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特許7438380高電力のユーザデバイス用の電力供給装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-15
(45)【発行日】2024-02-26
(54)【発明の名称】高電力のユーザデバイス用の電力供給装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 5/10 20060101AFI20240216BHJP
   H01B 12/16 20060101ALI20240216BHJP
   H01B 12/00 20060101ALI20240216BHJP
   H02J 5/00 20160101ALI20240216BHJP
   H02J 3/36 20060101ALI20240216BHJP
   H02M 5/44 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
H02M5/10
H01B12/16
H01B12/00
H02J5/00
H02J3/36
H02M5/44
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022548980
(86)(22)【出願日】2021-02-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-04
(86)【国際出願番号】 IT2021050032
(87)【国際公開番号】W WO2021161355
(87)【国際公開日】2021-08-19
【審査請求日】2022-10-07
(31)【優先権主張番号】102020000002959
(32)【優先日】2020-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】514165990
【氏名又は名称】ダニエリ オートメーション ソシエタ ペル アチオニ
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】モルデッリア アントネッロ
(72)【発明者】
【氏名】モルテーニ ロベルト
【審査官】柳下 勝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-333746(JP,A)
【文献】特開2013-212031(JP,A)
【文献】特開2003-219649(JP,A)
【文献】特表2002-544755(JP,A)
【文献】特表2012-501942(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102801177(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 5/10
H01B 12/16
H01B 12/00
H02J 5/00
H02J 3/36
H02M 5/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高電力のユーザデバイス用電力供給装置であって、
配電網電圧と配電網電流とを供給する配電網(11)に接続するための手段と、
前記配電網(11)に接続するための手段と前記電気炉(12)とを接続するための少なくとも1つの電気的伝送路(13)と、
を備えており、
前記電力供給装置(10)は、前記電気炉(12)に交流電力を供給可能な電力供給システム(19)であって前記配電網(11)と前記電気炉(12)との間に接続された電力供給システム(19)を備えており、
前記電力供給システム(19)は、
配電網(11)により供給された交流の電気エネルギーを直流の電気エネルギーに変換するように構成された第1の部分(15)であって、少なくともつのトランス二次側(35)に接続された少なくとも1つのトランス一次側(34)を有する少なくとも1つのトランス(33)と、前記トランス二次側(35)に接続された少なくとも1つの整流器(36)と、を備えた第1の部分(15)と、
前記直流の電気エネルギーを交流の電気エネルギーに変換するように構成された第2の部分(16)であって、前記少なくとも1つの整流器(36)に接続された少なくとも1つの変換器(37)を備えた第2の部分(16)と、
を備えており、
前記第1の部分(15)と前記第2の部分(16)とは物理的に互いに離隔していると共に、前記少なくとも1つの整流器(36)と前記少なくとも1つの変換器(37)との間に接続された直流中間回路(38)を用いて互いに接続されており、
前記中間回路(38)は、超電導ケーブルを有する1つ又は複数の伝送路区間(31)を備えている
ことを特徴とする電力供給装置。
【請求項2】
前記第1の部分(15)と前記第2の部分(16)との間の距離は数十~数百メートルである、
請求項1記載の電力供給装置。
【請求項3】
前記配電網(11)は三相式であり、
前記電力供給システム19)は、前記配電網(11)の各相ごとにトランス二次側(35)と整流器(36)と変換器(37)とを備えた少なくとも1つの電力供給モジュール(39)を備えている、
請求項1又は2記載の電力供給装置。
