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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-15
(45)【発行日】2024-02-26
(54)【発明の名称】キャンピングトレーラー
(51)【国際特許分類】
   B60P 3/335 20060101AFI20240216BHJP
【FI】
B60P3/335
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023204330
(22)【出願日】2023-12-04
【審査請求日】2023-12-04
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、権利譲渡・実施許諾の用意がある。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】597116252
【氏名又は名称】村山 哲夫
(72)【発明者】
【氏名】村山 哲夫
【審査官】塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-1884345(KR,B1)
【文献】特開平08-132954(JP,A)
【文献】特許第7285365(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60P 3/335
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハッチバック車を改造したトレーラーキャビン内に足置きスペースを利用する機能を共有するカウンターテーブルと、二つの床下収納スペースを備えたキャンピングトレーラーであって、
前記ハッチバック車のセンターピラー部より前方を自走するのに必要な機能ならびに装置を取り外して前方部を開放し、その開放された前方部を居住空間を拡張する形状に形成されるフロントボディカバーを装着したトレーラーキャビンを形成し、
後部座席を前方に折り畳んで形成される後部座席背面スペースと、後部座席足置きスペースと、ラゲッジスペースと、から成る居住空間スペースを形成し、
前記後部座席足置きスペースを足置きスペースカバー板によって覆被することで第一の床下収納スペースとすると共に、前記ラゲッジスペースの下方のタイヤハウス部をラゲッジスペースカバー板によって覆被することで第二の床下収納スペースを形成し、
前記足置きスペースカバー板を前記フロントボディカバーの室内側にカウンターテーブルとして機能するように設けて成ることを特徴とするキャンピングトレーラー。
【請求項2】
前記トレーラーキャビンの前方下方両側に接地固定装置を備えると共に、後方に居住空間を拡張する居住空間拡張手段を備えて成ることを特徴とする請求項1記載のキャンピングトレーラー。
【請求項3】
前記トレーラーキャビンの前方にヒッチメンバー構造による連結牽引装置を備えて成ることを特徴とする請求項1または請求項2記載のキャンピングトレーラー。
【請求項4】
前記トレーラーキャビンの前方に旋回フレーム構造による中折れ牽引装置を備えて成ることを特徴とする請求項1または請求項2記載のキャンピングトレーラー。
【請求項5】
前記トレーラーキャビンの車体幅寸法が650~1480mmで形成されて成ることを特徴とする請求項4記載のキャンピングトレーラー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハッチバック車を改造したトレーラーキャビン内に足置きスペースを利用する機能を共有するカウンターテーブルと、二つの床下収納スペースを備えたキャンピングトレーラーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来におけるキャンピングトレーラーは、走行中に乗車することができないという運行条件の規制はあるが、その特徴的な構造としては「牽引車とトレーラーが連結器でつながっている」ということに尽きる。つまり、牽引車とトレーラーを切り離してしまえば、牽引車(自家用車)だけで何処へでも自由気ままに単独行動することができるものである。
