(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-16
(45)【発行日】2024-02-27
(54)【発明の名称】見守りシステムおよびその制御プログラム
(51)【国際特許分類】
G08B 21/02 20060101AFI20240219BHJP
G08B 25/10 20060101ALI20240219BHJP
G08B 21/04 20060101ALI20240219BHJP
H04M 11/00 20060101ALI20240219BHJP
G08B 25/04 20060101ALI20240219BHJP
【FI】
G08B21/02
G08B25/10 D
G08B21/04
H04M11/00 301
G08B25/04 K
(21)【出願番号】P 2020012447
(22)【出願日】2020-01-29
【審査請求日】2022-12-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100120514
【氏名又は名称】筒井 雅人
(72)【発明者】
【氏名】藤川 尚也
【審査官】吉村 伊佐雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-147579(JP,A)
【文献】特開2020-201733(JP,A)
【文献】特開2019-185189(JP,A)
【文献】特開2002-203287(JP,A)
【文献】国際公開第2018/30020(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B19/00-31/00
H04B7/24-7/26
H04M3/00
3/16-3/20
3/38-3/58
7/00-7/16
11/00-11/10
H04W4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
見守り対象者がもつ第1の通信端末と、
見守り者がもつ第2の通信端末と、
これら第1および第2の通信端末のそれぞれとの間でデータ通信が可能であり、かつ前記第2の通信端末から前記見守り対象者に関する安否確認の要求があったときには、前記第1の通信端末に所定の呼びかけ用データを送信するサーバと、
を備えている、見守りシステムであって、
前記サーバは、前記第1の通信端末として、複数の第1の通信端末が存在する場合には、これら複数の第1の通信端末のそれぞれの使用状況を把握可能とされており、かつ前記第2の通信端末から前記安否確認の要求があったときには、前記呼びかけ用データの送信先として、前記複数の第1の通信端末の中から、前記見守り対象者によって現在使用中である1つの通信端末、または最も直近に使用された1つの通信端末を選択するように構成されていることを特徴とする、見守りシステム。
【請求項2】
請求項1に記載の見守りシステムであって、
前記サーバは、前記複数の第1の通信端末のいずれかに前記呼びかけ用データを送信した後に、この送信先の第1の通信端末から所定の第1の時間以上にわたって応答がない場合には、前記送信先の第1の通信端末に前記呼びかけ用データを再送信する一方、前記第1の時間中に、他の第1の通信端末が使用されていた場合には、前記呼びかけ用データの再送信先を、前記他の第1の通信端末に変更するように構成されている、見守りシステム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の見守りシステムであって、
前記サーバは、前記見守り対象者に異常があった際に前記見守り対象者の居場所に駆け付ける駆け付け要員に関する情報を登録可能であり、かつ前記複数の第1の通信端末のいずれかに対して前記呼びかけ用データを送信したにも拘わらず、所定の第2の時間以上にわたって、前記複数の第1の通信端末のいずれからも応答がない場合には、前記駆け付け要員に駆け付けを要請するように構成されている、見守りシステム。
【請求項4】
請求項3に記載の見守りシステムであって、
前記サーバは、前記駆け付け要員として、複数の駆け付け要員が登録されている場合には、前記複数の駆け付け要員のそれぞれのスケジュール情報および/または位置情報に基づいて、前記見守り対象者の居場所への駆け付けに最適と考えられる要員を選択し、かつこの選択された要員に駆け付けを要請するように構成されている、見守りシステム。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の見守りシステムであって、
