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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-15
(45)【発行日】2024-02-26
(54)【発明の名称】扉の製造方法
(51)【国際特許分類】
   E06B 3/70 20060101AFI20240216BHJP
   B27M 3/00 20060101ALI20240216BHJP
   E06B 3/72 20060101ALI20240216BHJP
   E06B 3/82 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
E06B3/70 H
B27M3/00 B
B27M3/00 K
E06B3/72
E06B3/82
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023014402
(22)【出願日】2023-02-02
【審査請求日】2023-02-02
(73)【特許権者】
【識別番号】518044734
【氏名又は名称】神谷コーポレーション湘南株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100073324
【弁理士】
【氏名又は名称】杉山 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100134898
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 克子
(72)【発明者】
【氏名】神谷 忠重
(72)【発明者】
【氏名】安藤 浩行
(72)【発明者】
【氏名】近藤 正夫
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-291590(JP,A)
【文献】特開平9-303055(JP,A)
【文献】特開2011-201235(JP,A)
【文献】特開平5-33560(JP,A)
【文献】特開平8-294907(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 3/70-3/88
B27M 1/00-3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
扉の大きさに合わせて扉の骨組み(木材)を切断する木取り工程と、切断した骨組み(木材)を組み立てて中央部に段コアと称する紙材を入れる芯組み工程と、組み立てた骨組みの表面と裏面に糊を塗布し、硬化剤が塗布された化粧板と貼り合わせる貼り合わせ及びプレス工程と、扉の横幅と高さを所定のサイズ切断する扉の幅と高さカット工程と、扉の両側面の化粧を行うため木口面にテープを貼り付ける縁貼り工程と、2台の加工機により行い、1台目の加工機によって扉の下と一方の側面部分の加工を行い、2台目の加工機によって扉の上ともう一方の側面部分の加工を行う加工工程と、扉を綺麗に清掃し、必要な金具を取り付けると共に反りを目視で測定し、許容し難いほどの反りがあれば、矯正する仕上げ工程とからなる扉の製造方法において、
前記扉の幅と高さカット工程と前記縁貼り工程との間に、次工程の設備に必要な情報を与えるためにQRコード(登録商標)ラベルを扉の表面に貼り付けるQRコード(登録商標)ラベル貼り付け工程を設け、更に前記QRコード(登録商標)ラベル貼り付け工程と縁貼り工程との間に、QRコード(登録商標)の内容を読み取るQRコード(登録商標)読取装置を備えた反り測定機によりワークとしての扉の反りを測定する工程を設けると共に、前記仕上げ工程の前に、前記反り測定機の判定結果の情報を反り判定モニタに表示する工程を設けたことを特徴とする扉の製造方法。
【請求項2】
前記反り測定機が、平面長方形の架台上に起伏自在に配置され、ワークとしての扉を載せる、平面長方形の立て起こし定盤と、前記立て起こし定盤を、幅方向において水平から垂直に変位させる手段と、前記立て起こし定盤に設けられ、ワークとしての扉の一方側の側片部を受ける受け具及びワークとしての扉の他方側の側片部を把持するクランプとからなるワーク保持手段と、前記立て起こし定盤に、該立て起こし定盤が垂直状態になったときにおいて、これに保持したワークとしての扉の表面において反りの測定位置間を幅方向に沿って移動するよう設けられた測定アームと、前記測定アームに取り付けられ、ワークとしての扉の幅方向における両側部の所定箇所の反りを検出する反り検出手段とからなる反り測定機である請求項1記載の扉の製造方法