従って、従来における自走式の大型キャンピングトレーラーとは異なり旅先での小回りが利くので、現地での観光や買い物などが容易くできることによって、旅行の自由度ならびに満喫度が格段と高まると共に、トレーラー内の座席の形状や配置を自由にレイアウトすることができ、さらに、車体の大きさや内装仕様においてもユーザー嗜好を多様に反映させることができることから、近年におけるドライブ宿泊旅行の交通手段の一つとしてその需要が益々増加している。
【0003】
そのような多様なユーザー嗜好を反映して多種多様のキャンピングトレーラーが開発されている。例えば貨物自動車の荷台に載置したキャンピングシェルを回動させて居住空間を備えた「キャンピングシェル」(特許文献-1)が提案されている。
【0004】
しかしながら、係る「キャンピングシェル」の提案は、貨物自動車の荷台に載置した所定の重量のあるキャンピングシェルを手動で回動させる手段を採用していることから下記に示すような問題点を解決する必要があった。
・乗用車が荷台のある貨物自動車に限定される。
・所定の重量シェルを手動で回動させるには一定の背丈と腕力を必要とする。
・回動させるにあたって安全装置がないため危険である。
・回動させるシェル内に備品を収納することができない。
・シェル内に入るには階段を必要とする。
・展開シェルを階段状又は円弧状に引き出すため居住空間が狭い。
といった多くの問題があった。
【0005】
また、キャスターを装着したキャビンをキャンピングカーの後方荷台にスライド可能に出し入れ収納することができる「キャンピングカー」(特許文献-2)が提案されている。
【0006】
しかしながら、係る「キャンピングカー」の提案は、キャンピングカーの後方荷台にキャビンを収納する手段を採用していることから下記に示すような問題点を解決する必要があった。
・乗用車がキャビンを格納することができる大型のワンボックスカーに限定される。
・キャビンがキャンピングカーの収納空間より小型にする必要があるため居住空間が狭い。
・キャンピングカーならびにキャビンがオリジナル製作となるため車両製作価格ならびに車両購入価格が高騰になる。
・走行時においてキャビンを格納した状態での牽引自動車の居住空間が制限される。
・就寝スペースがワンボックスカーの後方荷台スペースに限定される。
・キャビンのスカート設置作業ならびに構造が複雑である、といった多くの問題があった。
【0007】
本発明のキャンピングトレーラーは上記の多くの問題点をクリアするものである。
・キャンピングトレーラーのボディ本体を二分割してスライドさせることによって、居住空間の拡大を図ると共に運転時の走行性を高めることができる。
・ユースドカーが後輪牽引走行となることで、車両空間のフラット化が図られ、さらに、車体高さの低重心化が図られる。
・キャンピングトレーラーの車体フレームとユースドカーの車体フレームが共通化しているため車体剛性が高い。
・車両ボディの天井高さが立ち歩き仕様ではなく、座り歩き仕様であるためキャンピングトレーラーの軽量化ならびにコンパクト化が図れる。
・既存のユースドカーの高度な車体設計性能を利用することができる。
・従来のオリジナルのハンドメイド製造ではなく、既存のユースドカーを利用した改造製
造であるため大幅な製造コストの低廉化が図れる。
・車両デザインが前方部を除いて既存のユースドカーのボディデザインを流用するため既存のユースドカーの車体ボディに内蔵されている車幅灯、方向指示灯、ストップランプ、室内灯、ナンバープレート照明灯、ハザードランプ、施錠キー、オートドアロック装置、ガラス窓開閉装置などを再利用することができる。
・牽引車の後輪走行タイヤとトレーラーキャビンの走行タイヤのホイールベースが短いことから運転時の走行性ならびに操舵性を高めることができる。
・トレーラーキャビンに延長床板パネルを連結するだけで就寝スペースを容易に確保することができる。といった多くの特徴を備えるものである。
【0008】
従来におけるキャンピングトレーラーの製作手段は、主に手作業で一台一台仕上げるハンドメイド生産に頼っていることから、車両価格が高い、納期がかかる、修理部品の調達ができない、修理期間がかかる、修理単価が高いなどの問題点があると同時に、既存のユースドカーと比して、コンパクト性、軽量性、運転性、外装デザイン性、多様性、堅牢性、防水性、防音性、耐久性、耐候性、安全性、利便性などの車体設計性能を備えているものではなかった。
また、従来におけるキャンピングトレーラーの多くは、就寝ベッド、ソファ、キャンピング用品、キッチン、トイレ・シャワー、娯楽用品等を備えて車内を立ち歩きできる大型仕様になり勝ちになり、その結果、購入価格が高い、大型で運転が難しい、大きな駐車スペースが必要とするなど日本特有の住宅事情とあいまって、これまでに広く一般的に普及してこなかった要因となっていた。