少なくとも前記サーバとの間でデータ通信が可能であり、かつ浴室に前記見守り対象者が存在する際にその旨を検知可能な人体検知手段を有する給湯装置の浴室リモコンを、備えており、
前記サーバは、前記第2の通信端末から前記安否確認の要求があったときに、前記見守り対象者が前記浴室に存在し、かつその旨が前記人体検知手段を利用して検知されている場合には、前記浴室リモコンに対して前記呼びかけ用データを送信するように構成されている、見守りシステム。
【請求項6】
見守り対象者がもつ第1の通信端末と、見守り者がもつ第2の通信端末と、これら第1および第2の通信端末のそれぞれとの間でデータ通信が可能であり、かつ前記第2の通信端末から前記見守り対象者に関する安否確認の要求があったときには、前記第1の通信端末に所定の呼びかけ用データを送信するサーバと、を備えている、見守りシステムの前記サーバに記憶され、かつ前記サーバによるデータ処理に用いられる制御プログラムであっ
て、
前記第1の通信端末として、複数の第1の通信端末が存在する場合には、これら複数の第1の通信端末のそれぞれの使用状況を、前記サーバにおいて把握可能とし、
前記サーバが、前記第2の通信端末から前記安否確認の要求を受けたときには、前記呼びかけ用データの送信先として、前記複数の第1の通信端末の中から、前記見守り対象者によって現在使用中である1つの通信端末、または最も直近に使用された1つの通信端末を選択する処理を、前記サーバに実行させるためのデータを含んでいることを特徴とする、制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所望の人が健康または安全であるかを見守るための見守りシステム、およびその制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
見守りシステムの具体例として、特許文献1,2に記載のものがある。
これらの文献に記載の見守りシステムは、住居内における見守り対象者の異常を検知するための検知手段を備えており、かつこの検知手段を利用して異常が検知されたときには、その旨がサーバを介して見守り者に通知されるように構成されている。このような構成によれば、見守り対象者の異常を見守り者が早期に察知し、たとえば見守り対象者の居場所に駆け付けるといった対応措置を適切に採ることができる。
【0003】
一方、見守り者としては、見守り対象者に異常が発生した旨の通知を受けていない場合であっても、見守り対象者の安否確認を簡易かつ積極的に行ないたい場合がある。そのための手段としては、見守りシステムを利用する見守り者が、見守り対象者に対する安否確認を行なうべく通信端末の操作を行なうと、サーバがこれを受けて、見守り対象者の通信端末に所定の呼びかけ用データを送信するように構成することが考えられる。
【0004】
しかしながら、前記したような見守りシステムを構築する場合、次に述べるように改善すべき課題がある。
すなわち、見守り対象者は、通信端末として、たとえばスマートフォン以外に、腕時計型などのウェアラブルコンピュータや、スマートスピーカをもつなど、複数の通信端末をもつ場合がある。このような場合、サーバが、見守り者から安否確認の要求を受けた際に、見守り対象者の複数の通信端末のいずれに対して呼びかけを行なうべきかの判断は難しい。たとえば、複数の通信端末のうち、見守り対象者が最も身近に置いていると考えられる1つの通信端末を優先通信端末として登録しておき、この通信端末に呼びかけを行なうことが考えられる。ところが、このような手段においては、優先通信端末が見守り対象者の身近に置かれていない場合に安否確認が適切にできないこととなる。また、このようなことを解消する手段として、複数の通信端末の全てに対して一斉に呼びかけを行なうことも考えられるが、このような手段を採用したのでは、見守り対象者が混乱をきたす虞がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2002-73966号公報
【文献】特開2019-23836号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記したような事情のもとで考え出されたものであり、見守り対象者に対する安否確認を適切に行なうことが可能な見守りシステム、およびそのための制御プログラムを提供することを、その課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0008】
