が実行される、方法。
【請求項12】
請求項111のいずれか一項に記載の方法を、対応するデバイス(106、120、126)で実行し、実施し、及び/又は制御するように構成されている装置(102)。
【請求項13】
実行時に、請求項111のいずれか一項に記載の方法を実行し、実施し、及び/又は制御するようにプロセッサに指示するように設計されているコンピュータプログラム製品。
【請求項14】
請求項13に記載のコンピュータプログラム製品が記憶されている機械可読メモリ媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両間で操縦情報を交換するための方法、及びそれに対応する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自律車両及び半自律車両は、できるだけスムーズな交通の流れを可能にするように、相互に操縦を調整することができる。調整のために、車両は操縦情報を交換することができる。操縦情報は、1つの車両によって算出され、データパケットとしてそれぞれ他の車両に送信される、又はその逆である、計画された軌道であり得る。これにより、車両は、それぞれ他の車両の計画された軌道について情報を与えられている。選択法及び調整法により、各車両に関して衝突のない軌道が見出され得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
このような背景のもと、本明細書で提示される手法では、独立請求項による、車両間で操縦情報を交換するための方法、それに対応する装置、並びにそれに対応するコンピュータプログラム製品及び機械可読メモリ媒体が提示される。本明細書で提示される手法の有利な発展形態及び改良は、本明細書から明らかであり、従属請求項に記載されている。
【0004】
本発明の実施形態は、有利には、自律車両又は半自律車両間での操縦情報の交換時に交換すべきデータ量を制限し、その際にさらに操縦情報の情報量を増加することを可能にすることができる。代替又は補完として、本明細書に提示される手法により、事前に算出された軌道の交換時よりも将来に向かって長い期間にわたって操縦情報が提供され得る。
【0005】
本発明の第1の態様によれば、車両間で操縦情報を交換するための方法であって、自車の将来の自車操縦情報が、自車の少なくとも1つの自車軌道を計画するためのパラメータ化可能な自車軌道プランナで表現され、自車軌道プランナが、少なくとも1つの他車のために提供される、方法が提案される。
【0006】
本発明の第2の態様によれば、車両間で操縦情報を交換するための方法であって、他車によって提供される、他車の将来の他車操縦情報を表現するパラメータ化可能な他車軌道プランナが、自車において少なくとも1つの時間パラメータを使用してパラメータ化されて実行され、他車の少なくとも1つの将来の他車軌道が取得される、方法が提案される。
【0007】
さらに、車両間で操縦情報を交換するための方法であって、本発明の第1の態様に従って、自車の少なくとも1つの将来の自車軌道を計画するためのパラメータ化可能な自車軌道プランナが、少なくとも1つの他車のために提供され、本発明の第2の態様に従って、自車において、他車から受信される、他車の少なくとも1つの将来の他車軌道を計画するための少なくとも1つのパラメータ化可能な他車軌道プランナが実行される、方法が提案される。
【0008】
本発明の実施形態に関する着想は、とりわけ、以下に述べる考え方及び見解に基づいていると認識され得る。
自車はエゴ車両と呼ばれてもよい。本明細書で提示される方法は、エゴ車両の観点から述べられている。他車は、他の車両、すなわち離れた交通参加者であり得る。本明細書では、他の点では同一又は同義の用語を区別するために、接頭辞「自」と「他」が使用される。
【0009】
操縦情報、すなわち自車操縦情報又は他車操縦情報は、車両の将来の挙動を表現することができる。操縦情報は、車両が現在地又は特に少し前に通った地点から将来到達予定の少なくとも1つの目標点まで走行することができる複数の取り得る軌道を含み得る。ここで、軌道は、位置の推移で又は空間的に区別することも、速度の推移又は加速度の推移で区別することもできる。軌道は、一連の基準点によって、又は関数、例えば多項式の形式で表されてもよい。各基準点には、速度及び方向を有するベクトルが割り当てられてもよい。
【0010】
