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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-16
(45)【発行日】2024-02-27
(54)【発明の名称】洗濯乾燥機
(51)【国際特許分類】
   D06F 58/02 20060101AFI20240219BHJP
【FI】
D06F58/02 K
D06F58/02 Q
D06F58/02 F
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020079689
(22)【出願日】2020-04-28
(65)【公開番号】P2021171501
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2023-03-25
(73)【特許権者】
【識別番号】512128645
【氏名又は名称】青島海爾洗衣机有限公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER WASHING MACHINE CO.,LTD.
(73)【特許権者】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大槻 太郎
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 弓恵
【審査官】大内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第102605590(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第102242481(CN,A)
【文献】特開2018-175392(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105624967(CN,A)
【文献】独国特許出願公開第4212965(DE,A1)
【文献】特開平04-067899(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 1/00~60/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗濯物を収容する内槽と、前記内槽を収容し、水が溜められる外槽とを有する洗濯槽と、
取出口及び戻し口を有する循環路であって、前記洗濯槽内の空気を前記取出口から前記循環路内に取り出して前記戻し口から前記洗濯槽内に戻すことによって循環させるための循環路と、
前記循環路内の空気を前記戻し口へ送る送風部と、
循環する空気を加熱する加熱部と、
前記外槽の底部を構成して前記取出口が接続されて前記底部よりも上方の前記外槽内の空間から前記底部に流れ落ちた水を受け止めて貯留する空間を有し、前記洗濯槽内から前記取出口へ向かう空気を前記空間内の水に通すことによって当該空気から異物を捕獲する水フィルタとを含む、洗濯乾燥機。
【請求項2】
前記洗濯乾燥機は、前記外槽の下から前記外槽を支持する複数の支持部材をさらに含み、
前記水フィルタは、前記複数の支持部材によって囲まれたスペースに配置される、請求項1に記載の洗濯乾燥機。
【請求項3】
前記外槽から水を排出するための排水路を兼ね、前記空間内の水を流出させる流出路を含む、請求項1又は2に記載の洗濯乾燥機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、洗濯乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載の洗濯乾燥機は、水が溜められる外槽と、外槽内に配置されて洗濯物を収容する内槽と、循環風路とを含む。循環風路は、外槽に接続された空気吸い込み口及び空気吐出口と、ブロア、ヒータ及び乾燥フィルタを有する送風ユニットとを含む。