(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-15
(45)【発行日】2024-02-26
(54)【発明の名称】内視鏡システム
(51)【国際特許分類】
A61B 1/00 20060101AFI20240216BHJP
A61B 1/045 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
A61B1/00 553
A61B1/00 552
A61B1/045 618
A61B1/045 622
(21)【出願番号】P 2023501954
(86)(22)【出願日】2021-02-26
(86)【国際出願番号】 JP2021007359
(87)【国際公開番号】W WO2022180789
(87)【国際公開日】2022-09-01
【審査請求日】2023-01-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 正
【審査官】井上 香緒梨
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-272088(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0073114(US,A1)
【文献】特開2017-070523(JP,A)
【文献】特開2020-058524(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0069622(KR,A)
【文献】中国特許出願公開第106913312(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B1/00-1/32
G02B23/24-23/26
A61B34/00-90/98
A61M25/00-25/18
A61M37/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体内に挿入される挿入部を有する内視鏡と、
ミリ波もしくはサブミリ波を送受信することによって対象物との間の距離を測定する距離測定ユニットと、
前記内視鏡の手元側から前記挿入部の先端まで延設された管路に挿脱可能に挿通され、一端が前記距離測定ユニットに対して接続されるとともに他端が前記挿入部の先端から外部に露出され、前記距離測定ユニットが送受信するミリ波もしくはサブミリ波を伝搬する可撓性導波管と、を備える内視鏡システム。
【請求項2】
前記可撓性導波管の少なくとも一部は、
前記挿入部に内蔵される請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項3】
前記挿入部は、
前記挿入部の長手方向の一部に設けられ、湾曲可能とする湾曲部を備え、
前記内視鏡システムは、
前記湾曲部の湾曲状態を検出する湾曲状態検出ユニットと、
前記距離測定ユニットによって測定された距離を示す情報と、前記湾曲状態検出ユニットによって検出された前記湾曲部の湾曲状態を示す情報とに基づいて、前記湾曲部の湾曲状態を決定する湾曲状態決定ユニットと、をさらに備える請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項4】
前記湾曲状態決定ユニットによって決定された前記湾曲部の湾曲状態を示す情報に基づいて、前記湾曲部を湾曲させる湾曲制御ユニットをさらに備える請求項
3に記載の内視鏡システム。
【請求項5】
前記内視鏡は、
ユーザ操作を受け付ける操作部を備え、
前記操作部には、
前記ユーザ操作に応じて回動可能に構成され、回動することによって前記湾曲部を湾曲させる湾曲ノブを備え、
前記湾曲制御ユニットは、
前記操作部に対して着脱自在に接続し、前記湾曲ノブを回動させる外付けユニットである請求項
4に記載の内視鏡システム。
【請求項6】
前記湾曲状態決定ユニットによって決定された前記湾曲部の湾曲状態を示す情報を報知する報知ユニットをさらに備える請求項
3に記載の内視鏡システム。
【請求項7】
前記報知ユニットは、
前記湾曲状態決定ユニットによって決定された前記湾曲部の湾曲状態を示す情報を視認可能に報知する請求項
6に記載の内視鏡システム。
【請求項8】
前記報知ユニットは、
前記湾曲状態決定ユニットによって決定された前記湾曲部の湾曲状態を示す情報を画像として表示するモニタを含む請求項
7に記載の内視鏡システム。
【請求項9】
前記報知ユニットは、
前記湾曲状態決定ユニットによって決定された前記湾曲部の湾曲状態を示す情報を音声によって報知する請求項
6に記載の内視鏡システム。
【請求項10】
