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特許7438403装置、装置を較正する方法、および装置を較正するためのデバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-15
(45)【発行日】2024-02-26
(54)【発明の名称】装置、装置を較正する方法、および装置を較正するためのデバイス
(51)【国際特許分類】
   G01J 3/46 20060101AFI20240216BHJP
   G01N 21/27 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
G01J3/46 Z
G01N21/27 A
G01N21/27 F
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022566029
(86)(22)【出願日】2021-04-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-08
(86)【国際出願番号】 US2021029137
(87)【国際公開番号】W WO2021222090
(87)【国際公開日】2021-11-04
【審査請求日】2023-02-03
(31)【優先権主張番号】63/018,114
(32)【優先日】2020-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508147326
【氏名又は名称】シーメンス・ヘルスケア・ダイアグノスティックス・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】モハメッド・アルファン
(72)【発明者】
【氏名】サディパ・バッタチャリヤ
【審査官】横尾 雅一
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-212148(JP,A)
【文献】特開2015-021828(JP,A)
【文献】特開2008-145413(JP,A)
【文献】特開2019-113922(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0326839(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0343473(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0190638(US,A1)
【文献】国際公開第2018/207471(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01J 3/00 - G01J 3/52
G01N 21/00 - G01N 21/61
H04N 9/12 - H04N 9/31
A61B 5/00 - A61B 5/01
A61B 9/00 - A61B 10/06
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置を較正する方法であって:
1つまたはそれ以上の光源のうちの各光源を通って流れる電流の値をリアルタイムで得ることであって、該装置が1つまたはそれ以上の光源を含むことと;
1つまたはそれ以上の光源のうちの各光源を通って流れる電流の値を所定の閾値電流値と比較することと;
1つまたはそれ以上の光源のうちの各光源に対する得られた電流の値が所定の閾値電流値を上回るとき、少なくとも1つの画像取得デバイスに関連付けられたカラーゲイン値を較正することと
を含み、該装置が少なくとも1つの画像取得デバイスを含む前記方法。
【請求項2】
少なくとも1つの画像取得デバイスに関連付けられたカラーゲイン値を較正することは:
関心領域内に配置された少なくとも1つのカラーチェッカカードに関連付けられた画像に関係するカラー値を判定することと;
判定されたカラー値を、少なくとも1つのカラーチェッカカードに関係する既知トゥルーカラー値と比較することと;
画像の判定されたカラー値が既知トゥルーカラー値に整合するまで、少なくとも1つの画像取得デバイスに関連付けられたカラーゲイン値を修正することとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
1つまたはそれ以上の光源のうちのいずれかの光源を通って流れる電流の値が所定の閾値電流値を下回るとき、1つまたはそれ以上の光源を通って流れる電流の値を調節すること
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
1つまたはそれ以上の光源のうちのいずれかの光源の電流の値が所定の臨界閾値電流値を下回るとき、1つまたはそれ以上の光源における障害を示すことをさらに含み、
ここで、所定の臨界閾値電流値は、それを下回ると1つまたはそれ以上の光源が機能しなくなる電流値である、
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
関心領域の画像を取得することと;
関心領域の画像に関連付けられた均一照明率を判定することと;
判定された均一照明率を所定の閾値均一照明率と比較することと;
判定された均一照明率が所定の閾値均一照明率を下回るとき、関心領域内で均一の照明を得るように、1つまたはそれ以上の光源のうちの各光源を通って流れる電流の値を調節することと
をさらに含む、請求項1または3に記載の方法。
【請求項6】
装置は撮像に基づく診断機器である、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
装置を較正するためのデバイスであって:
処理ユニットと;
該処理ユニットに連結されたメモリとを含み、該メモリは:
1つまたはそれ以上の光源のうちの各光源を通って流れる電流の値をリアルタイムで得て;
1つまたはそれ以上の光源のうちの各光源を通って流れる電流の値を所定の閾値電流値と比較し;
1つまたはそれ以上の光源のうちの各光源に対する得られた電流の値が所定の閾値電流値を上回るとき、少なくとも1つの画像取得デバイスに関連付けられたカラーゲイン値を較正するように構成された較正モジュールを含む、前記デバイス。
【請求項8】
較正モジュールは:
関心領域内に配置された少なくとも1つのカラーチェッカカードに関連付けられた画像に関係するカラー値を判定し;
判定されたカラー値を、少なくとも1つのカラーチェッカカードに関係する既知トゥルーカラー値と比較し;
画像の判定されたカラー値が既知トゥルーカラー値に整合するまで、少なくとも1つの画像取得デバイスに関連付けられたカラーゲイン値を更新するようにさらに構成されている、請求項7に記載のデバイス。
【請求項9】
較正モジュールは:
1つまたはそれ以上の光源のうちのいずれかの光源を通って流れる電流の値が所定の閾値電流値を下回るとき、1つまたはそれ以上の光源を通って流れる電流の値を調節するようにさらに構成されている、請求項7に記載のデバイス。
【請求項10】
1つまたはそれ以上の光源のうちのいずれかの光源の電流の値が所定の臨界閾値電流値を下回るとき、1つまたはそれ以上の光源における障害を示すように構成された制御部をさらに含み、ここで、所定の臨界閾値電流値は、それを下回ると1つまたはそれ以上の光源が機能しなくなる電流値である、
請求項7に記載のデバイス。
【請求項11】
較正モジュールは:
関心領域の画像を取得し;
関心領域の画像に関連付けられた均一照明率を判定し;
