(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-15
(45)【発行日】2024-02-26
(54)【発明の名称】自動立体視デバイスおよび3D画像を生成する方法
(51)【国際特許分類】
G02F 1/167 20190101AFI20240216BHJP
G02F 1/16757 20190101ALI20240216BHJP
【FI】
G02F1/167
G02F1/16757
(21)【出願番号】P 2022534210
(86)(22)【出願日】2020-12-09
(86)【国際出願番号】 US2020063911
(87)【国際公開番号】W WO2021126616
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-06-06
(32)【優先日】2019-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500080214
【氏名又は名称】イー インク コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】テルファー, スティーブン ジェイ.
【審査官】植田 裕美子
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-163709(JP,A)
【文献】特表2013-526727(JP,A)
【文献】特開平11-327065(JP,A)
【文献】特表2004-530576(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/165-1/19
G02B 30/30
H04N 13/31
G03B 35/24
B41J 2/315-2/345,2/42-2/425
B41J 2/475-2/48
B41M 5/28-5/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動立体視デバイスであって、前記自動立体視デバイスは、
複数の電極を備えている基板と、
電気泳動粒子の第1の分散を備えているマイクロカプセルの第1の層であって、前記第1の層は、前記基板上に位置している、マイクロカプセルの第1の層と、
電気泳動粒子の第2の分散を備えているマイクロカプセルの第2の層と、
前記第1の層と第2の層との間の光透過性マイクロカプセルの層と
を備えている、自動立体視デバイス。
【請求項2】
前記光透過性マイクロカプセルは、本質的に、光透過性流体から成る、請求項1に記載の自動立体視デバイス。
【請求項3】
前記複数の電極は、電場を前記
マイクロカプセルの第1の層および前記
マイクロカプセルの第2の層に印加し、自動立体視画像を生成するように構成されている、請求項1に記載の自動立体視デバイス。
【請求項4】
前記第1の分散の前記電気泳動粒子は、第1の吸収スペクトルを有し、前記第2の分散の前記電気泳動粒子は、第2の吸収スペクトルを有する、請求項1に記載の自動立体視デバイス。
【請求項5】
前記第1の吸収スペクトルは、前記第2の吸収スペクトルとは異なる、請求項4に記載の自動立体視デバイス。
【請求項6】
自動立体視画像を生成する方法であって、前記方法は、
請求項1に記載の立体視デバイスを提供することと、
3次元画像データをコントローラに提供することと、
前記マイクロカプセルの前記第1の層および前記第2の層によって表示されるべき画像を計算することと、
前記複数の電極が電場を前記マイクロカプセルの前記第1の層および前記第2の層に印加し、前記マイクロカプセルの前記第1の層および前記第2の層が前記自動立体視画像を生成するように、前記複数の電極を制御することと
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本願は、本明細書に開示される全ての他の特許および特許出願とともに、参照することによってその全体として組み込まれる2019年12月17日に出願された米国仮特許出願第62/948,926号の優先権を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、3D画像デバイスに関し、より具体的に、視差障壁を含む自動立体視デバイスの分野に関する。
【背景技術】
【0003】
自動立体視デバイスは、特別な眼鏡の必要性なしで、3D画像を生成することが可能である。いくつかの自動立体視デバイスは、視差障壁を含む。従来の視差障壁は、固定されたパターンの光障壁とスリットまたはピンホールとを有する層を含む。視差障壁は、画像特有情報を提供する画像形成層である第2の層の正面に、それから間隔を空けて設置される。視差障壁は、好適に位置付けられた観察者の左および右眼が3D画像を見るように、第2の層によって放出または変調された光を選択的に遮断する。従来の固定された視差障壁は、光障壁による光の吸収から生じる狭い視野角と暗い画像とを含むいくつかの不利点を有する。