被検体内に挿入される挿入部を有する内視鏡と、
ミリ波もしくはサブミリ波を送受信することによって前記被検体内の異変部を検出する検出ユニットと、
一端が前記検出ユニットに対して接続されるとともに他端が前記挿入部の先端から外部に露出され、前記検出ユニットが送受信するミリ波もしくはサブミリ波を伝搬する可撓性導波管と、を備える内視鏡システム。
【請求項11】
前記異変部は、
管腔内における出血部である請求項
10に記載の内視鏡システム。
【請求項12】
前記異変部は、
管腔壁における腫瘍発生部である請求項
10に記載の内視鏡システム。
【請求項13】
前記検出ユニットは、
送信したミリ波もしくはサブミリ波と受信したミリ波もしくはサブミリ波との間でのミリ波もしくはサブミリ波の状態の変化に基づいて、前記異変部を検出する請求項
10に記載の内視鏡システム。
【請求項14】
前記可撓性導波管における前記挿入部の先端から外部に露出される他端の方向を変位させる変位ユニットをさらに備える請求項
10に記載の内視鏡システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、先端に撮像部が設けられ、被検体内に挿入される挿入部を有する内視鏡と、当該撮像部からの画像信号を処理する制御装置とを備えた内視鏡システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の内視鏡システムでは、内視鏡は、挿入部を湾曲可能とする軟性内視鏡によって構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、内視鏡は、体内や管腔内等の閉鎖空間内の観察に用いられるため、観察したい部位に挿入部の先端を向けることは簡単ではない。
そこで、観察したい部位に挿入部の先端を向けることができ、操作性を向上させることができる技術が要望されている。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、操作性を向上させることができる内視鏡システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る内視鏡システムは、被検体内に挿入される挿入部を有する内視鏡と、ミリ波もしくはサブミリ波を送受信することによって対象物との間の距離を測定する距離測定ユニットと、前記内視鏡の手元側から前記挿入部の先端まで延設された管路に挿脱可能に挿通され、一端が前記距離測定ユニットに対して接続されるとともに他端が前記挿入部の先端から外部に露出され、前記距離測定ユニットが送受信するミリ波もしくはサブミリ波を伝搬する可撓性導波管と、を備える。
【0007】
本発明に係る内視鏡システムは、被検体内に挿入される挿入部を有する内視鏡と、ミリ波もしくはサブミリ波を送受信することによって前記被検体内の異変部を検出する検出ユニットと、一端が前記検出ユニットに対して接続されるとともに他端が前記挿入部の先端から外部に露出され、前記検出ユニットが送受信するミリ波もしくはサブミリ波を伝搬する可撓性導波管と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る内視鏡システムによれば、操作性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施の形態1に係る内視鏡システムの構成を示す図である。
【
図2】
図2は、内視鏡システムの要部の構成を示す図である。
【
図3】
図3は、内視鏡システムの動作を説明する図である。
【
図4】
図4は、実施の形態2に係る内視鏡システムの要部の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施の形態)について説明する。なお、以下に説明する実施の形態によって本発明が限定されるものではない。さらに、図面の記載において、同一の部分には同一の符号を付している。
【0011】
(実施の形態1)
〔内視鏡システムの構成〕
図1は、実施の形態1に係る内視鏡システム1の構成を示す図である。
図2は、内視鏡システム1の要部の構成を示す図である。
内視鏡システム1は、例えば医療分野において用いられ、被検体内(生体内)を観察するシステムである。この内視鏡システム1は、
図1または
図2に示すように、内視鏡2と、湾曲制御ユニット3(
図2)と、距離測定ユニット4(
図2)と、可撓性導波管5(
図2)と、表示装置6(
図1)と、光源装置7(
図1)と、制御装置8とを備える。
【0012】
内視鏡2は、一部が生体内に挿入され、当該生体内から反射された被写体像を撮像し、当該撮像によって生成した画像信号を出力する。この内視鏡2は、