【請求項3】
前記請求項1記載の扉の製造方法における仕上げ工程においてワークとしての扉の反りの矯正後に行う反りの測定に用いる反り測定機が、平面長方形の架台上に起伏自在に配置され、ワークとしての扉を載せる、平面長方形の立て起こし定盤と、前記立て起こし定盤を、幅方向において水平から垂直に変位させる手段と、前記立て起こし定盤に設けられ、ワークとしての扉の一方側の側片部を受ける受け具及びワークとしての扉の他方側の側片部を把持するクランプとからなるワーク保持手段と、前記立て起こし定盤に、該立て起こし定盤が垂直状態になったときにおいて、これに保持したワークとしての扉の表面において反りの測定位置間を幅方向に沿って移動するよう設けられた測定アームと、前記測定アームに取り付けられ、ワークとしての扉の幅方向における両側部の所定箇所の反りを検出する反り検出手段とからなる反り測定機である請求項1記載の扉の製造方法
【請求項4】
前記反り検出手段が、前記測定アームの軸方向の中央部に固定された固定センサと、前記測定アームの軸方向の両端側に設けられ、該測定アームの軸方向に移動する移動センサとをもって構成される反り検出手段である請求項2又は3記載の扉の製造方法
【請求項5】
前記固定センサと移動センサが距離測定センサである請求項4記載の扉の製造方法
【請求項6】
前記距離測定センサがレーザセンサである請求項5記載の扉の製造方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、扉の製造方法に関し、更に詳細には、扉の製造工程の途中に、反り測定機によりワークとしての扉の反りを測定する工程を設けると共に、仕上げ工程の前に、前記反り測定機の判定結果の情報を反り判定モニタに表示する工程を設けたことを特徴とする扉の製造方法に係わる。
【背景技術】
【0002】
従来における扉の製造方法は、扉の大きさに合わせて扉の骨組み(木材)を切断する木取り工程と、切断した骨組み(木材)を組み立てて中央部に段コアと称する紙材を入れる芯組み工程と、組み立てた骨組みの表面と裏面に糊を塗布し、硬化剤が塗布された化粧板と貼り合わせる貼り合わせ及びプレス工程と、扉の横幅と高さを所定のサイズに切断する扉の幅と高さカット工程と、扉の両側面の化粧を行うため木口面にテープを貼り付ける縁貼り工程と、2台の加工機により行い、1台目の加工機によって扉の下と一方の側面部分の加工を行い、2台目の加工機によって扉の上ともう一方の側面部分の加工を行う加工工程と、扉を綺麗に清掃し、必要な金具を取り付けると共に反りを目視で測定し、許容し難いほどの大きな反りがあれば矯正する仕上げ工程とからなるものである。
【0003】
ところで、扉に許容しいほどの大きな反りがあると外観の点や取付作業の点等において大きな問題となる。そこで、全ての製造工程を終了したときには、製造された扉は、そのいずれも反りの程度が許容された範囲内に収まるようにされる。
【0004】
従来における製造方法は、上記の通りの順序で行われており、扉の反りの測定と反りの矯正は、最終の仕上げ工程において行われていた。
【0005】
しかし、斯かる場合においては、最終の仕上げ工程まで各扉(ワーク)の反りの状態が全く分からないため、搬送された扉の全てについて一枚宛反りの状態を目視で測定しなければならず、多大な手間と時間を要するものであったまた、反りの測定作業が遅れることによりその後の反りの矯正作業も遅れることになり、仕上げ工程全体において多大な手間と時間を要し、生産効率が悪いという問題があった、
【0006】
また、上記の通り反りの測定は作業員の目視によって行われていることから、反りの程度の判断は精度が低く、そして、目視による反りの程度をもとに矯正作業が行われることから、矯正後における完成品の品質にばらつきが出るという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記の点に鑑みなされたものであって、扉の製造工程の途中に、反り測定機によりワークとしての扉の反りを測定する工程を設けると共に、仕上げ工程の前に、前記反り測定機の判定結果の情報を反り判定モニタに表示する工程を設けるようになして、仕上げ工程における作業員に対して、前もって、どの扉(ワーク)の、どこの部分に、どの程度の反りがあるかを知らせることができ、仕上げ工程の作業員による反りの測定作業を省略することができると共に、作業員の目視による反りの測定に比してはるかに精度良く反りの程度を認識させることができるようになし、もって、作業員が、許容できない反りのある扉を直ちに認識することができると共に、該扉のどこの部分に、どの程度の反りがあるかを予め認識することができるから、直ちに反りの矯正作業に着手することができ、仕上げ工程において行われる手間と時間を大幅に削減し、生産効率を大幅に向上させることができると共に、完成品の品質のばらつきをなくすることができるようになした扉の製造方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
