(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-16
(45)【発行日】2024-02-27
(54)【発明の名称】情報処理システム、及び、情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20240219BHJP
H04N 21/432 20110101ALI20240219BHJP
H04N 21/442 20110101ALI20240219BHJP
【FI】
G06Q50/10
H04N21/432
H04N21/442
(21)【出願番号】P 2022047409
(22)【出願日】2022-03-23
【審査請求日】2022-11-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】500423444
【氏名又は名称】株式会社ソケッツ
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 優惟子
(72)【発明者】
【氏名】宮田 隆史
(72)【発明者】
【氏名】山田 大輝
(72)【発明者】
【氏名】塩本 祥司
(72)【発明者】
【氏名】五十崎 正明
(72)【発明者】
【氏名】浦部 浩司
【審査官】岡北 有平
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-063839(JP,A)
【文献】特開2002-213977(JP,A)
【文献】特開2007-226611(JP,A)
【文献】特開2006-098916(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
H04N 21/432
H04N 21/442
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ
により使用され、コンテンツの再生機能を有するクライアント機器の現在位置を取得する位置取得部と、
複数の特定地点ごとに設定された、前記特定地点において視認し得る地物である視認地物の情報と、前記特定地点における前記視認地物の認知容易性の情報と、を含むコンテキスト情報が記憶されたコンテキスト情報記憶部から、前記現在位置について設定された前記コンテキスト情報である対象コンテキスト情報を取得するコンテキスト情報取得部と、
前記対象コンテキスト情報を参照して、前記現在位置における認知容易性が所定レベル以上である前記視認地物である対象地物を抽出し、前記クライアント機器により再生可能な所定コンテンツに関連する地物の情報を含むコンテンツ情報が記録されたコンテンツ情報記憶部にアクセスして、前記対象地物に関連する前記所定コンテンツである対象地物関連コンテンツを特定する地物関連コンテンツ特定部と、
前記地物関連コンテンツ特定部により特定された前記対象地物関連コンテンツを、前記クライアント機器に配信するコンテンツ
配信制御部と
、
を備える情報処理システム。
【請求項2】
前記所定コンテンツは、音楽、動画、又はテキストの情報を含むデータである
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
コンピュータが、
ユーザ
により使用され、コンテンツの再生機能を有するクライアント機器の現在位置を取得する第1ステップと、
複数の特定地点ごとに設定された、前記特定地点において視認し得る地物である視認地物の情報と、前記特定地点における前記視認地物の認知容易性の情報と、を含むコンテキスト情報が記憶されたコンテキスト情報記憶部から、前記現在位置について設定された前記コンテキスト情報である対象コンテキスト情報を取得する第2ステップと、
前記対象コンテキスト情報を参照して、前記現在位置における認知容易性が所定レベル以上である前記視認地物である対象地物を抽出し、前記クライアント機器により再生可能な所定コンテンツに関連する地物の情報を含むコンテンツ情報が記録されたコンテンツ情報記憶部にアクセスして、前記対象地物に関連する前記所定コンテンツである対象地物関連コンテンツを特定する第3ステップと、
前記第3ステップにより特定された前記対象地物関連コンテンツを、前記クライアント機器に配信する第4ステップと、
を含む情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、及び、情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザに対してコンテンツを紹介し、又は、当該コンテンツの再生を提案するシステムがある。例えば、特許文献1は、ユーザの嗜好に合致した楽曲を抽出して紹介する技術を開示する。また、特許文献2は、車両の走行状況(例えば、車両の位置情報、交通情報、車速情報)に対応するコンテンツを選択し、当該コンテンツの再生を車両の搭乗者に提案する技術を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-300772号公報
【文献】特開2018-63133号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術は、提示されたコンテンツに対するユーザの受容性の低下抑制の点で改善の余地がある。
すなわち、ユーザが居る場所に対応したコンテンツを当該ユーザに提供するコンテンツ配信サービスにおいて、あるコンテンツの提供を受けたユーザが、その時点で、そのコンテンツが提供された理由を理解し難い場合、そのコンテンツに対する受容性が低下する。
【0005】
