(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-16
(45)【発行日】2024-02-27
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 21/488 20110101AFI20240219BHJP
H04N 21/472 20110101ALI20240219BHJP
G10L 15/00 20130101ALI20240219BHJP
【FI】
H04N21/488
H04N21/472
G10L15/00 200G
(21)【出願番号】P 2023053357
(22)【出願日】2023-03-29
(62)【分割の表示】P 2020510690の分割
【原出願日】2019-03-18
【審査請求日】2023-04-21
(31)【優先権主張番号】P 2018059026
(32)【優先日】2018-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】316009762
【氏名又は名称】サターン ライセンシング エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Saturn Licensing LLC
【住所又は居所原語表記】25 Madison Avenue New York,NY,USA
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山岸 靖明
(72)【発明者】
【氏名】木山 由佳
【審査官】松元 伸次
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-192122(JP,A)
【文献】特開2007-052484(JP,A)
【文献】国際公開第2017/104207(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/088994(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0135344(US,A1)
【文献】米国特許第06411725(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F3/01
3/048-3/04895
G06Q10/00-10/10
30/00-30/08
50/00-50/20
50/26-99/00
G10L15/00-17/26
G16Z99/00
H04N7/10
7/14-7/173
7/20-7/56
21/00-21/858
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイと、回路と、を具備し、
前記回路は、
ユーザからの音声による要求を処理する
音声アシスタントサービスを利用可能なサービス対象物を含む動画コンテンツのA/Vデータを取得し、その動画コンテンツを前記ディスプレイ上で再生し、
前記動画コンテンツに対応するPOI(Point of Interest)メタデータを取得し、前記取得したPOIメタデータに基づいて、再生された動画コンテンツ内の前記サービス対象物をユーザに知らせる付加画像を生成し、
POI(Point of Interest)メタデータは、利用する機能に対応する音声アシスタントサービスプログラムを定義する制御情報を含み、
前記動画コンテンツに前記付加画像を重ね合わせた合成画像を生成し、
前記生成した合成画像を前記ディスプレイに表示する、
ように構成された情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記回路は、さらに、前記付加画像が前記動画コンテンツに重畳されて前記ディスプレイに表示される前記サービス対象物に対する音声によるユーザからの要求を受信するように構成される
情報処理装置。
【請求項3】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記POIメタデータは、取得した動画コンテンツのA/Vデータに含まれる
情報処理装置。
【請求項4】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記A/Vデータは、放送またはネットワーク通信を介して取得される
情報処理装置。
【請求項5】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
デコードされたA/Vデータおよび前記付加画像から表示信号を生成するように構成されたレンダリング回路をさらに備え、
前記表示信号は前記ディスプレイに出力される
情報処理装置。
【請求項6】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記回路は、ユーザのデモグラフィッククラスまたはユーザ識別情報を決定するように構成される
情報処理装置。
【請求項7】
請求項5に記載の情報処理装置であって、
スピーカをさらに備え、
前記レンダリング回路は、デコードされたA/Vデータからオーディオ信号を生成するように構成され、前記オーディオ信号は前記スピーカに出力される
情報処理装置。
【請求項8】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記POIメタデータは、放送またはネットワーク通信を介して取得される
情報処理装置。
【請求項9】
請求項8に記載の情報処理装置であって、
さらに、テレビジョンを有する
情報処理装置。
【請求項10】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記サービス対象物は、再生された動画コンテンツに登場する人物または商品である
情報処理装置。
【請求項11】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記POIメタデータは、
音声アシスタントサービス制御情報と、POIアイコン画像、POI表示色、POI表示位置、POI表示テキスト、POIフィルタリング情報およびPOI使用制限からなるグループから選択された
1つ以上のデータと、を含む
情報処理装置。
【請求項12】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記回路は、前記付加画像のユーザまたはユーザ属性に対応する提示制限を生成するように構成される
情報処理装置。
【請求項13】
請求項12に記載の情報処理装置であって、
ユーザ属性は、性別、年齢、居住地域、職業、学歴、家族構成からなる群から選択されたユーザ識別またはユーザデモグラフィッククラスに従って決定される
情報処理装置。
【請求項14】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記付加画像は動画コンテンツを含む
情報処理装置。
【請求項15】
ユーザからの音声による要求を処理する
音声アシスタントサービスを利用可能なサービス対象物を含む動画コンテンツのA/Vデータを取得し、その動画コンテンツをディスプレイ上で再生すること、
前記動画コンテンツに対応するPOI(Point of Interest)メタデータを取得し、前記取得したPOIメタデータに基づいて、再生された動画コンテンツ内の前記サービス対象物をユーザに知らせる付加画像を生成することであって、
POI(Point of Interest)メタデータは、利用する機能に対応する音声アシスタントサービスプログラムを定義する制御情報を含み、
前記動画コンテンツに前記付加画像を重ね合わせた合成画像を生成すること、
前記生成した合成画像を前記ディスプレイに表示すること、
を有する情報処理方法。
【請求項16】
請求項15に記載の情報処理方法であって、
前記付加画像が前記動画コンテンツに重畳されて前記ディスプレイに表示される前記サービス対象物に対する音声によるユーザからの要求を受信することをさらに含む
情報処理方法。
【請求項17】
請求項15に記載の情報処理方法であって、
前記POIメタデータは、取得した動画コンテンツのA/Vデータに含まれる
情報処理方法。
【請求項18】
請求項15に記載の情報処理方法であって、
前記A/Vデータは、放送またはネットワーク通信を介して取得される
情報処理方法。
【請求項19】
請求項15に記載の情報処理方法であって、
デコードされたA/Vデータおよび前記付加画像から表示信号を生成し、前記表示信号をディスプレイに出力することをさらに含む
情報処理方法。
【請求項20】
請求項15に記載の情報処理方法であって、
ユーザのデモグラフィッククラスまたはユーザ識別情報を決定することを含む
情報処理方法
【請求項21】
ユーザからの音声による要求を処理する音声アシスタントサービスを利用可能なサービス対象物を含む動画コンテンツのA/Vデータを取得し、その動画コンテンツをディスプレイ上で再生すること、
前記動画コンテンツに対応するPOI(Point of Interest)メタデータを取得し、前記取得したPOIメタデータに基づいて、再生された動画コンテンツ内の前記サービス対象物をユーザに知らせる付加画像を生成することであって、POI(Point of Interest)メタデータは、利用する機能に対応する音声アシスタントサービスプログラムを定義する制御情報を含み、
前記動画コンテンツに前記付加画像を重ね合わせた合成画像を生成すること、
前記生成した合成画像を前記ディスプレイに表示すること、
をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、映像を含む動画コンテンツを受信し、再生するための情報処理を行う情報処理装置、情報処理方法およびプログラムに関し、特にその動画コンテンツが情報処理装置のユーザに対して音声ベースによる情報サービスと連携するものである場合などに好適な情報処理装置、情報処理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、音声AIアシスタントサービスが普及している。これは、情報処理装置のユーザが発した音声による要求を、サービスに対応する端末がマイクなどによって収音し、認識してデータを解析し、ユーザの要求に応じたサービスを実行して、その実行の結果をユーザに音声などで応答する情報サービスである(たとえば、特許文献1参照)。現在では、クラウドベースによる音声AIアシスタンスサービスとして、Amazon Echo(登録商標)のAlexa(登録商標)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような音声AIアシスタントサービスを、映像を含む動画コンテンツを再生する環境において、その映像に登場する人物や物品に関する情報を収集するための手段として利用する仕組みが本発明者らによって検討されている。例えば、動画コンテンツ中に登場する人物の役柄や、他の登場人物との関係、さらにはその人物を演じる俳優のプロフィールといった様々な事柄を視聴者であるユーザがその場で知りたい場合に、音声AIアシスタントサービスからリアルタイムに情報の提供を受けることができる。
【0005】
しかしながら、音声AIアシスタントサービスを、映像を含む動画コンテンツを再生する環境においてその映像に登場する人物や物品に関する情報を収集するための手段として実際に利用するとなると、音声AIアシスタントサービスの特性を活かした好適な使い方が未だ十分確立されていないなど、解決すべき課題は山積されている。
【0006】
そこで本技術は、再生映像を鑑賞する際に、音声AIアシスタントサービスをその特性を活かして利用することのできる情報処理装置、情報処理装置およびプログラムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本技術に係る情報処理装置は、ユーザからの音声による要求を処理するサービスを利用可能なサービス対象物を含む映像データを取得して再生するメディア再生部と、前記再生した映像に前記サービス対象物を前記ユーザに教示するための付加画像を付加し、前記ユーザにより任意に選択された前記付加画像付きのシーンに対するブックマークとして、前記映像データの識別情報および前記付加画像の開始時刻および終了時刻の情報を保存する制御部とを具備する。
【0008】
前記制御部は、前記ユーザからの任意の前記ブックマークの選択を受け付け、選択された前記ブックマークに対応する前記映像データの識別情報および前記付加画像の開始時刻および終了時刻の情報に基づき前記付加画像付きの映像データを再生するものであってよい。
【0009】
前記制御部は、前記付加情報を生成するために前記映像データの識別情報および前記付加画像の開始時刻および終了時刻の情報を含むメタデータを取得し、前記取得したメタデータに基づき前記付加情報を付加するものであってよい。