【0009】
本出願人は、上記の問題点を鑑みてなされたもので、従来より普及している大型且つ豪華装備の高価格帯のキャンピングトレーラーと比べて、低価格であると共にコンパクトで運転性に優れたキャンピングトレーラーの提供ができないものかという構想の下、ハハッチバック車を改造したトレーラーキャビン内に足置きスペースを利用する機能を共有するカウンターテーブルと、二つの床下収納スペースを備えたキャンピングトレーラーを開発し、本発明における「キャンピングトレーラー」の提案に至るものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特許5992571号公報
【文献】特開2000-52845号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は上記問題点を鑑みてなされるもので、ハッチバック車を改造したトレーラーキャビン内に足置きスペースを利用する機能を共有するカウンターテーブルと、二つの床下収納スペースを備えたキャンピングトレーラーの提供を図ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明におけるキャンピングトレーラーは、ハッチバック車を改造したトレーラーキャビン内に足置きスペースを利用する機能を共有するカウンターテーブルと、二つの床下収納スペースを備えたキャンピングトレーラーであって、前記ハッチバック車のセンターピラー部より前方を自走するのに必要な機能ならびに装置を取り外して前方部を開放し、その開放された前方部を居住空間を拡張する形状に形成されるフロントボディカバーを装着したトレーラーキャビンを形成し、後部座席を前方に折り畳んで形成される後部座席背面スペースと、後部座席足置きスペースと、ラゲッジスペースと、から成る居住空間スペースを形成し、前記後部座席足置きスペースを足置きスペースカバー板によって覆被することで第一の床下収納スペースとすると共に、前記ラゲッジスペースの下方のタイヤハウス部をラゲッジスペースカバー板によって覆被することで第二の床下収納スペースを形成し、前記足置きスペースカバー板を前記フロントボディカバーの室内側にカウンターテーブルとして機能するように設けて成る手段を採る。
【0013】
また、本発明におけるキャンピングトレーラーは、前記トレーラーキャビンの前方下方両側に接地固定装置を備えると共に、後方に居住空間を拡張する居住空間拡張手段を備えて成る手段を採る。
【0014】
また、本発明におけるキャンピングトレーラーは、前記トレーラーキャビンの前方にヒッチメンバー構造による連結牽引装置を備えて成る手段を採る。
【0015】
また、本発明におけるキャンピングトレーラーは、前記トレーラーキャビンの前方に旋回フレーム構造による中折れ牽引装置を備えて成る手段を採る。
【0016】
また、本発明におけるキャンピングトレーラーは前記トレーラーキャビンの車体幅寸法が650~1480mmで形成されて成る手段を採る。
【発明の効果】
【0017】
本発明におけるキャンピングトレーラーによれば、ハッチバック車を改造したトレーラーキャビン内に足置きスペースを利用する機能を共有するカウンターテーブルと、二つの床下収納スペースを備えたキャンピングトレーラーの提供ができる、といった優れた効果を奏する。
【0018】
また、本発明におけるキャンピングトレーラーによれば、トレーラーキャビンのベース車両に中古車、不動車、スクラップ車、廃車、事故車等のユースドカーを利用することによって、従来にない極めて低価格帯のキャンピングトレーラーの提供ができる、といった優れた効果を奏する。
【0019】
また、本発明におけるキャンピングトレーラーによれば、トレーラーキャビンが既存の車メーカーの車装デザイン(車体設計)を流用するため、コンパクト性、軽量性、運転性、外装デザイン性、多様性、堅牢性、防水性、防音性、耐久性、耐候性、安全性、利便性、修理部品の調達性などの車体設計性能に優れたキャンピングトレーラーの提供ができる、といった優れた効果を奏する。
【0020】