乾燥運転では、ブロアが稼働することにより、外槽内の空気は、空気吸い込み口から循環風路内に吸い込まれて空気吐出口から外槽内へ流入するように循環する。循環する空気は、循環風路内においてヒータによって加熱される。加熱された空気によって、内槽内の洗濯物が乾燥する。乾燥フィルタは、メッシュ状のフィルタ素子を有し、循環風路を流れる空気に含まれる異物をフィルタ素子によって捕獲する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-244984号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の洗濯乾燥機では、乾燥フィルタのフィルタ素子が目詰まりすると、乾燥運転中に空気が円滑に循環できなくなるので、乾燥運転における時間延長や消費電力増加といった乾燥性能の低下が想定される。そこで、このような乾燥性能の低下を防ぐために、使用者が乾燥フィルタを高頻度で取り外して掃除する必要があるので、手間がかかる。
【0005】
この発明は、かかる背景のもとでなされたものであり、乾燥運転に関して使い勝手の向上を図れて乾燥性能の低下を抑制できる洗濯乾燥機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、洗濯物を収容する内槽と、前記内槽を収容し、水が溜められる外槽とを有する洗濯槽と、取出口及び戻し口を有する循環路であって、前記洗濯槽内の空気を前記取出口から前記循環路内に取り出して前記戻し口から前記洗濯槽内に戻すことによって循環させるための循環路と、前記循環路内の空気を前記戻し口へ送る送風部と、循環する空気を加熱する加熱部と、前記外槽の底部を構成して前記取出口が接続されて前記外槽内の水を貯留する空間を有し、前記洗濯槽内から前記取出口へ向かう空気を前記空間内の水に通すことによって当該空気から異物を捕獲する水フィルタとを含む、洗濯乾燥機である。
【0007】
また、本発明は、前記水フィルタが、前記外槽の底部に一体形成されることを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、前記洗濯乾燥機が、前記外槽内の水を排出するための排水路を兼ね、前記空間内の水を流出させる流出路を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、洗濯乾燥機の乾燥運転では、送風部が作動することにより、洗濯槽内の空気が、取出口から循環路内に取り出されて戻し口から洗濯槽内に戻るように循環する。循環する空気は、加熱部によって加熱されることで熱風となり、洗濯槽における内槽内の洗濯物を乾燥させる。外槽内の水を貯留する空間を有する水フィルタが、循環のために洗濯槽内から取出口へ向かう空気を、空間内の水に通すことによって、当該空気から異物を捕獲して空間内に溜める。この場合、空間内の水を捨てれば、空間内に溜まった異物も水に乗って排出されるので、水フィルタを容易にメンテナンスできる。そのため、乾燥運転に関して使い勝手の向上を図れる。
水フィルタの空間は、外槽の底部を構成するので、外槽の配置スペース及びその周辺のスペースを有効利用して当該空間つまり水フィルタの大型化を図ることができる。水フィルタの大型化により、循環のために洗濯槽から水フィルタの空間内を通って取出口へ向かう空気の流量の増加を図ることができる。そのため、乾燥運転では、乾燥用の空気を円滑に循環させることができるので、乾燥性能の低下を抑制できる。
【0010】
また、本発明によれば、水フィルタが外槽の底部に一体形成されるので、外槽の底部を水フィルタのために大型化することによって、水フィルタを大型化することができる。また、部品点数の削減を図ることもできる。
【0011】
また、本発明によれば、水フィルタの空間内の水を流出させる流出路が、外槽内の水を排出するための排水路を兼ねるので、部品点数の削減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】この発明の一実施形態に係る洗濯乾燥機の模式的な縦断面右側面図である。