本発明は、ユーザの受容性の低下を抑制できる情報処理システム、及び、情報処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、ユーザにより使用され、コンテンツの再生機能を有するクライアント機器の現在位置を取得する位置取得部と、複数の特定地点ごとに設定された、前記特定地点において視認し得る地物である視認地物の情報と、前記特定地点における前記視認地物の認知容易性の情報と、を含むコンテキスト情報が記憶されたコンテキスト情報記憶部から、前記現在位置について設定された前記コンテキスト情報である対象コンテキスト情報を取得するコンテキスト情報取得部と、前記対象コンテキスト情報を参照して、前記現在位置における認知容易性が所定レベル以上である前記視認地物である対象地物を抽出し、前記クライアント機器により再生可能な所定コンテンツに関連する地物の情報を含むコンテンツ情報が記録されたコンテンツ情報記憶部にアクセスして、前記対象地物に関連する前記所定コンテンツである対象地物関連コンテンツを特定する地物関連コンテンツ特定部と、前記地物関連コンテンツ特定部により特定された前記対象地物関連コンテンツを、前記クライアント機器に配信するコンテンツ配信制御部と、を備える情報処理システムである。
【0007】
本発明の一態様は、情報処理システムにおいて、前記所定コンテンツは、音楽、動画、又はテキストの情報を含むデータであることを特徴とする。
【0014】
本発明の一態様は、コンピュータが、ユーザにより使用され、コンテンツの再生機能を有するクライアント機器の現在位置を取得する第1ステップと、複数の特定地点ごとに設定された、前記特定地点において視認し得る地物である視認地物の情報と、前記特定地点における前記視認地物の認知容易性の情報と、を含むコンテキスト情報が記憶されたコンテキスト情報記憶部から、前記現在位置について設定された前記コンテキスト情報である対象コンテキスト情報を取得する第2ステップと、前記対象コンテキスト情報を参照して、前記現在位置における認知容易性が所定レベル以上である前記視認地物である対象地物を抽出し、前記クライアント機器により再生可能な所定コンテンツに関連する地物の情報を含むコンテンツ情報が記録されたコンテンツ情報記憶部にアクセスして、前記対象地物に関連する前記所定コンテンツである対象地物関連コンテンツを特定する第3ステップと、前記第3ステップにより特定された前記対象地物関連コンテンツを、前記クライアント機器に配信する第4ステップと、を含む情報処理方法である。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一態様によれば、ユーザの受容性の低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施形態に係る情報処理システムの構成を示す図である。
【
図2】クライアント機器の機能的構成を示す図である。
【
図3】データベースサーバの機能的構成を示す図である。
【
図4】コンテンツ配信サーバの機能的構成を示す図である。
【
図5】情報処理サーバの機能的構成を示す図である。
【
図6】情報処理システムの動作を示すフローチャートである。
【
図7】コンテンツ配信制御処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
【0018】
図1は、本実施形態に係る情報処理システム1の構成を示す図である。
情報処理システム1は、インターネット等の電気通信回線4を通じて、コンテンツ配信サービスをクライアント機器Cに提供するシステムである。本実施形態のコンテンツ配信サービスは、クライアント機器Cの現在の位置(以下、現在位置Dbという)に対応するコンテンツDaをタイムリーに配信するサービスである。また、このコンテンツ配信サービスにおいて配信されるコンテンツDaは、クライアント機器CのユーザAが現在位置Dbにおいて視認し得る地物(以下、視認地物Dcという)に基づいて決定されている。
【0019】
なお、本実施形態において、コンテンツDaは、音楽や動画、各種のテキストといった適宜の情報を含むデータである。視認地物Dcは、地上に存在する天然又は人工の物であり、ランドマークや景色(山や海、川、草原、イルミネーションなど)などが該当する。
【0020】
さらに、本実施形態の情報処理システム1は、現在位置Dbでの視認地物Dcの認知容易性に基づいてコンテンツDaの配信を制御することで、ユーザAの視認地物Dcの認知状況に合わせて、適切なコンテンツDaを配信する。これにより、ユーザAが認知していない可能性が高い視認地物Dcに関連したコンテンツDa、すなわち、ユーザAが配信理由を理解しかねるコンテンツDaの配信を抑えることができ、コンテンツDaに対するユーザAの受容性の低下を抑えることができる。
【0021】
次いで、情報処理システム1に係る構成を詳述する。
【0022】
図2は、クライアント機器Cの機能的構成を示す図である。
クライアント機器Cは、ユーザAと共に移動し、情報処理システム1(コンテンツ配信サーバ14)からコンテンツDaの配信を受ける機器である。かかるクライアント機器Cは、例えば、スマートフォンなどの携帯型機器やウェアラブルコンピュータなどの装着型機器、ユーザAが搭乗する車両2(
図1)に搭載された車載装置などである。
【0023】
本実施形態のクライアント機器Cは車載装置であり、
図2に示すように、操作装置20と、通信装置21と、位置検出装置22と、コンテンツ再生装置23と、コンピュータ24と、を備える。
操作装置20は、ユーザAの操作を受け付ける装置であり、ボタンやタッチパネルなどである。
通信装置21は、電気通信回線4を通じてコンテンツ配信サーバ14と通信する装置である。
位置検出装置22は、現在位置Dbを検出する装置である。本実施形態の位置検出装置22は、複数の測位衛星から発信される測位信号を受信し、これらの測位信号に基づいて現在位置Dbを特定するGNSS(Global Navigation Satellite System:全球測位衛星システム)受信機を備えている。