【0010】
前記メタデータが、前記ユーザからの発話によって特定される前記サービスの機能を示す機能名を含むサービスバックエンド制御情報を含み、前記制御部は、ユーザにより選択された前記ブックマークに対応する前記メタデータに含まれる前記サービスバックエンド制御情報の前記機能名を前記ユーザに提示するものであってよい。
【0011】
前記メタデータは、1つの機能名で時間帯毎に異なる機能を要求するための情報を含み、前記制御部は、前記情報に基づき、前記サービスの機能を切り替えるサーバに前記要求を送信するものであってよい。
【0012】
前記制御部は、前記サービス対象物毎に前記サービスの利用に対して制限をかけるように構成されたものであってよい。
【0013】
前記制限は、課金による制限、あるいは、前記付加画像のメタデータのコミュニティサービス上のシェアの可否に関する制限であってよい。
【0014】
前記付加画像は、上記サービス対象物が上記サービスにおいて音声認識によって一意に判別され得るように、前記サービス対象物毎にユニークな視覚的特徴を有するものであってよい。あるいは、前記付加画像は、上記サービス対象物に付随した位置に提示されるものとしてよい。
【0015】
さらに、前記制御部は、前記メタデータのAdaptationSetを含むMPDファイルを取得し、このMPDファイルを解析して、前記映像データおよび前記メタデータをそれぞれMPEG-DASHのMedia Segmentとして取得し、前記映像データと、前記メタデータに基づく前記付加画像とを互いに同期させて提示するように構成されてよい。
【0016】
本技術に係る別の側面である情報処理方法は、ユーザからの音声による要求を処理するサービスを利用可能なサービス対象物を含む映像データを取得して再生し、前記再生した映像に前記サービス対象物を前記ユーザに教示するための付加画像を付加し、前記ユーザにより任意に選択された前記付加画像付きのシーンに対するブックマークとして、前記映像データの識別情報および前記付加画像の開始時刻および終了時刻の情報を保存する手順を含むものである。
【0017】
本技術に係るさらに別の側面であるプログラムは、ユーザからの音声による要求を処理するサービスを利用可能なサービス対象物を含む映像データを取得して再生するメディア再生部と、前記再生した映像に前記サービス対象物を前記ユーザに教示するための付加画像を付加し、前記ユーザにより任意に選択された前記付加画像付きのシーンに対するブックマークとして、前記映像データの識別情報および前記付加画像の開始時刻および終了時刻の情報を保存する制御部としてコンピュータを機能させるプログラムである。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本技術によれば、再生映像を鑑賞する際に、音声AIアシスタントサービスをその特性を活かして利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は本技術に係る第1の実施形態の情報処理装置4を含む情報処理システム100の全体構成を示すブロック図である。
【
図2】
図1の情報処理システム100における全体的動作の流れ(その1)を示すシーケンス図である。
【
図3】
図1の情報処理システム100における全体的動作の流れ(その2)を示すシーケンス図である。
【
図4】
図1の情報処理システム100における全体的動作の流れ(その3)を示すシーケンス図である。
【
図5】付加画像が重畳された映像の例を示す図である。
【
図6】POIメタデータの構成を示すブロック図である。
【
図7】付加画像が重畳された映像の別の例を示す図である。
【
図9】
図1の情報処理システム100における、付加画像の提示制限を含む全体的動作の流れ(その3)を示すシーケンス図である。
【
図10】POIメタデータに基づくトリックプレイ再生について説明する図である。
【
図11】POIメタデータを処理するアプリケーション実行環境43の例を示す図である。
【
図12】POIメタデータを処理するアプリケーション実行環境43の他の例を示す図である。
【
図13】ウェブアプリケーションとPOIメタデータをパッケージングするMulti-part MIMEフォーマットの例を示す図である
【
図14】MP4ファイルのフォーマットにおけるMedia Segmentの構成を示す図である。
【
図15】MPEG-DASHのMPDのデータ構造を示す図である。
【
図16】MPEG-DASHサーバ15と情報処理装置4との間でのネットワーク通信によるやりとりを示す図である。
【
図17】MPEG-DASH動画コンテンツの提示制御の流れを示す図である。
【
図18】POIメタデータのAdaptationSetが追加されたMPDの構成を示す図である。
【
図19】POIメタデータのAdaptationSetが追加されたMPDのより具体的な例を示す図である。
【
図20】MPDに基づく映像および付加画像の提示の流れを示す図である。
【
図21】サービス対象物の移動に伴って付加画像の提示位置を移動させる場合のPOIメタデータを示す図である。
【
図22】POIメタデータの複数サンプル時間をまたがる提示更新制御を説明する図である。
【
図23】ODRLによるPOI利用制限情報の記述例を示す図である。
【
図24】音声アシスタントサービスを利用するための課金制限の動作を示すシーケンス図である。
【
図25】本実施形態の情報処理システム100においてブックマークを用いたタイムシフト再生に係る構成を示すブロック図である。
【
図26A】ブックマークを用いたタイムシフト再生の流れを示すシーケンス図である。
【
図26B】
図26Aに続く、ブックマークを用いたタイムシフト再生の流れを示すシーケンス図である。
【
図27】あるブックマークに紐付けられたPOIメタデータの例を示す図である。
【
図28】異なる音声AIアシスタントサービスプログラムが割り当てられた2つの時間帯のシーンにそれぞれ紐付けられたPOIメタデータにおけるContextID属性の値の変化を示す図である。
【
図29】ODRLによるシェア可否制御情報の記述例を示す図である。
【
図30】シーンキャプチャの作成方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本技術に係る実施形態を説明する。
【0021】
<本実施形態の情報処理装置の要旨>
本実施形態の情報処理装置4は、ユーザからの音声による要求を処理するサービスを利用可能なサービス対象物を含む映像データを取得して再生するAVデコーダ41と、再生した映像にサービス対象物をユーザに教示するための付加画像を付加し、ユーザにより任意に選択された付加画像付きのシーンに対するブックマークとして、映像データの識別情報および付加画像の開始時刻および終了時刻の情報を保存するアプリケーション実行環境43、ブックマークブラウザ51およびブックマークデータベース50を有する。
【0022】
これにより、視聴中の動画コンテンツの音声アシスタントサービスを利用可能な区間のなかで、ユーザが任意の付加画像付きシーンに対してブックマークを登録し、以後の任意のタイミングでユーザにより選択されたブックマークに基づいて付加画像付きシーンを再生することができる。
【0023】
(システム全体構成)
図1は本技術に係る第1の実施形態の情報処理装置4を含む情報処理システム100の全体構成を示すブロック図である。なお、同図は本実施形態の情報処理装置4を含む情報処理システム100において映像データに合成する付加画像を生成する部分の構成を示している。
同図に示すように、この情報処理システム100は、サーバ群1、放送/ネット配信システム2、音声AIアシスタントサービス端末3、およびユーザの情報処理装置4を含む。
【0024】
(サーバ群1について)
サーバ群1は、動画コンテンツサーバ11、アプリケーションサーバ12、POIメタデータサーバ13、および音声AIアシスタントサービスプログラムサーバ14を含む。
【0025】
動画コンテンツサーバ11は、CMや番組などの動画コンテンツのデータを蓄積する。動画コンテンツのデータは、映像、音声、字幕などの複数の種類のメディアデータで構成されるマルチメディアデータであってよい。本技術は、特に映像データに適用し得るものであり、音声、字幕などの他のメディアデータの有無は問わない。
【0026】
POIメタデータサーバ13は、動画コンテンツに対応するPOIメタデータを放送/ネット配信システム2を通じて情報処理装置4にダイレクトに配信する。あるいは、動画コンテンツサーバ11において、少なくとも動画コンテンツのデータとPOIメタデータを所定のデータ構造にまとめて情報処理装置4に配信する場合には、POIメタデータサーバ13はPOIメタデータを放送/ネット配信システム2を通じて動画コンテンツサーバ11に供給する。POIメタデータについては後で説明する。
【0027】
アプリケーションサーバ12は、情報処理装置4においてPOIメタデータに基づく処理を実行するためのアプリケーションを放送/ネット配信システム2を通じて情報処理装置4にダイレクトに配信する。あるいは、動画コンテンツサーバ11において動画コンテンツのデータ、POIメタデータおよびアプリケーションを所定のデータ構造にまとめて情報処理装置4に配信する場合には、アプリケーションサーバ12はアプリケーションを放送/ネット配信システム2を通じて動画コンテンツサーバ11に供給する。
【0028】
音声AIアシスタントサービスプログラムサーバ14は、放送/ネット配信システム2を通じて音声AIアシスタントサービス端末3に音声AIアシスタントサービスプログラムを供給する。音声AIアシスタントサービスプログラムは、動画コンテンツに登場する特定の人物や物品などのサービス対象物について動画コンテンツの視聴者であるユーザUから与えられたサービス要求に対するサービス実行結果を生成するように構成されたプログラムである。
【0029】
放送/ネット配信システム2は、動画コンテンツのデータ、あるいは動画コンテンツのデータとPOIメタデータをまとめたデータ構造、あるいは動画コンテンツのデータとPOIメタデータとアプリケーションをまとめたデータ構造を、放送あるいはネットワーク通信によって情報処理装置4に配信するシステムである。また、放送/ネット配信システム2は、動画コンテンツサーバ11、アプリケーションサーバ12、POIメタデータサーバ13の間でのデータ転送、さらには音声AIアシスタントサービスプログラムサーバ14と音声AIアシスタントサービス端末3との間のデータ転送にも用いられる。
【0030】
(情報処理装置4について)
情報処理装置4は、ハードウェア要素として、CPU(Central Processing Unit)と、RAM(Random Access Memory)などのメインメモリと、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)などのストレージデバイスと、ユーザインタフェースと、アンテナおよび放送チューナなどの放送受信部と、ネットワークインタフェースなどの通信インタフェースとを備える。情報処理装置4は、具体的には、パーソナルコンピュータ、スマートホン、タブレット端末、テレビジョン、ゲーム機、HMD(Head Mounted Display)などのユーザ装着可能形の情報端末などであってよい。
【0031】
情報処理装置4は、上記のハードウェア要素とソフトウェア要素によって実現される機能的要素として、AVストリーム取得部41、POIメタデータ処理モジュール42、アプリケーション実行環境43、レンダラ44を有する。
【0032】
情報処理装置4は、ユーザインタフェースとして、ディスプレイ45とスピーカ46を備える。さらに、情報処理装置4は、機能的な要素としてユーザ判別モジュール47を備えたものであってよい。
【0033】
AVストリーム取得部41は、放送/ネット配信システム2を通じて動画コンテンツサーバ11より動画コンテンツのマルチメディアデータ(映像データおよび音声データなど)を取得し、復号する。
【0034】
POIメタデータ処理モジュール42は、放送/ネット配信システム2を通じて動画コンテンツサーバ11あるいはPOIメタデータサーバ13より取得したPOIメタデータをアプリケーション実行環境43に供給する。
【0035】
「POIメタデータ」とは、情報処理装置4において再生中の映像に、当該映像中で音声AIアシスタントサービスが割り当てられた特定のサービス対象物を、情報処理装置4のユーザUに教示する追加画像を追加するためのメタデータである。POIはPoint of Interestの略である。「特定のサービス対象物」は、映像において音声AIアシスタントサービスがユーザUからのサービス要求に対して応答することが可能とされた登場人物や物品などのことである。