【請求項4】
前記電力供給モジュール(39)の前記整流器(36)と前記変換器(37)とは、少なくとも1つの超電導ケーブルを有する同一の直流中間回路(38)を共有する、
請求項3記載の電力供給装置。
【請求項5】
前記電力供給システム(19)は、互いに並列に配置された複数の前記電力供給モジュール(39)を備えており、
前記各電力供給モジュール(39)は、少なくとも1つのトランス二次側(35)に接続された少なくとも1つのトランス一次側(34)を有する少なくとも1つのトランス(33)と、前記トランス二次側(35)に接続された少なくとも1つの整流器(36)と、前記整流器(36)に接続された変換器(37)と、前記少なくとも1つの整流器(36)と前記変換器(37)とを接続する直流中間回路(38)と、をそれぞれ備えており、
前記直流中間回路(38)は、少なくとも1つの超電導ケーブルを有する少なくとも1つの伝送路区間(31)を備えている、
請求項3又は4記載の電力供給装置。
【請求項6】
前記又は各電力供給モジュール(39)の少なくとも第1の部分(39a)は第1の建物(41)内に配置されていると共に、前記又は各電力供給モジュール(39)の少なくとも第2の部分(39b)は第2の建物(42)内に配置されており、
前記又は各電力供給モジュール(39)の両部分(39a,39b)は、少なくとも1つの超電導ケーブルを有する1つ又は複数の伝送路区間(31)によって接続されている、
請求項から5までのいずれか1項記載の電力供給装置。
【請求項7】
前記第1の建物(41)内に配置された前記第1の部分(39a)は、前記又は各電力供給モジュール(39)の前記トランス(33)及び前記整流器(36)を備えていると共に、前記第2の建物(42)内に配置された前記第2の部分(39b)は、前記変換器(37)と、能なインダクタ(40)と、前記変換器(37)から電流を前記電気炉(12)へ伝送する送路区間(32)と、を備えている、
請求項6記載の電力供給装置。
【請求項8】
前記又は各電力供給モジュール(39)の前記少なくとも1つの整流器(36)と前記少なくとも1つの変換器(37)とは、少なくとも1つの超電導ケーブルを有する少なくとも1つの伝送路区間(29)によって接続されている、
請求項から7までのいずれか1項記載の電力供給装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つ又は各電力供給モジュール(39)はインダクタ(40)を備えており、
前記インダクタ(40)は前記少なくとも1つの変換器(37)に接続されていると共に前記電気炉(12)より上流に配置されており、
前記変換器(37)と前記電気炉(12)とは、前記インダクタ(40)を通り少なくとも1つの超電導ケーブルを有する1つ又は複数の伝送路区間(30)によって接続されている、
請求項から8までのいずれか1項記載の電力供給装置。
【請求項10】
前記トランス(33)は中圧/中圧トランスであり、
前記電力供給装置(10)は、前記配電網(11)より下流かつ前記中圧/中圧トランス(33)より上流に配置された少なくとも1つの高圧/中圧トランス(14)を備えており、
前記中圧/中圧トランス(33)と前記高圧/中圧トランス(14)とは、少なくとも1つの超電導ケーブルを有する伝送路区間(27)により接続されている、
請求項1から9までのいずれか1項記載の電力供給装置。
【請求項11】
前記伝送路区間(31)に含まれる前記超電導ケーブルは、単純又はコルゲート状のパイプに素又はヘリウムを含む液体ガスから選択された冷媒液を入れたものにより作製された同軸被覆を有する、
請求項1から10までのいずれか1項記載の電力供給装置。
【請求項12】
前記1つ又は複数の超電導ケーブルの少なくとも一部は二ホウ化マグネシウムから成る、
請求項1から11までのいずれか1項記載の電力供給装置。
【請求項13】
高出力の前記ユーザデバイスは電気炉(12)である、
請求項1から12までのいずれか1項記載の電力供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば30~40MW以上のオーダ等のユーザデバイス用の電力供給装置、特に製鋼用の鉄鋼用電気炉用、又は他の金属若しくはガラス材料の加工分野の電力供給装置、又は一般に高電力負荷に電力を供給すべき用途のための電力供給装置にも関する。
【0002】
本発明の電力供給装置は特に、負荷損失を最小限に抑えつつ、配電網により供給された電気エネルギーを電力線を介してユーザデバイスに輸送することを可能にする。
【0003】
ユーザデバイス用の電力線は、ユーザデバイスと配電網との間に直列及び/又は並列の1つ以上の電気的装置を備えることとなる。
【0004】
ここで「電気的装置」との用語は、電圧及び電流を変換可能な電気的機械をいい、また、例えばインダクタ、整流器、変換器又はインバータ等の電気的及び/又は電子的デバイスもいう。このことは、本願明細書の以下の部分でも同様である。
【0005】
ユーザデバイスは、特に鉄鋼産業に適用されるがこれに限られず、高レベルの電力を要する任意のデバイスとすることができ、例えば溶融炉又は加熱炉等、例えば電気アーク炉、好適には交流電力が供給される電気アーク炉、誘導炉、又は取鍋炉等とすることができる。