本発明の第1の側面により提供される見守りシステムは、見守り対象者がもつ第1の通
信端末と、見守り者がもつ第2の通信端末と、これら第1および第2の通信端末のそれぞれとの間でデータ通信が可能であり、かつ前記第2の通信端末から前記見守り対象者に関する安否確認の要求があったときには、前記第1の通信端末に所定の呼びかけ用データを送信するサーバと、を備えている、見守りシステムであって、前記サーバは、前記第1の通信端末として、複数の第1の通信端末が存在する場合には、これら複数の第1の通信端末のそれぞれの使用状況を把握可能とされており、かつ前記第2の通信端末から前記安否確認の要求があったときには、前記呼びかけ用データの送信先として、前記複数の第1の通信端末の中から、前記見守り対象者によって現在使用中である1つの通信端末、または最も直近に使用された1つの通信端末を選択するように構成されていることを特徴としている。
【0009】
このような構成によれば、次のような効果が得られる。
見守り者から見守り対象者に関する安否確認の要求がサーバにあると、このサーバからは見守り対象者がもつ複数の第1の通信端末のうち、現在使用中である1つの通信端末、または最も直近に使用された1つの通信端末のいずれかに呼びかけ用データが送信される。このため、見守り対象者から遠く離れた位置ある第1の通信端末に呼びかけ用データが送信されるなどの確率は相当に低く、見守り対象者が最も気づき易い第1の通信端末に対して呼びかけ用データが送信される可能性が大きい。したがって、サーバから見守り対象者に対して呼びかけ用データの送信を何回も繰り返して実行することをなくし、または少なくし、見守り対象者の安否確認を円滑に行なう上で好ましいものとなる。見守り対象者がもつ複数の第1の通信端末に対して一斉に呼びかけを行なうこともないため、見守り対象者に混乱を生じさせないようにすることもできる。
【0010】
本発明において、好ましくは、前記サーバは、前記複数の第1の通信端末のいずれかに前記呼びかけ用データを送信した後に、この送信先の第1の通信端末から所定の第1の時間以上にわたって応答がない場合には、前記送信先の第1の通信端末に前記呼びかけ用データを再送信する一方、前記第1の時間中に、他の第1の通信端末が使用されていた場合には、前記呼びかけ用データの再送信先を、前記他の第1の通信端末に変更するように構成されている。
【0011】
このような構成によれば、何らかの事情に起因し、複数の第1の通信端末のうち、最初の呼びかけ用データの送信がなされた通信端末から応答がなかった場合には、所定の第1の時間が経過した後に、同一の第1の通信端末に呼びかけ用データが再送信されるものの、見守り対象者が前記第1の時間中に他の通信端末を用いていれば、この通信端末に呼びかけ用データが再送信される。したがって、見守り対象者への呼びかけを確実化する上で好ましいものとなる。
【0012】
本発明において、好ましくは、前記サーバは、前記見守り対象者に異常があった際に前記見守り対象者の居場所に駆け付ける駆け付け要員に関する情報を登録可能であり、かつ前記複数の第1の通信端末のいずれかに対して前記呼びかけ用データを送信したにも拘わらず、所定の第2の時間以上にわたって、前記複数の第1の通信端末のいずれからも応答がない場合には、前記駆け付け要員に駆け付けを要請するように構成されている。
【0013】
このような構成によれば、見守り対象者になんらかの異常があり、安否確認のための呼びかけに対して所定の第2の時間以上にわたって応答がない場合には、駆け付け要員を見守り対象者の居場所に駆け付けさせることが可能となる。したがって、見守り対象者を保護する上で好ましい。
【0014】
本発明において、好ましくは、前記サーバは、前記駆け付け要員として、複数の駆け付け要員が登録されている場合には、前記複数の駆け付け要員のそれぞれのスケジュール情
報および/または位置情報に基づいて、前記見守り対象者の居場所への駆け付けに最適と考えられる要員を選択し、かつこの選択された要員に駆け付けを要請するように構成されている。
【0015】
このような構成によれば、駆け付け要員が複数存在する場合に、これらの中から最適と考えられる要員が選択されるため、合理的である。
【0016】