【0036】
アプリケーション実行環境43は、ネイティブアプリケーションまたはウェブアプリケーションをCPUおよびメインメモリを用いて実行する環境である。アプリケーション実行環境43は、POIメタデータ処理モジュール42より与えられたPOIメタデータに基づいて、映像中のサービス対象物に付加すべき追加画像を生成する。「追加画像」は例えば、映像中のサービス対象物との関係が分かりやすいように、例えば「吹き出し」として生成される。しかし、本技術はこれに限定されず、映像中のサービス対象物との関係が分かりやすい画像であればよい。
【0037】
レンダラ44は、AVストリーム取得部41により復号された映像データからディスプレイ45に出力する表示信号を生成したり、AVストリーム取得部41により復号された音声データをスピーカ46に出力する。また、レンダラ44は、アプリケーション実行環境43より追加画像が供給された場合にはこの追加画像を番組映像の上に合成する。
【0038】
ディスプレイ45はユーザUに映像を提示する。スピーカ46はユーザUに音声を提示する。
【0039】
(音声AIアシスタントサービス端末3について)
音声AIアシスタントサービス端末3は、情報処理装置4のユーザUに対し、音声によるアシスタントサービスを提供する端末である。音声AIアシスタントサービス端末3は、より具体的には、映像中でユーザUより任意のサービス対象物についての音声によるサービス要求を受け付け、そのサービスを実行し、サービスの実行結果をユーザUに音声などで返すことのできる装置である。ここで、ユーザUからの音声によるサービス要求は例えば質問形式などの言葉により与えられ、サービスの実行結果は例えば回答形式などの合成音声によってユーザUに返される。
【0040】
音声AIアシスタントサービス端末3は、アシスタントサービス用のマイク31と、音声認識モジュール32と、音声AIアシスタントサービス用のスピーカ33と、音声生成モジュール34と、音声AIアシスタントサービスプログラム実行環境35を備える。
【0041】
アシスタントサービス用のマイク31は、情報処理装置4のユーザUからの音声によるサービス要求を取り込む。
【0042】
音声認識モジュール32は、アシスタントサービス用のマイク31により取り込んだサービス要求の音声を認識して要求データを音声AIアシスタントサービスプログラム実行環境35にわたす。
【0043】
音声AIアシスタントサービスプログラム実行環境35は、音声AIアシスタントサービスプログラムサーバ14より取得した音声AIアシスタントサービスプログラムを実行する環境である。音声AIアシスタントサービスプログラム実行環境35は、音声認識モジュール32より供給された要求データに対するサービスの実行結果のデータを生成し、音声生成モジュール34に供給する。
【0044】
音声生成モジュール34は、音声AIアシスタントサービスプログラム実行環境35より供給されたサービス実行結果のデータを合成音声に変換する。
【0045】
アシスタントサービス用のスピーカ33は、音声生成モジュール34より供給された合成音声を情報処理装置4のユーザUに提示する。
【0046】
(情報処理システムの全体的動作の流れ(その1))
図2は、本実施形態の情報処理システム100における全体的動作の流れ(その1)を示すシーケンス図である。
前提として、動画コンテンツのデータ、アプリケーションおよびPOIメタデータがそれぞれ別々のサーバ(動画コンテンツサーバ11、アプリケーションサーバ12、POIメタデータサーバ13)から配信される場合を想定している。
【0047】
まず、アプリケーションサーバ12から情報処理装置4に放送/ネット配信システム2を通じてアプリケーションが配信される(ステップS101)。さらに動画コンテンツサーバ11から情報処理装置4に動画コンテンツのデータが放送/ネット配信システム2を通じて配信される(ステップS102)。情報処理装置4において、受信した動画コンテンツのデータはAVストリーム取得部41にて復号され、この結果得られた映像データおよび音声データがレンダラ44を通じてディスプレイ45及びスピーカ46にそれぞれ供給される(ステップS103)。
【0048】
また、アプリケーションサーバ12から情報処理装置4に配信されたアプリケーションはアプリケーション実行環境43に導入され、アプリケーションが実行される(ステップS104)。
【0049】
次に、POIメタデータサーバ13から情報処理装置4に放送/ネット配信システム2を通じて動画コンテンツに対応するPOIメタデータが配信される(ステップS105)。情報処理装置4において、POIメタデータはPOIメタデータ処理モジュール42によってアプリケーション実行環境43に供給される。アプリケーション実行環境43は、POIメタデータに基づいて、映像中のサービス対象物をユーザUに教示する付加画像を生成し、レンダラ44に供給する。これにより、番組の映像の上に付加画像が重畳された合成像が得られ、ディスプレイ45に表示される(ステップS106)。
【0050】
その後、ユーザUは、ディスプレイ45に表示された映像中で付加画像が提示されたサービス対象物についての音声によるサービス要求を音声AIアシスタントサービス端末3に与えて、音声AIアシスタントサービスを利用する(ステップS107)。
【0051】
(情報処理システムの全体的動作の流れ(その2))
図3は本実施形態の情報処理システム100における全体的動作の流れ(その2)を示すシーケンス図である。
前述の動作の流れ(その1)では、動画コンテンツのデータとPOIメタデータがそれぞれ別々のサーバ(動画コンテンツサーバ11、POIメタデータサーバ13)から情報処理装置4に配信されるため、情報処理装置4において動画コンテンツデータとPOIメタデータとの同期が保証されない。
【0052】
そこで、
図3に示す動作の流れ(その2)では、まず、POIメタデータサーバ13から動画コンテンツサーバ11に放送/ネット配信システム2を通じてPOIメタデータが供給され(ステップS201)、アプリケーションサーバ12から情報処理装置4に放送/ネット配信システム2を通じてアプリケーションが配信される(ステップS202)。そして動画コンテンツサーバ11にて、POIメタデータと動画コンテンツのデータとが所定のデータ構造にまとめられて情報処理装置4に放送/ネット配信システム2を通じて配信される(ステップS203)。
【0053】
情報処理装置4では、AVストリーム取得部41にて受信したデータ構造から動画コンテンツのデータが抽出され、抽出された動画コンテンツのデータはAVストリーム取得部41内のデコーダによって復号され、この結果得られた映像データおよび音声データがレンダラ44を通じてディスプレイ45およびスピーカ46にそれぞれ供給される(ステップS204)。
【0054】
また、情報処理装置4では、受信したデータ構造からPOIメタデータ処理モジュール42によってPOIメタデータが抽出され(ステップS205)、アプリケーション実行環境43に供給される。アプリケーション実行環境43は、POIメタデータに基づいて、映像中のサービス対象物をユーザUに教示する付加画像を生成し、レンダラ44に供給する。これにより、番組の映像の上に付加画像が重畳された合成像が得られ、ディスプレイ45に表示される(ステップS207)。
【0055】
その後、ユーザUは、ディスプレイ45に表示された映像中で付加画像が提示されたサービス対象物についての音声によるサービス要求を音声AIアシスタントサービス端末3に与えて、音声AIアシスタントサービスを利用する(ステップS208)。
【0056】
このように、POIメタデータと動画コンテンツのデータとを所定のデータ構造にまとめて動画コンテンツサーバ11から情報処理装置4に配信することによって、情報処理装置4において動画コンテンツのデータとPOIメタデータとを互いに同期して処理できることが保証される。このため、番組の映像中のサービス対象物に常に正しい付加画像を付加することができ、安定した音声AIアシスタントサービスを維持することができる。
【0057】
なお、この動作の流れ(その2)において、アプリケーションは、アプリケーションサーバ12から情報処理装置4に放送/ネット配信システム2を通じて配信され(ステップS202)、アプリケーション実行環境43に導入されてアプリケーションが実行される(ステップS206)という点は、前述の動作の流れ(その1)と同じである。
【0058】
(情報処理システムの全体的動作の流れ(その3))
図4は本実施形態の情報処理システム100における全体的動作の流れ(その3)を示すシーケンス図である。
この動作の流れでは、動画コンテンツサーバ11から情報処理装置4に、動画コンテンツのデータとPOIメタデータとこれを処理するアプリケーションが所定のデータ構造にまとめて配信される場合を想定している。
【0059】
まず、POIメタデータサーバ13から動画コンテンツサーバ11にPOIメタデータが供給される(ステップS301)。さらに、アプリケーションサーバ12から動画コンテンツサーバ11にアプリケーションが供給される(ステップS302)。POIメタデータの供給とアプリケーションの供給の順位は逆であってもよい。続いて、動画コンテンツサーバ11にて、動画コンテンツのデータとPOIメタデータとアプリケーションとが所定のデータ構造にまとめられて情報処理装置4に放送/ネット配信システム2を通じて配信される(ステップS303)。
【0060】
情報処理装置4では、受信したデータ構造から動画コンテンツのデータが抽出され、抽出された動画コンテンツのデータはAVストリーム取得部41にて復号され、この結果得られた映像データおよび音声データがレンダラ44を通じてディスプレイ45およびスピーカ46にそれぞれ供給される(ステップS304)。
【0061】
また、情報処理装置4では、受信したデータ構造からアプリケーションが抽出され(ステップS305)、アプリケーション実行環境43に導入されてアプリケーションが実行される(ステップS306)。
【0062】
さらに、情報処理装置4では、受信したデータ構造からPOIメタデータ処理モジュール42によってPOIメタデータが抽出され(ステップS307)、アプリケーション実行環境43に供給される。アプリケーション実行環境43は、POIメタデータに基づいて、映像中のサービス対象物をユーザUに教示する付加画像を生成し、レンダラ44に供給する。これにより、番組の映像の上に付加画像が重畳された合成像が得られ、ディスプレイ45に表示される(ステップS308)。
【0063】
その後、ユーザUは、ディスプレイ45に表示された映像中で付加画像が提示されたサービス対象物についての音声によるサービス要求を音声AIアシスタントサービス端末3に与えて、音声AIアシスタントサービスを利用する(ステップS309)。
【0064】
(付加画像について)
次に、POIメタデータに基づき生成される付加画像について説明する。
図5は付加画像が重畳された映像の例を示す図である。
同図に示すように、付加画像は、例えば、映像中の音声AIアシスタントサービスのサービス対象物J1、J2、J3にそれぞれ付随した吹き出し51、52、53として提示されてよい。
【0065】
吹き出し51、52、53には、サービス対象物J1、J2、J3をユーザUが音声で音声AIアシスタントサービス端末3に通知する場合にこのサービス対象物J1、J2、J3が音声AIアシスタントサービス端末3において音声認識によって一意に判別され得るように、サービス対象物J1、J2、J3毎にユニークな視覚的特徴が与えられる。これによりユーザUは、任意のサービス対象物の特徴を表現する音声を使って、そのサービス対象物についてのサービス要求を音声AIアシスタントサービス端末3に与えることができる。
【0066】
例えば、
図5の例では、吹き出し51、52、53の中に"Bill"、"Fred"、"Lucy"といったサービス対象物J1、J2、J3である登場人物の名前の文字列が視覚的特徴として表示される。これによりユーザUは、例えば、"Fredの最近のニュースは?"、"Billは何歳?"のように、任意のサービス対象物の名前を使って当該サービス対象物についてのサービス要求を音声AIアシスタントサービス端末3に音声で与えることができる。一方、音声AIアシスタントサービス端末3は音声認識モジュール32によって認識された名前からサービス対象物を特定することができ、特定したサービス対象物について、音声AIアシスタントサービスプログラム実行環境35の音声AIアシスタントサービスプログラムに従って音声AIアシスタントサービスを実行することができる。
【0067】
なお、吹き出し51、52、53に配置されるサービス対象物毎にユニークな視覚的特徴には、登場人物の名前の文字列の他、アイコン、吹き出しの色、吹き出しのデザインなど、様々な変形が考えられる。