図2】変形例に係る洗濯乾燥機の要部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下には、図面を参照して、この発明の実施形態について具体的に説明する。図1は、この発明の一実施形態に係る洗濯乾燥機1の模式的な縦断面右側面図である。図1の紙面に直交する方向を洗濯乾燥機1の左右方向Xといい、図1における左右方向を洗濯乾燥機1の前後方向Yといい、図1における上下方向を洗濯乾燥機1の上下方向Zという。左右方向Xのうち、図1の紙面における奥側を左側X1といい、図1の紙面における手前側を右側X2という。前後方向Yのうち、図1における左側を前側Y1といい、図1における右側を後側Y2という。上下方向Zのうち、上側を上側Z1といい、下側を下側Z2という。
【0014】
洗濯乾燥機1は、いわゆるドラム式の洗濯乾燥機であり、洗い運転と、すすぎ運転と、脱水運転と、乾燥運転と実行する。洗濯乾燥機1は、その外郭をなす筐体2と、筐体2内に配置されて外槽3及び内槽4を有する洗濯槽5と、外槽3に接続された給水路6と、外槽3に設けられた水フィルタ7とを含む。洗濯乾燥機1は、水フィルタ7に接続された流出路8と、流出路8の途中に設けられた排水フィルタ9と、内槽4を回転させるモータ10と、筐体2内で洗濯槽5の周囲に配置された乾燥ユニット11とを含む。
【0015】
筐体2は、ボックス状に形成される。筐体2の前面2Aは、例えば垂直面である。前面2Aには、筐体2の内外を連通させる開口2Bが形成される。前面2Aには、開口2Bを開閉する扉15と、スイッチや液晶パネルなどで構成された表示操作部16とが設けられる。使用者は、表示操作部16のスイッチなどを操作することによって、洗濯乾燥機1の運転条件を自由に選択したり、洗濯乾燥機1に対して運転開始や運転停止などを指示したりすることができる。表示操作部16の液晶パネルなどには、洗濯乾燥機1の運転に関する情報が目視可能に表示される。
【0016】
洗濯槽5を構成する外槽3は、円筒状に形成される。外槽3は、前後方向Yに沿って水平に延びる軸線Jを中心とした円筒状の円周壁3Aと、垂直に配置されて円周壁3Aの中空部分を後側Y2から塞いだ円盤状の背面壁3Bと、円周壁3Aの前端縁につながったリング状の正面壁3Cとを有する。背面壁3Bの中心には、軸線Jに沿って背面壁3Bを前後方向Yに貫通した貫通穴3Dが形成される。正面壁3Cは、円周壁3Aの前端縁から軸線J側へ張り出した円環状の第1正面部3Eと、第1正面部3Eの内周縁から前側Y1へ突出した円筒状の第2正面部3Fと、第2正面部3Fの前端縁から軸線J側へ張り出した円環状の第3正面部3Gとを有する。第3正面部3Gの内側には、円周壁3Aの中空部分に前側Y1から連通した出入口3Hが形成される。出入口3Hは、筐体2の開口2Bに対して後側Y2から対向し、連通した状態にある。
【0017】
円周壁3A、背面壁3B及び正面壁3Cのそれぞれの下端部は、外槽3の底部3Jを構成する。円周壁3Aの下側外周部が、円周壁3Aの下端部である。底部3Jには、貫通穴3Kが形成される。この実施形態では、貫通穴3Kは、円周壁3Aの下端部の後寄りの領域を上下方向Zに貫通して形成される。底部3Jには、貫通穴3Kから下側Z2へ延びる管状の案内路3Lが設けられる。外槽3は、ショックアブソーバなどの支持部材17を介して筐体2に連結され、支持部材17によって弾性支持される。支持部材17は、上下方向Zに延びる棒状であって、複数存在する。この実施形態では、4つの支持部材17が、左右2列前後2列に並んで配置される。各支持部材17では、下端部が筐体2の底壁2Cに接続され、上端部が円周壁3Aの下側外周部に接続される。
【0018】