【背景技術】
【0006】
公知のように、例えば上記のいずれかの炉等のユーザデバイスが効率的な電力供給システムを要する鉄鋼用途が存在し、これは通常、高電力及び高電流を要する。
【0007】
よって、通常は上記の電力供給システムはエネルギー源すなわち配電網を提供し、このエネルギー源すなわち配電網は電力線を用いてユーザデバイスに接続され、この電力線上には一連の電気的装置が設けられている。すなわち、電力供給線は、配電網とユーザデバイスとの間に上記一連の電気的装置を互いに接続する一連の中間区間を提供する。
【0008】
現在、エネルギー源とユーザデバイスと中間区間との間の公知の接続部は導電性材料により作製されており、特に、かかる接続線の大部分は銅、アルミニウム又は他の金属合金により作製されている。
【0009】
大電流を輸送するためには大きな断面のケーブルを用いることが知られている。というのも、かかる断面は電気工学システムにおける既知の法則に則った寸法であるからである。よって、ケーブルが数千アンペアを輸送できるようにするためには、ケーブルの断面は最大200~400mmの直径に達することがあり、かかるケーブルを互いに並列に接続し、その結果として、エネルギー伝送効率の観点においてコスト、重量及び損失の増大が生じる。
【0010】
また、電気エネルギーを輸送する利便性は、電圧の上昇と共に向上することも知られている。電気輸送線におけるエネルギーの損失の主な原因はジュール効果による損失であり、ジュール効果によってケーブル内を流れる電流が熱を生じることによりエネルギーの損失が生じる。電気伝送線により伝送される電力は電圧と電流との積であるから、電力が同じである場合、電流を低減して損失を低減するためには電圧を上昇させれば良いことが分かる。エネルギーの輸送は一般に、非常に高い直流(DC)電圧ひいては低い直流電流が用いられる特殊な状況又は用途を除いて交流(AC)により行われ、これによりジュール効果に起因する損失を著しく低減させることができる。
【0011】
しかし、エネルギーを輸送する際に損失を防ぐために高電圧を用いることには限界があり、その主な原因は、ケーブル絶縁の問題と、ブレークダウン時のシステムの本質安全性の問題である。
【0012】
例えば、ユーザデバイスが交流電力供給される電気アーク炉である場合、電気炉は典型的にはHV/MV(高圧/中圧)トランスを介して高圧線により電力を供給されるので、トランス二次側の電圧は10kV~30kVの間で変動し得る。
【0013】
さらに交流システムでは、導体の寸法と関連する容量及びインダクタンス、並びに、これにより発生する電磁場の相互作用も重要になる。これらの現象はジュール効果によってさらなる損失を引き起こし、これはユーザ負荷に有効電力を供給することに寄与しない。
【0014】
電気炉の電力線、又は高い動作電流を必要とするユーザデバイスを用いる全ての場合において、配電網を当該配電網自体のHV/MV変電所に接続することが一般的であり、このHV/MV変電所は、最終的なユーザデバイスから数百メートル離れていることがある。
【0015】
通常はその後、変電所は他のMV/MV(中圧/中圧)降圧トランスを用いて、例えば溶融炉等のユーザデバイスの電力供給装置に接続される。典型的には、上記の損失の収束を図りつつ高電流を供給できるようにするため、上記の電力供給装置とユーザデバイスとの間の距離は数十メートルである。
【0016】
しかし、エネルギー源間の距離、すなわち配電網及び/又は変電所又は中間の電気的装置と、電力供給装置とユーザデバイスとの間の距離を上記のように小さくしなければならないことが、非常に厳しい制約となることが多く、これは、既存の伝送路やプラントに変更又は改造を加えなければならない場合に障害となるおそれがある。
【0017】
特に、例えばエネルギー源とユーザデバイスとの間の距離を大きくすることが望ましい若しくは必要である場合、又は、電力供給システムと溶融炉とを例えば比較的遠距離にある2棟の別々の建物内に配置して、当該溶融炉の電力供給システムを、当該溶融炉自体が配置された製鋼プラントから分離することが望ましい場合にも、上記の制約が問題となり得る。
【0018】
中国特許出願公開第101458989号明細書に、電気アーク炉又は誘導炉用のトランスが記載されている。中国特許出願公開第106602566号明細書に、負荷に直流電力を供給するための交流電力供給サブシステムを備えた再生可能エネルギー源に接続されている電力供給システムが記載されている。特開平1-315222号公報に、電力供給システムで使用されるネットワークプロテクタが記載されている。米国特許第2016/0141081号明細書に、電力供給と水素エネルギーとの複合インフラストラクチャが記載されている。
【0019】
従って、本発明の1つの目的は、エネルギー消費量が高いユーザデバイスであっても、1つ又は複数のユーザデバイスを少なくとも1つの電気エネルギー源に効率的かつ経済的に接続できる製鉄鋼用の電力供給装置であって、電力供給線上での電気エネルギーの輸送に起因する通常の損失、例えばジュール効果に起因する損失等を抑えることができる電力供給装置を提供することである。
【0020】