図1に示すように、挿入部21と、操作部22と、ユニバーサルコード23と、コネクタ部24とを備える。
挿入部21は、少なくとも一部が可撓性を有し、生体内に挿入される部分である。この挿入部21は、
図1または
図2に示すように、先端ユニット211と、湾曲部212と、可撓管213とを備える。
【0013】
先端ユニット211は、挿入部21の先端に設けられている。この先端ユニット211には、具体的な図示は省略したが、照明光学系と、撮像光学系と、撮像ユニットとが設けられている。
照明光学系は、挿入部21内に引き回されたライトガイド(図示略)の一端に対向し、当該ライトガイドによって伝達された光を当該挿入部21の先端から生体内に照射する。
撮像光学系は、照明光学系から生体内に照射され、当該生体内から反射された光(被写体像)を取り込み、撮像ユニットを構成する撮像素子の撮像面に結像する。
撮像ユニットは、CCD(Charge Coupled Device)またはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像素子を含んで構成され、撮像光学系によって結像された被写体像を撮像し、当該撮像によって生成した画像信号を出力する。
【0014】
湾曲部212は、先端ユニット211の基端側(操作部22側)に連結されている。この湾曲部212は、具体的な図示は省略したが、複数の湾曲駒が連結された構成を有し、湾曲可能とする。
可撓管213は、湾曲部212の基端側(操作部22側)に連結され、可撓性を有する長尺形状を有する。
【0015】
操作部22は、挿入部21における基端部分に対して接続されている。そして、操作部22は、内視鏡2に対する各種の操作を受け付ける。この操作部22には、
図1または
図2に示すように、複数の操作部材221と、湾曲ノブ222と、挿入口223とが設けられている。
複数の操作部材221は、各種操作を受け付けるボタン等によって構成されている。
湾曲ノブ222は、ユーザ操作に応じて回動可能に構成されている。そして、湾曲ノブ222は、回動することによって、挿入部21内に配設された金属製または樹脂製のワイヤ等の湾曲機構(図示略)を動作させる。これによって、湾曲部212は、湾曲する。
挿入口223は、挿入部21の先端から延在した管路214(
図2)に連通し、外部から当該管路214に対して穿刺針等の処置具(図示略)や、可撓性導波管5を挿通するための挿入口である。
【0016】
ユニバーサルコード23は、操作部22から挿入部21の延在方向とは異なる方向に延在し、上述したライトガイド、及び、上述した画像信号を伝送する信号線等が配設されたコードである。
コネクタ部24は、ユニバーサルコード23の端部に設けられ、光源装置7及び制御装置8に対して着脱自在に接続される。
【0017】
湾曲制御ユニット3は、操作部22に対して着脱自在に接続し、湾曲ノブ222を回動させる外付けユニットである。この湾曲制御ユニット3は、
図2に示すように、回動制御部31と、回動状態検出部32とを備える。
回動制御部31は、湾曲ノブ222の回動状態を制御する。当該湾曲ノブ222の回動状態とは、当該湾曲ノブ222の回動方向及び回動量に相当する。言い換えれば、回動制御部31は、湾曲部212の湾曲状態を制御する。当該湾曲部212の湾曲状態とは、当該湾曲部212の湾曲方向及び湾曲量に相当する。
回動状態検出部32は、湾曲ノブ222の回動状態を検出する。すなわち、回動状態検出部32は、湾曲部212の湾曲状態を検出しており、本発明に係る湾曲状態検出ユニットに相当する。そして、回動状態検出部32は、検出した湾曲ノブ222の回動状態を示す信号を制御装置8に対して出力する。
【0018】
距離測定ユニット4は、ミリ波もしくはサブミリ波(以下、「ミリ波・サブミリ波」と称す)を送受信することによって対象物との間の距離を測定する所謂、ミリ波レーダモジュールである。そして、距離測定ユニット4は、測定した距離を示す信号を制御装置8に対して出力する。
可撓性導波管5は、可撓性を有する長尺状の導波管であり、一端が距離測定ユニット4に対して接続する。そして、可撓性導波管5は、距離測定ユニット4が送信するミリ波・サブミリ波を一端から他端に向けて伝搬し、当該他端から外部に出射するとともに、対象物から反射された当該ミリ波・サブミリ波を当該他端から当該一端(距離測定ユニット4)に向けて伝搬する。当該ミリ波は1~10mm程度の波長を、サブミリ波は0.1mm~1mm程度の波長を有する電波である。本実施の形態1では、可撓性導波管5は、挿入口223から管路214に対して挿脱可能に挿通される。この可撓性導波管5は、
図2に示すように、芯材51と、外導体52とを備える。