また、本発明におけるキャンピングトレーラーによれば、トレーラーキャビンを牽引車から容易に切り離して保管できることから、自宅での駐車時においては、子供の勉強部屋としてや秘密基地として使用することができると共に、大人の利用時においては、趣味の部屋(映画・音楽鑑賞、読書、ゲーム、囲碁、将棋、麻雀、絵画、楽器演奏など)、書斎、テレワークルーム、リラックスルームとして利用することができる、といった優れた効果を奏する。
【0021】
また、本発明におけるキャンピングトレーラーによれば、トレーラーキャビンの製造時において既存のユースドカーの一部を加工する作業に留まることから、従来のハンドメイド製造のキャンピングトレーラーと比して製作コストならびに製作日数及び製作工程が大幅に低減される、といった優れた効果を奏する。
【0022】
また、本発明におけるキャンピングトレーラーによれば、トレーラーキャビンにおける車幅灯、方向指示灯、ストップランプ、室内灯、ナンバープレート照明灯、ハザードランプ、バッテリー、施錠キー、オートドアロック装置、ドアガラス昇降装置、盗難防止警告装置、ラジオ、シュガーライター等は、既存のユースドカーに備えられている装置を流用して再利用することができることから、防犯性ならびに利便性に優れたキャンピングトレーラー10が提供できる、といった優れた効果を奏する。
【0023】
また、本発明におけるキャンピングトレーラーによれば、トレーラーキャビンの窓ガラス部に遮蔽フィルムを貼付することによって、完全なプライバシー空間の確保ができる、といった優れた効果を奏する。
【0024】
また、本発明におけるキャンピングトレーラーによれば、トレーラーキャビンのベース車両に中古車、不動車、スクラップ車、廃車、事故車等の車両価値が下がったユースドカーを利用することによって、スクラップ処理される車両資源の有効活用が図られる、といった優れた効果を奏する。
【0025】
また、本発明におけるキャンピングトレーラーによれば、牽引車は日常時においては通勤や買い物などの普通乗用車として利用できると共に、行楽先においてはトレーラーキャビンを切り離して普段乗り馴れている乗用車として利用することができることで、疲労運転がなくなり行楽先での観光や買い物などの行動範囲が広くとれる、といった優れた効果を奏する。
【0026】
また、本発明におけるキャンピングトレーラーによれば、車内の床面が全面フラットに開放されているため、使用目的(ベッド、ソファ、自転車、バイク、テント、サーフィン、パラグライダー、スキューバダイビング、登山用品、スポーツ用品、キャンプ用品、寝具等を収納する)に合った空間スペースを提供することができる、といった優れた効果を奏する。
【0027】
また、本発明におけるキャンピングトレーラーによれば、低価格であると共に各車メーカーの多様なカーデザインが施されたトレーラーキャビンのラインアップが図られることによってキャンピングユーザーの購買意欲を増すことができるため、事前に生産しておける在庫展示販売が可能になる、といった優れた効果を奏する。
【0028】
また、本発明におけるキャンピングトレーラーによれば、基本的にトレーラーキャビン単体で販売されるため、購入ユーザーは個人の嗜好や、購入予算に合わせて従来にない個性的且つ低価格帯のキャンピングトレーラーを購入することができる、といった優れた効果を奏する。
【0029】
また、本発明におけるキャンピングトレーラーによれば、トレーラーキャビンの大きさが軽バンタイプからワンボックスタイプの比較的コンパクトな小型車両で形成されていることによって、駐車スペースを広くとらないことや、牽引運行長さが従来のキャンピングトレーラーと比して短いことから女性や運転経験の浅いドライバーでも容易に運転することができる、といった優れた効果を奏する。
【0030】
また、本発明におけるキャンピングトレーラーによれば、従来のセキャンピングトレーラーは大家族を対象として室内が豪華且つ大型に仕上げられているのが主流であったが、本発明におけるキャンピングトレーラーは、どちらかといえば少人数(夫婦や恋人同士や趣味仲間)ならびに趣味を追求するソロキャンプ者(車中泊独身者)等をターゲットとしたコンパクト且つオートキャンプに必要な最低限の装備を備えたキャンピングトレーラーであることから、従来のキャンピングトレーラーのファミリー的な需要層とは異なった新たな需要層の掘り起こしができる、といった優れた効果を奏する。
【0031】