而して、本発明の要旨とするところは、扉の大きさに合わせて扉の骨組み(木材)を切断する木取り工程と、切断した骨組み(木材)を組み立てて中央部に段コアと称する紙材を入れる芯組み工程と、組み立てた骨組みの表面と裏面に糊を塗布し、硬化剤が塗布された化粧板と貼り合わせる貼り合わせ及びプレス工程と、扉の横幅と高さを所定のサイズ切断する扉の幅と高さカット工程と、扉の両側面の化粧を行うため木口面にテープを貼り付ける縁貼り工程と、2台の加工機により行い、1台目の加工機によって扉の下と一方の側面部分の加工を行い、2台目の加工機によって扉の上ともう一方の側面部分の加工を行う加工工程と、扉を綺麗に清掃し、必要な金具を取り付けると共に反りを目視で測定し、許容し難いほどの反りがあれば、矯正する仕上げ工程とからなる扉の製造方法において、
前記扉の幅と高さカット工程と前記縁貼り工程との間に、次工程の設備に必要な情報を与えるためにQRコード(登録商標)ラベルを扉の表面に貼り付けるQRコード(登録商標)ラベル貼り付け工程を設け、更に前記QRコード(登録商標)ラベル貼り付け工程と縁貼り工程との間に、QRコード(登録商標)の内容を読み取るQRコード(登録商標)読取装置を備えた反り測定機によりワークとしての扉の反りを測定する工程を設けると共に、前記仕上げ工程の前に、前記反り測定機の判定結果の情報を反り判定モニタに表示する工程を設けたことを特徴とする扉の製造方法にある。
【0009】
また、上記構成において、前記反り測定機が、平面長方形の架台上に起伏自在に配置され、ワークとしての扉を載せる、平面長方形の立て起こし定盤と、前記立て起こし定盤を、幅方向において水平から垂直に変位させる手段と、前記立て起こし定盤に設けられ、ワークとしての扉の一方側の側片部を受ける受け具及びワークとしての扉の他方側の側片部を把持するクランプとからなるワーク保持手段と、前記立て起こし定盤に、該立て起こし定盤が垂直状態になったときにおいて、これに保持したワークとしての扉の表面において反りの測定位置間を幅方向に沿って移動するよう設けられた測定アームと、前記測定アームに取り付けられ、ワークとしての扉の幅方向における両側部の所定箇所の反りを検出する反り検出手段とからなる反り測定機であることが好ましい。
【0010】
また、上記構成において、扉の製造方法における仕上げ工程においてワークとしての扉の反りの矯正後に行う反りの測定に用いる反り測定機が、平面長方形の架台上に起伏自在に配置され、ワークとしての扉を載せる、平面長方形の立て起こし定盤と、前記立て起こし定盤を、幅方向において水平から垂直に変位させる手段と、前記立て起こし定盤に設けられ、ワークとしての扉の一方側の側片部を受ける受け具及びワークとしての扉の他方側の側片部を把持するクランプとからなるワーク保持手段と、前記立て起こし定盤に、該立て起こし定盤が垂直状態になったときにおいて、これに保持したワークとしての扉の表面において反りの測定位置間を幅方向に沿って移動するよう設けられた測定アームと、前記測定アームに取り付けられ、ワークとしての扉の幅方向における両側部の所定箇所の反りを検出する反り検出手段とからなる反り測定機であることが好ましい。
【0011】
また、上記構成において、前記反り検出手段が、前記測定アームの軸方向の中央部に固定された固定センサと、前記測定アームの軸方向の両端側に設けられ、該測定アームの軸方向に移動する移動センサとをもって構成される反り検出手段であることが好ましい。
【0012】
また、上記構成において、前記固定センサと移動センサが距離測定センサであることが好ましい。
【0013】
