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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-15
(45)【発行日】2024-02-26
(54)【発明の名称】ガス発生器
(51)【国際特許分類】
   B60R 21/264 20060101AFI20240216BHJP
   B01J 7/00 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
B60R21/264
B01J7/00 A
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023026466
(22)【出願日】2023-02-22
(62)【分割の表示】P 2018098226の分割
【原出願日】2018-05-22
(65)【公開番号】P2023059961
(43)【公開日】2023-04-27
【審査請求日】2023-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000002901
【氏名又は名称】株式会社ダイセル
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 紘士
【審査官】森本 康正
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-239141(JP,A)
【文献】特表2003-516891(JP,A)
【文献】国際公開第2013/008316(WO,A1)
【文献】特開平07-329690(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0200600(US,A1)
【文献】国際公開第2018/088134(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/043105(WO,A1)
【文献】特開2015-009625(JP,A)
【文献】特開平10-263336(JP,A)
【文献】国際公開第2010/050588(WO,A1)
【文献】特開平10-081190(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 21/16-21/33
B01J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス排出孔が形成されたハウジングと、
前記ハウジング内に配置される点火器と、
前記点火器により燃焼され、燃焼ガスを発生するガス発生剤と、
互いに協働して前記ハウジング内を上下2つの空間に分ける隔壁部材及び内筒部材と、
前記ハウジングの頂面部によって支持される上側端面、及び前記隔壁部材によって一部が接触支持される下側端面を有する筒状のフィルタと、
を備える、ガス発生器であって、
前記隔壁部材は前記ハウジングの周壁部と前記内筒部材とによって支えられた状態で、前記ハウジング内に配置されており、
前記フィルタは、前記上下2つの空間のうち上側の空間に配置され、前記下側端面のうち、前記隔壁部材によって接触支持される前記一部よりも半径方向外側に位置する外側部位が、所定空間と隣接するように、且つ、前記フィルタの前記下側端面近傍の外周部位である下側外周部位によって前記燃焼ガスの流れが阻まれるように、前記ハウジング内に配置されており
前記所定空間は、前記燃焼ガスから分離した燃焼残渣を取り込むように、形成されている、
ガス発生器。
【請求項2】
前記所定空間は、前記フィルタの周方向に沿って環状に形成される、
請求項1に記載のガス発生器。
【請求項3】
前記隔壁部材は、
前記ハウジングの周壁部に沿って延在する嵌合壁部と、
前記嵌合壁部に繋がり前記ハウジング内を上下の空間に分割する分割壁部と、
を有し、
前記所定空間は、前記嵌合壁部の内周面の延長線上に形成されている、
請求項1または2に記載のガス発生器。
【請求項4】
前記フィルタは、前記下側端面の近傍の外周部位が前記嵌合壁部によって接触支持されている、
請求項3に記載のガス発生器。
【請求項5】
前記所定空間は、
前記分割壁部の外縁部分を周方向に沿って連続的に突出させて形成した突出部と、
前記フィルタの前記下側端面の前記外側部位の間に形成されている、
請求項3又は4に記載のガス発生器。
【請求項6】
前記ハウジングは上部シェルと下部シェルで形成されており、
前記隔壁部材はさらに終端部を有し、前記終端部が前記下部シェルの周壁部の終端面上に置かれ、かつ前記上部シェルに突き当たった状態で前記ハウジング内に嵌合している、
請求項1から5の何れか1項に記載のガス発生器。
【請求項7】
前記隔壁部材に開口部が形成されている、
請求項1から6の何れか1項に記載のガス発生器。
【請求項8】
前記隔壁部材の開口部に前記内筒部材が嵌入されている、
請求項7に記載のガス発生器。
【請求項9】
前記上下2つの空間は前記ガス発生剤が充填された燃焼室であり、
前記所定空間は、前記隔壁部材の外縁部分を前記上下2つの空間のうち下側の空間へ突出させて形成した突出部と前記フィルタの下側端面との間に形成されている、請求項1から8の何れか1項に記載のガス発生器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、点火器の作動によりガス発生剤を燃焼させて燃焼ガスを発生させるガス発生器に関する。
【背景技術】
【0002】
燃焼室内に充填されたガス発生剤を燃焼させることで燃焼ガスを発生させ、その燃焼ガスを外部へ放出するガス発生器においては、点火器の作動によりガス発生剤を燃焼させることで発生した燃焼ガスの濾過及び冷却を行うためにフィルタが使用される場合がある。例えば、特許文献1には、そのハウジングの中に、第1点火器及び該第1点火器により燃焼されるガス発生剤を収容する第1燃焼室と、第2点火器及び該第2点火器により燃焼されるガス発生剤を収容する第2燃焼室とが配置され、各燃焼室で発生した燃焼ガスがハウジングに設けられた共通のガス排出孔から外部に排出されるように構成されるガス発生器において、各燃焼室とガス排出孔との間に、各燃焼室の外周を包囲する筒状のフィルタを配置する構成が開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、そのハウジングの中に第1燃焼室と第2燃焼室とが配置され、各燃焼室で発生した燃焼ガスが、各燃焼室に対応づけてハウジングに設けられた第1ガス排出孔と第2ガス排出孔とからそれぞれ排出されるように構成されるガス発生器において、各燃焼室と各燃焼室に対応するガス排出孔との間に、各燃焼室の外周を包囲する筒状のフィルタを配置する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】欧州特許出願公開第1568547号明細書