軌道プランナ、すなわち自車軌道プランナ又は他車軌道プランナは、操縦情報に関する算出規則であってもよい。軌道プランナは、少なくとも1つのパラメータ又は可変入力変数に応じて操縦情報の軌道の少なくとも1つを出力するアルゴリズムであり得る。軌道プランナは、標準化されたデータ形式で作成され得る。パラメータは、値の範囲として入力されてもよい。特に、パラメータは、時間パラメータであってもよい。時間パラメータは、軌道プランナの算出時点を特徴付けることができる。時間パラメータは、算出すべき軌道に関する時間予測範囲を特徴付けることもできる。時間パラメータは、車両の実際の動きにより、車両の位置にリンクされてもよい。車両は実速度で移動する。したがって、時間パラメータは、車両の速度にもリンクされてもよい。時間パラメータは、将来の時点として軌道プランナに入力されてもよい。
【0011】
従来、軌道又は軌道群は、操縦情報のデータパケットとして車両から車両へ無線で伝送され得る。伝送は、可能な伝送速度に大きく依存する。短時間で多くの軌道を伝送できるようにするために、データパケットのサイズは減らされてもよい。例えば、軌道の解像度が減らされてもよい。軌道の長さが制限されることもある。すなわち、軌道が小さい予測範囲で伝送され得る。
【0012】
同様に、本明細書で提示される軌道プランナも、無線で車両から車両へ伝送され得る。軌道プランナは、操縦情報のデータパケットよりも大幅に小さいメモリ要件を有することがある。軌道プランナは、実行可能なデータであってよい。軌道プランナの実行時、現在のパラメータ化に応じて、1つ又は複数の計画される軌道が決定され、特に計算され得る。軌道プランナは、送信側の車両でコンパイルされ、受信側の車両で実行され得る。コンパイルの代替として、Javaプログラミング言語でのバイトコードに相当する中間表現が使用されてもよい。次いで、コードはインタプリタによって実行されてもよい。
【0013】
軌道プランナは、他車での実行時に、高解像度で軌道を出力することができる。出力解像度は、データパケットから読み取られる軌道の解像度よりも大幅に高いこともある。
軌道プランナによって出力される軌道は、広い予測範囲を有することができる。したがって、軌道プランナは、より長く最新の状態であり得る。軌道プランナによって出力される軌道は、データパケットから読み取られる軌道よりもより遠い予測範囲を有することができる。より遠い予測範囲により、軌道プランナは、データパケットから読み取られる軌道よりも長く最新の状態であり得る。
【0014】
他車軌道プランナは、自車において、自車の少なくとも1つの自車パラメータを使用してさらにパラメータ化されて実行され得る。重要でない軌道はそもそも算出されないので、生成される軌道の数は自車パラメータによって制限され得る。自車に重要な軌道のみが算出される。
【0015】
自車パラメータは、自車の計画される将来の自車軌道を特徴付けることができる。自車パラメータによって、自車の計画された自車軌道の範囲内にある他車軌道が生成され得る。自車軌道から離れている他車軌道は、他車軌道プランナで表現されるが、少なくとも1つの自車パラメータにより算出されない。ここで、とりわけ、計画された自車軌道に対して衝突のない軌道に注目することができる。このようにして、交通状況での衝突のない将来取り得るコースを識別するために、様々な取り得る自車軌道に関して、衝突のない他車軌道が存在するかどうかが見定められ得る。
【0016】
他車軌道プランナの実行後、時間パラメータが更新され、他車軌道プランナが、更新された時間パラメータを使用して新たに自車においてパラメータ化されて実行されて、他車の更新された将来の他車軌道が取得され得る。他車軌道プランナは、1回又は数回実行した後でも、まだ最新の状態であり得る。出力される他車軌道は、時間の経過と共に変化することがある。複数回の実行により、伝送されるデータの量が減少され得る。大きい予測範囲により、出力される他車軌道は、他車軌道プランナで表現される他車の操縦情報の一部であり得る。
【0017】
他車軌道プランナは、他車からエンコードされて受信されてもよく、パラメータ化及び実行前に自車でデコードされてもよい。他車操縦情報、又は他車軌道を算出するためのアルゴリズムを不正アクセスから保護するために、他車軌道プランナは暗号化され得る。他車軌道プランナはブラックボックスとして伝送され得る。他車軌道プランナは、自車に関して個別に作成され、暗号化されることもあった。受信された他車軌道プランナでは、他車操縦情報の限られた部分が表現されていてもよい。例えば、車両は、ハンドシェークを実行して暗号化情報を交換することができる。自車軌道プランナは、自車からエンコード又は暗号化されて提供されてもよい。自車軌道プランナは、他車に関して個別に作成されてもよい。自車軌道プランナでは、他車に重要な操縦情報の部分のみが表現されてもよい。