本発明の他の一目的は、各種構成要素間の距離に関する制約を実質的に有しない製鉄鋼用の電力供給装置、すなわち、必要な場合に例えば製鋼プラントを拡張したり新規構成要素を投入したり等するために電力供給装置の各構成要素間の距離を極めて多様かつフレキシブルに設けることができ、これを有効に実現できる電気エネルギーの効果的な伝送システムを提供する製鉄鋼用の電力供給装置を提供することである。
【0021】
本発明の他の一目的は、効果的であると同時にスケーラブルで多目的な電力供給装置であって、負荷及び必要な電力供給が異なる種々の用途に容易に適合できる電力供給装置を提供することである。
【0022】
本願出願人は、従来技術の欠点を克服して上記及び他の目的及び利点を達成すべく本発明を考案、試験及び実現した。
【発明の概要】
【0023】
本発明は独立請求項に記載されている通りであり、また本発明の特徴も独立請求項に記載されているものである。従属請求項は、本発明の他の特徴又は本発明の主要な思想の変形形態を記載している。
【0024】
上記目的に鑑みて、ユーザデバイス用、特に鉄鋼産業用又はガラス加工用又は金属加工用の本発明の電力供給装置は、配電網電圧と配電網電流とを供給する配電網に接続するための手段と、前記接続手段と前記ユーザデバイスとを接続するための少なくとも1つの電気的伝送路と、を備えており、前記電気的伝送路は、前記ユーザデバイスに電力を供給可能な電力供給システムであって前記接続手段と前記ユーザデバイスとの間に接続された電力供給システムを備えている。
【0025】
特に、前記配電網は高電圧の電気エネルギーを供給する配電網とすることができる。好適には、前記配電網は交流の配電網電圧と配電網電流とを供給する三相式の配電網である。
【0026】
前記電力供給システムは少なくとも1つの電力供給モジュールを備えており、前記電力供給モジュールは、少なくとも1つのトランス二次側に接続された少なくとも1つのトランス一次側を有する少なくとも1つのトランスと、前記トランス二次側に接続された少なくとも1つの整流器と、前記少なくとも1つの整流器に接続されると共に前記ユーザデバイスより上流に配置された少なくとも1つの変換器と、を備えている。
【0027】
前記少なくとも1つの整流器と前記少なくとも1つの変換器とは、DCリンクとも称される少なくとも1つの直流中間接続回路を用いて接続されている。
【0028】
本発明の特徴的な一側面では、前記中間接続回路は、少なくとも1つの超電導ケーブルを有する少なくとも1つの伝送路区間を備えている。
【0029】
特に前記直流中間回路は、配電網により供給された交流の電気エネルギーを、所望の電圧値及び電流値を有する直流の電気エネルギーに変換するように構成された前記電力供給システムの第1の部分と、前記直流の電気エネルギーを交流の電気エネルギーに変換し、前記ユーザデバイスに供給される電圧及び電流の周波数の値を調整するように構成された前記電力供給システムの第2の部分と、を互いに分離する。
【0030】
有利には、1つ又は複数の伝送路区間を製造するために1つ又は複数の超電導ケーブルを用いることにより、エネルギー消費量が高いユーザデバイスであっても、少なくとも1つのユーザデバイスを少なくとも1つの配電網に効率的かつ経済的に接続できる、特に鉄鋼産業用の電力供給装置であって、電力供給線上での電気エネルギーの輸送に起因する通常の損失、例えばジュール効果に起因する損失等を抑えることができる電力供給装置を製造することができる。
【0031】
中間接続回路の少なくとも一部を製造するために超電導ケーブルを使用することにより、電力供給システムの第1の部分と第2の部分とを例えば数十~数百メートル、又は数キロメートルの距離で互いに分離して離隔しつつ、損失を無視できる程度にすることができる。
【0032】
よって本発明の電力供給装置は、配電網とユーザデバイスとの間の距離、あるいは各種構成要素間や電気的装置の距離に関する制約を実質的に有しない。すなわち本発明の電力供給装置は、必要な場合に例えば製鋼プラントを拡張したり新規構成要素を投入したり等するために電力供給装置の各構成要素間の距離を極めて多様かつフレキシブルに設けることができ、これを有効に実現することができる。
【0033】
一部の実施形態では、ユーザデバイスは、交流で電力供給される電気炉、例えば電気アーク炉等とすることができる。
【0034】
中間接続回路の少なくとも一部を製造するために超電導ケーブルを使用することにより、電力供給システムの第1の部分と第2の部分とを例えば数十~数百メートル、又は数キロメートルの距離で互いに分離して離隔することができる。
【0035】
一部の実施形態では、前記電力供給システムは複数の前記電力供給モジュールを備えることができ、前記各電力供給モジュールは、各自のトランス一次側及びトランス二次側を有する少なくとも1つのトランスと、前記トランス二次側に接続された整流器と、直流中間回路と、変換器と、をそれぞれ備えている。
【0036】
好適には、前記各電力供給モジュールが前記配電網の各相ごとに、トランス二次側と、整流器と、変換器と、を備える。
【0037】
前記各電力供給モジュールの整流器と変換器とは、同一の中間回路を共有することができる。
【0038】