【0004】
コンテンツ適応自動立体視デバイスも、少なくとも2つの間隔を空けた層を備えている。しかしながら、視差障壁層は、固定されたパターンを有さず、むしろ、光透過性非バイナリ画像が、生成されるべきコンテンツに従って変動させられることができる。本質的に、光透過性の独立して制御可能なデバイスが、視差障壁として使用され、第2の独立して制御可能なデバイスが、背面層を形成する。2つの可変層の組み合わせは、固定された視差障壁を用いて可能であるそれらより広い視野角および明るい画像を可能にする。しかしながら、これは、第1および第2の層によって生成される画像を調整することが可能であるコントローラを要求する非常に複雑なデバイスの代償として生じる。加えて、結像媒体および電極層の複数の層は、視差障壁層の透明性を損なう。
【0005】
従来の視差障壁を組み込む自動立体視デバイスは、少なくとも2つの別個の印刷画像から生成され、そのうちの少なくとも1つは、基板上に配置され、続いて、高精度に位置合わせされて一緒に結合される。同様に、コンテンツ適応視差障壁を有する自動立体視デバイスは、互いに対して精密な位置合わせを要求する2つの別個のディスプレイ(例えば、LCDディスプレイ)から生成される。
【0006】
したがって、視差障壁を有する改良された3Dデバイスの必要がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の側面は、2つの画像形成層をアドレスするために、単一のアドレスユニットまたは2つのアドレスユニットを使用することによって、自動立体視デバイスおよび画像を発生させる方法を提供することによって、以前のシステムおよび方法の短所を克服する。
【0008】
一側面では、自動立体視画像を発生させるための自動立体視デバイスが、提供される。デバイスは、基板と、基板上に配置された第1の画像形成層と、第2の画像形成層と、第1の画像形成層と第2の画像形成層との間に位置付けられた光透過性層と、加熱要素を備えているアドレスユニットとを備えている。第1および第2の画像形成層は、それぞれ、熱的に調節可能な光学特性を有する第1および第2の材料を備えている。アドレスユニットは、熱を第1の画像形成層および第2の画像形成層に印加するように構成される。第1の画像形成層および第2の画像形成層は、自動立体視画像を発生させる。
【0009】
別の側面では、自動立体視画像を発生させるための自動立体視デバイスが、提供され、それは、基板と、基板上に配置された第1の画像形成層と、第2の画像形成層と、第1の画像形成層と第2の画像形成層との間に位置付けられた光透過性層と、第1の加熱要素を備えている第1のアドレスユニットと、第2の加熱要素を備えている第2のアドレスユニットとを備えている。第1および第2の画像形成層は、それぞれ、熱的に調節可能な光学特性を有する第1および第2の材料を備えている。第1のアドレスユニットは、熱を第1の画像形成層に印加するように構成され、第2のアドレスユニットは、熱を第2の画像形成層に印加するように構成される。第1の画像形成層および第2の画像形成層は、自動立体視画像を発生させる。
【0010】
別の側面では、複数の電極を備えている基板と、電気泳動粒子の第1の分散を備えている基板上に位置するマイクロカプセルの第1の層と、電気泳動粒子の第2の分散を備えているマイクロカプセルの第2の層と、第1の層と第2の層との間の光透過性マイクロカプセルの層とを備えている自動立体視デバイスが、開示される。光透過性マイクロカプセルは、本質的に、光透過性流体から成り得る。
【0011】
さらに別の側面では、自動立体視画像を生成する方法が、提供される。方法は、(a)自動立体視デバイスを提供することであって、自動立体視デバイスは、基板と、熱的に調節可能な光学特性を有する第1の材料を備えている第1の画像形成層であって、第1の画像形成層は、基板上に配置されている、第1の画像形成層と、熱的に調節可能な光学特性を有する第2の材料を備えている第2の画像形成層と、第1および第2の画像形成層との間に位置付けられた光透過性層と、加熱要素を備えているアドレスユニットとを備えている、ことと、(b)第1および第2の画像形成層が自動立体視画像を発生させるように、アドレスユニットを用いて、第1および第2の画像形成層を加熱することとを含む。方法は、(c)3次元画像データをコントローラに提供することと、(d)第1および第2の画像形成層によって生成されるべき画像を計算することと、(e)アドレスユニットによって第1および第2の画像形成層に印加される熱を制御することとをさらに含み得る。方法のために使用される自動立体視デバイスは、第2のアドレスユニットをさらに備え得、加熱することは、アドレスユニットを用いて第1の画像形成層を加熱することと、第2のアドレスユニットを用いて第2の画像形成層を加熱することとを含み得る。