【文献】国際公開第2013/008316号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、引用文献1に示すガス発生器では、第1燃焼室を包囲するフィルタ(第1フィルタ)は、該フィルタの上端面とハウジングの頂面部との接触、該フィルタの下端面と分割板との接触、及び該フィルタの下端面近傍の内周面と分割板の第2筒状延長部との接触によりハウジング内に位置決めされているが、該フィルタの外周面が他の部材と接触することによる位置決めは為されていない。そのため、第1燃焼室に充填されるガス発生剤が第1点火器によって燃焼された場合に、第1燃焼室に燃焼ガスが発生することで、フィルタに対して半径方向外向きの力が働くと、フィルタが半径方向外側に膨らむような形に変形し易い。それに伴い、フィルタの上端面とハウジングの頂面部との間、フィルタの下端面と分割板との間、又はフィルタの下端側に位置する内周面と第2筒状延長部との間に、隙間が形成されてしまう可能性がある。その結果、燃焼ガスの一部がフィルタを通らずに上記隙間を通ってガス排出孔に至る、所謂「ショートパス」が発生する虞がある。
【0006】
上記したようなショートパスは、引用文献2に示すガス発生器においても発生し得る。すなわち、引用文献2に示すガス発生器において、第1燃焼室と第1ガス排出孔との間に配置されるフィルタ(第1フィルタ38)は、その上端面近傍の外周面が他の部材によって接触支持されていない。そのため、第1燃焼室に燃焼ガスが発生することでフィルタに対して半径方向外向きの力が働くと、フィルタの上端面と隔壁部材(第1天井壁部14B)との間に隙間を生じる可能性があり、その隙間を通った燃焼ガスがそのまま第1ガス排出孔に至る形でショートパスが発生する虞がある。
【0007】
本発明は、上記したような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、フィルタを具備するガス発生器における燃焼ガスのショートパスを抑制し得る技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のガス発生器では、燃焼室に充填されたガス発生剤が点火器によって燃焼せしめられることで、フィルタに対して半径方向外向きの力が働いた場合に、フィルタの半径方向外側への変形の抑制及び該変形に伴うショートパスの抑制を可能にするとともに、フィルタの少なくとも一方の端面と該端面の一部を接触支持するための他の部材との隙間に進入する燃焼ガスから燃焼残渣を取り除くことができるように、フィルタをハウジング内に位置決めする。
【0009】
具体的には、本発明は、ハウジングと、前記ハウジング内に配置される点火器と、前記点火器が収容され、且つ該点火器により燃焼されるガス発生剤が充填される燃焼室と、前記ハウジングに設けられ、該ハウジングの内部と外部とを連通するガス排出孔と、前記燃焼室を内部に含み、該燃焼室と前記ガス排出孔との間に配置される筒状のフィルタと、を備える、ガス発生器である。そして、前記フィルタは、該フィルタの軸方向の両端面のうち少なくとも一方の端面の一部が接触して支持されるとともに、該接触支持された部位よりも半径方向外側に位置する該少なくとも一方の端面の外側部位が所定空間と隣接するように、且つ、該フィルタの外周面のうち該少なくとも一方の端面近傍の所定外周部位が接触して支持されるように、前記ハウジング内に位置決めされるようにした。
【0010】
上記のガス発生器では、前記点火器の作動によって前記ガス発生剤が燃焼せしめられると、前記燃焼室内に燃焼ガスが発生することに伴い、該燃焼室内の圧力が上昇する。これにより、前記燃焼室と前記ガス排出孔との間に配置される筒状のフィルタに対し、該フィルタを半径方向外側へ変形させようとする力が働くことになる。ここで、本発明のフィルタは、軸方向の両端面の少なくも一方の端面(以下、「所定の端面」と記す場合もある。)の近傍における所定外周部位が前記ハウジング内に接触支持されるため、該フィルタの半径方向外側への変形を抑えることができる。また、上記所定の端面近傍の前記所定外周部位が前記ハウジング内で接触支持されることに加え、該所定の端面の一部も前記ハウジング内で接触支持されることで、前記フィルタの位置決めが為されるため、前記燃焼室内の圧力上昇に伴って前記フィルタに対して半径方向外側へ変形させる力が働いたとしても、該所定の端面の位置ずれを抑えることができる。その結果、上記所定の端面と該所定の端面の一部を接触支持するための他の部材との間に隙間が生じ難くなる。なお、仮に、上記所定の端面と該所定の端面の一部を接触支持するための他の部材との間に僅かな隙間が生じたとしても、その隙間に進入した燃焼ガスの流れは、前記所定外周部位と該所定外周部位を接触支持するための他の部材との接触部分で阻まれるため、上記の隙間に進入した燃焼ガスがそのまま前記ガス排出孔へ至る形でのショートパスの発生を抑制することができる。さらに、本発明のガス発生器では、前記フィルタは、上記所定の端面における一部の接触支持される部位より半径方向外側に位置する前記外側部位が前記所定空間に隣接するように位置決めされている。これにより、上記の隙間に進入した燃焼ガスに含まれる燃焼残渣を前記所定空間に取り込むことも可能となる。つまり、上記の隙間に進入する燃焼ガスは、概ね上記所定の端面に沿って半径方向外側へ向かって流れるため、該燃焼ガスが上記の隙間を通った後に前記所定外周部位を接触支持するための他の部材に衝突することになる。それにより、当該燃焼ガスに含まれる燃焼残渣は、該燃焼ガスが前記所定外周部位を接触支持するための他の部材に衝突した際に、該燃焼ガスから分離して前記所定空間に収容される。その結果、仮に上記の隙間に燃焼ガスが進入した場合であっても、該燃焼ガスに含まれる燃焼残渣がそのままガス排出孔に至ることも抑制することができる。
【0011】
ここで、本発明に係るガス発生器において、前記所定空間は、前記フィルタの所定外周部位に接触する部材に沿って、該所定外周部位と隣接して形成されるようにしてもよい。その場合、前記フィルタの上記所定の端面における外縁部近傍の部位が、前記外側部位として、フィルタの軸方向に沿って前記所定空間と隣接することになる。これにより、仮に、前記フィルタの上記所定の端面と該所定の端面の一部を接触支持するための他の部材との間に僅かな隙間が生じて、該隙間に燃焼ガスが進入した場合であっても、その燃焼ガスが前記フィルタの前記所定外周部位を接触支持するための他の部材に衝突した際に、当該燃焼ガスから分離する燃焼残渣をより確実に前記所定空間に取り込むことが可能となる。
【0012】
次に、本発明に係るガス発生器は、前記ハウジング内の空間を、前記燃焼室であり該ハウジングの軸方向における一端側に位置する第1燃焼室と、該ハウジングの軸方向における他端側に位置しガス発生剤が充填される第2燃焼室とに分割する隔壁部材と、前記隔壁部材に設けられ、前記第1燃焼室と前記第2燃焼室とを連通させる連通部と、を更に備えるように構成されてもよい。その場合、前記点火器は、第1点火器として前記第1燃焼室に収容されてもよい。一方、前記第2燃焼室には、第2点火器が収容されてもよい。また、前記フィルタは、前記ハウジングの軸方向における前記他端側に位置する端面側が前記隔壁部材により接触支持され、且つ前記第1燃焼室と前記ガス排出孔との間に配置されてもよい。そして、前記隔壁部材は、前記フィルタの前記他端側の端面における前記外側部位に前記所定空間を隣接させるように、前記第2燃焼室側に突出した突出部と、前記フィルタの前記他端側の端面近傍の前記所定外周部位に接触する周壁部と、を有するように構成されてもよい。
【0013】