他の実施形態では、前記電力供給システムの前記第1の部分すなわち前記各電力供給モジュールの第1の部分を第1の建物内に配置すると共に、前記電力供給システムの前記第2の部分すなわち前記各電力供給モジュールの第2の部分を第2の建物内に配置することができ、本実施形態では、前記各電力供給モジュールの両部分は、少なくとも1つの超電導ケーブルを有する1つ又は複数の伝送路区間を用いて接続される。
【0039】
有利には、(1つ又は複数の)モジュールの第1の部分と第2の部分とを接続する伝送路区間が直流であると共に、超電導ケーブルを有するように作製されているので、配電網とユーザデバイスとの間における電力供給システムの損失は実用上ゼロとなる。
【0040】
その理由は、超電導ケーブルが直流伝送において特に効果的であることにも拠る。
【0041】
このようにして、ジュール効果に起因する電圧及び電流損失の問題を生じることなく電力供給モジュールの各構成要素を、数十メートルの距離で互いに分離して離隔することも可能になり、これによりスペースの非常に多目的な管理が可能となる。
【0042】
本願明細書において上記及び下記における「超電導ケーブル」とは、HTS(高温超電導)として定義されたセミセラミック(semi-ceramic)又はセラミック材料を含む電気的ケーブル、又はLTS(低温超電導)として定義される金属材料を含む電気的ケーブルをいう。かかる材料は、当該各材料に固有の臨界温度に達すると、電流を通す抵抗が実質的にゼロになるという特徴を有する。特に上記の超電導ケーブルは、セラミック系又は金属系又は塩系のBCS(Bardeen-Cooper-Schrieffer)超電導理論による超電導ケーブルとして定義されるケーブルである。
【0043】
一部の実施形態では、前記又は各変換器の下流かつ前記ユーザデバイスの上流にインダクタを接続して設けることができる。
【0044】
可能な実施形態では、前記電気的伝送路は少なくとも、前記電力供給装置は、前記配電網に接続するための手段より下流に配置されると共に前記電力供給システムの前記少なくとも1つのトランスに接続された第1の高圧/中圧トランスを備えている。
【0045】
一部の実施形態では、前記電力供給システムは、少なくとも1つの超電導ケーブルを有する少なくとも1つの伝送路区間を用いて前記トランス及び/又は前記電気アーク炉に接続されることができる。
【0046】
一部の実施形態では、前記トランス二次側と前記整流器とは、少なくとも1つの超電導ケーブルを有する少なくとも1つの伝送路区間を用いて接続されることができる。
【0047】
他の実施形態では、前記変換器と前記電気炉とは、前記インダクタを通り少なくとも1つの超電導ケーブルを有する1つ又は複数の伝送路区間を用いて接続されている。
【0048】
他の実施形態では、前記電力供給システムの全ての伝送路区間が前記超電導ケーブルを有する。
【0049】
添付の図面を参照して、非限定的な例示として記載した一部の実施形態の以下の説明を読めば、本発明の上記及び他の側面、特徴及び利点が明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
図1】本発明の第1の実施形態の鉄鋼産業用の電気的装置の概略図である。
図2】本発明の第2の実施形態の鉄鋼産業用の電気的装置の概略図である。
図3】本発明の第3の実施形態の鉄鋼産業用の電気的装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
理解を容易にするため、可能な場合には、図面中同一の共通の要素を示す符号を同一にした。ある実施形態の要素や特徴は、特段の説明が無くても他の実施形態に適宜組み込むことができると解される。
【0052】
以下、本発明の可能な実施形態について詳細に言及する。これらの実施形態の一例又は複数例が添付図面に示されている。各例は本発明の例示として提供されるものであり、本発明を限定するものと解釈すべきではない。例えば、ある実施形態の一部として図示又は記載されている1つ又は複数の特徴を、他の実施形態に合わせて変更し、又は他の実施形態に採用し、又は他の実施形態と関連付けて、さらに他の実施形態を実現することができる。本発明はかかる改良形態及び変形形態の全てを含むべきものと解される。
【0053】
添付の図面、例えば図1を参照すると、例えば鉄鋼産業用又はガラス加工分野又は金属加工分野用の電気アーク炉等の本発明のユーザデバイス12用の電力供給装置10aは、配電網11に接続するための手段と、配電網11を電気アーク炉12に接続するための少なくとも1つの電気的伝送路13と、を備えており、電気的伝送路13は、配電網11と電気アーク炉12との間に配置された1つ又は複数の電気的装置を備えている。
【0054】
電気的伝送路13には、配電網11及びユーザデバイス12に接続するための手段を設けることができる。
【0055】
一部の実施形態では、ユーザデバイス12は、交流で電力供給される方式の電気炉12AC、例えば電気アーク炉等とすることができる。
【0056】
配電網11は例えば、予め定められた配電網電圧値、配電網電流値及び配電網周波数値を有する高電圧の特に交流の電気エネルギーを供給する配電網とすることができる。
【0057】
ユーザデバイス12は、交流で電力供給される電気アーク炉12に代えて別の種類の溶融炉又は加熱炉、例えば誘導炉又は取鍋炉等とすることも可能である。
【0058】