内槽4は、外槽3よりも一回り小さい円筒状に形成され、外槽3内に同軸上で収容される。内槽4は、内部に洗濯物Lを収容することができる。内槽4は、外槽3の円周壁3Aと同軸上に配置された円筒状の円周壁4Aと、円周壁4Aの中空部分を後側Y2から塞いだ円盤状の背面壁4Bと、円周壁4Aの前端縁から軸線J側へ張り出した円環状の環状壁4Cとを有する。内槽4において少なくとも円周壁4Aには、複数の貫通穴4Dが形成される。内槽4の背面壁4Bの中心には、軸線Jに沿って後側Y2へ延びる支持軸18が設けられる。支持軸18の後端部は、外槽3の背面壁3Bの貫通穴3Dを通って背面壁3Bよりも後側Y2に配置される。
【0019】
環状壁4Cの内側には、円周壁4Aの中空部分に前側Y1から連通した出入口4Eが形成される。出入口4Eは、外槽3の出入口3H及び筐体2の開口2Bに対して後側Y2から対向し、連通した状態にある。出入口3H及び出入口4Eは、開口2Bとともに、扉15によって一括開閉される。洗濯乾燥機1の使用者は、開放された開口2B、出入口3H及び出入口4Eを介して、内槽4内に洗濯物Lを出し入れする。
【0020】
給水路6は、蛇口(図示せず)に接続された一端部(図示せず)と、外槽3において例えば円周壁3Aに接続された他端部6Aとを有する。他端部6Aには、例えば蛇腹ホースによって構成された弾性変形部6Bが設けられるので、外槽3の振動が給水路6の全体に伝わることが抑制される。給水時には、蛇口からの水が給水路6から外槽3内に供給される。外槽3内には、水道水や、水道水に洗剤が溶けた洗剤水などの水が溜められる。外槽3内の水は、内槽4の貫通穴4Dを介して外槽3と内槽4との間で行き来する。そのため、外槽3内の水位と内槽4内の水位とは、一致する。給水路6の途中には、給水を開始したり停止したりするために開閉される給水弁19が設けられる。
【0021】
水フィルタ7は、筐体2内において外槽3の底部3Jに設けられる。水フィルタ7は、例えば樹脂製でボックス状の容器20を有する。容器20は、例えば水平に延びる板状の底壁21と、底壁21の外縁を縁取りつつ底壁21から上側Z1へ立ち上がった筒状の側壁22とを有する。側壁22の上端の全域は、底部3J、具体的には外槽3の円周壁3Aの下端部に接続される。容器20は、外槽3の底部3Jを構成する。この実施形態では、容器20を含む水フィルタ7全体が、外槽3の一部として底部3Jに一体形成され、円周壁3Aから下側Z2へ突出して設けられる。容器20は、円周壁3Aと筐体2の底壁2Cとの間の空間、詳しくは、4つの支持部材17によって囲まれたスペースSに配置される。
【0022】
容器20の内部空間20Aは、底壁21、側壁22及び底部3Jによって取り囲まれ、水フィルタ7内の空間を構成する。外槽3の底部3Jに設けられた案内路3Lが、内部空間20Aに配置される。案内路3Lの下端は、底壁21よりも上側Z1に離れて配置される。案内路3Lを容器20の一部とみなしてもよい。
【0023】
流出路8は、水フィルタ7の容器20の下端部、例えば容器20の底壁21に接続される。流出路8において容器20に接続される端部には、例えば蛇腹ホースによって構成された弾性変形部8Aが設けられるので、外槽3の振動が流出路8の全体に伝わることが抑制される。流出路8の途中には、排水を開始したり停止したりするために開閉される排水弁25が設けられる。排水弁25が閉じた状態では、外槽3内に供給された水の一部は、破線矢印V1に示すように、案内路3Lを流れ落ちて容器20の内部空間20Aに溜まる。つまり、容器20の内部空間20Aは、外槽3内の水を貯留する。排水弁25が開くと、容器20内の水は、流出路8に流出して機外に排出される。また、外槽3内の水は、案内路3L及び容器20内を順に流れて、流出路8から機外に排出される。つまり、流出路8は、外槽3内の水を排出するための排水路を兼ねる。そのため、部品点数の削減を図ることができる。
【0024】
排水フィルタ9は、流出路8において排水弁25よりも水フィルタ7に近い上流領域に設けられる。排水フィルタ9の前端は、筐体2の前面2Aに露出されるので、使用者は、排水フィルタ9の前端を掴んで排水フィルタ9を筐体2に対して着脱させることができる。排水フィルタ9の構成として、公知の構成を用いることができる。
【0025】
