(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-15
(45)【発行日】2024-02-26
(54)【発明の名称】自転車用のペダルおよび関連の製造方法
(51)【国際特許分類】
G01L 5/22 20060101AFI20240216BHJP
【FI】
G01L5/22
(21)【出願番号】P 2022552342
(86)(22)【出願日】2021-07-21
(86)【国際出願番号】 IB2021056596
(87)【国際公開番号】W WO2022018660
(87)【国際公開日】2022-01-27
【審査請求日】2022-10-24
(31)【優先権主張番号】102020000017662
(32)【優先日】2020-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】521567952
【氏名又は名称】ファヴェロ・エレクトロニクス・エッセ・エッレ・エッレ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジーノ・ファヴェロ
【審査官】松山 紗希
(56)【参考文献】
【文献】再公表特許第2018/051827(JP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0273543(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第02894088(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 5/00-5/22
B62M 3/00-3/16
B62J 45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向基準軸(A)に沿って延在し、自転車(4)のクランク(3)に結合されるように構築された第1の軸方向端部(2a)を有する、ペダルピン(2)と、
前記基準軸(A)周りに回転することができるように前記ペダルピン(2)上に回転自在に結合された、ペダル本体(5)と、
前記ペダルピン(2)内に作られ、前記基準軸(A)に沿って前記基準軸(A)と概ね同軸に延在する内面(12)を有する、少なくとも1つの内部チャンバ(11)と、
薄層状構造を有し、前記ペダルピン(2)に結合され、前記ペダルピン(2)の機械的変形を示す電気計測信号を提供するように構成された、歪みゲージ(8)、および、
前記歪みゲージ(8)に電気接続されている電子手段(9)であって、それらの電気信号に基づいて、ペダリングの間にサイクリストによって前記ペダル本体(5)を介して前記ペダルピン(2)に及ぼされる力によって引き起こされる前記ペダルピン(2)の機械的変形を決定するように構成された、電子手段(9)
を備えた電子パワー計測システムと、
を含んでなる、自転車(4)用のペダル(1)において、
前記歪みゲージ(8)が、前記内部チャンバ(11)内で前記内面(12)によって支持されるように、接着剤ベース材料の薄い固定層によって前記内部チャンバ(11)の前記内面(12)に剛性的に固定され、
前記歪みゲージ(8)が、前記内部チャンバ(11)の前記内面(12)によってのみ支持されていることを特徴とする、ペダル(1)。
【請求項2】
前記歪みゲージ(8)が、前記内部チャンバ(11)内の前記内面(12)によって支持されるように前記固定層によって前記内面(12)上に恒久的に固定される、電気絶縁材料から作られた少なくとも1枚の薄い可撓性膜(14)と、複数のグリッド計測歪みゲージ(13)とを備えている、請求項1に記載のペダル。
【請求項3】
前記内部チャンバ(11)が、前記基準軸(A)を横断する略円形断面を有し、前記歪みゲージグリッド(13)が、前記基準軸(A)周りに前記内面(12)上に互いに対して角度的に間隔を置いて対に配置されている、請求項2に記載のペダル。
【請求項4】
すべての前記歪みゲージグリッド(13)が、前記内部チャンバ(11)の前記内面(12)上において、約150°以下の幅の角度(α)を有する円弧内に配置されている、請求項3に記載のペダル。
【請求項5】
歪みゲージグリッド(13)の各対が、歪みゲージグリッド(13)の隣接する対が約90°の角度に角度的に間隔を置いて配置されるように前記内面(12)上に配置されている、請求項3に記載のペダル。
【請求項6】
前記歪みゲージグリッド(13)が、せん断歪みを計測する、または前記基準軸(A)に沿った前記ペダルピン(2)の長手方向曲げ歪みを計測するように構築されている、請求項1から5のいずれか一項に記載のペダル。
【請求項7】
前記歪みゲージ(8)が、前記内部チャンバ(11)の前記内面(12)上に剛性的に固定され、それによって前記電子手段(9)および/または蓄電デバイス(10)を収容するように寸法設定される内側収容スペースの範囲が定められている、請求項1から6のいずれか一項に記載のペダル。
【請求項8】
前記歪みゲージ(8)を前記電子手段(9)に電気接続し前記内部チャンバ(11)内へと延在する
電気接続回路(19)を備えている、請求項1から7のいずれか一項に記載のペダル。
【請求項9】
前記内部チャンバ(11)が、前記基準軸(A)に沿って前記ペダルピン(2)上に延在する止まり穴または貫通孔から構成されている、請求項1から8のいずれか一項に記載のペダル。
【請求項10】
前記歪みゲージ(8)が
、0.05mmか
ら0.15mmの間に含まれ
る厚さを有している、請求項1から9のいずれか一項に記載のペダル。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の自転車用のペダルを製造する方法において、