また、上記構成において、前記距離測定センサがレーザセンサであることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明は上記の如き構成であり、扉の製造工程の途中に、反り測定機によりワークとしての扉の反りを測定する工程を設けると共に、仕上げ工程の前に、前記反り測定機の判定結果の情報を反り判定モニタに表示する工程を設けたことを特徴とするものである。これにより、仕上げ工程における作業員に対して、前もって、どの扉(ワーク)の、どこの部分に、どの程度の反りがあるかを知らせることができ、仕上げ工程の作業員による反りの測定作業を省略することができると共に、作業員の目視による反りの測定に比してはるかに精度良く反りの程度を認識させることができるようになるものである。したがって、作業員が、許容できない反りのある扉を直ちに認識することができると共に、該扉のどこの部分に、どの程度の反りがあるかを予め認識することができるから、直ちに反りの矯正作業に着手することができ、仕上げ工程において行われる手間と時間を大幅に削減し、生産効率を大幅に向上させることができるものである。加えて完成品の品質のばらつきをなくすることができるようになるものである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態に係る扉の製造方法の説明図である。
図2】ワークとしての扉の反り測定箇所の説明図である。
図3】本発明の実施形態に係る扉の製造方法において用いる反り測定機の正面図である。
図4】同右側面図である。
図5】同ワーク上昇シリンダ部分の部分側断面図である。
図6】同平面図である。
図7】同概略的作用説明図であり、ワークとしての扉が立て起こし定盤上に搬送された状態を示すものである。
図8】同概略的作用説明図であり、立て起こし定盤が幅方向において途中まで起立した状態を示すものである。
図9】同概略的作用説明図であり、立て起こし定盤が垂直に起立し、測定アームがワークとしての扉の上辺側に位置している状態を示すものである。
図10】同概略的作用説明図であり、立て起こし定盤が垂直に起立し、測定アームが移動してワークとしての扉の下辺側に位置している状態を示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。
【0017】
本発明に係る扉の製造方法は、以下の工程においては従来と同様である。即ち、扉の大きさに合わせて扉の骨組み(木材)を切断する木取り工程と、切断した骨組み(木材)を組み立てて中央部に段コアと称する紙材を入れる芯組み工程と、組み立てた骨組みの表面と裏面に糊を塗布し、硬化剤が塗布された化粧板と貼り合わせる貼り合わせ及びプレス工程と、扉の横幅と高さを所定のサイズに切断する扉の幅と高さカット工程と、扉の両側面の化粧を行うため木口面にテープを貼り付ける縁貼り工程と、2台の加工機により行い、1台目の加工機によって扉の下と一方の側面部分の加工を行い、2台目の加工機によって扉の上ともう一方の側面部分の加工を行う加工工程と、扉を綺麗に清掃し、必要な金具を取り付けると共に反りを目視で測定し、必要があれば矯正する仕上げ工程とからなるものである。
【0018】
而して、本発明においては、図1に示す如く、前記扉の幅と高さカット工程と前記縁貼り工程との間に、次工程の設備に必要な情報を与えるためにQRコード(登録商標)ラベルを扉の表面に貼り付けるQRコード(登録商標)ラベル貼り付け工程を設け、更に前記QRコード(登録商標)ラベル貼り付け工程と縁貼り工程との間に、QRコード(登録商標)の内容を読み取るQRコード(登録商標)読取装置を備えた反り測定機によりワークとしての扉の反りを測定する工程を設けると共に、前記仕上げ工程の前に、前記反り測定機の判定結果の情報を反り判定モニタに表示する工程を設けたことを特徴とするものである。
【0019】
尚、図2にはワークとしての扉の反り測定箇所を示しており、戸先側と戸尻側の夫々における高さ方向の上、中、下の3箇所である。そして、戸先側と戸尻側の夫々において上下の平均値と中の測定値の差を比較判定するものである。また、その合否は、所定の品質基準より1.25mm/1000mm以内を合格とし、QRコード(登録商標)内にあるワークとしての扉の高さ方向の寸法を基に算出する。
【0020】
図3乃至図10において、1は前記反り測定機である。また、該反り測定機は、その製造工程において製造する、搬送された全てのワークとしての扉の反りを測定すると共に、後記反り判定モニタに全てのワークとしての扉の判定結果の情報を送るものである。また、該反り測定機1は、後記平面長方形の架台上に起伏自在に配置され、ワークとしての扉を載せる、平面長方形の立て起こし定盤と、前記立て起こし定盤を、幅方向において水平から垂直に変位させる手段と、前記立て起こし定盤に設けられ、ワークとしての扉の一方側の側片部を受ける受け具及びワークとしての扉の他方側の側片部を把持するクランプとからなるワーク保持手段と、前記立て起こし定盤に、該立て起こし定盤が垂直状態になったときにおいて、これに保持したワークとしての扉の表面において反りの測定位置間を幅方向に沿って移動するよう設けられた測定アームと、前記測定アームに取り付けられ、ワークとしての扉の幅方向における両側部の所定箇所の反りを検出する反り検出手段とからなるものである。