モータ10は、筐体2内において、外槽3の背面壁3Bの後側Y2に配置される。モータ10は、内槽4に設けられた支持軸18に連結される。モータ10が発生した駆動力は、支持軸18に伝達され、内槽4が、支持軸18を伴って軸線Jまわりに回転する。なお、モータ10と支持軸18と間には、モータ10の駆動力を支持軸18に伝達したり遮断したりするクラッチ機構(図示せず)が設けられてもよい。
【0026】
乾燥ユニット11は、外槽3に接続された循環路30と、循環路30内に空気の流れを発生させる送風部31と、循環路30内に空気を加熱する加熱部32とを含む。循環路30は、筐体2内において外槽3の後側Y2及び上側Z1に配置された流路である。循環路30は、前後方向Yへ水平に延びる水平部分30Aと、水平部分30Aの後端から下側Z2へ延びる後部分30Bと、水平部分30Aの前端から下側Z2へ延びる前部分30Cとを有し、筐体2に固定される。
【0027】
後部分30Bの下部は、前側Y1に折り曲げられ、後部分30Bの下部の前端部には、取出口30Dが形成される。取出口30Dは、水フィルタ7の容器20の側壁22に接続され、容器20内、つまり内部空間20Aに後側Y2から連通した状態にある。前部分30Cの下端部には、戻し口30Eが形成される。戻し口30Eは、外槽3において例えば正面壁3Cの第2正面部3Fの上端部に接続され、外槽3内に上側Z1から連通した状態にある。循環路30において外槽3及び容器20に接続される両端部には、例えば蛇腹ホースによって構成された弾性変形部30Fが設けられる。これにより、外槽3の振動が循環路30の全体に伝わることが抑制される。
【0028】
送風部31は、いわゆるブロアであり、例えば循環路30の水平部分30A内の後端部に配置された回転羽根33と、回転羽根33を回転させるモータ(図示せず)とを含む。送風部31が作動することによって回転羽根33が回転すると、洗濯槽5内の空気が、破線矢印V1、V2、V3及びV4で示すように、外槽3の底部3Jの案内路3Lから水フィルタ7の容器20内に流入し、取出口30Dから循環路30内に取り出された後に、循環路30内で戻し口30Eへ送られ、戻し口30Eから洗濯槽5内に戻される。これにより、洗濯槽5内の空気は、洗濯槽5と循環路30とを順に流れるように循環する。
【0029】
加熱部32は、ヒートポンプにおける熱交換器または一般的なヒータなどである。加熱部32の少なくとも一部が、循環路30内において送風部31よりも取出口30D側の下流領域、詳しくは水平部分30A内において送風部31よりも前側Y1に設けられる。加熱部32において循環路30内に設けられた部分は、フィン状の放熱部34を複数有する。加熱部32が作動することによって放熱部34が高温になるので、送風部31の作動中では、循環のために循環路30内を流れる空気が放熱部34の周囲を通過する際に加熱されて熱風になる。
【0030】
洗濯乾燥機1は、制御部40と、水位センサ41と、温度センサ42とをさらに含む。制御部40は、例えば、CPUと、ROMやRAMなどのメモリと、計時用のタイマとを含むマイコンとして構成され、筐体2内に内蔵される。モータ10、表示操作部16、給水弁19、排水弁25、送風部31、加熱部32、水位センサ41及び温度センサ42のそれぞれは、制御部40に対して電気的に接続される。
【0031】
制御部40は、モータ10の回転を制御してモータ10に駆動力を発生させたり、モータ10の回転を停止したりする。使用者が表示操作部16を操作して洗濯物Lの運転条件などについて選択すると、制御部40は、その選択を受け付ける。制御部40は、表示操作部16の表示を制御する。制御部40は、給水弁19及び排水弁25の開閉を制御する。制御部40が排水弁25を閉じた状態で給水弁19を開くと、蛇口からの水道水が、給水路6を流れて給水路6の他端部6Aから外槽3に供給されて溜まる。前述したように、外槽3内に供給された水の一部は、案内路3Lを流れ落ちて容器20の内部空間20Aにも溜まる。制御部40が排水弁25を開くと、外槽3内の水が、案内路3L、容器20の内部空間20A及び流出路8を順に流れて機外に排出される。