また、本発明におけるキャンピングトレーラーによれば、フロントボディカバーの素材がFRP、鉄板、アルミ板、合成樹脂材等を使用していることによって、形状デザインをユーザーの嗜好や年式に合わせて多様且つ斬新なカーデザインを要して提供することができる、といった優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明のキャンピングトレーラーの実施形態を示す説明図である。 (実施例1)
図2】本発明のキャンピングトレーラーの別の実施形態を示す説明図である。 (実施例2)
図3】本発明のキャンピングトレーラーの別の実施形態を示す説明図である。 (実施例3)
図4】本発明のキャンピングトレーラーの別の実施形態を示す説明図である。 (実施例4)
図5】本発明のキャンピングトレーラーの別の実施形態を示す説明図である。 (実施例5)
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明におけるキャンピングトレーラー10は、ハッチバック車Hを改造したトレーラーキャビン11内に足置きスペースを利用する機能を共有するカウンターテーブル23と、二つの床下収納スペース20、22を備えて、乗用車ならびに自動二輪車に装着することができる手段を採ったことを最大の特徴とする。以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0034】
尚、本発明のキャンピングトレーラー10は、以下に述べる実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内、すなわち同一の作用効果を発揮できる形状及び寸法の範囲内で、適宜変更することができる。
【実施例1】
【0035】
図1は、本発明のキャンピングトレーラーの実施形態を示す説明図である。
図1(a)は本発明のキャンピングトレーラー10の側面図である。
本発明におけるキャンピングトレーラー10は、ハッチバック車Hを改造したトレーラーキャビン11内に足置きスペースを利用する機能を共有するカウンターテーブル23と、二つの床下収納スペース20、22を備えたキャンピングトレーラー10であって、該ハッチバック車Hのセンターピラー部より前方を自走するのに必要な機能ならびに装置を取り外して前方部を開放し、その開放された前方部を居住空間Rを拡張する形状に形成されるフロントボディカバー12を装着して閉塞し、後部座席13を前方に折り畳んで形成される後部座席背面スペース16と、後部座席足置きスペース15と、ラゲッジスペース17と、から成る居住空間スペース14を形成し、後部座席足置きスペース15を足置きスペースカバー板19によって覆被することで第一の床下収納スペース20とすると共に、ラゲッジスペース17のタイヤハウス部18をラゲッジスペースカバー板21によって覆被することで第二の床下収納スペース22として形成し、足置きスペースカバー板19をフロントボディカバー12の室内側にカウンターテーブル23として機能するように設けて成るものである。
【0036】
本発明のキャンピングトレーラー10は、ハッチバック車Hの既存の中古車、不動車、スクラップ車、廃車、事故車等を利用し、車内のエンジン駆動関係、ハンドル操舵関係、座席シート関係、ドライブシャフト、排気マフラー等を取り外した車両を利用するものである。
具体的な車種としては、ワンボックスカー、ワゴン車、商業車バン、軽ワゴン・バン車、ハイルーフ車などの後方に開閉ドアを備えるユースドカーが好適である。
【0037】
トレーラーキャビン11は、ハッチバック車Hのセンターピラー部より前方を自走するのに必要な機能ならびに装置を取り外して前方部を開放し、その開放された前方部を居住空間Rを拡張する形状に形成されるフロントボディカバー12を装着して形成され、既存のハッチバック車Hをベース車両とすることで低価格化を図ると共に、車メーカーのコンパクト性、軽量性、運転性、外装デザイン性、多様性、堅牢性、防水性、防音性、耐久性、耐候性、安全性、利便性、修理部品の調達性などの車体設計性能を流用するものである。
【0038】
フロントボディカバー12は、ハッチバック車Hのセンターピラー部より前方を自走するのに必要な機能ならびに装置を取り外して前方部を開放し、その開放された前方部を居住空間Rを拡張する形状に形成されるトレーラーキャビン11の前方に装着される。
形状としては、例えば、前方の空気抵抗を減少させる流線形に形成し、ユースドカーから取り外されたフロントガラス部の外周縁を加工して前方のぞき窓が形成される形状に成形される。
【0039】