【0068】
以上のように、本実施形態では、動画コンテンツの映像中の音声AIアシスタントサービスのサービス対象物に、これがサービス対象物であることをユーザUに教示する付加画像を生成し、動画コンテンツの映像に重畳して提示するようにしたので、ユーザUは映像からサービス対象物を一意に判別して、任意のサービス対象物についてのサービス要求を行うことができる。これにより、ユーザUから音声AIアシスタントサービス端末3にサービス対象物以外の物体に対するサービス要求を与えるといった無駄な操作が回避され、音声AIアシスタントサービスを良好に利用することができる。
【0069】
また、サービス対象物が音声AIアシスタントサービス端末3での音声認識によって一意に認識され得るように、付加画像にサービス対象物毎にユニークな視覚的特徴が付与されたことによって、ユーザUは、任意のサービス対象物の特徴を表現する音声を使って、そのサービス対象物についてのサービス要求を音声AIアシスタントサービス端末3に音声で与えることができる。これにより、ユーザUはサービス対象物をどのように表現して音声AIアシスタントサービスに通知するかを戸惑うことがなくなるとともに、音声AIアシスタントサービス端末3においてサービス対象物が確実に特定されるので、良好な音声AIアシスタントサービスが実現される。
【0070】
次に、POIメタデータの構造について説明する。
【0071】
(POIメタデータの構造)
図6はPOIメタデータの構成を示すブロック図である。
POIメタデータは、POIアイコンイメージ、POI提示色、POI提示位置、POI提示テキスト、POIフィルタリング情報、POI利用制限情報、音声アシスタンスサービスバックエンド制御情報を含む。
【0072】
POIアイコンイメージは、付加画像にサービス対象部の視覚的特徴としてアイコンを提示する場合に用いられるアイコンファイルの実体あるいはアイコンファイルへの参照URL(Uniform Resource Locator)である。POIアイコンイメージのXML(Extensible Markup Language)表現を以下に示す。
<POIIcon iconPng='true'>…(base64エンコードされたpngファイル)…</POIIcon>
<POIIcon iconPngURL='true'>http://…(アイコンpngファイルのURL)…</POIIcon>
【0073】
POI提示色は、付加画像に色による視覚的特徴を与える場合に用いられる。POI提示色の情報には、例えば、CSS(Cascading Style Sheets)のカラーコードなどが用いられる。POI提示色のXML表現を以下に示す。
<POIColor>...(CSS color code)…</POIColor>
【0074】
POI提示位置は、付加画像を提示する対象コンテンツのURI(Uniform Resource Identifier)、POIメタデータに基づき付加画像を提示する処理を行うPOI提示アプリケーションのURL、付加画像の提示時間(開始時刻、終了時刻)などの情報を含む。POI提示位置のXML表現を以下に示す。
<POITargetContentID URL='http://a.com/番組A.MPD'/>
<POIApplication URL='http://a.com/番組AのためのPOI提示アプリ.html(POI提示アプリのURL)'/>
<POITimePosition start='P0Y0M0DT1H15M2.000S(開始時刻)'end='P0Y0M0DT1H15M2.500S(終了時刻)'/>
<POISPosition x='345(x 座標ピクセル)'y='567(y 座標ピクセル)'/>
【0075】
POI提示テキストは、付加画像に文字による視覚的特徴を与える場合にために付加画像に提示される文字列である。POI提示テキストのXML表現を以下に示す。
<POIText>…(提示文字列)…</POIText>
【0076】
POIフィルタリング情報は、付加画像のユーザあるいはユーザ属性に応じた提示制限を行う場合に用いられる。POIフィルタリング情報は、付加画像を提示する対象のユーザUを特定するための情報であり、ユーザデモグラフィッククラスの識別名と任意のユーザ識別情報を含む。
【0077】
ユーザデモグラフィッククラスとは、ユーザの性別、年齢、住んでいる地域、職業、学歴、家族構成などの属性をもとにユーザUを分類するクラスのことであり、ユーザデモグラフィッククラスの識別名によって一意に識別される。ユーザデモグラフィッククラスの識別名のXML表現を以下に示す。
<POITargetUser demographicClass='true'>…(ユーザデモグラフィッククラス識別名)…</POITargetUser>
【0078】
任意のユーザ識別情報は、例えば、放送局関連サービスのアカウント名などのユーザ識別情報である。任意のユーザ識別情報のXML表現を以下に示す。
<POITargetUser privateAccount='true'>https://…(サービスのユーザアカウント識別URL等)…</POITargetUser>
【0079】
なお、POIアイコンイメージ、POI提示色およびPOI提示テキストは、少なくともいずれか1つが定義されればよい。POIフィルタリング情報は、後述する付加情報の提示制限を導入する場合に定義される。
【0080】
POI利用制限情報は、特定のサービス対象物の音声アシスタントサービスによる情報提供に対する利用制限の内容を定義する情報である。POI利用制限情報のXML表現を以下に示す。
<POIAccessControl rightsExpressionLanguage='ODRL'><<![CDATA[…(ODRLで表現されたアクセス制御記述)…]]></POIAccessControl>
これはPOI利用制限情報がODRLで表現された記述であることの宣言であり、アプリケーション実行環境43はこのPOI利用制限情報の宣言を確認すると、POI利用制限情報に基づいて特定のサービス対象物の音声アシスタントサービスによる情報提供に対する利用制限があることを、その制限内容とともにユーザに通知するようになっている。なお、POI利用制限情報の内容については後で説明する。
【0081】
音声アシスタントサービスバックエンド制御情報は、音声アシスタントサービスに音声アシスタントサービスプログラムの単位で切り替えて用いることのできる機能を定義する情報である。なお、Amazon Echo(登録商標)のAlexa(登録商標)では、この機能は"Skill"と呼ばれる。音声アシスタントサービスバックエンド制御情報のXML表現を以下に示す。
<POIBackEndControl ServerSideScriptType='機能名' ContextID='(機能コンテクストを対応させるような場合に用いる当該コンテクストスイッチurl)'>…(当該機能名)…</POIBackEndControl>
【0082】
(付加画像の提示制限について)
上記の実施形態では、動画コンテンツの映像中の音声AIアシスタントサービスのサービス対象物に付加画像を提示することとした。しかしながら、例えば、
図7に示すように、一つのシーンに多数のサービス対象物J1-J5が存在する場合にはそれらのサービス対象物J1-J5の数分の付加画像51-55が提示されるため、これらの付加画像51-55によって番組の映像の一部が隠れてしまい、番組映像の見た目が損なわれるおそれがある。
【0083】
そこで、例えば
図8に示すように、ユーザUに応じて付加画像を提示するサービス対象物を制限することが有効である。例えば、ユーザUにとって興味のあるサービス対象物に対しては付加画像を提示し、そうではないサービス対象物に対しては付加画像を提示しないようにする。これにより、付加画像によって番組の映像の一部が多数の付加画像に隠れて映像全体が汚れてしまうことを最小限に抑えることができる。この機能を「付加画像の提示制限」と呼ぶこととする。
【0084】
図9は、この付加画像の提示制限を含む動作の流れを示すシーケンス図である。
ここで、ステップS401-S405の動作は、
図2に示した動作の流れ(その1)のステップS101-S105と同じであるから、説明を省略する。
【0085】
付加画像の提示制限が行わるために、情報処理装置4のユーザ判別モジュール47によってユーザUのユーザデモグラフィッククラスあるいはユーザ識別情報が判別される(ステップS406)。判別されたユーザUのユーザデモグラフィッククラスあるいはユーザ識別情報はアプリケーション実行環境43に通知される(ステップS407)。
【0086】
ユーザデモグラフィッククラスとは、ユーザの性別、年齢、住んでいる地域、職業、学歴、家族構成などの様々な属性をもとにユーザを分類するクラスである。例えば、20歳代男性であれば最近人気の出てきた新人女優に興味がある傾向が高いことが統計的に言える場合には、20歳代男性のユーザデモグラフィッククラスは、番組において新人女優が演じる登場人物(サービス対象物)についてのPOIメタデータに定義されたユーザデモグラフィッククラスと一致する。
【0087】
ユーザ判別モジュール47によるユーザUのユーザデモグラフィッククラスあるいはユーザ識別情報の判別方法には次のようなものが挙げられる。
1.ユーザ判別モジュール47は、カメラで撮像したユーザUの顔画像の解析結果からユーザUの性別や年齢層などの属性を推定し、推定した属性からユーザデモグラフィッククラスを判別する。
2.ユーザ判別モジュール47は、音声AIアシスタントサービス端末3からユーザUへの音声による質問を通して得られた情報を基にユーザUの属性を推定し、ユーザデモグラフィッククラスを判別する。
3.情報処理装置4を使用する複数のユーザが限定されている場合において、各ユーザのユーザ名に対応付けてユーザデモグラフィッククラスの識別名あるいはユーザ識別情報を予め登録しておくことで、ユーザ判別モジュール47は、生体認証、カード認証などの認証を通して確認されたユーザ名から対応するユーザデモグラフィッククラスの識別名あるいはユーザ識別情報を判別することができる。
【0088】
次に、情報処理装置4のアプリケーション実行環境43は、動画コンテンツの各シーンの映像に対するすべてのPOIメタデータの中から、ユーザ判別モジュール47によって判別されたユーザデモグラフィッククラスの識別名あるいはユーザ識別情報がPOIフィルタリング情報として定義されたPOIメタデータを抽出し、抽出したPOIメタデータに基づいて映像中のサービス対象物をユーザUに教示する付加画像を生成し、レンダラ44に供給する。これにより、番組の映像の上に付加画像が重畳された合成像が得られ、ディスプレイ45に表示される(ステップS408)。
【0089】
その後、ユーザUは、ディスプレイ45に表示された映像中で付加画像が提示されたサービス対象物についての音声によるサービス要求を音声AIアシスタントサービス端末3に与えて、音声AIアシスタントサービスを利用する(ステップS409)。
【0090】
なお、ここでは、
図2に示した情報処理システムの全体的動作の流れ(その1)を前提した付加画像の提示制限を説明したが、全体的動作の流れ(その2)および全体的動作の流れ(その3)において同様である。
【0091】
次に、
図8に戻って説明を続ける。ここで、映像中のサービス対象物J1のユーザデモグラフィッククラスの識別名は"class1"とし、その他のサービス対象物J2-J5のユーザデモグラフィッククラスの識別名は"class1"以外であったとする。一方、ユーザ判別モジュール47によってユーザUのユーザデモグラフィッククラスが"class1"と判別されたとする。この場合、サービス対象物J1に対してだけ付加画像51が提示されることによって、番組の映像の一部分がユーザUにとって興味のないサービス対象物J2-J5に付加される付加画像52-55に隠れて映像全体が汚れることを最小限に抑えることができる。
【0092】
なお、付加画像の提示制限がユーザ識別情報をフィルタリング条件として行われる場合には、特定のユーザUだけに特定のサービス対象物に対する付加画像を提示できるように
することができる。
【0093】
(ユーザUの視聴履歴に基づくユーザデモグラフィッククラスの設定)
なお、上記の説明では、性別、年齢、住んでいる地域、職業、学歴、家族内属性などの属性からユーザUのユーザデモグラフィッククラスを判別することとしたが、ユーザ判別モジュール47にて、ユーザUの視聴履歴をもとにユーザUの嗜好的な条件を算出し、この嗜好的な条件をもとに、あるいは、この嗜好的な条件を加味して、ユーザデモグラフィッククラスを判別してもよい。
【0094】
(POIメタデータに基づくトリックプレイ再生)
次に、POIメタデータに基づくトリックプレイ再生について説明する。