本発明において、好ましくは、少なくとも前記サーバとの間でデータ通信が可能であり、かつ浴室に前記見守り対象者が存在する際にその旨を検知可能な人体検知手段を有する給湯装置の浴室リモコンを、備えており、前記サーバは、前記第2の通信端末から前記安否確認の要求があったときに、前記見守り対象者が前記浴室に存在し、かつその旨が前記人体検知手段を利用して検知されている場合には、前記浴室リモコンに対して前記呼びかけ用データを送信するように構成されている。
【0017】
このような構成によれば、次のような効果が得られる。
見守り対象者が入浴する際には、たとえばスマートフォンなどの通信端末を浴室に持ち込まないのが一般的であると考えられる。このような際に、見守り対象者に関する安否確認の要求があった場合には、サーバから浴室リモコンに呼びかけ用データが送信されるため、見守り対象者は、この浴室リモコンを利用して呼びかけがあった旨を察知することが可能である。安否確認の要求に対し、入浴中であっても対応することができるので、便利である。
【0018】
本発明の第2の側面により提供される制御プログラムは、見守り対象者がもつ第1の通信端末と、見守り者がもつ第2の通信端末と、これら第1および第2の通信端末のそれぞれとの間でデータ通信が可能であり、かつ前記第2の通信端末から前記見守り対象者に関する安否確認の要求があったときには、前記第1の通信端末に所定の呼びかけ用データを送信するサーバと、を備えている、見守りシステムの前記サーバに記憶され、かつ前記サーバによるデータ処理に用いられる制御プログラムであって、前記第1の通信端末として、複数の第1の通信端末が存在する場合には、これら複数の第1の通信端末のそれぞれの使用状況を、前記サーバにおいて把握可能とし、前記サーバが、前記第2の通信端末から前記安否確認の要求を受けたときには、前記呼びかけ用データの送信先として、前記複数の第1の通信端末の中から、前記見守り対象者によって現在使用中である1つの通信端末、または最も直近に使用された1つの通信端末を選択する処理を、前記サーバに実行させるためのデータを含んでいることを特徴としている。
【0019】
このような制御プログラムは、所定の第1および第2の通信端末とデータ通信が可能なサーバに記憶させることにより、本発明の第1の側面により提供される見守りシステムを適切に構築することが可能である。
【0020】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行なう発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明に係る見守りシステムの概略構成の一例を模式的に示す説明図である。
【
図2】
図1に示す見守りシステムのサーバで実行される動作処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図3】第2の通信端末における表示画面の一例を示す要部正面図である。
【
図4】第1の通信端末における表示画面の一例を示す要部正面図である。
【
図5】
図1に示す見守りシステムのサーバで実行される動作処理手順の他の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
【0023】
図1に示す見守りシステムMYは、見守り対象者7に異常があるか否かを監視するためのシステムであり、見守り対象者7がもつ複数の第1の通信端末1(1a~1c)、見守り対象者7の住居に設置された給湯装置WH、無線局N1を有する通信網(広域通信網)Nに接続されたサーバ8、複数の見守り者9(9a~9f)がそれぞれもつ第2の通信端末2(2a~2f)を用いて構成されている。
【0024】
見守り対象者7の住居内には、通信網Nの回線終端装置60(モデム)、およびこれに接続された無線LAN親機としてのルータ61が設置されており、通信網Nやサーバ8への接続環境が整っている。
第1の通信端末1a~1cは、たとえばそれぞれスマートフォン、腕時計型のウェアラブルコンピュータ、およびスマートスピーカであり、いずれも音声または音声以外のデータの入出力および通信機能を有している。
各第2の通信端末2は、たとえばスマートフォンである。
【0025】