【0018】
自車の周囲状況の簡略化された周囲状況表現は自車軌道プランナで表現されてもよい。車両は、センサを介して周囲状況を監視することができる。周囲状況監視は、物体を検出及び分類することができる。検出された物体は、例えば障害物として分類され得る。障害物及び検出された道路状況の推移は周囲状況表現に含まれていてもよい。周囲状況表現は、検出された交通参加者を含むこともできる。周囲状況表現に基づいて、改良された操縦調整が行われ得る。
【0019】
自車において、操縦情報のいくつかの取り得る将来の自車軌道が評価され得、自車軌道の評価が、他車のために自車軌道プランナで表現され得る。評価によって、好ましい軌道又は望ましくない軌道が認識され得る。評価は、それぞれの軌道に割り当てられたコストの形で行われ得る。ここで、好ましい軌道は低いコストを有することがあり、望ましくない軌道は高いコストを有することがある。評価によって操縦調整は最適化され得る。
【0020】
他車のために自車軌道プランナで表現される操縦情報は、簡略化され得る。例えば、操縦情報が理想化され得る。ここで、例えば、自車に関する自車軌道は車線の中央を進むことができる。自車に必要な空間は、プレースホルダで表現されていてもよい。簡略化によって、データ量が減らされ得る。
【0021】
この方法は、例えば、ソフトウェアもしくはハードウェアで、又はソフトウェアとハードウェアとの混合形態で、例えば制御装置において実施されていてもよい。
さらに、本明細書で提示する手法は、本明細書で提示する方法の変形形態のステップを対応するデバイスで行い、制御し、又は実施するように構成されている装置も提供する。
【0022】
装置は、信号又はデータを処理するための少なくとも1つのコンピューティングユニットと、信号又はデータを記憶するための少なくとも1つのメモリユニットと、通信プロトコルに埋め込まれているデータを読み取る又は出力するための少なくとも1つのインタフェース及び/又は通信インタフェースとを備えた電気機器であってもよい。コンピューティングユニットは、例えば、センサ信号を処理し、センサ信号に応じてデータ信号を出力するための信号プロセッサ、いわゆるシステムASIC、又はマイクロコントローラであってもよい。メモリユニットは、例えばフラッシュメモリ、EPROM、又は磁気メモリユニットであってもよい。インタフェースは、センサからセンサ信号を読み取るためのセンサインタフェースとして、及び/又はデータ信号及び/又は制御信号をアクチュエータに出力するためのアクチュエータインタフェースとして構成されていてもよい。通信インタフェースは、無線及び/又は有線でデータを読み込む又は出力するように構成されていてもよい。インタフェースは、例えば他のソフトウェアモジュールと共にマイクロコントローラに存在しているソフトウェアモジュールであってもよい。
【0023】
プログラムコードを備えたコンピュータプログラム製品又はコンピュータプログラムも有利であり、半導体メモリ、ハードディスクメモリ、又は光メモリなどの機械可読キャリア又はメモリ媒体に記憶されていてもよく、特にプログラム製品又はプログラムがコンピュータ又は装置上で実行されるときに、上述した実施形態の1つによる方法のステップの実行、実施、及び/又は制御のために使用される。
【0024】
本発明の可能な特性及び利点のいくつかが、様々な実施形態を参照して本明細書に記載されていることに留意されたい。本発明のさらなる実施形態を達成するために、装置及び方法の特性が適切に組み合わされ、適合され、又は交換され得ることを当業者は認識されよう。
【0025】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を述べるが、図面も本明細書も本発明を限定するものと解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】例示的実施形態による装置を備える車両を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図面は概略にすぎず、一律の縮尺では描かれていない。図中、同一の参照符号は、同一の特性又は同一機能を備える特性を示す。
図1は、例示的実施形態による装置102を備える自車100aの図を示す。装置102は、自車100aと少なくとも1つの他車100bとの間で操縦情報104を交換するように構成されている。自車100aは、エゴ車両100aと呼ばれてもよい。他車100bは、交通車両100bと呼ばれてもよい。他車100bも、操縦情報を交換するための対応する装置(ここでは図示せず)を備える。