コンテンツ再生装置23は、音楽や動画、文字情報等の各種のコンテンツDaを再生する装置である。
【0024】
コンピュータ24は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro-Processing Unit)などのプロセッサと、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などのメモリデバイス(主記憶装置とも呼ばれる)と、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などのストレージ装置(副記憶装置とも呼ばれる)と、各種の周辺機器(操作装置20や通信装置21、位置検出装置22、コンテンツ再生装置23など)を接続するためのインターフェース回路と、を備えたコンピュータを有する。
そして、プロセッサがメモリデバイス又はストレージ装置に記憶されているコンピュータプログラムを実行することで、情報処理システム1のコンテンツ配信サービスを受けるクライアントコンピュータに係る各種の機能を実現する。
【0025】
具体的には、コンピュータ24は、機能的構成として、配信要求送信制御部25と、位置情報送信制御部26と、運転状況情報送信制御部27と、配信受信制御部28と、コンテンツ再生制御部29と、を備える。
配信要求送信制御部25は、ユーザAの操作(指示)あり、または、ユーザAが所定の場所に居ると判定されるときに、コンテンツ配信要求Dgをコンテンツ配信サーバ14へ通信装置21から送信する制御を実行する。ユーザAが所定の場所に居るか否かの判定は、上記位置検出装置22及び地図情報を用いた公知又は周知の技術を用いて実行可能である。なお、配信要求送信制御部25が、かかる判定を実行してもよいし、当該判定のための機能部をコンピュータ24が配信要求送信制御部25とは別に備えてもよい。また、配信要求送信制御部25は、ユーザAを識別するユーザ識別情報Dg1(例えば、コンテンツ配信サービスの会員IDなど)をコンテンツ配信要求Dgに含め、又は対応付けてコンテンツ配信サーバ14へ送信する。
【0026】
位置情報送信制御部26は、現在位置Dbをコンテンツ配信サーバ14へ通信装置21から送信する制御を実行し、運転状況情報送信制御部27は、運転状況情報Dkをコンテンツ配信サーバ14へ通信装置21から送信する制御を実行する。
これら現在位置Db及び運転状況情報Dkはコンテンツ配信要求Dgとともに送信されてもよい。
運転状況情報Dkは、運転者による車両2の運転(すなわち、ユーザAが行っている作業)の状況を示す情報であり、より正確には、運転者にとっての運転の負荷の大きさの推定に利用可能な情報である。かかる運転状況情報Dkは、例えば、ブレーキ操作やアクセル操作、ハンドル操作などの操作状況や、走行速度、走行道路種別(一般道路や高速道路、駐車場など)、周囲の障害物の有無、車間距離などの情報が挙げられ、運転状況情報送信制御部27は、これらの情報を、例えば、車両2に搭載されている車載ECU(Electronic Control Unit)等から取得する。
【0027】
配信受信制御部28は、コンテンツ配信サーバ14からコンテンツDaを通信装置21によって受信する制御を実行し、コンテンツ再生制御部29は、コンテンツ再生装置23を制御してコンテンツDaを再生する。
【0028】
次いで、情報処理システム1について詳述する。
【0029】
情報処理システム1は、
図1に示すように、情報処理サーバ10と、データベースサーバ12と、コンテンツ配信サーバ14と、を備え、互いに通信可能に電気通信回線4を接続されている。
これら情報処理サーバ10、データベースサーバ12、及びコンテンツ配信サーバ14はいずれも、プロセッサと、メモリデバイスと、ストレージ装置と、電気通信回線4を通じて通信する通信装置(受信機及び送信機)と、各種の周辺機器を接続するためのインターフェース回路と、を備えたコンピュータを有する。
そして、プロセッサがメモリデバイス又はストレージ装置に記憶されているコンピュータプログラムを実行することで、各種の機能を実現する。
なお、情報処理サーバ10、データベースサーバ12、及びコンテンツ配信サーバ14のうちの2以上が1つのサーバコンピュータに統合されてもよい。すなわち、例えば、情報処理サーバ10が、データベースサーバ12及びコンテンツ配信サーバ14の機能を備えても良い。
【0030】
情報処理サーバ10は、クライアント機器Cの現在位置Dbの取得、当該現在位置Dbに基づくコンテンツDaの配信制御といった情報処理を実行するサーバコンピュータであり、具体的な機能的構成については後述する。
【0031】
図3は、データベースサーバ12の機能的構成を示す図である。
データベースサーバ12は、情報処理サーバ10の制御に要する各種の情報を記憶する機能を有したサーバコンピュータである。
具体的には、データベースサーバ12は、機能的構成として、嗜好情報記憶部30と、コンテキスト情報記憶部32と、コンテンツ情報記憶部34と、を備える。
嗜好情報記憶部30は、嗜好情報Ddを予め記憶するデータベースを有し、コンテキスト情報記憶部32は、コンテキスト情報Deを予め記憶するデータベースを有し、コンテンツ情報記憶部34は、コンテンツDaに係るコンテンツ情報Dfを予め記憶するデータベースを有する。
【0032】
嗜好情報Ddは、コンテンツDaについてのユーザAの嗜好に係る各種の情報であり、より正確には、ユーザAが好むコンテンツDaを推定可能にする各種の情報である。かかる嗜好情報Ddには、例えば、コンテンツDaの視聴履歴やユーザAによるリクエスト履歴といった、ユーザAの好みの傾向を推定可能にする情報、又は、ユーザAによって予め登録された身の好みに関する情報(好きなジャンルや、アーティスト、リリース年代など)が挙げられる。
【0033】