a)薄いアプリケータシート(18)を予め用意するステップと、
b)前記アプリケータシート(18)上に歪みゲージ(8)を配置するステップと、
c)内部チャンバ(11)に挿入され得るようにアプリケータシート(18)を成形するステップと、
d)前記歪みゲージ(8)上および/または前記内部チャンバ(11)の内面(12)上に接着固定層を塗布するステップと、
e)前記歪みゲージ(8)を基準軸(A)に沿った所定の長手方向位置に位置決めするように、成形済みの前記アプリケータシート(18)を前記内部チャンバ(11)に挿入するステップと、
f)前記歪みゲージ(8)を前記内部チャンバ(11)の内面(12)に接触させて配置しそこに恒久的に固定するように、前記内部チャンバ(11)内で前記アプリケータシート(18)を径方向に拡張するステップと、
前記ペダルピン(2)の前記内部チャンバ(11)の内面(12)に固定された前記歪みゲージ(8)からアプリケータシート(18)および粘着テープ(36)を取り外して除去するステップと、
を含んでなり、
前記歪みゲージ(8)が、前記内部チャンバ(11)の内面(12)によってのみ支持されていることを特徴とする、方法。
【請求項12】
前記ステップc)が、拡張可能材料から作られた管状ケーシングを備える組み立て工具(35)を予め用意するステップと、前記アプリケータシート(18)を、前記管状ケーシングを少なくとも部分的に包むように前記管状ケーシングの外面上に配置するステップとを含み、
前記ステップe)が、前記アプリケータシート(18)と前記歪みゲージ(8)とを備える取り付け工具(35)の前記管状ケーシングを前記内部チャンバ(11)に挿入するステップを含み、
前記ステップf)が、前記歪みゲージ(8)を接着材料層によって前記内面(12)にしっかりと固定するように前記内部チャンバ(11)の前記内面(12)に前記歪みゲージ(8)を押し付けるように、前記取り付け工具(35)の前記管状ケーシングを径方向に拡張するステップを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記取り付け工具(35)が、前記管状ケーシングに、それを径方向に拡張するように連結された加圧流体の供給手段を備え、前記ステップf)が、前記内部チャンバ(11)の前記内面(12)に対して前記管状ケーシングを径方向に拡張するように前記管状ケーシングに前記加圧流体を供給するための前記供給手段を制御されたやり方で作動させるステップを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記組み立て工具が、径方向の拡張部材(40)をさらに備え、前記ステップe)が、前記拡張部材(40)を、前記組み立て工具(35)の前記管状ケーシング内に、それを前記内部チャンバ(11)の前記内面(12)に対して径方向に拡張するように挿入するステップをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本特許出願は、参照によりその開示全体が本明細書に組み込まれる、2020年7月21日出願のイタリア特許出願第102020000017662号の優先権を請求する。
【0002】
本発明は、自転車用のペダルおよび関連の製造方法に関する。詳細には、本発明は、ペダリング中にサイクリストによって及ぼされる力(power)を計測するように設計された電子計測システムを備えたペダルに関する。
【背景技術】
【0003】
自転車、特に競技用自転車および自転車競走用の自転車は、一般に、電子計測システムを装備する。電子計測システムは、センサデバイスを備え、一般にペダル上に及ぼされる力/パワーおよびペダリングの回数である、ペダリング中のサイクリストの身体活動を監視することに使用される一連のパラメータ/量を決定し表示するように設計される。
【0004】
例えば、欧州特許第2,304,403号(特許文献1)には、いくつかの知られている電子計測システムが記載されている。
【0005】
欧州特許第2,304,403号(特許文献1)の
図7に示される第1の実施形態によれば、ペダルの電子計測システムは、プロセッサをしっかりと支持する実質的に剛性の構造を有する2つのプリント回路基板からなる基板、メモリ、増幅器、ワイヤレス送信機、加速度計、および一連の歪みゲージを備えるセンサを備える。2つのプリント回路基板はそれぞれ、長方形の板状形状を有し、互いに対して直交しており、互いにしっかりと連結されて、ペダルピン(pedal-pin)に収容される剛直でT字形の1つの単一体の回路要素を形成している。一体T字形要素は、2つのプリント回路基板および関連の構成要素、特に歪みゲージを埋没させる樹脂によってペダルピン内にしっかりと固定されている。
【0006】
欧州特許第2,304,403号(特許文献1)の
図8に示される第2の実施形態では、基板は、歪みゲージを支持する、プラスチックまたは金属から作られ90°に曲がったシート状支持体である。センサデバイスは、残りの電子構成要素を収容し、次に、歪みゲージともに三角形の断面の一体物を形成するように歪みゲージのシート状支持体に連結されたプリント回路基板をさらに備える。三角形の断面の一体物は、3つのプリント回路基板を埋没させる樹脂によってペダルピン内に配置されている。
【0007】
欧州特許第2,304,403号(特許文献1)の
図9aに示される第3の実施形態では、センサデバイスは、金属シリンダからなる基板を備える。基板は、長手方向の両端に、接着剤によってペダルピン内に固定される環状突起を有する。センサデバイスは、金属シリンダの外面上に、金属シリンダを包むように固定され、導電トレースを有するプリント回路基板をさらに備える。センサデバイスは、金属シリンダの外面上に固定された歪みゲージをさらに有する。