【0028】
装置102はそれぞれ、表現デバイス106を備える。表現デバイス106はそれぞれ、軌道プランナ108と呼ばれるパラメータ化可能なアルゴリズムで操縦情報104を表現する。ここで、操縦情報104は、車両100の各場合に取り得る将来の軌道110を含む。自車100の将来取り得る軌道110は、自車軌道110aと呼ばれてもよい。他車100bの将来取り得る軌道110は、他車軌道110bと呼ばれてもよい。操縦情報104の異なる軌道110はすべて、本質的に同じ開始点112から始まり、異なる目標点114に至ることがある。
【0029】
操縦情報104の軌道110は、軌道群116と呼ばれてもよい。自車100aの軌道プランナ108は、自車軌道プランナ108aと呼ばれてもよい。他車100bで生成された軌道プランナ108は、他車軌道プランナ108bと呼ばれてもよい。
【0030】
自車軌道プランナ108aは、他車100bに無線で伝送される。自車軌道プランナ108aは、例えばクラウドサーバなどのより上位レベルのデータ処理デバイス118を介して自車100aから他車100bに送信され得る。それに対応して、他車100bの他車軌道プランナ108bに関するデータ伝送は、逆方向に行われる。
【0031】
他車軌道プランナ108bは、装置102によって受信される。他車軌道プランナ108bは、装置102のパラメータ化デバイス120で、少なくとも1つのパラメータ122を使用してパラメータ化される。パラメータ122は、特に時間パラメータ124であり得る。ここで、時間パラメータ124は、対象の時点を定義する。例えば、時間パラメータ124は、将来の時点を表現することができる。
【0032】
パラメータ化された他車軌道プランナ108bは、実行可能なコンピュータプログラム製品である。パラメータ化された他車軌道プランナ108bは、装置102の実行デバイス126で実行される。実行デバイス126は、パラメータ122に依存する少なくとも1つの他車軌道110bを出力する。
【0033】
一例示的実施形態では、他車軌道プランナ108bは、パラメータ122として自車パラメータ128を使用してパラメータ化される。自車パラメータ128は、例えば自車100aの自車速度を表現することができる。同様に、自車パラメータ128は、計画された将来の自車軌道110aを表現することもできる。ここで、自車パラメータ128は、例えば、自車100aが将来向かう予定の一連の参照点を表現することができる。次いで、自車パラメータ128を使用してパラメータ化された他車軌道プランナ108bは、自車軌道110aの領域内の他車軌道110bを出力する。
【0034】
一例示的実施形態では、他車軌道プランナ108bは、連続して複数回実行される。ここで、各場合に、時間パラメータ124は自車100aの進行に従って更新される。したがって、時間的に以前に作成された他車軌道プランナ108bを使用して、引き続き許容範囲内で正確な他車軌道110bが取得され得る。
【0035】
言い換えると、操縦プランナの伝送に基づいて、V2Xを介して協調運転操縦を調整するためのシステム及びV2Xプロトコルが提示される。
V2X(車対X)通信により、車両は、他の車両又はインフラストラクチャデバイスから周囲状況データを受信し、又は完全なグローバル周囲状況モデルを取得し、それにより自車のローカル周囲状況モデルを強化することができる。
【0036】
周囲状況データに加えて、車両は操縦データを交換することができ、操縦データに基づいて例えば協調運転操縦を計画及び実現することができる。運転操縦を調整するための様々な手法が存在する。例えば、車両どうしが例えば軌道を交換することができる。手法に応じて、受信側の車両は、送信側の車両がどのように挙動するか、及び送信側の車両が特定の操縦を行うことを望んでいるかどうかを判断することができる。
【0037】
この情報に基づいて、受信側の車両は自らの操縦を計画し、場合によっては自らの所望する操縦を他の車両に通知することができ、他の車両は、それらの計画を調整することによって上記所望する操縦を承認する。さらなる方法は、いわゆる分散型状態機械に基づくことができ、分散型状態機械によって協調操縦を介してコーディネートされ得る。
【0038】