判定された均一照明率を所定の閾値均一照明率と比較し;
判定された均一照明率が所定の閾値均一照明率を下回るとき、関心領域内で均一の照明を得るように、1つまたはそれ以上の光源のうちの各光源を通って流れる電流の値を調節するようにさらに構成されている、請求項7または9に記載のデバイス。
【請求項12】
装置は撮像に基づく診断機器である、請求項7~11のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項13】
装置であって:
1つまたはそれ以上の光源と;
画像を取得するための少なくとも1つの画像取得デバイスと;
デバイスとを含み、該デバイスは:
処理ユニットと;
該処理ユニットに連結されたメモリとを含み、該メモリは:
1つまたはそれ以上の光源のうちの各光源を通って流れる電流の値をリアルタイムで得て;
1つまたはそれ以上の光源のうちの各光源を通って流れる電流の値を所定の閾値電流値と比較し;
1つまたはそれ以上の光源のうちの各光源に対する得られた電流の値が所定の閾値電流値を上回るとき、少なくとも1つの画像取得デバイスに関連付けられたカラーゲイン値を較正するように構成された較正モジュールを含む、前記装置。
【請求項14】
機械可読命令が記憶されたコンピュータプログラム製品であって、機械可読命令は、1つまたはそれ以上の処理ユニットによって実行されたとき、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法を1つまたはそれ以上の処理ユニットに実行させる、前記コンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、米国特許法第119条(e)に基づいて、2020年4月30日出願の米国仮特許出願第63/018,114号の利益を主張する。上記に参照した特許出願の内容全体を、参照によって本明細書に明示して組み入れる。
【0002】
本開示は、試料の分析技術に関し、より詳細には試料の分析で使用される装置を較正する分野に関する。
【背景技術】
【0003】
最近、健康管理の分野において撮像に基づく診断機器およびデバイスの使用が増大するとともに、診断試料の正確な照明および関連する色の重要性が増大している。さらに、患者に関係する分析物の比色分析および測光分析の領域では、照明および色の均衡がさらに一層重要である。分析から取得された画像の色は、結果の解釈に直接関与する。結果の矛盾は疾病の不適切な診断または診断の遅れを招き、これは重大な場合、命にかかわるおそれがあるため、正確な診断結果を得ることが極めて重要である。
【0004】
そのような分析物の分析では、分析物の正確な分析および確実な医療診断結果の提供のために、均一の照明および正確なカラーバランスが必要とされる。従来、当技術分野で知られているシステムおよび方法では、均一の照明を確実にするために、取得された画像を処理するための専用の装置およびソフトウェアの使用を伴う画像処理技法またはフォトダイオードに基づく照明チェックを使用して、不均一な照明の問題を解決する。これは、システムを嵩高の非効率なものにし、電力および処理速度要件の増大を伴うこともある。さらに、従来のシステムは、取得された画像内の色を均衡させるためにユーザ介入を必要とすることがあり、これは誤りを招きうる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本開示の目的は、撮像に基づく診断機器で取得された画像に対して均一の照明および正確なカラーバランスを提供するための改善されたシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様では、本開示は、装置を較正する方法を提供する。この方法は、1つまたはそれ以上の光源の各々を通って流れる電流の値をリアルタイムで得ることを含む。本明細書では、装置は、1つまたはそれ以上の光源を含む。この方法は、1つまたはそれ以上の光源の各々を通って流れる電流の値を所定の閾値電流値と比較することをさらに含む。この方法は、1つまたはそれ以上の光源の各々に対する判定された電流の値が所定の閾値電流値を上回る場合、少なくとも1つの画像取得デバイスに関連付けられたカラーゲイン値を較正することをさらに含み、装置は、少なくとも1つの画像取得デバイスを含む。
【0007】
1つまたはそれ以上の実施形態では、この方法は、関心領域内に配置された少なくとも1つのカラーチェッカカードに関連付けられた画像に関係するカラー値を判定することによって、少なくとも1つの画像取得デバイスに関連付けられたカラーゲイン値を較正することをさらに含む。少なくとも1つの画像取得デバイスを較正する方法は、判定されたカラー値を、少なくとも1つのカラーチェッカカードに関係する既知トゥルーカラー値と比較することをさらに含む。少なくとも1つの画像取得デバイスを較正する方法は、画像の判定されたカラー値が既知トゥルーカラー値に整合するまで、少なくとも1つの画像取得デバイスに関連付けられたカラーゲイン値を修正することをさらに含む。
【0008】
1つまたはそれ以上の実施形態では、この方法は、1つまたはそれ以上の光源のうちのいずれかを通って流れる電流の値が所定の閾値電流値を下回る場合、1つまたはそれ以上の光源を通って流れる電流の値を調節することをさらに含む。
【0009】
1つまたはそれ以上の実施形態では、この方法は、1つまたはそれ以上の光源のうちのいずれかの値が所定の臨界閾値電流値を下回る場合、1つまたはそれ以上の光源における障害を示すことをさらに含む。本明細書では、所定の臨界閾値電流値は、それを下回ると1つまたはそれ以上の光源が機能しなくなる電流値である。
【0010】
1つまたはそれ以上の実施形態では、この方法は、関心領域の画像を取得することをさらに含む。この方法は、関心領域の画像に関連付けられた均一照明率を判定することをさらに含む。この方法は、判定された均一照明率を所定の閾値均一照明率と比較することをさらに含む。この方法は、判定された均一照明率が所定の閾値均一照明率を下回る場合、関心領域内で均一の照明を得るように、1つまたはそれ以上の光源の各々を通って流れる電流の値を調節することをさらに含む。
【0011】
1つまたはそれ以上の実施形態では、装置は撮像に基づく診断機器である。
【0012】
別の態様では、本開示は、装置を較正するためのデバイスを提供する。デバイスは、処理ユニットと、処理ユニットに連結されたメモリとを含む。メモリは、1つまたはそれ以上の光源の各々を通って流れる電流の値をリアルタイムで得るように構成された較正モジュールを含む。さらに、較正モジュールは、1つまたはそれ以上の光源の各々を通って流れる電流の値を所定の閾値電流値と比較するように構成される。さらに、較正モジュールは、1つまたはそれ以上の光源の各々に対する判定された電流の値が所定の閾値電流値を上回る場合、少なくとも1つの画像取得デバイスに関連付けられたカラーゲイン値を較正するように構成される。
【0013】
1つまたはそれ以上の実施形態では、処理ユニットの較正モジュールは、関心領域内に配置された少なくとも1つのカラーチェッカカードに関連付けられた画像に関係するカラー値を判定するようにさらに構成される。さらに、構成モジュールは、判定されたカラー値を、少なくとも1つのカラーチェッカカードに関係する既知トゥルーカラー値と比較するように構成される。さらに、較正モジュールは、画像の判定されたカラー値が既知トゥルーカラー値に整合するまで、少なくとも1つの画像取得デバイスに関連付けられたカラーゲイン値を更新するように構成される。
【0014】