【0012】
別の側面では、自動立体視画像を生成する方法が、提供される。方法は、(a)を備えている自動立体視デバイスを提供することであって、自動立体視デバイスは、複数の電極を有する基板と、電気泳動粒子の第1の分散を備えている基板上に位置しているマイクロカプセルの第1の層と、電気泳動粒子の第2の分散を備えているマイクロカプセルの第2の層と、第1の層と第2の層との間の光透過性マイクロカプセルの層とをそなえている、ことと、(b)3次元画像データをコントローラに提供することと、(c)マイクロカプセルの第1および第2の層によって表示される画像を計算することと、(d)複数の電極が電場をマイクロカプセルの第1および第2の層に印加し、マイクロカプセルの第1および第2の層が自動立体視画像を発生させるように、複数の電極を制御することとを含む。方法で使用される自動立体視デバイスの光透過性マイクロカプセルは、本質的に、光透過性流体から成り得る。
【0013】
上で説明される特徴は、本明細書に開示される特徴を組み込むデバイスまたは方法を説明する任意の数の種々の方法で組み合わせられることができることを理解されたい。
【0014】
本発明の前述の利点は、以下に続く、詳細な説明に現れるであろう。説明では、好ましい側面を図示する付随の図面が参照される。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
自動立体視デバイスであって、前記自動立体視デバイスは、
基板と、
熱的に調節可能な光学特性を有する第1の材料を備えている第1の画像形成層であって、前記第1の画像形成層は、前記基板上に配置されている、第1の画像形成層と、
熱的に調節可能な光学特性を有する第2の材料を備えている第2の画像形成層と、
前記第1の画像形成層と前記第2の画像形成層との間に位置付けられた光透過性層と、
加熱要素を備えているアドレスユニットと
を備え、
前記アドレスユニットは、熱を前記第1の画像形成層および前記第2の画像形成層に印加するように構成され、
前記第1の画像形成層および前記第2の画像形成層は、自動立体視画像を発生させる、自動立体視デバイス。
(項目2)
前記第1の画像形成層は、第1の吸収スペクトルを有し、
前記第2の画像形成層は、第2の吸収スペクトルを有し、
前記第1の吸収スペクトルと前記第2の吸収スペクトルとは、同じである、項目1に記載の自動立体視デバイス。
(項目3)
前記第1の材料の熱的に調節可能な光学特性は、第1の温度において遷移し、前記第2の材料の熱的に調節可能な光学特性は、第2の温度において遷移する、項目1に記載の自動立体視デバイス。
(項目4)
前記第1の温度は、前記第2の温度を上回る、項目3に記載の自動立体視デバイス。
(項目5)
前記光透過性層は、熱的に絶縁である、項目1に記載の自動立体視デバイス。
(項目6)
前記第1および第2の画像形成層のうちの1つは、視差障壁である、項目1に記載の自動立体視デバイス。
(項目7)
自動立体視デバイスであって、前記自動立体視デバイスは、
基板と、
熱的に調節可能な光学特性を有する第1の材料を備えている第1の画像形成層であって、前記第1の画像形成層は、前記基板上に配置されている、第1の画像形成層と、
熱的に調節可能な光学特性を有する第2の材料を備えている第2の画像形成層と、
前記第1の画像形成層と前記第2の画像形成層との間に位置付けられた光透過性層と、
加熱要素を備えている第1のアドレスユニットであって、前記第1のアドレスユニットは、熱を前記第1の画像形成層に印加するように構成されている、第1のアドレスユニットと、
加熱要素を備えている第2のアドレスユニットであって、前記第2のアドレスユニットは、熱を前記第2の画像形成層に印加するように構成されている、第2のアドレスユニットと
を備え、
前記第1の画像形成層と前記第2の画像形成層とは、自動立体視画像を発生させる、自動立体視デバイス。
(項目8)
自動立体視画像を生成する方法であって、前記方法は、
項目1に記載の自動立体視デバイスを提供することと、
前記第1および第2の画像形成層が自動立体視画像を発生させるように、アドレスユニ
ットを用いて、前記第1および第2の画像形成層を加熱することと
を含む、方法。
(項目9)
3次元画像データをコントローラに提供することと、
前記第1および第2の画像形成層によって生成されるべき画像を計算することと、
前記アドレスユニットによって前記第1および第2の画像形成層に印加される前記熱を制御することと
をさらに含む、項目8に記載の自動立体視画像を生成する方法。
(項目10)
項目8に記載の方法に従って作製される自動立体視画像。
(項目11)
自動立体視画像を生成する方法であって、前記方法は、