従来の手法では、特定の時間的区間において軌道が非常に類似しているとき、状況によっては冗長な情報が交換され得る。さらに、予測範囲の長さ、及び交換される軌道の量と共に通信量が増加する。これにより、通信チャネルに制限がある場合、適切に操縦が調整され得る前に数回の通信ラウンドが行われることがある。状態機械を使用する場合、取り得る各操縦が状態機械で表現される。したがって、少数の状況クラスが実現され得る。
【0039】
本明細書で提示する手法では、車両間で交換される新しいタイプの操縦情報が述べられ、それらの操縦情報を用いて協調操縦が効率的に計画され得る。
ここで、軌道又は同期情報の代わりに、分散型状態機械に関するソフトウェアライブラリ(以下、リファレンスプランナと呼ばれる)が交換され、これは、(標準化された)周囲状況表現及びマップに基づいて、取り得る軌道及び場合によっては(例えばコストによって)評価される軌道のセットを生成し、周囲状況表現に基づいて車両を走行できるようにし、またコストに応じて優先的に走行できるようにする。V2Xを介して限られた数の軌道を共有する代わりに、算出規則が共有される。
【0040】
IPの考慮、場合によっては算出規則の共有時、暗号化のための方法を使用することができ、又は算出規則を具体的に開示することなく機能を保証するニューラルネットワークを分散させることができる。
【0041】
簡単な形態では、リファレンスプランナはイベント駆動型でよく、すなわち、そのリファレンスプランナをまだ取得していなかった車両(例えば、送信側の車両の通信圏内に初めて入った車両など)に1回だけ通信することができる。それ以外には、その後、協調を1回だけ承認又は拒否することができる。ここで、不利な状況変化による協調の終了又はリファレンスプランナの更新が引き続き可能である。
【0042】
リファレンスプランナを使用して、受信側の車両は、そのリファレンスプランナの発生元の車両に関する任意の数の軌道を生成することができ、所与の自車操縦時に上記発生元の車両の挙動を推測することができ、逆も可能である。ここで、リファレンスプランナを利用可能な車両に関する軌道の数は、通信によっては制限されず、計算能力によってのみ制限される。計算能力は、通信機能よりも大幅に安価である。
【0043】
リファレンスプランナを利用可能な車両に関してはそのリファレンスプランナが使用され、リファレンスプランナを利用可能でない車両に関しては、それらの車両によって送信される軌道が自車操縦計画時に考慮に入れられることによって、提案された方法が組み合わされ得る。
【0044】
DA(運転支援)及びAD(自動運転)システムは、基本的には、Sense-Plan-Act(感知-計画-実行)の原則に従って構築されている。これは、車両が、まず環境の感知のデータに基づいてその挙動を計画し、次いでその挙動を実行することを意味する。エゴ車両に加えてエゴ車両の周囲状況にさらなる車両(いわゆる交通車両)が入るとすぐに、エゴ車両の所与の挙動時に上記さらなる車両の将来の挙動を推測する必要があり、逆も同様である。
【0045】
従来のシステムでは、この挙動は、基本的にはエゴ車両のプランナよりもはるかに単純な特別な挙動及び操縦プランナに従って推測される。協調操縦の計画及び調整に関して、(特に都市部でのシナリオにおいて)交通車両の目的地は分からず、その車両の動的な嗜好も分からないので、そのようにして生成された交通車両の操縦は、基本的には交通車両自体が計画した操縦ではない。
【0046】
この問題は、車両間で軌道を交換することによって解決され得る。従来とは対照的に、本明細書で提示する手法では、各車両は、現在の状況及びその現在の目的地に関してプランナを生成し、その車両の周囲環境内の車両に配布して、受信側の車両が他車の軌道を正しく予想/算出することを可能にする。リファレンスプランナの伝送時に軌道の高速算出及びV2Xチャネルの低負荷を可能にするために、プランナは単純に設計され得、またそうすべきである(例えば、車線中央のみに沿った計画、又はグリッド上での計画)。さらに、プランナへのインタフェースが定義及び/又は標準化され得る(プランナに提供される環境の表現、及びプランナによって返される軌道の表現)。代替として、送信側の車両は、例えばプランナと共にインタフェース定義をJSONファイルの形式で伝送することができる。ADシステム及びそのモジュールのコモディティ化が進むほど、IP保護及び使用されるアルゴリズムの難読化の必要性が低くなり、それにより、それらの標準化、及び本明細書で提示される方法の実施が容易になる。
【0047】
最後に、「備える」や「含む」などの用語は他の要素又はステップを除外せず、単数形は複数を除外しないことを指摘しておく。特許請求の範囲内の参照符号は、限定とみなされるべきではない。
図1