1つまたはそれ以上の実施形態では、処理ユニットの較正モジュールは、1つまたはそれ以上の光源のうちのいずれかを通って流れる電流の値が所定の閾値電流値を下回る場合、1つまたはそれ以上の光源を通って流れる電流の値を調節するようにさらに構成される。
【0015】
1つまたはそれ以上の実施形態では、デバイスは、1つまたはそれ以上の光源のうちのいずれかの値が所定の臨界閾値電流値を下回る場合、1つまたはそれ以上の光源における障害を示すように構成された制御部をさらに含む。本明細書では、所定の臨界閾値電流値は、それを下回ると1つまたはそれ以上の光源が機能しなくなる電流値である。
【0016】
1つまたはそれ以上の実施形態では、処理ユニットの較正モジュールは、関心領域の画像を取得するようにさらに構成される。さらに、較正モジュールは、関心領域の画像に関連付けられた均一照明率を判定するように構成される。さらに、較正モジュールは、判定された均一照明率を所定の閾値均一照明率と比較するように構成される。さらに、較正モジュールは、判定された均一照明率が所定の閾値均一照明率を下回る場合、関心領域内で均一の照明を得るように、1つまたはそれ以上の光源の各々を通って流れる電流の値を調節するように構成される。
【0017】
さらに別の態様では、本開示は、1つまたはそれ以上の光源と、画像を取得するための少なくとも1つの画像取得デバイスと、デバイスとを含む装置を提供する。本明細書では、デバイスは、処理ユニットと、処理ユニットに連結されたメモリとを含む。メモリは、1つまたはそれ以上の光源の各々を通って流れる電流の値をリアルタイムで得るように構成された較正モジュールを含む。さらに、較正モジュールは、1つまたはそれ以上の光源の各々を通って流れる電流の値を所定の閾値電流値と比較するように構成される。さらに、較正モジュールは、1つまたはそれ以上の光源の各々に対する判定された電流の値が所定の閾値電流値を上回る場合、少なくとも1つの画像取得デバイスに関連付けられたカラーゲイン値を較正するように構成される。
【0018】
さらに別の態様では、本開示はまた、機械可読命令が記憶されたコンピュータプログラム製品を提供し、機械可読命令は、1つまたはそれ以上の処理ユニットによって実行されたとき、上記に論じた方法を処理ユニットに実行させる。
【0019】
本概要は、以下の説明でさらに詳述する様々な概念を簡略化された形で導入するために提供される。これは、特許請求される主題の構成または本質的な構成を識別することを意図したものではない。さらに、特許請求される主題は、本開示のいずれかの部分に記載されたいずれかまたはすべての欠点を解決する実装形態に限定されるものではない。
【0020】
上記の概要、ならびに以下の例示的な実施形態の詳細な説明は、添付の図面とともに読めばよりよく理解されよう。これらの図面には、本開示について説明する目的で、本開示の例示的な構造が示されている。しかし、本開示は、本明細書に開示する特有の方法および機器に限定されるものではない。さらに、これらの図面は原寸に比例しないことが、当業者には理解されよう。可能な限り、同様の要素は同一の数字で示されている。
【0021】
本開示について、添付の図面に示す例示的な実施形態を参照して以下にさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本開示の一実施形態による装置のブロック図である。
図2】本開示の一実施形態による図1の装置で用いられるデバイスのブロック図である。
図3A】本開示の様々な実施形態による装置を較正する方法の流れ図である。
図3B】本開示の様々な実施形態による装置を較正する方法の流れ図である。
図4】本開示の一実施形態による図2の較正モジュールで用いられるコントローラの概略図である。
図5】本開示の一実施形態による少なくとも1つの画像取得デバイスに関連付けられたカラーゲイン値を較正する方法の流れ図である。
図6】本開示の別の実施形態による画像取得デバイスを較正する方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
添付の図面では、下線付きの数字は、下線付きの数字が位置する項目または下線付きの数字が隣接する項目を表すために用いられる。下線付きでない数字は、下線付きでない数字を項目につなぐ線によって識別される項目に関する。数字が下線付きではなく、関連する矢印が付随するとき、この下線付きでない数字は、矢印が指している概略的な項目を識別するために使用される。
【0024】
以下、本開示を実施するための実施形態について詳細に説明する。様々な実施形態について図面を参照して説明し、全体にわたって同様の要素を指すために同じ参照番号を使用する。以下の説明では、説明の目的で、1つまたはそれ以上の実施形態の徹底的な理解を提供するために、多数の特有の詳細について記載する。これらの特有の詳細がなくてもそのような実施形態を実施することができることは明らかである。他の事例では、本開示の実施形態を不要に曖昧にすることを避けるために、よく知られている材料または方法について詳細には説明しない。本開示では、様々な修正形態および代替形態が可能であるため、本開示の特有の実施形態を例として図面に示し、本明細書に詳細に説明する。しかし、開示する特定の形態に本開示を限定する意図はなく、逆に本開示は、本開示の趣旨および範囲の範囲内に入るすべての修正形態、均等物、および代替形態を包含することを理解されたい。
【0025】
概要として、本開示の実施形態は、装置を較正する方法に関する。さらに本開示はまた、装置を較正するためのデバイスを提供する。さらに本開示はまた、装置を提供する。
【0026】
図1を参照すると、本開示の一実施形態による装置100のブロック図が示されている。示されているように、装置100は、1つまたはそれ以上の光源102と、少なくとも1つの画像取得デバイス104と、通信ネットワーク108を介して1つまたはそれ以上の光源102および少なくとも1つの画像取得デバイス104に通信可能に連結されたデバイス106とを含む。
【0027】
図1は単なる例であり、本明細書の特許請求の範囲の範囲を過度に限定するものではないことが理解されよう。装置100に対する特有の名称は一例として提供されたものであり、装置100を光源(1つまたはそれ以上の光源102など)、画像取得デバイス(少なくとも1つの画像取得デバイス104など)、およびデバイス(デバイス106など)、サーバ、ネットワークなどの特有の数、タイプ、または配置に限定するものと解釈されるべきではないことを理解されたい。
【0028】
本開示全体にわたって、本明細書の「装置」100という用語は、環境からの画像を取得、記憶、および処理するように構成されたプログラム可能および/またはプログラム不能な構成要素を含む1つまたはそれ以上の要素の構造および/または配置を指す。場合により、装置100は、画像を取得および処理して関連情報を導出することが可能な物理的または仮想的な計算実体の任意の配置を含む。特に、デバイス106は、環境内の1つまたはそれ以上の物体の真の画像の取得を確実にするために、均一の照明および最適のカラーバランスを提供するように、装置100を較正するように構成される。一実施形態では、装置100は撮像に基づく診断機器である。本明細書では、デバイス106は、比色分析、分光分析、蛍光分析、燐光分析、またはクロマトグラフ分析のために、体液などの1つまたはそれ以上の分析物の取得された画像の適切な照明および最適のカラーゲインを提供するように、装置100を較正するように構成される。それによって、そのような分析を使用して、そこから得られた正確な診断結果を判定する。特に、装置100を使用して、尿、血液、便浮遊液、汗、唾液、生殖器分泌物、または任意の他の排泄物などの体液を分析することができる。この目的で、1つまたはそれ以上の体液で湿らせた試験ストリップまたは試薬キャリアを装置100内の専用の場所に配置することができ、1つまたはそれ以上の試験領域の変化を光学的に検出して、試料中の血液、赤血球、ヘモグロビン、グルコース、ケトン体、アスコルビン酸、蛋白、白血球、亜硝酸塩、pHの値など、特定の分析物の濃度などの診断結果を得ることができる。