【0008】
上述の3つの実施形態のセンサデバイス内にある基板は、非常にサイズが大きく、したがってペダルピン内の大きなスペースを占める。具体的には、基板のサイズは、他の回路または、例えばバッテリなどの電子計測システムの電子デバイスも収容するためのペダルピン内の利用できるスペースを大幅に減少させ、それによって他の回路または電子デバイスはペダルピンの外に取り付けられることになる。
【0009】
さらに、ペダルピン内における基板の存在およびその固定は、計測の精度に影響を及ぼすので、特に不都合である。実際に、サイクリストによってペダルに掛けられる力によって引き起こされるペダルピンの変形の計測は、ペダルピン上で直接的に行われるのではなく、基板とペダルピンとの間が結合されていることから基板上で間接的に行われ、したがってエラーが引き起こされる。最終的に、上述したセンサを支持するためのセンサデバイス内にある基板は、システムの費用全体に影響を及ぼす。
【0010】
米国特許出願公開第2014/0273543号(特許文献2)には、孔を備えるペダルピンが記載されている。孔は、上述したように、また欧州特許第2,304,403号(特許文献1)において製造されるセンサデバイスを収容し、結果として、上述したような技術的な問題を抱える。
【0011】
米国特許出願公開第2012/0234108号(特許文献3)には、電気自転車用のトルクセンサシステムが記載されており、そこでは、「トルクチューブ」が使用されており、このトルクチューブは、ペデレック(pedelec)または電気自転車の後車軸に配置されたシャフト(ハブ)上に取り付けられそれによって支持される。使用中、ペダル上にサイクリストによって及ぼされる力は、ギアカセット(gear cassette)を通してカセット本体に伝わる。次いで、その力は、カセット本体から、一連の軸受によってトルクチューブに伝わる。
【0012】
電気自転車用のこのトルクセンサシステムは、その動作がトルクチューブの捩じれの計測に基づくので、自転車用のペダル内での使用には適していない。第一に、自転車のペダルピンは、一方で、曲げ力およびせん断応力の影響を受け、他方で、ペダルピンがその軸周りに自由に回転するので捩じれをまったく受けない。
【0013】
米国特許出願公開第2012/0234108号(特許文献3)に記載の電気自転車用のトルクセンサシステムは、チューブの捩じれを計測するように特別に構成され、せん断応力も曲げ力も計測しないので、明らかに、ペダリング中にペダルピンが受ける「せん断または曲げ」変形の計測での使用にはまったく適していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【文献】欧州特許第2,304,403号明細書
【文献】米国特許出願公開第2014/0273543号明細書
【文献】米国特許出願公開第2012/0234108号明細書
【文献】米国特許出願公開第2010/0024590号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
したがって、本発明の目的は、上述の技術的な課題を克服することができる、ペダリング中にサイクリストによって及ぼされる力を計測するシステムを備えた自転車用のペダルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
この目的は、添付の特許請求の範囲に示される特徴による自転車用のペダルおよび関連の製造方法に関する本発明によって達成される。
【0017】
次に、本発明の非限定的な実施形態を示す添付の図面を参照して本発明について述べる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明による自転車用ペダルを備える自転車の概略図である。
【
図2】
図1に示されるペダルの、より大きな縮尺の斜視図である。
【
図3】
図2に示されるペダルの長手方向断面I-Iの図である。
【
図4】より明確にするためにいくつかの部品が除去されている、
図3に示されるペダルピンのより大きな縮尺の断面図である。
【
図5A】本発明による、アプリケータシートがない、ペダルピン内にある歪みゲージおよび可撓性プリント回路基板の一部分の概略図である。
【
図5B】本発明による、アプリケータシートがある、ペダルピン内にある歪みゲージおよび可撓性プリント回路基板の一部分の概略図である。
【
図6】本発明による自転車用のペダルの製造方法の対応する作業ステップ(operating step)の概略図である。
【
図7】本発明による自転車用のペダルの製造方法の対応する作業ステップの概略図である。
【
図8】本発明による自転車用のペダルの製造方法の対応する作業ステップの概略図である。
【
図9】本発明による自転車用のペダルの製造方法の対応する作業ステップの概略図である。
【
図10】本発明による自転車用のペダルの製造方法の対応する作業ステップの概略図である。
【
図11】本発明によるペダルの製造方法の作業ステップの一変形形態の図である。
【
図12】本発明の一変形形態による、アプリケータシートがない、ペダルピン内にある歪みゲージおよび可撓性プリント回路基板の概略図である。
【
図13】本発明の一変形形態による、アプリケータシートがある、ペダルピン内にある歪みゲージおよび可撓性プリント回路基板の概略図である。
【
図14】より明確にするためにいくつかの部品が除去されている、
図12および