装置10aは、配電網11より下流に配置された第1のトランス14、例えば高電圧のエネルギーを中電圧のエネルギーに変換するように構成された高圧/中圧(HV/MV)トランス等を備えることができ、このトランスは、伝統的な種類の導体17を用いて配電網11に接続することができる。
【0059】
電気的装置10aは、電気アーク炉12に電力を供給する交流の電力供給システム19を備えることもでき、これは、交流の配電網電圧及び配電網電流を伝送する伝送路区間27を用いて第1のトランス14に接続することができる。
【0060】
一部の変形形態では、電力供給システム19は接続手段を用いて配電網11に直接接続することができる。
【0061】
電力供給システム19は、配電網電流及び配電網電圧を交流から直流に変換するように構成された第1の部分15と、前記電流及び電圧を直流から、電気炉12に供給される交流に変換するように構成された第2の部分16と、を備えることができ、これら2つの部分は、直流で働く中間回路38を用いて互いに接続されており、中間回路38の少なくとも一部は1つ又は複数の超電導ケーブルにより作製することができる。
【0062】
かかる構成により、電力供給システム19の第1の部分15から第2の部分16へ電気エネルギーを実質的に無損失で伝送することができ、これにより、プラントの構造やロジスティックス上の要求に応じて第1の部分15と第2の部分16とを互いに分離することができ、両部分15,16を数百メートル又は数キロメートル離隔することも可能になる。
【0063】
電力供給システム19は少なくとも1つのトランス33を備えることができる。このトランス33は、配電網電圧及び交流電流を供給するための伝送路区間27に接続されると共に、配電網電圧及び交流電流をベース電圧及び交流電流に変換するように構成されている。
【0064】
一部の実施形態では、配電網11は三相とすることができる。配電網電圧及び配電網電流は、予め決まった配電網周波数を有する。配電網周波数は50Hz~60Hzの中から選択される値、すなわち、電気炉12が設置されている国の配電網の周波数に基づく値である。
【0065】
トランス33は、少なくとも1つのトランス二次側35に磁気的に結合されたトランス一次側34を有することができる。
【0066】
トランス33は、トランス一次側34に磁気的に結合された複数のトランス二次側35を有することができる。
【0067】
複数のトランス二次側35を設ける上記の解決手段により、配電網側の妨害の影響を低減することができ、あるいは、トランス33と整流器36との組み合わせにより配電網においてやりとりされる高調波成分や無効電力を低減することができる。
【0068】
一部の実施形態では、トランス二次側35は配電網11の各相ごとに設けられる。
【0069】
トランス33から出力されるベース電圧及びベース電流は、トランス33の設計特性自体により予め決められて設定されたベース電圧と、ベース電流と、ベース周波数とを有する。
【0070】
特に、ベース周波数は、上記で特定した配電網周波数と実質的に等しい。
【0071】
一方、ベース電圧と配電網電圧との関係、及びベース電流と配電網電流との関係は、それぞれトランス33の変換比自体によって定まる関係にある。
【0072】
トランス33は例えばマルチタップ型とすることができるが、トランス33には不図示の調整装置を設けることができ、この調整装置は、個別の要求との関係においてトランス33の電気的変換比を選択的に調整するものである。
【0073】
電力供給システム19はまた、電気的伝送路13a上においてトランス33の下流に配置された少なくとも1つの整流器36を備えており、この整流器36は特にトランス二次側35に接続されている。
【0074】
例えば図3及び図4を参照して説明する一部の実施形態では、電力供給システム19は複数の整流器36を備えることができ、これらの整流器36はトランス33に接続されると共に、ベース電圧及びベース交流電流を直流電圧及び直流電流に変換するように構成されている。
【0075】
好適には、整流器36は各トランス二次側35の下流に接続されて設けられる。
【0076】
具体的には、整流器36は、ベース電圧及びベース交流電流を整流してそれぞれ直流電圧及び直流電流にすることができる。
【0077】
整流器36は、ダイオードブリッジ及びサイリスタブリッジを含む群から選択することができる。
【0078】
可能な解決手段では、整流器36は例えば、ダイオード、SCR(Silicon Controlled Rectifier)、GTO(Gate Turn-Off thyristor)、IGCT(Integrated Gate-Commutated Thyristor)、MCT(Metal-Oxide Semiconductor Controlled Thyristor)、BJT(Bipolar Junction Transistor)、MOSFET(Metal-Oxide Semiconductor Field-Effect Transistor)、IGBT(Insulated-Gate Bipolar Transistor)及びSiC(Silicon Carbide Device)を 含む群から選択されるデバイスを備える。
【0079】