給湯装置WHは、たとえば瞬間式のガス給湯装置やヒートポンプ式の給湯装置などであって、その基本的なハード構成自体は、従来既知のものと同様である。具体的には、この給湯装置WHは、浴槽50に配管部51を介して湯水供給などを行なうための給湯装置本体部3、およびこの給湯装置本体部3の通信部30と配線Lを介して通信接続された台所用および浴室用のリモコン4A,4Bを備えている。これら2つのリモコン4A,4Bの少なくとも一方には、ルータ61との相互間で無線通信を可能とする通信部49(無線LAN子機)が具備されている。このことにより、給湯装置WHも、通信網Nやサーバ8への接続が可能である。
【0026】
給湯装置WHは、浴室監視機能を備えており、浴室5において見守り対象者7に異常が発生した場合には、その旨を検知可能である。
具体的には、浴室用のリモコン4Bには、人体検知センサSaが具備されており、浴室5に見守り対象者7が入室した際にはこの旨を検知可能であることに加え、浴室5内において見守り対象者7がたとえばヒートショックを起こすなどして、身体の動きが所定時間以上継続して停止し、または少なくなった場合には、給湯装置WHに具備されたデータ処理部31は、異常が発生したものと判断する。
【0027】
台所用および浴室用のリモコン4A,4Bは、本来的には、浴槽50への湯張り温度や湯張り量の設定や、給湯動作や風呂追い焚き動作の開始・停止などを指示するためのものであり、画像表示が可能な表示部40、各種の複数の操作スイッチ41、およびスピーカSPやマイクMCなどを備えている。これらリモコン4A,4Bを、本発明でいう第1の通信端末の1つに含めることは可能であるが、本実施形態においては、そのようには扱っていない。
給湯装置WHにおいて、異見守り対象者7に異常が発生したと判断された際には、その旨がリモコン4A,4Bの表示部40やスピーカSPを利用して報知されるが、これに加え、前記した異常の旨のデータはサーバ8にも送信される。また、このサーバ8を介して複数の第2の通信端末2に対しても後述するように送信される。
【0028】
サーバ8は、通信部80に加え、記憶部82aを含むデータ処理部82を備えている。記憶部82aには、見守り対象者に関するデータD1、見守り者に関するデータD2、見守り対象者7に異常があった際にその居場所に駆け付ける駆け付け要員に関するデータD
3、およびサーバ8に後述する所定のデータ処理を実行させるための制御プログラムのデータD4が記憶されている。第1および第2の通信端末1,2に、この見守りシステムMYに対応する機能をもたせるためのアプリケーションプログラムのデータ(不図示)も、サーバ8に記憶されており、第1および第2の通信端末1,2に適宜ダウンロードできるように構成されている。
【0029】
ここで、見守り対象者に関するデータD1は、見守り対象者7自身に関する情報に加え、第1の通信端末1a~1cに関する情報も含まれる。見守り者に関するデータD2は、見守り者9a~9fの個々に関する情報に加え、複数の第2の通信端末2a~2fに関する情報も含まれる。駆け付け要員に関するデータD3は、見守り対象者7に異常が発生したときに見守り対象者7の居場所に駆け付けるための要員に関する情報である。たとえば、見守り者9a~9fの全員または多くが該当し、本実施形態においては、見守り者9a~9fの全員が駆け付け要員とされている。駆け付け要員が見守り者9である場合、その情報は重複するが、駆け付け要員がもつ通信端末に関する情報も前記したデータD3に含まれる。駆け付け要員として、最適な者(スケジュールが空き、かつ見守り対象者7の居場所に早く駆け付けることができる者など)を選択する必要があることから、駆け付け要員の曜日ごとのスケジュールに関する情報(居所、勤務先の住所、勤務時間帯などに加え、見守り対象者7の居場所に駆け付け可能または不可能な日にち、曜日、時間帯など)も含まれる。
前記したデータD1~D3は、第1および第2の通信端末1,2を操作し、また給湯装置WHのリモコン4A,4Bを操作するなどして、サーバ8にアクセスし、サーバ8の記憶部82aに記憶させることが可能であり、その内容の修正も適宜可能である。
【0030】
この見守りシステムMYにおいては、サーバ8により、
図2のフローチャートで示すようなデータ制御が実行されるように構成されている。
【0031】
まず、サーバ8は、複数の第1の通信端末1の使用状況を常時監視しており(S1)、さらに給湯装置WHによる浴室5における見守り対象者7についての異常検知の有無を常時監視している(S2)。仮に、見守り対象者7についての異常検知があり、かつサーバ8がその旨を受信すると(S2:NO)、ステップS10に移行し、見守り対象者7の居場所に駆け付ける駆け付け要員の選択処理を開始するとともに、選択した駆け付け要員に駆け付けを要請する。ただし、その詳細については後述する。