図13に示される歪みゲージを備えるペダルピンのより大きな縮尺の断面図である。
【
図15A】本発明の可能な実施形態によるペダルピン内に含まれるせん断歪みゲージの対応する図である。
【
図15B】本発明の可能な実施形態によるペダルピン内に含まれるせん断歪みゲージの対応する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、当業者が本発明を実行し使用することができるように、添付の図面を参照し本発明を詳細に述べる。
【0020】
本明細書に記載の実施形態に対する可能な変更は、当業者には直ちに明らかであり、本明細書に記載の一般原理は、添付の特許請求の範囲で定められるような本発明の保護範囲からそのために逸脱することなく、他の実施形態および適用例に適用可能である。したがって、本発明は、本明細書に記載され図示される実施形態に対する限定として考えられるべきではなく、本明細書に記載され特許請求される原理および特徴による最も広い保護範囲に関連しなければならない。
【0021】
本発明は、基本的に、薄い高可撓性シート状構造を有する歪みゲージを、それらの支持のための任意の剛性構造/本体の助けなしに、接着材料から作られた薄い固定層によってペダルピンの内部チャンバの内面上に直接取り付けるという発想に基づいている。このように、歪みゲージは、ペダルピンの内部チャンバの内面のみによって直接的かつ排他的に支持される。
【0022】
以下により詳細に述べるように、この構造により得られる技術的効果のうちの1つは、システムの計測の精度を危うくすることなく、ペダルピン内部の歪みゲージによって占有されるスペースを大幅に減少させることである。これによって、製造業者は、パワーの決定に使用される他の電気/電子構成要素をペダルピン内に取り付けることにも利用することができるスペースを「得る」ことが可能になり、したがって、電子計測システムの電気/電子構成要素すべてを完全に含み/包含する外側保護容器としてペダルピンを好都合に使用することが可能になる。
【0023】
図1および
図2を参照すると、番号1は、サイクリストのペダリングを示す電気量を計測するように設計された電子計測システムを内部に備える自転車用のペダル全体を示す。
【0024】
ペダル1は、長手方向基準軸Aに沿って延在し自転車4のクランク3に結合されるように構築された、好ましくは金属材料から作られるペダルピン2を備える。
【0025】
図2および
図3を参照すると、ペダルピン2は、自転車4の対応するクランク3に結合される、第1の、好ましくはねじ付きの端部2aを有することができる。ペダルピン2は、好ましくは円筒形の細長い形状を有することができ、クランク3に対して好ましくは略直交の長手方向軸Aに沿ってクランク3から突出することができる。ペダルピン2は、端部2aに対して軸方向に反対の第2の端部2bをさらに有する。
【0026】
図1~
図3に示される例によれば、ペダルピン2は、概ね端部2aのねじ付き部の内側環状縁の領域内に配置されペダル1がクランク3に連結されるときにクランク3に突き当たるように設計された、軸Aと同軸の環状クラウンまたはフランジ2cを備えることができる。
【0027】
ペダル1は、ペダルピン2に対して長手方向軸A周りに回転することができるように、ペダルピン2に回転自在に結合されるペダル本体5をさらに備える。
図3に示される例では、ペダル本体5は、長手方向軸Aに沿って延在する開口または孔、好ましくは円形断面の貫通開口または孔を内部に有する、管状体、すなわちハブ6を備える。
【0028】
本明細書で開示される例に示されるように、ハブ6は、好都合には、長手方向軸A周りに自由に回転することができるように、ブシュ21または軸受によってペダルピン2に回転自在に結合され得る。
図3に示される例によれば、ブシュ21または軸受は、概ね第2の端部2bに近接する概ね中間部分においてペダルピン2上に嵌合される。
【0029】
図2および
図3に示される例では、ペダル本体5は、足載せ部7をさらに備える。足載せ部7は、好ましくはハブ6と一緒に1つの単一の一体物を形成するように、ハブ6にしっかりと/剛性的に連結され、サイクリストの足のための支持体を形成するように構築される。例えば、足載せ部7は、長手方向軸Aに対して略平行な平面上に延在し、使用中にサイクリストが彼/彼女の足を置く、略板状構造を備えることができる。明らかには、足載せ部7の形状/構造は、上述のおよび/または添付の図面に示される板状のものと異なっていてもよい。さらに、足載せ部7は、好ましくは、一般にマウンテンバイクのペダルまたは競技用自転車に使用され知られているパッド/バンパによってサイクリストの靴に連結/結合されるように形作られ/構築され得る。
【0030】
ペダル1は、電子パワー計測システム(electronic power measurement system)をさらに備える。この電子パワー計測システムは、好ましくはブリッジ回路である1つまたは複数の計測回路を形成するように電気トレースによって互いに接続され、ペダルピン2上で計測/検出される変形を示す電気計測信号を提供するように設計された一連の歪みゲージ8と、電気計測信号を受けるように歪みゲージ8に電気接続されており、電気計測信号に基づいて、ペダリング中にペダル1、したがってペダルピン2上にサイクリストによって及ぼされる力によって引き起こされるペダルピン2の変形を決定するように構成された電子処理回路9と、電子パワー計測システムの動作に必要な電気エネルギーを提供するように設計された例えば1つまたは複数の電池である、少なくとも1つの蓄電デバイス10とを備える。
【0031】
図3および