上記のように構成されるデュアルタイプのガス発生器では、前記第1燃焼室に充填されるガス発生剤が前記第1点火器により燃焼され、前記第2燃焼室に充填されるガス発生剤が前記第2点火器により燃焼される。前記第1燃焼室に充填されるガス発生剤と前記第2燃焼室に充填されるガス発生剤は、同種類、同一形状、同一寸法のガス発生剤であってもよく、別種類、別形状、別寸法のガス発生剤であっても構わない。それぞれに対してどのようなガス発生剤を採用するかについては、ガス発生器としての燃焼ガスの放出特性に応じて適宜選択すればよい。ここで、前記ハウジング内には前記第1燃焼室と前記第2燃焼室とを、原則として隔離された空間として形成する隔壁部材が配置される。この隔壁部材により、各燃焼室に充填されたガス発生剤が、対応しない点火器の作用により燃焼されることを回避でき、以て、各点火器による、対応するガス発生剤の燃焼を所望通りに制御しやすくなる。
【0014】
一方で、前記隔壁部材には連通部が設けられており、この点において前記第1燃焼室と前記第2燃焼室とは、隔離した状態とはならない。これは前記連通部を利用して、燃焼により発生した燃焼ガスを前記第2燃焼室から前記第1燃焼室へ移動させるためである。上記のガス発生器では、前記第1燃焼室は前記ガス排出孔を介して外部と繋がっているが、前記第2燃焼室は直接に前記ガス排出孔を介して外部とは繋がっていない。すなわち、上記のガス発生器においては、前記第1燃焼室においてガス発生剤の燃焼で生じた燃焼ガスは、前記ガス排出孔を介して外部に排出されるが、前記第2燃焼室においてガス発生剤の燃焼で生じた燃焼ガスは、前記連通部を介して一旦前記第1燃焼室に移動した後に前記ガス排出孔から外部に排出されることになる。このように想定される燃焼ガスの流れが生じることで、ガス発生器として設計された放出特性を発揮することが可能となる。
【0015】
また、前記第1燃焼室と前記ガス排出孔との間には筒状のフィルタが配置されるため、前記第1燃焼室においてガス発生剤の燃焼で生じた燃焼ガス、及び前記第2燃焼室においてガス発生剤の燃焼で生じた燃焼ガスであって前記連通部を介して前記第1燃焼室に移動した燃焼ガスは、原則として前記フィルタで濾過及び冷却された後に前記ガス排出孔を介して外部に排出されることになる。
【0016】
ここで、前記第1燃焼室に充填されているガス発生剤が燃焼されることで燃焼ガスが発生した場合、及び前記第2燃焼室でガス発生剤が燃焼されることで生成される燃焼ガスが前記連通部を介して前記第1燃焼室に移動した場合には、前記第1燃焼室内の圧力が上昇することで、前記フィルタを半径方向外側に変形させようとする力が発生する。これに対し、上記のガス発生器では、前記フィルタの両端面のうち、前記ハウジングの軸方向における前記他端側に位置する端面(前述の所定の端面に相当)の一部が前記隔壁部材によって接触支持されるとともに、該所定の端面近傍の前記所定外周部位が前記隔壁部材の前記周壁部によって接触支持されることで、前記フィルタが前記ハウジング内に位置決めされる。そのため、上記の力が前記フィルタに働いた場合に、前記フィルタの上記所定の端面の位置ずれが抑制される。その結果、上記所定の端面と該所定の端面の一部を接触支持するための前記隔壁部材との間に隙間が生じ難くなる。なお、仮に、上記所定の端面と該所定の端面の一部を接触支持するための前記隔壁部材との間に僅かな隙間が生じたとしても、その隙間に進入した燃焼ガスの流れは、前記所定外周部位と該所定外周部位を接触支持するための前記隔壁部材の前記周壁部との接触部分によって阻まれることになる。これにより、上記の隙間に進入した燃焼ガスがそのまま前記ガス排出孔へ至る形でのショートパスの発生を抑制することもできる。さらに、上記のガス発生器では、前記フィルタの上記所定の端面における前記外側部位と前記隔壁部材の前記突出部との間に所定空間が形成されるため、上記の隙間に進入した燃焼ガスに含まれる燃焼残渣が該所定空間に取り込まれることになる。それにより、仮に上記の隙間に燃焼ガスが進入した場合であっても、該燃焼ガスに含まれる燃焼残渣がそのまま前記ガス排出孔に至ることも抑制することができる。
【0017】
なお、前記ハウジング内の空間が、該ハウジングの軸方向における一端側に位置する第1燃焼室と、該ハウジングの軸方向における他端側に位置する第2燃焼室とに隔壁部材によって分割されるデュアルタイプのガス発生器において、前記ハウジングは、前記フィルタの両端面のうち前記ハウジングの軸方向における前記一端側に位置する端面の前記外側部位に前記所定空間を隣接させるように、前記ハウジングの軸方向外側に突出したハウジング突出部と、前記フィルタの前記一端側の端面近傍の前記所定外周部位に接触するハウジング周壁部と、を有するようにしてもよい。換言すると、フィルタの両端面のうちハウジングの軸方向における前記一端側に位置する端面が上記所定の端面となるように、前記フィルタが前記ハウジング内に位置決めされてもよい。
【0018】
上記のガス発生器によれば、前記フィルタを半径方向外側へ変形させようとする力が発生した場合に、前記フィルタの前記所定外周部位が前記ハウジング周壁部によって接触支持されていることで、該フィルタの半径方向外側への変形を抑えることができる。さらに、前記フィルタの前記所定外周部位が前記ハウジング周壁部によって接触支持されることに加え、前記フィルタの前記一端側の端面における一部が前記ハウジングによって接触支持されるため、前記フィルタの前記一端側の端面が位置ずれすることも抑制することができる。その結果、前記フィルタの前記一端側の端面と該端面の一部を接触支持するための前記ハウジングとの間に隙間が生じ難くなる。また、仮に、前記フィルタの前記一端側の端面と該端面の一部を接触支持するための前記ハウジングとの間に僅かな隙間が生じたとしても、その隙間に進入した燃焼ガスの流れは、前記フィルタの前記所定外周部位と前記ハウジング周壁部との接触部分で阻まれるため、上記の隙間に進入した燃焼ガスがそのままガス排出孔へ至る形でのショートパスの発生を抑制することができる。さらに、上記のガス発生器では、前記フィルタの前記一端側の端面における前記外側部位と前記ハウジング突出部との間に所定空間が形成されるため、上記の隙間に進入した燃焼ガスに含まれる燃焼残渣が該所定空間に取り込まれることになる。それにより、仮に上記の隙間に燃焼ガスが進入した場合であっても、該燃焼ガスに含まれる燃焼残渣がそのまま前記ガス排出孔に至ることも抑制することができる。
【0019】
また、前記ハウジング内の空間が、前記燃焼室であり該ハウジングの軸方向における一端側に位置する第1燃焼室と、該ハウジングの軸方向における他端側に位置しガス発生剤が充填される第2燃焼室とに隔壁部材によって分割されるデュアルタイプのガス発生器において、フィルタの両端面の各々が上記所定の端面となるように、前記フィルタが前記ハウジング内に位置決めされてもよい。例えば、前記ハウジングが、前記フィルタの前記一端側の端面における外側部位に所定空間を隣接させるように前記ハウジングの軸方向外側に突出したハウジング突出部と、前記フィルタの前記一端側の端面近傍の所定外周部位に接触するハウジング周壁部と、を有する一方で、前記隔壁部材が、前記フィルタの前記他端側の端面における外側部位に所定空間を隣接させるように前記第2燃焼室側に突出した突出部と、前記フィルタの前記他端側の端面近傍の所定外周部位に接触する周壁部と、を有するようにしてもよい。このようにフィルタがハウジング内に位置決めされると、該フィルタを半径方向外側に変形させようとする力が発生した際に、該フィルタの変形をより抑えることができるとともに、ショートパスの発生や燃焼残渣の外部への放出をより確実に抑制することができる。