項目7に記載の自動立体視デバイスを提供することと、
前記第1および第2の画像形成層が自動立体視画像を発生させるように、前記第1のアドレスユニットを用いて前記第1の画像形成層を加熱し、前記第2のアドレスユニットを用いて前記第2の画像形成層を加熱することと
を含む、方法。
(項目12)
3次元画像データをコントローラに提供することと、
前記第1および第2の画像形成層によって生成されるべき画像を計算することと、
前記第1および第2のアドレスユニットによって前記第1および第2の画像形成層に印加される前記熱を制御することと
をさらに含む、項目11に記載の自動立体視画像を生成する方法。
(項目13)
項目11に記載の方法に従って作製される自動立体視画像。
(項目14)
自動立体視デバイスであって、前記自動立体視デバイスは、
複数の電極を備えている基板と、
電気泳動粒子の第1の分散を備えているマイクロカプセルの第1の層であって、前記第1の層は、前記基板上に位置している、マイクロカプセルの第1の層と、
電気泳動粒子の第2の分散を備えているマイクロカプセルの第2の層と、
前記第1の層と第2の層との間の光透過性マイクロカプセルの層と
を備えている、自動立体視デバイス。
(項目15)
前記光透過性マイクロカプセルは、本質的に、光透過性流体から成る、項目14に記載の自動立体視デバイス。
(項目16)
前記複数の電極は、電場を前記第1および第2の画像形成層に印加し、自動立体視画像を発生させるように構成されている、項目14に記載の自動立体視デバイス。
(項目17)
前記第1の分散の前記電気泳動粒子は、第1の吸収スペクトルを有し、前記第2の分散の前記電気泳動粒子は、第2の吸収スペクトルを有する、項目14に記載の自動立体視デバイス。
(項目18)
前記第1の吸収スペクトルは、前記第2の吸収スペクトルと異なる、項目14に記載の自動立体視デバイス。
(項目19)
前記複数の電極は、コンセントレーター電極を備えている、項目14に記載の自動立体視デバイス。
(項目20)
自動立体視画像を生成する方法であって、前記方法は、
項目14に記載の立体視デバイスを提供することと、
3次元画像データをコントローラに提供することと、
前記マイクロカプセルの第1および第2の層によって表示されるべき画像を計算することと、
前記複数の電極が、電場を前記マイクロカプセルの第1および第2の層に印加し、前記マイクロカプセルの第1および第2の層が前記自動立体視画像を発生させるように、前記複数の電極を制御することと
を含む、方法。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施形態による、自動立体視画像を発生させるためのデバイスの概略側面図である。
【0016】
【
図2-1】
図2A-2Eは、本発明の第2の実施形態による、自動立体視画像を発生させるためのデバイスの概略側面図である。
【
図2-2】
図2A-2Eは、本発明の第2の実施形態による、自動立体視画像を発生させるためのデバイスの概略側面図である。
【
図2-3】
図2A-2Eは、本発明の第2の実施形態による、自動立体視画像を発生させるためのデバイスの概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、その精神または本質的な特性から逸脱することなく、いくつかの形態において具現化され得る。本発明の範囲は、それらに先行する具体的説明ではなく、添付の請求項において定義される。請求項の意味および等価性の範囲内に入る全ての側面は、したがって、請求項によって包含されるように意図される。
【0018】
本発明は、ここで、より具体的に、以下の側面を参照して説明されるであろう。以下の側面は、例証および説明のみの目的のために、本明細書に提示されることに留意されたい。開示される精密な形態に包括的または限定されるように意図されない。
【0019】
本明細書で使用される語法および専門用語は、説明の目的のためであり、限定と見なされるべきではないことを理解されたい。「~を含む(including)」、「~を備えている(comprising)」、または「~を有する(having)」、および本明細書のその変形例の使用は、以降で列挙されるアイテムおよびその均等物、および追加のアイテムを網羅することが意図される。
【0020】
本明細書で使用される場合、「~から本質的に成る(consisting essentially of)」は、組成物または構成要素が、追加の原料を含み得ることを意味するが、追加の原料が、請求される組成物または方法の基本および新規特性を著しく改変しない場合のみに限る。
【0021】
さらに、開示される主題は、本明細書に詳述される側面を実装するために、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、またはそれらの任意の組み合わせを生成するように、標準的プログラミングおよび/またはエンジニアリング技法および/またはプログラミングを使用して、デバイス、方法、装置、または製造品として実装され得る。