図4によれば、内部開口またはチャンバ11は、ペダルピン2内に得られ、好ましくはペダルピン2と同軸に軸Aに沿って延在し、軸Aに対して直交する好ましくは略円形である断面を有する内面12を有する(
図4)。
【0032】
図3に示される例では、内部チャンバ11は、軸方向貫通孔を形成するようにペダルピン2の2つの反対端部同士の間の軸方向長さ全体にわたって延在する。明らかには、本発明は、
図1による、すなわち貫通孔からなる内部チャンバ11に限定されず、別法として、他の解決策を課すこともできる。例えば、上述の好ましい実施形態に代わる(本明細書には図示されない)一変形形態によれば、内部チャンバ11は、ペダルピン2の2つの軸方向端部2a、2bのうちの一方から始まって軸Aに沿って延在する止まり穴から構成されてもよい。
【0033】
好ましくは、内部チャンバ11は、約9mm以下の内径を有する。
【0034】
図3、
図4および
図5に示される好ましい実施形態によれば、歪みゲージ8は、高可撓性の薄いシート状構造を有する。歪みゲージの厚さは、約0.05mmから0.15mmまでの範囲、好ましくは約0.08mmとすることができる。歪みゲージ8は、高可撓性(柔軟性)の電気絶縁材料から作られる少なくとも1枚の薄膜14と、膜14上/内にしっかりと配置された1つまたは複数の感歪みパターン(strain sensitive pattern)13とを備える。
【0035】
感歪みパターン13は、ペダルピンの長手方向軸Aに対して平行な向きに従って、あるいは、長手方向軸Aに対して45度の角度の向きに従って膜14上に配置される導電材料から作られる一連の平行ストリップから構成され得る(
図15Aおよび
図15Bの例に示されるタイプの構成を有することができる、せん断歪みの計測のための歪みゲージ)。
【0036】
膜14は、接続パッド23に感歪みパターン13を接続する電気トレースを備えることができる。
【0037】
膜14は、好ましくは、例えば長方形または正方形である四角形を有することができ、接着材料ベースの固定層によって内部チャンバ11の内面12にしっかりと固定される。明らかには、膜14の形状および/またはサイズは、歪みゲージ8の数に応じて変えることができる。
【0038】
接着材料は、例えば、アクリル系グルーおよび/または熱硬化性グルーなどを含むことができる。明らかには、接着材料は、例えばペダルピン2の材料および膜14の材料などの一連の構造的パラメータに応じて変えることができる。明らかには、接着材料は、(例えば、歪みゲージの製造業者によって確立される)歪みゲージ8の適用の特徴(application feature)に応じて決まり得る。
【0039】
図4および
図5Aに示される好ましい実施形態によれば、膜14は、内面12のある角度範囲または部分12aだけを覆い、したがって残りの角度範囲または部分12bは覆われずに残るようなサイズとすることができる。本明細書に示される例では、膜14は、軸Aに対して直交する略半円断面を有する足底部(sole portion)12aを覆い、他の断面に対して相補的な略半円形断面を有する残りの範囲または部分12bが覆われずに残るようなサイズにされる。
【0040】
図4および
図5Aに示される好ましい実施形態によれば、歪みゲージ8は、各群がホイーストンブリッジの計測抵抗回路を形成するような、互いに接続された4つの感歪みパターン13からなる2つの群を含むことができる。
【0041】
図4に示される実施形態によれば、歪みゲージ8の感歪みパターン13は、150°未満である角度αを有する円弧内にあるように内部チャンバの内面12上に配置される。
【0042】
好ましくは、好都合には、4つの感歪みパターン13からなる2つの群は、参照によりその内容(説明および図面)が本明細書に完全に含まれる、出願人のイタリア特許出願第102019000022536号に記載されるような膜14上に配置され得る。
【0043】
したがって、薄い可撓性シート状構造の歪みゲージ8は、それらの膜14および固定層により、すなわち内部チャンバ11内に軸方向に嵌合される剛性支持体の使用なくして、ペダルピン2の内部チャンバ11の内面12上にしっかりと剛性的に固定される。
【0044】
換言すると、歪みゲージ8は、歪みゲージ8の膜14および固定層によって、好都合に歪みゲージ8が内部チャンバ11の内部スペースを占有しない(すなわち歪みゲージ8に係合しない)ようなやり方で内面12に付着するように、内面12上に直接固定される。したがって、薄い可撓性のシート状構造の歪みゲージ8は、ペダルピン2とともに1つの(一体の)単一体を形成し、内面12に対して径方向に反対の側において、内部に空のチャンバを画定する。
【0045】
したがって、内部チャンバ11の内面12は、固定層を介して歪みゲージ8の膜14を支持する役割を果たし、上述の知られている解決策とは違い、内部チャンバ11内に嵌合される他の内部物またはインサートの使用が必要ない。
【0046】
したがって、歪みゲージ8は、内部チャンバ11内に軸方向に嵌合される任意の剛性支持構造/体によって支持されない、および/またはそれに連結されない。
【0047】
換言すると、内部チャンバ11は、内部に、歪みゲージ8を支持するためのいかなる剛性構造/体も収容しない。
【0048】
薄膜14および薄い固定層による内部チャンバ11の内面12への薄いシート状構造の歪みゲージの固定により得られる技術的な効果は、内部チャンバ11内で歪みゲージ8自体が占めるスペース全体がなくなることである。実際、歪みゲージ8は、内面12の領域の部分12aだけを占め、1/10ミリメートルの範囲内の全厚しか有さない。
【0049】