【0020】
なお、ハウジング内に燃焼室が1つのみ形成されるシングルタイプのガス発生器においては、前記フィルタは、少なくとも一方の端面側がハウジングにより接触支持され、且つ燃焼室とガス排出孔との間に配置されるようにしてもよい。その場合、前記ハウジングは、前記フィルタの前記少なくとも一方の端面における前記外側部位に前記所定空間を隣接させるように、前記ハウジングの外側に突出したハウジング突出部と、前記フィルタの前記少なくとも一方の端面近傍の前記所定外周部位に接触するハウジング周壁部と、を有するようにしてもよい。このように前記フィルタが前記ハウジング内に位置決めされると、ハウジング内に燃焼室が1つのみ形成されるシングルタイプのガス発生器においても、該フィルタを半径方向外側に変形させようとする力が発生した場合に、該フィルタの変形を抑えることができるとともに、ショートパスの発生や燃焼残渣の外部への排出を抑制することができる。
【0021】
ここで、上述までのガス発生器において、前記所定空間は、前記フィルタの周方向に沿って断続的に形成されてもよいが、燃焼ガスに含まれる燃焼残渣をより確実に取り除くという観点にたつと、前記所定空間は、前記フィルタの周方向に沿って連続的に形成、すなわち、前記フィルタの周方向に沿って環状に形成されてもよい。
【0022】
また、上述までのガス発生器において、前記フィルタを半径方向外側へ変形させようとする力が発生した際の該フィルタの半径方向外側への変形をより確実に抑えるという観点にたつと、前記フィルタの外周面のうち前記所定外周部位以外の部位もハウジング内で接触支持する方法が考えられる。すなわち、前記フィルタの外周面と前記ハウジングとの間に隙間が形成されないように、前記フィルタを前記ハウジング内に位置決めする方法が考えらえる。しかしながら、斯様な構成によれば、前記フィルタの半径方向外側への変形を抑えることができるものの、点火器の作動によってガス発生剤が燃焼された際に燃焼室内で発生する燃焼ガスが、前記フィルタにおける前記ガス排出孔近傍の部位に集中して流れ易くなるため、前記フィルタにおける前記ガス排出孔近傍以外の部位を有効に利用することが困難になる。それにより、フィルタによる燃焼ガスの濾過及び冷却が効果的に行われなくなる可能性がある。そこで、本発明に係るガス発生器では、前記フィルタの外周面のうち前記所定外周部位以外の部位の少なくとも一部と前記ハウジングとの間に、前記ガス排出孔に繋がる環状の隙間が形成されるようにしてもよい。このような構成によれば、フィルタによる燃焼ガスの濾過効果及び冷却効果を確保しつつ、フィルタの半径方向外側への変形を抑えることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、フィルタを具備するガス発生器における燃焼ガスのショートパスを効果的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】第1の実施例におけるガス発生器の概略構成を示す図である。
図2】ガス発生器におけるフィルタ近傍の構成を示す図である。
図3】上下隔壁部材における突出部の構成例を示す図である。
図4】上下隔壁部材における突出部の他の構成例を示す図である。
図5】フィルタに不均一な力が働いた場合におけるフィルタの変形の一例を示す図である。
図6】フィルタの下側端面と上下隔壁部材の分割壁部との隙間に進入した燃焼ガスの流れを模式的に示す図である。
図7】第1の実施例の変形例におけるガス発生器の概略構成を示す図である。
図8】第1の実施例の変形例におけるガス発生器の他の構成例を示す図である。
図9】第2の実施例におけるガス発生器の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、図面を参照して本発明の実施形態に係るガス発生器について説明する。なお、以下の実施形態の構成は例示であり、本発明はこれらの実施の形態の構成に限定されるものではない。
【0026】
<実施例1>
図1は、ガス発生器1の高さ方向の断面図である。ガス発生器1は、上部シェル2及び下部シェル3で形成されるハウジング4内に充填されたガス発生剤を燃焼させて、その燃焼生成物である燃焼ガスを放出するように構成されている。上部シェル2は、大径周壁部2c、小径周壁部2d、及び頂面部2eを有し、これらにより凹状の内部空間を形成する。頂面部2eは、後述の下部シェル3の底面部3bとともに、上面視で概ね円形状を有している。大径周壁部2c及び小径周壁部2dは、頂面部2eの周囲を囲み、該頂面部2eから概ね垂直に延在した環状の壁面を形成している。上部シェル2の内部空間は、後述するように第1ガス発生剤22が充填される空間である。小径周壁部2dの一端側(図1中の上側)に頂面部2eが接続され、その他端側(図1中の下側)に該小径周壁部2dより拡径された大径周壁部2cが接続される。また、大径周壁部2cの他端側(図1中の下側)は、上部シェル2の開口部となる。そして、大径周壁部2cの当該他端側には、当該開口部から順に、嵌合壁部2a、突き当て部2bが設けられている。嵌合壁部2aによる内部空間の半径は、大径周壁部2cによる内部空間の半径より大きく形成され、嵌合壁部2aは、突き当て部2bを介して大径周壁部2cへと繋がっている。
【0027】
下部シェル3は、周壁部3aと底面部3bを有し、これらにより凹状の内部空間を形成する。周壁部3aは、底面部3bの周囲を囲み、該底面部3bから概ね垂直に延在した環状の壁面を形成している。下部シェル3の内部空間は、後述するように第2ガス発生剤26が充填される空間である。周壁部3aの一端側(図1中の上側)が下部シェル3の開口部となり、その他端側(図1中の下側)に底面部3bが接続される。そして、周壁部3aは、その外径が上部シェル2の嵌合壁部2aの内径と概ね同じである。また、下部シェル3の底面部3bには、第1点火器23と第2点火器27がそれぞれ固定される嵌合孔3c及び嵌合孔3dが設けられている。
【0028】
ハウジング4内には、上部シェル2と下部シェル3との間に上下隔壁部材10と内筒部材40が配置されている。上下隔壁部材10と内筒部材40とは協働してハウジング4内の空間を、ハウジング4の軸方向における一端側(図1中の上側)に位置し第1ガス発生剤22が充填される第1燃焼室21と、ハウジング4の軸方向における他端側(図1中の
下側)に位置し第2ガス発生剤26が充填される第2燃焼室25とに分割することとなる。
【0029】
内筒部材40は、内部に空間を有する筒状の部材であって、下部シェル3の底面部3bに接合される終端部45と、その終端部45から上方に延在する周壁部44と、周壁部44に繋がる接続部43と、接続部43と繋がり更に上方に延在し且つ内側空間の直径が周壁部44より小さい嵌合壁部42と、嵌合壁部42に繋がり内部空間側に曲がって終端し、その端縁によって開口部を形成する終端部41とを有する。図1に示すように、終端部45が下部シェル3の嵌合孔3cの近傍に当接し、且つ、嵌合孔3cに固定された第1点火器23が内筒部材40の内部に収容されるように、内筒部材40が底面部3bに接合されると、周壁部44及び嵌合壁部42が底面部3bに対して概ね垂直に且つ頂面部2eに向かって延在した状態となる。