【0032】
次いで、たとえば見守り者9aの第2の通信端末2aが利用されて見守り対象者7についての安否確認の要求があると、サーバ8は、複数の第1の通信端末1のうち、見守り対象者7によって現在使用中のものがあればそれを特定し、また現在使用中のものがなければ、最も直近に使用されたものを特定し、かつこの特定した第1の通信端末1に対し、所定の呼びかけ用データを送信する(S3:YES,S4,S5)。第1の通信端末1が、スマートフォンの場合には、たとえばその電源がONであるとき、あるいはGPS上においてスマートフォンの移動が検出されるときには現在使用中であると判断される。ウェアラブルコンピュータの場合には、見守り対象者7の腕に装着されているとき、またスマートスピーカの場合には、このスマートスピーカへの見守り対象者7からの話しかけがなされているときなどが、現在使用中であると判断される。現在使用中の第1の通信端末1が複数存在する場合、いずれに呼びかけ用データを送信するかは、予め定めておけばよい。
【0033】
図3は、第2の通信端末2を利用して安否確認の要求を行なう際の画面表示例を示している。同図に示すように、その表示部20には、「見守り対象者〇〇さんの安否確認を行なう」などの文字画像Naが画面表示されており、この部分をタップすることにより、サーバ8に対して安否確認の要求がなされる。
【0034】
図4は、第1の通信端末1aにサーバ8から呼びかけ用データが送信された場合の画面表示例である。同図に示すように、表示部10には、見守り者△△さんから安否確認があった旨を示す表示Nb、およびこの安否確認に対してどのような応答をするかの選択項目表示Ncがある。選択項目としては、たとえば「とても元気で順調です」,「元気です」,「調子が悪いので、駆け付けてください」などがある。見守り対象者7が、前記した選択項目のうち、いずれかをタップすれば、タップした選択項目に記載されているのと同様な内容の応答が、サーバ8を介して第2の通信端末2に送信されるようになっている(S6:YES,S7)。
なお、
図4に示したような表示は、第1の通信端末1がウェアラブルコンピュータである場合においても同様に実行可能である。スマートスピーカである場合には、前記した表示に代えて、音声出力がなされ、かつ安否確認の要求に対する応答については、音声入力することとなる。
【0035】
一方、前記とは異なり、第1の通信端末1aに呼びかけ用データが送信され、
図4に示したような画面表示がなされたにも拘わらず、なんらかの事情により、見守り対象者7が応答を行なわない場合があり得る。このような状態をそのまま放置したのでは、安否確認の要求を行なった見守り者9が大きな不安をもつ。
このため、サーバ8は、所定の第1の時間T1(たとえば、5分,10分程度)が経過したにも拘わらず、第1の通信端末1aから適当な応答がなく、かつ後述する所定の第2の時間T2(たとえば1時間程度)が経過していない場合には、元々の呼びかけ用データの送信先であった第1の通信端末1aに対し、呼びかけ用データを再送信させる(S6:NO,S8:YES,S9:NO,S14)。ただし、第1の時間T1の間に、第1の通信端末1aとは別の第1の通信端末1が見守り対象者7によって使用された場合には、この使用された別の第1の通信端末1に、呼びかけ用データを再送信させる。
このように、呼びかけ用データの再送信、およびその再送信先の変更などにより、見守り対象者7は、呼びかけ用データの送信がなされていることに容易に気づき易くなり、安否確認の要求に対する応答を的確に行なうことが可能となる。なお、見守り対象者7による応答がなおもなければ、前記した呼びかけ用データの再送信は、第2の時間T2が経過する迄、第1の時間T1が経過する毎に繰り返し実行される。
【0036】
第2の時間T2が経過しても、前記呼びかけ用データの送信に際して何らの応答がない場合、サーバ8は、複数の駆け付け要員の中から最適と考えられる駆け付け要員を選択してから、この駆け付け要員に見守り対象者7の居場所への駆け付けを要請する(S9:YES,S10)。第2の時間T2が経過しているにも拘わらず、見守り対象者7から何の応答もない場合には、見守り対象者7に異常が発生している可能性が高く、駆け付け要員に対する駆け付けの要請は、前記した異常に対して適切な対応措置であると考えられる。