【0029】
以下、本開示の実施形態について、撮像に基づく診断機器に関して説明することが理解されよう。しかし、本開示の知見は、撮像に基づく診断機器のみに限定されるものではない。特に、デバイス106は、化学物質の測光分析、写真、および映画撮影、物体検出システムなどの分野などで環境からの画像を取得するために使用される、均一の照明および最適のカラーバランスを必要とする光源および画像取得デバイスを含む任意の装置内で実装することができる。さらに、本開示の用途は非常に広く、デジタル撮像および/または処理が関与するあらゆる用途が含まれる。本開示の技法は、均一の照明および最適のカラーバランスのための特定のデバイスの較正に特によく適している。実施形態は、個人的および/または専門的な写真およびビデオ撮影だけでなく、医療、天文学、物理学、軍事、および工学の用途での使用に適合されたデジタル撮像に適用することができる。
【0030】
本開示全体にわたって、本明細書の「光源」102という用語は、電気信号を受信し、その信号に応答して電磁放射または光を生じさせることが可能な任意の電気デバイスを指す。光源102は、可視スペクトル内、可視スペクトル外、または両方の組合せで、電磁放射を生成するように構成することができる。「光」という用語は、電磁放射が可視周波数範囲内にあるときに使用され、「放射」という用語は、電磁放射が可視周波数範囲外にあるときに使用される。
【0031】
光源102は、内部もしくは外部環境または標的区域を効果的に照明するのに十分な強度を有する放射または光を生成するように特に構成することができる。この文脈で、「十分な強度」とは、その空間または環境内で生成される可視スペクトル内の十分な放射束を指す。「ルーメン」という単位は、すべての方向における光源102からの総光出力を放射束または光束の点から表すために用いることができる。光源102は、それだけに限定されるものではないが、発光ダイオードLEDに基づく光源(1つまたはそれ以上のLEDを含む)、エレクトロルミネッセンスストリップ、白熱光源(たとえば、フィラメントランプ、ハロゲンランプ)、蛍光源、燐光源、高強度放電源(たとえば、ナトリウム灯、水銀灯、およびメタルハライドランプ)、レーザ、他のタイプのエレクトロルミネッセンス源、たとえばフォトルミネッセンス源(たとえば、気体放電源)、電子飽和を使用する陰極ルミネッセンス源、ガルバノルミネッセンス源、結晶ルミネッセンス源、キネルミネッセンス源、熱ルミネッセンス源、摩擦ルミネッセンス源、音ルミネッセンス源、放射線ルミネッセンス源、およびルミネッセンスポリマーを含む、様々な放射源のうちのいずれか1つまたはそれ以上の光を使用することができる。
【0032】
特に、1つまたはそれ以上の光源102は、関心領域内に均一の照明を提供する。本明細書で、「関心領域」という用語は、正確な結果を得るために均一に照明する必要のある分析予定の試料または分析物が配置された区域など、関心物体内およびその周辺の区域を指す。一例では、1つまたはそれ以上の光源102は、較正されている装置100内に一体化することができる。別の例では、1つまたはそれ以上の光源は、環境内に配置され、装置100に通信可能に連結される。
【0033】
本開示全体にわたって、本明細書の「画像取得デバイス」104という用語は、物体の画像を取得するように構成された電子デバイスおよび/または光学デバイスを指す。本明細書では、画像取得デバイス104は、実世界環境内の物体または情景を表す3次元画像または2次元画像の形態のデジタルデータを作成する走査デバイスを指す。「画像取得デバイス」104とは、実世界物体の1つまたはそれ以上の構成、たとえば比色分析のための分析物の1つまたはそれ以上の強度またはカラー値を記述するデータを取り込むように構成された様々な1つまたはそれ以上のプログラム可能および/またはプログラム不能な構成要素の集まりを指すことができる。場合により、画像取得デバイス104は、カメラ、回転式カメラ、赤外カメラ、および光学カメラのうちのいずれか1つである。1つまたはそれ以上の例では、画像取得デバイス104はまた、それだけに限定されるものではないが、LiDAR(Light Detection and Ranging)、RADAR(Radio Detection and Ranging)、3D Scanner(Three-dimensional Scanner)のうちの1つまたはそれ以上を含む他のデータ取得デバイスを含むことができる。
【0034】
本開示全体にわたって、本明細書の「通信ネットワーク」108という用語は、出願時に利用可能または周知であるか、それとも後に開発されるかにかかわらず、1つまたはそれ以上の電子デバイスおよび/またはデータベース間のデータ通信を容易にするように構成されている、相互接続されたプログラム可能および/またはプログラム不能な構成要素の配置を指す。さらに、ネットワークは、それだけに限定されるものではないが、1つまたはそれ以上のピアツーピアネットワーク、ハイブリッドピアツーピアネットワーク、ローカルエリアネットワーク(LAN)、無線アクセスネットワーク(RAN)、メトロポリタンエリアネットワーク(MAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、インターネットとして知られているグローバルコンピュータネットワークなどの公衆ネットワークのすべてまたは一部分、私設ネットワーク、セルラーネットワーク、および1つまたはそれ以上の場所における任意の他の1つまたはそれ以上の通信システムを含むことができる。加えて、ネットワークは、それだけに限定されるものではないが、インターネットプロトコル(IP)、無線アクセスプロトコル(WAP)、フレームリレー、または非同期転送モード(ATM)を含む、任意の数の知られているプロトコルを介して実施することができる有線または無線通信を含む。さらに、音声、ビデオ、データ、またはこれらの組合せを使用する任意の他の好適なプロトコルを用いることもできる。装置100は、TCP/IP通信プロトコルIPX、AppleTalk、IP-6、NetBIOS、OSI、任意のトンネリングプロトコル(たとえば、IPsec、SSH)、または任意の数の既存もしくは将来のプロトコルを使用して実装することができる。
【0035】
一実施形態では、デバイス106は、クラウドコンピューティング環境内に設置される。本明細書では、「クラウドコンピューティング環境」とは、構成可能なコンピューティング物理および論理資源、たとえばネットワーク、サーバ、ストレージ、アプリケーション、サービスなど、および通信ネットワーク108、たとえばインターネットを介して分散されたデータを含む処理環境を指す。クラウドコンピューティング環境は、構成可能なコンピューティング物理および論理資源の共用プールへのオンデマンドのネットワークアクセスを提供する。
【0036】