【0030】
上下隔壁部材10は、終端部15と、その終端部15から下部シェル3の周壁部3aに沿って延在する嵌合壁部14と、嵌合壁部14に繋がりハウジング4内を概ね上下の空間に分割する分割壁部13と、分割壁部13に繋がり上部シェル2の頂面部2eに向かって延在する周壁部12とを有する。なお、周壁部12の開放端部11によって、上下隔壁部材10には開口部が形成されている。そして、図1に示すように、終端部15が下部シェル3の周壁部3aの終端面上に置かれて上下隔壁部材10がハウジング4に取り付けられたとき、開放端部11によって形成される上下隔壁部材10の開口部に、内筒部材40の嵌合壁部42が嵌入された状態となる。その結果、上下隔壁部材10は、下部シェル3の周壁部3aと内筒部材40とによって支えられた状態でハウジング4内に配置されることになり、その配置状態では、分割壁部13は、上部シェル2の頂面部2eや下部シェル3の底面部3bに概ね平行となる壁面を形成している。
【0031】
また、内筒部材40の周壁部44には連通孔46が設けられており、連通孔46(本発明に係る「連通部」に相当)は、上下隔壁部材10と内筒部材40により分割されて形成される第1燃焼室21と第2燃焼室25とを連通する。連通孔46は、第1ガス発生剤22が燃焼したときは開口せず、第2ガス発生剤26が燃焼したときに開口するように、図示していない閉塞部材で閉塞されている。なお、第1燃焼室21と第2燃焼室25とを連通させる方法は、内筒部材40の周壁部44に孔を設ける方法に限られず、内筒部材40の内部空間と第2燃焼室25とを連通させることができれば、適宜変更可能である。また、分割壁部13に連通孔を設けることで、第1燃焼室21と第2燃焼室25とを連通させてもよい。
【0032】
ガス発生器1の組立については、下部シェル3の嵌合孔3c、3dにそれぞれ第1点火器23、第2点火器27を固定し、内筒部材40が第1点火器23を収容するようにその内筒部材40を下部シェル3に対して当接する。このように内筒部材40が配置されることで、該内筒部材40の周囲を囲むように第2燃焼室25が形成されることになり、そこに第2ガス発生剤26が充填される。そして、第2ガス発生剤26が充填されると、下部シェル3及び内筒部材40に対して上下隔壁部材10が取り付けられる。このとき、上下隔壁部材10と充填されている第2ガス発生剤26との間には、第2ガス発生剤26の振動を抑制するためのクッション29が配置される。また、第2ガス発生剤26と下部シェル3との接触により第2ガス発生剤26の粉化を抑制するための、樹脂製のシート部材28が下部シェル3の周壁部3aの内壁面に配置されている。
【0033】
下部シェル3及び内筒部材40に上下隔壁部材10を取り付けた後は、上下隔壁部材10に対して筒状のフィルタ32を配置し、その内側に第1ガス発生剤22を充填するとともに上部シェル2が取り付けられる。なお、フィルタ32の位置決めについては後述する。上記の通り、上部シェル2における嵌合壁部2aの内径は、下部シェル3における周壁
部3aの外径と概ね同じに形成されているため、上部シェル2は、その突き当て部2bが上下隔壁部材10の終端部15に突き当たるまで、下部シェル3に対して嵌め込まれる。上部シェル2の突き当て部2bが終端部15に突き当たった状態において、嵌合壁部14は下部シェル3の周壁部3aに嵌合された状態となる。なお、ハウジング4において、上部シェル2、下部シェル3の接触部位は、内部に充填されるガス発生剤の防湿等のために好適な接合方法(例えば、溶接等)により接合される。
【0034】
このようにハウジング4においては、上下隔壁部材10と内筒部材40とによってその内部空間が概ね上下に2つの空間、すなわち第1燃焼室21と第2燃焼室25に分割されることになる。なお、内筒部材40の内部空間は、終端部41による開口部を介して上部シェル2側の内部空間と繋がることで、第1燃焼室21が形成されることになる。ハウジング4の内部空間のうち第1燃焼室21には、第1点火器23、第1ガス発生剤22が配置され、第2燃焼室25には、第2点火器27、第2ガス発生剤26が配置されることで、ガス発生器1は2つの第1点火器23、第2点火器27を備えるデュアルタイプのガス発生器として構成される。なお、第1点火器23と第2点火器27はともに下部シェル3の底面部3b上に固定されており、そのため、第1点火器23は、第1点火器23の側方が内筒部材40に囲まれ、且つその頂部が内筒部材40の終端部41から上部シェル2側に飛び出さないように、内筒部材40内に収められた状態となっている。
【0035】
ここで、第1燃焼室21では、内筒部材40による収容空間には第1点火器23が収容されるため、その上方の空間(概ね、上下隔壁部材10より上方の空間)に第1ガス発生剤22が充填されることになるが、その第1ガス発生剤22を取り囲むように環状のフィルタ32が配置されている。また、第1ガス発生剤22が第1燃焼室21内で不要に振動しないように付勢するクッション31が、上部シェル2の頂面部2eの内側に配置されている。第1ガス発生剤22は、比較的燃焼温度の低いガス発生剤を使用している。第1ガス発生剤22の燃焼温度は、1000~1700℃の範囲にあることが望ましく、例えば、硝酸グアニジン(41重量%)、塩基性硝酸銅(49重量%)及びバインダーや添加物からなる、単孔円柱状のものを用いることができる。
【0036】
本例におけるフィルタ32は、ステンレス鋼製平編の金網を半径方向に重ね、半径方向及び軸方向に圧縮して形成されており、第1ガス発生剤22による燃焼ガスを冷却し、その燃焼残渣を捕集する。フィルタ32として、その他に針金を心棒に多層に巻いて形成された巻線タイプの構造のものを採用してもよい。なお、フィルタ32は、第2燃焼室25に充填された第2ガス発生剤26による燃焼ガスの冷却、及びその燃焼残渣の捕集も行う。また、上部シェル2の大径周壁部2cとフィルタ32との間に形成される間隙33により、フィルタ32の周囲に半径方向断面に環状のガス通路が形成される。この間隙33により、燃焼ガスはフィルタ32の全領域を通過し易くなり、フィルタ32の有効利用と燃焼ガスの効果的な冷却及び濾過が達成される。フィルタ32を通過して間隙33に到達した燃焼ガスは、大径周壁部2cに設けられたガス排出孔5に至る。また、ハウジング4内に外部より湿気が侵入するのを阻止するために、ガス発生器1の作動前では、アルミニウムテープ34によりガス排出孔5がハウジング4の内部から塞がれている。
【0037】
また、第2燃焼室25では、下部シェル3の嵌合孔3dに固定された第2点火器27に対応して、第2ガス発生剤26が充填されている。第2ガス発生剤26にも、第1ガス発生剤22と同様に、硝酸グアニジン(41重量%)、塩基性硝酸銅(49重量%)及びバインダーや添加物からなる、単孔円柱状のものを用いることができる。
【0038】
このような構成により、ガス発生器1では第1点火器23の作動による第1ガス発生剤22の燃焼と、第2点火器27の作動による第2ガス発生剤26の燃焼とによって、比較的多量の燃焼ガスを生成して、その燃焼ガスを外部に放出することができる。また、本実