POIメタデータに基づくトリックプレイ再生とは、ユーザUのユーザデモグラフィッククラスあるいはユーザ識別情報を基に抽出されたPOIメタデータに基づいて付加画像が提示されるシーンについては第1の倍速での再生を行い、その他のシーンについては第1の倍速よりも高速な第2の倍速で再生することを言う。
【0095】
ここで、第1の倍速は、例えば1倍速(等倍速)あるいは1倍速より低い倍速である。第2の倍速は例えば1倍速よりも高速な早送り再生である。
【0096】
次に、このPOIメタデータに基づくトリックプレイ再生の動作をより詳しく説明する。
まず、ユーザ判別モジュール47によってユーザUのユーザデモグラフィッククラスあるいはユーザ識別情報を判別し、アプリケーション実行環境43に供給する。
【0097】
アプリケーション実行環境43は、番組の各シーンの映像に対するすべてのPOIメタデータの中から、ユーザ判別モジュール47によって判別されたユーザデモグラフィッククラスの識別名あるいはユーザ識別情報がPOIフィルタリング情報として定義されたPOIメタデータを選択し、抽出したPOIメタデータに基づいて、トリックプレイ再生を行う。
【0098】
図10はPOIメタデータに基づくトリックプレイ再生をより具体的に示す図である。
ここで、サービス対象物である"Bill"と"Sam"のユーザデモグラフィッククラスは"class1"であり、ユーザ判別モジュール47によって判別されたユーザUのユーザデモグラフィッククラスが"class1"であったとする。
【0099】
Ta-Ta'期間の映像にはユーザデモグラフィッククラスが"class1"である"Bill"が登場しているため、アプリケーション実行環境43は、このTa-Ta'期間、第1の倍速で付加画像を含む映像の再生を行う。その後時刻Tcになるまで、ユーザデモグラフィッククラスが"class1"であるサービス対象物が映像に登場しないため、アプリケーション実行環境43は、第1の倍速よりも高速な第2の倍速で再生を行う。なお、第2の倍速での再生時は付加画像を提示しないことによってアプリケーション実行環境43の負担を減らすことができる。Tc-Tc'期間の映像にはユーザデモグラフィッククラスが"class1"である"Sam"が登場するため、アプリケーション実行環境43は、このTc-Tc'期間、第1の倍速で付加画像を含む映像の再生を行う。時刻Tc'以後はユーザデモグラフィッククラスが"class1"であるサービス対象物が映像に登場しないため第2の倍速での再生が行われる。
【0100】
このように、ユーザUのユーザデモグラフィッククラスあるいはユーザ識別情報を基に抽出されたPOIメタデータに基づいて付加画像が提示されるシーンについては第1の倍速での再生を行い、その他のシーンについては第1の倍速よりも高速な第2の倍速で再生することによって、ユーザUにとって有益な(興味のある)シーンにフォーカスしたトリックプレイ再生が実現される。
【0101】
また、ユーザUのユーザデモグラフィッククラスあるいはユーザ識別情報を基に抽出されたPOIメタデータに基づいて付加画像が提示されるシーンだけをスキップ再生してもよい。
【0102】
ここまで本実施形態の情報処理システムによるPOIメタデータに基づく付加画像の提示、付加画像の提示制限、トリックプレイ再生等の機能について説明した。
【0103】
(アプリケーション実行環境43について)
図11はPOIメタデータを処理するアプリケーション実行環境43の例を示す図である。
本例では、POIメタデータを処理するアプリケーションが、情報処理装置4のネイティブのオペレーティングシステム48の上で動作するネイティブアプリケーション49である場合を示している。
【0104】
図12はPOIメタデータを処理するアプリケーション実行環境43のその他の例を示す図である。
この例では、POIメタデータを処理するアプリケーションが、ウェブブラウザ56上で動作するウェブアプリケーション57である場合を示している。この場合、POIメタデータとウェブアプリケーション57とが互いに同時あるいは略同時に情報処理装置4に配信される。
【0105】
(POIメタデータの転送方法)
情報処理装置4にウェブアプリケーションとPOIメタデータとを同時に配信するために、Multi-part MIME(Multipurpose Internet MAIl Extensions)フォーマットを用いて両者をパッケージングする方法がある。
図13はこのウェブアプリケーションとPOIメタデータをパッケージングするMulti-part MIMEフォーマットの例を示す図である。このMulti-part MIMEフォーマットでは、boundary-partによって区切られた各部分にPOIメタデータのファイル61、ウェブアプリケーションのファイル62がそれぞれ個別に格納される。
【0106】
なお、POIメタデータを処理するアプリケーションが、オペレーティングシステムをアプリケーション実行環境として動作するネイティブアプリケーションである場合や、POIメタデータとは別途配信されるものである場合には、Multi-part MIMEフォーマットにPOIメタデータファイルのみを格納して配信してもよい。
【0107】
次に、MP4ファイルのフォーマットに映像データおよび音声データなどのメディアデータのトラックと同様にPOIメタデータのトラックを格納して転送する方式を説明する。
【0108】
図14はMP4ファイルのフォーマットにおけるMedia Segmentの構成を示す図である。
同図に示すように、Media Segmentは複数のMovie Fragentを有し、各々のMovie Fragentはmoofボックスとmdatボックスで構成される。mdatボックスには、メディアデータが例えばフレームなどの時間の単位で複数のSampleボックスに分割されてランダムアクセス可能に格納される。moofボックスには、mdatボックスの各Sampleボックスのメディアデータを提示するタイミングを生成するための情報など、提示に関するメタデータが格納される。
【0109】
本実施形態では、mdatボックスの各Sampleボックスに映像データが格納されたMedia Segment、mdatボックスの各Sampleボックスに音声データが格納されたMedia Segment、mdatボックスの各SampleボックスにPOIメタデータが格納されたMedia Segmentが用意される。
【0110】
なお、本実施形態では、MP4ファイルがMPEG-DASH(Dynamic Adaptive Streaming over HTTP)のMedia Segmentであることを前提とする。
【0111】
(MPEG-DASHについて)
MPEG-DASHでは、ストリーミング再生が途切れないように、1つの動画コンテンツについて符号化速度と画面サイズが異なる複数のデータ群が用意される。これら複数のデータ群は、情報処理装置4の画面サイズやネットワーク帯域の状態などを考慮して動的に選択される。そのためMPEG-DASHでは、上記のように1つの動画コンテンツについてどのような符号化速度と画面サイズのデータ群が用意されているかがMPD(Media Presentation Description)と呼ばれるメタデータに記述される。
【0112】
次に、MPDのデータ構造の詳細を説明する。
MPDはサーバに格納された動画コンテンツの構成に関する情報をXML(extensible markup language)形式の階層構造で記述したものである。情報処理装置4は、目的の動画コンテンツに対応するMPDファイルをMPDファイルサーバから取得し、解析することによって、サーバから目的の動画コンテンツの提示に必要なMedia Segmentを取得する。
【0113】
図15はMPDのデータ構造を示す図である。
MPDは、その下に1つのPeriodと、その下位に各メディアのタイプごとに一つずつのAdaptationSetと、さらにその下位の複数のRepresentationとを有する。
【0114】
MPDの階層つまり最上位階層には、1本の動画コンテンツに関する管理情報として、MPDの起点、タイトル、ストリーミング種別(オンデマンド/ライブ配信)、長さなどの情報を含む。
【0115】
Periodは1つの動画コンテンツを、フレームなどの時間で分割した単位である。Periodには開始時刻(start時刻)と終了時刻(end時刻)が定義される。Periodは複数のAdaptationSetで構成される。
【0116】
AdaptationSetは、Period毎の動画コンテンツのメディアタイプ(映像、音声、字幕、POIメタデータ)ごとのデータに関するコーデック情報、言語などの情報を含む。AdaptationSetは、その下位に符号化速度や画像サイズの異なるデータごとのRepresentationを有する。
【0117】
Representationは、それぞれウェブサーバに蓄積される、符号化速度や画像サイズなどの異なるセグメントの符号化速度、画像サイズ、置き場所(URL)などの情報を含む。
【0118】
図16はMPEG-DASHサーバ15と情報処理装置4との間でのネットワーク通信によるやりとりを示す図である。
MPEG-DASHサーバ15には、MPDファイル、および動画コンテンツの各種メディアのMedia Segmentが格納される。
【0119】
情報処理装置4のCPUは、MPEG-DASHサーバ15にMPDファイルを要求する(ステップS501)。MPEG-DASHサーバ15は、この要求に対してMPDファイルを情報処理装置4に送信する(ステップS502)。情報処理装置4のCPUは、受信したMPDファイルを解析して、どのような符号化速度と画像サイズのMedia Segmentが用意されているかを確認する(ステップS503)。情報処理装置4のCPUは、このMPDファイルの解析結果とディスプレイの画面サイズや伝送路のネットワークトラフィクの状態などを考慮して最適な画像サイズや符号化速度のMedia SegmentをMPEG-DASHサーバ15に要求する(ステップS504)。MPEG-DASHサーバ15は、この要求に対してMedia Segmentを情報処理装置4に送信する(ステップS505)。
【0120】
次に、上記MPDとMedia Segmentとの関係を説明するために、
図14に戻って、Media Segmentにおけるmoofボックスとmdatボックスのデータ構造を説明する。
【0121】
前述したように、Media Segmentは複数のMovie Fragentを有し、各々のMovie Fragentはmoofボックスとmdatボックスで構成される。mdatボックスには、メディアデータが例えばフレームなどの時間の単位で複数のSampleボックスに分割されてランダムアクセス可能に格納される。moofボックスには、mdatボックスの各Sampleのメディアデータを提示するタイミングを生成するための情報など、提示に関するメタデータが格納される。
【0122】
それぞれのSample(1),(2),(3),…のメディアデータの提示開始時刻PresentationTime(1),(2),(3),…を生成するための情報として、moofボックスの所定の下位ボックス(moof/trafボックス)にはBaseMediaDecodeTimeが格納され、さらにその他のボックス(trunボックス)には、Sample(1),(2),(3),…にそれぞれ対応付けられた情報として、SampleCount(1),(2),(3),…、SampleDuration(1),(2),(3),…、CompositionTimeOffset(1),(2),(3),…が格納される。BaseMediaDecodeTimeは、Periodの起点からMovie Fragmentの起点までの相対時間の情報である。SampleCount(1),(2),(3),…はSampleの数、SampleDuration(1),(2),(3),…はSample(1),(2),(3),…の長さ、CompositionTimeOffset(1),(2),(3),…は調整時間である。
【0123】
次に、Sampleの提示開始時刻PresentationTimeの計算方法を示す。
N番目のSampleの提示開始時刻をPresentationTime(N)とすると、PresentationTime(N)は、BaseMediaDecodeTime+(N-1番目までのSample(1),…,(N-1)のSampleDuration(1),…,(N-1)の合計)+(N番目のSampleのCompositionTimeOffset)(N)により算出される。
【0124】
(MPEG-DASH動画コンテンツの典型的な提示制御)
図17はMPEG-DASH動画コンテンツの提示制御の流れを示す図である。