図2を参照すると、デバイス106のブロック図が示されており、たとえば装置を較正するデバイスとして一実施形態を実装することができ、本明細書に記載するプロセスを実行するように構成することができる。デバイス106は、図2のシステムの例示的な実装形態であることが理解されよう。図2で、デバイス106は、処理ユニット202、メモリ204、記憶ユニット206、入力ユニット208、出力ユニット210、ネットワークインターフェース212、および標準的なインターフェースまたはバス214を含む。デバイス106は、(パーソナル)コンピュータ、ワークステーション、ホストハードウェア上で動作する仮想マシン、マイクロコントローラ、または集積回路とすることができる。代替として、デバイス106は、現実または仮想のコンピュータ群(現実のコンピュータ群の技術用語は「クラスタ」であり、仮想コンピュータ群の技術用語は「クラウド」である)とすることができる。本明細書では、メモリ204は較正モジュール205を含み、記憶ユニット206は較正データベース207を含む。前述のように、デバイス106は、1つまたはそれ以上の光源102および少なくとも1つの画像取得デバイス104に通信可能に連結される。特に、デバイス106は、光源102および画像取得デバイス104といくつかの方法で通信するように構成される。一例では、デバイス106は、1つまたはそれ以上の光源102および少なくとも1つの画像取得デバイス104にモノリシックに一体化されて、装置100を構成する。そのような場合、装置100は、デバイス106の機能および動作のすべてを実行するように設計することができる。別の例では、デバイス106は、デバイスと1つまたはそれ以上の光源102および少なくとも1つの画像取得デバイス104との間の接続を確立するように構成されたケーブル、光ケーブル、または任意の他のデータ転送媒体などの有線媒体を介して、1つまたはそれ以上の光源102および少なくとも1つの画像取得デバイス104に接続される。さらに別の例では、デバイス106は、1つまたはそれ以上の光源102および少なくとも1つの画像取得デバイス104を較正するために、通信ネットワーク108を介して1つまたはそれ以上の光源102および少なくとも1つの画像取得デバイス104と無線通信するように構成される。さらに、場合により、デバイス106は、同時に複数の画像取得デバイス104および光源102に較正のために通信可能に連結するように構成される。
【0037】
本開示全体にわたって、本明細書の「処理ユニット」202という用語は、それだけに限定されるものではないが、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、複合命令セットコンピューティングマイクロプロセッサ、縮小命令セットコンピューティングマイクロプロセッサ、超長命令語マイクロプロセッサ、明示的並列命令コンピューティングマイクロプロセッサ、グラフィックスプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、または任意の他のタイプの処理回路など、任意のタイプの計算回路を指す。処理ユニット202はまた、共通またはプログラム可能論理デバイスまたはアレイ、特定用途向け集積回路、単一チップコンピュータなどの埋め込みコントローラを含むことができる。処理ユニット202は、ハードウェア要素およびソフトウェア要素を含むことができる。処理ユニット202は、マルチスレッディング向けに構成することができ、たとえば処理ユニット202は、異なる計算プロセスを同時にホストして、能動および受動計算プロセスを並行して実行することができ、または能動および受動計算プロセスを切り換えることができる。
【0038】
本開示全体にわたって、本明細書の「メモリ」204という用語は、情報を一時的および/または恒久的に記憶することが可能な任意の物理デバイスまたはハードウェア構成要素を指す。メモリ204は、揮発性メモリおよび不揮発性メモリとすることができる。メモリ204は、処理ユニット202と通信するように連結することができる。処理ユニット202は、メモリ204内に記憶されている命令および/またはコードを実行することができる。メモリ204内に様々なコンピュータ可読記憶媒体を記憶することができ、メモリ204からの様々なコンピュータ可読記憶媒体にアクセスすることができる。メモリ204は、読取り専用メモリ、ランダムアクセスメモリ、消去可能プログラム可能読取り専用メモリ、電気的消去可能プログラム可能読取り専用メモリ、ハードドライブ、コンパクトディスク、デジタルビデオディスク、ディスケット、磁気テープカートリッジ、メモリカードなどを取り扱うための取外し可能媒体ドライブなど、データおよび機械可読命令を記憶するための任意の好適な要素を含むことができる。本明細書の実施形態に従って、メモリ204は、上述した記憶媒体のいずれかに機械可読命令の形態で記憶されている較正モジュール205を含み、処理ユニット202と通信することができ、処理ユニット202によって実行することができる。処理ユニット202によって実行されるとき、較正モジュール205は処理ユニット202に、環境内に均一の照明および最適のカラーバランスを提供させる。上述した機能を実現するために処理ユニット202によって実行される方法工程は、図3A図3B図5、および図6で詳細に説明する。
【0039】
本開示全体にわたって、「記憶ユニット」203という用語は、較正データベース207を記憶する非一時的記憶媒体とすることができる。較正データベース207は、1つまたはそれ以上の光源102の各々に対する強度値、電流値、電流閾値のリポジトリである。較正データベース207は、真の画像のカラー値、特定の照明に対するカラーゲイン値などをさらに含むことができる。入力ユニット208は、入力信号を受信することが可能なキーパッド、タッチセンシティブディスプレイ、カメラなどの入力手段を含むことができる。バス214は、処理ユニット202、メモリ204、記憶ユニット206、通信ネットワーク108、入力ユニット208、および出力ユニット210間の相互接続として作用する。
【0040】
図1に描くハードウェアは、特定の実装形態に対して変更できることが、当業者には理解されよう。たとえば、描かれているハードウェアに加えて、またはその代わりに、光ディスクドライブなど、ローカルエリアネットワーク(LAN)/ワイドエリアネットワーク(WAN)/無線(たとえば、Wi-Fi)アダプタ、グラフィックスアダプタ、ディスクコントローラ、入出力(I/O)アダプタ、ネットワーク接続デバイスなどの他の周辺デバイスを使用することもできる。描かれている例は、説明のみを目的として提供されており、本開示に対する構造上の限定を示唆することを意味したものではない。
【0041】
本開示の一実施形態によるデバイス106は、場合により、グラフィカルユーザインターフェースを用いるオペレーティングシステムを含む。オペレーティングシステムは、グラフィカルユーザインターフェースに複数の表示窓を同時に提示することを可能にし、各表示窓が、異なるアプリケーションへまたは同じアプリケーションの異なるインスタンスへのインターフェースを提供する。グラフィカルユーザインターフェース内のカーソルは、ユーザがポインティングデバイスを介して操作することができる。カーソルの位置を変化させることができ、かつ/またはマウスボタンのクリックなどの事象を生成して、所望の応答を作動させることができる。
【0042】
好適に修正されている場合、ワシントン州レドモンド所在のMicrosoft Corporationの製品であるMicrosoft Windows(商標)など、様々な市販のオペレーティングシステムのうちの1つを用いることができる。オペレーティングシステムは、記載の本開示によって修正または作成される。