また、フロントボディカバー12の形状としては、中型車仕上げと小型車仕上げに分け、既存のユースドカーの形状に合わせてハンドメイド作業で加工することでフロントボディカバー12の定番化ならびに量産化を可能とするもので、特にその形状は特定されない。
【0040】
さらに、フロントボディカバー12の素材としては、例えば、FRP、鉄板、アルミ板、合成樹脂材等を採用している場合は、形状デザインをユーザーの嗜好や年式に合わせて多様な車体設計デザインを施すことができる。
【0041】
接地固定装置24は、トレーラーキャビン11の前側下方両側に備えられるもので、走行時は内側に折り畳まれて格納され、接地固定時は折り畳んだ状態から外側に開放し、ハンドル部を回転させて設置固定足を接地させて固定状態とするものである。
【0042】
図1(b)は本発明のキャンピングトレーラー10の後部座席13を前方に押し倒して床面Fをフラットの状態にした断面説明図である。
居住空間スペース14は、足置きスペースカバー板19で覆い被せた後部座席足置きスペース15と、後部座席13を前方に押し倒して形成される後部座席背面スペース16と、ラゲッジスペースカバー板21で覆い被せたラゲッジスペース17と、によって構成される。
【0043】
第一の床下収納スペース20は、足置きスペースカバー板19で覆い被せた後部座席足置きスペース15によって形成される。
足置きスペースカバー板19の機能としては、第一の床下収納スペース20をカバーする機能と、上方に移動して装着することによって、食事、読書、パソコン操作、事務作業などができるテーブル機能を備えるものである。
【0044】
第二の床下収納スペース22は、ラゲッジスペース17をラゲッジスペースカバー板21で覆い被せたタイヤハウス部18によって形成される。
【0045】
図1(c)は本発明のキャンピングトレーラー10の後部座席13を起こした状態の断面説明図である。
後部座席13を起こし、後部座席足置きスペース15に足を置いて着座して休息状態とする。
また、後部座席足置きスペース15を覆い被せていた足置きスペースカバー板19をフロントボディカバー12の室内側に任意の高さに着脱自在に設けられるカウンターテーブル23として機能するよう設けることもできる。
【0046】
カウンターテーブル23は、足置きスペースカバー板19と機能を共有する形状に形成され、フロントボディカバー12の室内側に設けられている棚掛け穴プレート23aに棚受けブラケット23bを介して着脱自在に引っ掛けられる。
カウンターテーブル23の機能としては、食事、読書、パソコン操作、事務作業などができるテーブル機能と、床面Fとフラット状態にすることによって、第一の床下収納スペース20を覆い被せるスペースカバー機能を備える。
【0047】
以上の構成による本発明のキャンピングトレーラー10は、後部座席13を起こした状態で利用する場合は、使用者が後部座席13に腰掛けて、後部座席足置きスペース15に足を置いた状態で、食事、読書、パソコン操作、事務作業などができる居住空間Rの提供可能にする。
【実施例2】
【0048】
図2は、本発明のキャンピングトレーラーの別の実施形態を示す説明図である。
図2(a)は本発明のキャンピングトレーラー10の居住空間拡張手段26を装着した状態を示す側面図である。
本発明のキャンピングトレーラー10は、トレーラーキャビン11の前方下方両側に接地固定装置24を備えると共に、後方に就寝スペース25を確保する居住空間拡張手段26を備えて成るものである。
【0049】
居住空間拡張手段26は、拡張テント27と、掛止連結手段30と水平吊持手段31を備える延長床板パネル28と、から成るものである。
【0050】
拡張テント27は、前方と下方が開口する略縦型直方形のテントシートから成るもので、上端部はクリップによってテールゲートTの縁周部が挟持固定され、中間部は延長床板パネル28の側面周縁部に設けられる抑え留め手段(図示省略)によって係止され、下端部は通し穴にペグを打ち込むことにより軟弱な地盤や強風時の拡張テント27のバタつきを抑える手段として設けられるものである。
また、後方面に出入口ファスナーを設けることで後方からの乗り降りを可能にすることもできる。
【0051】
延長床板パネル28は、補強リブを構成した踏板状の矩形のパネルプレートで形成され、側面周縁部には拡張テント27のバタつきを抑える抑え留め手段(図示省略)を列設して形成される。前方には掛止連結手段30を備えると共に、該両側にはハッチバック車Hのテールゲート開口段部Dに嵌め合う形状に形成され、さらにリブ構造によって剛性を高めた金属または樹脂製の所要の長さと幅と厚みをもって形成される。