施例においては、第2点火器27は、第1点火器23の作動タイミング以降の所定のタイミングで作動される。各点火器の作動タイミングは、そこで発生する燃焼ガスの外部への放出タイミングに相関する。したがって、ガス発生器1に対して求められる燃焼ガスの放出特性に応じて、各点火器の作動タイミングは決定され、それによってガス発生器1全体の出力性能が決まる。ここで、ガス発生器1では、第1点火器23が作動した場合に、第1燃焼室21で第1ガス発生剤22が燃焼することで生じた燃焼ガスが、フィルタ32によって冷却及び濾過された後にガス排出孔5を介して外部へと放出されることが想定されている。そして、第1点火器23以降に第2点火器27が作動した場合に、第2燃焼室25で第2ガス発生剤26が燃焼することで生じた燃焼ガスが、連通孔46を経て第1燃焼室21へ移動し、第2燃焼室25から第1燃焼室21へ移動した燃焼ガスがフィルタ32によって冷却及び濾過された後にガス排出孔5を介して外部へと放出されることが想定されている。したがって、ガス発生器1では、第1燃焼室21で生じた燃焼ガスと第2燃焼室25で生じた燃焼ガスがフィルタ32を適切に通過するように、該フィルタ32をハウジング4内に位置決めする必要がある。
【0039】
(フィルタ32の位置決めについて)
そこで、本実施例のガス発生器1では、第1燃焼室21で生じた燃焼ガス、及び第2燃焼室25で生じた燃焼ガスがフィルタ32を適切に通過するように、該フィルタ32がハウジング4内に位置決めされている。フィルタ32をハウジング4内に位置決めする構成について、図2及び図3に基づいて説明する。図2は、ガス発生器1におけるフィルタ32近傍の高さ方向の断面図である。図3は、上下隔壁部材10の平面図である。
断面図である。
【0040】
ここで、本実施例におけるフィルタ32は、その外径が上部シェル2における小径周壁部2dの内径及び上下隔壁部材10における嵌合壁部(周壁部)14の内径と概ね同じとなり、且つその軸方向の長さ(高さ)が上部シェル2における頂面部2eの下側壁面と上下隔壁部材10における分割壁部13の上側壁面との間隙の寸法と概ね同じとなるように形成される。このように形成されるフィルタ32は、上部シェル2と下部シェル3と上下隔壁部材10とが接合された状態において、該フィルタ32の軸方向における一端側(図2中の上側)の端面である上側端面321が上部シェル2の頂面部2eによって接触支持されるとともに、他端側(図2中の下側)の端面である下側端面320の一部(半径方向内側に位置する部位(以下、「内側部位」と記す。))320aが上下隔壁部材10の分割壁部13によって接触支持されることで、ハウジング4内における垂直方向(高さ方向)の位置決めが為される。そして、当該フィルタ32は、上部シェル2と下部シェル3と上下隔壁部材10とが接合された状態において、該フィルタ32の上側端面321近傍の外周部位である上側外周部位32bが上部シェル2の小径周壁部2dによって接触支持されるとともに、下側端面320近傍の外周部位である下側外周部位32a(本発明に係る「所定外周部位」に相当)が上下隔壁部材10の嵌合壁部14によって接触支持されることで、ハウジング4内における水平方向の位置決めが為される。また、フィルタ32の下側端面320のうち、内側部位320aより半径方向外側の部位、すなわち下側端面320における外縁部近傍の部位である外側部位320bは、分割壁部13の外縁部分を第2燃焼室25側へ突出させた突出部13aとの間に所定空間35を形成している。つまり、フィルタ32の下側端面320における外側部位320bは、嵌合壁部14に沿って所定空間35と隣接している。ここで、上記突出部13aは、図3に示すように、分割壁部13の外縁部分を周方向に沿って連続的に突出させた環状形状を有している。なお、上記突出部13aは、図4に示すように、分割壁部13の外縁部分を周方向に沿って断続的に突出させて形成されてもよく、突出量を異ならせて環状に形成してもよい。また、所定空間35は、嵌合壁部14の内周面の延長線上に形成されている。
【0041】
このようにフィルタ32がハウジング4内に位置決めされたガス発生器1では、第1点
火器23が第1ガス発生剤22を燃焼させることで第1燃焼室21内に燃焼ガスが発生した場合、及び第2点火器27が第2ガス発生剤26を燃焼させることで第2燃焼室25内に発生した燃焼ガスが連通孔46を経て第1燃焼室21へ移動した場合に、第1燃焼室21内の圧力が上昇することで、図5中の矢印で示すように、フィルタ32を半径方向外側へ変形させようとする力が発生する。これに対し、本実施例のガス発生器1では、フィルタ32の上側外周部位32bが上部シェル2の小径周壁部2dによって接触支持されるとともに、フィルタ32の下側外周部位32aが上下隔壁部材10の嵌合壁部14によって接触支持されるため、フィルタ32の半径方向外側への変形を抑えることができる。さらに、フィルタ32の上側外周部位32bが上部シェル2の小径周壁部2dによって接触支持され且つ下側外周部位32aが上下隔壁部材10の嵌合壁部14によって接触されることに加え、フィルタ32の上側端面321が上部シェル2の頂面部2eによって接触支持され且つ下側端面320の内側部位320aが上下隔壁部材10の分割壁部13によって接触支持されることで、第1燃焼室21内の圧力上昇に起因してフィルタ32を半径方向外側へ変形させる力が働いたとしても、フィルタ32の上側端面321及び下側端面320の位置ずれを抑制することができる。これにより、フィルタ32の下側端面320における内側部位320aと上下隔壁部材10の分割壁部13との間に隙間が生じることを抑制することができる。また、前述の図3又は図4に示すように分割壁部13に突出部13aが設けられると、該突出部13aが補強リブの役目を果たすことで、分割壁部13の剛性が高められるため、第1燃焼室21や第2燃焼室25で第1ガス発生剤22や第2ガス発生剤26が燃焼した際の圧力で分割壁部13が変形することを抑制することもできる。これにより、分割壁部13と内側部位320aとの間に、分割壁部13の変形に起因する隙間が形成されることも抑制される。よって、燃焼ガスがフィルタ32を経由せずに上記の隙間を通ってガス排出孔5に至る形でショートパスが発生することを抑制することができる。
【0042】
ところで、第1点火器23が第1ガス発生剤22を燃焼させることで第1燃焼室21内に燃焼ガスが発生した場合、及び第2点火器27が第2ガス発生剤26を燃焼させることで第2燃焼室25内に発生した燃焼ガスが連通孔46を経て第1燃焼室21へ移動した場合に、フィルタ32に力が働くことによる該フィルタ32の変形は全体に均一になるとは限らず、フィルタ32の軸方向における両端面320、321の中間に位置する部位(例えば、図1及び図2に示す例において、その外周面が上記間隙33に隣接している部位)が他の部位より変形量が大きくなる可能性がある。このような不均一な変形がフィルタ32に発生すると、図5に示すように、フィルタ32の軸方向の中間部分が半径方向外側へ膨らみ、且つその上方及び下方の部位が半径方向内側へ傾倒するような形にフィルタ32が変形する可能性がある。斯様なフィルタ32の変形が発生すると、フィルタ32の下側端面320が斜め上方(図5中の右上方向)に引っ張られる形で、該下側端面320の内側部位320aが上下隔壁部材10の分割壁部13から離間し、それらの間に僅かな隙間を生じることが想定される。
【0043】