コンテキスト情報Deは、ユーザAの現在位置Dbにおける視認地物Dcに関する視認地物情報De1と、それぞれの視認地物Dcの認知容易性に係る認知容易性情報De2と、を少なくとも含む情報であり、地図上の所定区画や場所ごとに予め設定されている。
【0034】
視認地物情報De1は、現在位置Dbから視認される主な視認地物Dcのそれぞれの情報である。例えば、現在位置Dbから灯台(ランドマーク)や海(景色)が視認可能な場合、視認地物情報De1には、「海」や「灯台」といった情報が記録される。
【0035】
認知容易性情報De2は、対象の視認地物Dcの識別容易性(見分け易さ)と、当該視認地物Dcの視認性(見つけ易さ)とを含む情報である。
識別容易性のスコアは、現在位置Dbから一定範囲内に存在する視認地物Dcの数が多いほど、及び、一定範囲内に存在する同種の視認地物Dc(例えば、対象の視認地物Dcと系列が異なるコンビニエンスストアなど)の数が多いほど低く設定されている。
視認性のスコアは、例えば、現在位置Dbから視認される視認地物Dcが小さいほど、及び、遮蔽物の数が多いほど低くなる。
【0036】
本実施形態では、かかるコンテキスト情報Deは、視認性が所定値以上の視認地物Dcを対象に設定されており、ユーザAが見付けにくい(視認性が低い)視認地物Dcが予め除外されている。
【0037】
コンテンツ情報Dfは、コンテンツDaに関する情報であり、視認地物Dcに対応するコンテンツDaを検索可能にするものである。すなわち、コンテンツ情報Dfは、少なくとも、コンテンツDaに関連する地物の情報を含んでいる。かかる地物には、コンテンツDaとの関連が明確である物(例えば、コンテンツDaが社歌である場合に、その社歌の会社の建物など)のほか、コンテンツDaを視聴する多くの人がコンテンツDaから連想する連想物も含まれる。連想物には、「夏」をテーマとしたコンテンツDaを例にすると、「海」や「プール」といった地物が該当する。
【0038】
図4は、コンテンツ配信サーバ14の機能的構成を示す図である。
コンテンツ配信サーバ14は、情報処理サーバ10によるコンテンツ配信制御に基づくコンテンツDaをクライアント機器Cに配信するサーバコンピュータである。
具体的には、コンテンツ配信サーバ14は、機能的構成として、コンテンツ記憶部40と、配信要求取得部42と、位置取得部44と、運転状況取得部45と、情報処理要求部46と、コンテンツ送信制御部48と、を備える。
【0039】
コンテンツ記憶部40は、コンテンツDaのデータを記憶する。
配信要求取得部42は、コンテンツ配信サーバ14が備える通信装置によって受信されたコンテンツ配信要求Dgを取得する。上述の通り、本実施形態のコンテンツ配信要求Dgには、ユーザ識別情報Dg1が含まれている。
【0040】
位置取得部44は、クライアント機器Cの現在位置Dbを取得し、運転状況取得部45は、クライアント機器Cから運転状況情報Dkを取得する。
なお、コンテンツ配信サーバ14とクライアント機器Cとの間での現在位置Db及び運転状況情報Dkの送受態様は適宜であり、コンテンツ配信サーバ14が現在位置Dbや運転状況情報Dkの送信をクライアント機器Cに要求してもよいし、クライアント機器Cがコンテンツ配信要求Dgの送信時に現在位置Dbや運転状況情報Dkを自発的にコンテンツ配信サーバ14へ送信してもよい。
【0041】
情報処理要求部46は、情報処理要求Dhを情報処理サーバ10へ送信する制御を実行する。情報処理要求Dhは、クライアント機器Cの現在位置Dbに基づいて、配信すべきコンテンツDaを決定する、という情報処理を要求するメッセージである。
情報処理要求部46は、コンテンツ配信要求Dgが取得されると、かかる情報処理要求Dhを情報処理サーバ10へ通信装置から送信する制御を実行する。この場合おいて、情報処理要求部46は、クライアント機器CのユーザAのユーザ識別情報Dg1と、クライアント機器Cの現在位置Dbと、運転状況情報Dkとを、情報処理要求Dhに対応付けて送信する。
【0042】
コンテンツ送信制御部48は、情報処理サーバ10が送信する配信指示Diに基づいて、コンテンツDaをクライアント機器Cに通信装置から送信する制御を実行する。配信指示Diは、上記情報処理により決定されたコンテンツDaの情報を含み、コンテンツ送信制御部48は、当該情報に該当するコンテンツDaをコンテンツ記憶部40から読み出し、当該コンテンツDaを送信する制御を実行する。
【0043】
これにより、現在位置Dbに応じたコンテンツDaがクライアント機器Cに配信される。
【0044】
図5は、情報処理サーバ10の機能的構成を示す図である。
情報処理サーバ10は、機能的構成として、情報処理要求取得部50と、嗜好情報取得部51と、コンテキスト情報取得部52と、地物関連コンテンツ特定部53と、嗜好コンテンツ特定部54と、認知レベル推定部55と、運転負荷推定部56と、コンテンツ配信制御部57と、を備える。
【0045】
情報処理要求取得部50は、情報処理サーバ10が備える通信装置によって受信された情報処理要求Dhを取得する。
嗜好情報取得部51は、情報処理要求Dhに対応するユーザ識別情報Dg1に基づいて、ユーザAの嗜好情報Ddをデータベースサーバ12から取得する。
コンテキスト情報取得部52は、情報処理要求Dhに対応する現在位置Dbに基づいて、当該現在位置Dbについてのコンテキスト情報Deをデータベースサーバ12から取得する。
【0046】
地物関連コンテンツ特定部53は、視認地物Dcに関連するコンテンツDaを特定する。
具体的には、地物関連コンテンツ特定部53は、視認地物Dcを検索キーとしてデータベースサーバ12のコンテンツ情報記憶部34を検索し、該当したコンテンツ情報Dfに基づいて、当該視認地物Dcに対応するコンテンツDaを特定する。
例えば、視認地物Dcが「海」の場合、視認地物情報De1に「海」を含むコンテンツ情報Dfが検索結果として抽出され、当該コンテンツ情報Dfに対応するコンテンツDaが特定される。