【0022】
本発明の種々の側面は、自動立体視画像を生成するためのデバイスに関連して説明されるであろう。本発明の側面に起因して生じる特徴および利点は、この目的に非常に好適である。依然として、本発明の種々の側面が他の用途にも、他の目的を達成するためにも適用され得ることを理解されたい。
【0023】
ここで、図、より具体的に、
図1を参照して、本発明の第1の実施形態に従って自動立体視画像を発生させるためのデバイスが、示される。デバイス100は、結像部材101と、アドレスユニット102とを含む。結像部材101は、基板110上に配置された第1の画像形成層104と、第2の画像形成層108と、第1の画像形成層104と第2の画像形成層108との間に配置される、光透過性層106とを含む。第1の画像形成層104および第2の画像形成層108は、好ましくは、光透過性であり、無色であるが、熱的に調節可能な光学特性を有する材料を含む。本明細書で使用される場合、「光透過性」層は、十分な光が、光透過性として指定される層を通して透過させられ、観察者が、片側から層を通して見ることによって、その層の光学状態における変化または層の反対側の別の材料を観察することを可能にすることを意味する。第1および第2の画像形成層における熱的に調節可能な光学特性を有する材料は、それぞれ、第1の吸収スペクトルおよび第2の吸収スペクトルによって画定されるように、光の特定の波長を吸収し得る。本発明のいくつかの側面では、第1および第2の吸収スペクトルは、同じである、すなわち、光の同一波長が吸収され得る。しかしながら、他の側面では、第1の吸収スペクトルと第2の吸収スペクトルとは、重複するが、同一ではない。第1の材料の熱的に調節可能な光学特性は、第1の温度において遷移し、第2の材料の熱的に調節可能な光学特性は、第2の温度において遷移する。第1の温度は、第2の温度を上回り得る。
【0024】
随意の光透過性保護層112も、第1の画像形成層104上に配置され得る。さらに別の側面では、基板110は、結像部材101が、反射性デバイスを形成するように意図される場合、反射性シート(
図1に示されない)を含み得る。代替として、基板110は、剥離シートであり得、それは、後に除去され、それによって、結像部材101が、画像形成層を照明するためのバックライトを備えている発光部材(
図1に示されない)上に積層され、発光型デバイスを提供し得る。
【0025】
画像形成層104および108は、光学的に調節可能であり、それによって、アドレスユニット102が結像部材101をアドレスするために使用されると、それらのそれぞれの吸収スペクトルは、改変されることができる。アドレスユニット102は、第1の画像形成層104および第2の画像形成層108を実質的に同時にアドレスし、それによって、自動で位置合わせされた自動立体視デバイスを提供することが可能である。既に説明されたように、画像形成層104および108は、好ましくは、光透過性であり、無色である。しかしながら、画像形成層上の特定の場所は、個々にアドレスされ得、それによって、特定場所の色、すなわち、吸収性/反射性特性は、調節される。これは、独特の画像が、画像形成層の各々の上に生成されることを可能にする。調節されると、第1または第2の画像形成層104および108のいずれかが、視差障壁を形成し得る一方、第1および第2の画像形成層104および108の他方は、視差障壁を通して視認されるべき背面画像を提供し、一緒に光学的に調節される第1および第2の画像形成層104、108は、自動立体視画像を発生させる。
【0026】
一側面では、所望の3次元画像が、コントローラに提供され、コントローラは、3次元画像を形成するための第1および第2の画像形成層上に生成されるべき画像を計算する。本明細書で使用される場合、用語「コントローラ」は、1つ以上のプロセッサおよびメモリおよび/または1つ以上のプログラマブルハードウェア要素を含み得、ソフトウェア命令を実行することが可能である任意のタイプのプロセッサ、CPU、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ、または他のデバイスを含むように意図される。コントローラは、生成されるべき画像をアドレスユニット102に通信し、アドレスユニット102は、それに応じて、第1の画像形成層104および第2の画像形成層108を調節する。いくつかの側面では、コントローラは、デバイス100の構成要素であり得る。しかしながら、生成されるべき画像の計算は、デバイス100の遠隔でも行われ、通信され得る。
【0027】