しかしながら、本実施例におけるガス発生器1では、フィルタ32の下側外周部位32aが上下隔壁部材10の嵌合壁部14によって接触支持されているため、下側端面320の内側部位320aと上下隔壁部材10の分割壁部13との隙間に燃焼ガスが進入したとしても、その燃焼ガスの流れが下側外周部位32aと嵌合壁部14との接触部分で阻まれることになる。さらに、本実施例のガス発生器1では、フィルタ32の下側端面320における外側部位320bが上下隔壁部材10の嵌合壁部14に沿って所定空間35と隣接するように、フィルタ32がハウジング4内に位置決めされるため、内側部位320aと分割壁部13との隙間に進入した燃焼ガスに含まれる燃焼残渣を所定空間35に取り込むこともできる。これは、図6に示すように、内側部位320aと分割壁部13との隙間に進入する燃焼ガスは、当初はフィルタ32の下側端面320に沿って概ね半径方向外向きに流れるため、当該隙間を通過した燃焼ガスが上下隔壁部材10の嵌合壁部14に衝突す
ることになり、その衝突によって燃焼ガスから分離した燃焼残渣が所定空間35に取り込まれるからである。
【0044】
したがって、本実施例におけるガス発生器1によれば、第1点火器23が第1ガス発生剤22を燃焼させることで第1燃焼室21内に燃焼ガスが発生した場合、及び第2点火器27が第2ガス発生剤26を燃焼させることで第2燃焼室25内に発生した燃焼ガスが連通孔46を経て第1燃焼室21へ移動した場合に、第1燃焼室21内の燃焼ガスが、フィルタ32を経由せずに、フィルタ32の下側端面320と上下隔壁部材10の分割壁部13との隙間を経由してガス排出孔5に至る形でのショートパスの発生を抑制することができるとともに、たとえ隙間が生じた場合であっても該隙間に進入した燃焼残渣がそのままガス排出孔5に至ることも抑制することができる。よって、第1燃焼室21で生じた燃焼ガスと第2燃焼室25で生じた燃焼ガスがフィルタ32を適切に通過するようになる。また、本実施例におけるガス発生器1によれば、ショートパスの発生を抑制するためにクーラントサポート等の部品を別途に追加する必要がないため、部品点数の増加を抑制しつつショートパスの発生を抑制することができる。
【0045】
なお、本例に示すガス発生器1では、フィルタ32の外周面において、所定外周部位としての下側外周部位32aに加え、上側外周部位32bもハウジング4内で接触支持されているが、フィルタ32の下側端面320と上下隔壁部材10の分割壁部13との隙間を経由してガス排出孔5に至る形でのショートパスの発生を抑制可能であれば、上側外周部位32bを必ずしもハウジング4内に接触支持させる必要はない。
【0046】
<実施例1の変形例>
上記の実施例では、フィルタの軸方向の両端面のうち、下側端面の内側部位が接触支持され、且つ外側部位が所定空間に隣接するように、フィルタがハウジング内に位置決めされる例について述べたが、フィルタの軸方向の両端面のうち、上側端面の半径方向内側に位置する内側部位が接触支持され、且つその内側部位より半径方向外側に位置する外側部位が所定空間に隣接するように、フィルタがハウジング内に位置決めされてもよい。
【0047】
図7は、本変形例におけるガス発生器1の高さ方向の断面図である。図7に示す例では、上下隔壁部材10の分割壁部13における外縁部分には突出部が形成されないため、フィルタ32の軸方向の両端面のうち下側端面320の概ね全体が分割壁部13によって接触支持されることになる。一方、上部シェル2の頂面部2eにおける外縁部分には、小径周壁部2d(本発明に係る「ハウジング周壁部」に相当)に沿って上方へ突出する突出部20e(本発明に係る「ハウジング突出部」に相当)が形成されている。これにより、フィルタ32の上側端面321において半径方向内側に位置する部位である内側部位321aが上部シェル2の頂面部2eによって接触支持され、且つ上側端面321において内側部位321aより半径方向外側に位置する部位である外側部位321bが該外側部位321bと上記突出部20eとの間に形成される所定空間36に隣接するように、フィルタ32がハウジング4内に位置決めされることとなる。この場合、フィルタ32の上側端面321近傍において小径周壁部2dによって接触支持される上側外周部位32bが、本発明に係る「所定外周部位」に相当する。
【0048】
本変形例におけるガス発生器1によれば、第1点火器23が第1ガス発生剤22を燃焼させることで第1燃焼室21内に燃焼ガスが発生した場合、及び第2点火器27が第2ガス発生剤26を燃焼させることで第2燃焼室25内に発生した燃焼ガスが連通孔46を経て第1燃焼室21へ移動した場合に、上記実施例1と同様に、フィルタ32の半径方向外側への変形を抑えることができる。そして、フィルタ32が不均一に変形することで、上側端面321の内側部位321aと上部シェル2の頂面部2eとの間に僅かな隙間が生じたとしても、その隙間に進入した燃焼ガスの流れがフィルタ32の上側外周部位32bと
上部シェル2の小径周壁部2dとの接触部分で阻まれるとともに、その燃焼ガスに含まれる燃焼残渣を所定空間36に取り込むことができる。
【0049】
よって、第1点火器23が第1ガス発生剤22を燃焼させることで第1燃焼室21内に燃焼ガスが発生した場合、及び第2点火器27が第2ガス発生剤26を燃焼させることで第2燃焼室25内に発生した燃焼ガスが連通孔46を経て第1燃焼室21へ移動した場合に、第1燃焼室21内の燃焼ガスが、フィルタ32を経由せずに、フィルタ32の上側端面321と上部シェル2の頂面部2eとの隙間を経由してガス排出孔5に至る形でのショートパスの発生を抑制することができるとともに、たとえ隙間が生じた場合であっても該隙間に進入した燃焼残渣がそのままガス排出孔5に至ることも抑制することができる。
【0050】
なお、上部シェル2の頂面部2eに突出部を形成するか、又は上下隔壁部材10の分割壁部13に突出部を形成するかの選択は、フィルタ32の上側端面側と下側端面側の何れの端面側に隙間が形成され易いか、フィルタ32の上側端面側の隙間と下側端面側の隙間との何れの隙間に燃焼残渣が進入し易いか等を加味して適宜に行われればよい。また、ショートパスの抑制や燃焼残渣の捕集をより確実に行うという観点にたつと、図8に示すように、上下隔壁部材10の分割壁部13における外縁部分に突出部13aを形成し、且つ上部シェル2の頂面部2eにおける外縁部分にも突出部20eを形成することで、フィルタ32の下側端面320における外側部位320bが所定空間35に隣接し、且つ上側端面321における外側部位321bが所定空間36に隣接するように、フィルタ32をハウジング4内に位置決めしてもよい。
【0051】
<実施例2>
第2の実施例に係るガス発生器について、図9に基づいて説明する。図9は、本実施例におけるガス発生器101の高さ方向の断面図である。図9に示すガス発生器101は、上部シェル102及び下部シェル103をそれぞれが有するフランジ部で溶接固定されて形成されるハウジング104内に、燃焼室121と点火器123とが各々1つのみ収容される、シングルタイプのガス発生器として構成されている。
【0052】
上部シェル102は、大径周壁部102c、小径周壁部102d、及び頂面部102eを有し、これらにより凹状の内部空間を形成する。頂面部102eは、後述の下部シェル103の底面部103cとともに、上面視で概ね円形状を有している。大径周壁部102c及び小径周壁部102dは、頂面部102eの周囲を囲み、該頂面部102eから概ね垂直に延在した環状の壁面を形成している。小径周壁部102dの一端側(図9中の上側)に頂面部102eが接続され、その他端側(図9中の下側)に該小径周壁部102dより拡径された大径周壁部102cが接続される。そして、大径周壁部102cの他端側(図9中の下側)が上部シェル102の開口部となっている。