【0047】
嗜好コンテンツ特定部54は、嗜好情報Ddに基づいて、ユーザAの嗜好に合ったコンテンツDaを特定する。
より具体的には、嗜好コンテンツ特定部54は、嗜好情報Ddに基づいて、ユーザAが好むコンテンツDaの分類(ジャンルやリリース年代など)や特徴(内容の雰囲気など)を特定する。そして、嗜好コンテンツ特定部54は、これらを検索キーとして、データベースサーバ12のコンテンツ情報記憶部34を検索し、該当したコンテンツ情報Dfに基づいて、ユーザAの嗜好に合ったコンテンツDaを特定する。
【0048】
認知レベル推定部55は、コンテンツDaに対するユーザAの認知レベルを推定する。認知レベルは、ユーザAがコンテンツDaを知っている可能性の大きさを示す指標値である。本実施形態の認知レベル推定部55は、そのコンテンツDaをユーザAが再生した履歴の有無や再生回数、そのコンテンツDaの周知性や公知性、そのコンテンツDaとユーザAの嗜好との乖離度に基づいて認知レベルを推定する。すなわち、ユーザAによる再生回数が多いほど、コンテンツDaが有名であるほど、また、ユーザAの好みに近いコンテンツDaであるほど、そのコンテンツDaについての認知レベルは高く推定される。
なお、かかる認知レベルの推定手法には、これに限らず、公知または周知の任意の技術を用いることができる。
【0049】
運転負荷推定部56は、運転の負荷の大きさ(以下、「運転負荷レベル」という)を運転状況情報Dkに基づいて推定する。
【0050】
コンテンツ配信制御部57は、コンテキスト情報Deと、嗜好情報Ddと、運転状況情報Dkと、に基づいて、配信対象のコンテンツDaを決定し、当該コンテンツDaの配信をコンテンツ配信サーバ14に指示する配信指示Diを当該コンテンツ配信サーバ14に送信する。
これにより、配信指示Diによって指示されたコンテンツDaがコンテンツ配信サーバ14からクライアント機器Cへ配信される。
【0051】
図6は、情報処理システム1の動作を示すフローチャートである。
クライアント機器Cは、ユーザAの指示があったときや、車両2が所定の場所に進入したとき、といった適宜のタイミングが到来すると、コンテンツ配信サーバ14へコンテンツ配信要求Dgと、現在位置Dbとをコンテンツ配信サーバ14へ送信する(ステップSa1、Sa2)。コンテンツ配信サーバ14は、コンテンツ配信要求Dgを受信すると、情報処理要求Dhを情報処理サーバ10へ送信する(ステップSa3)。この情報処理要求Dhには、上述の通り、クライアント機器CのユーザAのユーザ識別情報Dg1と、クライアント機器Cの現在位置Dbと、運転状況情報Dkと、が対応付けられている。
【0052】
情報処理サーバ10は、情報処理要求Dhを受信すると、ユーザ識別情報Dg1に対応する嗜好情報Ddと、現在位置Dbに対応するコンテキスト情報Deと、をデータベースサーバ12から取得する(ステップSa4、Sa5)。
そして、情報処理サーバ10において、コンテンツ配信制御部57が、コンテキスト情報De、嗜好情報Dd及び運転状況情報Dkに基づいて、コンテンツDaの配信を制御するコンテンツ配信制御処理を実行する(ステップSa6)。
【0053】
図7は、コンテンツ配信制御処理のフローチャートである。
先ず、コンテンツ配信制御部57は、コンテキスト情報Deの視認地物情報De1に基づいて、ユーザAの現在位置Dbにおいて視認可能な視認地物Dc(ランドマークや景色など)の中から1つを選定する(ステップSb1)。この選定手法は適宜である。例えば、複数の視認地物Dcが存在する場合に、スケールや知名度、目立ち度などを指標として、ユーザAが現在位置Dbにおいて視認している確実性が最も高い視認地物Dcを選定する、といった選定手法でもよい。
【0054】
なお、コンテンツ配信制御部57が車両2の進行方向(すなわち、ユーザAの視界方向)を車両2からクライアント機器Cを通じて取得し、現在位置Dbを基準に当該進行方向に位置する視認地物Dcの中から1つを選定してもよいし、さらに、一般的な人の視界範囲に基づいて視認地物Dcを選定してもよい。
【0055】
以下では、ステップSb1で選定された視認地物Dcを他と区別するために「対象地物Dct」と称する。
【0056】
次に、コンテンツ配信制御部57は、上記コンテキスト情報Deの認知容易性情報De2に基づいて、対象地物Dctに関連するコンテンツDa、及び、ユーザAが好むコンテンツDaのどちらを配信するかを決定する。
より詳細には、コンテンツ配信制御部57は、原則的に、対象地物Dctの認知容易性が所定値以上である場合には、当該対象地物Dctに関連するコンテンツDaを配信対象とし、認知容易性が所定値未満である場合には、ユーザAが好むコンテンツDaを配信対象とする。認知容易性に係る所定値は、現在位置Dbにいる人の多くが対象地物Dctを認知し得る状態であることを示す指標値である。
【0057】
本実施形態では、上述の通り、認知容易性には、識別容易性と視認性の2つの評価値が設定されており、それぞれの評価値に応じて、対象地物Dctに関連するコンテンツDa、及び、ユーザAが好むコンテンツDaのどちらを配信するかが、より適切に決定されている。
すなわち、コンテンツ配信制御部57は、対象地物Dctの識別容易性のスコアが所定値以上であるか否かを判定し(ステップSb2)、また、対象地物Dctの視認性のスコアが所定値以上であるか否かを判定する(ステップSb3)。
【0058】
識別容易性のスコアが所定値以上である場合(ステップSb2:Yes)、ユーザAが対象地物Dctを識別できる(見分けることができる)確実性が高い状況であることを示す。
また、視認性のスコアが所定値以上である場合(ステップSb3:Yes)、ユーザAが対象地物Dctを視認できる(見付けることができる)確実性が高い状況であることを示す。