芯材51は、可撓性導波管5の長手方向に誘電率が均一になる状態で延出された棒状の誘電体によって構成されている。
外導体52は、芯材51の外周に設けられ、平箔糸を組紐状に組むことによって形成された導体である。
【0019】
表示装置6は、LCD(Liquid Crystal Display)、またはEL(Electro Luminescence)ディスプレイ等であり、制御装置8による制御の下、所定の画像を表示する。
光源装置7は、照明光を出射する。そして、光源装置7から出射された照明光は、コネクタ部24、ユニバーサルコード23、操作部22、及び挿入部21に引き回された上述したライトガイド及び照明光学系を経由した後、当該挿入部21の先端から生体内に向けて照射される。
【0020】
制御装置8は、CPU(Central Processing Unit)またはFPGA(Field-Programmable Gate Array)等を含んで構成され、湾曲制御ユニット3、距離測定ユニット4、表示装置6、及び光源装置7の動作を統括的に制御する。この制御装置8は、
図2に示すように、制御部81と、記憶部82とを備える。
制御部81は、CPUまたはFPGA等によって構成され、記憶部82に記憶された所定のプログラムを実行することによって、湾曲制御ユニット3、距離測定ユニット4、表示装置6、及び光源装置7の動作を制御する。
例えば、制御部81は、上述した撮像ユニットから上述した信号線を通って入力した画像信号に対して所定の処理を施して内視鏡画像を生成する。そして、制御部81は、表示装置6の動作を制御し、当該表示装置6に当該内視鏡画像等を表示させる。
なお、制御部81における湾曲制御ユニット3及び距離測定ユニット4を制御する機能については、後述する「内視鏡システムの動作」において説明する。
記憶部82は、制御部81が実行するプログラム、及び当該制御部81の処理に必要なデータ等を記憶する。
なお、本実施の形態1では、光源装置7と制御装置8とが別体で構成されているが、1つの筐体内に一体的に設けても構わない。
【0021】
〔内視鏡システムの動作〕
次に、上述した内視鏡システム1の動作について説明する。
なお、以下では、外付けユニットである湾曲制御ユニット3が操作部22に対して装着された状態(
図2に示した状態)であるとともに、可撓性導波管5が挿入口223から管路214に対して挿通された状態(
図2に示した状態)であるものとする。
【0022】
制御部81は、例えば操作部材221へのユーザ操作に応じて、湾曲部212における適切な湾曲状態を探索するために、湾曲制御ユニット3及び距離測定ユニット4に対して制御信号(以下、第1の制御信号と記載)をそれぞれ出力する。
湾曲制御ユニット3は、制御部81からの第1の制御信号に応じて、以下に示すように動作する。
回動制御部31は、湾曲ノブ222を種々の回動方向に種々の回動量で順次、回動させる。これによって、湾曲部212は、種々の湾曲方向に種々の湾曲量で順次、湾曲する。
また、回動状態検出部32は、回動制御部31によって湾曲ノブ222の回動状態の制御が実行されている際、当該湾曲ノブ222の回動状態を順次、検出する。そして、回動状態検出部32は、検出した湾曲ノブ222の回動状態を示す信号を順次、制御装置8に対して出力する。
【0023】
一方、距離測定ユニット4は、制御部81からの第1の制御信号に応じて、以下に示すように動作する。
距離測定ユニット4は、回動制御部31によって湾曲ノブ222の回動状態の制御が実行されている際、可撓性導波管5を通してミリ波・サブミリ波を送受信することによって、当該可撓性導波管5の先端側に位置する対象物との間の距離を順次、測定する。そして、距離測定ユニット4は、測定した距離を示す信号を順次、制御装置8に対して出力する。
【0024】
制御部81は、回動状態検出部32から順次、出力される信号に基づく湾曲ノブ222の回動状態と、距離測定ユニット4から順次、出力される信号に基づく距離とをそれぞれ関連付けて関連情報を順次、生成し、当該関連情報を順次、記憶部82に記憶させる。例えば、所定の関連情報に含まれる湾曲ノブ222の回動状態に関連付けられた距離は、当該湾曲ノブ222が当該回動状態である時に距離測定ユニット4にて測定された対象物との間の距離に相当する。
【0025】
そして、制御部81は、記憶部82に記憶された全ての関連情報を参照し、当該全ての関連情報のうち、距離が最も大きい関連情報を適切な湾曲状態を含む関連情報として抽出(決定)する。この後、制御部81は、抽出した関連情報に含まれる湾曲ノブ222の回動状態(以下、適切な回動状態と記載)を示す制御信号(以下、第2の制御信号と記載)を湾曲制御ユニット3に対して出力する。