【0021】
また、該反り測定機1は、これと同様のものを、仕上げ工程の作業員が反りの矯正作業の終了後において反りを測定する際に使用すれば、反りの測定を迅速且つ正確に行うことができるものである。
【0022】
2は前記立て起こし定盤である。また、該立て起こし定盤2は、平面長方形をなし、平面長方形の架台3上に起伏自在に配置され、ワークとしての扉Wを載せるものである。
【0023】
4は前記立て起こし定盤2に、その長さ方向に沿って並設した複数の搬送ローラであり、ワークとしての扉Wを受けて搬送するものである。また、本実施形態においては、該搬送ローラ4としてパワーモーラ(登録商標)を用いている。
【0024】
5は前記立て起こし定盤2におけるワークとしての扉Wの搬送方向に沿って設置するワーク停止センサであり、立て起こし定盤2上に搬送されたワークとしての扉Wを所定の位置に停止させるものである。尚、ワークとしての扉Wは、一旦ワーク搬送方向前端のワーク停止センサ5の位置まで前進して停止し、その後、搬送ローラ4がゆっくり逆回転して後方側に移動し、搬送方向後方側の2個のワーク停止センサによって、その長さ方向の中心位置が、後記反り検出手段を構成するセンサのうちの中央の固定センサと一致する位置で停止させられる。
【0025】
6は前記立て起こし定盤2におけるワークとしての扉Wの搬入側寄りに設置するQRコード(登録商標)読取装置であり、QRコード(登録商標)ラベル貼り付け工程で貼り付けたQRコード(登録商標)の内容(ワークとしての扉Wの連番、高さ、幅等)を読み取るものである。
【0026】
7は前記立て起こし定盤2に、その長さ方向に沿って所定の間隔で並設した複数のワーク上昇シリンダであり、立て起こし定盤2が起立するとき、ワークとしての扉Wを前記搬送ローラ4より上方に押し上げるものである。また、該ワーク上昇シリンダ7の夫々は、前記立て起こし定盤2における幅方向の両側部間に架設した支持杆8に垂直に固定され、上端部に支持板9を取着している。
【0027】
10は前記立て起こし定盤2における幅方向の一方側であって、該立て起こし定盤2が起立するときに下側になる側の上面に取着された、ワーク保持手段としてのワーク受けであり、起立した状態のワークとしての扉Wの下縁を受けるものである。また、該ワーク受け10は、本実施形態においてはローラ付のワーク受けを用いており、立て起こし定盤2の長さ方向に沿って等間隔で複数取着している。
【0028】
11は前記立て起こし定盤2における幅方向の一方側であって、該立て起こし定盤2が起立するときに上側になる側の上面に取着され、起立した状態のワークとしての扉Wの上縁をクランプする、ワーク保持手段としての横押しクランプであり、ロッドレスシリンダ11aにより立て起こし定盤2の幅方向に移動するようになされている。該横押しクランプ11は縦断面コ字形をなし、本実施形態においては、立て起こし定盤2の長さ方向の中央部に2個設けられており、前記ワーク上昇シリンダ7によって押し上げられたワークとしての扉Wを、外側方(幅方向)からクランプして前記ワーク受け10側に押しつけるものである。
【0029】
12は前記立て起こし定盤2を、幅方向において水平から垂直に変位させる手段である。また、該手段12は、本実施形態においては、前記立て起こし定盤2の長さ方向に沿って伸び、架台3における幅方向の一方側の上面に設けた軸受13に回転自在に支承された回転軸14に、立て起こし定盤2における幅方向の略中央部の下部を連結体15を介して連結し、架台3に固着したシリンダ支持台16をもって垂直方向回動自在に支承されたロック付シリンダ17におけるピストンロッド17aの先端を立て起こし定盤2における前記回転軸14への連結部分より前記横押しクランプ11側に寄った位置に枢着連結してなるものである。尚、前記立て起こし定盤2が起こすときに重い場合には、図3に鎖線で示す如く、前記手段12と同様の構成の補助の手段12′を設けるようにしてもよい。
【0030】
18は前記立て起こし定盤2に、該立て起こし定盤2の表面においてこれの幅方向に沿って移動するよう設けられた測定アームである。また、該測定アーム18は、本実施形態においては、以下の構成により移動するようになされている。