本発明の1つの非限定的側面では、第1の画像形成層104および第2の画像形成層108は、感熱性である。画像形成層の1つの場所への熱の印加は、そのそれぞれの吸収スペクトルが調節されるように、その場所内の材料の光学特性を変える。アドレスユニット102は、熱を結像部材101に印加するための加熱要素を有し、光透過性層106は、結像部材101を通して、熱の伝送を制御するために熱的に絶縁され得る。アドレスユニット102が結像部材101の1つのみの表面と接触するので、第1の画像形成層104は、第2の画像形成層108より熱にあまり敏感でないこともあり、それによって、結像部材101の表面に印加される熱の時間および強度における変動は、第1の画像形成層104と第2の画像形成層108とにおける材料が独立して光学的に調節されることを可能にする。第1および第2の画像形成層104、108内の調節された領域の光透過率または色の程度も、変動させられ、それによって、デバイスによって生成される画像の視野角を改良し得る。
【0028】
第1および第2の画像形成層を個々に調節することが可能である単一アドレスユニットを備えているデバイスの例が、例えば、米国特許第7,408,563号(その全内容は、参照することによって本明細書に組み込まれる)において開示される。デバイスは、2つの事前に積層された画像形成層からの視差障壁と背面画像との実質的に同時の形成を提供することによって、第1および第2の画像形成層を精密に位置合わせする余分なステップを排除する。別の実施形態では、デバイスは、第1のアドレスユニットが、第1の画像形成層の光学特性を調節し、第2のアドレスユニットが、第2の画像形成層の光学特性を調節するように、結像部材の対向表面に印加される第2のアドレスユニットを含み得る。
【0029】
直接熱結像技法が、アドレスユニットによって対応する画像形成層(最初は無色であり得る)を加熱することによって、画像を形成するために使用され得る。直接熱結像では、インク、トナー、または熱転写リボンの必要はない。むしろ、画像を形成するために要求される化学的性質は、結像部材自体に存在する。種々の直接熱色結像方法の議論が、米国特許第6,801,233B2号(その全内容は、参照することによって本明細書に組み込まれる)において提供される。本発明の方法では、2つ以上の画像形成層を有する結像部材は、カラー画像を提供するためのアドレスユニット(感熱記録ヘッドであり得る)によってアドレスされる。画像は、複数の色を備え得る。結像部材は、アドレスユニットの2回以上の通過においてアドレスされ得、少なくとも1回の通過は、少なくとも別の通過と異なる速度にある。随意に、結像部材は、少なくとも1回の通過において、少なくとも別の通過と異なる程度で予熱される。加熱は、直接加熱または間接加熱であり得る。各画像形成層は、例えば、最初の無色からカラーに、色を変化させることができ、それは、本明細書ではそのアクティブ化温度と称される特定の温度に加熱される。画像部材の全ての層は、色形成前に透明であり得る。画像形成層は、少なくとも部分的に、独立して、2つの調節可能パラメータ(すなわち、温度および時間)の変動によってアドレスされ得る。これらのパラメータは、アドレスユニット(例えば、感熱記録ヘッド)の温度と、熱が熱結像部材に印加される期間とを選択することによって、任意の特定の事例において所望の結果を取得するために調節されることができる。したがって、多色結像部材の各色は、単独で、または他の色との選択可能な割合で印刷されることができる。温度-時間ドメインは、最終画像を取得するために所望される異なる色に対応する領域に分割される。結像部材の画像形成層は、結像部材内に所望の画像を提供するために、色における変化を受ける。色における変化は、無色からカラー、カラーから無色、またはある色から別の色であり得る。用語「画像形成層」は、全てのそのようなオプションを含む。画像形成層の各々は、独立して、部材の最上層と接触する感熱記録ヘッドを用いた熱の印加によってアドレスされ得る。2つの画像形成層を伴う結像部材では、第2の画像形成層(すなわち、熱結像部材の表面に最も近い、画像形成層)の活性温度は、第1の画像形成層の活性温度を上回る。
【0030】
ここで
図2A-2Eを参照すると、本発明によるデバイスの第2の実施形態が、図示される。
図2A-2Eは、自動立体視画像を発生させるためのデバイスの結像部材を図示する。結像部材は、光透過性層206によって分離される第1の画像形成層204および第2の画像形成層208を備えている。第1の画像形成層が位置付けられる基板210が、第1および第2の画像形成層204および208をアドレスするための複数の電極を含む。
【0031】
第1の画像形成層204および第2の画像形成層208は、好ましくは、各々、複数の光透過性マイクロカプセルを備え、それらは、キャリア媒体(流体等)内に配置された電気泳動的に応答性粒子の分散を含む。第1および第2の画像形成層内の電気泳動粒子は、同じ吸収スペクトルおよび/または電気泳動移動度を有することも、有しないこともある。