膜14および薄い固定層による内部チャンバ11の内面12への歪みゲージ8の固定により得られるさらなる技術的な効果は、例えば米国特許出願公開第2014/0273543号(特許文献2)および米国特許出願公開第2010/0024590A号(特許文献4)に開示されるような、歪みゲージを外側から支持するためにチャンバ内に嵌合される剛性体を使用する必要がないことである。
【0050】
さらなる技術的な効果は、チャンバ11内の利用可能な自由(空き)スペースが増大すること、およびそれにより、前記自由スペース内に、ペダルピン2に完全に含まれ外側に構成要素がない計測システムを得るように電子計測システムの他の電子構成要素、具体的はバッテリおよびプリント回路基板を挿入することができることである。
【0051】
図3に示される好ましい実施形態によれば、電子回路9は、内部チャンバ11内に配置される。本明細書に示される例では、電子回路9は、内面12上に固定された歪みゲージ8によって囲繞されるように、内部チャンバ11内に配置される。電子回路9は、四角形のプリント回路基板を備えることができる。
【0052】
好ましい一実施形態によれば、電子回路9はさらに、電気接続回路19によって歪みゲージ8に電気接続されている。好ましくは、電気接続回路19は、概ねそれと略同一平面上の概ねフィルム14の面から突出しており電子回路9の方に向けて延在する例えば帯状である横長形状の長方形シートを備える。電気接続回路19は、電気絶縁の高可撓性材料から作られた薄膜20によって得られ、その上には電子回路9と感歪みパターン13との間に電気接続部(電気トレースまたは電線)がある。この目的のため、好都合には、膜20の2つの反対端部には接続パッド22があり得る。
【0053】
明らかには、本発明は、
図4および
図5Aによる歪みゲージ8に限定されず、膜14上に異なる配置の感歪みパターン13を有する他のアーキテクチャおよび/または幾何形状を備えることもできる。例えば、
図12および
図14に示される異なる一代替実施形態によれば、感歪みパターン13は、それらが内部チャンバ11の内面12上に配置されるとき、感歪みパターン13の各対が、約90°の角度だけ感歪みパターン13の隣接対同士が角度的に間隔を置いて膜14上に配置され得るように、膜14上に対に配置される。
図12および
図14に示されるこの構造では、歪みゲージ8の膜14は、(断面図において)内部チャンバ11の断面の略全周を覆うようなサイズにされる。
【0054】
図3に示される好ましい実施形態によれば、歪みゲージ8は、概ねブシュ21とフランジ2cとの間に好都合に配置されるようにペダルピン2の内面12上に配置される。
【0055】
図3に示される好ましい実施形態によれば、蓄電デバイス10は、内部チャンバ11内に配置され、例えば、電気接続線および/または回路24によって電子回路9に電気接続されている少なくとも1つの電池を備えることができる。
【0056】
図3に示される好ましい実施形態によれば、ペダル1は、長手方向基準軸Aに沿ってペダル本体5がペダルピン2から抜けないように、ペダルピン2上のペダル本体5のハブ6を軸方向に係止するように構築された機械的係止部材29をさらに備えることが好ましい。
【0057】
図3に示される説明的な一実施形態によれば、ペダルピン2上には、軸Aと同軸の環状座部30が得られる。環状座部30は、内側に、円筒形底壁と、ペダルピン2上に2つの環状当接部を画定する2つの側壁とを有する。
図3に示される実施形態によれば、環状座部30および関連の環状当接部は、端部2bに近接するペダルピン2の縁上に得られる。
図3に示される例では、機械的係止部材29は、好ましくは互いに対しておよび環状座部30に対して略相補的な半円セグメントの形状の断面を有する2つの別個の独立した半環状体31および32をさらに備える。
【0058】
2つの半環状体31および32は、ペダルピン2に対して軸A周りに環状座部30内で自由に回転できるように環状座部30内に配置される。2つの半環状体31および32は、長手方向軸Aに沿ってペダルピン2に対して軸方向に係止される、したがって動くことができないようするために、好ましくは環状座部30の環状当接部に当たるように構築される。2つの半環状体31および32は、座部30から径方向に突出しており、ハブ6の、座部30とブシュ21の軸方向端との間に介在する内側環状当接部に当たっている。
【0059】
図3に示される好ましい実施形態によれば、ペダル1は、クランク3とは反対のハブ6の端部に連結される閉鎖キャップ33をさらに備える。閉鎖キャップ33は、半環状体31および32の突出部に当たるために、ハブ6のねじ付き縁部に螺着されるねじ付きカップ状体の形状を有することができる。閉鎖キャップ33は、ハブ6を、それが軸方向に動かないように定位置に軸方向に保持する。
【0060】
図3に示される好ましい実施形態によれば、端部2aに得られる内部チャンバ11の開口は、閉鎖キャップ34によって閉じられる。
【0061】
次に、
図6から
図10を参照して、ペダルピン2の内部チャンバ11の内面12上に歪みゲージ8を固定するために行われる作業ステップを参照して、ペダル1の製造方法について述べる。
【0062】
図5Bおよび
図6から
図10によれば、方法は、基本的に、可撓性材料から作られた薄いアプリケータシート18を予め用意するステップと、アプリケータシート18上/に対して歪みゲージ8を配置/結合するステップと、内部チャンバ11に挿入することができる管状要素を形成するようにアプリケータシート18を成形するステップと、接着材料ベースの固定層を歪みゲージ8上および/または内部チャンバ11の内面12上に塗布するステップと、歪みゲージ8を支持する成形済みアプリケータシート18を、歪みゲージ8が基準軸Aに沿って所定の軸方向位置に着くように内部チャンバ11に挿入するステップと、内面12上に歪みゲージ8を、それらが固定層によって内面に固定されるように内面12上に配置するように内部チャンバ11内でアプリケータシート18を径方向に広げる/拡張させるステップとを含む。