また、丁番等を介して折り畳み式とすることでトレーラーキャビン11内にコンパクトに折り畳んで収納することもできる。
【0052】
掛止連結手段30は、例えば、延長床板パネル28の前方側面に少なくても二以上設けられるカギ状のフックによって形成されるもので、ハッチバック車Hのテールゲート開口段部Dの床面F位置高さに設けられる複数のグロメット穴Gに引っ掛けて掛止連結される。
【0053】
水平吊持手段31は、延長床板パネル28の長さ方向の略中間位置の両側に備えられ、ハッチバック車Hのテールゲート開口段部Dの両側のグロメット穴Gに先端に掛止連結手段30を設けたチェーン、ベルト帯等によって水平状態が維持されるように連結される。就寝時においては、水平状態に固定された延長床板パネル28の延長床板パネルスペース29を利用することによって就寝スペース25を確保することができる。
【0054】
図2(b)は本発明のキャンピングトレーラー10の居住空間拡張手段26を装着した状態を示す側断面図である。(掛止連結手段30と水平吊持手段31は図示省略)
【0055】
就寝スペース25は、後部座席足置きスペース15と、後部座席背面スペース16と、ラゲッジスペース17と、延長床板パネルスペース29と、によって確保される。
【0056】
以上の構成による本発明のキャンピングトレーラー10は、後部座席13を前方に折り畳んだ状態で利用する場合は、使用者が就寝スペース25上に寝転んだ状態で、就寝、ごろ寝休憩、テレビ鑑賞などができる居住空間Rの提供が可能になるものである。
さらに、延長床板パネルの中央部に床下収納口を設けることによって、人が立った状態で料理や、キャンプ作業などができる床下収納庫を兼ねるユーティリティスペースを確保することもできる。
【0057】
図2(c)は、本発明のキャンピングトレーラー10の休憩時における使用状態を示す説明図である。
拡張テント27をハッチバック車HのテールゲートTから取り外すことで、休息時には野外テラスデッキとして使用することができるもので、キャンパーの使用目的に合わせて居住空間Rと野外空間Yの使い分けができるものである。
【0058】
以上の構成による本発明のキャンピングトレーラー10は、ハッチバック車HのテールゲートTを天井部のルーフとして利用することで居住空間Rの拡張が容易に図れると共に延長床板パネル28を水平吊持手段31で維持することによって就寝用テント仕様としてや、ウッドデッキ仕様として使用できるキャンピングトレーラー10の提供を可能にする。
【実施例3】
【0059】
図3は、本発明のキャンピングトレーラーの別の実施形態を示す説明図である。
本発明のキャンピングトレーラー10は、トレーラーキャビン11の前方にヒッチメンバー構造による連結牽引装置32を備えて成るものである。
【0060】
連結牽引装置32は、所謂ヒッチメンバーとも呼ばれ、牽引車(乗用車)Cの車体フレームの後側下方中央部とキャンピングトレーラー10のトレーラーキャビン11の前側下方中央部のボールマウントとレシーバーとで連結されるもので、走行補助タイヤ付トレーラージャッキ、パーキングブレーキ、安全連結チェーン、配線コネクター、送風ダクトホース等が付属される。
【0061】
トレーラーキャビン11の走行車輪が後方に位置することで、走行時において連結牽引装置32のボールマウントとレシーバー部に過荷重がかかることになることから、連結牽引装置32にサスペンション機能やばね機能を有した緩衝装置を備えることもできる。
また旅先で、乗用車とトレーラーキャビン11を切り離すことができることから、観光目的地でのドライブ観光を楽しむことができる。
【実施例4】
【0062】
図4は、本発明のキャンピングトレーラーの別の実施形態を示す説明図である。
本発明のキャンピングトレーラー10は、トレーラーキャビン11の前方に旋回フレーム構造による中折れ牽引装置33を備えて成るものである。
【0063】
中折れ牽引装置33は、牽引車(自動二輪車)Bの車体フレームの後方に装着される旋回基軸台と、トレーラーキャビン11の前方に装着される補強構造を有した略L字状の旋回フレームとによって構成され、配線コネクター、送風ダクトホース等が付属される。
尚、旋回フレームの装着固定手段は、装着する牽引車(自動二輪車)Bの取り付け車高に合わせて高さ調節機能を備えることもできる。