湾曲制御ユニット3は、制御部81からの第2の制御信号に応じて、以下に示すように動作する。
回動制御部31は、回動状態検出部32によって湾曲ノブ222の回動状態が第2の制御信号に基づく適切な回動状態になったと検出されるまで、湾曲ノブ222の回動状態を制御する。そして、湾曲ノブ222の回動状態が適切な回動状態となることによって、湾曲部212の湾曲状態は、適切な湾曲状態となる。
以上説明したように、制御部81は、本発明に係る湾曲状態決定ユニットに相当する。
【0026】
図3は、内視鏡システム1の動作を説明する図である。具体的に、
図3は、挿入部21が大腸LIに挿入されている状態を示した図である。
図3に示すように、挿入部21が大腸LIに挿入され、当該挿入部21の先端が大腸LIにおける屈曲部分BEに位置した場合を想定する。この場合には、上述した内視鏡システム1の動作によって、挿入部21の先端は、以下に示す方向に向くこととなる。なお、以下では、説明の便宜上、距離測定ユニット4によって、対象物OB1~OB3(
図3)までの間の3つの距離がそれぞれ測定されたものとする。
すなわち、挿入部21の先端と対象物OB1~OB3との間の距離のうち、最も大きい距離は、対象物OB3との間の距離である。このため、上述した内視鏡システム1の動作により湾曲部212の湾曲状態が適切な湾曲状態になることによって、挿入部21の先端は、対象物OB3を向くこととなる。
【0027】
以上説明した本実施の形態1によれば、以下の効果を奏する。
本実施の形態1に係る内視鏡システム1では、上述した距離測定ユニット4、可撓性導波管5、湾曲制御ユニット3、距離測定ユニット4、可撓性導波管5、及び制御部81を採用している。
このため、湾曲部212の湾曲状態を適切な湾曲状態に自動的に設定し、挿入部21を挿入させたい方向に当該挿入部21の先端を向けることができる。
したがって、本実施の形態1に係る内視鏡システム1によれば、操作性を向上させることができる。
【0028】
特に、湾曲制御ユニット3が外付けユニットによって構成されているとともに、可撓性導波管5が挿入口223から管路214に対して挿脱可能に挿通されるため、内視鏡2としては、汎用の内視鏡2を使用することが可能となる。すなわち、内視鏡2に対して特別な構造を付加する必要がなく、当該内視鏡2の構造を複雑化することがない。
【0029】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。
以下の説明では、上述した実施の形態1と同様の構成には同一符号を付し、その詳細な説明は省略または簡略化する。
上述した実施の形態1では、ミリ波・サブミリ波を利用することによって、湾曲部212における適切な湾曲状態を探索していた。
これに対して本実施の形態2では、ミリ波・サブミリ波を利用することによって、生体内の異変部を検出する。ここで、当該異変部としては、管腔内における出血部、または、管腔壁における腫瘍発生部を例示することができる。
【0030】
図4は、実施の形態2に係る内視鏡システム1Aの要部の構成を示す図である。
本実施の形態2に係る内視鏡システム1Aでは、上述した実施の形態1において説明した内視鏡システム1に対して、
図2に示すように、湾曲制御ユニット3が省略されているとともに、距離測定ユニット4の代わりに送受信ユニット9が採用されている。
【0031】
送受信ユニット9には、可撓性導波管5の一端が接続される。この送受信ユニット9は、
図2に示すように、検出ユニット91と、変位ユニット92とを備える。
検出ユニット91は、可撓性導波管5を通してミリ波・サブミリ波を送受信し、送信したミリ波・サブミリ波と受信したミリ波・サブミリ波とを比較する。当該ミリ波・サブミリ波は、上述した実施の形態1において説明したミリ波・サブミリ波と同様のミリ波・サブミリ波である。そして、検出ユニット91は、送信したミリ波・サブミリ波と受信したミリ波・サブミリ波との間でのミリ波・サブミリ波の状態の変化に基づいて、生体内の異変部を検出する。当該ミリ波・サブミリ波の状態としては、例えば、ミリ波・サブミリ波の減衰率やミリ波・サブミリ波の波長の変化を例示することができる。また、検出ユニット91は、当該検出した異変部の位置を示す信号を制御装置8に対して出力する。
【0032】
変位ユニット92は、可撓性導波管5が挿通されたチューブ10(
図5参照)を利用することによって、可撓性導波管5における挿入部21の先端から外部に露出される他端の方向を変位させる。
図5は、チューブ10の構成を示す図である。具体的に、
図5は、チューブ10の長手方向に直交する平面によって当該チューブ10を切断した断面図である。
チューブ10は、可撓性を有するチューブであって、可撓性導波管5と略同一の全長を有する。このチューブ10には、