【0032】
制御部40は、送風部31を作動させて循環路30内で取出口30Dから戻し口30Eへ向けて流れる風を発生させ、内槽4と循環路30との間で循環させる。制御部40は、加熱部32を作動させて、内槽4と循環路30との間で循環する風を熱風にする。
【0033】
水位センサ41は、水フィルタ7の容器20内の水位を検知する公知のセンサであり、例えば、容器20における適所に取り付けられる。水位センサ41の検出値は、リアルタイムで制御部40に入力される。
【0034】
温度センサ42として、公知の温度センサを使用できる。温度センサ42は、例えば外槽3に取り付けられる。温度センサ42は、洗濯槽5内の空気の温度を検出することにより、送風部31の作動に応じて循環する空気の温度を検出する。温度センサ42の検出値は、リアルタイムで制御部40に入力される。
【0035】
制御部40は、モータ10を作動させて給水弁19及び排水弁25のそれぞれを開閉することによって、洗い運転、すすぎ運転及び脱水運転をこの順に実行する。すすぎ運転は複数回実行されてもよく、脱水運転は、洗い運転とすすぎ運転との間や、すすぎ運転と次のすすぎ運転との間に実行されてもよい。
【0036】
洗い運転の開始に先立って、内槽4内に洗剤が投入される。制御部40は、洗い運転では、排水弁25を閉じた状態で、給水弁19を所定時間開いて給水路6から洗濯槽5内に給水した後に、モータ10によって内槽4を回転させる。これにより、内槽4内の洗濯物Lが、たたき洗いされる。たたき洗いでは、洗濯物Lがある程度持ち上げられてから水面に自然落下するというタンブリングが繰り返される。タンブリングによる衝撃や、内槽4に溜まった洗剤水に含まれる洗剤成分によって、洗濯物Lから汚れが取り除かれる。タンブリングの開始から所定時間が経過した後に、制御部40が排水弁25を開いて排水すると、洗い運転が終了する。
【0037】
制御部40は、すすぎ運転では、給水弁19を所定時間開いて洗濯槽5内に給水してから、モータ10によって内槽4を回転させる。すると、前述したタンブリングが繰り返されるので、洗濯物Lが内槽4内の水道水によってすすがれる。タンブリングの開始から所定時間が経過した後に、制御部40が排水すると、すすぎ運転が終了する。制御部40は、脱水運転では、排水弁25を開いた状態で、内槽4を脱水回転させる。内槽4の脱水回転により生じた遠心力によって、内槽4内の洗濯物Lが脱水される。脱水により洗濯物Lから染み出た水は、流出路8から機外に排出される。
【0038】
脱水運転後、制御部40は、送風部31及び加熱部32を作動させて給水弁19及び排水弁25のそれぞれの開閉を制御することによって、乾燥運転を実行する。洗濯乾燥機1では、洗い運転、すすぎ運転及び脱水運転を経ずに、乾燥運転だけが実行されてもよい。
【0039】
乾燥運転開始の際、制御部40は、例えば、加熱部32を作動させて加熱部32の放熱部34を予熱して、排水弁25を閉じた状態で給水弁19を開く。これにより、蛇口からの水が、洗濯槽5内に供給された後に、案内路3Lから水フィルタ7の容器20内に流れ落ちて容器20内に溜まる。この際、制御部40は、容器20内の水が飛び散らないように送風部31を停止しておくとよい。水位センサ41が検出した容器20内の水位が、案内路3Lの下端付近の基準水位Wまで上昇すると、水フィルタ7の機能が有効になるので、制御部40は、給水弁19を閉じて給水を終了する。このとき、洗濯槽5内において案内路3Lの下端よりも上側Z1の領域は、水が存在しない空の状態にある。
【0040】
水フィルタ7への給水後に、制御部40は、引き続き加熱部32を作動させた状態で、送風部31を作動させる。これにより、洗濯槽5内の空気が、外槽3の案内路3Lから水フィルタ7の容器20内に流入した後に取出口30Dから循環路30内に取り出されて戻し口30Eから洗濯槽5内に戻るように循環する。循環する空気は、加熱部32によって加熱されることで熱風となり、洗濯槽5における内槽4内の洗濯物Lを乾燥させる。