【0043】
本開示は、特定のコンピュータシステムプラットホーム、処理ユニット、オペレーティングシステム、またはネットワークに限定されるものではない。本開示の1つまたはそれ以上の態様は、1つもしくはそれ以上のサービスを1つもしくはそれ以上のクライアントコンピュータに提供し、または完全なタスクを分散システムで実行するように構成された、1つまたはそれ以上のコンピュータシステム、たとえばサーバに分散させることができる。たとえば、本開示の1つまたはそれ以上の態様は、様々な実施形態による複数の機能を実行する1つまたはそれ以上のサーバシステムに分散された構成要素を含むクライアントサーバシステム上で実行することができる。これらの構成要素は、たとえば実行可能な、中間の、または解釈されたコードを含み、通信プロトコルを使用してネットワークを介して通信する。本開示は、特定のデバイスまたはデバイス群で実行可能であることに限定されるものではなく、特定の分散アーキテクチャ、ネットワーク、または通信プロトコルに限定されるものでもない。
【0044】
開示する実施形態は、デバイス、装置、および装置を較正する方法を提供する。特に、デバイスおよび方法は、撮像に基づく診断機器で使用される装置を較正するために用いられる。
【0045】
図3Aを参照すると、本開示の一実施形態による装置100を較正する方法300の流れ図が示されている。工程302で、1つまたはそれ以上の光源102の各々を通って流れる電流の値がリアルタイムで得られる。本明細書では、1つまたはそれ以上の光源102の強度値を判定するために、1つまたはそれ以上の光源102における出力電流の値が測定される。強度値は、光源102を通って流れる電流の値に正比例することが理解されよう。したがって、光源102を通って流れる電流の値の判定は、関心領域が均一に照明されているかどうかを判定することを支援する。本明細書では、1つまたはそれ以上の光源102を通って流れる電流の値は、デバイス106の処理ユニット202によって測定される。一例では、処理ユニット202は、1つまたはそれ以上の光源102を通って流れる電流の値を得るための専用のコントローラを含むことができる。そのような専用のコントローラについて、図4でより詳細に説明する。
【0046】
図4を参照すると、本開示の一実施形態による電流値を得るための専用のコントローラ400の概略図が示されている。示されているように、コントローラ400は、1つまたはそれ以上の発光ダイオード(LED)402(図1の1つまたはそれ以上の光源102など)、LEDドライバ404、LED電流監視回路406、マイクロコントローラ408、コンピューティングデバイス410、および電力供給412を含む。本開示全体にわたって、本明細書の「コントローラ」400という用語は、電気信号を処理し、それによって電気信号に基づいて1つまたはそれ以上の発光ダイオード(LED)402の各々の動作を制御するための様々な装置またはデバイスを指すことができる。特に、コントローラ400は、1つまたはそれ以上の発光ダイオード(LED)402の各々へ供給される電位または電流の大きさを調節するように構成される。さらに、電位の大きさの変化は、1つまたはそれ以上の発光ダイオード(LED)402から放出される光ビームの強度および/またはスペクトルの変化を招く。コントローラ400は、多数の方法で実装することができることが理解されよう。一例では、コントローラ400は、本明細書に論じる機能を実行するための専用のハードウェアである。別の例では、コントローラ400は、本明細書に論じる様々な機能を実行するようにソフトウェア(たとえば、マイクロコード)を使用してプログラムすることができる1つまたはそれ以上のマイクロプロセッサとすることができる。別の例では、専用のコントローラ400は、パルス幅変調器、パルス振幅変調器、パルス変位変調器、抵抗ラダー、電流源、電圧源、電圧ラダー、スイッチ、トランジスタ、電圧コントローラ、または他のコントローラとすることができる。専用のコントローラ400は、受信した信号に応答して、1つまたはそれ以上の発光ダイオード(LED)402によって、電流、電圧、および/または電力を調節することができる。さらに、専用のコントローラ400は、プロセッサを用いるかどうかにかかわらず実装することができ、またいくつかの機能を実行するための専用のハードウェアと、1つまたはそれ以上のプログラムされたマイクロプロセッサとの組合せとして、他の機能を実行するための関連回路とともに実装することもできる。本開示の様々な実施形態で用いることができる専用のコントローラ400の例には、それだけに限定されるものではないが、従来のマイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、およびフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)が含まれる。
【0047】
本明細書では、LEDドライバ404は、画成された制御電流に基づいて調節され、それによってLED402などの関連する1つまたはそれ以上の光源へ供給される電位を制御するように構成される。本明細書の「ドライバ」404という用語は、抵抗器、キャパシタ、インダクタ、トランジスタ、動作増幅器などを含む受動もしくは能動アナログ構成要素、ならびに論理構成要素、シフトレジスタ、ラッチなどのディスクリートデジタル構成要素、または任意の他の別個にパッケージされたチップもしくはデジタル信号を実現するための他の構成要素など、任意のディスクリート回路を指す。ドライバ404は、LED出力の強度および/または電流値を調節するために、LED402などの光源の各々への電気供給を制御するように調節される。特に、LEDドライバ404は、LEDと制御回路の残り部分との間のインターフェースと同様に作用する。さらに、LED電流監視回路406は、関連回路内の抵抗の値を連続して測定することによって、1つまたはそれ以上のLED402の各々によって引き出される電圧の量を測定するように構成される。例示的な実施形態では、LED電流監視回路406は、LED402の各々を通って流れる電流を実効電圧に変換するために使用されるINA214AIDCKT電流モニタICである。LED電流監視回路406によって測定される電流の値は、アナログデジタル変換器ポートを介してマイクロコントローラ408によって読み取られる。マイクロコントローラ408は、抵抗器の電圧を連続して読み取り、必要に応じて必要な動作を行うように構成される。さらに、マイクロコントローラ408は、マイクロコントローラ408内で受信した1つまたはそれ以上の信号を処理するように、コンピューティングデバイス410に通信可能に連結される。さらに、専用のコントローラ400全体への一定の電力供給を確実にするために、電力供給412、たとえばDC電力供給が提供される。
【0048】
図3Aを再び参照すると、工程304で、1つまたはそれ以上の光源の各々を通る電流の値が、所定の閾値電流値と比較される。本明細書では、所定の閾値電流値は、1つまたはそれ以上の光源によって引き出される電流値であり、それを下回ると装置100が特定の結果を判定する際に不正確な結果および誤りをもたらす可能性がある。さらに、所定の電流値は、それを下回ると装置100を較正することが必要になる電流値である。特に、所定の閾値電流値は、装置100の機能に基づいて、装置100の製造時に画成される。さらに、所定の閾値は、1つまたはそれ以上の光源102の特定のモデルに基づいて、特定のデフォルト値に設定される。工程306で、1つまたはそれ以上の光源102の各々を通る電流が、所定の閾値電流値を上回るか、それとも所定の閾値電流値を下回るかが決定される。本明細書では、1つまたはそれ以上の光源102の各々を通る電流が所定の閾値電流値を上回る場合、「はい」の経路をたどり、工程308が実行される。しかし、1つまたはそれ以上の光源102の各々を通る電流が所定の閾値電流値を下回る場合、「いいえ」の経路をたどり、その後、工程310が実行される。工程310については、図3Bに関連して後に詳細に説明する。