【0031】
該測定アーム18は、長さ方向の両端部を夫々移動支承板19に支承されており、そして、該移動支承板19の夫々は、前記立て起こし定盤2におけるワークとしての扉Wの搬送方向の前後に位置する部分の上面に設けられた移動ガイド19aをもって摺動自在とされると共に、立て起こし定盤2に該移動ガイド19aに
沿って配設されたベルト20に連結されている。
【0032】
また、該ベルト20は、前記立て起こし定盤2におけるワークとしての扉Wの搬送方向の前後に位置する部分の外側に設けられた駆動プーリ21と従動プーリ22との間に掛け回されており、前記駆動プーリ21は、前記立て起こし定盤2における前記横押しクランプ11側の部分に固着された測定アーム移動ギアモータ23の回転軸に連結された回転軸24に取着されている。
【0033】
25、26、27は前記測定アーム18に軸方向に沿って取り付けられ、垂直状態に保持されたワークとしての扉Wの表面に沿って移動し、ワークとしての扉Wの反りを検出する反り検出手段を構成するセンサである。
【0034】
また、前記反り検出手段を構成するセンサ25、26、27の夫々は、センサ25が前記測定アーム18の軸方向の中央部に固定された固定センサであり、センサ26及びセンサ27が前記測定アーム18における軸方向の両端側に配置され、夫々該測定アーム18の軸方向に移動可能とされた移動センサである。また、該移動センサ26、27の移動はシリンダ28をもって行われ、該シリンダ28として本実施形態においてはロボシリンダ(登録商標)を用いている。
【0035】
また、前記反り検出手段を構成するセンサ25、26、27は、ワークとしての扉Wと各センサ間の距離を測定する距離測定センサであり、本実施形態においては赤外線センサを用いている。
【0036】
29はデータ処理装置であり、前記QRコード(登録商標)読取装置6の情報と前記反り検出手段としてのセンサ25、26、27の情報を記録し、それらの情報をまとめて後記仕上げ工程の前に設置した反り判定モニタに送るものである。
【0037】
30は仕上げ工程の前に設置した反り判定モニタであり、前記反り測定機1の判定結果の情報を表示するものである。
【0038】
次に、前記反り測定機1の作用について説明する。
先ず、QRコード(登録商標)読取装置6によりQRコード(登録商標)の内容(ワークとしての扉Wの連番、長さ、幅等)が取得される。そして、反り検出手段を構成する3個のセンサのうち、測定アーム18における軸方向の両端側に配置された2個の移動センサ26、27が、ワークとしての扉Wの長さに合わせて移動する。また、測定アーム18もワークとしての扉Wの幅に合わせて移動する。
【0039】
次に、この状態において、図7に示す如く、ワークとしての扉Wが立て起こし定盤2上に搬入され、搬送方向前端のワーク停止センサ5の位置で停止する。そして、その後搬送ローラ4がゆっくり逆回転してワークとしての扉Wを僅かに戻し、搬送方向後方側の2個のワーク停止センサによって、反り検出手段を構成する3個のセンサのうちの測定アーム18における軸方向の中央に配置された固定センサ25がワークとしての扉Wの長さ方向の中央に位置するようにする。
【0040】
次に、図5に示す如く、複数のワーク上昇シリンダ7が同時に作動し、ワークとしての扉Wを搬送ローラ4より上方に押し上げる。そして、複数の横押しクランプ11が水平に前進し、ワークとしての扉Wを外側方(幅方向)からクランプしてワーク受け10側に押し付ける。
【0041】
次に、図8に示す如く、立て起こし定盤2を幅方向において水平から垂直に変位せしめる。図9に示す如く、立て起こし定盤2が垂直に起立したら、測定アーム18が図6の待機位置から測定位置に移動し、ワーク上昇シリンダ7は元の位置まで戻る。そして、反り検出手段を構成するセンサ25、26、27により、ワークとしての扉Wの幅方向における上側部分、即ち、戸尻側における高さ方向の3箇所の反りを検出する。そして、これが終了したら、図10に示す如く、測定アーム18が下方に移動して測定位置で停止し、反り検出手段を構成するセンサ25、26、27により、ワークとしての扉Wの幅方向における下側部分、即ち、戸先側における高さ方向の3箇所の反りを検出する。
【0042】