【0063】
好ましい一実施形態によれば、方法は、電気接続回路19を歪みゲージ8に電気接続するステップを含む。この作業は、例えば、電気接続回路19の接続パッド22を歪みゲージ8の接続パッド23に例えば接続、溶接することによって行うことができる(
図5Aおよび
図5B)。
【0064】
歪みゲージ8は、例えば粘着材料層によって、アプリケータシート18(
図5B)上に配置/結合され得る。アプリケータシート18は、好都合には、歪みゲージ8を適用するのに適した粘着面を有し(以下に詳細に述べるように)ペダルピン2の内面12上にしっかりと歪みゲージ8が固定された後にそれらから簡単に取り外され得るように構築されたMylar(登録商標)シートを備えることができる。
【0065】
図6に示される好ましい実施形態によれば、アプリケータシート18を成形するステップは、取り付け工具35の上に置くように歪みゲージ8とともにアプリケータシート18を位置決めするステップを含むことができる。取り付け工具35は、例えば、軸Bに沿って延在し、径方向に広げられる/拡張されることに適した簡単に変形可能な材料から作られる好ましくは略管状形状のケーシングを備えることができる。
【0066】
ケーシングは、円形断面であり弾性シリコーン材料から作られる管状要素を備えることができる。管状要素は、閉鎖端を有し、休止状態、すなわち拡張のない状態では、内部チャンバ11内に嵌合することができるように内部チャンバ11の内径よりも小さい外径を有する。取り付け工具35の管状要素は、アプリケータシート18の長さよりも長い長さを有することができる。
【0067】
アプリケータシート18は、取り付け工具35の管状要素の外面上に配置されそれに例えば、少なくとも1つの粘着テープ36により固定される。粘着テープ36は、管状要素のアプリケータシート18とは直径方向の反対の側に部分的に巻き付けられ、アプリケータシート18を管状要素に粘着させるようにアプリケータシート18の反対のフラップに固定される。粘着テープ36は、好都合には、アプリケータシート18が外れずに管状要素が拡張され得るように、弾性材料および/または低粘着性材料から作られ得る。
【0068】
方法は、下にある管状要素に対して反対側にある歪みゲージ8の膜14の外面上にグルー/接着材料を塗布するステップを含む。方法は、それに加えてまたは別法として、歪みゲージ8が上に固定されるべき内部チャンバ11の内面12上に接着/グルー材料から作られた薄層を塗布するステップをさらに含む。
【0069】
図7を参照すると、方法は、膜14および関連の感歪みパターン13が、歪みゲージ8がペダルピン2の内部チャンバ11内に適用されるべき位置に対応する所定の軸方向位置に着くまで、取り付け工具35の管状要素を休止状態、すなわち非拡張状態で内部チャンバ11に軸方向に嵌合するステップをさらに含む。この目的のため、方法は、好都合には、取り付け工具35の管状要素の嵌合端に対して反対側において、内部チャンバ11内に、膜14が内面12に固定されるべき位置に対応する位置である軸方向Aに沿った所与の位置で取り付け工具35の軸方向嵌合を止めるように寸法設定された止め部材37が嵌合することを伴うことができる。
【0070】
本明細書に示される例では、止め部材37は、内部チャンバ11内に軸方向に嵌合するように寸法設定された所定の長さの円筒形要素を備える。止め部材37の軸方向長さは、内部チャンバ11への取り付け工具35の管状要素の嵌合の間のその止め位置に応じて決まる。したがって、
図7に示される例では、取り付け工具35の管状要素は、その内側端部が止め部材37の内側突当端に突き当たるまで、内部チャンバ11内に軸方向に嵌合される。好都合には、基準突当部材37の使用に加えて、または別法として、電気接続回路19上にマーク記号M1があってもよい。この場合、取り付け工具35の管状要素は、マーク記号がペダルピン2の所定の基準点、好ましくはその端部2aに到達するまで、内部チャンバ11内に嵌合される。
【0071】
図8によれば、方法は、取り付け工具35の管状要素を、それを休止状態から、膜14が内部チャンバ11の内面12に対してそこに接着するように管状要素によって径方向に押し付けられる固定作業状態へと切り替えるように、径方向に拡張させるステップを含む。径方向拡張は、例えば液体の空気である、加圧流体を取り付け工具35の管状要素内に送り込むことによって得られ得る。取り付け工具35の管状要素の径方向拡張は、膜14を内面12に押し付け、それによって中間の粘着層の圧縮が引き起こされて好都合にはその厚さが減少し、さらに、ペダルピン2の内面12への膜14の固定が引き起こされる。この目的のため、取り付け工具35は、それに加圧流体をもたらすために管状要素に液圧式に連結される、加圧流体を供給する供給デバイス(図示せず)を備えることができる。好ましくは、加圧流体は、空気(または油もしくは同様のもの)を含むことができ、所定圧力で取り付け工具35の管状ケーシング内に供給デバイスによって供給され得る。流体が管状ケーシング内に供給されるときの圧力は、1つまたは複数のパラメータに応じて可変であってよく、パラメータとしては、例えば、粘着材料の種類ならびに/または管状要素の幾何形状および/もしくは材料が挙げられる。
【0072】