【0053】
下部シェル103は、大径周壁部103a、小径周壁部103b、及び底面部103cを有し、これらにより凹状の内部空間を形成する。大径周壁部103a及び小径周壁部103bは、底面部103cの周囲を囲み、該底面部103cから概ね垂直に延在した環状の壁面を形成している。大径周壁部103aの一端側(図9中の上側)が下部シェル3の開口部となり、その他端側(図9中の下側)に該大径周壁部103aより縮径された小径周壁部103bが接続されている。そして、小径周壁部103bの他端側(図9中の下側)に底面部103cが接続されている。ここで、下部シェル103の大径周壁部103aの内径は上部シェル102の大径周壁部102cの内径と概ね同じであり、下部シェル103の小径周壁部103bの内径は上部シェル102の小径周壁部102dの内径と概ね同じである。
【0054】
ハウジング104の内部空間の中心部分には、点火器123が配置されている。点火器
123の下端部は下部シェル103の底面部103cに接合され、点火器123の上端部は上部シェル102の頂面部102eに当接されている。これにより、ハウジング104の内部空間には、点火器123を包囲する環状の空間121が形成される。この空間121にガス発生剤122が充填されることで燃焼室が構成される。そして、燃焼室121と上部シェル102の大径周壁部102cに形成されるガス排出孔50との間には、環状のフィルタ132が配置される。
【0055】
フィルタ132は、前述した第1の実施例と同様に、ステンレス鋼製平編の金網を半径方向に重ね、半径方向及び軸方向に圧縮して形成されており、ガス発生剤122による燃焼ガスを冷却するとともに、その燃焼残渣を捕集する。また、ハウジング104内に外部より湿気が侵入するのを阻止するために、ガス発生器101の作動前では、アルミニウムテープ340によりガス排出孔50がハウジング104の内部から塞がれている。なお、ガス排出孔は、下部シェル103の大径周壁部103aに形成されてもよい。
【0056】
また、本実施例のガス発生器101では、燃焼室121で生じた燃焼ガスがフィルタ132を適切に通過するように、該フィルタ132がハウジング104内に位置決めされている。本実施例におけるフィルタ132は、その外径が上部シェル102における小径周壁部102dの内径及び下部シェル103における小径周壁部103bの内径と概ね同じとなり、且つその軸方向の長さ(高さ)が上部シェル102における頂面部102eの下側壁面と下部シェル103における底面部103cの上側壁面との間隙の寸法と概ね同じとなるように形成されている。このように形成されるフィルタ132は、上部シェル2と下部シェル3とが接合された状態において、該フィルタ132の軸方向における一端側(図9中の上側)の端面である上側端面1321が上部シェル102の頂面部102eによって接触支持されるとともに、他端側(図9中の下側)の端面である下側端面1320の内側部位1320aが下部シェル103の底面部103cによって接触支持されることで、ハウジング104内における垂直方向の位置決めが為される。一方、当該フィルタ132は、上部シェル102と下部シェル103とが接合された状態において、該フィルタ132の上側端面1321近傍の外周部位(上側外周部位)132bが上部シェル102の小径周壁部102dによって接触支持されるとともに、下側端面1320近傍の外周部位(下側外周部位)132aが下部シェル103の小径周壁部103b(本発明に係る「ハウジング周壁部」に相当)によって接触支持されることで、ハウジング104内における水平方向の位置決めが為される。また、フィルタ132の下側端面1320のうち、内側部位1320aより半径方向外側の部位(外側部位)1320bは、下部シェル103の底面部103cにおける外縁部分を軸方向外側(図9中の下方)へ突出させた突出部1030との間に所定空間350を形成している。つまり、フィルタ132の下側端面1320における外側部位1320bは、下部シェル103の小径周壁部103bに沿って所定空間350と隣接している。ここで、上記突出部1030は、周方向に沿って連続的に形成されてもよく、又は周方向に沿って断続的に形成されてもよい。
【0057】
このようにフィルタ132がハウジング104内に位置決めされたシングルタイプのガス発生器101において、点火器123がガス発生剤122を燃焼させることで燃焼室121内に燃焼ガスが発生した場合に、前述の実施例1と同様にフィルタ132を半径方向外側へ変形させようとする力が働くことになるが、その場合におけるフィルタ132の半径方向外側への変形を抑えることができる。また、フィルタ132が不均一に変形することで、下側端面1320の内側部位1320aと下部シェル103の底面部103cとの間に僅かな隙間が生じたとしても、その隙間に進入した燃焼ガスの流れがフィルタ132の下側外周部位132aと下部シェル103の小径周壁部103bとの接触部分で阻まれるとともに、その燃焼ガスに含まれる燃焼残渣が所定空間350に取り込まれることになる。
【0058】
したがって、本実施例におけるガス発生器101によれば、点火器123がガス発生剤122を燃焼させることで燃焼室121内に燃焼ガスが発生した場合に、燃焼室121内の燃焼ガスが、フィルタ132を経由せずに、フィルタ132の下側端面1320と下部シェル103の底面部103cとの隙間を経由してガス排出孔50に至る形でのショートパスの発生を抑制することができるとともに、たとえ隙間が生じた場合であっても該隙間に進入した燃焼残渣がそのままガス排出孔50に至ることも抑制することができる。
【0059】
なお、上記したシングルタイプのガス発生器において、下部シェルの底面部における外縁部分の代わりに、上部シェルの頂面部における外縁部分に突出部を形成してもよく、下部シェルの底面部における外縁部分と上部シェルの頂面部における外縁部分との双方に突出部を形成してもよいこと勿論である。
【符号の説明】
【0060】
1、101 :ガス発生器
2、102 :上部シェル
2c、102c :大径周壁部
2d、102d :小径周壁部
2e、102e :頂面部
3、103 :下部シェル
3b、103c :底面部
4、104 :ハウジング
5、50 :ガス排出孔
10 :上下隔壁部材
13 :分割壁部
13a、20e、1030:突出部
14 :嵌合壁部
21 :第1燃焼室
22 :第1ガス発生剤
23 :第1点火器
25 :第2燃焼室
26 :第2ガス発生剤
27 :第2点火器
32、132 :フィルタ
32a、132a :下側外周部位
32b、132b :上側外周部位
35、36、350 :所定空間
46 :連通孔
101 :ガス発生器
121 :燃焼室
122 :ガス発生剤
123 :点火器
320、1320 :下側端面
320b、1320b :外側部位
321、1321 :上側端面
321b :外側部位

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9