【0049】
工程308で、1つまたはそれ以上の光源102の各々に対する判定された電流値が所定の閾値電流値を上回る場合、少なくとも1つの画像取得デバイス104に関連付けられたカラーゲイン値が修正される。本開示全体にわたって、本明細書の「カラーゲイン値」という用語は、画像取得デバイス104からの入力信号の増幅を制御するカメラ設定を指す。たとえば、3つのチャネル、たとえばREDチャネル、GREENチャネル、およびBLUEチャネルを含むRGBカメラの場合、REDチャネル、またはGREENチャネル、またはBLUEチャネル、またはこれらの組合せに対する入力信号の調節を実行して、ホワイトバランスを実行することができ、これはREDチャネル、またはGREENチャネル、またはBLUEチャネルに適用されるゲイン値である。したがって、カラーゲイン値を調整することによって、カメラの出力で白色の物体が白色に見えるように試行する。関心領域内の物体の真の画像を得る方法のうちの1つは、カラーゲイン値を調整することによってホワイトバランシングまたはカラーバランシングを実行することができるようにすることである。カラーゲイン値は、ユーザからの入力がなくても動的に調整されることが理解されよう。一例では、十分な量の多色性を有する所与の関心領域の場合、画像の赤色、緑色、および青色成分の平均値を平均して、共通のグレー値にするべきである(すなわち、mean(red)成分=mean(blue)成分=mean(green)成分)。したがって、ホワイトバランスを調整するために、赤カラーゲインおよび青カラーゲインの2つのパラメータを調整することによって、情景内の緑色成分、青色成分、および赤色成分の平均値を等しくする。画像取得デバイス104は、画像取得デバイス104のカラーゲインを修正することによって、特定の関心物体または関心領域の真の画像を得るように較正されることが理解されよう。一実施形態では、試験予定の複数の試料の真の画像を判定し、それに対する正確な結果を判定するために、画像取得デバイス104、たとえば比色分析装置に関連付けられたカメラのカラーゲイン値が調整される。一実施形態によれば、少なくとも1つの画像取得デバイス104に関連付けられたカラーゲイン値を較正することは、図5に説明するいくつかの工程を含む。
【0050】
図5を参照すると、本開示の一実施形態による少なくとも1つの画像取得デバイス104に関連付けられたカラーゲイン値を較正する方法500の工程を描く流れ図が示されている。工程502で、関心領域内に配置された少なくとも1つのカラーチェッカカードに関連付けられた画像に関係するカラー値が判定される。本開示全体にわたって、本明細書の「カラーチェッカカード」という用語は、関心領域に関連付けられた画像のカラーバランシングのための基準として使用される複数の彩色されたカラー試料を厚紙の枠に入れた配置を指す。特に、カラーチェッカカードは、色の数に応じて様々なサイズにすることができる。一例では、カラーチェッカカードは、1つまたはそれ以上の実世界の物体の色を模倣した異なる色プロファイルを含む。カラーチェッカカードなどの関心領域または色標的は、カメラおよび他の画像取得デバイスによって取り込むことができ、結果として得られる画像出力を元の図と比較して、画像取得デバイスが人間の視覚系にどの程度近似するかを試験することができる。さらに、本開示全体にわたって、本明細書の「カラー値」という用語は、1つまたはそれ以上の光源102によって生成される1つまたはそれ以上の放射周波数(または波長)を指す。加えて、「色」という用語は暗示的に、異なる波長成分および/または帯域幅を有する複数のスペクトルを指す。色という用語は、白色光および非白色光の両方に関連して使用することができることも理解されたい。
【0051】
特に、カラーチェッカカードは、画像取得デバイス104からの光が関心領域を十分に照明するように、関心領域内に配置される。前述のように、「関心領域」とは、正確な結果を得るために均一に照明する必要のある試料または分析物が配置された区域など、関心物体内およびその周辺の区域を指す。場合により、複数のカラーチェッカカードが関心領域内に配置される。カラーチェッカカードの数は、関心領域の面積、画像取得デバイス104の位置、画像取得デバイス104の角度などに依存する。本明細書では、カラーチェッカカードの画像が得られ、カラー値が得られることが理解されよう。複数のカラーチェッカカードが関心領域内に配置される場合、平均カラー値が得られる。
【0052】
工程504で、判定されたカラー値が、少なくとも1つのカラーチェッカカードに関係する既知トゥルーカラー値と比較される。カラーチェッカカード内の色の各々に対するトゥルーカラー値は知られており、カラーチェッカカードの画像から判定されるカラー値を比較して、既知トゥルーカラー値が判定されたカラー値に整合するかどうかを判定することが理解されよう。さらに、複数のカラーチェッカカードが関心領域内に配置される場合、複数のカラーチェッカカードの各々の個別カラー値の各々から、平均カラー値が計算される。次いで平均カラー値が、平均既知トゥルーカラー値と比較される。
【0053】
工程506で、判定されたカラー値が、少なくとも1つのカラーチェッカカードに関係する既知トゥルーカラー値に整合するか否かが決定される。本明細書では、判定されたカラー値がトゥルーカラー値に整合しない場合、「いいえ」の経路をたどり、工程510が実行される。さらに、判定されたカラー値がトゥルーカラー値に整合する場合、「はい」の経路をたどり、工程508が実行され、装置は正確に較正され、動作する準備ができたことが示される。工程508で、画像の判定されたカラー値を既知トゥルーカラー値に整合させるように、少なくとも1つの画像取得デバイス104に関連付けられたカラーゲイン値が修正される。本明細書では、画像取得デバイス104のゲイン値をユーザ介入なく動的に調節し、判定されたカラー値がカラーチェッカカードの既知トゥルーカラー値に整合するレベルまでゲイン値を調整する。
【0054】
例示的な実装形態では、特定の数のカラーチェッカカード、たとえば7つのカラーチェッカカードが、画像を取得するべき物体に近接して配置される。7という数は、限定的な性質であると解釈されるべきではなく、上述した理由で任意の数のカラーチェッカカードを関心領域内に配置することができることが理解されよう。画像取得デバイス104はその画像を取得し、各カラーカード内で8×8画素の領域を選択し、それによって7つの領域が得られる。さらに、7つの領域の各々におけるカラー値、たとえば平均RGB値が判定される。さらに、判定された7つの平均カラー値がカラーチェッカカードの既知トゥルーカラー値と整合され、平均カラー値が既知トゥルーカラー値に整合するまでこの手順が繰り返される。
【0055】