1つ又は複数のトランス二次側35は、少なくとも1つの超電導ケーブルを有する伝送路区間28によって、対応する整流器36に接続することができる。
【0080】
電力供給システム19は複数の変換器37を備えることができ、これらの変換器37は整流器36に接続されると共に、直流電圧及び直流電流を、電気アーク炉12の電極に電力供給するための電圧及び交流電流に変換するように構成されている。
【0081】
好適には、変換器37は各整流器36の下流に接続されて設けられている。
【0082】
変換器37は例えば、SCR(Silicon Controlled Rectifier)、GTO(Gate Turn-Off thyristor)、IGCT(Integrated Gate-Commutated Thyristor)、MCT(Metal-Oxide Semiconductor Controlled Thyristor)、BJT(Bipolar Junction Transistor)、MOSFET(Metal-Oxide Semiconductor Field-Effect Transistor)、IGBT(Insulated-Gate Bipolar Transistor)及びSiC(Silicon Carbide Device)を 含む群から選択されるデバイスを備えることができる。
【0083】
可能な解決手段では、上記の1つの又は各整流器36は、直流で働く少なくとも1つの中間回路38を用いて変換器37に接続されている。
【0084】
上記の1つ又は複数のトランス33と上記の1つ又は複数の整流器36とは、電力供給システム19の第1の部分15に含まれ、これに対して上記の1つ又は複数の整流器36は、電力供給システム19の第2の部分16に含まれる。
【0085】
中間回路38は、直流電気エネルギーを蓄積して、電力供給システム19の第2の部分16と第1の部分15とを分離し、特に本例の場合には、電気アーク炉12の電極と整流器36とを分離し、ひいては電気アーク炉12の電極と配電網11とを分離するように構成されている。
【0086】
特に、金属溶融処理により生じる急激な電力変動の一部が中間回路38によってフィルタリング除去され、これにより配電網11側への影響が低減する。
【0087】
この中間回路38は、少なくとも1つの超電導ケーブルにより作製された1つ又は複数の伝送路区間31を備えている。
【0088】
上述のような少なくとも1つ又は複数の超電導ケーブルを有する1つ又は複数の伝送路区間31を用いることにより、伝統的なプラントでは一般に数メートルから約20~40mまでに及んでいた配電網11に接続するための手段と電気アーク炉12との間の距離を、例えば構成要素又はパーツ等の拡張、追加又は分離等のプラントの種々の要求に応じて拡大することができる。
【0089】
上記の超電導ケーブルは、当該分野にて通常用いられる導体ケーブルと比較して断面寸法が格段に小さく、その上、直流電流DCの損失が実用上ゼロであると共に交流電流ACの損失が極めて小さいという特徴を有する。
【0090】
例えば、このような超電導ケーブルの少なくとも一部を二ホウ化マグネシウムにより作製することができ、又は、超電導を達成するために開発された他の合金により作製することができる。超電導ケーブルの横断面は、当該分野において使用される銅導体ケーブルの断面と比較して非常に小さいので、同じ断面である場合、超電導ケーブルは伝統的なケーブルより格段に多くの電流を伝送することができる。
【0091】
例えば電力ケーブルの寸法では、銅線における約1.5A/mmの容量から、直流DC超電導ケーブルでは約1000A/mmの容量に増加する。
【0092】
好適には、1つ又は複数の超電導ケーブルにより作製された伝送路区間31は、20~30K(-240℃)の温度まで強制冷却される。このことにより実際には、伝送路区間31の抵抗の値が無視できる程度となり、直流DCでは実用上ゼロになることもでき、これにより膨大な量の電子の通過を促進して大量の電流を伝送することができる。
【0093】
上記の冷却は例えば、伝送路区間31の同軸被覆により実施することができる。この同軸被覆内には、例えば窒素又はヘリウム等の液体ガス等の冷媒液が流れており、同軸被覆は、鋼製の他の単純な又はコルゲート状のパイプにより作製することができる。
【0094】
上記の伝送路区間31を構成する超電導ケーブルは、地下に直線状又は曲線状に設置できるようにするため、比較的高剛性又は低剛性とすることもできる。
【0095】
配電網の各相ごとに整流器36及び変換器37を設ける場合、全ての整流器36及び変換器37が、超電導ケーブルにより作製された同一の中間回路38を共有することができる。
【0096】
図1~3に示されている電力供給システム19では、トランス33と1つ又は複数の整流器36及び1つ又は複数の変換器37とを含むユニットがそれぞれ、全体として電力供給モジュール39を構成している。
【0097】
電力供給システム19は、使用上の要求に応じて1~「n」個の電力供給モジュールを備えることができ、又は、複数の電力供給モジュール39を備えると共に当該複数の電力供給モジュール39を互いに並列に接続して配電網11及び電気アーク炉12に接続することができる。
【0098】