なお、最適と考えられる駆け付け要員とは、たとえば見守り対象者7の居場所に最も早く駆け付けることが可能な駆け付け要員が該当し、駆け付け要員がもつ第2の通信端末2のGPS位置情報を利用し、見守り対象者7の居場所の最も近くにいるものが選択される。また、これに代えて、日時に関する情報と、記憶部82aに予め記憶されている複数の駆け付け要員に関する情報(居所、勤務先の住所、勤務時間帯などの情報)とに基づき、見守り対象者7の住居に最も近くに存在し、かつ迅速に行動できると考えられる駆け付け要員を、最適な駆け付け要員とすることも可能である。
【0037】
前記のようにして最適な駆け付け要員を選択し、かつこの選択した駆け付け要員に対して駆け付けが要請された後に、この駆け付け要員から駆け付けを了承する旨の応答がサーバ8に対してなされた場合には、その旨を他の駆け付け要員(見守り者9)および見守り対象者7に通知し、察知させる(S11:YES,S12)。これとは異なり、駆け付けを要請された駆け付け要員が、駆け付けを拒否した場合、あるいは所定時間内に了承しない場合には、次に最適であると考えられる別の駆け付け要員がサーバ8によって選択され
、この選択された駆け付け要員に駆け付け要請がなされる(S11:NO,S13)。駆け付け要員の選択および駆け付け要請は、少なくとも一人の駆け付け要員が見守り対象者7の居場所に駆け付けることを了承するまで繰り返し実行される。
【0038】
この見守りシステムMYにおいては、前記したデータ処理に代えて、または加えて、
図5に示すようなデータ処理を実行可能な構成とすることも可能である。
【0039】
すなわち、たとえば見守り者9aが所有する第2の通信端末2aを利用して見守り対象者7に対する安否確認の要求があると(S21:YES)、サーバ8は、見守り対象者7が浴室5に存在するか否かを判断する(S22)。この判断は、浴室5の人体検知センサSaからの人体検知信号のオン・オフに基づいて行なうことが可能である。この判断の結果、浴室5に見守り対象者7が存在する場合には、浴室用のリモコン4Bに対して呼びかけ用データを送信する(S22:YES,S23)。これとは異なり、浴室5に見守り対象者7が存在しない場合には、先に述べたのと同様に、複数の第1の通信端末1の中から、現在使用中、または最も直近に使用されたものを特定し、かつこの特定した第1の通信端末1に呼びかけ用データを送信する(S22:NO,S4,S5)。
【0040】
見守り対象者7が浴室5に入る際には、第1の通信端末1を携帯しないのが一般的であると考えられる。このような場合に、第1の通信端末1に呼びかけ用データを送信したとしても的確な応答がなされる可能性は低いと考えられる。これに対し、浴室用のリモコン4Bに対して呼びかけ用データを送信すれば、見守り対象者7は、このデータ送信に容易に気づき、的確に応答を行なうことが期待できる。
図5のデータ処理の例から理解できるように、本発明においては、浴室用のリモコン4Bを見守り対象者7がもつ第1の通信端末1として利用することが可能である。また、台所用のリモコン4Aについても同様である。
【0041】
本発明は、上述した実施形態の内容に限定されない。本発明に係る見守りシステムの各部の具体的な構成は、本発明の意図する範囲内において種々に設計変更自在である。本発明に係る制御プログラムの具体的な構成も種々に変更可能である。
【0042】
上述の実施形態においては、浴室5における見守り対象者7の異常を検知可能な給湯装置WHを利用して見守りシステムMYが構築されているが、本発明はこれに限定されない。たとえば、給湯装置WHを利用することなく見守りシステムを構築することもできる。人体検知センサSaと同様なセンサを、トイレ、台所、洗面所、あるいはその他の部屋に設置し、見守り対象者の住居の広い範囲を監視エリアとした見守りシステムを構築することも可能である他、人体検知センサなどを用いない見守りシステム(本発明が意図する安否確認を適切に行なうことが可能な見守りシステム)とすることもできる。
本発明でいう第1および第2の通信端末の具体的な種類は限定されない。上述した通信端末以外として、たとえば携帯電話機やタブレット型端末を含めることもできる。
【符号の説明】
【0043】
MY 見守りシステム
N 通信網
Sa 人体検知センサ
WH 給湯装置
1(1a~1c) 第1の通信端末
2(2a~2f) 第2の通信端末
5 浴室
7 見守り対象者
8 サーバ
9(9a~9f) 見守り者