すなわち、これらステップSb2及びSb3がいずれも「Yes」である場合、ユーザAが現在位置Dbにおいて、対象地物Dctを認知している確実性が高く、また、その時点で認知していなかった場合でも、当該対象地物Dctを容易に認知できる状況にあると言える。
【0059】
次に、情報処理サーバ10において、地物関連コンテンツ特定部53が、対象地物Dctに基づいて、当該対象地物Dctに関連するコンテンツDaを特定する(ステップSb4)。以下では、対象地物Dctに基づいて特定されたコンテンツDaを他と区別するために「対象地物関連コンテンツDa1」と称する。
【0060】
次いで、コンテンツ配信制御部57は、対象地物関連コンテンツDa1に対するユーザAの認知レベルが所定値以上であるか否かを判定する(ステップSb5)。かかる認知レベルは、上記認知レベル推定部55による推定値である。
【0061】
対象地物関連コンテンツDa1に対するユーザAの認知レベルが所定値以上である場合(ステップSb5:Yes)、ユーザAは対象地物関連コンテンツDa1の内容を既に知っている確実性が高く、対象地物関連コンテンツDa1と対象地物Dctとの関連性を把握し易い状況であることを示す。
そこで、コンテンツ配信制御部57は、対象地物関連コンテンツDa1を、配信対象のコンテンツDaに決定し、当該対象地物関連コンテンツDa1の配信を指示する配信指示Diを出力する(ステップSb6)。
【0062】
これにより、ユーザAが対象地物Dctを認知している、又は認知し易い状況において(ステップSb2及びSb3がいずれもYes)配信される対象地物関連コンテンツDa1は、当該対象地物Dctと関連があり、その関連性をユーザAが理解する確実性が高いので、コンテンツDaに対するユーザAの受容性低下を抑制できる。
【0063】
ただし、ユーザAが対象地物Dctを認知している、又は認知し易い状況であっても(ステップSb2及びSb3がいずれもYes)、対象地物関連コンテンツDa1に対するユーザAの認知レベルが所定値未満である場合(ステップSb5:No)、ユーザAが対象地物関連コンテンツDa1と対象地物Dctとの関連性を理解する可能性は低い。この場合、コンテンツ配信制御部57は、対象地物関連コンテンツDa1がユーザAに相応しいか否かに基づいて、その対象地物関連コンテンツDa1を配信対象のコンテンツDaとするか否かを決定する。
具体的には、コンテンツ配信制御部57は、ユーザAの嗜好情報Ddによって、ユーザAが新しい体験を好む傾向が示される、又は、推定される場合(ステップSb7:Yes)、対象地物関連コンテンツDa1を配信対象のコンテンツDaに決定する(ステップSb6)。これにより、ユーザAにとって馴染みがない対象地物関連コンテンツDa1が配信されたとしても、ユーザAの受容性の低下が抑えられる。
また、対象地物Dctを容易に認知できる状況の場合に対象地物関連コンテンツDa1が配信されるため、ユーザAは、馴染みがない対象地物関連コンテンツDa1であっても対象地物Dctとの関連性に気付き易く、対象地物関連コンテンツDa1をより一層楽しむことができる。
【0064】
一方、ユーザAが新しい体験を好む傾向がない場合(ステップSb7:No)、ユーザAが望まないコンテンツDaの配信を防止するために、嗜好コンテンツ特定部54が嗜好情報Ddに基づいて、ユーザAの嗜好に合ったコンテンツDaを特定し、コンテンツ配信制御部57は、かかるコンテンツDaの配信を指示する配信指示Diを出力する(ステップSb9)。
【0065】
また、対象地物Dctの認知容易性が低い場合(ステップSb2及びSb3のいずれかが「No」)、コンテンツ配信制御部57は、配信対象のコンテンツDaを次のように決定する。
すなわち、対象地物Dctの認知容易性のうち識別容易性のスコアが低い場合(ステップSb2:No)、対象地物関連コンテンツDa1を配信しても、ユーザAが当該対象地物関連コンテンツDa1と関連する対象地物Dctを認知できない可能性が高い。したがって、この場合、コンテンツ配信制御部57は、処理手順をステップSb9に進め、対象地物関連コンテンツDa1ではなく、ユーザAの嗜好に合ったコンテンツDaの配信を指示する配信指示Diを出力する。
【0066】
一方、対象地物Dctの認知容易性のうち視認性のスコアが低い場合(ステップSb3:No)、単に対象地物Dctを発見し難い状況であるため、対象地物関連コンテンツDa1の配信がきっかけとなって、これに関連する対象地物DctをユーザAが発見できる可能性がある。
そこで、先ず、コンテンツ配信制御部57は、対象地物Dctに基づいて、対象地物関連コンテンツDa1を特定し(ステップSb10)、当該対象地物関連コンテンツDa1に対するユーザAの認知レベルが所定値以上であるか否かを判定する(ステップSb11)。認知レベルが所定値未満である場合(ステップSb11:No)、ユーザAが対象地物関連コンテンツDa1から対象地物Dctを連想する可能性が低いため、コンテンツ配信制御部57は、ステップSb9に処理手順を進め、ユーザAの嗜好に合ったコンテンツDaの配信を指示する配信指示Diを出力する。
【0067】
これとは逆に、認知レベルが所定値以上である場合(ステップSb11:Yes)、ユーザAが対象地物関連コンテンツDa1から対象地物Dctを連想して当該対象地物Dctを発見する可能性が高い。この場合、コンテンツ配信制御部57は、運転負荷推定部56によって推定される運転負荷レベルが所定値以上か否かを判定する(ステップSb12)。運転負荷レベルが所定値未満である場合(ステップSb12:No)、周囲の対象地物Dctを発見する余裕がユーザAにある可能性が比較的高いため、コンテンツ配信制御部57は、ステップSb6に処理手順を進め、対象地物関連コンテンツDa1を配信対象のコンテンツDaに決定する。
これにより、ユーザAは、対象地物関連コンテンツDa1の配信を受けることで、周囲の対象地物Dctに気付くことができ、ユーザAが新たな発見を楽しむことができる。