工程512で、画像取得デバイス104のカラーゲインが更新された状態で、後続の画像を取得し、さらに判定されたカラー値を既知トゥルーカラー値と比較して、判定されたカラー値が既知トゥルーカラー値に整合するかどうかを判定する。判定されたカラー値が既知トゥルーカラー値に整合しない場合、再び工程508が実行される。判定されたカラー値が既知トゥルーカラー値に整合する場合、工程510が実行される。本明細書に記載する方法は、関心領域の画像を取得する前に、効果的なデジタルカラーゲインの前処理を提供し、これは、関心領域の真の画像を得るために画像取得デバイス104を較正することをさらに支援することが理解されよう。本開示は、画像分解能および品質を大幅に増大させることができ、取得後の処理時間ならびに複雑な取得後のハードウェアおよびソフトウェアの必要を低減または解消することができる。
【0056】
図3Bを参照すると、本開示の一実施形態による1つまたはそれ以上の光源102のうちのいずれかを通る電流の値が所定の閾値電流値を下回る状態に対する方法310の工程を描く流れ図が示されている。特に、工程312は、1つまたはそれ以上の光源102を通る電流の値が所定の閾値電流値を下回るときにのみ実行される。工程312で、1つまたはそれ以上の光源102のうちのいずれかを通って流れる電流の値が所定の臨界閾値電流値を下回るか否かが比較される。本明細書では、1つまたはそれ以上の光源102のうちのいずれかを通って流れる電流の値が所定の臨界閾値電流値を下回る場合、工程316が実行される。さらに、1つまたはそれ以上の光源102のうちのいずれかを通って流れる電流の値が所定の臨界閾値電流値を上回るが、所定の閾値電流値を下回る場合、工程314が実行される。
【0057】
工程314で、1つまたはそれ以上の光源102の最適の出力強度を達成するように、1つまたはそれ以上の光源102を通って流れる電流の値が調節される。特に、1つまたはそれ以上の光源102に関連付けられた1つまたはそれ以上のドライバおよびマイクロコントローラを介して、電流の値を動的に調節することができる。一例では、光源102に関連付けられた抵抗の値を増大または減少させて、それに応じて流れる電流の値を増大または減少させることができる。本明細書では、所定の臨界閾値電流値は、それを下回ると1つまたはそれ以上の光源102が機能しなくなる電流値である。所定の臨界閾値電流値は、それを下回ると電流値を簡単に変化させることによって1つまたはそれ以上の光源102を訂正することができなくなる電流値であることが理解されよう。場合により、臨界閾値は、特定の装置100向けに設計された、または特定の装置100内で用いられる1つまたはそれ以上の光源102の製造時に画成される。工程316で、1つまたはそれ以上の光源102のうちのいずれかの値が所定の臨界閾値電流値を下回る場合、1つまたはそれ以上の光源102における障害が示される。本明細書では、一実施形態によれば、装置100は、1つまたはそれ以上の光源102における障害を示すための制御部をさらに含むことができる。一例では、制御部は、装置のハウジング上に設置されたLEDとすることができ、このLEDは、光源102のいずれかが機能しなくなったときに「ON」状態で動作するように構成される。別の例では、制御部は、光源102のいずれかが機能しなくなったときに音を出すように構成されたサイレンまたはアラームとすることができる。特に、障害のインジケーションは、使用中の装置100またはデバイス106が、1つまたはそれ以上の光源102の交換などの保守期限にきたことをさらに示す。そのような方法により、装置100が障害状態で動作しないことが確実になり、それによってそこから不正確な結果が生成されないことが確実になる。
【0058】
図6を参照すると、本開示の別の実施形態による少なくとも1つの画像取得デバイスを較正するための方法600の工程を描く流れ図が示されている。工程602で、関心領域の画像が取得される。前述のように、関心領域は、適切に照明するべき区域である。工程604で、関心領域の画像に関連付けられた均一照明率が判定される。本明細書では、「均一照明率」という用語は、関心領域内の適切な照明を示す定量的な値を指す。均一照明率は、1つまたはそれ以上の光源102の出力強度に正比例することが理解されよう。最適の均一照明率は、不均一な照明によって生じうる光の明暗のばらつきが存在しないことを確実にする。工程606で、判定された均一照明率が、所定の閾値均一照明率と比較される。工程608で、判定された均一照明率が所定の均一照明率を下回るか否かが決定される。本明細書では、判定された均一照明率が所定の均一照明率を下回るときは「はい」の経路をたどり、続いて工程610が実行される。さらに、判定された均一照明率が所定の均一照明率を上回るときは「いいえ」の経路をたどり、続いて工程612が実行される。工程610で、判定された均一照明率が所定の閾値均一照明率を下回る場合、関心領域内で均一の照明を得るように、1つまたはそれ以上の光源102の各々を通って流れる電流の値が調節される。本明細書では、均一の照明を得るために、特定の光源102を通って流れる電流を増大させることができ、別の光源102を通って流れる電流を減少させることができる。場合により、前述のように、光源102に関連付けられたドライバ404は、関心領域内で均一の照明を得るように、電流値を調節するように構成される。工程612で、上記で論じたように、画像取得デバイス104に関連付けられたカラーゲイン値が較正される。
【0059】
本開示は、装置を較正するための頑強な方法およびデバイスを提供することが有益である。さらに、装置の効果的な較正により、関心領域内で得られる画像の不均一な照明および色の不均衡による誤りのあらゆる可能性が軽減される。本明細書に開示する較正方策は、画成された順序で実行され、たとえばまず均一の照明が確実にされ、次いでカラーバランスが実現され、それによって従来のシステムに見られるような他のデバイスへの較正の依存が解消される。たとえば、不均一性を確認するためにカメラ(画像取得デバイス104など)を使用した場合、結果はカメラに関連するカメラ較正およびエラーに依存するはずである。しかし、本開示では、カメラを用いることなく均一の照明が測定または検出され、それによってカメラに関連する誤りが解消される。さらに、均一の照明が確実になって初めてカラーゲイン補正が実行され、それにより不均一な照明による誤りが解消される。したがって、本開示は、予期される理想的な画像に可能な限り近づくように、取得される画像の品質を改善する。特に、そのような技法では、画像処理のために画像を調整および強化するために必要とされうる前処理に必要とされる時間が回避される。取得された画像が均一の照明を有し、トゥルーカラーを確実にする適応的なRGBゲインを有するため、前処理に必要とされる時間および複雑さが低減される。上述したそのような方法は複雑さを低減させ、システムを本質的に頑強にすることが有益である。
【0060】
上記の例は、説明のみを目的として提供されており、決して本明細書に開示する本開示を限定すると解釈されるべきではない。本開示について様々な実施形態を参照して説明したが、本明細書に使用した言葉は限定的な言葉ではなく、説明的および例示的な言葉であることが理解されよう。さらに、本開示について特定の手段、材料、および実施形態を参照して本明細書に説明したが、本開示は、本明細書に開示する詳細に限定されることを意図したものではなく、逆に本開示は、添付の特許請求の範囲の範囲内に入るすべての機能的に同等の構造、方法、および用途に拡張される。本明細書の教示の利益を有する当業者であれば、その態様に関して本開示の範囲および趣旨から逸脱することなく、多数の修正および変更を加えることができる。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6