同図において、横軸は実時間(UTC time)の軸とする。情報処理装置4のCPUは、MPDファイルに定義されたMPDの起点を基準に、PeriodにMPDの起点に対する相対時間として定義された開始時刻をもとに最初のPeriodの実時間上の起点を生成する。
【0125】
続いて、情報処理装置4のCPUは、BaseMediaDecodeTimeに基づいてMovie Fragmentの実時間上の起点を生成し、さらにSampleCount、SampleDuration、CompositionTimeOffsetを用いて、Periodの最初のSample(1)の提示開始時刻(PresentationTime(1))を生成し、その時刻から最初のSample(1)の提示を開始する。続いて、情報処理装置4のCPUは、次のSample(2)の提示開始時刻(PresentationTime(2))を同様に生成して、その時刻に提示する対象をSample(1)からSample(2)に切り替える。以降同様にSampleの提示の切り替えが行われる。このようにして、各Sample(1),(2),…の映像が時間的に途切れることなく提示される。
【0126】
本実施形態では、MPDファイルにPOIメタデータに対応するAdaptationSetを追加したことによって、MPEG-DASH動画コンテンツの提示制御方法をそのまま踏襲して付加画像の提示制御を行うことが可能となる。これにより、MPEG-DASH動画コンテンツの映像および音声などの各メディアと同期させて付加画像を提示させることができる。
【0127】
例えば、
図18に示すように、実時間上T1からT2のPeriod(T1-T2)の映像に同期して付加画像を提示する場合には、MPDのPeriod(T1-T2)の下位階層にPOIメタデータのAdaptationSet(T1-T2)が追加される。さらに、実時間上T2からT3のPeriod(T2-T3)の映像に同期して付加画像を提示する場合には、MPDのPeriod(T2-T3)の下位階層にPOIメタデータのAdaptationSet(T2-T3)が追加される。
【0128】
図19は、POIメタデータのAdaptationSetが追加されたMPDのより具体的な例を示す図である。
このMPDの最上位階層には@avAIlabilityStartTime=T0と記述されている。これは、動画コンテンツの時間の起点がT0であることを示す。その下位階層には2つのPeriodが格納される。2つのPeriodのうち、最初のPeriodはT0の起点から0sec後に開始され、2番目のPeriodはT0の起点から100sec後に開始されることが定義される。
【0129】
この例では、2番目のPeriodのAdaptationSetとして映像、音声およびPOIメタデータそれぞれのAdaptationSetが存在する。映像のAdaptationSetの下位階層には異なる符号化速度(256Kbps/512Kbps)を示した2つのRepresentationが存在する。それぞれのRepresentationの下位階層には、映像のMedia Segmentの置き場所を示すURLの生成方法や取得周期などが記述されたSegmentTemplateが存在する。
【0130】
ここで、"@timescale="1000""、"@duration="1000""は、1/1000秒のタイムスケールで1000分の値つまり1秒をセグメント時間長として、このセグメント時間長の周期で映像を取得できることを意味する。"@Media="$Number%6d$.m4s""は各Sampleの映像の置き場所を示すURLの最下位の値の生成方法を示し、具体的には6桁の値の1から増加する整数を意味する。例えば、SampleのURLは、MPDの各要素に記述された"BaseURL"が示す値をパス形式に繋ぎ、最後に"@Media="$Number%6d$.m4s""により生成される6桁の値を付加することによって生成される。すなわち、映像の1番目のSampleのURLは"HTTP://a.com/p2/video/512/000001.m4s"のように作成される。"@initialization="IS.mp4""は、映像の1番目のMedia SegmentのInitialization SegmentのURLに用いられる値である。このInitialization SegmentのURLについても、MPDの各要素に記述された"BaseURL"が示す値をパス形式に繋ぎ、最後に"IS.mp4"を付加することによって生成される。例えば、"HTTP://a.com/p2/video/512/IS.mp4"のように作成される。
【0131】
POIメタデータのAdaptationSetの下位階層にはRepresentationが存在し、さらにその下位階層にはPOIメタデータのMedia Segmentの置き場所を示すURLの生成方法や取得周期などが記述されたSegmentTemplateが存在する。このPOIメタデータのMedia Segmentの置き場所を示すURLの生成方法は映像のMedia Segmentの置き場所を示すURLの生成方法と同じであってよい。また、POIメタデータのInitialization Segmentの置き場所を示すURLの生成方法も映像のInitialization Segmentの置き場所を示すURLの生成方法と同じであってよい。POIメタデータのInitialization Segmentには、Media SegmentにPOIメタデータがSampleとして格納されることを識別する情報が含まれる。具体的には、Initialization Segmentのmoov(MovieBox)/trak(TrackBox)/mdia(MediaBox)/hdlr(HandlerBox)のhandler_typeフィールドの値が"meta"であることによって、POIメタデータがMedia SegmentにSampleとして格納されることを識別することができる。
【0132】
情報処理装置4のCPUは、上記のように生成されるURLに基づいて、動画コンテンツの映像、音声およびPOIメタデータをそれぞれSampleの単位で取得することができる。
【0133】
図20は、MPDに基づく映像および付加画像の提示の流れを示す図である。
映像の各Sample(1),(2),(3)を提示する処理は上述したとおりである。
ここで、情報処理装置4のCPUは、映像の最初のSample(1)の実時間上の提示開始時刻(PresentationTime)(1)から次のSample(2)の実時間上の提示開始時刻(PresentationTime)(2)までの間に、POIメタデータ(1)に基づく付加画像の提示処理を行う。この後、情報処理装置4のCPUは、Sample(2)の実時間上の提示開始時刻(PresentationTime)(2)からその次のSample(3)の実時間上の提示開始時刻(PresentationTime)(3)までの間にPOIメタデータ(2)に基づく付加画像の提示処理を行い、さらにSample(2)の実時間上の提示開始時刻(PresentationTime)(3)からその次のSample(3)の実時間上の提示開始時刻(PresentationTime)(4)までの間にPOIメタデータ(3)に基づく付加画像の提示処理を行う。
【0134】
以上のように、本実施形態では、MPDファイルにPOIメタデータのためのAdaptationSetを追加することによって、POIメタデータに基づく付加画像の提示制御を、映像、音声などの他の種類のメディアの提示制御と同じ仕組みで行うことができるとともに、映像、音声などの他の種類のメディアと付加画像を正確に同期させて提示することができる。
【0135】
(付加画像の提示位置の移動)
図21は映像中のサービス対象物が時間に沿って移動する場合にそのサービス対象物の移動に伴って付加画像の提示位置も移動させる場合のPOIメタデータを示す図である。
ここで、T1はPOIメタデータ(1)に基づく付加画像の提示開始時刻、T2はPOIメタデータ(2)に基づく付加画像の提示開始時刻、T3はPOIメタデータ(3)に基づく付加画像の提示開始時刻である。T1-T2はPOIメタデータ(1)に基づく付加画像の提示期間であり、この期間、付加画像は、POIメタデータ(1)中のPOIPosition要素の値(x=x1,y=y1)が示す位置に提示される。T2-T3はPOIメタデータ(2)に基づく付加画像の提示期間であり、この期間、付加画像は、POIメタデータ(2)中のPOIPosition要素の値(x=x2,y=y2)が示す位置に提示される。そしてT3-T4はPOIメタデータ(3)に基づく付加画像の提示期間であり、この期間、付加画像は、POIメタデータ(3)中のPOIPosition要素の値(x=x3,y=y3)が示す位置に提示される。
【0136】
このように、各SampleのPOIメタデータにおけるPOIPosition要素の値を、移動するサービス対象物の位置に合わせて決めることによって、付加画像の提示位置をサービス対象物の移動に正確に同期させて移動させることができる。
【0137】
(POIメタデータの複数サンプル時間をまたがる提示更新制御)
ここまで、各Sampleの映像にPOIメタデータを1対1に対応付けて付加画像の提示制御が行われる場合を想定したが、1つのPOIメタデータを連続する複数のSampleの映像に適用させてもよい。この場合、
図22に示すように、POIメタデータのファイル63、64、65を格納したパッケージ66、67、68に記述されるPOIメタデータの識別子(metadataURI)の値にバージョン情報(Version)が付加される。このバージョン情報は、直前のPOIメタデータに対して内容の変化がない場合には、直前のPOIメタデータを格納したパッケージに記述されるバージョン情報と同じ値とされ、直前のPOIメタデータに対して内容の変化がある場合にはインクリメントされた値に設定される。
【0138】
これにより、アプリケーション実行環境43のアプリケーションは、映像のSample間の切り替えにおいて、切り替え前後の各バージョン情報の値が変化した場合には、POIメタデータに基づく付加画像の提示のための演算を行い、各バージョン情報の値に変化がない場合には、改めてPOIメタデータに基づく付加画像の提示のための演算を行うことなく付加画像をそのまま提示し続ける。これにより、付加画像の提示のための演算の負荷を低減させることができる。
【0139】
例えば、
図22に示すように、Sample(1)の映像に対応するPOIメタデータ(1)の識別子(metadataURI)に付加されたバージョン情報の値は"1"、2番目のSample(2)の映像に対応するPOIメタデータ(2)の識別子(metadataURI)に付加されたバージョン情報の値は"2"、3番目のSample(3)の映像に対応するPOIメタデータ(3)の識別子(metadataURI)に付加されたバージョン情報の値は"2"である。この場合、2番目のSample(2)の映像と3番目のSample(3)の映像との切り替えにおいて、3番目のSample(3)の映像に対応するPOIメタデータ(3)に基づく付加画像の提示のための演算を行うことなく、2番目のSample(2)の映像に付加された付加画像が3番目のSample(3)の映像にもそのまま続けて提示される。
【0140】
(特定のサービス対象物に関する音声アシスタントサービスを利用するための課金制限)
動画コンテンツに登場する様々なサービス対象物に関してユーザへの音声アシスタントサービスが提供されるなか、特定のサービス対象物に関する音声アシスタントサービスをユーザが利用する場合には課金を要するという制限を設けてもよい。
【0141】
このように特定のサービス対象物に関する音声アシスタントサービスの利用制限を実現するため、
図6に示したように、POIメタデータにはPOI利用制限情報が記述される。このPOI利用制限情報は、アクセス制御に関する記述言語として、例えば、ODRL(Open Digital Rights Language))などが用いられる。ODRLは、任意のコンテンツに対する使用条件やその必要条件、権利者と利用者との協定内容などを記述することが可能な権利言語である。
【0142】
図23は、このODRLによるPOI利用制限情報の記述例である。
このODRLによるPOI利用制限情報は、課金管理を行うサーバにアクセスするために必要なURLなどのアクセス情報231、対象のPOIメタデータの識別子232、アクセス利用制限対象ユーザ233、アクセス利用制限解除条件234などが記述される。すなわち、本例のPOI利用制限情報は、「当該POIに対する音声アシスタントサービスを受けたいユーザはPOIメタデータの所有者である番組Aの放送局に対して対価US1ドルを支払うことが必要となる。」という意味を有する。