【0068】
一方、運転負荷レベルが所定値以上である場合(ステップSb12:Yes)、ユーザAは運転操作に集中しており、周囲の対象地物Dctを発見する余裕がない可能性が高いため、コンテンツ配信制御部57は、処理手順をステップSb9に進め、ユーザAの嗜好に合ったコンテンツDaの配信を指示する配信指示Diを出力する。
これにより、ユーザAが対象地物関連コンテンツDa1に馴染みがある場合であっても、対象地物Dctを認識できない可能性が高い状況下では、対象地物関連コンテンツDa1に代えて、嗜好に合ったコンテンツDaが配信される。これにより、配信されたコンテンツDaに対するユーザAの受容性低下を抑制できる。
【0069】
なお、このコンテンツ配信制御処理において、ステップSb1の処理の結果、対象地物Dctが存在しない場合(視認地物Dcがゼロの場合)、コンテンツ配信制御部57は、ステップSb9に処理手順を進め、ユーザAの嗜好に合ったコンテンツDaを配信対象とする。
【0070】
本実施形態によれば、次の効果を奏する。
【0071】
本実施形態の情報処理システム1は、ユーザAの現在位置Dbを取得する位置取得部44と、現在位置Dbに対応するコンテキスト情報Deを取得するコンテキスト情報取得部52と、当該コンテキスト情報Deに基づいて、コンテンツDaの配信を制御するコンテンツ配信制御部57と、を備える。そして、コンテキスト情報Deは、コンテンツDaに関連する視認地物Dcの現在位置Dbでの認知容易性に係る認知容易性情報De2を含んでおり、コンテンツ配信制御部57は、当該認知容易性情報De2に基づいて、コンテンツDaの配信を制御する。
この構成によれば、ユーザAの視認地物Dcの認知状況に合わせてコンテンツDaが配信される。したがって、配信されたコンテンツDaと視認地物Dcとの関連性がユーザAにとって理解し難いために、コンテンツDaに対するユーザAの受容性が低下する、といったことを抑制できる。
【0072】
本実施形態の情報処理システム1において、コンテンツ配信制御部57は、現在位置Dbでの視認地物Dcの認知容易性が所定値以上である場合に(
図7におけるステップSb2、Sb3がいずれもYesの場合)、当該視認地物Dcに関連するコンテンツDa(対象地物関連コンテンツDa1)を配信する。
この構成によれば、ユーザAが視認地物Dcを認知し易い状況である場合に、当該視認地物Dcに関連するコンテンツDaが配信されるため、ユーザAが、配信されたコンテンツDaと視認地物Dcとの関連性を理解できない、といった事態を防止できる。
【0073】
本実施形態の情報処理システム1は、コンテンツDaに対するユーザAの認知レベルを推定する認知レベル推定部55を備える。そして、コンテンツ配信制御部57は、現在位置Dbでの視認地物Dcの認知容易性が所定値以上である場合、当該視認地物Dcに関連するコンテンツDaに対するユーザAの認知レベルが所定値以上であるときに(
図7におけるステップSb5がYesの場合)、当該視認地物Dcに関連するコンテンツDa(対象地物関連コンテンツDa1)を配信する。
この構成によれば、ユーザAが視認地物Dcを認知し易い状況であり、なおかつ、ユーザAが対象地物関連コンテンツDa1に馴染みがある場合に、当該対象地物関連コンテンツDa1が配信されるため、ユーザAが、配信されたコンテンツDaと視認地物Dcとの関連性を理解できない、といった事態を、確実に防止できる。
【0074】
本実施形態の情報処理システム1は、ユーザAが行っている運転の負荷の状況を推定する運転負荷推定部56を備える。そして、コンテンツ配信制御部57は、現在位置Dbでの視認地物Dcの認知容易性が所定値未満である場合(
図7におけるステップSb3がNoの場合)、視認地物Dcに関連するコンテンツDaに対するユーザAの認知レベルが所定値以上であり、かつ、運転負荷レベルが所定値未満であるとき(
図7におけるステップSb11がYes、かつ、ステップSb12がNoのとき)、視認地物Dcに関連するコンテンツDa(対象地物関連コンテンツDa1)を配信する。
この構成によれば、ユーザAが視認地物Dcを認知(本実施形態では視認)し易い状況でない場合であっても、対象地物関連コンテンツDa1の配信がきっかけとなって、ユーザAが周囲の視認地物Dcに気付き、新たな発見を楽しむことができる。
【0075】
本実施形態の情報処理システム1において、認知容易性情報De2は、現在位置Dbでの視認地物の視認性に係る情報を含む。
この構成によれば、視認性に起因した認知の困難性に基づいてコンテンツDaの配信を制御できる。
【0076】
本実施形態の情報処理システム1において、コンテキスト情報Deは、視認性が所定値以上の視認地物Dcについて設定されている。
この構成によれば、ユーザAによって認知され難い視認地物Dcを予め除外しておくことができる。
【0077】
本実施形態の情報処理システム1において、認知容易性に係る情報は、現在位置Dbでの視認地物Dcの識別容易性に係る情報を含む。
この構成によれば、識別容易性に起因した認知の困難性に基づいてコンテンツDaの配信を制御できる。
【0078】
本実施形態の情報処理システム1において、識別容易性は、現在位置Dbから一定範囲内に存在する同種の視認地物Dcの数に基づいて設定されている。
この構成によれば、同種の視認地物Dcの多さに起因して対象の視認地物Dcを認知し難いという状況に合わせて、コンテンツDaの配信を制御できる。
【0079】
なお、上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様の例示である。すなわち、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、上述した実施形態は、任意に変形、及び応用が可能であり、かつ、これら実施形態、変形、及び応用に係る各態様は、任意に組み合わせが可能である。