好ましい実施形態によれば、方法は、取り付け工具35の管状要素が膜14に対する固定作業状態(その最大拡張状態)で保持される間、固定層を硬化するようにそれを加熱するステップをさらに含む。この動作は、好都合には、ペダルピン2を、内部に嵌合された取り付け工具35とともに炉(図示せず)に挿入し、所定の時間の間ペダルピン2を所与の温度に曝すことによって行われ得る。時間および温度は、例えば固定層に基づいて変えることができる。
【0073】
方法は、取り付け工具35の管状要素が内部チャンバ11の内径よりも管状要素の外径が小さい休止状態に戻ることができるように、内部チャンバ11の内面12上への膜14の固定が終わったら、取り付け工具35の管状要素を収縮させるステップをさらに含む。
【0074】
方法は、一方側から取り付け工具35を、他方側から止め部材37を内部チャンバ11から引き抜くステップをさらに含む。方法は、ペダルピン2の内部チャンバ11の内面12上に固定されている歪みゲージ8からアプリケータシート18と粘着テープ36を取り外し、除去することをさらに含む。
【0075】
図10を参照すると、方法は、蓄電デバイス10を内部チャンバ11に挿入するステップと、接続回路19によって歪みゲージ8に、線24によって蓄電デバイス10に電子回路9を接続するステップとをさらに含む。方法は、(
図3に示されるように)内部チャンバ11に電子回路9を嵌合/挿入するステップをさらに含む。
【0076】
好都合には、内部チャンバ11には、中に含まれる部品すべて、具体的には電子回路9および電池10に属するものの振動を止めるおよび回避するように、エラストマー樹脂が完全にまたは部分的に充填され得る。
【0077】
方法は、ブシュ21をハブ6に挿入するステップと、半環状体31および32が座部30内に嵌合できるようにペダル本体5をペダルピン2に挿入するステップと、内部チャンバ11を封止するように閉鎖キャップ33および34をペダルピン2の関連の端部2bおよび2aに挿入するステップとをさらに含む。
【0078】
明らかには、本発明は、1枚の単一膜14の使用に限定されず、それぞれの歪みゲージ8に関連付けられた一連の独立した膜14を備える他の実施形態も可能である。例えば、可能な一実施形態によれば、8つの感歪みパターン13からなる一群を、1枚の単一膜14上に配置する代わりに、各群がそれぞれの膜14上に配置される4つの感歪みパターン13からなる2つの群、または4枚の膜14上に配置される2つの感歪みパターン13からなる4つの群に分割することもできる。
【0079】
この場合、膜14は、適当な座部のある平面上の所定位置に精確に配置され、次いで、1枚の単一粘着アプリケータシート18に対してすべて一緒に一時的に結合され得る。
【0080】
例えば、4つの感歪みパターン13をそれぞれ備える2枚の膜14が使用される場合、アプリケータシート18上の膜14の位置は、それらが1枚の単一膜14の構造において有する位置と同じ位置に感歪みパターン13を保持するようにされ得る。
【0081】
上述のペダルは、ペダルピンを電子計測システムのための収容ケーシングとして使用し、それによってペダルピンの外側にその電子構成要素により占められるスペースがなくなり、したがってそれらが損傷を受ける危険がなくなるという利点を有する。
【0082】
ペダルピンの内面上に歪みゲージを固定することによって、内部チャンバ内のスペースが解放され、計測システムの要素すべて、特により大きな容量のバッテリが内部に収容され得るようになる。
【0083】
さらに、薄い接着層を介して内部チャンバの内面上に歪みゲージを直接固定することによって、計測の精度が向上する。
【0084】
最後に、上述のペダルおよび方法は、こうした理由で本発明の保護範囲を逸脱することなく、変更および変形を加えることができることが明確である。
【0085】
例えば、
図11に示される実施形態は、ペダル1を製造する方法の一ステップの作業の変形形態に関する。
【0086】
この変形形態によれば、内部チャンバ11の内面12上に膜14を固定する間の取り付け工具35の管状要素の径方向拡張は、管状要素内に加圧流体を供給することにより得られるのではなく、管状要素内に拡張部材40を嵌合することを含む、機械的な拡張作用によって行われる。拡張部材40は、円形断面、ならびに取り付け工具35の管状要素内に嵌合しやすくすることができるようなテーパ状端部を有する本体を備え、弾性変形による漸次的な径方向拡張を起こし得る。拡張部材40の直径は、いくつかのパラメータに応じて寸法設定することができ、パラメータとしては、内部チャンバ11の直径、膜14および支持シート18の厚さ、ならびに好ましくはシリコーンゴムから作られる取り付け工具35の厚さが挙げられる。したがって、方法の拡張ステップは、膜14および接着/グルー材料層を内面12に押し付けるようにチャンバ11の内面12に対する拡張部材の径方向拡張を漸次的に引き起こすように、拡張部材40を取り付け工具35の管状要素の内側開口内に軸方向に嵌合することを伴う。
【符号の説明】
【0087】
1 ペダル
2 ペダルピン
2a 端部
2b 第2の端部
2c フランジ
3 クランク
4 自転車
5 ペダル本体
6 ハブ
7 足載せ部
8 歪みゲージ
9 電子回路
10 蓄電デバイス
11 内部チャンバ
12 内面
12a、12b 部分
13 感歪みパターン
14 薄膜
18 アプリケータシート
19 電気接続回路
20 膜
21 ブシュ
22 接続パッド
23 接続パッド
24 回路
29 機械的係止部材
30 環状座部
31 半環状体
32 半環状体
33 閉鎖キャップ
34 閉鎖キャップ
35 取り付け工具
36 粘着テープ
37 止め部材
40 拡張部材
A 軸