図3に例示されている実施形態では電力供給モジュール39が1つ設けられているのが示されているのに対し、図1,2,3ではモジュールに番号1,2,nが付されている。ここでnは3以上とすることができ、例えば10,12,24,40,48,60又は中間値又は60を超える値とすることができる。
【0099】
複数の電力供給モジュール39の組み合わせにより、電力供給先の電気アーク炉12の個別具体的な寸法との関係において寸法をスケーリングできる電力供給システム19を得ることができる。
【0100】
各変換器37の下流にはそれぞれインダクタ40を設けることもでき、このインダクタ40は電力供給システム19全体のリアクタンスに寄与する。
【0101】
変換器37より下流かつ電気アーク炉12より上流に配置された伝送路区間30の一部は、少なくとも1つの超電導ケーブルにより作製することができる。
【0102】
一部の実施形態では、高圧/中圧トランス14と中圧/中圧トランス33とを互いに接続する伝送路区間27も、少なくとも1つの超電導ケーブルにより作製することができる。
【0103】
超電導ケーブルを使用することにより、伝送路区間27を数キロメートルから最大1~数キロメートルに及ぶ任意の長さで作製することができる。現在、電気アーク炉に電力を供給するための電気的装置では、上記の伝送路区間27は数十メートル又は数百メートルのオーダである。
【0104】
各変換器37を電気炉12に接続する伝送路区間30の長さは、現在約30m程度であるが、1つ又は複数の超電導ケーブルを用いることにより伝送路区間30を格段に長く作製することができ、1キロメートル又は数キロメートルの長さに作製することも可能になる。
【0105】
図2及び図3の電気的装置10b,10cの例では、電力供給システム19は、実質的に2棟の別個の建物41及び42に分割されており、例えば、建物41を変電所とすると共に、建物42を製鋼プラントとすることができる。
【0106】
特に、配電網電流及び配電網電圧を交流から直流に変換する電力供給システム19の第1の部分15を第1の建物41内に配置すると共に、電流及び電圧を直流から、電気炉12に供給される交流に変換するように構成された電力供給システム19の第2の部分16を、場合によっては電気炉12と共に第2の建物42内に配置することができる。
【0107】
第1の部分15と第2の部分16とは、1つ又は複数の超電導ケーブルにより作製された直流の伝送路区間31によって互いに接続されている。
【0108】
そこで、電力供給システム19の1つの又は各電力供給モジュール39を、第1の建物41に収められる第1の部分39aと、第2の建物42に収められる第2の部分39bと、2つの別々の部分に分割することを想定した。両部分39a及び39bは、少なくとも1つの超電導ケーブルにより作製された伝送路区間31によって接続されている。
【0109】
電気的伝送路13dは配電網11を起点として推移し、建物41の整流器36と建物42の変換器との間における電気的伝送路13dの電気的連続性は、伝送路区間31によって保証される。1つの建物から他の建物に延設される上記の伝送路区間31は、特に、中間回路38を構成する直流の伝送路区間31であり、その損失は実用上ゼロに等しい。この伝送路区間31は、1つ又は複数の超電導ケーブルにより作製されているので、2棟の建物41及び42の間の距離を任意に選択することができ、1つ又は複数キロメートルのオーダとすることも可能である。
【0110】
一例として、第1の建物41内に配置される第1の部分39aはトランス33及び整流器36を備えているのに対し、第2の建物42内に配置された第2の部分39bは変換器37と、インダクタ40と、電気アーク炉12に電流を送る伝送路区間30とを備えることを想定した。
【0111】
これらの伝送路区間30は、図1の例を見ると分かるように、1つ又は複数の超電導ケーブルにより作製することも可能である。
【0112】
上記のように、適正に動作するためには、各種伝送路区間27,28,30,31の超電導ケーブルを非常に強力に冷却しなければならない。
【0113】
これは、例えば、電気的装置10a~10c内に適切に配置された極低温冷却ユニットを使用して行うことができる。例えば二ホウ化マグネシウム製の超電導体の場合、冷却手段は通常はヘリウムである。
【0114】
しかし、超電導ケーブルを構成する材料の種類に応じて、酸素、窒素、水素及び/又はこれらの組み合わせ等の他のガスを用いることも可能である。
【0115】
超電導ケーブルは、例えば誘導溶融炉又は加熱炉等の高電流を必要とする用途に採用することができる。
【0116】
本発明の分野及び範囲から逸脱することなく、上記の電気的装置にパーツの改良及び/又は追加を行うことが可能であることが明らかである。
【0117】
また、一部の具体例を参照して本発明を説明したが、当業者であれば、特許請求の範囲に記載された特徴を具備する電気的装置の他の多くの均等態様を確実に達成することができるので、かかる均等態様は全て、特許請求の範囲により定められる保護範囲に属する。
【0118】
添付の特許請求の範囲において、括弧書きの符号の目的は読みやすくするためだけであり、特定の請求項に記載された保護範囲を限定するファクタであるとみなしてはならない。
図1
図2
図3