上記の通り、反り検出手段を構成するセンサ25、26、27によりワークとしての扉Wの幅方向における上下の側の部分の夫々の所定箇所の反りの検知が終了したら、再びワーク上昇シリンダ7が上昇する。そして、立て起こし定盤2を元の状態になるように倒し、同時に測定アーム18を元の待機位置まで移動させる。尚、このときの動作は同時に行われる。その後、横押しクランプ11が元の位置まで戻ると、ワーク上昇シリンダ7も元の位置まで戻る。そして、反りの検出を終了したワークとしての扉Wは、搬送ローラ4によって次の工程に搬出されるものである。
【0043】
また、上記において立て起こし定盤2を軸方向において水平から垂直に変位させるときには、図4に示す如く、ロック付シリンダ17を作動させて行うものである。即ち、ロック付シリンダ17を作動してそのピストンロッド17aが伸出すると、立て起こし定盤2は回転軸14を回動支点として垂直方向に回動し、そして垂直に起立したときにはロック付シリンダ17のロック機構によりこの状態が保持されるものである。
【0044】
また、測定アーム18を立て起こし定盤2の幅方向に移動させるときには、図4に示す如く、測定アーム移動ギアモータ23を駆動し、回転軸24を介して駆動プーリ21を回転させるものである。そして、この駆動プーリ21が回転すると、これと従動プーリ22との間に掛け回されたベルト20が立て起こし定盤2の幅方向に回転し、該ベルト20に連結された移動支承板19の移動をもって測定アーム18が立て起こし定盤2の幅方向に移動させられるものである。
【0045】
上記の如く、反り検出手段を構成するセンサ25、26、27により検出された全てのワークとしての扉Wの反りの検知結果はデータ処理装置29に記録され、そして該反りの検知情報とQRコード(登録商標)読取装置6からの情報は、該データ処理装置29からまとめて仕上げ工程の前に設置した反り判定モニタ30に送り、該反り判定モニタ30に前記情報を表示するものである。
【0046】
本発明の実施形態は上記の通りであり、扉の製造工程の途中に、反り測定機によりワークとしての扉の反りを測定する工程を設けると共に、仕上げ工程の前に、前記反り測定機の判定結果の情報を反り判定モニタに表示する工程を設けたことを特徴とするものである。これにより、仕上げ工程の作業員に対して、前もって、どの扉(ワーク)の、どこの部分に、どの程度の反りがあるかを知らせることができ、仕上げ工程の作業員による反りの測定作業を省略することができると共に、作業員の目視による反りの測定に比してはるかに精度良く反りの程度を認識させることができるようになるものである。したがって、作業員が、許容できない反りのある扉を直ちに認識することができると共に、該扉のどこの部分に、どの程度の反りがあるかを予め認識することができるから、直ちに反りの矯正作業に着手することができ、仕上げ工程において行われる手間と時間を大幅に削減し、生産効率を大幅に向上させることができるものである。加えて完成品の品質のばらつきをなくすることができるようになるものである。
【0047】
また、前記反り測定機1と同様のものを、仕上げ工程の作業員が反りの矯正作業の終了後において反りを測定する際に使用すれば、反りの測定を迅速且つ正確に行うことができるものである。
【符号の説明】
【0048】
1 反り測定機
2 立て起こし定盤
3 架台
4 搬送ローラ
5 ワーク停止センサ
6 QRコード(登録商標)読取装置
7 ワーク上昇シリンダ
10 ワーク受け
11 横押しクランプ
12 立て起こし定盤の変位手段
13 軸受
14 回転軸
15 連結体
16 シリンダ支持台
17 ロック付シリンダ
18 測定アーム
19 移動支承板
20 ベルト
21 駆動プーリ
22 従動プーリ
23 測定アーム移動ギアモータ
24 回転軸
25、26、27 反り検出手段を構成するセンサ
28 センサ移動用のシリンダ
29 データ処理装置
30 反り判定モニタ
【要約】
【課題】 仕上げ工程において行われる手間と時間を大幅に削減し、生産効率を大幅に向上させることができると共に、完成品の品質のばらつきをなくすることができる扉の製造工程を提供する。
【解決手段】 扉の製造工程の途中に扉の反り測定機1を配設し、該扉の反り測定機1の判定結果の情報を、仕上げ工程前に設置した反り判定モニタ30に送るようにした。扉の反り測定機1は、幅方向において水平から垂直に起立する立て起こし定盤にワークとしての扉を保持する。立て起こし定盤が垂直に起立した状態において、該立て起こし定盤の幅方向に移動する測定アームに取り付けた3個の反り検出手段としてのセンサをもってワークとしての扉の戸先側と戸尻側の夫々における高さ方向の上、中、下の3箇所の反りを検出する。
【選択図】 図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10