【0143】
次に、
図24を用いて、特定のサービス対象物に関する音声アシスタントサービスを利用するための課金制限の動作を説明する。
ステップS601からステップS603は、情報処理装置4が動画コンテンツのデータ、POIメタデータおよびアプリケーションを取得するステップである。動画コンテンツのデータ、POIメタデータおよびアプリケーションを取得する流れは、
図2、
図3および
図4に示した全体的動作の流れ(その1、2、3)のいずれかであってよい。本例では、例えば、POIメタデータサーバ13から動画コンテンツサーバ11に放送/ネット配信システム2を通じてPOIメタデータが供給され、アプリケーションサーバ12から情報処理装置4に放送/ネット配信システム2を通じてアプリケーションが配信される。そして動画コンテンツサーバ11にて、POIメタデータと動画コンテンツのデータとが所定のデータ構造にまとめられて情報処理装置4に放送/ネット配信システム2を通じて配信される場合を想定する。
【0144】
情報処理装置4では、受信したデータ構造から動画コンテンツのデータが抽出され、抽出された動画コンテンツのデータはAVストリーム取得部41にて復号され、この結果得られた映像データおよび音声データがレンダラ44を通じてディスプレイ45およびスピーカ46にそれぞれ供給される(ステップS604)。
【0145】
また、情報処理装置4では、受信したデータ構造からPOIメタデータ処理モジュール42によってPOIメタデータが抽出され(ステップS605)、アプリケーション実行環境43に供給される。アプリケーション実行環境43は、POIメタデータに記述されるPOI利用制限情報に基づいて、当該POIメタデータに基づく特定のサービス対象物に関する音声アシスタンスサービスを利用したいかどうかをユーザUに問い合わせる(ステップS607)。このユーザUへの問い合わせは、例えば、情報処理装置4に接続されているディスプレイ45およびスピーカ44を通して行われてよい。この問い合わせに際し、ユーザUにはPOI利用制限情報に記述されるアクセス利用制限解除条件などが提示される。ユーザUはこの提示内容を参照して、課金を伴う音声アシスタンスサービスを利用するかキャンセルするかの指示を情報処理装置4に入力することができる(ステップS608)。
【0146】
ユーザUから、課金を伴う音声アシスタンスサービスを利用することの指示が情報処理装置4に入力された場合、アプリケーション実行環境43は、少なくともユーザUのユーザ識別情報およびPOI利用制限情報を含む、音声アシスタントサービスの利用要求をアカウントサーバ17に送信する。アカウントサーバ17は、音声アシスタンスサービスの利用に関する課金処理を行うサーバである。アカウントサーバ17は、情報処理装置4より音声アシスタンスサービスの利用要求を受信すると、この利用要求に含まれるユーザ識別情報およびPOI利用制限情報などをもとに課金処理を行い(ステップS610)、課金処理が完了したならば、課金を伴う音声アシスタントサービスの利用承諾を情報処理装置4に送信する(ステップS611)。
【0147】
情報処理装置4のアプリケーション実行環境43は、アカウントサーバ17より課金を伴う音声アシスタントサービスの利用承諾を受信すると、POIメタデータに基づいて、映像中のサービス対象物をユーザUに教示する付加画像を生成し、レンダラ44に供給する。これにより、番組の映像の上に付加画像が重畳された合成像が得られ、ディスプレイ45に表示される(ステップS612)。
【0148】
なお、POIメタデータにおいてPOI利用制限情報による利用制限がかけられていないサービス対象物については、ユーザUへの上記の問い合わせが行われることなく付加画像が映像に合成される。
【0149】
その後、ユーザUは、ディスプレイ45に表示された映像中で付加画像が提示されたサービス対象物についての音声によるサービス要求を音声AIアシスタントサービス端末3に与えて、音声AIアシスタントサービスを利用する(ステップS613)。
【0150】
このように、特定のサービス対象物に関する音声アシスタントサービスをユーザが利用する場合の課金制限を実現することができる。
【0151】
(ブックマークを用いたタイムシフト再生)
本実施形態の情報処理システム100では、視聴中の動画コンテンツの音声アシスタントサービスを利用可能な区間のなかで、ユーザが任意の付加画像付きシーンに対してブックマークを登録し、以後の任意のタイミングでユーザにより選択されたブックマークに基づいて付加画像付きシーンを再生することが可能とされている。以下、この機能を「ブックマークを用いたタイムシフト再生」と呼ぶ。
【0152】
ここで、付加画像付きシーンに対するブックマークの登録は、その付加画像付きシーンに登場している付加画像の生成に用いたPOIメタデータを保存することによって行われる。POIメタデータには、
図6に示したように、対象コンテンツのURI、付加画像の提示時間(開始時刻、終了時刻)が含まれているので、これらの情報を用いることによって、情報処理装置4はブックマークが登録された付加画像付きシーンの提示に必要な動画コンテンツのデータの配信を動画コンテンツサーバ11に要求することができる。
【0153】
図25は、本実施形態の情報処理システム100においてブックマークを用いたタイムシフト再生に係る構成を示すブロック図である。
同図に示すように、この情報処理システム100は、ブックマークを用いたタイムシフト再生に係る構成として、ブックマークデータベース50とブックマークブラウザ51を有する。
【0154】
ブックマークデータベース50は、ブックマーク登録された付加画像付きシーンにおける付加画像の生成に用いたPOIメタデータが保存されるデータベースである。
【0155】
ブックマークブラウザ51は、登録済みのブックマークの中からユーザUによって選択されたブックマークに対応するPOIメタデータをブックマークデータベース50から読み出し、このPOIメタデータに基づいて、タイムシフト再生な必要な動画コンテンツのストリーム配信をAVストリーム取得部41を通じて動画コンテンツサーバ11に要求するなどの処理を行う。
【0156】
AVストリーム取得部41は、このブックマークブラウザ51から与えられた要求に応じて、動画コンテンツサーバ11にアクセスして、タイムシフト再生な必要な動画コンテンツのストリーム配信を要求し、その動画コンテンツのストリームを取得してデコードする。
【0157】
図26A、
図26Bはブックマークを用いたタイムシフト再生の流れを示すシーケンス図である。
ステップS701からステップS703は、情報処理装置4が動画コンテンツのデータ、POIメタデータおよびアプリケーションを取得するステップである。動画コンテンツのデータ、POIメタデータおよびアプリケーションを取得する流れは、
図2、
図3および
図4に示した全体的動作の流れ(その1、2、3)のいずれかであってよい。本例では、例えば、POIメタデータサーバ13から動画コンテンツサーバ11に放送/ネット配信システム2を通じてPOIメタデータが供給され、アプリケーションサーバ12から情報処理装置4に放送/ネット配信システム2を通じてアプリケーションが配信される。そして動画コンテンツサーバ11にて、POIメタデータと動画コンテンツのデータとが所定のデータ構造にまとめられて情報処理装置4に放送/ネット配信システム2を通じて配信される場合を想定する。
【0158】
情報処理装置4では、受信したデータ構造から動画コンテンツのデータが抽出され、抽出された動画コンテンツのデータはAVストリーム取得部41にて復号され、この結果得られた映像データおよび音声データがレンダラ44を通じてディスプレイ45およびスピーカ46にそれぞれ供給される(ステップS704)。
【0159】
また、情報処理装置4では、受信したデータ構造からPOIメタデータ処理モジュール42によってPOIメタデータが抽出され(ステップS705)、アプリケーション実行環境43に供給される。アプリケーション実行環境43は、POIメタデータに基づいて、映像中のサービス対象物をユーザUに教示する付加画像を生成し、レンダラ44に供給する。これにより、番組の映像の上に付加画像が重畳された合成像が得られ、ディスプレイ45に表示される(ステップS707)。
【0160】
ここで、ユーザUによって、視聴中の付加画像付きのシーンに対してブックマーク登録の指示が情報処理装置4に入力されたものとする(ステップS708)。ここで、ブックマーク登録が可能なシーンは、当該ユーザUに対して音声アシスタントサービスによる情報提供を受けることが可能な付加画像付きのシーンである。
【0161】
アプリケーション実行環境43は、このユーザUからのブックマーク登録の指示を受けると、このブックマーク登録のためのブックマークデータベース50へのPOIメタデータの保存を行う(ステップS709)。このときブックマークデータベース50に保存されるPOIメタデータは、ユーザUよりブックマーク登録の指示を受けたときに再生していた付加画像付きのシーンの付加画像の生成に用いたPOIメタデータである。
【0162】
この後、動画コンテンツの配信、再生、視聴が終了すると、アプリケーション実行環境43が終了する(ステップS710)。
【0163】
ここまでが動画コンテンツの視聴中でのブックマーク登録の動作であり、この後、ユーザUは登録済みのブックマークの中から1つの任意のブックマークを選択して、そのブックマークに紐付けられた付加画像付きシーンのタイムシフト再生を指示することができる。
【0164】
例えば、ユーザUは、動画コンテンツの視聴した終了後の任意のタイミングでブックマークの一覧であるブックマークリストの表示指示を情報処理装置4に入力する(ステップS711)。ブックマークブラウザ51は、この指示が与えられたことを検出すると、ブックマークデータベース50から、視聴していた動画コンテンツに関するすべてのブックマークにそれぞれ紐付けられたすべてのPOIメタデータを読み出す(ステップS712)。ブックマークブラウザ51は、読み出したすべてのPOIメタデータに基づきブックマークリストを作成し、レンダラ44を通じてディスプレイ45に表示する(ステップS713)。ブックマークリストの詳細については後で説明する。
【0165】
図26Bに移動する。ユーザUは、ディスプレイ45に表示されたブックマークリストの中から任意のブックマークを選択する指示を情報処理装置4に入力する(ステップS714)。ブックマークブラウザ51は、このユーザUからの任意のブックマークの選択指示を受け取り、この選択されたブックマークに紐付けられたPOIメタデータに記述される対象コンテンツのURI、付加画像の提示時間(開始時刻、終了時刻)基づいて、付加画像付きシーンをタイムシフト再生するために必要な動画コンテンツのストリームを動画コンテンツサーバ11に要求するようにAVストリーム取得部41に指示する(ステップS715)。AVストリーム取得部41は、この指示に従って、付加画像付きシーンに対応する動画コンテンツのデータの配信を要求する(ステップS717)。さらに、ブックマークブラウザ51は、POIメタデータに記述されるPOI提示アプリケーションのURLに基づいて、アプリケーション実行環境43に実行されるアプリケーションを取得するようにAVストリーム取得部41に指示し、AVストリーム取得部41によって取得されたアプリケーションをアプリケーション実行環境43に渡して実行させる(ステップS716)。
【0166】
動画コンテンツサーバ11は、情報処理装置4からの配信要求に対して、ユーザUにより選択された付加画像付きシーンに対応する動画コンテンツのデータとPOIメタデータとを含むデータ構造を情報処理装置4に配信する(ステップS718)。
【0167】
情報処理装置4では、AVストリーム取得部41にて受信したデータ構造から動画コンテンツのデータが抽出され、抽出された動画コンテンツのデータはAVストリーム取得部41内のデコーダによって復号され(ステップS719)、この結果得られた映像データおよび音声データがレンダラ44を通じてディスプレイ45およびスピーカ46にそれぞれ供給される。
【0168】
また、情報処理装置4では、受信したデータ構造からPOIメタデータ処理モジュール42によってPOIメタデータが抽出され(ステップS720)、アプリケーション実行環境43に供給される。アプリケーション実行環境43は、POIメタデータに基づいて、映像中のサービス対象物をユーザUに教示する付加画像を生成し、レンダラ44に供給する。これにより、番組の映像の上に付加画像が重畳された合成像が得られ、ディスプレイ45に表示される(ステップS721)。これによりユーザにより選択されたブックマークに紐付けられた付加画像付きシーンのタイムシフト再生が行われる。
【0169】