図5に示すように、第1の貫通孔101と、4つの第2の貫通孔102とが設けられている。
【0033】
第1の貫通孔101は、
図5に示すように、チューブ10の断面において、中央に位置し、当該チューブ10の一端から他端まで貫通した孔である。そして、第1の貫通孔101には、可撓性導波管5が挿通される。
4つの第2の貫通孔102は、
図5に示すように、チューブ10の断面において、第1の貫通孔101を囲み、当該チューブ10の中心軸を中心とする90°の回転対称となる位置に位置し、当該チューブ10の一端から他端まで貫通した孔である。そして、4つの第2の貫通孔102には、金属製または樹脂製のワイヤ11がそれぞれ挿通される。また、ワイヤ11の先端部分(送受信ユニット9から離間した側の端部)は、チューブ10に対して固定されている。
【0034】
そして、変位ユニット92は、制御部81による制御の下、4つのワイヤ11を牽引することによって、チューブ10を含む可撓性導波管5における他端の方向を変位させる。
また、検出ユニット91は、変位ユニット92によって可撓性導波管5における他端の方向の制御が実行されている際に、上述したように、生体内の異変部を検出する。そして、検出ユニット91は、当該検出した異変部の位置を示す信号を制御装置8に対して出力する。これによって、制御装置8は、例えば、当該信号に基づく異変部の位置を他の位置に対して識別する内視鏡画像を生成し、当該内視鏡画像を表示装置6に表示させる。
【0035】
以上説明した本実施の形態2によれば、以下の効果を奏する。
本実施の形態2に係る内視鏡システム1Aでは、上述した送受信ユニット9が採用されている。
このため、管腔内における出血部や、管腔壁における腫瘍発生部等の生体内の異変部を簡単な構成で容易に検出することができる。
【0036】
(その他の実施の形態)
ここまで、本発明を実施するための形態を説明してきたが、本発明は上述した実施の形態1,2によってのみ限定されるべきものではない。
上述した実施の形態1において、上述した実施の形態2のように、生体内の異変部を検出する構成を採用しても構わない。言い換えれば、上述した実施の形態1において、上述した実施の形態2において説明した送受信ユニット9を構成する検出ユニット91及び変位ユニット92の少なくとも一方を採用しても構わない。
【0037】
上述した実施の形態2において、変位ユニット92を省略し、上述した実施の形態1において説明した湾曲制御ユニット3を採用しても構わない。すなわち、検出ユニット91は、回動制御部31によって湾曲ノブ222の回動状態の制御が実行されている際に、生体内の異変部を検出する。
【0038】
上述した実施の形態1,2において、可撓性導波管5の少なくとも一部を挿入部21に内蔵しても構わない。
上述した実施の形態1において、制御部81によって決定された適切な湾曲状態を示す情報を本発明に係る報知ユニットから報知させても構わない。
本発明に係る報知ユニットとしては、例えば、表示装置6、インジケータ(図示略)、スピーカ等を例示することができる。
表示装置6及び上述したインジケータは、制御部81によって決定された適切な湾曲状態を示す情報を視認可能に報知する。
具体的に、表示装置6は、本発明に係るモニタに相当し、当該情報を画像として表示する。一方、インジケータは、例えば、上下左右方向にそれぞれ複数のLED(Light Emitting Diode)等が並設された構成を有し、表示装置6に対して隣接して設けられる。そして、インジケータは、上下左右方向に配設された複数のLEDを点灯させることによって、適切な湾曲状態(湾曲方向及び湾曲量)を報知する。
スピーカは、制御部81によって決定された適切な湾曲状態を示す情報を音声によって報知する。
【0039】
上述した実施の形態1,2では、本発明に係る内視鏡システムを医療分野において用いていたが、これに限らず、工業分野において用いても構わない。
【符号の説明】
【0040】
1,1A 内視鏡システム
2 内視鏡
3 湾曲制御ユニット
4 距離測定ユニット
5 可撓性導波管
6 表示装置
7 光源装置
8 制御装置
9 送受信ユニット
10 チューブ
11 ワイヤ
21 挿入部
22 操作部
23 ユニバーサルコード
24 コネクタ部
31 回動制御部
32 回動状態検出部
51 芯材
52 外導体
81 制御部
82 記憶部
91 検出ユニット
92 変位ユニット
101 第1の貫通孔
102 第2の貫通孔
211 先端ユニット
212 湾曲部
213 可撓管
214 管路
221 操作部材
222 湾曲ノブ
223 挿入口
BE 屈曲部分
LI 大腸
OB1~OB3 対象物