【0041】
具体的には、まず、洗濯槽5内の空気は、内槽4内の洗濯物Lに浴びせられて洗濯物Lの水分を吸収する。これより、洗濯物Lの乾燥が促進される。洗濯槽5内で洗濯物Lの水分を吸収した空気は、湿り空気となって、破線矢印V1で示すように案内路3Lにおいて下降して水フィルタ7の容器20内に流入する。容器20内に流入した空気は、容器20内に溜まった水の中を通って下降し、容器20の底壁21の手前で向きを変えて水中で上昇する。この際、この空気が、容器20内の水と熱交換することによって除湿される。さらに、この空気に含まれる糸くずや埃などの異物が、容器20内の水によって捕獲されて水と共に容器20内に溜まる。
【0042】
このように水分及び異物が除去された空気は、容器20内の水面を越えてさらに上昇して側壁22の取出口30Dに向かう。取出口30Dに到達した空気は、取出口30Dから循環路30内に流入し、破線矢印V2で示すように、循環路30の後部分30B内で上昇する。そして、この空気は、破線矢印V3で示すように、送風部31の回転羽根33を通過して循環路30の水平部分30A内を前側Y1へ流れ、その際、加熱部32の放熱部34を通過することによって再加熱される。再加熱された空気は、破線矢印V4で示すように、循環路30の前部分30C内を下降して戻し口30Eに向かい、戻し口30Eから洗濯槽5内に供給されて内槽4内の洗濯物Lの乾燥のために再利用される。前述したように水フィルタ7によって異物及び水分が除去された空気が循環路30内を流れるので、循環路30の内面や、送風部31の回転羽根33や、加熱部32の放熱部34に異物や水分が付着することを防止できる。
【0043】
内槽4内の洗濯物Lが乾燥すると、洗濯槽5内の空気の温度についての温度センサ42の検出値が所定値に到達する。これに応じて、制御部40は、加熱部32及び送風部31の作動を停止させて、排水弁25を開いて水フィルタ7の容器20を排水する。
【0044】
容器20内の水がなくなると、乾燥運転が終了する。制御部40は、容器20内の水がなくなったか否かを、水位センサ41の検出結果に応じて判断してもよいし、所要時間の経過によって判断してもよい。この所要時間は、実験などによって予め定められ、制御部40のメモリに記憶される。このように容器20内が空になるので、乾燥運転終了後から次の乾燥運転開始までの間に容器20内に水が残ることによって容器20内にカビや雑菌が繁殖することを防止できる。
【0045】
容器20の排水に応じて流出路8に導かれた異物は、排水フィルタ9によって捕獲される。使用者は、排水フィルタ9に溜まった異物を取り除けば、容器20内の異物を取り除いたことにもなるので、水フィルタ7にアクセスして容器20内の異物を取り除くメンテナンスをしなくてもよい。よって、水フィルタ7のメンテナンスが容易になるので、乾燥運転に関して使い勝手の向上を図れる。なお、排水フィルタ9が省略されてもよく、その場合、流出路8に導かれた異物は、流出路8を通過して機外にそのまま排出される。
【0046】
以上のように、洗濯乾燥機1の乾燥運転では、内部空間20Aを有する水フィルタ7が、循環のために洗濯槽5内から取出口30Dへ向かう空気を、容器20の内部空間20A内の水に通すことによって、当該空気から異物を捕獲して内部空間20A内に溜める。この場合、内部空間20A内の水を捨てれば、内部空間20A内に溜まった異物も水に乗って排出されるので、水フィルタ7を容易にメンテナンスできる。そのため、乾燥運転に関して使い勝手の向上を図れる。
【0047】