【0032】
Massachusetts Institute of Technology (MIT) and E Ink Corporationに譲渡された、またはそれらの名義の多数の特許および出願は、カプセル化された電気泳動および他の電気光学媒体に使用される種々の技術を説明している。これらの特許および出願で説明される技術は、以下を含み、その全内容が、参照することによって本明細書に組み込まれる。
(a) 電気泳動粒子、流体、および流体添加物(例えば、米国特許第7,002,728号および第7,679,814号参照)
(b) カプセル、結合剤、およびカプセル化プロセス(例えば、米国特許第6,922,276号および第7,411,719号参照)
(c)マイクロセル構造、壁材料、およびマイクロセルを形成する方法(例えば、米国特許第7,072,095号および第9,279,906号参照)
(d)マイクロセルで充填およびシールする方法(例えば、米国特許第7,144,942号および第7,715,088号参照)
(e)電気光学材料を含むフィルムおよびサブアセンブリ(例えば、米国特許第6,982,178号および第7,839,564号参照)
(f)バックプレーン、接着層、および他の補助層、およびディスプレイにおいて使用される方法(例えば、米国特許第7,116,318号および第7,535,624号参照)
(g)色形成および色調節(例えば、米国特許第7,075,502号および第7,839,564号参照)
(h)ディスプレイを駆動させる方法(例えば、米国特許第7,012,600号および第7,453,445号参照)
(i)ディスプレイの適用(例えば、米国特許第7,312,784号および第8,009,348号参照)
(j)非電気泳動ディスプレイ(米国特許第6,241,921号および米国特許出願公開第2015/0277160号、第2015/0005720号、および第2016/0012710号参照)
【0033】
カプセル化電気泳動媒体は、電場の影響下、流体を通して移動する、画像を形成する、1つ以上のタイプの荷電顔料粒子を備えている。カプセル化電気泳動媒体は、多数の小カプセルを備え得、それ自体の各々は、流体媒体内の荷電顔料粒子と、内部相を包囲するカプセル壁とを備えている。典型的に、カプセルそれら自体は、2つの電極間に位置付けられたコヒーレント層を形成するために、ポリマー結合剤内に保持される。代替として、荷電粒子および流体は、キャリア媒体内に形成された複数のシールされた空洞(典型的に、多くの場合、マイクロセルと称される高分子フィルム)内に保持され得る。
【0034】
多くの場合、電気泳動媒体は不透明であり(例えば、多くの電気泳動媒体では、粒子は、ディスプレイを通る可視光の透過を実質的に遮断するので)、反射モードで動作するが、多くの電気泳動フィルムは、1つの光学状態が実質的に不透明であり、1つが光透過性であるいわゆる「シャッター」モードで動作するように作製されることができる。例えば、米国特許第5,872,552号、第6,130,774号、第6,144,361号、第6,172,798号、第6,271,823号、第6,225,971号、および第6,184,856号を参照されたい。そのようなモードで動作し得る例は、電気泳動ディスプレイと類似するが、電場強度の変動に依存する誘電泳動 ディスプレイを含む。米国特許第4,418,346号を参照されたい。
【0035】
第1の画像形成層204と第2の画像形成層208との間の要求される距離(
図2A-2Eに図示される)を提供するために、光透過性層206は、光透過性カプセルの1つ以上の行を備え得、光透過性カプセルは、光透過性流体から本質的に成り、電気泳動粒子等の光学的に調節可能材料を含まず、それによって、光透過性層206の光学特性は、デバイスの動作中、実質的に一定のままである。カプセル化電気泳動媒体の連続行を適用することによって形成されるディスプレイデバイスと、デバイスを駆動する方法とが、例えば、米国特許第8,576,476号(その全内容は、参照することによって本明細書に組み込まれる)に開示される。
【0036】
複数の電極211aおよび211bは、
図2Aに示される画像部材200の画像形成層204および208に電場を印加するために使用され得る。電場を第1および第2の画像形成層204および208に印加することは、粒子にそれらのそれぞれのカプセル内で移動させ、画像形成層のそれぞれの光学特性を調節する。複数の電極211aおよび211bは、第1の画像形成層204および第2の画像形成層208を結像部材200の片側から制御し、それによって、デバイスの光透過率に悪影響を及ぼし得る任意の介在電極または伝導性層の必要性を排除する。印加される電圧波形に応じて、電気泳動粒子は、それらのそれぞれのカプセル内の種々の場所に向かって駆動され得、画像形成層のそれぞれの光学特性を調節する。例えば、