その後、ユーザUは、ディスプレイ45に表示された映像中で付加画像が提示されたサービス対象物についての音声によるサービス要求を音声AIアシスタントサービス端末3に与えて、音声AIアシスタントサービスを利用することができる。
【0170】
ここで、動画コンテンツサーバ11から予め決められたスケジュールで、動画コンテンツのデータが情報処理装置4に配信される場合には、その動画コンテンツのデータ配信スケジュールに合わせて、音声AIアシスタントサービスプログラムサーバ14から音声AIアシスタントサービス端末3に必要な音声AIアシスタントサービスプログラムが供給され得るため、音声AIアシスタントサービス端末3の音声AIアシスタントサービスプログラム実行環境35に適切な音声アシスタントサービスプログラムがセットアップされることが保証される。これに対し、付加画像付きシーンのタイムシフト再生時は、音声AIアシスタントサービス端末3の音声AIアシスタントサービスプログラム実行環境35に適切な音声アシスタントサービスプログラムがセットアップされる保証がない。
【0171】
そこで本実施形態では、POIメタデータに、利用する機能に対応する音声アシスタントサービスプログラムを定義する音声アシスタントサービスバックエンド制御情報として例えば機能名を記述しておき、タイムシフト再生時にその音声アシスタントサービスバックエンド制御情報をユーザUに提示し、音声AIアシスタントサービス端末3に対しその音声アシスタントサービスバックエンド制御情報を音声で与えることによって、音声AIアシスタントサービス端末3がその音声アシスタントサービスバックエンド制御情報に基づき必要な音声アシスタントサービスプログラムを音声AIアシスタントサービスプログラムサーバ14に要求する仕組みを採用している。この音声アシスタントサービスバックエンド制御情報は、ユーザUが音声で発するサービス要求の中に組み込まれて、音声AIアシスタントサービス端末3に与えられる(ステップS723)。
【0172】
図27は、あるブックマークに紐付けられたPOIメタデータの例を示す図である。
この例では、シーン271に登場する3つのサービス対象物それぞれについてPOIメタデータ(1)、(2)、(3)が存在する場合を示している。各POIメタデータ(1)、(2)、(3)には、音声アシスタントサービスバックエンド制御情報である機能名としてすべて共通の"機能X"が定義されている。
【0173】
音声AIアシスタントサービス端末3では、マイク31を通して、ユーザUより音声で与えられた、音声アシスタントサービスバックエンド制御情報(例えば"機能X")を含むサービス要求が取り込まれ、音声認識モジュール32で認識されたデータが音声AIアシスタントサービスプログラム実行環境35に与えられる。音声AIアシスタントサービスプログラム実行環境35は、サービス要求に含まれる音声アシスタントサービスバックエンド制御情報に基づき、該当する音声アシスタントサービスプログラムを音声AIアシスタントサービスプログラムサーバ14に要求する。
【0174】
音声AIアシスタントサービスプログラムサーバ14は、受信した要求に応じて、該当する音声アシスタントサービスプログラムを音声AIアシスタントサービス端末3に応答する(ステップS724)。音声AIアシスタントサービス端末3は、音声AIアシスタントサービスプログラムサーバ14より配信された音声アシスタントサービスプログラムを音声AIアシスタントサービスプログラム実行環境35にセットアップして実行させる。
【0175】
これにより、タイムシフト再生中のシーンに登場する付加画像に対して、適切な音声アシスタントサービスによる情報提供を実現することができる。
【0176】
(音声アシスタントサービスプログラムの自動切り替え)
上記のブックマークを用いたタイムシフト再生では、ユーザUが音声で発するサービス要求の中に、POIメタデータの音声アシスタントサービスバックエンド制御情報に記述される機能名を組み込むことによって、タイムシフト再生するシーンに登場する付加画像に対して音声アシスタントサービスを実現する音声AIアシスタントサービスプログラムが音声AIアシスタントサービス端末3にセットアップされる。ところが、動画コンテンツによっては、時間帯毎に音声AIアシスタントサービス端末3にセットアップされるべき音声AIアシスタントサービスプログラムが変更されるものがある。この場合、ユーザUはサービス要求の中に組み込む機能名を時間帯によって変更しなければならず、ユーザUの負担が大きくなる。
【0177】
そこで、POIメタデータのPOIBackEndControl要素にContextID属性を導入し、このContextID属性の値として、当該POIBackEndControl要素に記述される機能名のもとで時間帯毎に異なる音声AIアシスタントサービスプログラムを音声AIアシスタントサービスプログラムサーバ14に要求するためのURIが格納される。
【0178】
情報処理装置4では、例えば、ブックマークブラウザ51が、ブックマークリストの中からユーザUにより選択されたブックマークに紐付けられたPOIメタデータに記述されるPOIBackEndControl要素のContextID属性の値が示すURIに対してHTTPリクエストを発行する。このHTTPリクエストの発行は、例えば、ブックマークリストの中からユーザUにより任意のブックマークが選択された後や、音声AIアシスタントサービス端末3にユーザUが発話によるサービス要求を出す前などに行われればよい。
【0179】
音声AIアシスタントサービスプログラムサーバ14は、ContextID属性の値が示すURIに対するHTTPリクエストを受けると、対応する時間帯の音声AIアシスタントサービスプログラムを音声AIアシスタントサービス端末3に配信して、音声AIアシスタントサービス端末3にセットアップさせる。
【0180】
これにより、時間帯によって音声AIアシスタントサービスプログラムが切り替わる場合であっても、発話によるサービス要求に組み込むべき機能名を変更する必要がないため、ユーザUの操作性が向上する。
【0181】
図28は、異なる音声AIアシスタントサービスプログラムが割り当てられた2つの時間帯のシーンにそれぞれ紐付けられたPOIメタデータにおけるContextID属性の値の変化を示す図である。
同図は、機能AのコンテクストスイッチContext-1により特定される第1の区間と、同じく機能AのコンテクストスイッチContext-2により特定される第2の区間とで異なる音声AIアシスタントサービスプログラムが使用される場合を示している。第1の区間のPOIメタデータには、POIBackEndControl要素のContextID属性の値としてコンテクストスイッチContext-1を含むURIが格納され、第2の区間のPOIメタデータには、POIBackEndControl要素のContextID属性の値としてコンテクストスイッチContext-2を含むURIが格納される。
これにより、第1の区間および第2の区間とも、ユーザUは、同じ機能名"機能A"を組み込んだサービス要求を発話することによって、各区間に対応した音声アシスタントサービスを受けることができる。
【0182】
(POIメタデータのシェア制限)
POIメタデータは、SNS等のコミュニティサービスにアップロードして他のユーザとシェアすることが可能である。この場合、例えばプレミアムな情報を提供する音声アシスタントサービスなどのシェアを禁止したりするために、POIメタデータにシェア可否制御情報を記述できることが好ましい。このシェア可否制御情報は、POIメタデータのPOI利用制限情報としてODRLなどにより記述可能である。
【0183】
図29は、ODRLによるシェア可否制御情報の記述例を示す図である。
このシェア可否制御情報は、「当該POIメタデータをSNSメンバーに共有することができる。」ことを示す。
【0184】
(ブックマークの提示)
POIメタデータのブックマークの提示には、例えば、以下の2つの方法がある。1つ目は、POIメタデータのブックマークリストによる方法であり、2つ目はPOIメタデータと関連付けてシーンキャプチャデータベースを作成してシーンキャプチャを提示する方法である。
【0185】
図30はシーンキャプチャの作成方法を示す図である。
シーンキャプチャサーバ16は、動画コンテンツにおいて予め指定された代表的なシーンに対応するPOIメタデータ163の識別URLと、そのPOIメタデータ163に記述される付加画像の提示時間(開始時刻、終了時刻)のストリームデータから作成されるブックマーク提示用の代表シーンの画像162とを紐付けてシーンキャプチャデータとしてシーンキャプチャデータベース161に登録する。情報処理装置4のブックマークブラウザ51は、ユーザUによりブックマークとして登録されたPOIメタデータの識別URLに基づいて、シーンキャプチャサーバ16に代表シーンの画像を要求し、応答された代表シーンの画像を表示する。
【0186】
なお、本技術は、上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0187】
本技術は以下のような構成も採ることができる。
(1)ユーザからの音声による要求を処理するサービスを利用可能なサービス対象物を含む映像データを取得して再生するメディア再生部と、
前記再生した映像に前記サービス対象物を前記ユーザに教示するための付加画像を付加し、前記ユーザにより任意に選択された前記付加画像付きのシーンに対するブックマークとして、前記映像データの識別情報および前記付加画像の開始時刻および終了時刻の情報を保存する制御部と
を具備する情報処理装置。
【0188】
(2)前記(1)に記載の情報処理装置であって、
前記制御部は、
前記ユーザからの任意の前記ブックマークの選択を受け付け、選択された前記ブックマークに対応する前記映像データの識別情報および前記付加画像の開始時刻および終了時刻の情報に基づき前記付加画像付きの映像データを再生する
情報処理装置。
【0189】
(3)前記(1)から(2)のうちいずれか1つに記載の情報処理装置であって、
前記制御部は、前記付加情報を生成するために前記映像データの識別情報および前記付加画像の開始時刻および終了時刻の情報を含むメタデータを取得し、前記取得したメタデータに基づき前記付加情報を付加する
情報処理装置。
【0190】
(4)前記(3)に記載の情報処理装置であって、
前記メタデータが、前記ユーザからの発話によって特定される前記サービスの機能を示す機能名を含むサービスバックエンド制御情報を含み、
前記制御部は、ユーザにより選択された前記ブックマークに対応する前記メタデータに含まれる前記サービスバックエンド制御情報の前記機能名を前記ユーザに提示する
情報処理装置。
【0191】
(5)前記(4)に記載の情報処理装置であって、
前記メタデータは、1つの機能名で時間帯毎に異なる機能を要求するための情報を含み、前記制御部は、前記情報に基づき、前記サービスの機能を切り替えるサーバに前記要求を送信する
情報処理装置。
【0192】
(6)前記(1)から(5)のうちいずれか1つに記載の情報処理装置であって、
前記制御部は、前記サービス対象物毎に前記サービスの利用に対して制限をかける
情報処理装置。
【0193】
(7)前記(6)に記載の情報処理装置であって、
前記制限が、課金による制限である
情報処理装置。
【0194】
(8)前記(7)に記載の情報処理装置であって、
前記制限が、前記付加画像のメタデータのコミュニティサービス上のシェアの可否に関する制限である
情報処理装置。
【0195】
(9)前記(1)から(8)のうちいずれか1つに記載の情報処理装置であって、
前記付加画像は、上記サービス対象物が上記サービスにおいて音声認識によって一意に判別され得るように、前記サービス対象物毎にユニークな視覚的特徴を有する
情報処理装置。
【0196】
(10)前記(1)から(9)のうちいずれか1つに記載の情報処理装置であって、
前記付加画像は、上記サービス対象物に付随した位置に提示される
情報処理装置。
【0197】
(11)前記(3)から(10)のうちいずれか1つに記載の情報処理装置であって、
前記制御部は、前記メタデータのAdaptationSetを含むMPDファイルを取得し、このMPDファイルを解析して、前記映像データおよび前記メタデータをそれぞれMPEG-DASHのMedia Segmentとして取得し、前記映像データと、前記メタデータに基づく前記付加画像とを互いに同期させて提示する
情報処理装置。
【符号の説明】
【0198】
4…情報処理装置
11…動画コンテンツサーバ
12…アプリケーションサーバ
13…POIメタデータサーバ
41…AVデコーダ
42…POIメタデータ処理モジュール
43…アプリケーション実行環境
44…レンダラ
45…ディスプレイ
46…スピーカ
47…ユーザ判別モジュール