【0080】
上述した実施形態において、ユーザAへのコンテンツの提示の一例として、当該コンテンツDaを配信する態様を例示したが、これに限らず、コンテンツDaを紹介や提案する態様であってもよい。
【0081】
上述した実施形態において、ユーザAが車両2に乗って移動している場合を例示したが、他の乗り物(飛行機や船舶など)に乗って移動してもよく、また、徒歩で移動してもよい。
【0082】
上述した実施形態において、ユーザAが行っている作業として運転操作を例示したが、これに限らず、任意の作業であってもよい。
【0083】
図1から
図5に示す構成図は、本願発明を理解容易にするために、構成要素を主な処理内容に応じて分類して示した図であり、各構成要素は、処理内容に応じて、さらに多くの構成要素に分類することもできる。また、1つの構成要素がさらに多くの処理を実行するように分類することもできる。
【0084】
図6及び
図7に示すフローチャートにおいて、各ステップの順番は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において任意に変更可能である。
【0085】
(本明細書の開示によりサポートされる構成)
本明細書の開示は、以下の構成をサポートする。
【0086】
(構成1)
ユーザの位置を取得する位置取得部と、前記位置に対応するコンテキスト情報を取得するコンテキスト情報取得部と、前記コンテキスト情報に基づいて、コンテンツの提示を制御するコンテンツ提示制御部と、を備え、前記コンテキスト情報は、前記コンテンツに関連する地物の前記位置での認知容易性に係る情報を含み、前記コンテンツ提示制御部は、前記位置での前記地物の認知容易性に基づいて、前記コンテンツの提示を制御する、ことを特徴とする情報処理システム。
構成1によれば、ユーザの受容性の低下を抑制できる。
【0087】
(構成2)
前記コンテンツ提示制御部は、前記位置での前記地物の認知容易性が所定値以上である場合、前記地物に関連するコンテンツを提示することを特徴とする構成1に記載の情報処理システム。
構成2によれば、ユーザが、提示されたコンテンツと地物との関連性を理解できない、といった事態を防止できる。
【0088】
(構成3)
コンテンツに対する前記ユーザの認知レベルを推定する認知レベル推定部を備え、前記コンテンツ提示制御部は、前記位置での前記地物の認知容易性が所定値以上である場合、前記地物に関連するコンテンツに対する前記ユーザの認知レベルが所定値以上であるときに、前記地物に関連するコンテンツを提示することを特徴とする構成2に記載の情報処理システム。
構成3によれば、ユーザが、提示されたコンテンツと地物との関連性を理解できない、といった事態を防止できる。
【0089】
(構成4)
前記ユーザが行っている作業の負荷の状況を推定する作業負荷推定部を備え、前記コンテンツ提示制御部は、前記位置での前記地物の認知容易性が所定値未満である場合、前記地物に関連するコンテンツに対する前記ユーザの認知レベルが所定値以上であり、かつ、前記作業の負荷の大きさが所定値未満であるときに、前記地物に関連するコンテンツを提示することを特徴とする構成3に記載の情報処理システム。
構成4によれば、ユーザが地物を認知し易い状況でない場合であっても、コンテンツの提示がきっかけとなって、周囲の地物にユーザが気付くことができる。
【0090】
(構成5)
前記認知容易性に係る情報は、前記位置での前記地物の視認性に係る情報を含むことを特徴とする構成1から4のいずれかに記載の情報処理システム。
構成5によれば、視認性に起因した認知の困難性に基づいてコンテンツの提示を制御できる。
【0091】
(構成6)
前記コンテキスト情報は、前記視認性が所定値以上の地物について設定されている、ことを特徴とする構成5に記載の情報処理システム。
構成6によれば、認知され難い地物を予め除外しておくことができる。
【0092】
(構成7)
前記認知容易性に係る情報は、前記位置での前記地物の識別容易性に係る情報を含むことを特徴とする構成1から6のいずれかに記載の情報処理システム。
構成7によれば、識別容易性に起因した認知の困難性に基づいてコンテンツの提示を制御できる。
【0093】
(構成8)
前記識別容易性は、前記位置から一定範囲内に存在する同種の地物の数に基づいて設定されている、ことを特徴とする構成7に記載の情報処理システム。
構成8によれば、同種の地物の多さに起因して特定の地物を認知し難いという状況に合わせて、コンテンツの配信を制御できる。
【0094】
(構成9)
コンピュータが、ユーザの位置を取得する第1ステップと、前記位置に対応するコンテキスト情報を取得する第2ステップと、前記コンテキスト情報に基づいて、コンテンツの提示を制御する第3ステップと、を備え、前記コンテキスト情報は、前記コンテンツに関連する地物の前記位置での認知容易性に係る情報を含み、前記第3ステップにおいて、前記位置での前記地物の認知容易性に基づいて、前記コンテンツの提示を制御する、ことを特徴とする情報処理方法。
構成9によれば、ユーザの受容性の低下を抑制できる。
【符号の説明】
【0095】
1 情報処理システム
10 情報処理サーバ
12 データベースサーバ
14 コンテンツ配信サーバ
44 位置取得部
45 運転状況取得部
51 嗜好情報取得部
52 コンテキスト情報取得部
53 地物関連コンテンツ特定部
54 嗜好コンテンツ特定部
55 認知レベル推定部
56 運転負荷推定部
57 コンテンツ配信制御部(コンテンツ提示制御部)
C クライアント機器
Da コンテンツ
Da1 対象地物関連コンテンツ
Db 現在位置
Dc 視認地物(地物)
Dct 対象地物
Dd 嗜好情報
De コンテキスト情報
De1 視認地物情報
De2 認知容易性情報
Df コンテンツ情報
Dk 運転状況情報