水フィルタ7の内部空間20Aは、外槽3の底部3Jを構成するので、外槽3の配置スペース及びその周辺のスペースを有効利用して内部空間20Aつまり水フィルタ7の大型化を図ることができる。特に、外槽3を支持部材17によって支持するために外槽3の下側Z2に予め確保された比較的広いスペースSを水フィルタ7の配置スペースとして有効利用することによって、水フィルタ7をスペースSに合わせて大型化することができる。水フィルタ7が循環路30の途中に設けられる場合には、水フィルタ7の配置スペースが制約されることによって内部空間20Aが小さくなって空気の抵抗となることにより、水フィルタ7での風量の損失が増加するおそれがある。しかし、この実施形態では、水フィルタ7の大型化により、循環のために洗濯槽5から内部空間20A内を通って取出口30Dへ向かう空気の流量の増加を図ることができる。そのため、乾燥運転では、水フィルタ7での風量の損失を低減して乾燥用の空気を円滑に循環させることができるので、乾燥性能の低下を抑制できる。
【0048】
この実施形態では、水フィルタ7は、外槽3の底部3Jに一体形成される。そのため、外槽3の底部3Jを水フィルタ7のために大型化することによって、水フィルタ7を大型化することができる。また、部品点数の削減を図ることもできる。特に、水フィルタ7は、外槽3と一体化されることによって、洗濯乾燥機1の運転中では外槽3と一体振動することができるので、外槽3についての振動吸収構造である支持部材17を流用して、水フィルタ7の振動を吸収することができる。これにより、部品点数の一層の削減を図ることができる。
【0049】
図2は、変形例に係る洗濯乾燥機1の要部の斜視図である。図2において、今まで説明した部分と同一の部分には同一符号を付して、当該部分についての説明は省略する。図2に示す変形例のように、水フィルタ7の容器20は、外槽3とは別部品として設けられて、外槽3の底部3Jに後付けで取り付けられてもよい。この場合、底部3Jには、下側Z2へ窪む凹部3Mが設けられて、容器20は、凹部3Mに収容される。また、容器20は、側壁22の上端に接続されて内部空間20Aを上側Z1から覆う天壁50を有して、天壁50には、内部空間20Aに連通する貫通穴50Aが形成される。外槽3内の水は、貫通穴50Aを通って内部空間20Aに流入する。また、乾燥運転中に循環する空気は、貫通穴50Aを通って洗濯槽5内から容器20内に流入する。なお、外槽3の円周壁3Aは、変形例のように前後に分割可能であってもよい。
【0050】
この発明は、以上に説明した実施形態に限定されるものではなく、請求項に記載の範囲内において種々の変更が可能である。
【0051】
例えば、前述した実施形態におけるドラム式の洗濯乾燥機1では、軸線Jが水平方向に傾斜するように内槽4が配置されてもよい。また、洗濯乾燥機1は、軸線Jが縦に延びる縦型の洗濯乾燥機であってもよい。
【0052】
前述した実施形態では、給水路6及び給水弁19を洗濯槽5への給水だけでなく、水フィルタ7への給水にも流用できる。同様に、流出路8及び排水弁25を洗濯槽5の排水だけでなく、水フィルタ7の排水にも流用できる。そのため、部品点数の削減を図ることができる。部品点数の削減を考慮しなくてもよい場合には、洗濯乾燥機1は、給水路6から分岐して水フィルタ7の容器20に水を供給する流入路(図示せず)と、流入路を開閉する流入弁(図示せず)とを含んでもよい。洗濯乾燥機1は、外槽3の底部3Jから延びて機外に引き出される排水路(図示せず)を含んで、この排水路の途中に排水フィルタ9及び排水弁25が配置されて、水フィルタ7からの流出路8が、この排水路に合流してもよい。この場合、流出路8を開閉する流出弁(図示せず)が排水弁25とは別に設けられてもよい。つまり、水フィルタ7のための専用の流入路、流入弁、流出路8及び流出弁を設けてもよい。
【0053】
洗濯乾燥機1は、洗濯槽5内において所定水位を超える水を強制的に排出する溢水路(図示せず)をさらに含んでもよい。溢水路は、外槽3と、流出路8において排水フィルタ9よりも機外に近い下流領域とをつなぐ。水フィルタ7内の水が溢れそうな場合には、この溢水路によって水フィルタ7内の水を機外に排出してもよい。もちろん、水フィルタ7のための専用の溢水路を別途設けてもよい。
【符号の説明】
【0054】
1 洗濯乾燥機
3 外槽
3J 底部
4 内槽
5 洗濯槽
7 水フィルタ
8 流出路
20A 内部空間
30 循環路
30D 取出口
30E 戻し口
31 送風部
32 加熱部
L 洗濯物
図1
図2