図2Aを参照すると、第1の画像形成層204内の電気泳動粒子209および第2の画像形成層208内の電気泳動粒子207は、同様の電荷極性を有し得、透明「開放」状態に向かって駆動され得、粒子は、カプセルの側方壁に向かって集合する。
【0037】
図2Bに描写される別の例では、画像部材250が、コンセントレーター電極の形態にある、電極251a-251dを備えている。第1の画像形成層204内の電気泳動粒子209および第2の画像形成層内の電気泳動粒子207は、両方の画像形成層内の粒子が、複数の電極に向かって駆動し得るように、同様の電荷極性を有し得る。この例では、第1の画像形成層204内の粒子209は、電極に近接して、小エリアの中に集中させられることによって、シャッターされる。同様に、第2の画像形成層208内のマイクロカプセル205が、円錐形または角錐形状のウェル203を含み得るので、第2の画像形成層208内の粒子207も、粒子207を小エリアの中に集中させることによってシャッターされ、それによって、透明光学状態を伴う結像部材を提供し得る。
【0038】
図2Cでは、マイクロカプセルを異なる周波数または電圧でアドレスすることは、粒子209に広がらせ、それによって、観察者は、粒子209の光学特性を観察するであろう。
図2Dでは、電場の極性は、
図2Cの電場に関連して、逆転される。結果として、第1の画像形成層204内の粒子209は、粒子209を第1の画像形成層204内のマイクロカプセル215の円錐形または角錐形状のウェル201に集中させることによって、シャッターされ、粒子207は、マイクロカプセル208の片側において広げられ、それによって、粒子207の光学特性が、観察され得る。
図2Eに図示されるように、電極211aおよび211bが、独立して、アドレス可能であるので、画像形成層204および206は、異なるピクセル場所で異なって調節され得る。
【0039】
結像部材200(
図2A-2Eに図示される)は、接着剤、好ましくは、光学的に透明な接着剤を用いて、第2の画像形成層208に接着され得、保護層214をさらに含み得る。デバイスが、保護層214の側から視認される場合、保護層214は、好ましくは、光透過性である。加えて、デバイスが、反射性ディスプレイである場合、随意の反射性層212が、第1の画像形成層212の下に組み込まれ得る。別の実施形態では、基板210は、反射性材料を含み得る。代替として、反射性ディスプレイが、反対側(保護層の側からではない)から視認され、基板210は、好ましくは、光透過性であり、保護層214は、反射性であり得る。さらに別の実施形態では、結像部材200は、発光型ディスプレイを形成するために使用され得、バックライトが、結像部材20のいずれか側に印加され得るように、保護層214および基板210の両方が、光透過性であることが、好ましい。
【0040】
結像部材は、コントローラ(
図2A-2Eに示されない)とさらに組み合わせられ得、コントローラは、所望の3次元画像を受信すると、第1の画像形成層204および第2の画像形成層208上に生成されるべき画像を計算し得る。コントローラは、次いで、マイクロカプセル205、215に電場を印加するために複数の電極を制御し得、マイクロカプセル205、215は、2つの画像を形成し、自動立体視画像を発生させるであろう。計算は、ローカルまたは遠隔で実施され得る。
【0041】
前述は、本発明の例証的側面の詳細な説明である。種々の修正および追加が、その範囲から逸脱することなく、成されることができる。さらに、多数の修正および変更が、容易に当業者に想起されるであろうから、本発明を示され、かつ説明される正確な構築および動作に限定することは、所望されない。例えば、本明細書に説明される種々の特徴のいずれかは、代替側面に従って本明細書に説明される、他の特徴のいくつかまたは全てと組み合わせられることができる。好ましい側面が、説明されているが、詳細は、請求項によって定義される、発明から逸脱することなく変更され得る。
【0042】
最後に、本明細書に説明されるプロセスまたはステップのいずれかが、組み合わせられること、排除されること、または並べ替えられ得ることが、明示的に想定される。他の側面では、命令は、コンピュータ可読媒体内に常駐し得、それらの命令は、本明細書に説明されるプロセスまたはことのうちの1つ以上のものを実施するために、プロセッサによって実行される。したがって、本明細書に説明されるプロセスまたはステップのいずれかは、コンピュータ上で実行するプログラム命令を含むハードウェア、ソフトウェア、またはハードウェアおよびソフトウェアの組み合わせとして実装され得ることが、明示的に想定される。故に、本説明は、例のみとしてとられ、別様に本発明の範囲を限定しないことが意図される。