【0064】
牽引車(自動二輪車)Bとトレーラーキャビン11の連結間が中折れすることで、旋回半径が小さくすることができると共に運転操舵性を高めたキャンピングトレーラー10の提供を可能にする。
また旅先で、自動二輪車とトレーラーキャビン11を切り離すことができることから、観光目的地でのバイクツーリングを楽しむことができる。
【実施例5】
【0065】
図5は、本発明のキャンピングトレーラーの別の実施形態を示す説明図である。
本発明のキャンピングトレーラー10は、牽引車(自動二輪車)Bによって牽引されるトレーラーキャビン11の車体幅寸法Wが650~1480mmで形成されて成るものである。
【0066】
車体幅寸法Wは、道路運送車両法、道路法、道路交通法の規制により、重量、高さ、幅、長さが制限されることによって、牽引車(自動二輪車)Bの排気量によってトレーラーキャビン11の車幅ならびに重量が制限されるもので、本発明のトレーラーキャビン11の車体幅寸法Wを牽引車(自動二輪車)Bの排気量に合わせて650~1480mmの範囲内で形成すると共に、トレーラーキャビン11の車体重量の軽量化を図るためシャシーフレームをパイプ構造とすることもできる。
【0067】
以上の構成による本発明のキャンピングトレーラー10は、トレーラーキャビン11の車幅を縮小することで、キャンピング用のトレーラーを小排気量の自動二輪車(原付バイクや自転車も可能)によって牽引することができるため、ソロキャンパーのツーリングによる車中泊を可能にするものである。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明のキャンピングトレーラーは、ハッチバック車を改造したトレーラーキャビン内に足置きスペースを利用する機能を共有するカウンターテーブルと、居住空間スペースと二つの床下収納スペースを備えると共に、自動二輪車に対しても装着可能な仕様とすることができるキャンピングトレーラーであることから、製造に当たって新規製造は元より、既存のユースドカーを利用することで低価格を実現すると共に、コンパクト性、軽量性、運転性、外装デザイン性、多様性、堅牢性、防水性、防音性、耐久性、耐候性、安全性、利便性、修理部品の調達性などの車体設計性能に優れた本発明の「キャンピングトレーラー」は、産業上の利用可能性は極めて大であるものと思料する。
【符号の説明】
【0069】
10 キャンピングトレーラー
11 トレーラーキャビン
12 フロントボディカバー
13 後部座席
14 居住空間スペース
15 後部座席足置きスペース
16 後部座席背面スペース
17 ラゲッジスペース
18 タイヤハウス部
19 足置きスペースカバー板
20 第一の床下収納スペース(後部座席足置きスペース)
21 ラゲッジスペースカバー板
22 第二の床下収納スペース(タイヤハウス部)
23 カウンターテーブル(足置きスペースカバー板)
23a棚掛け穴プレート
23b棚受けブラケット
24 接地固定装置
25 就寝スペース
26 居住空間拡張手段
27 拡張テント
28 延長床板パネル
29 延長床板パネルスペース
30 掛止連結手段
31 水平吊持手段
32 連結牽引装置
33 中折れ牽引装置
H ハッチバック車
C 乗用車(牽引車)
B 自動二輪車(牽引車)
W 車体幅寸法
R 居住空間
Y 野外空間
T テールゲート
D テールゲート開口段部
G グロメット穴
F 床面
【要約】
ハッチバック車を改造したトレーラーキャビン内に足置きスペースを利用する機能を共有するカウンターテーブルと、二つの床下収納スペースを備えたキャンピングトレーラーの提供を図る。
【課題】センターピラー部より前方を開放し、その開放された前方部を居住空間を拡張する形状に形成されるフロントボディカバーを装着したトレーラーキャビンを形成し、後部座席を前方に折り畳んで形成される後部座席背面スペースと、後部座席足置きスペースと、ラゲッジスペースと、から成る居住空間スペースを形成し、後部座席足置きスペースを足置きスペースカバー板によって覆被することで第一の床下収納スペースとすると共にラゲッジスペースの下方のタイヤハウス部をラゲッジスペースカバー板によって覆被することで第二の床下収納スペースを形成し、足置きスペースカバー板をフロントボディカバーの室内側にカウンターテーブルとして機能する手段を採る。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5